社会保険労務士合格研究室

健康保険法「保険料免除」

R8-106 12.08

健康保険料の免除|産休・育休中

 産前産後休業期間中・育児休業期間中は、事業主が申出をすることにより、保険料が免除されます。

 

 用語の確認をしましょう。

・産前産後休業とは

 出産の日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産の日後56日までの間

 ※出産の日が出産の予定日後であるとき(予定日より遅れた場合)は、その分、産前休業が延びます。

(例)出産の日が出産の予定日より3日遅れた場合

出産の予定日以前42日(多胎妊娠の場合98日)+3+出産の日後56

・育児休業等とは

3歳に満たない子を養育するための育児休業(育児休業+育児休業に準じる休業)

 

条文を読んでみましょう

法第159

① 育児休業等をしている被保険者(産前産後休業中の保険料免除の適用を受けている被保険者を除く。)が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める月の当該被保険者に関する保険料(その育児休業等の期間が1か月以下である者については、標準報酬月額に係る保険料に限る)は、徴収しない。

1) その育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が終了する日の翌日が属する月とが異なる場合

→ その育児休業等を開始した日の属するからその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの月

2) その育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が終了する日の翌日が属する月とが同一であり、かつ、当該月における育児休業等の日数として厚生労働省令で定めるところにより計算した日数が14日以上である場合

→ 当該月

 

 

★(2)について

 同じ月内に、開始日と終了日の翌日がある場合、育児休業等の日数が14日以上ある場合は、その月の保険料は免除されます。

 下の図の場合は、12月の保険料は免除されます。

12月

 

育児休業(14日以上)

 

 

★「その育児休業等の期間が1か月以下である者については、標準報酬月額に係る保険料に限る。」の部分について

 「賞与」については、連続した1か月を超える育児休業等を取得した場合に、免除されます。

 下の図の場合、12月に賞与が支払われた場合は、賞与の保険料が免除されます。

12月

1月

 

育児休業(1か月超)

 

    

 

 下の図の場合、12月に賞与が支払われても、賞与の保険料は免除されません。

12月

1月

 

育児休業(1か月以内)

 

    

 

 

159条の3

 産前産後休業をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、その産前産後休業を開始した日の属するからその産前産後休業が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料を徴収しない。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

 産前産後休業期間中における保険料の免除については、例えば、516日に出産(多胎妊娠を除く。)する予定の被保険者が325日から出産のため休業していた場合、当該保険料の免除対象は4月分からであるが、実際の出産日が510日であった場合は3月分から免除対象となる。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 〇

 5月16日が出産予定日の場合、産前休業は、予定日以前4245日が開始日です。産前休業を開始した日の属する月(=4月)から免除対象です。

 実際の出産日が510日だった場合は、産前休業は出産日以前42330日が開始日です。そのため、産前休業を開始した日の属する月(=3月)から免除対象となります。

 

 

 

②【R5年出題】

 被保険者甲の産前産後休業開始日が令和41210日で、産前産後休業終了日が令和538日の場合は、令和412月から令和5年2月までの期間中の当該被保険者に関する保険料は徴収されない。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R5年出題】 〇

 免除の対象になるのは、産前産後休業を開始した日の属する(=令和412月)からその産前産後休業が終了する日の翌日が属する月(=令和53)の前月(=令和52月)までです。

 

 

 

➂【R7年出題】

 被保険者が令和7315日に出産した場合、令和73月分から健康保険法第159条に規定される育児休業期間中の保険料免除の対象となり、当該被保険者に関する保険料は徴収されない。

 

 

 

 

 

【解答】

➂【R7年出題】 ×

 令和7315日に出産した場合、令和7316日から510日までは産後休業です。

令和73月分は、「育児休業期間中」の保険料免除の対象ではありません。

 

 

 

④【R5年出題】

 被保険者乙の育児休業等開始日が令和5110日で、育児休業等終了日が令和5331日の場合は、令和51月から令和53月までの期間中の当該被保険者に関する保険料は徴収されない。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R5年出題】 〇

 問題文は、「育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が終了する日の翌日が属する月とが異なる場合」に該当します。

 育児休業等を開始した日の属する(令和51月)からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月(=4月・41日が属する月)前月3月)までの期間中の保険料が免除されます。

 

 

 

⑤【R5年出題】

 被保険者丙の育児休業等開始日が令和514日で、育児休業等終了日が令和5116日の場合は、令和51月の当該被保険者に関する保険料は徴収されない。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【R5年出題】 ×

 「育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が終了する日の翌日が属する月とが同一」ですので、保険料の免除を受けるには、「当該月における育児休業等の日数として厚生労働省令で定めるところにより計算した日数が14日以上」必要です。

 問題文の場合、育児休業等の日数が、令和514日~16日の「13日」しかありません。そのため、令和51月の保険料は免除されません。(徴収されます)

 

 

 

⑥【R4年出題】

 育児休業期間中に賞与が支払われた者が、育児休業期間中につき保険料免除の取扱いが行われている場合は、当該賞与に係る保険料が徴収されることはないが、標準賞与額として決定され、その年度における標準賞与額の累計額に含めなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

⑥【R4年出題】 〇

 育児休業期間中の保険料が免除されている期間に支払われた賞与については、当該賞与に係る保険料は徴収されません。ただし、標準賞与額として決定され、その年度の標準賞与額の累計額に含まれます。

 

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→ https://youtu.be/JVcrmcrJTAk?si=Kh7YwgV78PJrzASy

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