R6-045
過去問で解ける問題をみていきます。
今日は、労働保険徴収法です。
条文を読んでみましょう。
第34条 (労働保険事務組合に対する通知等) 政府は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主に対してすべき労働保険関係法令の規定による労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付については、これを労働保険事務組合に対してすることができる。この場合において、労働保険事務組合に対してした労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付は、当該事業主に対してしたものとみなす。
第35条第1項~3項 (労働保険事務組合の責任等) ① 事業主が労働保険関係法令の規定による労働保険料その他の徴収金の納付のため、金銭を労働保険事務組合に交付したときは、その金額の限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとする。 ② 労働保険関係法令の規定により政府が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収について労働保険事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとする。 ③ 政府は、労働保険事務組合が納付すべき徴収金については、当該労働保険事務組合に対して滞納処分をしてもなお徴収すべき残余がある場合に限り、その残余の額を当該事業主から徴収することができる。 |
★労働保険事務組合・委託事業主・政府の関係のイメージです。
(政府からの通知等)
政 府 |
↓納入の告知その他の通知等 |
労働保険事務組合 |
↓通知等の効果は委託事業主に及ぶ |
委託事業主 |
(労働保険料の納付)
政 府 |
↑労働保険料を納付 |
労働保険事務組合 |
↑金銭を交付 |
委託事業主 |
過去問をどうぞ!
①【H25年出題】(雇用)
公共職業安定所長が雇用保険法第9条第1項の規定による労働者が被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの確認をしたときの、委託事業主に対してする通知が、労働保険事務組合に対してなされたときは、当該通知は当該委託事業主に対してなされたものとみなされる。
②【H25年出題】(雇用)
労働保険徴収法第19条第4項の規定により委託事業主に対してする認定決定の通知が労働保険事務組合に対してなされた場合、その通知の効果については、当該労働保険事務組合と当該委託事業主との間の委託契約の内容によっては当該委託事業主に及ばないことがある。
③【H25年出題】(雇用)
労働保険事務組合は、概算保険料の納期限が到来しているにもかかわらず、委託事業主が概算保険料の納付のための金銭を労働保険事務組合に交付しない場合、当該概算保険料を立て替えて納付しなければならない。
④【H25年出題】(雇用)
労働保険料の納付義務者である委託事業主に係る督促状を労働保険事務組合が受けたが、当該労働保険事務組合が当該委託事業主に対して督促があった旨の通知をしないため、当該委託事業主が督促状の指定期限までに納付できず、延滞金を徴収される場合、当該委託事業主のみが延滞金の納付の責任を負う。
⑤【H29年出題】(雇用)
委託事業主が労働保険料その他の徴収金の納付のため金銭を労働保険事務組合に交付したときは、当該委託事業主は当該徴収金を納付したものとみなされるので、当該労働保険事務組合が交付を受けた当該徴収金について滞納があり滞納処分をしてもなお徴収すべき残余がある場合においても、当該委託事業主は、当該徴収金に係る残余の額を徴収されることはない。
【解答】
①【H25年出題】(雇用) 〇
政府は、通知等を、事業主ではなく労働保険事務組合に対してすることができます。
また、その通知は委託事業主に対してなされたものとみなされます。
(法第34条)
②【H25年出題】(雇用) ×
通知が労働保険事務組合に対してなされた場合、その通知の効果については、委託事業主に及びます。当該労働保険事務組合と当該委託事業主との間の委託契約の内容には関係ありません。
(法第34条)
③【H25年出題】(雇用) ×
労働保険事務組合は、「事業主から交付された金額の限度で」、政府に対して当該徴収金の納付の責任を負います。「当該概算保険料を立て替えて納付しなければならない」という規定はありません。
(法第35条第1項)
④【H25年出題】(雇用) ×
政府が追徴金又は延滞金を徴収する場合に、その徴収について「労働保険事務組合の責めに帰すべき理由」があるときは、その限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責任を負います。
問題文は、労働保険事務組合の責に帰すべき理由がありますので、「当該委託事業主のみが延滞金の納付の責任を負う。」は誤りです。
(法第35条第2項)
⑤【H29年出題】(雇用) ×
政府は、労働保険事務組合が納付すべき徴収金については、当該労働保険事務組合に対して滞納処分をしてもなお徴収すべき残余がある場合に限って、その残余の額を、直接、当該事業主から徴収することができます。
(法第35条第3項)
令和5年の問題をどうぞ!
【R5年出題】(労災)
労働保険事務組合事務処理規約に規定する期限までに、確定保険料申告書を作成するための事実を事業主が報告したにもかかわらず、労働保険事務組合が労働保険徴収法の定める申告期限までに確定保険料申告書を提出しなかったため、所轄都道府県労働局歳入徴収官が確定保険料の額を認定決定し、追徴金を徴収することとした場合、当該事業主が当該追徴金を納付するための金銭を当該労働保険事務組合に交付しなかったときは、当該労働保険事務組合は政府に対して当該追徴金の納付責任を負うことはない。
【解答】
【R5年出題】(労災) ×
問題文の場合、追徴金の徴収について「労働保険事務組合の責めに帰すべき理由」があります。その場合は、労働保険事務組合が、政府に対して、追徴金の納付の責めを負います。
(法第35条第2項)
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