R6-139
過去問で解ける問題をみていきましょう。
今日は厚生年金保険法です。
条文を読んでみましょう。
法附則第9条の2 ① 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分が計算されているものに限る。)の受給権者が、被保険者でなく、かつ、傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態にあるとき(その傷病が治らない場合(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態にある場合を除く。)にあっては、その傷病に係る初診日から起算して1年6か月を経過した日以後においてその傷病により障害状態にあるとき。)は、その者は、老齢厚生年金の額の計算に係る特例の適用を請求することができる。 ② ①の請求があったときは、当該請求に係る老齢厚生年金の額は、次の各号に掲げる額を合算した額とするものとし、当該請求があった月の翌月から、年金の額を改定する。 (1) 1,628円に改定率を乗じて得た額(その額に50銭未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときは、これを1円に切り上げるものとする。)に被保険者期間の月数(当該月数が480を超えるときは、480とする。)を乗じて得た額 (2) 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の1,000分の5.481に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額 |
「報酬比例部分」のみの特別支給の老齢厚生年金の受給権者が対象の特例です。
要件を満たすと、障害者特例として定額部分と報酬比例部分を合わせた年金(+加給年金額)が支給されます。
要件を確認しましょう。
①報酬比例部分の特別支給の老齢厚生年金の受給権者であること
②3級以上の障害状態にあること(厚生年金保険で規定する障害等級は1~3級です)
③退職していること(=厚生年金保険の被保険者でないこと)
受給権者の請求が必要で、原則として請求のあった月の翌月から年金額が改定されます。(請求があったものとみなされる例外もありますが、今日は触れません。)
<イメージ図>
昭和32年4月1日生まれの男性は62歳から報酬比例部分のみが支給されます。
(62歳) (65歳)
特別支給(報酬比例部分) | 老齢厚生年金 |
| 老齢基礎年金 |
↓
障害者特例に該当した場合は定額部分が支給されます。
↓
(62歳) (65歳)
特別支給(報酬比例部分) | 老齢厚生年金 |
定額部分 | 老齢基礎年金 |
それでは、過去問をどうぞ!
【H27年選択式】
昭和30年4月2日生まれの男子に係る特別支給の老齢厚生年金について、報酬比例部分の支給開始年齢は62歳であり、定額部分の支給は受けられないが、
(1) 厚生年金保険法附則第9条の2第1項及び第5項に規定する、傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態にあるとき
(2) 被保険者期間が< A >以上であるとき
(3) 坑内員たる被保険者であった期間と船員たる被保険者であった期間とを合算した期間が< B >以上であるとき
のいずれかに該当する場合には、60歳台前半に定額部分の支給を受けることができる。
上記(1)から(3)のうち、「被保険者でない」という要件が求められるのは、 < C >であり、定額部分の支給を受けるために受給権者の請求が必要(請求があったものとみなされる場合を含む。)であるのは、< D >である。
<選択肢>
A | ① 42年 ②43年 ③44年 ④45年 |
B | ① 10年 ②15年 ③20年 ④25年 |
C | ① (1)及び(2) ② (1)、(2)及び(3) ③ (2)のみ ④ (2)及び(3) |
D | ① (1)のみ ② (1)及び(2) ③ (1)及び(3) ④ (1)、(2)及び(3) |
【解答】
A ③ 44年
B ② 15年
C ① (1)及び(2)
D ① (1)のみ
(法附則第9条の2第1項、第2項、法附則第9条の3第1項、法附則第9条の4第1項)
(1)は障害者特例、(2)は長期加入者特例、(3)坑内員、船員の特例です。
では、令和5年の問題をどうぞ!
【R5年出題】
報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の受給権を有する者が、被保険者でなく、かつ、障害の状態にあるときは、老齢厚生年金の額の計算に係る特例の適用を請求することができる。ただし、ここでいう障害の状態は、厚生年金保険の障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態に限定される。
【解答】
【R5年出題】 ×
障害者特例の障害の状態は、障害等級1級、2級、3級です。1級又は2級に限定されません。
(法附則第9条の2第1項)
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