毎日コツコツ。社労士受験のあれこれ 令和8年度

令和8年度版

毎日コツコツ。 社労士受験のあれこれ

労働基準法「平均賃金」

R8-016 9.09

平均賃金を「算定すべき事由の発生した日」

 平均賃金は、原則として、「算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額」を、その期間の「総日数」で除して計算します。

 

 今回は、「算定すべき事由の発生した日」を具体的にみていきます。

 

過去問をどうぞ!

★解雇予告手当について算定すべき事由の発生した日

①【H16年出題】

 労働基準法第20条の規定に基づき、解雇の予告に代えて支払われる平均賃金(解雇予告手当)を算定する場合における算定すべき事由の発生した日は、労働者に解雇の通告をした日である。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H16年出題】 〇

 解雇予告手当を算定する場合における算定すべき事由の発生した日は、労働者に「解雇の通告をした日」です。

(昭39.6.1236基収2316号)

 

 

 

②【R7年出題】

 労働基準法第20条に基づく解雇予告手当を算定する際の平均賃金算定事由発生日は、「労働者に解雇の通告をした日」であり、その後、当該労働者の同意を得て解雇日を変更した場合においても、当初の解雇を通告した日とするものとされている。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R7年出題】 〇

 解雇予告手当を算定する際の平均賃金算定事由発生日は、「労働者に解雇の通告をした日」です。その後、当該労働者の同意を得て解雇日を変更した場合においても、同様に、「当初の解雇を通告した日」とされています。

(昭39.6.1236基収2316号)

 

 

★減給制裁について算定すべき事由の発生した日

③【H25年出題】

 労働基準法第91条に規定する減給の制裁に関し、平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、減給制裁の事由が発生した日ではなく、減給の制裁が決定された日をもってこれを算定すべき事由の発生した日とされている。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H25年出題】 ×

 減給の制裁に関して平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、「減給の制裁の意思表示が相手方に到達した日」とされています。

(昭30.7.19基収5875号)

 

 

★災害補償について算定すべき事由の発生した日

④【H27年出題】

 労働災害により休業していた労働者がその災害による傷病が原因で死亡した場合、使用者が遺族補償を行うに当たり必要な平均賃金を算定すべき事由の発生日は、当該労働者が死亡した日である。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H27年出題】 ×

 「災害補償を行う場合には、死傷の原因たる事故発生の日又は診断によって疾病の発生が確定した日を、平均賃金を算定すべき事由の発生した日とする。」と規定されています。(則第48条)

 

 

 

★所定労働時間が二暦日にわたる場合

⑤【R7年出題】

 所定労働時間が二暦日にわたる勤務を行う労働者(一昼夜交替勤務のごとく明らかに2日の労働と解することが適当な場合を除く。)について、当該勤務の二暦日目に平均賃金を算定すべき事由が発生した場合においては、当該勤務の始業時刻に属する日に当該事由が発生したものとして取り扱うこととされている。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【R7年出題】 〇

 所定労働時間が二暦日にわたる勤務を行う労働者について

→ 当該勤務の二暦日目に平均賃金を算定すべき事由が発生した場合は、当該勤務の始業時刻に属する日に当該事由が発生したものとして取り扱うこととされています。

(昭45.5.14基発374号)

 

 

 

★賃金締切日がある場合

⑥【H27年出題】

 賃金締切日が毎月月末と定められていた場合において、例えば731日に算定事由が発生したときは、なお直前の賃金締切日である630日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となる。

 

 

 

 

【解答】

⑥【H27年出題】 〇

 「平均賃金の算定期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。」とされています。(法第12条第2項)

ポイント!

 平均賃金の条文では、「算定すべき事由の発生した日以前 3 か月間」が算定期間となっていますが、平均賃金の計算上、算定すべき事由の発生した日当日は、含めません

 そのため、731日に算定事由が発生したときは、前日から遡った3か月で計算します。また、賃金締切日があるため、「直前の賃金締切日」である630日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となります。

 

 

 

⑦【H27年出題】

 賃金締切日が、基本給は毎月月末、時間外手当は毎月20日とされている事業場において、例えば625日に算定事由が発生したときは、平均賃金の起算に用いる直前の賃金締切日は、基本給、時間外手当ともに基本給の直前の締切日である531日とし、この日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となる。

 

 

 

 

 

【解答】

⑦【H27年出題】 ×

 賃金ごとに賃金締切日が異なる場合は、平均賃金を計算する場合の「直前の賃金締切日」は、それぞれ各賃金ごとの賃金締切日となります。

問題文の場合、

・基本給 → 直前の賃金締切日は531

・時間外手当 → 直前の賃金締切日は620

となります。

(昭26.12.27基収5926号)

 

 

 

★雇入れ後3か月未満の場合

⑧【R7年出題】

 雇入れ後3か月未満の労働者について平均賃金を算定すべき事由が発生した場合には、算定事由発生日前に賃金締切日があるか否かにかかわらず、雇入れ後の期間とその期間中の賃金の総額で算定することとされている。

 

 

 

 

 

 

【解答】

⑧【R7年出題】 ×

 「雇入後3か月に満たない者については、平均賃金の算定期間は、雇入後の期間とする。」とされています。(法第12条第6項)

なお、雇入れ後3か月未満の労働者について平均賃金を算定すべき事由が発生した場合でも、賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から起算ます。

(昭23.4.22基収1065号)

 

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→ https://youtu.be/UkGGjAKPDLo?si=fsbAK52_7gjVRygF

社労士受験のあれこれ

労働基準法「平均賃金」

R8-015 9.08

平均賃金の計算(原則と最低保障額)

 「平均賃金」とは、賃金の1日当たりの額のことです。

 労働基準法の解雇予告手当や、休業手当などの額の計算に使われます。

 

今回は、平均賃金の原則の計算式と「最低保障額」をみていきましょう。

 

■計算式について条文を読んでみましょう。

労基法第12条第1

 平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。

<最低保障額>

ただし、その金額は、次の各号の一によって計算した金額を下ってはならない。

1) 賃金が、労働した若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60

2) 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と(1)の金額の合算額

 

<原則の計算式>

算定すべき事由の発生した日以前3か月間賃金の総額

その期間の総日数

 

<最低保障額>

算定すべき事由の発生した日以前3か月間の賃金の総額

×

60

その期間中に労働した日数

100

ポイント!

 最低保障額は、「日給」「時給」「出来高払いその他の請負制」の場合に適用されます。

 

こちらも確認しましょう

★「その日数とその期間中の賃金」を平均賃金の計算から控除する期間

 =分母からも分子からも除外する期間

・ 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間

・ 産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間

・ 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間

・ 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に規定する育児休業又は介護休業をした期間

・ 試みの使用期間

★「賃金総額」に算入しない賃金

 =分子からのみ除外する賃金

・ 臨時に支払われた賃金

・ 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金

・ 通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの

 

 

それでは、過去問を解いてみましょう

①【H19年出題】

平均賃金は、原則として、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除して算定するものとされているが、賃金がいわゆるパートタイマーに多くみられるように労働した時間によって算定される場合には、その金額は、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60を下ってはならないこととされている。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H19年出題】 〇

 賃金が労働した時間によって算定される場合は、最低保障額が適用されます。

 最低保障額は、「賃金の総額」÷その期間中の「労働した日数」×100分の60で計算します。

 

 

 

 

 

 

②【R7年出題】

 令和711日から、賃金が日給1万円、毎月20日締切、当月25日支払の条件で雇われている労働者について、同年7月15日に平均賃金を算定すべき事由が発生した。当該労働者に支払われていた賃金は、1月支払分から6月支払分までいずれも労働日数は月10日で支払額は各月10万円であり、本条第3項各号に掲げられている業務上負傷し療養のために休業した期間等の控除期間がなかった。この場合の当該労働者に係る平均賃金の額は6,000円である。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R7年出題】 〇

問題を解くポイント!

・「日給制」ですので、最低保障額が適用されます。

・ 平均賃金を算定する期間については、賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から起算します。(法第12条第2項)

 問題文の場合は、直前の賃金締切日(620日)から遡った3か月で計算します。

 3月21日~4月20日、4月21日~5月20日、5月21日~6月20日までの期間で算定します。

 

・原則の計算式で計算すると

<原則の計算式>

10万円+10万円+10万円)÷92日 ≒ 3260.86

 

<最低保障額>

10万円+10万円+10万円)÷30日×100分の60 = 6,000

 

問題文の労働者に係る平均賃金の額は6,000円となります。

 

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→ https://youtu.be/c01fzQMDhaI?si=Xf-jtSoTbI42PRmz

社労士受験のあれこれ

日曜日はYouTube総集編です!

R8-014 9.07

【毎日コツコツ社労士受験】総集編(令和7年9月第1週)

毎週日曜日は総集編をお届けします。

今回は、令和7年9月1日から6日までの動画の総集編です。

まとめて見ることができますので、ご活用ください。

 (R7年選択)統計からみた我が国の高齢者、パワハラ定義、最高裁判例(労働に関する一般常識)

 (R7年選択)国年保険料納付状況・高齢者医療確保法・介護保険法・確定給付企業年金法・厚生労働白書(社会保険に関する一般常識)

・(R7年選択式) 出産育児一時金・任意適用事業所の適用取消(健康保険法)

(R7年選択式)定時決定・再評価率の改定・3号分割・障害厚生年金(厚生年金保険法)

 (R7年選択式)国民年金の保険料額・学生納付特例の所得要件(国民年金法)

 (R7年選択式)判例からの出題(労働基準法)

 

YouTubeはこちらからどうぞ!

→ https://youtu.be/aCKlXqzQ4CY?si=6cwJBVq3svnvBMkh

社労士受験のあれこれ

令和7年選択式(労働基準法)から学ぶ

R8-013 9.06

R7年選択式は判例からの出題(労基法)

 令和7年度の労働基準法の選択式は、

①付加金

②判例

からの出題でした。

今回は②判例の問題をみていきます。

 

まず過去問をどうぞ!

H22年選択式】

 賞与の対象期間の出勤率が90%以上であることを賞与の支給要件とする就業規則の規定における出勤率の算定に当たり、労働基準法第65条の定める産前産後休業等を出勤日数に含めない取扱いについて、「労働基準法65条〔等〕の趣旨に照らすと、これにより上記権利〔産前産後休業の取得の権利〕等の行使を抑制し、ひいては労働基準法等が上記権利等を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められる場合に限り、  < A >として無効となる」とするのが最高裁判所の判例である。

<選択肢>

① 権利の濫用   ② 公序に反するもの   ③ 信義に反するもの

④ 不法行為

 

 

 

 

 

【解答】

A> ② 公序に反するもの

ポイント!

 「従業員の年間総収入額に占める賞与の比重が高いため,上記条項により賞与が支給されない者の受ける経済的不利益が大きく、従業員が産前産後休業を取得し又は勤務時間短縮措置を受けた場合には、それだけで上記条項に該当して賞与の支給を受けられなくなる可能性が高いという事情の下においては、「公序に反し無効である。」とされています。

(東朋学園事件 平成15.12.4最高裁判所第一小法廷)

 

 

では、令和7年の問題をどうぞ!

R7年選択式】

 最高裁判所は、就業規則として定める給与規程における、出勤率が90%以上の従業員を賞与支給対象者とする旨の条項(以下本問において「本件90%条項」という。)の適用に関し、その基礎とする出勤した日数に産前産後休業の日数等を含めない旨の定めが労働基準法(平成9年法律第92号による改正前のもの)65条等に反するか等が問題となった事件において、次のように判示した。

 「労働基準法65条は、産前産後休業を定めているが、産前産後休業中の賃金については何らの定めを置いていないから、産前産後休業が有給であることまでも保障したものではないと解するのが相当である。〔(略)〕したがって、産前産後休業を取得し〔(略)〕た労働者は、その間就労していないのであるから、労使間に特段の合意がない限り、その不就労期間に対応する賃金請求権を有しておらず、当該不就労期間を出勤として取り扱うかどうかは原則として労使間の合意にゆだねられているというべきである。

 ところで、従業員の出勤率の低下防止等の観点から、出勤率の低い者につきある種の経済的利益を得られないこととする措置ないし制度を設けることは、一応の経済的合理性を有するものである。上告人の給与規程は、賞与の支給の詳細についてはその都度回覧にて知らせるものとし、回覧に具体的な賞与支給の詳細を定めることを委任しているから、本件各回覧文書〔本件90%条項の適用に関し、産前産後休業については、出勤率算定の基礎とする出勤すべき日数に算入し、出勤した日数には含めない旨を定めた文書〕は、給与規程と一体となり、本件90%条項等の内容を具体的に定めたものと解される。本件各回覧文書によって具体化された本件90%条項は、労働基準法65条で認められた産前産後休業を取る権利〔(略)〕に基づく不就労を含めて出勤率を算定するものであるが、上述のような労働基準法65条〔(略)〕の趣旨に照らすと、これにより上記権利等の行使を抑制し、ひいては労働基準法等が< C >場合に限り、公序に反するものとして無効となると解するのが相当である」。

<選択肢>

⑤ 使用者に労働者の仕事と生活の調和にも配慮することを規定している趣旨を実質的に失わせるものと認められる

⑥ 上記権利等を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められる

⑪ 同法等に違反する行為に罰則を設けている意味を没却させる

⑳ 労働条件は労働者と使用者が対等の立場において決定すべきものとしている意味を没却させる

 

 

 

 

 

【解答】

C> ⑥ 上記権利等を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められる

裁判要旨を読んでみましょう。

 出勤率が90%以上の従業員を賞与支給対象者としこれに満たない者には賞与を支給しないこととする旨の就業規則条項の適用に関し、出勤率算定の基礎とする出勤すべき日数に産前産後休業の日数を算入し、出勤した日数に上記日数及び育児を容易にするための措置により短縮された勤務時間分を含めない旨を定めた就業規則の付属文書の定めは、従業員の年間総収入額に占める賞与の比重が高いため、上記条項により賞与が支給されない者の受ける経済的不利益が大きく、従業員が産前産後休業を取得し又は勤務時間短縮措置を受けた場合には、それだけで上記条項に該当して賞与の支給を受けられなくなる可能性が高いという事情の下においては、公序に反し無効である。

(東朋学園事件 平成15.12.4最高裁判所第一小法廷)

 

問題の考え方です

 産前産後休業を取得すると、90%条項を満たせず、賞与を受けられなくなる可能性が高い → 「労働基準法の産前産後休業を取得する権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められる」と考えましょう。

 

YouTubeはこちらからどうぞ!

→ https://youtu.be/j5CJ00wSJbQ?si=QVrzAbSxXLLxNjDD

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令和7年選択式(国民年金法)から学ぶ

R8-012 9.05

R7年選択式は国民年金の保険料額・学生納付特例の所得要件

 令和7年の国民年金の選択式は、

①国民年金の保険料額

②学生納付特例の所得要件

からの出題でした。

どちらも数字の暗記が必要でした。

 

国民年金の保険料額について

過去問からどうぞ!

R5年出題】 

 令和5年度の実際の国民年金保険料の月額は、平成29年度に引き上げが完了した上限である16,900円(平成16年度水準)に、国民年金法第87条第3項及び第5項の規定に基づき名目賃金の変動に応じて改定された。

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 ×

 令和5年度の実際の国民年金保険料の月額は、「平成29年度に引き上げが完了した上限である16,900円(平成16年度水準)」ではなく、「17,000」に保険料改定率を乗じて得た額となります。

 なお、保険料改定率は、毎年度、名目賃金変動率に応じて改定されます。

(法第87条)

 平成16年の改正で、国民年金の保険料は、毎年度280円ずつ引き上げられ、平成29年度に引上げが完了しました。

 産前産後期間の保険料免除制度が施行されたことにより、令和元年度以降は、保険料額は100円引き上げられ17,000円となっています。

 

 

令和7年の問題をどうぞ!

R7年選択式】

 国民年金の保険料は、< A >の年金制度改正により、< A >度水準で、毎年度280円ずつ段階的に引き上げてきたが、平成29年度に上限の< B >に達したため、引き上げを完了した。その上で、令和元年度から、< C >の財源とする目的で、保険料を100円引き上げている。ただし、毎年度の実際の保険料額は、国民年金法第87条第3項の規定により、この額に保険料改定率を乗じて算出するため、変動する。

<選択肢>

⑨ 13,300円  ⑩ 16,800円  ⑪ 16,900円  ⑫ 17,000

⑬ 遺族基礎年金の父子家庭への支給

⑭ 産前産後期間の保険料免除制度

⑮ 年金額の特例水準の解消

⑯ 年金生活者支援給付金

⑰ 平成6年  ⑱ 平成12年  ⑲ 平成16年  ⑳ 平成24

 

 

 

 

 

【解答】

A> ⑲ 平成16

B> ⑪ 16,900

C> ⑭ 産前産後期間の保険料免除制度

 

 

学生納付特例に係る所得要件

まず過去問をどうぞ!

H28年出題】

 前年の所得(1月から3月までの月分の保険料については、前々年の所得。以下本問において同じ。)がその者の扶養親族等の有無及び数に応じ一定額以下の学生である第1号被保険者については、その者の世帯主又は配偶者の前年の所得にかかわらず、国民年金法第90条の3の規定による学生納付特例の適用を受けることができる。

 

 

 

 

 

【解答】

H28年出題】 〇

 学生納付特例については、「世帯主又は配偶者」の所得要件は問われないのがポイントです。

 本人の所得のみで判断されます。

(法第90条の3)

 

令和7年の問題をどうぞ!

R7年選択式】

 学生納付特例に係る所得要件について、扶養親族等があるときは< D >万円に当該扶養親族等(特定年齢扶養親族にあっては、控除対象扶養親族に限る。)1人につき < E >万円(当該扶養親族等が所得税法に規定する同一生計配偶者又は老人扶養親族であるときは当該同一生計配偶者又は老人扶養親族1人につき48万円とし、当該扶養親族等が特定扶養親族等であるときは当該特定扶養親族等1人につき63万円とする。)を加算した額以下とする。

<選択肢>

① 32  ② 35  ③ 36  ④ 38

⑤ 103  ⑥ 106  ⑦ 128  ⑧ 168

 

 

 

 

 

【解答】

<D> ⑦ 128

<E> ④ 38

(令第6条の9)

・学生納付特例に係る所得要件は、扶養親族等がないときは128万円です。

・学生納付特例に係る所得要件の額と半額免除の所得要件の額は同じです。

 

YouTubeはこちらからどうぞ!

→ https://youtu.be/SbDQR-hmeGc?si=Y9OhS_uZC0Uamv4y

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令和7年選択式(厚生年金保険法)から学ぶ

R8-011 9.04

R7年選択式は定時決定・再評価率の改定・3号分割・障害厚生年金

令和7年の厚生年金保険の選択式は、

・定時決定

・再評価率の改定

3号分割の対象にならない期間

・障害厚生年金のみの受給権が発生する場合

から出題されました。

 

定時決定について

令和7年の問題をどうぞ!

①【R7年選択式】

 厚生年金保険法第21条第1項の規定によると、実施機関は、被保険者が毎年7月1日現に使用される事業所において同日前3月間(その事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が< A >(厚生労働省令で定める者(被保険者であって、その1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満である短時間労働者等)にあっては、< B >)未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を決定するとされている。

<選択肢>

① 11日  ② 12日  ③ 13日  ④ 14日  ⑤ 15日  ⑥ 16

⑦ 17日  ⑧ 18

 

 

 

 

 

【解答】 

A> ⑦ 17

B> ① 11

 

 

再評価率の改定について

R7年の問題をどうぞ!

②【R7年選択式】

 厚生年金保険法第43条の4第1項の規定によると、調整期間における再評価率の改定については、< C >に、調整率に当該年度の前年度の特別調整率を乗じて得た率を乗じて得た率を基準とするとされている。

<選択肢>

⑫ 実質賃金変動率  ⑬ 実質手取り賃金変動率  ⑮ 名目賃金変動率

⑯ 名目手取り賃金変動率

 

 

 

 

 

【解答】

C> ⑯ 名目手取り賃金変動率

 

過去問も解いてみましょう

①【H18年選択式】※改正による修正あり

1 平成16年の法改正により、年金額の改定は被保険者であった期間の標準報酬月額及び標準賞与額に係る< A >(生年度別)を改定することによって毎年度自動的に行われる方式に改められた。

2 新規裁定者(< B >歳到達年度前の受給権者)の年金額の改定には、    < C >を基準とした< A >を用い、既裁定者(< B >歳到達年度以後の受給権者)の年金額の改定には、前年の< D >(< D >< C >を上回るときは、< C >)を基準とした< A >を用いる。

<選択肢>

① 60  ② 68  ③ 65  ④ 70

⑤ 基準年度再評価率   ⑥ 給付乗率  ⑦ 給付改定率  ⑧ 物価変動率

⑨ 名目賃金変動率  ⑩ 実質賃金変動率  ⑪ 物価上昇率 

⑫ 名目手取り賃金変動率  ⑬ 消費者物価指数  ⑭ 再評価率

 

 

 

 

 

【解答】

<A> ⑭ 再評価率

<B> ② 68

<C> ⑫ 名目手取り賃金変動率

<D> ⑧ 物価変動率

ポイント!

 新規裁定者は「名目手取り賃金変動率」、既裁定者は「物価変動率」を基準に改定されます。

 

 

②【R5年選択式】

 令和X年度の年金額改定に用いる物価変動率がプラス0.2%、名目手取り賃金変動率がマイナス0.2%、マクロ経済スライドによるスライド調整率がマイナス0.3%、前年度までのマクロ経済スライドの未調整分が0%だった場合、令和X年度の既裁定者(令和X年度が68歳到達年度以後である受給権者)の年金額は、前年度から< A >となる。なお、令和X年度においても、現行の年金額の改定ルールが適用されているものとする。

<選択肢>

① 0.1%の引下げ  ② 0.2%の引下げ  ③ 0.5%の引下げ  ④ 据置き

 

 

 

 

【解答】

<A> ② 0.2%の引下げ

ポイント!

・既裁定者の再評価率の改定は、原則として「物価変動率」が基準となります。

ただし、「物価変動率」が「名目手取り賃金変動率」を上回るときは、名目手取り賃金変動率を基準とします。

 問題文は、物価変動率(+0.2%)>名目手取り賃金変動率(-0.2%)ですので、「名目手取り賃金変動率」を基準に改定します。そのため、「0.2%の引き下げ」となります。

 なお、基準になる名目手取り賃金変動率がマイナスですので、マクロ経済スライドによる調整は行われません。

 

 

 3号分割標準報酬改定請求について

 最初に条文を読んでみましょう。

法第78条の141

 被保険者(被保険者であった者を含む。以下「特定被保険者」という。)が被保険者であった期間中に被扶養配偶者(当該特定被保険者の配偶者として国民年金の第3号被保険者に該当していたものをいう。)を有する場合において、当該特定被保険者の被扶養配偶者は、当該特定被保険者と離婚又は婚姻の取消しをしたときその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定めるときは、実施機関に対し、特定期間(当該特定被保険者が被保険者であった期間であり、かつ、その被扶養配偶者が当該特定被保険者の配偶者として国民年金の第3号被保険者であった期間をいう。)に係る被保険者期間の標準報酬(特定被保険者及び被扶養配偶者の標準報酬をいう。)の改定及び決定を請求することができる。

ただし、当該請求をした日において当該特定被保険者が障害厚生年金(当該特定期間の全部又は一部をその額の計算の基礎とするものに限る)受給権者であるときその他の厚生労働省令で定めるときは、この限りでない。

 

過去問をどうぞ!

R1年出題】

 障害厚生年金の受給権者である特定被保険者(厚生年金保険法第78条の14に規定する特定被保険者をいう。)の被扶養配偶者が3号分割標準報酬改定請求をする場合における特定期間に係る被保険者期間については、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となった特定期間に係る被保険者期間を改定又は決定の対象から除くものとする。

 

 

 

 

 

【解答】

R1年出題】 〇

 3号分割標準報酬改定請求をする場合の特定期間に係る被保険者期間については、特定被保険者の障害厚生年金の額の計算の基礎となった特定期間に係る被保険者期間は、改定又は決定の対象から除かれます

 

では、令和7年の選択式をどうぞ!

③【R7年選択式】

 平成21月生まれの甲は、平成231月に同い年の乙と結婚し、令和71月に離婚した。婚姻期間中、乙は厚生年金保険の被保険者であり、甲は国民年金の第3号被保険者であった。また、乙は、令和28月に初診日のある傷病により、令和42月の障害認定日に障害等級3級に該当しており、離婚時には、当該障害による障害厚生年金を受給していた。この事例において、3号分割標準報酬改定請求の対象とならない期間は、平成231月から< D >までである。

<選択肢>

⑰ 令和28月  ⑱ 令和41月  ⑲ 令和42月  ⑳ 令和612

 

 

 

 

 

【解答】

<D> ⑲ 令和42

・特定期間について

 特定期間は、特定被保険者(甲)が被保険者であった期間で、かつ、その被扶養配偶者(乙)が国民年金の第3号被保険者であった期間です。

・特定期間の一部が、甲の障害厚生年金の計算の基礎となっています。

・甲の障害厚生年金の額の計算の基礎となった期間は、改定又は決定の対象から除かれます。

・障害厚生年金は、「障害認定日の属する月」までが計算の基礎となります。(法第51条)甲の障害厚生年金は、障害認定日の属する月である「令和42月」までが計算の基礎になっています。

・3号分割標準報酬改定請求の対象にならない期間は、障害厚生年金の計算の基礎になっている「平成231月から令和42月」までとなります。

 

 

障害厚生年金の受給権のみ発生する場合

最初にポイントを確認しましょう!

 厚生年金保険の被保険者は、国民年金の第2号被保険者です。

 ただし、厚生年金保険の被保険者でも、65歳以上で、老齢基礎年金、老齢厚生年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付の受給権を有するもの」は第2号被保険者となりません。

(国民年金法附則第3条)

 

では、令和7年の問題をどうぞ!

④【R7年選択式】

 厚生年金保険の被保険者丙は、令和7年8月1日に自宅内で倒れて、病院に緊急搬送された。丙は、同日において、67歳の男性であり、老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに繰下げ待機中である。この傷病によって、丙が障害認定日に、障害等級2級と認定された場合、受給権が発生する障害年金は、< E >。なお、丙に保険料滞納期間はないものとする。

<選択肢>

⑨ 障害基礎年金と障害厚生年金である

⑩ 障害基礎年金のみである

⑪ 障害厚生年金のみである

⑭ 存在しない

 

 

 

 

 

【解答】

<E> ⑪ 障害厚生年金のみである

ポイント!

 丙は、厚生年金保険の被保険者ですが、67歳で、かつ老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給権を有しているため、国民年金の第2号被保険者ではありません。

・障害厚生年金について

→「初診日」に、厚生年金保険の被保険者ですので、初診日要件を満たします。

・障害基礎年金について

 →「初診日」に国民年金の被保険者ではありませんので、初診日要件を満たしません。

・丙には、「障害厚生年金の受給権のみ」発生します。

 

YouTubeはこちらからどうぞ!

→ https://youtu.be/6oBIq1Zo1Yg?si=dJl5BYUtsHr3syp_

社労士受験のあれこれ

令和7年選択式(健康保険法)から学ぶ

R8-010 9.03

R7年選択式は出産育児一時金・任意適用事業所の適用取消

 健康保険法の令和7年選択式は、「出産育児一時金の支給要件と額」、「任意適用事業所を適用事業所でなくするときの手続き」からの出題でした。

出産育児一時金の支給要件と額について

 

まず過去問からどうぞ!

①【R5年出題】

 令和541日以降、被保険者の被扶養者が産科医療補償制度に加入する医療機関等で医学的管理の下、妊娠週数22週以降に双子を出産した場合、家族出産育児一時金として、被保険者に対し100万円が支給される。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R5年出題】 〇

・ 出産育児一時金の額は、488,000円です。(令第36条)

・ なお、公益財団法人日本医療機能評価機構が運営する産科医療補償制度に加入する医療機関等の医学的管理下で、在胎週数22に達した日以後の出産がなされたことが認められた場合には、出産育児一時金等の額は12,000円を加算して50万円が支給されます。

・ 胎児数に応じて支給されますので、双児の場合は50万円×2100万円が支給されます。

(令和5.3.30保保発03308)

 

 

 

②【H21年出題】

 出産育児一時金又は家族出産育児一時金は、妊娠85日以後の出産であれば、生産、死産、流産(人工妊娠中絶を含む。)又は早産を問わず、支給される。

 

 

 

 

【解答】

②【H21年出題】 〇

 出産育児一時金又は家族出産育児一時金は、「妊娠4か月以上(85日以後)」の出産が対象です。

1か月を28日で計算しますので、4か月目に入った日は、28日×3+1日=85日目となります。

(昭3.3.16保発第11号、昭27.6.16保文発2427号)

 

 

では、令和7年の選択式をどうぞ!

【R7年選択式】 

被保険者が出産したときは、出産育児一時金として、政令で定める金額が支給される。政令で定める金額は、< A >円である。ただし、病院、診療所、助産所その他の者であって、所定の要件のいずれにも該当する出産であると保険者が認めるときは、  < A >円に、< B >万円を超えない範囲内で保険者が定める金額を加算した金額である。出産育児一時金は、妊娠4か月(< C >日)以上の出産であれば、早産、死産、流産、人工妊娠中絶であっても支給される。

<選択肢>

① 1  ② 2  ④ 3  ⑧ 5

⑨ 84  ⑩ 85  ⑪ 86  ⑫ 87

⑬ 468,000  ⑭ 478,000  ⑮ 488,000  ⑯ 498,000

 

 

 

 

 

 

【解答】

<A> ⑮ 488,000

<B> ④ 3

<C> ⑩ 85

 

 

任意適用事業所の脱退について

 「任意適用事業所」は、脱退することができます。

まず、過去問をどうぞ!

①【H26年出題】

 任意適用事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所でなくすることができる。事業主がこの申請を行うときは、健康保険任意適用取消申請書に、被保険者の3分の2以上の同意を得たことを証する書類を添付しなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H26年出題】 ×

 任意適用事業所の事業主が適用事業所でなくするための認可の申請を行うときは、当該事業所に使用される者(被保険者である者に限る)4分の3以上の同意が必要です。

 健康保険任意適用取消申請書に、被保険者の「3分の2」ではなく「4分の3」以上の同意を得たことを証する書類を添付しなければなりません。

(則第22条第2項)

 

 

②【H28年出題】

 任意適用事業所に使用される者(被保険者である者に限る。)の4分の3以上が事業主に対して任意適用取消しの申請を求めた場合には、事業主は当該申請を厚生労働大臣に対して行わなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H28年出題】 ×

 任意適用事業所に使用される者(被保険者である者に限る。)の4分の3以上が事業主に対して任意適用取消しの申請を求めたとしても、事業主は当該申請を厚生労働大臣に対して行う義務はありません。

 

 

令和7年の選択式をどうぞ!

 【R7年選択式】

健康保険法第31条第1項の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所でなくすることができる。認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(被保険者である者に限る。)< D >以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。認可の申請は、事業主の氏名及び住所並びに事業所の名称及び所在地を記載した申請書を< E >等に提出することによって行う。この申請書には、被保険者の同意を得たことを証する書類を添付しなければならない。

<選択肢>

② 2分の1  ⑤ 3分の1  ⑥ 3分の2  ⑦ 4分の3

⑰ 社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会

⑱ 社会保険診療報酬支払基金又は地方校正局長

⑲ 日本年金機構又は国民健康保険団体連合会

⑳ 日本年金機構又は地方厚生局長

 

 

 

 

 

【解答】

<D> ⑦ 4分の3

<E> ⑳ 日本年金機構又は地方厚生局長

(則第22条)

 

YouTubeはこちらからどうぞ!

→ https://youtu.be/hxWy9Ag1QZU?si=qIfnd6fPEPN45bt_

社労士受験のあれこれ

令和7年選択式(社会保険に関する一般常識)から学ぶ

R8-009 9.02

国年保険料納付状況・高齢者医療確保法・介護保険法・確定給付企業年金法・白書

 社会保険に関する一般常識の選択式については、令和7年は、5つのテーマから出題されています。

 

 順番にみていきましょう

R7年選択式】

 厚生労働省から令和66月に公表された「令和5年度の国民年金の加入・保険料納付状況」によると、第1号被保険者の国民年金保険料の納付状況についてみると、令和5年度の最終納付率(令和3年度分保険料)は、< A >%となっている。

<選択肢>

① 53.1  ② 68.1  ③ 83.1  ④ 98.1

 

 

 

 

 

【解答】

A> ③ 83.1

 今回の問題は、「令和5年度の国民年金の加入・保険料納付状況」ですが、令和76月に「令和6年度の国民年金の加入・保険料納付状況」が公表されていますので、最新のデータを読んでみます。

「令和6年度の国民年金の加入・保険料納付状況」のポイント!

・第1号被保険者の令和6年度の最終納付率(令和4年度分保険料)は、84.5%となっています。前年度から1.5ポイント増加し、平成24年度の最終納付率(平成22年度分保険料)64.5%から20.0 ポイント増加し、12年連続で上昇しています。

・平成221月に発足した日本年金機構では、発足当初60%台であった最終納付率について、80%台の安定的確保とその持続的向上を目指して取組を実施した結果、最高値を更新しています。(3年連続で80%台)

 

解き方のヒントについて

 国民年金の保険料を納付しやすい取り組みが様々行われていること(口座振替やコンビニ納付など)で、納付率を考えてみるとよいと思います。

 

 

R7年選択式】

 高齢者医療確保法第4条第1項では、「< B >は、この法律の趣旨を尊重し、住民の高齢期における医療に要する費用の適正化を図るための取組及び高齢者医療制度の運営が適切かつ円滑に行われるよう所要の施策を実施しなければならない。」と規定している。

<選択肢>

⑥ 国  ⑦ 後期高齢者医療広域連合  ⑮ 地方公共団体  ⑳ 保険者

 

 

 

 

 

【解答】

B> ⑮ 地方公共団体

 高齢者医療確保法では、「国の責務」、「地方公共団体の責務」、「保険者の責務」、「医療の担い手等の責務」が定められています。

 「国」の責務のキーワードは、「国民の高齢期における医療」、「関連施策を積極的に推進しなければならない。」です。(第3条)

「地方公共団体の責務」のキーワードは、「住民の高齢期における医療」、「所要の施策を実施しなければならない。」です。(第4条)

「保険者」の責務のキーワードは、「加入者の高齢期における健康の保持」、「高齢者医療制度の運営が健全かつ円滑に実施されるよう協力しなければならない。」です。(法第5条)

 なお、「後期高齢者医療広域連合」は、後期高齢者医療の事務を処理するために、設けられたものです。

 

 

R7年選択式】

 介護保険法第2条第2項では、「前項の保険給付は、要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資するよう行われるとともに、< C >に十分配慮して行われなければならない。」と規定している。 

<選択肢>

⑤ 医療との連携   ⑫ 事業者又は施設との連携   ⑱ 被保険者の心身の状況

⑲ 被保険者の自立した日常生活

 

 

 

 

 

【解答】

C> ⑤ 医療との連携

★介護保険法第2条第2項は、平成20年に択一式でも出題されています。

 介護保険法の総則の部分は毎年のように出題されていますので、択一式でも選択式でも対応できるようにしましょう。

 

 

R7年選択式】

 確定給付企業年金法第60条第2項では、「< D >は、当該事業年度の末日における給付に要する費用の額の予想額の現価から掛金収入の額の予想額の現価を控除した額を基準として、厚生労働省令で定めるところにより算定した額とする。」と規定している。

<選択肢>

⑧ 最低積立基準額  ⑭ 責任準備金の額  ⑯ 積立金の額  ⑰ 積立上限額

 

 

 

 

 

【解答】

D> ⑭ 責任準備金の額

用語の定義を確認しましょう。

法第59条 (積立金の積立て)

 事業主等は、毎事業年度の末日において、給付に充てるべき積立金(以下「積立金」という。)を積み立てなければならない。

法第60条 (積立金の額)

① 積立金の額は、加入者及び加入者であった者(以下「加入者等」という。)に係る次項に規定する責任準備金の額及び第3項に規定する最低積立基準額下回らない額でなければならない。

② 責任準備金の額は、当該事業年度の末日における給付に要する費用の額の予想額の現価から掛金収入の額の予想額の現価を控除した額を基準として、厚生労働省令で定めるところにより算定した額とする。

③ 最低積立基準額は、加入者等の当該事業年度の末日までの加入者期間に係る給付として政令で定める基準に従い規約で定めるものに要する費用の額の予想額を計算し、これらの予想額の合計額の現価として厚生労働省令で定めるところにより算定した額とする。

 

■責任準備金は、「今後とも年金制度を継続するとした場合に現在保有しておくべき積立金」です。(継続基準といいます)

■最低積立基準額は、「現時点で年金制度を終了させるとした場合に加入者等の給付を賄うことのできる積立金」です。(非継続基準といいます)

(参考 厚生労働省「確定給付企業年金の積立基準について」)

 

 

R7年選択式】

 令和6年版厚生労働白書によると、「多様化する国民の老後生活に対するニーズに対応しつつ、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るためには、老後生活の基本を支える公的年金に加え、企業年金・個人年金の充実が重要である。私的年金制度については、「< E >」(令和4(2022)年1128日新しい資本主義実現会議決定)において、①iDeCoの加入可能年齢を70歳に引き上げること、②iDeCoの拠出限度額の引上げ等について、2024年の公的年金の財政検証に併せて結論を得ること、③iDeCo各種手続きの簡素化等を行うこととされた」とある。

<選択肢>

⑨ 資産所得倍増プラン  ⑩ 生涯現役計画  ⑪ 所得倍増プラン

⑬ 人生100年計画

 

 

 

 

 

【解答】

E> ⑨ 資産所得倍増プラン

(令和6年厚生労働白書)

 

YouTubeはこちらからどうぞ!

→ https://youtu.be/eMBhq8tmVoc?si=ymnnqGpnGho7y7dO

社労士受験のあれこれ

令和7年選択式(労働に関する一般常識)から学ぶ

R8-008 9.01

統計からみた我が国の高齢者、パワハラ定義、最高裁判例

 令和7年の労働に関する一般常識の選択式から学ぶことは、「問題文の中からヒントを探し出す」ことです。

 

 

統計からみた我が国の高齢者

①【R7年選択式】

 総務省「統計からみた我が国の高齢者(統計トピックス№142)(令和6915日)」によれば、65歳以上の就業者を主な産業別にみると、「卸売業,小売業」が132万人と最も多く、次いで「< A >」が107万人で続いている。

 産業別に65歳以上の就業者を10年前と比較すると、「< A >」が63万人増加し、10年前の約2.4倍となった。ほとんどの主な産業で65歳以上の就業者が増加している一方で、「< B >」の65歳以上の就業者は10年前と比較して3万人減少している。なお、各産業の就業者に占める65歳以上の就業者の割合をみると、    「< B >」が52.9%と最も高くなっている。

<選択肢>

② 医療、福祉  ③ 運輸業、郵便業  ⑩ 建設業  ⑬ 宿泊業、飲食サービス業  ⑭ 生活関連サービス業、娯楽業  ⑮ 製造業  ⑰ 農業、林業

⑱ 不動産業、物品賃貸業

 

 

 

 

 

 

【解答】

A> ② 医療、福祉

B> ⑰ 農業、林業

(総務省「統計からみた我が国の高齢者(統計トピックス№142)(令和6915日)」)

★こんなふうに考えてみるのはどうでしょう

A>について

 ヒントは「10年前の約2.4倍となった」の部分です。

 高齢化が進む中で就業者が増えるといえば、「医療、福祉」でしょうか。。。

B>について

 「統計からみた我が国の高齢者」を読みますと、「ほとんどの主な産業で65歳以上の就業者が増加している一方で、「農業,林業」の65歳以上の就業者は10年前と比較して3万人減少しています。

 なお、各産業の就業者に占める65歳以上の就業者の割合をみると、「農業,林業」が52.9%と最も高く、次いで「不動産業,物品賃貸業」が26.6%、「サービス業(他に分類されないもの)」が22.7%、「生活関連サービス業,娯楽業」が19.6%などとなっています。」となっています。

 ヒントも見つけにくく、ちょっと難しいですね。。。

 

 

 

パワハラの定義について

②【R7年選択式】

 労働施策総合推進法第30条の2第1項は、「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、< C >によりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」と定めている。

<選択肢>

⑤ 客観的に合理的な理由を欠いたもの

⑥ 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

⑯ 通常甘受すべき程度を著しく超えるもの

⑳ 労働関係の当事者としての権利を濫用するもの

 

 

 

 

 

【解答】

<C> ⑥ 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

★職場におけるパワハラは次の3つの要素をすべて満たしたものです。

① 優越的な関係を背景とした言動

② 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動

③ 労働者の就業環境が害される

★客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、パワハラに該当しません。

 

過去問も解いてみましょう

【R3年出題】

 労働施策総合推進法第30条の2第1項の「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」とする規定が、令和2年6月1日に施行されたが、同項の事業主のうち、同法の附則で定める中小事業主については、令和4331日まで当該義務規定の適用が猶予されており、その間、当該中小事業主には、当該措置の努力義務が課せられている。

 

 

 

 

 

【解答】

【R3年出題】 〇

 「職場におけるパワーハラスメント対策」が大企業に対して義務化されたのは、令和2年6月1日からです。また、中小企業に対しては、令和4年4月1日から義務化されています。

 

 

最高裁判例について

③【R7年選択式】

 最高裁判所は、使用者が労働組合に対し組合集会等のための従業員食堂の使用を許諾しない状態が続いていることをもって不当労働行為に当たるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。

 「組合結成通知を受けてからX守衛事件まで約9か月にわたり、上告人〔会社〕は、許可願の提出があれば業務に支障のない限り食堂の使用を許可していたというのであるが、そのことから直ちに上告人が組合に対し食堂の使用につき包括的に許諾をしていたものということはできず、その取扱いを変更することが許されなくなるものではない。一方、X守衛事件が起きた直後に上告人から会場使用許可願を却下されて以来、組合は、上告人所定の会場使用許可願用紙を勝手に書き変えた使用届を提出するだけで、上告人の許可なく食堂を使用するようになり、こうした無許可使用を上告人が食堂に施錠するようになるまで5か月近く続けていたのであって、これが上告人の< D >権を無視するものであり、正当な組合活動に当たらないことはいうまでもない。上告人は、組合に対し、所定の会場使用許可願を提出すること、上部団体の役員以外の外部者の入場は総務部長の許可を得ること、排他的使用をしないことを条件に、支障のない限り、組合大会開催のため食堂の使用を許可することを提案しているのであって、このような提案は、< D >者の立場からは合理的理由のあるものであり、許可する集会の範囲が限定的であるとしても、組合の拒否を見越して形式的な提案をしたにすぎないということはできない。また、上告人は組合に対し使用を拒む正当な理由がない限り食堂を使用させることとし、外部者の入場は制限すべきではないなどとする組合からの提案も、上告人の< D >権を過少に評価し、あたかも組合に食堂の利用権限があることを前提とするかのような提案であって、組合による無許可使用の繰り返しの事実を併せ考えるならば、上告人の< D >権を無視した要求であると上告人が受け止めたことは無理からぬところである。そうすると、上告人が、X守衛事件を契機として、従前の取扱いを変更し、その後、食堂使用について< D >権を前提とした合理的な準則を定立しようとして、上告人の< D >権を無視する組合に対し使用を拒否し、使用条件について合意が成立しない結果、自己の見解を維持する組合に対し食堂を使用させない状態が続いたことも、やむを得ないものというべきである。

 以上によれば、本件で問題となっている施設が食堂であって、組合がそれを使用することによる上告人の業務上の支障が一般的に大きいとはいえないこと、組合事務所の貸与を受けていないことから食堂の使用を認められないと企業内での組合活動が困難となること、上告人が労働委員会の勧告を拒否したことなどの事情を考慮してもなお、条件が折り合わないまま、上告人が組合又はその組合員に対し食堂の使用を許諾しない状態が続いていることをもって、上告人の権利の濫用であると認めるべき特段の事情があるとはいえず、< E >であるとも断じ得ないから、上告人の食堂使用の拒否が不当労働行為に当たるということはできない。」

<選択肢>

④ 管理監督  ⑪ 指揮命令  ⑫ 施設管理  ⑲ 利用許諾

① いたずらに組合秩序を混乱させようとしたもの

⑦ 組合に対する報復行為を行ったもの

⑧ 組合の施設利用権限を不利益に変更したもの

⑨ 組合の弱体化を図ろうとしたもの 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【R7年選択式】

<D> ⑫ 施設管理

<E> ⑨ 組合の弱体化を図ろうとしたもの

(オリエンタルモーター事件・平成7.9.8最高裁判所第二小法廷)

★「使用者が労働組合に対し組合集会等のための従業員食堂の使用を許諾しない状態が続いていることをもって不当労働行為に当たるということはできない」とされた事例です。

<D>について

 「食堂の使用を許諾しない」をヒントにすると、食堂=施設ですので、「施設管理」がピッタリ当てはまります。業務命令の話ではないので、「管理監督」、「指揮命令」は候補から外すことができると思います。

<E>について

 「報復行為」ではありませんし、「不利益に変更」でもありませんし、「秩序を混乱させよう」でもありません。「弱体化を図ろうとした」が当てはまります。

 

YouTubeはこちらからどうぞ!

→ https://youtu.be/rfNhrv_OStU?si=X4tplmlxoktGkSST

社労士受験のあれこれ

毎週日曜日はYouTube総集編です!

R8-007 8.31

【毎日コツコツ社労士受験】総集編(令和7年8月第4週)

毎週日曜日は総集編をお届けします。

今回は、令和7年8月27日から30日までの動画の総集編です。

まとめて見ることができますので、ご活用ください。

 (R7年選択)労基法第114条付加金の支払(労働基準法)

 (R7年選択)「今後における労働衛生対策の推進に関する基本方針について」と「機械等に関する規制」(労働安全衛生法)

・(R7年選択式) 遺族補償年金の遺族の障害要件と社会復帰促進等事業(労災保険法)」

(R7年選択式)目的、高年齢求職者給付金、日雇労働求職者給付金(雇用保険法)

 

YouTubeはこちらからどうぞ!

→ https://youtu.be/u0DN90pYBeE?si=m8FrpwTy15CQ3pSi

社労士受験のあれこれ

令和7年選択式(雇用保険法)から学ぶ

R8-006 8.30

目的、高年齢求職者給付金、日雇労働求職者給付金

 令和7年の雇用保険法の選択式は、「目的」、「高年齢求職者給付金」、「日雇労働求職者給付金」から出題されています。

令和7年の雇用保険法の選択式から学ぶことは?

・目的条文は必須です!

・同じ論点が繰り返し出題されます!

 

目的条文について

①【R7年選択式】

 雇用保険法第1条は、「雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合< A >をした場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、< B >、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。」と規定している。

<選択肢>

① 及び労働者が子を養育するための休業

② 並びに労働者が子を養育するための休業及び所定労働時間を短縮することによる就業

③ 並びに労働者が子を養育するための休業及び対象家族を介護するための休業

④ 並びに労働者が子を養育する若しくは対象家族を介護するための休業及び所定労働時間を短縮することによる就業

⑤ 経済的社会的地位の向上   ⑥ 産業に必要な労働力の充足

⑦ 失業の予防  ⑧ 転職の支援

 

 

 

 

 

【解答】

A> ② 並びに労働者が子を養育するための休業及び所定労働時間を短縮することによる就業

B> ⑦ 失業の予防 

A>について

★令和74月の改正箇所からの出題です。

雇用保険には、「失業等給付」と「育児休業等給付」があります。

A>は「育児休業等給付」をあらわす用語が入ります。

「育児休業等給付」の内容を下の図で確認しましょう

改正で追加された部分からの出題でした。

 

 

高年齢求職者給付金について

令和7年の選択式をどうぞ!

②【R7年選択式】

 雇用保険法第37条の4第5項は、「高年齢求職者給付金の支給を受けようとする高年齢受給資格者は、離職の日の翌日から起算して< C >を経過する日までに、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭し、< D >、失業していることについての認定を受けなければならない。」と規定している。

<選択肢>

① 1か月  ② 4か月  ③ 6か月  ④ 1

⑤ 求職の申込みをした上   

⑥ 高年齢受給資格者失業認定申告書を提出した上

⑦ 雇用保険被保険者証を提出した上

⑧ 退職証明書を提出した上

 

 

 

 

 

【解答】

C> ④ 1

D> ⑤ 求職の申込みをした上

★ちなみに

C>について

 「1年」は平成21年の選択式でも出題されています。特例一時金の「6か月」とひっかけて出題される個所です。

D>について

 「被保険者証を提出する場面ではない」、「失業認定申告書は失業の認定日に提出するもの」というように、消去法で考えればOKです。

 

 

日雇労働求職者給付金について

 日雇労働求職者給付金には、「普通給付」と「特例給付」があり、今回は「特例給付」の受給要件からの出題です。

まず過去問からどうぞ!

H23年選択式】

 日雇労働被保険者が失業した場合に支給される日雇労働求職者給付金には、いわゆる普通給付と特例給付の2つがあり、特例給付を受給するためには、当該日雇労働被保険者について、継続する< A >月間に、印紙保険料が各月11日分以上納付され、かつ、通算でも一定の日数分以上納付されていることが必要である。

 

 

 

 

 

【解答】

H23年選択式】

A> 6

 

 

では、令和7年の選択式をどうぞ!

③【R7年選択式】

 雇用保険法第53条第1項は、日雇労働被保険者が失業した場合に日雇労働求職者給付金の支給を受けるための要件の1つとして、継続する6月間に当該日雇労働被保険者について印紙保険料が各月11日分以上、かつ、通算して< E >分以上納付されていることを定めている。

<選択肢>

① 72日   ② 78日   ③ 84日   ④ 90

 

 

 

 

 

【解答】

E> ② 78

 

YouTubeはこちらからどうぞ!

→ https://youtu.be/syTkD9Q7q7c?si=SV2Ne4L7suFdOSpO

社労士受験のあれこれ

令和7年選択式(労災保険法)から学ぶ

R8-005 8.29

遺族補償年金の遺族の障害要件と社会復帰促進等事業

 令和7年の選択式で出題された「遺族補償年金の遺族の障害要件」と「社会復帰促進等事業」をみていきましょう。

 

 

遺族補償年金の遺族の障害要件について

 遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の「配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹」で、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものです。

 ただし、「妻」以外は、労働者の死亡の当時「年齢要件」か「障害要件」を満たしていることが必要です。

 

「障害要件」は、過去に出題されています。

過去問をどうぞ!

H19年出題】

 遺族補償年金又は遺族年金の受給資格要件の一つである厚生労働省令で定める障害の状態は、身体に障害等級第5級以上に該当する障害がある状態又は傷病が治らないで、身体の機能若しくは精神に、労働が高度の制限を受けるか、若しくは労働に高度の制限を加えることを必要とする程度以上の障害がある状態である。

 

 

 

 

 

【解答】

H19年出題】 〇

 遺族の要件の一つである「厚生労働省令で定める障害の状態」のポイントは、「第5級以上」、「労働が高度の制限を受ける」の部分です。

なお、この規定は、複数事業労働者遺族年金にも準用されます。

(則第15条)

 

 

では、令和7年の問題をどうぞ!

R7年選択式】

 遺族補償年金を受けることができる、障害の状態にある遺族の障害の状態について、労災保険法施行規則第15条は、「障害の状態は、身体に別表第1の障害等級の   < A >に該当する障害がある状態又は負傷若しくは疾病が治らないで、身体の機能若しくは精神に、< B >が高度の制限を受けるか、若しくは< B >に高度の制限を加えることを必要とする程度以上の障害がある状態とする。」と定めている。

<選択肢>

① 第1級  ② 第5級以上  ③ 第8級以上  ④ 第12級以上

⑤ 日常生活  ⑥ 日常生活又は社会生活  ⑦ 労働  ⑧ 労働又は社会生活

 

 

 

 

 

【解答】

R7年選択式】

A> ② 第5級以上

B> ⑦ 労働

 

 

「社会復帰促進等事業」について

 「長期家族介護者援護金」と「判例」からの出題です。

 

ヒントになる過去問を解いてみましょう

①【H22年出題】

 特別支給金の支給は、社会復帰促進等事業として行われるものであるが、その事務は所轄労働基準監督署長が行う。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H22年出題】 〇

 特別支給金の支給の事務は所轄労働基準監督署長が行います。

 条文を読んでみましょう。

則第1条第3

 労働者災害補償保険等関係事務のうち、保険給付(二次健康診断等給付を除く)並びに社会復帰促進等事業のうち労災就学等援護費及び特別支給金の支給並びに厚生労働省労働基準局長が定める給付に関する事務は、都道府県労働局長の指揮監督を受けて、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)が行う。ただし、次の各号に掲げる場合は、当該各号に定める者を所轄労働基準監督署長とする。

1) 事業場が2以上の労働基準監督署の管轄区域にまたがる場合 その事業の主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署長

2) 当該労働者災害補償保険等関係事務が複数業務要因災害に関するものである場合 生計維持事業の主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署長

 

 

②【H29年出題】

 労働基準監督署長の行う労災就学援護費の支給又は不支給の決定は、法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使とはいえず、被災労働者又はその遺族の権利に直接影響を及ぼす法的効果を有するものではないから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとするのが、最高裁判所の判例の趣旨である。

 

 

 

 

【解答】

②【H29年出題】 ×

 労働基準監督署長の行う労災就学援護費の支給又は不支給の決定は、法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使であり、被災労働者又はその遺族の権利に直接影響を及ぼす法的効果を有するものであるから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとするのが、最高裁判所の判例の趣旨です。

15.9.4最高裁判所第一小法廷 中央労基署長(労災就学援護費)事件)

 

 

では、令和7年の問題をどうぞ!

R7年選択式】

 労災保険法施行規則第36条第1項は、「長期家族介護者援護金は、別表第1の障害等級第1級若しくは第2級の障害補償年金、複数事業労働者障害年金若しくは障害年金又は別表第2の傷病等級第1級若しくは第2級の傷病補償年金、複数事業労働者傷病年金若しくは傷病年金を受けていた期間が< A >以上である者の遺族のうち、支援が必要な者として厚生労働省労働基準局長が定める要件を満たす者に対して、支給するものとする。」と規定している。

<選択肢>

① 3年  ② 5年  ③ 7年  ④ 10

 

 

 

 

 

【解答】

<A> ④ 10

★「長期家族介護者援護金」の内容まで暗記するのは大変です。

 過去問でもカバーできません。

 「長期」をヒントに考えると、「10年かな?」と考えられると思いますが、難しいです。

 

 

【R7年選択式】

 最高裁判所は、労災就学援護費不支給決定が抗告訴訟の対象となるかが問題となった事件において、次のように判示した。

 「労災就学援護費に関する制度の仕組みにかんがみれば、〔労災保険〕法は,労働者が業務災害等を被った場合に、政府が、〔労災保険〕法第3章の規定に基づいて行う保険給付を< A  >するために、労働福祉事業〔現・社会復帰促進等事業〕として、保険給付と同様の手続により、被災労働者又はその遺族に対して労災就学援護費を支給することができる旨を規定しているものと解するのが相当である。そして、被災労働者又はその遺族は、上記のとおり、所定の支給要件を具備するときは所定額の労災就学援護費の支給を受けることができるという抽象的な地位を与えられているが,具体的に支給を受けるためには,< B >に申請し、所定の支給要件を具備していることの確認を受けなければならず、< B >の支給決定によって初めて具体的な労災就学援護費の支給請求権を取得するものといわなければならない。

そうすると、< B >の行う労災就学援護費の支給又は不支給の決定は、〔労災保険〕法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使であり、被災労働者又はその遺族の上記権利に直接影響を及ぼす法的効果を有するものであるから,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるものと解するのが相当である。」

<選択肢>

① 確保  ② 代替  ③ 補完  ④ 付加

⑤ 厚生労働大臣  ⑥ 都道府県労働局長  ⑦ 労働基準監督署長

⑧ 労働者災害補償保険審査官

 

 

 

 

 

 

【解答】

<A> ③ 補完

<B> ⑦ 労働基準監督署長

15.9.4最高裁判所第一小法廷 中央労基署長(労災就学援護費)事件)

 判例を一字一句覚える必要はありませんが、文脈でヒントを探してみましょう

<A>について

 法第2条の2で、「労働者災害補償保険は、第1条の目的を達成するため、業務上の事由、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に関して保険給付を行うほか、社会復帰促進等事業を行うことができる。」と定められています。

 主たる事業は「保険給付」で、「社会復帰促進等事業」は附帯する事業として行うことができるという位置づけです。

 試しに、選択肢を入れてみると、「保険給付を確保するため」、「保険給付を代替するため」、「保険給付を付加するため」、どれも社会復帰促進等事業の説明としてはしっくりきません。「補完」を入れると、「保険給付を補完するため」となり、ぴったりします。

B>について

 先ほどの条文で読みましたように、所轄労働基準監督署長は、「保険給付(二次健康診断等給付を除く。)並びに社会復帰促進等事業のうち労災就学等援護費及び特別支給金の支給並びに厚生労働省労働基準局長が定める給付に関する事務」を行います。

 その条文から、「労働基準監督署長」を選ぶことができますが、問題文の中に「保険給付と同様の手続により、被災労働者又はその遺族に対して労災就学援護費を支給することができる旨を規定している」もヒントになります。「保険給付と同様の手続」という部分で、「労働基準監督署長」を選ぶことができます。

 

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社労士受験のあれこれ

令和7年選択式(労働安全衛生法)から学ぶ

R8-004 8.28

「今後における労働衛生対策の推進に関する基本方針について」と「機械等に関する規制」(労働安全衛生法)

 令和7年の労働安全衛生法の選択式は、「今後における労働衛生対策の推進に関する基本方針について」、「機械等に関する規制」から出題されました。

 

について

 「今後における労働衛生対策の推進に関する基本方針について」の「基本的な考え方」からの出題でした。

 

平成29年の選択式が参考になります。

問題を見てみましょう。

H29年選択式】

 労働安全衛生法第65条の3は、いわゆる労働衛生の3管理の一つである作業管理について、「事業者は、労働者の< A >に配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理するように努めなければならない。」と定めている。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年選択式】

<A>  健康

 労働安全衛生法第65条の3は、いわゆる労働衛生の3管理の一つである作業管理について、「事業者は、労働者の健康に配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理するように努めなければならない。」と定めている。

★ちなみに、労働衛生の3管理とは、「作業環境管理」、「作業管理」、「健康管理」です。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 令和7年の問題については、問題文の中の、「労働衛生管理活動」、「作業環境管理」、「健康管理」がヒントになります。

 では、令和7年の選択式をみてみましょう。

R7年選択式】

 事業者は、労働安全衛生法第22条に基づき、健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならないが、事業場における自主的な労働衛生管理活動の促進を図るためには、総括安全衛生管理者、産業医、衛生管理者、衛生推進者等の選任及び職務の励行、衛生委員会の設置及び運営等の労働衛生管理体制の確立を基本とした上で、作業環境管理、< A >及び健康管理並びに労働衛生教育の総合的な実施の徹底を図っていく必要がある。

<選択肢>

① 作業管理  ② 生産管理  ③ 有害物管理  ④ 労働時間管理

 

 

 

 

 

【解答】

A> ① 作業管理

問題文のポイントは赤の部分です。

 事業者は、労働安全衛生法第22条に基づき、健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならないが、事業場における自主的な労働衛生管理活動の促進を図るためには、総括安全衛生管理者、産業医、衛生管理者、衛生推進者等の選任及び職務の励行、衛生委員会の設置及び運営等の労働衛生管理体制の確立を基本とした上で、作業環境管理< A >及び健康管理並びに労働衛生教育の総合的な実施の徹底を図っていく必要がある。

★労働衛生の3管理のうち、「作業環境管理」と「健康管理」が出ていますので、残りの一つの「作業管理」が入ります。

 

今後における労働衛生対策の推進に関する基本方針について(26.2.17基発02177)

 

 

について

 「譲渡等の制限等」からの出題です。

 今回は、第42条からの出題でしたが、平成22年には、第43条から選択問題が出題されています。

H22年選択式をどうぞ!

H22年選択式】

 労働安全衛生法第43条においては、「動力により駆動される機械等で、作動部分上の < A >又は動力伝導部分若しくは調速部分に厚生労働省令で定める防護のための措置が施されていないものは、譲渡し、貸与し、又は譲渡若しくは貸与の目的で  < B >してはならない。

 

 

 

 

 

【解答】

H22年選択式】

A> 突起物

B> 展示

 

 

では、令和7年の選択式をどうぞ!

R7年選択式】

 労働安全衛生法第42条は、「特定機械等以外の機械等で、別表第2に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、< A >、又は設置してはならない。」と定めている。

<選択肢>

① 譲渡し、貸与し  ② 譲渡し、展示し   ③ 販売し、賃貸し

④ 販売し、販売のために展示し

 

 

 

 

 

【解答】

R7年選択式】

A> ① 譲渡し、貸与し

 

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社労士受験のあれこれ

令和7年選択式(労働基準法)から学ぶ

R8-003 8.27

労基法第114条付加金の支払

令和7年度の労働基準法の選択式は、3つの穴埋めのうち、2つは第114条(付加金の支払)から、1つは判例から出題されました。

 

「付加金の支払」について、令和7年の選択式のポイントは

・付加金の支払を命ずるのは誰?

・「付加金」の名称そのもの

でした。

 

 ちなみに、過去には、「付加金」を請求できる4つの場合が出題されています。

 

条文を読んでみましょう。

114条 (付加金の支払)

裁判所は、第20条(解雇予告手当)、第26条(休業手当)若しくは第37条(割増賃金)の規定に違反した使用者又は第39条第9項(年次有給休暇の期間又は時間)の規定による賃金を支払わなかった使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあった時から5年(当分の間3年)以内にしなければならない。

 

・付加金の対象になるのは

①解雇予告手当を支払わない

②休業手当を支払わない

③割増賃金を支払わない

④年次有給休暇の期間又は時間の賃金を支払わない

の4つの場合です。

 

・付加金の額は、

 使用者が支払わなければならない未払金の額と「同一額」です。

 

過去問をどうぞ!

H24年出題】※改正による修正あり

 裁判所は、労働基準法第20条(解雇予告手当)、第26条(休業手当)若しくは第37条(割増賃金)の規定に違反した使用者又は第39条第9項の規定による賃金(年次有給休暇の期間又は時間の賃金)を支払わなかった使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができることとされているが、この付加金の支払に関する規定は、同法第24条第1項に規定する賃金の全額払の義務に違反して賃金を支払わなかった使用者に対しては適用されない。

 

 

 

 

 

【解答】

H24年出題】 〇

 付加金の支払は、「解雇予告手当」、「休業手当」、「割増賃金」、「年次有給休暇の期間又は時間の賃金」の4つを支払わない場合に適用されます。

 「賃金の全額払の義務に違反して賃金を支払わなかった」場合は、適用されません。

 

 

令和7年の選択式をどうぞ!

 労働基準法第114条は、< A >は、同法第37条の規定に違反した使用者に対して、労働者の請求により、同条の規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の< B >の支払を命ずることができる旨規定している。

【選択肢】

① 厚生労働大臣  ② 裁判所   ③ 都道府県労働局長  

④ 労働基準監督署長

⑤ 慰謝料  ⑥ 遅延損害金  ⑦ 賠償金  ⑧ 付加金

 

 

 

 

 

【解答】

A> ② 裁判所

B> ⑧ 付加金

 

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社労士受験のあれこれ

YouTube総集編です

R8-002 8.26

【毎日コツコツ社労士受験】総集編(令和7年8月第3週)

毎週日曜日(今回は例外で火曜日です)は総集編をお届けします。

今回は、令和7年8月18日から24日までの動画の総集編です。

まとめて見ることができますので、ご活用ください。

<横断編>賃金の定義を確認しましょう(労基・雇用・徴収)

短時間労働者が被保険者になる条件のポイント!<健保・厚年>

<横断編>書類の保存期間を確認しましょう 「安衛・労災・雇用・徴収・健保・厚年」

意外と問われる社会保険労務士法の数字(社会保険労務士法)

覚えたことは忘れない!「元方事業者」(労働安全衛生法)

本試験前に第1条を総ざらいしましょう!(穴埋め問題もあります)

いよいよ当日です!社一の第1条をチェックします

 

YouTubeはこちらからどうぞ!

→ https://youtu.be/KCLOvGKHdt8?si=N4d7ACbdmpWqJbym

社労士受験のあれこれ

令和7年の本試験終わりました

R8-001 8.25

昨日はお疲れさまでした

昨日はお疲れさまでした。

 

試験が終わって、お一人お一人、色々な思いがあると思います。

 

毎日、本当に忙しいですよね。

仕事もあるし、家のこともあるし、他にも気になることがたくさん。。。「時間が足りない」と思うことが多いと思います。

そんな中で、時間を作って社労士の勉強を続けて、本試験を受けた皆様、すごいです!

まずは、少し休憩して、勉強中に我慢してきたことを楽しんでくださいね。

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