R4-209
就業規則は、その事業場の「法的規範」としての性質を有します。
「就業規則」の作成手続きや、届出について条文で確認しましょう。
第89条 (作成及び届出の義務) 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。 ※1~10まで記載事項がありますが、次回のテーマになりますので今回は省略します。
第90条 (作成の手続) ① 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。 ② 使用者は、届出をなすについて、①の意見を記した書面を添付しなければならない。 |
常時10人以上の労働者を使用している事業場では、就業規則を作成し届け出る義務があります。就業規則を変更した場合も同じです。
なお、「使用者は、常時10人以上の労働者を使用するに至った場合においては、遅滞なく、就業規則の届出を所轄労働基準監督署長にしなければならない」とされています。(則第49条)
また、作成、変更の場合は、過半数労働組合か、過半数労働組合がないときは労働者の過半数代表者の意見を聴かなければなりません。
では、過去問をどうぞ!
①【R1年出題】
労働基準法第89条に定める「常時10人以上の労働者」の算定において、1週間の所定労働時間が20時間未満の労働者は0.5人として換算するものとされている。
②【H25年出題】
派遣労働者に関して、労働基準法第89条により就業規則の作成義務を負うのは、派遣中の労働者とそれ以外の労働者とを合わせて常時10人以上の労働者を使用している派遣元の使用者である。
【解答】
①【R1年出題】 ×
1週間の所定労働時間が20時間未満の労働者も0.5人ではなく1人で数えます。
労働基準法では、「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」は労働者です。労働時間の長短は関係ありません。
なお、常時10人未満の労働者を使用する使用者には、就業規則の作成義務はありません。
②【H25年出題】 〇
派遣労働者に関して、就業規則の作成義務を負うのは、「派遣元」の使用者です。派遣中の労働者は雇用関係のある派遣元の人数に入ります。
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③【H20年出題】
就業規則を作成又は変更するに当たっては、使用者は、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない。
④【H21年出題】
使用者は、就業規則の作成だけでなく、その変更についても、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
⑤【H27年出題】
労働基準法第90条第1項が、就業規則の作成又は変更について、当該事業場の過半数労働組合、それがない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴くことを使用者に義務づけた趣旨は、使用者が一方的に作成・変更しうる就業規則に労働者の団体的意思を反映させ、就業規則を合理的なものにしようとすることにある。
【解答】
③【H20年出題】 ×
「同意を得なければならない」ではなく、「意見を聴かなければならない」です。
「同意を得るとか協議をするとかいうことまで要求しているものではない」とされていて、就業規則についての意見を聴けば労働基準法違反とならないという趣旨です。
(昭25.3.15基収第525号)
④【H21年出題】 〇
就業規則の作成のみならず、変更についても、意見聴取が必要です。
⑤【H27年出題】 〇
「労働協約」は労使の団体交渉で締結されますが、就業規則は、使用者が一方的に作成・変更することができます。
しかし、労働者が全く知らないままに就業規則の作成、変更が行われるのも問題です。
意見聴取を義務づけているのは、就業規則に労働者の団体的意見を反映させ、就業規則を合理的なものにするためです。
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