R6-207
過去問から学びましょう。
今日は労働基準法です。
条文を読んでみましょう。
第39条第5項 使用者は、有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。 ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。 |
年次有給休暇は、「労働者の請求する時季」に与えることが原則です。(時季指定権)
しかし、請求された時季に有給休暇を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」は、使用者は、時季を変更することができます。(時季変更権)
過去問をどうぞ!
①【H27年選択式】
最高裁判所は、労働基準法第30条第5項(当時は第3項)に定める使用者による時季変更権の行使の有効性が争われた事件において、次のように判示した。「労基法39条3項〔現行5項〕ただし書にいう「事業の正常な運営を妨げる場合」か否かの判断に当たって、< A >配置の難易は、判断の一要素となるというべきであるが、特に勤務割による勤務体制がとられている事業場の場合には、重要な判断要素であることは明らかである。したがって、そのような事業場において、使用者としての通常の配慮をすれば、勤務割を変更して< A >を配置することが客観的に可能な状況にあると認められるにもかかわらず、使用者がそのための配慮をしないことにより< A >が配置されないときは、必要配置人員を欠くものとして事業の正常な運営を妨げる場合に当たるということはできないと解するのが相当である。そして、年次休暇の利用目的は労基法の関知しないところである〔‥…〕から、勤務割を変更して< A >を配置することが可能な状況にあるにもかかわらず、休暇の目的いかんによってそのための配慮をせずに時季変更権を行使することは、利用目的を考慮して年次休暇を与えないことに等しく、許されないものであり、右時季変更権の行使は、結局、事業の正常な運営を妨げる場合に当たらないものとして、無効といわなければならない。」
②【R5年出題】
労働基準法第30条第5項にいう「事業の正常な運営を妨げる場合」か否かの判断に当たり、勤務割による勤務体制がとられている事業場において、「使用者としての通常の配慮をすれば、勤務割を変更して代替勤務者を配置することが客観的に可能な状況にあると認められるにもかかわらず、使用者がそのための配慮をしないことにより代替勤務者が配置されないときは、必要配置人員を欠くものとして事業の正常な運営を妨げる場合に当たるということはできないと解するのが相当である。」とするのが、最高裁判所の判例である。
【解答】
①【H27年選択式】
A 代替勤務者
(最高二小S62.7.10)
ポイント!
勤務割(シフト制)の事業場で、使用者が、通常の配慮をすれば、シフトを変更して代替勤務者を配置することが可能な状況であるにもかかわらず、使用者がそのための配慮をしないことにより代替勤務者が配置されないときは、事業の正常な運営を妨げる場合に当たるということはできない。
シフトを変更して代替勤務者を配置することが可能な状況にあるにもかかわらず、休暇の目的によってそのための配慮をせずに時季変更権を行使することは、許されない。
②【R5年出題】 〇
①の判例と同じです。
(最高二小S62.7.10)
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