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社会保険労務士合格研究室

令和5年度過去問で解ける問題 健康保険法

R6-073

R5.11.8 随時改定「固定的賃金の変動」の具体例

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は健康保険法です。

 

 

今日は随時改定です。

条文を読んでみましょう。

43条 

① 保険者等は、被保険者が現に使用される事業所において継続した3月間(各月とも、報酬支払の基礎となった日数が、17日以上でなければならない。)に受けた報酬の総額を3で除して得た額が、その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べて、著しく高低を生じた場合において、必要があると認めるときは、その額を報酬月額として、その著しく高低を生じた月の翌月から、標準報酬月額を改定することができる。

② 随時改定された標準報酬月額は、その年の8月(7月から12月までのいずれかの月から改定されたものについては、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。

 

★随時改定の要件は次の3つです。

ⅰ 昇給や降給で固定的賃金が変動した

ⅱ 変動した月から3か月間の報酬の平均による標準報酬月額と従前の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた

ⅲ 3か月間の全ての月の報酬支払基礎日数が17日以上である。(短時間労働者は11日以上

 

では、過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 被保険者が産前産後休業をする期間について、基本給は休業前と同様に支給するが、通勤の実績がないことにより、通勤手当が支給されない場合、その事業所の通勤手当の制度自体が廃止されたわけではないことから、賃金体系の変更にはあたらず、標準報酬月額の随時改定の対象とはならない。

  

②【R4年出題】

 自動車通勤者に対してガソリン単価を設定して通勤手当を算定している事業所において、ガソリン単価の見直しが月単位で行われ、その結果、毎月ガソリン単価を変更し通勤手当を支給している場合、固定的賃金の変動には該当せず、標準報酬月額の随時改定の対象とならない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 〇 

 産前産後休業中に、通勤の実績がないことにより、通勤手当が支給されない場合は、その事業所の通勤手当の制度自体が廃止されたわけではないので、賃金体系の変更にはあたらず、随時改定の対象となりません。

R4.9.5事務連絡より)

 随時改定の要件の一つに、「固定的賃金の変動」があります。

 給与体系の変更は固定的賃金の変動に当たりますが、「給与体系の変更に当たらない」事例の問題です。

 

②【R4年出題】 × 

 単価の変動が月ごとに生じる場合でも、固定的賃金の変更として取り扱います。

 ガソリン単価を月単位で見直し、毎月ガソリン単価を変更し通勤手当を支給している場合は、随時改定の対象となります。

R4.9.5事務連絡より)

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

X事業所では、新たに在宅勤務手当を設けることとしたが、当該手当は実費弁償分であることが明確にされている部分とそれ以外の部分があるものとなった。この場合には、当該実費弁償分については「報酬等」に含める必要はなく、それ以外の部分は「報酬等」に含まれる。また、当該手当について、月々の実費弁償分の算定に伴い実費弁償分以外の部分の金額に変動があったとしても、固定的賃金の変動に該当しないことから、随時改定の対象にはならない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇 

ポイント!

★在宅勤務手当の考え方

・実費弁償分 → 「報酬等」に含まれません。例えばパソコンの購入や通信に要する費用などです。

・実費弁償に当たらないもの(労働の対償として支払われる性質のもの) → 「報酬等」に含まれます。例えば、毎月5000円を渡し切りで支給するものです。

 

★在宅勤務手当について、月々の実費弁償分の算定に伴い実費弁償分以外の部分の金額に変動があったとしても、固定的賃金の変動に該当しないため、随時改定の対象になりません。

R4.9.5事務連絡より)

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