社会保険労務士合格研究室

健康保険法「高額療養費」

R8-094 11.26

高額療養費の計算ルールを攻略しましょう/自己負担限度額の出し方がポイント!

「高額療養費」とは?

→ 医療機関の窓口で支払った一部負担金等が、月単位の高額療養費算定基準額(=自己負担限度額)を超えた場合、超えた額が、事後に支給される制度です。

※現物給付される仕組みもあります。

 

(例)70歳未満・標準報酬月額28万円の被保険者、ある月の一部負担金が30万円

医療費(100万円)

一部負担金30万円

保険給付(療養の給付)

自己負担限度額

87,430

高額療養費

   

 

①高額療養費算定基準額(自己負担限度額)は次のように計算します。

80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1% = 87,430

 

②一部負担金から高額療養費算定基準額をマイナスした額が、高額療養費として支給される額です。

高額療養費=30万円-87430円=212570

 

 

★ポイント!

 高額療養費は、暦月単位(1日から月末)で算定します。

 例えば、令和71127日~同年1220日まで入院した場合は、1127日~30日と121日~20日までに分けて算定します。

 

 

今回は、「高額療養費算定基準額(自己負担限度額)」・「高額療養費」の算定ルールをみていきましょう。

 

 

ポイントを過去問で確認しましょう

①【R5年出題】

 高額療養費は公的医療保険による医療費だけを算定の対象にするのではなく、食事療養標準負担額、生活療養標準負担額又は保険外併用療養に係る自己負担分についても算定の対象とされている。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R5年出題】 ×

 「食事療養標準負担額」、「生活療養標準負担額」、「保険外併用療養に係る自己負担分(例えば差額ベッド代や先進医療にかかる費用等)」は、高額療養費の算定対象になりません。

(令第41条)

 

 

 

②【R7年出題】

 同一の月に同一の保険医療機関において、入院中に脳神経外科で手術し、退院後に外来で脳神経内科を受診した場合、高額療養費の算定上、同一の保険医療機関で受けた療養とみなされる。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R7年出題】 ×

 同一の月に同一の保険医療機関で、「入院」と「通院」で療養を受けた場合は、同一の保険医療機関で受診したとしても、高額療養費の算定上、それぞれ「別個の保険医療機関」で受けた療養とみなされます。

(昭48.10.17保険発第95号・庁保険発第18号)

 

 

 

➂【H27年出題】

 同一の月に同一の保険医療機関において内科及び歯科をそれぞれ通院で受診したとき、高額療養費の算定上、1つの病院で受けた療養とみなされる。

 

 

 

 

 

【解答】

➂【H27年出題】 ×

 同一の月に同一の保険医療機関において内科及び歯科をそれぞれ通院で受診したときは、「内科」と「歯科」は、それぞれ区別して高額療養費が算定されます。

(昭48.10.17保険発第95号・庁保険発第18号)

 

 

 

④【H29年出題】

 全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者が適用事業所を退職したことにより被保険者資格を喪失し、その同月に、他の適用事業所に就職したため組合管掌健康保険の被保険者となった場合、同一の病院で受けた療養の給付であったとしても、それぞれの管掌者ごとにその月の高額療養費の支給要件の判定が行われる。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H29年出題】 〇

 同一月内で「全国健康保険協会管掌健康保険」から「組合管掌健康保険」に移った場合の高額療養費は、それぞれの「管掌者ごと」にその月の高額療養費の支給要件の判定が行われます。

(48.11.7保険発第99号・庁保険発第21)

 

 

 

⑤【H27年出題】

 70歳未満で標準報酬月額が53万円以上83万円未満の被保険者が、1つの病院等で同一月内の療養の給付について支払った一部負担金の額が、以下の式で算定した額を超えた場合、その超えた額が高額療養費として支給される(高額療養費多数回該当の場合を除く。)。

167,400円+(療養に要した費用-558,000円)×1%

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【H27年出題】 〇

 高額療養費算定基準額(自己負担限度額)は、「70歳未満」か「70歳以上75歳未満」で区分されます。

 また、所得によっても区分されています。

 問題を解くときは注意しましょう。

 

 

 

⑥【R2年選択式】

 50歳で標準報酬月額が41万円の被保険者が1つの病院において同一月内に入院し治療を受けたとき、医薬品など評価療養に係る特別料金が10万円、室料など選定療養に係る特別料金が20万円、保険診療に要した費用が70万円であった。この場合、保険診療における一部負担金相当額は21万円となり、当該被保険者の高額療養費算定基準額の算定式は「80,100円+(療養に要した費用-267,000円)×1%」であるので、高額療養費は<  A  >となる。

(選択肢)

① 7,330

② 84,430

➂ 125,570

④ 127,670

 

 

 

 

 

【解答】

⑥【R2年選択式】

A> 125,570

ポイント!

・医薬品など評価療養に係る特別料金10万円、室料など選定療養に係る特別料金20万円は、高額療養費の算定には入りません。

医療費(70万円)

一部負担金21万円

保険給付(療養の給付)

自己負担限度額

84,430

高額療養費

   

 

①高額療養費算定基準額(自己負担限度額)は次のように計算します。

80,100円+(700,000267,000円)×1% = 84,430

 

②一部負担金から高額療養費算定基準額をマイナスした額が、高額療養費の額です。

高額療養費=21万円-84,430円=125570

 

 

 

⑦【R5年出題】

 71歳で市町村民税非課税者である被保険者甲が、同一の月にA病院で受けた外来療養による一部負担金の額が8,000円を超える場合、その超える額が高額療養費として支給される。

 

 

 

 

 

【解答】

⑦【R5年出題】 

 70歳以上75歳未満の市町村民税非課税者である被保険者の外来の高額療養費算定基準額は「8,000円」です。

 

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→ https://youtu.be/5mYgDBca2ro?si=qsYoC-dIFQ8vge31

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