「労働基準法を学ぶ」シリーズ。本日のテーマは「制裁規定の制限」です。
就業規則の記載事項に「表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項」があり、「制裁」の定めをする場合は、種類及び程度を就業規則に記載しなければなりません。(相対的必要記載事項)
(労働基準法第89条 → こちらをどうぞ)
「制裁」の種類には、減給以外に、譴責、出勤停止、懲戒解雇などがありますが、その内容については、労働基準法による制限はありません。
ただし、「減給」は、労働した分の賃金をカットする制裁ですので、制限がないと、今月の賃金ゼロという事態もあり得ます。故に、労働者を守るため、労働基準法では「減給」制裁については制限を設けています。
では条文の確認です。空欄を埋めてください。
(第91条 制裁規定の制限)
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の< A >、総額が一賃金支払期における賃金の総額の < B >てはならない。
(解答) A 半額を超え B 10分の1を超え
★ 例えば、平均賃金10,000円、一賃金支払期の賃金30万円の場合であてはめてみましょう。
・ 1回の事案に対する減給額
→ 10,000円の半額=5,000円以内
・ 一賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額
→ 300,000円×10分の1=30,000円以内
過去問です。
<H14年出題>
就業規則で、労働者が遅刻をした場合にその時間に相当する賃金額を減額する制度を定める場合には、減給の制裁規定の制限に関する労働基準法第91条の規定の適用をうける。
<解答> ×
★ 例えば1時間遅刻したときに1時間分の賃金をカットすることは減給ではありません。(ノーワークノーペイです)
遅刻した時間を超える減給(労働した時間分まで減給してしまう)は、労基法第91条の適用を受けます。
社労士受験のあれこれ