R8-101 12.03
保険外併用療養費の内容をみていきます。
条文を読んでみましょう。
法第86条第1項 (保険外併用療養費) 被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関等のうち自己の選定するものから、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、評価療養、患者申出療養又は選定療養を受けたときは、その療養に要した費用について、保険外併用療養費を支給する。 法第63条第2項 ・ 厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、療養の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養(次号の患者申出療養を除く。)として厚生労働大臣が定めるもの(以下「評価療養」という。) ・ 高度の医療技術を用いた療養であって、当該療養を受けようとする者の申出に基づき、療養の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるもの(以下「患者申出療養」という。) ・ 被保険者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生労働大臣が定める療養(以下「選定療養」という。) |
★評価療養、患者申出療養、選定療養は「療養の給付」には含まれません。
例えば、「先進医療」を受けた場合、「先進医療の部分」は保険外ですので、すべて本人が負担します。一般の診療と共通する「基礎的な部分」は、「保険外併用療養費」として健康保険から給付が行われます。
では、過去問を解いてみましょう
①【R7年出題】
患者申出療養とは、高度の医療技術を用いた療養であって、当該療養を受けようとする者の申出に基づき、評価療養の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるものをいう。

【解答】
①【R7年出題】 〇
こちらの問題文では、「評価療養の給付の対象とすべきものであるか否か」となっていますが、条文では、「療養の給付の対象とすべきものであるか否か」と定められています。
令和7年問2の問題は、アからオの選択肢のうち、「誤っているものの組み合わせ」が問われた問題でした。こちらの問題以外に明らかに「誤っているものの組み合わせ」がありました。
そのため、こちらの問題は「〇」で正解となります。
このように誤りかどうか判断に迷う問題は、明らかに誤っている(=誤りの判断が簡単につく)方を選んでください。
②【R2年出題】
患者申出療養の申出は、厚生労働大臣が定めるところにより、厚生労働大臣に対し、当該申出に係る療養を行う医療法第4条の3に規定する臨床研究中核病院(保険医療機関であるものに限る。)の開設者の意見書その他必要な書類を添えて行う。

【解答】
②【R2年出題】 〇
「患者申出療養」制度について、厚生労働省のホームページでは以下のように案内されています。
未承認薬などをいちはやく使いたい。対象外になっているけれど治験を受けたい。
そんな患者さんたちの思いに応えるためにつくられた制度です。
患者さんからの申出を受け、医師や関連病院などが連携して、さまざまなケースについて対応できるかどうかを検討し、実施の可能性を探ります。
事前の診療計画や治療の経過などのデータは、今後多くの人が受けることのできる保険診療のために活用されます。
なお、医療法第4条の3では、「病院であって、臨床研究の実施の中核的な役割を担うことに関する一定の要件に該当するものは、厚生労働大臣の承認を得て臨床研究中核病院と称することができる。」と規定されています。
➂【R4年選択式】
保険外併用療養費の対象となる選定療養とは、「被保険者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生労働大臣が定める療養」をいい、厚生労働省告示「厚生労働大臣の定める評価療養、患者申出療養及び選定療養」第2条に規定されている選定療養として、第1号から第11号が掲げられている。
そのうち第4号によると、「病床数が< A >の病院について受けた初診(他の病院又は診療所からの文書による紹介がある場合及び緊急その他やむを得ない事情がある場合に受けたものを除く。)」と規定されており、第7号では、「別に厚生労働大臣が定める方法により計算した入院期間が< B >を超えた日以後の入院及びその療養に伴う世話その他の看護(別に厚生労働大臣が定める状態等にある者の入院及びその療養に伴う世話その他の看護を除く。)」と規定されている。
(選択肢)
⑤90日 ⑥120日 ⑧150日 ⑩180日
⑦150以上 ⑨180以上 ⑪200以上 ⑫250以上

【解答】
<A> ⑪200以上
<B> ⑩180日
④【R6年選択式】
保険外併用療養費の支給対象となる治験は、< A >、患者の自由な選択と同意がなされたものに限られるものとし、したがって、治験の内容を患者等に説明することが医療上好ましくないと認められる等の場合にあっては、保険外併用療養費の支給対象としない。
(選択肢)
②新たな医療技術、医薬品、医療器等によるものであることから
⑤患者に対する情報提供を前提として
⑨困難な病気と闘う患者からの申し出を起点として
⑱保険医療機関が厚生労働大臣の定める施設基準に適合するとともに

【解答】
<A> ⑤患者に対する情報提供を前提として
(令6.3.27保発0327第10号)
⑤【H28年出題】
被保険者が予約診療制をとっている病院で予約診察を受けた場合には、保険外併用療養費制度における選定療養の対象となり、その特別料金は、全額自己負担となる。

【解答】
⑤【H28年出題】 〇
予約に基づく診察は、選定療養の対象となります。
特別料金は、全額自己負担となります。
(厚生労働大臣の定める評価療養、患者申出療養及び選定療養第2条)
⑥【R4年出題】
患者自己負担割合が3割である被保険者が保険医療機関で保険診療と選定療養を併せて受け、その療養に要した費用が、保険診療が30万円、選定療養が10万円であるときは、被保険者は保険診療の自己負担額と選定療養に要した費用を合わせて12万円を当該保険医療機関に支払う。

【解答】
⑥【R4年出題】 ×
被保険者が支払う額は、
「保険診療30万円」×30%=9万円
+
「選定療養10万円」
=19万円です。
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