R6-003
令和5年度の選択式を振り返ります。
今日は労働基準法です。
Aは時効の問題です。
条文を読んでみましょう。
第115条 (時効) この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から5年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から2年間行わない場合においては、時効によって消滅する。 附則第143条第3項 当分の間、「賃金の請求権はこれを行使することができる時から5年間」とあるのは、「退職手当の請求権はこれを行使することができる時から5年間、この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)の請求権はこれを行使することができる時から3年間」とする。 |
★労働基準法の時効について確認しましょう。
・賃金(退職手当を除く) → 5年間(当分の間3年間)
・退職手当 → 5年間
・災害補償その他の請求権 → 2年間
Aは、災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)の時効ですので、「2年」となります。
Bは、年次有給休暇の時季変更権の判例の問題です。
労働者が指定した年次有給休暇の期間が開始し又は経過したのちに、使用者が時季変更権を行使した場合の効力についてです。
判例では、「労働者の年次有給休暇の請求(時季指定)がその指定した期間の始期にきわめて接近してされたため使用者において時季変更権を行使するか否かを事前に判断する時間的余裕がなかったようなときには、客観的に右時季変更権を行使しうる事由があり、かつ、その行使が遅滞なくされたものであれば、適法な時季変更権行使があったものとしてその効力を認めるのが相当である。」とされています。
(昭和57年3月18日最高裁判所第一小法廷)
Bは、「客観的に右時季変更権を行使しうる事由があり、かつ、その行使が遅滞なくされたものであれば、適法な時季変更権行使があったものとしてその効力を認める」から、「遅滞なく」が入ります。
Cは、「労働時間」についての問題です。
同じ論点の問題が過去に出題されていますので確認しましょう。
【H22年出題】
ビルの巡回監視等の業務に従事する労働者の実作業に従事していない仮眠時間についても、労働からの解放が保障されていない場合には労働基準法上の労働時間に当たるとするのが最高裁判所の判例である。
解答は「〇」です。
判例では、「労働者が実作業に従事していない仮眠時間であっても、労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているものであって、労働基準法32条の労働時間に当たる。」とされています。
(平成14年2月28日最高裁判所第一小法廷)
今回のCの問題は、別の判例からの出題ですが、「不活動時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には労基法上の労働時間に当たるというべきである。そして、当該時間において労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず,労働者は使用者の指揮命令下に置かれているというのが相当である。」とされています。
Cには、「労働からの解放」が入ります。
(平成19年10月19日最高裁判所第二小法廷)
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