R6-193
過去問から学びましょう。
今日は労働保険徴収法です。
今日は、「請負事業の一括」のポイントをチェックします。
まずポイントからどうぞ!
・対象は「建設の事業」です。(立木の伐採の事業は対象外です)
・建設の事業が数次の請負によって行われる場合、労災保険は下請負事業を元請負事業に一括して、保険関係が成立します。
・法律上当然に一括され、元請負人のみが適用事業主となります。
・一括されるのは労災保険の保険関係のみで、雇用保険の保険関係は一括されません。雇用保険の保険関係は、個別に成立します。
★建設の事業が数次の請負によって行われる場合のイメージ
<労災保険の保険関係> <雇用保険の保険関係>
元請負事業に一括されます 個別に成立します
元請負事業(成立) |
| 元請負事業(成立) |
↓ |
| ↓ |
下請負事業その1 |
| 下請負事業その1(成立) |
↓ |
| ↓ |
下請負事業その2 |
| 下請負事業その2(成立) |
↓ |
| ↓ |
下請負事業その3 |
| 下請負事業その3(成立) |
条文を読んでみましょう。
第8条第1項、則第7条 (請負事業の一括) 労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業が数次の請負によって行なわれる場合には、この法律の規定の適用については、その事業を一の事業とみなし、元請負人のみを当該事業の事業主とする。 |
では、過去問をどうぞ!
①【R2年出題】(労災)
請負事業の一括は、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、建設の事業又は立木の伐採の事業が数次の請負によって行われるものについて適用される。
②【R2年出題】(労災保険)
請負事業の一括は、元請負人が、請負事業の一括を受けることにつき所轄労働基準監督署長に届け出ることによって行われる。
③【R2年出題】(労災保険)
請負事業の一括が行われ、その事業を一の事業とみなして元請負人のみが当該事業の事業主とされる場合、請負事業の一括が行われるのは、「労災保険に係る保険関係が成立している事業」についてであり、「雇用保険に係る保険関係が成立している事業」については行われない。
④【R2年出題】(労災保険)
請負事業の一括が行われ、その事業を一の事業とみなして元請負人のみが当該事業の事業主とされる場合、元請負人は、その請負に係る事業については、下請負をさせた部分を含め、そのすべてについて事業主として保険料の納付の義務を負い、更に労働関係の当事者として下請負人やその使用する労働者に対して使用者となる。
⑤【R2年出題】(労災保険)
請負事業の一括が行われると、元請負人は、その請負に係る事業については、下請負をさせた部分を含め、そのすべてについて事業主として保険料の納付等の義務を負わなければならないが、元請負人がこれを納付しないとき、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、下請負人に対して、その請負金額に応じた保険料を納付するよう請求することができる。
【解答】
①【R2年出題】(労災) ×
請負事業の一括の対象は「建設の事業」です。「立木の伐採の事業」は請負事業の一括の対象になりません。
(第8条第1項、則第7条)
②【R2年出題】(労災保険) ×
請負事業の一括は、「法律上当然に」行われます。「所轄労働基準監督署長に届け出ることによって」は誤りです。
(第8条第1項)
③【R2年出題】(労災保険) 〇
請負事業の一括が行われるのは、「労災保険に係る保険関係」のみです。「雇用保険に係る保険関係」は一括されず、個別に適用されます。
(第8条第1項、則第7条)
④【R2年出題】(労災保険) ×
請負事業の一括が行われ元請負人のみが当該事業の事業主とされると、元請負人は、その請負に係る事業については、下請負をさせた部分を含め、そのすべてについて事業主として保険料の納付の義務を負います。
しかし、「労働関係の当事者」として下請負人やその使用する労働者に対して使用者となることはありません。
(第8条第1項)
⑤【R2年出題】(労災保険) ×
請負事業の一括が行われると、元請負人は、その請負に係る事業については、下請負をさせた部分を含め、そのすべてについて事業主として保険料の納付等の義務を負います。
そのため、元請負人がこれを納付しないときでも、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、下請負人に対して、保険料を納付するよう請求することはできません。
(第8条第1項)
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