R4-184
遺族厚生年金の受給権は配偶者と子の両方に発生、しかし遺族基礎年金の受給権は子のみに発生する場合があります。
その場合の調整が今日のテーマです。
では、条文を読んでみましょう。
第66条 ② 配偶者に対する遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、配偶者が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、その支給を停止する。ただし、子に対する遺族厚生年金が次条(1年以上の所在不明)の規定によりその支給を停止されている間は、この限りでない。 |
☆この条文のシチュエーション
夫Aと妻Bの夫婦に子Cがいた。 しかし夫婦は離婚し、子Cは妻Bと生計を同じくし、夫Aは、Cの養育費を送金している。 その後、夫Aは、Dと再婚し、現在は、夫Aと妻Dが夫婦となっている。 |
そして厚生年金保険の被保険者である夫Aが死亡した場合、遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権はどうなるでしょうか?
・ 子Cについて → 死亡した被保険者(A)と生計維持関係が認められると、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の受給権が発生する
・ 元妻Bについて → 死亡したAとは夫婦ではないので、遺族年金の受給権は発生しない
・ 妻Dについて → 「遺族厚生年金」の受給権が発生する。しかし、死亡したA
の子(C)と生計を同じくしていないので遺族基礎年金の受給権は発生しない
条文に当てはめると、『配偶者(妻D)に対する遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者(夫A)の死亡について、配偶者(妻D)が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子(C)が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、その支給を停止する』となります。
配偶者(妻D)の遺族厚生年金は支給停止されます。
では、過去問をどうぞ!
【H26年出題】
被保険者の死亡により妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、妻の遺族厚生年金は、妻が遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって、子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、支給停止される。
※遺族基礎年金及び遺族厚生年金の受給権者の所在が明らかでない場合を考慮する必要はない。
【解答】
【H26年出題】 〇
冒頭のシチュエーションに当てはめて問題文を読んでみてください。
妻の遺族厚生年金は支給停止され、子に遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されます。
(法第66条第2項)
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