社会保険労務士合格研究室

国民年金法「時効」

R8-107 12.09

国年の時効|「基本権」と「支分権」など

 国民年金法の時効には、「2年」と「5年」があります。

 特に、「年金給付」と「死亡一時金」の違いに注意しましょう。

 国民年金の「給付」のうち、「年金給付」の時効は5年ですが、「死亡一時金」の時効は2年です。

 条文を読んでみましょう。

法第102

① 年金給付を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から5年を経過したとき、当該権利に基づき支払期月ごとに支払うものとされる年金給付の支給を受ける権利は、当該日の属する月の翌月以後に到来する当該年金給付の支給に係る支払期月の翌月の初日から5年を経過したときは、時効によって、消滅する。

② 年金給付を受ける権利の時効は、当該年金給付がその全額につき支給を停止されている間は、進行しない

➂ 年金給付を受ける権利又は当該権利に基づき支払期月ごとに支払うものとされる年金給付の支給を受ける権利については、会計法第31条の規定を適用しない。

④ 保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び死亡一時金を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したときは、時効によって消滅する。

 

<給付の時効について>

・年金給付を受ける権利(基本権)→ 支給すべき事由が生じた日から5年

・支分権 → 支払期月の翌月の初日から5年

死亡一時金 →行使することができる時から2年

 

 

過去問を解いてみましょう

①【H27年出題】※改正による修正あり

 年金給付を受ける権利及び死亡一時金を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から5年を経過したときは、時効によって消滅する。

 

 

 

 

【解答】

①【H27年出題】 ×

 「死亡一時金」の時効が誤りです。

・年金給付を受ける権利 → その支給すべき事由が生じた日から5年

・死亡一時金を受ける権利 → 行使することができる時から2年

 

 

 

 

②【R2年出題】

 年金給付を受ける権利に基づき支払期月ごとに支払うものとされる年金給付の支給を受ける権利については「支払期月の翌月の初日」がいわゆる時効の起算点とされ、各起算点となる日から5年を経過したときに時効によって消滅する。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R2年出題】 〇

 支払期月ごとに支払うものとされる年金給付の支給を受ける権利の時効の起算点は「支払期月の翌月の初日」です。

 

 

 

 

➂【R7年出題】

 保険料を滞納している者の保険料納付義務は、厚生労働大臣による督促があったとしても、2年で消滅する。

 

 

 

 

 

【解答】

➂【R7年出題】 ×

 第102条第5項で、「保険料その他この法律の規定による徴収金についての督促は時効の更新の効力を有する。」と規定されています。

 保険料の徴収権の時効は、納期限の翌日から2年ですが、厚生労働大臣による督促は「時効の更新の効力」を有します。時効の進行がゼロに戻りますので、2年では消滅しません。

 

 

 

④【R7年出題】

 失踪の宣告を受けた者に係る消滅時効の起算日は、死亡したとみなされた日の翌日であり、死亡したとみなされた日の翌日から2年を経過した後に、死亡一時金の請求権は時効によって消滅するため、死亡一時金は支給されない。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R7年出題】 ×

 死亡一時金の時効の起算日は、「死亡日の翌日」です。

 「失踪宣告」を受けた者に係る消滅時効の起算日については、「死亡とみなされた日(原則失踪の7年後)の翌日」とされています。

 ただし、「死亡一時金については、いわゆる掛け捨て防止の考え方に立って、一定期間加入したが、年金給付を受けることなく亡くなった方に対して一定の金額を支給するものである」ことを踏まえ、「失踪宣告の審判の確定日の翌日から2年以内に請求があった場合には、給付を受ける権利について時効を援用せず、死亡一時金を支給する」とされています。

(平26.3.27年管管発0327第2号)

 

 

 

⑤【R7年出題】

 年金給付を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から5年を経過すると時効によって消滅するため、障害認定日において、当該障害が、障害等級に該当する程度の障害の状態にない場合で、その後に障害の程度が増進したときでも、障害基礎年金の請求は、当該障害認定日から5年を経過する前に行わなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【R7年出題】 ×

 「障害認定日において、当該障害が、障害等級に該当する程度の障害の状態にない」場合で、その後に障害の程度が増進したときは、「障害認定日後65歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときは、その期間内に事後重症の障害基礎年金の支給を請求する」ことによって事後重症の障害基礎年金を受けることができます。

 事後重症の障害基礎年金は請求によって受給権が発生します。障害認定日から5年を経過する前に行わなければならないという規定はありません。

 

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