社会保険労務士合格研究室

国民年金法「任意加入被保険者」

R8-111 12.13

任意加入被保険者の資格取得日

 第2号被保険者でもなく、第3号被保険者でもなく、第1号被保険者にも該当しない者は、国民年金に「任意加入」することができます。

 任意加入する目的は、「老齢基礎年金の受給資格期間を満たすため」、「老齢基礎年金の額を増やすため(満額にするため・満額に近づけるため)」です。

 

 

 任意加入被保険者の条文を読んでみましょう

法附則第5条第1項~第3項 (任意加入被保険者)

① 次の各号のいずれかに該当する者(第2号被保険者及び第3号被保険者除く)は、厚生労働大臣に申し出て、被保険者となることができる。

1) 日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であって、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができるもの(この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。)

2) 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者(この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。)

3) 日本国籍を有する者その他政令で定める者であって、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満のもの

② ①の1)又は(2)に該当する者が任意加入の申出を行おうとする場合には、口座振替納付を希望する旨の申出又は口座振替納付によらない正当な事由がある場合として厚生労働省令で定める場合に該当する旨の申出を厚生労働大臣に対してしなければならない。

➂ 任意加入の申出をした者は、その申出をした日に被保険者の資格を取得するものとする。

 

 

特例による任意加入被保険者についても条文を読んでみましょう

令和7法附則第40条第1項 (任意加入被保険者の特例)

昭和50年4月1日までの間に生まれた者であって、次の各号のいずれかに該当するもの(第2号被保険者を除く。)は、厚生労働大臣に申し出て、国民年金の被保険者となることができる。ただし、その者が同法による老齢基礎年金、厚生年金保険法による老齢厚生年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定めるものの受給権を有する場合は、この限りでない。

1) 日本国内に住所を有する65歳以上70歳未満の者(国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。)

2) 日本国籍を有する者であって、日本国内に住所を有しない65歳以上70歳未満のもの 

★任意加入被保険者の特例は、「65歳以上70歳未満」の者が対象です。

 ポイントは「昭和5041日以前生まれであること」、「老齢年金の受給権を有しないことです。

 老齢年金の受給権がある場合は、特例の任意加入被保険者になることはできません。そのため、老齢基礎年金の額を増やす目的の場合は、特例の任意加入はできません。

 

では、過去問を解いてみましょう

①【R2年出題】

 60歳で第2号被保険者資格を喪失した64歳の者(昭和3142日生まれ)は、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分を受給中であり、あと1年間、国民年金の保険料を納付すれば満額の老齢基礎年金を受給することができる。この者は、日本国籍を有していても、日本国内に住所を有していなければ、任意加入被保険者の申出をすることができない。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 ×

 「日本国籍を有する者その他政令で定める者であって、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満のもの」は任意加入することができます。

 問題文の場合は、日本国籍を有していますので、日本国内に住所を有していなくても、老齢基礎年金を満額にするために任意加入被保険者の申出をすることができます。

 

 

 

②【R2年出題】

 20歳から60歳までの40年間第1号被保険者であった60歳の者(昭和3542日生まれ)は、保険料納付済期間を30年間、保険料半額免除期間を10年間有しており、これらの期間以外に被保険者期間を有していない。この者は、任意加入の申出をすることにより任意加入被保険者となることができる。なお、この者は、日本国籍を有し、日本国内に住所を有しているものとする。

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【R2年出題】 〇

 保険料半額免除期間は老齢基礎年金の額の計算上、4分の3で計算されますので、問題文の条件ですと老齢基礎年金は満額になりません。

そのため、老齢基礎年金の額を増やすために、任意加入被保険者となることができます。

 

 

 

➂【R6年出題】

 甲(昭和34420日生まれ)は、20歳以後の学生であった期間は国民年金の加入が任意であったため加入していない。大学卒業後7年間は厚生年金保険の被保険者であったが30歳で結婚してから15年間は第3号被保険者であった。その後、45歳から20年間、再び厚生年金保険の被保険者となっていたが65歳の誕生日で退職した。甲の老齢基礎年金は満額にならないため、65歳以降国民年金に任意加入して保険料を納付することができる。

 

 

 

 

 

【解答】

➂【R6年出題】 ×

 任意加入被保険者の特例(65歳以上70歳未満)は、「老齢年金の受給権を有しない者」が対象です。

 甲は、受給資格期間を満たし老齢基礎年金の受給権がありますので、老齢基礎年金が満額でなくても、65歳以降は任意加入できません。

 

 

 

④【R7年出題】

 国民年金法附則第5条に基づく任意加入保険者については、厚生労働大臣に任意加入の申出をした日に資格を取得することになっているが、日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者の場合は、最長60歳まで遡って任意加入被保険者の資格を取得することができる。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R7年出題】 ×

 国民年金法附則第5条に基づく任意加入保険者は、厚生労働大臣に任意加入の申出をした日に資格を取得します。

 最長60歳まで遡って任意加入被保険者の資格を取得するという規定はありません。

 

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