R6-082
過去問で解ける問題をみていきましょう。
今日は労働基準法です。
条文を読んでみましょう。
第19条 (解雇制限) ① 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。 ただし、使用者が、第81条の規定によって打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、この限りでない。 ② 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。
第20条第1項、3項 (解雇の予告) ① 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。 但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。 ③ 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。 |
★解雇が制限される期間は次の2つです。
① 業務上の負傷又は疾病により療養のために休業する期間+その後30日間
② 産前産後の女性が休業する期間+その後30日間
(例外)
・打切補償を支払う場合
・天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合(→所轄労働基準監督署長の認定が必要)
★解雇しようとする場合は、予告が必要です。
・少なくとも30日前に予告をする又は30日分以上の平均賃金を支払う(予告期間と平均賃金を併用することもできます)
(例外)
・天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合(→所轄労働基準監督署長の認定が必要)
・労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合(→所轄労働基準監督署長の認定が必要)
では、過去問をどうぞ!
①【H23年出題】
天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においても、使用者は、労働基準法第20条所定の予告手当を支払うことなく、労働者を即時解雇しようとする場合には、行政官庁の認定を受けなければならない。
②【R2年出題】
使用者は、労働者を解雇しようとする場合において、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」には解雇の予告を除外されるが、「天災事変その他やむを得ない事由」には、使用者の重過失による火災で事業場が焼失した場合も含まれる。
③【H30年出題】
使用者は、税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合には、「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」として、労働基準法第65条の規定によって休業する産前産後の女性労働者であっても解雇することができる。
【解答】
①【H23年出題】 〇
例外が認められる第19条、20条の「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」、第20条の「労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合」は、行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定を受けなければなりません。使用者の一方的な判断で例外が適用されることを防ぐためです。
②【R2年出題】 ×
「やむを得ない事由」とは、天災事変に準ずる程度に不可抗力に基づきかつ突発的な事由です。「事業場が火災により焼失した場合」はやむを得ない事由に該当しますが、事業主の故意又は過失に基づく場合は除かれます。
問題文の「使用者の重過失による火災で事業場が焼失した場合」はやむを得ない事由に含まれません。
(S63.3.14基発150号)
③【H30年出題】 ×
税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合は、「やむを得ない事由」に該当しません。その場合は、産前産後休業中の女性労働者は解雇できません。
(S63.3.14基発150号)
では、令和5年の問題をどうぞ!
【R5年出題】
従来の取引事業場が休業状態となり、発注品がないために事業が金融難に陥った場合には、労働基準法第19条及び第20条にいう「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」に該当しない。
【解答】
【R5年出題】 〇
従来の取引事業場が休業状態となり、発注品がないために事業が金融難に陥った場合には、「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」に該当しません。
(S63.3.14基発150号)
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