社会保険労務士合格研究室

国民年金法「老齢基礎年金」

R8-109 12.11

老齢基礎年金を繰下げ受給するための条件

 老齢基礎年金の受給権は、保険料納付済期間と保険料免除期間と合算対象期間を合わせて10年以上有する者が、65歳に達したときに、発生します。

 

条文を読んでみましょう

法第26

 老齢基礎年金は、保険料納付済期間又は保険料免除期間(学生納付特例及び納付猶予の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るものを除く)を有する者が65歳に達したときに、その者に支給する。ただし、その者の保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年に満たないときは、この限りでない

10年の計算には合算対象期間も合算されます。

 

 

 老齢基礎年金は繰り下げて受給することもできます。

 条文を読んでみましょう

法第28条第1項 (支給の繰下げ)

 老齢基礎年金の受給権を有する者であって66に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかったものは、厚生労働大臣に当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる

ただし、その者が65に達したときに、他の年金たる給付の受給権者であったとき、又は65歳に達した日から66歳に達した日までの間において他の年金たる給付の受給権者となったときは、この限りでない。

※他の年金たる給付とは

 ・国民年金の他の年金給付(付加年金を除く

 ・厚生年金保険法による年金たる保険給付(老齢を支給事由とするものを除く。)

 

 

 

過去問を解いてみましょう

①【R1年出題】

 65歳に達し老齢基礎年金の受給権を取得した者であって、66歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求しなかった者が、65歳に達した日から66歳に達した日までの間において障害基礎年金の受給権者となったときは、当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 〇

 「65に達したときに、他の年金たる給付の受給権者であったとき」、又は「65歳に達した日から66歳に達した日までの間において他の年金たる給付の受給権者となったときは」、繰下げの申出はできません。

 他の年金たる給付とは、「国民年金の他の年金給付(付加年金を除く)」、「厚生年金保険法による年金たる保険給付(老齢を支給事由とするものを除く。)」です。

 障害基礎年金は国民年金の他の年金給付に該当します。

 そのため、65歳に達した日から66歳に達した日までの間に障害基礎年金の受給権者となったときは、老齢基礎年金の支給繰下げの申出はできません。

 

 

 

②【R6年出題】

 老齢基礎年金の受給権を有する者であって66歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかった者が、65歳に達した日から66歳に達した日までの間において遺族厚生年金の受給権者となったが、実際には遺族厚生年金は受給せず老齢厚生年金を受給する場合は、老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R6年出題】 ×

 「遺族厚生年金」は、「厚生年金保険法による年金たる保険給付(老齢を支給事由とするものを除く。)」に該当します。

 「65歳に達した日から66歳に達した日までの間に遺族厚生年金受給権者となった」場合は、実際には遺族厚生年金は受給しなくても、支給繰下げの申出はできません。

 

 

➂【R1年出題】

 老齢厚生年金を受給中である67歳の者が、20歳から60歳までの40年間において保険料納付済期間を有しているが、老齢基礎年金の請求手続きをしていない場合は、老齢基礎年金の支給の繰下げの申出をすることで増額された年金を受給することができる。なお、この者は老齢基礎年金及び老齢厚生年金以外の年金の受給権を有していたことがないものとする。

 

 

 

 

 

 

【解答】

➂【R1年出題】 〇

 「厚生年金保険法による年金たる保険給付(老齢を支給事由とするものを除く。)」となっていますので、「老齢厚生年金」の受給権者でも老齢基礎年金の繰下げの申出をすることは可能です。

 

 

 

④【R7年出題】

 老齢基礎年金の受給権を有する者であって、かつ、他の年金給付(加給年金を除く。)又は厚生年金保険法による年金給付(老齢を支給事由とするものを除く。)の受給権者でない者による当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出は、65歳に達する前に行わなければならない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

④【R7年出題】 ×

 「65歳に達したときに、他の年金たる給付の受給権者であったとき」、又は「65歳に達した日から66歳に達した日までの間において他の年金たる給付の受給権者となったときは」繰下げの申出はできません。

 他の年金たる給付とは、「国民年金の他の年金給付(付加年金を除く)」、「厚生年金保険法による年金たる保険給付(老齢を支給事由とするものを除く。)」です。

 問題文は、「他の年金給付(加給年金を除く。)」となっていますが、加給年金ではなく付加年金です。

 又、支給繰下げの申出は、「65歳に達する前」にはできません。繰下げの申出ができるのは、「66に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかったもの」です。

 

YouTubeはこちらからどうぞ!

→  https://youtu.be/jyI6ABCVkJM?si=g8bVG3B0KmxG_b7X

社労士受験のあれこれ