社会保険労務士合格研究室

労働基準法「平均賃金」

R8-015 9.08

平均賃金の計算(原則と最低保障額)

 「平均賃金」とは、賃金の1日当たりの額のことです。

 労働基準法の解雇予告手当や、休業手当などの額の計算に使われます。

 

今回は、平均賃金の原則の計算式と「最低保障額」をみていきましょう。

 

■計算式について条文を読んでみましょう。

労基法第12条第1

 平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。

<最低保障額>

ただし、その金額は、次の各号の一によって計算した金額を下ってはならない。

1) 賃金が、労働した若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60

2) 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と(1)の金額の合算額

 

<原則の計算式>

算定すべき事由の発生した日以前3か月間賃金の総額

その期間の総日数

 

<最低保障額>

算定すべき事由の発生した日以前3か月間の賃金の総額

×

60

その期間中に労働した日数

100

ポイント!

 最低保障額は、「日給」「時給」「出来高払いその他の請負制」の場合に適用されます。

 

こちらも確認しましょう

★「その日数とその期間中の賃金」を平均賃金の計算から控除する期間

 =分母からも分子からも除外する期間

・ 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間

・ 産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間

・ 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間

・ 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に規定する育児休業又は介護休業をした期間

・ 試みの使用期間

★「賃金総額」に算入しない賃金

 =分子からのみ除外する賃金

・ 臨時に支払われた賃金

・ 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金

・ 通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの

 

 

それでは、過去問を解いてみましょう

①【H19年出題】

平均賃金は、原則として、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除して算定するものとされているが、賃金がいわゆるパートタイマーに多くみられるように労働した時間によって算定される場合には、その金額は、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60を下ってはならないこととされている。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H19年出題】 〇

 賃金が労働した時間によって算定される場合は、最低保障額が適用されます。

 最低保障額は、「賃金の総額」÷その期間中の「労働した日数」×100分の60で計算します。

 

 

 

 

 

 

②【R7年出題】

 令和711日から、賃金が日給1万円、毎月20日締切、当月25日支払の条件で雇われている労働者について、同年7月15日に平均賃金を算定すべき事由が発生した。当該労働者に支払われていた賃金は、1月支払分から6月支払分までいずれも労働日数は月10日で支払額は各月10万円であり、本条第3項各号に掲げられている業務上負傷し療養のために休業した期間等の控除期間がなかった。この場合の当該労働者に係る平均賃金の額は6,000円である。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R7年出題】 〇

問題を解くポイント!

・「日給制」ですので、最低保障額が適用されます。

・ 平均賃金を算定する期間については、賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から起算します。(法第12条第2項)

 問題文の場合は、直前の賃金締切日(620日)から遡った3か月で計算します。

 3月21日~4月20日、4月21日~5月20日、5月21日~6月20日までの期間で算定します。

 

・原則の計算式で計算すると

<原則の計算式>

10万円+10万円+10万円)÷92日 ≒ 3260.86

 

<最低保障額>

10万円+10万円+10万円)÷30日×100分の60 = 6,000

 

問題文の労働者に係る平均賃金の額は6,000円となります。

 

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