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国民年金法・厚生年金保険法の違い

R7-135 01.09

国民年金法・厚生年金保険法の目的の異なる点

国民年金法と厚生年金保険法の違いを条文で確認しましょう。

国民年金法の第1条と第2条です。

1条 (国民年金制度の目的)

 国民年金制度は、日本国憲法第25条第2項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。

2条 (国民年金の給付)

 国民年金は、前条の目的を達成するため、国民の老齢、障害又は死亡に関して必要な給付を行うものとする。 

(参考)

日本国憲法第25

① すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

② 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 国民年金制度は、日本国憲法第25条第2項に規定する理念に基づいています。

 

 

厚生年金保険法第1条です。

1条 (この法律の目的)

 この法律は、労働者老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

 

 

過去問をどうぞ!

①【国年H28年選択式】

 国民年金法は、「国民年金制度は、日本国憲法第25条第2項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によって国民生活の< A >がそこなわれることを国民の < B >によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。」と規定している。

 

 

 

 

【解答】

A> 安定

B> 共同連帯

 

 

②【国年R5年選択式】

 国民年金法第2条では、「国民年金は、前条の目的を達成するため、国民の老齢、障害又は死亡に関して< A >を行うものとする。」と規定されている。

<選択肢>

① 年金支給

② 年金の給付

③ 必要な給付

④ 保険給付

 

 

 

 

【解答】

A> ③ 必要な給付

 

 

③【国年H26年出題】

 国民年金は、国民の老齢、障害又は死亡に関して必要な保険給付を行うものとされ、国民年金法に基づくすべての給付は保険原理により行われる。

 

 

 

 

 

【解答】

③【国年H26年出題】 ×

 国民年金は、国民の老齢、障害又は死亡に関して「必要な保険給付」ではなく、「必要な給付」を行うものとされています。

 「保険原理」とは、保険料を負担することによって給付が受けられる仕組みのことですが、国民年金法の給付には、保険原理によらないものもあります。例えば、20歳前傷病による障害基礎年金は、保険料の負担なく給付されるものです。

 国民年金法に基づくすべての給付が保険原理により行われるものではないので、国民年金法では「保険給付」ではなく、「必要な給付」という用語を使います。

 なお、厚生年金保険法では「保険給付」という用語を使います。

 ちなみに法律の名称も「国民年金法」には「保険」が入っていません。「厚生年金保険法」は「保険」が入っています。

 

 

④【厚年H30年出題】

 厚生年金保険制度は、老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的としている。

 

 

 

 

 

【解答】

④【厚年H30年出題】 ×

 問題文は国民年金制度の目的条文です。国民年金はすべての国民が対象ですので、「国民」という言葉が使われています。

 厚生年金保険制度は「労働者」が対象ですので、「労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的」としています。 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/iD8rH6rqowI?si=vu_CiWUXnSzdplcP

社労士受験のあれこれ

国民年金法・厚生年金保険法について

R7-134 01.08

国民年金法・厚生年金保険法で最低限おさえたい歴史

国民年金法、厚生年金保険法の歴史で重要な年号をまとめました。

昭和14

船員保険法制定

・社会保険方式による日本で最初の公的年金

・昭和15年施行

昭和16

労働者年金保険法制定

・昭和17年施行

・昭和19年に「厚生年金保険法」に改称

昭和34

国民年金法制定

・昭和3411月福祉年金(無拠出制)開始

昭和36

4

国民皆年金の実施

・国民年金(拠出制)開始

昭和61

4

基礎年金の導入

・「基礎年金」と「報酬比例」の2階建て

・基礎年金は全国民が対象

1号被保険者(自営業等)

2号被保険者(会社員、公務員等)

3号被保険者(専業主婦等)

平成27

10

被用者年金一元化

・被用者の年金制度が厚生年金に統一された

 

年金の歴史を図でイメージしましょう。(下の図を参照してください)

ポイント!

・昭和364月「国民皆年金」

・昭和614月「基礎年金の導入」

★昭和614月前の制度を「旧法」、昭和614月以降の制度を「新法」といいます。

 

過去問をどうぞ!

①【H19年出題(社一)】

 医療面で国民皆保険が進められるのに対応して国民皆年金の実現が強く要請されるようになり、自営業者等を対象とする国民年金法が昭和34年に制定され、昭和364月から全面施行された。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H19年出題(社一)】 〇

 国民年金法は昭和34年に制定、昭和364月から全面施行され、国民皆年金が実現しました。

 

 

②【H19年出題(国年)】

 国民年金は、昭和34年に制定された国民年金法に基づき、同年10月から無拠出制の福祉年金の給付が開始され、昭和364月から拠出制の年金制度が開始されて、国民皆年金の体制が成立した。

 

 

 

 

【解答】

②【H19年出題(国年)】 ×

 国民年金法は昭和34年に制定され、同年10月ではなく「同年11月」から無拠出制の福祉年金の給付が開始されました。また、昭和364月から拠出制の年金制度が開始されて、国民皆年金の体制が成立しました。

 

 

③【H15年選択式(国年)】

 年金改正では、激変を緩和するという観点から、しばしば経過措置が設けられる。昭和60年改正によって導入された基礎年金の給付の適用を受けるのは、老齢基礎年金については< A >以降に生まれた者(施行日に旧制度の老齢・退職給付の受給権のあった者を除く。)、障害基礎年金については< B >が昭和6141日以降の者(福祉年金を除く。)であり、それ以外の者には旧制度の給付が適用されている。

<選択肢>

① 大正1541

② 大正1542

③ 昭和241

④ 昭和242

⑤ 裁定日

⑥ 初診日

⑦ 障害認定日

⑧ 裁定請求日

 

 

 

 

 

【解答】

A> ② 大正1542

B> ⑦ 障害認定日

ポイント!

・ 「大正1542日」以降生まれの人は、老齢基礎年金(新法の年金)の対象となります。ただし、施行日に旧制度の老齢・退職給付の受給権のあった人を除きます。

・ 「障害認定日」が昭和6141日以降の人は、障害基礎年金(新法の年金)の対象となります。

 

 

④【R6年出題(社一)】

 日本の公的年金制度は、予測することが難しい将来のリスクに対して、社会全体であらかじめ備えるための制度であり、現役世代の保険料負担により、その時々の高齢世代の年金給付をまかなう世代間扶養である賦課方式を基本とした仕組みで運営されている。賃金や物価の変化を年金額に反映させながら、生涯にわたって年金が支給される制度として設計されており、必要なときに給付を受けることができる保険として機能している。

 

 

 

 

【解答】

④【R6年出題(社一)】 〇

 日本の公的年金制度は、「賦課方式」を基本とした仕組みで運営されていることがポイントです。

 賦課方式とは、現役世代の保険料負担で、その時々の高齢世代の年金給付をまかなう世代間扶養の仕組みです。

(令和5年版厚生労働白書P256

 

 

R1年出題(社一)】※問題文修正あり

 被用者年金一元化により、所定の要件に該当する国家公務員共済組合の組合員が厚生年金保険の被保険者資格を取得したのは、平成27101日である。

 

 

 

 

【解答】

R1年出題(社一)】 〇

 被用者年金一元化が行われたのは、平成27101日です。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/csBx6nP3yrc?si=x1Y3b4lYozUC3Fwi

社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(厚生年金保険法)

R7-123 12.28

<令和6年の問題を振り返って>(厚生年金保険)資格を取得した際の標準報酬月額の決定

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう

今日は、厚生年金保険法の択一式です。

 

資格取得時の標準報酬月額の決定について条文を読んでみましょう。

法第22条 (被保険者の資格を取得した際の決定)

① 実施機関は、被保険者の資格を取得した者があるときは、次の各号に規定する額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。

1) 月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の30に相当する額

2) 日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した月前1か月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額

3) (1)、(2)によって算定することが困難であるものについては、被保険者の資格を取得した月前1か月間に、その地方で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額

4) 前3号の2以上に該当する報酬を受ける場合には、それぞれについて、前3号の規定によって算定した額の合算額

② 決定された標準報酬月額は、被保険者の資格を取得した月からその年の8月(6月1日から1231までの間に被保険者の資格を取得した者については、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。

 

(資格取得時の標準報酬月額の有効期間)

例えば、令和6515日に資格を取得した場合

            定時決定(71日現在)

             △

5月

6月

7

8

9月~翌年8月

資格取得時の標月

資格取得時の標月

資格取得時の標月

資格取得時の標月

定時決定で定められた

標準報酬月額

 

  

令和6年の問題をどうぞ!

R6年問7-B

 厚生年金保険法第22条によれば、実施機関は、被保険者の資格を取得した者について、月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の30倍に相当する額を報酬月額として、その者の標準報酬月額を決定する。

 

 

 

 

 

【解答】

R6年問7-B】 〇

 月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合 → 月給制や週給制等です。

 例えば、週給の場合、週給の額÷7日(その期間の総日数)×30が「報酬月額」となります。その報酬月額を標準報酬月額等級に当てはめて、その者の標準報酬月額が決定されます。

 

では、過去問をどうぞ!

H30年出題】

 実施機関は、被保険者の資格を取得した者について、日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した月前1か月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額を報酬月額として、その者の標準報酬月額を決定する。当該標準報酬月額は、被保険者の資格を取得した月からその年の8月(6月1日から1231日までの間に被保険者の資格を取得した者については、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。

 

 

 

 

 

【解答】

H30年出題】 〇

ポイントを確認しましょう。

・日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる場合 → 日給制や時給制など

 資格を取得した月前1か月間当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額=報酬月額となり、標準報酬月額が決まります。

・有効期間

 資格取得時の標準報酬月額の有効期間は、資格を取得した月からその年の8月までです。9月以降は、その年の定時決定で定められた標準報酬月額となります。

 ただし、6月1日から1231日までの間に被保険者の資格を取得した場合は、翌年の8月までです。

61日から71日までに資格を取得した者は、その年の定時決定を行わないからです。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/pBaLaKTsj9A?si=qgiSDtmaFb4iCNiH

社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(厚生年金保険法)

R7-109 12.14

<令和6年の問題を振り返って>【厚生年金保険】未支給の保険給付

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、厚生年金保険法の択一式です。

 

条文を読んでみましょう。

37条第1項、3項~5項 (未支給の保険給付)

① 保険給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。

③ 死亡した受給権者が死亡前にその保険給付を請求していなかったときは、①に規定する者は、自己の名で、その保険給付を請求することができる。

④ 未支給の保険給付を受けるべき者の順位は、政令で定める。

⑤ 未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。

 

★ 年金は、後払い(例えば、12月に支給される年金は10月分と11月分です)で、受給権が消滅した月まで支給されます。

 そのため、年金の受給権者が死亡した場合は、必ず未支給の年金が発生します。

★ 国民年金との違い

 厚生年金保険法は「未支給の保険給付」

→ 「死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったもの」ですので、年金だけでなく一時金も対象です。

 国民年金法は「未支給年金」

→ 「死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかったもの」となりますので、「年金」だけが対象です。

 

令和6年の問題をどうぞ!

R6年問8-D

 未支給の保険給付の支給を請求できる遺族として、死亡した受給権者とその死亡の当時生計を同じくしていた妹と祖父がいる場合、祖父が先順位者になる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R6年問8-D】 〇

 未支給の保険給付を受けるべき者の順位は、「死亡した者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹及びこれらの者以外の3親等内の親族の順序」とされています。妹と祖父がいる場合は、祖父が先順位者になります。

(令第3条の2)

 

 

過去問をどうぞ!

①【R4年出題】

 保険給付の受給権者が死亡し、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときにおいて、未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対しての支給は、全員に対してしたものとみなされる。

 

 

 

 

【解答】

①【R4年出題】 〇

 未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、そのうち1人が代表で請求します。

 

 

②【H23年出題】

 保険給付の受給権者の死亡に係る未支給の保険給付がある場合であって、当該未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、当該同順位者の数で按分した額をそれぞれに支給する。

 

 

 

 

【解答】

②【H23年出題】 ×

 未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、同順位者の数で按分した額をそれぞれに支給するのではなく、代表の者に全額支給されます。

 

 

③【H26年出題】

 脱退一時金を請求した者が、当該脱退一時金を受給する前に死亡した場合、一定の遺族は未支給の脱退一時金を請求することができる。

 

 

 

 

【解答】

③【H26年出題】 〇

 脱退一時金も未支給の保険給付の請求の対象となります。

(法附則第29条第9項)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/ThpBaOamW6Q?si=2vwFF1vnp_VDTJgM

社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(厚生年金保険法)

R7-108 12.13

<令和6年の問題を振り返って>厚生年金保険の標準報酬月額の最高等級(健康保険との比較も)

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、厚生年金保険法の択一式です。

 

条文を読んでみましょう。

法第20条第2

 毎年3月31における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の100分の200に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の9月1日から、健康保険法第40条第1項に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる

 

令和6年の問題をどうぞ!

R6年問7-A】 

 令和29月から厚生年金保険の標準報酬月額の上限について、政令によって読み替えて法の規定を適用することとされており、変更前の最高等級である第31級の上に第32級が追加された。第32級の標準報酬月額は65万円である。

 

 

 

 

 

【解答】

R6年問7-A】 〇

 令和29月から厚生年金保険の標準報酬月額の上限は、「第32級」です。第32級の標準報酬月額は65万円です。

 「平成28年3月以降、全厚生年金被保険者の平均標報の2倍が、当時の最高等級(第31級:62万円)を超える状況が続き、令和2年3月末においても、全厚生年金被保険者の平均標報の2倍が62万円を超えていたことから、令和2年9月より、政令改正により標準報酬月額の上限を引き上げる(第32級(65万円)を加える)こととした。」とされています。

(厚生労働省ホームページより)

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R1年出題】※改正による修正あり

 厚生年金保険の標準報酬月額は標準報酬月額等級の第188,000円から第32650,000円まで区分されており、この等級区分については毎年331日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の100分の200に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の41日から、健康保険法第40条第1項に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 × 

政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができるのは、その年の41日からではなく、その年の91日からです。

 

 

②【R5年出題】

 毎年1231日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の100分の200に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行わなければならない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【R5年出題】 ×

 「毎年1231日」ではなく「毎年3月31日」における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の100分の200に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、「その年の9月1日から」健康保険法第40条第1項に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の「改定を行わなければならない」ではなく、「改定を行うことができる。」です。

 

 

<比較>健康保険法の条文も読んでみましょう。

法第40条第2項、第3

② 毎年3月31における標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の被保険者総数に占める割合100分の1.5を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の9月1日から、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる。ただし、その年の3月31において、改定後の標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の同日における被保険者総数に占める割合が100分の0.5を下回ってはならない

③ 厚生労働大臣は、政令の制定又は改正について立案を行う場合には、社会保障審議会の意見を聴くものとする。 

 健康保険法の標準報酬月額の上限は、「第50等級1,390,000円」で、全被保険者に対する上限該当者の割合は、0.79%です。

(厚生労働省ホームページより)

 

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https://youtu.be/s35U6GefF-0?si=YxKiI76TVH4sMrtN

社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(厚生年金保険法)

R7-107 12.12

<令和6年の問題を振り返って>産前産後休業中の保険料免除

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、厚生年金保険法の択一式です。

 

条文を読んでみましょう。

81条の2の2(産前産後休業期間中の保険料の徴収の特例)

① 産前産後休業をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、主務省令で定めるところにより実施機関に申出をしたときは、当該被保険者に係る保険料であってその産前産後休業を開始した日の属するからその産前産後休業が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間に係るものの徴収は行わない。

② 第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者に係る保険料について、①の規定を適用する場合においては、「被保険者が使用される事業所の事業主」とあるのは、「被保険者」とする。

 

令和6年の問題をどうぞ!

R6年問7-E

 産前産後休業をしている被保険者に係る保険料については、事業主負担分及び被保険者負担分の両方が免除される。

 

 

 

 

 

【解答】

R6年問7-E】 〇

 事業主負担分と被保険者負担分の両方が免除されます。

 

 

過去問をどうぞ!

①【R4年選択式】

 厚生年金保険法第81条の2の2第1項の規定によると、産前産後休業をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、主務省令で定めるところにより実施機関に申出をしたときは、同法第81条第2項の規定にかかわらず当該被保険者に係る保険料であってその産前産後休業を< A >からその産前産後休業が< B >までの期間に係るものの徴収は行わないとされている。

 

 

 

 

【解答】

A> 開始した日の属する月

B> 終了する日の翌日が属する月の前月

 

 

②【H29年出題】

 産前産後休業期間中の保険料の免除の申出は、被保険者が第1号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者である場合には当該被保険者が使用される事業所の事業主が、また第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者である場合には当該被保険者本人が、主務省令で定めるところにより実施機関に行うこととされている。

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H29年出題】 〇

 産前産後休業期間中の保険料の免除の申出について

・第1号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者

→ 当該被保険者が使用される事業所の事業主が行う

・第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者

→ 被保険者本人が行う

 

 

③【H30年出題】

 産前産後休業期間中の保険料の免除の適用を受ける場合、その期間中における報酬の支払いの有無は問われない。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H30年出題】 〇

 産前産後休業期間中の報酬の支払いの有無は問われません。

 

 

④【R1年出題】

 適用事業所の事業主は、第1号厚生年金被保険者であって、産前産後休業期間中や育児休業期間中における保険料の免除が適用されている者に対して、当該休業期間中に賞与を支給した場合は、賞与額の届出を行わなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R1年出題】 〇

 産前産後休業期間中や育児休業期間中の保険料の免除が適用されている者に対して、賞与を支給した場合でも、賞与額の届出は必要です。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/a0VVZCG_Cog?si=U99DGr3Ama6sXOXI

社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(厚生年金保険法)

R7-106 12.11

<令和6年の問題を振り返って>厚生年金保険の保険料の督促・滞納処分、延滞金

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、厚生年金保険法の択一式です。

 

督促と延滞金を図でイメージしましょう。

 

納期限

 

督促状

 

督促状の指定期限

 

完納

 

 

10日以上経過した日

 

 

納期限の翌日

 

 

 

 

 

完納又は財産差押えの日の前日

        

 

条文を読んでみましょう。

法第86条 (保険料等の督促及び滞納処分)

① 保険料その他この法律の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は、期限を指定して、これを督促しなければならない。ただし、繰上徴収により保険料を徴収するときは、この限りでない。

② 督促をしようとするときは、厚生労働大臣は、納付義務者に対して、督促状を発する。

③ 督促状は、納付義務者が、健康保険法180条の規定によって督促を受ける者であるときは、同法同条の規定による督促状に併記して、発することができる

④ 督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日でなければならない。

⑤ 厚生労働大臣は、納付義務者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対して、その処分を請求することができる。

1) 督促を受けた者がその指定の期限までに保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しないとき

2) 納期を繰り上げて保険料納入の告知を受けた者がその指定の期限までに保険料を納付しないとき。

⑥ 市町村は、処分の請求を受けたときは、市町村税の例によってこれを処分することができる。この場合においては、厚生労働大臣は、徴収金の100分の4に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。

 

法第87条 (延滞金)

① 督促をしたときは、厚生労働大臣は、保険料額に、納期限の翌日から保険料完納又は財産差押の日の前日までの期間の日数に応じ、年14.6パーセント(当該納期限の翌日から3月を経過する日までの期間については、年7.3パーセント)の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合又は滞納につきやむを得ない事情があると認められる場合は、この限りでない。

1) 保険料額が1000円未満であるとき。

2) 納期を繰り上げて徴収するとき。

3) 納付義務者の住所若しくは居所が国内にないため、又はその住所及び居所がともに明らかでないため、公示送達の方法によって督促したとき。

② 保険料額の一部につき納付があったときは、その納付の日以後の期間に係る延滞金の計算の基礎となる保険料は、その納付のあった保険料額を控除した金額による。

③ 延滞金を計算するにあたり、保険料額に1000円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。

④ 督促状に指定した期限までに保険料を完納したとき、又は延滞金の額が100円未満であるときは、延滞金は、徴収しない。

⑤ 延滞金の金額に100円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。 

 

※延滞税特例基準割合(1.4)に基づく令和6年中の延滞金の割合は以下の通りです。

・納期限の翌日から3月を経過する日までの期間 → 年2.4%

・納期限の翌日から3月を経過する日の翌日以後 → 年8.7%

 

 

では、令和6年の問題をどうぞ!

①【R6年問2-B

 厚生年金保険の保険料を滞納した者に対して督促が行われたときは、原則として延滞金が徴収されるが、納付義務者の住所及び居所がともに明らかでないため公示送達の方法によって督促したときは、延滞金は徴収されない。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R6年問2-B】 〇

 公示送達の方法によって督促したときは、延滞金は徴収されません。

 

 

②【R6年問2-C

 厚生年金保険の保険料を滞納した者に対して督促が行われた場合において、督促状に指定した期限までに保険料を完納したとき、又は厚生年金保険法第87条第1項から第3項までの規定によって計算した金額が1,000円未満であるときは、延滞金は徴収しない。

 

 

 

 

【解答】

②【R6年問2-C】 ×

 厚生年金保険法第87条第1項から第3項までの規定によって計算した額(=延滞金の金額)が1,000円未満ではなく「100円未満」であるときは、延滞金は徴収されません。

 

 

③【R6年問2-D

 保険料の納付の督促を受けた納付義務者がその指定の期限までに保険料を納付しないときは、厚生労働大臣は、自ら国税滞納処分の例によってこれを処分することができるほか、納付義務者の居住地等の市町村(特別区を含む。以下本肢において同じ。)に対して市町村税の例による処分を請求することもできる。後者の場合、厚生労働大臣は徴収金の100分の5に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。

 

 

 

 

【解答】

③【R6年問2-D】 ×

 納付義務者の居住地等の市町村に対して市町村税の例による処分を請求した場合、厚生労働大臣は徴収金の100分の5ではなく「100分の4」に相当する額を当該市町村に交付しなければなりません。

 

 

④【R6年問2-E

 滞納処分等を行う徴収職員は、滞納処分等に係る法令に関する知識並びに実務に必要な知識及び能力を有する日本年金機構の職員のうちから厚生労働大臣が任命する。

 

 

 

 

【解答】

④【R6年問2-E】 ×

 徴収職員は、滞納処分等に係る法令に関する知識並びに実務に必要な知識及び能力を有する日本年金機構の職員のうちから、厚生労働大臣の認可を受けて、日本年金機構の理事長が任命する、とされています。

(第100条の6第2項)

 

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社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(厚生年金保険法)

R7-092 11.27

<令和6年の問題を振り返って>厚生年金保険の脱退一時金

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、厚生年金保険法の択一式です。

 

★脱退一時金は、「日本国籍を有しない者」が対象で、日本を出国した場合に請求できます。

なお、国民年金にも同じく脱退一時金の制度があります。

 

では、脱退一時金について条文を読んでみましょう。

法附則第29条第1項~第6項 (日本国籍を有しない者に対する脱退一時金の支給)

① 当分の間、被保険者期間が6月以上である日本国籍を有しない(国民年金の被保険者でないものに限る。)であって、老齢厚生年金の受給資格期間を満たしていない者等は、脱退一時金の支給を請求することができる。ただし、その者が次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。

1) 日本国内に住所を有するとき。

2) 障害厚生年金その他政令で定める保険給付の受給権を有したことがあるとき。

3) 最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過しているとき。

② 請求があったときは、その請求をした者に脱退一時金を支給する。

③ 脱退一時金の額は、被保険者であった期間に応じて、その期間の平均標準報酬額(被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額標準賞与額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額をいう。)支給率を乗じて得た額とする。

④ 支給率は、最終月(最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月をいう。)属する年の前年10保険料率(最終月が1月から8月までの場合にあっては、前々年10月の保険料率)2分の1を乗じて得た率に、被保険者であった期間に応じて政令で定める数を乗じて得た率とし、その率に小数点以下1位未満の端数があるときは、これを四捨五入する。

⑤ 脱退一時金の支給を受けたときは、支給を受けた者は、その額の計算の基礎となった被保険者であった期間は、被保険者でなかったものとみなす。

⑥ 厚生労働大臣による脱退一時金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。

 

★脱退一時金の計算式

「被保険者であった期間の平均標準報酬額」×「支給率」

★支給率とは

「最終月の属する年の前年10の保険料率」×「2分の1」×「被保険者期間の区分に応じた支給率計算に用いる数」

★被保険者期間の区分に応じた支給率計算に用いる数

被保険者であった期間

支給率計算に用いる数

支給率

6月以上12月未満

6

0.5

12月以上18月未満

12

1.1

18月以上24月未満

18

1.6

24月以上30月未満

24

2.2

30月以上36月未満

30

2.7

36月以上42月未満

36

3.3

42月以上48月未満

42

3.8

48月以上54月未満

48

4.4

54月以上60月未満

54

4.9

60以上

60

5.5

 例えば、被保険者期間が60月以上の場合の支給率は、

1000分の183×2分の1×605.5となります。(小数点以下1位未満の端数は四捨五入)

 

 

では、令和6年の問題をどうぞ!

R68-A】 

 脱退一時金の支給額は、被保険者であった期間の平均標準報酬額に支給率を乗じた額である。この支給率は、最終月(最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月)の属する年の前年10(最終月が1月から8月までの場合は、前々年10)の保険料率に2分の1を乗じて得た率に、被保険者であった期間に応じて政令で定める数を乗じて得た率である。なお、当該政令で定める数の最大値は60である。

 

 

 

 

 

【解答】

R68-A】 〇

 脱退一時金の支給額の計算に使う「支給率」について確認しましょう。

支給率=「最終月の属する年の前年10月の保険料率」×「2分の1」×「被保険者であった期間に応じて政令で定める数」で計算します。

ちなみに、最終月は、「最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月」です。

 最終月の属する年の前年「10月」の保険料率を使いますが、最終月が1月から8月までの場合は、前々年10月の保険料率を使います。

 また、「被保険者であった期間に応じて政令で定める数」の最大値は60です。

(令第12条の2)

 

 

過去問をどうぞ!

①【R2年出題】

 障害厚生年金の支給を受けたことがある場合でも、障害の状態が軽減し、脱退一時金の請求時に障害厚生年金の支給を受けていなければ脱退一時金の支給を受けることができる。

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 ×

 「障害厚生年金その他政令で定める保険給付の受給権を有したことがあるとき」は、脱退一時金の支給は受けられません。

 

 

②【H30年出題】

 脱退一時金は、最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過しているときは、請求することができない。

 

 

 

 

【解答】

②【H30年出題】 〇

 脱退一時金の請求要件は、「最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日から2経過していないこと」です。また、国民年金の資格を喪失した日に日本国内に住所を有していた場合は、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日から起算して2を経過していないことです。

 

 

③【R3年出題】

 ある日本国籍を有しない者について、最後に厚生年金保険の被保険者資格を喪失した日から起算して2年が経過しており、かつ、最後に国民年金の被保険者資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して1年が経過した。この時点で、この者が、厚生年金保険の被保険者期間を6か月以上有しており、かつ、障害厚生年金等の受給権を有したことがない場合、厚生年金保険法に定める脱退一時金の請求が可能である。

 

 

 

 

【解答】

③【R3年出題】 〇

 最後に厚生年金保険の被保険者資格を喪失した日から起算して2年が経過していても、「最後に国民年金の被保険者資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)」から起算して2年経過していない場合は、脱退一時金の請求が可能です。

 問題文は、「最後に国民年金の被保険者資格を喪失した日から1年が経過」となっていますので、厚生年金保険法に定める脱退一時金の請求が可能です。

 

 

④【H27年出題】

 脱退一時金の額の計算に用いる支給率は、最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月の属する年の前年9月の保険料率に2分の1を乗じて得た率に、被保険者であった期間に応じた数を乗じて得た率とする。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H27年出題】 ×

 最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月の属する年の「前年9月」ではなく「前年10月」です。

 

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社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(厚生年金保険法)

R7-091 11.26

<令和6年の問題を振り返って>厚生年金保険料の納期限

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、厚生年金保険法の択一式です。

 

保険料の納期限について条文を読んでみましょう。

82条第1項、2(保険料の負担及び納付義務)

① 被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する。

② 事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。

 

法第83条第1項 (保険料の納付)

 毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない。

 

令和6年の問題をどうぞ!

R67-C

 事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない。高齢任意加入被保険者の場合は、被保険者が保険料の全額を負担し、自己の負担する保険料を納付する義務を負うことがあるが、その場合も、保険料の納期限は翌月末日である。

 

 

 

 

 

【解答】

R67-C】 〇

 厚生年金保険の保険料は、被保険者と事業主が、それぞれ半額を負担します。また、事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負い、納期限は翌月末日です。

 「適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者」の場合は、事業主の同意がない場合、被保険者が保険料の全額を負担し、自己の負担する保険料を納付する義務を負います。その場合も、保険料の納期限は翌月末日です。

(法第82条、法附則第4条の3)

 

 

過去問をどうぞ!

①【H22年出題】

 厚生年金保険の毎月の保険料は、当月末日までに、納付しなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H22年出題】 ×

 厚生年金保険の毎月の保険料は、当月末日ではなく「翌月末日」までに、納付しなければなりません。

 

 

②【H27年出題】

 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者は、保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を滞納し、督促状の指定期限までに、その保険料を納付しないときは、当該保険料の納期限の日に、その資格を喪失する。なお、当該適用事業所の事業主は、保険料を半額負担し、かつ、その保険料納付義務を負うことについて同意していないものとする。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H27年出題】 ×

 「適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者」の場合は、事業主の同意がない場合、被保険者が保険料の全額を負担し、自己の負担する保険料を納付する義務を負います。   

 その場合の保険料の納期限は翌月末日です。

 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者が、保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を滞納し、督促状の指定期限までに、その保険料を納付しないときは、「納期限の日」ではなく「納期限の属する月の前月の末日」に、その資格を喪失します。

(法附則第4条の3)

 

 

③【R2年出題】

 厚生年金保険の保険料は、被保険者の資格を取得した月についてはその期間が1日でもあれば徴収されるが、資格を喪失した月については徴収されない。よって月末日で退職したときは退職した日が属する月の保険料は徴収されない。

 

 

 

 

 

【解答】

③【R2年出題】 ×

 月末日で退職したときは退職した日が属する月の保険料は「徴収されます」。

条文を読んでみましょう。

法第19条第1

 被保険者期間を計算する場合には、によるものとし、被保険者の資格を取得したからその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。

法第81条第2

 保険料は、被保険者期間の計算の基礎となる各月につき、徴収するものとする。

 

<令和6410日に資格取得、1126日に退職(1127日に資格喪失)の場合>

 被保険者期間は、令和64月~10まで、保険料の徴収も令和64月分から10分までとなります。

<令和6410日に資格取得、1130日に退職(121日に資格喪失)の場合>

 被保険者期間は、令和64月~11まで、保険料の徴収も令和64月分から11分までとなります。

 月末退職の場合は、翌月1日が資格喪失となります。保険料は資格を喪失した月の前月まで徴収されますので、月末退職の場合、退職した日の属する月の保険料は徴収されます。

 

 

④【H22年出題】

 事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所または船舶に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H22年出題】 〇

 条文を読んでみましょう。

84条第1

 事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所又は船舶に使用されなくなった場合においては、前月及びその月標準報酬月額に係る保険料)報酬から控除することができる。

 

 事業主は、被保険者負担分の保険料を報酬から控除できますが、控除できるのは、「前月の標準報酬月額に係る保険料」です。

 また、退職の場合は、「前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料」を報酬から控除することができます。

 例えば、1130日に退職した場合は、11月分まで保険料が徴収されます。

11月支払の報酬から、10月分(前月分)と11月分(当月分)の保険料を控除することができます。

 

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社労士受験のあれこれ

<厚生年金保険法>高齢任意加入被保険者

R7-090 11.25

厚生年金保険の「高齢任意加入被保険者」についてお話しします

厚生年金保険の「高齢任意加入被保険者」についてお話しします。

厚生年金保険の被保険者を整理してみましょう。

 適用事業所適用事業所以外の事業所
70歳未満当然被保険者任意単独被保険者
70歳以上高齢任意加入被保険者高齢任意加入被保険者

 

・「高齢任意加入被保険者」とは、「70歳以上で老齢年金の受給権がない人」です。

・高齢任意加入被保険者には、「厚生年金保険の適用事業所」に使用される者と「適用事業所以外の事業所」に使用される者の2つのパターンがあります。

・加入の手続き、喪失事由、保険料の負担と納付義務などをおさえましょう。

 

YouTubeでお話ししています

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令和6年度択一式を振り返りましょう(厚生年金保険法)

R7-088 11.23

<令和6年の問題を振り返って>遺族厚生年金の遺族の要件

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、厚生年金保険法の択一式です。

 

遺族厚生年金の遺族について条文を読んでみましょう。

法第59条第1項、2

① 遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であった者の配偶者、子、父母、孫又は祖父母であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時(失踪の宣告を受けた被保険者であった者にあっては、行方不明となった当時)の者によって生計を維持したものとする。ただし、妻以外者にあっては、次に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。

1) 夫、父母又は祖父母については、55歳以上であること。

2) 子又は孫については、18に達する日以後の最初の331までの間にあるか、又は20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。

② 父母は、配偶者又は子が、孫は、配偶者、子又は父母が、祖父母は、配偶者、子、父母又は孫が遺族厚生年金の受給権を取得したときは、それぞれ遺族厚生年金を受けることができる遺族としない。

 

令和6年の問題をどうぞ!

R65-ウ】

 厚生年金保険の被保険者が死亡したときに、被保険者によって生計を維持されていた遺族が50歳の父と54歳の母だけであった場合、父には遺族厚生年金の受給権は発生せず、母にのみ遺族厚生年金の受給権が発生する。

 

 

 

 

 

【解答】

R65-ウ】 ×

 「父母」は、被保険者の死亡当時「55歳以上」であることが要件です。

50歳の父と54歳の母については、どちらにも遺族厚生年金の受給権は発生しません。

 

 

過去問をどうぞ!

①【R2年出題】

 老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上ある者とする。)が行方不明になり、その後失踪の宣告を受けた場合、失踪者の遺族が遺族厚生年金を受給するに当たっての生計維持に係る要件については、行方不明となった当時の失踪者との生計維持関係が問われる。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 〇

 生計維持関係は、「被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時」 で判断するのが原則です。

 ただし、失踪の宣告を受けた被保険者であった者については、「行方不明となった当時」の生計維持関係が問われます。

 

 

②【R1年出題】

 被保険者であった妻が死亡した当時、当該妻により生計を維持していた54歳の夫と21歳の当該妻の子がいた場合、当該子は遺族厚生年金を受けることができる遺族ではないが、当該夫は遺族厚生年金を受けることができる遺族である。

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【R1年出題】 ×

54歳の夫と21歳の子は、どちらも遺族厚生年金を受けることができる遺族ではありません。

 

 

③【R2年出題】

 遺族厚生年金は、被保険者の死亡当時、当該被保険者によって生計維持されていた55歳以上の夫が受給権者になることはあるが、子がいない場合は夫が受給権者になることはない。

 

 

 

 

【解答】

③【R2年出題】 ×

55歳以上の夫は受給権者になり得ます。子の有無は問われません。

 

 

④【R2年出題】

 被保険者の死亡当時10歳であった遺族厚生年金の受給権者である被保険者の子が、18歳に達した日以後の最初の331日が終了したことによりその受給権を失った場合において、その被保険者の死亡当時その被保険者によって生計を維持していたその被保険者の父がいる場合でも、当該父が遺族厚生年金の受給権者となることはない。

 

 

 

 

【解答】

④【R2年出題】 〇

 遺族厚生年金には転給がありません。

 遺族厚生年金を受けることができる遺族の順位を確認しましょう。

配偶者又は子

父母

祖父母

 例えば、被保険者等の死亡当時、「配偶者又は子」がいる場合は、父母以下は遺族厚年金を受けることはできません。

 問題文の場合、被保険者の子が遺族厚生年金の受給権を取得した場合は、被保険者の父は遺族となりません。その後、子の受給権が消滅したとしても、父に受給権が転給することもありません。

 

 

⑤【R5年出題】

 遺族厚生年金を受けることができる遺族のうち、夫については、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していた者で、55歳以上であることが要件とされており、かつ、60歳に達するまでの期間はその支給が停止されるため、国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有するときも、55歳から遺族厚生年金を受給することはない。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【R5年出題】 ×

 夫は、被保険者等の死亡の当時その者によって生計を維持していた者で、55歳以上であれば遺族厚生年金の受給権者となりますが、60歳に達するまでの期間はその支給が停止されます。

 ただし、国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有するときは、遺族厚生年金の支給停止は解除され、遺族厚生年金を受給することができます。

条文を読んでみましょう。

65条の2

夫、父母又は祖父母に対する遺族厚生年金は、受給権者が60に達するまでの期間、その支給を停止する。ただし、に対する遺族厚生年金については、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、夫が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有するときは、この限りでない。

 

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社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(厚生年金保険法)

R7-087 11.22

<令和6年の問題を振り返って>一人一年金の原則

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、厚生年金保険法の択一式です。

 

年金の併給調整について条文を読んでみましょう。

38条第1項、法附則第17条 (併給の調整)

障害厚生年金は、その受給権者が他の年金たる保険給付又は国民年金法による年金たる給付(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される障害基礎年金を除く。)を受けることができるときは、その間、その支給を停止する

老齢厚生年金の受給権者が他の年金たる保険給付(遺族厚生年金(その受給権者が65に達しているものに限る。)を除く。)又は同法による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金(その受給権者が65に達しているものに限る。)を受けることができる場合における当該老齢厚生年金についても同様とする。

遺族厚生年金の受給権者が他の年金たる保険給付(老齢厚生年金(その受給権者が65に達しているものに限る。)を除く。)又は同法による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金(その受給権者が65に達しているものに限る。)障害基礎年金(その受給権者が65に達しているものに限る。)並びに当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される遺族基礎年金を除く。)を受けることができる場合における当該遺族厚生年金についても、同様とする。

 

令和6年の問題をどうぞ!

R65-イ】

 厚生年金保険の被保険者である甲は令和211日に死亡した。甲の死亡時に甲によって生計を維持されていた遺族は、妻である乙(当時40歳)と子である丙(当時10歳)であり、乙が甲の死亡に基づく遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給していた。しかし、令和681日に、乙も死亡した。乙は死亡時に厚生年金保険の被保険者であった。また、乙によって生計を維持されていた遺族は丙だけである。この場合、丙が受給権を有する遺族厚生年金は、甲の死亡に基づく遺族厚生年金と乙の死亡に基づく遺族厚生年金である。丙は、そのどちらかを選択して受給することができる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R65-イ】 〇

1人に対して、複数の年金の受給権が発生することがあります。

 問題文の丙には、「甲の死亡に基づく遺族厚生年金」と「乙の死亡に基づく遺族厚生年金」の受給権が発生していますが、同じ遺族厚生年金でも、甲の死亡に基づくものと乙の死亡に基づくものは別です。

 「1人1年金の原則」に基づいて、丙は、そのどちらかを選択して受給することになります。ちなみに、選択しなかった方の年金は、支給停止されます。

(法第38条)

 

 

過去問をどうぞ!

①【R4年出題】

 次のアからオの記述のうち、厚生年金保険法第38条第1項及び同法附則第17条の規定によってどちらか一方の年金の支給が停止されるものの組合せとして正しいものはいくつあるか。ただし、いずれも、受給権者は65歳に達しているものとする。

ア 老齢基礎年金と老齢厚生年金

イ 老齢基礎年金と障害厚生年金

ウ 障害基礎年金と老齢厚生年金

エ 障害基礎年金と遺族厚生年金

オ 遺族基礎年金と障害厚生年金

 

 

 

 

 

【解答】

①【R4年出題】

ア 老齢基礎年金と老齢厚生年金 → 併給できる

イ 老齢基礎年金と障害厚生年金 → 併給できない

ウ 障害基礎年金と老齢厚生年金 → 併給できる

エ 障害基礎年金と遺族厚生年金 → 併給できる

オ 遺族基礎年金と障害厚生年金 → 併給できない

どちらか一方の年金の支給が停止されるもの組み合わせは、イとオの2つです。

 

 

②【H23年出題】

 障害厚生年金は、老齢基礎年金及び付加年金並びに当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される障害基礎年金と併給できるが、遺族基礎年金とは併給できない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H23年出題】 ×

 障害厚生年金は、当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される障害基礎年金と併給できます。

障害厚生年金は、「老齢基礎年金及び付加年金」、「遺族基礎年金」とは併給できません。

 

 

②【H26年出題】

 障害基礎年金の受給権者である男性が65歳で遺族厚生年金の受給権を得た場合、それぞれを併給することができる。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H26年出題】 

 「65歳以上」の場合、「障害基礎年金」と「遺族厚生年金」は、併給することができます。

 

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社労士受験のあれこれ

社会保険労務士合格研究室

令和6年度択一式を振り返りましょう(厚生年金保険法)

R7-073 11.06

<令和6年の問題を振り返って>年金の内払調整

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、厚生年金保険法の択一式です。

 

今日のテーマは「内払」です。

「内払」とは、「払いすぎた額を今後支払う年金額から減額すること」です。(参照:日本年金機構のホームページ)

 

条文を読んでみましょう。

39

① 乙年金の受給権者が甲年金の受給権を取得したため乙年金の受給権が消滅し、又は同一人に対して乙年金の支給を停止して甲年金を支給すべき場合において、乙年金の受給権が消滅し、又は乙年金の支給を停止すべき事由が生じた月の翌月以後の分として、乙年金の支払が行われたときは、その支払われた乙年金は、甲年金の内払とみなす

② 年金の支給を停止すべき事由が生じたにもかかわらず、その停止すべき期間の分として年金が支払われたときは、その支払われた年金は、その後に支払うべき年金の内払とみなすことができる。年金を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた月の翌月以後の分として減額しない額の年金が支払われた場合における当該年金の当該減額すべきであった部分についても、同様とする。

③ 同一人に対して国民年金法による年金たる給付の支給を停止して年金たる保険給付(厚生労働大臣が支給するものに限る)を支給すべき場合において、年金たる保険給付を支給すべき事由が生じた月の翌月以後の分として同法による年金たる給付の支払が行われたときは、その支払われた同法による年金たる給付は、年金たる保険給付の内払とみなすことができる。

 

(例)①について

             消滅

乙年金

支払い

 

 

 

 

甲年金の内払とみなす

   ↓

 

 

甲年金

 

・乙年金の受給権者が甲年金の受給権を取得した

・そのため乙年金の受給権が消滅したにも関わらず

・翌月以後の分として、乙年金の支払が行われた

・払いすぎた乙年金を返還させて改めて甲年金を支払うのではなく

・支払われた乙年金は、甲年金の「内払とみなす」ことになっています。

 

令和6年の問題をどうぞ!

R6年問3-A】 

 同一人に対して国民年金法による年金たる給付の支給を停止して年金たる保険給付(厚生労働大臣が支給するものに限る。以下本肢において同じ。)を支給すべき場合において、年金たる保険給付を支給すべき事由が生じた月の翌月以後の分として同法による年金たる給付の支払いが行われたときは、その支払われた同法による年金たる給付は、年金たる保険給付の内払とみなすことができる。

 

 

 

 

 

【解答】

R6年問3-A】 〇

 同一人に対する「国民年金法による年金たる給付」と「厚生年金保険法の年金たる保険給付」も内払の調整を行うことができます。ただし「厚生年金保険法の年金たる保険給付」は、厚生労働大臣が支給するものに限られます。

(法第39条第3項)

 

 

過去問をどうぞ!

①【H25年出題】

 遺族厚生年金の受給権者が障害厚生年金の受給権を取得し、障害厚生年金の支給を選択した場合において、遺族厚生年金の支給を停止すべき事由が生じた月の翌月以後の分として遺族厚生年金の支払が行われたときは、その支払われた遺族厚生年金は、障害厚生年金の内払とみなす。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】 〇

・遺族厚生年金の受給権者が障害厚生年金の受給権を取得

・障害厚生年金の支給を選択

・にもかかわらず、遺族厚生年金の支給を停止すべき事由が生じた月の翌月以後の分として遺族厚生年金の支払が行われた

・支払われた遺族厚生年金は、障害厚生年金の内払とみなす。

 

             支給停止

遺族厚生年金

支払い

 

 

 

 

障害厚生年金の内払とみなす

   ↓

 

選択→

障害厚生年金

 

(法第39条第1項)

 

 

②【H25年出題】改正による修正あり)

 同一人に対して国民年金法による寡婦年金の支給を停止して60歳台前半の老齢厚生年金(厚生労働大臣が支給するものに限る。以下同じ。)を支給すべき場合において、老齢厚生年金を支給すべき事由が生じた月の翌月以後の分として寡婦年金の支払が行われたときは、その寡婦年金は、老齢厚生年金の内払とみなすことができる。 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H25年出題】 

             支給停止

寡婦年金

支払い

 

 

 

 

老齢厚生年金の

内払とみなすことができる。

   ↓

 

選択→

60歳台前半の老齢厚生年金

(法第39条第3項)

 

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社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(厚生年金保険法)

R7-072 11.05

<令和6年の問題を振り返って>配偶者以外の者が遺族厚生年金の受給権者の場合

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、厚生年金保険法の択一式です。

 

配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給するときのルールを確認しましょう。

条文を読んでみましょう。

60条第2

 配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給する場合において、受給権者が2人以上であるときは、それぞれの遺族厚生年金の額は、受給権者ごとに算定した額を受給権者の数で除して得た額とする。

61条第1

 配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給する場合において、受給権者の数に増減を生じたときは、増減を生じた月の翌月から、年金の額を改定する。

 

 例えば、遺族厚生年金の受給権者が、父と母の場合、それぞれの遺族厚生年金の額は、年金の額を2で割った額となります。

 

令和6年の問題をどうぞ!

R6年問5-エ】

 夫(70歳)と妻(70歳)は、厚生年金保険の被保険者期間を有しておらず、老齢基礎年金を受給している。また、夫妻と同居していた独身の子は厚生年金保険の被保険者であったが、3年前に死亡しており、夫妻は、それに基づく遺族厚生年金も受給している。この状況で夫が死亡し、遺族厚生年金の受給権者の数に増減が生じたときは、増減が生じた月の翌月から、妻の遺族厚生年金の年金額が改定される。

 

 

 

 

 

【解答】

R6年問5-エ】 〇

 遺族厚生年金の受給権者が2人(死亡した者からみると父と母)ですので、それぞれに、遺族厚生年金の額を2で割った額が支給されます。

 その後、夫(父)が死亡した場合、遺族厚生年金の受給権者は2人から1人に減少します。その場合、減少が生じた月の翌月から、母(妻)の遺族厚生年金の年金額が改定されます。

 

 

過去問をどうぞ!

①【R2年出題】

 配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給する場合において、受給権者の数に増減を生じたときは、増減を生じた月の翌月から、年金額を改定する。

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 〇

 増減を生じた月の「翌月から」、年金額が改定されます。「翌月から」がポイントです。

 

 

②【H26年出題】

 遺族厚生年金の受給権者である子が2人いる場合において、そのどちらかが死亡したときは、他の受給権者に支給される遺族厚生年金の額は、受給権者の数に減少が生じた月の翌月から改定される。

 

 

 

 

【解答】

②【H26年出題】 〇

 例えば、遺族厚生年金の受給権者である子がABの2人いる場合で、Aが死亡したときは、Bに支給される遺族厚生年金の額は、受給権者の数に減少が生じた月の翌月から改定されます。

 ちなみに、Bの年金額は、A2分の1ずつだったものが、Aの死亡によりB1人で受けることになりますので、Bの年金額は増額します。

 

 

③【H21年出題】

 被保険者期間が300月以上である被保険者の死亡により、配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給する場合において、受給権者が2人以上であるときは、それぞれの遺族厚生年金の額は、死亡した被保険者の被保険者期間を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額の計算の例により計算した額の4分の3に相当する額を受給権者の数で除して得た額である。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H21年出題】 〇

 配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給する場合で、受給権者が2人以上であるときは、それぞれの遺族厚生年金の額は、受給権者の数で除して得た額となります。

 

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社労士受験のあれこれ

遺族厚生年金の短期要件と長期要件のこと

R7-071 11.04

【社労士厚生年金】遺族厚生年金の短期要件と長期要件についてお話しします。

遺族厚生年金には短期要件と長期要件があります。

・短期要件とは?

・長期要件とは?

・短期要件と長期要件の両方に当てはまる場合があります

・短期要件と長期要件の計算式の違い

についてお話ししています。

 

YouTubeでお話ししています

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社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(厚生年金保険法)

R7-060 10.24

<令和6年度厚年>老齢厚生年金の繰下げの条件【社労士受験対策】

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、厚生年金保険法の択一式です。

 

 

老齢厚生年金の繰下げの要件について条文を読んでみましょう。

44条の31項 (支給の繰下げ)

 老齢厚生年金の受給権を有する者であってその受給権を取得した日から起算して 1年を経過した日前に当該老齢厚生年金を請求していなかったものは、実施機関に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる。

 ただし、その者が当該老齢厚生年金の受給権を取得したときに、他の年金たる給付(他の年金たる保険給付又は国民年金法による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金除く)をいう。)の受給権者であったとき、又は当該老齢厚生年金の受給権を取得した日から1年を経過した日までの間において他の年金たる給付の受給権者となったときは、この限りでない。

 

<老齢厚生年金の繰下げの申し出の条件です>

・老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して1年を経過した日前に老齢厚生年金を請求していないこと

・老齢厚生年金の受給権を取得したときに、他の年金たる給付の受給権者でないこと

・老齢厚生年金の受給権を取得した日から1年を経過した日までの間に他の年金たる給付の受給権者となっていないこと

★他の年金たる給付とは?

・他の年金たる保険給付 → 障害厚生年金、遺族厚生年金

又は

・国民年金法による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金を除く。) → 遺族基礎年金

 

 

では、令和6年の問題をどうぞ!

R6年問4

 次の記述のうち、老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができないものはいくつあるか。

 なお、いずれも、老齢厚生年金の支給繰下げの申出に係るその他の条件を満たしているものとする。

 

ア 老齢厚生年金の受給権を取得したときに障害厚生年金の受給権者であった者。

イ 老齢厚生年金の受給権を取得したときに遺族厚生年金の受給権者であった者。

ウ 老齢厚生年金の受給権を取得したときに老齢基礎年金の受給権者であった者。

エ 老齢厚生年金の受給権を取得したときに障害基礎年金の受給権者であった者。

オ 老齢厚生年金の受給権を取得したときに遺族基礎年金の受給権者であった者。

 

 

 

 

 

【解答】

ア 老齢厚生年金の受給権を取得したときに障害厚生年金の受給権者であった者は、繰下げの申出はできません

 

イ 老齢厚生年金の受給権を取得したときに遺族厚生年金の受給権者であった者は、繰下げの申出はできません

 

ウ 老齢厚生年金の受給権を取得したときに老齢基礎年金の受給権者であった者は、繰下げの申出ができます

 

エ 老齢厚生年金の受給権を取得したときに障害基礎年金の受給権者であった者は、繰下げの申出ができます

 

オ 老齢厚生年金の受給権を取得したときに遺族基礎年金の受給権者であった者は、繰下げの申出はできません

 

 老齢厚生年金の繰下げの申出ができないのは、ア、イ、オの3つです。

 

 

過去問をどうぞ!

①【R2年選択式】

 厚生年金保険法第44条の31項の規定によると、老齢厚生年金の受給権を有する者であってその< A >前に当該老齢厚生年金を請求していなかったものは、実施機関に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができるとされている。ただし、その者が当該老齢厚生年金の受給権を取得したときに、他の年金たる給付(他の年金たる保険給付又は国民年金法による年金たる給付(< B >を除く。)をいう。)の受給権者であったとき、又は当該老齢厚生年金の< A >までの間において他の年金たる給付の受給権者となったときは、この限りでないとされている。

<選択肢>

① 受給権を取得した日から起算して1か月を経過した日

② 受給権を取得した日から起算して1年を経過した日

③ 受給権を取得した日から起算して5年を経過した日

④ 受給権を取得した日から起算して6か月を経過した日

⑤ 付加年金及び障害基礎年金並びに遺族基礎年金

⑥ 老齢基礎年金及び障害基礎年金並びに遺族基礎年金

⑦ 老齢基礎年金及び付加年金並びに遺族基礎年金

⑧ 老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金

 

 

 

 

 

【解答】

A> ② 受給権を取得した日から起算して1年を経過した日

B> ⑧ 老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金

 

 

②【H28年出題】

障害基礎年金の受給権者が65歳になり老齢厚生年金の受給権を取得したものの、その受給権を取得した日から起算して1年を経過した日前に当該老齢厚生年金を請求していなかった場合、その者は、老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる。なお、その者は障害基礎年金、老齢基礎年金及び老齢厚生年金以外の年金の受給権者となったことがないものとする。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H28年出題】 〇

 老齢厚生年金の受給権を取得したときに、障害基礎年金の受給権を有していても、条件を満たせば、老齢厚生年金の繰下げの申出をすることができます。

 

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https://youtu.be/ovojzJpNRBE?si=7PYo6dIZd7kvLyiL

社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(厚生年金保険法)

R7-059 10.23

<令和6年度>厚生年金保険の不服申立ての超基本問題【社労士受験対策】

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、厚生年金保険法の択一式です。

 

厚生年金保険法の審査請求・再審査請求について条文を読んでみましょう。

90条第1項、3項、4項、5項 (審査請求及び再審査請求)

① 厚生労働大臣による被保険者の資格標準報酬又は保険給に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。ただし、第28条の4第1項又は第2項の規定による決定(厚生年金保険原簿の訂正請求に対する措置)については、この限りでない。

③ 審査請求をした日から2か月以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる

④ 審査請求並びに再審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求とみなす。

⑤ 被保険者の資格又は標準報酬に関する処分が確定したときは、その処分についての不服を当該処分に基づく保険給付に関する処分についての不服の理由とすることができない。

 

91条第1

① 厚生労働大臣による保険料その他この法律の規定による徴収金の賦課若しくは徴収の処分又は滞納処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。

 

91条の3(審査請求と訴訟との関係)

 厚生労働大臣による被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する社会保険審査官の決定を経た後でなければ、提起することができない。

 

 

下の図で確認しましょう。

(参考にどうぞ)

  第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者、第4号厚生年金被保険者の審査請求先も確認しましょう。

1) 第2号厚生年金被保険者  国家公務員共済組合審査会

2) 第3号厚生年金被保険者  地方公務員共済組合審査会

3) 第4号厚生年金被保険者  日本私立学校振興・共済事業団の共済審査会

 

 

では、令和6年の問題をどうぞ!

①【R6年問1-A

 厚生労働大臣による被保険者の資格に関する処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R6年問1-A】 ×

 厚生労働大臣による「被保険者の資格」に関する処分に不服がある者は、社会保険審査会ではなく「社会保険審査官」に対して審査請求をすることができます。

 

 

②【R6年問1-B

 厚生労働大臣による保険料の賦課の処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をすることができる。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R6年問1-B ×

 厚生労働大臣による「保険料の賦課」の処分に不服がある者は、社会保険審査官ではなく「社会保険審査会」に対して審査請求をすることができます。

 

 

 

③【R6年問1-C

 厚生労働大臣による脱退一時金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。

 

 

 

 

 

【解答】

③【R6年問1-C 〇

 厚生労働大臣による「脱退一時金」に関する処分に不服がある者は、「社会保険審査会」に対して審査請求をすることができます。

条文を読んでみましょう。

法附則第29条第6

 厚生労働大臣による脱退一時金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。

 

 

 

④【R6年問1-D

 第1号厚生年金被保険者が厚生年金保険原簿の訂正請求をしたが、厚生労働大臣が訂正をしない旨の決定をした場合、当該被保険者が当該処分に不服がある場合は、社会保険審査官に対して審査請求をすることができる。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R6年問1-D ×

厚生年金保険原簿の訂正請求に対する処分は、厚生年金保険法に基づく審査請求の対象にはなりません。当該処分に不服がある場合は、行政不服審査法に基づいて、審査請求をすることができます。

 

 

⑤【R6年問1-E

 被保険者の資格又は標準報酬に関する処分が確定した場合でも、その処分についての不服を当該処分に基づく保険給付に関する処分についての不服の理由とすることができる。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【R6年問1-E ×

 被保険者の資格又は標準報酬に関する処分が確定したときは、その処分についての不服を当該処分に基づく保険給付に関する処分についての不服の理由とすることができない。となります。

 

 

過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 第1号厚生年金被保険者の資格に関する処分に不服がある者が、平成2848日に、社会保険審査官に審査請求をした場合、当該請求日から2か月以内に決定がないときは、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなして、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 〇

 第1号厚生年金被保険者の資格に関する処分に不服がある者が、社会保険審査官に審査請求をし、当該請求日から2か月以内に決定がないときは、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる、とされています。

 

 

②【H29年出題】

 第1号厚生年金被保険者に係る厚生労働大臣による保険料の滞納処分に不服がある者は社会保険審査官に対して、また、第1号厚生年金被保険者に係る脱退一時金に関する処分に不服がある者は社会保険審査会に対して、それぞれ審査請求をすることができる。

 

 

 

 

【解答】

②【H29年出題】 ×

 第1号厚生年金被保険者に係る厚生労働大臣による保険料の滞納処分に不服がある者の審査請求先は「社会保険審査会」です。

 ちなみに、第1号厚生年金被保険者に係る脱退一時金に関する処分に不服がある者の審査請求先は「社会保険審査会」で正しいです。

 

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https://youtu.be/xcZ7lAIDsMA?si=6EfKSGC-jR5mgJF8

社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(厚生年金保険法)

R7-058 10.22

<令和6年度厚年>遺族厚生年金の原則の計算式【社労士受験対策】

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、厚生年金保険法の択一式です。

 

遺族厚生年金の額の計算式について条文を読んでみましょう。

60条第1項 (年金額)

 遺族厚生年金の額は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額とする。ただし、遺族厚生年金の受給権者が当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の支給を受けるときは、第1号に定める額とする。

1) 第59条第1項に規定する遺族(次号に掲げる遺族を除く。)が遺族厚生年金の受給権を取得したとき 

→ 死亡した被保険者又は被保険者であった者の被保険者期間を基礎として43条第1項(老齢厚生年金の額の規定の例により計算した額の4分の3に相当する額。ただし、第58条第1項第1号から第3号までのいずれかに該当することにより支給される遺族厚生年金(短期要件の遺族厚生年金)については、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300として計算した額とする。

2) 第59条第1項に規定する遺族のうち、老齢厚生年金の受給権を有する配偶者(65歳に達している者に限る。)が遺族厚生年金の受給権を取得したとき

→ 「1)原則の遺族厚生年金の額」又は次の「イ及びロに掲げる額を合算した額」のうちいずれか多い額

イ (1)に定める額(原則の遺族厚生年金の額)に3分の2を乗じて得た額

ロ 当該遺族厚生年金の受給権者の老齢厚生年金の額(加給年金額は除く。)に     2分の1を乗じて得た額 

 

 今日は(1)の原則の計算式を見ていきます。

 遺族厚生年金の原則の計算式は、

「死亡した者の老齢厚生年金の報酬比例部分平均標準報酬額×1,000分の5.481×被保険者期間の月数)×4分の3」です。

 

令和6年の問題をどうぞ!

①【R65-

 死亡した者が短期要件に該当する場合は、遺族厚生年金の年金額を算定する際に、死亡した者の生年月日に応じた給付乗率の引上げが行われる。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R65-】 ×

 死亡した者が短期要件に該当する場合は、生年月日に応じた給付乗率の引上げは行われません。

 短期要件と長期要件の違い

 

短期要件

長期要件

給付乗率

1,000分の5.481

(定率)

生年月日に応じて

1,000分の5.562

1,000分の7.308

被保険者期間の月数

300月の最低保障あり

実期間で計算

 

 

②【R6年問5-オ】

 繰下げにより増額された老齢厚生年金を受給している夫(厚生年金保険の被保険者ではない。)が死亡した場合、夫によって生計を維持されていた妻には、夫の受給していた老齢厚生年金の額(繰下げによる加算額を含む。)の4分の3が遺族厚生年金として支給される。なお、妻は老齢厚生年金の受給権を有しておらず、老齢基礎年金のみを受給しているものとする。

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【R6年問5-オ】 ×

 夫の老齢厚生年金の額の4分の3が遺族厚生年金として支給されますが、繰下げによる加算額は含まれません。

 ちなみに、妻は老齢厚生年金の受給権を有していないので、遺族厚生年金は原則の計算式で計算されます。

 

 

過去問をどうぞ!

H27年出題】(改正による修正あり)

 老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間を合算した期間が25年以上である者に限る。)が死亡したことにより支給される遺族厚生年金の額の計算における給付乗率については、死亡した者が昭和2141日以前に生まれた者であるときは、生年月日に応じた読み替えを行った乗率が適用される。

 

 

 

 

 

【解答】

H27年出題】 〇

 老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間を合算した期間が25年以上である者に限る。)の死亡は「長期要件」に該当しますので、死亡した者が昭和2141日以前に生まれた者であるときは、生年月日に応じた読み替えを行った乗率が適用されます。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/o06CH5XheX8?si=dLlAtaXFATr3vrBI

社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(厚生年金保険法)

R7-044 10.8

<令和6年度厚年>特別支給の老齢厚生年金長期加入者の特例【社労士受験対策】

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、厚生年金保険法の択一式です。

 

 

 

今日は長期加入者の特例です。

 

・長期加入者の特例は、特別支給の老齢厚生年金が「報酬比例部分のみ」になる年代が対象です。

 

例えば、昭和3242日生まれの男性は、63歳から報酬比例部分が支給されます。

 

60歳          63歳              65歳

 

報酬比例部分

老齢厚生年金

 

 

老齢基礎年金

 

 

「長期加入者の特例」の要件に該当すると、下の図のように定額部分が加算されます。

 

60歳          63歳              65歳

 

報酬比例部分

老齢厚生年金

 

定額部分

老齢基礎年金

 

また、要件を満たせば加給年金額も加算されます。

 

 

令和6年の問題をどうぞ!

R6年問9-C

 第1号厚生年金被保険者として在職中である者が、報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得したとき、第1号厚生年金被保険者としての期間が44年以上である場合は、老齢厚生年金の額の計算に係る特例の適用となり、その者の特別支給の老齢厚生年金に定額部分が加算される。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R6年問9-C】 ×

 「在職中」は、長期加入者の特例は適用されませんので、定額部分は加算されません。

(法附則第9条の3)

★長期加入者の特例が適用される条件を確認しましょう。

・厚生年金保険被保険者でないこと(=退職していること)

・厚生年金保険の被保険者期間が44年以上あること

★「障害者の特例」との違い

・「障害者の特例」は、「特例の適用を請求」することが条件ですが、「長期加入者の特例」については、特例の適用を請求する必要はありません。

 

 

過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 昭和33410日生まれの男性は、第1号厚生年金被保険者として4年、第2号厚生年金被保険者として40年加入してきた(これらの期間以外被保険者期間は有していないものとする。)。当該男性は、厚生年金保険の被保険者でなければ、63歳から定額部分と報酬比例部分の特別支給の老齢厚生年金が支給される。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 ×

 長期加入者の特例の要件は「厚生年金保険の被保険者期間が44年以上」あることです。ただし、2以上の種別の被保険者であった期間を有する場合は、「44年以上」の計算は、各号の厚生年金被保険者期間ごとに適用されます。

 問題文の場合、第1号厚生年金被保険者としての4年と第2号厚生年金被保険者としての40年は合算できません。そのため長期加入者の特例の要件を満たしませんので、63歳から支給されるのは報酬比例部分のみで、定額部分は支給されません。

(法附則第9条の3、法附則第20条第2項)

 

 

②【H28年出題】

 第1号厚生年金被保険者期間を30年と第2号厚生年金被保険者期間を14年有する昭和29102日生まれの現に被保険者でない男性は、両種別合わせた被保険者期間が44年以上であることにより、61歳から定額部分も含めた特別支給の老齢厚生年金を受給することができる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H28年出題】 ×

 第1号厚生年金被保険者期間30年と第2号厚生年金被保険者期間14年は合算できませんので、61歳から定額部分は支給されません。

(法附則第9条の3、法附則第20条第2項)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/A9ub32kNZZk?si=ERsGlYd5bzCKeflq

社労士受験のあれこれ

在職老齢年金でよく出るところ(厚生年金保険法)

R7-043 10.7

在職老齢年金の基本をお話しします【社労士受験対策】

在職老齢年金のキーワードをおさえましょう。

・「在職老齢年金」の「在職」とは?

・総報酬月額相当額とは?

・基本月額とは?

・支給停止調整額とは?

・支給停止基準額とは?

 

「加給年金額」、「繰下げ加算額」、「経過的加算額」が支給停止の対象となるか、ならないかが問われるポイントです。

 

YouTubeでお話ししています。

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社労士受験のあれこれ

遺族厚生年金は夫と妻で内容が異なります

R7-036 9.30

遺族厚生年金夫と妻の違い【社労士受験対策】

遺族厚生年金の夫と妻の違いについてお話します。

①受給権の発生要件  夫は55歳以上であること

②30歳未満で子のない妻

③中高齢寡婦加算

④夫の遺族基礎年金と遺族厚生年金

 

YouTubeでお話しています

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/RmhutYiRkkY?si=wY73CHWi3dkhYZxC

社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(厚生年金保険法)

R7-033 9.27

<令和6年度厚年>在職老齢年金の加給年金額【社労士受験対策】

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、厚生年金保険法の択一式です。

 

在職老齢年金の加給年金額のポイント!

★老齢厚生年金に加給年金額が加算されている場合

 → 基本月額は加給年金額を除いて計算します。

★在職老齢年金によって、老齢厚生年金が一部支給停止(=一部支給)される場合

 → 加給年金額は全額支給されます。

★在職老齢年金によって、老齢厚生年金が全額支給停止される場合

 → 加給年金額も全額支給停止されます。

(法第46条第1項)

 

 

令和6年の問題をどうぞ!

R6年問8-C

 加給年金額が加算されている老齢厚生年金の受給権者であっても、在職老齢年金の仕組みにより、自身の老齢厚生年金の一部の支給が停止される場合、加給年金額は支給停止となる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R6年問8-C】 ×

 在職老齢年金の仕組みにより、老齢厚生年金の一部の支給が停止される場合(=老齢厚生年金の一部が支給される場合)は、加給年金額は支給されます。

 在職老齢年金の仕組みで、老齢厚生年金が全額支給停止される場合は、加給年金額も支給停止されます。

(法第46条)

 

 

過去問をどうぞ!

R3年出題】

 在職中の老齢厚生年金の支給停止の際に用いる総報酬月額相当額とは、被保険者である日の属する月において、その者の標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額のことをいい、また基本月額とは、老齢厚生年金の額(その者に加給年金額が加算されていればそれを加算した額)を12で除して得た額のことをいう。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R3年出題】 ×

 総報酬月額相当額の定義は、問題文の通りです。

 基本月額とは、老齢厚生年金の額(その者に加給年金額が加算されていればそれを除く。)を12で除して得た額のことです。

(法第46条第1項)

 

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https://youtu.be/3LJL9_w5CY4?si=u2DTIKhJbZfEZ6ub

社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(厚生年金保険法)

R7-032 9.26

<令和6年度厚年>同月得喪の場合の被保険者期間【社労士受験対策】

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、厚生年金保険法の択一式です。

 

「被保険者期間」の計算について条文を読んでみましょう。

法第19条第1項、第2

① 被保険者期間を計算する場合には、によるものとし、被保険者の資格を取得したからその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。

② 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を1か月として被保険者期間に算入する。ただし、その月に更に被保険者又は国民年金の被保険者(国民年金法に規定する第2号被保険者を除く。)の資格を取得したときは、この限りでない。

 

ポイント!

★被保険者期間は「月単位」で計算します。

(例1)令和6221日入社・同年925日退職(26日喪失)の場合

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

取得

 

 

 

 

 

 

喪失

・被保険者の資格を取得した月(2月)からその資格を喪失した月(9月)の前月まで

・被保険者期間→ 2月から8月まで

 

(例2)令和6221日入社・同年930日退職の場合

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10

取得

 

 

 

 

 

 

 

喪失

930日退職の場合、101日が資格喪失日です。

・被保険者の資格を取得した月(2月)からその資格を喪失した月(10月)の前月まで

・被保険者期間→ 2月から9月まで

 

 

(例3)令和6103日入社・同月20日退職、その月にさらに厚生年金保険・国民年金の被保険者の資格を取得していない場合

10

取得

喪失

・資格を取得した月に資格を喪失した場合

・被保険者期間 → 1か月

 

(例4)令和6103日入社・同月20日退職、その月にさらに国民年金の第1号被保険者の資格を取得した場合

10

取得

喪失

・被保険者期間に算入しない

 

令和6年の問題をどうぞ!

R6年問3-D

 甲は、令和651日に厚生年金保険の被保険者の資格を取得したが、同月15日にその資格を喪失し、同日、国民年金の第1号被保険者の資格を取得した。この場合、同年5月分については、1か月として厚生年金保険における被保険者期間に算入する。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R6年問3-D】 ×

 厚生年金保険の資格を取得した月に資格を喪失した場合は、1か月として、厚生年金保険の被保険者期間に算入されるのが原則です。

ただし、その月にさらに国民年金の第1号被保険者の資格を取得した場合は、その月は、厚生年金保険の被保険者期間には算入されません。

 問題文は、「同年5月分については、厚生年金保険における被保険者期間に算入しない。」となります。

 

 

過去問をどうぞ!

①【R5年出題】

 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R5年出題】 〇

 被保険者期間は月単位で計算します。被保険者の「資格を取得した」からその「資格を喪失した月の前月」までを算入します。

 

 

②【R2年出題】

 厚生年金保険の保険料は、被保険者の資格を取得した月についてはその期間が1日でもあれば徴収されるが、資格を喪失した月については徴収されない。よって月末日で退職したときは退職した日が属する月の保険料は徴収されない。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R2年出題】 ×

 「厚生年金保険の保険料は、被保険者期間の計算の基礎となる各月につき、徴収するものとする。」とされています。 

    被保険者の資格を取得した月についてはその期間が1日でもあれば、厚生年金保険の保険料は徴収されます。例えば、930日に資格取得した場合でも、9月分の保険料は徴収されます。

    資格を喪失した月については、保険料は徴収されません。月末日で退職したときは、翌月1日が資格喪失日になりますので、「退職した日が属する月」の保険料は徴収されます。

    先ほどの(例2)をみてみましょう。

令和6221日入社・同年930日退職の場合

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10

取得

 

 

 

 

 

 

 

喪失

    930日退職の場合、101日が資格喪失日です。被保険者期間に算入されるのは、 2月から9月までですので、9月分(退職した日が属する月)の保険料が徴収されます。

(法第81条第2項)

 

 

③【H30年出題】

 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、例えば、平成29101日に資格取得した被保険者が、平成30330日に資格喪失した場合の被保険者期間は、平成2910月から平成302月までの5か月間であり、平成303月は被保険者期間には算入されない。なお、平成30330日の資格喪失以後に被保険者の資格を取得していないものとする。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H30年出題】 〇

 平成29101日に資格取得・平成30330日に資格喪失の場合の被保険者期間は、平成2910月から平成302月までの5か月間です。

資格を喪失した月(平成303月)は、被保険者期間には算入されません。

 

 

④【H28年出題】

 適用事業所に平成2831日に採用され、第1号厚生年金被保険者の資格を取得した者が同年320日付けで退職し、その翌日に被保険者資格を喪失し国民年金の第1号被保険者となった。その後、この者は同年41日に再度第1号厚生年金被保険者となった。この場合、同年3月分については、厚生年金保険における被保険者期間に算入されない。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H28年出題】 〇

 平成283月について

1日資格取得・20日付け退職・21日に資格喪失、さらに国民年金の第1号被保険者の資格を取得

→ 平成283月は、厚生年金保険の被保険者期間に算入されません。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/hJv4f1XuunM?si=xMdkhii10H7UYFnV

社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(厚生年金保険法)

R7-031 9.25

<令和6年度厚年>2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の加給年金額【社労士受験対策】

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、厚生年金保険法の択一式です。

 

 老齢厚生年金に加算される加給年金額については、被保険者期間が20年(240月)以上ある者で、一定の条件を満たす配偶者や子を有する場合に、加算されます。

令和6年問2の問題を解いてみましょう。

R6年問2-A】 

 甲は第1号厚生年金被保険者期間を140か月有していたが、後に第2号厚生年金被保険者期間を150か月有するに至り、それぞれの被保険者期間に基づく老齢厚生年金の受給権が同じ日に発生した(これら以外の被保険者期間は有していない。)。甲について加給年金額の加算の対象となる配偶者がいる場合、第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金に加給年金額が加算される。

 

 

 

 

 

【解答】

R6年問2-A】 ×

 加給年金額が加算される老齢厚生年金は、被保険者期間が240月以上あることが条件です。

 2以上の種別の被保険者であった期間を有する場合は、2以上の種別の被保険者であった期間に係る被保険者期間を合算して240になれば、要件を満たします。

 甲は第1号厚生年金被保険者期間140か月+第2号厚生年金被保険者期間150か月=

290か月ですので、加給年金額が加算される要件を満たします。

 なお、加給年金額は、一の年金に加算されることになり、優先順位が決まっています。

① 一の期間に基づく老齢厚生年金のうち最も早い日において受給権を取得したもの

② 最も早い日において受給権を取得した老齢厚生年金が2以上あるときは、最も長い一の期間に基づく老齢厚生年金

③ 最も長い一の期間が2以上ある場合は、次の順序

第1号厚生年金被保険者期間

第2号厚生年金被保険者期間

第3号厚生年金被保険者期間

第4号厚生年金被保険者期間

 

 甲の場合、第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金、第2号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金の受給権が同じ日に発生しています。

 そのため、加給年金額は、「最も長い一の期間」に基づく老齢厚生年金に加算されます。「第1号」厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金ではなく、長い方の「第2号厚生年金被保険者期間に基づく」老齢厚生年金に加給年金額が加算されます。

(法第78条の27、令3条の13

 

 

過去問をどうぞ!

①【H28年問5-C

 第1号厚生年金被保険者期間を170か月、第2号厚生年金被保険者期間を130か月有する昭和25年10月2日生まれの男性が、老齢厚生年金の受給権を65歳となった平成27年10月1日に取得した。この場合、一定の要件を満たす配偶者がいれば、第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金に加給年金額が加算される。なお、この者は、障害等級3級以上の障害の状態になく、上記以外の被保険者期間を有しないものとする。

 

 

 

 

【解答】

①【H28年問5-C】 〇

 第1号厚生年金被保険者期間170か月+第2号厚生年金被保険者期間130か月=300か月で、加給年金額が加算される要件を満たします。

 第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金と第2号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金の受給権を同じ日に取得していますので、期間が長い方の「第1号厚生年金被保険者期間」に基づく老齢厚生年金に加給年金額が加算されます。

(法第78条の27、令3条の13

 

 

②【H30年問4-エ】

2つの被保険者の種別に係る被保険者であった期間を有する者に、一方の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に基づく老齢厚生年金と他方の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に基づく老齢厚生年金の受給権が発生した。当該2つの老齢厚生年金の受給権発生日が異なり、加給年金額の加算を受けることができる場合は、遅い日において受給権を取得した種別に係る老齢厚生年金においてのみ加給年金額の加算を受けることができる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H30年問4-エ】 ×

2つの老齢厚生年金の受給権発生日が異なっている場合は、「遅い日」ではなく「最も早い日」に受給権を取得した種別に係る老齢厚生年金においてのみ加給年金額の加算を受けることができます。

(法第78条の27、令3条の13

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/vsvwBU0AQ4Q?si=4JlOINWPxql28pGu

社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(厚生年金保険法)

R7-030 9.24

<令和6年度厚年>2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る老齢厚生年金【社労士受験対策】

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、厚生年金保険法の択一式です。

 

 例えば、第1号厚生年金被保険者期間と第2号厚生年金被保険者期間を有する場合、老齢厚生年金の額は、それぞれの被保険者期間ごとに区分して計算します。

 

条文を読んでみましょう。

法第78条の262

 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る老齢厚生年金について、 第43条の規定(老齢厚生年金の年金額)を適用する場合においては、同条第1項に規定する被保険者であった全期間並びに同条第2項及び第3項に規定する被保険者であった期間は、各号の厚生年金被保険者期間ごとに適用し、同条第1項に規定する被保険者期間は、各号の厚生年金被保険者期間に係る被保険者期間ごとに適用し、同条第2項及び第3項に規定する被保険者の資格は、被保険者の種別ごとに適用する。

 

 例えば、第2号厚生年金被保険者期間を30年、第1号厚生年金被保険者期間を10年有する場合の老齢厚生年金の支給を図でイメージしましょう。

第2号 30

1号 10

国家公務員共済組合が支給

厚生労働大臣が支給

 

 

令和6年の問題をどうぞ!

R6年問9-B

 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る老齢厚生年金の額は、その者の2以上の種別の被保険者であった期間を合算して一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして平均標準報酬額を算出し計算することとされている。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R6年問9-B】 ×

 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る老齢厚生年金の額は、第1号厚生年被保険者期間、第2号厚生年金被保険者期間、第3号厚生年金被保険者期間、第4号厚生年金被保険者期間、各号の厚生年金被保険者期間ごとに適用して、平均標準報酬額を算出し計算します。

(第78条の262項)

 

 

過去問もどうぞ!

H29年問9

 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の老齢厚生年金の額の計算においては、その者の2以上の被保険者の種別に係る期間を合算して1の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして平均標準報酬額を算出する。

 

 

 

 

 

【解答】

H29年問9】 ×

 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の老齢厚生年金の額の計算においては、その者の2以上の被保険者の種別に係る期間を「合算」するのではなく、各号の厚生年金被保険者期間ごとに、平均標準報酬額を算出します。

(法第78条の262項)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/sfGKQmqLEPY?si=AWgFG_QqaO6kLj1f

社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返ります(厚生年金保険法)

R7-021 9.15

<令和6年度>厚生年金保険法の問題を解いてみましょう【社労士受験対策】

令和6年の問題を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、厚生年金保険の択一式です。

 

令和6年問10の問題をどうぞ!

①【R6年出題】

 厚生年金保険の被保険者であった18歳のときに初診日のある傷病について、その障害認定日において障害等級3級の障害の状態にある場合にその者が20歳未満のときは、障害厚生年金の受給権は20歳に達したときに発生する。 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R6年出題】 ×

 「初診日」に厚生年金保険の被保険者で、「障害認定日」に障害等級(1級~3級)に該当する障害の状態にある場合は、「障害認定日」に障害厚生年金の受給権が発生します。 

 初診日・障害認定日に20歳未満であっても、受給権は20歳に達したときではなく、「障害認定日」に発生します。

(法第47条)

 

 

②【R6年出題】

 障害手当金は、疾病にかかり又は負傷し、その傷病に係る初診日において被保険者であった者が、保険料納付要件を満たし、当該初診日から起算して5年を経過する日までの間にまだその傷病が治っておらず治療中の場合でも、5年を経過した日に政令で定める程度の障害の状態にあるときは支給される。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R6年出題】 ×

 障害手当金は、「初診日から起算して5年を経過する日までの間におけるその傷病の治った日において、その傷病により政令で定める程度の障害の状態にある場合」に、支給されます。

 障害手当金は、初診日から起算して5年を経過する日までの間に傷病が「治った」ことが要件です。

 問題文は、「初診日から起算して5年を経過する日までの間にまだその傷病が治っておらず治療中」となっていますので、障害手当金は支給されません。

(法第55条)

 

 

③【R6年出題】

 年金たる保険給付(厚生年金保険法の他の規定又は他の法令の規定によりその全額につき支給を停止されている年金たる保険給付を除く。)は、その受給権者の申出により、その全額の支給を停止することとされている。ただし、厚生年金保険法の他の規定又は他の法令の規定によりその額の一部につき支給を停止されているときは、停止されていない部分の額の支給を停止する。

 

 

 

 

 

【解答】

③【R6年出題】 〇

 年金の受給権者は、受給権者の意思で年金の受給を辞退することができます。

 その場合は、「受給権者の申出」により、その「全額」の支給が停止されます。「全額」辞退することが条件です。「一部」を辞退することはできません。

 ただし、厚生年金保険法の他の規定又は他の法令の規定によりその額の一部につき支給を停止されているときは、「停止されていない部分の額」の支給が停止されます。

(法第38条の2)

 

 

④【R6年出題】

 現在55歳の自営業者の甲は、20歳から5年間会社に勤めていたので、厚生年金保険の被保険者期間が5年あり、この他の期間はすべて国民年金の第1号被保険者期間で保険料はすべて納付済みとなっている。もし、甲が現時点で死亡した場合、一定要件を満たす遺族に支給される遺族厚生年金の額は、厚生年金保険の被保険者期間を300月として計算した額となる。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R6年出題】 ×

甲の年金加入歴は以下のようになります。

20歳       25歳

                    55歳

厚生年金保険(5年)

第1号被保険者(保険料すべて納付)

 遺族厚生年金は、死亡した者が、次の(1)~(4)のいずれかに該当することが条件です。なお、(1)、(2)は保険料納付要件が問われます。

1) 被保険者(失踪の宣告を受けた被保険者であつた者であって、行方不明となった当時被保険者であったものを含む。)が、死亡したとき。

2) 被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき。

3) 障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、死亡したとき。

4) 老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)又は保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が、死亡したとき。

★(1)~(3)を「短期要件」、(4)を長期要件といいます。

 甲は第2号被保険者期間が5年、第1号被保険者期間で保険料をすべて納付した期間が30年ありますので、(4)の保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が死亡したときに該当します。

1)~(3)には該当しません。

 甲は「長期要件」に該当しますので、遺族厚生年金の額を計算するときの厚生年金保険の被保険者期間は実期間の60か月となります。

 

 ちなみに、遺族厚生年金の額を計算するときの厚生年金保険の被保険者期間として300月が保障されるのは「短期要件」の場合です。

(法第58条、第60条)

 

 

⑤【R6年出題】

 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る脱退一時金については、その者の2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に係る被保険者期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有する者に係るものとみなして支給要件を判定する。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【R6年出題】 〇

 脱退一時金は、「厚生年金保険の被保険者期間が6か月以上である日本国籍を有しない者(国民年金の被保険者でないものに限る。)」で要件を満たした者に支給されます。

 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る脱退一時金は、2以上の被保険者であった期間を合算して、支給要件を判定します。

(法附則第29条、第30条)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/UzTOv7Z7vxs?si=_tzVA4-P0rhFvBb1

社労士受験のあれこれ

令和6年度の選択式を振り返ります(厚生年金保険法)

R7-011 9.5

令和6年度<厚年選択式>国庫負担・標準賞与額・受給権の保護・遺族厚生年金・障害厚生年金【社労士受験対策】

令和6年度の試験問題を振り返り、これからの勉強に役立てましょう。

今日は、厚生年金保険法の選択式です。

 

令和6年 選択問題1

 厚生年金保険法第80条第2項の規定によると、国庫は、毎年度、予算の範囲内で、厚生年金保険事業の事務(基礎年金拠出金の負担に関する事務を含む。)の執行(実施機関(厚生労働大臣を除く。)によるものを除く。)に要する< A >を負担するものとされている。

<選択肢>

「費用」、「費用の2分の1」、「費用の3分の1」、「費用の4分の3」

 

 

 

 

 

【解答】

<A>     費用

(第80条)

ポイント!

 「事務の執行(実施機関(厚生労働大臣を除く。)によるものを除く。)に要する費用」は、国庫が負担します。

 

国庫負担の過去問をどうぞ!

【H29年出題】

 厚生年金保険法第80条第1項の規定により、国庫は、毎年度、厚生年金保険の実施者たる政府が負担する< F >に相当する額を負担する。

<選択肢>

「基礎年金拠出金の額の2分の1」、「基礎年金拠出金の額の3分の1

「事務の執行に要する費用の2分の1」、「保険給付費の2分の1」

 

 

 

 

 

【解答】

<F>     基礎年金拠出金の額の2分の1

★厚生年金保険の実施者たる政府が負担する「基礎年金拠出金の額の2分の1」は、国庫が負担します。

(法第80条第1項)

 

 

令和6年 選択問題2

 実施機関は、被保険者が賞与を受けた月において、その月に当該被保険者が受けた賞与額に基づき、これに1,000円未満の端数を生じたときはこれを切り捨てて、その月における標準賞与額を決定するが、当該標準賞与額が< B >(標準報酬月額の等級区分の改定が行われたときは政令で定める額。)を超えるときは、これを< B >とする。

<選択肢>

100万円」、「150万円」、「200万円」、「250万円」

 

 

 

 

 

【解答】

<B>     150万円

(法第24条の4)

 「標準賞与額」は、賞与の額の1,000円未満を切り捨てた額で、上限は1か月当たり150万円です。

 

 

令和6年 選択問題3

 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、< C >を受ける権利を国税滞納処分により差し押える場合は、この限りでない。

<選択肢>

「遺族厚生年金」、「障害厚生年金」、「障害手当金」、「脱退一時金」

 

 

 

 

 

 

【解答】

<C> 脱退一時金

ポイント!

 法第41条第1項では、「保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、老齢厚生年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。」となっています。

 例外的に、老齢厚生年金を受ける権利は、国税滞納処分による差し押さえの対象となります。

 しかし、選択肢には「老齢厚生年金」がありません。

★附則によって、老齢厚生年金は脱退一時金と読み替えられます

 法附則第29条第9項、令第14条で、「老齢厚生年金」を「脱退一時金」と読み替えるとされています。当てはめると、「ただし、脱退一時金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。」となります。

 

 

令和6年 選択問題4

 厚生年金保険法第58条第1項第2号の規定により、厚生年金保険の被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により< D >を経過する日前に死亡したときは、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。ただし、死亡した者が遺族厚生年金に係る保険料納付要件を満たしていない場合は、この限りでない。

<選択肢>

「当該初診日から起算して3年」、「当該初診日から起算して5年」

「被保険者の資格を喪失した日から起算して3年」

「被保険者の資格を喪失した日から起算して5年」

 

 

 

 

 

【解答】

<D>    当該初診日から起算して5年

ポイント!

 厚生年金保険の被保険者の資格喪失後(会社を退職した後)に死亡した場合でも、被保険者であった間(在職中)に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したきとは、遺族厚生年金の要件を満たします。(保険料納付要件が問われます。)

 

在職中(厚生年金保険の被保険者)

退職

 

             ▲

            初診日

 

      ▲

     死亡

 

5年を経過する日前

    

 

 

 

令和6年 選択問題5

 甲(66歳)は35歳のときに障害等級3級に該当する程度の障害の状態にあると認定され、障害等級3級の障害厚生年金の受給を開始した。その後も障害の程度に変化はなく、また、老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額が障害等級3級の障害厚生年金の年金額を下回るため、65歳以降も障害厚生年金を受給している。一方、乙(66歳)は35歳のときに障害等級2級に該当する程度の障害の状態にあると認定され、障害等級2級の障害基礎年金と障害厚生年金の受給を開始した。しかし、40歳時点で障害の程度が軽減し、障害等級3級の障害厚生年金を受給することになった。その後、障害の程度に変化はないが、65歳以降は老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給している。今後、甲と乙の障害の程度が増進した場合、障害年金の額の改定請求は、< E >

<選択肢>

「甲のみが行うことができる」

「甲も乙も行うことができない」

「甲も乙も行うことができる」

「乙のみが行うことができる」

 

 

 

 

 

 

【解答】

<E>     乙のみが行うことができる

(法第52条第7項)

解くときのチェックポイント!

・年齢

甲も乙も65歳以上(66歳)

・障害基礎年金の受給権の有無

甲は障害基礎年金の受給権を「有しない」

乙は障害基礎年金の受給権を「有する」

 

では、問題のポイントを図でイメージしましょう。

こちらの動画の7:28からです。

https://youtu.be/B-p353mT2n0?si=2xHwJ36xd9dNXog1

 

条文を読んでみましょう。

法第52条第7

 障害厚生年金の額の改定の規定は、65歳以上の者であって、かつ、障害厚生年金の受給権者(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法によ障害基礎年金の受給権を有しないものに限る)については、適用しない。

 

 甲は、65歳以上かつ障害基礎年金の受給権を有しないので、額の改定請求はできません。

 乙は、65歳以上ですが、障害基礎年金の受給権を有するので、額の改定請求ができます。

 

障害基礎年金の受給権の有無がポイントです。

 詳しくは、こちらで解説しています。

問題が解ける!事後重症【社労士受験対策】

https://youtu.be/vsvaK8cf1rU?si=R6U2NqkgO2jtYWDf

 

 

過去問を解いてみましょう

R2年出題】

 障害等級2級に該当する障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が、症状が軽減して障害等級3級の程度の障害の状態になったため当該2級の障害基礎年金は支給停止となった。その後、その者が65歳に達した日以後に再び障害の程度が増進して障害等級2級に該当する程度の障害の状態になった場合、障害等級2級の障害基礎年金及び障害厚生年金は支給されない。

 

 

 

 

 

【解答】

R2年出題】 ×

 問題文の場合は、「障害基礎年金」の受給権を有するので、65歳に達した日以後に障害の程度が増進して2級の障害の状態になった場合、2級の障害基礎年金及び障害厚生年金が支給されます。

 令和6年の選択問題の「乙」がこのパターンに当たります。

(法第52条第7項)

 

 

令和6年の選択式

 1つめの国庫負担は、覚えて解く問題です。

 2つめの標準賞与額は、健康保険と比較しながら覚えましょう。

3つめの受給権の保護は、附則からの出題でしたので、少し戸惑われたのではないでしょうか。

 4つ目の遺族厚生年金の支給要件は、覚えて解く問題です。特に起算日が注意点です。

 5つ目の障害厚生年金の額の改定は、択一式で良く問われるポイントです。問題を解くポイントをうまく見つけなければならない問題です。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/B-p353mT2n0?si=cNNslRwYdGq4Uzla

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 国民年金法と厚生年金保険法の違い

R6-350 8.11 

支給停止の違い(遺族基礎年金と遺族厚生年金)【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は国民年金法と厚生年金保険法です。

 

 受給権者本人の判断で、年金の支給停止の申出をすることができます。

 まず国民年金法の条文を読んでみましょう。

国民年金法第20条の2第1

 年金給付(この法律の他の規定又は他の法令の規定によりその全額につき支給を停止されている年金給付を除く。)は、その受給権者の申出により、その全額の支給を停止する。ただし、この法律の他の規定又は他の法令の規定によりその額の一部につき支給を停止されているときは、停止されていない部分の額の支給を停止する。

 

 

厚生年金保険にも同じ規定があります。条文を読んでみましょう。

厚生年金保険法第38条の21

 年金たる保険給付(この法律の他の規定又は他の法令の規定によりその全額につき支給を停止されている年金たる保険給付を除く。)は、その受給権者の申出により、その全額の支給を停止する。ただし、この法律の他の規定又は他の法令の規定によりその額の一部につき支給を停止されているときは、停止されていない部分の額の支給を停止する。

 

 

 

では、国民年金の過去問をどうぞ!

【国民年金法H28年出題】

 子に対する遺族基礎年金は、原則として、配偶者が遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、その支給が停止されるが、配偶者に対する遺族基礎年金が国民年金法第20条の2第1項の規定に基づき受給権者の申出により支給停止されたときは、子に対する遺族基礎年金は支給停止されない。 

 

 

 

 

 

【解答】

【国民年金法H28年出題】 〇

 子に対する遺族基礎年金は、原則として、配偶者が遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、その支給が停止されます。

 ただし、配偶者に対する遺族基礎年金受給権者の申出により支給停止されたときは、子に対する遺族基礎年金は支給停止されません。 

(法第41条第2項)

 

 

次は厚生年金保険法の過去問をどうぞ!

【厚生年金保険法H30年出題】

 被保険者の死亡により、その妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、子に対する遺族厚生年金は、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給が停止されるが、妻が自己の意思で妻に対する遺族厚生年金の全額支給停止の申出をしたときは、子に対する遺族厚生年金の支給停止が解除される。

 

 

 

 

 

【解答】

【厚生年金保険法H30年出題】 ×

 子に対する遺族厚生年金は、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給が停止されます。

 妻が自己の意思で妻に対する遺族厚生年金の全額支給停止の申出をしたときでも、子に対する遺族厚生年金の支給停止は解除されません

 国民年金法との違いに注意しましょう。

(法第66条第1項)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/jvg3RJUnhY0?si=ui9-uT8s5b9qZrWm

社労士受験のあれこれ

遺族基礎年金と遺族厚生年金

R6-344 8.5

超基本!妻に支給される遺族基礎年金・遺族厚生年金【社労士受験対策】

妻に支給される遺族基礎年金と遺族厚生年金の基本をお話します。

 

★事例1

20歳から厚生年金保険の被保険者である夫(40歳)が死亡し、遺族が妻と子の場合

・遺族基礎年金の支給要件

・遺族厚生年金の支給要件

 

★事例2

20歳から厚生年金保険の被保険者である夫(59歳)が死亡し、遺族は妻(50歳)のみの場合

・遺族基礎年金は支給されない?

・遺族厚生年金の支給要件

・中高齢寡婦加算について

 

★年金額について

・65歳以上、老齢厚生年金の受給権者、配偶者の死亡による遺族厚生年金を受ける人の遺族厚生年金の計算方法

 

YouTubeでお話しています。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/NRyY5N4_wPw?si=usVQi3sUsHmHnVY9

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-340 8.1

遺族厚生年金「生計維持」について【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 

遺族厚生年金の条文を読んでみましょう。

59条第1

 遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であった者の配偶者、子、父母、孫又は祖父母であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時(失踪の宣告を受けた被保険者であった者にあっては、行方不明となった当時)その者によって生計を維持したものとする。ただし、妻以外の者にあっては、次に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。

1) 夫、父母又は祖父母については、55歳以上であること。

2) 子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、又は20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。

 

 遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持したものであることが条件です。

 

 

過去問をどうぞ!

①【R2年出題】

 老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上ある者とする。)が行方不明になり、その後失踪の宣告を受けた場合、失踪者の遺族が遺族厚生年金を受給するに当たっての生計維持に係る要件については、行方不明となった当時の失踪者との生計維持関係が問われる。

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 〇

 遺族厚生年金の生計維持に係る要件については、被保険者又は被保険者であった者の「死亡の当時」の生計維持関係が問われます。

 ただし、失踪者の遺族が遺族厚生年金を受給する場合の生計維持に係る要件については、「行方不明となった当時」の失踪者との生計維持関係が問われます。

(第59条第1項)

 

 

②【H25年出題】

 被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた子であっても、年額130万円以上の収入を将来にわたって有すると認められる場合は、その者によって生計を維持していたとは認められず、遺族厚生年金を受けることができる遺族になることはない。

 

 

 

 

【解答】

②【H25年出題】 ×

 生計を維持していたものと認めらないのは、年額130万円以上ではなく、年額850万円以上の収入を将来にわたって有すると認められる場合です。

(平成23.3.23年発03231)

 

 

R5年出題】

 被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、その者と生計を同じくしていた配偶者で、前年収入が年額800万円であった者は、定期昇給によって、近い将来に収入が年額850万円を超えることが見込まれる場合であっても、その被保険者又は被保険者であった者によって生計を維持していたと認められる。

 

 

 

 

【解答】

③【R5年出題】 〇

 前年収入が年額850万円未満であった者は、その被保険者又は被保険者であった者によって生計を維持していたと認められます。

(平成23.3.23年発03231)

 

 

④【H29年出題】

 被保険者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたが、年収850万円以上の給与収入を将来にわたって有すると認められたため、遺族厚生年金の受給権を得られなかった配偶者について、その後、給与収入が年収850万円未満に減少した場合は、当該減少したと認められたときから遺族厚生年金の受給権を得ることができる。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H29年出題】 ×

 生計維持関係は、死亡当時で認定されます。

 その後、給与収入が減少しても、遺族厚生年金の受給権を得ることはできません。

(平成23.3.23年発03231)

 

 

⑤【H27年出題】

 被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、厚生年金保険法第59条第1項に規定する遺族厚生年金を受けることができる遺族の範囲の適用については、将来に向かって、その子は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していた子とみなす。

 

 

 

 

【解答】

⑤【H27年出題】 〇

 被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、将来に向かって、その子は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していた子とみなされます。

 「将来に向かって」がポイントです。死亡した当時にさかのぼるのではなく、出生したときに、遺族として受給権を取得します。

(第59条第3項)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/z_VqjXnpqqI?si=xTErmj0uX0JP_Zem

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-339 7.31

在職定時改定をチェック!【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 

在職定時改定について条文を読んでみましょう。

43条第2

 受給権者が毎年9月1日(以下「基準日」という。)において被保険者である場合(基準日に被保険者の資格を取得した場合を除く。)の老齢厚生年金の額は、基準日の属するの被保険者であった期間をその計算の基礎とするものとし、基準日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。ただし、基準日が被保険者の資格を喪失した日から再び被保険者の資格を取得した日までの間に到来し、かつ、当該被保険者の資格を喪失した日から再び被保険者の資格を取得した日までの期間が1か月以内である場合は、基準日の属する月前の被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、基準日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。

 

★在職定時改定とは

 老齢厚生年金を受給しながら働いている(=厚生年金保険料を負担している)人について、負担した厚生年金保険料が、退職前に年金額に反映される制度です。

 前年9月から当年8月までの厚生年金保険料納付実績が、毎年10月からの年金額に反映します。

 

ポイント!

 在職定時改定が適用されるのは、65歳以上70歳未満です。

65歳未満には適用されません。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R4年出題】

 65歳以上の老齢厚生年金受給者については、毎年基準日である71日において被保険者である場合、基準日の属する月前の被保険者であった期間をその計算の基礎として、基準日の属する月の翌月から、年金額を改定する在職定時改定が導入された。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R4年出題】 ×

 在職定時改定の基準日は、71日ではなく、91日です。

(第43条第2項)

 

 

②【R5年出題】

 厚生年金保険法第43条第2項の在職定時改定の規定において、基準日が被保険者の資格を喪失した日から再び被保険者の資格を取得した日までの間に到来し、かつ、当該被保険者の資格を喪失した日から再び被保険者の資格を取得した日までの期間が1か月以内である場合は、基準日の属する月前の被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎として、基準日の属する月の翌月から年金の額を改定するものとする。

 

 

 

 

【解答】

②【R5年出題】 〇

 基準日が被保険者の資格を喪失した日から再び被保険者の資格を取得した日までの間に到来し、かつ、当該被保険者の資格を喪失した日から再び被保険者の資格を取得した日までの期間が1か月以内である場合

 基準日前に資格喪失し、1か月以内に、再び資格取得した場合、基準日に被保険者ではありませんが、在職定時改定の対象になります。例えば、826日に資格を喪失し、98日に再び被保険者の資格を取得したような場合です。

 この場合は、まだ年金額に反映されていない前年9月から当年8月までの期間が、在職定時改定によって再計算され、10月から老齢厚生年金の額に反映されます。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/kONaW7ZRj1w?si=tIzjBuDNzrjs8YWK

社労士受験のあれこれ

障害手当金の支給要件、支給されない場合、額など

R6-330 7.22

障害手当金のすべてお話します【社労士受験対策】

障害手当金は、3級よりも軽い障害が対象で、一時金で支給されます。

今日の内容は次の3つです。

①支給要件

 ポイントは、「5年以内」「傷病が治った」

②障害手当金が支給されない場合  

 よく出題されています

③障害手当金の額(最低保障額あり)

 最低保障額がポイントです。

 

YouTubeでお話しています。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/g4QMBFM7MA8?si=dlq2uFc9WIkEYS7e

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-329 7.21

厚生年金保険の被保険者になる・ならない【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

さっそく過去問をどうぞ!

H25年出題】

 次のアからオの記述のうち、厚生年金保険の被保険者とならないものの組み合わせは、後記AからEまでのうちどれか。

 

ア 船舶所有者に使用される船員であって、その者が継続して4か月を超えない期間季節的業務に使用される場合。

 

イ 適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上の者であって、老齢厚生年金、老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有しないものが、当該事業所の事業主の同意を得て厚生労働大臣の認可を受けた場合。

 

ウ 船舶所有者に臨時に使用される船員であって、その者が引き続き1か月未満の期間日々雇い入れられる場合。

 

エ 巡回興行などの所在地が一定しない事業所に使用される者であって、その者が引き続き6か月以上使用される場合。

 

オ 臨時的事業の事業所に使用される者であって、その者が継続して6か月を超えない期間使用される場合。

 

A (アとイ)

B (アとエ)

C (イとウ)

D (ウとオ)

E (エとオ)

 

 

 

 

 

【解答】

H25年出題】  E (エとオ)

 

アについて

 次に該当する者は、厚生年金保険の被保険者から除外されます。

季節的業務に使用される者(船舶所有者に使用される船員を除く。)。ただし、継続して4か月を超えて使用されるべき場合は、この限りでない。

 

ポイント!

 季節的業務に使用される者は、厚生年金保険の被保険者となりません。ただし、当初から継続して4か月を超えて使用される予定の場合は、当初から被保険者となります。

 ただし、「船舶所有者に使用される船員」の場合は、季節的業務に使用される者であっても適用除外になりませんので、被保険者となります。

(第12条第3号)

 

 

イについて

 適用事業所に使用される70歳未満の者は 当然に厚生年金保険の被保険者となります。

 ただし、適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上の者でも、以下の条件を満たせば、高齢任意加入被保険者として厚生年金保険の被保険者となることができます。

・老齢厚生年金、老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付の受給権を有しない

・事業主の同意を得て厚生労働大臣の認可を受けた

(法附則第4条の5)

 

 

ウについて

 次に該当する場合は、厚生年金保険の被保険者から除外されます。

臨時に使用される者(船舶所有者に使用される船員を除く)であって、次に掲げるもの。ただし、イに掲げる者にあつては1月を超え、ロに掲げる者にあっては定めた期間を超え、引き続き使用されるに至った場合を除く。

イ 日々雇い入れられる者

ロ 2月以内の期間を定めて使用される者であって、当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれないもの

ポイント!

・日々雇い入れられる者は厚生年金保険の被保険者となりません。ただし、1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合は、被保険者となります。

・2月以内の期間を定めて使用される者で、所定の期間を超えて使用されることが見込まれないものは厚生年金保険の被保険者となりません。ただし、所定の期間を超え、引き続き使用されるに至った場合は被保険者となります。

 ただし、「船舶所有者に使用される船員」は、臨時に使用される者でも、被保険者となります。

(第12条第1号)

 

 

エについて

次に該当する場合は、厚生年金保険の被保険者から除外されます。

所在地が一定しない事業所に使用される者

 

ポイント!

 巡回興行などの「所在地が一定しない事業所」に使用される者は、使用期間に関係なく、被保険者になりません。

(第12条第2号)

 

 

オについて

 次に該当する場合は、厚生年金保険の被保険者から除外されます。

臨時的事業の事業所に使用される者であって、その者が継続して6か月を超えない期間使用される場合。

  

ポイント!

 臨時的事業の事業所に使用される者は厚生年金保険の被保険者になりません。ただし、継続して6か月を超える予定で使用される場合は、当初から被保険者となります。

 問題文は、「その者が継続して6か月を超えない期間使用される」ですので、被保険者になりません。

(第12条第4号)

 

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https://youtu.be/9r6NoXlLzKw?si=l6J0YNgJ0xFE3Ehi

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-328 7.20

<選択式>60歳台後半の在職老齢年金のポイント!【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

選択式の過去問をどうぞ!

H28年選択式】

 厚生年金保険法第46条第1項の規定によると、60歳台後半の老齢厚生年金の受給権者が被保険者(前月以前の月に属する日から引き続き当該被保険者の資格を有する者に限る。)である日(厚生労働省令で定める日を除く。)が属する月において、その者の標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額(以下「< A >」という。)及び老齢厚生年金の額(厚生年金保険法第44条第1項に規定する加給年金額及び同法第44条の3第4項に規定する加算額を除く。以下同じ。)12で除して得た額(以下「基本月額」という。)との合計額が< B >を超えるときは、その月の分の当該老齢厚生年金について、< A >と基本月額との合計額から< B >を控除して得た額の2分の1に相当する額に12を乗じて得た額(以下「< C >」という。)に相当する部分の支給を停止する。ただし、< C >が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部(同法第44条の3に規定する加算額を除く。)の支給を停止するものとされている。

<選択肢>

① 支給調整開始額   ② 支給調整基準額   ③ 支給停止開始額

④ 支給停止額   ⑤ 支給停止基準額   ⑥ 支給停止調整額

⑦ 総報酬月額   ⑧ 総報酬月額相当額   ⑨ 定額部分   

⑩ 標準賞与月額相当額   ⑪ 平均標準報酬月額   ⑫ 報酬比例部分

 

 

 

 

 

【解答】

H28年選択式】

A ⑧ 総報酬月額相当額

B ⑥ 支給停止調整額

C ⑤ 支給停止基準額

 

★用語を確認しましょう。

・「総報酬月額相当額」とは

→標準報酬月額+その月以前の1年間の標準賞与額の総額÷12

・「基本月額」とは

→老齢厚生年金の額÷12

(加給年金額・第44条の3第4項に規定する加算額(=繰下げ加算額)を除く)

総報酬月額相当額+基本月額が「支給停止調整額」以下の場合

→老齢厚生年金は支給停止されず全額支給される

・総報酬月額相当額+基本月額が支給停止調整額を超えるときは、「支給停止基準額」が支給停止される。

支給停止基準額=(総報酬月額相当額+基本月額-支給停止調整額)×2分の1×12

・令和6年度の支給停止調整額は、50万円

・支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上の場合は、老齢厚生年金の全部が支給停止される。(繰下げ加算額は除く。)

 

 

択一式の過去問もどうぞ!

①【H22年出題】

 厚生年金保険の被保険者である老齢厚生年金の受給権者について、支給される年金額を調整する仕組みは、在職老齢年金と呼ばれる。

 

 

 

 

【解答】

①【H22年出題】 〇

 「老齢厚生年金の受給権者が被保険者である」とは、老齢厚生年金を受給しながら働いている(厚生年金保険に加入して保険料を負担している)という意味です。

 

 

②【H26年出題】

 66歳で支給繰下げの申出を行った68歳の老齢厚生年金の受給権者が被保険者となった場合、当該老齢厚生年金の繰下げ加算額は在職老齢年金の仕組みによる支給停止の対象とならない。

 

 

 

 

【解答】

②【H26年出題】 〇

 老齢厚生年金の繰下げ加算額は在職老齢年金の支給停止の対象になりません。

(第46条第1項)

 

 

③【H29年出題】

 60歳台後半の在職老齢年金の仕組みにおいて、経過的加算額及び繰下げ加算額は、支給停止される額の計算に用いる基本月額の計算の対象に含まれる。

 

 

 

 

【解答】

③【H29年出題】 ×

 経過的加算額と繰下げ加算額は、基本月額の計算の対象に含まれません。

 「繰下げ加算額」が計算に入らないのは第46条第1項に規定されています。

 「経過的加算額」が計算に入らないのは、S60法附則第62条第1項に規定されています。

 

 

④【R4年出題】

 在職中の被保険者が65歳になり老齢基礎年金の受給権が発生した場合、老齢基礎年金は在職老齢年金の支給停止額を計算する際に支給停止の対象とはならないが、経過的加算額については在職老齢年金の支給停止の対象となる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

④【R4年出題】 ×

 老齢基礎年金も経過的加算額も在職老齢年金の支給停止の対象になりません。

(第46条第1項、S60法附則第62条第1項)

 

 

⑤【H24年出題】

 60歳台後半の在職老齢年金においては、支給停止の対象となるのは老齢厚生年金と経過的加算額であり、老齢基礎年金は支給停止の対象にはならない。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【H24年出題】 ×

 経過的加算額も老齢基礎年金も在職老齢年金の支給停止の対象になりません。

(第46条第1項、S60法附則第62条第1項)

 

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https://youtu.be/oD10hMn9u-s?si=tq5uSSwwMbUfh2Gz

社労士受験のあれこれ

障害厚生年金3つの要件と額の計算

R6-323 7.15

障害厚生年金の超基本お話します【社労士受験対策】

障害厚生年金の受給権が発生する条件を障害基礎年金と比較しながらみていきます

①初診日

②保険料納付要件

③障害認定日

障害厚生年金の被保険者=原則国民年金第2号被保険者という点も意識してください 障害厚生年金の額は報酬比例です。

1・2級には加給年金額が加算されます

3級は障害基礎年金は支給されません。加給年金額も加算されません。ただし、最低保障が設けられています。

 

YouTubeでお話しています。

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-318 7.10

【選択式】3歳未満の子を養育する被保険者等の標準報酬月額の特例【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 

さっそく過去問をどうぞ!

H30年選択式】

 厚生年金保険法第26条第1項の規定によると、3歳に満たない子を養育し、又は養育していた被保険者又は被保険者であった者が、主務省令で定めるところにより実施機関に申出(被保険者にあっては、その使用される事業所の事業主を経由して行うものとする。)をしたときは、当該子を養育することとなった日(厚生労働省令で定める事実が生じた日にあっては、その日)の属する月から当該子が3歳に達したときに該当するに   < A >までの各月のうち、その標準報酬月額が当該子を養育することとなった日の属する月の前月(当該月において被保険者でない場合にあっては、当該月前           < B >における被保険者であった月のうち直近の月。以下「基準月」という。)の標準報酬月額(同項の規定により当該子以外の子に係る基準月の標準報酬月額が標準報酬月額とみなされている場合にあっては、当該みなされた基準月の標準報酬月額。以下「従前標準報酬月額」という。)を下回る月(当該申出が行われた日の属する月前の月にあっては、当該申出が行われた日の属する月の前月までの2年間のうちにあるものに限る。)については、従前標準報酬月額を当該下回る月の厚生年金保険法第43条第1項に規定する平均標準報酬額の計算の基礎となる標準報酬月額とみなすとされている。

<選択肢>

① 1年以内   ② 1年6か月以内   ③ 2年以内   ④ 6か月以内

⑤ 至った日の属する月   ⑥ 至った日の属する月の前月

⑦ 至った日の翌日の属する月   ⑧ 至った日の翌日の属する月の前月

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 至った日の翌日の属する月の前月

B ① 1年以内

(第26条第1項)

 

3歳未満の子を養育する期間の標準報酬月額の特例のイメージ

 

              子を養育する期間              3歳  

 

 

従前標準報酬月額

 

 

 

将来の年金額は、従前標準報酬月額を

標準報酬月額とみなして計算します

 

     標準報酬月額が低下

 

ポイント!

・被保険者又は被保険者であった者が、実施機関に申出をすること

・対象になる期間

→子を養育することとなった日の属する月~子が3歳に達したときに該当するに至った日の翌日の属する月の前月まで

・将来の年金額は、従前標準報酬月額をその期間の標準報酬月額とみなして計算する

・従前標準報酬月額とは

→子を養育することとなった日の属する月の前月の標準報酬月額

  ※当該月に被保険者でない場合は、当該月前1年以内における被保険者であった月  のうち直近の月。

・申出が行われた日の属する月前の月は、申出が行われた日の属する月の前月までの 2年間のうちにあるものに限って、標準報酬月額の特例が受けられる。

 

 

択一式の過去問もどうぞ!

①【H27年出題】

 9月3日に出産した被保険者について、その年の定時決定により標準報酬月額が280,000円から240,000円に改定され、産後休業終了後は引き続き育児休業を取得した。職場復帰後は育児休業等終了時改定に該当し、標準報酬月額は180,000円に改定された。この被保険者が、出産日から継続して子を養育しており、厚生年金保険法第26条に規定する養育期間標準報酬月額特例の申出をする場合の従前標準報酬月額は240,000円である。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H27年出題】 ×

 

8月

9月(出産)

 

280,000円

定時決定

240,000円

 

 従前標準報酬月額は、「子を養育することとなった日(93日)の属する月の前月の標準報酬月額」ですので、280,000円です。

(第26条第1項)

 

 

②【R3年出題】

 3歳に満たない子を養育している被保険者又は被保険者であった者が、当該子を養育することとなった日の属する月から当該子が3歳に達するに至った日の翌日の属する月の前月までの各月において、年金額の計算に使用する平均標準報酬月額の特例の取扱いがあるが、当該特例は、当該特例の申出が行われた日の属する月前の月にあっては、当該特例の申出が行われた日の属する月の前月までの3年間のうちにあるものに限られている。

 

 

 

 

【解答】

②【R3年出題】 ×

 さかのぼって特例が適用されるのは、特例の申出が行われた日の属する月前の月にあっては、当該特例の申出が行われた日の属する月の前月までの3年間ではなく、「2年間」のうちにあるものに限られます。

(第26条第1項)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/t7pPsBJbfBQ?si=-u4_q_ZGPtqBZ7Lz

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-317 7.9

【選択式】合意分割の請求【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

過去問からどうぞ!

①【R2年選択式】

 厚生年金保険法第78条の2第1項の規定によると、第1号改定者又は第2号改定者は、離婚等をした場合であって、当事者が標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき< A >について合意しているときは、実施機関に対し、当該離婚等について対象期間に係る被保険者期間の標準報酬の改定又は決定を請求することができるとされている。ただし、当該離婚等をしたときから< B >を経過したときその他の厚生労働省令で定める場合に該当するときは、この限りでないとされている。

<選択肢>

① 按分割合   ② 改定額   ③ 改定請求額   ④ 改定割合

⑤ 1年   ⑥ 2年   ⑦ 3年   ⑧ 6か月

 

 

 

 

 

【解答】

A ① 按分割合

B ⑥ 2年

(第78条の21項)

 

 

②【H29年選択式】

 合意分割で請求すべき按分割合は、当事者それぞれの対象期間標準報酬総額の合計額に対する、< C >の範囲内でそれぞれ定められなければならない。

<選択肢>

① 第1号改定者の対象期間標準報酬総額の割合を超え2分の1以下

② 第1号改定者の対象期間標準報酬総額の割合を超え第2号改定者の対象期間標準報酬総額の割合以下

③ 第2号改定者の対象期間標準報酬総額の割合を超え2分の1以下

④ 第2号改定者の対象期間標準報酬総額の割合を超え第1号改定者の対象期間標準報酬総額の割合以下

 

 

 

 

 

【解答】

③ 第2号改定者の対象期間標準報酬総額の割合を超え2分の1以下

按分割合の条文を読んでみましょう。

78条の3第1

按分割合は、当事者それぞれの対象期間標準報酬総額(対象期間に係る被保険者期間の各月の標準報酬月額と標準賞与額に当事者を受給権者とみなして対象期間の末日において適用される再評価率を乗じて得た額の総額をいう。)の合計額に対する第2号改定者対象期間標準報酬総額の割合を超え2分の1以下の範囲(以下「按分割合の範囲」という。)内で定められなければならない。

 

<按分割合>

2号改定者の対象期間標準報酬総額

1号改定者の対象期間標準報酬総額+第2号改定者の対象期間標準報酬総額

 

合意分割によって

・第2号改定者(分割を受ける側)の対象期間標準報酬総額(持ち分)が増えます。

・按分割合の上限は2分の1です。

 

 

択一式の過去問もどうぞ!

H27年出題】

 離婚等をした場合に当事者が行う標準報酬の改定又は決定の請求について、請求すべき按分割合の合意のための協議が調わないときは、当事者の一方の申立てにより、家庭裁判所は、当該対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮して、請求すべき按分割合を定めることができる。

 

 

 

 

 

【解答】

H27年出題】 〇

 

条文を読んでみましょう。

78条の2第1項、2項 (離婚等をした場合における標準報酬の改定の特例)

① 第1号改定者(被保険者又は被保険者であった者であって、標準報酬が改定されるものをいう。以下同じ。)又は第2号改定者(第1号改定者の配偶者であった者であって、標準報酬が改定され、又は決定されるものをいう。)は、離婚等(離婚(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者について、当該事情が解消した場合を除く。)、婚姻の取消しその他厚生労働省令で定める事由をいう。)をした場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、実施機関に対し、当該離婚等について対象期間(婚姻期間その他の厚生労働省令で定める期間をいう。)に係る被保険者期間の標準報酬(第1号改定者及び第2号改定者(以下これらの者を「当事者」という。)の標準報酬をいう。)の改定又は決定を請求することができる。ただし、当該離婚等をしたときから2年を経過したときその他の厚生労働省令で定める場合に該当するときは、この限りでない。

1) 当事者が標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合(当該改定又は決定後の当事者の対象期間標準報酬総額の合計額に対する第2号改定者の対象期間標準報酬総額の割合をいう。)について合意しているとき。

2家庭裁判所が請求すべき按分割合を定めたとき

② 標準報酬の改定又は決定の請求(以下「標準報酬改定請求」という。)について、当事者の合意のための協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者の一方の申立てにより、家庭裁判所は、当該対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮して、請求すべき按分割合を定めることができる。

 

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https://youtu.be/9ozE_bCEz6Q?si=uUSZcEZ4VNfH0qwp

社労士受験のあれこれ

老齢厚生年金と特別支給の老齢厚生年金

R6-316 7.8

老齢厚生年金の超基本お話します【社労士受験対策】

老齢厚生年金は65歳から老齢基礎年金の上乗せで支給されます。

また、当分の間は、60歳から65歳未満の間に、特別支給の老齢厚生年金が支給されます。

それぞれの計算式や、支給要件の違いをみていきましょう。

 

★YouTubeでお話しています。

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https://youtu.be/LPs9CH00hOE?si=ASlJIv8DWc9A_iEg

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-304 6.26

<選択式>老齢厚生年金の繰下げの申出の条件【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 

さっそく過去問からどうぞ!

R2年選択式】

 厚生年金保険法第44条の31項の規定によると、老齢厚生年金の受給権を有する者であってその< A >前に当該老齢厚生年金を請求していなかったものは、実施機関に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができるとされている。ただし、その者が当該老齢厚生年金の受給権を取得したときに、他の年金たる給付(他の年金たる保険給付又は国民年金法による年金たる給付(< B >を除く。)をいう。)の受給権者であったとき、又は当該老齢厚生年金の< A >までの間において他の年金たる給付の受給権者となったときは、この限りでないとされている。

<選択肢>

① 受給権を取得した日から起算して1か月を経過した日

② 受給権を取得した日から起算して1年を経過した日

③ 受給権を取得した日から起算して5年を経過した日

④ 受給権を取得した日から起算して6か月を経過した日

⑤ 付加年金及び障害基礎年金並びに遺族基礎年金

⑥ 老齢基礎年金及び障害基礎年金並びに遺族基礎年金

⑦ 老齢基礎年金及び付加年金並びに遺族害基礎年金

⑧ 老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金

 

 

 

 

 

【解答】

A ② 受給権を取得した日から起算して1年を経過した日

B ⑧ 老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金

(第44条の3第1項)

 

 

繰下げのポイント!

★老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して1年を経過した日前に当該老齢厚生年金を請求していないこと

★老齢厚生年金の受給権を取得したとき又は受給権を取得した日から1年を経過した日までの間に「他の年金たる給付」の受給権がある場合は、繰下げの申出ができません。

※「他の年金たる給付」は、他の年金たる保険給付(=障害厚生年金、遺族厚生年金)、国民年金の年金たる給付(「老齢基礎年金及び付加年金」、「障害基礎年金」は含まれません。)です。

(例)「老齢基礎年金+付加年金」の受給権があっても、老齢厚生年金の繰下げの申出ができます。

(例)「障害基礎年金」の受給権があっても、老齢厚生年金の繰下げの申出ができます。

 

 

択一式の過去問もどうぞ!

①【H19年出題】

 60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者であった者は、老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行うことはできない。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H19年出題】 ×

 60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者であった者でも、老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行うことができます。

(第44条の3第1項)

 

 

②【H28年出題】

 障害基礎年金の受給権者が65歳になり老齢厚生年金の受給権を取得したものの、その受給権を取得した日から起算して1年を経過した日前に当該老齢厚生年金を請求していなかった場合、その者は、老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行うことができる。なお、その者は障害基礎年金、老齢基礎年金及び老齢厚生年金以外の年金の受給権者となったことがないものとする。

 

 

 

 

【解答】

②【H28年出題】 〇

 65歳時点で、障害基礎年金の受給権者であった者でも、老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができます。

(第44条の3第1項)

 

 

③【H19年出題】

 老齢厚生年金の支給繰下げの申出は、老齢基礎年金の支給繰下げの申出と同時に行わなければならない。

 

 

 

 

【解答】

③【H19年出題】 ×

 老齢厚生年金の支給繰下げの申出は、老齢基礎年金の支給繰下げの申出と同時に行う必要はありません。どちらか一方だけ繰り下げることもできます。

(第44条の3)

 

 

 

④【R4年出題】

2つの種別の厚生年金保険の被保険者期間を有する者が、老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行う場合、両種別の被保険者期間に基づく老齢厚生年金の繰下げについて、申出は同時に行わなければならない。

 

 

 

 

【解答】

④【R4年出題】 〇

 複数の種別の厚生年金保険の被保険者期間を有する者が繰下げの申出をする場合は、すべての老齢厚生年金について、同時に繰下げの申出を行わなければなりません。

(第78条の28

 

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https://youtu.be/aeCpZ4jfNfE?si=hjY52PV1rPo8sBwi

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-293 6.15

<選択式>老齢厚生年金の額・再評価率など【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

今日は選択式の過去問です。

 

では、過去問をどうぞ!

H23年選択式】 ※改正による修正あり

 老齢厚生年金の額は、被保険者であった全期間の平均標準報酬額(被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に、厚生年金保険法別表の各号に掲げる受給権者の区分に応じてそれぞれ当該各号に定める率(以下「< A >」という。)を乗じて得た額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額をいう。)の       1,000分の< B >に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額とする。

 

 

 

 

 

 

【解答】

<A> 再評価率

<B>5.481

(第43条第1項)

 

老齢厚生年金の額の原則は、

平均標準報酬額 × 1,000分の5.481 × 被保険者期間の月数

で計算します。

 

平均標準報酬額は、

 計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に、再評価率を乗じて得た額の総額を、被保険者期間の月数で割って得た額です。

 「再評価率」とは、過去の標準報酬月額と標準賞与額を現在の価値に再評価するための率です。

 

 

 < A >については、毎年度、厚生年金保険法第43条の2第1項第1号に掲げる率(以下「< C >」という。)に第2号及び第3号に掲げる率を乗じて得た率(以下「< D >」という。)を基準として改定し、当該年度の4月以降の保険給付について適用する。

 

 

 

 

 

【解答】

<C> 物価変動率

<D> 名目手取り賃金変動率

 

CDを入れて条文を読んでみましょう。

43条の21

 再評価率については、毎年度、厚生年金保険法第43条の2第1項第1号に掲げる率(以下「物価変動率」という。)に第2号及び第3号に掲げる率を乗じて得た率(以下「名目手取り賃金変動率」という。)を基準として改定し、当該年度の4月以降の保険給付について適用する。

 

 再評価率は、毎年度改定されます。

 新規裁定者は、「名目手取り賃金変動率」を基準に改定されます。

 

 

 受給権者が65歳に達した日の属する年度の初日の属する年の< E >の年の4月1日の属する年度以後において適用される< A >(以下「基準年度以後< A >」という。)の改定については、上記2の規定にかかわらず、< C >(< C >が < D >を上回るときは、< D >)を基準とする。

 

 

 

 

 

【解答】

<E> 3年後

CDEを入れて条文を読んでみましょう。

43条の3第1項

 受給権者が65に達した日の属する年度の初日の属する年の3年後の年の4月1日の属する年度以後において適用される再評価率(以下「基準年度以後再評価率」という。)の改定については、上記2の規定にかかわらず、物価変動率(物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、名目手取り賃金変動率)を基準とする。

 

 既裁定者(68歳到達年度以後である受給権者)の再評価率は、「物価変動率」を基準に改定されます。

 ただし、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、名目手取り賃金変動率が基準となります。

 

 

こちらの問題もどうぞ!

R5年選択式】

 令和X年度の年金額改定に用いる物価変動率がプラス0.2%、名目手取り賃金変動率がマイナス0.2%、マクロ経済スライドによるスライド調整率がマイナス0.3%、前年度までのマクロ経済スライドの未調整分が0%だった場合、令和X年度の既裁定者(令和X年度が68歳到達年度以後である受給権者)の年金額は、前年度から< A >となる。なお、令和X年度においても、現行の年金額の改定ルールが適用されているものとする。

 

 

 

 

 

【解答】

<A>0.2%の引下げ

 物価変動率が「+」、名目手取り賃金変動率が「-」で、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回ります。そのため、既裁定者も「名目手取り賃金変動率」が基準となり、0.2%引き下げられます。

 なお、名目手取り賃金変動率がマイナスですので、マクロ経済スライドは行われません。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/h7bOxs3yfY4?si=ajAiPMNM0kLQwjQE

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-292 6.14

厚生年金保険法の保険料等の督促及び滞納処分【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 

督促及び滞納処分について条文を読んでみましょう。

86(保険料等の督促及び滞納処分)

① 保険料その他この法律の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は、期限を指定して、これを督促しなければならない。ただし、保険料の繰上徴収の規定により保険料を徴収するときは、この限りでない。

② 督促をしようとするときは、厚生労働大臣は、納付義務者に対して、督促状を発す

③ 督促状は、納付義務者が、健康保険法180条の規定によって督促を受ける者であるときは、同法同条の規定による督促状に併記して、発することができる

④ 督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日でなければならない。ただし、保険料の繰上げ徴収が認められる要件に該当する場合は、この限りでない。

⑤ 厚生労働大臣は、納付義務者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法の指定都市にあっては、区又は総合区とする。)に対して、その処分を請求することができる

1) 督促を受けた者がその指定の期限までに保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しないとき。

2) 保険料の繰上げ徴収が認められる要件のいずれかに該当したことにより納期を繰り上げて保険料納入の告知を受けた者がその指定の期限までに保険料を納付しないとき。

⑥ 市町村は、処分の請求を受けたときは、市町村税の例によってこれを処分することができる。この場合においては、厚生労働大臣は、徴収金の100分の4に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。

 

 

過去問をどうぞ!

①【H25年出題】

 保険料等を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は期限を指定して、これを督促しなければならない。ただし、保険料の繰上徴収の規定により保険料を徴収するときは、この限りでない。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】 〇

 保険料の繰上徴収の規定により保険料を徴収するときは、督促は行いません。

(第86条第1項)

 

 

②【H25年出題】

 保険料等の督促をしようとするときは、厚生労働大臣は、納付義務者に対して督促状を発する。保険料等の督促状は、納付義務者が健康保険法第180条の規定によって督促を受ける者であるときは、同法同条の規定による督促状により、これに代えることができる。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H25年出題】 ×

 「同法同条の規定による督促状により、これに代えることができる」ではなく、「同法同条の規定による督促状に併記して、発することができる」です。

(第86条第2項)

 

 

③【H25年出題】

 保険料等の督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日でなければならない。ただし、保険料の繰上徴収が認められる要件に該当する場合は、この限りでない。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H25年出題】 〇

 「督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日」の10日が覚えるポイントです。

(第86条第4項)

 ちなみに、保険料の繰上徴収が認められる要件は次の通りです。

85条 (保険料の繰上徴収)

① 保険料は、次の各号に掲げる場合においては、納期前であっても、すべて徴収することができる。

1) 納付義務者が、次のいずれかに該当する場合

イ 国税、地方税その他の公課の滞納によって、滞納処分を受けるとき。

ロ 強制執行を受けるとき。

ハ 破産手続開始の決定を受けたとき。

ニ 企業担保権の実行手続の開始があったとき。

ホ 競売の開始があつたとき。

② 法人たる納付義務者が、解散をした場合

③ 被保険者の使用される事業所が、廃止された場合

④ 被保険者の使用される船舶について船舶所有者の変更があった場合、又は当該船舶が滅失し、沈没し、若しくは全く運航に堪えなくなるに至った場合

 

 

④【H25年出題】

 厚生労働大臣は、督促を受けた納付義務者が指定の期限までに保険料等を納付しないとき、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法に規定される指定都市にあっては、区又は総合区とする。)に対して、その処分を請求することができる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

④【H25年出題】 〇

 なお、市町村は、処分の請求を受けたときは、市町村税の例によって処分することができます。その場合、厚生労働大臣は、徴収金の100分の4を当該市町村に交付しなければなりません。

(第86条第5項、第6項)

 

⑤【H25年出題】

 厚生労働大臣は、保険料の繰上徴収が認められる要件に該当したことにより納期を繰り上げて保険料納入の告知を受けた者が、その指定の期限までに保険料を納付しないとき、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村に対して、その処分を請求することができる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【H25年出題】 〇

 保険料の繰上徴収の要件に該当し、納期を繰り上げて保険料納入の告知を受けた者が、その指定の期限までに保険料を納付しないときは滞納処分の対象になります。

(第86条第5項第2号)

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-291 6.13

65歳以降の年金の併給ルール【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

1人に対して複数の年金の受給権が発生した場合でも、原則は「一人一年金」です。

ただし、併給が可能な組み合わせもありますので、おぼえましょう。

 

 

過去問を解きながらみていきます。

 

では過去問をどうぞ!

①【H24年出題】

 受給権者が65歳に達している場合、老齢厚生年金は、老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金と併給できるが、遺族基礎年金とは併給できない。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H24年出題】 〇

<65歳以上の老齢厚生年金について>

★併給可能な基礎年金との組み合わせ

・(老齢基礎年金+付加年金)+老齢厚生年金

・障害基礎年金+老齢厚生年金

 

老齢厚生年金

 

 

 

老齢厚生年金

 

老齢基礎年金+付加年金

 

 

 

障害基礎年金

 

★老齢厚生年金は、遺族基礎年金とは併給できません。

(第38条、附則第17条)

 

 

②【H24年出題】

 受給権者が65歳に達している場合、遺族厚生年金は、老齢基礎年金及び付加年金又は障害基礎年金と併給できる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H24年出題】 〇

<65歳以上の遺族厚生年金について>

★併給可能な基礎年金との組み合わせ

・(老齢基礎年金+付加年金)+遺族厚生年金

・障害基礎年金+遺族厚生年金

 

遺族厚生年金

 

 

 

遺族厚生年金

 

老齢基礎年金+付加年金

 

 

 

障害基礎年金

(第38条、附則第17条)

 

 

③【H24年出題】

 受給権者が65歳に達している場合の老齢厚生年金と障害基礎年金の併給について、受給権者に子がある場合であって、障害基礎年金の子に対する加算額が加算されるとき(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときを除く。)は、老齢厚生年金の当該子に対する加給年金額に相当する部分を支給停止する。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H24年出題】  〇

 条文を読んでみましょう。

44条第1

 老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が原則として240以上であるものに限る。)の額は、受給権者がその権利を取得した当時(その権利を取得した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240未満であったときは、在職定時改定又は退職時改定により当該月数が240以上となるに至った当時。)その者によって生計を維持していたその者の65歳未満の配偶者又は(18歳に達する日以後の最初の331日までの間にある子及び20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にある子に限る。)があるときは、老齢厚生年金の額に加給年金額を加算した額とする。ただし、国民年金法第33条の2第1項の規定(障害基礎年金の子の加算)により加算が行われている子があるとき(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときを除く。)は、その間、当該子について加算する額に相当する部分の支給を停止する

 

 <受給権者が65歳に達している場合の老齢厚生年金と障害基礎年金の併給>

 生計を維持している子がいる場合、老齢厚生年金も障害基礎年金も加算が行われます。その場合は、障害基礎年金に子の加算が加算され、老齢厚生年金の子の加給年金額は支給停止になります。

 

老齢厚生年金

 

 

子の加給年金額(支給停止)

 

障害基礎年金

 

 

子の加算額が加算される

 

 

④【H28年出題】

 障害等級3級の障害厚生年金の受給権者が65歳になり、老齢基礎年金の受給権を取得したとしても、それらは併給されないため、いずれか一方のみを受給することができるが、遺族厚生年金の受給権者が65歳になり、老齢基礎年金の受給権を取得したときは、それらの両方を受給することができる。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H28年出題】 〇

 

 

障害厚生年金

 

 

 

 

 

 

 

どちらか

選択

 

老齢基礎年金

 障害厚生年金と老齢基礎年金は併給できませんので、どちらかを選択します。

 

 

 

 

遺族厚生年金

 

 

老齢基礎年金

 

 受給権者が65歳以上の場合、遺族厚生年金と老齢基礎年金は併給できます。

(第38条、附則第17条)

 

 

⑤【H26年出題】

 障害基礎年金の受給権者である男性が65歳で遺族厚生年金の受給権を得た場合、それぞれを併給することができる。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【H26年出題】 〇

 

 

遺族厚生年金

 

 

障害基礎年金

 

 受給権者が65歳以上の場合、遺族厚生年金と障害基礎年金は併給できます。

(第38条、附則第17条)

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-280  6.2

(応用編)障害厚生年金5問【社労士受験対策】

過去問から学びます。

今日は厚生年金保険法です。

 

 障害厚生年金の応用問題を解きながらポイントを確認しましょう。

 

 

過去問をどうぞ!

①【H23年出題】

 障害厚生年金は、老齢基礎年金及び付加年金並びに当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される障害基礎年金と併給できるが、遺族基礎年金とは併給できない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H23年出題】 ×

 障害厚生年金は、当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される障害基礎年金と併給できます。

 しかし、「老齢基礎年金及び付加年金」、「遺族基礎年金」とは併給できません。

(第38条第1項)

 

 

H23年出題】

 障害厚生年金(その権利を取得した当時から1級又は2級に該当しないものを除く。以下本肢において同じ。)の受給権者が更に障害厚生年金の受給権を取得した場合において、新たに取得した障害厚生年金が、労働基準法第77条の規定に定める障害補償を受ける権利を取得したことによりその支給を停止すべきものであるときは、その停止すべき期間、その者に対して従前の障害厚生年金を支給する。

 

 

 

 

 

【解答】

H23年出題】 〇

2以上の障害が生じた場合>

★例えば、2級の障害厚生年金の受給権者に対して、更に2級の障害厚生年金を支給すべき事由が生じた場合は、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金が支給されます。

 

2級

障害厚生年金

 

2級

障害厚生年金

 

併 合

1級

障害厚生年金

2級

障害基礎年金

2級

障害基礎年金

1級

障害厚生年金

 この場合、従前の障害厚生年金の受給権は消滅します。

(第48条)

 

 問題文は、後から受給権を取得した障害厚生年金が、労働基準法の障害補償を受けるために支給停止されている場合の規定です。

 その場合は、その停止すべき期間、併合した障害厚生年金ではなく、従前の障害厚生年金が支給されます。

(第49条第2項)

 

 

③【H23年出題】

 障害厚生年金の受給権者は、厚生年金保険法施行令第3条の8に定める程度の障害の状態に該当しなくなったときは、速やかに、所定の事項を記載した届書を、日本年金機構に提出しなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H23年出題】 〇

 障害の程度が軽くなり、1級~3級の状態に該当しなくなったときは、障害不該当の届出が必要です。「速やかに」にも注意して下さい。

(則第48条)

 

 

 

④【H23年出題】

 傷病の初診日において65歳未満の被保険者であり、障害認定日において障害等級の 1級、2級又は3級に該当する程度の障害の状態にあり、かつ保険料納付要件を満たしているときは、当該障害に係る障害認定日が65歳に達する日前までになくても、障害厚生年金を支給する。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H23年出題】 〇

 障害厚生年金は、「初診日に厚生年金保険の被保険者」、「障害認定日に障害等級の1級、2級又は3級に該当する程度の障害の状態にある」、「保険料納付要件を満たしている」の3つの要件を満たせば、障害認定日に受給権が発生します。障害認定日の年齢は関係ありません。

(第47条)

 

 

⑤【H23年出題】

 老齢基礎年金(繰上げ支給を含む。)の受給権者又は65歳以上の者であって、かつ障害厚生年金の受給権者(当該障害厚生年金と同一事由に基づく障害基礎年金(障害の程度により支給停止となっていないものを含む。)の受給権を有しないものに限る。)は、障害の程度が増進しても障害厚生年金の額の改定請求をすることができない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【H23年出題】 〇

ポイント!

 障害厚生年金の受給権者(当該障害厚生年金と同一事由に基づく障害基礎年金(障害の程度により支給停止となっていないものを含む。)の受給権を有しないものに限る。)とは、

 ↓

1度も1級、2級に該当したことがない3級の障害厚生年金の受給権者のことです。

 

  老齢基礎年金(繰上げ支給を含む。)の受給権者又は65歳以上の3級の障害厚生年金の受給権者は、障害の程度が増進しても障害厚生年金の額の改定請求をすることができません。

 下のイメージ図をご覧ください。

 

条文を読んでみましょう。

52条第1項、2項、3項、7項、附則第16条の3第2

① 実施機関は、障害厚生年金の受給権者について、その障害の程度を診査し、その程度が従前の障害等級以外の障害等級に該当すると認めるときは、その程度に応じて、障害厚生年金の額を改定することができる。

② 障害厚生年金の受給権者は、実施機関に対し、障害の程度がしたことによる障害厚生年金の額の改定を請求することができる

③ ②の請求は、障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き、当該障害厚生年金の受給権を取得した日又は実施機関の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければ行うことができない。

⑦ ①から③までの規定は、65歳以上の者又は国民年金法の老齢基礎年金の受給権者であって、かつ、障害厚生年金の受給権者(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による障害基礎年金の受給権を有しないものに限る。)については、適用しない。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/clXrJm9BJKQ?si=SAg2UHSxM6Px55gw

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-279 6.1

障害厚生年金重要5問【社労士受験対策】

過去問から学びます。

今日は厚生年金保険法です。

 

 

障害厚生年金の重要ポイントを確認しましょう。

 

まず、障害厚生年金の受給要件について条文を読んでみましょう。

47(障害厚生年金の受給権者)

① 障害厚生年金は、疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において被保険者であった者が、当該初診日から起算して1年6か月を経過した日(その期間内にその傷病が治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)があるときは、その日とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に、その障害の程度に応じて、その者に支給する。ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。

② 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから1級、2級及び3級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。

 

 障害厚生年金は、①「初診日に厚生年金保険の被保険者であること」②「障害認定日に障害等級に該当していること」③「初診日の前日に保険料納付要件を満たしていること」の3つを満たした場合は、障害認定日に受給権が発生します。

 

 下の図でイメージしてみてください。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H22年出題】

 障害等級は、障害の程度に応じて軽度のものから1級、2級及び3級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H22年出題】 ×

 「軽度のものから」ではなく、「重度のものから1級、2級及び3級」です。

(第47条第2項)

 

 ちなみに、「国民年金法」の障害等級は、「重度のものから1級及び2級」とされています。国民年金法の障害等級には3級はありません。(国民年金法第30条第2項)

 

 

 

②【H22年出題】※改正による修正あり

 障害の程度が障害等級の1級又は2級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、受給権者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者があるときは、加給年金額を加算した額とする。

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H22年出題】 〇

障害厚生年金の加給年金額のポイント!

★対象は65歳未満の配偶者です

 「子」は障害基礎年金の加算対象になります

★加給年金額が加算されるのは1級と2級です

 「3級」には加給年金額は加算されません

★障害厚生年金の権利を取得した日の翌日以後に対象になる配偶者を有するに至った場合も対象になります

 → 配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から加給年金額が加算されます

 

条文を読んでみましょう。

 

50条の2第1項~3

① 障害の程度が障害等級の1級又は2級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、受給権者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者があるときは、障害厚生年金の額に加給年金額を加算した額とする。

② 加給年金額は、224,700円に改定率を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)とする。

③ 受給権者がその権利を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者を有するに至ったことにより加給年金額を加算することとなったときは、当該配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、障害厚生年金の額を改定する。

 

 

③【H22年出題】

 障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240か月に満たないときは、これを240か月とする。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H22年出題】 ×

240か月ではなく、300か月です。

条文を読んでみましょう。

50条第1項、2項 (障害厚生年金の額)

① 障害厚生年金の額は、老齢厚生年金の額の計算の例により計算した額とする。この場合において、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が  300に満たないときは、これを300とする

② 障害の程度が障害等級の1級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、①の額の100分の125に相当する額とする。 

★障害厚生年金は、老齢厚生年金の額の計算の例により計算した額です。

★ただし、被保険者期間の月数が300月未満の場合は、300月とみなして計算します。

1級は、2級の1.25倍の額です。

 

 

④【H22年出題】

 障害の程度が障害等級の3級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、2級に該当する者に支給する額の100分の50に相当する額とする。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H22年出題】 ×

3級の障害厚生年金の額は、「2級」の額と同じです。

 ただし、加給年金額は加算されません。

 

なお、3級の障害厚生年金には最低保障額が設定されています。

条文を読んでみましょう。

50条第3

 障害厚生年金の給付事由となった障害について国民年金法による障害基礎年金を受けることができない場合において、障害厚生年金の額が国民年金法に規定する2級の障害基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)に満たないときは、当該額とする。

 

 

⑤【H22年出題】

 障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となった障害に係る障害認定日の属する月の前月までの被保険者であった期間を、その計算の基礎とする。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【H22年出題】 ×

 障害認定日の属する月の前月までではなく、「障害認定日の属する月」までの被保険者であった期間を、その計算の基礎とします。

 

 条文を読んでみましょう。

51条 

 障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となった障害に係る障害認定日の属する月における被保険者であった期間は、その計算の基礎としない。

 

例えば障害認定日が4月に属する場合

1

2

3

4

5

6

 

 

 

障害認定日

 

 

計算に入るのは4月(障害認定日の属する月)までです。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/tFERuZbLwsI?si=Pm3LvPZaeb2J6PzD

社労士受験のあれこれ

年金制度の歴史をお話します

R6-274 5.27

年金制度のポイントは昭和36年と昭和61年【社労士受験対策】

年金制度の歴史をお話します。

<厚生年金保険と国民年金の誕生>

①船員保険制度

 昭和14年制定、昭和15年施行

 社会保険方式による日本初の公的年金制度

 など

 

②厚生年金保険法

 労働者年金保険法としてスタート

 など

 

③国民年金法

 昭和36年4月より拠出制がスタートしたことによって

国民皆年金の実現!

 

<旧法から新法へ>

基礎年金の登場 昭和61年4月

 ・昭和61年4月1日前を「旧法」、昭和61年4月1日以後を「新法」といいます

 ・年金制度が2階建てになりました

 ・国民年金の被保険者が第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者に区分されました

 

⑤新法と旧法の違い

 1 旧法は「縦割り」、新法は「2階建て」

 2 専業主婦は旧法では任意加入、新法では第3号被保険者として強制加入です

 3 船員保険は旧法では独立していましたが、新法では厚生年金に統合されました

 

詳しくは、YouTubeでお話ししています。

YouTubeをご覧ください 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/UMR4m6jvQr4?si=Be9bRoLQwbXNt3vy

 

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-266 5.19

老齢厚生年金の支給繰上げ【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

老齢厚生年金の支給繰上げについて条文を読んでみましょう。

附則第7条の31項・2項 (老齢厚生年金の支給の繰上げ)

① 当分の間、次の各号に掲げる者であって、被保険者期間を有し、かつ、60歳以上65歳未満であるもの(国民年金法の任意加入被保険者でないものに限る)は、政令で定めるところにより、65歳に達する前に、実施機関に当該各号に掲げる者の区分に応じ当該者の被保険者の種別に係る被保険者期間に基づく老齢厚生年金の支給繰上げの請求をすることができる。ただし、その者が、その請求があった日の前日において、第42条第2号に該当しないときは、この限りでない。

1) 男子又は女子(第2号厚生年金被保険者であり、若しくは第2号厚生年金被保険者期間を有する者、第3号厚生年金被保険者であり、若しくは第3号厚生年金被保険者期間を有する者又は第4号厚生年金被保険者であり、若しくは第4号厚生年金被保険者期間を有する者に限る。)であって昭和36年4月2日以後に生まれた者

2) 女子(第1号厚生年金被保険者であり、又は第1号厚生年金被保険者期間を有する者に限る。)であって昭和41年4月2日以後に生まれた者

※(3)と(4)は省略します。

② 繰上げの請求は、国民年金法の老齢基礎年金の支給繰上げの請求を行うことができる者にあっては、これらの請求と同時に行わなければならない

 

1)と(2)は、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢の引上げが完了し、老齢厚生年金の支給開始年齢が65歳からとなる世代です。 

 この世代は、60歳以上65歳未満の間に、老齢厚生年金の支給繰上げの請求をすることができます。

 

60

65

 

     老齢厚生年金

 

 

     老齢基礎年金

 

 

過去問をどうぞ!

①【R4年出題】

 老齢厚生年金の支給繰上げの請求は、老齢基礎年金の支給繰上げの請求を行うことができる者にあっては、その請求を同時に行わなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R4年出題】 〇

 老齢厚生年金の支給繰上げと老齢基礎年金の支給繰上げの請求は同時に行わなければなりません。

(附則第7条の3第2項)

 

 

②【R4年出題】

 昭和3841日生まれの男性が老齢厚生年金の支給繰上げの請求を行い、600か月から老齢厚生年金の受給を開始する場合、その者に支給する老齢厚生年金の額の計算に用いる減額率は24パーセントとなる。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R4年出題】 〇

 繰り上げた老齢厚生年金の額は、政令で定める額を減じた額となります。

(附則第7条の3第4項)

 減額率は、「1,000分の4に請求日の属する月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率」です。

 問題文の場合は、1,000分の4×60か月=24%です。

(令6条の3)

 なお、昭和3741日以前生まれの場合は、1,000分の4ではなく「1,000分の5」で計算します。

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-265 5.18

障害の状態にある子の遺族厚生年金の受給権の消滅【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 遺族厚生年金を受けることができる遺族は、「配偶者、、父母、又は祖父母で、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持したもの」です。

 このうち、「子、孫」については、「18に達する日以後の最初の3月31までの間にあるか、又は20歳未満障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと」が条件です。

 今日は、障害状態にある子、孫の遺族厚生年金の受給権の消滅についてみていきましょう。

 

条文を読んでみましょう。

63条第2

 子又は孫の有する遺族厚生年金の受給権は、次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する。

1) 子又は孫について、18に達した日以後の最初の331が終了したとき。ただし、子又は孫が障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にあるときを除く。

2) 障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子又は孫について、その事情がやんだとき。ただし、子又は孫が18に達する日以後の最初の3月31までの間にあるときを除く。

3) 子又は孫が、20に達したとき。

 

ポイント!

 国民年金法と厚生年金保険法では「障害等級」の定義が異なります。

 国民年金法では、「1級、2級」ですが、厚生年金保険法では「1級、2級、3級」です。

 厚生年金保険法の条文では、「障害等級の1級又は2級」という表現に注意してください。厚生年金保険法の条文で単に「障害等級」と書かれていれば、1級、2級、3級です。「障害等級の1級又は2級」と書かれていれば1級と2級限定です。3級は含まれません。

 

1)について

18歳に達した日以後の最初の331日が終了したときに失権

18歳年度末時点で1級・2級のときは失権しない。

2)について

1級・2級に該当しなくなったときは失権

※障害要件を満たさなくなっても18歳の年度末までは失権しない。

3)について

1級・2級でも20歳に達したときは失権

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H27年出題】※改正による修正あり 

 老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)が死亡したことにより、子が遺族厚生年金の受給権者となった場合において、その子が障害等級3級に該当する障害の状態にあるときであっても、18歳に達した日以後の最初の331日が終了したときに、子の有する遺族厚生年金の受給権は消滅する。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H27年出題】 〇

 障害の状態にあるときでも障害等級が3の場合は18歳に達した日以後の最初の331日が終了したときは、子の遺族厚生年金の受給権は消滅します。

(第63条第2項第1号)

 

 

②【R1年出題】

 障害等級2級に該当する障害の状態にある子に遺族厚生年金の受給権が発生し、16歳のときに障害等級3級に該当する障害の状態になった場合は、18歳に達した日以後の最初の331日が終了したときに当該受給権は消滅する。一方、障害等級2級に該当する障害の状態にある子に遺族厚生年金の受給権が発生し、19歳のときに障害等級3級に該当する障害の状態になった場合は、20歳に達したときに当該受給権は消滅する。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R1年出題】 ×

前半は正しいです。

 

遺族厚生年金の

受給権発生

16

3級に該当

18歳年度末

失権

 

 

 

 

 

後半は誤りです。

遺族厚生年金の

受給権発生(2級)

18歳年度末

2級)

▼(失権しない)

19

3

▼失権

 

 

 

 2級に該当する子が19歳のときに3級に該当した場合は、「20歳に達したとき」ではなく、12級に該当しなくなったとき(3級に該当したとき)に失権します。

(第63条第2項第1号)

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-251 5.4

老齢厚生年金と遺族厚生年金の調整【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 

老齢厚生年金と遺族厚生年金の両方の受給権を得た場合の調整をみていきましょう。

 

条文を読んでみましょう。

64条の2

 遺族厚生年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る)は、その受給権者が老齢厚生年金(加給年金額が加算された老齢厚生年金にあっては、加給年金額を除いた額とする。)の受給権を有するときは、当該老齢厚生年金の額に相当する部分の支給を停止する

 

 ★ 65歳以上の場合、遺族厚生年金と老齢厚生年金は併給できます。

ただし、老齢厚生年金は全額支給されますが、遺族厚生年金は「老齢厚生年金の額に相当する部分」の支給が停止されます。

 

■ 遺族厚生年金  老齢厚生年金の場合

  遺族厚生年金は、老齢厚生年金との差額部分が支給されます。

老齢厚生年金

 

遺族厚生年金

 

 

   支給される

 

   支給される

 

   支給停止

老齢厚生年金の額に相当する部分

 

■ 遺族厚生年金  老齢厚生年金の場合

  遺族厚生年金は、全額支給停止されます。

老齢厚生年金

 

遺族厚生年金

 

 

  支給される

 

 

 

  支給停止

 

 

 

 

★ 遺族厚生年金と65歳前の「特別支給の老齢厚生年金」は併給できません。どちらかを選択することになります。

 

 

過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 昭和2742日生まれの遺族厚生年金の受給権者が65歳に達し、老齢厚生年金の受給権を取得した場合、当該遺族厚生年金は、当該老齢厚生年金の額(加給年金額が加算されている場合は、その額を除く。)に相当する部分の支給が停止される。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】  〇

 遺族厚生年金の額が老齢厚生年金の額よりも高い場合は、遺族厚生年金は、老齢厚生年金との差額部分が支給されます。

(第64条の2)

 

 

②【R3年出題】

 昭和28410日生まれの女性は、65歳から老齢基礎年金を受給し、老齢厚生年金は繰下げし70歳から受給する予定でいたが、配偶者が死亡したことにより、女性が68歳の時に遺族厚生年金の受給権を取得した。この場合、68歳で老齢厚生年金の繰下げの申出をせずに、65歳に老齢厚生年金を請求したものとして遡って老齢厚生年金を受給することができる。また、遺族厚生年金の受給権を取得してからは、その老齢厚生年金の年金額と遺族厚生年金の年金額を比較して遺族厚生年金の年金額が高ければ、その差額分を遺族厚生年金として受給することができる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【R3年出題】 〇

ポイント!

 「繰上げ」は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に繰上げ請求しなければなりません。

「繰下げ」は、老齢基礎年金と老齢厚生年金のどちらか一方でも可能です。

 

 繰下げ待機中の68歳で遺族厚生年金の受給権を取得した場合、遡って65歳に達した月の翌月から老齢厚生年金を受給することができます。ただし、繰下げしませんので増額されません。

 なお、老齢厚生年金の繰下げの申出をすることもできます。その場合の増額率は遺族厚生年金の受給権を取得した時点で計算され、遺族厚生年金の受給権が発生した月の翌月から支給されます。

 

 老齢厚生年金の年金額と遺族厚生年金の年金額を比較して遺族厚生年金の年金額が高ければ、その差額分を遺族厚生年金として受給することができます。 

(第44条の3、第64条の2)

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-250 5.3

65歳以上の配偶者の遺族厚生年金の額【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 

今日は遺族厚生年金の額の算定方法をみていきます。

 

条文を読んでみましょう。

60条第1項、附則第17条の2

① 遺族厚生年金の額は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額とする。ただし、遺族厚生年金の受給権者が当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の支給を受けるときは、1に定める額とする。

(1) 死亡した被保険者又は被保険者であった者の被保険者期間を基礎として第43条第1項の規定(老齢厚生年金の額)の例により計算した額の4分の3に相当する額。ただし、短期要件のいずれかに該当することにより支給される遺族厚生年金については、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300として計算した額とする。

(2)  老齢厚生年金の受給権を有する配偶者65に達している者に限る。)が遺族厚生年金の受給権を取得したとき 

1に定める額又は次のイ及びロに掲げる額を合算した額のうちいずれか多い額

イ 1に定める額に3分の2を乗じて得た額

ロ 遺族厚生年金の受給権者の老齢厚生年金の額(加給年金額が加算された老齢厚生年金にあっては、加給年金額を除いた額とする。)2分の1を乗じて得た額

 

1遺族厚生年金の額の原則の算出方法

死亡した者の老齢厚生年金の報酬比例部分の額 × 4分の3

 

2老齢厚生年金の受給権を有する65歳以上の配偶者の場合

  次のうち、どちらか高い方の額になります。

1の計算方法による額

    又は

・「1の額×3分の2」+「本人の老齢厚生年金の額×2分の1

 

★具体的に計算しましょう。

 例えば、夫が死亡し、65歳以上で老齢厚生年金の受給権を有する妻が遺族厚生年金を受ける場合で、死亡した夫の老齢厚生年金が80万円、妻の老齢厚生年金が50万円の場合の遺族厚生年金の額はのどちらか高い方になります。

死亡した者の老齢厚生年金の報酬比例部分の額 × 4分の3

 80万円 × 4分の3 = 60万円

 

の額×3分の2」+「本人の老齢厚生年金の額×2分の1」

「60万円×3分の2」+「50万円×2分の1」= 65万円

 

遺族厚生年金の額は、高い方の65万円になります。

 

 

※なお、遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の支給を受けるときは、の額になります。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 被保険者が死亡したことによる遺族厚生年金の額は、死亡した者の被保険者期間を基礎として同法第43条第1項の規定の例により計算された老齢厚生年金の額の4分の3に相当する額とする。この額が、遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額に満たないときは、当該4分の3を乗じて得た額を遺族厚生年金の額とする。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 ×

 遺族厚生年金の額には、最低保障額は設定されていません。

(第60条第1項)

 

 

②【R3年出題】

 63歳の被保険者の死亡により、その配偶者(老齢厚生年金の受給権を有し、65歳に達している者とする。)が遺族厚生年金を受給したときの遺族厚生年金の額は、死亡した被保険者の被保険者期間を基礎として計算した老齢厚生年金の額の4分の3に相当する額と、当該遺族厚生年金の受給権者の有する老齢厚生年金の額に3分の2を乗じて計算した額のうちいずれか多い額とする。

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【R3年出題】 ×

 63歳の被保険者の死亡により、その配偶者(老齢厚生年金の受給権を有し、65歳に達している者とする。)に支給される遺族厚生年金の額は、次のうちいずれか高い方です。

・ 死亡した被保険者の被保険者期間を基礎として計算した老齢厚生年金の額の4分の3に相当する額(Aとします)

・ 「Aの額に3分の2を乗じて得た額」と「配偶者の老齢厚生年金の額(加給年金額を除いた額とする。)に2分の1を乗じて得た額」を合算した額

(第60条第1項第2号、附則第17条の2第1項)

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-249 5.2

育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

条文を読んでみましょう。

23条の2 (育児休業等を終了した際の改定)

① 実施機関は、育児・介護休業法に規定する育児休業等を終了した被保険者が、育児休業等終了日において子であって、当該育児休業等に係る3歳に満たないものを養育する場合において、その使用される事業所の事業主を経由して主務省令で定めるところにより実施機関に申出をしたときは、育児休業等終了日の翌日が属する月以後3月間(育児休業等終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が17日未満である月があるときは、その月を除く)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。ただし、育児休業等終了日の翌日に産前産後休業を開始している被保険者は、この限りでない。

② 改定された標準報酬月額は、育児休業等終了日の翌日から起算して2月を経過した日の属する月の翌月からその年の8月(当該翌月が7月から12月までのいずれかの月である場合は、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。

③ 第2号厚生年金被保険者及び第3号厚生年金被保険者について、①の規定を適用する場合においては、同項中「その使用される事業所の事業主を経由して主務省令」とあるのは、「主務省令」とする。 

 

《例えば、510日に育児休業等を終了し、3歳未満の子を養育している場合〉

★育児休業等終了日の翌日が属する月以後3月間(5月・6月・7)の報酬の総額をその期間の月数で除して得た額(平均額)を報酬月額として、標準報酬月額を改定します。

★3月間のうち、報酬支払基礎日数が17日未満の月があるときは、その月は除いて平均額を出します。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定若しくは産前産後休業を終了した際の標準報酬月額の改定を行うためには、被保険者が現に使用されている事業所において、育児休業等終了日又は産前産後休業終了日の翌日が属する月以後3か月間の各月とも、報酬支払の基礎となった日数が17日以上でなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 ×

 育児休業等を終了した際の改定も産前産後休業を終了した際の改定も、報酬支払の基礎となった日数が17日未満の月は除いて報酬月額を計算します。

(第23条の21項、第23条の3第1項)

 

 

②【R1年出題】

 月給制である給与を毎月末日に締め切り、翌月10日に支払っている場合、420日に育児休業から職場復帰した被保険者の育児休業等終了時改定は、510日に支払った給与、610日に支払った給与及び710日に支払った給与の平均により判断する。

 

 

 

 

【解答】

②【R1年出題】 ×

 「育児休業等終了日の翌日が属する月以後3月間に受けた報酬の総額」で算定します。

 4月20日に育児休業から復帰した場合は、「410日に支払った給与」、「510日に支払った給与」、「610日に支払った給与」の平均で判断します。なお、報酬支払基礎日数が17日未満の月は除外して平均します。

4月

5

6

育児休業等終了日の翌日(420日)が属する月

 

 

育児休業等終了日の翌日が属する月以後3月間

(第23条の2第1項)

 

 

③【H29年出題】

 平成28531日に育児休業を終えて同年61日に職場復帰した3歳に満たない子を養育する被保険者が、育児休業等終了時改定に該当した場合、その者の標準報酬月額は同年9月から改定される。また、当該被保険者を使用する事業主は、当該被保険者に対して同年10月に支給する報酬から改定後の標準報酬月額に基づく保険料を控除することができる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【H29年出題】 〇

5月

6月

7月

8月

9

 

育児休業等終了日の翌日(61日)が属する月

 

 

育児休業等終了日の翌日から起算して2月を経過した日の属する月の翌月

 

育児休業等終了日の翌日が属する月以後3月間

改定

 5月31日に育児休業を終了し、61日に職場復帰した場合、育児休業等終了日の翌日(61日)が属する月以後3月間(6月・7月・8月)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定します。

 標準報酬月額は、育児休業等終了日の翌日(61日)から起算して2月を経過した日の属する月の翌月9月)から改定されます。

 事業主は、「被保険者の負担すべき前月標準報酬月額に係る保険料」を報酬から控除できます。改定された9月の保険料は、10月に支給する報酬から控除することができます。

(第23条の2第2項、第84条第1項)

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-231 4.14

社労士受験のための 遺族厚生年金が支給される条件    

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 

遺族厚生年金の支給要件の条文を読んでみましょう。

58条第1

 遺族厚生年金は、被保険者又は被保険者であった者が次の各号のいずれかに該当する場合に、その者の遺族に支給する。ただし、又はに該当する場合にあっては、死亡した者につき、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。

被保険者(失踪の宣告を受けた被保険者であった者であって、行方不明となった当時被保険者であったものを含む。)が、死亡したとき。

 被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき。

 障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、死亡したとき。

 老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が25年以上である者に限る。)又は保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が25年以上である者が、死亡したとき。

 

<保険料納付要件>

の場合は、「死亡日の前日の保険料納付要件」が問われます。

・原則

 死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間中に、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が3分の2以上あること。

・特例

 令和841日前に死亡した場合(死亡日に65歳未満であること)は、死亡日の属する月の前々月までの1年間に滞納期間がないこと。(S60法附則第64条第2項)

 

過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 20歳未満の厚生年金保険の被保険者が死亡した場合、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 〇

 20歳未満でも、「厚生年金保険の被保険者」が死亡した場合は、に該当し、遺族厚生年金の支給条件を満たします。

(第58条第1項第1号)

 

 

②【H28年出題】

 保険料納付要件を満たしている被保険者が行方不明となり、その後失踪の宣告を受けた場合、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。

 

 

 

 

【解答】

②【H28年出題】 〇

「厚生年金保険の被保険者が死亡したとき」の被保険者には、「失踪の宣告を受けた被保険者であった者であって、行方不明となった当時被保険者であったもの」も含まれます。

(第58条第1項第1号)

 

 

③【H28年出題】

 保険料納付要件を満たした厚生年金保険の被保険者であった者が被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により、当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡した場合、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【H28年出題】 〇

 初診日に厚生年金保険の被保険者であった者が、資格喪失後にその傷病により、その初診日から起算して5年以内に死亡した場合は、遺族厚生年金の支給要件を満たします。「初診日」から5年以内です。「喪失日」からと間違えないようにしましょう。

(第58条第1項第2号)

 

 

 

④【H28年出題】※改正による修正あり

 国民年金の第1号被保険者期間のみを有していた者が、離婚時みなし被保険者期間を有するに至ったことにより老齢厚生年金の受給権を取得した後に死亡した場合、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。なお、設問の者は、保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が25年以上である。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H28年出題】 〇

には、「離婚時みなし被保険者期間を有する者」が含まれます。

 国民年金の第1号被保険者期間しか有していない者でも、離婚時みなし被保険者期間を有することで、老齢厚生年金の受給権が発生します。そのような者が死亡した場合、要件を満たせば、一定の遺族に遺族厚生年金が支給されます。

(第58条第1項第4号、第78条の11

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-230 4.13

(厚年)任意適用事業所の認可を受けなければならない事業主     

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

「任意適用事業所」の認可について条文を読んでみましょう。

6条第3項、4

③ 強制適用事業所以外の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所とすることができる。

④ 認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(12条(適用除外)に規定する者を除く。)2分の1以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。

 

 

「強制適用事業所」と任意適用事業所を整理しましょう。

個人経営

法人

適用業種

非適用業種

業種・人数

問わず

5人以上

5人未満

5人以上

5人未満

強制

任意

任意

任意

強制

 

 なお、令和410月から、常時5人以上の従業員を使用する士業の個人事業所(弁護士、公認会計士その他政令で定める者が法令の規定に基づき行うこととされている法律又は会計に係る業務を行う事業)は、強制適用事業になっています。

 

では、過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

 常時5人以上の従業員を使用する個人経営の畜産業者である事業主の事業所は、強制適用事業所となるので、適用事業所となるために厚生労働大臣から任意適用事業所の認可を受ける必要はない。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 × 

 「農業、林業、漁業」は、非適用業種ですので、常時5人以上の従業員を使用する個人経営の畜産業者である事業主は、適用事業所となるためには、厚生労働大臣から任意適用事業所の認可を受ける必要があります。

(第6条第3項)

 

 

②【R1年出題】

 個人経営の青果商である事業主の事業所は、常時5人以上の従業員を使用していたため、適用事業所となっていたが、その従業員数が4人になった。この場合、適用事業所として継続するためには、任意適用事業所の認可申請を行う必要がある。

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【R1年出題】 ×

 常時5人以上の従業員を使用する個人経営の青果商は強制適用事業所です。従業員数が4人になったとしても、任意適用事業所の認可があったとみなされ、適用事業所の資格は継続します。任意適用事業所の認可申請を行う必要はありません。

(第7条)

 

 

③【H28年出題】

 その事業所を適用事業所にするためには任意適用事業所の認可を受けなければならない事業主はどれか。

ア 常時5人の従業員を使用する、個人経営の旅館の事業主

イ 常時5人の従業員を使用する、個人経営の貨物積み卸し業の事業主

ウ 常時5人の従業員を使用する、個人経営の理容業の事業主

エ 常時使用している船員(船員法第1条に規定する船員)が5人から4人に減少した船舶所有者

オ 常時5人の従業員を使用する、個人経営の学習塾の事業の事業主

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【H28年出題】

ア 常時5人の従業員を使用する、個人経営の旅館の事業主について

 「宿泊業、飲食サービス業」は非適用業種です。個人経営の旅館の事業主は、その事業所を適用事業所にするためには任意適用事業所の認可を受けなければなりません。

 

イ 常時5人の従業員を使用する、個人経営の貨物積み卸し業の事業主について

 「貨物積み卸し業」は、適用業種です。常時5人の従業員を使用する、個人経営の貨物積み卸し業の事業所は強制適用事業所ですので、認可は不要です。

 

ウ 常時5人の従業員を使用する、個人経営の理容業の事業主について

 「理容業、美容業」、「娯楽業」は非適用業種です。個人経営の理容業の事業主は、その事業所を適用事業所にするためには任意適用事業所の認可を受けなければなりません。

 

エ 常時使用している船員が5人から4人に減少した船舶所有者について

 「船員法第1条に規定する船員として船舶所有者に使用される者が乗り組む船舶」は厚生年金保険の強制適用事業所です。人数に関係なく強制適用事業所となります。

(法第6条第1項第3号)

 

オ 常時5人の従業員を使用する、個人経営の学習塾の事業の事業主について

 「教育、学習支援業」は適用業種です。常時5人の従業員を使用する、個人経営の学習塾の事業は強制適用事業所ですので、認可は不要です。

 

 

適用事業所にするためには任意適用事業所の認可を受けなければならない事業主は、 アとウです。 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/fo4HUxpTmpo?si=dX5li6vmZM5irBlf

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-216

R6.3.30 加給年金額の調整(老齢厚生年金と障害基礎年金)

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

「加給年金額」が加算される条件を条文で読んでみましょう。

44条第1項 (加給年金額)

 老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る。)の額は、受給権者がその権利を取得した当時(その権利を取得した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240未満であったときは、在職定時改定又は退職時改定により当該月数が240以上となるに至った当時。)その者によって生計を維持していたその者の65歳未満の配偶者又は(18歳に達する日以後の最初の331日までの間にある子及び20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にある子に限る。)があるときは、老齢厚生年金の額に加給年金額を加算した額とする。 

 ただし、国民年金法の障害基礎年金の規定により加算が行われている子があるとき(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときを除く。)は、その間、当該子について加算する額に相当する部分の支給を停止する

 

★老齢厚生年金(被保険者期間が240月(20年)以上あること)の受給権を取得した当時、その者によって生計を維持していたその者の65歳未満の配偶者又は子があるときは、加給年金額が加算されます。

(詳しくは、昨日の記事をどうぞ)

 

今日は、ただし以下の部分をみていきます。

65歳以上の者は、障害基礎年金と老齢厚生年金を併給できます。

障害基礎年金に子の加算が行われているときは、その間、老齢厚生年金の子についての加給年金額は支給停止されます。

障害基礎年金と老齢厚生年金に二重に子に対する加給年金額が加算されることを防ぐための規定です。

 

老齢厚生年金

 

→子の加給年金額(支給停止)

障害基礎年金

 

→子の加算額が加算される

 

 

 

過去問をどうぞ!

①【H24年出題】

65歳に達している受給権者に係る老齢厚生年金と障害基礎年金の併給について、受給権者に子がある場合であって、障害基礎年金の子に対する加算額が加算されるとき(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときを除く。)は、老齢厚生年金の当該子に対する加給年金額に相当する部分を支給停止する。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H24年出題】 〇 

 老齢厚生年金と障害基礎年金を併給する場合、障害基礎年金の子に対する加算額が加算されるときは、老齢厚生年金の子に対する加給年金額は支給が停止されます。

(第44条第1項)

 

 

 

②【H29年出題】

 子の加算額が加算された障害基礎年金の支給を受けている者に、当該子に係る加給年金額が加算された老齢厚生年金が併給されることとなった場合、当該老齢厚生年金については、当該子について加算する額に相当する部分の支給が停止される。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H29年出題】 〇 

 ①と同じ問題です。子の加算額が加算された障害基礎年金と子に係る加給年金額が加算された老齢厚生年金が併給される場合は、老齢厚生年金の子の加給年金額は支給が停止されます。

(第44条第1項)

 

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https://youtu.be/rLr68qJSwg8?si=8puPV1XSCd2j-Fac

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-215

R6.3.29 加給年金額が加算される条件

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

「加給年金額」が加算される条件を条文で読んでみましょう。

44条第1項 (加給年金額)

 老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る。)の額は、受給権者がその権利を取得した当時(その権利を取得した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240未満であったときは、在職定時改定又は退職時改定により当該月数が240以上となるに至った当時。)その者によって生計を維持していたその者の65歳未満の配偶者又は(18歳に達する日以後の最初の331日までの間にある子及び20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にある子に限る。)があるときは、老齢厚生年金の額に加給年金額を加算した額とする。 

 ただし、国民年金法の障害基礎年金の規定により加算が行われている子があるとき(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときを除く。)は、その間、当該子について加算する額に相当する部分の支給を停止する。

 

 

加給年金額が加算される要件を確認しましょう。

★老齢厚生年金(被保険者期間が240月(20年)以上あること)の受給権を取得した当時、その者によって生計を維持していたその者の65歳未満の配偶者又は子があるときに加給年金額が加算されます。

 

★老齢厚生年金の受給権を取得した当時、被保険者期間が240月未満の場合

→老齢厚生年金の受給権取得後も厚生年金保険に加入し、在職定時改定又は退職時改定で年金額が再計算されたときに240月以上になった場合は、そのときに生計を維持していたその者の65歳未満の配偶者又は子があるときは、加給年金額が加算されます。

 

★加給年金額が加算される老齢厚生年金は、被保険者期間が240月(20年)以上あることが条件ですが、中高齢の資格期間短縮特例に該当する場合は、15年~19年でも要件を満たします。

 

では、過去問をどうぞ!

H30年出題】

 被保険者である老齢厚生年金の受給権者は、その受給権を取得した当時、加給年金額の対象となる配偶者がいたが、老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240未満であったため加給年金額が加算されなかった。その後、被保険者資格を喪失した際に、被保険者期間の月数が240以上になり、当該240以上となるに至った当時、加給年金額の対象となる配偶者がいたとしても、当該老齢厚生年金の受給権を取得した当時における被保険者期間が240未満であるため、加給年金額が加算されることはない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H30年出題】 × 

 被保険者資格を喪失し、年金額を再計算した際に、被保険者期間の月数が240以上になり、その時点で、加給年金額の対象となる配偶者がいた場合は、加給年金額が加算されます。

(第44条第1項) 

 

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https://youtu.be/UvMdK_v1vHw?si=GhvV7Wua2jgl3UH7

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-200

R6.3.14 受給権者の申出による支給停止

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

条文を読んでみましょう。

38条の2第1項・3項 (受給権者の申出による支給停止)

① 年金たる保険給付(この法律の他の規定又は他の法令の規定によりその全額につき支給を停止されている年金たる保険給付を除く。)は、その受給権者の申出により、その全額の支給を停止する。ただし、この法律の他の規定又は他の法令の規定によりその額の一部につき支給を停止されているときは、停止されていない部分の額の支給を停止する。

③ ①の申出は、いつでも、将来に向かって撤回することができる

 

 

 年金の支給停止を希望する受給権者は、申出により年金の「全額」を支給停止(辞退)することができます。

 申出により辞退できるのは「全額」です。一部だけの辞退はできません。

 また、いつでも、支給停止の撤回の申出をすることができます。

 

過去問をどうぞ!

①【R2年出題】

 年金たる保険給付は、厚生年金保険法の他の規定又は同法以外の法令の規定によりその額の一部につき支給を停止されている場合は、その受給権者の申出により、停止されていない部分の額の支給を停止することとされている。

 

 

②【H26年出題】

 受給権者の申出による年金たる保険給付の支給停止について、この申出は、老齢基礎年金と老齢厚生年金のような支給事由が同一の年金がある場合には同時に行わなければならない。

 

③【H20年出題】

 厚生年金保険法第38条の2に規定される受給権者の申出による年金たる保険給付の支給停止は、申出を行った日の属する月の翌月から支給停止される。また、支給停止の申出を撤回したときは、その旨の申出を行った日の属する月の翌月から支給が開始される。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 〇 

 年金がその額の一部につき支給を停止されている場合は、「停止されていない部分の額」の支給停止の申出をすることができます。

(第38条の21項ただし書)

 

 

②【H26年出題】 × 

 老齢基礎年金と老齢厚生年金のように支給事由が同一の年金がある場合には同時に行わなければならない、という規定はありません。

 老齢基礎年金、老齢厚生年金はそれぞれ別個に支給停止の申出ができます。

 

<特例があります>

2以上の種別の被保険者であった期間を有する場合は特例があります。

7823

2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る年金たる保険給付の受給権者について、一の期間に基づく第38条の2第1項に規定する年金たる保険給付についての支給停止の申出又は撤回は、当該一の期間に基づく年金たる保険給付と同一の支給事由に基づく他の期間に基づく年金たる保険給付についての当該申出又は当該撤回と同時に行わなければならない

 

 

 ③【H20年出題】 〇 

・受給権者が支給停止の申出をしたとき

→申出を行った日の属する月の翌月から支給停止されます。

・支給停止の申出を撤回したとき

→撤回の申出を行った日の属する月の翌月から支給が開始されます。

条文を確認しましょう。

36条第2

 年金は、その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた月の翌月からその事由が消滅したまでの間は、支給しない。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/75L-iVIA3z4?si=yIj_ECGJZUndxTGK

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-199

R6.3.13 併給可能な組み合わせ

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 

条文を読んでみましょう。

38条第1項、附則第17条 (併給の調整)

障害厚生年金は、その受給権者が他の年金たる保険給付又は国民年金法による年金たる給付(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される障害基礎年金を除く。)を受けることができるときは、その間、その支給を停止する。

老齢厚生年金の受給権者が他の年金たる保険給付(遺族厚生年金(その受給権者が65に達しているものに限る。)を除く。)又は同法による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金(その受給権者が65に達しているものに限る。)を除く。)を受けることができる場合における当該老齢厚生年金

及び

遺族厚生年金の受給権者が他の年金たる保険給付(老齢厚生年金(その受給権者が65に達しているものに限る。)を除く。)又は同法による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金(その受給権者が65に達しているものに限る。)障害基礎年金(その受給権者が65に達しているものに限る。)並びに当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される遺族基礎年金を除く。)を受けることができる場合における当該遺族厚生年金についても、同様とする。

 

 

★年金は「1人1年金」が原則です。2つ以上の年金を受けることができる場合は、いずれか1つを選択し受給します。なお、選択しなかった年金は支給停止となります。

 

★同じ理由の年金は、基礎年金と厚生年金の2階建てで支給されます。

老齢厚生年金

 

 

障害厚生年金

 

遺族厚生年金

老齢基礎年金

 

 

障害基礎年金

 

遺族基礎年金

 

 

65歳以降のみ可能な組み合わせがあります。

遺族厚生年金

 

 

遺族厚生年金

老齢厚生年金

老齢基礎年金

 

 

老齢基礎年金

 

 

老齢厚生年金

 

 

遺族厚生年金

 

遺族厚生年金

老齢厚生年金

障害基礎年金

 

 

障害基礎年金

 

障害基礎年金

 

 

65歳以上の組み合わせのポイント!

 

老齢・遺族

 

 

老齢・障害

 

 

← 自身が負担した保険料を反映させるため

 

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H30年出題】

 障害厚生年金及び当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づく障害基礎年金の受給権者が60歳に達して特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した場合、当該障害厚生年金と当該特別支給の老齢厚生年金は併給されないのでどちらか一方の選択になるが、いずれを選択しても当該障害基礎年金は併給される。

 

 

②【H23年出題】

 障害厚生年金は、老齢基礎年金及び付加年金並びに当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される障害基礎年金と併給できるが、遺族基礎年金とは併給できない。

 

 

③【H24年出題】

 受給権者が65歳に達している場合、老齢厚生年金は、老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金と併給できるが、遺族基礎年金とは併給できない。

 

 

④【H24年出題】

 受給権者が65歳に達している場合、遺族厚生年金は、老齢基礎年金及び付加年金又は障害基礎年金と併給できる。

 

 

⑤【H26年出題】

 障害基礎年金の受給権者である男性が65歳で遺族厚生年金の受給権を得た場合、それぞれを併給することができる。

 

 

⑥【H28年出題】

 障害等級3級の障害厚生年金の受給権者が65歳になり、老齢基礎年金の受給権を取得したとしても、それらは併給されないため、いずれか一方のみを受給することができるが、遺族厚生年金の受給権者が65歳になり、老齢基礎年金の受給権を取得したときは、それらの両方を受給することができる。

 

 

⑦【R4年出題】

 次のアからオの記述のうち、厚生年金保険法第38条第1項及び同法附則第17条の規定によってどちらか一方の年金の支給が停止されるものの組合せとして正しいものはいくつあるか。ただし、いずれも、受給権者は65歳に達しているものとする。

ア 老齢基礎年金と老齢厚生年金

イ 老齢基礎年金と障害厚生年金

ウ 障害基礎年金と老齢厚生年金

エ 障害基礎年金と遺族厚生年金

オ 遺族基礎年金と障害厚生年金

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年出題】 × 

60歳で(A)「障害基礎年金+障害厚生年金」と(B)「特別支給の老齢厚生年金」の受給権がある場合は、(A)と(B)のどちらか一方を選択します。

 (B)を選択した場合、障害基礎年金は併給されません。

(第38条第1項)

 

②【H23年出題】 × 

 障害厚生年金は、当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される障害基礎年金と併給できます。

 しかし、「老齢基礎年金及び付加年金」、「遺族基礎年金」とは併給できません。

(第38条第1項)

 

 

③【H24年出題】 〇 

65歳に達していても、老齢厚生年金は遺族基礎年金とは併給できません。

(第38条第1項、附則第17条)

 

 

④【H24年出題】 〇

65歳に達している場合、「(老齢基礎年金及び付加年金)+(遺族厚生年金)」又は「(障害基礎年金)+(遺族厚生年金)」の組み合わせができます。

(第38条第1項、附則第17条)

 

 

⑤【H26年出題】 〇

65歳以上の場合、遺族厚生年金と障害基礎年金は併給されます。

(第38条第1項、附則第17条)

 

 

⑥【H28年出題】 〇

65歳以上でも、「障害厚生年金」と「老齢基礎年金」は併給されません。

「遺族厚生年金」と「老齢基礎年金」は65歳以上の場合は併給されます。

(第38条第1項、附則第17条)

 

 

⑦【R4年出題】

ア 老齢基礎年金と老齢厚生年金 → 同一事由なので併給される

イ 老齢基礎年金と障害厚生年金 → 併給されない

ウ 障害基礎年金と老齢厚生年金 → 65歳以上の場合併給される

エ 障害基礎年金と遺族厚生年金 → 65歳以上の場合併給される

オ 遺族基礎年金と障害厚生年金 → 併給されない

 

「どちらか一方の年金の支給が停止されるものの組合せ」は、イとオの2つです。

(第38条第1項、附則第17条) 

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-185 

R6.2.28 年金の支給期間と支払期月

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 条文を読んでみましょう。

36条 (年金の支給期間及び支払期月)

① 年金の支給は、年金を支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、権利が消滅したで終るものとする。

② 年金は、その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた月の翌月からその事由が消滅したまでの間は、支給しない。

③ 年金は、毎年2月、4月、6月、8月、10月及び126期に、それぞれその前月分までを支払う。ただし、前支払期月に支払うべきであった年金又は権利が消滅した場合若しくは年金の支給を停止した場合におけるその期の年金は、支払期月でない月であっても、支払うものとする。

 

  年金の支給・支給停止は、月単位で行われ、「翌月」から「消滅月」までです。

3月

4月

10月

11

受給権発生

開始

消滅

 

 例えば、3月に年金の受給権が発生し10月に権利が消滅した場合は、年金は4月から10月まで支給されます。

 

 年金は、6期にわけて偶数月に支払われ、後払いです。例えば、2月に支払われる年金は、12月分と1月分です。

 

過去問をどうぞ!

①【H26年出題】

 年金は、年6期に分けて偶数月にそれぞれの前月分までが支払われることとなっており、前支払期月に支払うべきであった年金についても次の偶数月に支払われ、奇数月に支払われることはない。

 

 

②【H28年出題】

 障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合の障害厚生年金は、原則として障害認定日の属する月の翌月分から支給される。ただし、障害認定日が月の初日である場合にはその月から支給される。

 

 

③【H30年出題】

 第1号厚生年金被保険者が月の末日に死亡したときは、被保険者の資格喪失日は翌月の1日になるが、遺族厚生年金の受給権は死亡した日に発生するので、当該死亡者の遺族が遺族厚生年金を受給できる場合には、死亡した日の属する月の翌月から遺族厚生年金が支給される。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H26年出題】 ×

 「前支払期月に支払うべきであった年金又は権利が消滅した場合若しくは年金の支給を停止した場合におけるその期の年金は、支払期月でない月であっても、支払うものとする」という例外があります。例えば、さかのぼって過去の分が支払われる場合などは、奇数月に支払われることがあります。

(第36条第3項)

 

 

②【H28年出題】 × 

 障害認定日に障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合は、「障害認定日」に障害厚生年金の受給権が発生します。そのため、障害厚生年金は、障害認定日の属する月の翌月分から支給されます。

 障害認定日が月の初日でも、障害認定日の属する月の翌月分から支給されます。

(第36条第1項)

 

 

③【H30年出題】 〇 

 第1号厚生年金被保険者が月の末日に死亡したときは、死亡した日の翌日(翌月の1日)に資格を喪失します

 一方、遺族厚生年金の受給権は死亡した日に発生し、遺族厚生年金は死亡した日の属する月の翌月から支給されます。

(第14条第1号、第36条第1項)

 

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https://youtu.be/A7Oe-c9DdiU?si=5FhIs5BcouIHubit

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-184 

R6.2.27 異なる被保険者の種別に係る資格の得喪

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

厚生年金保険の被保険者は4つの種別に分かれています。(第2条の51項)

第1号厚生年金被保険者 

  → 2号から第4号以外の被保険者(民間企業の会社員等)

第2号厚生年金被保険者

  → 国家公務員共済組合の組合員たる厚生年金保険の被保険者

第3号厚生年金被保険者

  → 地方公務員共済組合の組合員たる厚生年金保険の被保険者

第4号厚生年金被保険者

  → 私立学校教職員共済制度の加入者たる厚生年金保険の被保険者

 

 

 今日は、異なる被保険者の種別に係る資格の得喪です。

 条文を読んでみましょう。

18条の2

① 第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者は、同時に、第1号厚生年金被保険者の資格を取得しない。

② 第1号厚生年金被保険者が同時に第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者の資格を有するに至ったときは、その日に、当該第1号厚生年金被保険者の資格を喪失する。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 第1号厚生年金被保険者が同時に第2号厚生年金被保険者の資格を取得するに至ったときは、その日に当該第1号厚生年金被保険者の資格を喪失する。

 

 

②【H28年出題】

 第1号厚生年金被保険者である者が同時に第4号厚生年金被保険者の資格を有することとなった場合、2以上事業所選択届を、選択する年金事務所又は日本私立学校振興・共済事業団に届け出なければならない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 〇

 第1号厚生年金被保険者と第2号厚生年金被保険者の資格が同時に適用されることはありません。「その日」に第1号厚生年金被保険者の資格を喪失します。「当日喪失」がポイントです。

(第18条の2)

 

 

②【H28年出題】 × 

 第1号厚生年金被保険者である者が同時に第4号厚生年金被保険者の資格を有することとなった場合は、「その日」に第1号厚生年金被保険者の資格を喪失します。「選択」することはありませんので、2以上事業所選択届の届出は不要です。

(第18条の2)

 

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https://youtu.be/oguDKnu27Ss?si=_BEqrTnbRUsV4dQ3

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-173 

R6.2.16 老齢厚生年金の支給要件

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

条文を読んでみましょう。

42条 

 老齢厚生年金は、被保険者期間を有する者が、次の各号のいずれにも該当するに至ったときに、その者に支給する。

1) 65歳以上であること。

2) 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年以上であること。

 

 老齢厚生年金は、「厚生年金保険の被保険者期間」があり、「65歳以上」で、「保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年以上ある(=老齢基礎年金を受けることができる)」場合に支給されます。

 

 

過去問をどうぞ!

①【H24年出題】

 老齢厚生年金の受給資格要件を満たす65歳以上の者が老齢厚生年金を受給するためには、厚生年金保険の被保険者期間が1か月以上必要であり、同要件を満たす60歳以上65歳未満の者が特別支給の老齢厚生年金を受給するためには、当該被保険者期間が1年以上必要である。

 

 

②【H30年出題】

 老齢基礎年金を受給している66歳の者が、平成3041日に被保険者の資格を取得し、同月20日に喪失した(同月に更に被保険者の資格を取得していないものとする。)。当該期間以外に被保険者期間を有しない場合、老齢厚生年金は支給されない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H24年出題】 〇 

■65歳以上が対象の老齢厚生年金は、厚生年金保険の被保険者期間が1か月でもあれば、要件を満たします。

■60歳以上65歳未満が対象の特別支給の老齢厚生年金は、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上必要です。

(法第42条、法附則第8条)

 

 

②【H30年出題】 × 

 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときで、その月にさらに被保険者の資格を取得していない場合は、その月は1か月として被保険者期間に算入されます。(同月得喪といいます。)

 問題文は、老齢基礎年金を受給している66歳の者が、厚生年金保険の被保険者期間を1か月有することになり、要件を満たしますので、老齢厚生年金が支給されます。

(法第19条第2項、第42条) 

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-163 

R6.2.6 子・孫の遺族厚生年金の受給権の消滅

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 遺族厚生年金の受給権者となる「子又は孫」の要件は、「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、又は20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。」です。(第59条第1項第2号)

 

 では、「子・孫」の遺族厚生年金の受給権の消滅について条文を読んでみましょう。

63条第2

又はの有する遺族厚生年金の受給権は、次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する。

1) 子又は孫について、18に達した日以後の最初の331が終了したとき。ただし、子又は孫が障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にあるときを除く。

2) 障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子又は孫について、その事情がやんだとき。ただし、子又は孫が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときを除く

3) 子又は孫が、20に達したとき。

 

 

さっそく過去問をどうぞ!

①【H27年出題】※改正による修正あり

 老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)が死亡したことにより、子が遺族厚生年金の受給権者となった場合において、その子が障害等級3級に該当する障害の状態にあるときであっても、18歳に達した日以後の最初の331日が終了したときに、子の有する遺族厚生年金の受給権は消滅する。

 

 

②【R1年出題】

 障害等級2級に該当する障害の状態にある子に遺族厚生年金の受給権が発生し、16歳のときに障害等級3級に該当する障害の状態になった場合は、18歳に達した日以後の最初の331日が終了したときに当該受給権は消滅する。一方、障害等級2級に該当する障害の状態にある子に遺族厚生年金の受給権が発生し、19歳のときに障害等級3級に該当する障害の状態になった場合は、20歳に達したときに当該受給権は消滅する。

 

 

③【H19年出題】

 厚生年金保険法で定める障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある子又は孫が、遺族厚生年金の受給権者である場合に、その事情が止んだとき(18歳に達する日以後の最初の331日までの間にあるときを除く。)又は20歳に達したとき、遺族厚生年金の受給権は消滅する。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H27年出題】 〇  ※改正による修正あり

 子の遺族厚生年金の受給権は、「18歳に達した日以後の最初の331日が終了したとき」に消滅します。ただし、障害等級1級又は2級の障害の状態にあるときは消滅しません。

 問題文は、「障害等級3級の障害の状態」ですので、18歳に達した日以後の最初の331日が終了したときに、消滅します。

(法第63条第2項第1号)

 

 

②【R1年出題】 × 

(前半部分)正しい

受給権発生      16歳          18歳年度末

▼           ▼            ▼

2

3

                         失権

 遺族厚生年金の受給権発生時は障害等級2級でしたが、その後16歳のときに障害等級3級になりました。18歳に達した日以後の最初の331日が終了したとき「3級」ですので、18歳に達した日以後の最初の331日が終了したときに受給権は消滅します。

 

(後半部分)誤り

受給権発生               18歳年度末  19

▼                    ▼     ▼

2

 

3

                           失権

18歳に達した日以後の最初の331日では2級ですので、その時点では遺族厚生年金の受給権は消滅しません。その後19歳のときに3級になった場合は、その時点で受給権は消滅します。20歳で消滅するは誤りです。

(法第63条第2項)

 

 

③【H19年出題】 〇

 障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある子又は孫の遺族厚生年金の受給権について

・1級又は2級に該当しなくなったとしても、18歳に達する日以後の最初の331日までは受給権は消滅しません。

・例えば、19歳で1級又は2級に該当しなくなった場合は、その時点で受給権は消滅します。

1級又は2級のまま20歳に達したときは、その時点で受給権は消滅します。

(法第63条第2項)

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 厚生年金保険法

R6-153 

R6.1.27 障害手当金が支給されないとき 

過去問から学びましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 

 障害手当金は、以下の要件を満たした場合に支給されます。

初診日に厚生年金保険の被保険者であったこと

・初診日から起算して5年を経過する日までの間におけるその傷病の治った日に、政令で定める程度の障害の状態にあること

 

 しかし、法第56条に該当する場合は、障害手当金は支給されません。

 

条文を読んでみましょう。

56条 

 障害の程度を定めるべき日において次の各号のいずれかに該当する者には、障害手当金を支給しない

1) 年金たる保険給付の受給権者(最後に障害等級に該当する程度の障害の状態(以下この条において「障害状態」という。)に該当しなくなった日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過した障害厚生年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る。)を除く)

2) 国民年金法による年金たる給付の受給権者(最後に障害状態に該当しなくなった日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過した障害基礎年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る。)その他の政令で定める者を除く)

3) 当該傷病について国家公務員災害補償法、地方公務員災害補償法若しくは同法に基づく条例、公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律若しくは労働基準法第77条の規定による障害補償、労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付、複数事業労働者障害給付若しくは障害給付又は船員保険法による障害を支給事由とする給付を受ける権利を有する者

 

 

 

過去問をどうぞ!

 

①【R4年出題】

 障害手当金の受給要件に該当する被保険者が、障害手当金の障害の程度を定めるべき日において遺族厚生年金の受給権者である場合は、その者に障害手当金は支給されない。

 

 

②【H30年出題】

 在職老齢年金の仕組みにより支給停止が行われている老齢厚生年金を受給している65歳の者が、障害の程度を定めるべき日において障害手当金に該当する程度の障害の状態になった場合、障害手当金は支給される。

 

 

③【H18年出題】

 障害手当金は、年金たる保険給付の受給権者(最後に障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過した障害厚生年金の受給権者を除く。)には支給しない。

 

 

④【R3年出題】

 第1号厚生年金被保険者期間中の60歳の時に業務上災害で負傷し、初診日から1年6か月が経過した際に傷病の症状が安定し、治療の効果が期待できない状態(治癒)になった。その障害状態において障害手当金の受給権を取得することができ、また、労災保険法に規定されている障害補償給付の受給権も取得することができた。この場合、両方の保険給付が支給される。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R4年出題】 〇 

 障害の程度を定めるべき日に年金たる保険給付(老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金)の受給権者である場合は、原則として障害手当金は支給されません。

※障害の程度を定めるべき日に「国民年金法による年金たる給付の受給権者」である場合も、原則として障害手当金は支給されません。

(法第56条第1号)

 

 

②【H30年出題】 × 

 障害の程度を定めるべき日に老齢厚生年金の受給権者である場合は、障害手当金は支給されません。

(法第56条第1号)

 

 

③【H18年出題】 〇 

 障害手当金は、年金たる保険給付の受給権者には、原則として支給されません。

 ただし、障害厚生年金の受給権者でも、最後に障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過した障害厚生年金の受給権者には、障害手当金が支給されます。

※障害基礎年金の受給権者も同じです。

(法第56条第1号)

 

               3級未満                 65

障害厚生年金 支給

3級未満(支給停止)

 

3

障害厚生年金の受給権者

※網掛けの部分 → 障害手当金が支給されます。

 

 

④【R3年出題】 × 

 障害の程度を定めるべき日に、当該傷病について労働者災害補償保険法の障害補償給付、複数事業労働者障害給付若しくは障害給付を受ける権利を有する者には障害手当金は支給されません。

 問題文では、同じ傷病で、労災保険法の障害補償給付の受給権も取得していますので、障害手当金は支給されません。

(法第56条第3号)

 

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社労士受験のあれこれ

令和5年の問題より 厚生年金保険法

R6-145 

R6.1.19 2以上の事業所に使用される場合の各事業主が負担する保険料の額

今日は厚生年金保険法です。

 

条文を読んでみましょう。

82条第3

 被保険者が同時に2以上の事業所又は船舶に使用される場合における各事業主の負担すべき保険料の額及び保険料の納付義務については、政令の定めるところによる。

 

令第4条第2

 被保険者が同時に2以上の事業所に使用される場合における各事業主の負担すべき標準賞与額に係る保険料の額は、各事業所についてその月に各事業主が支払った賞与額をその月に当該被保険者が受けた賞与額で除して得た数を当該被保険者の保険料の半額に乗じて得た額とする。

 

 

各事業主が負担する標準賞与額に係る保険料の額は以下の通りです。

 

被保険者の保険料の半額 ×

   その月に各事業主が支払った賞与額

その月に当該被保険者が受けた賞与額

 

その被保険者の保険料の半額を各事業所の賞与額で按分します。

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 被保険者が同時に2以上の事業所に使用される場合における各事業主の負担すべき標準賞与額に係る保険料の額は、各事業所についてその月に各事業主が支払った賞与額をその月に当該被保険者が受けた賞与額で除して得た数を当該被保険者の保険料の額に乗じて得た額とされている。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 × 

「当該被保険者の保険料の額」ではなく、「当該被保険者の保険料の半額」に乗じて得た額とされています。

 保険料は、被保険者と事業主が半額ずつ負担します。

(令第4条第2項)

 

 

では、こちらの過去問もどうぞ!

H28年出題】

 第1号厚生年金被保険者が同時に2以上の適用事業所(船舶を除く。)に使用される場合における各事業主の負担すべき標準報酬月額に係る保険料の額は、各事業所について算定した報酬月額を当該被保険者の報酬月額で除し、それにより得た数を当該被保険者の保険料の半額に乗じた額とする。

 

 

 

 

 

 

【解答】

H28年出題】 〇 

 同時に2以上の適用事業所(船舶を除く。)に使用される場合における各事業主の負担すべき標準報酬月額に係る保険料の額は以下の通りです。

 

被保険者の保険料の半額 ×

各事業所について算定した報酬月額

当該被保険者の報酬月額

※各事業所について算定した報酬月額とは、

 各事業所について定時決定、資格取得時決定、随時改定若しくは育児休業等を終了した際の改定、産前産後休業を終了した際の改定又は保険者算定の規定により算定した報酬月額です。

(令第4条第1項)

 

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社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-143 

R6.1.17 遺族厚生年金の受給権を取得した当時30歳未満の妻

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

まず条文を読んでみましょう。

 

63条第1項第5

 遺族厚生年金の受給権は、受給権者が次のイ又はロに掲げる区分に応じ、当該イ又はロに定める日から起算して5年を経過したときは、消滅する

イ 遺族厚生年金の受給権を取得した当時30歳未満である妻が当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の受給権を取得しないとき 

→ 当該遺族厚生年金の受給権を取得した日

ロ 遺族厚生年金と当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有する妻30に到達する日に当該遺族基礎年金の受給権が消滅したとき 

→ 当該遺族基礎年金の受給権が消滅した日

 

 (イについて)

 遺族厚生年金の受給権を取得した当時30歳未満の妻が遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得しないとき(子がいない妻)→ 遺族厚生年金の受給権を取得した日から5を経過したときに失権します。

夫死亡

26歳        30歳        31歳失権

遺族厚生年金

 

▲                   5

 

 

(ロ)について

 遺族厚生年金と当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を有する妻(子がいる妻)が30歳前に遺族基礎年金の受給権が消滅したとき → 遺族基礎年金の受給権が消滅した日から5を経過したときに失権します。

 

夫死亡

27歳     28歳    30歳      33歳失権

遺族厚生年金

遺族基礎年金

▲           5

         子死亡         

         遺族基礎年金失権          

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H26年出題】

 遺族厚生年金の受給権を取得した当時30歳未満である妻が、当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得しない場合、当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から5年を経過したときに、その受給権は消滅する。

 

 

②【R3年出題】

 厚生年金保険の被保険者の死亡により、被保険者の死亡の当時27歳で子のいない妻が遺族厚生年金の受給権者となった。当該遺族厚生年金の受給権は、当該妻が30歳になったときに消滅する。

 

 

③【H29年出題】

 遺族厚生年金及び当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得した妻について、当該受給権の取得から1年後に子の死亡により当該遺族基礎年金の受給権が消滅した場合であって、当該消滅した日において妻が30歳に到達する日前であった場合は、当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過したときに当該遺族厚生年金の受給権は消滅する。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H26年出題】 〇 

 遺族厚生年金の受給権を取得した当時30歳未満の妻で、当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得しない場合(子がいない場合)、当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から5年を経過したときに、その遺族厚生年金の受給権は消滅します。

(法第63条第1項第5号イ)

 

 

②【R3年出題】 ×

27歳で子のいない妻が遺族厚生年金の受給権者となった場合、当該遺族厚生年金の受給権は、「当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から5年を経過したとき」に消滅します。

(法第63条第1項第5号イ)

 

 

③【H29年出題】 ×

 遺族厚生年金及び当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得した妻(子がある妻)で、妻が30歳に到達する日前に、当該遺族基礎年金の受給権が消滅した場合は、「当該遺族厚生年金の受給権を取得した日」ではなく、「遺族基礎年金の受給権が消滅した日」から起算して5年を経過したときに遺族厚生年金の受給権は消滅します。

(法第63条第1項第5号ロ)

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 遺族厚生年金と当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権も有している妻が、30歳に到達する日前に当該遺族基礎年金の受給権が失権事由により消滅した場合、遺族厚生年金の受給権は当該遺族基礎年金の受給権が消滅した日から5年を経過したときに消滅する。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇

 「遺族基礎年金の受給権が消滅した日」から5年を経過したときに消滅します。

(法第63条第1項第5号ロ)

 

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令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-142 

R6.1.16 標準報酬月額等級の最高等級

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

条文を読んでみましょう。

20条第2

 毎年331における全被保険者の標準報酬月額を平均した額100分の200に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の9月1日から、健康保険法第40条第1項に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる

 

 厚生年金保険の標準報酬月額等級は、1等級から32等級に区分されています。

1等級の標準報酬月額は88,000円、最高等級の32等級の標準報酬月額は650,000円です。

 

 

では過去問をどうぞ!

R1年出題】※改正による修正あり

 厚生年金保険の標準報酬月額は標準報酬月額等級の第188,000円から第32650,000円まで区分されており、この等級区分については毎年331日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の100分の200に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の41日から、健康保険法第40条第1項に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R1年出題】 ×

 最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができるのは、その年の41日からではなく、「その年の91日」からです。

(法第20条第2項)

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 毎年1231日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の100分の200に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行わなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 × 

 毎年331(「1231日」は誤りです。)における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の100分の200に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の9月1日から、健康保険法第40条第1項に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる(「改定を行わなければならない」は誤りです)

(法第20条第2項) 

 

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社労士受験のあれこれ

令和5年の問題より 厚生年金保険法

R6-141 

R6.1.15 障害基礎年金との併合による障害厚生年金の改定

 

今日は厚生年金保険法です。

 

条文を読んでみましょう。

52条の2第1

 障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く。)の受給権者が、国民年金法による障害基礎年金(当該障害厚生年金同一の支給事由に基づいて支給されるものを除く)の受給権を有するに至ったときは、当該障害厚生年金の支給事由となった障害と当該障害基礎年金の支給事由となった障害とを併合した障害の程度に応じて、当該障害厚生年金の額を改定する。

 

初診日                        初診日                                

厚生年金保険の被保険者                国民年金第1号被保険者

2

障害厚生年金

 

 

 

2

障害基礎年金

併   合

2

障害基礎年金

 

                    ↓

 

1

障害厚生年金

障害基礎年金に合わせて

1級に改定

 

1

障害基礎年金

前後の障害を併合して

1

 

 

 

さっそく令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 甲は、厚生年金保険に加入しているときに生じた障害により、障害等級2級の障害基礎年金と障害厚生年金を受給している。現在は、自営業を営み、国民年金に加入しているが、仕事中の事故によって、新たに障害等級2級に該当する程度の障害の状態に至ったため、甲に対して更に障害基礎年金を支給すべき事由が生じた。この事例において、前後の障害を併合した障害の程度が障害等級1級と認定される場合、新たに障害等級1級の障害基礎年金の受給権が発生するとともに、障害厚生年金の額も改定される。

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇 

 先ほどの図にあてはめて確認しましょう。

 甲は、厚生年金保険に加入しているときに生じた障害により、障害等級2級の障害基礎年金と障害厚生年金を受給しています。現在は、自営業を営み、国民年金に加入していますが、仕事中の事故によって、新たに障害等級2級に該当する程度の障害の状態に至ったため、甲に対して更に障害基礎年金を支給すべき事由が生じました。

初診日                        初診日                                

厚生年金保険の被保険者                国民年金第1号被保険者

2

障害厚生年金

 

 

 

2

障害基礎年金

併   合

2

障害基礎年金

 

 前後の障害を併合した障害の程度が障害等級1級と認定される場合、新たに障害等級1級の障害基礎年金の受給権が発生するとともに、障害厚生年金の額も改定されます。

 

1

障害厚生年金

 

 

1

障害基礎年金

 

(法第52条の21項) 

 

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https://youtu.be/-eUqFJgC-qc?si=Rs8jPY56ihy-pdFH

社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-140 

R6.1.14 離婚時みなし被保険者期間の扱い

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 

条文を読んでみましょう。

78条の6第1項~3

① 実施機関は、標準報酬改定請求があった場合において、第1号改定者が標準報酬月額を有する対象期間に係る被保険者期間の各月ごとに、当事者の標準報酬月額をそれぞれ次の各号に定める額に改定し、又は決定することができる。

1) 第1号改定者 

 改定前の標準報酬月額に一から改定割合按分割合を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した率をいう。)控除して得た率を乗じて得た額

2) 第2号改定者 

 改定前の標準報酬月額(標準報酬月額を有しない月にあっては、零)に、第1号改定者の改定前の標準報酬月額に改定割合を乗じて得た額を加えて得た額

② 実施機関は、標準報酬改定請求があった場合において、第1号改定者が標準賞与額を有する対象期間に係る被保険者期間の各月ごとに、当事者の標準賞与額をそれぞれ次の各号に定める額に改定し、又は決定することができる。

1) 第1号改定者

 改定前の標準賞与額に一から改定割合を控除して得た率を乗じて得た額

2) 第2号改定者

 改定前の標準賞与額(標準賞与額を有しない月にあっては、零)に、第1号改定者の改定前の標準賞与額に改定割合を乗じて得た額を加えて得た額

③ 対象期間のうち第1号改定者の被保険者期間であって第2号改定者の被保険者期間でない期間については、第2号改定者の被保険者期間であったものとみなす

 

★③が「離婚時みなし被保険者期間」です。

 例えば、夫が第1号改定者、妻が第2号改定者で妻が標準報酬月額を有しない場合

 

 

 

 

標準報酬月額

 

 

 

 
 

       ↓

      分 割

       ↓

 

 

 

標準報酬月額

標準報酬月額

 

 妻(第2号改定者)は厚生年金保険の被保険者でないのがポイントです。

 しかし、離婚分割によって報酬額の記録が分割され、第2号改定者の厚生年金保険の被保険者期間であったものとみなされます。この期間を離婚時みなし被保険者期間といいます。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 離婚時みなし被保険者期間は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の額の計算の基礎とはされない。

 

 

②【H27年出題】

 厚生年金保険の被保険者期間が離婚時みなし被保険者期間としてみなされた期間のみである者は、特別支給の老齢厚生年金を受給することはできない。

 

 

③【R3年出題】

 老齢厚生年金に配偶者の加給年金額が加算されるためには、老齢厚生年金の年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上という要件があるが、当該被保険者期間には、離婚時みなし被保険者期間を含めることはできない。

 

 

④【H28年出題】※改正による修正あり

 国民年金の第1号被保険者期間のみを有していた者が、離婚時みなし被保険者期間を有するに至ったことにより老齢厚生年金の受給権を取得した後に死亡した場合(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)は、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 〇

 離婚時みなし被保険者期間は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の額の計算には入りません。

 なお、報酬比例部分の計算には入ります。

(法附則第17条の10

 

 

②【H27年出題】 〇

 特別支給の老齢厚生年金を受給するには、1年以上の厚生年金保険の被保険者期間が必要ですが、「離婚時みなし被保険者期間」は1年の計算に入りません。

 そのため厚生年金保険の被保険者期間が離婚時みなし被保険者期間としてみなされた期間のみの場合は、特別支給の老齢厚生年金は支給されません。

(法附則第17条の10

 

 

③【R3年出題】 〇 

 老齢厚生年金に配偶者の加給年金額が加算されるためには、厚生年金保険の被保険者期間が240月以上必要です。その被保険者期間には、離婚時みなし被保険者期間は含まれません。

(法第78条の11

 

 

④【H28年出題】 〇

 老齢厚生年金の受給権を取得した後に死亡した場合(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)は、遺族厚生年金の長期要件に該当します。

 遺族厚生年金の長期要件には、「離婚時みなし被保険者期間を有する者を含む。」とされています。

 そのため、国民年金の第1号被保険者期間のみを有していた者が、離婚時みなし被保険者期間を有するに至ったことにより、老齢厚生年金の受給権を取得した後に死亡した場合(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)は、遺族厚生年金の長期要件を満たします。

(法第78条の11

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 特別支給の老齢厚生年金の受給資格要件の1つは、1年以上の被保険者期間を有することであるが、この被保険者期間には、離婚時みなし被保険者期間を含めることができる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 ×

 特別支給の老齢厚生年金の受給資格要件の「1年以上の被保険者期間」には、離婚時みなし被保険者期間は含まれません。

(法附則第17条の10

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/6q1qXSoOgwg?si=c3-qhG9XNzs2O7U8

社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-139

R6.1.13 特別支給の老齢厚生年金の障害者特例

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

条文を読んでみましょう。

法附則第9条の2

① 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分が計算されているものに限る。)の受給権者が、被保険者でなく、かつ、傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態にあるとき(その傷病が治らない場合(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態にある場合を除く。)にあっては、その傷病に係る初診日から起算して1年6か月を経過した日以後においてその傷病により障害状態にあるとき。)は、その者は、老齢厚生年金の額の計算に係る特例の適用を請求することができる

② ①の請求があったときは、当該請求に係る老齢厚生年金の額は、次の各号に掲げる額を合算した額とするものとし、当該請求があった月の翌月から、年金の額を改定する。

1) 1,628改定率を乗じて得た額(その額に50銭未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときは、これを1円に切り上げるものとする。)被保険者期間の月数(当該月数が480を超えるときは、480とする。)を乗じて得た額

2) 被保険者であった全期間の平均標準報酬額1,000分の5.481に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額

 

 

「報酬比例部分」のみの特別支給の老齢厚生年金の受給権者が対象の特例です。

 要件を満たすと、障害者特例として定額部分と報酬比例部分を合わせた年金(+加給年金額)が支給されます。

要件を確認しましょう。

①報酬比例部分の特別支給の老齢厚生年金の受給権者であること

3級以上の障害状態にあること(厚生年金保険で規定する障害等級は1~3級です)

③退職していること(=厚生年金保険の被保険者でないこと)

 受給権者の請求が必要で、原則として請求のあった月の翌月から年金額が改定されます。(請求があったものとみなされる例外もありますが、今日は触れません。)

 

 

<イメージ図>

昭和3241日生まれの男性は62歳から報酬比例部分のみが支給されます。

      (62歳)        (65歳)

特別支給(報酬比例部分)

老齢厚生年金

 

老齢基礎年金

 

            ↓

障害者特例に該当した場合は定額部分が支給されます。

            ↓

     (62歳)         (65歳)

特別支給(報酬比例部分)

老齢厚生年金

定額部分

老齢基礎年金

 

 

それでは、過去問をどうぞ!

H27年選択式】

 昭和3042日生まれの男子に係る特別支給の老齢厚生年金について、報酬比例部分の支給開始年齢は62歳であり、定額部分の支給は受けられないが、

1) 厚生年金保険法附則第9条の21項及び第5項に規定する、傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態にあるとき

2) 被保険者期間が< A >以上であるとき

3) 坑内員たる被保険者であった期間と船員たる被保険者であった期間とを合算した期間が< B >以上であるとき

のいずれかに該当する場合には、60歳台前半に定額部分の支給を受けることができる。

 上記(1)から(3)のうち、「被保険者でない」という要件が求められるのは、 < C >であり、定額部分の支給を受けるために受給権者の請求が必要(請求があったものとみなされる場合を含む。)であるのは、< D >である。

 

<選択肢>

A

① 42年  43年  44年  45

B

① 10年  15年  20年  25

C

① (1)及び(2)    (1)、(2)及び(3)    (2)のみ

④ (2)及び(3

D

① (1)のみ    (1)及び(2)    (1)及び(3

④ (1)、(2)及び(3

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A ③ 44

B ② 15

C ① (1)及び(2

D ① (1)のみ

(法附則第9条の2第1項、第2項、法附則第9条の31項、法附則第9条の41項)

 

1)は障害者特例、(2)は長期加入者特例、(3)坑内員、船員の特例です。

 

 

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の受給権を有する者が、被保険者でなく、かつ、障害の状態にあるときは、老齢厚生年金の額の計算に係る特例の適用を請求することができる。ただし、ここでいう障害の状態は、厚生年金保険の障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態に限定される。

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 × 

 障害者特例の障害の状態は、障害等級1級、2級、3級です。1級又は2級に限定されません。

(法附則第9条の21項)

 

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https://youtu.be/988BbqucKTI?si=3mNU3wJYBb2i9cSz

社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-138

R6.1.12 70歳以上の使用される者のポイント

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 

 厚生年金保険の被保険者資格は、70歳に達したときに喪失します。

 そのため、70歳以降に在職中でも厚生年金保険の保険料の負担はありません。しかし、在職老齢年金の仕組みが適用される場合があります。

 

条文を読んでみましょう。

27条 (届出)

 適用事業所の事業主又は第10条第2項(任意単独被保険者)の同意をした事業主(以下単に「事業主」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者(被保険者であった70歳以上の者であって当該適用事業所に使用されるものとして厚生労働省令で定める要件に該当するもの(以下「70歳以上の使用される者」という。)を含む。)の資格の取得及び喪失(70歳以上の使用される者にあっては、厚生労働省令で定める要件に該当するに至った日及び当該要件に該当しなくなった日)並びに報酬月額及び賞与額に関する事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。

 

70歳以上の使用される者とは

70歳以上の適用事業所に使用されるもので、法第12条各号の適用除外に該当しないものをいいます。

(則第10条の4)

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R2年出題】

 第1号厚生年金被保険者に係る適用事業所の事業主は、被保険者が70歳に到達し、引き続き当該事業所に使用されることにより70歳以上の使用される者の要件(厚生年金保険法施行規則第10条の4の要件をいう。)に該当する場合であって、当該者の標準報酬月額に相当する額が70歳到達日の前日における標準報酬月額と同額である場合は、70歳以上被用者該当届及び70歳到達時の被保険者資格喪失届を省略することができる。

 

 

②【H28年出題】

 昭和1241日以前生まれの者が平成284月に適用事業所に使用されている場合、その者に支給されている老齢厚生年金は、在職老齢年金の仕組みによる支給停止が行われることはない。

 

 

③【R4年出題】

 在職老齢年金は、総報酬月額相当額と基本月額との合計額が支給停止調整額を超える場合、年金額の一部又は全部が支給停止される仕組みであるが、適用事業所に使用される70歳以上の者に対しては、この在職老齢年金の仕組みが適用されない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 〇 

 第1号厚生年金被保険者が在職中に70歳に達し、引き続き当該事業所に使用される場合の届出についての問題です。

 70歳以上の使用される者の要件に該当する場合は、事業主は、70歳以上被用者該当届及び70歳到達時の被保険者資格喪失届を提出しなければなりません。

 ただし、当該者の標準報酬月額に相当する額が70歳到達日の前日における準報酬月額と同額である場合は、届出を省略することができます。

(則第15条の2第1項)

 

 

②【H28年出題】 ×

70歳以上の使用される者に在職老齢年金の仕組みが適用されるようになったのは、平成1941日ですが、その時点で70歳以上だった昭和1241日以前生まれの者には在職老齢年金の仕組みは適用されませんでした。

 しかし、平成2710月の改正で、昭和1241日以前生まれの者にも、在職老齢年金の仕組みが適用されるようになりました。

 

 

③【R4年出題】 ×

 適用事業所に使用される70歳以上の使用される者については、在職老齢年金の仕組みが適用されます。

(第46条第1項)

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 厚生年金保険の適用事業所で使用される70歳以上の者であっても、厚生年金保険法第12条各号に規定する適用除外に該当する者は、在職老齢年金の仕組みによる老齢厚生年金の支給停止の対象とはならない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇

 在職老齢年金の対象になるのは、「70歳以上の使用される者」です。

 適用事業所で使用される70歳以上の者でも、厚生年金保険法第12条各号に規定する適用除外に該当する者は、「70歳以上の使用される者」になりません。そのため、在職老齢年金の仕組みは適用されません。

(法第46条第1項、則第10条の4)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/qOf-o5vwOxc?si=QFNbjQmEbmlRpqrN

社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-137

R6.1.11 厚生年金保険の被保険者期間の計算

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

被保険者期間について条文を読んでみましょう。

19条 

① 被保険者期間を計算する場合には、によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。

② 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を1か月として被保険者期間に算入する。ただし、その月に更に被保険者又は国民年金の被保険者(国民年金法に規定する第2号被保険者を除く)の資格を取得したときは、この限りでない。

③ 被保険者の資格を喪失した後、更にその資格を取得した者については、前後の被保険者期間を合算する。

④ 前3項の規定は、被保険者の種別ごとに適用する。

⑤ 同一の月において被保険者の種別に変更があったときは、その月は変更後の被保険者の種別の被保険者であった月(2回以上にわたり被保険者の種別に変更があったときは、最後の被保険者の種別の被保険者であった月)とみなす。

 

  

さっそく過去問をどうぞ!

①【H21年出題】

 厚生年金保険法で定める「被保険者期間」とは、被保険者の資格を取得した日から被保険者の資格を喪失した日の前日までの日単位で計算される期間である。

 

 

②【H30年出題】

 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、例えば、平成29101日に資格取得した被保険者が、平成30330日に資格喪失した場合の被保険者期間は、平成2910月から平成302月までの5か月間であり、平成303月は被保険者期間には算入されない。なお、平成30330日の資格喪失以後に被保険者の資格を取得していないものとする。

 

 

③【H28年出題】

 適用事業所に平成2831日に採用され、第1号厚生年金被保険者の資格を取得した者が同年320日付けで退職し、その翌日に被保険者資格を喪失し国民年金の第1号被保険者となった。その後、この者は同年41日に再度第1号厚生年金被保険者となった。この場合、同年3月分については、厚生年金保険における被保険者期間に算入されない。

 

 

④【R3年出題】

 同一の月において被保険者の種別に変更があったときは、その月は変更後の被保険者の種別の被保険者であった月とみなす。なお、同一月において2回以上にわたり被保険者の種別に変更があったときは、最後の被保険者の種別の被保険者であった月とみなす。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H21年出題】 ×

 「被保険者期間」とは、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までの「月」単位で計算される期間です。

 被保険者の資格を取得した日から被保険者の資格を喪失した日の前日までの日単位で計算される期間は、「被保険者であった期間」のことです。

 例えば、令和6111日に資格を取得し、同年530日に資格を喪失した場合、令和6111日から529日までが「被保険者であった期間」で、令和61月から4月までの4か月間が「被保険者期間」です。

(第19条第1項)

 

 

②【H30年出題】 〇 

 被保険者期間は月単位で計算します。平成29101日に資格取得、平成30330日に資格喪失した場合の被保険者期間は、資格を取得した月(平成2910月)から資格を喪失した月の前月(平成302月)までの5か月間です。資格を喪失した月(平成303月)は被保険者期間には算入されません。

(第19条第1項)

 

 

③【H28年出題】 〇 

 同一の月に資格の取得と喪失があるときは、その月を1か月として被保険者期間に算入するのが原則です。

 例外で、「ただし、その月に更に被保険者又は国民年金の被保険者(国民年金法に規定する第2号被保険者を除く。)の資格を取得したときは、この限りでない。」と規定されています。

例外その1 「その月に更に厚生年金保険の被保険者の資格を取得したとき」

→ 後から資格取得した期間によって「1か月」で算入します。

例外その2 「その月に更に国民年金の被保険者(国民年金法の第2号被保険者を除く。)の資格を取得したとき」

→ 同じ月に資格取得と喪失があり、その月に更に国民年金の第1号被保険者又は第3号被保険者の資格を取得した場合は、その月は厚生年金保険の被保険者期間に算入されません。

 問題文のように、平成2831日に第1号厚生年金被保険者の資格取得、同年320日付けで退職、翌日に被保険者資格を喪失し国民年金の第1号被保険者となった場合は、平成283月は、厚生年金保険の被保険者期間に算入されません。

(第19条第2項)

 

④【R3年出題】 〇 

 同一の月において被保険者の種別(第1号、第2号、第3号、第4号の厚生年金被保険者の種別の変更)に変更があったときは、その月は変更後の被保険者の種別の被保険者であった月とみなされます。なお、同一月において2回以上にわたり被保険者の種別に変更があったときは、最後の被保険者の種別の被保険者であった月とみなされます。

(第19条第5項)

 

 

 

令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇 

 被保険者期間は月単位で計算します。被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までを算入します。

(第19条第1項) 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/us_Nj7alftI?si=25obvYh_iClgxril

社労士受験のあれこれ

ご質問の回答です 厚生年金保険法

R6-109

R5.12.14 遺族厚生年金の「長期要件」について

12月9日の記事を読んでくださった方から、遺族厚生年金の「長期要件」についてご質問いただきました。

 

ご質問

例えば、自営業等で20年間国民年金保険料を納め、会社員として5年間厚生年金の被保険者であった場合、併せて25年の加入期間があるので、長期要件に該当するという考えでよろしいでしょうか? 

 

 

では、遺族厚生年金の「長期要件」について条文を読んでみましょう。

58条第1項第4

 老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が 25年以上である者に限る。)又は保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が、死亡したとき

 

 「長期要件」は、保険料納付済期間+保険料免除期間25年以上ある事が条件です。

 

 次に、「保険料納付済期間」と「保険料免除期間」の定義を読んでみましょう。

3条第1項第1号、2

保険料納付済期間 → 国民年金法第5条第1項に規定する保険料納付済期間をいう。

保険料免除期間  → 国民年金法第5条第2項に規定する保険料免除期間をいう。

 

 

<国民年金法第5条の定義>

① 「保険料納付済期間」とは、1号被保険者としての被保険者期間のうち納付された保険料(保険料一部免除の規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料につきその残余の額が納付又は徴収されたものを除く。)に係るもの及び産前産後期間の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るもの、2号被保険者としての被保険者期間並びに3号被保険者としての被保険者期間を合算した期間をいう。

② 「保険料免除期間」とは、保険料全額免除期間、保険料4分の3免除期間、保険料半額免除期間及び保険料4分の1免除期間を合算した期間をいう。

 

 

★「保険料納付済期間」は、

「第1号被保険者として保険料を納付した期間」

+ 

「第2号被保険者としての期間」

「第3号被保険者としての期間」

で算定します。

 

ご質問の回答です

 自営業等(国民年金第1号被保険者)として20年間保険料を納付し、会社員(第2号被保険者)として5年間厚生年金保険の被保険者期間がある場合は、長期要件を満たします。

 「長期要件」は、厚生年金保険の期間が長いということではなく、国民年金全体で25年以上という意味です。

 

 

過去問も解いてみましょう。

R3年出題】

 老齢厚生年金の受給権者(被保険者ではないものとする。)が死亡した場合、国民年金法に規定する保険料納付済期間と保険料免除期間が10年であったとしても、その期間と同法に規定する合算対象期間を合算した期間が25年以上である場合には、厚生年金保険法第58条第4号に規定するいわゆる長期要件に該当する。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R3年出題】 〇 

 保険料納付済期間と保険料免除期間と「合算対象期間」も合算した期間が25年以上である場合は、厚生年金保険法第58条第4号に規定するいわゆる長期要件に該当します。

(法附則第14条) 

 

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https://youtu.be/91_at71FmIc?si=-jaY_HDkGvbVYj-2

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令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-108

R5.12.13 遺族厚生年金「生計維持」の条件

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

条文を読んでみましょう。

59条第1

 遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であった者の配偶者、子、父母、孫又は祖父母であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時(失踪の宣告を受けた被保険者であった者にあっては、行方不明となった当時。)その者によって生計を維持したものとする。ただし、妻以外の者にあっては、次に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。

1 夫、父母又は祖父母については、55歳以上であること。

2 子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の331までの間にあるか、又は20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。

 

 遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、その者によって「生計を維持した」ものであることが条件です。

 

 「生計維持」についてみていきましょう。

 

まず過去問をどうぞ!

①【H25年出題】

 被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた子であっても、年額130万円以上の収入を将来にわたって有すると認められる場合は、その者によって生計を維持していたとは認められず、遺族厚生年金を受けることができる遺族になることはない。

 

 

②【H29年出題】

 被保険者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたが、年収850万円以上の給与収入を将来にわたって有すると認められたため、遺族厚生年金の受給権を得られなかった配偶者について、その後、給与収入が年収850万円未満に減少した場合は、当該減少したと認められたときから遺族厚生年金の受給権を得ることができる。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】 × 

 生計を維持していたと認められるのは、厚生労働大臣の定める金額(年額850万円)以上の収入を将来にわたって有すると認められる者以外の者です。

 問題文は、年額「850万円以上」の収入を将来にわたって有すると認められる場合は、その者によって生計を維持していたとは認められず、遺族厚生年金を受けることができる遺族になることはない、となります。年額130万円以上ではありません。

H23.3.23年発03231)

 

 

②【H29年出題】 ×

 生計維持関係の認定日は、「遺族厚生年金の受給権発生日」です。その後、給与収入が年収850万円未満に減少したとしても、遺族厚生年金の受給権は得られません。

H23.3.23年発03231)

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、その者と生計を同じくしていた配偶者で、前年収入が年額800万円であった者は、定期昇給によって、近い将来に収入が年額850万円を超えることが見込まれる場合であっても、その被保険者又は被保険者であった者によって生計を維持していたと認められる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇 

 生計維持に係る収入に関する認定に当たっては、次のいずれかに該当する者は、厚生労働大臣の定める金額(年額850万円)以上の収入を将来にわたって有すると認められる者以外の者に該当するものとされています。

① 前年の収入が年額850万円未満である

② 前年の所得が年額655.5万円未満である

③ 一時的な所得があるときは、これを除いた後、①又は②に該当する

④ ①、②又は③に該当しないが、定年退職等の事情により近い将来(おおむね5年以内)収入が年額850万円未満又は所得が年額655.5万円未満となると認められる

 

 問題文は、前年収入が年額800万円であった者ですので、①に該当し、生計を維持していたと認められます。

H23.3.23年発03231

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/UUnhrqiol0U?si=W8xplfH_nG98qm4T

社労士受験のあれこれ

令和5年の問題より 厚生年金保険法

R6-107

R5.12.12 父又は母と同居することになった子の遺族厚生年金

今日は、厚生年金保険法です。

 

「子」に対する遺族厚生年金の支給が停止されるときをみていきます。

 

条文を読んでみましょう。

66条第1

 子に対する遺族厚生年金は、配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給を停止する。ただし、配偶者に対する遺族厚生年金が前条本文、次項本文又は次条の規定によりその支給を停止されている間は、この限りでない

 

前条本文 → 夫、父母又は祖父母に対する遺族厚生年金は、受給権者が60に達するまでの期間、その支給を停止する

 

次項本文 → 配偶者に対する遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、配偶者が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、その支給を停止する

 

次条 → 配偶者又は子に対する遺族厚生年金は、その配偶者又は子の所在が1年以上明らかでないときは、遺族厚生年金の受給権を有する子又は配偶者の申請によって、その所在が明らかでなくなった時にさかのぼって、その支給を停止する。

 

 遺族厚生年金の遺族の順位では、配偶者と子は同順位です。

   例えば、夫が死亡し、妻と子が遺族となった場合、妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生します。

 ただし、妻が遺族厚生年金の受給権を有する間は、子の遺族厚生年金は支給停止されます。(第66条第1項)

 ※配偶者に対する遺族厚生年金が、①、②、③によって支給停止されている間は、子に遺族厚生年金が支給されます。

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 配偶者と離別した父子家庭の父が死亡し、当該死亡の当時、生計を維持していた子が遺族厚生年金の受給権を取得した場合、当該子が死亡した父の元配偶者である母と同居することになったとしても、当該子に対する遺族厚生年金は支給停止とはならない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇 

 遺族厚生年金を受給している子が、死亡した父の元配偶者である母と同居することになったとしても、子に対する遺族厚生年金は支給停止されません。

 国民年金法の遺族基礎年金の子に対する支給停止事由との違いに注意しましょう。

 国民年金の遺族基礎年金については、「子に対する遺族基礎年金は、生計を同じくするその子の父若しくは母があるときは、その間、その支給を停止する。」という規定があります。

 厚生年金保険法の子に対する遺族厚生年金の支給停止事由には、「生計を同じくするその子の父若しくは母があるとき」はありません。 

 

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https://youtu.be/_6tc7B0K25E?si=-9cKeHnrtQf71AmL

社労士受験のあれこれ

令和5年の問題より 厚生年金保険法

R6-106

R5.12.11 繰下げ加算額の算定

今日は、厚生年金保険法です。

 

老齢厚生年金の繰下げの申出をした者に支給される繰下げ加算額をみていきます。

 

 

条文を読んでみましょう。

44条の34

 支給繰下げの申出をした者に支給する老齢厚生年金の額は、老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月の前月までの被保険者期間を基礎として計算した老齢厚生年金の額及び在職老齢年金の規定によりその支給を停止するものとされた額を勘案して政令で定める額を加算した額とする。

 

令第3条の5の2第1

 政令で定める額は、老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月(以下「受給権取得月」という。)前月までの被保険者期間(以下「受給権取得月前被保険者期間」という。)を基礎として計算した老齢厚生年金の額に平均支給率を乗じて得た額に増額率(1000分の7受給権取得月から繰下げの申出をした日の属する月の前月まの月数(当該月数が120を超えるときは、120)を乗じて得た率をいう。)を乗じて得た額とする。 

 

 

 繰下げた老齢厚生年金には、繰下げ加算額が加算されます。

・ 繰下げ加算額は「受給権取得月前被保険者期間」を基礎として計算します。

・ 在職老齢年金の仕組みにより支給停止となる額は、増額の対象になりません。

・ 増額率は、「0.7%×繰下げた月数(65歳に到達した月から繰下げ申出月の前月までの月数)」です。「繰り下げた月数」の上限は120ですので、増額率は最大で84%となります。

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 老齢厚生年金の支給繰下げの申出をした者に支給する繰下げ加算額は、老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月までの被保険者期間を基礎として計算した老齢厚生年金の額と在職老齢年金の仕組みによりその支給を停止するものとされた額を勘案して、政令で定めるとする。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 × 

 繰下げ加算額は、老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月「の前月までの被保険者期間を基礎として計算した老齢厚生年金の額と在職老齢年金の仕組みによりその支給を停止するものとされた額を勘案して、政令で定める額となります。

 繰下げ加算額の計算は、「老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月の前月までの被保険者期間を基礎として計算した老齢厚生年金の額」が基準となります。また、在職老齢年金の仕組みにより支給停止される額は、繰下げ加算額の対象になりません。

(法第44条の34項) 

 

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令和5年の問題より 厚生年金保険法

R6-105

R5.12.10 特例的な繰下げみなし増額制度

今日は、令和5年度の厚生年金保険法の改正点です。

 

令和54月の改正で創設された「特例的な繰下げみなし増額制度」をみていきます。

 

条文を読んでみましょう。

44条の3第5

 老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる者が、その受給権を取得した日から起算して5年を経過した日に当該老齢厚生年金を請求し、かつ、当該請求の際に繰下げの申出をしないときは、当該請求をした日の5年前の日繰下げの申出があったものとみなす。ただし、その者が次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

1 当該老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して15年を経過した日以後にあるとき。

2 当該請求をした日の5年前の日以前他の年金たる給付の受給権者であったとき。

 

ポイントを確認しましょう!

 

<改正前>

・65歳で老齢厚生年金の受給権を取得し、裁定請求しないまま73歳になりました。

73歳で老齢厚生年金を裁定請求し、かつ繰下げの申出をしない場合、73歳からさかのぼって5年分の年金がまとめて支給されます。改正前は、まとめて支給される5年分には繰下げの増額分は加算されませんでした。なお、65歳から68歳までの3年分は時効で消滅します。

 

<改正後の変更点>

65歳で老齢厚生年金の受給権を取得し、裁定請求しないまま73歳になりました。

73歳で老齢厚生年金を裁定請求し、かつ繰下げの申出をしない場合、「請求をした日の5年前の日に繰下げの申出があったものとみなす」ことになりました。

 そのため、遡ってまとめて支給される5年分の年金には、繰下げによる増額分が加算されます。

★なお、「特例的な繰下げみなし増額制度」は、「老齢厚生年金の受給権取得日から15年経過した日以後」、「請求をした日の5年前の日以前に他の年金たる給付障害や遺族の年金)の受給権者であった」ときは、適用されません。

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

65歳到達時に老齢厚生年金の受給権が発生していた者が、72歳のときに老齢厚生年金の裁定請求をし、かつ、請求時に繰下げの申出をしない場合には、72歳から遡って5年分の年金給付が一括支給されることになるが、支給される年金には繰下げ加算額は加算されない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 × 

 請求をした日の5年前の日に繰下げの申出があったものとみなされますので、72歳から遡って一括支給される5年分の年金には、繰下げ加算額が加算されます。

(第44条の3第5項)

 

65歳        67歳            72

(受給権発生)   (5年前)         (裁定請求)

 

繰下げ加算額

 

繰下げ待機期間

 

5年分を一括支給

 

 

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https://youtu.be/xMydVvc7EVs?si=VB9MATzbPnRcjn5r

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令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-104

R5.12.9 遺族厚生年金 死亡した者の保険料納付要件

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 

死亡した者の要件について条文で読んでみましょう。

58条第1

 遺族厚生年金は、被保険者又は被保険者であった者が次の各号のいずれかに該当する場合に、その者の遺族に支給する。

 ただし、又はに該当する場合にあっては、死亡した者につき、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。

被保険者(失踪の宣告を受けた被保険者であった者であって、行方不明となった当時被保険者であったものを含む。)が、死亡したとき。

 被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき。

 障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、死亡したとき。

老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)又は保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が、死亡したとき。

 

 

には、保険料納付要件があるのがポイントです。

<保険料納付要件>

・死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上あること

※特例 

・死亡日が令和8331日までにあるときは、「死亡日に65歳未満」で「死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの直近1年間に未納期間がない」ときも保険料納付要件を満たします。

 

は、保険料納付要件は問われません。

は、障害厚生年金を受けるときに保険料納付要件を満たしているからです。

は、長期の加入期間(保険料納付済期間+保険料免除期間=25年以上)があるからです。

 

過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 保険料納付要件を満たした厚生年金保険の被保険者であった者が被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により、当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡した場合は、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。

 

②【R3年出題】

 厚生年金保険の被保険者であった甲は令和341日に厚生年金保険の被保険者資格を喪失したが、厚生年金保険の被保険者期間中である令和3315日に初診日がある傷病により令和381日に死亡した(死亡時の年齢は50歳であった。)。この場合、甲について国民年金の被保険者期間があり、当該国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が、当該国民年金の被保険者期間の3分の2未満であっても、令和27月から令和36月までの間に保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がないときには、遺族厚生年金の支給対象となる。

 

③【R1年出題】

 障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡したときは、遺族厚生年金の支給要件について、死亡した当該受給権者の保険料納付要件が問われることはない。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 〇 

 上記に当てはまりますので、「保険料納付要件を満たしている」ことが条件です。

 

②【R3年出題】 〇 

 上記に当てはまりますので、「保険料納付要件を満たしている」ことが要件です。

 原則の保険料納付要件を満たしていない場合でも、特例の保険料納付要件を満たしていれば、遺族厚生年金が支給されます。

 特例の保険料納付要件は、「令和841日前に死亡した者」で、「死亡日の前日において当該死亡日の属する月の前々月までの1年間のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がないこと」、そして「死亡日に65歳未満」であることです。ちなみに、「保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がない」とは、「未納期間がない」という意味です。

 令和381日に死亡した場合、死亡日の属する月の前々月までの1年間(=令和27月~令和36月)までの間に未納期間がないとき(保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がないとき)には、遺族厚生年金の支給対象となります。

 

令和27

 

・・・・・・・

令和36

令和37

令和38

 

死亡日の属する月の前々月

 

死亡日の

属する月

死亡日の属する月の前々月までの1年間

この間に未納がないこと

 

 

 

S60法附則第64条第2項)

 

③【R1年出題】 〇

 上記に当てはまりますので、保険料納付要件は問われません。

 障害厚生年金を受けるときに保険料納付要件を満たしているからです。

 

 

では令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 遺族厚生年金は、障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡したときにも、一定の要件を満たすその者の遺族に支給されるが、その支給要件において、その死亡した者について保険料納付要件を満たすかどうかは問わない。

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇

 上記3に当てはまりますので、保険料納付要件は問われません。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/B9hByUcvIt8?si=bFd_1dy8vIprgryA

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令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-103

R5.12.8 特定適用事業所とは?

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 「特定適用事業所」に使用される「短時間労働者」は、一定の要件を満たす場合は、厚生年金保険の被保険者となります。

特定適用事業所の定義を条文で読んでみましょう。

H24附則第17条第12

 特定適用事業所とは、事業主が同一である1又は2以上の適用事業所であって、当該1又は2以上の適用事業所に使用される特定労働者(70歳未満の者のうち、厚生年金保険法12条各号のいずれにも該当しないものであって、特定4分の3未満短時間労働者以外のものをいう。)総数が常時100人を超えるものの各適用事業所をいう。

 

では、過去問をどうぞ!

①【R2年出題】

 特定適用事業所に使用される者は、その1か月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1か月間の所定労働日数の4分の3未満であって、当該事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれない場合は、厚生年金保険の被保険者とならない。

 

②【R2年出題】

 特定適用事業所に該当しなくなった適用事業所に使用される特定4分の3未満短時間労働者は、事業主が実施機関に所定の申出をしない限り、厚生年金保険の被保険者とならない。

 

③【R2年出題】

 特定適用事業所でない適用事業所に使用される特定4分の3未満短時間労働者は、事業主が実施機関に所定の申出をしない限り、厚生年金保険の被保険者とならない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 × 

 1か月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3未満の者で、特定適用事業所に使用される者は、「週の所定労働時間が20時間以上」、「厚生年金保険法の規定により算定した報酬の月額が88,000円以上」、「学生でない」場合は、厚生年金保険の被保険者となります。

 「継続して1年以上使用される見込み」という要件は、改正により現在はなくなっています。

H24附則第17条第1項)

 

②【R2年出題】 ×

 特定適用事業所に該当しなくなったとしても、特定4分の3未満短時間労働者の厚生年金保険の資格は継続します。

H24附則第17条第2項)

 

③【R2年出題】 〇 

 特定適用事業所でない適用事業所に使用される特定4分の3未満短時間労働者は、原則として、厚生年金保険の被保険者となりません。

H24附則第17条第1項)

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 特定4分の3未満短時間労働者に対して厚生年金保険が適用されることとなる特定適用事業所とは、事業主が同一である1又は2以上の適用事業所であって、当該1又は2以上の適用事業所に使用される労働者の総数が常時100人を超える事業所のことである。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 ×

 「労働者」の総数が常時100人を超えるではなく、「特定労働者(70歳未満の者のうち、厚生年金保険法第12条各号のいずれにも該当しないものであって、特定4分の3未満短時間労働者以外のものをいう。)」の総数が常時100人を超える事業所のことです。

H24附則第17条第1項) 

 

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https://youtu.be/2st2zIVjVgk?si=M_4a3GDM7lCtKCie

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令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-102

R5.12.7 経過的寡婦加算の支給停止

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 経過的寡婦加算は、遺族厚生年金を受けている65歳以上の妻に支給されるものです。

 昭和3141日以前生まれの妻が対象です。

 

条文を読んでみましょう。

S60附則第73条第1項 (遺族厚生年金の加算の特例)

 中高齢寡婦加算の要件を満たした遺族厚生年金の受給権者であって昭和3141日以前に生まれた者(死亡した厚生年金保険の被保険者又は被保険者であった者の妻であった者に限る)がその権利を取得した当時65歳以上であったとき、又は中高齢寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権者であって昭和3141日以前に生まれたもの65歳に達したときは、当該遺族厚生年金の額に、経過的寡婦加算を加算する。

 ただし、当該遺族厚生年金の受給権者が、国民年金法による障害基礎年金又は旧国民年金法による障害年金の受給権を有するとき(その支給を停止されているときを除く)は、その間、当該加算する額に相当する部分の支給を停止する

 

(経過的寡婦加算の額)

①から②を控除して得た額

① 中高齢寡婦加算の額

② 老齢基礎年金の額に妻の生年月日別に定められた率を乗じて得た額

 

経過的寡婦加算が加算される妻は、次のどちらかに当てはまる場合です。

65歳以上で遺族厚生年金の受給権が発生したとき(中高齢寡婦加算が加算される要件を満たしていること)

・中高齢寡婦加算が加算されていた遺族厚生年金の受給権者である妻が65歳に達したとき

※どちらも、昭和3141日以前生まれの妻であることが条件です。

 

 

まず、過去問を解いてみましょう

①【R3年出題】

 昭和3241日生まれの妻は、遺族厚生年金の受給権者であり、中高齢寡婦加算が加算されている。当該妻が65歳に達したときは、中高齢寡婦加算は加算されなくなるが、経過的寡婦加算の額が加算される。

 

 

②【H21年出題】

 遺族厚生年金の受給権者である妻で一定の要件を満たす者に加算される中高齢寡婦加算の額は、妻の生年月日に応じた率を使用し算出されるが、経過的寡婦加算の額は、当該妻の生年月日にかかわらず、一定の金額とされている。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 ×

 中高齢寡婦加算は、妻が65歳に達したときは加算されなくなり、65歳以降は経過的寡婦加算が加算されます。

 ただし、65歳以降、経過的寡婦加算の額が加算されるのは、昭和3141日以前生まれの者に限られます。

 そのため、昭和3241日生まれの妻については、65歳まで中高齢寡婦加算が加算されますが、65歳以降、経過的寡婦加算額は加算されません。

S60附則第73条第1項)

 

②【H21年出題】 ×

 中高齢寡婦加算の額は、「遺族基礎年金の額×4分の3」で、妻の生年月日にかかわらず、定額です。

 経過的寡婦加算の額は、妻の生年月日に応じた率を使用し算出されます。

 経過的寡婦加算の額の計算式を確認しましょう。

  ↓

 中高齢寡婦加算の額 - 老齢基礎年金の額×生年月日に応じた乗率

 生年月日に応じた乗率は、例えば、昭和2年4月1日以前生まれは「0」、昭和3042日生まれから昭和3141日以前生まれは「480分の348」です。

 経過的寡婦加算の額は、生年月日が若くなるほど少なくなるのがポイントです。

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 経過的寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権者である妻が、障害基礎年金の受給権を有し、当該障害基礎年金の支給がされているときは、その間、経過的寡婦加算は支給が停止される。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇 

 経過的寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権者である妻が、障害基礎年金を受給する場合は、その間、経過的寡婦加算の支給が停止されます。

 障害基礎年金によって、1階部分の年金額は、満額が保障されるからです。

S60附則第73条第1項)

 

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https://youtu.be/jecNSa1YWXg?si=PXkWlc9WfLYOcCVj

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令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-094

R5.11.29 任意適用事業所の認可

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

「任意適用事業所」の認可について条文を読んでみましょう。

6条第3項、4項、H24法附則第17条の2

③ 強制適用事業所以外の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所とすることができる

④ 認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(12条に規定する者及び特定4分の3未満短時間労働者を除く)2分の1以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。

 

第8条

① 任意適用事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所でなくすることができる

② 認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(12条に規定する者及び特定4分の3未満短時間労働者を除く)4分の3以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。

 

 

さっそく過去問をどうぞ!

①【R2年出題】

 任意適用事業所の認可を受けようとする事業主は、当該事業所に使用される者(厚生年金保険法第12条に規定する者及び特定4分の3未満短時間労働者を除く。)の3分の1以上の同意を得たことを証する書類を添えて、厚生年金保険任意適用申請書を日本年金機構に提出しなければならない。

 

 

②【H30年出題】

 任意適用事業所を適用事業所でなくするための認可を受けようとするときは、当該事業所に使用される者の3分の2以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請することとされている。なお、当該事業所には厚生年金保険法第12条各号のいずれかに該当し、適用除外となる者又は特定4分の3未満短時間労働者に該当する者はいないものとする。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 ×

 任意適用事業所になるための認可を受けるときは、当該事業所に使用される者(厚生年金保険法第12条に規定する者及び特定4分の3未満短時間労働者を除く。)の「2分の1」以上の同意が必要です。

 任意適用事業所の認可を受けようとする事業主は、厚生年金保険任意適用申請書を日本年金機構に提出しなければなりませんが、その際、2分の1以上の同意を得たことを証する書類を添えなければなりません。

(法第6条第4項、則第13条の3

 

 

②【H30年出題】 × 

 任意適用事業所を適用事業所でなくするための認可を受けようとするときは、当該事業所に使用される者の「4分の3以上」の同意が必要です。

(第8条第2項)

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 任意適用事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けることにより当該事業所を適用事業所でなくすることができるが、このためには、当該事業所に使用される者の全員の同意を得ることが必要である。なお、当該事業所には厚生年金保険法第12条各号のいずれかに該当する者又は特定4分の3未満短時間労働者に該当する者はいないものとする。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 ×

 任意適用事業所を適用事業所でなくするためには、当該事業所に使用される者の「4分の3」以上の同意を得ることが必要です。

(法第8条第2項)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/hKQvCxj_FRo?si=l6fFTWvvPYfZC61w

社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-088

R5.11.23 経過的加算額のしくみ

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 

今日のテーマは経過的加算額です。

60歳台前半に支給される「特別支給の老齢厚生年金」は、定額部分と報酬比例部分で構成されています。

65歳以降は、「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」で構成されます。

 

60                                                   65

 

報酬比例部分

 

 

 

老齢厚生年金

 

定額部分

経過的加算額

 

老齢基礎年金

 

★ 定額部分の額の計算式を確認しましょう ★

 定額部分の額は、1,628円×改定率×被保険者期間の月数です。

 ただし、定額単価の1,628円は、昭和2141日以前に生まれた者は、生年月日に応じた読み替えがあります。

 また、被保険者期間の月数には上限があり、例えば昭和2142日以降に生まれた者は480月が上限です。

 

★ 老齢基礎年金の計算式を確認しましょう ★

 保険料納付済期間が480月の場合、老齢基礎年金の額は、満額の780,900円×改定率です。

 ただし、保険料納付済期間が480月未満の場合は、免除期間や合算対象期間等の月数に応じて、老齢基礎年金の額が減額されます。

 

ポイント!

★ 定額部分と老齢基礎年金の計算式が異なっているのがポイントです。当分の間は、定額部分の方が老齢基礎年金より高くなります。老齢基礎年金と定額部分の差をうめるためのものが、「経過的加算額」です。

 

★定額部分と老齢基礎年金の違いを確認しましょう ★

 

昭和363月以前の期間

20歳未満、60歳以後の期間

定 額 部 分

計算に入る

計算に入る

老齢基礎年金

合算対象期間

合算対象期間

 

 

では、過去問をどうぞ!

R3年出題】

 厚生年金保険の被保険者期間の月数にかかわらず、60歳以上の厚生年金保険の被保険者期間は、老齢厚生年金における経過的加算額の計算の基礎とされない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R3年出題】 × 

60歳以上の厚生年金保険の被保険者期間は、経過的加算額の計算の基礎となります。定額部分の計算には、「60歳以上の厚生年金保険の被保険者期間」が入るからです。

 経過的加算額は、定額部分と老齢基礎年金の差額です。

 ちなみに、経過的加算額を計算する際の老齢基礎年金は、「厚生年金保険の被保険者期間」だけで計算することがポイントです。

では、令和5年の問題をどうぞ

R5年出題】

 今年度65歳に達する被保険者甲と乙について、20歳に達した日の属する月から60歳に達した日の属する月の前月まで厚生年金保険に加入した甲と、20歳に達した日の属する月から65歳に達した日の属する月の前月まで厚生年金保険に加入した乙とでは、老齢厚生年金における経過的加算の額は異なる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 × 

 甲と乙の経過的加算の額は、同額です。

★甲の経過的加算について

 甲は保険料納付済期間が20歳から60歳までの480月です。

・定額部分に相当する額 → 1,628円×改定率×480

・老齢基礎年金の額 → 780,900円×改定率×480分の480

20歳から60歳まで全て保険料納付済期間(すべて厚生年金保険の被保険者期間)ですので、満額の老齢基礎年金が支給されます。

・経過的加算の計算式 

→ (1,628×改定率×480月)-(780,900×改定率×480分の480)

 

★乙の経過的加算について

 乙は、厚生年金保険に45年間(540月)加入していますが、老齢基礎年金の計算上、保険料納付済期間は20歳から60歳までの480月で、60歳から65歳までの60月は「合算対象期間」となります。

・定額部分に相当する額 → 1,628×改定率×480

 定額部分には、480月の上限があることに注意してください。

・老齢基礎年金の額 → 780,900×改定率×480分の480

20歳から60歳まで全て保険料納付済期間ですので、満額の老齢基礎年金が支給されます。合算対象期間は老齢基礎年金の年金額には反映しません。

 

・経過的加算の計算式 

→ 甲と同じ、(1,628×改定率×480月)-(780,900×改定率×480分の480)です。 

 

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社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-081

R5.11.16 中高齢寡婦加算と遺族基礎年金の調整

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 

「中高齢寡婦加算」は、要件を満たした妻が受ける遺族厚生年金に加算されます。

 

★中高齢寡婦加算が加算されるのは、次のいずれかの要件に該当する妻です。

(1) 遺族厚生年金の権利を取得した当時40歳以上65歳未満であったもの

(2) 40歳に達した当時被保険者若しくは被保険者であった者ので国民年金法第37条の2第1項に規定する要件に該当するものと生計を同じくしていたもの(=40歳に達した当時、子と生計を同じくし遺族基礎年金を受けていたもの)

 

★中高齢寡婦加算が加算されるのは、40歳から65歳になるまでの間です。

★中高齢寡婦加算の額は、「遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額」です。

(法第62条第1項)

 

(例)夫の死亡当時、妻が50歳で、生計を同じくする子がいない(=遺族基礎年金を受けていない)場合、50歳から65歳まで中高齢寡婦加算が加算されます。

 

50歳                 65

遺 族 厚 生 年 金

 

中高齢寡婦加算

老齢基礎年金

 

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H27年出題】

 子のない妻が、被保険者である夫の死亡による遺族厚生年金の受給権を取得したときに30歳以上40歳未満であった場合、妻が40歳に達しても中高齢寡婦加算は加算されない。

  

②【H28年出題】

 被保険者の死亡により妻が中高齢寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権を取得した場合において、その遺族厚生年金は、妻に当該被保険者の死亡について国民年金法による遺族基礎年金が支給されている間、中高齢寡婦加算額に相当する部分の支給が停止される。

 

③【R3年出題】

 夫の死亡により、厚生年金保険法第58条第1項第4号に規定するいわゆる長期要件に該当する遺族厚生年金(その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上あるものとする。)の受給権者となった妻が、その権利を取得した当時60歳であった場合は、中高齢寡婦加算として遺族厚生年金の額に満額の遺族基礎年金の額が加算されるが、その妻が、当該夫の死亡により遺族基礎年金も受給できるときは、その間、当該加算される額に相当する部分の支給が停止される。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H27年出題】 〇 

 夫の死亡時に、30歳以上40歳未満で子がいない妻には、中高齢寡婦加算は加算されません。

 子がいない妻の場合は、夫の死亡時に40歳以上65歳未満でなければなりません。

 

 

②【H28年出題】 〇 

 子のある妻の場合は、遺族基礎年金が支給されます。

 遺族基礎年金は、子が18歳になる年度の331日まで(障害状態にある場合は20歳になるまで)支給されますが、遺族基礎年金が支給されている間、中高齢寡婦加算額は支給が停止されます。

 

条文を読んでみましょう。

65条 

 中高齢寡婦加算額が加算された遺族厚生年金は、その受給権者である妻が当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について国民年金法による遺族基礎年金の支給を受けることができるときは、その間、中高齢寡婦加算額に相当する部分の支給を停止する。

 

 

 

                         65歳

遺族厚生年金

 

遺族基礎年金

中高齢寡婦加算

老齢基礎年金

 

 

            子 18歳年度末

※遺族基礎年金を受ける間、中高齢寡婦加算は支給停止されます。

 

 

③【R3年出題】 ×

 中高齢寡婦加算額は、満額の遺族基礎年金の額ではなく、「遺族基礎年金の額に4分の3を乗じた額」です。

 妻が、夫の死亡により遺族基礎年金も受給できるときは、その間、中高齢寡婦加算額に相当する部分の支給は停止されます。

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 中高齢寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権者である妻が、被保険者又は被保険者であった者の死亡について遺族基礎年金の支給を受けることができるときは、その間、中高齢寡婦加算は支給が停止される。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇 

 中高齢寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権者である妻が、遺族基礎年金の支給を受けることができるときは、その間、中高齢寡婦加算は支給が停止されます。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

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社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-075

R5.11.10 特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 

 「特別支給の老齢厚生年金」は、60歳から65歳になるまでの間に支給される老齢厚生年金です。

2階建てになっていて、1階が「定額部分」、2階が「報酬比例部分」となります。

60                                                65

     報酬比例部分

老齢厚生年金(報酬比例部分)

      定額部分

老齢基礎年金

 

 しかし、男性の場合、60歳から定額部分と報酬比例部分が支給されるのは、昭和1641以前生まれまでです。昭和1642以降生まれの男性は、定額部分の開始年齢が1歳ずつ段階的に引き上げられます。

60                                                65

     報酬比例部分

老齢厚生年金(報酬比例部分)

定額部分

老齢基礎年金

   

 

昭和2442日~昭和2841以前生まれの男性は、60歳から報酬比例部分のみ支給されます。

60                                               65

報酬比例部分

老齢厚生年金(報酬比例部分)

 

老齢基礎年金

   

 

昭和2842以降生まれの男性は、報酬比例部分の開始年齢が1歳ずつ引き上げられます。

60                                             65

報酬比例部分

老齢厚生年金(報酬比例部分)

 

老齢基礎年金

 

昭和3642日以降生まれの男性は、特別支給の老齢厚生年金は支給されません。

60                                           65

 

老齢厚生年金(報酬比例部分)

 

老齢基礎年金

 

 男性の生年月日の重要ポイントは、16年、24年、28年、364つです。

 定額部分の開始が61歳になる昭和1642、報酬比例部分のみになる昭和2442、報酬比例部分の開始が61歳になる昭和2842、特別支給の老齢厚生年金が支給されない昭和3642をおぼえましょう。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 厚生年金保険法附則第8条の2に定める「特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例」の規定によると、昭和35822日生まれの第1号厚生年金被保険者期間のみを有する女子と、同日生まれの第1号厚生年金被保険者期間のみを有する男子とでは、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢が異なる。なお、いずれの場合も、坑内員たる被保険者であった期間及び船員たる被保険者であった期間を有しないものとする。

 

②【R3年出題】

 厚生年金保険法附則第8条の2に定める「特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例」の規定によると、昭和35822日生まれの第4号厚生年金被保険者期間のみを有する女子と、同日生まれの第4号厚生年金被保険者期間のみを有する男子とでは、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は同じである。

 

③【H29年出題】

 昭和2941日生まれの女性(障害の状態になく、第1号厚生年金被保険者期間を120月、国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間を180月有するものとする。)が、特別支給の老齢厚生年金における報酬比例部分を受給することができるのは60歳からであり、また、定額部分を受給することができるのは64歳からである。なお、支給繰上げの請求はしないものとする。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 〇

 第1号厚生年金被保険者期間を有する女性は、特別支給の老齢厚生年金の開始年齢が男性と異なりますので注意してください。先ほどおぼえた男性の生年月日に「5」をプラスします。第1号の女性の生年月日のポイントは、21年、29年、33年、41年4つです。

 昭和35822日生まれの第1号厚生年金被保険者期間のみを有する女性の特別支給の老齢厚生年金は報酬比例部分のみで、62歳から支給されます。同日生まれの第1号厚生年金被保険者期間のみを有する男性の特別支給の老齢厚生年金も、報酬比例部分のみですが、64歳から支給されます。

 

 

②【R3年出題】 〇 

 第2号厚生年金被保険者期間、第3号厚生年金被保険者期間、第4号厚生年金被保険者期間を有する女性の特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は、男性と同じです。

 昭和35822日生まれの第4号のみの女性と、同日生まれの第4号のみの男性は、報酬比例部分のみが支給され、支給開始年齢はどちらも64歳です。

 

③【H29年出題】 〇 

 第1号厚生年金被保険者期間のみを有する昭和2941日生まれの女性の特別支給の老齢厚生年金は、以下の形になります。

60        

     報酬比例部分

老齢厚生年金(報酬比例部分)

定額部分

老齢基礎年金

   

 

 第1号女性の場合、定額部分の支給開始が61歳になるのは昭和2142日以降生まれです。(男性の生年月日に5を足してください)

2年刻みで1歳ずつ引き上げられますので、2142日生まれが61歳、2342日生まれが62歳、2542日生まれが63歳、2742日生まれが64歳となります。

2941日生まれは、報酬比例部分は60歳から、定額部分は64歳から支給されます。

 

 

では令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 第2号厚生年金被保険者期間のみを有する昭和3611日生まれの女性で、特別支給の老齢厚生年金の受給資格要件を満たす場合、報酬比例部分の支給開始年齢は64歳である。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇 

 第2号厚生年金被保険者期間のみを有する昭和3611日生まれの女性の特別支給の老齢厚生年金は次の形になります。

60                   

報酬比例

老齢厚生年金(報酬比例部分)

 

老齢基礎年金

 報酬比例部分の支給開始年齢は、同日生まれの男性と同じ64歳です。

 報酬比例部分の開始が61歳になるのが昭和2842日生まれ以降です。2年刻みで1歳ずつ引き上げられますので、2842日生まれが61歳、3042日生まれが62歳、3242日生まれが63歳、3442日生まれが64歳です。

 

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https://youtu.be/ovzSA26Rb9k?si=85Cxbcf24SfnWC-A

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令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-068

R5.11.3 5年に一度の財政検証

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

条文を読んでみましょう。

2条の4(財政の現況及び見通しの作成)

① 政府は、少なくとも5年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びにこの法律による保険給付に要する費用の額その他の厚生年金保険事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通し(以下「財政の現況及び見通し」という。)を作成しなければならない。

② 財政均衡期間は、財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね100年間とする。

③ 政府は、財政の現況及び見通しを作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

 

 政府は、少なくとも5年ごとに、国民年金及び厚生年金の財政の現況及び見通しを作成しています。このことを「財政検証」といいます。

さっそく過去問をどうぞ!

H30年出題】

 財政の現況及び見通しにおける財政均衡期間は、財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね100年間とされている。

 

 

 

 

 

 

【解答】

H30年出題】 〇

 「財政均衡期間」は、財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね100年間です。

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 政府は、令和元年8月に、国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しを公表した。そのため、遅くとも令和712月末までには、新たな国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しを作成しなければならない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 × 

 財政検証は、少なくとも5年ごとに実施することになっています。

 政府は、令和元年8月に、「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」を公表しています。財政検証の実施は、「少なくとも5年ごと」ですので、次は、   令和6年となります。 

 

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https://youtu.be/NHg4AYk7tJ4?si=S9o3p4ntmmDSZ7st

社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-062

R5.10.28 障害手当金の額の計算式

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

条文を読んでみましょう。

57条 (障害手当金の額)

 障害手当金の額は、50条第1項の規定の例により計算した額100分の200に相当する額とする。ただし、その額が同条第3項に定める額にを乗じて得た額に満たないときは、当該額とする。

 

障害手当金の額の計算式は、以下の通りです。

報酬比例の額(50条第1項の規定の例により計算した額)×100分の200

 

また、障害手当金には最低保障額があります。

最低保障額の計算式は、以下の通りです。

障害厚生年金の最低保障額(第50条第3項に定める額=2級の障害基礎年金の額×  4分の3×

 

 

 

参考にこちらの条文も読んでみましょう。

50条第1項、3

<障害厚生年金の額>

① 障害厚生年金の額は、43条第1項の規定(老齢厚生年金の額)の例により計算した額とする。この場合において、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300とする

<障害厚生年金の最低保障額>

③ 障害厚生年金の給付事由となった障害について国民年金法による障害基礎年金を受けることができない場合において、障害厚生年金の額が国民年金法第33条第1項に規定する障害基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)に満たないときは、当該額を障害厚生年金の額とする。 

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 障害手当金の額は、厚生年金保険法第50条第1項の規定の例により計算した額の100分の200に相当する額であるが、その額が障害等級2級に該当する者に支給する障害基礎年金の額の2倍に相当する額に満たないときは、当該額が障害手当金の額とされる。

 

 

②【H26年選択式】

 障害手当金の額は、厚生年金保険法第50条第1項の規定の例により計算した額の100分の200に相当する額とする。ただし、その額が障害等級3級の障害厚生年金の最低保障額に< A >を乗じて得た額に満たないときは、当該額とする。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 ×

 障害手当金の額は、厚生年金保険法第50条第1項の規定の例により計算した額の100分の200に相当する額です。

 ただし、その額が2級の障害基礎年金の額に「4分の3を乗じて得た額」の2倍に相当する額に満たないときは、当該額が障害手当金の額とされます。

 問題文は、「4分の3」が抜けているので誤りです。

※障害厚生年金の給付事由となった障害について、国民年金法による障害基礎年金を受けることができない場合の最低保障額は、2級の障害基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額です。

 

 

②【H26年選択式】

A 2 

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

障害手当金の額は、厚生年金保険法第50条第1項の規定の例により計算した額の100分の200に相当する額である。ただし、その額が、障害基礎年金2級の額に2を乗じて得た額に満たないときは、当該額が障害手当金の額となる。

 

 

 

 

 

 

R5年出題】 ×

 先ほどの平成29年の問題と同じく、4分の3が抜けているので誤りです。

 障害手当金の最低保障額は、「障害基礎年金2級の額×4分の3」に2を乗じて得た額です。

 

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https://youtu.be/RNe9DAurfPQ?si=Wji9dXbgxciQASMc

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令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-057

R5.10.23 子の遺族厚生年金の支給停止が解除されるとき

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

条文を読んでみましょう。

66条第1

に対する遺族厚生年金は、配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給を停止する。ただし、配偶者に対する遺族厚生年金が前条本文、次項本文又は次条の規定によりその支給を停止されている間は、この限りでない。

 

・前条本文(第65条の2

 夫、父母又は祖父母に対する遺族厚生年金は、受給権者が60歳に達するまでの期間、その支給を停止する

・次項本文(第66条第2項)

 配偶者に対する遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、配偶者が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、その支給を停止する。

・次条(第67条)

 配偶者又は子に対する遺族厚生年金は、その配偶者又は子の所在が1年以上明らかでないときは、遺族厚生年金の受給権を有する子又は配偶者の申請によって、その所在が明らかでなくなった時にさかのぼって、その支給を停止する。

 

 「配偶者と子」は、遺族厚生年金の支給の順位が同順位です。配偶者と子が受給権を有する場合は、配偶者に遺族厚生年金を支給し、配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する期間、子に対する遺族厚生年金は支給停止されます。

 ただし、配偶者の遺族厚生年金が、65条の2本文、第66条第2項本文、第67条の規定で支給停止されている場合は、子の遺族厚生年金の支給停止は解除され、子に遺族厚生年金が支給されます

 

では、過去問をどうぞ!

①【H30年出題】

 被保険者の死亡により、その妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、子に対する遺族厚生年金は、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給が停止されるが、妻が自己の意思で妻に対する遺族厚生年金の全額支給停止の申出をしたときは、子に対する遺族厚生年金の支給停止が解除される。

 

 

②【R3年出題】

 遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権を有する妻が、障害基礎年金と障害厚生年金の受給権を取得した。妻は、障害基礎年金と障害厚生年金を選択したため、遺族基礎年金と遺族厚生年金は全額支給停止となった。妻には生計を同じくする子がいるが、子の遺族基礎年金については、引き続き支給停止となるが、妻の遺族厚生年金が全額支給停止であることから、子の遺族厚生年金は支給停止が解除される。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年出題】 × 

 子の遺族厚生年金の支給停止が解除されるのは、配偶者の遺族厚生年金が、第65条の2本文、第66条第2項本文、第67条の規定で支給停止されている場合です。 

 妻が自己の意思で妻に対する遺族厚生年金の全額支給停止の申出をしたときは、子に対する遺族厚生年金の支給停止は、「解除されません」。子の遺族厚生年金は、支給停止のままです。

 ちなみに、受給権者の申出による年金の支給停止は、第36条の2に規定されています。

 

 

②【R3年出題】 × 

 遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権を有する妻が、障害基礎年金と障害厚生年金の受給権を取得し、障害基礎年金と障害厚生年金を選択しました。その場合、妻に対する遺族基礎年金と遺族厚生年金は支給停止されます。

 妻が障害の年金を選択したことにより、妻の遺族厚生年金が支給停止になった場合でも、子の遺族厚生年金の支給停止は「解除されません」。子の遺族厚生年金は支給停止のままです。

 

 

令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 夫の死亡による遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給していた甲が、新たに障害厚生年金の受給権を取得した。甲が障害厚生年金の受給を選択すれば、夫の死亡当時、夫によって生計を維持されていた甲の子(現在10歳)に遺族厚生年金が支給されるようになる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 × 

R3年の過去問と同じ趣旨の問題です。

 遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給していた甲が、新たに障害厚生年金の受給権を取得し、障害厚生年金の受給を選択した場合は、甲に対する遺族基礎年金と遺族厚生年金は支給停止になります。

 その場合でも、子に対する遺族厚生年金の支給停止は「解除されません」。甲の子の遺族厚生年金は支給停止のままです。

 

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https://youtu.be/Jghnc_2qNLE?si=OJZkM9nIU69AlPxk

社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-048

R5.10.14 任意単独被保険者の資格の取得と喪失

過去問で解ける問題をみていきます。

今日は、厚生年金保険法です。

 

条文を読んでみましょう。

10条 (任意単独被保険者)

① 適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の者は、厚生労働大臣の認可を受けて、厚生年金保険の被保険者となることができる。

② 認可を受けるには、その事業所の事業主の同意を得なければならない。

 

11条 

 任意単独被保険者は、厚生労働大臣の認可を受けて、被保険者の資格を喪失することができる。

 

 「適用事業所」に使用される70歳未満の者は、当然に厚生年金保険の被保険者となります。

 「適用事業所以外」の事業所に使用される70歳未満の者は、「厚生労働大臣の認可」を受けることにより、厚生年金保険の被保険者となることができます。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H24年出題】

 適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の者が被保険者になるためには、保険料を全額負担し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

 

 

②【H27年出題】

 任意単独被保険者が厚生労働大臣の認可を受けてその資格を喪失するには、事業主の同意を得た上で、所定の事項を記載した申請書を提出しなければならない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H24年出題】 × 

 適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の者が被保険者になるためには、厚生労働大臣の認可を受けなければなりません。

 ただし、保険料は任意単独被保険者が全額負担するのではありません。

 事業主が保険料の半額を負担し、また、保険料を納付する義務も負います。厚生労働大臣の認可を受けるのに、事業所の事業主の「同意」が必要なのはそのためです。

 

 

②【H27年出題】 × 

 任意単独被保険者は、厚生労働大臣の認可を受け、その資格を喪失することができます。 

 厚生労働大臣の認可を受けて資格を喪失する際は、事業主の同意は不要です。資格喪失によって、事業主は、保険料の半額を負担する義務と納付する義務が無くなるからです。

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 厚生年金保険の任意単独被保険者となっている者は、厚生労働大臣の認可を受けて、被保険者の資格を喪失することができるが、資格喪失に際しては、事業主の同意を得る必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 × 

 任意単独被保険者は、厚生労働大臣の認可を受けて、被保険者の資格を喪失することができます。しかし、資格喪失に際し、事業主の同意は要りません。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/-RD0DEhrQKU?si=9_I1oXKFDEUrptNA

社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-039

R5.10.5 老齢厚生年金の退職時改定

「過去問」で解ける問題を解説していきます。

今日は、厚生年金保険法です。

 

条文を読んでみましょう。

43条第3

 被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、資格を喪失した日(14条第2号から第4号までのいずれかに該当するに至った日にあっては、その日)から起算して1か月を経過した日の属する月から、年金の額を改定する。

 

 退職などで厚生年金保険の被保険者資格を喪失した場合は、老齢厚生年金の年金額の見直しが行われます。

 ポイントを確認しましょう。

・資格を喪失し、かつ、再び被保険者となることなくして資格を喪失した日から起算して1か月経過しました

・資格を喪失した月前の被保険者であった期間を算入して、老齢厚生年金の額を再計算します

・資格を喪失した日から起算して1か月を経過した日の属する月から、年金額が改定されます。

※なお、「(第14条第2号)その事業所又は船舶に使用されなくなったとき」、「(第14条第3号)適用事業所でなくすることの認可を受けたとき、任意単独被保険者の資格喪失の認可を受けたとき」、「(第14条第4号)適用除外に該当するに至ったとき」は、「その日から起算」して1か月を経過した日の属する月から、年金額が改定されます。

 例えば、「退職」で資格を喪失した場合は、退職日の翌月から年金額が改定されます。

 

では、過去問をどうぞ!

H28年出題】

 在職老齢年金の受給権者が平成28年1月31日付けで退職し同年2月1日に被保険者資格を喪失し、かつ被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過した場合、当該被保険者資格を喪失した月前における被保険者であった期間も老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、平成28年3月から年金額が改定される。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H28年出題】 ×

 退職時改定は、「資格を喪失した日から起算して1か月を経過した日の属する月」から改定されるのが原則です。

 しかし、「その事業所又は船舶に使用されなくなったとき=退職の場合」は、「その日から起算して1か月を経過した日の属する月」から、改定されます。

 問題文は、1月31日付退職・2月1日に被保険者資格喪失ですので、131日から起算して1か月を経過した日の属する月=2月から年金額が改定されます。

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、再び被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月以前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、資格を喪失した日から起算して1か月を経過した日の属する月から、年金の額を改定する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 ×

 退職時改定で新たに老齢厚生年金の額の計算に加えるのは、「その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間」です。

 その被保険者の資格を喪失した月「以前」ではありません。資格を喪失した月は含まれませんので注意しましょう。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/VeaEe1CINVE?si=cKYYWzufTH213tk7

社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-030

R5.9.26 配偶者が老齢基礎年金を繰上げたときの加給年金額

「過去問」で解ける問題を解説していきます。

今日は、厚生年金保険法です。

 

 

まず過去問からどうぞ!

H28年出題】

 配偶者に係る加給年金額が加算された老齢厚生年金について、その対象となる配偶者が繰上げ支給の老齢基礎年金の支給を受けるときは、当該配偶者については65歳に達したものとみなされ、加給年金額に相当する部分が支給されなくなる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

H28年出題】 ×

 加給年金額の対象となる配偶者が、繰上げ支給の老齢基礎年金の支給を受けるときでも、加給年金額は配偶者が65歳になるまで支給されます。

 

夫が老齢厚生年金の受給権者で、妻が加給年金額の対象になっている場合のイメージ図

 

65

老齢厚生年金

老齢基礎年金

加給年金額

 

 

                ▼65

 

振替加算

 

老齢基礎年金

 

 

 

妻が老齢基礎年金を繰り上げたとしても、加給年金額は65歳まで加算されます。

65

老齢厚生年金

老齢基礎年金

加給年金額

 

 

60歳             ▼65

 

振替加算

繰上げ支給の老齢基礎年金

 

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 老齢厚生年金における加給年金額の加算対象となる配偶者が、繰上げ支給の老齢基礎年金の支給を受けるときは、当該配偶者に係る加給年金額は支給が停止される。

 

 

 

 

 

 

R5年出題】 ×

 加給年金額の加算対象になっている配偶者が、繰上げ支給の老齢基礎年金の支給を受けたとしても、当該配偶者に係る加給年金額は配偶者が65歳になるまで支給されます。

 

 

振替加算に関する国民年金の問題をどうぞ!

★国民年金法の問題です★

【国民年金法H22年出題】

 老齢基礎年金の支給の繰上げの請求をした場合であっても、振替加算額については、受給権者が65歳に達した日以後でなければ加算は行われない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【国民年金法H22年出題】 ○

 老齢基礎年金の支給の繰上げの請求をした場合も、振替加算額が加算されるのは、受給権者が65歳に達した日以後です。振替加算額の繰上げは行われません。

 

先ほどの図をもう一度みてみましょう。

65

老齢厚生年金

老齢基礎年金

加給年金額

 

 

60歳             ▼65

 

振替加算

繰上げ支給の老齢基礎年金

 

 

加給年金額の加算対象の妻が老齢基礎年金を繰り上げた場合のポイント!

・夫の老齢厚生年金

  → 加給年金額は支給停止にはなりません。妻が65歳になるまで支給されます。

・妻の振替加算

  →振替加算は繰上げされません。65歳から支給されます。 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/fU5NilDyL34?si=EL03cbxzpDe0exnU

社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-020

R5.9.16 55歳から60歳までの夫に対する遺族厚生年金

「過去問」で解ける問題を解説していきます。

今日は、厚生年金保険法です。

 

まず、過去問からどうぞ!

①【H27年出題】

 夫(障害の状態にない)に対する遺族厚生年金は、当該夫が60歳に達するまでの期間、支給停止されるが、夫が妻の死亡について遺族基礎年金の受給権を有するときは、支給停止されない。

 

 

②【R1年出題】

 平成2641日以後に被保険者又は被保険者であった者が死亡し、その者の夫と子に遺族厚生年金の受給権が発生した。当該夫に対する当該遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、当該夫が国民年金法の規定による遺族基礎年金の受給権を有する場合でも、60歳に到達するまでの間、その支給を停止する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H27年出題】 〇

★遺族年金を受けることができる夫の条件を確認しましょう。

<夫に対する遺族厚生年金>

・被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時55歳以上であること 

 ただし、夫が60歳になるまでは原則として遺族厚生年金は支給停止されます。

条文を読んでみましょう。

65条の2 

夫、父母又は祖父母に対する遺族厚生年金は、受給権者が60に達するまでの期間、その支給を停止する。ただし、に対する遺族厚生年金については、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、夫が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有するときは、この限りでない。

 

●夫に対する遺族厚生年金は、60歳に達するまでは支給停止されますが、夫が遺族基礎年金の受給権を有するときは、支給停止されません。

 

<夫に対する遺族基礎年金>

・被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、「子と生計を同じくすること」 

 

 問題の夫に対する遺族厚生年金は、当該夫が60歳に達するまでの期間、支給停止されるのが原則です。ただし、夫が妻の死亡について遺族基礎年金の受給権を有するとき(子と生計を同じくしている場合)は、支給停止されません。

(法第59条第1項、65条の2)

 

②【R1年出題】 × 

 夫が国民年金法の規定による遺族基礎年金の受給権を有していますので、60歳に到達するまでの間でも、遺族厚生年金は支給停止されません。

 

 

では令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 遺族厚生年金を受けることができる遺族のうち、夫については、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していた者で、55歳以上であることが要件とされており、かつ、60歳に達するまでの期間はその支給が停止されるため、国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有するときも、55歳から遺族厚生年金を受給することはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 × 

 遺族厚生年金を受けることができる夫については、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時55歳以上であることが要件です。

 ただし、60歳に達するまでの期間は遺族厚生年金は支給が停止されるのが原則です。しかし、国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有するときは、遺族厚生年金は支給停止されませんので、受給することができます。 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/biIKNRwYfGA?si=mtgqgA1b8ZtpomnP

社労士受験のあれこれ

令和5年度選択式振り返り 厚生年金保険法②

R6-010

R5.9.6 厚年選択式② 事例問題・遺族厚生年金の支給停止からでした

令和5年度の選択式を振り返ります。

今日は厚生年金保険法その2です。

 

 

Cは、事例問題です。

 問題文を読んでみましょう。

R5年選択式】

 甲は20歳の誕生日に就職し、厚生年金保険の被保険者の資格を取得したが、40代半ばから物忘れによる仕事でのミスが続き、46歳に達した日に退職をし、その翌日に厚生年金保険の被保険者の資格を喪失した。退職した後、物忘れが悪化し、退職の3か月後に、当該症状について初めて病院で診察を受けたところ、若年性認知症の診断を受けた。その後、当該認知症に起因する障害により、障害認定日に障害等級2級に該当する程度の障害の状態にあると認定された。これにより、甲は障害年金を受給することができたが、障害等級2級に該当する程度の障害の状態のまま再就職することなく、令和54月に52歳で死亡した。甲には、死亡の当時、生計を同一にする50歳の妻(乙)と17歳の未婚の子がおり、乙の前年収入は年額500万円、子の前年収入は0円であった。この事例において、甲が受給していた障害年金と乙が受給できる遺族年金をすべて挙げれば、< C >となる。

 

 

甲の年金加入歴を図にすると以下のようになります。

20歳                      46歳         52

     厚生年金保険(国民年金第2号被保険者)

国民年金 

1号or第3号被保険者

                             ▲      ▲

                            初診日     死亡

 

★甲の受給していた障害年金は、「障害基礎年金」です。

 初診日がポイントです。初めて病院で診察を受けたのが「退職の3か月後」となっていますので、初診日に厚生年金保険の被保険者ではありません。そのため、障害厚生年金は受けられません。

 

★乙が受給できる遺族年金は、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」です。

・死亡した甲について

 死亡した甲は、「国民年金の被保険者が死亡したとき」、「保険料納付済期間が25年以上ある者が死亡したとき」に該当しますので、遺族基礎年金の要件を満たします。

 また、「厚生年金保険の被保険者であった者」で、「保険料納付済期間が25年以上ある者」の死亡ですので、遺族厚生年金の要件も満たします。

 

・妻(乙)と子について

<遺族基礎年金について>

 妻(乙)は、「子と生計を同じくすること」の要件を満たしています。また、前年の年収が500万円ですので、生計維持要件も満たします。

 妻は、子の加算が加算された遺族基礎年金を受給します。子に対する遺族基礎年金は支給停止されます。

<遺族厚生年金について>

 妻(乙)も子も要件を満たします。

 妻(乙)が遺族厚生年金を受給し、子に対する遺族厚生年金は支給停止されます。

 

Cには、「障害基礎年金、遺族基礎年金、遺族厚生年金」が入ります。

 

Eは、所在不明の場合の遺族厚生年金の支給停止の問題です。

条文を読んでみましょう。

67条第1

 配偶者又は子に対する遺族厚生年金は、その配偶者又は子の所在が1年以上明らかでないときは、遺族厚生年金の受給権を有する子又は配偶者の申請によって、その所在が明らかでなくなった時にさかのぼって、その支給を停止する。

 

Eには、1年が入ります。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/NkaA9b9P_Sc?si=rGJyq5b7qTryFAui

社労士受験のあれこれ

令和5年度選択式振り返り 厚生年金保険法①

R6-009

R5.9.5 厚年選択式① 権限の委任・年金額の改定からでした

令和5年度の選択式を振り返ります。

今日は厚生年金保険法その1です。

厚生年金保険法は2回に分けます。

 

A・Bは、権限の委任からの問題です。

条文を読んでみましょう。

109条の9(地方厚生局長等への権限の委任)

① この法律に規定する厚生労働大臣の権限(100条の5第1項及び第2項に規定する厚生労働大臣の権限を除く。)は、厚生労働省令(28条の4に規定する厚生労働大臣の権限にあっては、政令)で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる

② ①の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令(28条の4に規定する厚生労働大臣の権限にあっては、政令)で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる

 

Aは地方厚生局長、Bは地方厚生支局長が入ります。

 

 

Dは、年金額の改定のルールからの問題です。

★年金額の改定のルールの原則

 新規裁定者は「名目手取り賃金変動率

 既裁定者は「物価変動率

 で改定を行うのが原則です。

★物価変動率が「+」、名目手取り賃金変動率が「-」の場合 (物価>>賃金)

 賃金がマイナスになる=現役世代の負担能力が低下しているということです。そのため、既裁定者も、賃金変動に合わせ、名目手取り賃金変動率で改定されます。

 新規裁定者・既裁定者ともに「名目手取り賃金変動率」で改定されます。

 

問題文は、物価変動率が+0.2%、名目手取り賃金変動率が-0.2%です。    物価>>賃金ですので、賃金変動に合わせて改定されます。既裁定者の年金額は、前年度から0.2%の引下げとなります。

 なお、改定率がマイナスの場合は、マクロ経済スライドによる調整は行われません。

 Dには、0.2%の引き下げが入ります。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/vjS-_ajxMXc?si=hXfTwdXdAYg12a7J

社労士受験のあれこれ

厚生年金保険法 加給年金額

R5-353

R5.8.15 配偶者に係る加給年金額の支給停止

 配偶者に係る加給年金額が支給停止されるのはどんなときでしょう?

 条文を読んでみましょう。

46条第6

 加給年金額が加算された老齢厚生年金については、加算が行われている配偶者が老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る。)障害厚生年金、国民年金法による障害基礎年金その他の年金たる給付のうち、老齢若しくは退職又は障害を支給事由とする給付であって政令で定めるもの支給を受けることができるときは、その間、配偶者について加算する加給年金額に相当する部分の支給を停止する

 

過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 加給年金額が加算された老齢厚生年金について、その加算の対象となる配偶者が老齢厚生年金の支給を受けることができるときは、その間、加給年金額の部分の支給が停止されるが、この支給停止は当該配偶者の老齢厚生年金の計算の基礎となる被保険者期間が300か月以上の場合に限られる。

 

 

②【R3年出題】

 老齢厚生年金における加給年金額の対象となる配偶者が、障害等級1級若しくは2級の障害厚生年金及び障害基礎年金を受給している間、当該加給年金額は支給停止されるが、障害等級3級の障害厚生年金若しくは障害手当金を受給している場合は支給停止されることはない。

 

 

③【H28年出題】

 配偶者に係る加給年金額が加算された老齢厚生年金について、その対象となる配偶者が繰上げ支給の老齢基礎年金の支給を受けるときは、当該配偶者については65歳に達したものとみなされ、加給年金額に相当する部分が支給されなくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 ×

 加給年金額が加算された老齢厚生年金について、その加算の対象となる配偶者が老齢厚生年金の支給を受けることができるときは、その間、加給年金額の部分の支給が停止されますが、この支給停止は当該配偶者の老齢厚生年金の計算の基礎となる被保険者期間が「240か月」以上の場合に限られます。

 

 

②【R3年出題】 ×

 老齢厚生年金における加給年金額の対象となる配偶者が、障害厚生年金及び障害基礎年金を受給している間、当該加給年金額は支給停止されます。

 障害厚生年金には3級の障害厚生年金も含まれますので、配偶者が3級の障害厚生年金を受給している間は、加給年金額は支給停止されます。

 しかし、「障害手当金」を受給していても加給年金額の支給は停止されません。

(令3条の7

 

 

③【H28年出題】 ×

 配偶者に係る加給年金額が加算された老齢厚生年金について、その対象となる配偶者が繰上げ支給の老齢基礎年金の支給を受けるときでも、加給年金額は支給停止されません。 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/isFwNUu1Fhk

社労士受験のあれこれ

国年・厚年 時効

R5-352

R5.8.14 <比較>国年「死亡一時金」と厚年「障害手当金」の時効

 国民年金の「死亡一時金」と厚生年金保険法の「障害手当金」は年金ではなく一時金で支給されます。

 それぞれの時効を確認しましょう。

 

 条文を読んでみましょう。

【国民年金法】

102条第1項、第4

① 年金給付を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から5年を経過したとき、当該権利に基づき支払期月ごとに支払うものとされる年金給付の支給を受ける権利は、当該日の属する月の翌月以後に到来する当該年金給付の支給に係る支払期月の翌月の初日から5年を経過したときは、時効によって、消滅する。

④ 保険料その他この法律の規定による徴収金徴収し、又はその還付を受ける権利及び死亡一時金を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したときは、時効によって消滅する。

時効のポイント!

・年金給付を受ける権利 → 5

・死亡一時金を受ける権利 → 2

・保険料等を徴収・還付を受ける権利 → 2

 

 

【厚生年金保険法】

92条第1

保険料その他この法律の規定による徴収金徴収し、又はその還付を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したとき、保険給付を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から5年を経過したとき、当該権利に基づき支払期月ごとに支払うものとされる保険給付の支給を受ける権利は、当該日の属する月の翌月以後に到来する当該保険給付の支給に係る支払期月の翌月の初日から5年を経過したとき、保険給付の返還を受ける権利は、これを行使することができる時から5年を経過したときは、時効によって、消滅する。

時効のポイント!

・保険給付を受ける権利 → 5

・保険料等を徴収・還付を受ける権利 → 2

 

 

 

 

では、過去問をどうぞ!

①国民年金法【H27年出題】※改正による修正あり

 年金給付を受ける権利及び死亡一時金を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から5年を経過したときは、時効によって消滅する。

 

②厚生年金保険法【H29年出題】※改正による修正あり

 障害手当金の給付を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から2年を経過したときは、時効によって消滅する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①国民年金法【H27年出題】 ×

 年金給付を受ける権利→その支給すべき事由が生じた日から5年を経過したとき

 死亡一時金を受ける権利→これを行使することができる時から2年を経過したとき

に、時効によって消滅します。

「年金給付(5年)」と「死亡一時金(2年)」の時効の違いに注意してください。

 

 

②厚生年金保険法【H29年出題】 ×

 保険給付を受ける権利→その支給すべき事由が生じた日から5年を経過したとき

に時効によって消滅します。

 「保険給付」には年金だけでなく一時金(障害手当金)も含まれます。

 障害手当金を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から5年を経過したときは、時効によって消滅します。

 

 

ポイント!

 同じ「一時金」でも、国民年金の「死亡一時金」の時効は2年、厚生年金保険の「障害手当金」の時効は5年です。 

 

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https://youtu.be/i2AzAjczZHY

社労士受験のあれこれ

厚生年金保険法 被保険者期間

R5-351

R5.8.13 厚生年金保険の被保険者期間

 被保険者期間は、月単位で算定します。

 条文を読んでみましょう。

19条第1項、2

① 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。

② 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を1か月として被保険者期間に算入する。ただし、その月に更に被保険者又は国民年金の被保険者(国民年金に規定する第2号被保険者を除く)資格を取得したときは、この限りでない。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H21年出題】

 厚生年金保険法で定める「被保険者期間」とは、被保険者の資格を取得した日から被保険者の資格を喪失した日の前日までの日単位で計算される期間である。

 

 

②【H30年出題】

 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、例えば、平成29101日に資格取得した被保険者が、平成30330日に資格喪失した場合の被保険者期間は、平成2910月から平成302月までの5か月間であり、平成303月は被保険者期間には算入されない。なお、平成30330日の資格喪失以後に被保険者の資格を取得していないものとする。

 

 

③【H28年出題】

 適用事業所に平成2831日に採用され、第1号厚生年金被保険者の資格を取得した者が同年320日付けで退職し、その翌日に被保険者資格を喪失し国民年金の第1号被保険者となった。その後、この者は同年41日に再度第1号厚生年金被保険者となった。この場合、同年3月分については、厚生年金保険における被保険者期間に算入されない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H21年出題】 ×

 「被保険者期間」とは、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までの「月単位」で計算される期間です。

 被保険者の資格を取得した日から被保険者の資格を喪失した日の前日までの日単位で計算されるのは、「被保険者であった期間」です。

 

 

②【H30年出題】 〇

 平成29101日に資格取得、平成30330日に資格喪失した場合の被保険者期間は、資格を取得した月(平成2910月)から資格を喪失した月の前月(平成302月)までの5か月間です。

 平成303月は被保険者期間には算入されません。

 

 

③【H28年出題】 〇

 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を1か月として被保険者期間に算入するのが原則です。

 ただし、問題文のように、同じ月に資格取得と資格喪失があり、その月にさらに国民年金の第1号被保険者となった場合は、その月は厚生年金保険の被保険者期間には算入されません。

 

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社労士受験のあれこれ

厚生年金保険法 障害手当金

R5-350

R5.8.12 障害手当金が支給されない場合

 「障害手当金」が支給されない場合を確認しましょう。

 条文を読んでみましょう。

56条 

 障害手当金の障害の程度を定めるべき日において次の各号のいずれかに該当する者には、障害手当金を支給しない

1 年金たる保険給付の受給権者(最後に障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過した障害厚生年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る。)を除く)

2 国民年金法による年金たる給付の受給権者(最後に障害状態に該当しなくなった日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過した障害基礎年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る。)その他の政令で定める者を除く)

3 当該傷病について国家公務員災害補償法、地方公務員災害補償法若しくは同法に基づく条例、公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律若しくは労働基準法第77条の規定による障害補償、労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付、複数事業労働者障害給付若しくは障害給付又は船員保険法による障害を支給事由とする給付を受ける権利を有する者

 

では、過去問をどうぞ!

①【R4年出題】

 障害手当金の受給要件に該当する被保険者が、障害手当金の障害の程度を定めるべき日において遺族厚生年金の受給権者である場合は、その者には障害手当金は支給されない。

 

 

②【H30年出題】

 在職老齢年金の仕組みにより支給停止が行われている老齢厚生年金を受給している65歳の者が、障害の程度を定めるべき日において障害手当金に該当する程度の障害の状態になった場合、障害手当金は支給される。

 

 

③【H18年出題】

 障害手当金は、年金たる保険給付の受給権者(最後に障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過した障害厚生年金の受給権者を除く。)には支給しない。

 

 

④【H28年出題】

 障害手当金の受給要件に該当する被保険者が、当該障害手当金に係る傷病と同一の傷病により労働者災害補償保険法に基づく障害補償給付を受ける権利を有する場合には、その者には障害手当金が支給されない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R4年出題】 〇

 障害手当金の障害の程度を定めるべき日に、「年金たる保険給付の受給権者」である場合は、障害手当金は支給されません。

遺族厚生年金=年金たる保険給付です。

 

 

②【H30年出題】 ×

 老齢厚生年金=年金たる保険給付です。

障害の程度を定めるべき日に、老齢厚生年金の受給権者である場合は、障害手当金は支給されません。

 

 

③【H18年出題】 〇

 障害手当金は、年金たる保険給付の受給権者には支給されません。

しかし、障害厚生年金の受給権者については「最後に障害等級(13級)に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過した者(現に障害状態に該当しない者に限る。)」には障害手当金が支給されます。

 

 

④【H28年出題】 〇

 当該傷病について「労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付、複数事業労働者障害給付若しくは障害給付」を受ける権利を有する者には、障害手当金は支給されません。

 

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社労士受験のあれこれ

厚生年金保険法 併合認定

R5-325

R5.7.18 併合認定の対象になる障害厚生年金の条件

 今日は併合認定をみていみます。

 

 条文を読んでみましょう。

48条 (障害厚生年金の併給の調整)

① 障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く)の受給権者に対して更に障害厚生年金(障害等級の1級又は2級)を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金を支給する。

② 障害厚生年金の受給権者が前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金の受給権を取得したときは、従前の障害厚生年金の受給権は、消滅する

 

 障害厚生年金の受給権者に、更に障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度の障害厚生年金が支給されます。

 この併合認定の対象になる先発の障害厚生年金は、その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものは除かれます。

 少しの間でも、1・2級の状態にあったことがある障害厚生年金が対象です。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 障害厚生年金の受給権を取得した当時は障害等級2級に該当したが、現在は障害等級3級である受給権者に対して、新たに障害等級2級の障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害厚生年金を支給することとし、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する。

 

②【H27年出題】

 障害等級3級の障害厚生年金の受給権者(受給権を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当したことはなかったものとする。)について、更に障害等級2級に該当する障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金が支給され、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 

 現在は3級でも、1回でも1・2級に該当したことがある障害厚生年金の受給権者に対して、新たに1・2級の障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、併合認定の対象となります。  

 前後の障害を併合した障害厚生年金が支給され、従前の障害厚生年金の受給権は消滅します。

 

②【H27年出題】 ×

 受給権を取得した当時から1回も障害等級1級又は2級に該当したことがない3級の障害厚生年金は、併合認定の対象になりません。 

 

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社労士受験のあれこれ

厚生年金保険法 障害厚生年金の加給年金額

R5-324

R5.7.17 障害厚生年金に加算される加給年金額のポイント!

 1級・2級の障害厚生年金を受けることができる者に、生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合は、加給年金額が加算されます。

3級の障害厚生年金には加給年金額は加算されません。

※子については、障害基礎年金の加算対象になります。

 

(イメージ図)

障害等級1級・2級の場合

 

 

障害厚生年金

 

(加算対象)

 → 配偶者

 

障害基礎年金

 

(加算対象)

 → 子

 

 

条文を読んでみましょう。

50条の21項~3

① 障害の程度が障害等級の1級又は2級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、受給権者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者があるときは、障害厚生年金の額に加給年金額を加算した額とする。

② 加給年金額は、224,700円に改定率を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを 100円に切り上げるものとする。)とする。

③ 受給権者がその権利を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者を有するに至ったことにより加給年金額を加算することとなったときは、当該配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、障害厚生年金の額を改定する。 

 

 障害厚生年金の受給権を取得した時点で生計を維持している配偶者は加給年金額の対象となります。それだけでなく、受給権を取得した日の翌日以後に生計を維持している配偶者を有するに至った場合も加給年金額の対象となるのが、障害厚生年金のポイントです。

※国民年金の障害基礎年金の子の加算も同じです。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 障害等級1級に該当する障害厚生年金の受給権者が、その受給権を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持している65歳未満の配偶者を有するに至ったときは、当該配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、当該障害厚生年金の額に加給年金額が加算される。

 

②【H24年出題】

 障害等級3級に該当する障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進し2級に改定された場合、その受給権を取得した日以後に、その者によって生計を維持している65歳未満の配偶者を有するに至ったときであっても、配偶者加給年金額は加算されない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 〇

1級・2級の障害厚生年金の受給権者が、その受給権を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持している65歳未満の配偶者を有するに至ったときは、配偶者加給年金額が加算されます。

 配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、加算されます。

 

 

②【H24年出題】 ×

 その受給権を取得した日の翌日以後に、その者によって生計を維持している65歳未満の配偶者を有するに至ったときも、配偶者加給年金額の加算対象となります。

 

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社労士受験のあれこれ

厚生年金保険法 障害手当金の額

R5-323

R5.7.16 障害手当金の額の計算式と最低保障額

 今日は障害手当金の額の計算式を確認しましょう。

 

 条文を読んでみましょう。

57条 (障害手当金の額)

 障害手当金の額は、50条第1項の規定の例により計算した額の100分の200に相当する額とする。ただし、その額が同条第3項に定める額にを乗じて得た額に満たないときは、当該額とする。

※障害手当金の額は、第50条第1項の規定の例により計算した額(報酬比例の年金額)×100分の200です。

※最低保障額は、(障害基礎年金を受けることができない場合の障害厚生年金の最低保障額)×2です。

 

※第50条第1項と第3項を読んでみましょう。

50条第1

 障害厚生年金の額は、第43条第1項の規定(老齢厚生年金)の例により計算した額とする。この場合において、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300とする。

50条第3

 障害厚生年金の給付事由となった障害について国民年金法による障害基礎年金を受けることができない場合において、障害厚生年金の額が2級の障害基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)に満たないときは、当該額を障害厚生年金の額とする。

 

※第3項は障害基礎年金を受けることができない場合の障害厚生年金の最低保障額です。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H26年選択式】

 障害手当金の額は、厚生年金保険法第50条第1項の規定の例により計算した額の100分の200に相当する額とする。ただし、その額が障害等級3級の障害厚生年金の最低保障額に< A >を乗じて得た額に満たないときは、当該額とする。

 

 

②【H29年出題】

 障害手当金の額は、厚生年金保険法第50条第1項の規定の例により計算した額の100分の200に相当する額であるが、その額が障害等級2級に該当する者に支給する障害基礎年金の額の2倍に相当する額に満たないときは、当該額が障害手当金の額とされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H26年選択式】 

A 2

障害手当金の額は報酬比例の年金額×2です。

最低保障額は、3級の障害厚生年金の最低保障額×2です。

※ちなみに、3級の障害厚生年金(=障害基礎年金を受けることができない)の最低保障額は、780,900円×改定率(2級の障害基礎年金)×4分の3です。

 

 

②【H29年出題】 ×

 最低保障額は、障害等級2級に該当する者に支給する障害基礎年金の額に「4分の3を乗じて得た額」の2倍に相当する額です。 

 

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https://youtu.be/AhR7zYF3B-E

社労士受験のあれこれ

厚生年金保険法 障害厚生年金の額の計算

R5-322

R5.7.15 障害厚生年金の額の計算に算入される被保険者期間

 障害厚生年金は、①初診日、②保険料納付要件、③障害認定日の3つの要件を満たせば、障害認定日に受給権が発生します。 

 今日は、障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間を確認しましょう。

 

条文を読んでみましょう。

50条第1項、2

① 障害厚生年金の額は、第43条第1項の規定(老齢厚生年金の額)の例により計算した額とする。この場合において、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300とする

② 障害の程度が障害等級の1級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、①に定める額の100分の125に相当する額とする。

 

51条 

 障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となった障害に係る障害認定日の属する月における被保険者であった期間は、その計算の基礎としない

 

 障害厚生年金は、老齢厚生年金と同じように計算します。

1級の場合は、1.25倍します。

・被保険者期間が300月未満の場合は、300月の最低保障があります。

・障害厚生年金の計算には、障害認定日の属する月後は算入されません。=障害認定日の属する月まで算入されます。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H22年出題】

 障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となった障害に係る障害認定日の属する月の前月までの被保険者であった期間を、その計算の基礎とする。

 

②【H29年出題】

 傷病に係る初診日が平成2791日で、障害認定日が平成2931日である障害厚生年金の額の計算において、平成294月以後の被保険者期間はその計算の基礎としない。なお、当該傷病以外の傷病を有しないものとする。

 

③【R4年出題】

 障害等級2級の障害厚生年金の額は、老齢厚生年金の例により計算した額となるが、被保険者期間