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R5-155
厚生年金保険の被保険者には第1号厚生年金被保険者、第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者、第4号厚生年金被保険者の4つの種別があります。
例えば、民間企業の会社員と、国家公務員の経験がある人の場合は、第1号厚生年金被保険者としての期間と、第2号厚生年金被保険者としての期間の2つの種別の被保険者であった期間を有することとなります。
今日は、2つ以上の種別の被保険者であった期間を有する場合の年金額の計算について確認しましょう。
では、過去問をどうぞ!
①【H29年出題】
2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の老齢厚生年金の額の計算においては、その者の2以上の被保険者の種別に係る期間を合算して1の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして平均標準報酬額を算出する。
②【H29年出題】
2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る障害厚生年金の額は、初診日における被保険者の種別に係る被保険者期間のみが計算の基礎とされる。
③【H28年出題】
障害厚生年金の受給権者であって、当該障害に係る障害認定日おいて2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る当該障害厚生年金の支給に関する事務は、当該障害に係る障害認定日における被保険者の種別に応じた実施機関が行う。
④【H30年出題】
障害等級1級の障害厚生年金の受給権者(厚生年金保険法第58条第1項第4号に規定するいわゆる長期要件には該当しないものとする。)が死亡し、その者が2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を有していた場合、遺族厚生年金の額については、その死亡した者に係る2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を合算し、1の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして額の計算をする。なお、それぞれの期間を合算しても300か月に満たない場合は、300か月として計算する。
⑤【H28年出題】
第1号厚生年金被保険者期間が15年、第3号厚生年金被保険者期間が18年ある老齢厚生年金の受給権者が死亡したことにより支給される遺族厚生年金は、それぞれの被保険者期間に応じてそれぞれの実施機関から支給される。
【解答】
①【H29年出題】 ×
例えば、第1号厚生年金被保険者期間が10年、第4号厚生年金被保険者期間が19年ある場合、合算して計算するのではなく、第1号厚生年金被保険者期間分と、第4号厚生年金被保険者期間分をそれぞれで計算します。
また、年金の支給は、10年分は厚生労働大臣から、19年分は日本私立学校振興・共済事業団から、それぞれ支給されます。
★2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の老齢厚生年金について
年金額の計算 | それぞれの種別ごとに計算 |
年金の支給事務 | それぞれの実施機関が行う |
(法第78条の26第2項)
②【H29年出題】 ×
「2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を合算し、1の期間に係る被保険者期間のみを有するもの」とみなして額を計算します。
(法第78条の30)
③【H28年出題】 ×
障害認定日ではなく「初診日」における被保険者の種別に応じた実施機関が行います。
(法第78条の33)
★2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の障害厚生年金について
年金額の計算 | 2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を合算 |
年金の支給事務 | 初診日に加入していた実施機関が行う |
④【H30年出題】 〇
短期要件の遺族厚生年金の額は、2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を合算し、1の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして額の計算をします。
(法第78条の32第1項)
⑤【H28年出題】 〇
長期要件の遺族厚生年金は、各号の被保険者期間に係る被保険者期間ごとにそれぞれの実施機関から支給されます。
(法第78条の32第2項)
★2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の遺族厚生年金について
年金額の計算 | <短期要件> 2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を合算 <長期要件> 各被保険者期間ごとに支給される |
年金の支給事務 | <短期要件> 死亡日(又は初診日)に加入していた実施機関が行う <長期要件> それぞれの実施機関が行う |
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R5-145
今日は、障害手当金の支給要件を確認しましょう。
障害手当金は、障害の状態が、障害厚生年金を受けることができる状態よりも軽いときに支給されます。
では、条文を読んでみましょう。
第55条第1項 障害手当金は、疾病にかかり、又は負傷し、その傷病に係る初診日において被保険者であった者が、当該初診日から起算して5年を経過する日までの間におけるその傷病の治った日において、その傷病により政令で定める程度の障害の状態にある場合に、その者に支給する。 |
障害の状態は、「初診日から起算して5年を経過する日までの間におけるその傷病の治った日」でみることになります。
「初診日から5年以内に治っていること」が条件です。治っているということは症状が固定していることです。
では、過去問をどうぞ!
【R2問10-エ】
障害厚生年金は、その傷病が治らなくても、初診日において被保険者であり、初診日から1年6か月を経過した日において障害等級に該当する程度の状態であって、保険料納付要件を満たしていれば支給対象となるが、障害手当金は、初診日において被保険者であり、保険料納付要件を満たしていたとしても、初診日から起算して5年を経過するまでの間に、その傷病が治っていなければ支給対象にならない。
【解答】
【R2問10-エ】 〇
障害厚生年金の障害状態は「障害認定日」で定められます。
障害認定日は、「初診日から1年6か月を経過した日」又は、「1年6か月以内に傷病が治った場合はその日」となります。傷病が治らなくても、初診日から1年6か月を経過した日に障害等級に該当する程度の状態であれば、要件を満たします。
一方、障害手当金は、初診日から起算して5年以内に、その傷病が「治っている」ことが条件ですので、治っていなければ支給されません。
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R5-136
障害厚生年金は、「初診日」、「保険料納付要件」、「障害認定日」の条件を満たせば、受給権が発生します。
今日は、「初診日」の要件を確認しましょう。
条文を読んでみましょう。
第47条 (障害厚生年金の受給権者) 障害厚生年金は、疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において被保険者であった者が、当該初診日から起算して1年6月を経過した日(その期間内にその傷病が治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)があるときは、その日とし、「障害認定日」という。)において、その傷病により障害等級(1級、2級、3級)に該当する程度の障害の状態にある場合に、その障害の程度に応じて、その者に支給する。 ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。 |
ポイント!
「初診日」とは、傷病につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日のことです。
「初診日」に厚生年金保険の被保険者であったことが条件です。
過去問をどうぞ!
①【R2問4-E】
厚生年金保険の被保険者であった者が資格を喪失して国民年金の第1号被保険者の資格を取得したが、その後再び厚生年金保険の被保険者の資格を取得した。国民年金の第1号被保険者であった時に初診日がある傷病について、再び厚生年金保険の被保険者となってから障害等級3級に該当する障害の状態になった場合、保険料納付要件を満たしていれば当該被保険者は障害厚生年金を受給することができる。
②【R2問4-B】
71歳の高齢任意加入被保険者が障害認定日において障害等級3級に該当する障害の状態になった場合は、当該高齢任意加入被保険者期間中に当該障害に係る傷病の初診日があり、初診日の前日において保険料の納付要件を満たしているときであっても、障害厚生年金は支給されない。
【解答】
①【R2問4-E】 ×
障害厚生年金は、初診日に「厚生年金保険の被保険者」であることが条件です。
問題文の場合、初診日は国民年金の第1号被保険者ですので、障害厚生年金の初診日要件を満たしません。そのため、障害厚生年金を受給することはできません。
②【R2問4-B】 ×
障害厚生年金は、初診日に「厚生年金保険の被保険者」であることが条件で、初診日に高齢任意加入被保険者だった場合は、初診日要件を満たします。
初診日に高齢任意加入被保険者で、初診日の前日に保険料の納付要件を満たしている場合は、障害厚生年金が支給されます。
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R5-126
障害厚生年金の額には、加給年金額が加算されます。
条文を読んでみましょう。
第50条の2 1 障害の程度が障害等級の1級又は2級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、受給権者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者があるときは、障害厚生年金の額に加給年金額を加算した額とする。 2 加給年金額は、22万4,700円に改定率を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)とする。 |
ポイント!
・加給年金額が加算されるのは1級と2級の障害厚生年金です。3級の障害厚生年金には加算されません。
・対象は65歳未満の配偶者です。子については障害基礎年金で加算が行われます。
・加給年金額は22万4,700円×改定率です。
障害等級1級又は2級 |
| 障害等級3級 |
障害厚生年金
+加給年金額(配偶者) |
|
障害厚生年金 |
障害基礎年金
+加算額(子) |
|
|
では、令和4年の問題をどうぞ!
①【問6-A】
障害等級1級又は2級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、当該受給権者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者又は子(18歳に達する日以後最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満で障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある子)があるときは、加給年金額が加算された額となる。
②【問6-B】
昭和9年4月2日以後に生まれた障害等級1級又は2級に該当する障害厚生年金の受給権者に支給される配偶者に係る加給年金額については、受給権者の生年月日に応じた特別加算が行われる。
【解答】
①【問6-A】 ×
障害厚生年金の加給年金額の対象は、65歳未満の配偶者のみです。子は障害厚生年金の加給年金額の対象になりません。
②【問6-B】 ×
障害厚生年金の額に加算される配偶者に係る加給年金額には、特別加算は行われません。
過去問をどうぞ!
【H29年出題】
障害等級1級に該当する障害厚生年金の受給権者が、その受給権を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持している65歳未満の配偶者を有するに至ったときは、当該配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、当該障害厚生年金の額に加給年金額が加算される。
【解答】
【H29年出題】 〇
障害厚生年金の受給権を取得した時点では、生計を維持している配偶者がなくても、受給権を取得した日の翌日以後に有するに至った場合は、加給年金額の対象になります。その場合は、配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、障害厚生年金の額に加給年金額が加算されます。
(法第50条の2第3項)
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R5-125
60歳台前半で在職中(=厚生年金保険の被保険者ということです。)の場合、60歳台前半の老齢厚生年金には、在職老齢年金の仕組みが適用されます。
また、雇用保険からは、高年齢雇用継続給付が支給される場合があります。
高年齢雇用継続給付は、60歳時点の賃金と比べて、60歳以後の賃金が60歳時の75%未満となった場合に、支給される給付です。
60歳以降の賃金が、60歳時点と比べて61%未満になった場合は、支給対象月の賃金の15%が高年齢雇用継続給付として支給されます。61%以上75%未満の場合は、15%から逓減する率となります。
雇用保険から高年齢雇用継続給付が支給される場合、在職老齢年金の支給停止基準額に加えて、60歳台前半の老齢厚生年金がカットされる仕組みになっています。
では、令和4年の問題をどうぞ!
【問8-D】
60歳以降も在職している被保険者が、60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者であって被保険者である場合で、雇用保険法に基づく高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けることができるときは、その間、60歳台前半の老齢厚生年金は全額支給停止となる。
【解答】
【問8-D】 ×
高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けることができる間、60歳代前半の老齢厚生年金は最大で標準報酬月額の6%が支給停止されますが、「全額支給停止」とは限りません。
★60歳以降の支給対象月の賃金が60歳時点と比べて61%未満になった場合、高年齢雇用継続基本給付金は「支給対象月の賃金の15%」が支給されます。
その場合、60歳台前半の老齢厚生年金は、「標準報酬月額の6%」が支給停止されます。
雇用保険から「15」支給されると、年金が「6」停止されるイメージです。
支給対象月の賃金が61%以上75%未満の場合は、高年齢雇用継続基本給付金は15%から逓減する率になりますが、その場合は老齢厚生年金の支給停止の率も6%から逓減する率となります。
過去問をどうぞ!
①【H30年出題】
在職老齢年金の仕組みにより支給停止が行われている特別支給の老齢厚生年金の受給権を有している63歳の者が、雇用保険法に基づく高年齢雇用継続基本給付金を受給した場合、当該高年齢雇用継続基本給付金の受給期間中は、当該特別支給の老齢厚生年金には、在職による支給停止基準額に加えて、最大で当該受給権者に係る標準報酬月額の10%相当額が支給停止される。
②【H24年出題】
60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者であって被保険者である場合に、雇用保険法に基づく高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けることができる者は、その者の老齢厚生年金について、標準報酬月額に法で定める率を乗じて得た額に相当する部分等が支給停止され、高年齢雇用継続基本給付金は支給停止されない。
【解答】
①【H30年出題】 ×
高年齢雇用継続基本給付金の受給による特別支給の老齢厚生年金の支給停止額は、最大で「標準報酬月額の6%」です。
②【H24年出題】 〇
高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けることができる場合、60歳代前半の老齢厚生年金は、最大で標準報酬月額の6%に相当する部分が支給停止されます。一方、雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金は支給停止されません。
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R5-124
加給年金額が加算された老齢厚生年金は、対象の配偶者や子が一定の要件に該当した場合は、加給年金額が加算されなくなります。
条文を読んでみましょう。
第44条第4項 加給年金額が加算された老齢厚生年金については、配偶者又は子が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、その者に係る加給年金額を加算しないものとし、次の各号のいずれかに該当するに至った月の翌月から、年金の額を改定する。 1死亡したとき。 2 受給権者による生計維持の状態がやんだとき。 3 配偶者が、離婚又は婚姻の取消しをしたとき。 4 配偶者が、65歳に達したとき。 5 子が、養子縁組によって受給権者の配偶者以外の者の養子となったとき。 6 養子縁組による子が、離縁をしたとき。 7 子が、婚姻をしたとき。 8 子(障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子を除く。)について、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき。 9 障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子を除く。)について、その事情がやんだとき。 10 子が、20歳に達したとき。 |
例えば、加給年金額の対象になる配偶者は65歳未満という年齢要件があります。そのため、配偶者が65歳に達すると加給年金額が加算されなくなり、その翌月から減額改定されます。
では、令和4年の問題をどうぞ!
①【問6-E】
老齢厚生年金の加給年金額の対象となっている配偶者が、収入を増加させて、受給権者による生計維持の状態がやんだ場合であっても、当該老齢厚生年金の加給年金額は減額されない。
②【問3-B】
老齢厚生年金の加給年金額の加算の対象となっていた子(障害等級に該当する障害の状態にないものとする。)が、18歳に達した日以後の最初の3月31日よりも前に婚姻したときは、その子が婚姻した月の翌月から加給年金額の加算がされなくなる。
【解答】
①【問6-E】 ×
加給年金額の対象となる配偶者は受給権者によって「生計を維持」していたことが条件です。
そのため、受給権者による生計維持の状態がやんだ場合は、加給年金額は加算されなくなり、翌月から加給年金額は減額されます。
(法第44条第4項第2号)
②【問3-B】 〇
子が婚姻したときは加給年金額は加算されなくなります。18歳に達した日以後の最初の3月31日よりも前に婚姻したときでも、婚姻した月の翌月から加給年金額は減額されます。
(法第44条第4項第7号)
過去問をどうぞ!
①【R3年出題】
障害等級2級に該当する程度の障害の状態であり老齢厚生年金における加給年金額の加算の対象となっている受給権者の子が、17歳の時に障害の状態が軽減し障害等級2級に該当する程度の障害の状態でなくなった場合、その時点で加給年金額の加算の対象から外れ、その月の翌月から年金の額が改定される。
②【H26年出題】
老齢厚生年金に加算される加給年金額の対象となる配偶者(昭和24年4月2日生まれ)が受給資格期間を満たさないため老齢基礎年金を受給できない場合には、当該配偶者が65歳に達した日の属する月の翌月以後も引き続き加給年金額が加算される。
【解答】
①【R3年出題】 ×
障害等級2級に該当しなくなっても、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある場合は、加給年金額は減額されません。
問題文の場合は、17歳ですので、障害等級2級でなくなっても、その時点では加給年金額の加算の対象からは外れません。
(法第44条第4項第9号)
②【H26年出題】 ×
配偶者が、65歳に達したときは、加給年金額の対象から外れます。受給資格期間を満たさないため老齢基礎年金を受給できなかったとしても加給年金額は減額されます。
※配偶者が大正15年4月1日以前生まれ(旧法対象者)の場合は、65歳に達した日の属する月の翌月以後も引き続き加給年金額が加算されます。
(法第44条第4項第4号)
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R5-104
厚生年金保険の被保険者期間が原則として20年以上ある人に、生計維持関係のある配偶者や子がいる場合は、老齢厚生年金に加給年金額が加算されます。
ただし、その加給年金額は、支給停止されることもあります。
条文を読んでみましょう。
第46条第6項 加給年金額が加算された老齢厚生年金については、加算が行われている配偶者が、老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る。)、障害厚生年金、国民年金法による障害基礎年金その他の年金たる給付のうち、老齢若しくは退職又は障害を支給事由とする給付であって政令で定めるものの支給を受けることができるときは、その間、当該配偶者について加算する額に相当する部分の支給を停止する。 |
今日は、「老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る。)」の部分を見ていきます。
加給年金額の加算対象の配偶者が、被保険者期間の月数が240以上で計算される老齢厚生年金の支給を受けることができる場合は、加給年金額は支給停止されます。
※原則は240月(20年)以上が対象ですが、中高齢の期間短縮特例に該当する場合は、15~19年となります。
では、令和4年の問題をどうぞ!
【問9-E】
加給年金額が加算されている老齢厚生年金の受給者である夫について、その加算の対象となっている妻である配偶者が、老齢厚生年金の計算の基礎となる被保険者期間が240月以上となり、退職し再就職はせずに、老齢厚生年金の支給を受けることができるようになった場合、老齢厚生年金の受給者である夫に加算されていた加給年金額は支給停止となる。
【解答】
【問9-E】 〇
加給年金額の加算の対象となっている妻が、厚生年金保険の被保険者期間が240月以上の老齢厚生年金の支給を受けることができるようになった場合は、夫の老齢厚生年金に加算されていた加給年金額は支給停止となります。
★令和4年4月の改正点を確認しましょう。
<改正前>
配偶者の240月以上の老齢厚生年金が在職老齢年金の仕組みで全額支給停止されている場合 → 本人の老齢厚生年金に加算される加給年金額は支給されることになっていました。
<改正後>
配偶者の240月以上の老齢厚生年金が在職老齢年金の仕組みで全額支給停止されている場合 → 本人の老齢厚生年金に加算される加給年金額は支給停止されることになりました。(施行令第3条の7)
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R5-103
年金の受給権者が死亡した場合、必ず、未支給年金が発生します。
年金は権利が消滅した月まで支払われますので、例えば、12月20日に死亡した場合、年金は12月分まで支払われます。
年金は2か月分ずつ後払いされます。10月分と11月分が12月に支給されていますが、12月分は未支給となります。
まず、未支給保険給付の条文を読んでみましょう。
第37条 (未支給の保険給付) ① 保険給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。 ③ 死亡した受給権者が死亡前にその保険給付を請求していなかったときは、①に規定する者は、自己の名で、その保険給付を請求することができる。 ④ 未支給の保険給付を受けるべき者の順位は、政令で定める。 ⑤ 未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。 |
★ 未支給保険給付(=「保険給付」ですので、年金のみならず一時金も含まれます)が発生するのは、以下の場合です。
・ 保険給付の受給権者が死亡した場合で、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるとき
・ 死亡した受給権者が死亡前にその保険給付を請求していなかったとき
★ 未支給の保険給付を請求することができるのは、以下の遺族です。
その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた死亡した受給権者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族
では、令和4年の問題をどうぞ!
【問10-E】
保険給付の受給権者が死亡し、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときにおいて、未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなされる。
【解答】
【問10-E】 〇
未支給の保険給付を受けることができる順位は、①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹、⑦①から⑥以外の3親等内の親族です。
同順位者が2人以上あるときは、そのうち1人が代表して請求することになります。その1人がした請求は、全員のためその全額につきしたものとなり、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとなります。
過去問をどうぞ!
①【H30年出題】
保険給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた者であれば、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族は、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。
②【H23年出題】
保険給付の受給権者の死亡に係る未支給の保険給付がある場合であって、当該未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、当該同順位者の数で按分した額をそれぞれに支給する。
【解答】
①【H30年出題】 〇
未支給の保険給付は、「死亡した受給権者の名」ではなく、請求する遺族の「自己の名」で請求することがポイントです。
②【H23年出題】 ×
同順位者が2人以上あるときは、そのうち1人が代表して請求することになり、その1人がした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなされ、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなされますので、「同順位者の数で按分した額をそれぞれに支給する」は誤りです。
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R5-102
老齢厚生年金の受給権を有する者で、その受給権を取得した日から起算して1年を経過した日前に当該老齢厚生年金を請求していなかったものは、実施機関に老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができます。
今日は、2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の、繰下げの申出についてみていきましょう。
では、令和4年の問題をどうぞ!
【問9-D】
2つの種別の厚生年金保険の被保険者期間を有する者が、老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行う場合、両種別の被保険者期間に基づく老齢厚生年金の繰下げについて、申出は同時に行わなければならない。
【解答】
【問9-D】 〇
第78条の28で、「2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る老齢厚生年金について、一の期間に基づく老齢厚生年金についての支給繰下げの申出は、他の期間に基づく老齢厚生年金についての当該申出と同時に行わなければならない」と規定されています。
2つの種別の厚生年金保険の被保険者期間を有する者が、老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行う場合は、繰下げの申出は同時に行わなければなりません。
(法第78条の28)
過去問をどうぞ!
①【H30年出題】
第1号厚生年金被保険者期間と第2号厚生年金被保険者期間を有する者に係る老齢厚生年金について、支給繰下げの申出を行う場合、第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金の申出と、第2号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金の申出を同時に行わなければならない。
【解答】
①【H30年出題】 〇
問題文の場合、支給繰下げの申出は、第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金と、第2号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金を同時に行わなければなりません。
2つ以上の種別の老齢厚生年金を受けることができる場合は、全て同時に繰下げの申出をしなければなりません。
こちらの過去問もどうぞ!
②【H28年出題】
平成19年4月1日以後に老齢厚生年金の受給権を取得した者の支給繰下げの申出は、必ずしも老齢基礎年金の支給繰下げの申出と同時に行うことを要しない。
③【H27年出題】
老齢厚生年金の支給繰上げの請求は、老齢基礎年金の支給繰上げの請求と同時に行わなければならない。
【解答】
②【H28年出題】 〇
老齢厚生年金の支給繰下げの申出は、老齢基礎年金の支給繰下げの申出と同時に行う必要はありません。
老齢厚生年金のみ繰下げる又は老齢基礎年金のみ繰下げることも可能です。
(法第44条の3)
③【H27年出題】 〇
老齢厚生年金の支給繰上げの請求は、老齢基礎年金の支給繰上げの請求と同時に行う必要があります。老齢基礎年金のみ繰上げる、又は老齢厚生年金のみ繰上げることはできません。
(法附則第7条の3第2項)
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R5-101
短時間労働者の社会保険の適用条件を確認しましょう。
短時間労働者に対する適用について
◎「1週の所定労働時間」及び「1月の所定労働日数」が、同一の事業所に使用される通常の労働者の所定労働時間及び所定労働日数の4分の3以上(以下「4分の3基準」といいます。)である労働者については、厚生年金保険・健康保険の被保険者となります。
◎ 4分の3基準を満たさない場合でも、以下の①から④までの4つの要件を満たす短時間労働者については、厚生年金保険・健康保険の被保険者となります。
① 1週の所定労働時間が20時間以上であること。
② 月額賃金が8.8万円以上であること。
③ 学生でないこと。
④ 以下のいずれかの適用事業所に使用されていること
(i) 特定適用事業所
(ii) 労使合意により事業主が適用拡大を行う旨の申出を行った特定適用事業所以外の適用事業所(国又は地方公共団体の適用事業所を除く。)
(iii) 国又は地方公共団体の適用事業所
※「特定適用事業所」の企業規模要件は、令和4年10月の改正で、500人超える企業から、「100人」を超える企業に引き下げられました。
参照:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の更なる適用拡大に係る事務の取扱いに関するQ&A集の送付について(令和4年3月18日事務連絡)
では、令和4年の問題をどうぞ!
【問7-A】
常時40人の従業員を使用する地方公共団体において、1週間の所定労働時間が25時間、月の基本給が15万円で働き、継続して1年以上使用されることが見込まれる短時間労働者で、生徒又は学生でないX(30歳)は、厚生年金保険の被保険者とはならない。
【解答】
【問7-A】 ×
Xは、短時間労働者の社会保険適用の4つの条件に当てはまりますので、厚生年金保険の被保険者となります。
① 1週の所定労働時間が25時間 → 20時間以上
② 月額賃金が15万円 → 8.8万円以上
③ 学生でない
④ 地方公共団体に使用されている
※地方公共団体は、平成29年4月から被保険者数に関わらず、適用されます。
★なお、令和4年10月の改正で、「継続して1年以上使用されることが見込まれる」という雇用期間の要件はなくなりました。雇用期間は、通常の被保険者と同様に「2か月を超えて見込まれること」となります。
過去問をどうぞ!
【R2年出題】
特定適用事業所に使用される者は、その1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満であって、厚生年金保険法の規定により算定した報酬の月額が88,000円未満である場合は、厚生年金保険の被保険者とならない。
【解答】
【R2年出題】 〇
問題文の場合、4分の3基準を満たさない短時間労働者ですので、厚生年金保険の被保険者となるには、報酬の月額が88,000円以上あることが必要です。
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R5-082
70歳以上の者で、老齢基礎年金、老齢厚生年金など老齢又は退職を支給事由とする年金受給権を有しないものは、任意に厚生年金保険に加入することができます。
高齢任意加入被保険者には、「適用事業所に使用される者」と「適用事業所以外の事業所に使用される者」の2種類あります。
それぞれの違いが、出題ポイントです。
今日は、高齢任意加入被保険者の保険料の負担について確認しましょう。
| 保険料 |
適用事業所の 高齢任意加入被保険者 | 原則 全額自己負担 ※事業主の同意がある場合は折半で負担することもできる |
適用事業以外の事業所の 高齢任意加入被保険者 | 事業主と折半で負担 ※加入について、保険料の負担について事業主の同意を得たうえで、厚生労働大臣の認可を受ける |
では、令和4年の問題をどうぞ!
①【問2-A】
適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者(以下「当該被保険者」という。)を使用する適用事業所の事業主が、当該被保険者に係る保険料の半額を負担し、かつ当該被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負うことにつき同意をしたときを除き、当該被保険者は保険料の全額を負担するが、保険料の納付義務は当該被保険者が保険料の全額を負担する場合であっても事業主が負う。
②【問2-C】
適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者(以下「当該被保険者」という。)が保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を滞納し、厚生労働大臣が指定した期限までにその保険料を納付しないときは、厚生年金保険法第83条第1項に規定する当該保険料の納期限の属する月の末日に、その被保険者の資格を喪失する。なお、当該被保険者の事業主は、保険料の半額を負担し、かつ、当該被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負うことについて同意していないものとする。
【解答】
①【問2-A】 ×
適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者は、保険料の全額を負担し、かつ、保険料の納付義務も本人が負います。
なお、事業主の同意がある場合は、事業主が保険料の半額を負担し、かつ、保険料の納付義務も事業主が負います。
(附則第4条の3第7項)
②【問2-C】 ×
適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者が保険料を滞納し、厚生労働大臣が指定した期限までに納付しないときは、当該保険料の納期限の属する月の「前月の末日」に資格を喪失します。
なお、初めて納付すべき保険料を滞納し、指定の期限までに納付しないときは、被保険者とならなかったものとみなされます。
また、事業主の同意がある場合は、事業主が保険料の納付義務を負いますので、保険料滞納による資格喪失はありません。
(附則第4条の3第6項)
※ちなみに、「適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上」の者は、保険料の納付義務について事業主の同意を得ることが前提ですので、滞納による資格喪失はありません。
では、過去問をどうぞ!
【H29年出題】
高齢任意加入被保険者を使用する適用事業所の事業主は、当該被保険者に係る保険料の半額を負担し、かつ、当該被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負うことにつき同意すること及びその同意を将来に向かって撤回することができるとされているが、当該被保険者が第4号厚生年金被保険者であるときは、この規定は適用されない。
【解答】
【H29年出題】 ×
高齢任意加入被保険者を使用する適用事業所の事業主は、保険料の半額を負担し、かつ、保険料を納付する義務を負うことにつき同意することができます。又、その同意を将来に向かって撤回することもできます。ただし、「第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者」に係る事業主には適用されません。
(法附則第4条の3第7項、8項、10項)
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R5-081
令和4年4月に在職定時改定が導入されました。
65歳以降も働いている場合は、負担した保険料が、毎年、年金額に反映する仕組みです。
条文を読んでみましょう。
第43条第2項 受給権者が毎年9月1日(以下「基準日」という。)において被保険者である場合(基準日に被保険者の資格を取得した場合を除く。)の老齢厚生年金の額は、基準日の属する月前の被保険者であった期間をその計算の基礎とするものとし、基準日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。 ただし、基準日が被保険者の資格を喪失した日から再び被保険者の資格を取得した日までの間に到来し、かつ、当該被保険者の資格を喪失した日から再び被保険者の資格を取得した日までの期間が1月以内である場合は、基準日の属する月前の被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、基準日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。 |
★在職定時改定は、65歳以上70歳未満の受給権者が対象です。60歳台前半の老齢厚生年金には適用されません。
★毎年9月1日(基準日)に基準日の属する月前の被保険者であった期間を、老齢厚生年金の額に反映させ、基準日の属する月の翌月(10月)から年金の額を改定する仕組みです。
厚生年金保険の被保険者(在職中) | ||
| ②の期間分→令和6年10月から増額 | |
| ①の期間分→令和5年10月から増額 | |
老齢厚生年金
| ||
老齢基礎年金 | ||
65歳 ①基準日 ②基準日
(令和5年9月1日) (令和6年9月1日)
①の期間 → 65歳到達月から令和5年8月まで
②の期間 → 前年9月から令和6年8月まで
令和4年の問題をどうぞ!
【問9-B】
65歳以上の老齢厚生年金受給者については、毎年基準日である7月1日において被保険者である場合、基準日の属する月前の被保険者であった期間をその計算の基礎として、基準日の属する月の翌月から、年金の額を改定する在職定時改定が導入された。
【解答】
【問9-B】 ×
基準日は7月1日ではなく「9月1日」です。
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R5-080
「経過的加算額」は在職老齢年金の支給停止の対象となるか?ならないかが今日のテーマです。
まず、在職老齢年金の条文を読んでみましょう。
第46条 老齢厚生年金の受給権者が被保険者(前月以前の月に属する日から引き続き当該被保険者の資格を有する者に限る。)である日(厚生労働省令で定める日を除く。)が属する月において、その者の標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額(以下「総報酬月額相当額」という。)及び老齢厚生年金の額(加給年金額及び繰下げ加算額を除く。)を12で除して得た額(以下「基本月額」という。)との合計額が支給停止調整額を超えるときは、その月の分の当該老齢厚生年金について、総報酬月額相当額と基本月額との合計額から支給停止調整額を控除して得た額の2分の1に相当する額に12を乗じて得た額(以下「支給停止基準額」という。)に相当する部分の支給を停止する。 ただし、支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部(繰下げ加算額を除く。)の支給を停止するものとする。 |
★経過的加算額については法附則で規定されています。確認しましょう。
・基本月額の計算では、繰下げ加算額と同じように除外されます。
・支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときでも、繰下げ加算額は支給停止されず全額支給されますが、経過的加算額も同じように全額支給されます。
(S60年法附則第26条第1項)
令和4年の問題をどうぞ!
【問8-C】
在職中の被保険者が65歳になり老齢基礎年金の受給権が発生した場合、老齢基礎年金は在職老齢年金の支給停止額を計算する際に支給停止の対象とはならないが、経過的加算額については在職老齢年金の支給停止の対象となる。
【解答】
【問8-C】 ×
経過的加算額は在職老齢年金の支給停止の対象にはなりません。
なお、老齢基礎年金も在職老齢年金の支給停止の対象となりません。
過去問もどうぞ!
①【H29年出題】
60歳台後半の在職老齢年金の仕組みにおいて、経過的加算額及び繰下げ加算額は、支給停止される額の計算に用いる基本月額の計算の対象に含まれる。
②【H26年出題】
66歳で支給繰下げの申出を行った68歳の老齢厚生年金の受給権者が被保険者となった場合、当該老齢厚生年金の繰下げ加算額は在職老齢年金の仕組みによる支給停止の対象とならない。
③【H24年出題】
60歳台後半の在職老齢年金においては、支給停止の対象となるのは老齢厚生年金と経過的加算額であり、老齢基礎年金は支給停止の対象にはならない。
【解答】
①【H29年出題】 ×
経過的加算額も繰下げ加算額も、基本月額の計算から除かれます。
②【H26年出題】 〇
老齢厚生年金の繰下げ加算額は、在職老齢年金の支給停止の対象になりません。老齢厚生年金が全額支給停止されても、繰下げ加算額は全額支給されます。
③【H24年出題】 ×
60歳台後半の在職老齢年金で、経過的加算額と繰下げ加算額は支給停止の対象になりませんので、全額支給されます。
なお、老齢基礎年金も支給停止の対象にはなりません。
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R5-079
在職老齢年金のルールを確認しましょう。
・「基本月額+総報酬月額相当額」が47万円以下の場合
→ 老齢厚生年金は全額支給されます
・「基本月額+総報酬月額相当額」が47万円を超える場合
→ 老齢厚生年金の一部又は全部が支給停止されます。
→ 支給停止額は、「(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2」で計算します。
条文を読んでみましょう。
第46条 老齢厚生年金の受給権者が被保険者(前月以前の月に属する日から引き続き当該被保険者の資格を有する者に限る。)である日(厚生労働省令で定める日を除く。)が属する月において、その者の標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額(以下「総報酬月額相当額」という。)及び老齢厚生年金の額(加給年金額及び繰下げ加算額を除く。)を12で除して得た額(以下「基本月額」という。)との合計額が支給停止調整額を超えるときは、その月の分の当該老齢厚生年金について、総報酬月額相当額と基本月額との合計額から支給停止調整額を控除して得た額の2分の1に相当する額に12を乗じて得た額(以下「支給停止基準額」という。)に相当する部分の支給を停止する。 ただし、支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部(繰下げ加算額を除く。)の支給を停止するものとする。 |
用語の定義をおさえましょう。
総報酬月額相当額 →標準報酬月額+その月以前の1年間の標準賞与額の総額÷12
基本月額 →老齢厚生年金の額(加給年金額及び繰下げ加算額を除く。)÷12
支給停止基準額 →(総報酬月額相当額+基本月額-支給停止調整額)×2分の1×12
★「支給停止調整額」は、令和4年度は47万円です。
では、令和4年の問題をどうぞ!
【問8-E】
在職老齢年金について、支給停止額を計算する際に使用される支給停止調整額は、一定額ではなく、年度ごとに改定される場合がある。
【解答】
【問8-E】 〇
支給停止調整額は、名目賃金変動率に応じて改定されます。令和4年度は47万円ですが、年度によっては改定されることもあります。
なお、支給停止調整額を計算する際の端数処理は、5千円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、5千円以上1万円未満の端数が生じたときは、これを1万円に切り上げるものとされています。
(法第46条第3項)
では、過去問をどうぞ!
【H28年選択】
厚生年金保険法第46条第1項の規定によると、60歳台後半の老齢厚生年金の受給権者が被保険者(前月以前の月に属する日から引き続き当該被保険者の資格を有する者に限る。)である日(厚生労働省令で定める日を除く。)が属する月において、その者の標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額(以下「< A >」という。)及び老齢厚生年金の額(厚生年金保険法第44条第1項に規定する加給年金額及び同法第44条の3第4項に規定する加算額を除く。以下同じ。)を12で除して得た額(以下「基本月額」という。)との合計額が< B >を超えるときは、その月の分の当該老齢厚生年金について、< A >と基本月額との合計額から< B >を控除して得た額の2分の1に相当する額に12を乗じて得た額(以下「< C >」という。)に相当する部分の支給を停止する。ただし、< C >が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部(同法第44条の3条第4項に規定する加算額を除く。)の支給を停止するものとされている。
【解答】
A 総報酬月額相当額
B 支給停止調整額
C 支給停止基準額
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R5-054
厚生年金保険の当然被保険者は、適用事業所に使用される70歳未満の者です。
厚生年金保険の被保険者資格は70歳に達したときに喪失します。そのため、70歳以上の者は、在職中でも厚生年金保険の保険料は徴収されません。
しかし、在職老齢年金の仕組みは、70歳以上の者にも適用されます。
厚生年金保険の被保険者の場合は、総報酬月額相当額は、「標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額」となります。一方、70歳以上の者は厚生年金保険の被保険者ではありませんので、総報酬月額相当額は、「その者の標準報酬月額に相当する額とその月以前の1年間の標準賞与額及び標準賞与額に相当する額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額」となります。
では、令和4年の問題をどうぞ!
【問8-B】
在職老齢年金は、総報酬月額相当額と基本月額との合計額が支給停止調整額を超える場合、年金額の一部又は全部が支給停止される仕組みであるが、適用事業所に使用される70歳以上の者に対しては、この在職老齢年金の仕組みが適用されない。
【解答】
【問8-B】 ×
適用事業所に使用される70歳以上の者は厚生年金保険の被保険者ではなく、保険料も徴収されませんが、在職老齢年金の仕組みは適用されます。
(法第46条)
過去問をどうぞ!
①【H23年出題】※改正による修正あり
老齢厚生年金を受給している被保険者であって適用事業所に使用される者が70歳に到達したときは、その日に被保険者の資格を喪失し、当該喪失日が属する月以後の保険料を納めることはないが、一定の要件に該当する場合は、老齢厚生年金の一部又は全部が支給停止される。
②【H28年出題】
昭和12年4月1日以前生まれの者が平成28年4月に適用事業所に使用されている場合、その者に支給されている老齢厚生年金は、在職老齢年金の仕組みによる支給停止が行われることはない。
【解答】
①【H23年出題】 〇 ※改正による修正あり
適用事業所に使用される70歳以上の者には、在職老齢年金の仕組みが適用されます。
②【H28年出題】 ×
当初は、70歳以上の者のうち昭和12年4月1日以前生まれの者には、在職老齢年金の仕組みは適用されていませんでした。
しかし、平成27年10月1日の改正により、昭和12年4月1日以前生まれの70歳以上の者にも、在職老齢年金の仕組みが適用されることになりました。
昭和12年4月1日以前生まれの者が平成28年4月に適用事業所に使用されている場合、在職老齢年金の仕組みによる支給停止が行われることがあります。
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R5-053
強制適用事業所が、従業員の減少などで強制適用事業所の要件を欠いた場合は、任意適用事業所の認可を受けたものとみなされます。このことを擬制適用といいます。
擬制適用によって、その事業所で働く従業員は引き続き社会保険の適用を受けることができます。
条文を読んでみましょう。
第7条 強制適用事業所が、強制適用の要件に該当しなくなったときは、その事業所について任意適用事業所の認可があったものとみなす。 |
例えば、個人の事業所の従業員の数が5人未満になった、法人の事業所が個人の事業所になった場合など、強制適用事業所の要件に該当しなくなる場合があります。
その場合は、「認可があったものとみなす」扱いとなります。改めて適用事業所となるための認可の申請手続きをとらなくても、引き続き厚生年金保険の適用事業所のままです。
では、令和4年の問題をどうぞ!
【問7-D】
厚生年金保険の強制適用事業所であった個人事業所において、常時使用する従業員が5人未満となった場合、任意適用の申請をしなければ、適用事業所ではなくなる。
【解答】
【問7-D】 ×
認可があったものとみなされますので、任意適用の申請をしなくても、引き続き適用事業所となります。
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【R1年出題】
個人経営の青果商である事業主の事業所は、常時5人以上の従業員を使用していたため、適用事業所となっていたが、その従業員数が4人になった。この場合、適用事業所として継続するためには、任意適用事業所の認可申請を行う必要がある。
【解答】
【R1年出題】 ×
任意適用事業所の認可申請を行わなくても、適用事業所として継続します。
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R5-052
今日は、遺族厚生年金・中高齢寡婦加算の年齢要件を確認しましょう。
条文を読んでみましょう。
第59条 (遺族厚生年金の遺族) 遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であった者の配偶者、子、父母、孫又は祖父母であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時(失踪の宣告を受けた被保険者であった者にあっては、行方不明となった当時。)その者によって生計を維持したものとする。ただし、妻以外の者にあっては、次に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。 1 夫、父母又は祖父母については、55歳以上であること。 2 子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、又は20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。 |
第62条 (中高齢寡婦加算) 遺族厚生年金(長期要件に該当することにより支給されるものであって、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240未満であるものを除く。)の受給権者である妻であってその権利を取得した当時40歳以上65歳未満であったもの又は40歳に達した当時当該被保険者若しくは被保険者であった者の子で遺族基礎年金の遺族の要件に該当するものと生計を同じくしていたものが65歳未満であるときは、遺族厚生年金の額に遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)を加算する。 |
ポイント!
★遺族厚生年金の遺族の要件
妻には年齢要件・障害要件はありません。
夫、父母、祖父母には年齢要件、子、孫には年齢要件・障害要件があります。
★中高齢寡婦加算の妻の要件
対象は妻のみです。
・遺族厚生年金の受給権取得当時、生計を同じくする子がいない場合(遺族基礎年金が支給されない場合) → 夫の死亡当時、妻の年齢が40歳以上65歳未満であること
・遺族厚生年金の受給権取得当時、生計を同じくする子がいる場合(遺族基礎年金が支給される場合) → 妻が40歳に達した当時遺族基礎年金を受けていること
※中高齢寡婦加算が加算されるのは、65歳に達するまでです。
では、令和4年の問題をどうぞ!
【問10-C】
被保険者であった45歳の夫が死亡した当時、当該夫により生計を維持していた子のいない38歳の妻は遺族厚生年金を受けることができる遺族となり中高齢寡婦加算も支給されるが、一方で、被保険者であった45歳の妻が死亡した当時、当該妻により生計を維持していた子のいない38歳の夫は遺族厚生年金を受けることができる遺族とはならない。
【解答】
【問10-C】 ×
・夫の死亡当時、子のいない38歳の妻
→ 「遺族厚生年金」は受けることができます。中高齢寡婦加算は、子がいない場合は夫の死亡当時40歳以上であることが要件ですので、中高齢寡婦加算は支給されません。
・妻の死亡した当時、子のいない38歳の夫
→ 夫は妻の死亡当時55歳以上であることが要件ですので、遺族厚生年金を受けることはできません。なお、子の有無は関係ありません。
過去問をどうぞ!
①【R1年出題】
被保険者であった妻が死亡した当時、当該妻により生計を維持していた54歳の夫と21歳の当該妻の子がいた場合、当該子は遺族厚生年金を受けることができる遺族ではないが、当該夫は遺族厚生年金を受けることができる遺族である。
②【H27年出題】
子のない妻が、被保険者である夫の死亡による遺族厚生年金の受給権を取得したときに30歳以上40歳未満であった場合、妻が40歳に達しても中高齢寡婦加算は加算されない。
【解答】
①【R1年出題】 ×
21歳の子も54歳の夫も年齢要件を満たしませんので、遺族厚生年金を受けることはできません。
②【H27年出題】 〇
子のない妻は、夫の死亡当時に40歳以上65歳未満であることが条件です。
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R5-044
在職老齢年金の計算には、「基本月額」と「総報酬月額相当額」が使われます。
今日は、「総報酬月額相当額」の計算方法がテーマです。
では、総報酬月額相当額の定義を確認しましょう。
「総報酬月額相当額」とは → 標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額 です。
(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12
では、令和4年の問題をどうぞ!
【問8-A】
在職老齢年金の支給停止額を計算する際に用いる総報酬月額相当額は、在職中に標準報酬月額や標準賞与額が変更されることがあっても、変更されない。
【解答】
【問8-A】 ×
総報酬月額相当額には「その月の標準報酬月額」と「その月以前1年間の標準賞与額の合計」を使いますので、標準報酬月額や標準賞与額が変われば、総報酬月額相当額も変わります。
では、過去問もどうぞ!
【H27年出題】
在職老齢年金を受給する者の総報酬月額相当額が改定された場合は、改定が行われた月の翌月から、新たな総報酬月額相当額に基づいて支給停止額が再計算され、年金額が改定される。
【解答】
【H27年出題】 ×
「改定が行われた月の翌月から」が誤りです。
総報酬月額相当額が変わった月から支給停止額が再計算されます。
総報酬月額相当額が改定された場合は、「改定が行われた月」から、新たな総報酬月額相当額に基づいて年金額が改定されます。
(法第46条第5項)
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R5-043
障害手当金は「一時金」として支給される保険給付です。
今日のテーマは、支給要件に該当しても、障害手当金が支給されない場合です。
では、条文を読んでみましょう。
第56条 障害の程度を定めるべき日において次の各号のいずれかに該当する者には、障害手当金を支給しない。 1 年金たる保険給付の受給権者(最後に障害等級に該当する程度の障害の状態(以下この条において「障害状態」という。)に該当しなくなった日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過した障害厚生年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る。)を除く。) 2 国民年金法による年金たる給付の受給権者(最後に障害状態に該当しなくなった日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過した障害基礎年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る。)その他の政令で定める者を除く。) 3 当該傷病について国家公務員災害補償法、地方公務員災害補償法若しくは同法に基づく条例、公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律若しくは労働基準法の規定による障害補償、労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付、複数事業労働者障害給付若しくは障害給付又は船員保険法による障害を支給事由とする給付を受ける権利を有する者 |
厚生年金保険・国民年金の「年金」の受給権者には障害手当金は支給されません。
年金は、「障害」に限定されず、「老齢」、「障害」、「遺族」が対象です。
<例外> 障害厚生年金(障害基礎年金)の受給権者でも、3級に該当しなくなった日から起算して3年を経過した受給権者(現に障害状態に該当しない場合)には、障害手当金が支給されます。
同じ傷病で労災保険から障害補償給付、複数事業労働者障害給付、障害給付を受ける権利を有する者には障害手当金は支給されません。
では、令和4年の問題をどうぞ!
【問3-D】
障害手当金の受給要件に該当する被保険者が、障害手当金の障害の程度を定めるべき日において遺族厚生年金の受給権者である場合は、その者には障害手当金は支給されない。
【解答】
【問3-D】 〇
「年金たる保険給付の受給権者(国民年金の場合は「年金たる給付」)」には、原則として障害手当金は支給されません。
「年金たる保険給付」には遺族厚生年金も含まれます。障害手当金の障害の程度を定めるべき日に遺族厚生年金の受給権者である場合は、障害手当金は支給されません。
では、過去問もどうぞ!
①【H28年出題】
障害手当金の受給要件に該当する被保険者が、当該障害手当金に係る傷病と同一の傷病により労働者災害補償保険法に基づく障害補償給付を受ける権利を有する場合には、その者には障害手当金が支給されない。
②【R3年出題】
第1号厚生年金被保険者期間中の60歳の時に業務上災害で負傷し、初診日から1年6か月が経過した際に傷病の症状が安定し、治療の効果が期待できない状態(治癒)になった。その障害状態において障害手当金の受給権を取得することができ、また、労災保険法に規定されている障害補償給付の受給権も取得することができた。この場合、両方の保険給付が支給される。
【解答】
①【H28年出題】 〇
「同一の傷病」により労働者災害補償保険法に基づく障害補償給付を受ける権利を有する場合は、障害手当金は支給されません。「同一の傷病」がポイントです。
②【R3年出題】 ×
同一の傷病により、障害手当金の受給権と労災保険法の障害補償給付の受給権を取得した場合、両方の保険給付が支給されるのではなく、障害手当金は支給されません。
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R5-029
今日のテーマは障害厚生年金の額の計算です。
条文を読んでみましょう。
第50条 (障害厚生年金の額) ① 障害厚生年金の額は、老齢厚生年金の例により計算した額とする。この場合において、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300とする。 ② 障害の程度が障害等級の1級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、①の規定にかかわらず、①に定める額の100分の125に相当する額とする。 第51条 障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となった障害に係る障害認定日の属する月後における被保険者であった期間は、その計算の基礎としない。 |
障害厚生年金の額は、老齢厚生年金の額の計算の規定の例で計算します。
ただし、老齢厚生年金は、実際の厚生年金保険の被保険者期間で計算しますが、障害厚生年金は厚生年金保険の被保険者期間が300月未満の場合は300月で計算します。
また1級の場合は、100分の125の額となります。
障害厚生年金の年金額の計算の基礎となる被保険者期間は、障害認定日の属する月までとなります。障害認定日を初診日にする問題、属する月を「属する月の前月」とする問題に注意しましょう。
では、令和4年の問題をどうぞ!
【R4問10-D】
障害等級2級の障害厚生年金の額は、老齢厚生年金の例により計算した額となるが、被保険者期間については、障害認定日の属する月の前月までの被保険者期間を基礎とし、計算の基礎となる月数が300に満たないときは、これを300とする。
【解答】
【R4問10-D】 ×
障害厚生年金の額の計算には、「障害認定日の属する月」までの被保険者期間が算入されます。「障害認定日の属する月の前月まで」の部分が誤りです。
では過去問もどうぞ!
①【H22年出題】
障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となった障害に係る障害認定日の属する月の前月までの被保険者であった期間を、その計算の基礎とする。
②【H29年出題】
傷病に係る初診日が平成27年9月1日で、障害認定日が平成29年3月1日である障害厚生年金の額の計算において、平成29年4月以後の被保険者期間はその計算の基礎としない。なお、当該傷病以外の傷病を有しないものとする。
③【H22年出題】
障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240か月に満たないときは、これを240か月とする。
【解答】
①【H22年出題】 ×
計算の基礎になるのは、「障害認定日の属する月」までの期間です。
②【H29年出題】 〇
計算の基礎になるのは、障害認定日の属する月(平成29年3月)までの期間です。障害認定日の属する月後(平成29年4月以後)の被保険者期間はその計算の基礎となりません。
③【H22年出題】 ×
240か月ではなく、「300か月に満たないときは、これを300か月とする」です。
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R5-018
令和4年の厚生年金保険法の択一式は、全体的に解きやすかったです。
テキストの読み込みと過去問対策の大切さが分かる出題でした。
今日は、「老齢厚生年金の支給繰下げ」の問題をみていきます。
まず、老齢厚生年金の支給繰下げの条件を令和2年の選択式の問題で確認しましょう。
(復習)では令和2年選択式からどうぞ!
厚生年金保険法第44条の3第1項の規定によると、老齢厚生年金の受給権を有する者であってその< A >前に当該老齢厚生年金を請求していなかったものは、実施機関に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができるとされている。ただし、その者が当該老齢厚生年金の受給権を取得したときに、他の年金たる給付(他の年金たる保険給付又は国民年金法による年金たる給付(< B >を除く。)をいう。)の受給権者であったとき、又は当該老齢厚生年金の< A >までの間において他の年金たる給付の受給権者となったときは、この限りでないとされている。
【解答】
A 受給権を取得した日から起算して1年を経過した日
B 老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金
老齢厚生年金の支給繰下げの申出は、受給権を取得してから1年待たなければなりません。
また、「老齢厚生年金の受給権を取得したときに他の年金たる給付の受給権者であったとき」、又は「老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して1年を経過した日までの間に他の年金たる給付の受給権者となったとき」は、支給繰下げの申出はできません。
他の年金たる給付とは、「他の年金たる保険給付又は国民年金法による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金を除く。)」をいいます。
「老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金」は例外になっているのがポイントです。
例えば、老齢厚生年金の受給権取得日から1年経過した日までの間に、「老齢基礎年金+付加年金」の受給権があったとしても老齢厚生年金の支給繰下げの申出は可能です。同じく、老齢厚生年金の受給権取得日から1年経過した日までの間に、「障害基礎年金」の受給権があったとしても、老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができます。
では令和4年の問題をどうぞ!
①【問5-C】
68歳0か月で老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行った者に対する老齢厚生年金の支給は、当該申出を行った月の翌月から開始される。
②【問5-D】
老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行った場合でも、経過的加算として老齢厚生年金に加算された部分は、当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出に応じた増額の対象とはならない。
③【問5-E】
令和4年4月以降、老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行うことができる上限が70歳から75歳に引き上げられた。ただし、その対象は、同年3月31日時点で、70歳未満の者あるいは老齢厚生年金の受給権発生日が平成29年4月1日以降の者に限られる。
【解答】
①【問5-C】 〇
第44条の3第3項で、「支給繰下げの申出をした者に対する老齢厚生年金の支給は、第36条第1項の規定にかかわらず、当該申出のあった月の翌月から始めるものとする。」と規定されています。
68歳0か月で老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行った者に対しては、当該申出を行った月の翌月から開始されます。
②【問5-D】 ×
「経過的加算」は、支給繰下げの申出に応じた増額の対象となります。
繰下げ加算額は、(繰下げ対象額+経過的加算額)×増額率で計算します。
(令3条の5の2第1項)
③【問5-E】 〇
令和4年4月以降、老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行うことができる上限が75歳に引き上げられています。
繰下げ受給の受給率は、「繰り下げた月数×0.7%」で計算します。10年繰下げた場合、120月×0.7%=84%増額されます。
ただし、対象になるのは、①「令和4年3月31日時点で70歳未満の者(昭和27年4月2日以降生まれ)」あるいは②「老齢厚生年金の受給権発生日が平成29年4月1日以降の者(老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過していない)」に限られます。
①、②に該当しない場合は、繰下げの申出の上限は70歳です。
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R5-008
令和4年の選択式は、「択一式」対策がそのまま「選択式」対策になるような出題でした。
産前産後休業期間中の保険料の免除期間について
条文からの出題でした。
第81条の2の2 産前産後休業をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、主務省令で定めるところにより実施機関に申出をしたときは、第81条第2項の規定にかかわらず、当該被保険者に係る保険料であってその産前産後休業を開始した日の属する月からその産前産後休業が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間に係るものの徴収は行わない。 |
★「開始した日の属する月」と「終了する日の翌日が属する月の前月」が問われました。
遺族厚生年金が最初に支給されるのは誰でしょう?
・ 被保険者X(50歳)と生活を共にしているのは、妻Y(45歳)とYとYの先夫との子Z(10歳)
※XとZは養子縁組をしていない。事実上の親子関係であることがポイントです。
・ Xは、Xの先妻V(50歳)とXとVの子W(15歳)に養育費を送っている
Xが死亡した場合、遺族厚生年金が最初に支給されるのは誰でしょう?
①まず、遺族基礎年金の受給権が発生するのは誰でしょう?
遺族基礎年金の受給権が発生するのは、先妻との子Wです。
Z、Y、Vには遺族基礎年金の受給権は発生しません。
なぜなら、
・ZはXと養子縁組をしていないため、「事実上の親子関係」です。「事実上の親子関係の子」は、遺族基礎年金の対象になる「子」にはならないからです。
・妻Yは、死亡したXの子と生計を同じくしていないからです。
・先妻Vは、死亡したときはXの妻ではないからです。
②遺族厚生年金の受給権が発生するのは誰でしょう?
死亡した当時の妻Yと先妻との子Wです。
③妻Yと子Wは遺族厚生年金の支給順位は同順位です。どちらが優先するでしょう?
第66条第2項によります。
第66条第2項 配偶者に対する遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、配偶者が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、その支給を停止する。ただし、子に対する遺族厚生年金が所在不明による支給停止の規定によりその支給を停止されている間は、この限りでない。 |
配偶者Yは遺族基礎年金の受給権がなく、子Wが遺族基礎年金の受給権を有するため、配偶者Yの遺族厚生年金は、支給停止されます。
遺族厚生年金が最初に支給されるのは、「W」となります。
65歳未満の在職老齢年金の計算
今年の改正点からの出題です。
計算式は、(総報酬月額相当額41万円+基本月額10万円-47万円)×2分の1
=2万円です。
支給停止額は、月額2万円です。
事後重症の障害厚生年金
事後重症のポイントは、障害認定日後65歳に達する日の前日までの間に障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至った+その期間内に請求することです。
★「65歳に達する日の前日」が問われました。
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R4-365
令和4年4月から、在職時改定が導入されています。
65歳以上の者は、「在職中」であっても、毎年1回、定時に年金額の改定を行うことになりました。
資格喪失時(退職時・70歳到達時)の老齢厚生年金の額の改定(退職時改定)は、もともとありましたが、今回の改正で、退職を待たずに、就労した分が早期に年金額に反映されることになりました。
穴埋め式で条文を読んでみましょう。空欄を埋めてください。
第43条 (年金額) 1 老齢厚生年金の額は、被保険者であった全期間の平均標準報酬額 (被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に、< A >を乗じて得た額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額をいう。)の1000分の5.481に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額とする。
2 受給権者が毎年< B > (以下「基準日」という。)において被保険者である場合(基準日に被保険者の資格を取得した場合を除く。)の老齢厚生年金の額は、基準日の属する< C >の被保険者であった期間をその計算の基礎とするものとし、基準日の属する< D >から、年金の額を改定する。 ただし、基準日が被保険者の資格を喪失した日から再び被保険者の資格を取得した日までの間に到来し、かつ、当該被保険者の資格を喪失した日から再び被保険者の資格を取得した日までの期間が< E >以内である場合は、基準日の属する< C >の被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、基準日の属する< D >から、年金の額を改定する。
3 被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して< E >を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、資格を喪失した日(第14条第2号から第4号までのいずれかに該当するに至った日にあっては、その日)から起算して< F >から、年金の額を改定する。 |
【解答】
A 再評価率
B 9月1日
C 月前
D 月の翌月
E 1月
F 1月を経過した日の属する月
在職時改定について
→ 第43条第2項が改正で導入された「在職時改定」です。
★在職時改定で、年金額が改定されるのは、基準日の属する月の翌月(10月分)からです。
★在職時改定が適用されるのは、「65歳以上」の老齢厚生年金の受給権者です。
65歳未満の特別支給の老齢厚生年金の受給権者には在職時改定は適用されません。
過去問をどうぞ!
①【H28年出題】
在職老齢年金の受給権者が平成28年1月31日付けで退職し同年2月1日に被保険者資格を喪失し、かつ被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過した場合、当該被保険者資格を喪失した月前における被保険者であった期間も老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、平成28年3月から年金額が改定される。
②【R2年出題】
被保険者である老齢厚生年金の受給権者(昭和25年7月1日生まれ)が70歳になり当該被保険者の資格を喪失した場合における老齢厚生年金は、当該被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間も老齢厚生年金の額の計算の基礎となり、令和2年8月分から年金の額が改定される。
【解答】
①【H28年出題】 ×
従来からある「退職時改定」の問題です。
退職時改定による老齢厚生年金の額は、資格を喪失した日から起算して1月を経過した日の属する月から改定されます。
ただし、第14条第2号(その事業所又は船舶に使用されなくなったとき)、第3号(適用事業所でなくする認可があったとき、任意単独被保険者の資格喪失の認可があったとき)、第4号(適用除外に該当するに至ったとき)までのいずれかに該当するに至った場合は、「その日」から起算して1月を経過した日の属する月から改定されます。
問題文の場合は、1月31日に退職(事業所に使用されなくなった)ですので、1月31日から起算して1月を経過した日(2月末日)の属する月=平成28年2月から老齢厚生年金の額が改定されます。
②【R2年出題】 ×
同じく「退職時改定」の問題です。
7月1日生まれの者が70歳になり資格を喪失するのは、70歳に達した日=6月30日です。
資格を喪失した日(6月30日)から起算して1月を経過した日(7月31日)の属する月=7月分から老齢厚生年金の額が改定されます。
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R4-355
今回のテーマは「被保険者期間」です。
条文を読んでみましょう。
第19条 1 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。 2 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を1箇月として被保険者期間に算入する。 ただし、その月に更に被保険者又は国民年金の被保険者(国民年金法に規定する第2号被保険者を除く。)の資格を取得したときは、この限りでない。 3 被保険者の資格を喪失した後、更にその資格を取得した者については、前後の被保険者期間を合算する。 |
「被保険者期間」は「月」単位でカウントします。
では、過去問をどうぞ!
①【H21年出題】
厚生年金保険法で定める「被保険者期間」とは、被保険者の資格を取得した日から被保険者の資格を喪失した日の前日までの日単位で計算される期間である。
②【H30年出題】
被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、例えば、平成29年10月1日に資格取得した被保険者が、平成30年3月30日に資格喪失した場合の被保険者期間は、平成29年10月から平成30年2月までの5か月間であり、平成30年3月は被保険者期間には算入されない。なお、平成30年3月30日の資格喪失以後に被保険者の資格を取得していないものとする。
③【H28年出題】
適用事業所に平成28年3月1日に採用され、第1号厚生年金被保険者の資格を取得した者が同年3月20日付けで退職し、その翌日に被保険者資格を喪失し国民年金の第1号被保険者となった。その後、この者は同年4月1日に再度第1号厚生年金被保険者となった。この場合、同年3月分については、厚生年金保険における被保険者期間に算入されない。
【解答】
①【H21年出題】 ×
「被保険者であった期間」と「被保険者期間」は違いますので、注意しましょう。
資格を取得した日から被保険者の資格を喪失した日の前日までの「日単位」で計算される期間は「被保険者であった期間」です。
「被保険者期間」は、資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までの「月単位」で計算される期間です。
②【H30年出題】 〇
H29年 10月 | 11月 | 12月 | H30年 1月 | 2月 | 3月 |
資格取得 |
|
|
|
| 資格喪失 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ― |
被保険者期間は、平成29年10月から平成30年2月までの5か月間です。
資格を取得した月(平成29年10月)からその資格を喪失した月の前月(平成30年2月)までの「月単位」で計算されます。資格を喪失した月(平成30年3月)は被保険者期間には算入されません。
③【H28年出題】 〇
平成28年3月 | |
3/1・・・・・・・・・・・3/20 | 3/21・・・・・・・・・・・・・・・・ |
厚生年金保険 被保険者 | 国民年金 第1号被保険者 |
被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したとき(同月得喪といいます)は、その月は、「1箇月」として被保険者期間に算入されます。
ただし、問題文のように、その月に更に国民年金の第1号被保険者の資格を取得したときは、被保険者期間には算入されません。
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R4-340
遺族厚生年金の遺族となる子、孫は、被保険者等の死亡当時、「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、又は20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。」です。(法第59条第1項第2号)
子・孫は一定の年齢になった、障害状態でなくなった場合は、遺族厚生年金の受給権が消滅します。
子・孫特有の失権事由を条文で確認しましょう。
法第63条第2項 子又は孫の有する遺族厚生年金の受給権は、次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する。 ① 子又は孫について、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき。ただし、子又は孫が障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にあるときを除く。 ② 障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子又は孫について、その事情がやんだとき。ただし、子又は孫が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときを除く。 ③ 子又は孫が、20歳に達したとき。 |
過去問をどうぞ!
①【H19年出題】
厚生年金保険法で定める障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある子又は孫が、遺族厚生年金の受給権者である場合に、その事情が止んだとき(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときを除く。)又は20歳に達したとき、遺族厚生年金の受給権は消滅する。
②【H27年出題】 ※法改正による修正あり
老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間と合算対象期間とを合算した期間が25年以上である者に限る)が死亡したことにより、子が遺族厚生年金の受給権者となった場合において、その子が障害等級3級に該当する障害の状態にあるときであっても、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときに、子の有する遺族厚生年金の受給権は消滅する。
③【R1年出題】
障害等級2級に該当する障害の状態にある子に遺族厚生年金の受給権が発生し、16歳のときに障害等級3級に該当する障害の状態になった場合は、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときに当該受給権は消滅する。一方、障害等級2級に該当する障害の状態にある子に遺族厚生年金の受給権が発生し、19歳のときに障害等級3級に該当する障害の状態になった場合は、20歳に達したときに当該受給権は消滅する。
【解答】
①【H19年出題】 〇
「18歳に達する日以後の最初の3月31日」までは、障害状態の有無は問われません。
1級又は2級の障害の状態にある子又は孫について、その事情が止んだときでも、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときは失権しません。
又、障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある子又は孫が、その状態のまま20歳に達したときは、遺族厚生年金の受給権は消滅します。
②【H27年出題】 〇 ※法改正による修正あり
障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態でなければ、子・孫の遺族厚生年金の受給権は、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときに、消滅します。
問題文のように、障害等級3級に該当する障害の状態にあるときであっても、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときに、消滅します。
③【R1年出題】 ×
・問題文の前半について
被保険者等の死亡当時、障害等級2級の障害の状態だった子が、16歳で障害等級3級に該当する障害の状態になりました。18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときに3級の場合は、そこで受給権は消滅します。問題文の前半は「〇」です。
・問題文の後半について
被保険者等の死亡当時、障害等級2級の障害の状態だった子が、19歳のときに障害等級3級の障害の状態になりました。その場合は、「障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子又は孫について、その事情がやんだとき。」に該当しますので、その時点で受給権は消滅します。「20歳に達したときに当該受給権は消滅する。」の部分が「×」です。
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R4-339
遺族厚生年金の失権事由の一つに「直系血族及び直系姻族以外の者の養子となったとき」があります。
遺族厚生年金の受給権は、受給権者が次に該当するに至ったときは、消滅する。 直系血族及び直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったとき (法第63条第1項第3号) |
・養子となった場合でも、「直系血族、直系姻族の養子」であれば、失権しないのがポイントです。
では、過去問をどうぞ!
①【H26年出題】
遺族厚生年金の受給権は、受給権発生後に直系姻族の養子となった場合であっても、消滅しない。
②【H23年出題】
被保険者であった者の死亡により、死亡した者の子(障害等級1級又は2級に該当する者を除く。)が遺族厚生年金の受給権者となった場合において、その後当該子が10歳で父方の祖父の養子となった場合でも、18歳に達する日以後の最初の3月31日が終了するまでは受給権は消滅しない。
③【H29年出題】
子の有する遺族厚生年金の受給権は、その子が母と再婚した夫の養子となったときは消滅する。
【解答】
①【H26年出題】 〇
遺族厚生年金の受給権は、「直系姻族の養子」となった場合は、消滅しません。
②【H23年出題】 〇
祖父は「直系血族」です。祖父の養子になっても失権しません。
③【H29年出題】 ×
被保険者等が死亡したことにより、生計を維持していた妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生しました。
その後、妻(子の母)が再婚し、子が妻(子の母)の夫の養子になりました。
子からみると、母と再婚した夫は直系姻族です。母と再婚した夫の養子になっても失権しません。
ちなみに、母(死亡した者の妻)の遺族厚生年金は、「婚姻した」ことにより、失権します。
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R4-338
夫の死亡当時、夫によって生計を維持していた妻には、子の有無や年齢に関係なく遺族厚生年金の受給権が発生します。
今回は、夫の死亡当時30歳未満だった妻の遺族厚生年金の失権について確認しましょう。
では、条文を読んでみましょう。
1 遺族厚生年金の受給権を取得した当時30歳未満である妻が当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の受給権を取得しないときは、当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過したときに消滅する。 2 遺族厚生年金と当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有する妻が30歳に到達する日前に当該遺族基礎年金の受給権が消滅したときは、当該遺族基礎年金の受給権が消滅した日から起算して5年を経過したときに消滅する。 (法第63条第1項5項) |
ポイント! 夫の死亡当時30歳未満の妻について
1について
夫の死亡当時30歳未満で子がいない場合は、遺族基礎年金の受給権は取得できませんので、遺族厚生年金の受給権のみ取得します。
その場合は、遺族厚生年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過したときに失権します。
夫死亡
(妻27歳・子なし) 30歳
遺族厚生年金 |
← ← ← ← ← 5年 → → → → 失権
2について
夫の死亡当時子がある場合は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権を取得します。
しかし、妻が30歳に到達する前に子の死亡等により、遺族基礎年金の受給権が消滅したときは、遺族基礎年金の受給権が消滅した日から起算して5年を経過したときに失権します。
夫死亡
(妻27歳・子あり) 妻28歳
遺族厚生年金 | |
遺族基礎年金 | ← ← ← 5年 → → → 失権 |
子死亡
(遺族基礎年金失権)
過去問をどうぞ!
①【R3年出題】
厚生年金保険の被保険者の死亡により、被保険者の死亡の当時27歳で子のいない妻が遺族厚生年金の受給権者となった。当該遺族厚生年金の受給権は、当該妻が30歳になったときに消滅する。
②【H29年出題】
遺族厚生年金及び当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得した妻について、当該受給権の取得から1年後に子の死亡により当該遺族基礎年金の受給権が消滅した場合であって、当該消滅した日において妻が30歳に到達する日前であった場合は、当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過したときに当該遺族厚生年金の受給権は消滅する。
③【H26年出題】
遺族厚生年金の受給権を取得した当時30歳未満である妻が、当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得しない場合、当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から5年を経過したときに、その受給権は消滅する。
【解答】
①【R3年出題】 ×
夫の死亡の当時27歳で子のいない妻の遺族厚生年金の受給権は、当該妻が30歳になったときではなく、「遺族厚生年金の受給権を取得した日から5年を経過したとき」に消滅します。
②【H29年出題】 ×
妻が30歳に到達する日前に遺族基礎年金の受給権が消滅した場合は、当該遺族厚生年金の受給権を取得した日ではなく、「遺族基礎年金の受給権が消滅した日」から起算して5年を経過したときに遺族厚生年金の受給権が消滅します。
③【H26年出題】 〇
夫の死亡当時30歳未満で、遺族基礎年金の受給権を取得しない妻の遺族厚生年金の受給権は、当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から5年を経過したときに消滅します。
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R4-337
今回は2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の遺族厚生年金です。
「短期要件」と「長期要件」で異なりますので、注意しましょう。
ポイントを確認しましょう。
(短期要件の場合)
・ 被保険者が、死亡したとき。
・ 被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき。
・ 障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、死亡したとき。
死亡日▼
第3号厚生年金被保険者 | 第1号厚生年金被保険者 |
★被保険者が死亡した場合は、死亡日に加入していた実施機関が、裁定・支給事務を行います。
(長期要件の場合)
・ 老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)又は保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が、死亡したとき。
※25年の計算には合算対象期間も入ります。
★それぞれの実施機関が、それぞれの加入期間ごとに裁定・支給事務を行います。
では、過去問をどうぞ!
①【H28年出題】
第1号厚生年金被保険者期間が15年、第3号厚生年金被保険者期間が18年ある老齢厚生年金の受給権者が死亡したことにより支給される遺族厚生年金は、それぞれの被保険者期間に応じてそれぞれの実施機関から支給される。
②【H30年出題】
障害等級1級の障害厚生年金の受給権者(厚生年金保険法第58条第1項第4号に規定するいわゆる長期要件には該当しないものとする。)が死亡し、その者が2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を有していた場合、遺族厚生年金の額については、その死亡した者に係る2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を合算し、1の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして額の計算をする。なお、それぞれの期間を合算しても300か月に満たない場合は、300か月として計算する。
【解答】
①【H28年出題】 〇
老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)の死亡は長期要件に該当します。
長期要件の遺族厚生年金は、それぞれの被保険者期間に応じてそれぞれの実施機関から支給されます。
問題文の場合、「第1号厚生年金被保険者期間」分は、第1号の実施機関から、「第3号厚生年金被保険者期間」分は、第3号の実施機関から支給されます。
(第78条の32第2項)
②【H30年出題】 〇
障害等級1級・2級の障害厚生年金の受給権者が死亡した場合は、「短期要件」の遺族厚生年金が支給されます。
2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を合算して、遺族厚生年金の額の計算をします。
なお、1級・2級の障害厚生年金の受給権者の死亡による遺族厚生年金の裁定・支給の事務は、初診日に加入していた実施機関が行います。
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R4-336
今日は、夫に支給される遺族厚生年金を見ていきましょう。
では、条文を読んでみましょう。
第65条の2 夫、父母又は祖父母に対する遺族厚生年金は、受給権者が60歳に達するまでの期間、その支給を停止する。ただし、夫に対する遺族厚生年金については、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、夫が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有するときは、この限りでない。 |
遺族厚生年金の支給対象になる「夫、父母、祖父母」については、被保険者等の死亡当時55歳以上であることが条件です。
ただし、60歳に達するまでは支給停止され、遺族厚生年金は60歳から支給されます。
しかし、「夫」の場合は、国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有するときは、60歳未満でも遺族厚生年金は支給停止されません。
過去問をどうぞ!
①【R1年出題】
平成26年4月1日以後に被保険者又は被保険者であった者が死亡し、その者の夫と子に遺族厚生年金の受給権が発生した。当該夫に対する当該遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、当該夫が国民年金法の規定による遺族基礎年金の受給権を有する場合でも、60歳に到達するまでの間、その支給を停止する。
②【H29年出題】
15歳の子と生計を同じくする55歳の夫が妻の死亡により遺族基礎年金及び遺族厚生年金の受給権を取得した場合、子が18歳に達した日以後の最初の3月31日までの間は遺族基礎年金と遺族厚生年金を併給することができるが、子が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときは遺族基礎年金は失権し、その翌月から夫が60歳に達するまでの間は遺族厚生年金は支給停止される。なお、本問の子は障害の状態にはなく、また、設問中にある事由以外の事由により遺族基礎年金又は遺族厚生年金は失権しないものとする。
【解答】
①【R1年出題】 ×
夫に対する当該遺族厚生年金は、夫が国民年金法の規定による遺族基礎年金の受給権を有する場合は、60歳までの間でも、支給停止されません。遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方が支給されます。
②【H29年出題】 〇
妻の死亡当時の夫の状況
・夫の年齢は55歳 → 遺族厚生年金の受給権が発生します
・15歳の子と生計を同じくしている → 遺族基礎年金の受給権が発生します。
夫の遺族厚生年金は、原則は60歳までは支給停止されますが、遺族基礎年金の受給権を有しているので、60歳前でも支給停止にならず、遺族基礎年金と遺族厚生年金を併給することができます。
しかし、子が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときは遺族基礎年金の受給権が消滅します。その際、夫はまだ60歳に達していませんので、その翌月から夫が60歳に達するまでの間は、原則どおり遺族厚生年金は支給停止となります。
(妻死亡)
夫55歳
子15歳 子18歳年度末 夫60歳
遺族厚生年金 | 支給停止 | 遺族厚生年金 |
遺族基礎年金 |
|
|
遺族基礎年金失権
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R4-335
2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の障害厚生年金のポイントを確認しましょう。
条文を読んでみましょう。
第78条の30 (障害厚生年金の額の特例) 障害厚生年金の受給権者であって、当該障害に係る障害認定日において二以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る当該障害厚生年金の額については、その者の二以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして、障害厚生年金の額の計算及びその支給停止に関する規定その他政令で定める規定を適用する。
第78条の31 (障害手当金の額の特例) 障害手当金の受給権者であって、当該障害に係る障害認定日において二以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る当該障害手当金の額については、前条の規定(障害厚生年金の額の特例)を準用する。
第78条の33 (障害厚生年金等に関する事務の特例) 二以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る障害厚生年金及び障害手当金の支給に関する事務は、政令で定めるところにより、当該障害に係る初診日における被保険者の種別に応じて、それぞれの被保険者の種別ごとに定められた事務の実施機関が行う。 |
ポイント!
例えば、第3号厚生年金被保険者であった期間と第1号厚生年金被保険者であった期間を有し、初診日に第1号厚生年金被保険者であった場合
初診日▼
第3号厚生年金被保険者 | 第1号厚生年金被保険者 |
・初診日に加入していた実施機関が、年金額の計算・裁定・支給事務を行います。
・年金額の計算は、他の実施機関の加入期間分も合算して計算します。
では、過去問をどうぞ!
①【H28年出題】
障害厚生年金の受給権者であって、当該障害に係る障害認定日において2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る当該障害厚生年金の支給に関する事務は、当該障害に係る障害認定日における被保険者の種別に応じた実施機関が行う。
②【H29年出題】
2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る障害厚生年金の額は、初診日における被保険者の種別に係る被保険者期間のみが計算の基礎とされる。
【解答】
①【H28年出題】 ×
障害認定日において2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る障害厚生年金の支給に関する事務は、障害認定日ではなく「初診日」における被保険者の種別に応じた実施機関が行います。
②【H29年出題】 ×
2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る障害厚生年金の額は、二以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を「合算」し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして計算されます。
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R4-334
障害厚生年金の受給権者に更に障害厚生年金の受給権が生じた場合は、併合認定が行われます。
条文を読んでみましょう。
第48条 (障害厚生年金の併給の調整) 1 障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く)の受給権者に対して更に障害厚生年金(障害等級1級又は2級)を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金を支給する。 2 障害厚生年金の受給権者が前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金の受給権を取得したときは、従前の障害厚生年金の受給権は、消滅する。 |
併合認定のイメージ
・併合認定の対象になるのは、「1級又は2級に該当したことがある障害厚生年金」です。
・先発の年金が3級でも、障害基礎年金が支給停止になっている場合(短期間でも1級又は2級の障害状態にあったことがある場合)は、併合認定の対象になります。
・なお、障害基礎年金の受給権がない3級は対象外です。
2級 | + | 2級 | → 併合 | 1級 |
2級 | 2級 | 1級 |
3級 | + | 2級 | → 併合 | 1級 |
支給停止 | 2級 | 1級 |
過去問をどうぞ!
①【H27年出題】
障害等級3級の障害厚生年金の受給権者(受給権を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当したことはなかったものとする。)について、更に障害等級2級に該当する障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金が支給され、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する。
②【H29年出題】
障害厚生年金の受給権を取得した当時は障害等級2級に該当したが、現在は障害等級3級である受給権者に対して、新たに障害等級2級の障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害厚生年金を支給することとし、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する。
③【R3年出題】
厚生年金保険法第48条第2項の規定によると、障害等級2級の障害厚生年金の受給権者が、更に障害等級2級の障害厚生年金を支給すべき事由が生じたことにより、同法第48条第1項に規定する前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金の受給権を取得したときは、従前の障害厚生年金の支給は停止するものとされている。
【解答】
①【H27年出題】 ×
受給権を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当したことがない3級の障害厚生年金の場合、障害基礎年金の受給権がありません。
先発の障害が3級の障害厚生年金(受給権を取得した当時から引き続き1級又は2級に該当したことはなかったものとする。)の場合は、第48条の併合認定の対象になりません。
②【H29年出題】 〇
受給権を取得した当時は2級に該当したが、現在は3級である障害厚生年金の場合は、障害基礎年金の受給権があります。
障害厚生年金の受給権を取得した当時は2級に該当したが、現在は3級である受給権者に対して、新たに障害等級2級の障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、併合認定の対象になります。
第48条により、前後の障害を併合した障害厚生年金を支給することとし、従前の障害厚生年金の受給権は消滅します。
3級 | + | 2級 | → 併合 | 1級 |
支給停止 | 2級 | 1級 |
③【R3年出題】 ×
2級の障害厚生年金の受給権者が、更に2級の障害厚生年金を支給すべき事由が生じたことにより、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金の受給権を取得したときは、「従前の障害厚生年金の受給権は消滅」します。支給停止ではありません。
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R4-333
障害厚生年金の受給権の消滅について確認しましょう。
条文を読んでみましょう。
第53条(失権) 障害厚生年金の受給権は、第48条第2項の規定(二以上の障害が生じた場合の併合認定)によって消滅するほか、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する。 1 死亡したとき。 2 障害等級に該当する程度の障害の状態にない者が、65歳に達したとき。 ただし、65歳に達した日において、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく3年を経過していないときを除く。 3 障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく3年を経過したとき。 ただし、3年を経過した日において、当該受給権者が65歳未満であるときを除く。 |
障害厚生年金が失権するとき
・二以上の障害が生じ、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金の受給権を取得したときは、従前の障害厚生年金の受給権は、消滅します。
・受給権者が死亡したときは、受給権は消滅します。
・障害等級に該当しなくなったときは、65歳までは支給停止されます。
障害等級に該当しないまま65歳に達したときは、そこで失権します。※65歳時点で障害等級に該当しなくなった日から3年未満の場合は失権しません。
・障害等級に該当しないまま3年を経過したときはそこで失権します。※3年を経過した時点で、65歳未満の場合は失権しません。
★「障害等級に該当しなくなってから3年経過したとき」か「65歳に達したとき」のどちらか遅い方に失権します。
例えば、63歳のときに障害等級に該当しなくなったときは、65歳時点では、3年経過していないので、失権しません。障害等級に該当しなくなってから3年経過した日に失権します。
★厚生年金保険法の「障害等級」は1級から3級です。「障害等級に該当する程度の障害の状態にない」ということは、3級未満ということです。
では、過去問をどうぞ!
①【H30年出題】
障害等級3級の障害厚生年金の受給権者であった者が、64歳の時点で障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったために支給が停止された。その者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しないまま65歳に達したとしても、その時点では当該障害厚生年金の受給権は消滅しない。
②【R2年出題】
障害等級3級の障害厚生年金の受給権者の障害の状態が障害等級に該当しなくなったため、当該障害厚生年金の支給が停止され、その状態のまま3年が経過した。その後、65歳に達する日の前日までに当該障害厚生年金に係る傷病により障害等級3級に該当する程度の障害の状態になったとしても、当該障害厚生年金は支給されない。
【解答】
①【H30年出題】 〇
障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しないまま65歳に達したとしても、障害等級に該当しなくなってから3年未満の場合は失権しません。
問題文は、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったのが64歳時点です。65歳の時点では3年未満ですので失権しません。
②【R2年出題】 ×
障害等級に該当しなくなった場合でも、少なくとも65歳までは支給停止で、受給権は消滅しません。
支給が停止されたまま3年経過したとしても、65歳に達する日の前日までに3級に該当した場合は、支給停止が解除され、3級の障害厚生年金が支給されます。
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R4-332
1級・2級の障害厚生年金には、配偶者加給年金額が加算されます。
条文を読んでみましょう。
第50条の2 1 障害の程度が障害等級の1級又は2級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、受給権者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者があるときは、障害厚生年金の額に加給年金額を加算した額とする。 2 加給年金額は、224,700円に改定率を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)とする。 3 受給権者がその権利を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者を有するに至ったことにより加給年金額を加算することとなったときは、当該配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、障害厚生年金の額を改定する。 |
ポイント!
★配偶者加給年金額が加算されるのは、1級・2級の障害厚生年金です。3級の障害厚生年金には配偶者加給年金額は加算されません。
★65歳未満の配偶者が対象です。子については障害基礎年金の方で加算が行われます。
★受給権を取得した後に、生計を維持する配偶者を有するに至った場合も、配偶者加給年金額の対象となります。
では、過去問をどうぞ!
①【H29年出題】
障害等級1級又は2級の障害厚生年金の額は、受給権者によって生計を維持している子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満で障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子に限る。)があるときは、当該子に係る加給年金額が加算された額とする。
②【H29年出題】
障害等級1級に該当する障害厚生年金の受給権者が、その受給権を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持している65歳未満の配偶者を有するに至ったときは、当該配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、当該障害厚生年金の額に加給年金額が加算される。
③【H24年出題】
障害等級3級に該当する障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進し2級に改定された場合、その受給権を取得した日以後に、その者によって生計を維持している65歳未満の配偶者を有するに至ったときであっても、配偶者加給年金額は加算されない。
【解答】
①【H29年出題】 ×
子は、障害厚生年金の加給年金額の対象になりません。
子は、障害基礎年金の方で加算の対象になります。
②【H29年出題】 〇
受給権が発生した時点では、生計を維持している配偶者がいなかったとしても、その後、例えば結婚をして対象になる配偶者を有するに至ったときは、加給年金額が加算されます。
その場合は、配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、加給年金額が加算されます。
③【H24年出題】 ×
障害厚生年金の受給権を取得した日の翌日以後に生計を維持している65歳未満の配偶者を有するに至ったときでも、1級・2級の障害厚生年金には、配偶者加給年金額が加算されます。
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R4-301
令和4年4月から、60歳台前半の在職老齢年金の計算式が改正されました。確認しましょう。
条文を読んでみましょう。
法附則第11条 60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者が被保険者等である日が属する月において、その者の総報酬月額相当額と老齢厚生年金の額を12で除して得た額(以下「基本月額」という。)との合計額が支給停止調整額を超えるときは、その月の分の当該老齢厚生年金について、総報酬月額相当額と基本月額との合計額から支給停止調整額を控除して得た額の2分の1に相当する額に12を乗じて得た額(以下「支給停止基準額」という。)に相当する部分の支給を停止する。 ただし、支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部の支給を停止するものとする。 |
用語の定義を確認しましょう。
★総報酬月額相当額
(その月の標準報酬月額) + (その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12
★基本月額
老齢厚生年金の額(加給年金額を除く) ÷ 12
★支給停止調整額
令和4年度は47万円
① 「基本月額+総報酬月額相当額」が47万円以下の場合は、全額支給されます。
② 「基本月額+総報酬月額相当額」が47万円を超える場合は、
(「基本月額+総報酬月額相当額」-47万円)の2分の1が支給停止されます。
③ 支給停止基準額「(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)×2分の1」が、老齢厚生年金の額以上の場合は、全額支給停止されます。
※上記の計算式は月額です。支給停止基準額は、正確には12を乗じた額となります。
例えば、基本月額が20万円、総報酬月額相当額が32万円の場合は、20万円+32万円=52万円で47万円を超えますので、一部が支給停止になります。
(20万円+32万円-47万円)×2分の1=2万5千円が支給停止されます。
過去問をどうぞ!
【H25年出題】
在職老齢年金の支給停止額を計算する際の「総報酬月額相当額」とは、その者の標準報酬月額と直前の7月1日以前1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算した額である。
【解答】
【H25年出題】 ×
「総報酬月額相当額」とは、その者の標準報酬月額と「その月以前」の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算した額です。
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R4-300
今日のテーマは、65歳以上の人が「老齢厚生年金」と「遺族厚生年金」の受給権を得た場合の調整です。
条文を読んでみましょう。
第64条の2 遺族厚生年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る。)は、その受給権者が老齢厚生年金の受給権を有するときは、当該老齢厚生年金の額に相当する部分の支給を停止する。 |
ポイント!
65歳以上で老齢厚生年金と遺族厚生年金の受給権がある場合
→ 本人の老齢厚生年金が支給されます。(老齢厚生年金が優先です)本人が納付した保険料を年金額に反映させるためです。
→ 遺族厚生年金の額が、老齢厚生年金より高い場合は、差額が受けられます。
→ 老齢厚生年金が遺族厚生年金より高い場合は、遺族厚生年金は全額支給停止されます。
例えば、老齢厚生年金が30万円、遺族厚生年金が40万円の場合、遺族厚生年金のうち30万円は支給停止され、差額の10万円が遺族厚生年金として支給されます。
では、過去問をどうぞ!
①【H22年出題】※改正による修正あり
遺族厚生年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る。)は、その受給権者が老齢厚生年金の受給権を有するときは、当該老齢厚生年金の額に相当する部分の支給を停止する。
②【H29年出題】
昭和27年4月2日生まれの遺族厚生年金の受給権者が65歳に達し、老齢厚生年金の受給権を取得した場合、当該遺族厚生年金は、当該老齢厚生年金の額(加給年金額が加算されている場合は、その額を除く。)に相当する部分の支給が停止される。
【解答】
①【H22年出題】 〇 ※改正による修正あり
65歳以上で、老齢厚生年金と遺族厚生年金の受給権があるときは、老齢厚生年金を支給し、遺族厚生年金は、「当該老齢厚生年金の額に相当する部分」の支給が停止されます。
遺族厚生年金が老齢厚生年金より高ければ、その差額が支給されます。
また、遺族厚生年金が老齢厚生年金より低ければ、遺族厚生年金は全額支給停止となります。
②【H29年出題】 〇
老齢厚生年金に加給年金額が加算されている場合は、加給年金の額は除かれることに注意してください。
(法第60条第1項第2号ロ、法第64条の2)
★ポイント!
「65歳に達している」がポイントです。
65歳前の「特別支給の老齢厚生年金」と「遺族厚生年金」はどちらかを選択します。
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R4-299
遺族厚生年金は、報酬比例部分×4分の3で計算します。※報酬比例部分は、死亡した人の被保険者期間や報酬をベースに計算します。
ただし、老齢厚生年金の受給権がある65歳以上の配偶者が受給する遺族厚生年金については、注意が必要です。
では、条文を読んでみましょう。
第60条、法附則第17条の2 (年金額) 遺族厚生年金の額は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額とする。 ただし、遺族厚生年金の受給権者が当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の支給を受けるときは、①に定める額とする。 ① 第59条第1項に規定する遺族(次号に掲げる遺族を除く。)が遺族厚生年金の受給権を取得したとき → 死亡した被保険者又は被保険者であった者の被保険者期間を基礎として第43条第1項の規定(老齢厚生年金の年金額)の例により計算した額の4分の3に相当する額。 ただし、短期要件に該当することにより支給される遺族厚生年金については、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300として計算した額とする。 ② 遺族のうち、老齢厚生年金の受給権を有する配偶者(65歳に達している者に限る。)が遺族厚生年金の受給権を取得したとき → ①に定める額又は次のイ及びロに掲げる額を合算した額のうちいずれか多い額 イ ①に定める額に3分の2を乗じて得た額 ロ 当該遺族厚生年金の受給権者の老齢厚生年金の額(加給年金額が加算された老齢厚生年金にあっては、加給年金額は除く。)に2分の1を乗じて得た額
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ポイント!
遺族厚生年金の額は、「死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分×4分の3」で計算するのが原則です。
ただし、65歳以上で、老齢厚生年金の受給権を有する人が、配偶者の死亡により遺族厚生年金の受給権を有する場合の年金額は、
次の①と②の額を比較し、高い方になります。
① 死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分×4分の3
② 「①の計算式の額×3分の2」と「自身の老齢厚生年金(子の加給年金額は除く)の額×2分の1」を合計した額
例えば、夫(老齢厚生年金(報酬比例部分)の額が80万円)、妻(65歳以上・老齢厚生年金の額が70万円)の場合であてはめると、夫が死亡した場合の妻の遺族厚生年金の額は、以下のようになります。
① 80万円×4分の3=60万円
② 「60万円×3分の2」+「70万円×2分の1」=75万円
①と②の高い方になりますので、妻の遺族厚生年金は②の75万円となります。
では、過去問をどうぞ!
①【H28年出題】
被保険者が死亡したことによる遺族厚生年金の額は、死亡した者の被保険者期間を基礎として同法第43条第1項の規定の例により計算された老齢厚生年金の額の4分の3に相当する額とする。この額が、遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額に満たないときは、当該4分の3を乗じて得た額を遺族厚生年金の額とする。
②【R3年出題】
63歳の被保険者の死亡により、その配偶者(老齢厚生年金の受給権を有し、65歳に達している者とする。)が遺族厚生年金を受給したときの遺族厚生年金の額は、死亡した被保険者の被保険者期間を基礎として計算した老齢厚生年金の額の4分の3に相当する額と、当該遺族厚生年金の受給権者の有する老齢厚生年金の額に3分の2を乗じて計算した額のうちいずれか多い額とする。
【解答】
①【H28年出題】 ×
遺族厚生年金の額は、死亡した者の被保険者期間を基礎として計算した「老齢厚生年金の額の4分の3」に相当する額です。しかし、遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額を最低保障とする規定はありません。
②【R3年出題】 ×
配偶者(老齢厚生年金の受給権を有し、65歳に達している者とする。)の遺族厚生年金の額は①と②のどちらか多い方です。
①死亡した被保険者の被保険者期間を基礎として計算した老齢厚生年金の額の4分の3
②①の額の3分の2+配偶者本人の老齢厚生年金の額の2分の1
ワンポイント!
第60条第1項に、「ただし、遺族厚生年金の受給権者が当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の支給を受けるときは、①に定める額とする。」と規定されています。
65歳以上で老齢厚生年金の受給権を有する配偶者でも、同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の支給を受けるときは、遺族厚生年金の額は①で計算します。
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R4-276
障害厚生年金の計算式は以下の通りです。
1級 → 報酬比例の年金額×1.25(+配偶者の加給年金額)
2級 → 報酬比例の年金額(+配偶者の加給年金額)
3級 → 報酬比例の年金額(最低保障額あり)
障害厚生年金の受給権の発生以降も厚生年金保険の被保険者期間がある場合、障害厚生年金の額の計算に算入されるのはどこまででしょう?
条文を読んでみましょう。
第51条 障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となった障害に係る障害認定日の属する月後における被保険者であった期間は、その計算の基礎としない。 |
障害認定日の属する月「後」の被保険者であった期間は、計算に入りません。
では、過去問をどうぞ!
①【H22年出題】
障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となった障害に係る障害認定日の属する月の前月までの被保険者であった期間を、その計算の基礎とする。
②【H29年出題】
傷病に係る初診日が平成27年9月1日で、障害認定日が平成29年3月1日である障害厚生年金の額の計算において、平成29年4月以後の被保険者期間はその計算の基礎としない。なお、当該傷病以外の傷病を有しないものとする。
③【H28年出題】
被保険者である障害厚生年金の受給権者が被保険者資格を喪失した後、被保険者となることなく1か月を経過したときは、資格を喪失した日から起算して1か月を経過した日の属する月から障害厚生年金の額が改定される。
【解答】
①【H22年出題】 ×
障害認定日の属する「月の前月」までではなく、「障害認定日の属する月」までが、その計算の基礎とされます。
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| 障害認定日 |
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条文の「障害認定日の属する月後」の「後」に注目してください。計算に入れるのは障害認定日の属する月までです。
②【H29年出題】 〇
障害認定日が平成29年3月1日ですので、障害厚生年金の額の計算に入れるのは平成29年3月までです。平成29年4月以後の被保険者期間はその計算の基礎とされません。
③【H28年出題】 ×
障害厚生年金には退職時改定の仕組みはありません。
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R4-275
初診日に厚生年金保険の被保険者(=国民年金第2号被保険者)だった場合、障害等級1・2級の場合は障害基礎年金と障害厚生年金の2階建てで支給されますが、3級の場合は、障害厚生年金のみ支給されます。
障害基礎年金を受けることができない場合の障害厚生年金には最低保障額があります。
条文を読んでみましょう。
第50条 (障害厚生年金の額) 1 障害厚生年金の額は、第43条第1項(老齢厚生年金の額)の規定の例により計算した額とする。この場合において、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300とする。 2 障害の程度が障害等級の1級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、1項の規定にかかわらず、1項に定める額の100分の125に相当する額とする。 3 障害厚生年金の給付事由となった障害について国民年金法による障害基礎年金を受けることができない場合において、障害厚生年金の額が国民年金法第33条第1項に規定する障害基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを 100円に切り上げるものとする。)に満たないときは、前2項の規定にかかわらず、当該額をこれらの項に定める額とする。 |
★ 国民年金法による障害基礎年金を受けることができない場合の障害厚生年金の最低保障額は、777,800円(令和4年度)×4分の3=583,350円を端数処理(50円未満切り捨て、50円以上100円未満を100円に切り上げ)して、58万3400円です。
★ポイント1・2級でも障害基礎年金が支給されない場合があります。
「厚生年金保険の被保険者」でも、65歳以上で老齢又は退職を支給事由とする年金の受給権を有する場合は、国民年金の第2号被保険者となりません。
(詳細は前回の記事をどうぞ→R4.5.23 国年の第2号被保険者)
そのため、初診日に厚生年金保険の被保険者でも国民年金の第2号被保険者でない場合は、障害等級1・2級でも、障害厚生年金のみの支給となります。
その場合でも、障害厚生年金の最低保障額が適用されます。
では、過去問をどうぞ!
①【H25年出題】
障害等級3級に該当する者に支給される障害厚生年金の額が、障害等級2級の障害基礎年金の額に3分の2を乗じて得た額に端数処理をして得た額に満たないときは、障害等級2級の障害基礎年金の額に3分の2を乗じて得た額に端数処理をして得た額を支給する。
②【R2年出題】
障害等級3級の障害厚生年金には、配偶者についての加給年金額は加算されないが、最低保障額として障害等級2級の障害基礎年金の年金額の3分の2に相当する額が保障されている。
③【H29年出題】
障害の程度が障害等級3級に該当する者に支給される障害厚生年金の額は、障害等級2級に該当する者に支給される障害基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)に満たないときは、当該額とする。
【解答】
①【H25年出題】 ×
最低保障額は、障害等級2級の障害基礎年金の額に「4分の3」を乗じて得た額です。
②【R2年出題】 ×
①と同じです。最低保障額は、障害等級2級の障害基礎年金の年金額の4分の3に相当する額です。
③【H29年出題】 〇
障害厚生年金の最低保障額は、2級の障害基礎年金の額×4分の3に端数処理(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)をした額です。
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R4-257
年金は、その事由が生じた月の翌月から権利が消滅した月まで、月単位で支給されます。
条文を読んでみましょう。
第36条(年金の支給期間) 年金の支給は、年金を支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、権利が消滅した月で終るものとする。 |
5月 | 6月 | ・・・・・ | 10月 | 11月 |
支給事由 発生 |
| ・・・・・
| 権利消滅 |
|
年金の支給期間は、事由が生じた月の翌月(6月)から、権利が消滅した月(10月)までです。
過去問をどうぞ!
①【H28年出題】
障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合の障害厚生年金は、原則として障害認定日の属する月の翌月分から支給される。ただし、障害認定日が月の初日である場合にはその月から支給される。
②【H30年出題】
第1号厚生年金被保険者が月の末日に死亡したときは、被保険者の資格喪失日は翌月の1日になるが、遺族厚生年金の受給権は死亡した日に発生するので、当該死亡者の遺族が遺族厚生年金を受給できる場合には、死亡した日の属する月の翌月から遺族厚生年金が支給される。
【解答】
①【H28年出題】 ×
「初診日要件」、「保険料納付要件」を満たし、障害認定日に障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合は、障害認定日に受給権が発生し、障害厚生年金は、障害認定日の属する月の翌月分から支給されます。障害認定日が月の初日であっても同じです。
「ただし、障害認定日が月の初日である場合にはその月から支給される。」が誤りです。
②【H30年出題】 〇
厚生年金保険の被保険者が死亡した場合は、死亡した日の翌日に資格を喪失します。
また、遺族厚生年金の受給権は、被保険者等が死亡した日に発生し、死亡した日の属する月の「翌月」から支給されます。
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R4-240
高齢任意加入被保険者には、「適用事業所に使用される者」と「適用事業所以外の事業所に使用される者」の2種類があります。
「適用事業所以外の事業所に使用される者」は、事業主が保険料の半額を負担することと納付の義務を負うことについて同意を得ることを条件に、資格を取得します。
一方、「適用事業所に使用される者」は、事業主の同意がなくても資格を取得できます。
適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者は、保険料負担と納付については、原則として本人の責任になりますので、滞納したときの扱いがポイントになります。
では、条文を読んでみましょう。
附則第4条の3 (適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者) ⑦ 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者は、保険料の全額を負担し、自己の負担する保険料を納付する義務を負うものとし、その者については、第84条の規定(保険料の源泉控除)は、適用しない。 ただし、その者の事業主が、当該保険料の半額を負担し、かつ、その被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負うことにつき同意をしたときは、この限りでない。
⑧ 事業主は、被保険者の同意を得て、将来に向かって同意を撤回することができる。 |
適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者のポイントその1
・保険料の全額を負担し、自己の負担する保険料を納付する義務を負う
・事業主が同意をしたとき → 事業主が保険料の半額を負担し、かつ、事業主が保険料を納付する義務を負う
・事業主は将来に向かってその同意を撤回できる(被保険者の同意が必要)
では、続きです。
附則第4条の3 ③ 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者が、初めて納付すべき保険料を滞納し、督促状の指定期限までに、その保険料を納付しないときは、被保険者とならなかったものとみなす。ただし、事業主の同意がある場合は、この限りでない。
⑥ 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者は、保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を滞納し、督促状の指定期限までに、その保険料を納付しないとき(ただし書に規定する事業主の同意があるときを除く。)は、保険料の納期限の属する月の前月の末日に、被保険者の資格を喪失する。
|
適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者のポイントその2
・初めて納付すべき保険料を滞納し、督促状の指定期限までに、納付しないとき
→ 被保険者とならなかったものとみなす
※事業主の同意がある場合は、この規定は適用されません
・保険料を滞納し、督促状の指定期限までに、その保険料を納付しないとき
→ 保険料の納期限の属する月の前月の末日に、被保険者の資格を喪失する。
※事業主の同意がある場合は、この規定は適用されません。
ポイント
・「適用事業所以外の事業所に使用される」高齢任意加入被保険者は、保険料の半額負担と納付義務は事業主が負いますので、滞納の問題は生じません。
しかし、「適用事業所に使用される」高齢任意加入被保険者は、保険料負担と納付義務は本人が負いますので、滞納の場合は資格喪失のペナルティがあります。しかし、事業主の同意がある場合は、責任は事業主にあるため、滞納の問題は生じなくなります。
過去問をどうぞ!
①【H24年出題】 ※改正による修正あり
適用事業所に使用される70歳以上の高齢任意加入被保険者は、保険料の全額を負担し、自己の負担する保険料を納付する義務を負うものとする。ただし、その者の事業主(第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者に係る事業主ではないものとする)が当該保険料の半額を負担し、かつその被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負うことにつき同意をしたときはこの限りではない。
②【H29年出題】
高齢任意加入被保険者を使用する適用事業所の事業主は、当該被保険者に係る保険料の半額を負担し、かつ、当該被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負うことにつき同意すること及びその同意を将来に向かって撤回することができるとされているが、当該被保険者が第4号厚生年金被保険者であるときは、この規定は適用されない。
③【H27年出題】 ※改正による修正あり
適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者は、保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を滞納し、督促状の指定期限までに、その保険料を納付しないときは、当該保険料の納期限の日に、その資格を喪失する。なお、当該適用事業所の事業主(第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者に係る事業主ではないものとする)は、保険料を半額負担し、かつ、その保険料納付義務を負うことについて同意していないものとする。
【解答】
①【H24年出題】 〇 ※改正による修正あり
まず、「適用事業所に使用される」の部分をチェックしましょう。「適用事業所以外の事業所」の高齢任意加入被保険者には、この規定は適用されません。
また、後半の、「事業主の同意」の部分は、第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者に係る事業主には適用されません。
(附則第4条の3第10項)
②【H29年出題】 ×
この規定が適用されないのは、第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者に係る事業主です。
(附則第4条の3第10項)
③【H27年出題】 ×※改正による修正あり
保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を滞納し、督促状の指定期限までに納付しないときは、「保険料の納期限の属する月の前月の末日」に資格を喪失します。
例えば、4月分の保険料を滞納し、督促状の指定期限までに納付しないときは、保険料の納期限(5月末日)の前月の末日(4月30日)に資格を喪失します。
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R4-239
厚生年金保険の被保険者の資格は70歳に達したときに喪失します。
しかし、70歳に達しても老齢年金の受給権がない場合は、70歳以上でも受給権を取得するまで厚生年金保険に任意で加入できます。
高齢任意加入被保険者には、「適用事業所に使用される者」と「適用事業所以外の事業所に使用される者」の2種類があります。
問題文を解くときは、どちらの高齢任意加入被保険者のことなのかを意識しましょう。
条文を読んでみましょう
附則第4条の3 (適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者) ① 適用事業所に使用される70歳以上の者であって、老齢厚生年金、国民年金法による老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有しないものは、実施機関に申し出て、被保険者となることができる。 ② 申出をした者は、その申出が受理されたときは、その日に、被保険者の資格を取得する。
附則第4条の5 (適用事業所以外の事業所に使用される高齢任意加入被保険者) 適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上の者であって、老齢厚生年金、国民年金法による老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有しないものは、厚生労働大臣の認可を受けて、被保険者となることができる。 認可を受けるには、その事業所の事業主の同意を得なければならない。 |
適用事業所に使用される場合、適用事業所以外の事業所に使用される場合の共通点は、「老齢厚生年金、老齢基礎年金等老齢又は退職を支給事由とする年金の受給権がないこと」です。
また、「適用事業所に使用される」場合は「実施機関に申出」、「適用事業所以外の事業所に使用される」場合は「事業主の同意+厚生労働大臣の認可」が必要です。
では、過去問をどうぞ!
①【H26年出題】
適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上の者が高齢任意加入被保険者になるには、事業主の同意を得たうえで、厚生労働大臣に対して申出を行うこととされており、その申出が受理された日に資格を取得する。
②【H20年出題】 ※改正による修正あり
適用事業所に使用される70歳以上の者であって、老齢厚生年金、老齢基礎年金等の受給権を有しないもの(厚生年金保険法の規定により被保険者としないとされた者を除く。)が、高齢任意加入被保険者の資格を取得するためには、事業主の同意は必ずしも要しないが、実施機関に申し出る必要がある。
【解答】
①【H26年出題】 ×
「適用事業所以外の事業所」に使用される場合は、事業主の同意を得たうえで、「厚生労働大臣の認可」を受けなければなりません。この点は任意単独被保険者と同じです。「申出」ではありませんので注意しましょう。
また、「認可を受けた日」に資格を取得します。
②【H20年出題】 〇※改正による修正あり
「適用事業所」に使用される場合は、実施機関に申し出る必要があります。事業主の同意は要りません。
次はこちらをどうぞ!
③【H21年出題】
70歳以上の障害厚生年金の受給権者は、老齢厚生年金、老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金の受給権を有しない者であっても、高齢任意加入被保険者となることができない。
【解答】
③【H21年出題】 ×
障害給付や遺族給付の受給権者でも、老齢厚生年金、老齢基礎年金等の年金の受給権を有しない場合は、高齢任意加入被保険者になることができます。
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R4-238
適用事業所に使用される70歳未満の者は、当然に厚生年金保険の被保険者となります。
「適用事業所以外」の事業所に使用される70歳未満の者は、任意に厚生年金保険に加入でき、「任意単独被保険者」といいます。
では、条文を読んでみましょう。
(任意単独被保険者) 第10条 ① 適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の者は、厚生労働大臣の認可を受けて、厚生年金保険の被保険者となることができる。 ② ①の認可を受けるには、その事業所の事業主の同意を得なければならない。
第11条 任意単独被保険者は、厚生労働大臣の認可を受けて、被保険者の資格を喪失することができる。 |
適用事業以外の事業所の従業員でも、単独で厚生年金保険の被保険者になることができます。任意単独被保険者といいます。
加入の場合は、その事業所の事業主の同意を得て、厚生労働大臣の認可を受けなければなりません。事業主の同意は、保険料の半額負担と納付義務を負うことの同意です。
また、厚生労働大臣の認可を受けて、資格を喪失することもできます。喪失の際は、事業主の保険料の負担等の義務が無くなるため、事業主の同意は要りません。
では、過去問をどうぞ!
①【H24年出題】
適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の者が被保険者になるためには、保険料を全額負担し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
②【H27年出題】
任意単独被保険者が厚生労働大臣の認可を受けてその資格を喪失するには、事業主の同意を得た上で、所定の事項を記載した申請書を提出しなければならない。
③【H19年出題】
任意単独被保険者は、厚生労働大臣の認可があった日に、被保険者の資格を取得する。
【解答】
①【H24年出題】 ×
任意単独被保険者の保険料は、事業主と被保険者がそれぞれ半額負担します。そのため、任意単独被保険者になるには、事業主の同意が必要です。
②【H27年出題】 ×
任意単独被保険者の資格の喪失には、事業主の同意は要りません。
③【H19年出題】 〇
任意単独被保険者は、「厚生労働大臣の認可があった日」に、資格を取得します。
なお、任意単独被保険者が、厚生労働大臣の認可を受けて資格を喪失する場合は、厚生労働大臣の認可があった日の「翌日」に資格を喪失します。
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R4-225
厚生年金保険の財源は主に保険料ですが、国庫負担もあります。
今日は国庫負担がテーマです。
条文を読んでみましょう。
第80条 (国庫負担等) ① 国庫は、毎年度、厚生年金保険の実施者たる政府が負担する基礎年金拠出金の額の2分の1に相当する額を負担する。 ② 国庫は、①に規定する費用のほか、毎年度、予算の範囲内で、厚生年金保険事業の事務(基礎年金拠出金の負担に関する事務を含む。)の執行(実施機関(厚生労働大臣を除く。)によるものを除く。)に要する費用を負担する。 ③ 実施機関(厚生労働大臣を除く。以下この項において同じ。)が納付する基礎年金拠出金及び実施機関による厚生年金保険事業の事務の執行に要する費用の負担については、この法律に定めるもののほか、共済各法の定めるところによる。 |
★「国庫負担」とは、年金給付の財源として、税負担をもとに国が支出するものです。(参照:厚生労働省ホームページ)
先に「実施機関」を確認しましょう。
・第1号厚生年金被保険者
→ 厚生労働大臣
・第2号厚生年金被保険者
→ 国家公務員共済組合及び国家公務員共済組合連合会
・第3号厚生年金被保険者
→ 地方公務員共済組合、全国市町村職員共済組合連合会及び地方公務員共済組合連合会
・第4号厚生年金被保険者
→ 日本私立学校振興・共済事業団
では、第80条を確認しましょう。
①について
厚生年金保険の被保険者(第2号被保険者)にも、その被扶養配偶者(第3号被保険者)にも「基礎年金」が支給されます。そのための費用として、厚生年金保険の実施者たる政府は「基礎年金拠出金」を負担しています。その基礎年金拠出金の額の2分の1を国庫が負担しています。
②について
厚生年金保険事業の事務の執行(実施機関(厚生労働大臣を除く。)によるものを除く。)に要する費用は国庫が負担する。 → 事務費は、予算の範囲内で国庫が負担しています。
③について
実施機関(厚生労働大臣を除く)が納付する「基礎年金拠出金」と実施機関(厚生労働大臣を除く。)による「事務の執行に要する費用の負担」については、厚生年金保険法に定めるもののほか、共済各法の定めるところによります。
過去問をどうぞ!
【H29年選択式】
厚生年金保険法第80条第1項の規定により、国庫は、毎年度、厚生年金保険の実施者たる政府が負担する< A >に相当する額を負担する。
【解答】
A 基礎年金拠出金の額の2分の1
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R4-224
事業主は、保険料の被保険者負担分を報酬から控除することができます。
条文を読んでみましょう。
第84条 (保険料の源泉控除) ① 事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所又は船舶に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。 ② 事業主は、被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。 ③ 事業主は、保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。 |
<原則>
事業主が報酬から控除できるのは、前月分の被保険者負担分の保険料です。
<月末退職の場合>
前月分と当月分を控除できます。
例えば、4月30日退職・5月1日喪失の場合、保険料は4月分まで徴収されます。
4月の報酬から、3月分と4月分の保険料を控除できます。
<賞与の保険料>
賞与の被保険者負担分の保険料は、賞与から控除できます。
では、過去問をどうぞ!
①【H22年出題】
事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所または船舶に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。
②【H30年出題】
第1号厚生年金被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合において、事業主が被保険者の負担すべき保険料を報酬から控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。
【解答】
①【H22年出題】 〇
控除できるのは、原則として「前月分の保険料」のみです。ただし、月末退職のように当月分の保険料が徴収される場合は、「前月分と当月分の保険料」を控除することができます。
②【H30年出題】 〇
被保険者負担分の保険料を控除したときは、控除の計算書を作成し、控除額を被保険者に通知しなければなりません。
ちなみに、第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者、第4号厚生年金被保険者に係る保険料の徴収、納付及び源泉控除については、法第84条の2(保険料の徴収等の特例)で、「共済各法の定めるところによる」と規定されています。
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R4-223
事業主には、被保険者負担分と事業主負担分の保険料を納付する義務があります。
今回は、保険料の納付のルールを確認します。
条文を読んでみましょう。
第83条 (保険料の納付) ① 毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない。 ② 厚生労働大臣は、納入の告知をした保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額をこえていることを知ったとき、又は納付した保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額をこえていることを知ったときは、そのこえている部分に関する納入の告知又は納付を、その納入の告知又は納付の日の翌日から6か月以内の期日に納付されるべき保険料について納期を繰り上げてしたものとみなすことができる。 ③ ②の規定によって、納期を繰り上げて納入の告知又は納付をしたものとみなしたときは、厚生労働大臣は、その旨を当該納付義務者に通知しなければならない。 |
事業主は、厚生年金保険の保険料を翌月末日までに納付しなければなりません。例えば、4月分の保険料は5月末日までに納付することになります。
翌月下旬ごろに、保険料の「納入告知書」が事業所に届きますので、それに保険料を添えて納付します。
②は「納入告知書の額が本来納付すべき保険料額より多かった」、「納付した保険料額が本来納付すべき保険料額より多かった」場合の事務簡素化のための規定です。
6か月間の保険料を繰り上げて先に納付したものとみなすことができます。
では、過去問をどうぞ!
①【H22年出題】
厚生年金保険の毎月の保険料は、当月末日までに、納付しなければならない。
②【H30年選択式】
厚生年金保険法第83条第2項の規定によると、厚生労働大臣は、納入の告知をした保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額をこえていることを知ったとき、又は納付した保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額をこえていることを知ったときは、そのこえている部分に関する納入の告知又は納付を、その< A >以内の期日に納付されるべき保険料について納期を繰り上げてしたものとみなすことができるとされている。
<選択肢>
①納入の告知又は納付の日から1年
②納入の告知又は納付の日から6か月
③納入の告知又は納付の日の翌日から1年
④納入の告知又は納付の日の翌日から6か月
③【H25年出題】
厚生労働大臣は、厚生年金保険法第83条第2項の規定によって、納期を繰り上げて納付をしたものとみなすときは、事前にその旨を当該納付義務者に通知し同意を得なければならない。
【解答】
①【H22年出題】 ×
納付期日は、当月末日ではなく、「翌月末日」までです。
②【H30年選択式】
A ④納入の告知又は納付の日の翌日から6か月
③【H25年出題】 ×
第83条第3項に、納期を繰り上げて納付をしたものとみなすときは、「厚生労働大臣は、その旨を当該納付義務者に通知しなければならない。」と規定されています。「事前にその旨を当該納付義務者に通知し同意を得なければならない。」ではありません。
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R4-222
厚生年金保険の保険料は「標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ保険料率を乗じて得た額」です。
被保険者と事業主が半額ずつ負担し、事業主が納付義務を負います。
では、条文を読んでみましょう。
第82条 (保険料の負担及び納付義務) ① 被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する。 ② 事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。 ③ 被保険者が同時に2以上の事業所又は船舶に使用される場合における各事業主の負担すべき保険料の額及び保険料の納付義務については、政令の定めるところによる。 ④ 第2号厚生年金被保険者についての①の規定の適用については、①の「事業主は」とあるのは、「事業主(国家公務員共済組合法に規定する職員団体その他政令で定める者を含む。)は、政令で定めるところにより」とする。 ⑤ 第3号厚生年金被保険者についての①の規定の適用については、①の「事業主は」とあるのは、「事業主(市町村立学校職員給与負担法の規定により給与を負担する都道府県その他政令で定める者を含む。)は、政令で定めるところにより」とする。 |
例えば、標準報酬月額が41万円の場合、厚生年金保険料は7万5,030円(41万円×1000分の183)で、被保険者と事業主がそれぞれ3万7515円ずつ負担します。
事業主は、被保険者負担分と事業主負担分を合わせた7万5030円を納付する義務を負います。
さて、今日の過去問は、「2か所以上の事業所に使用される被保険者の保険料」です。
先に、2か所で厚生年金保険に加入している被保険者の標準報酬月額の決定のルールを確認しておきましょう。
法第24条第2項で、「同時に2以上の事業所で報酬を受ける被保険者について報酬月額を算定する場合においては、各事業所について、定時決定、資格取得時の決定、随時改定、育児休業を終了した際の改定若しくは産前産後休業を終了した際の改定又は保険者算定の規定によって算定した額の合算額をその者の報酬月額とする。」とされています。
例えば、A社とB社で厚生年金保険の被保険者となっている場合、A社の「報酬月額」とB社の「報酬月額」の合算額がその者の報酬月額となります。その合算した報酬月額で標準報酬月額が決定されます。
A社とB社の標準報酬月額を合算ではありませんので、注意してください。
では、過去問をどうぞ!
①【H28年出題】
第1号厚生年金被保険者が同時に2以上の適用事業所(船舶を除く。)に使用される場合における各事業主の負担すべき標準報酬月額に係る保険料の額は、各事業所について算定した報酬月額を当該被保険者の報酬月額で除し、それにより得た数を当該被保険者の保険料の半額に乗じた額とする。
②【H30年出題】
被保険者が厚生年金保険法第6条第1項第3号に規定する船舶に使用され、かつ、同時に事業所に使用される場合においては、船舶所有者(同号に規定する船舶所有者をいう。以下同じ。)以外の事業主は保険料を負担せず、保険料を納付する義務を負わないものとし、船舶所有者が当該被保険者に係る保険料の半額を負担し、当該保険料及び当該被保険者の負担する保険料を納付する義務を負うものとされている。
【解答】
①【H28年出題】 〇
被保険者が2以上の適用事業所に使用される場合、それぞれの事業主が負担する保険料についての問題です。
それぞれの事業所の「報酬月額」で按分します。「標準報酬月額」ではないのでご注意ください。
按分割合は「各事業所について算定した報酬月額」÷「当該被保険者の報酬月額」です。
各事業主が負担する保険料は「当該被保険者の保険料の半額」×按分割合です。
なお、各事業主が納付する保険料は、「各事業主が負担すべき保険料+これに応ずる被保険者が負担すべき保険料」となります。
(令第4条第1項)
例えば、被保険者がA事業所とB事業所で被保険者になっている場合の報酬月額は下の図のようなイメージです。
被保険者の報酬月額(A+B) | |
A事業所の報酬月額 | B事業所の報酬月額 |
A事業主の負担割合は、A÷(A+B)です。
②【H30年出題】 〇
被保険者が船舶と同時に船舶以外の事業所に使用される場合の保険料の負担と納付について
・当該被保険者に係る保険料の半額を負担し納付する義務を負うのは「船舶所有者」で、「船舶所有者以外の事業主」は保険料を負担、保険料を納付する義務は負いません。
(令第4条第4項)
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R4-221
厚生年金保険は、国庫負担と保険料によって賄われています。
今回は「保険料」の勉強です。
条文を読んでみましょう。
第81条 (保険料) 1 政府等は、厚生年金保険事業に要する費用(基礎年金拠出金を含む。)に充てるため、保険料を徴収する。 2 保険料は、被保険者期間の計算の基礎となる各月につき、徴収するものとする。 3 保険料額は、標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ保険料率を乗じて得た額とする。 4 保険料率は、次の表の上欄に掲げる月分の保険料について、それぞれ同表の下欄に定める率とする。(表は省略します) |
用語について
・政府等 → 政府及び実施機関(厚生労働大臣を除く)
・被保険者期間
→ 「被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。」
・保険料額
→ 標準報酬月額×保険料率、標準賞与額×保険料率
・保険料率
→ 平成29年9月以後の月分・・・1,000分の183.00
ポイントを穴埋めでチェックしましょう
問題1
政府等は、厚生年金保険事業に要する費用(< A >を含む。)に充てるため、保険料を徴収する。
【解答】
A 基礎年金拠出金
では、過去問をどうぞ!
①【R1年出題】
厚生年金保険の保険料率は段階的に引き上げられてきたが、上限が1000分の183.00に固定(統一)されることになっている。第1号厚生年金被保険者の保険料率は平成29年9月に、第2号及び第3号厚生年金被保険者の保険料率は平成30年9月にそれぞれ上限に達したが、第4号厚生年金被保険者の保険料率は平成31年4月12日時点において上限に達していない。
②【H24年出題】
厚生年金保険の保険料は、月末に被保険者の資格を取得した月は当該月の保険料が徴収されるが、月の末日付けで退職したときは、退職した日が属する月分の保険料は徴収されない。
【解答】
①【R1年出題】 〇
(第1号厚生年金被保険者の保険料率について)
平成16年の年金改正で保険料水準固定方式がとられるようになりました。厚生年金保険の保険料率は、平成16年10月から毎年引き上げられ(平成17年度からは9月に引き上げられています。)、平成29年9月に1000分の183になり、そこで固定されました。
(第2号及び第3号厚生年金被保険者の保険料率について)
被用者年金一元化によって、保険料率が毎年度引き上げられ、平成30年9月にそれぞれ1,000分の183に達し、固定されています。
(第4号厚生年金被保険者の保険料率について)
保険料率は毎年度引き上げられ、令和9年4月に1,000分の183に達します。
(H24年法律第63号附則第83、84、85条)
②【H24年出題】 ×
例えば、令和4年3月31日に資格取得、令和4年9月30日に退職・10月1日に資格喪失した場合で考えてみましょう。
被保険者期間は、「被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月」までとなりますので、3月から9月までとなります。
3/31 取得 |
|
|
|
|
| 9/30 退職 | 10/1 喪失 |
3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
|
厚生年金保険の保険料は「被保険者期間の計算の基礎となる各月」に徴収されますので、退職した日(9月30日)が属する月(9月分)の保険料は徴収されます。
ポイント!
・月末に被保険者の資格を取得した月 → 保険料が徴収される
・月の末日付けで退職したとき → 退職した日が属する月分の保険料は徴収される
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R4-207
引き続き、離婚時みなし被保険者期間のよく出るところを見ていきます。
自身が厚生年金保険の被保険者になったことがなく、離婚時みなし被保険者期間のみを有する者が死亡した場合、遺族厚生年金は支給されるでしょうか?
まず、「遺族厚生年金」の死亡した人の条件を確認しましょう。
第58条 遺族厚生年金は、被保険者又は被保険者であった者が次の各号のいずれかに該当する場合に、その者の遺族に支給する。 ただし、第1号又は第2号に該当する場合にあっては、死亡した者につき、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。 1 被保険者(失踪の宣告を受けた被保険者であつた者であって、行方不明となった当時被保険者であったものを含む。)が、死亡したとき。 2 被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき。 3 障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、死亡したとき。 4 老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)又は保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が、死亡したとき。
第78条の11 第4号に該当する場合にあっては、離婚時みなし被保険者期間を有する者を含む。 |
第4号には、「離婚時みなし被保険者期間を有する者」が含まれることがポイントです。
また、「25年以上」には、合算対象期間も合算されます。(附則第14条)
過去問をどうぞ!
①【H28年出題】 ※改正による修正あり
国民年金の第1号被保険者期間のみを有していた者が、離婚時みなし被保険者期間を有するに至ったことにより老齢厚生年金の受給権(保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間を合算した期間が25年以上あるものとする)を取得した後に死亡した場合は、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。
②【H19年出題】
遺族厚生年金の支給に当たっては離婚時みなし被保険者期間も厚生年金保険の被保険者としての期間に算入されるため、かつて厚生年金保険の被保険者でなかった者であっても、離婚時みなし被保険者期間を有する者であれば、その者が死亡した場合には遺族に遺族厚生年金が支給されることがある。
【解答】
①【H28年出題】 〇 ※改正による修正あり
国民年金の第1号被保険者期間しか有していなくても、離婚時みなし被保険者期間を有した場合は、老齢厚生年金の受給権を取得します。
そのような場合で、保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間を合算した期間が25年以上ある者が死亡した場合は、一定の遺族に遺族厚生年金が支給されます。
老齢厚生年金 (離婚時みなし被保険者期間のみ) |
老齢基礎年金 (第1号被保険者期間のみ(25年以上)) |
②【H19年出題】 〇
自身は厚生年金保険の被保険者になったことがなく離婚時みなし被保険者期間のみの者が死亡した場合でも、遺族に遺族厚生年金が支給されることがあります。
ただし、死亡した者の保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間を合算した期間が原則として25年以上あることが条件です。
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R4-206
「離婚時みなし被保険者期間」とは?
例えば、厚生年金保険の被保険者の夫から第3号被保険者の妻に厚生年金の分割が行われた場合、妻は厚生年金保険の被保険者ではありませんが、分割を受けたことにより、その期間は(厚生年金保険の)被保険者期間であったとみなされます。これを「みなし被保険者期間」といいます。
■合意分割
・ 対象期間のうち第1号改定者の被保険者期間であって第2号改定者の被保険者期間でない期間
→ 第2号改定者の被保険者期間であったものとみなす。(離婚時みなし被保険者期間)
(第78条の7)
■3号分割
・ 特定期間に係る被保険者期間
→ 被扶養配偶者の被保険者期間であったものとみなす。(被扶養配偶者みなし被保険者期間)
(第78条の15)
今日のテーマは「みなし被保険者期間」です。
「みなし被保険者期間」を算入するか算入しないかが問われるポイントです。
では、過去問をどうぞ!
①【H27年出題】
厚生年金保険の被保険者期間が離婚時みなし被保険者期間としてみなされた期間のみである者は、特別支給の老齢厚生年金を受給することはできない。
②【H29年出題】
離婚時みなし被保険者期間は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の額の計算の基礎とはされない。
③【R3年出題】
老齢厚生年金に配偶者の加給年金額が加算されるためには、老齢厚生年金の年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上という要件があるが、当該被保険者期間には、離婚時みなし被保険者期間を含めることはできない。
【解答】
①【H27年出題】 〇
特別支給の老齢厚生年金は、1年以上の厚生年金保険の被保険者期間があることが条件です。みなし被保険者期間は、「1年以上」には算入されません。そのため、自身で厚生年金保険に加入したことがなく、みなし被保険者期間しか有しない場合は、特別支給の老齢厚生年金は受給できません。
(法附則第17条の10)
②【H29年出題】 〇
特別支給の老齢厚生年金の定額部分は、「1,628円×改定率×厚生年金保険の被保険者期間の月数」で計算しますが、みなし被保険者期間は、この計算には算入されません。
(法附則第17条の10)
③【R3年出題】 〇
老齢厚生年金に配偶者の加給年金額が加算される要件である「被保険者期間の月数が240以上」の被保険者期間には、みなし被保険者期間は算入されません。
加給年金額が加算されるには、自身の厚生年金保険の被保険者期間が原則として240以上あることが条件です。
(法附則第17条の10)
※「被扶養配偶者みなし被保険者期間」も「離婚時みなし被保険者期間」と同じ扱いです。
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R4-187
例えば、海外に居住している1級の障害厚生年金を受給中の夫(35歳)、妻(35歳)、子(10歳)の家族で、夫が死亡した場合を考えてみます。
夫は国内では第1号被保険者でしたが、日本国内に住所を有しなくなったため、国民年金の被保険者の資格を喪失しています。なお、任意加入もしていません。
夫の死亡により、遺族厚生年金と遺族基礎年金は支給されるでしょうか?
・遺族厚生年金は?
→ 「障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、死亡したとき」に該当しますので、要件を満たせば妻と子に受給権が発生します。
・では、遺族基礎年金は?
→ 遺族基礎年金は次の4つのどれかに該当することが条件です。
(国民年金法第37条)
① 被保険者が、死亡したとき。
② 被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であるものが、死亡したとき。
③ 老齢基礎年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)が、死亡したとき。
④ 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が、死亡したとき。
死亡した夫は4つのどれにも該当しませんので、遺族基礎年金は支給されません。
このように、遺族厚生年金は支給されても、妻と子が生計を同じくしているのに、遺族基礎年金が支給されないケースがあります。
そこで、遺族厚生年金に遺族基礎年金相当額が加算される規定があります。
条文で確認しましょう。
昭和60年附則第74条 ① 配偶者に支給する遺族厚生年金の額は、当該厚生年金保険の被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その配偶者が厚生年金保険法第59条第1項に規定する要件に該当した子と生計を同じくしていた場合であって、当該厚生年金保険の被保険者又は被保険者であった者の死亡につきその配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得しないときは、同法第60条第1項第1号及び第62条第1項の規定にかかわらず、これらの規定の例により計算した額に国民年金法第38条(遺族基礎年金の額)及び第39条第1項(子の加算額)の規定の例により計算した額を加算した額とする。 |
★ この規定により、先ほどのケースの妻の遺族厚生年金には、遺族基礎年金の額と子の加算額に相当する額が加算されます。
では、過去問をどうぞ
①【H29年出題】(改正による修正あり)
国外に居住する障害等級2級の障害厚生年金の受給権者が死亡した。死亡の当時、この者は、国民年金の被保険者ではなく、また、保険料納付済期間と保険料免除期間と合算対象期間を合算した期間が25年未満であった。この者によって生計を維持していた遺族が5歳の子1人であった場合、その子には遺族基礎年金は支給されないが、その子に支給される遺族厚生年金の額に遺族基礎年金の額に相当する額が加算される。
②【H18年出題】
遺族基礎年金の受給権を取得しない子に支給される遺族厚生年金の額については、遺族厚生年金の額に、遺族基礎年金の額及び子の加算額に相当する額を加算した額とする。
【解答】
①【H29年出題】(改正による修正あり) 〇
最初に説明したのは、妻と子の例でしたが、この問題のように遺族が「子」のみの場合でも、遺族厚生年金に遺族基礎年金の額に相当する額が加算されます。
昭和60年附則第74条第2項に次のように規定されています。
子に支給する遺族厚生年金の額は、当該厚生年金保険の被保険者又は被保険者であった者の死亡につきその子が遺族基礎年金の受給権を取得しないときは、厚生年金保険法第60条第1項第1号及び第2項の規定にかかわらず、これらの規定の例により計算した額に国民年金法第38条(遺族基礎年金の額)及び第39条の2第1項(子の加算額)の規定の例により計算した額を加算した額とする。 |
(昭和60年附則第74条第2項)
②【H18年出題】 〇
①の問題と同じです。
(昭和60年附則第74条第2項)
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R4-186
例えば、被保険者等の死亡の当時、配偶者も子もなくて、父がいる場合は、父が遺族厚生年金の受給権者になります。
しかし、死亡当時胎児であった子が出生した場合は、子が先順位になりますので父の受給権は消滅します。
では、条文を読んでみましょう。
第63条 ③ 父母、孫又は祖父母の有する遺族厚生年金の受給権は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、消滅する。 |
★ 胎児であった子の出生で受給権が消滅するのは、子より後順位の父母、孫、祖父母です。
では、過去問です!
①【H24年出題】
被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、父母、孫、祖父母の遺族厚生年金の受給権は消滅するが、妻の受給権は消滅しない。
②【R2年出題】
被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、父母、孫又は祖父母の有する遺族厚生年金の受給権は消滅する。一方、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときでも、妻の有する遺族厚生年金の受給権は消滅しない。
【解答】
①【H24年出題】 〇
配偶者と子は、同じ順位ですので、胎児であった子が出生しても、妻の受給権は消滅しません。
②【R2年出題】 〇
①の問題と同じです。
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R4-185
今回は、1年以上所在不明の場合の支給停止です。
ポイントは、支給停止のスタートと解除のタイミングです。
では、条文を読んでみましょう。
第67条 ① 配偶者又は子に対する遺族厚生年金は、その配偶者又は子の所在が1年以上明らかでないときは、遺族厚生年金の受給権を有する子又は配偶者の申請によって、その所在が明らかでなくなった時にさかのぼって、その支給を停止する。 ② 配偶者又は子は、いつでも、①の規定による支給の停止の解除を申請することができる。 |
★ 支給停止は、所在が明らかでなくなったときにさかのぼるのがポイントです。申請したときからではありません。
過去問をどうぞ!
①【R1年出題】
配偶者に対する遺族厚生年金は、その配偶者の所在が1年以上明らかでないときは、遺族厚生年金の受給権を有する子の申請によって、申請の日からその支給を停止する。
②【R2年出題】
死亡した被保険者の2人の子が遺族厚生年金の受給権者である場合に、そのうちの1人の所在が1年以上明らかでないときは、他の受給権者の申請によってその所在が明らかでなくなった時にさかのぼってその支給が停止されるが、支給停止された者はいつでもその支給停止の解除を申請することができる。
【解答】
①【R1年出題】 ×
「申請の日から」ではなく、「所在が明らかでなくなった時にさかのぼって」、その支給を停止されます。
配偶者と子が受給権者になった場合、配偶者に遺族厚生年金を支給し、子の遺族厚生年金は支給停止になるのが原則です。しかし、配偶者が所在不明で配偶者の遺族厚生年金の支給が停止されると、子の支給停止が解除されます。
(法第66条第1項、第67条)
②【R2年出題】 〇
所在が1年以上明らかでないとき
☆「所在が明らかでなくなった時にさかのぼって」支給が停止されます。
所在不明になった日が属する月の翌月から支給停止されます。
☆支給停止された者はいつでもその支給停止の解除を申請することができます。
支給停止が解除されるのは、「支給停止の解除の申請をした日」が属する月の翌月からです。所在が明らかになった日ではありません。
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R4-184
遺族厚生年金の受給権は配偶者と子の両方に発生、しかし遺族基礎年金の受給権は子のみに発生する場合があります。
その場合の調整が今日のテーマです。
では、条文を読んでみましょう。
第66条 ② 配偶者に対する遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、配偶者が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、その支給を停止する。ただし、子に対する遺族厚生年金が次条(1年以上の所在不明)の規定によりその支給を停止されている間は、この限りでない。 |
☆この条文のシチュエーション
夫Aと妻Bの夫婦に子Cがいた。 しかし夫婦は離婚し、子Cは妻Bと生計を同じくし、夫Aは、Cの養育費を送金している。 その後、夫Aは、Dと再婚し、現在は、夫Aと妻Dが夫婦となっている。 |
そして厚生年金保険の被保険者である夫Aが死亡した場合、遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権はどうなるでしょうか?
・ 子Cについて → 死亡した被保険者(A)と生計維持関係が認められると、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の受給権が発生する
・ 元妻Bについて → 死亡したAとは夫婦ではないので、遺族年金の受給権は発生しない
・ 妻Dについて → 「遺族厚生年金」の受給権が発生する。しかし、死亡したA
の子(C)と生計を同じくしていないので遺族基礎年金の受給権は発生しない
条文に当てはめると、『配偶者(妻D)に対する遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者(夫A)の死亡について、配偶者(妻D)が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子(C)が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、その支給を停止する』となります。
配偶者(妻D)の遺族厚生年金は支給停止されます。
では、過去問をどうぞ!
【H26年出題】
被保険者の死亡により妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、妻の遺族厚生年金は、妻が遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって、子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、支給停止される。
※遺族基礎年金及び遺族厚生年金の受給権者の所在が明らかでない場合を考慮する必要はない。
【解答】
【H26年出題】 〇
冒頭のシチュエーションに当てはめて問題文を読んでみてください。
妻の遺族厚生年金は支給停止され、子に遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されます。
(法第66条第2項)
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R4-183
遺族厚生年金の支給順位では、配偶者と子は同順位です。配偶者と子が両方受給権者になったときの調整方法が今日のテーマです。
では、条文を見てみましょう。
第66条 子に対する遺族厚生年金は、配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給を停止する。ただし、配偶者に対する遺族厚生年金が前条本文、次項本文又は次条の規定によりその支給を停止されている間は、この限りでない。 |
配偶者と子が受給権者になった場合、配偶者に遺族厚生年金を支給し、子の遺族厚生年金は支給停止になるのが原則です。
例外的に、配偶者の遺族厚生年金が第65条の2(夫、父母、祖父母の支給停止)、第66条第2項(配偶者が遺族基礎年金の受給権を有しないとき)、第67条(所在不明のときの支給停止)の規定で支給停止されている場合は、子に支給されます。
※「第66条第2項(配偶者が遺族基礎年金の受給権を有しないとき)」は次回お話しします。
では、過去問をどうぞ!
①【H22年出題】
遺族厚生年金の遺族の順位において、配偶者と子は同順位であるが、配偶者が妻(国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有する者に限る。以下同じ。)の場合には、妻に遺族厚生年金を支給する間、子(所在不明によりその支給が停止されている場合を除く。以下同じ。)の支給が停止され、配偶者が夫(国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有する者に限る。以下同じ。)の場合には、子に遺族厚生年金を支給する間、夫の支給が停止される。
②【H26年出題】
被保険者の死亡により妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、子に対する遺族厚生年金は、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給が停止される。この場合、妻自身の申出により妻に対する遺族厚生年金の支給が停止されているときであっても、子に対する遺族厚生年金の支給停止は解除されない。
③【H30年出題】
被保険者の死亡により、その妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、子に対する遺族厚生年金は、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給が停止されるが、妻が自己の意思で妻に対する遺族厚生年金の全額支給停止の申出をしたときは、子に対する遺族厚生年金の支給停止が解除される。
④【R3年出題】
遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権を有する妻が、障害基礎年金と障害厚生年金の受給権を取得した。妻は、障害基礎年金と障害厚生年金を選択したため、遺族基礎年金と遺族厚生年金は全額支給停止となった。妻には生計を同じくする子がいるが、子の遺族基礎年金については、引き続き支給停止となるが、妻の遺族厚生年金が全額支給停止であることから、子の遺族厚生年金は支給停止が解除される。
【解答】
①【H22年出題】 ×
最後の「子に遺族厚生年金を支給する間、夫の支給が停止される。」の部分が誤りです。
妻(遺族基礎年金の受給権を有する)に遺族族厚生年金を支給する間は、子の支給は停止されます。
夫の場合も同じで、夫(遺族基礎年金の受給権を有する)に遺族厚生年金を支給する間は、子の支給が停止されます。
(法第66条)
②【H26年出題】 〇
受給権者はその意思によって、年金の支給停止を申し出ることができます。
問題文のように、妻自身の申出により妻に対する遺族厚生年金の支給が停止されているときでも、子に対する遺族厚生年金の支給停止は解除されません。
国民年金法の「遺族基礎年金」との違いに注意してください。遺族基礎年金の場合は、配偶者が申し出ることによって、配偶者の遺族基礎年金が支給停止になっている場合は、子の遺族基礎年金は支給されます。
参考 → R4.2.17 遺族基礎年金の支給停止(その3 子に対する支給停止)
(法第66条)
③【H30年出題】 ×
「子に対する遺族厚生年金の支給停止が解除される。」が誤りです。
妻が自己の意思で妻に対する遺族厚生年金の全額支給停止の申出をしたときでも、子に対する遺族厚生年金の支給停止は解除されません。
(法第66条)
④【R3年出題】 ×
妻が、「障害基礎年金と障害厚生年金」を選択し、「遺族基礎年金と遺族厚生年金」が全額支給停止になった場合でも、子の遺族基礎年金と遺族厚生年金の支給停止は解除されず、支給停止のままです。
(法第66条)
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R4-182
遺族厚生年金の遺族となる「夫、父母、祖父母」は、被保険者等の死亡の当時55歳以上であることが条件です。
しかし、遺族厚生年金の支給が始まるのは60歳からです。
条文を読んでみましょう。
第65条の2 夫、父母又は祖父母に対する遺族厚生年金は、受給権者が60歳に達するまでの期間、その支給を停止する。ただし、夫に対する遺族厚生年金については、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、夫が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有するときは、この限りでない。 |
「夫、父母、祖父母」は、被保険者等の死亡当時55歳以上であることが条件ですが、60歳までは支給停止されます。
ただし、遺族基礎年金の受給権がある「子のある夫」については、60歳までの間も支給されます。
では、過去問をどうぞ!
①【H27年出題】
夫(障害の状態にない)に対する遺族厚生年金は、当該夫が60歳に達するまでの期間、支給停止されるが、夫が妻の死亡について遺族基礎年金の受給権を有するときは、支給停止されない。
②【R1年出題】
平成26年4月1日以後に被保険者又は被保険者であった者が死亡し、その者の夫と子に遺族厚生年金の受給権が発生した。当該夫に対する当該遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、当該夫が国民年金法の規定による遺族基礎年金の受給権を有する場合でも、60歳に到達するまでの間、その支給を停止する。
③【H29年出題】
15歳の子と生計を同じくする55歳の夫が妻の死亡により遺族基礎年金及び遺族厚生年金の受給権を取得した場合、子が18歳に達した日以後の最初の3月31日までの間は遺族基礎年金と遺族厚生年金を併給することができるが、子が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときは遺族基礎年金は失権し、その翌月から夫が60歳に達するまでの間は遺族厚生年金は支給停止される。なお、本問の子は障害の状態にはなく、また、設問中にある事由以外の事由により遺族基礎年金又は遺族厚生年金は失権しないものとする。
【解答】
①【H27年出題】 〇
☆夫のポイント
・妻の死亡当時55歳以上であること
・夫が60歳に達するまでは支給停止
・夫が遺族基礎年金の受給権を有するとき(子があるとき)は、支給停止されません
②【R1年出題】 ×
夫に対する当該遺族厚生年金 → 原則は60歳に達するまでは支給停止ですが、遺族基礎年金の受給権を有する場合は、60歳前でも支給されます。
③【H29年出題】 〇
妻死亡
(夫55歳、子15歳) (子18歳年度末) (夫60歳)
▼ ▼ ▼
遺族厚生年金 | 支給停止 | 支給再開 |
遺族基礎年金 |
|
▲遺族基礎年金失権
(夫について)
・ 子が18歳の年度末までの間は遺族基礎年金と遺族厚生年金を併給できる
・ 子が18歳の年度末が終了したときに遺族基礎年金は失権する
・ その翌月から夫が60歳に達するまでの間は遺族厚生年金は支給停止される
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R4-181
前回は、遺族の要件をみましたが、今回はその優先順位です。
では、条文を読んでみましょう。
第59条 ② 父母は、配偶者又は子が、孫は、配偶者、子又は父母が、祖父母は、配偶者、子、父母又は孫が遺族厚生年金の受給権を取得したときは、それぞれ遺族厚生年金を受けることができる遺族としない。
③ 被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、将来に向って、その子は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していた子とみなす。 |
最も優先順位が高いのは、「配偶者又は子」です。配偶者と子は同順位です。
そして、「配偶者又は子」がいない場合は「父母」、「配偶者、子又は父母」がいない場合は「孫」、「配偶者、子、父母又は孫」がいない場合は「祖父母」の順番になります。
順位が高い遺族がいる場合は、それ以下の人は遺族厚生年金を受けることができる遺族になりません。
では、過去問をどうぞ!
①【H29年出題】
被保険者が死亡した当時、妻、15歳の子及び65歳の母が当該被保険者により生計を維持していた。妻及び子が当該被保険者の死亡により遺族厚生年金の受給権を取得したが、その1年後に妻が死亡した。この場合、母が当該被保険者の死亡による遺族厚生年金の受給権を取得することはない。
②【H23年出題】
被保険者の死亡により遺族厚生年金の受給権者となった妻が、再婚したことによってその受給権を失ったとき、被保険者の死亡当時その者によって生計を維持していた母がいる場合は、当該母がその遺族厚生年金を受給することができる。
③【R2年出題】
被保険者の死亡当時10歳であった遺族厚生年金の受給権者である被保険者の子が、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したことによりその受給権を失った場合において、その被保険者の死亡当時その被保険者によって生計を維持していたその被保険者の父がいる場合でも、当該父が遺族厚生年金の受給権者となることはない。
④【H27年出題】
被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、厚生年金保険法第59条第1項に規定する遺族厚生年金を受けることができる遺族の範囲の適用については、将来に向かって、その子は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していた子とみなす。
【解答】
①【H29年出題】 〇
生計維持されていたのが「妻、子、母」の場合、最も優先順位の高い「妻と子」に受給権が発生します。
『「父母」は、配偶者又は子が、遺族厚生年金の受給権を取得したときは、遺族厚生年金を受けることができる遺族としない。』とされていますので、問題文の場合、母は遺族厚生年金の対象の遺族にはなりません。
転給の制度もありませんので、妻が失権しても、母が遺族厚生年金の受給権を取得することはありません。
②【H23年出題】 ×
①の問題と同じです。
妻が遺族厚生年金の受給権を取得した場合は、母は遺族厚生年金を受けることができる遺族にはなりません。
③【R2年出題】 〇
①、②と同じです。
子が遺族厚生年金の受給権を取得した場合、父は遺族厚生年金を受けることはできません。子が失権したとしても、転給されることもありません。
④【H27年出題】 〇
「将来に向かって」がポイントです。死亡当時胎児だった子は、出生以降、遺族厚生年金の対象になります。
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R4-180
遺族基礎年金の遺族となる「子のある配偶者」又は「子」以外に、遺族厚生年金の遺族には、子のない配偶者、父母、孫、祖父母が入ります。
では、条文を読んでみましょう。
第59条 (遺族) 遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であった者の配偶者、子、父母、孫又は祖父母であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時(失踪の宣告を受けた被保険者であった者にあっては、行方不明となった当時。)その者によって生計を維持したものとする。ただし、妻以外の者にあっては、次に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。 1 夫、父母又は祖父母については、55歳以上であること。 2 子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、又は20歳未満で障害等級1級若しくは2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。
昭和60年法附則第72条第2項 平成8年4月1日前に死亡した「夫、父母、祖父母」については、障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にあること。 |
遺族の条件は以下の通りです。
★被保険者等の死亡の当時、その者によって生計を維持していたこと
・妻 → 年齢要件、障害要件は問わない
・夫、父母、祖父母
→ 55歳以上であること
(平成8年4月1日前に死亡した場合は、障害等級1級、2級であれば年齢は問わない)
・子、孫
→ 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある、又は20歳未満で障害等級1級、2級、かつ、現に婚姻をしていない
では、過去問をどうぞ!
①【R2年出題】
遺族厚生年金は、被保険者の死亡当時、当該被保険者によって生計維持されていた55歳以上の夫が受給権者になることはあるが、子がいない場合は夫が受給権者になることはない。
②【R1年出題】
被保険者であった妻が死亡した当時、当該妻により生計を維持していた54歳の夫と21歳の当該妻の子がいた場合、当該子は遺族厚生年金を受けることができる遺族ではないが、当該夫は遺族厚生年金を受けることができる遺族である。
③【R3年出題】
85歳の老齢厚生年金の受給権者が死亡した場合、その者により生計を維持していた未婚で障害等級2級に該当する程度の障害にある60歳の当該受給権者の子は、遺族厚生年金を受けることができる遺族とはならない。
【解答】
①【R2年出題】 ×
遺族基礎年金の遺族になる配偶者は子があることが条件ですが、遺族厚生年金の遺族の配偶者は、子の有無は問われません。
55歳以上の夫は、子がいない場合でも受給権者になり得ます。
②【R1年出題】 ×
54歳の夫と21歳の子は年齢要件に合いませんので、両方とも遺族にはなりません。
③【R3年出題】 〇
60歳の子は年齢要件に合わないので、遺族になりません。
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R4-163
前回お話したように、障害基礎年金には「子」の加算額が加算されます。
「配偶者」は「障害厚生年金」の加給年金額の対象になります。
今回は、障害厚生年金の加給年金額がテーマです。
★では、条文を確認しましょう。
第52条の2 ① 障害の程度が障害等級の1級又は2級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、受給権者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者があるときは、障害厚生年金に加給年金額を加算した額とする。 ② 加給年金額は、224,700円に改定率を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)とする。 ③ 受給権者がその権利を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者を有するに至ったことにより加給年金額を加算することとなったときは、当該配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、障害厚生年金の額を改定する。 |
ポイント!
・ 加給年金額が加算されるのは、1級又は2級の障害厚生年金です。
3級の障害厚生年金には加給年金額は加算されません。
・ 対象は65歳未満の配偶者です
・ 加給年金額は「224,700円×改定率」です。老齢厚生年金の配偶者加給年金額に は、特別加算がプラスされますが、障害厚生年金の加給年金額には特別加算はつきません。
・ 受給権を取得した日の翌日以後に、対象になる配偶者を有することに至った場合でも加給年金額は加算されます
では、過去問をどうぞ!
①【H22年出題】
障害の程度が障害等級の1級又は2級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、受給権者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者があるときは、加給年金額を加算した額とする。
②【H29年出題】
障害等級1級に該当する障害厚生年金の受給権者が、その受給権を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持している65歳未満の配偶者を有するに至ったときは、当該配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、当該障害厚生年金の額に加給年金額が加算される。
【解答】
①【H22年出題】 〇
加給年金額が加算される障害厚生年金は、「障害等級1級又は2級」です。対象は、「65歳未満」の配偶者です。年齢にも注意してください。
②【H29年出題】 〇
受給権を取得した日の翌日以後に対象の配偶者を有するに至った場合でも加給年金額は加算されます。その場合は、配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、加給年金額が加算されます。
(障害基礎年金の子の加算と同じです。→ (参考)前回の記事をどうぞ)
次はこちらをどうぞ!
③【R1年出題】
加給年金額が加算された障害厚生年金の額について、当該加給年金額の対象になっている配偶者(大正15年4月1日以前に生まれた者を除く。)が65歳に達した場合は、当該加給年金額を加算しないものとし、その該当するに至った月の翌月から当該障害厚生年金の額を改定する。
④【H20年出題】
障害の程度が障害等級の1級又は2級に該当する者に支給される障害厚生年金の額に加算されている配偶者の加給年金額は、配偶者の生年月日にかかわらず、当該配偶者が65歳に達した日の属する月の翌月分から加算されなくなる。
【解答】
③【R1年出題】 〇
加給年金額は、次のどれかに該当するに至ったときは、加算がなくなります。
1 死亡したとき。
2 受給権者による生計維持の状態がやんだとき。
3 配偶者が、離婚又は婚姻の取消しをしたとき。
4 配偶者が、65歳に達したとき。
問題文の場合は4に当てはまります。その該当するに至った月の翌月から加給年金額が加算されなくなります。
なお、「大正15年4月1日以前に生まれた者を除く。」の部分もポイントです。「大正15年4月1日以前に生まれた者」は旧法の対象者で、新法の老齢基礎年金が支給されません。ですので、振替加算も行われません。
「大正15年4月1日以前に生まれた者」は、65歳以降も加給年金額の対象となります。
(法第50条の2第4項)
④【H20年出題】 ×
「配偶者の生年月日にかかわらず」が誤りです。
配偶者が「大正15年4月1日以前生まれ」の場合は、配偶者が65歳に達した日の属する月の翌月からも加給年金額が加算されます。
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R4-153
障害認定日に3級だったものが、その後2級に増進した場合、障害厚生年金は3級から2級に改定、障害基礎年金は事後重症になることを、前回お話しました。
しかし、3級から2級に増進したときに65歳以上だった場合は注意が必要です。今回は、65歳以上で障害の程度が増進した場合がテーマです。
では、第52条の条文を見てみましょう。
第52条 ① 実施機関は、障害厚生年金の受給権者について、その障害の程度を診査し、その程度が従前の障害等級以外の障害等級に該当すると認めるときは、その程度に応じて、障害厚生年金の額を改定することができる。 ② 障害厚生年金の受給権者は、実施機関に対し、障害の程度が増進したことによる障害厚生年金の額の改定を請求することができる。 ③ ②の請求は、障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き、当該障害厚生年金の受給権を取得した日又は①の規定による実施機関の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければ行うことができない。 ④から⑥は省略
⑦ ①から③まで及び前項の規定は、65歳以上の者であって、かつ、障害厚生年金の受給権者(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による障害基礎年金の受給権を有しないものに限る。)については、適用しない。 |
★⑦に注目してください。
「当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による障害基礎年金の受給権を有しないもの」とは、「受給権を取得した当時から1度も障害等級1級又は2級に該当したことがない」という意味です。
65歳以上の3級の障害厚生年金の受給権者(同一の支給事由に基づく障害基礎年金の受給権を有しないもの)には、1・2級への等級改定は行われません。
「障害基礎年金の事後重症」の適用は、65歳に達する日の前日までに限られています。そのため、65歳以上の3級の障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進しても、事後重症の障害基礎年金の受給権は発生しません。
ですので、65歳以降は3級から1・2級への改定は行わないことになっています。1・2級の障害厚生年金だけ支給されることがないようにするためです。
では、過去問をどうぞ
①【H23年出題】
老齢基礎年金(繰上げ支給を含む。)の受給権者又は65歳以上の者であって、かつ障害厚生年金の受給権者(当該障害厚生年金と同一事由に基づく障害基礎年金(障害の程度により支給停止となっているものを含む。)の受給権を有しないものに限る。)は、障害の程度が増進しても障害厚生年金の額の改定請求をすることができない。
②【H27年出題】
63歳の障害等級3級の障害厚生年金の受給権者(受給権を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当したことはなかったものとする。)が、老齢基礎年金を繰上げ請求した場合において、その後、当該障害厚生年金に係る障害の程度が増進したときは、65歳に達するまでの間であれば実施機関に対し、障害の程度が増進したことによる障害厚生年金の額の改定を請求することができる。
【解答】
①【H23年出題】 〇
65歳以上の者だけでなく、老齢基礎年金を繰り上げて受給している者も、事後重症の障害基礎年金は請求できません。
また、「障害厚生年金の受給権者(当該障害厚生年金と同一事由に基づく障害基礎年金(障害の程度により支給停止となっているものを含む。)の受給権を有しないものに限る。)」とは、受給権を取得した当時から3級で、1度も1級・2級に該当したことがないという意味です。
問題文の「老齢基礎年金(繰上げ支給を含む。)の受給権者又は65歳以上の者」は、事後重症の障害基礎年金の請求ができません。ですので、障害の程度が3級から増進しても、障害厚生年金の額の改定請求はできません。
(法第52条第7項、法附則第16条の3)
②【H27年出題】 ×
「老齢基礎年金を繰上げ請求している」かつ「3級の障害厚生年金の受給権者(受給権を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当したことはなかったものとする。)」は、障害の程度が増進しても、障害厚生年金の額の改定は請求できません。
(法第52条第7項、法附則第16条の3)
もう一問どうぞ!
③【R2年出題】
障害等級2級に該当する障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が、症状が軽減して障害等級3級の程度の障害の状態になったため当該2級の障害基礎年金は支給停止となった。その後、その者が65歳に達した日以後に再び障害の程度が増進して障害等級2級に該当する程度の障害の状態になった場合、障害等級2級の障害基礎年金及び障害厚生年金は支給されない。
【解答】
③【R2年出題】 ×
この問題は、2級の障害状態に該当していたことがあり、障害基礎年金の受給権があることがポイントです。
2級だったものが、症状が軽減して3級の程度になった場合、障害厚生年金は3級、障害基礎年金は支給停止となります。
その後、再び2級に該当した場合、障害厚生年金は3級から2級に改定、障害基礎年金は支給停止が解除され、2級の障害基礎年金と障害厚生年金が支給されます。
この場合は、65歳に達した日以後でも、3級から2級に額の改定が行われます。
(下の図も参考にしてください。)
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R4-152
3級の障害が重くなり2級に該当した場合、障害厚生年金は3級から2級に額の改定が行われます。
その場合、「障害基礎年金」は、「事後重症」になることがポイントです。
初診日に厚生年金保険の被保険者(国民年金は第2号被保険者)で、障害認定日に3級に該当した場合、「3級の障害厚生年金」の受給権が発生しますが、障害基礎年金の受給権はありません。
その後、障害の程度が増進し2級に該当した場合、障害厚生年金は3級から2級に額の改定が行われます。一方、障害基礎年金は「障害認定日」に障害等級(1・2級)に該当しなかったものが、その後障害等級(1・2級)に該当することになり、「事後重症」となります。(下の図でご確認ください)
障害厚生年金の3級から2級への額の改定は、障害基礎年金の事後重症の要件を満たす必要があるのがポイントです。
ここで、「国民年金法」の条文を読んでみましょう。
国民年金法第30条の2 (事後重症の障害基礎年金) ① 疾病にかかり、又は負傷し、かつ、当該傷病に係る初診日において前条第1項各号のいずれかに該当した者であって、障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態になかったものが、同日後65歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときは、その者は、その期間内に障害基礎年金の支給を請求することができる。 ④ 第①項の障害基礎年金と同一の支給事由に基づく厚生年金保険法の規定による障害厚生年金について、同法第52条の規定によりその額が改定されたときは、そのときに①項の請求があったものとみなす。 |
★ 最後の「そのときに①項の請求があったものとみなす。」に注目してください。
事後重症の障害基礎年金は「請求」によって受給権が発生します。しかし、障害厚生年金の障害等級が3級から2級に改定された場合は、改めて請求しなくても、障害厚生年金の改定に伴い、請求が行われたとみなされます。
では、国民年金の過去問をどうぞ!
①【国民年金H30年出題】
障害等級3級の障害厚生年金の受給権者が、その後障害状態が悪化し障害等級2級に該当したことから、65歳に達する日の前日までに障害厚生年金の額改定請求を行い、その額が改定された場合でも、当該受給権者は当該障害厚生年金と同一の支給事由である障害基礎年金の支給を請求しない限り、障害基礎年金の受給権は発生しない。
②【国民年金H22年出題】
初診日に厚生年金保険の被保険者で、保険料納付等の要件を満たし、3級の障害厚生年金の受給権を取得した者が、その後、障害の程度が増進し2級以上となり、65歳に達する日の前日までに障害厚生年金の額の改定が行われたときは、当該者は障害基礎年金に係る事後重症の請求を行えば、障害基礎年金の受給権が発生する。
【解答】
①【国民年金H30年出題】 ×
障害厚生年金が3級から2級に改定された場合は、障害基礎年金は、事後重症の「請求があったものとみなす。」ことになっています。請求しなくても、事後重症の障害基礎年金の受給権が発生します。
②【国民年金H22年出題】 ×
①の問題と同じです。障害基礎年金に係る事後重症の請求をしなくても、受給権が発生します。
次回に続きます。
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R4-151
障害の程度は、重くなったり軽くなったりすることがあります。その場合は、年金額が増額改定されたり、減額改定されます。又、障害等級に該当しなくなった場合は支給停止されます。
改定の方法として、「実施機関の職権による改定」、「障害の程度が増進したことによる改定請求」、「その他障害による併合改定」があります。
まず、「実施機関の職権による改定」を条文で読んでみましょう。
第52条 ① 実施機関は、障害厚生年金の受給権者について、その障害の程度を診査し、その程度が従前の障害等級以外の障害等級に該当すると認めるときは、その程度に応じて、障害厚生年金の額を改定することができる。 |
実施機関が障害の程度を診査して、職権で障害厚生年金の額を改定することができます。
改定が行われた場合は、改定が行われた月の翌月から、改定後の額による障害厚生年金の支給が始まります。
さて、今回は、「障害の程度が増進したことによる改定請求」をメインにお話します。
第52条の条文の続きを読んでみましょう。
第52条 ② 障害厚生年金の受給権者は、実施機関に対し、障害の程度が増進したことによる障害厚生年金の額の改定を請求することができる。 ③ ②の請求は、障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き、当該障害厚生年金の受給権を取得した日又は①の規定による実施機関の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければ行うことができない。 |
障害の程度が増進した場合は、障害厚生年金の額の改定請求ができます。
改定請求は、原則として1年待たなければなりません。
「障害厚生年金の受給権を取得した日」
又は
「実施機関の診査を受けた日」
から起算して1年を経過した日後でなければ、行うことができません。
しかし、「障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合」は、例外的に1年を経過しなくても額の改定請求をすることができます。
「障害厚生年金の受給権を取得した日」又は「実施機関の診査を受けた日」のどちらか遅い日以降に、例えば、「両眼の視力の和が0.04以下のもの」に該当した場合等は、1年を経過していなくても、改定請求ができます。(施行規則第47条の2の2)
では、過去問をどうぞ!
①【R2年出題】
障害厚生年金の受給権者が障害厚生年金の額の改定の請求を行ったが、診査の結果、その障害の程度が従前の障害の等級以外の等級に該当すると認められず改定が行われなかった。この場合、当該受給権者は実施機関の診査を受けた日から起算して1年6か月を経過した日後でなければ再び改定の請求を行うことはできない。
②【H27年出題】
40歳の障害厚生年金の受給権者が実施機関に対し障害の程度が増進したことによる年金額の改定請求を行ったが、実施機関による診査の結果、額の改定は行われなかった。このとき、その後、障害の程度が増進しても当該受給権者が再度、額の改定請求を行うことはできないが、障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合については、実施機関による診査を受けた日から起算して1年を経過した日後であれば、再度、額の改定請求を行うことができる。
【解答】
①【R2年出題】 ×
1年6か月ではなく「1年」です。
実施機関の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後なら、再び改定の請求を行うことができます。
②【H27年出題】 ×
・その後、障害の程度が増進した場合
→ 実施機関の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後なら、再度、額の改定請求を行うことができます。(「再度、額の改定請求を行うことはできない」の部分が誤りです。)
・障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合
→ 実施機関による診査を受けた日から起算して1年を経過しなくても、額の改定請求ができます。
次回に続きます。
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R4-138
前回は、年金制度の創成期のお話をしました。
その後の経済の高度成長の中で、年金制度も充実期を迎えます。
そして、加速する高齢化、経済成長の安定化から、公的年金も大きな見直しが行われました。
昭和60年改正の大きな柱は次の3つです。
① 基礎年金の導入
② 厚生年金の給付水準の適正化
③ 女性の年金権の確立
「昭和61年4月1日」前後で年金制度が大きく変わります。昭和61年4月1日前の制度を「旧法」、それ以後を「新法」といいます。
① 基礎年金の導入について
それまでの公的年金は、自営業者等が加入する「国民年金」、民間の会社員が加入する「厚生年金」、公務員等が加入する「共済年金」の大きく3つに分かれていました。
それぞれが独自に運営されていたので、給付面でも負担面でも制度間に格差があったこと、また、産業構造の変化に伴い財政基盤が不安定になる問題も起こっていました。
このため、登場したのが「全国民共通の基礎年金」です。
国民年金は「基礎年金」として、全国民共通の年金を担当することになりました。また、厚生年金等の被用者年金は基礎年金に上乗せされる報酬比例年金として位置づけられました。
「基礎年金」の導入によって、1階部分が「基礎年金」、2階部分が「厚生年金や共済年金」となる「2階建ての年金」の方式になりました。
② 厚生年金の給付水準の適正化について
加入期間が延びてもこれ以上給付水準が高くならないよう、給付乗率や定額単価も見直しが行われました。
具体的には、大正15年4月2日から昭和21年4月1日以前生まれの人の給付乗率や定額単価は、生年月日が若くなっていくほど逓減していきます。
新法施行時に40歳未満だった昭和21年4月2日以後生まれの人には新法の給付乗率や定額単価を適用しますが、40歳を過ぎていた昭和21年4月1日以前生まれの人は、旧法の水準から徐々に新法の水準に近づけていくイメージです。昭和61年4月1日を境に、給付乗率や定額単価をいきなり減らすことができないからです。
③ 女性の年金権の確立について
旧法では民間サラリーマン等の妻(専業主婦)は、国民年金には「任意で加入できる」位置づけでした。任意加入しなかった場合は、老後は、サラリーマンの夫の年金に加算される配偶者加給年金額で保障されることになっていました。
ただし、妻が任意加入していない場合は、離婚すると老齢年金が受給できない、障害になっても障害年金が受給できない問題もありました。
そのため、新法では、サラリーマン等の妻(専業主婦)も国民年金に第3号被保険者として加入することになりました。ただし、保険料は、第3号被保険者が個別に負担するのではなく、夫の加入する被用者年金制度全体で負担しています。
※妻と夫が逆の場合も同じです。
過去問をどうぞ!
【H15年選択式】
年金改正では、激変を緩和するという観点から、しばしば経過措置が設けられる。昭和60年改正によって導入された基礎年金の給付の適用を受けるのは、老齢基礎年金については< A >以降に生まれた者(施行日に旧制度の老齢・退職給付の受給権のあった者を除く。)、障害基礎年金については< B >が昭和61年4月1日以降の者(福祉年金を除く。)であり、それ以外の者には旧制度の給付が適用されている。
【解答】
A 大正15年4月2日
★「基礎年金」という名称が登場するのは新法からです。
新法の「老齢基礎年金」が支給されるのは、昭和61年4月1日に60歳未満だった大正15年4月2日以降生まれの人です。ただし、大正15年4月2日以降生まれでも、昭和61年3月31日に旧法の老齢・退職給付の受給権があった場合は、そのまま旧法が適用されます。
B 障害認定日
★障害基礎年金は障害認定日に受給権が発生します。障害認定日(受給権の発生日)が昭和61年4月1日以降なら、新法の障害基礎年金が支給されます。
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R4-137
今日は、厚生年金保険法・国民年金法の創成期のお話です。
・昭和17年 労働者年金保険法発足
(昭和19年厚生年金保険法に改称)
・昭和29年 厚生年金保険法全面改正
(「定額部分+報酬比例部分」という2階建ての給付方式を採用)
・昭和36年 国民年金法全面施行
(国民皆年金の実現)
★昭和17年にスタートした労働者年金は、工場等で働く男子労働者を被保険者としていました。労働力の保全強化を図ることなどが背景にありました。
昭和19年に名称が厚生年金保険法に改められ、被保険者の範囲は、事務職員や女性にも広がりました。
報酬比例部分のみだった養老年金が、「定額部分」と「報酬比例部分」の2階建ての老齢年金になったのが、昭和29年の改正です。
★民間の会社員や公務員には公的な年金制度があり、老後の所得が保障されていましたが、自営業者等には、そのような制度が無いことが問題になっていました。
しかし、自営業者等にも老後の保障が必要だということで、国民年金法が制定されたのが昭和34年です。拠出制の国民年金制度が昭和36年に施行され、国民皆年金が実現しました。
「国民皆年金」とは、民間の会社員、公務員だけでなく、それ以外の自営業者等もすべての人が職業に関係なく公的年金の保護の対象になるという意味です。
なお、拠出制は昭和36年からですが、無拠出制の福祉年金制度は昭和34年からスタートしていました。
既に高齢になっている人、障害のある人等には、全額国庫負担の老齢福祉年金、障害福祉年金、母子福祉年金等が支給されました。
★老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間(480月)の全てが保険料納付済期間なら満額の年金が支給されます。
しかし、大正15年4月2日から昭和16年4月1日以前生まれの人は、480月ではなく、加入可能年数×12で計算します。
なぜなら、国民年金制度が発足した昭和36年4月1日に既に20歳になっているからです。その年代の人は、昭和36年4月1日から60歳までの間の全てが保険料納付済期間なら、満額の老齢基礎年金が支給されます。
例えば大正15年4月2日~昭和2年4月1日の間に生まれた人は「25年」、昭和15年4月2日~昭和16年4月1日の間に生まれた人は39年が加入可能年数です。
20歳から60歳まで40年間加入できるのは、昭和16年4月2日以後生まれの人です。
★創成期の年金のポイントは以下の通りです。
(創成期の年金の特徴)
・「縦割り」の運営でした
制度ごとに支給要件や給付水準が設定されていて、統一されていませんでした。
・加入が「任意」な人もいました
例えば、会社員の妻などは任意加入でした。
過去問をどうぞ!
【H19年出題】
国民年金は、昭和34年に制定された国民年金法に基づき、同年10月から無拠出制の福祉年金の給付が開始され、昭和36年4月から拠出制の年金制度が開始されて、国民皆年金の体制が成立した。
【解答】
【H19年出題】 ×
無拠出制の福祉年金の給付の開始は、昭和34年11月からです。10月ではありません。
(法附則第1条)
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R4-130
社労士受験勉強のファーストステップ
ファーストステップについては
条文を読んでみましょう。
第19条 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。 |
『被保険者期間』は月単位で算定されます。
例えば、12月31日に資格取得、1月31日に退職した(資格喪失は2月1日)場合は、被保険者期間は2か月です。
「被保険者期間」は、年金額の計算(平均標準報酬額×1000分の5.481×被保険者期間の月数)や、保険料の徴収(被保険者期間の計算の基礎となる各月につき徴収される)に使われます。
では、こちらの過去問をどうぞ
①【H21年出題】
厚生年金保険法で定める「被保険者期間」とは、被保険者の資格を取得した日から被保険者の資格を喪失した日の前日までの日単位で計算される期間である。
【解答】
①【H21年出題】 ×
被保険者の資格を取得した日から被保険者の資格を喪失した日の前日までの『日単位』で計算される期間は「被保険者であった期間」のことです。12月31日資格取得、1月31日退職・2月1日資格喪失なら、被保険者であった期間は、12月31日から1月31日までの32日間です。
「被保険者期間」は、最初に書きましたように「月単位」で算定します。
次にこちらの条文を読んでみましょう。
第47条 (障害厚生年金の受給権者) 障害厚生年金は、疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(「初診日」)において被保険者であった者が、・・・(以下略)
附則第9条の3 (長期加入者の特例) 特別支給の老齢厚生年金の受給権者が、その権利を取得した当時、被保険者でなく、かつ、その者の被保険者期間が44年以上であるときは、報酬比例部分と定額部分を合わせた年金が支給される。 |
★第47条
「被保険者であった者」に注目してください。障害厚生年金は、初診日に「被保険者」であったことが要件です。
厚生年金保険法で「被保険者であった」ということは、在職中だったという意味です。ですので、障害厚生年金は在職中に初診日があることが条件です。
★附則第9条の3
「被保険者でなく」に注目してください。
長期加入者(44年以上)に対して、報酬比例部分に定額部分が加算される特例の条件は、「被保険者でない」ことイコール退職していることです。
定額部分が加算されるには退職していることが必要です。
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R4-123
社労士受験勉強のファーストステップ
ファーストステップについては
では、こちらの条文を読んでみましょう。
国民年金法第35条 (失権) 障害基礎年金の受給権は、第31条第2項の規定によって消滅するほか、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する。 1 死亡したとき。 2 厚生年金保険法第47条第2項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にない者が、65歳に達したとき。ただし、65歳に達した日において、同項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して同項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく3年を経過していないときを除く。 3 厚生年金保険法第47条第2項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して同項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく3年を経過したとき。ただし、3年を経過した日において、当該受給権者が65歳未満であるときを除く。 |
「厚生年金保険法第47条第2項に規定する障害等級」という表現に注意してください。
国民年金法の条文で単に「障害等級」と書いてあれば、「1級・2級」のことです。
一方、国民年金法の条文で「厚生年金保険法第47条第2項に規定する障害等級」と書いてある場合は、「1級・2級・3級」のことです。
では、過去問を解いてみましょう。
①【H20年出題―国民年金法】
障害基礎年金の受給権者が63歳の時点で、厚生年金保険法に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して3年を経過していたときは、その時点で当該障害基礎年金の受給権が消滅する。
【解答】
①【H20年出題―国民年金法】 ×
「厚生年金保険法に規定する障害等級」は「3級」も入ることに注意してください。
障害基礎年金の受給権者が63歳の時点で、3級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して3年を経過していても、その時点では障害基礎年金の受給権は消滅しません。
障害基礎年金の受給権が消滅するのは、次のどちらか遅い方です。
・3級程度の障害の状態に該当しなくなって3年経過
・65歳
少なくとも65歳までは失権しません。
次に厚生年金保険法の条文を読んでみましょう。
厚生年金保険法第53条(失権) 障害厚生年金の受給権は、第48条第2項の規定によって消滅するほか、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する。 1 死亡したとき。 2 障害等級に該当する程度の障害の状態にない者が、65歳に達したとき。ただし、65歳に達した日において、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく3年を経過していないときを除く。 3 障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく3年を経過したとき。ただし、3年を経過した日において、当該受給権者が65歳未満であるときを除く。
|
こちらは厚生年金保険法の条文ですので、「障害等級」は、1級、2級、3級です。
消滅する時期は国民年金法と同じです。
では、厚生年金保険法の過去問も解いてみましょう。
②【H15年出題―厚生年金保険法】
障害厚生年金の受給権は、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日からそのまま該当することなく3年を経過した日において、その者が65歳以上であるときはその日に、その者が65歳未満のときはその後65歳に達した日に消滅する。
【解答】
②【H15年出題―厚生年金保険法】 〇
こちらは、「厚生年金保険法」ですので、単に「障害等級」と書いてあれば、「1級・2級・3級」のことです。
消滅の時期は、国民年金の障害基礎年金と同じです。
・3級に該当しなくなった日からそのまま該当することなく3年を経過した日に65歳以上のとき → その日に消滅
・3級に該当しなくなった日からそのまま該当することなく3年を経過した日に65歳未満のとき → その後65歳に達した日に消滅
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R4-122
社労士受験勉強のファーストステップ
ファーストステップについては
では、条文を読んでみましょう。
国民年金法第30条 1 障害基礎年金は、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において次の各号のいずれかに該当した者が、当該初診日から起算して1年6月を経過した日(その期間内にその傷病が治った場合においては、その治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに、その者に支給する。 ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。 ① 被保険者であること。 ② 被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であること。 2 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから1級及び2級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。 |
厚生年金保険法第47条 1 障害厚生年金は、疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において被保険者であった者が、当該初診日から起算して1年6月を経過した日(その期間内にその傷病が治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)があるときは、その日とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に、その障害の程度に応じて、その者に支給する。 ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。 2 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから1級、2級及び3級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。 |
★ 「障害基礎年金」も「障害厚生年金」も、「初診日」「保険料納付要件」「障害認定日」の3つの要件を満たすことが必要です。
★ 国民年金法の「障害等級」は、1級・2級、厚生年金保険法の「障害等級」は、1級・2級・3級です。
同じ「障害等級」という用語でも、範囲が違うことに注意しましょう。
(例1) 例えば、「初診日」に40歳・厚生年金保険の被保険者だった場合、同時に「国民年金の第2号被保険者」でもあります。
そして、障害認定日に、「1級」に該当した場合は、障害基礎年金と障害厚生年金の2階建ての年金が支給されます。
障害厚生年金 1級 |
障害基礎年金 1級 |
(例2) 例えば、例1と同じく「初診日」に40歳・厚生年金保険の被保険者(同時に「国民年金の第2号被保険者」)だった場合。
障害認定日に「3級」に該当した場合は、3級の障害厚生年金が支給されます。障害基礎年金には3級がないので、障害基礎年金は支給されません。
障害厚生年金 3級 |
では、「厚生年金保険法」の過去問を解いてみましょう。
①【H22年出題ー厚生年金保険法】
障害等級は、障害の程度に応じて軽度のものから1級、2級及び3級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。
【解答】
①【H22年出題―厚生年金保険法】 ×
「軽度のものから」ではなく、「重度のものから1級、2級及び3級」です。
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R4-116
社労士受験勉強のファーストステップ
ファーストステップについては
さて、第43条の条文を読んでみましょう。
第43条 (年金額) 老齢厚生年金の額は、被保険者であった全期間の平均標準報酬額(被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に、別表各号に掲げる受給権者の区分に応じてそれぞれ当該各号に定める率(以下「再評価率」という。)を乗じて得た額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額をいう。)の1,000分の5.481に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額とする。 |
第43条は、老齢厚生年金の年金額の計算方法を規定しています。
老齢厚生年金の計算式は次の通りです。
平均標準報酬額 × 1,000分の5.481 × 被保険者期間の月数
では、過去問を解いてみましょう
①【H23年選択式】
老齢厚生年金の額は、被保険者であった全期間の平均標準報酬額(被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に、厚生年金保険法別表の各号に掲げる受給権者の区分に応じてそれぞれ当該各号に定める率(以下「< A >」という。)を乗じて得た額の総額を当該被保険者期間の月数で除して得た額をいう。)の1,000分の< B >に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額とする。
【解答】
A 再評価率
B 5.481
ポイント!「平均標準報酬額」の出し方
老齢厚生年金の計算には、厚生年金保険に加入していた全期間の「標準報酬月額と標準賞与額」を使いますが、それを平均したものが「平均標準報酬額」です。
「平均標準報酬額」の計算式は、「標準報酬月額と標準賞与額の総額」÷「被保険者期間の月数」で、平均標準報酬額の計算の際、標準報酬月額と標準賞与額に「再評価率」を乗じます。
再評価率を乗じるのは、過去の標準報酬を現在の水準に読み替えるためです。
そして、再評価率は、毎年度改定されます。
例えば、昭和29年度以降生まれの人の昭和57年度の報酬は、再評価率1.472(令和3年度)を乗じることによって現在の水準に読み替えられます。
在職中の標準報酬月額や標準賞与額が高い人ほど、平均標準報酬額は高くなりますし、在職期間が長い人ほど被保険者期間が長くなるので、年金額が多くなります。
厚生年金が報酬比例といわれる理由です。
ポイント!「給付乗率」について
★平成15年4月1日に注意しましょう
なお、「平均標準報酬額×1,000分の5.481×被保険者期間の月数」は、平成15年4月以降の期間の計算式です。
平成15年4月から、「総報酬制」が導入され、「賞与」からも月々の報酬(標準報酬月額)と同じ率の保険料が徴収されるようになりました。
そのため、年金額に賞与の額も反映されるようになりました。
平成15年3月までは、「賞与」から「特別保険料」が徴収されていましたが、年金額には反映されません。
平成15年3月までの被保険者期間の計算式は、「平均標準報酬月額×1,000分の7.125×被保険者期間の月数」です。
平均標準報酬月額は「標準報酬月額」だけで計算します。
なお、「1,000分の5.481」は「1,000分の7.125÷1.3」です。
年間の賞与は月々の給料の3割という考え方からです。
★昭和21年4月1日以前生まれにも注意しましょう
「給付乗率」は昭和21年4月1日以前生まれの場合は、生年月日によって読み替えがあります。
旧法から新法になった際に給付乗率が下がりました。その際、いきなり下げるのではなく、段階的に給付乗率を下げる必要があったためです。そのため、旧法に近い人(生年月日の古い人)ほど給付乗率が旧法に近いのが特徴です。
(平成15年3月までの期間)
大正15年4月2日~昭和2年4月1日生まれの給付乗率 1,000分の9.5
・
・
・
昭和20年4月2日~昭和21年4月1日生まれの給付乗率 1,000分の7.23
(平成15年4月以降の期間)
大正15年4月2日~昭和2年4月1日生まれの給付乗率 1,000分の7.308
・
・
・
昭和20年4月2日~昭和21年4月1日生まれの給付乗率 1,000分の5.562
最後に過去問をどうぞ
②【H18年選択式】
平成16年の法改正により、年金額の改定は被保険者であった期間の標準報酬月額及び標準賞与額に係る< C >(生年度別)を改定することによって毎年自動的に行われる方式に改められた。
【解答】
C 再評価率
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では、第42条を読んでみましょう。
第42条 老齢厚生年金は、被保険者期間を有する者が、次の各号のいずれにも該当するに至ったときに、その者に支給する。 1 65歳以上であること。 2 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年以上であること。 |
第42条では、老齢厚生年金の支給要件を3つ定めています。
1 被保険者期間を有すること
2 65歳以上
3 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年以上あること
1について
「被保険者」とは「厚生年金保険の被保険者」のこと、そして「被保険者期間」とは厚生年金保険の被保険者期間です。
被保険者期間は月単位で算定され、最短で1か月です。「被保険者期間を有する」とは、1か月でも厚生年金保険の被保険者期間を有する、という意味です。
2について
老齢厚生年金の受給権は、65歳に達する日(65歳の誕生日の前日)に受給権が発生します。
3について
老齢基礎年金の受給資格を満たしていることという意味です。(合算対象期間も合算できます。)老齢厚生年金は、老齢基礎年金の上乗せですので、まず、老齢基礎年金の受給要件を満たしていることが前提です。
例えば、保険料納付済期間が10年(第1号被保険者としての期間が9年11か月、厚生年金保険の被保険者期間が1か月)の場合、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金が受給できます。
老齢基礎年金の計算式は、「780,900円×改定率×480分の120」で、老齢厚生年金は1か月の被保険者期間をベースに計算されます。
では、過去問を解いてみましょう
①【H24年出題】
老齢厚生年金の受給資格要件を満たす65歳以上の者が老齢厚生年金を受給するためには、厚生年金保険の被保険者期間が1か月以上必要であり、同要件を満たす60歳以上65歳未満の者が特別支給の老齢厚生年金を受給するためには、当該被保険者期間が1年以上必要である。
②【H30年出題】
特別支給の老齢厚生年金の受給権者(第1号厚生年金被保険者期間のみを有する者とする。)が65歳に達し、65歳から支給される老齢厚生年金の裁定を受けようとする場合は、新たに老齢厚生年金に係る裁定の請求書を日本年金機構に提出しなければならない。
【解答】
①【H24年出題】 〇
65歳以上から支給される本来の老齢厚生年金は、厚生年金保険の被保険者期間が1か月でもあれば支給されますが、60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金は、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あることが要件です。
(法第42条、法附則第8条)
②【H30年出題】 〇
65歳からの老齢厚生年金と、特別支給の老齢厚生年金は「別物」です。
特別支給の老齢厚生年金を受けていた場合でも、65歳から支給される老齢厚生年金を受けようとする場合は、改めて、老齢厚生年金に係る裁定の請求書を提出しなければなりません。
(施行規則第30条の2)
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③【H30年出題】
老齢基礎年金を受給している66歳の者が、平成30年4月1日に被保険者の資格を取得し、同月20日に喪失した(同月に更に被保険者の資格を取得していないものとする。)。当該期間以外に被保険者期間を有しない場合、老齢厚生年金は支給されない。
【解答】
③【H30年出題】 ×
問題文の場合、老齢厚生年金が支給されます。
65歳時点で厚生年金保険の被保険者期間を有していなくても、その後に被保険者期間を1か月でも有した場合は、老齢厚生年金の受給要件を満たしますので、老齢厚生年金が支給されます。
ポイント
「平成30年4月1日に被保険者の資格を取得し、同月20日に喪失した」場合、厚生年金保険の被保険期間は1か月となります。(同月得喪といいます。)
法第19条で、「被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を1か月として被保険者期間に算入する。」と規定されている部分です。
ただし、「その月に更に被保険者又は国民年金の被保険者(国民年金法の第2号被保険者を除く。)の資格を取得したときは、この限りでない。」という例外があります。
問題文の場合は、「同月に更に被保険者の資格を取得していない」とありますので、1か月の被保険者期間として算定されます。
しかし、例えば、
■令和3年12月1日入社(厚生年金保険の資格取得)
↓
■同年12月20日退職
↓
■同年12月21日 厚生年金保険資格喪失・国民年金の第1号被保険者になった
このような場合、12月は厚生年金保険の被保険者期間には算入されません。
そしてもう一つのパターンとして、令和3年12月1日に資格取得、同年12月20日付で退職し、12月中に別の会社に就職し厚生年金保険の被保険者となった場合は、後の会社の資格で厚生年金保険の被保険者期間が算定されます。
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R4-098
令和3年の問題から厚生年金保険法を学びましょう。
今日は「2以上の種別の被保険者であった期間がある場合の中高齢寡婦加算」です。
では、どうぞ!
①【R3年問7E】
2以上の種別の被保険者であった期間を有する老齢厚生年金の受給権者が死亡した場合における遺族厚生年金(中高齢の寡婦加算額が加算されるものとする。)は、各号の厚生年金被保険者期間に係る被保険者期間ごとに支給するものとし、そのそれぞれの額は、死亡した者に係る2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を合算し、1の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして遺族厚生年金の額の計算に関する規定により計算した額に中高齢の寡婦加算額を加算し、それぞれ1の期間に係る被保険者期間を計算の基礎として計算した額に応じて按分した額とする。
【解答】
①【R3年問7E】 ×
2以上の種別の被保険者であった期間を有する老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間+保険料免除期間+合算対象期間が25年以上あること)が死亡した場合、遺族厚生年金は長期要件となります。
中高齢寡婦加算額は按分して支払われるのではなく、各号の厚生年金被保険者期間のうち最も長い一の期間に基づく遺族厚生年金に加算されます。また、最も長い一の期間が2以上ある場合は、①第1号②第2号③第3号④第4号の順序で加算されます。
なお、長期要件の場合の中高齢寡婦加算は、死亡した夫の被保険者期間が240月以上あることが条件です。240月以上の計算は、2以上の種別の被保険者であった期間を合算します。
(施行令第3条の13の7)
ここもチェック!
2以上の種別の被保険者であった期間を有する場合の遺族厚生年金について | |
年金の決定、支払 | |
短期要件 | 死亡日(又は初診日)に加入していた実施機関が行う |
長期要件 | それぞれの加入期間ごとに各実施機関が行う |
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②【H28年出題】
第1号厚生年金被保険者期間が15年、第3号厚生年金被保険者期間が18年ある老齢厚生年金の受給権者が死亡したことにより支給される遺族厚生年金は、それぞれの被保険者期間に応じてそれぞれの実施機関から支給される。
③【H30年出題】
障害等級1級の障害厚生年金の受給権者(厚生年金保険法第58条第1項第4号に規定するいわゆる長期要件には該当しないものとする。)が死亡し、その者が2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を有していた場合、遺族厚生年金の額については、その死亡した者に係る2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を合算し、1の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして額の計算をする。なお、それぞれの期間を合算しても300か月に満たない場合は、300か月として計算する。
【解答】
②【H28年出題】 〇
第1号(15年)+第3号(18年)ある老齢厚生年金の受給権者が死亡したことにより支給される遺族厚生年金は長期要件です。長期要件の場合は、それぞれの被保険者期間に応じた遺族厚生年金が、それぞれの実施機関から支給されます。
(法第78条の32)
③【H30年出題】 〇
問題文は障害等級1級の障害厚生年金の受給権者の死亡ですので、短期要件の遺族厚生年金です。
2以上の種別に係る被保険者であった期間を合算して、1つにまとめて計算した遺族厚生年金が、初診日における被保険者の種別に応じた実施機関から支給されます。
(法78条の第32)
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R4-097
令和3年の問題から厚生年金保険法を学びましょう。
今日は「異なる被保険者の種別に係る資格の得喪」です。
では、どうぞ!
①【R3年問7D】
第1号厚生年金被保険者が同時に第2号厚生年金被保険者の資格を有するに至ったときは、その日に、当該第1号厚生年金被保険者の資格を喪失する。
【解答】
①【R3年問7D】 〇
第1号厚生年金被保険者が同時に第2号厚生年金被保険者の資格を有したときは、第1号厚生年金被保険者の資格を喪失します。
第1号厚生年金被保険者と第2号厚生年金被保険者が両方適用されるのではなく、第1号厚生年金被保険者の「資格を喪失」することに注意しましょう。
(法第18条の2)
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②【H28年出題】
昭和20年10月2日以後に生まれた者であり、かつ、平成27年10月1日の前日から引き続いて国、地方公共団体に使用される者で共済組合の組合員であった者は、平成27年10月1日に厚生年金保険の被保険者の資格を取得する。
③【H28年出題】
第1号厚生年金被保険者である者が同時に第4号厚生年金被保険者の資格を有することとなった場合、2以上事業所選択届を、選択する年金事務所又は日本私立学校振興・共済事業団に届け出なければならない。
【解答】
②【H28年出題】 〇
平成27年10月1日に、被用者年金が一元化され、国家公務員、地方公務員、私立学校の教職員も厚生年金保険の被保険者となりました。
昭和20年10月2日以後に生まれた者(施行時に70歳未満)で、かつ、施行日の前日(平成27年9月30日)に共済組合の組合員や私立学校教職員共済の加入者だった者は、平成27年10月1日に厚生年金保険の被保険者の資格を取得しました。
(H24法附則第5条)
③【H28年出題】 ×
第1号厚生年金被保険者である者が同時に第4号厚生年金被保険者の資格を有するに至ったときは、その日に第1号厚生年金被保険者の資格を喪失しますので、「2以上事業所選択届」を届け出ることはありません。
このような場合は、資格取得届・資格喪失届を提出することになります。
(法第18条の2)
条文を穴埋めで確認しましょう!
第18条の2(異なる被保険者の種別に係る資格の得喪)
第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者は、第13条の規定にかかわらず、同時に、< A >の資格を取得しない。
< A >が同時に第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者の資格を有するに至ったときは、< B >に、当該< A >の資格を喪失する。
【解答】
A 第1号厚生年金被保険者
B その日
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R4-096
令和3年の問題から厚生年金保険法を学びましょう。
今日は「基準障害による障害厚生年金」です。
では、どうぞ!
①【R3年問4ア】
厚生年金保険法第47条の3第1項に規定する基準障害と他の障害とを併合した障害の程度による障害厚生年金の支給は、当該障害厚生年金の請求があった月の翌月から始まる。
【解答】
①【R3年問4ア】 〇
「基準障害による障害厚生年金」は、基準障害と他の障害とを併合して初めて1級又は2級に該当したときに、併合した障害の程度による障害厚生年金が支給されるものです。
初めて1級又は2級に該当したときではなく、当該障害厚生年金の「請求があった月の翌月」から始まるのがポイントです。
(法第47条の3)
ポイント!
「その権利を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当しない障害厚生年金」は法第48条の併合認定の対象になる障害厚生年金からは除かれることを、ひとつ前の記事で書きました。
こちら → R3.11.25 2以上の障害が生じた場合の併合認定
受給権を取得した当時から3級の障害厚生年金は、法第48条の併合認定の対象にはなりませんが、例えば、先発の障害厚生年金が3級で、後発の障害(基準障害)と併合して初めて1級または2級に該当した場合は、第47条の3の基準障害による障害厚生年金の対象となります。
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②【H29年出題】
厚生年金保険法第47条の3に規定するいわゆる基準障害による障害厚生年金を受給するためには、基準傷病の初診日が、基準傷病以外の傷病(基準傷病以外の傷病が2以上ある場合は、基準傷病以外の全ての傷病)に係る初診日以降でなければならない。
【解答】
②【H29年出題】 〇
「基準傷病の初診日」は、基準傷病以外の傷病の初診日より後であることが条件です。併合のきっかけになるのが基準傷病ですので、一番後ろにくることになります。
(法第47条の3)
条文を穴埋めで確認しましょう!
第47条の3(基準障害による障害厚生年金)
疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病(以下「基準傷病」という。)に係る初診日において被保険者であつた者であって、基準傷病以外の傷病により障害の状態にあるものが、基準傷病に係る障害認定日以後< A >までの間において、初めて、基準傷病による障害(以下「基準障害」という。)と他の障害とを併合して障害等級の < B >に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったとき(基準傷病の初診日が、基準傷病以外の傷病(基準傷病以外の傷病が2以上ある場合は、基準傷病以外のすべての傷病)に係る初診日以降であるときに限る。)は、その者に基準障害と他の障害とを併合した障害の程度による障害厚生年金を支給する。
【解答】
A 65歳に達する日の前日
B 1級又は2級
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R4-095
令和3年の問題から厚生年金保険法を学びましょう。
今日は「2以上の障害が生じた場合の併合認定」です。
では、どうぞ!
①【R3年問4イ】
厚生年金保険法第48条第2項の規定によると、障害等級2級の障害厚生年金の受給権者が、更に障害等級2級の障害厚生年金を支給すべき事由が生じたことにより、同法第48条第1項に規定する前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金の受給権を取得したときは、従前の障害厚生年金の支給は停止するものとされている。
【解答】
①【R3年問4イ】 ×
併合認定した場合、従前の障害厚生年金は、支給停止ではなく、「失権」します。
例えば、2級の障害厚生年金の受給権者に対して更に2級の障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害が併合されます。併合の結果1級に該当した場合は、1級の障害厚生年金が支給されます。
併合の結果、1級の障害厚生年金受給権を取得した場合は、従前の障害厚生年金の受給権は消滅します。支給停止ではありませんので注意しましょう。
(法第48条)
ポイント!
法第48条の併合認定の対象になる障害厚生年金からは、「その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るもの」は除かれます。
一度でも1級か2級の状態にあったものが併合の対象となります。
こちらもどうぞ!
②【H29年出題】
障害厚生年金の受給権を取得した当時は障害等級2級に該当したが、現在は障害等級3級である受給権者に対して、新たに障害等級2級の障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害厚生年金を支給することとし、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する。
③【H27年出題】
障害等級3級の障害厚生年金の受給権者(受給権を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当したことはなかったものとする。)について、更に障害等級2級に該当する障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金が支給され、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する。
【解答】
②【H29年出題】 〇
①の問題と同じです。
「障害厚生年金の受給権を取得した当時は障害等級2級に該当したが、現在は障害等級3級」ということは、障害基礎年金が支給停止中ということです。
先発の障害厚生年金が、1度でも1級又は2級に該当したことがある場合は、現在3級でも法第48条の規定による併合の対象となります。
③【H27年出題】 ×
受給権を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当したことがない3級の障害厚生年金は、併合の対象になりません。
(法第48条)
条文を穴埋めで確認しましょう!
第48条(障害厚生年金の併給の調整)
障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の< A >に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く。以下同じ。)の受給権者に対して更に障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を< B >した障害の程度による障害厚生年金を支給する。
障害厚生年金の受給権者が前後の障害を< B >した障害の程度による障害厚生年金の受給権を取得したときは、従前の障害厚生年金の受給権は、< C >する。
【解答】
A 1級又は2級
B 併合
C 消滅
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R4-094
令和3年の問題から厚生年金保険法を学びましょう。
今日は「3号分割/特定被保険者が障害厚生年金の受給権者のとき」です。
では、どうぞ!
①【R3年問1E】
厚生年金保険法第78条の14に規定する特定被保険者が、特定期間の全部をその額の計算の基礎とする障害厚生年金の受給権者であったとしても、当該特定被保険者の被扶養配偶者は3号分割標準報酬改定請求をすることができる。
【解答】
①【R3年問1E】 ×
3号分割制度は、当事者の合意は不要です。
そのため、特定被保険者(分割される側)が障害厚生年金の受給権者で、問題文のように特定期間の全てが障害厚生年金の計算の基礎となっている場合は、特定被保険者の被扶養配偶者(分割を受ける側)は、3号分割標準報酬改定請求はできません。
(法第78条の14)
こちらもどうぞ!
②【H28年出題】
厚生年金保険法第78条の14に規定する特定被保険者(以下「特定被保険者」という。)が、障害厚生年金の受給権者である場合、当該障害厚生年金の計算の基礎となった被保険者期間は、3号分割標準報酬改定請求により標準報酬月額及び標準賞与額が改定される期間から除かれる。
【解答】
②【H28年出題】 〇
①と同じです。
特定被保険者が障害厚生年金の受給権者である場合、障害厚生年金の計算の基礎になっている被保険者期間は3号分割標準報酬改定請求の対象になりません。そのため、障害厚生年金の計算の基礎になっている被保険者期間は、改定される期間から除かれます。
(法第78条の14)
用語の定義を穴埋めで確認しましょう!
【H26年出題】※穴埋めにアレンジ
いわゆる「離婚時の第3号被保険者期間についての厚生年金保険の分割制度」について、分割の対象となる特定期間とは、特定被保険者が被保険者であった期間であり、かつ、その被扶養配偶者が当該特定被保険者の配偶者として< A >であった期間をいい、< B >前の期間を含まない。
【解答】
A 国民年金の第3号被保険者
B 平成20年4月1日
(法第78条の14)
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R4-093
令和3年の問題から厚生年金保険法を学びましょう。
今日は「加給年金額が支給停止されるとき」です。
では、どうぞ!
①【R3年問8D】
老齢厚生年金における加給年金額の対象となる配偶者が、障害等級1級又は2級の障害厚生年金及び障害基礎年金を受給している間、当該加給年金額は支給停止されるが、障害等級3級の障害厚生年金若しくは障害手当金を受給している場合は支給停止されることはない。
【解答】
①【R3年問8D】 ×
加給年金額の対象の配偶者が、障害等級3級の障害厚生年金を受給している場合も、加給年金額は支給停止されます。
★加給年金額の対象になる配偶者が、以下の給付を受けることができるときは、加給年金額が支給停止されます。
・ 老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る。)
・ 障害厚生年金、国民年金法による障害基礎年金その他の年金たる給付のうち、老齢若しくは退職又は障害を支給事由とする給付であって政令で定めるものの支給を受けることができるとき
→ 障害厚生年金は、1級、2級に限定されていませんので、配偶者が3級の障害厚生年金の支給を受けるときでも、加給年金額の支給が停止されます。
→ なお、「障害手当金」については、受給していても、加給年金額は支給停止されません。
(法第46条、施行令第3条の7)
こちらもどうぞ!
②【H26年出題】
老齢厚生年金に加算される加給年金額の対象となる配偶者が障害等級3級の障害厚生年金を受給している場合であっても、加給年金額は支給停止されない。
③【H22年出題】
老齢厚生年金の加給年金については、加算が行われている配偶者が、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240か月以上である老齢厚生年金(その全額が支給を停止されているものを除く。)の支給を受けることができるときは、その間、当該配偶者について加算する額に相当する部分の支給を停止する。
④【H28年出題】
配偶者に係る加給年金額が加算された老齢厚生年金について、その対象となる配偶者が繰上げ支給の老齢基礎年金の支給を受けるときは、当該配偶者については65歳に達したものとみなされ、加給年金額に相当する部分が支給されなくなる。
【解答】
②【H26年出題】 ×
①の問題と同じです。配偶者が3級の障害厚生年金を受給している場合は、加給年金額は支給停止されます。
(法第46条)
③【H22年出題】 〇
加算が行われている配偶者が、老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る)を受けることができるときは、その間、加給年金額の支給が停止されます。
ポイント!
・ 支給停止の対象になるのは、240月以上で計算される老齢厚生年金に限られます。(中高齢期間短縮特例該当者は240月未満でも240月とみなされます。)
・ 対象になる配偶者の老齢厚生年金が「全額支給停止されている」場合は、加給年金額は支給停止されず、加算されます。
④【H28年出題】 ×
対象になる配偶者が繰上げ支給の老齢基礎年金の支給を受けるときでも、加給年金額は、配偶者が65歳になるまで加算されます。
(法第46条)
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R4-092
令和3年の問題から厚生年金保険法を学びましょう。
今日は「脱退一時金の額の計算」です。
では、どうぞ!
①【R3年問9D】
脱退一時金の額の計算における平均標準報酬額の算出に当たっては、被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に再評価率を乗じることはない。
【解答】
①【R3年問9D】 〇
脱退一時金は、「被保険者であった期間の平均標準報酬額×支給率」で計算します。この場合の平均標準報酬額の算出に当たって、各月の標準報酬月額と標準賞与額に再評価率は乗じません。
(法附則第29条)
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②【H27年出題】
脱退一時金の額の計算に用いる支給率は、最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月の属する年の前年9月の保険料率に2分の1を乗じて得た率に、被保険者であった期間に応じた数を乗じて得た率とする。
【解答】
②【H27年出題】 ×
前年9月ではなく、前年10月です。
支給率は、資格喪失した日の属する月の前月の属する年の前年10月の保険料率に2分の1を乗じた率に、被保険者であった期間に応じた数を乗じて得た率です。
被保険者であった期間に応じた数は、「6」から「60」まで設定されています。(最終月が2021年(令和3年)4月以降の場合)
例えば、被保険者であった期間が60月以上の場合の支給率は、「資格喪失した日の属する月の前月の属する年の前年10月の保険料率×2分の1×60」ですので、1000分の183×2分の1×60で「5.5」となります。(小数点以下1位未満の端数は四捨五入)(法附則第29条)
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R4-091
令和3年の問題から厚生年金保険法を学びましょう。
今日は「脱退一時金の支給要件のチェックポイント」です。
では、どうぞ!
①【R3年問9C】
ある日本国籍を有しない者について、最後に厚生年金保険の被保険者資格を喪失した日から起算して2年が経過しており、かつ、最後に国民年金の被保険者資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して1年が経過した。この時点で、この者が、厚生年金保険の被保険者期間を6か月以上有しており、かつ、障害厚生年金等の受給権を有したことがない場合、厚生年金保険法に定める脱退一時金の請求が可能である。
【解答】
①【R3年問9C】 〇
この問題のチェックポイント!
■「ある日本国籍を有しない者」
→脱退一時金は「日本国籍を有しない者」が対象です。
■「最後に国民年金の被保険者資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して1年が経過」している。
→脱退一時金は、「最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなつた日)から起算して2年を経過しているとき」は支給されません。
問題文の時点では、「1年が経過」したところです。脱退一時金の請求は可能です。
■「厚生年金保険の被保険者期間を6か月以上」有している
→脱退一時金は、被保険者期間が6か月以上あることが要件です。
■「障害厚生年金等の受給権を有したことがない」
→障害厚生年金その他政令で定める保険給付の受給権を有したことがあるときは、脱退一時金は支給されません。
(法附則第29条)
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②【H30年出題】
脱退一時金は、最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過しているときは、請求することができない。
③【H26年出題】修正あり
日本国籍を有しない者について、障害手当金の受給権を有したことがある場合であっても、脱退一時金を請求することができる。
④【R1年出題】
被保険者期間が6か月以上ある日本国籍を有しない者は、所定の要件を満たす場合に脱退一時金の支給を請求することができるが、かつて、脱退一時金を受給した者が再入国し、適用事業に使用され、再度、被保険者期間が6か月以上となり、所定の要件を満たした場合であっても、再度、脱退一時金の支給を請求することはできない。
【解答】
②【H30年出題】 〇
③【H26年出題】 ×
「障害厚生年金その他政令で定める保険給付の受給権を有したこと」がある場合は、脱退一時金は請求できません。障害手当金は、「その他政令で定める保険給付」に入っています。
(法附則第29条、施行令第12条)
④【R1年出題】 ×
脱退一時金の請求に回数は設けられていませんので、所定の要件を満たせば、再度、脱退一時金の支給を請求することもできます。
(法附則第29条)
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R4-090
令和3年の問題から厚生年金保険法を学びましょう。
今日は「老齢厚生年金の繰下げと遡及の選択」です。
では、どうぞ!
①【R3年問9E】
昭和28年4月10日生まれの女性は、65歳から老齢基礎年金を受給し、老齢厚生年金は繰下げし70歳から受給する予定でいたが、配偶者が死亡したことにより、女性が68歳の時に遺族厚生年金の受給権を取得した。この場合、68歳で老齢厚生年金の繰下げの申出をせずに、65歳に老齢厚生年金を請求したものとして遡って老齢厚生年金を受給することができる。また、遺族厚生年金の受給権を取得してからは、その老齢厚生年金の年金額と遺族厚生年金の年金額を比較して遺族厚生年金の年金額が高ければ、その差額分を遺族厚生年金として受給することができる。
【解答】
①【R3年問9E】 〇
老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰下げはそれぞれ選択できます(同時に繰下げなくてもいい)
問題文のように、「65歳から老齢基礎年金を受給」し、「老齢厚生年金は繰下げし70歳から受給する」選択も可能です。
66歳に達した日後に他の年金を受ける権利ができた場合の選択肢は2つ
①他の年金が発生した時点の繰下げ増額率で、繰下げの老齢厚生年金を受給する
②65歳からの本来の老齢厚生年金を遡って請求する
問題文のように、68歳で遺族厚生年金の受給権を取得した場合、②を選択し、「65歳に老齢厚生年金を請求したものとして遡って老齢厚生年金を受給すること」ができます。この場合は、繰下げによる増額はありません。
遺族厚生年金と老齢厚生年金の調整
遺族厚生年金の受給権者が65歳以上で老齢厚生年金の受給権がある場合は、老齢厚生年金は全額支給、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額が支給停止されます。
遺族厚生年金の額が、老齢厚生年金より多い場合は、差額の遺族厚生年金が支給されます。
問題文のように、「老齢厚生年金の年金額と遺族厚生年金の年金額を比較して遺族厚生年金の年金額が高ければ、その差額分を遺族厚生年金として受給すること」ができます。
遺族厚生年金と老齢厚生年金の調整は、こちらの記事で解説しています。
こちら→ R3.11.18 遺族厚生年金の額の計算
(法第44条の3)
こちらもどうぞ!
②【H26年出題】
65歳で老齢厚生年金の受給権を取得したが請求していなかった者が、67歳になったときに遺族厚生年金の受給権者となった場合、当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることはできず、65歳の時点に遡って老齢厚生年金が支給される。
③【H28年出題】
平成19年4月1日以後に老齢厚生年金の受給権を取得した者の支給繰下げの申出は、必ずしも老齢基礎年金の支給繰下げの申出と同時に行うことを要しない。
【解答】
②【H26年出題】 ×
67歳になったときに遺族厚生年金の受給権者となっても、老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができます。
その場合、繰下げ増額率は、遺族厚生年金の受給権ができた時点で計算されます。
なお、65歳の時点に遡って老齢厚生年金を請求することもできます。
(法第44条の3)
③【H28年出題】 〇
老齢厚生年金の支給繰下げの申出と、老齢基礎年金の支給繰下げの申出は、それぞれ別にすることができます。
(法第44条の3)
なお、支給繰上げについては、老齢厚生年金の支給繰上げの請求は、老齢基礎年金の支給繰上げの請求と同時に行わなければなりません。
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R4-088
令和3年の問題から厚生年金保険法を学びましょう。
今日は「遺族厚生年金の額の計算」です。
では、どうぞ!
①【R3年問8C】
63歳の被保険者の死亡により、その配偶者(老齢厚生年金の受給権を有し、65歳に達している者とする。)が遺族厚生年金を受給したときの遺族厚生年金の額は、死亡した被保険者の被保険者期間を基礎として計算した老齢厚生年金の額の4分の3に相当する額と、当該遺族厚生年金の受給権者の有する老齢厚生年金の額に3分の2を乗じて計算した額のうちいずれか多い額とする。
【解答】
①【R3年問8C】 ×
問題文の遺族厚生年金の基本の額と比較する「当該遺族厚生年金の受給権者の有する老齢厚生年金の額に3分の2を乗じて計算した額」の部分が誤りです。
遺族厚生年金の基本の計算式は、「死亡した被保険者の被保険者期間を基礎として計算した老齢厚生年金の額×4分の3」です。
ただし、遺族のうち「65歳以上で老齢厚生年金の受給権を有する配偶者」の遺族厚生年金は、次の2つのうち、どちらか多い額となります。
ⓐ 「死亡した被保険者の被保険者期間を基礎として計算した老齢厚生年金の額×4分の3」(上記の基本の計算式)
ⓑ ⓐの額×3分の2 + 配偶者自身の老齢厚生年金の額×2分の1
(法第60条)
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②【H29年出題】
昭和27年4月2日生まれの遺族厚生年金の受給権者が65歳に達し、老齢厚生年金の受給権を取得した場合、当該遺族厚生年金は、当該老齢厚生年金の額(加給年金額が加算されている場合は、その額を除く。)に相当する部分の支給が停止される。
【解答】
②【H29年出題】 〇
遺族厚生年金の受給権者が65歳以上の場合の規定で、遺族自身の老齢厚生年金を優先して受給できるようにするための調整です。
遺族厚生年金の受給権者が65歳以上で老齢厚生年金の受給権がある場合は、老齢厚生年金は全額支給、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額が支給停止されます。
遺族厚生年金の額が、老齢厚生年金より多い場合は、差額の遺族厚生年金が支給されます。
(法第64条の2)
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R4-087
令和3年の問題から厚生年金保険法を学びましょう。
今日は「遺族厚生年金の失権事由」です。
では、どうぞ!
①【R3年問10E】
第1号厚生年金被保険者が死亡したことにより、当該被保険者の母が遺族厚生年金の受給権者となった。その後、当該母に事実上の婚姻関係にある配偶者が生じた場合でも、当該母は、自身の老齢基礎年金と当該遺族厚生年金の両方を受給することができる。
【解答】
①【R3年問10E】 ×
婚姻をしたときは、遺族厚生年金の受給権は消滅します。
婚姻には、「届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある場合」も含まれます。
問題文の母の遺族厚生年金の受給権は、「事実上の婚姻関係にある配偶者が生じた」ことによって消滅します。ですので、母が受給できるのは、自身の老齢基礎年金のみとなります。
(法第63条)
★なお、「直系血族及び直系姻族以外の者の養子」となったときも、遺族厚生年金の受給権は消滅します。ここに出てくる「養子」についても、「届出をしていないが事実上養子縁組関係と同様の事情にある者」を含みます。
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②【H27年出題】
遺族厚生年金の受給権者である妻が実家に復籍して姓も婚姻前に戻した場合であっても、遺族厚生年金の失権事由である離縁による親族関係の終了には該当しないため、その受給権は消滅しない。
【解答】
②【H27年出題】 〇
妻が実家に復籍して姓も婚姻前に戻しても、遺族厚生年金の受給権は消滅しません。
(昭32.2.9保文発9485)
なお、遺族厚生年金の失権事由である「離縁による親族関係の終了」について、「離縁」とは養子縁組関係の終了のみをいいます。
(昭30.4.11保文発3441)
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R4-086
令和3年の問題から厚生年金保険法を学びましょう。
今日は「経過的寡婦加算のこと」です。
では、どうぞ!
①【R3年問1B】
昭和32年4月1日生まれの妻は、遺族厚生年金の受給権者であり、中高齢寡婦加算が加算されている。当該妻が65歳に達したときは、中高齢寡婦加は加算されなくなるが、経過的寡婦加算の額が加算される。
【解答】
①【R3年問1B】 ×
昭和32年4月1日生まれの妻には、経過的寡婦加算は加算されません。
経過的寡婦加算が加算されるのは、「昭和31年4月1日以前」に生まれた妻です。新法が施行された昭和61年4月1日に30歳以上だった人が対象です。
第3号被保険者の制度が始まったのは昭和61年4月。昭和61年4月から60歳に達するまで国民年金に加入した場合の老齢基礎年金と経過的寡婦加算を合わせて 中高齢寡婦加算の額(遺族基礎年金の4分の3)と同じ額になるよう設定されています。
昭和31年4月2日以降生まれの場合、昭和61年4月から60歳に達するまですべて国民年金に加入すると「遺族基礎年金の4分の3」の額は支給されるので、経過的寡婦加算は加算されません。
(昭和60年法附則第73条)
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②【H27年出題】※改正による修正あり
保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が25年以上ある老齢厚生年金の受給権者(その計算の基礎となる被保険者期間の月数は240か月以上。)が死亡したことによりその妻(昭和25年4月2日生まれ)に支給される遺族厚生年金は、その権利を取得した当時、妻が65歳以上であっても、経過的寡婦加算が加算される。なお、当該妻は障害基礎年金及び遺族基礎年金の受給権を有しないものとする。
【解答】
②【H27年出題】 〇
ポイント!
・遺族厚生年金の受給権が発生したときに、既に妻が65歳以上でも、経過的寡婦加算が加算されます
・長期要件(保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が25年以上)の場合は、死亡した夫の厚生年金保険の被保険者期間の月数が原則240か月以上あることが条件です。
(昭和60年法附則第73条)
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R4-069
令和3年の問題から厚生年金保険法を学びましょう。
今日は「中高齢寡婦加算の額」です。
では、どうぞ!
①【R3年問1A】
夫の死亡により、厚生年金保険法第58条第1項第4号に規定するいわゆる長期要件に該当する遺族厚生年金(その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上あるものとする。)の受給権者となった妻が、その権利を取得した当時60歳であった場合は、中高齢寡婦加算として遺族厚生年金の額に満額の遺族基礎年金の額が加算されるが、その妻が、当該夫の死亡により遺族基礎年金も受給できるときは、その間、当該加算される額に相当する部分の支給が停止される。
【解答】
①【R3年問1A】 ×
中高齢寡婦加算として加算される額は、満額の遺族基礎年金ではなく、「遺族基礎年金の額×4分の3」です。
中高齢寡婦加算のポイント!
・死亡した夫について
「短期要件」でも「長期要件」でも中高齢寡婦加算は加算されますが、「長期要件」の場合は、厚生年金保険の被保険者期間が240月以上あることが条件です。
・妻について
①夫の死亡当時40歳以上65歳未満
②夫の死亡当時40歳未満だった場合は、40歳当時に子と生計を同じくしていて遺族基礎年金を受給していること
・中高齢寡婦加算が加算されるのは妻が65歳に達するまで
・遺族基礎年金を受けることができる間は、中高齢寡婦加算は支給停止される
(法第62条、第65条)
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②【H15年出題】
遺族厚生年金の中高齢寡婦加算額は、老齢基礎年金の年金額の3分の2に相当する額になっている。
③【H17年出題】
遺族厚生年金に加算される中高齢の寡婦加算の額は、生年月日にかかわらず老齢基礎年金の額の4分の3相当額であり、経過的寡婦加算の額は中高齢寡婦加算の額から老齢基礎年金の満額にその妻の生年月日に応じた率を乗じて得た額を控除した額である。
【解答】
②【H15年出題】 ×
老齢基礎年金の年金額の3分の2ではなく、「遺族基礎年金」の額の「4分の3」に相当する額です。
(法第62条)
③【H17年出題】 ×
「中高齢の寡婦加算の額」は、「老齢基礎年金」ではなく「遺族基礎年金」の額の4分の3相当額です。
・中高齢寡婦加算の額は、生年月日にかかわらず一定の額
中高齢寡婦加算の額の計算式
=遺族基礎年金の額×4分の3
・経過的寡婦加算の額は、妻の生年月日に応じた率を使って計算する
経過的寡婦加算の額の計算式
=「中高齢寡婦加算の額」-「老齢基礎年金の満額」×「妻の生年月日に応じた率」
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④【H28年出題】
被保険者の死亡により妻が中高齢寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権を取得した場合において、その遺族厚生年金は、妻に当該被保険者の死亡について国民年金法による遺族基礎年金が支給されている間、中高齢寡婦加算額に相当する部分の支給が停止される。
【解答】
④【H28年出題】 〇
妻に遺族基礎年金が支給されている間は、中高齢寡婦加算額に相当する部分の支給は停止されます。
(法第65条)
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R4-066
令和3年の問題から厚生年金保険法を学びましょう。
今日は「在老~基本月額と総報酬月額相当額」です。
では、どうぞ!
①【R3年問7B】
在職中の老齢厚生年金の支給停止の際に用いる総報酬月額相当額とは、被保険者である日の属する月において、その者の標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額のことをいい、また基本月額とは、老齢厚生年金の額(その者に加給年金額が加算されていればそれを加算した額)を12で除して得た額のことをいう。
【解答】
①【R3年問7B】 ×
基本月額は、老齢厚生年金の額(加給年金額を除く)÷12で計算します。「加給年金額」は基本月額の計算に入りません。
(法第46条)
こちらもどうぞ!
②【H25年出題】
在職老齢年金の支給停止額を計算する際の「総報酬月額相当額」とは、その者の標準報酬月額と直前の7月1日以前1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算した額である。
③【H29年出題】
60歳台後半の在職老齢年金の仕組みにおいて、経過的加算額及び繰下げ加算額は、支給停止される額の計算に用いる基本月額の計算の対象に含まれる。
【解答】
②【H25年出題】 ×
「総報酬月額相当額」は、被保険者である日が属する月において、その者の標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算した額です。
★総報酬月額相当額の計算式
(その月の標準報酬月額) + (その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12
(法第46条)
③【H29年出題】 ×
「経過的加算額」及び「繰下げ加算額」は、基本月額の計算に入りません。
★基本月額の計算式
老齢厚生年金の額 ÷ 12
※「加給年金額」、「繰下げ加算額」、「経過的加算額」は基本月額の計算から除かれます。
(法第46条、昭和60年法附則第62条)
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R4-058
令和3年の問題から厚生年金保険法を学びましょう。
今日は「遺族厚生年金・長期要件と短期要件」です。
では、どうぞ!
①【R3年問10A】
20歳から30歳まで国民年金の第1号被保険者、30歳から60歳まで第2号厚生年金被保険者であった者が、60歳で第1号厚生年金被保険者となり、第1号厚生年金被保険者期間中に64歳で死亡した。当該被保険者の遺族が当該被保険者の死亡当時生計を維持されていた60歳の妻のみである場合、当該妻に支給される遺族厚生年金は、妻が別段の申出をしたときを除き、厚生年金保険法第58条第1項第4号に規定するいわゆる長期要件のみに該当する遺族厚生年金として年金額が算出される。
【解答】
①【R3年問10A】 ×
遺族厚生年金には、「短期要件」と「長期要件」がありますが、両方に該当する場合は、「その遺族が遺族厚生年金を請求したときに別段の申出をしたときを除き、『短期要件』のいずれかのみに該当し、『長期要件』には該当しないものとみなす」とされています。 問題文は、逆になっているので×です。
問題文の場合、
・第1号厚生年金被保険者期間中に64歳で死亡 → 短期要件(在職中の死亡)
・保険料納付済期間+保険料免除期間が25年以上 → 長期要件
となります。別段の申出をしたときを除き、短期要件に該当する遺族厚生年金として年金額が算出されます。
(法第58条)
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②【H23年出題(改正による修正あり)】
保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である被保険者(障害等級1級又は2級に該当する障害厚生年金の受給権者を除く。)が死亡したときは、その遺族が遺族厚生年金を請求したときに別段の申出をした場合を除き、厚生年金保険法第58条第1項第1号(短期要件)に該当し、同条第1項第4号(長期要件)には該当しないものとみなされる。
【解答】
②【H23年出題】 〇
長期要件(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上)と短期要件(被保険者が死亡)の両方に当てはまる場合は、別段の申出をした場合を除き、短期要件に該当し、長期要件には該当しないものとみなされます。
(法第58条)
こちらもどうぞ!
③【H27年出題(改正による修正あり)】
老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者。)が死亡したことにより支給される遺族厚生年金の額の計算における給付乗率については、死亡した者が昭和21年4月1日以前に生まれた者であるときは、生年月日に応じた読み替えを行った乗率が適用される。
【解答】
③【H27年出題】 〇
問題文は「長期要件」です。長期要件の場合は、給付乗率について生年月日に応じた読み替えがあります。
遺族厚生年金の原則の計算式は、老齢厚生年金と同じで「平均標準報酬額×1000分の5.481×被保険者期間の月数」です。
ただし、短期要件と長期要件でルールが違うのがポイントです。
短期要件 | 長期要件 | |
給付乗率 | 定率 | 昭和21年4月1日以前生まれ →生年月日に応じて読み替え |
被保険者期間の月数 | 300月の 最低保障あり | 実期間で計算 |
(法第60条)
では、長期要件と短期要件を穴埋めでチェックしましょう
1 被保険者(失踪の宣告を受けた被保険者であった者であって、行方不明となった当時被保険者であったものを含む。)が、死亡したとき。
2 被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して< A >年を経過する日前に死亡したとき。
3 < B >に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、死亡したとき。
4 老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が< C >年以上である者に限る。)又は保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が< C >年以上である者が、死亡したとき。
【解答】
A 5
B 障害等級の1級又は2級
C 25
★1、2、3が「短期要件」、4が「長期要件」です。
また、1と2は障害厚生年金と同じく保険料納付要件が問われます。
(法第58条)
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R4-049
令和3年の問題から、応用問題を振り返りましょう。
今日は厚生年金保険法です。
では、どうぞ!
①【R3年問9B】
昭和33年4月10日生まれの男性は、第1号厚生年金被保険者として4年、第2号厚生年金被保険者として40年加入してきた(これらの期間以外被保険者期間は有していないものとする。)。当該男性は、厚生年金保険の被保険者でなければ、63歳から定額部分と報酬比例部分の特別支給の老齢厚生年金が支給される。
【解答】
①【R3年問9B】 ×
「長期加入者の特例」の問題です。
昭和16年4月2日生まれ(第1号の女子は昭和21年4月2日生まれ)以降から、特別支給の老齢厚生年金が報酬比例部分のみになる部分があります。(図を参照してください。)
長期加入者の特例とは、厚生年金保険の被保険者でなく、かつ、被保険者期間が44年以上であるときは、定額部分(場合によっては加給年金額も)が支給される特例です。
昭和33年4月10日生まれの男性は、63歳から報酬比例分の支給が開始されますが、厚生年金保険の被保険者でなく、かつ、被保険者期間が44年以上であるときは、定額部分も合わせて支給されます。
しかし、問題文の場合は、被保険者期間は、第1号が4年、第2号が40年となっています。「44年」をみるときは、2種以上の被保険者であった期間は、合算しないこととなっているので、問題文の場合は、要件をみたさないので、63歳から支給されるのは原則どおり報酬比例部分のみとなります。
(法附則第9条の3)
こちらもどうぞ!
②【H28年出題】
第1号厚生年金被保険者期間を30年と第2号厚生年金被保険者期間を14年有する昭和29年10月2日生まれの現に被保険者でない男性は、両種別を合わせた被保険者期間が44年以上であることにより、61歳から定額部分も含めた特別支給の老齢厚生年金を受給することができる。
【解答】
②【H28年出題】 ×
上の問題と同じで、「44年以上」をみるときは、2種以上の期間は合算できませんので、問題文の場合は、定額部分は支給されません。
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R4-039
令和3年の問題から、よくでるところを振り返りましょう。
今日は厚生年金保険法です。
では、どうぞ!
①【R3年問3C】
厚生年金保険法附則第8条の2に定める「特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例」の規定によると、昭和35年8月22日生まれの第1号厚生年金被保険者期間のみを有する女子と、同日生まれの第1号厚生年金被保険者期間のみを有する男子とでは、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢が異なる。なお、いずれの場合も、坑内員たる被保険者であった期間及び船員たる被保険者であった期間を有しないものとする。
②【R3年問3D】
厚生年金保険法附則第8条の2に定める「特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例」の規定によると、昭和35年8月22日生まれの第4号厚生年金被保険者期間のみを有する女子と、同日生まれの第4号厚生年金被保険者期間のみを有する男子とでは、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は同じである。
【解答】
①【R3年問3C】 〇
(特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢)
★どちらも昭和35年8月22日生まれ、報酬比例部分のみ
・第1号厚生年金被保険者期間のみを有する女子 → 62歳開始
・第1号厚生年金被保険者期間のみを有する男子 → 64歳開始
②【R3年問3D】 〇
(特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢)
★どちらも昭和35年8月22日生まれ、報酬比例部分のみ
・第4号厚生年金被保険者期間のみを有する女子 → 64歳
・第4号厚生年金被保険者期間のみを有する男子 → 64歳
ポイント!
特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は、
①「第1号~第4号の男子」、「第2号~第4号の女子」
②「第1号の女子」
の2つのパターンがあります。女子は、「第2号~第4号」と「第1号」で支給開始年齢が異なりますので注意してください。
★①の生年月日をおぼえましょう。節目の「昭和16年」、「昭和24年」、「昭和28年」、「昭和36年」をおさえてください。
②の節目は、プラス5年で、「昭和21年」、「昭和29年」、「昭和33年」、「昭和41年」です。
では、こちらもどうぞ!
③【H29年出題】
昭和29年4月1日生まれの女性(障害の状態になく、第1号厚生年金被保険者期間を120月、国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間を180月有するものとする。)が、特別支給の老齢厚生年金における報酬比例部分を受給することができるのは60歳からであり、また、定額部分を受給することができるのは64歳からである。なお、支給繰上げの請求はしないものとする。
④【H24年出題】(改正による修正あり)
厚生年金保険法附則第8条の2に定める「特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例」につき、一般の男子及び女子(第1号厚生年金被保険者であり、又は第1号厚生年金被保険者期間を有する者に限る。)の支給開始年齢の読み替えに関する記述のうち、誤っているものはどれか。
A 男子であって、昭和27年4月2日に生まれた者は、61歳以上に該当するに至ったときに支給される。
B 男子であって、昭和36年4月1日に生まれた者は、64歳以上に該当するに至ったときに支給される。
C 女子であって、昭和33年4月2日に生まれた者は、61歳以上に該当するに至ったときに支給される。
D 女子であって、昭和36年4月2日に生まれた者は、62歳以上に該当するに至ったときに支給される。
E 女子であって、昭和41年4月1日に生まれた者は、64歳以上に該当するに至ったときに支給される。
【解答】
③【H29年出題】 〇
報酬比例部分→60歳から、定額部分→64歳から
④【H24年出題】(改正による修正あり)
A ×
B 〇
C 〇
D 〇
E 〇
A 男子 昭和27年4月2日生まれ → 60歳から報酬比例部分が支給
B 男子 昭和36年4月1日生まれ → 64歳から報酬比例部分が支給
C 女子(第1号)昭和33年4月2日生まれ → 61歳から報酬比例部分が支給
D 女子(第1号)昭和36年4月2日生まれ → 62歳から報酬比例部分が支給
E 女子(第1号)昭和41年4月1日生まれ → 64歳から報酬比例部分が支給
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R4-029
令和3年の問題から、定番問題を振り返ります。
今日は厚生年金保険法です。
では、どうぞ!
①【R3年問3A】
障害等級2級に該当する程度の障害の状態であり老齢厚生年金における加給年金額の加算の対象となっている受給権者の子が、17歳の時に障害の状態が軽減し障害等級2級に該当する程度の障害の状態でなくなった場合、その時点で加給年金額の加算の対象から外れ、その月の翌月から年金の額が改定される。
【解答】
①【R3年問3A】 ×
17歳の時に障害の状態でなくなった場合でも、18歳に達した日以後の最初の3月31日までは、加給年金額の加算の対象のままです。
老齢厚生年金の加給年金額の対象になる子の条件を確認しましょう。
・18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子
・20歳未満で障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子
18歳の年度末までは、障害の状態の有無は問われないのがポイントです。
(法第44条)
では、こちらもどうぞ!
②【H21問4B】
老齢厚生年金を受給している者の子(当該老齢厚生年金の受給権発生当時から18歳に達する日以後の最初の3月31日まで加給年金額の対象となっていた子に限る。)が19歳となったときにはじめて障害等級1級又は2級の障害に該当する障害の状態になった場合において、当該子が20歳に達するまでは、当該子について加給年金額を加算する。
【解答】
②【H21問4B】 ×
障害等級1級又は2級でない場合は、18歳に達する日以後の最初の3月31日で加給年金額の対象から外れます。その後、19歳で障害状態になったとしても、加給年金額の対象にはなりません。
(法第44条)
それでは、加給年金額の減額改定の事由を条文で確認しましょう。
加給年金額が加算された老齢厚生年金については、配偶者又は子が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、その者に係る加給年金額を加算しないものとし、次の各号のいずれかに該当するに至った月の翌月から、年金の額を改定する。
一 死亡したとき。
二 受給権者による生計維持の状態がやんだとき。
三 配偶者が、離婚又は婚姻の取消しをしたとき。
四 配偶者が、65歳に達したとき。
五 子が、養子縁組によって受給権者の< A >の者の養子となったとき。
六 養子縁組による子が、離縁をしたとき。
七 子が、婚姻をしたとき。
八 子(障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子を除く。)について、< B >が終了したとき。
九 障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子(< B >までの間にある子を除く。)について、その事情がやんだとき。
十 子が、< C >歳に達したとき。
【解答】
A 配偶者以外
B 18歳に達した日以後の最初の3月31日
C 20
(法第44条第4項)
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R4-020
第53回試験を振り返ってみましょう。
★★☆ 一筋縄ではいかない、ひねりの効いた問題が多かったように思います。暗記したことを組み立てたり、図を書いてみたり、今年の厚生年金保険の問題は解くのに工夫が必要です。
【R3年問5】
(問5-ア)
老齢厚生年金の受給権者(被保険者ではないものとする。)が死亡した場合、国民年金法に規定する保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年であったとしても、その期間と同法に規定する合算対象期間を合算した期間が25年以上である場合には、厚生年金保険法第58条第1項第4号に規定するいわゆる長期要件に該当する。
(問5-イ)
厚生年金保険の被保険者であった甲は令和3年4月1日に厚生年金保険の被保険者資格を喪失したが、厚生年金保険の被保険者期間中である令和3年3月15日に初診日がある傷病により令和3年8月1日に死亡した(死亡時の年齢は50歳であった。)。この場合、甲について国民年金の被保険者期間があり、当該国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が、当該国民年金の被保険者期間の3分の2未満であっても、令和2年7月から令和3年6月までの間に保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がないときには、遺族厚生年金の支給対象となる。
(問5-ウ)
85歳の老齢厚生年金の受給権者が死亡した場合、その者により生計を維持していた未婚で障害等級2級に該当する程度の障害にある60歳の当該受給権者の子は、遺族厚生年金を受けることができる遺族とはならない。
(問5-エ)
厚生年金保険の被保険者であった甲には妻の乙と、甲の前妻との間の子である15歳の丙がいたが、甲が死亡したことにより、乙と丙が遺族厚生年金の受給権者となった。その後、丙が乙の養子となった場合、丙の遺族厚生年金の受給権は消滅する。
(問5-オ)
厚生年金保険の被保険者の死亡により、被保険者の死亡の当時27歳で子のいない妻が遺族厚生年金の受給権者となった。当該遺族厚生年金の受給権は、当該妻が30歳になったときに消滅する。
【解答】
(問5-ア) 〇
「老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)又は保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が、死亡したとき」は長期要件に該当します。
この「25年」に合算対象期間が含まれることがこの問題のポイントです。
問題文の通り、「保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間」とを合算した期間が25年以上の場合は、長期要件に該当します。
(法第58条、附則第14条)
(問5-イ) 〇
保険料納付要件の特例の条件は、
・死亡日が令和8年4月1日前にある
・死亡日の属する月の前々月までの1年間に滞納期間がない
・死亡日に65歳未満
です。
問題文の場合、
死亡日=令和3年8月1日
死亡日の属する月(令和3年8月)の前々月までの1年間(令和2年7月から令和3年6月まで)に「保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がない」(滞納期間がない)
・死亡時に50歳
ということで、要件を満たしているので、保険料納付要件の特例が適用され遺族厚生年金の支給対象となります。
(法第58条、S60年法附則第64条)
(問5-ウ) 〇
遺族となる「子」の要件は、「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、又は20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。」です。
問題文の場合は、年齢要件に該当しないので、遺族となりません。
(法第59条)
(問5-エ) ×
直系血族及び直系姻族以外の養子となったときは遺族厚生年金の受給権は消滅しますが、問題文の場合は、直系姻族の養子ですので、遺族厚生年金の受給権は消滅しません。
(法第63条)
(問5-オ) ×
30歳未満の子のいない妻の遺族厚生年金は、「遺族厚生年金の受給権を取得した日」から5年を経過したときに消滅します。問題文の場合、妻が30歳になったときは、まだ5年経過していませんので、消滅しません。
(法第63条)
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R4-009
第53回試験を振り返ってみましょう。
★★★ 難しい
★★☆ やや難しい
★☆☆ 暗記が肝心、消去法で解く
☆☆☆ どうにか解ける
今日は、「厚生年金保険法」の選択式です。
問題1 賞与の定義(第3条)
迷うようなひっかけ選択肢も無いですし、ばっちり解けたと思います。
問題1 ☆☆☆ どうにか解ける
問題2 交付金(第84条の3)
■まずは「実施機関」の確認をしましょう。
第1号厚生年金被保険者 → 厚生労働大臣
第2号厚生年金被保険者 → 国家公務員共済組合及び国家公務員共済組合連合会
第3号厚生年金被保険者 → 地方公務員共済組合、全国市町村職員共済組合連合会及び地方公務員共済組合連合会
第4号厚生年金被保険者 → 日本私立学校振興・共済事業団
■「共済組合等」のキャッシュフローは、以下のようなイメージです。
・実施機関(厚生労働大臣を除く。)は、厚生年金勘定に拠出金を納付する。(厚生年金の給付に必要な費用を分担するため)
↓
・実施機関(厚生労働大臣を除く。)に係る保険給付に必要な費用(「厚生年金保険給付費等」)は、厚生年金勘定から、共済組合等に交付金として交付される。
■「厚生年金保険給付費等」とは、「実施機関(厚生労働大臣を除く。)に係る厚生年金保険法の規定による保険給付に要する費用として政令で定めるものその他これに相当する給付として政令で定めるものに要する費用」をいいます。
問題2 ★★☆ やや難しい
問題3 適用事業所の一括(第8条の2)
択一式でもよく出題されるところなので、解けたと思います。
問題3 ☆☆☆ どうにか解ける
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R3-358
今日は厚生年金保険の選択対策。テーマは「老齢厚生年金の額」です。
ではどうぞ!
空欄を埋めてください。
<H23年選択式 出題> ※改正による修正あり
1 老齢厚生年金の額は、被保険者であった全期間の平均標準報酬額(被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に、厚生年金保険法別表の各号に掲げる受給権者の区分に応じてそれぞれ当該各号に定める率(以下「< A >」という。)を乗じて得た額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額をいう。)の1,000分の< B >に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額とする。
2 < A >については、毎年度、厚生年金保険法第43条の2第1項第1号に掲げる率(以下「< C >」という。)に第2号及び第3号に掲げる率を乗じて得た率(以下「< D >」という。)を基準として改定し、当該年度の4月以降の保険給付について適用する。
3 受給権者が65歳に達した日の属する年度の初日の属する年の< E >の年の4月1日の属する年度以後において適用される< A >(「基準年度以後< A >」という。)の改定については、上記2の規定にかかわらず、< C >(< C >が < D >を上回るときは、< D >)を基準とする。
【解答】
A 再評価率
B 5.481
C 物価変動率
D 名目手取り賃金変動率
E 3年後
(法第43条、第43条の2、第43条の3)
ポイント!
再評価率の改定基準
・新規裁定者 → 名目手取り賃金変動率を基準とする
・既裁定者 → 物価変動率を基準とする(※物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、名目手取り賃金変動率を基準とする)
こちらもどうぞ!
<H18年選択式 出題>
平成16年の法改正により、年金額の改定は被保険者であった期間の標準報酬月額及び標準賞与額に係る< F >(生年度別)を改定することによって毎年自動的に行われる方式に改められた。
【解答】
F 再評価率
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R3-342
今日のテーマは、「障害厚生年金~事後重症のポイントをチェック」です。
ではどうぞ!
①<H26年出題>
いわゆる事後重症による障害厚生年金について、対象となる障害の程度は障害等級1級又は2級に限られ、障害の程度が障害等級3級に該当するに至った場合には請求することができない。
【解答】
①<H26年出題> ×
障害等級3級も、事後重症による障害厚生年金の対象です。
(法第47条の2)
では、こちらもどうぞ!
②<H20年出題>
傷病の初診日において被保険者であった者について、障害認定日には障害等級に該当する程度の障害の状態になかったが、同日後65歳に達する日の前日までに当該傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態になり、かつ、初診日において保険料納付要件を満たしているときは、65歳以後であっても障害等級に該当した日から3年を経過していなければ、障害厚生年金の支給を請求することができる。
③<H29年出題>
いわゆる事後重症による障害厚生年金について、障害認定日に障害等級に該当しなかった者が障害認定日後65歳に達する日の前日までに当該傷病により障害等級3級に該当する程度の障害の状態となり、初診日の前日において保険料納付要件を満たしている場合は、65歳に達した日以後であっても障害厚生年金の支給を請求できる。
【解答】
②<H20年出題> ×
「65歳以後であっても障害等級に該当した日から3年を経過していなければ、障害厚生年金の支給を請求することができる」の部分が誤り。
③<H29年出題> ×
「65歳に達した日以後であっても障害厚生年金の支給を請求できる」の部分が誤り。
事後重症のポイント!
・初診日の要件を満たしている
・初診日の前日の保険料納付要件を満たしている
・障害認定日に障害等級に該当しなかった(障害認定日に受給権が発生しない)
↓
しかし、その後障害の状態が重症化した
・障害認定日後65歳に達する日の前日までの間に障害等級(1~3級)に該当
・障害認定日後65歳に達する日の前日までの間に「請求」する
↓
・「請求」することによって、事後重症の障害厚生年金の受給権が発生する
・請求した月の翌月から支給される
こちらもどうぞ!
④<R1年出題>
傷病に係る初診日に厚生年金保険の被保険者であった者が、障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態になかったが、その後64歳のときにその傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至った場合、その者が支給繰上げの老齢厚生年金の受給権者であるときは、障害厚生年金の支給を請求することはできない。
【解答】
④<R1年出題> 〇
老齢基礎年金や老齢厚生年金の繰上げを受給している者は、事後重症の請求はできません。65歳以上と同じ扱いとなります。
(附則第16条の3)
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R3-341
今日のテーマは、「30歳未満の妻の遺族厚生年金の「5年」の起算日」です。
ではどうぞ!
①<H19年出題>
受給権を取得した当時30歳未満である妻に対する遺族厚生年金は、当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を有する者について30歳に達する日前に当該遺族基礎年金の受給権が消滅した場合はその日から起算して5年を経過したときに、当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得しない者については当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過したときに、それぞれ受給権が消滅する。
【解答】
①<H19年出題> 〇
死亡した者に生計を維持されていた妻は、年齢問わず遺族厚生年金の対象となります。
しかし、30歳未満の子のない妻の遺族厚生年金は、5年間の有期給付となります。
5年の起算日をおぼえましょう。
1 遺族厚生年金の受給権を取得した当時30歳未満の妻
→ 遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得しないとき (子がいない場合)
→ 遺族厚生年金の受給権を取得した日から5年間
2 遺族厚生年金と遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を有する妻が30歳に到達する日前に当該遺族基礎年金の受給権が消滅したとき(30歳前に子の死亡などで遺族基礎年金が失権した場合)
→ 遺族基礎年金の受給権が消滅した日から5年間
こちらもどうぞ!
②<H29年出題>
遺族厚生年金及び当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の受給権を取得した妻について、当該受給権の取得から1年後に子の死亡により当該遺族基礎年金の受給権が消滅した場合であって、当該消滅した日において妻が30歳に到達する日前であった場合は、当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過したときに当該遺族厚生年金の受給権は消滅する。
③<H26年出題>
遺族厚生年金の受給権を取得した当時30歳未満である妻が、当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得しない場合、当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から5年を経過したときに、その受給権は消滅する。
【解答】
②<H29年出題> ×
起算日が誤っています。「遺族厚生年金の受給権を取得した日」から起算ではなく、「遺族基礎年金の受給権が消滅した日」から起算します。
・遺族厚生年金と同一の支給事由の遺族基礎年金の受給権を取得した妻
↓
・1年後に子の死亡により遺族基礎年金の受給権が消滅した
↓
・消滅した日に妻は30歳前だった
↓
・「遺族基礎年金の受給権が消滅した日」から起算して5年を経過したときに
遺族厚生年金の受給権は消滅する。
③<H26年出題> 〇
・遺族厚生年金の受給権を取得した当時30歳未満である妻(同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得しない)
↓
・「遺族厚生年金の受給権を取得した日」から5年を経過したときに、遺族厚生年金の受給権は消滅する。
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R3-340
今日のテーマは、「業務上の災害と厚生年金保険の年金との調整」です。
ではどうぞ!
①<H28年出題>
障害厚生年金は、その受給権者が当該障害厚生年金に係る傷病と同一の傷病について労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付を受ける権利を取得したときは、6年間その支給を停止する。
②<H17年出題>
業務上の傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に、当該傷病により労働基準法第77条の規定による障害補償を受ける権利を取得したときは、障害厚生年金は6年間、その支給が停止されるが、労働者災害補償保険法による障害補償年金を受ける権利を取得したときは、障害厚生年金は支給停止とはならない。
③<R1年出題>
遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について労働基準法第79条の規定による遺族補償の支給が行われるべきものであるときは、死亡の日から6年間、その支給を停止する。
【解答】
①<H28年出題> ×
障害厚生年金は、同一の傷病について労働基準法の規定による障害補償を受ける権利を取得したときは、6年間その支給を停止する、です。
(法第54条)
なお、同一の傷病について労働者災害補償保険法の年金を受けることができる場合は、障害厚生年金は全額支給されます。その場合、労災保険法の規定により、労災保険の年金は減額されます。
②<H17年出題> 〇
①の解説と同じです。
③<R1年出題> 〇
①②と同じです。
遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について労働基準法の遺族補償の支給が行われるときは、死亡の日から6年間、その支給が停止されます。
(法第64条)
なお、同一の事由で、遺族厚生年金と労災保険法の年金が支給される場合は、遺族厚生年金は全額支給されます。(そして、労災保険法の規定により労災保険の年金は減額されます。)
では、こちらもどうぞ!
④<H28年出題>
障害手当金の受給要件に該当する被保険者が、当該障害手当金に係る傷病と同一の傷病により労働者災害補償保険法に基づく障害補償給付を受ける権利を有する場合には、その者には障害手当金は支給されない。
【解答】
④<H28年出題> 〇
障害手当金は、当該傷病について、労災保険法の規定による障害補償給付、複数事業労働者障害給付若しくは障害給付を受ける権利を有する者には支給されません。
ちなみに、当該傷病について労働基準法第77条の規定による障害補償を受ける権利を有する場合も、障害手当金は支給されません。
(法第56条)
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R3-311
国民年金法と同じように、厚生年金保険法の脱退一時金も改正されました。
上限年数が36月(3年)から60月(5年)に引き上げられています。
国民年金法の脱退一時金の改正はこちらからどうぞ
→ R3.6.27 【国年】脱退一時金の支給上限年数の引上げ
条文を穴埋めでチェックしましょう!
★空欄を埋めてください。
法附則第29条 (日本国籍を有しない者に対する脱退一時金の支給)
脱退一時金の額は、被保険者であった期間に応じて、その期間の平均標準報酬額(被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額をいう。)に支給率を乗じて得た額とする。
支給率は、最終月(最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月をいう。)の属する年の前年< A >月の保険料率(最終月が1月から8月までの場合にあっては、前々年< A >月の保険料率)に< B >を乗じて得た率に、被保険者であった期間に応じて政令で定める数を乗じて得た率とし、その率に小数点以下1位未満の端数があるときは、これを四捨五入する。
【解答】
A 10
B 2分の1
(法附則第29条)
厚生年金保険の脱退一時金は、「被保険者であった期間の平均標準報酬額×支給率」で計算します。
「支給率」は、『最終月の保険料率×2分の1×政令で定める数』です。
『政令で定める数』は以下の通りです。(最終月が令和3年4月以降の場合)
被保険者であった期間 | |
---|---|
6月~12月 | 6 |
12月~18月 | 12 |
18月~24月 | 18 |
24月~30月 | 24 |
30月~36月 | 30 |
36月~42月 | 36 |
42月~48月 | 42 |
48月~54月 | 48 |
54月~60月 | 54 |
60月以上 | 60 |
(施行令第12条の2)
★ 例えば最終月が令和3年4月で、被保険者であった期間が60月以上の場合の支給率は、「18.3%×2分の1×60」≒5.5となります。(小数点以下1位未満の端数は四捨五入)
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R3-310
令和2年9月より、標準報酬月額の最高等級が引き上げられています。
条文を穴埋めでチェックしましょう!
★空欄を埋めてください。
第20条
毎年< A >における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の< B >に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の< C >から、健康保険法に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる。
【解答】
A 3月31日
B 100分の200
C 9月1日
(法第20条)
ポイント!
厚生年金保険の標準報酬月額の最高等級は「第32級 650,000円」になりました。
(令和2年9月より R2.8.14政令第246号)
厚生年金保険の標準報酬月額は、第1級(88,000円)~第32級(650,000円)です。
ちなみに、健康保険法は 第1級(58,000円)~第50級(1,390,000円)です。
では、こちらもどうぞ!
<H24年出題>(修正)
被保険者が賞与を受けた場合、その賞与額に基づき、これに千円未満の端数が生じたときは、これを切り捨てて、その月における標準賞与額を決定する。ただし、その月に当該被保険者が受けた賞与によりその年度(毎年4月1日から翌年3月31日までをいう。以下同じ。)における標準賞与額の累計が573万円を超えることとなる場合には、当該累計額が573万円となるようその月の標準賞与額を決定し、その年度においてその月の翌月以降に受ける賞与の標準賞与額は0とする。
【解答】
<H24年出題>(修正) ×
厚生年金保険の標準賞与額は、『被保険者が賞与を受けた月において、その月に当該被保険者が受けた賞与額に基づき、これに千円未満の端数を生じたときはこれを切り捨てて、その月における標準賞与額を決定する。この場合において、当該標準賞与額が150万円を超えるときは、これを150万円とする。』と規定されています。
厚生年金保険の標準賞与額の上限は月150万円です。
(法第24条の4)
問題文は、健康保険の標準賞与額の決定方法です。健康保険法の場合は、年度の累計で573万円までです。(健保法第45条)
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R3-279
障害認定日に障害等級3級だった人がその後2級になった場合、「国民年金」「厚生年金保険」でそれぞれ視点が違います。
今日は、厚生年金保険の視点で見ていきましょう。
厚生年金保険の場合、障害等級は1級から3級までありますが、3級の場合は「障害厚生年金」のみ、1級、2級の場合は「障害基礎年金+障害厚生年金」です。
3級から2級・1級に障害の程度が増進すると、障害基礎年金がプラスされます。
ということは、
・障害厚生年金 → 3級から2級・1級に改定
・障害基礎年金 → 障害等級不該当から1・2級へ(事後重症)
となります。
昨日の記事でもお話しましたが、事後重症は「65歳に達する日の前日まで」という条件がありましたよね。ここが今日のポイントです。(図1参照)
※ 国民年金の「障害等級」は1級、2級です。(厚生年金保険の「障害等級」は1級、2級、3級です。)
では、どうぞ!
①<H27年出題>
63歳の障害等級3級の障害厚生年金の受給権者(受給権を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当したことはなかったものとする。)が、老齢基礎年金を繰上げ受給した場合において、その後、障害厚生年金に係る障害の程度が増進したときは、65歳に達するまでの間であれば実施機関に対し、障害の程度が増進したことによる障害厚生年金の額の改定を請求することができる。
②<H16年出題>
2級の障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が、その後、3級の障害の状態になり、65歳以降に再び障害の程度が増進して2級の障害の状態になったとき、2級の障害基礎年金及び障害厚生年金が支給される。
③<R2年出題>
障害等級2級に該当する障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が、症状が軽減して障害等級3級の程度の障害の状態になったため当該2級の障害基礎年金は支給停止となった。その後、その者が65歳に達した日以後に再び障害の程度が増進して障害等級2級に該当する程度の障害の状態になった場合、障害等級2級の障害基礎年金及び障害厚生年金は支給されない。
【解答】
①<H27年出題> ×
老齢基礎年金を繰上げ受給しているので、障害の程度が増進しても障害厚生年金の額の改定は請求できません。
障害認定日に3級だった者が、その後障害の程度が増進した場合、3級から2級、1級への額の改定請求ができます。
同時に事後重症による障害基礎年金も支給されます。(図1参照)
ただし、事後重症の条件は、「65歳に達する日の前日までに該当」すること。
そのため、65歳すぎてから障害の程度が増進しても、事後重症の障害基礎年金が支給されないので、障害厚生年金も額の改定は行われません。(図2参照)
問題のように、65歳に達するまでの間でも、老齢基礎年金を繰上げ受給している場合は、事後重症による障害基礎年金は支給されないので、障害厚生年金の額の改定も行われません。
(法第52条)
②<H16年出題> 〇
問題文の場合は、もともと1、2級の受給権がある(=障害基礎年金の受給権がある)ことがポイントです。
65歳以降に再び障害の程度が増進して2級の障害の状態になったとき、2級の障害基礎年金と障害厚生年金が支給されます。なぜならば、障害基礎年金が事後重症ではないからです。
(図3参照)
③<R2年出題> ×
問題文の場合、65歳以後に再び障害の程度が増進して障害等級2級の障害状態になった場合は、障害等級2級の障害基礎年金と障害厚生年金が支給されます。②の問題と同じです。
社労士受験のあれこれ
R3-276
今日のテーマは「厚生年金保険の保険料率」です。
厚生年金保険の保険料は、「標準報酬月額×保険料率」、「標準賞与額×保険料率」 で計算します。
まずこちらからどうぞ!
①<H17年選択式>
平成16年の改正では、厚生年金保険の最終的な保険料水準を< A >%に固定し、その範囲内で給付費を賄うことを基本に、給付水準を自動的に調整する仕組み(マクロ経済スライド)を導入した。
【解答】
A 18.3
平成16年改正で導入されたのが「保険料水準固定方式」です。
保険料水準固定方式とは、最終的な保険料の水準を法律で定め、その範囲内で給付を行う仕組みです。
厚生年金保険の保険料率は、平成16年10月から毎年0.354%ずつ引き上げられ(平成17年度からは9月に引上げ)、平成29年9月以降は、18.3%で固定されることになりました。
ではこちらをどうぞ!
②<R1年出題>
厚生年金保険の保険料率は段階的に引き上げられてきたが。上限が1000分の183に固定(統一)されることになっている。第1号厚生年金被保険者の保険料率は平成29年9月に、第2号及び第3号厚生年金被保険者の保険料率は平成30年9月にそれぞれ上限に達したが、第4号厚生年金被保険者の保険料率は平成31年4月12日時点において上限に達していない。
【解答】
②<R1年出題> 〇
厚生年金保険の保険料率が上限の1000分の183に達するのは
・第1号厚生年金被保険者 → 平成29年9月
・第2号及び第3号厚生年金被保険者 → 平成30年9月
・第4号厚生年金被保険者 → 令和9年9月
(H24年法附則第83条から85条)
社労士受験のあれこれ
R3-274
今日のテーマは、「高齢任意加入被保険者」です。
70歳になっても、老齢の年金の受給権がない人は、70歳以降も任意に厚生年金保険に加入することができます。
「高齢任意加入被保険者」には「適用事業所」に使用される人と、「適用事業所以外」の事業所に使用される人の2つのパターンがあります。それぞれの違いに注意しましょう。
まずこちらからどうぞ!
①<H26年出題>
適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上の者が高齢任意加入被保険者になるには、事業主の同意を得たうえで、厚生労働大臣に対して申出を行うこととされており、その申出が受理された日に資格を取得する。
②<R1年出題>
適用事業所に使用される70歳以上の者であって、老齢厚生年金、国民年金法による老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有しないもの(厚生年金保険法第12条各号に該当する者を除く。)が高齢任意加入の申出をした場合は、実施機関への申出が受理された日に資格を取得する。
【解答】
①<H26年出題> ×
「厚生労働大臣に対して申出を行うこととされており、その申出が受理された日に資格を取得する」の部分が誤りです。
『適用事業所以外』の高齢任意加入被保険者の場合
・『事業主の同意』を得たうえで、『厚生労働大臣の認可』を受けて、『認可があった日』に資格を取得します。
(法附則4条の5)
②<R1年出題> 〇
『適用事業所』の高齢任意加入被保険者の場合
・『実施機関に申し出』て、『実施機関への申出が受理された日』に資格を取得します。
※『適用事業所」の場合、事業主の同意は要りません。
事業主の同意は「事業主が保険料を半分負担し、かつ納付義務を負う」ためのものです。
「適用事業所以外」は事業主の保険料半分負担かつ納付義務を負うことが必須。ですので、事業主の同意も必須要件です。
一方、「適用事業所」の方は、事業主の負担が必須ではありません。そのため事業主の同意も必須ではありません。
(法附則第4条の3)
もう一問どうぞ!
③<H29年出題>
高齢任意加入被保険者を使用する適用事業所の事業主は、当該被保険者に係る保険料の半額を負担し、かつ、当該被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負うことにつき同意すること及びその同意を将来に向かって撤回することができるとされているが、当該被保険者が第4号厚生年金被保険者であるときは、この規定は適用されない。
【解答】
③<H29年出題> ×
第4号厚生年金被保険者が誤り。この規定が適用されないのは「第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者」です。
★ 高齢任意加入被保険者を使用する適用事業所の事業主は、「保険料の半額負担、かつ、保険料の納付義務を負う」ことにつき同意することができます。そして、その同意を将来に向かって撤回することもできます。
ただし、この規定は、第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者には適用されません。
(法附則第4条の3)
社労士受験のあれこれ
R3-273
今日のテーマは、「70歳以上の使用される者」の届出関係です。
厚生年金保険の被保険者が70歳に達したときは資格を喪失しますが、70歳以後も働く場合は、厚生年金保険の被保険者ではない(=保険料は徴収されない)ものの、在職老齢年金の仕組みが適用されます。
70歳以降も働く場合の手続を確認しましょう。
まずこちらからどうぞ!
①<H28年出題>
昭和12年4月1日以前生まれの者が平成28年4月に適用事業所に使用されている場合、その者に支給されている老齢厚生年金は、在職老齢年金の仕組みによる支給停止が行われることはない。
【解答】
①<H28年出題> ×
問題文の場合、在職老齢年金の仕組みによる支給停止が行われることがあります。
70歳以上でも適用事業所に使用される場合は、在職老齢年金のルールが適用されます。以前は、昭和12年4月1日以前生まれの者はこの適用が除外されていましたが、平成27年10月からは、昭和12年4月1日以前生まれの者にも在職老齢年金の仕組みが適用されています。
(法第46条)
こちらもどうぞ!
②<H23年出題>
適用事業所の事業主は、70歳以上の者(厚生年金保険法第12条各号に定める適用除外者に該当する者を除く。)であって、過去に厚生年金保険の被保険者であった者を新たに雇い入れたときは、「70歳以上の使用される者の該当の届出」を行わなければならない。
③<H29年出題>
第1号厚生年金被保険者に係る適用事業所の事業主は、被保険者が70歳に到達し、引き続き当該事業所に使用される場合、被保険者の資格喪失の届出にあわせて70歳以上の使用される者の該当の届出をしなければならないが、70歳以上の者(厚生年金保険法第12条各号に定める適用除外者に該当する者を除く。)を新たに雇い入れたときは、70歳以上の使用される者の該当の届出をすることを要しない。なお、本問の事業所は、特定適用事業所とする。
④<R2年出題>
第1号厚生年金被保険者に係る適用事業所の事業主は、被保険者が70歳に到達し、引き続き当該事業所に使用されることにより70歳以上の使用される者の要件(厚生年金保険法施行規則第10条の4の要件をいう。)に該当する場合であって、当該者の標準報酬月額に相当する額が70歳到達日の前日における標準報酬月額と同額である場合は、70歳以上被用者該当届及び70歳到達時の被保険者資格喪失届を省略することができる。
【解答】
②<H23年出題> 〇
70歳以上の者を新たに使用した場合、厚生年金保険の被保険者にはなりませんが、在職老齢年金の規定が適用されるため、「70歳以上の使用される者の該当の届出」が必要です。
対象になるのは、「70歳以上」、「過去に厚生年金保険の被保険者期間を有する」「適用事業所に使用される者で、かつ、12条各号に定める者に該当しない」者です。
(則15条の2)
③<H29年出題> ×
<被保険者が70歳に到達し、引き続き当該事業所に使用される場合>
★70歳到達日時点の標準報酬月額相当額が、70歳到達日の前日の標準報酬月額と異なる→「70歳以上の使用される者の該当の届出」を提出
★70歳到達日時点の標準報酬月額相当額が、70 歳到達日の前日の標準報酬月額と同額→ 「70歳以上の使用される者の該当の届出」の提出は不要
<70歳以上の者を新たに雇い入れたとき>
★「70歳以上の使用される者の該当の届出」を提出
(則第15条の2)
④<R2年出題> 〇
「70歳到達日の前日以前から70歳到達日以降も引き続き 同一の適用事業所に使用」かつ、「当該者の標準報酬月額に相当する額が70歳到達日の前日における標準報酬月額と同額である」場合は、「70歳以上被用者該当届及び70歳到達時の被保険者資格喪失届」の提出は不要です。
(則第15条の2)
社労士受験のあれこれ
R3-238
引き続き、「2以上の種別の期間を有する」場合の年金がテーマです。
今日は「遺族厚生年金」です。
では、こちらからどうぞ!
①<H30年出題>
障害等級1級の障害厚生年金の受給権者(厚生年金保険法第58条第1項第4号に規定するいわゆる長期要件には該当しないものとする。)が死亡し、その者が2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を有していた場合、遺族厚生年金の額については、その死亡した者に係る2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を合算し、1の被保険者の種別に係る被保険者期間のみを有するものとみなして額の計算をする。なお、それぞれの期間を合算しても300か月に満たない場合は、300か月として計算する。
【解答】
①<H30年出題> 〇
注目ポイントは次の2つ
・ 死亡した者が「短期要件」であること(→『障害等級1級の障害厚生年金の受給権者でいわゆる長期要件には該当しない』)
・ 死亡した者が「2以上の被保険者の種別」に係る被保険者であった期間を有していたこと
■2以上の種別の被保険者期間がある場合の遺族厚生年金の計算
・短期要件の場合
→ それぞれの種別の期間を合算して計算する。(→死亡した者に係る2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を合算し、1の被保険者の種別に係る被保険者期間のみを有するものとみなして額の計算をする)
→ それぞれの種別の期間を合算しても300か月に満たない場合は、300か月で計算する
・長期要件の場合
→ それぞれの種別ごとに計算する
→ 300月の最低保障は無し
(法第78条の32、施行令第3条の13の6)
こちらもどうぞ!
②<H28年出題>
第1号厚生年金被保険者期間が15年、第3号厚生年金被保険者期間が18年ある老齢厚生年金の受給権者が死亡したことにより支給される遺族厚生年金は、それぞれの被保険者期間に応じてそれぞれの実施機関から支給される。
【解答】
②<H28年出題> 〇
注目ポイント 問題文の遺族厚生年金は「長期要件」で2以上の種別の期間がある
問題文の場合、「老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間+保険料免除期間が25年以上ある者)」が死亡したときに該当するので長期要件です。
長期要件の遺族厚生年金は、先ほどの①の解説にも書きましたように「それぞれの種別ごとに計算」されます。また支給は、「それぞれの被保険者期間に応じてそれぞれの実施機関から支給される」ことになります。
問題文の場合でしたら、第1号分(15年)は「厚生労働大臣」、第3号分(18年)は、「地方公務員共済組合、全国市町村職員共済組合連合会及び地方公務員共済組合連合会」が行います。
なお、「短期要件」の場合の実施機関は、以下の時点で判断されます。
・被保険者の死亡 → 「死亡日」における種別
・資格喪失後の死亡(被保険者期間中に初診日ある傷病で初診日から5年以内に死亡)
→ 「初診日」における種別
・1,2級の障害厚生年金の受給権者の死亡 → 「初診日」における種別
(法第78条の32、施行令第3条の13の10)
社労士受験のあれこれ
R3-237
昨日に引き続き、「2以上の種別の期間を有する」場合の年金がテーマです。
今日は「障害厚生年金」です。
では、こちらからどうぞ!
①<H28年出題>
障害厚生年金の受給権者であって、当該障害に係る障害認定日おいて2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る当該障害厚生年金の支給に関する事務は、当該障害に係る障害認定日における被保険者の種別に応じた実施機関が行う。
【解答】
①<H28年出題> ×
当該障害に係る『障害認定日』における被保険者の種別に応じた実施機関が行うの部分の「障害認定日」が誤り。障害認定日ではなく、「初診日」です。
2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の当該障害厚生年金の支給に関する事務は、「初診日」における被保険者の種別に応じた実施機関が行うことになります。
例えば、20歳から10年間は第1号厚生年金被保険者で、30歳から第4号厚生年金被保険者で、第4号厚生年金被保険者である期間に初診日がある場合は、障害厚生年金の支給に関する事務は、日本私立学校振興・共済事業団が行います。
(法第78条の33)
こちらもどうぞ!
②<H29年出題>
2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る障害厚生年金の額は、初診日における被保険者の種別に係る被保険者期間のみが計算の基礎とされる。
【解答】
②<H29年出題> ×
障害厚生年金の受給権者で、当該障害に係る障害認定日において2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の障害厚生年金の額は、2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなすことになっています。
計算の基礎となるのは、「初診日における被保険者の種別に係る被保険者期間のみ」ではなく、それぞれを「合算」することになります。
(法第78条の30)
社労士受験のあれこれ
R3-236
昨日に引き続き、「2以上の種別の期間を有する」場合の年金がテーマです。
今日は「加給年金額」です。
では、こちらからどうぞ!
①<H28年出題>
第1号厚生年金被保険者期間を170か月、第2号厚生年金被保険者期間を130か月有する昭和25年10月2日生まれの男性が、老齢厚生年金の受給権を65歳となった平成27年10月1日に取得した。この場合、一定の要件を満たす配偶者がいれば、第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金に加給年金額が加算される。なお、この者は、障害等級3級以上の障害の状態になく、上記以外の被保険者期間を有しないものとする。
②<H30年出題>
2つの被保険者の種別に係る被保険者であった期間を有する者に、一方の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に基づく老齢厚生年金と他方の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に基づく老齢厚生年金の受給権が発生した。当該2つの老齢厚生年金の受給権発生日が異なり、加給年金額の加算を受けることができる場合は、遅い日において受給権を取得した種別に係る老齢厚生年金においてのみ加給年金額の加算を受けることができる。
【解答】
①<H28年出題> 〇
問題文のように、第1号厚生年金被保険者期間と第2号厚生年金被保険者期間がある場合は、合算して240か月以上あれば加給年金額が加算されます。
第1号厚生年金被保険者分の老齢厚生年金と第2号厚生年金被保険者分の老齢厚生年金は、それぞれ別個に計算・支給されますが、加給年金額はどちらか一方に加算されます。
2以上の種別の被保険者であった期間を有する老齢厚生年金について、加給年金額はどの老齢厚生年金に加算されるのでしょうか?加算される順番は、政令で次の通り定められています。
①最も早い日において受給権を取得した老齢厚生年金に加算する
↓
②同時に受給権を取得した老齢厚生年金が2以上あるときは、最も長い期間で計算される老齢厚生年金に加算する
↓
③期間が同じ場合は、第1号厚生年金被保険者期間、第2号厚生年金被保険者期間、第3号厚生年金被保険者期間、第4号厚生年金被保険者期間の順序で加算する
問題文の場合は、それぞれの老齢厚生年金の受給権は同じ日(平成27年10月1日)に取得していますので、期間が長い方の第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金に加給年金額が加算されます。
(法第78条の27、施行令第3条の13)
②<H30年出題> ×
「遅い日」において・・・の部分が誤りです。
2つの老齢厚生年金の受給権発生日が異なり、加給年金額の加算を受けることができる場合は、「遅い日」ではなく「早い日」において受給権を取得した種別に係る老齢厚生年金にのみ加給年金額が加算されます。
(法第78条の27、施行令第3条の13)
社労士受験のあれこれ
R3-235
テーマは「2以上の種別の期間を有する」場合の年金についてです。
厚生年金保険の被保険者は、4つの種別に区分されています。
第1号厚生年金被保険者(民間企業)
第2号厚生年金被保険者(国家公務員)
第3号厚生年金被保険者(地方公務員)
第4号厚生年金被保険者(私学教職員)
例えば、民間企業で勤務した後国家公務員になった場合、第1号厚生年金被保険者の期間と第2号厚生年金被保険者の期間を有することになりますが、そのような場合の年金のルールを確認していきます。
では、こちらからどうぞ!
①<H28年出題>
国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間が25年ある昭和31年4月2日生まれの女性が、60歳となった時点で第1号厚生年金被保険者期間を8か月及び第4号厚生年金被保険者期間を10か月有していた場合であっても、それぞれの種別の厚生年金保険の被保険者期間が1年以上ないため、60歳から特別支給の老齢厚生年金を受給することはできない。
【解答】
①<H28年出題> ×
特別支給の老齢厚生年金は、「1年以上の厚生年金保険の被保険者期間を有する」こと」が要件です。
2以上の種別の被保険者であった期間がある場合は、合算して1年以上あればOKです。問題文の場合は、合算して18カ月あるので、特別支給の老齢厚生年金の支給要件を満たします。
問題文の女性(昭和31年4月2日生まれ)の特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢
・60歳支給開始 → 第1号厚生年金被保険者期間分
・62歳支給開始 → 第2号厚生年金被保険者期間分
(法附則第8条、法附則第20条)
では、こちらもどうぞ!
②<R2年出題>
第1号厚生年金被保険者期間と第2号厚生年金被保険者期間を有する者について、第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金と、第2号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金は併給される。
③<H29年出題>
2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の老齢厚生年金の額の計算においては、その者の2以上の被保険者の種別に係る期間を合算して1の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして平均標準報酬額を算出する。
【解答】
②<R2年出題> 〇
第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金と第2号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金は、それぞれ区分して計算され、それぞれ併給されます。
また、老齢厚生年金はそれぞれの実施機関から支給されます。(第1号厚生年金被保険者期間分は「厚生労働大臣」、第2号厚生年金被保険者期間分は「国家公務員共済組合及び国家公務員共済組合連合会」)
(法第78条の26)
③<H29年出題> ×
「2以上の被保険者の種別に係る期間を合算して・・・」の部分が誤りです。合算して平均標準報酬額を算出するのではなく、それぞれの種別ごとに平均標準報酬額を算出します。
(第78条の26)
社労士受験のあれこれ
R3-234
テーマは「経過的寡婦加算」です。
『中高齢寡婦加算』と違う点を特に意識してください。
では、こちらからどうぞ!
①<H14年出題>
遺族厚生年金の受給権者である妻が昭和31年4月1日以前の生まれであるときは、その妻が65歳に達してからは妻自身の老齢基礎年金が支給されるので、中高齢寡婦加算及び経過的寡婦加算は支給停止される。
【解答】
①<H14年出題> ×
中高齢寡婦加算の支給は65歳で終了しますが、65歳以後は、遺族厚生年金に経過的寡婦加算が加算されます。
ポイント!経過的寡婦加算は生年月日の要件あり!
「経過的寡婦加算」は、昭和31年4月1日以前に生まれた者が対象です。
★なぜ、「昭和31年4月1日以前」なの??
会社員の被扶養配偶者が「第3号被保険者」として国民年金に強制加入するようになったのは、「昭和61年4月1日」からで、その前(旧法時代)は、「国民年金は任意加入」でした。
例えば、会社員に扶養される妻が「昭和31年4月2日」以降生まれの場合を考えてみましょう。昭和31年4月2日以降生まれの妻には経過的寡婦加算は支給されません。
なぜなら、昭和61年4月1日時点で30歳未満だからです。仮に20歳から60歳まで40年間会社員に被扶される妻で、旧法時代に任意加入していなかったとしても、40年のうち30年以上は第3号被保険者となり、老齢基礎年金の額は、満額の4分の3以上(480月のうち360月以上)で計算されます。
65歳まで加算される「中高齢寡婦加算」が遺族基礎年金の4分の3なので、それと同額の老齢基礎年金が65歳から支給されます。そのため「経過的寡婦加算」でカバーする必要がないからです。
一方、「昭和31年4月1日」以前生まれの妻の場合は、同じく40年間会社員に扶養される妻だった場合、第3号被保険者の期間が30年未満となり、老齢基礎年金の額が4分の3未満となります。
経過的寡婦加算は、その4分の3未満になる部分をカバーするために加算されるものです。
(昭60年法附則第73条)
では、こちらの問題をどうぞ!
②<H15年出題(修正)>
遺族厚生年金に加算される経過的寡婦加算額は、妻の生年月日に応じて最低39,070円から最高780,900円までの額として加算される。
【解答】
②<H15年出題(修正)> ×
経過的寡婦加算の額は、最低19,547円から最高585,700円までの額となります。
計算式は、次の通りです。
「中高齢の寡婦加算の額」-「満額の老齢基礎年金」×妻の生年月日に応じた乗率
乗率は、昭和2年4月1日以前生まれは「ゼロ」で生年月日が若いほど乗率は大きくなり、一番若い「昭和30年4月2日~昭和31年4月1日」生まれは、「480分の348」となります。
経過的寡婦加算が中高齢寡婦加算と同額の「585,700円」になるのは、昭和2年4月1日以前生まれ。最低額の19,547円になるのは、「昭和30年4月2日~昭和31年4月1日」生まれです。
若い人ほど「第3号被保険者期間」が長くなる=老齢基礎年金が多くなるので、経過的寡婦加算は逆に少なくなる仕組みです。
再度、中高齢寡婦加算との違いを確認しましょう。
・中高齢寡婦加算の額は → 妻の生年月日にかかわらず一定の金額
・経過的寡婦加算の額は → 妻の生年月日に応じた率を使用し算出される
(昭60年法附則第73条)
こちらもどうぞ!
③<H28年出題>
経過的寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権者が国民年金法による障害基礎年金の支給を受ける場合には、遺族厚生年金の経過的寡婦加算の額に相当する部分の支給が停止される。
【解答】
③<H28年出題> 〇
遺族厚生年金の受給権者が、国民年金法による障害基礎年金の受給権を有するとき(その支給を停止されているときを除く。)は、その間、経過的寡婦加算の額に相当する部分の支給が停止されます。
障害基礎年金で満額保障されるので、経過的寡婦加算でカバーする必要が無いからです。
(昭60年法附則第73条)
社労士受験のあれこれ
R3-233
昨日に引き続き、テーマは中高齢寡婦加算です。
今日は中高齢寡婦加算の額です。
では、こちらからどうぞ!
<穴埋め問題>
第62条
遺族厚生年金(第58条第1項第4号(長期要件)に該当することにより支給されるものであって、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240未満であるものを除く。)の受給権者である妻であってその権利を取得した当時40歳以上65歳未満であったもの又は40歳に達した当時当該被保険者若しくは被保険者であった者の子で国民年金法第37条の2第1項に規定する要件に該当するものと生計を同じくしていたものが65歳未満であるときは、
遺族厚生年金の額に< A >の額に< B >を乗じて得た額(その額に< C >未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、< C >以上< D >未満の端数が生じたときは、これを< D >に切り上げるものとする。)を加算する。
【解答】
A 遺族基礎年金
B 4分の3
C 50円
D 100円
中高齢寡婦加算の額は、遺族基礎年金の額×4分の3で計算します。
では、こちらの問題をどうぞ!
①<H17年出題>
遺族厚生年金に加算される中高齢の寡婦加算の額は、生年月日にかかわらず老齢基礎年金の額の4分の3相当額であり、経過的寡婦加算の額は中高齢寡婦加算の額から老齢基礎年金の満額にその妻の生年月日に応じた率を乗じて得た額を控除した額である。
②<H21年出題>
遺族厚生年金の受給権者である妻で一定の要件を満たす者に加算される中高齢寡婦加算の額は、妻の生年月日に応じた率を使用し算出されるが、経過的寡婦加算の額は、当該妻の生年月日にかかわらず、一定の金額とされている。
【解答】
①<H17年出題> ×
中高齢寡婦加算の額は、老齢基礎年金の額の4分の3ではなく、『遺族基礎年金』の額の4分の3です。経過的寡婦加算の額は問題文の通りです。
②<H21年出題> ×
中高齢寡婦加算と経過的寡婦加算の説明が逆です。
・中高齢寡婦加算の額は → 妻の生年月日にかかわらず一定の金額
・経過的寡婦加算の額は → 妻の生年月日に応じた率を使用し算出される
※『経過的寡婦加算』については、後日、記事にします。
こちらもどうぞ!
③<H28年出題>
被保険者の死亡により妻が中高齢寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権を取得した場合において、その遺族厚生年金は、妻が当該被保険者の死亡について国民年金法による遺族基礎年金が支給されている間、中高齢寡婦加算額に相当する部分の支給が停止される。
【解答】
③<H28年出題> 〇
子がいる場合は「遺族厚生年金と遺族基礎年金」が支給されます。遺族基礎年金が支給されている間(子が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間等)は、中高齢寡婦加算額に相当する部分の支給が停止されます。
(法第65条)
社労士受験のあれこれ
R3-232
テーマは中高齢寡婦加算です。
中高齢寡婦加算が加算される要件を確認しましょう。
では、こちらからどうぞ!
<穴埋め問題>
第62条
遺族厚生年金(第58条第1項第4号(長期要件)に該当することにより支給されるものであって、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が< A >未満であるものを除く。)の受給権者である妻であって
その権利を取得した当時< B >歳以上< C >歳未満であったもの
又は< B >歳に達した当時当該被保険者若しくは被保険者であった者の子で国民年金法第37条の2第1項に規定する要件に該当するものと生計を同じくしていたものが< C >歳未満であるときは、
遺族厚生年金の額に遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)を加算する。
【解答】
A 240
B 40
C 65
ポイント!
・中高齢寡婦加算の対象は「妻」のみ
・対象になる妻の要件
①夫の死亡時に、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない
②夫の死亡時に子があり、遺族厚生年金と遺族基礎年金を受給していたが、子が年齢要件等に該当したため遺族基礎年金を受給できなくなった(夫の死亡時に40歳未満だったが40歳到達時に遺族基礎年金を受けていた)
・支給される遺族厚生年金が長期要件の場合は、死亡した夫の厚生年金保険の被保険者期間月数が240月(中高齢の期間短縮特例に該当する場合はその期間)以上あること
では、こちらの問題をどうぞ!
①<H27年出題>
子のない妻が、被保険者である夫の死亡による遺族厚生年金の受給権を取得したときに30歳以上40歳未満であった場合、妻が40歳に達しても中高齢寡婦加算は加算されない。
②<H19年出題(修正)>
保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が25年以上である者(老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上ある)が死亡した場合において、死亡した者の妻が遺族厚生年金の受給権を取得した当時、遺族基礎年金の受給権を有する者がおらず、かつ、当該妻がその当時40歳未満であった場合、当該妻の遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が行われることはない。
【解答】
①<H27年出題> 〇
子のない妻(遺族基礎年金が支給されない)の場合は、夫の死亡時に40歳以上65歳未満であることが条件です。
ちなみに、この問題は「被保険者である夫の死亡」なので遺族厚生年金は短期要件です。
②<H19年出題(修正)> 〇
①と同じく、夫の死亡当時妻が40歳未満で子がいない場合は、中高齢寡婦加算は行われません。
ちなみに、この問題は長期要件です。
★再度確認しておくと
中高齢寡婦加算が加算される妻は
①子がいない場合
夫の死亡時に40歳以上65歳未満であること
②夫の死亡時に子がある場合
夫の死亡時に40歳未満でも40歳到達時に子がいる(遺族基礎年金を受けている)こと
社労士受験のあれこれ
R3-231
今日のテーマは、65歳以上の配偶者の遺族厚生年金です。
遺族厚生年金は、原則として老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額の4分の3で計算しますが、65歳以上の配偶者については、別の計算式があります。
では、こちらからどうぞ!
<穴埋め問題>
第60条、附則第17条の2 (年金額)
遺族厚生年金の額は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額とする。
ただし、遺族厚生年金の受給権者が当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の支給を受けるときは、1.に定める額とする。
1. 第59条第1項に規定する遺族(2.に掲げる遺族を除く。)が遺族厚生年金の受給権を取得したとき
→ 死亡した被保険者又は被保険者であった者の被保険者期間を基礎として第43条第1項の規定(老齢厚生年金)の例により計算した額の< A >に相当する額。
ただし、短期要件のいずれかに該当することにより支給される遺族厚生年金については、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300として計算した額とする。
2.第59条第1項に規定する遺族のうち、老齢厚生年金の受給権を有する配偶者(< B >歳に達している者に限る)が遺族厚生年金の受給権を取得したとき
→ 1.に定める額又は次のイ及びロに掲げる額を合算した額のうちいずれか多い額
イ 1.に定める額に< C >を乗じて得た額
ロ 当該遺族厚生年金の受給権者の老齢厚生年金の額(加給年金額を除く。)に < D >を乗じて得た額
【解答】
A 4分の3
B 65
C 3分の2
D 2分の1
ポイント!
★★65歳以上の配偶者の遺族厚生年金の額★★
老齢厚生年金の受給権を有する配偶者(65歳に達している者に限る)が遺族厚生年金の受給権を取得したとき
遺族厚生年金の額は、1.と2.のいずれか多い方
1.死亡した人の老齢厚生年金額の4分の3
2.1.の額の3分の2 + 自身の老齢厚生年金額の2分の1
※いずれか多い方とは → いずれかを選択する方法ではなく、多い方が遺族厚生年金の額になります。
※1.の額の3分の2は(死亡した人の老齢厚生年金の4分の3×3分の2)なので、死亡した人の老齢厚生年金の2分の1となります。つまり、2.の額は、死亡した人の老齢厚生年金の2分の1+自身の老齢厚生年金の2分の1の額です。
※この仕組みは『65歳以上』の『配偶者』だけに適用されます。
では、こちらの問題をどうぞ!
<H24年出題>
65歳に達している受給権者に支給される遺族厚生年金(基本となる年金額の3分の2に相当する額)と老齢厚生年金(基本となる年金額の2分の1に相当する額)を同時に受給する場合には、基礎年金については老齢基礎年金を選択することができるが、障害基礎年金を選択することはできない。
【解答】 ×
受給権者が65歳以上の場合、遺族厚生年金と基礎年金の組み合わせについては、「遺族厚生年金+老齢基礎年金」、「遺族厚生年金+障害基礎年金」の組み合わせが可能です。
なお、問題文の「遺族厚生年金(基本となる年金額の3分の2に相当する額)と老齢厚生年金(基本となる年金額の2分の1に相当する額)を同時に受給する」という表現も誤りです。
先ほどの条文の2.の額(死亡した人の老齢厚生年金の4分の3×3分の2+自身の老齢厚生年金の2分の1の額)の方が1.の額より多い場合は2.の額が「遺族厚生年金」の額となるので、問題文の「同時に受給する」という表現にはなりません。
社労士受験のあれこれ
R3-230
今日のテーマは、遺族厚生年金「短期要件」と「長期要件」です。それぞれ年金額の計算に違いがあります。
では、こちらからどうぞ!
<穴埋め問題>
第58条
遺族厚生年金は、被保険者又は被保険者であった者が次の各号のいずれかに該当する場合に、その者の遺族に支給する。ただし、①又は②に該当する場合にあっては、死亡した者につき、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。
① 被保険者(失踪の宣告を受けた被保険者であった者であって、行方不明となった当時被保険者であったものを含む。)が、死亡したとき。
② 被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に < A >がある傷病により当該< A >から起算して< B >を経過する日前に死亡したとき。
③ < C >に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、死亡したとき。
④ 老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が< D >以上である者に限る。)又は保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が< D >以上である者が、死亡したとき。
【解答】
A 初診日
B 5年
C 障害等級の1級又は2級
D 25年
ポイント!
★①から③は短期要件
①厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
②厚生年金保険の被保険者であった間に初診日がある傷病が原因で、初診日から5年以内に死亡したとき
③障害等級1級又は2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したとき
★④は長期要件
④老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間(と合算対象期間)を合算した期間が25年以上である者に限る。)が死亡したとき
保険料納付済期間と保険料免除期間(と合算対象期間)を合算した期間が25年以上である者が死亡したとき
では、こちらの問題をどうぞ!
①<H27年出題(修正)>
老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者)が死亡したことにより支給される遺族厚生年金の額の計算における給付乗率については、死亡した者が昭和21年4月1日以前に生まれた者であるときは、生年月日に応じた読み替えを行った乗率が適用される。
②<H17年出題(修正)>
老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者)の死亡により支給される遺族厚生年金の額の計算において、計算の基礎となる被保険者期間の月数に300月の最低保障は適用されないが、給付乗率については生年月日に応じた乗率が適用される。
【解答】
①<H27年出題(修正)> 〇
「長期要件」に該当するので、給付乗率は、生年月日に応じた読み替えを行います。
②<H17年出題(修正)> 〇
「長期要件」に該当するので、「300月」の最低保障は適用なし、給付乗率は生年月日に応じた読み替えが適用されます。
(法第58条、第60条、S60年法附則第59条)
ポイント!
遺族厚生年金の額の計算式(原則)
老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額の4分の3
※報酬比例部分→平均標準報酬額×1000分の5.481×被保険者期間の月数(原則)
短期要件 | 長期要件 | |
給付乗率 | 定率 | 昭和21年4月1日以前生まれの者は、 生年月日に応じた読み替えあり |
被保険者期間の月数 | 300月の最低保障あり | 最低保障なし |
最後にこちらをどうぞ
③<H23年出題(修正)>
保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である被保険者(障害等級1級又は2級に該当する障害厚生年金の受給権者を除く。)が死亡したときは、その遺族が遺族厚生年金を請求したときに別段の申出をした場合を除き、厚生年金保険法第58条第1項第1号(短期要件)に該当し、同条第1項第4号(長期要件)には該当しないものとみなされる。
【解答】 〇
死亡したのは、「保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上」の「被保険者」です。長期要件(「25年以上」)と短期要件(「被保険者」)の両方に当てはまっています。
このような場合は、どちらで計算するか選択することができますが、遺族から申出が無い場合は短期要件で計算されます。
(法第58条)
社労士受験のあれこれ
R3-229
今日のテーマは、65歳以上で、老齢厚生年金と遺族厚生年金の両方の受給権がある場合の支給調整についてです。
では、どうぞ!
<H22年出題(修正)>
遺族厚生年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る。)は、その受給権者が老齢厚生年金の受給権を有するときは、当該老齢厚生年金の額に相当する部分の支給を停止する。
【解答】 〇
例えば、夫婦ともに厚生年金保険の被保険者期間がある場合で夫が死亡した場合、妻は自分自身の老齢厚生年金と夫の死亡による遺族厚生年金の受給権を取得することになります。
そのような場合、65歳以後は、自分自身の老齢厚生年金が優先して支給されます。
老齢厚生年金は全額支給され、遺族厚生年金は当該老齢厚生年金の額に相当する部分が支給停止になります。
なお、遺族厚生年金の額が老齢厚生年金よりも多い場合は、差額が遺族厚生年金として支給されます。
※夫婦を例にあげましたが、このルールは夫婦以外にも当てはまります。
社労士受験のあれこれ
R3-228
今日のテーマは、併給調整(65歳以上の場合)です。
では、どうぞ!
①<H23年出題>
障害厚生年金は、老齢基礎年金及び付加年金並びに当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される障害基礎年金と併給できるが、遺族基礎年金とは併給できない。
【解答】
①<H23年出題> ×
「障害厚生年金」と「該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される障害基礎年金」は併給できます。
しかし、「老齢基礎年金+付加年金」と「遺族基礎年金」は、障害厚生年金とは併給できません。(65歳未満でも65歳以上でも不可)
★障害厚生年金と基礎年金の組み合わせ
×老齢基礎年金(+付加年金)と障害厚生年金 → 併給不可
×遺族基礎年金と障害厚生年金 → 併給不可
〇障害基礎年金+障害厚生年金(同一支給事由の場合) → 併給できる
こちらもどうぞ!
②<H24年出題>
受給権者が65歳に達している場合、老齢厚生年金は、老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金と併給できるが、遺族基礎年金とは併給できない。
③<H24年出題>
受給権者が65歳に達している場合、遺族厚生年金は、老齢基礎年金及び付加年金又は障害基礎年金と併給できる。
④<H26年出題>
障害基礎年金の受給権者である男性が65歳で遺族厚生年金の受給権を得た場合、それぞれを併給することができる。
【解答】
②<H24年出題> 〇
★老齢厚生年金と基礎年金の組み合わせ
〇老齢基礎年金(+付加年金)と老齢厚生年金 → もちろん併給できる
〇障害基礎年金と老齢厚生年金 → 併給できる(65歳以上の場合)
×遺族基礎年金+老齢厚生年金 → 併給不可
★「障害基礎年金と老齢厚生年金」の組み合わせのイメージ
・例えば1級の障害基礎年金を受給しながら働き、その間、厚生年金保険の被保険者になっていた。
→ 65歳から①「老齢基礎年金+老齢厚生年金」、②「1級の障害基礎年金と老齢厚生年金」の2つから選択できる。
③<H24年出題> 〇
★遺族厚生年金と基礎年金の組み合わせ
〇老齢基礎年金(+付加年金)と遺族厚生年金 → 併給できる(65歳以上)
〇障害基礎年金と遺族厚生年金 → 併給できる(65歳以上)
④<H26年出題> 〇
〇障害基礎年金と遺族厚生年金 → 併給できる(65歳以上)
■■組み合わせのまとめ■■
老齢厚生年金 | 障害厚生年金 | 遺族厚生年金 | |
老齢基礎年金 | 〇 | × | 〇(65歳以上) |
障害基礎年金 | 〇(65歳以上) | 〇(支給事由が同一) | 〇(65歳以上) |
遺族基礎年金 | × | × | 〇(支給事由が同一) |
■■覚え方のポイント■■ → 「遺族厚生年金」は老齢厚生年金と同じように老後(65歳以上)の保障としての性格をもっている。
最後にこちらをどうぞ!
⑤<H28年出題>
障害等級3級の障害厚生年金の受給権者が65歳になり、老齢基礎年金の受給権を取得したとしても、それらは併給されないため、いずれか一方のみを受給することができるが、遺族厚生年金の受給権者が65歳になり、老齢基礎年金の受給権を取得したときは、それらの両方を受給することができる。
【解答】 〇
×老齢基礎年金と障害厚生年金 → 併給不可
〇老齢基礎年金と遺族厚生年金 → 併給できる(65歳以上)
★「老齢基礎年金と遺族厚生年金」の組み合わせのイメージ
・夫婦(夫 厚生年金保険の被保険者、妻 第3号被保険者のみ)で、夫が死亡した
→ 妻は、65歳から、妻自身の老齢基礎年金と夫の死亡による遺族厚生年金を併給できる。
社労士受験のあれこれ
R3-227
今日のテーマは、併給調整(65歳未満)です。
では、どうぞ!
①<H30年出題>
障害厚生年金及び当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づく障害基礎年金の受給権者が60歳に達して特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した場合、当該障害厚生年金と当該特別支給の老齢厚生年金は併給されないのでどちらか一方の選択になるが、いずれを選択しても当該障害基礎年金は併給される。
【解答】 ×
障害基礎年金と特別支給の老齢厚生年金は併給されません。
★原則は「一人一年金」です。
基礎年金と厚生年金は、支給事由が同一なら併給できます。(2階建て)
・老齢基礎年金+老齢厚生年金
・障害基礎年金+障害厚生年金
・遺族基礎年金+遺族厚生年金
問題文の場合は、①「障害基礎年金+障害厚生年金」と②「特別支給の老齢厚生年金」のどちらかを選択することになります。
この問題は、受給権者が「65歳未満」であることがポイントです。
では、この受給権者が65歳になるとどうなるでしょうか?
65歳以上になると、①「障害基礎年金+障害厚生年金」、②「老齢基礎年金+老齢厚生年金」、③「障害基礎年金+老齢厚生年金」と、選択肢が3つになります。
65歳以上は、「障害基礎年金」と「老齢厚生年金」が併給できることをおさえましょう。
(第38条、附則第17条)
こちらもどうぞ!
②<H12年出題>
遺族厚生年金の受給権者である妻が65歳未満の場合には、その者の老齢基礎年金及び付加年金は遺族厚生年金と併給されない。妻が65歳以上のときは、遺族厚生年金と老齢基礎年金は併給されるが、付加年金は併給されない。
【解答】 ×
問題文の後段が誤りで、妻が65歳以上のときは、付加年金も併給されます。
★前段(65歳未満)のポイント
・①「(繰上げ支給の)老齢基礎年金+付加年金」と、②「遺族厚生年金」はどちら選択(併給不可)
★後段(65歳以上)のポイント
「老齢基礎年金+付加年金」と「遺族厚生年金」は併給可能
(第38条、附則第17条)
『併給』のルールは、65歳未満と65歳以上で異なりますので、問題文を読む時に注意しましょう。
明日は、「65歳以上の併給ルール」をみていきます。
社労士受験のあれこれ
R3-203
年金の仕組みを勉強しましょう。
引き続き、テーマは「加給年金額」です。
今日は、在職老齢年金と加給年金額との関係です。
こちらの問題をどうぞ!
①<H24年出題>
60歳台前半の老齢厚生年金の基本月額が150,000円であり、その者の総報酬月額相当額が360,000円の場合の在職老齢年金の支給停止額は115,000円となる。なお、この基本月額には加給年金額が加算されている老齢厚生年金の場合、加給年金額を含めたものである。
②<H27年出題>
特別支給の老齢厚生年金(基本月額200,000円)を受給する被保険者について、標準報酬月額が240,000円であり、その月以前1年間の標準賞与額が600,000円であったとき、支給停止後の年金月額は105,000円(加給年金額を除く。)となる。
【解答】
①<H24年出題> ×
最後の「加給年金額を含めた」が誤り。「加給年金額は含めない」です。
ポイント! 基本月額に加給年金額は含まれない
「基本月額」の計算式は、「老齢厚生年金÷12」ですが、加給年金額は除いて計算します。
なお、支給停止額は115,000円で正しいです。
②<H27年出題> ×
ポイント! 在老で老齢厚生年金の一部が停止されても加給年金額は支給される
支給停止後の年金月額が誤りです。
この問題の場合、総報酬月額相当額は、240,000円+で600,000円÷12=290,000円です。
支給停止額は、(200,000円+290,000円-280,000円)÷2=105,000円
支給停止後の年金月額は、200,000円-105,000円=95,000円となります。
問題文の最後の(加給年金額を除く。)に注目してください。
問題文のように在職老齢年金の仕組みで老齢厚生年金の一部が支給停止になっていても、加給年金額は、別途全額支給されます。
★在職老齢年金の仕組みで老齢厚生年金が全額支給停止になった場合は、加給年金額も全額支給停止されます。
(厚生年金保険法平成6年附則第21条)
社労士受験のあれこれ
R3-202
年金の仕組みを勉強しましょう。
引き続き、テーマは「加給年金額」です。
今日は、加給年金額が加算されるタイミングです。
★加給年金額が加算されるタイミング★
・特別支給の老齢厚生年金の「定額部分」の支給開始年齢から
→ 定額部分がない場合は、65歳から
・65歳以後の老齢厚生年金の支給開始年齢から
※どちらも厚生年金保険の被保険者期間が原則として20年以上あることが条件
こちらの問題をどうぞ!
①<H30年出題>
被保険者である老齢厚生年金の受給権者は、その受給権を取得した当時、加給年金額の対象となる配偶者がいたが、老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240未満であったため加給年金額が加算されなかった。その後、被保険者資格を喪失した際に、被保険者期間の月数が240以上になり、当該240以上となるに至った当時、加給年金額の対象となる配偶者がいたとしても、当該老齢厚生年金の受給権を取得した当時における被保険者期間が240未満であるため、加給年金額が加算されることはない。
【解答】 ×
「加給年金額が加算されることはない。」は誤り。加算されます。
ポイント! 受給権取得後に240月以上になった場合でも加給年金額は加算される
問題文のように、老齢厚生年金の受給権を取得した当時は240月未満であったとしても、その後厚生年金保険の被保険者として保険料を納付し、資格喪失時に240月以上になった場合、加給年金額が加算されます。
もう一問どうぞ!
②<H15年出題>
老齢厚生年金の受給権を取得した当時は被保険者期間が240月未満であったために加給年金額が加算されていなかった受給権者について、その後退職した時点で改定が行われ240月以上となった場合には、老齢厚生年金の受給権を取得した当時の生計維持関係を確認し加給年金額が加算される。
【解答】 ×
ポイント! 生計維持関係は240月以上となったときで確認
生計維持関係は、老齢厚生年金の受給権を取得した当時ではなく、退職時改定で240月以上となったときに確認します。
明日に続きます。
社労士受験のあれこれ
R3-201
年金の仕組みを勉強しましょう。
引き続き、テーマは「加給年金額」です。
今日は、配偶者加給年金額にプラスされる特別加算についてです。
★特別加算は、配偶者が65歳に達して自身の老齢基礎年金を受給するときの年金水準との格差を是正するためのものです。
こちらの問題をどうぞ!
①<H28年出題>
昭和9年4月2日以後に生まれた老齢厚生年金の受給権者に支給される配偶者に係る加給年金額については、その配偶者の生年月日に応じた特別加算が行われる。
②<H19年出題>
昭和9年4月2日以後に生まれた老齢厚生年金の受給権者に係る配偶者の加給年金額に加算される特別加算額は、受給権者の生年月日に応じて33,200円に改定率を乗じて得た額から165,800円に改定率を乗じて得た額であって、受給権者の年齢が若いほど大きくなる。
【解答】
①<H28年出題> ×
ポイント! 特別加算は「受給権者」の生年月日で決まる
特別加算は、「その配偶者」の生年月日ではなく、老齢厚生年金の「受給権者」の生年月日に応じて行われます。
②<H19年出題> 〇
ポイント! 特別加算の額は、受給権者の「生年月日が若い」ほど大きい
では、こちらもどうぞ!
③<H15年出題>
老齢厚生年金の配偶者に係る加給年金額は、昭和9年4月2日以後に生まれた受給権者の生年月日に応じて特別加算額が加算されるが、この加算額は昭和18年4月2日以後の生年月日の者については同額である。
④<H21年出題>
昭和9年4月2日から昭和15年4月1日までに生まれた者に支給する老齢厚生年金の配偶者に係る加給年金額については、224,700円に改定率を乗じて得た額に、165,800円に改定率を乗じて得た額を加算した額とする。
【解答】
③<H15年出題> 〇
ポイント! 昭和9年と昭和18年は暗記しましょう
特別加算が加算されるのは、「昭和9年4月2日以後」生まれの受給権者
生年月日が若いほど特別加算額が大きくなりますが、「昭和18年4月2日以後」生まれからは同額となります。
④<H21年出題> ×
ポイント! 33,200円と165,800円は暗記しましょう
昭和9年4月2日から昭和15年4月1日まで生まれの配偶者加給年金額に加算される特別加算は、「33,200円」に改定率を乗じて得た額です。
一番高いのは、昭和18年4月2日以後生まれで、「165,800円」に改定率を乗じて得た額となります。
特別加算は、受給権者の生年月日に応じて5段階設定されています。一番小さい「33,200円」と一番大きい「165,800円」を覚えましょう。
「33」×5=「165」と見ると覚えやすいと思います。
明日に続きます。
明日は加給年金額が加算されるタイミングです。
社労士受験のあれこれ
R3-200
年金の仕組みを勉強しましょう。
引き続き、テーマは「加給年金額」です。
今日は、加給年金額の金額です。
こちらの問題をどうぞ!
①<H21年出題>
老齢厚生年金の加給年金額の加算の対象となる妻と子がある場合の加給年金額は、配偶者及び1人目の子については224,700円に、2人目以降の子については1人につき74,900円に、それぞれ改定率を乗じて得た額に端数処理をして得た額である。
②<H28年出題>
老齢厚生年金に加算される加給年金額は、厚生年金保険法第44条第2項に規定する所定の額に改定率を乗じて得た額とされるが、この計算において、5円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数が生じたときは、これを10円に切り上げるものとされている。
【解答】
①<H21年出題> ×
子の加給年金額の算定方法が誤りです。
1人目・2人目までは1人につき224,700円×改定率、3人目以降の子は1人につき74,900円×改定率です。
②<H28年出題> ×
所定の額×改定率の端数処理は、50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げます。(100円単位)
なお、令和3年度の改定率は、1.000です。
配偶者に対する加給年金額は224,700円×1.000=224,700円なので、今年度は端数処理は要りませんね。
では、もう一問どうぞ!
③<H18年出題>
老齢厚生年金及び障害厚生年金の受給権者の配偶者に対する加給年金額、老齢厚生年金の受給権者の子に対する加給年金額については、受給権者本人が68歳以降になっても、基礎年金の新規裁定者と同様の改定率によって改定する。
【解答】 〇
「改定率」の改定基準の問題です。
基礎年金の改定率は原則として以下の基準で、毎年見直しされています。
・新規裁定者(68歳年度前) → 名目手取り賃金変動率に応じて改定
・既裁定者(68歳年度以降) → 物価変動率に応じて改定
「加給年金額」の改定率は、「新規裁定者と同様の改定率」で改定されます。受給権者本人が68歳以降になっても変わりません。
明日に続きます。
明日は配偶者加給年金額にプラスされる特別加算です。
社労士受験のあれこれ
R3-199
年金の仕組みを勉強しましょう。
引き続き、テーマは「加給年金額」です。
昨日は、加給年金額の対象になる配偶者が240カ月以上の被保険者期間で計算される老齢厚生年金を受けることができるときは、その間、加給年金額が支給停止されることをお話ししました。
今日は、それ以外の支給停止理由についてです。
こちらの問題をどうぞ!
<H26年出題>
老齢厚生年金に加算される加給年金額の対象となる配偶者が障害等級3級の障害厚生年金を受給している場合であっても、加給年金額は支給停止されない。
【解答】 ×
加給年金額の対象の配偶者が障害厚生年金(3級でも)を受給している場合は、加給年金額は支給停止されます。
『加給年金額が支給停止されるのはどんなとき?』
加算の対象の配偶者が、以下の給付を受けることができるときは、その間、加給年金額の支給は停止されます。 ・老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る。) ・障害厚生年金、国民年金法による障害基礎年金その他の年金たる給付のうち、老齢若しくは退職又は障害を支給事由とする給付であって政令で定めるもの |
※障害厚生年金は3級も対象になります。
(厚生年金保険法第46条第6項、施行令第3条の7)
もう一問どうぞ!
<H19年出題>
加給年金額が加算されている老齢厚生年金について、その対象となる妻が繰上げ支給の老齢基礎年金又は障害基礎年金の支給を受けることができるときは、いずれの場合も、その間、妻について加算される額に相当する部分の支給は停止となる。
【解答】 ×
さきほどの『加給年金額が支給停止されるのはどんなとき?』を見てください。
加算の対象となる妻が、障害基礎年金の支給を受けることができるときは、その間、加給年金額は支給停止となります。
一方、加算の対象となる妻が、繰上げ支給の老齢基礎年金を受けていても、加給年金額の支給は停止されません。
妻が65歳前に繰上げ支給の老齢基礎年金を受けていても、妻が65歳になるまで、夫の老齢厚生年金に加給年金額が加算されます。
このテーマは明日も続きます。
社労士受験のあれこれ
R3-198
年金の仕組みを勉強しましょう。
引き続き、テーマは「加給年金額」です。
老齢厚生年金に加給年金額が加算される要件は、原則として「老齢厚生年金の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上」あることです。
昨日は、加給年金額の対象になる配偶者には、原則として65歳未満という年齢制限があることをお話ししました。
今日は、加給年金額の対象になる配偶者にも厚生年金保険の被保険者期間がある場合です。
こちらの問題をどうぞ!
<H28年出題>
加給年金額が加算された老齢厚生年金について、その加算の対象となる配偶者が老齢厚生年金の支給を受けることができるときは、その間、加給年金額の部分の支給が停止されるが、この支給停止は当該配偶者の老齢厚生年金の計算の基礎となる被保険者期間が300か月以上の場合に限られる。
【解答】 ×
ポイント! 原則として240か月以上
300か月以上が間違いです。
加給年金額の部分の支給が停止されるのは、加算対象の配偶者が受けることができる老齢厚生年金が、原則として240か月以上の被保険者期間で算定されている場合です。
(加算対象の配偶者が受けることができる老齢厚生年金の被保険者期間が240月未満(原則)の場合は、加給年金額は支給停止されません。)
(厚生年金保険法第46条第6項、施行令第3条の7)
では、もう一問どうぞ
<H22年出題>
老齢厚生年金の加給年金については、加算が行われている配偶者が、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240か月以上である老齢厚生年金(その全額が支給を停止されているものを除く。)の支給を受けることができるときは、その間、当該配偶者について加算する額に相当する部分の支給を停止する。
【解答】 〇
ポイント! その全額が支給を停止されているものを除く。
「その全額が支給を停止されているものを除く。」に注目してください。
例えば、夫婦ともに240か月以上の厚生年金保険の被保険者期間があり、夫婦ともに加給年金額が加算された老齢厚生年金の受給権者である場合は、お互いに加給年金額は支給停止されます。
しかし、例えば、妻の老齢厚生年金の全額が支給停止されている場合は、夫に支給される老齢厚生年金の妻の分の加給年金額は支給停止されません。
このテーマは明日も続きます。
社労士受験のあれこれ
R3-197
年金の仕組みを勉強しましょう。
昨日に引き続き、テーマは「加給年金額」です。
老齢厚生年金に加給年金額が加算される要件は、原則として「老齢厚生年金の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上」あることです。
加給年金額が加算されるのは、一定の条件を満たす配偶者、子がいる場合ですが、今日は加算の対象になる「配偶者」の条件を見ていきます。
こちらの問題をどうぞ!
<H26年出題>
老齢厚生年金に加算される加給年金額の対象となる配偶者(昭和24年4月2日生まれ)が受給資格期間を満たさないため老齢基礎年金を受給できない場合には、当該配偶者が65歳に達した日の属する月の翌月以後も引き続き加給年金額が加算される。
【解答】 ×
ポイント! 加給年金額の対象になる配偶者は65歳未満(原則)
「当該配偶者が65歳に達した日の属する月の翌月以後も引き続き加給年金額が加算される。」が間違い。
加給年金額の対象となる配偶者は、「65歳未満」の配偶者です。そのため、加給年金額は、「配偶者が65歳に達したとき」に加算されなくなります。(配偶者が65歳に達した日の属する月の翌月から加給年金額がなくなります。)
なぜなら、65歳からは、配偶者自身の老齢基礎年金を受給することができるからです。
★問題文のように、たとえ受給資格期間を満たさないため老齢基礎年金を受給できない場合であっても、65歳に達したときは加算されなくなります。
では、もう一問どうぞ
<H20年出題>
障害の程度が障害等級の1級又は2級に該当する者に支給される障害厚生年金の額に加算されている配偶者の加給年金額は、配偶者の生年月日にかかわらず、当該配偶者が65歳に達した日の属する月の翌月分から加算されなくなる。
【解答】 ×
ポイント! 大正15年4月1日以前生まれの配偶者には年齢制限なし
「配偶者の生年月日にかかわらず」が間違いです。
配偶者が「大正15年4月1日以前生まれ」の場合は、65歳以降も引き続き加給年金額の対象となります。「大正15年4月1日以前生まれ」は旧法の対象者ですので、自身の老齢基礎年金が支給されないからです。
※この問題は「障害厚生年金の加給年金額」の問題ですが、「老齢厚生年金の加給年金額」も同じです。配偶者が大正15年4月1日以前生まれの場合は、65歳以降も引き続き加給年金額の対象となります。
このテーマは明日に続きます!
社労士受験のあれこれ
R3-196
年金の仕組みを勉強しましょう。
今日のテーマは、「加給年金額」です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
令和3年1月22日、厚生労働省から令和3年度の年金額についてお知らせがありました。
令和3年度の新規裁定者の年金額として、
・ 国民年金 老齢基礎年金(満額)1人分 65,075 円
・ 厚生年金 夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額として220,496 円
という金額が例示されています。
厚生年金の給付水準は、平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9 万円)で 40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
片方が40年間厚生年金保険の被保険者で、もう片方が40年間国民年金(第1号被保険者か第3号被保険者)という夫婦がモデルになっています。
年金の勉強をするときは、そのようなモデルを意識してみましょう。
今日のテーマは「加給年金額」です。
例えば夫が40年間厚生年金保険の被保険者で、妻が40年間第3号被保険者だった場合、夫の年金は「老齢基礎年金+老齢厚生年金(+加給年金額)」、妻は「老齢基礎年金」となります。
といいましても、「加給年金額」が加算されるには条件があります。その条件を見ていきます。
こちらの問題をどうぞ!
<H28年出題>
第1号厚生年金被保険者期間を170か月、第2号厚生年金被保険者期間を130か月有する昭和25年10月2日生まれの男性が、老齢厚生年金の受給権を65歳となった平成27年10月1日に取得した。この場合、一定の要件を満たす配偶者がいれば、第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金に加給年金額が加算される。なお、この者は、障害等級3級以上の障害の状態になく、上記以外の被保険者期間を有しないものとする。
【解答】 〇
老齢厚生年金に加給年金額が加算される要件は、原則として「老齢厚生年金の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上」あることです。
問題文のように、第1号厚生年金被保険者期間と第2号厚生年金被保険者期間がある場合は、合算して240月以上あればOKです。
この場合、第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金は日本年金機構から、第2号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金は共済組合から支給されますが、「加給年金額」はどちらの老齢厚生年金に加算されるのかが2つ目の問題です。
この点については、
・最も早い日において受給権を取得した老齢厚生年金
・最も早い日において受給権を取得した老齢厚生年金が2以上あるときは、各号の厚生年金被保険者期間のうち最も長い一の期間に基づく老齢厚生年金
となっています。
問題文の場合は、両方とも同時に受給権を取得していますので、被保険者期間が長い「第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金」に加給年金額が加算されます。
(厚生年金保険法第44条、第78条の27、施行令第3条の13)
このテーマは明日に続きます!
社労士受験のあれこれ
R3-191
年金の歴史についてお話しています。
現在の公的年金には、「国民年金法」と「厚生年金保険法」がありますが、先にできたのは厚生年金保険法です。
社労士試験の科目の順番が、厚生年金保険法→国民年金法と厚生年金保険法の方が先なのはそのためです。
昭和16年に「労働者年金保険法」が制定されました(昭和17年施行)。対象は、工場で働く男性労働者でした。労働力を保全し強化することによって生産力を上げるという社会的な要請があったそうです。
その労働者年金保険法が「厚生年金保険法」という名称に改められたのが昭和19年。その際、事務系の労働者や女性も対象になりました。
そして、昭和29年に厚生年金保険法が全面改正されました。実際に養老年金の受給者が生ずることへの対応です。このときの改正で、老齢年金は定額部分と報酬比例部分の2階建てになりました。また、男子の支給開始年齢が55歳だったものが段階的に60歳に引き上げられることになりました。
(参考:平成18年版、平成23年版厚生労働白書など)
★旧法と新法
昭和61年4月1日より前の年金制度を旧法、それ以降を新法といいます。
新法の厚生年金保険は国民年金(基礎年金)の2階部分という位置づけです。
例えば、65歳からの年金は、1階に老齢基礎年金があって、2階に老齢厚生年金という形です。
しかし、60歳台前半の「特別支給の老齢厚生年金」は定額部分(1階)と報酬比例部分(2階)で、厚生年金だけで2階建てになっています。これは国民年金と厚生年金保険が別個に運営されていた旧法の形を引き継いでいます。
旧法の厚生年金保険の老齢年金の支給開始年齢は60歳で定額部分と報酬比例部分の2階建てになっていました。新法になったときに国民年金の支給開始年齢に合わせて65歳開始になりましたが、いきなり60歳から65歳に引き上げることはできません。
ですので、まずは定額部分の開始年齢を1歳ずつ引き上げ、その次に報酬比例部分の支給開始年齢を引き上げることで、段階的に60歳代前半の老齢厚生年金をなくしていく方法をとっています。旧法の形を徐々になくしていくイメージで考えてみてください。
社労士受験のあれこれ
R3-189
各法律の第1条をチェックしています。
各法律の第1条を読むと、その法律の目的(目指すところ)や理念が見えてきます。
今日は厚生年金保険法です。
条文をチェックしましょう!
(第1条 目的)
厚生年金保険法は、労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその< A >の生活の安定と< B >に寄与することを目的とする。
【解答】
A 遺族
B 福祉の向上
では、こちらもどうぞ
<H30年出題>
厚生年金保険制度は、老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的としている。
【解答】×
問題文は国民年金法の目的条文です。
社労士受験のあれこれ
R3-181
今日は年金です!
今日は、昨日の続きで「第3種被保険者」がテーマです。
まず、「第3種被保険者」の定義からどうぞ!
<厚年H18年出題(改)>
第3種被保険者とは、鉱業法に規定する事業場で常時坑内作業に従事する厚生年金保険法による被保険者(第1号厚生年金被保険者に限る。)又は船員法に規定する船員として厚生年金保険法に規定する船舶に使用される同法による被保険者(第1号厚生年金被保険者に限る。)であって、第4種被保険者以外のものをいう。
【解答】 ×
第3種被保険者は、坑内員(鉱業法に規定する事業場で常時坑内作業に従事する被保険者)又は船員(船員法に規定する船員として船舶に使用される被保険者)のことで、 「第4種被保険者及び船員任意継続被保険者以外」のものをいいます。
問題文は、船員任意継続被保険者以外が抜けているので誤りです。
(参照:厚生年金保険法昭和60年附則第5条12号)
次は、被保険者期間の計算です
<H25年選択>
厚生年金保険法に規定する第3種被保険者の被保険者期間については、昭和61年4月1日から< A >4月1日前までの被保険者期間について、当該第3種被保険者であった期間に< B >を乗じて得た期間をもって厚生年金保険の被保険者期間とする。
【解答】
A 平成3年
B 5分の6
昭和61年3月以前は「3分の4」倍、昭和61年4月から平成3年3月までは「5分の6」倍です。
(参照:厚生年金保険法昭和60年附則第47条第4項)
こちらもどうぞ!
①<H20年出題>
昭和21年4月1日以前に生まれた男子で、3分の4倍等される前の実際の船員たる被保険者期間が12年(すべて昭和61年4月1日前の期間とする。)あり、かつ、第1種被保険者期間が9年ある場合、この者は55歳から老齢厚生年金を受けることはできない。なお、他には被保険者期間がないものとする。
②<R1年出題>
船員たる被保険者であった期間が15年以上あり、特別支給の老齢厚生年金を受給することができる者であって、その者が昭和35年4月2日生まれである場合には、60歳から定額部分と報酬比例部分を受給することができる。
【解答】
①<H20年出題> 〇
昭和21年4月1日以前生まれで、「坑内員たる被保険者であった期間と船員たる被保険者であった期間とを合算した期間が15年以上」ある場合、55歳から特別支給の老齢厚生年金(定額部分+報酬比例部分)が支給される特例があります。
この期間は、3分の4倍等しない「実際の期間」が15年以上あることが条件です。問題文の場合は、「3分の4倍等される前の実際の船員たる被保険者期間が12年」しかありませんので、55歳から受けることはできません。
なお、この特例は、昭和21年4月2日以降生まれから、段階的に支給開始の年齢が引き上げられ、 例えば、昭和41年4月1日生まれの場合は、64歳からとなります。
(参照:厚生年金保険法平成6年法附則第15条)
②<R1年出題> ×
問題文の条件の場合、60歳からではなく、62歳から定額部分と報酬比例部分を受給することができます。
(参照:厚生年金保険法附則第8条の2第3項)
★3分の4倍、又は5分の6倍された被保険者期間は、老齢基礎年金の額の計算には反映しませんが、老齢厚生年金の額の計算には反映します。
社労士受験のあれこれ
R3-178
今日は厚生年金保険法です!
令和2年度の問題をどうぞ!
<問2-選択>
厚生年金保険法第44条の3第1項の規定によると、老齢厚生年金の受給権を有する者であってその< A >前に当該老齢厚生年金を請求していなかったものは、実施機関に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができるとされている。ただし、その者が当該老齢厚生年金の受給権を取得したときに、他の年金たる給付(他の年金たる保険給付又は国民年金法による年金たる給付(< B >を除く。)をいう。)の受給権者であったとき、又は当該老齢厚生年金の< A >までの間において他の年金たる給付の受給権者となったときは、この限りでないとされている。
【解答】
A 受給権を取得した日から起算して1年を経過した日
B 老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金
繰下げのポイント!
① 受給権を取得した日から起算して1年を経過した日前に当該老齢厚生年金を請求していないこと
→ 繰下げの申し出は、老齢厚生年金の受給権取得から1年以上待たなければならない。
② 以下の場合は繰下げの申し出はできない
・老齢厚生年金の受給権を取得したときに、他の年金たる給付の受給権者だった
・老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して1年を経過した日までの間に他の年金たる給付の受給権者となった
※なぜなら、他の年金たる給付を受給しながら、老齢厚生年金を繰下げて受給額を増やすのは公平性に欠けるから。
※なお、「他の年金たる給付」とは、他の年金たる保険給付又は国民年金法による年金たる給付のことです。ただし、国民年金法の年金たる給付から、老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金は除かれます。(老齢基礎年金及び付加年金は、老齢厚生年金と同じく「老齢」の年金、障害基礎年金は65歳以降老齢厚生年金と併給できるので)
※まとめると、老齢厚生年金の受給権を取得したとき、またはその日から1年を経過した日までの間に、「障害厚生年金及び遺族厚生年金」、「遺族基礎年金」の受給権者となっていないこと。
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①<H19年出題>
60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者であった者は、老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行うことはできない。
②<H28年出題>
障害基礎年金の受給権者が65歳になり老齢厚生年金の受給権を取得したものの、その受給権を取得した日から起算して1年を経過した日前に当該老齢厚生年金を請求していなかった場合、その者は、老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる。なお、その者は障害基礎年金、老齢基礎年金及び老齢厚生年金以外の年金の受給権者となったことがないものとする。
【解答】
①<H19年出題> ×
60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者であった者も、老齢厚生年金の支給繰下げの申出ができます。
②<H28年出題> 〇
老齢厚生年金の受給権を取得したときに、障害基礎年金の受給権者であったとしても、繰下げの申し出をすることができます。(ちなみに、老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して1年を経過した日までの間に障害基礎年金の受給権者になった場合でも繰下げの申し出ができます)
社労士受験のあれこれ
R3-176
まずは国民年金法です!
令和2年度の問題をどうぞ!(国年)
<問2-選択・国年>
国民年金法第4条では、「この法律による年金の額は、< A >その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、速やかに< B >の措置が講ぜられなければならない。」と規定している。
【解答】
A 国民の生活水準
B 改定
国民年金は、老齢、障害、死亡を保障するための制度です。
「国民の生活水準」に著しい変動があれば、速やかに年金額の改定が行われます。
(国民年金法第4条)
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<厚生年金保険法 年金額の改定>
厚生年金保険法による年金たる保険給付の額は、国民の生活水準、< C >その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、速やかに改定の措置が講ぜられなければならない。
【解答】
C 賃金
厚生年金保険法の場合は、「賃金」という用語が入るのが特徴です。厚生年金保険は被用者のための年金制度だからです。
(厚生年金保険法第2条の2)
・国民年金 → 国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合
・厚生年金保険 → 国民の生活水準、賃金その他の諸事情に著しい変動が生じた場合
こちらの問題もどうぞ!(厚生年金保険)
<H30年出題・厚年>
厚生年金保険法に基づく保険料率は、国民の生活水準、賃金その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、速やかに改定の措置が講ぜられなければならない。
【解答】 ×
冒頭の「厚生年金保険法に基づく保険料率」が誤りです。この条文は、保険料率ではなく、「年金たる保険給付」の改定のルールです。
社労士受験のあれこれ
R3-160
今日は厚年法です!
令和2年度の問題をどうぞ!
<問9-D>
特定適用事業所以外の適用事業所においては、1週間の所定労働時間及び1か月間の所定労働日数が、同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間及び1か月間の所定労働日数の4分の3以上(以下「4分の3基準」という。)である者を被保険者として取り扱うこととされているが、雇用契約書における所定労働時間又は所定労働日数と実際の労働時間又は労働日数が乖離していることが常態化しているとき、4分の3基準を満たさないものの、事業主等に対する事情の聴取やタイムカード等の書類の確認を行った結果、実際の労働時間又は労働日数が直近6か月において4分の3基準を満たしている場合で、今後も同様の状態が続くことが見込まれるときは、4分の3基準を満たしているものとして取り扱うことされている。
【解答】 ×
直近6か月ではなく、直近2カ月です。
~~この問題でおさえておきたいところ~~
※短時間労働者の厚生年金保険の加入要件
■1週間の所定労働時間及び1か月間の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上
→ 被保険者となる
※1週間の所定労働時間及び1か月間の所定労働日数とは?
→ 就業規則、雇用契約書等により、その者が通常の週及び月に勤務すべきこととされている時間及び日数のこと。
※雇用契約書における所定労働時間又は所定労働日数と実際の労働時間又は労働日数が乖離していることが常態化しているとき
→ 4分の3基準を満たさないものの、事業主等に対する事情の聴取やタイムカード等の書類の確認を行った → 実際の労働時間又は労働日数が直近2か月で4分の3基準を満たしている → 今後も同様の状態が続くことが見込まれる → 4分の3基準を満たしているものとして取り扱う
(参照:H28.5.13 保保発0513第1号/年管管発0513第1号/)
では、こちらの問題をどうぞ
<H29年出題>
1週間の所定労働時間及び1か月間の所定労働日数が、ともに同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3以上であっても大学の学生であれば、厚生年金保険の被保険者とならない。
【解答】 ×
「通常の労働者の4分の3以上」の要件を満たしている場合は、学生でも厚生年金保険の被保険者となります。
※ 通常の労働者の4分の3未満の場合は、「特定適用事業所に使用」「20時間以上」「1年以上使用見込」「88,000円以上」など他の適用基準を満たしていても、「学生でないこと」という要件があるので、学生は適用除外です。
社労士受験のあれこれ
解説動画です!
R3-159
今日は厚年法です!
令和2年度の問題をどうぞ!
<問7-ア>
特定適用事業所に使用される者は、その1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満であって、厚生年金保険法の規定により算定した報酬の月額が88,000円未満である場合は、厚生年金保険の被保険者とならない。
<問7-イ>
特定適用事業所に使用される者は、その1か月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1か月間の所定労働日数の4分の3未満であって、当該事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれない場合は、厚生年金保険の被保険者とならない。
【解答】
※短時間労働者の厚生年金保険の加入要件
■1週間の所定労働時間及び1か月間の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上
→ 被保険者となる
■1週間の所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満、又は1か月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満
→ 原則として適用除外
※ただし、4分の3未満でも一定の要件を満たせば、厚生年金保険の被保険者となる
<要件>
①週の所定労働時間が20時間以上
②継続して1年以上使用されることが見込まれる
③厚生年金保険法の規定により算定した報酬の月額が88,000円以上
④学生でない
⑤特定適用事業所に使用される
※「特定適用事業所」とは、事業主が同一である1または2以上の適用事業所で、特定労働者の総数が常時500人を超えるものの各適用事業所のこと
<問7-ア> 〇
報酬の月額が88,000円未満の場合は、厚生年金保険の被保険者となりません。
<問7-イ> 〇
当該事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれない場合は、厚生年金保険の被保険者となりません。
(厚生年金保険法第12条5号)
では、こちらの問題をどうぞ
<問7-エ>
特定適用事業所に該当しなくなった適用事業所に使用される特定4分の3未満短時間労働者は、事業主が実施機関に所定の申出をしない限り、厚生年金保険の被保険者とならない。
【解答】
<問7-エ> ×
常時500人を超えなくなった場合でも、引き続き特定適用事業所とみなすこととされているので、そのまま厚生年金保険の被保険者となります。
(厚生年金保険法附則(平成24年)第17条)
最後にもう一問どうぞ!
<問7-ウ>
特定適用事業所でない適用事業所に使用される特定4分の3未満短時間労働者は、事業主が実施機関に所定の申出をしない限り、厚生年金保険の被保険者とならない。
【解答】
<問7-ウ> 〇
特定適用事業所でない適用事業所に使用される特定4分の3未満短時間労働者
↓
厚生年金保険の被保険者とならない。
※ただし、特定適用事業所以外の適用事業所の事業主は、所定の労働組合等の同意を得て、「任意特定適用事業所」の申し出を行うことができます。
(厚生年金保険法附則(平成24年)第17条)
社労士受験のあれこれ
解説動画です。
R3-134
令和2年度の問題をどうぞ!
<問3-イ>
特定被保険者が死亡した日から起算して1か月以内に被扶養配偶者(当該死亡前に当該特定被保険者と3号分割標準報酬改定請求の事由である離婚又は婚姻の取消しその他厚生年金保険法施行令第3条の12の10に規定する厚生労働省令で定めるこれらに準ずるものをした被扶養配偶者に限る。)から3号分割標準報酬改定請求があったときは、当該特定被保険者が死亡した日に3号分割標準報酬改定請求があったものとみなす。
【解答】 ×
「当該特定被保険者が『死亡した日』に3号分割標準報酬改定請求があったものとみなす。」の部分、死亡した日ではなく、『死亡した日の前日』です。(死亡した日には請求できないので、前日)
■ 特定被保険者が死亡したとしても、死亡後1か月以内なら、3号分割改定を請求できます。
※「特定被保険者」とは、厚生年金保険の被保険者と被保険者であった者のこと。
※「被扶養配偶者」とは、特定被保険者の配偶者として国民年金法の第3号被保険者だった者のこと。
こちらの問題もどうぞ!
<H28年出題>
離婚をし、その1年後に、特定被保険者が死亡した場合、その死亡の日から起算して1か月以内に被扶養配偶者(当該特定被保険者の配偶者として国民年金法に規定する第3号被保険者であった者)から3号分割標準報酬改定請求があったときは、当該特定被保険者が死亡した日の前日に当該請求があったものとみなされる。
【解答】 〇
令和2年度と同じ趣旨の問題です。
3号分割について、こちらもどうぞ!
<H26年出題>
いわゆる「離婚時の第3号被保険者期間についての厚生年金保険の分割制度」に関して、分割の対象となる特定期間とは、特定被保険者が被保険者であった期間であり、かつ、その被扶養配偶者が当該特定被保険者の配偶者として国民年金の第3号被保険者であった期間をいい、平成20年4月1日前の期間を含まない。
<H26年出題>
いわゆる「離婚時の第3号被保険者期間についての厚生年金保険の分割制度」に関して、いわゆる事実婚関係であった期間については、被扶養配偶者が国民年金の第3号被保険者となっていた場合には分割の対象となる。
<H26年出題>
いわゆる「離婚時の第3号被保険者期間についての厚生年金保険の分割制度」に関して、原則として、離婚が成立した日等の翌日から起算して2年を経過したときは、被扶養配偶者からの特定期間に係る被保険者期間の標準報酬の改定及び決定の請求を行うことができない。
【解答】
<H26年出題> 〇
■ 特定期間 → 特定被保険者が厚生年金保険の被保険者で、かつ、その被扶養配偶者が国民年金の第3号被保険者であった期間のこと。
ただし、この制度が施行された平成20年4月1日以降が対象です。それより前の期間は特定期間に含まれません。
<H26年出題> 〇
事実婚関係だった期間については、被扶養配偶者が国民年金の第3号被保険者だった場合は分割の対象になります。
<H26年出題> 〇
請求期限は、原則として、離婚等をした日の翌日から起算して2年です。
社労士受験のあれこれ
R3-128
令和2年度の問題をどうぞ!
<厚年 問9-A>
被保険者である老齢厚生年金の受給者(昭和25年7月1日生まれ)が70歳になり当該被保険者の資格を喪失した場合における老齢厚生年金は、当該被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間も老齢厚生年金の額の計算の基礎なり、令和2年8月分から年金の額が改定される。
【解答】 ×
問題文の場合
・資格喪失日 → 令和2年6月30日(70歳に達した日=誕生日の前日)
・被保険者期間 → 令和2年5月まで(喪失した月の前月まで)
<退職時改定>令和2年5月までの期間も入れて、老齢厚生年金の額を再計算する。
・年金額の改定 → 資格を喪失した日から起算して1月を経過した日の属する月から
資格喪失日は6月30日。「資格を喪失した日から起算して1月を経過した日の属する月」は令和2年7月。老齢厚生年金は、令和2年8月からではなく、「令和2年7月」から改定されます。
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<H26年出題>
老齢厚生年金の受給権を取得した月に被保険者であった場合、その受給権を取得した時点の年金額の計算の基礎には、受給権を取得した月を被保険者期間として含めることとなる。
<H28年出題>
在職老齢年金の受給権者が平成28年1月31日付けで退職し同年2月1日に被保険者資格を喪失し、かつ被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過した場合、当該被保険者資格を喪失した月前における被保険者であった期間も老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、平成28年3月から年金額が改定される。
【解答】
<H26年出題> ×
老齢厚生年金の額の計算のルールは、「受給権者がその権利を取得した月以後における被保険者であった期間は、その計算の基礎としない」とされています。
受給権を取得した時点の年金額には、受給権を取得した月は含みません。
※ ちなみに・・・
厚生年金保険法で、「被保険者である」というのは、「在職中」という意味。在職中とはすなわち厚生年金保険料を負担しているという意味です。
問題文の「老齢厚生年金の受給権を取得した月に被保険者であった」とは、老齢厚生年金の受有権を取得した月に在職中だった(=厚生年金保険の保険料を負担していた)という意味です。
<H28年出題> ×
平成28年3月からではなく、平成28年2月から年金額が改定されます。
<退職時改定のルール>
・ 被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月経過した
↓
・ 被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とする
↓
・ 資格を喪失した日から起算して1か月を経過した日の属する月から、年金の額を改定する。
※起算日に注意しましょう!
「その事業所又は船舶に使用されなくなったとき。(退職)」は、その翌日に資格を喪失しますが、退職時改定による年金額の改定は、「退職日」から起算して1か月を経過した日の属する月からとなります。
問題文の場合、平成28年1月31日付退職、同年2月1日に被保険者資格を喪失ですので、退職時改定の起算日は退職日の平成28年1月31日となります。
年金額の改定は、資格喪失日(退職の場合は退職日)から起算して1か月を経過した日の属する月からなので、平成28年2月から年金額が改定されることになります。
社労士受験のあれこれ
R3-125
令和2年の問題をどうぞ!
<厚年 問3-ウ >
厚生労働大臣は、滞納処分等その他の処分に係る納付義務者が滞納処分等その他の処分の執行を免れる目的でその財産について隠ぺいしているおそれがあることその他の政令で定める事情があるため、保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金の効果的な徴収を行う上で必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、財務大臣に、当該納付義務者に関する情報その他必要な情報を提供するとともに、当該納付義務者に係る滞納処分等その他の処分の権限の全部又は一部を委任することができる。
<厚年 問3-エ >
日本年金機構は、滞納処分等を行う場合には、あらかじめ、厚生労働大臣の認可を受けるとともに、厚生年金保険法第100条の7第1項に規定する滞納処分等実施規程に従い、徴収職員に行わせなければならない。
【解答】
<厚年 問3-ウ > 〇
厚生労働大臣は、督促を受けた者が指定の期限までに保険料等を納付しないときは、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村に対して、その処分を請求することができる
↓
滞納処分等その他の処分に係る納付義務者が滞納処分等その他の処分の執行を免れる目的でその財産について隠ぺいしているおそれがあること等の事情があるため、保険料等の効果的な徴収を行う上で必要があると認めるとき
↓
財務大臣に、当該納付義務者に関する情報その他必要な情報を提供するとともに、当該納付義務者に係る滞納処分等その他の処分の権限の全部又は一部を委任することができる。
※納付義務者が滞納処分を免れるため財産を隠ぺいしているおそれがあるようなときは、財務大臣(国税のトップ)に、必要な情報を提供したうえで、滞納処分等の権限の全部又は一部を委任できる。
<厚年 問3-エ > 〇
国税滞納処分の例による処分の厚生労働大臣の権限に係る事務は、日本年金機構に委任されている。
↓
<日本年金機構が滞納処分等を行う場合>
・あらかじめ、厚生労働大臣の認可を受ける
・「滞納処分等実施規程」に従い徴収職員に行わせる
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<厚年 H30年出題>
厚生年金保険法第86条の規定によると、厚生労働大臣は、保険料の納付義務者が保険料を滞納したため期限を指定して督促したにもかかわらずその期限までに保険料を納付しないときは、納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法第252条の19第1項の指定都市にあっては、区又は総合区とする。以下同じ。)に対して、その処分を請求することができ、当該処分の請求を受けた市町村が市町村税の例によってこれを処分したときは、厚生労働大臣は、徴収金の100分の4に相当する額を当該市町村に交付しなければならないとされている。
【解答】 〇
厚生労働大臣は、市町村に、その処分を請求することができる
↓
処分の請求を受けた市町村が市町村税の例によって処分した
↓
厚生労働大臣は、徴収金の100の4に相当する額を当該市町村に交付する
社労士受験のあれこれ
R3-124
令和2年の問題をどうぞ!
<厚年 問3-ア >
厚生年金保険の保険料は、被保険者の資格を取得した月についてはその期間が1日でもあれば徴収されるが、資格を喪失した月については徴収されない。よって月末日で退職したときは退職した日が属する月の保険料は徴収されない。
【解答】 ×
月末日で退職したとき →退職した日が属する月の保険料は徴収されます。
例えば、退職日が12月31日の場合、翌日の1月1日に資格を喪失します。
資格を喪失した月(1月)は保険料は徴収されませんが、退職月(12月)は保険料が徴収されます。
もし、退職日が12月25日なら、翌日の12月26日に資格を喪失します。
この場合、資格を喪失した月が12月ですので、保険料が徴収されるのは11月まで。12月は保険料は徴収されません。
こちらもどうぞ!
<厚年 H21年出題>
厚生年金保険法で定める「被保険者期間」とは、被保険者の資格を取得した日から被保険者の資格を喪失した日の前日までの日単位で計算される期間である。
<厚年 H20年出題>
平成20年4月30日に適用事業所に使用され、平成20年5月31日に当該適用事業所に使用されなくなった厚生年金保険の被保険者(70歳未満であり、退職後は国民年金の第1号被保険者となるものとする。)の保険料は、4月分と5月分の2か月分が徴収される。
<厚年 H28年出題>
適用事業所に平成28年3月1日に採用され、第1号厚生年金被保険者の資格を取得した者が同年3月20日付けで退職し、その翌日に被保険者資格を喪失し国民年金の第1号被保険者となった。その後、この者は同年4月1日に再度第1号厚生年金被保険者となった。この場合、同年3月分については、厚生年金保険における被保険者期間に算入されない。
【解答】
<厚年 H21年出題> ×
問題文のように日単位となるのは「被保険者であった期間」です。
「被保険者期間」は、「月単位」で計算します。「資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月」までとなります。
<厚年 H20年出題> 〇
被保険者期間は、「資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月」まで。
問題文の場合は、4月(4月30日)に資格取得・6月(6月1日)に資格喪失ですので、被保険者期間は4月、5月の2か月となります。保険料も、4月分と5月分の2か月分が徴収されます。
<厚年 H28年出題> 〇
同月得喪の問題です。
(原則)
被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月は1か月の被保険者期間としてカウントします。
(例外)
資格を取得した月に資格を喪失し、その月に更に厚生年金保険の被保険者又は国民年金の被保険者(第2号被保険者以外)の資格を取得したときは、先に喪失した厚生年金保険は被保険者期間としてカウントしません。
問題文の場合、平成28年3月1日に資格取得、同月20日退職・翌21日に資格喪失ですので、厚生年金保険は同月得喪。引き続き同月21日に国民年金の第1号被保険者となっています。
このパターンは上記(例外)に当たりますので、3月は厚生年金保険の被保険者期間には算入されません。(厚生年金保険の保険料も徴収されません。)
社労士受験のあれこれ
R3-123
令和2年の問題をどうぞ!
<厚年 問1-B >
年金たる保険給付は、厚生年金保険法の他の規定又は同法以外の法令の規定によりその額の一部につき支給を停止されている場合は、その受給権者の申出により、停止されていない部分の額の支給を停止することとされている。
【解答】 〇
受給権者の意思で、年金の支払いを辞退するための規定です。
辞退できるのは「全額」です。(一部だけの辞退はできない)
問題文にもあるように、年金の一部が既に支給停止されている場合は、残りの部分(支給停止されていない部分)を辞退することになります。
こちらもどうぞ!
<厚年 H19年出題>
年金たる保険給付(厚生年金保険法の他の規定又は他の法令の規定によりその全額につき支給を停止されている年金たる保険給付を除く。)は、その受給権者の申出により、その全額又は一部の支給を停止するものとし、すでに厚生年金保険法の他の規定又は他の法令の規定によりその額の一部につき支給を停止されているときは、停止されていない部分の全額又は一部の支給を停止する。
<国年 H24年出題>
受給権者の申出による年金の支給停止は、いつでも撤回することができ、過去に遡って給付を受けることができる。
【解答】
<厚年 H19年出題> ×
辞退できるのは「全額」についてです。一部だけ辞退は不可。
受給権者の申出により「その全額又は一部の支給を停止」は間違いで、「全額」が支給停止されます。同様に、停止されていない部分の「全額又は一部の支給を停止」も間違いで、こちらも残りの部分が「全額」支給停止されます。
<国年 H24年出題> ×
受給権者の申出による年金の支給停止は、いつでも撤回することができますが、「過去に遡って」が間違いで、「将来に向かって」撤回することができます。
・支給停止 → 申出をした日の属する月の翌月分から支給停止
・支給停止の解除 → 申出をした日の属する月の翌月分から支給停止の解除
社労士受験のあれこれ
R3-122
令和2年の問題をどうぞ!
<厚年 問5-C >
第1号厚生年金被保険者期間と第2号厚生年金被保険者期間を有する者について、第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金と、第2号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金は併給される。
【解答】 〇
厚生年金保険の被保険者は、第1号から第4号まで4つの種別に分けられています。
例えば、民間企業の会社員と国家公務員の経験がある人は、問題文のように、第1号厚生年金被保険者期間と第2号厚生年金被保険者期間を有することになります。
このような場合
・老齢厚生年金の受給権の有無 → それぞれの被保険者期間ごとにみる
・老齢厚生年金の年金額 → それぞれの被保険者期間ごとに計算する
1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金と、第2号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金は、それぞれで計算し、併給されます。
こちらもどうぞ!
<H29年出題>
2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の老齢厚生年金の額の計算においては、その者の2以上の被保険者の種別に係る期間を合算して1の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして平均標準報酬額を算出する。
<H28年出題>
第1号厚生年金被保険者期間を170か月、第2号厚生年金被保険者期間を130か月有する昭和25年10月2日生まれの男性が、老齢厚生年金の受給権を65歳となった平成27年10月1日に取得した。この場合、一定の要件を満たす配偶者がいれば、第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金に加給年金額が加算される。なお、この者は、障害等級3級以上の障害の状態になく、上記以外の被保険者期間を有しないものとする。
【解答】
<H29年出題> ×
「2以上の被保険者の種別に係る期間を合算して・・・平均標準報酬額を算出する。」が間違いです。
年金額は、それぞれの種別の被保険者期間ごとに計算します。
<H28年出題> 〇
加給年金額が加算されるには、原則として240月以上の被保険者期間が必要です。この場合は、2以上の種別の被保険者期間を合算します。問題文の場合は、第1号厚生年金被保険者期間170か月、第2号厚生年金被保険者期間130か月で合計300月ありますので、加給年金額が加算されます。
なお、加算については、それぞれの厚生年金被保険者期間のうち一の期間の老齢厚生年金の額に加算されます。
社労士受験のあれこれ
R3-119
令和2年の問題をどうぞ!
<国年 問9‐D>
昭和60年4月から平成6年3月までの9年間(108か月間)厚生年金保険の第3種被保険者としての期間を有しており、この期間以外に被保険者期間を有していない65歳の者(昭和30年4月2日生まれ)は、老齢基礎年金の受給資格を満たしていないため、任意加入の申出をすることにより、65歳以上の特例による任意加入被保険者になることができる。なお、この者は、日本国籍を有し、日本国内に住所を有しているものとする。
【解答】 ×
老齢基礎年金の受給資格を満たしているので、65歳以上の特例の任意加入被保険者になることはできません。
★ 厚生年金保険の第3種被保険者とは、「坑内員・船員」である被保険者のことです。過酷な労働だったため、受給資格期間を計算する際の特例が設けられています。
昭和61年3月まで | 平成3年3月まで | 平成3年4月以降 |
3分の4倍 | 5分の6倍 | 実期間 |
問題文の場合、平成3年3月までの実期間が72月、平成3年4月以降が36月。72月は5分の6倍で計算しますので、老齢基礎年金の受給資格(10年)を満たします。
そのため、65歳以上の特例による任意加入はできません。
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<厚年 H25年選択>
厚生年金保険法に規定する第3種被保険者の被保険者期間については、昭和61年4月1日から< A >4月1日前までの被保険者期間について、当該第3種被保険者であった期間に< B >を乗じて得た期間をもって厚生年金保険の被保険者期間とする。
【解答】
A 平成3年
B 5分の6
社労士受験のあれこれ
R3-118
令和2年の問題をどうぞ!
<厚年 問1‐E>
老齢厚生年金の加給年金額の加算の対象となる妻と子がある場合の加給年金額は、配偶者及び2人目までの子についてはそれぞれ224,700円に、3人目以降の子については1人につき74,900円に、それぞれ所定の改定率を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)である。
【解答】 〇
老齢厚生年金の加給年金額の対象は、「配偶者」「子」です。
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<H29年出題>
障害等級1級又は2級の障害厚生年金の額は、受給権者によって生計を維持している子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満で障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子に限る。)があるときは、当該子に係る加給年金額が加算された額とする。
<R1年出題>
被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、その妻の有する遺族厚生年金に当該子の加給年金額が加算される。
【解答】
<H29年出題> ×
1級又は2級の障害厚生年金の加給年金額の対象は「配偶者」のみで、「子」は対象になっていません。
※「子」は、障害基礎年金の方で加算対象となります。
<R1年出題> ×
遺族厚生年金には加給年金額はありません。
【厚生年金加給年金額の対象者】
配偶者 | 子 | |
老齢厚生年金(原則240月以上) | 〇 | 〇 |
障害厚生年金(1級・2級) | 〇 | なし |
遺族厚生年金 | なし | なし |
社労士受験のあれこれ
R3-117
令和2年の問題をどうぞ!
<厚年 問10‐ア>
被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したときは、死亡した者が遺族厚生年金の保険料納付要件を満たしていれば、死亡の当時、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。
【解答】 〇
★この問題のポイント!
死亡した者が保険料納付要件を満たしていることが条件であること。
<保険料納付要件>
・ 死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があるときは、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上あること
・ 死亡日が令和8年4月1日前の場合は、死亡日の属する月の前々月までの1年間に保険料滞納期間がないこと(死亡日が65歳未満であること)
ちなみに、遺族厚生年金には死亡した人の要件が4つありますが、保険料納付要件が必要なのはその中の2つです。(後で書きます。)
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<R1年出題>
障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡したときは、遺族厚生年金の支給要件について、死亡した当該受給権者の保険料納付要件が問われることはない。
<H23年出題>
障害等級3級に該当する障害厚生年金の受給権者である被保険者が死亡したときは、保険料納付要件を満たしていない場合であっても、その者の遺族に遺族厚生年金を支給する。
【解答】
<R1年出題> 〇
1級又は2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したときは、死亡した者の保険料納付要件は問われません。(障害厚生年金を受給する際に、既に保険料納付要件を満たしているので)
<H23年出題> ×
遺族厚生年金の死亡した者の要件に、「3級の障害厚生年金の受給権者」は入っていません。1級・2級とは違います。
3級の障害厚生年金の受給権者だからという理由で、保険料納付要件が問われない、ということはありません。
では、こちらで選択の練習をどうぞ!
<遺族厚生年金 死亡した者の要件>
① 被保険者(失踪の宣告を受けた被保険者であった者であって、行方不明となった当時被保険者であったものを含む。)が、死亡したとき。
② 被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に < A >がある傷病により当該< A >から起算して< B >を経過する日前に死亡したとき。
③ 障害等級の< C >に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、死亡したとき。
④ 老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が< D >以上である者に限る。)又は保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が< D >以上である者が、死亡したとき。
【解答】
A 初診日
B 5年
C 1級又は2級
D 25年
上記①~④のうち、保険料納付要件が問われるのは①(在職中の死亡)と②(初診日から5年以内の死亡)です。
③(1,2級の障害厚生年金の受給権者)と④(25年満たしている)は保険料納付要件は問われません。
社労士受験のあれこれ
R3-112
令和2年の問題をどうぞ!
<厚年 問4‐E>
厚生年金保険の被保険者であった者が資格を喪失して国民年金の第1号被保険者の資格を取得したが、その後再び厚生年金保険の被保険者の資格を取得した。国民年金の第1号被保険者であった時に初診日がある傷病について、再び厚生年金保険の被保険者となってから障害等級3級に該当する障害の状態になった場合、保険料納付要件を満たしていれば当該被保険者は障害厚生年金を受給することができる。
【解答】 ×
障害厚生年金の要件は、「初診日に厚生年金保険の被保険者」であることです。
問題文の場合は初診日に「国民年金第1号被保険者」ですので、障害厚生年金は受給できません。
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<H26年出題>
厚生年金保険の被保険者であった18歳の時に初診日がある傷病について、その障害認定日に障害等級3級の障害の状態にある場合には、その者は障害等級3級の障害厚生年金の受給権を取得することができる。
【解答】 〇
初診日に「厚生年金保険の被保険者」ですので、障害厚生年金を受給することができます。
社労士受験のあれこれ
R3-110
令和2年の問題をどうぞ!
<厚年 問4‐D>
障害等級3級の障害厚生年金には、配偶者についての加給年金額は加算されないが、最低保障額として障害等級2級の障害基礎年金の年金額の3分の2に相当する額が保障されている。
【解答】 ×
3級の障害厚生年金の最低保障額は、障害等級2級の障害基礎年金の年金額の4分の3です。
★なお、「障害等級3級の障害厚生年金には、配偶者についての加給年金額は加算されない」の部分は「〇」です。(1級・2級の障害厚生年金には配偶者加給年金額が加算されます。)
また、3級の場合は、1階部分の障害基礎年金は支給されません。
ちなみに・・・
3級の障害厚生年金に最低保障額が設定されているのは、障害基礎年金が無いからです。でも、1級・2級でも障害基礎年金が支給されない場合があり、その場合は、1級・2級でも最低保障額が適用されます。
★では、1級・2級で障害基礎年金が支給されない場合とは?
初診日に「厚生年金保険の被保険者」ではあるが、「国民年金第2号被保険者ではない」場合です。
★具体的には、65歳以上で老齢基礎年金等の受給権を有する者です。
65歳以降、在職中(厚生年金保険に加入中)に障害になった場合、初診日に厚生年金保険の被保険者であるものの、老齢基礎年金等の受給権がある場合は国民年金の第2号被保険者ではありません。そのため、障害厚生年金は支給されますが、障害基礎年金は支給されません。
このような場合は、1級・2級であっても、3級の障害厚生年金の最低保障額と同額が保障されます。
社労士受験のあれこれ
R3-109
令和2年の問題をどうぞ!
<厚年 問6‐E>
株式会社の代表取締役は、70歳未満であっても被保険者となることはないが、代表取締役以外の取締役は被保険者となることがある。
【解答】 ×
★ 代表取締役も被保険者となります。
法人の理事、監事、取締役等法人の代表者又は業務執行者であっても、法人から、労務の対償として報酬を受けている者は被保険者になります。
ちなみに、事業主1人で経営している法人は、強制適用事業所となります。
また、個人事業主は、個人事業主本人が事業主体となるので、厚生年金保険の被保険者にはなりません。
では、こちらもどうぞ!(健康保険法の問題です)
健保 H22年出題
法人の理事、監事、取締役、代表社員等の法人役員は、事業主であり、法人に使用される者としての被保険者の資格はない。
健保 H29年出題
従業員が3人の任意適用事業所で従業員と同じような仕事に従事している個人事業所の事業主は、健康保険の被保険者となることができる。
【解答】
健保 H22年出題 ×
法人役員は、法人(事業主)から、労務の対償として報酬を受けている者として、被保険者の資格を取得します。(厚生年金保険と同じです。)
健保 H29年出題 ×
個人事業所の事業主は、本人が事業主なので、被保険者となることはできません。(こちらも厚生年金保険と同じです。)
では、次は「雇用保険法」の問題をどうぞ!
雇用保険 H30年出題
株式会社の取締役であって、同時に会社の部長としての身分を有する者は、報酬支払等の面からみて労働者的性格の強い者であって、雇用関係があると認められる場合、他の要件を満たす限り被保険者となる。
雇用保険 H24年出題
株式会社の代表取締役が被保険者になることはない。
【解答】
雇用保険 H30年出題 〇
なお、問題文のような人が失業した場合は基本手当を受けることができますが、基本手当の基になる賃金には、取締役としての地位に基づく役員報酬は含まれません。あくまでも労働の対償としての賃金で計算されます。
雇用保険 H24年出題 〇
株式会社の代表取締役は、雇用関係にないので、失業することも考えられませんよね。株式会社の代表取締役は被保険者になることはありません。
社労士受験のあれこれ
R3-108
令和2年の問題をどうぞ!
<厚年 問1‐C>
老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上ある者とする。)が行方不明になり、その後失踪の宣告を受けた場合、失踪者の遺族が遺族厚生年金を受給するに当たっての生計維持に係る要件については、行方不明となった当時の失踪者との生計維持関係が問われる。
【解答】 〇
★ 行方不明となった人の生死が7年間明らかでないとき、家庭裁判所は失踪宣告をすることができ、行方不明から7年間が満了したときに死亡したものとみなされます。
遺族厚生年金等については、「行方不明となった日」を「死亡日」として取り扱い、生計維持関係や保険料納付要件等をみることになります。
ただし、遺族厚生年金等の受給権は、失踪宣告が確定した日に発生し、受給権者の身分関係、年齢、障害状態は、失踪宣告による死亡日(7年後)で判断します。
この問題は、「生計維持に係る要件」についてですので、行方不明となった当時の失踪者との生計維持関係が問われます。
では、こちらもどうぞ!
国年 H18年出題
失踪宣告があったときは、行方不明になってから5年を経過した日に死亡したものとみなされる。
国年 H26年出題
民法の規定による失踪宣告があり、行方不明になってから7年を経過した日が死亡日とみなされた場合、死亡を支給事由とする給付の支給に関する規定の適用における生計維持関係、被保険者資格及び保険料納付要件については、行方不明になった日を死亡日として取り扱う。
国年 R2出題
失踪の宣告を受けたことにより死亡とみなされた者に係る遺族基礎年金の支給に関し、死亡とみなされた者についての保険料納付要件は、行方不明となった日において判断する。
【解答】
国年 H18年出題 ×
「5年」ではなく、7年を経過した日に死亡したものとみなされます。
国年 H26年出題 〇
・ 生計維持関係、被保険者資格、保険料納付要件 → 行方不明になった日を死亡日として取り扱う。
・ 受給権者の身分関係、年齢、障害状態 → 失踪宣告による死亡日(7年後)で判断
国年 R2出題 ×
保険料納付要件は、「死亡日の前日」で判断します。失踪宣告の場合は、「行方不明となった日」を「死亡日」としますので、保険料納付要件は「行方不明となった日の前日」で判断することになります。
社労士受験のあれこれ
R3-107
令和2年の問題をどうぞ!
<厚年 問1‐A>
遺族厚生年金の受給権を有する障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態にある子について、当該子が19歳に達した日にその事情がやんだときは、10日以内に、遺族厚生年金の受給権の失権に係る届書を日本年金機構に提出しなければならない。
【解答】 〇
この問題のポイントは、「失権の届出が必要なとき、不要なときを区別すること」です。
★「子、孫」特有の遺族厚生年金の失権事由は3つありますが、届出が必要なのは②のみです。
①と③は「年齢」による失権です。年齢は日本年金機構で把握できるので、届出は要りません。
一方、②については「障害の事情がやんだ」事実は把握できていませんので、届出が必要なのです。今回の問題は②に該当します。
「子、孫」特有の遺族厚生年金の失権事由と失権届
「子、孫」の失権事由 | 失権届 | |
① | 18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき。 (ただし、子又は孫が障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にあるときを除 |