R8-104 12.06
1週間の所定労働時間又は1か月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満であっても、「特定適用事業所」「任意特定適用事業所」「国・地方公共団体に属する事業所」に使用され、次の3つの要件を満たした場合は、健康保険の被保険者となります。
① 週の所定労働時間が20時間以上 ② 賃金が月額88,000円以上 ➂ 学生でない |
今回は、「特定適用事業所」についてみていきます。
「特定適用事業所」の要件について条文を読んでみましょう
H24法附則第46条第12項 特定適用事業所とは、事業主が同一である1又は2以上の適用事業所であって、当該1又は2以上の適用事業所に使用される特定労働者の総数が常時50人を超えるものの各適用事業所をいう。 |
※特定労働者とは、厚生年金保険の被保険者資格を有する者のことです。(70歳未満の者のうち、厚生年金保険法第12条各号の(適用除外)いずれにも該当しないものであって、特定4分の3未満短時間労働者以外のもの)
では、過去問を解いてみましょう
①【H29年出題】※改正による修正あり
特定適用事業所とは、事業主が同一である1又は2以上の適用事業所であって、当該1又は2以上の適用事業所に使用される特定労働者の総数が常時50人を超えるものの各適用事業所のことをいう。

【解答】
①【H29年出題】 〇
「事業主が同一である1又は2以上の適用事業所」とは
・ 適用事業所が法人事業所の場合、法人そのものを事業主として取り扱い、同一法人格に属する全ての適用事業所を「事業主が同一である1又は2以上の適用事業所」として取り扱うこととする。
・ 適用事業所が個人事業所の場合、個人事業主を事業主として取り扱い、事業主が同一である適用事業所は現在の適用事業所の単位のほかに無いものとして取り扱うこととする。
(令4.9.28保保発0928第6号)
②【R7年出題】
初めて公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律に規定する「特定適用事業所」となった適用事業所の事業主は、当該事実があった日から5日以内に、①適用事業所の名称及び所在地、②特定適用事業所となった年月日、③事業主が法人であるときは、法人番号を記載した届書を厚生労働大臣又は健康保険組合に提出しなければならない。

【解答】
②【R7年出題】 〇
特定適用事業所となったときは、当該事実が発生した日から5日以内に、「健康保険・厚生年金保険特定適用事業所該当届」を届け出ることとされています。
(則第23条の2)
➂【R7年出題】
短時間労働者の被保険者資格の取得要件について、常時50人を超えると見込んで特定適用事業所該当届を提出して適用された後、実際には常時50人を超えなかった場合は遡及取消となる。

【解答】
➂【R7年出題】 ×
常時50人を超えると見込んで特定適用事業所該当届を提出して適用された後、実際には常時50人を超えなかった場合でも「遡及取消にはなりません」とされています。
(令6.1.17事務連絡)
④【R6年出題】※改正による修正あり
被保険者の総数が常時50人以下の企業であっても、健康保険に加入することについての労使の合意(被用者の2分の1以上と事業主の合意)がなされた場合、1週間の所定労働時間が20時間以上であること、月額賃金が8.8万円以上であること、2か月を超える雇用の見込があること、学生でないことという要件をすべて満たす短時間労働者は、企業単位で健康保険の被保険者となる。

【解答】
④【R6年出題】 〇
特定適用事業所以外の適用事業所に使用される短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の被保険者資格の取得については、労使合意に基づき、申出を行うことにより可能であるとされています。
(令4.9.28保保発0928第6号)
⑤【H30年出題】※改正による修正あり
短時間労働者を使用する特定適用事業所の被保険者の総数(短時間労働者を除く。)が常時50人以下になり、特定適用事業所の要件に該当しなくなった場合であっても、事業主が所定の労働組合等の同意を得て、当該短時間労働者について適用除外の規定の適用を受ける旨の申出をしないときは、当該短時間労働者の被保険者資格は喪失しない。

【解答】
⑤【H30年出題】 〇
「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集」によると、以下の扱いになります。
使用される厚生年金保険の被保険者の総数が常時50人を超えなくなった場合であっても、引き続き特定適用事業所であるものとして取り扱われます。
ただし、使用される被保険者の4分の3以上の同意を得たことを証する書類を添えて、特定適用事業所不該当届を届け出た場合は、対象の適用事業所は特定適用事業所に該当しなくなったものとして扱われることとなります。
(令6.1.17事務連絡)
問題文のように、常時50人以下になり、特定適用事業所の要件に該当しなくなった場合であっても、事業主が所定の労働組合等の同意を得て、当該短時間労働者について適用除外の規定の適用を受ける旨の申出をしないときは、当該短時間労働者の被保険者資格は喪失しません。
⑥【H29年出題】
特定適用事業所に使用される短時間労働者の年収が130万円未満の場合、被保険者になるか、被保険者になることなく被保険者である配偶者の被扶養者になるかを選択することができる。

【解答】
⑥【H29年出題】 ×
年収が130万円未満の短時間労働者であっても、要件を満たした場合は、厚生年金保険・健康保険の被保険者となります。
被保険者になるか、被保険者になることなく被保険者である配偶者の被扶養者になるかの選択はできません。
(令6.1.17事務連絡)
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