R4-174
前回の続きです。
配偶者に支給する遺族基礎年金には、子の加算額がつきます。
子の数が増減すると遺族基礎年金の額も改定されます。
では、条文を読んでみましょう。
法第39条 ② 配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得した当時胎児であった子が生まれたときは、その子は、配偶者がその権利を取得した当時第37条の2第1項に規定する要件に該当し、かつ、その者と生計を同じくした子とみなし、その生まれた日の属する月の翌月から、遺族基礎年金の額を改定する。 |
遺族基礎年金が増額されるパターンです。
第37条の2第2項で、『被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が生まれたときは、将来に向かって、その子は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していたものとみなし、配偶者は、その者の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなす。』となっています。「将来に向かって」ですので、生まれたときから遺族の範囲に入ります。
『生まれた日の属する月の翌月』から、遺族基礎年金の額が増額改定されます。
では、次も読んでみましょう。
法第39条 ③ 配偶者に支給する遺族基礎年金については、子が2人以上ある場合であって、その子のうち1人を除いた子の1人又は2人以上が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、その該当するに至った日の属する月の翌月から、その該当するに至った子の数に応じて、年金額を改定する。 1 死亡したとき。 2 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき。 3 配偶者以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったとき。 4 離縁によって、死亡した被保険者又は被保険者であった者の子でなくなったとき。 5 配偶者と生計を同じくしなくなったとき。 6 18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき。ただし、障害等級に該当する障害の状態にあるときを除く。 7 障害等級に該当する障害の状態にある子について、その事情がやんだとき。ただし、その子が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときを除く。 8 20歳に達したとき。 |
配偶者に対する遺族基礎年金が減額改定されるパターンです。
配偶者の遺族基礎年金には子の数に応じた加算額がつきます。
例えば、子が3人ある場合は、3人分の加算額として「224,700円×改定率+224,700円×改定率+74,900円×改定率」が加算されています。その後、子のうちの1人が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了し加算の要件に該当しなくなると、加算額は2人分の「224,700円×改定率+224,700円×改定率」に減額改定されます。
条文の「子が2人以上ある場合であって、その子のうち1人を除いた子の1人又は2人以上が・・・」の部分がポイントです。
配偶者の遺族基礎年金は子があることが条件です。例えば、子が1人のみで、その子が加算の要件に該当しなくなった場合は子がいなくなるので、遺族基礎年金は減額改定ではなく、失権します。
では、過去問をどうぞ!
①【H29年出題】
配偶者に支給する遺族基礎年金は、当該配偶者が、死亡した被保険者によって生計を維持されていなかった10歳の子と養子縁組をしたときは、当該子を養子とした日の属する月の翌月から年金額が改定される。
②【H25年出題】
妻が、1人の子と生計を同じくし遺族基礎年金を受給している場合に、当該子が障害の状態に該当しないまま18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときは、当該遺族基礎年金の受給権は消滅する。
【解答】
①【H29年出題】 ×
遺族基礎年金の対象になる遺族は、被保険者の死亡の当時、被保険者によって生計を維持していたことが条件です。
問題文のように、死亡した被保険者によって生計を維持されていなかった子と養子縁組をしても、遺族の範囲に入る「子」の要件に当てはまらないので、増額改定は行われません。
②【H25年出題】 〇
1人の子と生計を同じくしている妻の遺族基礎年金の額は、780,900円×改定率+224,700円×改定率です。その子が加算事由に該当しなくなると、生計を同じくしている子がいなくなるので、妻の遺族基礎年金の受給権は消滅します。
社労士受験のあれこれ
毎日コツコツYouTubeチャンネル
チャンネル登録よろしくお願いします