R6-204
過去問から学びましょう。
今日は労働基準法です。
年次有給休暇の権利は、次の2つの要件を満たせば、法律上当然に発生します。
①雇入れの日から 6か月継続勤務 |
| ②全労働日の 8割以上出勤 |
年次有給休暇の権利の発生要件である「出勤率」は、「全労働日」に対する「出勤した日」の割合です。
「全労働日」とは、労働義務のある日のことで、暦日数から所定の休日を除いた日数のことです。
「全労働日」についての通達を確認しましょう。
1 労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日は、2に該当する場合を除き、出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるものとする。 2 労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日であっても、次に掲げる日のように、当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でないものは、全労働日に含まれないものとする。 (1) 不可抗力による休業日 (2) 使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日 (3) 正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日 (平25.7.10基発0710第3号) |
では、過去問をどうぞ!
①【H28年出題】
全労働日と出勤率を計算するに当たり、法定休日を上回る所定の休日に労働させた場合におけるその日は、全労働日に含まれる。
②【H26年選択式】
最高裁判所は、労働基準法39条に定める年次有給休暇権の成立要件に係る「全労働日」(同条第1項、2項)について、次のように判示した。
「法39条1項及び2項における前年度の全労働日に係る出勤率が8割以上であることという年次有給休暇権の成立要件は、法の制定時の状況等を踏まえ、労働者の責めに帰すべき事由による欠勤率が特に高い者をその対象から除外する趣旨で定められたものと解される。このような同条1項及び2項の規定の趣旨に照らすと、前年度の総暦日の中で、就業規則や労働協約等に定められた休日以外の不就労日のうち、労働者の責めに帰すべき事由によるとはいえないものは、不可抗力や使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日等のように当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく全労働日から除かれるべきものは別として、上記出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に< A >と解するのが相当である。
無効な解雇の場合のように労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日は、労働者の責めに帰すべき事由によるとはいえない不就労日であり、このような日は使用者の責めに帰すべき事由による不就労日であっても当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく全労働日から除かれるべきものとはいえないから、法39条1項及び2項における出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に< A >というべきである。」
【解答】
①【H28年出題】 ×
年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の日数は就業規則その他によって定められた所定休日を除いた日をいいます。
所定の休日に労働させた場合には、その日は、全労働日に含まれないものとされています。
(平25.7.10基発0710第3号)
②【H26年選択式】
A 含まれるもの
★「労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日」の扱いについて
※不可抗力や使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日等は、当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく全労働日から除かれます。
例えば、裁判所の判決により解雇が無効と確定した場合や、労働委員会による救済命令を受けて会社が解雇の取消しを行った場合の解雇日から復職日までの不就労日など、「労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日」は、出勤日数に算入すべきものとして「全労働日に含まれるもの」とされます。
解雇の日から解雇無効が確定するまでの期間について、その期間の労働日を全労働日に含めた上でその全部を出勤日として取り扱うことで、年次有給休暇の成立要件を満たしているものということができます。
(平25.6.6第一小法廷判決 平25.7.10基発0710第3号)
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