「労働基準法を学ぶ」シリーズです。本日は「三六協定①」です。
★ 法定労働時間、法定休日の例外規定として、第33条と第36条があります。
第33条についてはコチラの記事をどうぞ
→H29.2.21 第33条 災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等
★ 第33条では災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等のルールが定められていますが、一般的な時間外労働・休日労働については、第36条で手続きが定められています。具体的には、労使協定の締結と行政官庁へ届け出ですが、第36条にちなんで、この労使協定は「三六協定」とよばれています。
★ では法第36条の空欄を埋めてみましょう。
(第36条 時間外及び休日の労働)
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に< A >場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下「労働時間」という。)又は前条の休日(以下「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、1日について2時間を超えてはならない。
(施行規則第16条)
① 使用者は、法第36条第1項の協定(三六協定)をする場合には、時間外又は休日の労働をさせる必要のある具体的事由、業務の種類、労働者の数並びに< B >及び < B >を超える一定の期間についての延長することができる時間又は労働させることができる休日について、協定しなければならない。
② ①の協定(労働協約による場合を除く。)には、< C >の定めをするものとする。
<解答>
A 届け出た B 1日 C 有効期間
ポイント!
三六協定には、時間外労働時間の枠を協定しなければなりません。
具体的には、「1日及び1日を超える一定の期間」の時間外労働の上限を協定します。 → 「1日を超える一定期間」は、「1日を超え3カ月以内の期間及び1年間」と決められています。
ということで三六協定には
① 1日の時間外労働の上限
② 1日を超え3カ月以内の期間の時間外労働の上限
③ 1年間の時間外労働の上限
を協定することになります。
例えば、「延長することができる時間 → 1日5時間、1か月40時間、1年300時間」というように協定します。
この場合、時間外労働は協定した時間の枠内ならOKですが、それを超える時間外労働は違法となります。
過去問をどうぞ。
<H24年出題>
労働基準法第36条に定めるいわゆる36協定は、これを所轄労働基準監督署長に届け出てはじめて使用者が労働者に適法に時間外労働又は休日労働を行わせることを可能とするのであって、法定労働時間を超えて労働させる場合、単に同協定を締結したのみでは、労働基準法違反の責を免れない。
<解答> ○
→ 「単に同協定を締結したのみでは、労働基準法違反の責を免れない。」がポイントです。
時間外労働・休日労働は、労使協定を届け出ることによって適法となります。協定を締結しただけではだめ。届出をしないと、時間外労働・休日労働をさせることはできません。
★ちなみに・・・
例えば、1年単位の変形労働時間制を採用するには労使協定を締結し、行政官庁へ届け出る義務があります。ただし、三六協定とは異なり、届け出をしなかった場合でも免罰効果は発生します。
労使協定届出のポイント
■ 届出をしないと免罰効果が発生しない(三六協定はこれに当たる) |
■ 届出義務がある(罰則もある)が、届出は免罰効果発生の要件ではない (例/1年単位の変形労働時間制はこれに当たる) |
■ そもそも届出義務がない (例/フレックスタイム制がこれに当たる) |
社労士受験のあれこれ