社会保険労務士合格研究室

労働基準法「平均賃金」

R8-016 9.09

平均賃金を「算定すべき事由の発生した日」

 平均賃金は、原則として、「算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額」を、その期間の「総日数」で除して計算します。

 

 今回は、「算定すべき事由の発生した日」を具体的にみていきます。

 

過去問をどうぞ!

★解雇予告手当について算定すべき事由の発生した日

①【H16年出題】

 労働基準法第20条の規定に基づき、解雇の予告に代えて支払われる平均賃金(解雇予告手当)を算定する場合における算定すべき事由の発生した日は、労働者に解雇の通告をした日である。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H16年出題】 〇

 解雇予告手当を算定する場合における算定すべき事由の発生した日は、労働者に「解雇の通告をした日」です。

(昭39.6.1236基収2316号)

 

 

 

②【R7年出題】

 労働基準法第20条に基づく解雇予告手当を算定する際の平均賃金算定事由発生日は、「労働者に解雇の通告をした日」であり、その後、当該労働者の同意を得て解雇日を変更した場合においても、当初の解雇を通告した日とするものとされている。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R7年出題】 〇

 解雇予告手当を算定する際の平均賃金算定事由発生日は、「労働者に解雇の通告をした日」です。その後、当該労働者の同意を得て解雇日を変更した場合においても、同様に、「当初の解雇を通告した日」とされています。

(昭39.6.1236基収2316号)

 

 

★減給制裁について算定すべき事由の発生した日

③【H25年出題】

 労働基準法第91条に規定する減給の制裁に関し、平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、減給制裁の事由が発生した日ではなく、減給の制裁が決定された日をもってこれを算定すべき事由の発生した日とされている。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H25年出題】 ×

 減給の制裁に関して平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、「減給の制裁の意思表示が相手方に到達した日」とされています。

(昭30.7.19基収5875号)

 

 

★災害補償について算定すべき事由の発生した日

④【H27年出題】

 労働災害により休業していた労働者がその災害による傷病が原因で死亡した場合、使用者が遺族補償を行うに当たり必要な平均賃金を算定すべき事由の発生日は、当該労働者が死亡した日である。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H27年出題】 ×

 「災害補償を行う場合には、死傷の原因たる事故発生の日又は診断によって疾病の発生が確定した日を、平均賃金を算定すべき事由の発生した日とする。」と規定されています。(則第48条)

 

 

 

★所定労働時間が二暦日にわたる場合

⑤【R7年出題】

 所定労働時間が二暦日にわたる勤務を行う労働者(一昼夜交替勤務のごとく明らかに2日の労働と解することが適当な場合を除く。)について、当該勤務の二暦日目に平均賃金を算定すべき事由が発生した場合においては、当該勤務の始業時刻に属する日に当該事由が発生したものとして取り扱うこととされている。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【R7年出題】 〇

 所定労働時間が二暦日にわたる勤務を行う労働者について

→ 当該勤務の二暦日目に平均賃金を算定すべき事由が発生した場合は、当該勤務の始業時刻に属する日に当該事由が発生したものとして取り扱うこととされています。

(昭45.5.14基発374号)

 

 

 

★賃金締切日がある場合

⑥【H27年出題】

 賃金締切日が毎月月末と定められていた場合において、例えば731日に算定事由が発生したときは、なお直前の賃金締切日である630日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となる。

 

 

 

 

【解答】

⑥【H27年出題】 〇

 「平均賃金の算定期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。」とされています。(法第12条第2項)

ポイント!

 平均賃金の条文では、「算定すべき事由の発生した日以前 3 か月間」が算定期間となっていますが、平均賃金の計算上、算定すべき事由の発生した日当日は、含めません

 そのため、731日に算定事由が発生したときは、前日から遡った3か月で計算します。また、賃金締切日があるため、「直前の賃金締切日」である630日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となります。

 

 

 

⑦【H27年出題】

 賃金締切日が、基本給は毎月月末、時間外手当は毎月20日とされている事業場において、例えば625日に算定事由が発生したときは、平均賃金の起算に用いる直前の賃金締切日は、基本給、時間外手当ともに基本給の直前の締切日である531日とし、この日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となる。

 

 

 

 

 

【解答】

⑦【H27年出題】 ×

 賃金ごとに賃金締切日が異なる場合は、平均賃金を計算する場合の「直前の賃金締切日」は、それぞれ各賃金ごとの賃金締切日となります。

問題文の場合、

・基本給 → 直前の賃金締切日は531

・時間外手当 → 直前の賃金締切日は620

となります。

(昭26.12.27基収5926号)

 

 

 

★雇入れ後3か月未満の場合

⑧【R7年出題】

 雇入れ後3か月未満の労働者について平均賃金を算定すべき事由が発生した場合には、算定事由発生日前に賃金締切日があるか否かにかかわらず、雇入れ後の期間とその期間中の賃金の総額で算定することとされている。

 

 

 

 

 

 

【解答】

⑧【R7年出題】 ×

 「雇入後3か月に満たない者については、平均賃金の算定期間は、雇入後の期間とする。」とされています。(法第12条第6項)

なお、雇入れ後3か月未満の労働者について平均賃金を算定すべき事由が発生した場合でも、賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から起算ます。

(昭23.4.22基収1065号)

 

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