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令和5年度版
R5-286
3号分割は、国民年金の第3号被保険者(特定被保険者の被扶養配偶者)からの請求によって行われます。
特定期間の標準報酬月額と標準賞与額を2分の1ずつ分割します。
条文を読んでみましょう。
第78条の14第1項 被保険者(被保険者であった者を含む。以下「特定被保険者」という。)が被保険者であった期間中に被扶養配偶者(当該特定被保険者の配偶者として国民年金法の第3号被保険者に該当していたものをいう。)を有する場合において、当該特定被保険者の被扶養配偶者は、当該特定被保険者と離婚又は婚姻の取消しをしたときその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定めるときは、実施機関に対し、特定期間(当該特定被保険者が被保険者であった期間であり、かつ、その被扶養配偶者が当該特定被保険者の配偶者として第3号被保険者であった期間をいう。)に係る被保険者期間の標準報酬(特定被保険者及び被扶養配偶者の標準報酬をいう。)の改定及び決定を請求することができる。 ただし、当該請求をした日において当該特定被保険者が障害厚生年金(当該特定期間の全部又は一部をその額の計算の基礎とするものに限る。)の受給権者であるときその他の厚生労働省令で定めるときは、この限りでない。 |
今回は、「当該請求をした日において当該特定被保険者が障害厚生年金(当該特定期間の全部又は一部をその額の計算の基礎とするものに限る。)の受給権者であるときその他の厚生労働省令で定めるときは、この限りでない。」の部分に注目します。
では、過去問をどうぞ!
①【R3年出題】
厚生年金保険法第78条の14に規定する特定被保険者が、特定期間の全部をその額の計算の基礎とする障害厚生年金の受給権者であったとしても、当該特定被保険者の被扶養配偶者は3号分割標準報酬改定請求をすることができる。
②【H28年出題】
厚生年金保険法第78条の14に規定する特定被保険者(以下「特定被保険者」という。)が、障害厚生年金の受給権者である場合、当該障害厚生年金の計算の基礎となった被保険者期間は、3号分割標準報酬改定請求により標準報酬月額及び標準賞与額が改定される期間から除かれる。
③【R1年出題】
障害厚生年金の受給権者である特定被保険者(厚生年金保険法第78条の14に規定する特定被保険者をいう。)の被扶養配偶者が3号分割標準報酬改定請求をする場合における特定期間に係る被保険者期間については、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となった特定期間に係る被保険者期間を改定又は決定の対象から除くものとする。
【解答】
①【R3年出題】 ×
特定被保険者が障害厚生年金の受給権者で、その障害厚生年金の計算に特定期間が入っている場合は、その期間は3号分割の対象になりません。
なぜなら、3号分割は第3号被保険者からの請求によって行われるからです。特定被保険者の合意がなくても行われるからです。
障害厚生年金は老齢厚生年金などと比べると保護が必要な年金です。3号分割請求により、特定被保険者が受給している障害厚生年金が合意なく減額されることを防ぐためです。
問題文のように、特定被保険者が、特定期間の「全部」をその額の計算の基礎とする障害厚生年金の受給権者である場合は、3号分割標準報酬改定請求はできません。
②【H28年出題】 〇
「障害厚生年金の受給権者である特定被保険者の被扶養配偶者が3号分割標準報酬改定請求をする場合における特定期間に係る被保険者期間については、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となった特定期間に係る被保険者期間を除くものとする。」と規定されています。
特定被保険者が、障害厚生年金の受給権者である場合、当該障害厚生年金の計算の基礎となった被保険者期間は、3号分割標準報酬改定請求により標準報酬月額及び標準賞与額が改定される期間から除かれます。
(令第3条の12の11)
③【R1年出題】 〇
②の問題と同じです。
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R5-285
今日は、3号分割の基本をチェックしましょう。
条文を読んでみましょう。
第78条の14(特定被保険者及び被扶養配偶者についての標準報酬の特例) ① 被保険者(被保険者であった者を含む。以下「特定被保険者」という。)が被保険者であった期間中に被扶養配偶者(当該特定被保険者の配偶者として国民年金法の第3号被保険者に該当していたものをいう。)を有する場合において、当該特定被保険者の被扶養配偶者は、当該特定被保険者と離婚又は婚姻の取消しをしたときその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定めるときは、実施機関に対し、特定期間(当該特定被保険者が被保険者であった期間であり、かつ、その被扶養配偶者が当該特定被保険者の配偶者として第3号被保険者であった期間をいう。)に係る被保険者期間の標準報酬(特定被保険者及び被扶養配偶者の標準報酬をいう。)の改定及び決定を請求することができる。ただし、当該請求をした日において当該特定被保険者が障害厚生年金(当該特定期間の全部又は一部をその額の計算の基礎とするものに限る。)の受給権者であるときその他の厚生労働省令で定めるときは、この限りでない。 ② 実施機関は、①の請求があった場合において、特定期間に係る被保険者期間の各月ごとに、当該特定被保険者及び被扶養配偶者の標準報酬月額を当該特定被保険者の標準報酬月額に2分の1を乗じて得た額にそれぞれ改定し、及び決定することができる。 ③ 実施機関は、①の請求があった場合において、当該特定被保険者が標準賞与額を有する特定期間に係る被保険者期間の各月ごとに、当該特定被保険者及び被扶養配偶者の標準賞与額を当該特定被保険者の標準賞与額に2分の1を乗じて得た額にそれぞれ改定し、及び決定することができる。 ④ 特定期間に係る被保険者期間については、被扶養配偶者の被保険者期間であったものとみなす。 ⑤ 改定され、及び決定された標準報酬は、請求のあった日から将来に向かってのみその効力を有する。 |
まず、用語をおさえましょう。
・特定被保険者 → 厚生年金保険の被保険者(被保険者であった者を含む)
・特定期間 → 特定被保険者が厚生年金保険の被保険者であった期間であり、かつ、その被扶養配偶者が第3号被保険者であった期間
では、過去問をどうぞ!
※「離婚時の第3号被保険者期間についての厚生年金保険の分割制度」に関する問題です。
①【H26年出題】
いわゆる事実婚関係であった期間については、被扶養配偶者が国民年金の第3号被保険者となっていた場合には分割の対象となる。
②【H26年出題】
分割の対象となる特定期間とは、特定被保険者が被保険者であった期間であり、かつ、その被扶養配偶者が当該特定被保険者の配偶者として国民年金の第3号被保険者であった期間をいい、平成20年4月1日前の期間を含まない。
③【H26年出題】※問題文を修正しています
実施機関は、特定被保険者の被扶養配偶者から特定期間に係る被保険者期間の標準報酬の改定及び決定の請求があった場合において、特定期間に係る被保険者期間の各月ごとに、当該特定被保険者及び被扶養配偶者の標準報酬月額を当該特定被保険者の標準報酬月額に当事者が合意した按分割合に基づいて算出した割合を乗じて得た額にそれぞれ改定し、及び決定することができる。
④【H26年出題】
老齢厚生年金の受給権者について、分割の規定により標準報酬の改定又は決定が行われたときの年金額の改定は、当該請求があった日の属する月の翌月分から行われる。
⑤【H26年出題】
原則として、離婚が成立した日等の翌日から起算して2年を経過したときは、被扶養配偶者からの特定期間に係る被保険者期間の標準報酬の改定及び決定の請求を行うことができない。
【解答】
①【H26年出題】 〇
3号分割の請求ができるのは、「特定被保険者と離婚又は婚姻の取消しをしたときその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定めるとき」です。
「婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった特定被保険者及び被扶養配偶者について、当該被扶養配偶者が第3号被保険者としての国民年金の被保険者の資格を喪失し、当該事情が解消したと認められる場合」も、3号分割の対象となります。
(則第78条の14第1号)
②【H26年出題】 〇
平成20年4月1日前の期間は、特定期間に含まれません。
3号分割の対象になるのは、平成20年4月1日以降の期間です。
(H16年法附則第46条)
③【H26年出題】 ×
特定被保険者及び被扶養配偶者の標準報酬月額を『特定被保険者の標準報酬月額に「2分の1」』を乗じて得た額にそれぞれ改定し、及び決定されます。
※標準賞与額についても、「2分の1」を乗じて得た額にそれぞれ改定し、及び決定されます。
3号分割は「2分の1」がポイントです。「合意した按分割合に基づいて算出した割合」ではありません。
④【H26年出題】 〇
改定され、及び決定された標準報酬は、請求のあった日から将来に向かってのみその効力を有します。
老齢厚生年金の受給権者の年金額の改定は、当該請求があった日の属する月の翌月分から行われます。
(法第78条の18)
⑤【H26年出題】 〇
原則として、離婚が成立した日等の翌日から起算して2年を経過したときは、3号分割の請求はできません。
(則第78条の17)
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R5-284
遺族厚生年金には、「短期要件」と「長期要件」があります。
条文を読んでみましょう。
第58条 ① 遺族厚生年金は、被保険者又は被保険者であった者が次の各号のいずれかに該当する場合に、その者の遺族に支給する。 ただし、1又は2に該当する場合にあっては、死亡した者につき、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。 1被保険者(失踪の宣告を受けた被保険者であった者であって、行方不明となった当時被保険者であったものを含む。)が、死亡したとき。 2被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき。 3 障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、死亡したとき。 4老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)又は保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が、死亡したとき。
② 死亡した被保険者又は被保険者であった者が1から3までのいずれかに該当し、かつ、4にも該当するときは、その遺族が遺族厚生年金を請求したときに別段の申出をした場合を除き、1から3までのいずれかのみに該当し、4には該当しないものとみなす。 |
短期要件と長期要件を確認しましょう
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| *1 |
短期要件 | 1厚生年金保険加入中に死亡 | あり |
2厚生年金保険加入中に初診日がある傷病により資格喪失後に死亡(初診日から5年以内) | あり | |
31、2級の障害厚生年金の受給権者が死亡 | なし | |
長期 | 4老齢厚生年金の受給権者(25年以上*2)が死亡 25年以上*2ある者が死亡 | なし |
*1 保険料納付要件
*2 保険料納付済期間+保険料免除期間が25年以上
★「長期要件」は、厚生年金保険の被保険者期間が25年以上ではなく、「保険料納付済期間+保険料免除期間」が25年以上です。25年以上は、国民年金全体(第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者)で計算します。
★「長期要件」の25年以上の計算には合算対象期間も算入します。「保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が25年以上である者に限る」となります。
(附則第14条)
★例えば、保険料納付済期間+保険料免除期間が25年以上ある人が、厚生年金保険の被保険者であるとき(在職中)に死亡した場合、短期要件と長期要件の両方に当てはまります。
その場合は、「その遺族が遺族厚生年金を請求したときに別段の申出をした場合を除き、短期要件のいずれかのみに該当し、長期要件には該当しないもの」とみなされます。
申出がなければ、短期要件の扱いになります。
では、過去問をどうぞ!
①【H27年出題】※改正による修正あり
老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が25年以上である者に限る)が死亡したことにより支給される遺族厚生年金の額の計算における給付乗率については、死亡した者が昭和21年4月1日以前に生まれた者であるときは、生年月日に応じた読み替えを行った乗率が適用される。
②【H17年出題】※改正による修正あり
老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が25年以上である者に限る)の死亡により支給される遺族厚生年金の額の計算において、計算の基礎となる被保険者期間の月数に300月の最低保障は適用されないが、給付乗率については生年月日に応じた乗率が適用される。
③【H26年出題】
障害等級2級の障害厚生年金を受給する者が死亡した場合、遺族厚生年金を受けることができる遺族の要件を満たした者は、死亡した者の保険料納付要件を問わず、遺族厚生年金を受給することができる。この場合、遺族厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300か月に満たないときは、これを300か月として計算する。
④【R3年出題】
20歳から30歳まで国民年金の第1号被保険者、30歳から60歳まで第2号厚生年金被保険者であった者が、60歳で第1号厚生年金被保険者となり、第1号厚生年金被保険者期間中に64歳で死亡した。当該被保険者の遺族が当該被保険者の死亡当時生計を維持されていた60歳の妻のみである場合、妻が別段の申出をしたときを除き、厚生年金保険法第58条第1項第4号に規定するいわゆる長期要件のみに該当する遺族厚生年金として年金額が算出される。
【解答】
①【H27年出題】 〇
<報酬比例部分の「給付乗率について>
遺族厚生年金の原則の計算式は、報酬比例部分×4分の3です。
報酬比例部分の計算式は、平成15年4月以降の期間分については、「平均標準報酬額×1000分の5.481×被保険者期間の月数」です。
「長期要件」の場合は、死亡した者が昭和21年4月1日以前生まれの場合、給付乗率は生年月日に応じた読み替えが行われます。
なお、「短期要件」の場合は、定率(1000分の5.481(H15年4月以降)か1000分の7.125(H15年3月以前))です。
(S60年附則第59条)
②【H17年出題】 〇
「長期要件」の場合の給付乗率には、生年月日に応じた乗率が適用されます。
一方、被保険者期間の月数は「300月の最低保障」は適用されず、実際の被保険者期間で計算されます。
なお、「短期要件」の場合は、計算の基礎となる被保険者期間の月数に300月の最低保障が適用されます。
③【H26年出題】 〇
「障害等級2級の障害厚生年金を受給する者」の死亡で支給される遺族厚生年金は、「短期要件」です。被保険者期間の月数が300か月に満たないときは、300か月として計算されます。
(法第60条第1項)
| 短期要件 | 長期要件 |
給付乗率 | 定率 | 生年月日に応じた読み替えあり |
被保険者期間が300月未満 | 最低保障あり | 最低保障なし |
④【R3年出題】 ×
・ 第1号厚生年金被保険者期間中に64歳で死亡 → 短期要件
・ 保険料納付済期間が40年ある → 長期要件
申出がなければ、「短期要件」のみに該当する遺族厚生年金として年金額が算出され
ます。
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R5-283
老齢基礎年金の満額は780,900円×改定率です。
保険料納付済期間の月数が480の場合は満額支給されますが、480未満の場合は、その分、年金額が減額されます。
保険料納付済期間の月数は1で計算しますが、免除期間は以下のように計算します。
保険料4分の1免除期間 → 8分の7
保険料半額免除期間 → 4分の3
保険料4分の3免除期間 → 8分の5
保険料全額免除期間 → 2分の1
この割合は、国庫負担との関係で決まります。
1 |
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8分の7 |
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4分の3 |
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8分の5 |
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2分の1 |
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| 国庫負担 | 保険料 |
※ 保険料納付済期間の月数は1で計算しますが、2分の1は国庫負担です。
※ 保険料全額免除期間については保険料はゼロですが、特別国庫負担が入り、老齢基礎年金の額には2分の1が反映します。ちなみに、学生納付特例、納付猶予期間には国庫負担が入りませんので、老齢基礎年金の額の計算ではゼロになります。
※ 国庫負担は平成21年3月までは3分の1でした。
では、過去問をどうぞ!
【H27年出題】 ※問題文を修正しています
国民年金の被保険者期間に係る保険料納付状況が以下のとおりである者(昭和25年4月2日生まれ)が、65歳から老齢基礎年金を受給する場合の年金額の計算式として、正しいものはどれか。
【国民年金の被保険者期間に係る保険料納付状況】
・昭和45年4月~平成12年3月(360月)・・・保険料納付済期間
・平成12年4月~平成22年3月(120月)・・・保険料全額免除期間(追納していない)
(A)780,900円×改定率×(360月+120月×1/2)÷480月
(B)780,900円×改定率×(360月+120月×1/3)÷480月
(C)780,900円×改定率×(360月+108月×1/2+12月×1/3)÷480月
(D)780,900円×改定率×(360月+108月×1/3+12月×2/3)÷480月
(E)780,900円×改定率×(360月+108月×1/3+12月×1/2)÷480月
【解答】
(E)780,900円×改定率×(360月+108月×1/3+12月×1/2)÷480月
全額免除期間の計算は、国庫負担の割合で変わります。国庫負担は平成21年3月までは3分の1でした。
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| 国庫負担 |
H12年4月~H21年3月 | 108か月 | 3分の1 |
H21年4月~H22年3月 | 12か月 | 2分の1 |
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R5-282
国民年金の任意加入被保険者は、第1号被保険者と同様に、国民年金保険料を負担します。
ただし、任意加入被保険者については、保険料を滞納した場合、被保険者資格を喪失することがあるのがポイントです。
まず、任意加入被保険者を確認しましょう。次の3種類です。(法附則第5条)
①日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であって、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができるもの(国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。)
②日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者(国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。)
③日本国籍を有する者その他政令で定める者であって、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満のもの
任意加入被保険者が保険料を滞納した場合の扱いについて、条文を読んでみましょう。
附則第5条第6項第4号 上記①、②の被保険者は、次に該当するに至った日の翌日に、被保険者の資格を喪失する。 ・ 保険料を滞納し、督促状の指定の期限までに、その保険料を納付しないとき。
附則第6条第8項第4号 上記③の被保険者は、次に該当するに至った日の翌日に、被保険者の資格を喪失する。 ・ 保険料を滞納し、その後、保険料を納付することなく2年間が経過したとき。 |
①、②の被保険者は「日本国内に住所を有する」、③の被保険者は「日本国内に住所を有しない」がポイントです。
では、過去問をどうぞ!
①【H21年出題】
日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の任意加入被保険者が保険料を滞納した場合であって、督促状で指定した期限までに保険料を納付しないときは、その日の翌日に被保険者の資格を喪失する。
②【H29年出題】
日本国内に住所を有する65歳以上70歳未満の特例による任意加入被保険者が保険料を滞納し、その後、保険料を納付することなく2年間が経過したときは、その翌日に任意加入被保険者の資格を喪失する。
③【H22年出題】
日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の在外邦人で任意加入している者が保険料を滞納したとき、保険料を納付することなく2年が経過した日に被保険者資格を喪失する。
④【H27年出題】
海外に居住する20歳以上65歳未満の日本国籍を有する任意加入被保険者は、保険料を滞納し、その後、保険料を納付することなく1年間が経過した日の翌日に、被保険者資格を喪失する。
【解答】
①【H21年出題】 〇
「日本国内に住所を有する」任意加入被保険者が保険料を滞納した場合の資格喪失日は、「督促状で指定した期限の日の翌日」です。
②【H29年出題】 ×
「日本国内に住所を有する」任意加入被保険者が保険料を滞納し、督促状で指定した期限までに保険料を納付しないときは、「その指定した期限の日の翌日」に被保険者の資格を喪失します。
特例による任意加入被保険者も同じ扱いです。
③【H22年出題】 ×
「日本国内に住所を有しない」任意加入被保険者が保険料を滞納したときは、その後、保険料を納付することなく2年間が経過した日の「翌日」に、被保険者資格を喪失します。
日本国内に住所を有しない場合は、保険料の徴収の時効が過ぎると、任意加入被保険者資格を喪失します。
④【H27年出題】 ×
海外に居住する任意加入被保険者は、保険料を滞納し、その後、保険料を納付することなく「2年間が経過した日の翌日」に、被保険者資格を喪失します。
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R5-281
被保険者が、同時に2以上の事業所に使用される場合の届出をみていきます。
条文を読んでみましょう。
則第1条の2 (選択) ① 被保険者(日雇特例被保険者を除く。)は、同時に2以上の事業所に使用される場合において、保険者が2以上あるときは、その被保険者の保険を管掌する保険者を選択しなければならない。 ② 当該2以上の事業所に係る日本年金機構の業務が2以上の年金事務所に分掌されているときは、被保険者は、その被保険者に関する機構の業務を分掌する年金事務所を選択しなければならない。ただし、①の規定により健康保険組合を選択しようとする場合はこの限りでない。
則第2条第1項 (選択の届出) 選択は、同時に2以上の事業所に使用されるに至った日から10日以内に、一定の事項を記載した届書を全国健康保険協会を選択しようとするときは厚生労働大臣に、健康保険組合を選択しようとするときは健康保険組合に提出することによって行うものとする。 |
同時に2か所以上の適用事業に使用される場合、被保険者は、10日以内に選択の届出が必要です。
では、過去問をどうぞ!
①【H27年出題】
被保険者が同時に2事業所に使用される場合において、それぞれの適用事業所における保険者が異なる場合は、選択する保険者に対して保険者を選択する届出を提出しなければならないが、当該2事業所の保険者がいずれも全国健康保険協会であれば、日本年金機構の業務が2つの年金事務所に分掌されていても届出は必要ない。
②【R4年選択式】
被保険者(日雇特例被保険者を除く。)は、同時に2以上の事業所に使用される場合において、保険者が2以上あるときは、その被保険者の保険を管掌する保険者を選択しなければならない。この場合は、同時に2以上の事業所に使用されるに至った日から < A >日以内に、被保険者の氏名及び生年月日等を記載した届書を全国健康保険協会を選択しようとするときは< B >に、健康保険組合を選択しようとするときは健康保険組合に提出することによって行うものとする。
(選択肢)
① 5 ② 7 ③ 10 ④ 14
⑤ 厚生労働大臣 ⑥ 全国健康保険協会の都道府県支部
⑦ 全国健康保険協会の本部 ⑧ 地方厚生局長
【解答】
①【H27年出題】 ×
被保険者が同時に2つの事業所に使用される場合で、それぞれの適用事業所の保険者が異なる場合は、選択する保険者に対して保険者を選択する届出を提出します。
その場合、2つの事業所の保険者がどちらも全国健康保険協会であっても、管轄する年金事務所が異なる場合は、当該被保険者に関する事務を行う年金事務所を選択することになります。
②【R4年選択式】
A ③ 10
B ⑤ 厚生労働大臣
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R5-280
労働保険徴収法には、「継続事業」と「有期事業」という分け方があります。
徴収法の有期事業は、「建設の事業」と「立木の伐採の事業」で、労災保険のみの取扱いです。雇用保険には「有期事業」の扱いはありません。
また、有期事業以外は、「継続事業」となります。
では、「有期事業」の成立と消滅について条文を読んでみましょう。
第3条 (保険関係の成立) 労災保険法の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係が成立する。
第4条の2 (保険関係の成立の届出等) 保険関係が成立した事業の事業主は、その成立した日から10日以内に、その成立した日、事業主の氏名又は名称及び住所、事業の種類、事業の行われる場所その他厚生労働省令で定める事項を政府に届け出なければならない。
第5条 (保険関係の消滅) 保険関係が成立している事業が廃止され、又は終了したときは、その事業についての保険関係は、その翌日に消滅する。 |
では、過去問をどうぞ!
①【H27年出題】(労災)
建設の有期事業を行う事業主は、当該事業に係る労災保険の保険関係が成立した場合には、その成立した日の翌日から起算して10日以内に保険関係成立届を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
②【H27年出題】(労災)
建設の有期事業を行う事業主は、当該事業に係る労災保険の保険関係が成立した場合には、その成立した日の翌日から起算して20日以内に、概算保険料を概算保険料申告書に添えて、申告・納付しなければならない。
③【H27年出題】(労災)
建設の有期事業を行う事業主は、当該事業に係る労災保険の保険関係が消滅した場合であって、納付した概算保険料の額が確定保険料の額として申告した額に足りないときは、当該保険関係が消滅した日から起算して50日以内にその不足額を、確定保険料申告書に添えて、申告・納付しなければならない。
④【H27年出題】(労災)
複数年にわたる建設の有期事業の事業主が納付すべき概算保険料の額は、その事業の当該保険関係に係る全期間に使用するすべての労働者に係る賃金総額(その額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てる。)の見込額に、当該事業についての一般保険料率を乗じて算定した額となる。
【解答】
①【H27年出題】 〇
保険関係成立届は、成立の日の翌日から起算して10日以内に提出します。「翌日起算」がポイントです。
保険関係成立届の提出先は、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長ですが、「一元適用事業で労働保険事務組合に事務処理を委託しないもの(雇用保険に係る保険関係のみが成立する事業を除く。)」と「労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業」は、「所轄労働基準監督署長」に提出します。
(則第1条、4条)
②【H27年出題】 〇
有期事業の概算保険料の申告・納付の期限は、「成立した日の翌日から起算して20日以内」です。「翌日起算」と「20日以内」がポイントです。
(法第15条の2)
③【H27年出題】 〇
有期事業の確定保険料の申告・納付の期限は、「保険関係が消滅した日から起算して50日以内」です。ここは、「当日起算」となります。保険関係が消滅するのは、事業が廃止又は終了した日の翌日です。
(法第19条第2項、3項)
④【H27年出題】 〇
有期事業の賃金総額は、当該保険関係に係る「全期間」で算定します。保険年度単位ではありません。
(法第15条第2項)
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R5-279
以下の場合は、雇用保険の被保険者から除外されます。
条文を読んでみましょう。
第6条 次に掲げる者については、雇用保険法は、適用しない。 1. 1週間の所定労働時間が20時間未満である者(特例高年齢被保険者及び日雇労働被保険者に該当することとなる者を除く。) 2. 同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者(前2月の各月において18日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者及び日雇労働被保険者に該当することとなる者を除く。) (3.~6.は省略) |
★1週間の所定労働時間が20時間未満である者は、雇用保険は適用除外です。
※日雇労働被保険者に該当する者は、被保険者となります。
★同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者は、雇用保険は適用除外です。
※日雇労働被保険者に該当する者は被保険者となります。
※日雇労働者で前2月の各月に18日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者は、被保険者となります。
過去問をどうぞ!
①【R2年選択】
雇用保険法の適用について、1週間の所定労働時間が< A >であり、同一の事業主の適用事業に継続して< B >雇用されることが見込まれる場合には、同法第6条第3号に規定する季節的に雇用される者、同条第4号に規定する学生又は生徒、同条第5号に規定する船員、同条第6号に規定する国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者を除き、パートタイマー、アルバイト、嘱託、契約社員、派遣労働者等の呼称や雇用形態の如何にかかわらず被保険者となる。
②【H27年出題】
当初の雇入れ時に31日以上雇用されることが見込まれない場合であっても、雇入れ後において、雇入れ時から31日以上雇用されることが見込まれることとなった場合には、他の要件を満たす限り、その時点から一般被保険者となる。
【解答】
①【R2年選択】
A20時間以上
B31日以上
①と②の要件を両方満たす場合は、パートタイマー、アルバイト、嘱託、契約社員、派遣労働者等の呼称や雇用形態の如何にかかわらず被保険者となります。
①1週間の所定労働時間が20時間以上である
②同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれる
②【H27年出題】 〇
当初は31日以上雇用されることが見込まれない場合でも、雇入れ後に、31日以上雇用されることが見込まれることとなった場合は、その時点から一般被保険者となります。
(行政手引20303)
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R5-278
保険関係成立届を提出していない期間中に事故が発生した場合、事業主は、保険給付に要した費用を徴収されることがあります。
条文を読んでみましょう。
第31条第1項 政府は、次の各号のいずれかに該当する事故について保険給付を行ったときは、厚生労働省令で定めるところにより、業務災害に関する保険給付にあっては労働基準法の規定による災害補償の価額の限度又は船員法の規定による災害補償のうち労働基準法の規定による災害補償に相当する災害補償の価額の限度で、複数業務要因災害に関する保険給付にあっては複数業務要因災害を業務災害とみなした場合に支給されるべき業務災害に関する保険給付に相当する同法の規定による災害補償の価額(当該複数業務要因災害に係る事業ごとに算定した額に限る。)の限度で、通勤災害に関する保険給付にあっては通勤災害を業務災害とみなした場合に支給されるべき業務災害に関する保険給付に相当する同法の規定による災害補償の価額の限度で、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。 1. 事業主が故意又は重大な過失により保険関係成立届の提出が行われていない期間(政府が当該事業について概算保険料の認定決定をしたときは、その決定後の期間を除く。)中に生じた事故 2. 事業主が一般保険料を納付しない期間(督促状に指定する期限後の期間に限る。)中に生じた事故 3. 事業主が故意又は重大な過失により生じさせた業務災害の原因である事故 |
★今日は、1.の故意又は重大な過失により、事業主が保険関係成立届の提出を行っていない期間中に生じた事故についての費用徴収をみていきます。
では、過去問をどうぞ!
①【H27年出題】
事業主が、労災保険法第31条第1項第1号の事故に係る事業に関し、保険手続に関する指導を受けたにもかかわらず、その後10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合、「故意」と認定した上で、原則、費用徴収率を100%とする。
②【H27年出題】
事業主が、労災保険法第31条第1項第1号の事故に係る事業に関し、保険手続に関する指導又は加入勧奨を受けておらず、労働保険徴収法第3条に規定する保険関係が成立した日から1年を経過してなお保険関係成立届を提出していなかった場合、原則、「重大な過失」と認定した上で、費用徴収率を40%とする。
③【R1年選択式】
労災保険の適用があるにもかかわらず、労働保険徴収法第4条の2第1項に規定する労災保険に係る保険関係成立届(以下本問において「保険関係成立届」という。)の提出が行われていない間に労災事故が生じた場合において、事業主が故意又は重大な過失により保険関係成立届を提出していなかった場合は、政府は保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。
事業主がこの提出について、所轄の行政機関から直接指導を受けていたにもかかわらず、その後< A >以内に保険関係成立届を提出していない場合は、故意が認定される。事業主がこの提出について、保険手続に関する行政機関による指導も、都道府県労働保険事務組合連合会又はその会員である労働保険事務組合による加入勧奨も受けていない場合において、保険関係が成立してから< B >を経過してもなお保険関係成立届を提出していないときには、原則、重大な過失と認定される。
【解答】
①【H27年出題】 〇
「故意」と認定された場合は、費用徴収率が100%となります。
★故意の認定について
① 事業主が、当該事故に係る事業に関し、所轄都道府県労働局、所轄労働基準監督署又は所轄公共職業安定所から、保険関係成立届の提出ほか所定の手続をとるよう指導を受けたにもかかわらず、10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合
② 事業主が、当該事故に係る事業に関し、都道府県労働保険事務組合連合会又はその会員である労働保険事務組合から、保険関係成立届の提出ほか所定の手続をとるよう勧奨(「加入勧奨」という。)を受けたにもかかわらず、10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合
(H17.9.22基発第0922001号)
「指導」や「加入勧奨」を受けたにもかかわらず、10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合は「故意」と認定されます。
②【H27年出題】 〇
「重大な過失」と認定された場合は、費用徴収率が40%となります。
★重大な過失の認定について
事業主が、当該事故に係る事業に関し、保険手続に関する指導又は加入勧奨を受けていない場合で、かつ、保険関係成立日から1年を経過してなお保険関係成立届を提出していないとき
(H17.9.22基発第0922001号)
③【R1年選択式】
A 10日
B 1年
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R5-277
労働安全衛生法では、事業者に、健康診断の実施義務が課せられています。
派遣労働者に対する健康診断は、派遣元、派遣先どちらに実施義務が課せられているかが今日のテーマです。
★なお、健康診断は、「一般健康診断(雇入れ時の健康診断、定期健康診断等)」と、有害な業務に常時従事する労働者を対象とする「特殊健康診断」の大きく2つに分けられます。
さっそく過去問をどうぞ!
①【H27年出題】
派遣就業のために派遣され就業している労働者に対して行う労働安全衛生法に定める医師による健康診断については、同法第66条第1項に規定されているいわゆる一般健康診断のほか、例えば屋内作業場において有機溶剤を取り扱う業務等の有害な業務に従事する労働者に対して実施するものなど同条第2項に規定されている健康診断も含めて、その雇用主である派遣元の事業者にその実施義務が課せられている。
②【H30年出題】
派遣労働者に関する労働安全衛生法第66条第2項に基づく有害業務従事者に対する健康診断(以下「特殊健康診断」という。)の結果の記録の保存は、派遣先事業者が行わなければならないが、派遣元事業者は、派遣労働者について、労働者派遣法第45条第11項の規定に基づき派遣先事業者から送付を受けた当該記録の写しを保存しなければならず、また、当該記録の写しに基づき、派遣労働者に対して特殊健康診断の結果を通知しなければならない。
【解答】
①【H27年出題】 ×
一般健康診断は、一般的な健康管理が目的ですので、雇用主である「派遣元」の事業者に実施義務が課せられています。
しかし、有害な業務に従事する労働者に対して実施する「特殊健康診断」は、業務に関する健康管理ですので、指揮命令を行う「派遣先」の事業者にその実施義務が課せられています。
(派遣法第45条第3項)
②【H30年出題】 〇
・ 派遣労働者に関する特殊健康診断の結果の記録の保存は、派遣先事業者が行わなければなりません。
(派遣法第45条第3項)
・ 派遣先の事業者は、派遣労働者の特殊健康診断を行ったときは、健康診断の結果を記録した書面を作成し、派遣元の事業者に送付しなければなりません。
(派遣法第45条第10条)
★特殊健康診断の結果の保存及び通知について
派遣労働者については、派遣先が変更になった場合にも、当該派遣労働者の健康管理が継続的に行われるよう、労働者派遣法第45条第11項の規定に基づき、派遣元事業者は、派遣先事業者から送付を受けた当該記録の写しを保存しなければなりません。
また、派遣元事業者は、当該記録の写しに基づき、派遣労働者に対して特殊健康診断の結果を通知しなければなりません。
(平成27年9月30日基発0930第5号)
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R5-276
労働基準法第3条では、「国籍、信条、社会的身分」を理由として、労働者を差別することを禁止しています。
条文を読んでみましょう。
第3条 (均等待遇) 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。 |
★今日は、「賃金、労働時間その他の労働条件」に注目します。
労働条件の中に、賃金、労働時間は当然含まれますが、それ以外の条件は、どこまで含まれるでしょうか?
では、過去問をどうぞ
①【H30年出題】
労働基準法第3条にいう「賃金、労働時間その他の労働条件」について、解雇の意思表示そのものは労働条件とはいえないため、労働協約や就業規則等で解雇の理由が規定されていても、「労働条件」にはあたらない。
②【H28年出題】
労働基準第3条は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、労働条件について差別することを禁じているが、これは雇入れ後における労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制限する規定ではないとするのが、最高裁判所の判例である。
③【H21年出題】
労働基準法第3条が禁止する労働条件についての差別的取扱いは、雇入れにおける差別も含まれるとするのが最高裁判所の判例である。
【解答】
①【H30年出題】 ×
「その他の労働条件」には、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件も含まれます。
(S23.6.16基収1365号、S63.3.14基発150号)
「解雇の意思表示」そのものは労働条件とはいえません。しかし、労働協約や就業規則等で解雇の理由が規定されている場合は、「労働条件」にあたります。
②【H28年出題】 〇
ポイント!
・企業者が、労働者を雇用するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件で雇うかについては、原則として自由に決定できる。企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもって雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない。
・労働基準法3条は雇入れ後における労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制約する規定ではない。
(S48.12.12最高裁判所大法廷 三菱樹脂事件)
③【H21年出題】 ×
労働基準法3条は雇入れ後における労働条件についての制限ですので、雇入れそのものを制約する規定ではありません。「雇入れにおける差別も含まれる」の部分が誤りです。
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R5-275
75歳以上の後期高齢者は、「後期高齢者医療制度」の被保険者となります。
後期高齢者医療の財源は、「公費・後期高齢者支援金・後期高齢者の保険料」です。
今日は、後期高齢者支援金を中心にみていきます。
後期高齢者支援金は、現役世代からの支援金のことです。
では、条文を読んでみましょう。
第100条第1項、4項 (後期高齢者交付金) ① 後期高齢者医療広域連合の後期高齢者医療に関する特別会計において負担する費用のうち、負担対象額に一から後期高齢者負担率及び100分の50を控除して得た率を乗じて得た額並びに特定費用の額に一から後期高齢者負担率を控除して得た率を乗じて得た額の合計額(以下「保険納付対象額」という。)については、政令で定めるところにより、社会保険診療報酬支払基金が後期高齢者医療広域連合に対して交付する後期高齢者交付金をもって充てる。 ④ 後期高齢者交付金は、第118条第1項の規定により社会保険診療報酬支払基金が徴収する後期高齢者支援金をもって充てる。 |
★後期高齢者負担率とは
・後期高齢者の保険料で負担する割合で、2年ごとに政令で定められます。令和4年度・5年度は、11.72%です。
★100分の50とは
・公費で負担する割合です
第118条 (後期高齢者支援金等の徴収及び納付義務) ① 社会保険診療報酬支払基金は、第139条第1項第2号に掲げる業務に要する費用に充てるため、年度ごとに、保険者(国民健康保険にあっては、都道府県。)から、後期高齢者支援金及び後期高齢者関係事務費拠出金(以下「後期高齢者支援金等」という。)を徴収する。 ② 保険者は、後期高齢者支援金等を納付する義務を負う。 |
★保険者とは
・医療保険各法の規定により医療に関する給付を行う全国健康保険協会、健康保険組合、都道府県及び市町村(特別区を含む。)、国民健康保険組合、共済組合又は日本私立学校振興・共済事業団です。
後期高齢者医療広域連合 |
↑ 後期高齢者交付金 |
社会保険診療報酬支払基金 |
↑ 後期高齢者支援金等 |
保険者 |
↑ 保険料 |
医療保険の被保険者(現役世代) |
★高齢者医療の財政のうち、後期高齢者支援金(現役世代からの支援)の占める割合は約4割です。
過去問をどうぞ!
①【H28年出題】(※改正による修正あり)
高齢者医療確保法では、都道府県は、年度ごとに、保険者(国民健康保険にあっては、都道府県。)から、後期高齢者支援金及び後期高齢者関係事務費拠出金を徴収することを規定している。
②【H22年出題】
国は、後期高齢者医療の財政を調整するため、政令で定めるところにより、後期高齢者医療広域連合に対して、負担対象額の見込額の総額の3分の1に相当する額を調整交付金として交付する。
【解答】
①【H28年出題】(※改正による修正あり) ×
保険者(国民健康保険にあっては、都道府県。)から、後期高齢者支援金及び後期高齢者関係事務費拠出金を徴収するのは、都道府県ではなく、「社会保険診療報酬支払基金」です。
②【H22年出題】 ×
国が交付する調整交付金は、3分の1ではなく「12分の1」です。
(法第95条)
★公費について
(国の負担)
・負担対象額の12分の3+調整交付金(負担対象額の12分の1)
(都道府県の負担)
・負担対象額の12分の1
(市町村の一般会計における負担)
・負担対象額の12分の1
(法第93条、95条、96条、98条)
12分の3+12分の1+12分の1+12分の1=「12分の6」です。公費が占める割合は約50%となります。
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R5-274
★在籍出向とは?
・出向元の企業と出向先の企業は出向契約、労働者は、出向元の企業と出向先の企業のそれぞれと雇用契約を結びます。
さっそく過去問をどうぞ!
【H28年出題】
いわゆる在籍出向においては、就業規則に業務上の必要によって社外勤務をさせることがある旨の規定があり、さらに、労働協約に社外勤務の定義、出向期間、出向中の社員の地位、賃金、退職金その他の労働条件や処遇等に関して出向労働者の利益に配慮した詳細な規定が設けられているという事情の下であっても、使用者は、当該労働者の個別的同意を得ることなしに出向命令を発令することができないとするのが、最高裁判所の判例である。
【解答】
【H28年出題】 ×
「新日本製鐵事件(H15.04.18最二小判)」からの出題です。
就業規則にも労働協約にも、出向に関する詳細な規定が設けられていることがポイントです。
・就業規則に業務上の必要によって社外勤務をさせることがある旨の規定がある
・労働条件や処遇等に関して出向労働者の利益に配慮した詳細な規定が設けられている
↓
使用者は、労働者の「個別的同意なし」に、在籍出向を命ずることができます。
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R5-273
保険料を滞納し、督促状の指定期限までに納付しないときの滞納処分についてみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
法第86条第5項、6項 ⑤ 厚生労働大臣は、納付義務者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村(特別区を含むものとし、指定都市にあっては、区又は総合区とする。)に対して、その処分を請求することができる。 1 督促を受けた者がその指定の期限までに保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しないとき。 2 繰上徴収の要件のいずれかに該当したことにより納期を繰り上げて保険料納入の告知を受けた者がその指定の期限までに保険料を納付しないとき。
⑥ 市町村は、処分の請求を受けたときは、市町村税の例によってこれを処分することができる。この場合においては、厚生労働大臣は、徴収金の100分の4に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。 |
さっそく過去問をどうぞ!
①【H30年出題】
厚生年金保険法第86条の規定によると、厚生労働大臣は、保険料の納付義務者が保険料を滞納したため期限を指定して督促したにもかかわらずその期限までに保険料を納付しないときは、納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法第252条の19第1項の指定都市にあっては、区又は総合区とする。以下同じ。)に対して、その処分を請求することができ、当該処分の請求を受けた市町村が市町村税の例によってこれを処分したときは、厚生労働大臣は、徴収金の100分の4に相当する額を当該市町村に交付しなければならないとされている。
②【H25年出題】
厚生労働大臣は、保険料の繰上徴収が認められる要件に該当したことにより納期を繰り上げて保険料納入の告知を受けた者が、その指定の期限までに保険料を納付しないとき、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村に対して、その処分を請求することができる。
【解答】
①【H30年出題】 〇
厚生労働大臣は、期限を指定して督促したにもかかわらずその期限までに保険料を納付しないときは、納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村に対して、その処分を請求することができます。
市町村が市町村税の例によって処分したときは、厚生労働大臣は、徴収金の100分の4に相当する額を当該市町村に交付しなければなりません。
②【H25年出題】 〇
納期を繰り上げて保険料納入の告知を受けた者が、その指定の期限までに保険料を納付しないときも滞納処分の対象となります。
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R5-272
厚生年金保険の保険料等を滞納した者に対する督促の手続をみていきます。
条文を読んでみましょう。
第86条第1項~4項 (保険料等の督促) ① 保険料その他この法律の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は、期限を指定して、これを督促しなければならない。ただし、繰上徴収の規定により保険料を徴収するときは、この限りでない。 ② 督促をしようとするときは、厚生労働大臣は、納付義務者に対して、督促状を発する。 ③ 督促状は、納付義務者が、健康保険法第180条の規定によって督促を受ける者であるときは、同法同条の規定による督促状に併記して、発することができる。 ④ 督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日でなければならない。ただし、繰上徴収の要件のいずれかに該当する場合は、この限りでない。 |
さっそく過去問をどうぞ!
①【H25年出題】
保険料等を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は期限を指定して、これを督促しなければならない。ただし、保険料の繰上徴収の規定により保険料を徴収するときは、この限りでない。
②【H25年出題】
保険料等の督促をしようとするときは、厚生労働大臣は、納付義務者に対して督促状を発する。保険料等の督促状は、納付義務者が健康保険法第180条の規定によって督促を受ける者であるときは、同法同条の規定による督促状により、これに代えることができる。
③【H25年出題】
保険料等の督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日でなければならない。ただし、保険料の繰上徴収が認められる要件に該当する場合は、この限りでない。
④【R1年選択】
保険料の納付義務者が保険料を滞納した場合には、厚生労働大臣は納付義務者に対して期限を指定してこれを督促しなければならないが、この期限は、督促状を< A >以上を経過した日でなければならない。
(選択肢)
① 受領した日から起算して10日
② 受領した日から起算して20日
③ 発する日から起算して10日
④ 発する日から起算して20日
【解答】
①【H25年出題】 〇
保険料の繰上徴収の規定により保険料を徴収するときは、督促状は発しません。
ちなみに、繰上徴収とは?
条文をチェックしましょう。
第85条 保険料は、次の各号に掲げる場合においては、納期前であっても、すべて徴収することができる。 1 納付義務者が、次のいずれかに該当する場合 イ 国税、地方税その他の公課の滞納によって、滞納処分を受けるとき。 ロ 強制執行を受けるとき。 ハ 破産手続開始の決定を受けたとき。 ニ 企業担保権の実行手続の開始があったとき。 ホ 競売の開始があったとき。 2 法人たる納付義務者が、解散をした場合 3 被保険者の使用される事業所が、廃止された場合 4 被保険者の使用される船舶について船舶所有者の変更があった場合、又は当該船舶が滅失し、沈没し、若しくは全く運航に堪えなくなるに至った場合 |
②【H25年出題】 ×
保険料等の督促状は、納付義務者が健康保険法第180条の規定によって督促を受ける者であるときは、「同法同条の規定による督促状に併記して、発することができる。」です。「代えることができる」ではありません。
③【H25年出題】 〇
督促状により指定する期限の、「督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日」は覚えましょう。
④【R1年選択】
A ③ 発する日から起算して10日
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R5-271
「繰上げ支給」の受給権の発生について、ご質問がありました。
今回のテーマは、繰上げ支給の条文の読み方です。
老齢基礎年金の受給権は、要件を満たせば65歳に達した日に発生します。
しかし、請求することにより、60歳から65歳になるまでの間に、繰り上げて受給することもできます。
条文を読んでみましょう。
附則第9条の2第1項~4項 (老齢基礎年金の支給の繰上げ) ① 保険料納付済期間又は保険料免除期間を有する者であって、60歳以上65歳未満であるもの(任意加入被保険者でないものに限る。)は、当分の間、65歳に達する前に、厚生労働大臣に老齢基礎年金の支給繰上げの請求をすることができる。ただし、その者が、その請求があった日の前日において、第26条ただし書に該当したときは、この限りでない。 ② 繰上げの請求は、老齢厚生年金の支給繰上げの請求をすることができる者にあっては、当該請求と同時に行わなければならない。 ③ 繰上げの請求があったときは、第26条の規定にかかわらず、その請求があった日から、その者に老齢基礎年金を支給する。 ④ 繰上げにより支給する老齢基礎年金の額は、第27条の規定にかかわらず、同条に定める額から政令で定める額を減じた額とする。 |
繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権は請求することによって発生します。
★「③ 繰上げの請求があったときは、第26条の規定にかかわらず、その請求があった日から、その者に老齢基礎年金を支給する。」について
・第26条では、老齢基礎年金は、「65歳に達したとき」に支給する、と規定されています。繰上げ請求をした場合は、第26条の規定にかかわらず、「請求があった日」に老齢基礎年金の受給権が発生するという意味です。
こちらの条文も読んでみましょう。
第18条第1項 (年金の支給期間) 年金給付の支給は、これを支給すべき事由が生じた日の属する月の翌月から始め、権利が消滅した日の属する月で終るものとする。 |
・年金の支給については、第18条第1項で、「支給すべき事由が生じた日の属する月の翌月から」始める、とありますので、繰上げ支給の老齢基礎年金の支給は、請求があった日の属する月の翌月から始まります。
では、過去問をどうぞ!
①【H23年出題】
繰上げ支給の受給権は、繰上げ請求のあった日の翌日に発生し、受給権発生日の属する月の翌月から支給される。
②【H29年出題】
繰上げ支給の老齢基礎年金は、60歳以上65歳未満の者が65歳に達する前に、厚生労働大臣に老齢基礎年金の支給繰上げの請求をしたときに、その請求があった日の属する月の分から支給する。
【解答】
①【H23年出題】 ×
繰上げ支給の受給権は、繰上げ請求のあった日の「翌日」ではなく、「繰上げ請求のあった日」に発生します。
年金の支給は、「受給権発生日(繰上げ請求のあった日)の属する月の翌月」からです。
②【H29年出題】 ×
繰上げ支給の老齢基礎年金の支給は、その請求があった日の属する月の「翌月」分からです。
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R5-270
健康保険事業の収支が均衡しない健康保険組合についてみていきます。
条文を読んでみましょう。
第28条 (指定健康保険組合による健全化計画の作成) ① 健康保険事業の収支が均衡しない健康保険組合であって、政令で定める要件に該当するものとして厚生労働大臣の指定を受けたもの(以下「指定健康保険組合」という。)は、政令で定めるところにより、その財政の健全化に関する計画(以下「健全化計画」という。)を定め、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。 ② 承認を受けた指定健康保険組合は、当該承認に係る健全化計画に従い、その事業を行わなければならない。 ③ 厚生労働大臣は、承認を受けた指定健康保険組合の事業及び財産の状況により、その健全化計画を変更する必要があると認めるときは、当該指定健康保険組合に対し、期限を定めて、当該健全化計画の変更を求めることができる。 |
では、過去問をどうぞ!
①【H30年出題】
健康保険事業の収支が均衡しない健康保険組合であって、政令で定める要件に該当するものとして厚生労働大臣より指定を受けた健康保険組合は、財政の健全化に関する計画を作成し、厚生労働大臣の承認を受けたうえで、当該計画に従い、その事業を行わなければならない。この計画に従わない場合は、厚生労働大臣は当該健康保険組合と地域型健康保険組合との合併を命ずることができる。
②【H25年選択式】
健康保険事業の収支が均衡しない健康保険組合であって、政令で定める要件に該当するものとして厚生労働大臣の指定を受けたものは、政令の定めるところにより、その財政の健全化に関する計画(以下、「健全化計画」という。)を定め、厚生労働大臣の承認を受けなければならないが、その健全化計画は、厚生労働大臣の指定の日の属する年度の翌年度を初年度とする< A >の計画とする。
(選択肢)
① 2年間 ② 3年間 ③ 4年間 ④ 5年間
【解答】
①【H30年出題】 ×
「健康保険組合が準用する第7条の39第1項(監督)の規定による命令に違反したとき、又は前条第2項の規定(健全化計画に従い事業を行わなければならない)に違反した指定健康保険組合、同条第3項の求め(健全化計画の変更の求め)に応じない指定健康保険組合その他政令で定める指定健康保険組合の事業若しくは財産の状況によりその事業の継続が困難であると認めるときは、厚生労働大臣は、当該健康保険組合の解散を命ずることができる。」と規定されています。(第29条第2項)
健全化計画に従わない場合は、厚生労働大臣は「当該健康保険組合の解散を命ずることができる」です。
②【H25年選択式】
A ② 3年間
健全化計画は、厚生労働大臣の指定の日の属する年度の翌年度を初年度とする「3年間」の計画とされています。
(令第30条)
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R5-269
今日は、保険関係の消滅についてみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第5条 (保険関係の消滅) 保険関係が成立している事業が廃止され、又は終了したときは、その事業についての保険関係は、その翌日に消滅する。 |
「廃止」は継続事業、「終了」は有期事業です。
廃止・終了の日の翌日に、当然に保険関係は消滅します。
では、過去問をどうぞ!
①【H29年出題】(労災)
労働保険の保険関係が成立している事業の事業主は、当該事業を廃止したときは、当該事業に係る保険関係廃止届を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出しなければならず、この保険関係廃止届が受理された日の翌日に、当該事業に係る労働保険の保険関係が消滅する。
②【H27年出題】(労災)
農業の事業で、労災保険関係が成立している労災保険暫定任意適用事業の事業主が当該事業を廃止した場合には、当該労災保険暫定任意適用事業に係る保険関係の消滅の申請をすることにより、所轄都道府県労働局長の認可があった日の翌日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係が消滅する。
③【H23年出題】(労災)
労災保険暫定任意適用事業の事業主は、その事業を廃止した場合に、既に納付した概算保険料の額と確定保険料の額が同一で、納付すべき確定保険料がないときは、確定保険料申告書を提出する必要はないが、保険関係消滅申請書を所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。
【解答】
①【H29年出題】 ×
事業を廃止したときは、保険関係はその翌日に自動的に消滅します。
保険関係廃止届は存在しません。
なお、継続事業の場合は、保険関係が消滅した日から50日以内に確定保険料申告書を提出して労働保険料の精算を行わなければなりません。ちなみに、50日以内は「当日起算」です。
(法第19条)
②【H27年出題】 ×
暫定任意適用事業も、事業を廃止した場合には、保険関係はその翌日に自動的に消滅します。保険関係の消滅の申請は不要です。
ちなみに、労災保険も雇用保険も暫定任意適用事業の場合は、加入は事業主の任意ですので、脱退も任意です。
暫定任意適用事業が脱退する場合は、厚生労働大臣の認可(都道府県労働局長に権限が委任されています。)が必要で、保険関係は、認可があった日の翌日に消滅します。
③【H23年出題】 ×
暫定任意適用事業がその事業を廃止した場合は、自動的に保険関係が消滅しますので、保険関係消滅申請書の提出は不要です。
また、既に納付した概算保険料の額と確定保険料の額が同一でも、確定保険料申告書は提出しなければなりません。
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R5-268
「基本手当」の受給資格や所定給付日数の決定の際に、「特定理由離職者」と「特定受給資格者」が出てきます。
条文を読んでみましょう。
・「特定理由離職者」とは
法第13条第3項 特定理由離職者とは、離職した者のうち、特定受給資格者以外の者であって、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)その他のやむを得ない理由により離職したものとして厚生労働省令で定める者をいう。 則第19条の2(法第13条第3項の厚生労働省令で定める者) 法第13条第3項の厚生労働省令で定める者は、次のいずれかの理由により離職した者とする。 1 期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。) 2 正当な理由のある自己都合退職 |
・「特定受給資格者」とは
法第23条第2項 特定受給資格者とは、次の各号のいずれかに該当する受給資格者(就職困難者を除く。)をいう。 1 基本手当の受給資格に係る離職が、その者を雇用していた事業主の事業について発生した倒産(破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立てその他厚生労働省令で定める事由に該当する事態をいう)又は当該事業主の適用事業の縮小若しくは廃止に伴うものである者として厚生労働省令で定めるもの 2 前号に定めるもののほか、解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く。)その他の厚生労働省令で定める理由により離職した者 |
特定受給資格者は、「倒産等による離職」と「解雇等による離職」の2つに分けられます。
今日は「特定受給資格者」についてみていきます。
では、過去問をどうぞ!
【H30年出題】(※修正あり)
① 出産後に事業主の法令違反により就業させられたことを理由として離職した者は特定受給資格者に該当する。
② 事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないことを理由として離職した者は特定受給資格者に該当する。
③ 事業所において、当該事業主に雇用される被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇い労働被保険者を除く。)の数を3で除して得た数を超える被保険者が離職したため離職した者は特定受給資格者に該当する。
④ 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において、当該労働契約が更新されないこととなったことを理由として離職した者は特定受給資格者に該当する。
【解答】
① 〇
「事業主が法令に違反し、妊娠中若しくは出産後の労働者又は子の養育若しくは家族の介護を行う労働者を就業させ、若しくはそれらの者の雇用の継続等を図るための制度の利用を不当に制限したこと又は妊娠したこと、出産したこと若しくはそれらの制度の利用の申出をし、若しくは利用をしたこと等を理由として不利益な取扱いをしたこと。」を理由として離職した場合は、特定受給資格者に該当します。(則第36条第5号ホ)
出産後に事業主の法令違反により就業させられたことを理由として離職した者は特定受給資格者に該当します。
② 〇
「事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないこと」を理由として離職した者は特定受給資格者に該当します。
(則第36条第6号)
③ 〇
「事業所において、労働施策総合法第27条第1項の規定による離職に係る大量の雇用変動の届出がされたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。)の数を3で除して得た数を超える被保険者が離職したため離職した者」は特定受給資格者に該当します。(則第35条第2号)
④ 〇
「期間の定めのある労働契約」について
・ 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったこと。
・ 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったこと。
上記を理由に離職した者は特定受給資格者に該当します。
(則第36条第7号、7号の2)
★ちなみに・・・
「期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)」を理由に離職した者は、「特定理由離職者」となりますが、これは、労働契約の更新又は延長する旨が明示されていない場合です。
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R5-267
労災保険の保険給付を受ける権利は保護されています。
条文を読んでみましょう。
第12条の5 ① 保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない。 ② 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。 |
では、過去問をどうぞ!
①【H27年出題】
労災保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない。
②【H24年出題】
保険給付を受ける権利は、譲り渡すことができない。
③【R1年出題】
特別支給金は、社会復帰促進等事業の一環として被災労働者等の福祉の増進を図るために行われるものであり、譲渡、差押えは禁止されている。
【解答】
①【H27年出題】 〇
労働者が退職したとしても、労災保険給付を受ける権利は変わりません。
②【H24年出題】 〇
保険給付を受ける権利は、譲渡、担保に供すること、差押えは禁止されています。
③【R1年出題】 ×
「保険給付」と「社会復帰促進等事業の一環として行われる特別支給金」との違いに注意しましょう。
譲渡、差押えの規定は特別支給金には準用されませんので、特別支給金については譲渡、差押えは禁止されていません。
(特別金支給規則第20条)
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R5-266
業種を問わず、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、衛生管理者を選任しなければなりません。
衛生管理者は、衛生に関する技術的事項を管理します。
今日は、衛生管理者の選任要件を確認しましょう。
条文を読んでみましょう。
法第12条第1項 (衛生管理者) 事業者は、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに、都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業場の業務の区分に応じて、衛生管理者を選任し、その者に第10条第1項各号の業務(総括安全衛生管理者が統括管理する業務)のうち衛生に係る技術的事項を管理させなければならない。
則第10条 (厚生労働省令で定める資格) 1 医師 2 歯科医師 3 労働衛生コンサルタント 4 前3号に掲げる者のほか、厚生労働大臣の定める者
則第7条第3号 (衛生管理者の選任) 衛生管理者は、次に掲げる業種の区分に応じ、それぞれに掲げる者のうちから選任すること。 ・ 農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業 ↓ 第1種衛生管理者免許を有する者 衛生工学衛生管理者免許を有する者 則第10条各号に掲げる者(医師、歯科医師等)
・ その他の業種 ↓ 第1種衛生管理者免許を有する者 第2種衛生管理者免許を有する者 衛生工学衛生管理者免許を有する者 則第10条各号に掲げる者(医師、歯科医師等) |
・衛生管理者は、「都道府県労働局長の免許を受けた者」、「厚生労働省令で定める資格を有する者」のうちから選任しなければなりません。
過去問をどうぞ!
①【令和元年選択式】
衛生管理者は、都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから選任しなければならないが、厚生労働省令で定める資格を有する者には、医師、歯科医師のほか< A >などが定められている。
(選択肢)
①衛生管理士 ②看護師 ③作業環境測定士 ④労働衛生コンサルタント
②【H25年選択式】
労働安全衛生規則第7条第1項第6号は、常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働、多量の高熱物体を取り扱う業務、著しく暑熱な場所における業務、ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務、土石、獣毛等のじんあい若しくは粉末を著しく飛散する場所における業務、異常気圧下における業務又は鉛、水銀、クロム、 砒素、黄りん、弗素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリン、その他これに準ずる有害物の粉じん、蒸気若しくはガスを発散する場所における業務に、「常時30人以上の労働者を従事させるものにあっては、衛生管理者のうち1人を< B >のうちから選任」しなければならない旨規定している。
(選択肢)
①衛生工学衛生管理者免許を受けた者 ②第一種衛生管理者免許を受けた者
③第二種衛生管理者免許を受けた者 ④保健師免許を受けた者
③【H24年出題】
常時60人の労働者を使用する製造業の事業場の事業者は、衛生管理者を選任する義務があるが、第二種衛生管理者免許を有する当該事業場の労働者であれば、他に資格等を有していない場合であっても、その者を衛生管理者に選任し、当該事業場の衛生に係る技術的事項を管理させることができる。
【解答】
①【令和元年選択式】
A ④労働衛生コンサルタント
②【H25年選択式】
B ①衛生工学衛生管理者免許を受けた者
(則第7条第1項第6号)
③【H24年出題】 ×
製造業の事業場の事業者は、「第1種衛生管理者免許を有する者」、「衛生工学衛生管理者免許を有する者」、「則第10条各号に掲げる者(医師、歯科医師等)」から衛生管理者を選任しなければなりません。
製造業の場合は、第2種衛生管理者免許を有するだけでは衛生管理者として選任できません。
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R5-265
1年単位の変形労働時間制を採用する場合、労使協定で、以下の事項を定めなければなりません。
① 1年単位の変形労働時間の対象になる労働者の範囲 ② 対象期間(その期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、1か月を超え1年以内の期間に限るものとする。) ③ 特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間をいう。) ④ 対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間 ※対象期間を1か月以上の期間ごとに区分する場合 ・最初の期間の労働日及び当該労働日ごとの労働時間 ・最初の期間を除く各期間の労働日数及び総労働時間 ⑤ 有効期間の定め |
では、過去問をどうぞ!
①【H28年出題】
労働基準法第32条の4に定めるいわゆる1年単位の変形労働時間制の対象期間は、 1か月を超え1年以内であれば、3か月や6か月でもよい。
②【H22年出題】
労働基準法第32条の4に定めるいわゆる1年単位の変形労働時間制においては、1日10時間、1週52時間という労働時間の上限が定められているため、この範囲において労働する限り、どのような場合においても対象期間における各労働日ごとの労働時間をあらかじめ特定しておく必要はない。
③【H30年出題】
いわゆる1年単位の変形労働時間制においては、その労働日について、例えば7月から9月を対象期間の最初の期間とした場合において、この間の総休日数40日と定めた上で、30日の休日はあらかじめ特定するが、残る10日については、「7月から9月までの間に労働者の指定する10日間について休日を与える。」として特定しないことは認められていない。
【解答】
①【H28年出題】 〇
1年単位の変形労働時間制の「対象期間」は、「その期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、1か月を超え1年以内の期間に限る」とされています。
対象期間の最長は「1年」ですが、3か月や6か月とすることもできます。
②【H22年出題】 ×
労使協定で対象期間における「労働日」と「当該労働日ごとの労働時間」を特定する必要があります。
ただし、対象期間が長くなりますので、対象期間を1か月以上の期間ごとに区分することとした場合は、労使協定で、「最初の期間」の「労働日及び当該労働日ごとの労働時間」を特定し、「最初の期間を除く各期間」については、「労働日数及び総労働時間」を定めることもできます。
1か月 (最初の期間) | 1か月 | 1か月 | 1か月 | ・・・ |
・労働日 ・労働日ごとの労働時間 | ・労働日数 ・総労働時間 | ・労働日数 ・総労働時間 | ・労働日数 ・総労働時間 |
・・・ |
なお、最初の期間を除く各期間については、当該各期間の初日の少なくとも30日前に、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の同意を得て、書面で、各期間における労働日及び各期間における労働日ごとの労働時間を定めることとされています。
③【H30年出題】 〇
労働日と労働日ごとの労働時間はあらかじめ特定しなければなりません。
労働日を特定することは、反面、休日を特定することでもあります。
問題文のように、変形期間開始後にしか休日が特定できない場合は、労働日が特定されたことにはなりません。
(H6.5.31基発330号)
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R5-264
特定健康診査は、40歳から74歳の人を対象に、生活習慣病を予防するために行われます。
条文を読んでみましょう。
第18条第1項 (特定健康診査等基本指針) 厚生労働大臣は、特定健康診査(糖尿病その他の政令で定める生活習慣病に関する健康診査をいう。)及び特定保健指導(特定健康診査の結果により健康の保持に努める必要がある者として厚生労働省令で定めるものに対し、保健指導に関する専門的知識及び技術を有する者として厚生労働省令で定めるものが行う保健指導をいう。)の適切かつ有効な実施を図るための基本的な指針(以下「特定健康診査等基本指針」という。)を定めるものとする。
第19条第1項 (特定健康診査等実施計画) 保険者(国民健康保険法の定めるところにより都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険(以下「国民健康保険」という。)にあっては、市町村。)は、特定健康診査等基本指針に即して、6年ごとに、6年を1期として、特定健康診査等の実施に関する計画(以下「特定健康診査等実施計画」という。)を定めるものとする。
第20条(特定健康診査) 保険者は、特定健康診査等実施計画に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、 40歳以上の加入者に対し、特定健康診査を行うものとする。 |
高齢者医療確保法で「保険者」とは、医療保険各法の規定により医療に関する給付を行う全国健康保険協会、健康保険組合、都道府県及び市町村(特別区を含む。)、国民健康保険組合、共済組合又は日本私立学校振興・共済事業団をいいます。(法第7条第2項)
ポイントを穴埋めで確認しましょう。
・ 厚生労働大臣は、< A >(糖尿病その他の政令で定める< B >に関する健康診査をいう。)及び< C >の適切かつ有効な実施を図るための基本的な指針(以下「< A >等基本指針」という。)を定めるものとする。
・ 保険者(国民健康保険法の定めるところにより都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険にあっては、市町村。)は、< A >等基本指針に即して、< D >年ごとに、< D >年を1期として、< A >等実施計画を定めるものとする。
・ 保険者は、< A >等実施計画に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、< E >歳以上の加入者に対し、< A >を行うものとする。
【解答】
A 特定健康診査
B 生活習慣病
C 特定保健指導
D 6
E 40
では、過去問をどうぞ!
①【H29年出題】(改正による修正あり)
保険者(国民健康保険法の定めるところにより都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険にあっては、市町村。)は、特定健康診査等基本指針に即して、6年ごとに、6年を1期として、特定健康診査等の実施に関する計画を定めるものとされている。
②【H29年出題】(改正による修正あり)
高齢者医療確保法における保険者には、医療保険各法の規定により医療に関する給付を行う全国健康保険協会、健康保険組合、都道府県及び市町村(特別区を含む。)、国民健康保険組合のほか、共済組合又は日本私立学校振興・共済事業団も含まれる。
【解答】
①【H29年出題】 〇
厚生労働大臣は、特定健康診査等基本指針を定めます。
↓
保険者は、特定健康診査等基本指針に即して、6年ごとに、6年を1期として、特定健康診査等実施計画を定めます。
↓
保険者は、特定健康診査等実施計画に基づき、40歳以上の加入者に対し、特定健康診査を行います。
②【H29年出題】 〇
高齢者医療確保法における保険者は、医療保険各法の規定により医療に関する給付を行う全国健康保険協会、健康保険組合、都道府県及び市町村(特別区を含む。)、国民健康保険組合、共済組合又は日本私立学校振興・共済事業団です。
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R5-263
労働契約法の「労働契約が成立する要件」をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
労働契約法第6条 (労働契約の成立) 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。 |
労働契約の成立は、労働者と使用者の合意によります。
合意の要素は、「労働者が使用者に使用されて労働」すること、「使用者がこれに対して賃金を支払うこと」です。
(参照 H24.8.10 基発0810第2号)
では、過去問をどうぞ!
【H28年出題】
労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が必ず書面を交付して合意しなければ、有効に成立しない。
【解答】
【H28年出題】 ×
労働契約は、労働契約の締結当事者である労働者及び使用者の合意のみで成立します。
契約内容について書面を交付することまでは求められません。
(参照 H24.8.10 基発0810第2号)
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R5-262
例えば、「ある会社で働いたことがあるのに、厚生年金保険の記録がない」、「標準報酬月額が違う」など、年金記録が事実と異なっていると思うときは、厚生労働大臣に年金記録の訂正を請求することができます。
条文を読んでみましょう。
第28条 (記録) 実施機関は、被保険者に関する原簿を備え、これに被保険者の氏名、資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬(標準報酬月額及び標準賞与額をいう。)、基礎年金番号その他主務省令で定める事項を記録しなければならない。
第28条の2第1項 (訂正の請求) 第1号厚生年金被保険者であり、又はあった者は、厚生年金保険原簿に記録された自己に係る特定厚生年金保険原簿記録(第1号厚生年金被保険者の資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬その他厚生労働省令で定める事項の内容をいう。)が事実でない、又は厚生年金保険原簿に自己に係る特定厚生年金保険原簿記録が記録されていないと思料するときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができる。 |
★「実施機関」は、被保険者に関する原簿を備え、一定事項を記録します。
★「厚生労働大臣」に、厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができるのは、第1号厚生年金被保険者である者、又は第1号厚生年金被保険者であった者です。
過去問をどうぞ!
①【R3年出題】
第1号厚生年金被保険者であり、又は第1号厚生年金被保険者であった者は、厚生労働大臣において備えている被保険者に関する原簿(以下本問において「厚生年金保険原簿」という。)に記録された自己に係る特定厚生年金保険原簿記録(第1号厚生年金被保険者の資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬その他厚生労働省令で定める事項の内容をいう。以下本問において同じ。)が事実でない、又は厚生年金保険原簿に自己に係る特定厚生年金保険原簿記録が記録されていないと思料するときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができる。
②【H30年出題】
第2号厚生年金被保険者であった者は、その第2号厚生年金被保険者期間について厚生労働大臣に対して厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができない。
③【H30年出題】
第1号厚生年金被保険者であった老齢厚生年金の受給権者が死亡した場合、その者の死亡により遺族厚生年金を受給することができる遺族はその死亡した者の厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができるが、その者の死亡により未支給の保険給付の支給を請求することができる者はその死亡した者の厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができない。
④【H30年出題】
厚生労働大臣は、訂正請求に係る厚生年金保険原簿の訂正に関する方針を定めなければならず、この方針を定めようとするときは、あらかじめ、社会保障審議会に諮問しなければならない。
【解答】
①【R3年出題】 〇
この問題のチェックポイントは、訂正請求ができるのは、「第1号厚生年金被保険者であり、又は第1号厚生年金被保険者であった者」であることです。
②【H30年出題】 〇
訂正請求の対象になるのは、第1号厚生年金被保険者に係る記録です。
第2号厚生年金被保険者(国家公務員共済組合)、第3号厚生年金被保険者(地方公務員共済組合)、第4号厚生年金被保険者(日本私立学校振興・共済事業団)に係る期間は、訂正請求の対象外です。
③【H30年出題】 ×
第1号厚生年金被保険者であった者が死亡した場合、その者の死亡により遺族厚生年金を受給することができる遺族はその死亡した者の厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができます。
また、その者の死亡により未支給の保険給付の支給を請求することができる者も、その死亡した者の厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができます。
④【H30年出題】 〇
条文を確認しましょう。
法第28条の3
① 厚生労働大臣は、訂正請求に係る厚生年金保険原簿の訂正に関する方針を定めなければならない。
② 厚生労働大臣は、①の方針を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、社会保障審議会に諮問しなければならない。
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R5-261
厚生年金保険の被保険者期間を1か月でも有し、かつ、国民年金の保険料納付済期間+保険料免除期間+合算対象期間が10年以上ある場合は、65歳に達したときに老齢厚生年金の受給権が発生します。
老齢厚生年金は繰り上げて支給を受けることもできます。
老齢厚生年金の繰上げ受給を受けながら在職している場合の老齢厚生年金の額の改定についてみていきます。
条文を読んでみましょう。
法附則第7条の3第1項~5項 ① 当分の間、次の各号に掲げる者であって、被保険者期間を有し、かつ、60歳以上65歳未満であるもの(国民年金法の規定による任意加入被保険者でないものに限る。)は、政令で定めるところにより、65歳に達する前に、実施機関に当該各号に掲げる者の区分に応じ当該者の被保険者の種別に係る被保険者期間に基づく老齢厚生年金の支給繰上げの請求をすることができる。ただし、その者が、その請求があった日の前日において、保険料納付済期間と保険料免除期間と合算対象期間を合算した期間が10年以上でないときは、この限りでない。 1. 男子又は女子(第2号厚生年金被保険者であり、若しくは第2号厚生年金被保険者期間を有する者、第3号厚生年金被保険者であり、若しくは第3号厚生年金被保険者期間を有する者又は第4号厚生年金被保険者であり、若しくは第4号厚生年金被保険者期間を有する者に限る。)であって昭和36年4月2日以後に生まれた者 2. 女子(第1号厚生年金被保険者であり、又は第1号厚生年金被保険者期間を有する者に限る。)であって昭和41年4月2日以後に生まれた者 (3.、4.は省略します) ② 繰上げの請求は、国民年金法に規定する老齢基礎年金の支給繰上げの請求を行うことができる者にあっては、これらの請求と同時に行わなければならない。 ③ 繰上げの請求があったときは、その請求があった日の属する月から、その者に老齢厚生年金を支給する。 ④ 繰上げ支給の老齢厚生年金の額は、老齢厚生年金の額から政令で定める額を減じた額とする。 ⑤ 繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者であって、繰上げの請求があった日以後の被保険者期間を有するものが65歳に達したときは、65歳に達した日の属する月前における被保険者であった期間を当該老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、65歳に達した日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。 |
・①について
1.(男子・女子(2号、3号、4号)と2.(女子(1号))は、特別支給の老齢厚生年金が支給されない人です。老齢厚生年金は65歳から支給されます。
・②について
老齢厚生年金の繰上げ請求は、老齢基礎年金と同時に行います。
・⑤について
繰上げ請求後65歳になる前に、厚生年金保険の被保険者期間を有した場合、その期間は65歳時点で、年金額に反映します。
例えば、60歳で老齢厚生年金を繰上げ受給し、その後、62歳から64歳まで厚生年金保険の被保険者だった場合は、その期間分は、65歳到達時の改定で年金額に反映します。
過去問をどうぞ!
【H30年出題】
繰上げ支給の老齢厚生年金を受給している者であって、当該繰上げの請求があった日以後の被保険者期間を有する者が65歳に達したときは、その者が65歳に達した日の属する月前における被保険者であった期間を当該老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、65歳に達した日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。
【解答】
【H30年出題】 〇
繰上げ支給の老齢厚生年金を受給している者で、繰上げの請求があった日以後に被保険者期間を有する場合は、65歳に達したときに、65歳に達した日の属する月前の被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算に算入します。
年金額の改定は、65歳に達した日の属する月の翌月からとなります。
(法附則第7条の3第5項)
※繰上げ支給の老齢厚生年金の受給者については、65歳以降は、在職定時改定、退職改定が適用されます。
(法附則第15条の2)
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R5-260
65歳で老齢厚生年金の受給権を取得した時点で、生計を維持されている配偶者又は子がいる場合は、老齢厚生年金に加給年金額が加算されます。
ただし、その老齢厚生年金は、厚生年金保険の被保険者期間が20年(240月)以上で計算されていることが条件です。(中高齢の期間短縮特例を満たしている場合は15年~19年となります)
今日は、65歳時点では20年未満だった人が、その後、在職し厚生年金保険の被保険者期間が20年になった場合の加給年金額についてみていきます。
では、条文を読んでみましょう。
第44条第1項 老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る。)の額は、受給権者がその権利を取得した当時(その権利を取得した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240未満であったときは、在職時改定又は退職改定により当該月数が240以上となるに至った当時。)その者によって生計を維持していたその者の65歳未満の配偶者又は子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にある子に限る。)があるときは、老齢厚生年金の額に加給年金額を加算した額とする。ただし、国民年金法第33条の2第1項の規定により加算が行われている子があるとき(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときを除く。)は、その間、当該子について加算する額に相当する部分の支給を停止する。 |
★ 被保険者期間が240月以上の老齢厚生年金の権利を取得した当時、受給権者によって生計を維持していた65歳未満の配偶者又は子があるときは、加給年金額が加算されます。
★ 老齢厚生年金の権利を取得した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240未満だったとき
↓
その後在職し、「在職時改定」又は「退職改定」により240月以上となるに至った当時、その者によって生計を維持していたその者の65歳未満の配偶者又は子があるときは、加給年金額が加算されます。
※在職により被保険者期間が増え、増えた期間分が老齢厚生年金に反映されるのは、在職時改定又は退職改定のタイミングです。その際に、240月以上となり、生計維持されている配偶者又は子がいるときは、加給年金額が加算されます。
では、過去問をどうぞ!
【H30年出題】
被保険者である老齢厚生年金の受給権者は、その受給権を取得した当時、加給年金額の対象となる配偶者がいたが、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240未満であったため加給年金額が加算されなかった。その後、被保険者資格を喪失した際に、被保険者期間の月数が240以上になり、当該240以上となるに至った当時、加給年金額の対象となる配偶者がいたとしても、当該老齢厚生年金の受給権を取得した当時における被保険者期間が240未満であるため、加給年金額が加算されることはない。
【解答】
【H30年出題】 ×
老齢厚生年金の受給権を取得した当時、被保険者期間の月数が240未満であったとしても、その後在職(=厚生年金保険の被保険者として保険料を負担すること)し、被保険者資格を喪失した際の退職改定で、被保険者期間の月数が240以上になった場合は、加給年金額の加算の対象となります。
240以上となるに至った当時、加給年金額の対象となる配偶者がいて生計維持関係が認められた場合は、加給年金額が加算されます。
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R5-259
障害基礎年金などの支給を受けることができるときは、その間、振替加算は支給停止されます。
条文を読んでみましょう。
S60年法附則第16条第1項 振替加算額が加算された老齢基礎年金は、その受給権者が障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金その他の障害を支給事由とする年金たる給付であって政令で定めるものの支給を受けることができるときは、その間、振替加算額に相当する部分の支給を停止する。 |
★ 「障害を支給事由とする年金たる給付であって政令で定めるもの」は、障害基礎年金、障害厚生年金などで、その全額につき支給を停止されている給付は除かれます。
(S61年経過措置政令第28条)
では、過去問をどうぞ!
①【H30年出題】
振替加算の規定によりその額が加算された老齢基礎年金の受給権者が、障害厚生年金(当該障害厚生年金は支給停止されていないものとする。)の支給を受けることができるときは、その間、振替加算の規定により加算する額に相当する部分の支給を停止する。
②【H21年出題】
振替加算が行われている老齢基礎年金の受給権者が障害基礎年金の受給権を有するときに、当該障害基礎年金の全額につき支給が停止されている場合においても、振替加算に相当する部分の支給は停止される。
③【R1年出題】
障害基礎年金を受給中である66歳の女性(昭和28年4月2日生まれで、第2号被保険者期間は有していないものとする。)は、67歳の配偶者(昭和27年4月2日生まれ)により生計を維持されており、女性が65歳に達するまで当該配偶者の老齢厚生年金には配偶者加給年金額が加算されていた。この女性について、障害等級が3級程度に軽減したため、受給する年金を障害基礎年金から老齢基礎年金に変更した場合、老齢基礎年金と振替加算が支給される。
【解答】
①【H30年出題】 〇
障害厚生年金(当該障害厚生年金は支給停止されていないものとする。)の支給を受けることができるときは、その間、振替加算額の支給は停止されます。
②【H21年出題】 ×
振替加算が行われている老齢基礎年金の受給権者が、障害基礎年金の支給を受けることができるときは、その間、振替加算額の支給は停止されます。
しかし、当該障害基礎年金の全額につき支給が停止されている場合は、振替加算の支給は停止されません。
③【R1年出題】 〇
障害基礎年金を受給している間は、振替加算の支給は停止されます。
しかし、障害基礎年金の全額が支給停止されている場合は、振替加算の支給は停止されません。
問題文のように、受給する年金を障害基礎年金から老齢基礎年金に変更した場合、障害基礎年金は全額支給停止となりますので、老齢基礎年金と振替加算が支給されます。
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R5-258
合算対象期間、学生納付特例期間は老齢基礎年金の額には反映しません。
例えば、20歳から60歳まですべて合算対象期間の場合は、老齢基礎年金の支給期間は満たしているものの、年金額はゼロです。しかし、振替加算の要件に該当する場合は、「振替加算に相当する額の老齢基礎年金」が支給されます。
条文を読んでみましょう。
(S60年法附則第15条第1項) 大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれた者であって、65歳に達した日において、保険料納付済期間及び保険料免除期間(学生納付特例の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るものを除く。)を有さず、かつ、次の各号のいずれかに該当するものが、同日において加給年金額が加算される老齢厚生年金又は障害厚生年金の受給権者である配偶者によって生計を維持していたとき(当該65歳に達した日の前日において当該配偶者がその受給権を有する年金たる給付の加給年金額の計算の基礎となっていた場合に限る。)は、老齢基礎年金の支給要件に該当するものとみなして、その者に老齢基礎年金を支給する。ただし、その者が前条第1項ただし書に該当するときは、この限りでない。 1. 合算対象期間と保険料免除期間(学生納付特例の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るものに限る。)とを合算した期間が、10年以上であること。 2. 附則第12条第1項第2号から第7号まで及び第18号から第20号までのいずれかに該当すること。 |
「振替加算に相当する額の老齢基礎年金」が支給される要件のポイント!
・「保険料納付済期間」及び「保険料免除期間(学生納付特例の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るものを除く)」を有しない。
・「合算対象期間」と「保険料免除期間(学生納付特例の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るものに限る。)」とを合算した期間が、10年以上あること
では、過去問をどうぞ!
【H27年出題】
日本国籍を有する甲(昭和27年4月2日生まれの女性)は、20歳から60歳まで海外に居住し、その期間はすべて合算対象期間であった。また、60歳以降も国民年金に加入していなかった。その後、甲が61歳の時に、厚生年金保険の被保険者期間の月数を240か月以上有する乙(昭和24年4月2日生まれの男性)と婚姻し、65歳まで継続して乙に生計を維持され、乙の老齢厚生年金の加給年金額の対象者となっていた場合、甲が65歳になると老齢基礎年金の受給要件に該当するものとみなされ、振替加算額に相当する額の老齢基礎年金が支給される。
【解答】
【H27年出題】 〇
甲は、40年間全て合算対象期間ですので老齢基礎年金の額はゼロです。
しかし振替加算の支給要件には該当しますので、老齢基礎年金の受給要件に該当するものとみなされ、振替加算額に相当する額のみの老齢基礎年金が支給されます。
★注意しましょう★
例えば、20歳から60歳までの間に、保険料納付済期間を1か月有し、他は全て合算対象期間の人が、老齢基礎年金の受給権を有した場合は、480分の1で計算された老齢基礎年金が支給されます。
そのような人が、振替加算の支給要件に該当している場合は、480分の1の老齢基礎年金と振替加算が支給されます。
振替加算額に相当する額のみの老齢基礎年金が支給されるのは、老齢基礎年金の額に反映しない合算対象期間と学生納付特例の期間のみを有する人です。
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R5-257
老齢基礎年金の受給権者が、老齢厚生年金、退職共済年金(その額の計算の基礎となる厚生年金保険の被保険者期間の月数が240以上であるもの又は中高齢の期間短縮特例を満たしているものに限る。)を受けることができる場合は、振替加算は加算されません。
(国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令第25条)
さっそく、過去問をどうぞ!
①【H30年出題】
老齢基礎年金の受給権者が、老齢厚生年金(その額の計算の基礎となる厚生年金保険の被保険者期間の月数が240以上であるものとする。)を受けることができるときは、当該老齢基礎年金に振替加算は加算されない。
②【R3年出題】
41歳から60歳までの19年間、第1号厚生年金被保険者としての被保険者期間を有している70歳の妻(昭和26年3月2日生まれ)は、老齢厚生年金と老齢基礎年金を受給中である。妻には、22歳から65歳まで第1号厚生年金被保険者としての被保険者期間を有している夫(昭和31年4月2日生まれ)がいる。当該夫が65歳になり、老齢厚生年金の受給権が発生した時点において、妻の年間収入が850万円未満であり、かつ、夫と生計を同じくしていた場合は、当該妻に振替加算が行われる。
【解答】
①【H30年出題】 〇
老齢基礎年金の受給権者が、厚生年金保険の被保険者期間の月数が240以上で計算される老齢厚生年金又は中高齢の期間短縮特例を満たした老齢厚生年金を受けることができるときは、老齢基礎年金に振替加算は加算されません。
★老齢厚生年金を受けていても、被保険者期間の月数が240月未満の場合又は中高齢の期間短縮特例を満たしていない場合は、振替加算が加算されます。
(国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令第25条)
②【R3年出題】 ×
昭和26年3月2日生まれの女性の場合、35歳以降の厚生年金保険の被保険者期間が19年あれば、中高齢の期間短縮特例を満たします。
問題文の妻は、41歳から60歳までの19年間、第1号厚生年金被保険者としての被保険者期間を有し、中高齢の期間短縮特例に該当しますので振替加算は行われません。
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R5-256
振替加算を受けるための手続をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
則第17条の3 老齢基礎年金の受給権者は、昭和60年改正法附則第14条第2項又は第18条第3項の規定に該当するに至ったときは、一定の事項を記載した届書に一定の書類を添えて、速やかに、これを機構に提出しなければならない。 |
「昭和60年改正法附則第14条第2項」では、老齢基礎年金の受給権者が65歳に達した後に、配偶者が厚生年金保険の被保険者期間が240月(中高齢の期間短縮特例の場合も含みます)を満たした老齢厚生年金を受けられるようになった場合は、老齢基礎年金に振替加算が加算されると規定されています。
夫
65歳 退職時改定
(240月未満) (240月)
|
|
老齢厚生年金 | |
老齢基礎年金 |
妻(老齢基礎年金の受給権者)
65歳
| 振替加算 |
老齢基礎年金 |
このような場合は、振替加算の支給を受けるために、「老齢基礎年金額加算開始事由該当届」を提出しなければなりません。
では、過去問をどうぞ!
【H27年出題】
在職老齢年金を受給していた67歳の夫(昭和23年4月2日生まれ)が、厚生年金保険法第43条第3項に規定する退職時の年金額の改定により初めて老齢厚生年金の加給年金額が加算される被保険者期間の要件を満たした場合、夫により生計を維持されている老齢基礎年金のみを受給している66歳の妻(昭和24年4月2日生まれ)は、「老齢基礎年金額加算開始事由該当届」を提出することにより、妻の老齢基礎年金に振替加算が加算される。
【解答】
【H27年出題】 〇
妻が65歳に達した後に、夫が退職時改定により、加給年金額が加算される被保険者期間の要件を満たしたことがポイントです。
この場合、「老齢基礎年金額加算開始事由該当届」を提出することによって、妻の老齢基礎年金に振替加算が加算されます。
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R5-255
老齢基礎年金は要件を満たせば、65歳に達したときに受給権が発生しますが、繰り上げて受給することもできますし、繰下げて受給することもできます。
老齢基礎年金を繰上げ・繰下げした場合、振替加算はどのようになるのでしょうか?
振替加算はいつから加算されるのか、条文を読んでみましょう。
S60年法附則第14条第4項 振替加算を開始すべき事由又は廃止すべき事由が生じた場合における老齢基礎年金の額の改定は、それぞれ当該事由が生じた月の翌月から行う。 |
では、過去問をどうぞ!
①【H22年出題】
老齢基礎年金の支給の繰上げの請求をした場合であっても、振替加算額については、受給権者が65歳に達した日以後でなければ加算は行われない。
②【H30年出題】
振替加算は、老齢基礎年金の支給繰上げの請求をした場合は、請求のあった日の属する月の翌月から加算され、老齢基礎年金の支給繰下げの申出をした場合は、申出のあった日の属する月の翌月から加算される。
③【R3年出題】
老齢基礎年金の支給繰上げの請求をした場合の振替加算については、受給権者が65歳に達した日以後に行われる。老齢基礎年金の支給繰下げの申出をした場合は、振替加算も繰下げて支給されるが、振替加算額が繰下げにより増額されることはない。
【解答】
①【H22年出題】 〇
老齢基礎年金の支給の繰上げの請求をした場合でも、振替加算額は繰上げされません。振替加算は、受給権者が65歳に達した日以後でなければ行われません。
夫
60歳 65歳
報酬比例部分 | 老齢厚生年金 | |
| 老齢基礎年金 | |
| 加給年金額 |
|
妻
60歳 65歳
| 振替加算 |
繰上げ支給の老齢基礎年金 |
例えば、老齢基礎年金の受給権者である妻が60歳で老齢基礎年金の繰上げの請求をした場合でも、振替加算が加算されるのは65歳からです。
なお、夫の老齢厚生年金に加算されている加給年金額は、妻が老齢基礎年金を繰上げした場合でも、65歳になるまで支給されます。
②【H30年出題】 ×
振替加算について
・老齢基礎年金の支給繰上げの請求をした場合 → 65歳に達した日の属する月の翌月から加算されます。(問題文の「請求のあった日の属する月の翌月から加算」は誤りです。)
・老齢基礎年金の支給繰下げの申出をした場合 → 振替加算も繰下げて支給されますので、問題文の通り、申出のあった日の属する月の翌月から加算されます。
③【R3年出題】 〇
老齢基礎年金の支給繰下げの申出をした場合は、振替加算も繰下げて支給されます。ただし、振替加算額は繰下げによる増額はありません。
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R5-254
老齢基礎年金に振替加算が加算され得るのは、大正15年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた人です。
「生年月日」のポイント!
大正15年4月2日以降生まれ→ 新法の対象者です。
昭和41年4月1日以前生まれ → 新法施行日の昭和61年4月1日に20歳以上です。
まず、過去問からどうぞ!
【H30年出題】
45歳から64歳まで第1号厚生年金被保険者としての被保険者期間を19年有し、このほかには被保険者期間を有しない老齢厚生年金の受給権者である68歳の夫(昭和25年4月2日生まれ)と、当該夫に生計を維持されている妻(昭和28年4月2日生まれ)がいる。当該妻が65歳に達し、老齢基礎年金の受給権を取得した場合、それまで当該夫の老齢厚生年金に加給年金額が加算されていれば、当該妻の老齢基礎年金に振替加算が加算される。
【解答】
【H30年出題】 〇
まず、問題文の夫婦の年金を図でイメージしましょう。
(注)妻は、厚生年金保険の被保険者期間を有しないと仮定しています。
夫(昭和25年4月2日生まれ)
60歳 65歳
報酬比例部分 | 老齢厚生年金 | |
| 老齢基礎年金 | |
| 加給年金額 |
|
妻(昭和28年4月2日生まれ)
65歳
振替加算 |
老齢基礎年金 |
★夫について(昭和25年4月2日生まれ)
・60歳から64歳まで → 報酬比例部分のみ支給されます
・65歳から → 老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給されます。
また生計維持関係のある妻がいるため、加給年金額が加算されます。
加給年金額が加算される要件を確認しましょう。
原則として、厚生年金保険の被保険者期間が20年(240月)以上あることが条件です。
問題文の夫の被保険者期間は20年未満ですが、「45歳から64歳まで第1号厚生年金被保険者としての被保険者期間が19年」で中高齢の期間短縮特例を満たします。240月以上とみなされて加給年金額が加算されます。
★妻について(昭和28年4月2日生まれ)
夫に加算されている加給年金額は、妻が65歳に達したときに終了します。
加給年金額の対象になっていた妻が65歳になり、老齢基礎年金を受けるようになると、妻の老齢基礎年金に振替加算が加算されます。
振替加算が加算される要件を確認しましょう
<老齢基礎年金の受給権者(問題文では「妻」)の要件>
・大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれた者であること
・65歳に達した日に、配偶者によって生計を維持していた(65歳に達した日の前日に配偶者が受給権を有する年金たる給付の加給年金額の計算の基礎となっていたこと)
・ただし、妻自身が被保険者期間が原則240月以上で計算される老齢厚生年金、退職共済年金を受けることができるときは、振替加算は加算されません。
<配偶者(問題では「夫」)の要件>
・老齢厚生年金又は退職共済年金(その額の計算の基礎となる月数が原則として240以上であるもの)の受給権者
・障害厚生年金又は障害共済年金の受給権者(当該障害厚生年金又は当該障害共済年金と同一の支給事由に基づく障害基礎年金の受給権を有する者に限る。)
※加給年金額が加算される年金の受給権者であることが条件です。
振替加算の額を確認しましょう
振替加算の額は、224,700円×改定率×政令で定める率で計算します。
政令で定める率は、大正15年4月2日生まれ~昭和2年4月1日以前生まれが1.000で、年齢が若くなるほど小さくなります。昭和36年4月2日~昭和41年4月1日生まれは、0.067です。
なお、問題文の昭和28年4月2日生まれの妻の振替加算の額は、224,700円×改定率×0.280です。
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R5-253
今日は、全国健康保険協会の事業計画や業績評価などをみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第7条の27(事業計画等の認可) 全国健康保険協会(以下「協会」という。)は、毎事業年度、事業計画及び予算を作成し、当該事業年度開始前に、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
第7条の28(財務諸表等) ① 協会は、毎事業年度の決算を翌事業年度の5月31日までに完結しなければならない。 ② 協会は、毎事業年度、財務諸表を作成し、これに当該事業年度の事業報告書等を添え、監事及び会計監査人の意見を付けて、決算完結後2月以内に厚生労働大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
第7条の30(各事業年度に係る業績評価) ① 厚生労働大臣は、協会の事業年度ごとの業績について、評価を行わなければならない。 ② 厚生労働大臣は、評価を行ったときは、遅滞なく、協会に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない。 |
では、過去問をどうぞ!
①【H26年出題】
全国健康保険協会(以下「協会」という。)の事業年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わる。協会は、毎事業年度の決算を翌事業年度の5月31日までに完結し、作成した財務諸表に、事業報告書等を添え、監事及び会計監査人の意見を付けて、決算完結後2か月以内に厚生労働大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
②【H30年出題】
厚生労働大臣は、全国健康保険協会の事業年度ごとの業績について、評価を行わなければならず、この評価を行ったときは、遅滞なく、全国健康保険協会に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない。
③【H23年出題】
全国健康保険協会の理事長は全国健康保険協会の業績について事業年度ごとに評価を行い、当該評価の結果を遅滞なく、厚生労働大臣に対して通知するとともに、これを公表しなければならない。
【解答】
①【H26年出題】 〇
毎事業年度の決算は、翌事業年度の5月31日までに完結します。
財務諸表に、事業報告書等を添え、監事及び会計監査人の意見を付けて、決算完結後2か月以内に厚生労働大臣に提出し、その承認を受けなければなりません。
②【H30年出題】 〇
厚生労働大臣は、全国健康保険協会の事業年度ごとの業績について、評価を行います。評価を行ったときは、遅滞なく、全国健康保険協会に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければなりません。
③【H23年出題】 ×
全国健康保険協会の業績について事業年度ごとに評価を行い、評価の結果を通知し、公表しなければならないのは、「全国健康保険協会の理事長」ではなく「厚生労働大臣」です。
また、評価の結果を通知するのは、全国健康保険協会に対してです。
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R5-252
事業主から委託を受け、労働保険料を正しく納付することが、労働保険事務組合の重要な役割です。
労働保険料の納付状況が著しく良好な労働保険事務組合には、報奨金が支給されます。
今日は、報奨金の支給要件をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
(労働保険事務組合に対する報奨金に関する政令)第1条第1項 労働保険事務組合が委託を受けてする労働保険料の納付の状況が次の各号に該当するときは、当該労働保険事務組合に対して労働保険料に係る報奨金を交付する。 1. 7月10日において、前年度の労働保険料(当該労働保険料に係る追徴金及び延滞金を含む。以下「前年度の労働保険料等」という。)であって、常時15人以下の労働者を使用する事業の事業主の委託に係るものにつき、その確定保険料の額(労働保険料に係る追徴金又は延滞金を納付すべき場合にあっては、確定保険料の額と当該追徴金又は延滞金の額との合計額)の合計額の100分の95以上の額が納付されていること。ただし、同日において当該確定保険料の額の合計額の100分の95以上の額が納付されていないことが天災その他やむを得ない理由によるものであるときは、同日後の日で厚生労働大臣が定める日までに当該確定保険料の額の合計額の100分の95以上の額が納付されていること。 2. 前年度の労働保険料等について、国税滞納処分の例による処分を受けたことがないこと。 3. 偽りその他不正の行為により、前年度の労働保険料等の徴収を免れ、又はその還付を受けたことがないこと。 |
さっそく過去問をどうぞ!
①【H30年出題】(雇用)
労働保険事務組合が、政府から、労働保険料に係る報奨金の交付を受けるには、前年度の労働保険料(当該労働保険料に係る追徴金を含み延滞金を除く。)について国税滞納処分の例による処分を受けたことがないことがその要件とされている。
②【H30年出題】(雇用)
納付すべき労働保険料を完納していた場合に限り、政府から、労働保険料に係る報奨金の交付を受けることができる。
③【H30年出題】(雇用)
労働保険料に係る報奨金の交付を受けようとする労働保険事務組合は、労働保険事務組合報奨金交付申請書を、所轄公共職業安定所長に提出しなければならない。
④【H30年出題】(雇用)
労働保険料に係る報奨金の額は、現在、労働保険事務組合ごとに、2千万円以下の額とされている。
【解答】
①【H30年出題】(雇用) ×
労働保険事務組合が報奨金の交付を受ける要件として、前年度の労働保険料について国税滞納処分の例による処分を受けたことがないことがあります。
前年度の労働保険料については、当該労働保険料に係る「追徴金及び延滞金」が含まれます。
②【H30年出題】(雇用) ×
確定保険料の額(労働保険料に係る追徴金又は延滞金を納付すべき場合は、確定保険料の額と当該追徴金又は延滞金の額との合計額)の合計額の100分の95以上の額が納付されていることが条件です。
納付すべき労働保険料を完納していた場合に限り、は誤りです。
③【H30年出題】(雇用) ×
労働保険料に係る報奨金の交付を受けようとする労働保険事務組合は、労働保険事務組合報奨金交付申請書を、「所轄都道府県労働局長」に提出しなければなりません。
なお、申請書は10月15日までに提出しなければなりません。
(労働保険事務組合に対する報奨金に関する省令第2条)
④【H30年出題】(雇用) ×
労働保険料に係る報奨金の額は、労働保険事務組合ごとに、次のいずれか低い額以内とされています。
・1,000万円
・常時15人以下の労働者を使用する事業の事業主の委託を受けて納付した前年度の労働保険料(督促を受けて納付した労働保険料を除く。)の額(その額が確定保険料の額を超えるときは、当該確定保険料の額)に100分の2を乗じて得た額に厚生労働省令で定める額を加えた額
労働保険料に係る報奨金の額は、現在、労働保険事務組合ごとに、2千万円以下ではなく、「1千万円以下の額」とされています。
(労働保険事務組合に対する報奨金に関する政令第2条)
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R5-251
就職困難者のポイントをおさえましょう。
「就職が困難な者」について条文を読んでみましょう。
則第32条 (法第22条第2項の厚生労働省令で定める理由により就職が困難な者) 法第22条第2項の厚生労働省令で定める理由により就職が困難な者は、次のとおりとする。 ① 障害者雇用促進法に規定する身体障害者 ② 障害者雇用促進法に規定する知的障害者 ③ 障害者雇用促進法に規定する精神障害者 ④ 売春防止法第26条第1項の規定により保護観察に付された者及び更生保護法第48条各号又は第85条第1項各号に掲げる者であって、その者の職業のあっせんに関し保護観察所長から公共職業安定所長に連絡のあったもの ⑤ 社会的事情により就職が著しく阻害されている者 |
就職困難者の所定給付日数は、法第22条第2項で以下のように定められています。
算定基礎期間 離職日の年齢 | 1年未満 | 1年以上 |
45歳未満 | 150日 | 300日 |
45歳以上65歳未満 | 360日 |
では、過去問をどうぞ!
①【H30年出題】
雇用保険法施行規則によると、就職が困難な者には障害者の雇用の促進等に関する法律にいう身体障害者、知的障害者が含まれるが、精神障害者は含まれない。
②【H30年出題】
算定基礎期間が1年未満の就職が困難な者に係る基本手当の所定給付日数は150日である。
③【H30年出題】
売春防止法第26条第1項の規定により保護観察に付された者であって、その者の職業のあっせんに関し保護観察所長から公共職業安定所長に連絡のあったものは、就職が困難な者にあたる。
④【H30年出題】
就職が困難な者であるかどうかの確認は受給資格決定時になされ、受給資格決定後に就職が困難なものであると認められる状態が生じた者は、就職が困難な者には含まれない。
⑤【H30年出題】
身体障害者の確認は、求職登録票又は身体障害者手帳のほか、医師の証明書によって行うことができる。
【解答】
①【H30年出題】 ×
就職が困難な者には、精神障害者も含まれます。
②【H30年出題】 〇
算定基礎期間が1年未満の就職が困難なものの所定給付日数は、45歳未満でも、45歳以上65歳未満でも150日です。
③【H30年出題】 〇
売春防止法第26条第1項の規定により保護観察に付された者で、その者の職業のあっせんに関し保護観察所長から公共職業安定所長に連絡のあったものは、就職が困難な者にあたります。
④【H30年出題】 〇
就職が困難な者であるかどうかの確認は、受給資格決定時になされます。受給資格決定後に就職が困難なものであると認められる状態が生じた者は、就職が困難な者には含まれません。
(行政手引50304)
⑤【H30年出題】 〇
身体障害者の確認は、求職登録票又は身体障害者手帳のほか、医師の証明書によって行うことができます。
(行政手引50304)
なお、「管轄公共職業安定所の長は、基本手当の支給を受けようとする者が就職が困難な者に該当する場合において、必要があると認めるときは、その者に対し、その者が就職が困難な者に該当する者であることの事実を証明する書類の提出を命ずることができる。」とされています。(則第19条第2項)
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R5-250
傷病補償年金のポイントをみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第12条の8第3項 傷病補償年金は、業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後1年6か月を経過した日において次の各号のいずれにも該当するとき、又は同日後次の各号のいずれにも該当することとなったときに、その状態が継続している間、当該労働者に対して支給する。 1. 当該負傷又は疾病が治っていないこと。 2. 当該負傷又は疾病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級(1級~3級)に該当すること。 |
★療養開始後1年6か月を経過した日に要件に該当するとき
療養開始 1年6か月 治ゆ
療養補償給付 |
| |
休業補償給付 | 傷病補償年金 |
|
▲(1~3級) |
★療養開始後1年6か月を経過した日後に要件に該当することとなったとき
療養開始 1年6か月 治ゆ
療養補償給付 |
| |
休業補償給付 | 傷病補償年金 |
|
▲(1~3級) |
では、過去問をどうぞ!
①【H29年出題】
所轄労働基準監督署長は、業務上の事由により負傷し、又は疾病にかかった労働者が療養開始後1年6か月経過した日において治っていないときは、同日以降1か月以内に、当該労働者から「傷病の状態等に関する届」に医師又は歯科医師の診断書等の傷病の状態の立証に関し必要な書類を添えて提出させるものとしている。
②【H29年出題】
傷病補償年金の支給要件について、障害の程度は、6か月以上の期間にわたって存する障害の状態により認定するものとされている。
③【H29年出題】
傷病補償年金の受給者の障害の程度が軽くなり、厚生労働省令で定める傷病等級に該当しなくなった場合には、当該傷病補償年金の受給権は消滅するが、なお療養のため労働できず、賃金を受けられない場合には、労働者は休業補償給付を請求することができる。
④【H29年出題】
傷病補償年金の受給権者の障害の程度に変更があり、新たに他の傷病等級に該当するに至った場合には、所轄労働基準監督署長は、裁量により、新たに該当するに至った傷病等級に応ずる傷病補償年金を支給する決定ができる。
【解答】
①【H29年出題】 〇
労災保険の保険給付は、「請求」によって支給されます。
しかし、傷病補償年金は例外で、請求ではなく、所轄労働基準監督署長の職権で支給が決定されるのがポイントです。
被災した労働者が療養開始後1年6か月を経過した日に要件に該当したときは、所轄労働基準監督署長は、傷病補償年金の支給の決定をしなければなりません。
そのため、労働者は、療養開始後1年6か月経過した日に治っていないときは、同日以降1か月以内に、「傷病の状態等に関する届」を提出しなければなりません。
(則第18条の2)
②【H29年出題】 〇
傷病補償年金の障害の程度は、6か月以上の期間にわたって存する障害の状態で認定されます。
(則18条第2項)
③【H29年出題】 〇
傷病補償年金の受給者の障害の程度が軽くなり、傷病等級(1から3級)に該当しなくなった場合、傷病補償年金の受給権は消滅します。
その後も療養のため労働できず、賃金を受けられない場合には、労働者は休業補償給付を請求することができます。休業補償給付は請求が必要ですので注意してください。
療養開始 1年6か月
療養補償給付 | ||
休業補償給付 | 傷病補償年金 | 休業補償給付 |
▲(1~3級) ▲不該当
ちなみに年金は、受給権が消滅した月まで支給されます。
傷病補償年金は傷病等級に該当しなくなった月まで支給され、翌月から休業補償給付が支給されます。
④【H29年出題】 ×
法第18条の2で、「傷病補償年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があったため、新たに他の傷病等級に該当するに至った場合には、政府は、厚生労働省令で定めるところにより、新たに該当するに至った傷病等級に応ずる傷病補償年金を支給するものとし、その後は、従前の傷病補償年金は、支給しない。」と規定されていて、傷病等級の変更も所轄労働基準監督署長の職権で行われます。
則第18条の3で、「所轄労働基準監督署長は、法第18条の2に規定する場合には、当該労働者について傷病等級の変更による傷病補償年金の変更に関する決定をしなければならない。」となっています。「裁量により、新たに該当するに至った傷病等級に応ずる傷病補償年金を支給する決定ができる。」は誤りです。
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R5-249
労働安全衛生法には、労働者を新たに雇い入れた場合、又は作業内容を変更した場合の「雇入れ時等の安全衛生教育」、一定の危険又は有害な業務に労働者を就かせる場合の「特別教育」、一定の業種で新たに職務に就くことになった職長等に対する「職長等の教育」の規定があります。
派遣労働者に対する安全衛生教育を実施する義務は、「派遣元」、「派遣先」どちらの事業者にあるのでしょうか?
さっそく過去問をどうぞ!
①【H27年出題】
派遣就業のために派遣される労働者に対する労働安全衛生法第59条第1項の規定に基づくいわゆる雇入れ時の安全衛生教育の実施義務については、当該労働者を受け入れている派遣先の事業者に課せられている。
②【H19年出題】
労働安全衛生法第59条第2項の規定に基づくいわゆる作業内容変更時の安全衛生教育の実施の義務は、派遣先事業者のみに課せられている。
③【H27年出題】
派遣就業のために派遣され就業している労働者に対する労働安全衛生法第59条第3項の規定に基づくいわゆる危険・有害業務に関する特別の教育の実施義務については、当該労働者を派遣している派遣元の事業者及び当該労働者を受け入れている派遣先の事業者の双方に課せられている。
【解答】
①【H27年出題】 ×
雇入れ時の安全衛生教育の実施義務は、「派遣元」の事業者に課せられています。派遣労働者と労働契約関係にあるのは派遣元です。派遣元の事業者は、派遣労働者を雇い入れたときに、雇入れ時の安全衛生教育を実施します。
(法第59条第1項、労働者派遣法第45条)
②【H19年出題】 ×
作業内容変更時の安全衛生教育の実施の義務は、「派遣元」事業者と「派遣先」事業者の両方に課せられています。
(法第59条第2項、労働者派遣法第45条)
③【H27年出題】 ×
危険・有害業務に関する特別の教育の実施義務は、派遣先の事業者のみに課せられています。派遣先で、危険・有害業務に派遣労働者を就かせる場合に、派遣先事業者が実施します。
(法第59条第3項、労働者派遣法第45条)
※ちなみに「職長等教育」については「派遣先事業者」のみに実施が義務づけられています。
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R5-248
まず、「解雇制限」の条文を読んでみましょう。
第19条 (解雇制限) ① 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30間は、解雇してはならない。 ただし、使用者が、第81条の規定によって打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、この限りでない。 ② 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。 |
<解雇制限期間>
・業務上の傷病のため療養中の期間とその後30日間
・産前産後休業期間とその後の30日間
は、解雇が禁止されています。
★例外
・打切補償を支払う場合
・天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合(→所轄労働基準監督署長の認定が必要です。)
は、解雇制限が解除されます。
今日は、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」をみていきましょう。
ポイント!
「やむを得ない事由」とは
天災事変に準ずる程度に不可抗力に基づきかつ突発的な事由です。
事業の経営者として、社会通念上採るべき必要な措置を以てしても通常如何ともなし難いような状況にある場合をいいます。
(昭63.3.14基発150号)
では、過去問をどうぞ!
①【R2年出題】
使用者は、労働者を解雇しようとする場合において、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」には解雇の予告を除外されるが、「天災事変その他やむを得ない事由」には、使用者の重過失による火災で事業場が焼失した場合も含まれる。
②【H30年出題】
使用者は、税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合には、「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」として、労働基準法第65条の規定によって休業する産前産後の女性労働者であっても解雇することができる。
【解答】
①【R2年出題】 ×
「使用者の重過失による火災で事業場が焼失した場合」は含まれません。
事業場が火災により焼失した場合は、「その他やむを得ない事由」に該当しますが、事業主の故意又は重大な過失に基づく火災の場合は、除かれます。
(昭63.3.14基発150号)
※第19条と第20条の「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」は、同じ意味です。
②【H30年出題】 ×
税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合には、「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」には該当しません。
(昭63.3.14基発150号)
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R5-247
確定拠出年金法の給付は、「老齢給付金、障害給付金、死亡一時金」ですが、「当分の間、脱退一時金の支給を請求することができる」とされています。
今日は、脱退一時金の要件をみていきましょう。
では、条文を読んでみましょう。
「企業型年金」と「個人型年金」がありますが、今回は「個人型」です。
附則第3条第1項、施行令第60条 当分の間、次の各号のいずれにも該当する者は、個人型年金運用指図者にあっては個人型記録関連運営管理機関に、個人型年金運用指図者以外の者にあっては国民年金基金連合会に、それぞれ脱退一時金の支給を請求することができる。 1. 60歳未満であること。 2. 企業型年金加入者でないこと。 3. 個人型年金に加入できない者であること。 4. 国民年金法附則第5条第1項第3号に掲げる者に該当しないこと。 5. 障害給付金の受給権者でないこと。 6. その者の通算拠出期間が1月以上5年以下であること又は請求した日における個人別管理資産の額として政令で定めるところにより計算した額が25万円以下であること。 7. 最後に企業型年金加入者又は個人型年金加入者の資格を喪失した日から起算して2年を経過していないこと。 |
ポイント!
3.について
個人型年金に加入できない者とは
・国民年金第1号被保険者で、保険料の申請免除の対象者、生活保護法による生活扶助を受ける法定免除の対象者
・日本国籍を有しない海外居住者
4.について
国民年金法附則第5条第1項第3号に掲げる者とは
・国民年金の任意加入被保険者のうち「日本国籍を有する海外居住者」です。
★ 令和4年5月から、外国籍の人が海外に居住し、国民年金の被保険者になることができなくなった場合に、要件を満たせば、脱退一時金を請求することができるようになりました。
ポイントを穴埋めで確認しましょう。
当分の間、次の各号のいずれにも該当する者は、個人型年金運用指図者にあっては < A >に、個人型年金運用指図者以外の者にあっては国民年金基金連合会に、それぞれ脱退一時金の支給を請求することができる。
1. < B >歳未満であること。
2. 企業型年金加入者でないこと。
3. 個人型年金に加入できない者であること。
4. 国民年金法附則第5条第1項第3号に掲げる者に該当しないこと。
5. 障害給付金の受給権者でないこと。
6. その者の通算拠出期間が< C >以下であること又は請求した日における個人別管理資産の額として政令で定めるところにより計算した額が< D >円以下であること。
7. 最後に企業型年金加入者又は個人型年金加入者の資格を喪失した日から起算して < E >年を経過していないこと。
【解答】
A 個人型記録関連運営管理機関
B60
C1月以上5年
D25万
E 2
では、過去問をどうぞ!
【H29年出題】
確定拠出年金の個人型年金に加入していた者は、一定要件を満たした場合、脱退一時金を請求することができるが、この要件においては、通算拠出期間については4年以下であること、個人別管理資産の額として政令で定めるところにより計算した額については50万円未満であることとされている。
【解答】
【H29年出題】 ×
通算拠出期間については「1月以上5年以下」であること、又は個人別管理資産の額として政令で定めるところにより計算した額については「25万円以下」であることです。
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R5-246
有期労働契約期間中の解雇のルールをみていきます。
有期労働契約中の解雇について、民法では以下のように定められています。
民法第628条 (やむを得ない事由による雇用の解除) 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。 |
民法では、「やむを得ない事由があるとき」について規定されていますが、「やむを得ない事由があるときに該当しない」場合の取扱いは明らかになっていません。
「やむを得ない事由があるときに該当しない」場合は、解雇できないことを明らかにしているのが、労働契約法第17条です。
条文を読んでみましょう。
第17条第1項 (契約期間中の解雇等) 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。 |
使用者は、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間中は有期契約労働者を解雇することができないことを規定しています。
参照 H24.8.10基発0810第2号
では、過去問をどうぞ!
①【H22年出題】
使用者は、期間の定めのある労働契約については、やむを得ない事由がある場合であっても、その契約が満了するまでの間においては、労働者を解雇することができない。
②【H28年出題】
使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができないが、「やむを得ない事由」があると認められる場合は、解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」以外の場合よりも狭いと解される。
③【R1年出題】
有期労働契約の契約期間中であっても一定の事由により解雇することができる旨を労働者及び使用者が合意していた場合、当該事由に該当することをもって労働契約法第17条第1項の「やむを得ない事由」があると認められるものではなく、実際に行われた解雇について「やむを得ない事由」があるか否かが個別具体的な事案に応じて判断される。
【解答】
①【H22年出題】 ×
有期労働契約の期間中でも、「やむを得ない事由がある」場合は、労働者を解雇することができます。
②【H28年出題】 〇
契約期間は労働者と使用者が合意により決定したもので、遵守されるべきものです。
そのため、「やむを得ない事由」があると認められる場合は、解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」以外の場合よりも狭いと解されます。
(H24.8.10基発0810第2号)
③【R1年出題】 〇
契約期間中でも一定の事由により解雇することができる旨を労働者及び使用者が合意していた場合であっても、当該事由に該当することをもって法第17条第1項の「やむを得ない事由」があると認められるものではありません。
実際に行われた解雇について「やむを得ない事由」があるか否かが個別具体的な事案に応じて判断されます。
(H24.8.10基発0810第2号)
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R5-245
遺族厚生年金には、いくつかの支給停止事由が設けられています。
今日は、第66条第1項の「子」に関しての支給停止の規定をみていきます。
条文を読んでみましょう。
第66条第1項 子に対する遺族厚生年金は、配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給を停止する。 ただし、配偶者に対する遺族厚生年金が前条本文(60歳までの支給停止)、次項本文(配偶者が遺族基礎年金の受給権を有しない場合)又は次条(所在不明の場合)の規定によりその支給を停止されている間は、この限りでない。 |
例えば、厚生年金保険の被保険者が死亡し、死亡の当時、その者によって生計を維持していた配偶者と子がいる場合は、「配偶者と子」に遺族厚生年金の受給権が発生します。
配偶者と子に受給権が発生したときの調整規定です。
★「子」に対する遺族厚生年金は、配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する間、支給停止されます。 → 「配偶者」が遺族厚生年金を受給します。
★次に当てはまる場合は、「子」の支給停止が解除され、子に遺族厚生年金が支給されます。
・遺族基礎年金の受給権がない夫の遺族厚生年金が60歳まで支給停止されているとき
・配偶者が遺族基礎年金の受給権を有せず、子が遺族基礎年金の受給権を有する場合で配偶者の遺族厚生年金が支給停止されているとき
・配偶者の所在が1年以上明らかでなく、配偶者の遺族厚生年金が支給停止されているとき
過去問では、「配偶者の遺族厚生年金が支給停止」されていても、子の支給停止は解除されないパターンがよく出ていますので注意しましょう。
では、過去問をどうぞ!
①【H26年出題】
被保険者の死亡により妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、子に対する遺族厚生年金は、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給が停止される。この場合、妻自身の申出により妻に対する遺族厚生年金の支給が停止されているときであっても、子に対する遺族厚生年金の支給停止は解除されない。
②【H30年出題】
被保険者の死亡により、その妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、子に対する遺族厚生年金は、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給が停止されるが、妻が自己の意思で妻に対する遺族厚生年金の全額支給停止の申出をしたときは、子に対する遺族厚生年金の支給停止が解除される。
③【R3年出題】
遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権を有する妻が、障害基礎年金と障害厚生年金の受給権を取得した。妻は、障害基礎年金と障害厚生年金を選択したため、遺族基礎年金と遺族厚生年金は全額支給停止となった。妻には生計を同じくする子がいるが、子の遺族基礎年金については、引き続き支給停止となるが、妻の遺族厚生年金が全額支給停止であることから、子の遺族厚生年金は支給停止が解除される。
【解答】
①【H26年出題】 〇
被保険者の死亡で、妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間は、子に対する遺族厚生年金は支給停止されます。
★妻自身の申出により妻に対する遺族厚生年金の支給が停止されているとき
→ 子の遺族厚生年金の支給停止は解除されません。(引き続き支給停止されます。)
②【H30年出題】 ×
①の問題と同じです。
★妻が自己の意思で妻に対する遺族厚生年金の全額支給停止の申出をしたとき
→ 子の遺族厚生年金の支給停止は解除されません。(引き続き支給停止されます。)
③【R3年出題】 ×
★妻が、障害基礎年金と障害厚生年金を選択したため、遺族基礎年金と遺族厚生年金が全額支給停止となったとき
→ 子の遺族厚生年金の支給停止は解除されません。(引き続き支給停止されます。)
→ ちなみに、子の「遺族基礎年金」についても、引き続き支給停止されます。
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R5-244
20歳前に初診日がある場合(=国民年金加入前に初診日がある場合)は、第30条の4の20歳前傷病による障害基礎年金が支給されます。
20歳前傷病による障害基礎年金は、保険料を拠出しないで支給される年金ですので、通常の障害基礎年金とは異なる支給停止事由が設定されているのが特徴です。
では、条文を読んでみましょう。
第30条の4第1項 疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において20歳未満であった者が、障害認定日以後に20歳に達したときは20歳に達した日において、障害認定日が20歳に達した日後であるときはその障害認定日において、障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときは、その者に障害基礎年金を支給する。 |
★障害認定日が20歳前にある場合
初診日 | 障害認定日 |
| 20歳 |
|
|
| 障害基礎年金 |
「20歳に達した日」に障害基礎年金の受給権が発生します
★障害認定日が20歳後にある場合
初診日 |
| 20歳 | 障害認定日 |
|
|
| 障害基礎年金 |
「障害認定日」に障害基礎年金の受給権が発生します
では、過去問をどうぞ!
①【H30年出題】
傷病の初診日において19歳であった者が、20歳で第1号被保険者の資格を取得したものの当該被保険者の期間が全て未納期間であった場合、初診日から1年6か月経過後の障害認定日において障害等級1級又は2級に該当していたとしても、障害基礎年金の受給権は発生しない。
②【H26年出題】
被保険者でなかった19歳の時に初めて医療機関で診察を受け、うつ病と診断され継続して治療している現在25歳の者は、20歳に達した日の障害状態が障害等級1級又は2級に該当していれば、その日に20歳前傷病による障害基礎年金の受給権が発生する。
③【H22年出題】
20歳未満の初診日において厚生年金保険の被保険者であって保険料納付要件を満たしている場合、障害認定日が20歳未満であってその障害認定日において障害等級に該当すれば障害厚生年金の受給権が発生するが、障害基礎年金については障害等級に該当していても受給権の発生は20歳以降である。
【解答】
①【H30年出題】 ×
傷病の初診日に19歳の者に支給されるのは「20歳前傷病による障害基礎年金」です。「20歳前傷病による障害基礎年金」は、初診日の属する月の前々月までに被保険者期間がないので、保険料納付要件は問われません。
20歳で第1号被保険者の資格を取得した後の未納期間は、20歳前の傷病による障害基礎年金の受給要件には関係ありません。
問題文の場合は、初診日から1年6か月経過後の障害認定日に障害等級1級又は2級に該当していた場合は、20歳前傷病による障害基礎年金の受給権が発生します。
②【H26年出題】 ×
障害認定日は、「初診日から起算して1年6か月を経過した日」又は、「1年6か月以内に傷病が治った場合その治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)」です。
問題文の場合、初診日から継続して治療しています(治っていない)ので、障害認定日は「初診日から起算して1年6か月を経過した日」となります。
初診日が19歳ですので、障害認定日は20歳に達した後になります。
初診日 |
| 20歳 | 障害認定日 |
|
|
| 障害基礎年金 |
「20歳に達した日」ではなく、「障害認定日」に障害等級1級又は2級に該当していれば、「障害認定日」に20歳前傷病による障害基礎年金の受給権が発生します。
③【H22年出題】 ×
初診日に20歳未満でも、厚生年金保険の被保険者(=国民年金第2号被保険者)である場合は、障害基礎年金の初診日要件(初診日に国民年金の被保険者であること)を満たしています。
そのため、20歳前傷病による障害基礎年金ではなく、通常の障害基礎年金の受給権が発生します。
障害認定日が20歳未満でも「障害認定日」に、「障害基礎年金と障害厚生年金」の受給権が発生します。
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R5-243
例えば、災害時などに、国や地方公共団体が医療費を負担する場合があります。
そのような場合の健康保険の調整をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第55条第4項 被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、家族療養費、家族訪問看護療養費若しくは家族移送費の支給は、同一の疾病又は負傷について、他の法令の規定により国又は地方公共団体の負担で療養又は療養費の支給を受けたときは、その限度において、行わない。 |
まず、過去問をどうぞ!
①【R3年出題】
公害健康被害の補償等に関する法律(以下本問において「公害補償法」という。)による療養の給付、障害補償費等の補償給付の支給がされた場合において、同一の事由について当該補償給付に相当する給付を支給すべき健康保険の保険者は、公害補償法により支給された補償給付の価額の限度で、当該補償給付に相当する健康保険による保険給付は行わないとされている。
②【H30年出題】
被保険者に係る所定の保険給付は、同一の傷病について、災害救助法の規定により、都道府県の負担で応急的な医療を受けたときは、その限度において行われない。
③【H16年出題】
生活保護法による医療扶助と健康保険による保険給付が併用される場合は、健康保険による保険給付が優先され、費用のうち健康保険による保険給付が及ばない部分について、医療扶助の対象となる。
【解答】
①【R3年出題】 〇
例えば水質汚濁等の公害で病気になった場合は、公害補償法の制度で療養の給付などの補償が行われます。
公害補償法で、補償給付の支給がされた場合は、公害補償法により支給された補償給付の価額の限度で、健康保険による保険給付は行わない、とされています。
(公害補償法第14条、昭50.12.8保険発第110号・庁保険発第20号)
②【H30年出題】 〇
災害救助法の目的は、「災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、国が地方公共団体、日本赤十字社その他の団体及び国民の協力の下に、応急的に、必要な救助を行い、災害により被害を受け又は被害を受けるおそれのある者の保護と社会の秩序の保全を図ること」です。
被保険者に係る所定の保険給付は、同一の傷病について、災害救助法の規定により、都道府県の負担で応急的な医療を受けたときは、その限度において行われません。
③【H16年出題】 〇
生活保護には、生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助及び葬祭扶助の8種類の保護があります。
生活保護法による医療扶助と健康保険による保険給付では、健康保険による保険給付が優先されます。
費用のうち健康保険による保険給付が及ばない部分は、医療扶助の対象となります。
健康保険からの保険給付 | 自己負担分 (医療扶助の給付対象) |
(生活保護法第4条)
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R5-242
介護保険には、医療を提供するサービスもあります。
健康保険と介護保険の医療の調整をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第55条第3項 (他の法令による保険給付との調整) 被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給は、同一の疾病又は負傷について、介護保険法の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。 |
同一の病気やけがについて、介護保険から給付を受けることができる場合は、健康保険の給付は行われません。
では、過去問をどうぞ!
①【H29年出題】
被保険者に係る療養の給付は、同一の傷病について、介護保険法の規定によりこれに相当する給付を受けることができる場合には、健康保険の給付は行われない。
②【H22年出題】
被保険者に係る療養の給付または入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費もしくは家族訪問看護療養費の支給は、同一の疾病、負傷または死亡について、介護保険法の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には行わない。
③【R4年出題】
介護保険適用病床に入院している要介護被保険者である患者が、急性増悪等により密度の高い医療行為が必要となったが、当該医療機関において医療保険適用病床に空きがないため、患者を転床させずに、当該介護保険適用病床において療養の給付又は医療が行われた場合、当該緊急に行われた医療に係る療養については、医療保険から行うものとされている。
【解答】
①【H29年出題】 〇
同一の傷病で、介護保険の給付を受けることができる場合には、健康保険の給付は行われません。
②【H22年出題】 ×
同一の「疾病、負傷または死亡」の「死亡」の部分が誤りです。介護保険には死亡に関する給付がありませんので、死亡については介護保険との調整は行われません。
③【R4年出題】 〇
介護保険適用病床に入院している要介護者である患者が、急性憎悪等により密度の高い医療行為が必要となった場合は、当該患者を医療保険適用病床に転床させて療養を行うことが原則です。
しかし、患者の状態、当該病院又は診療所の病床の空き状況等により、患者を転床させず、当該介護保険適用病床において緊急に医療行為を行う必要のある場合は、当該病床で療養の給付又は医療が行われることは可能です。
この場合の緊急に行われた医療に係る給付については、医療保険から行うものとされています。
(H12.3.31保険発第55号)
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R5-241
健康保険では、被保険者と被扶養者の「疾病、負傷、死亡、出産」について保険給付を行います。
ただし、労災保険法に規定する「業務災害」にあたるものは、健康保険の対象から除外されます。
「通勤災害」については、健康保険からは除外されていませんが、労災保険から給付を受けることができる場合は、調整が行われます。
では、条文を読んでみましょう。
第55条 第1項(他の法令による保険給付との調整) 被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、埋葬料、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費若しくは家族埋葬料の支給は、同一の疾病、負傷又は死亡について、労働者災害補償保険法、国家公務員災害補償法又は地方公務員災害補償法若しくは同法に基づく条例の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。 |
例えば、通勤途上で事故にあい、労災保険の通勤災害に関する保険給付の受給権を得た場合は、健康保険法からの給付は行われません。
労災保険と健康保険の調整が行われるのは、労災保険法に基づく給付を「受けることができる」ときです。「受けたとき」ではありませんので、労災保険の給付の受給権があれば調整の対象となります。
では、過去問をどうぞ!
①【H30年出題】
被保険者が通勤途上の事故で死亡したとき、その死亡について労災保険法に基づく給付が行われる場合であっても、埋葬料は支給される。
②【H28年出題】
被保険者が副業として行う請負業務中に負傷した場合等、労働者災害補償保険の給付を受けることのできない業務上の傷病等については、原則として健康保険の給付が行われる。
③【R1年出題】
労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)の任意適用事業所に使用される被保険者に係る通勤災害について、労災保険の保険関係の成立の日前に発生したものであるときは、健康保険により給付する。ただし、事業主の申請により、保険関係成立の日から労災保険の通勤災害の給付が行われる場合は、健康保険の給付は行われない。
④【R3年出題】
被保険者又はその被扶養者において、業務災害(労災保険法第7条第1項第1号に規定する、労働者の業務上の負傷、疾病等をいう。)と疑われる事例で健康保険の被保険者証を使用した場合、保険者は、被保険者又はその被扶養者に対して、まずは労災保険法に基づく保険給付の請求を促し、健康保険法に基づく保険給付を留保することができる。
【解答】
①【H30年出題】 ×
「同一の疾病、負傷又は死亡」について、労働者災害補償保険法の規定により給付を受けることができる場合には、健康保険の給付は行われません。
被保険者が通勤途上の事故で死亡し、その死亡について労災保険法に基づく給付が行われる場合は、健康保険の埋葬料は支給されません。
②【H28年出題】 〇
請負で働く場合は労働契約関係にないので、労災保険の対象にはなりません。そのため、請負業務中に負傷しても労災保険から保険給付が行われません。そのような場合は、健康保険の給付が行われます。
(平成25.8.14事務連絡)
③【R1年出題】 〇
・事業所について、労災保険が適用されるべきであるにもかかわらず、その適用が行われていない場合、その間に発生した通勤災害については、遡って労災保険から給付されます。
・労災保険の任意適用事業所に使用される被保険者に係る通勤災害については、労災保険の保険関係の成立の日前に発生したものは、健康保険から給付が行われます。ただし、事業主の申請により、保険関係成立の日から労災保険の通勤災害の給付が行われる場合は、健康保険の給付は行われません。
(S48.12.1保険発第105号・庁保険発第24号)
④【R3年出題】 〇
労災保険法における業務災害は、健康保険の給付の対象外です。
また、労災保険法における通勤災害は、労災保険からの給付が優先されます。
そのため、保険者は、まずは労災保険の請求を促し、健康保険の給付を留保することができます。
(平成25.8.14事務連絡)
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R5-240
事業主が、労働保険料を口座振替で納付することを希望した場合のポイントを見ていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第21条の2第1項 (口座振替による納付等) 政府は、事業主から、預金又は貯金の払出しとその払い出した金銭による印紙保険料以外の労働保険料(以下単に「労働保険料」という。)の納付(厚生労働省令で定めるものに限る。)をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があった場合には、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが労働保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができる。
則第38条の2 口座振替による納付の申出は、事業主の氏名又は名称及び住所又は所在地、預金口座又は貯金口座の番号及び名義人、預金又は貯金の種別並びに納付書を送付する金融機関及び店舗の名称を記載した書面を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出することによって行わなければならない。 則第38条の4 口座振替による納付の対象は、納付書によって行われる概算保険料及び延納する場合における概算保険料並びに確定保険料の不足額とする。 |
では、過去問をどうぞ!
なお、問題文の「労働保険料」から印紙保険料は除きます。
①【H30年出題】(労災)
口座振替により納付することができる労働保険料は、納付書により行われる概算保険料(延納する場合を除く。)と確定保険料である。
②【H30年出題】(労災)
口座振替による労働保険料の納付が承認された事業主は、概算保険料申告書及び確定保険料申告書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出するが、この場合には労働基準監督署を経由して提出することはできない。
③【H30年出題】(労災)
労働保険徴収法第16条の規定による増加概算保険料の納付については、口座振替による納付の対象となる。
④【H30年出題】(労災)
労働保険料の口座振替の承認は、労働保険料の納付が確実と認められれば、法律上、必ず行われることとなっている。
⑤【H30年出題】(労災)
労働保険料の追徴金の納付については、口座振替による納付の対象とならない。
【解答】
①【H30年出題】(労災) ×
延納される概算保険料も口座振替による納付の対象です。
②【H30年出題】(労災) ×
口座振替による労働保険料の納付が承認されたからといって、労働基準監督署を経由できなくなることはありません。
一定の場合は、労働基準監督署を経由することもできます。
③【H30年出題】(労災) ×
増加概算保険料の納付については、口座振替による納付の対象となりません。
④【H30年出題】(労災) ×
その納付が確実と認められ、「かつ」、その申出を承認することが労働保険料の徴収上有利と認められるときに限って、事業主からの申出を承認することができます。承認することができる、ですので、法律上、必ず行われるものではありません。
⑤【H30年出題】(労災) 〇
追徴金の納付については、口座振替による納付の対象となりません。
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R5-239
一般被保険者が失業した場合は、「基本手当」が支給されます。
基本手当の額は、在職中の「賃金」に基づいて算定されます。
今日は、「賃金」の定義と範囲を確認しましょう。
では、「賃金」の定義を条文で読んでみましょう。
第4条第4項、5項 ④ 雇用保険法において「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの(通貨以外のもので支払われるものであって、厚生労働省令で定める範囲外のものを除く。)をいう。 ⑤ 賃金のうち通貨以外のもので支払われるものの評価に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。
則第2条 (通貨以外のもので支払われる賃金の範囲及び評価) ① 賃金に算入すべき通貨以外のもので支払われる賃金の範囲は、食事、被服及び住居の利益のほか、公共職業安定所長が定めるところによる。 ② 通貨以外のもので支払われる賃金の評価額は、公共職業安定所長が定める。 |
★労働の対償として事業主が労働者に支払うすべてのものを「賃金」と定義します。
★「通貨以外のもので支払われるもの(現物給与)」で当然に賃金に算入されるのは、「食事、被服及び住居の利益」です。その他の現物給与は、公共職業安定所長が具体的に定めた場合に算入されます。
では、過去問をどうぞ!
①【H30年出題】
健康保険法第99条の規定に基づく傷病手当金が支給された場合において、その傷病手当金に付加して事業主から支給される給付額は、賃金と認められる。
②【H30年出題】
接客係等が客からもらうチップは、一度事業主の手を経て再分配されるものであれば賃金と認められる。
③【H30年出題】
月給者が1月分の給与を全額支払われて当該月の中途で退職する場合、退職日の翌日以後の分に相当する金額は賃金日額の算定の基礎に算入される。
④【H30年出題】
支払義務の確定した賃金が所定の支払日を過ぎてもなお支払われない未払賃金のある月については、未払額を除いて賃金額を算定する。
【解答】
①【H30年出題】 ×
健康保険法に基づく傷病手当金は健康保険の給付金ですので、賃金ではありません。また、その傷病手当金に付加して事業主から支給される給付額は、恩恵的給付となりますので賃金ではありません。
(行政手引50502(2))
②【H30年出題】 〇
チップは、接客係等が「客からもらう」場合は賃金にはなりませんが、一度事業主の手を経て再分配されるものであれば賃金となります。
(行政手引50502(2))
③【H30年出題】 ×
月給者が月の途中で退職する場合で、その月分の給与が全額支払われている場合、退職日の翌日以後の分に相当する金額は賃金日額の算定の基礎に算入されません。
(行政手引50503(3))
④【H30年出題】 ×
未払賃金のある月は、未払額を含めて賃金額を算定します。
なお、未払額の認定に当たっては、当該労働者の稼働実績、過去の賃金額等に基づいて確実と認められるもののみが認定されます。
(行政手引50609(9))
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R5-238
二次健康診断等給付は、脳血管疾患及び心臓疾患の発生を予防するために行われます。
事業場で行われる定期健康診断など(一次健康診断)で異常の所見が認められた人が対象です。
二次健康診断等給付には、「二次健康診断」と「特定保健指導」があります。
二次健康診断は、脳血管と心臓の状態を把握する検査で、特定保健指導は、脳・心臓疾患の発症の予防のための面接による保健指導です。
条文を読んでみましょう。
第26条 ① 二次健康診断等給付は、労働安全衛生法第66条第1項の規定による健康診断(一般健康診断)又は当該健康診断に係る同条第5項ただし書の規定による健康診断のうち、直近のもの(以下「一次健康診断」という。)において、血圧検査、血液検査その他業務上の事由による脳血管疾患及び心臓疾患の発生にかかわる身体の状態に関する検査であって、厚生労働省令で定めるものが行われた場合において、当該検査を受けた労働者がそのいずれの項目にも異常の所見があると診断されたときに、当該労働者(当該一次健康診断の結果その他の事情により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められるものを除く。)に対し、その請求に基づいて行う。 ② 二次健康診断等給付の範囲は、次のとおりとする。 1. 脳血管及び心臓の状態を把握するために必要な検査(①に規定する検査を除く。)であって厚生労働省令で定めるものを行う医師による健康診断(1年度につき1回に限る。「二次健康診断」という。) 2. 二次健康診断の結果に基づき、脳血管疾患及び心臓疾患の発生の予防を図るため、面接により行われる医師又は保健師による保健指導(二次健康診断ごとに1回に限る。「特定保健指導」という。) ③ 政府は、二次健康診断の結果その他の事情により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる労働者については、当該二次健康診断に係る特定保健指導を行わないものとする。 |
では、過去問をどうぞ!
①【H30年出題】
一次健康診断の結果その他の事情により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる場合には、二次健康診断等給付は行われない。
②【H30年出題】
特定保健指導は、医師又は歯科医師による面接によって行われ、栄養指導もその内容に含まれる。
③【H30年出題】
二次健康診断の結果その他の事情により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる労働者については、当該二次健康診断に係る特定保健指導は行われない。
④【H30年出題】
二次健康診断を受けた労働者から、当該二次健康診断の実施の日から3か月以内にその結果を証明する書面の提出を受けた事業者は、二次健康診断の結果に基づき、当該健康診断項目に異常の所見があると診断された労働者につき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見をきかなければならない。
⑤【H30年出題】
二次健康診断等給付を受けようとする者は、所定の事項を記載した請求書をその二次健康診断等給付を受けようとする健診給付病院等を経由して所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。
【解答】
①【H30年出題】 〇
二次健康診断等給付の目的は発症の予防ですので、一次健康診断で既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる労働者には行われません。症状を有する場合は、健康保険の保険給付や、労災保険の療養補償給付等の対象になります。
②【H30年出題】 ×
特定保健指導は、医師又は「保健師」による面接によって行われます。
具体的には、「栄養指導」、「運動指導」、「生活指導」が行われます。
③【H30年出題】 〇
既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる労働者については、特定保健指導は行われません。
④【H30年出題】 〇
二次健康診断の実施の日から「3か月以内」に結果を証明する書面の提出を受けた場合は、事業者は、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見をきかなければなりません。
(法第27条)
⑤【H30年出題】 〇
二次健康診断等給付は、労働者の請求に基づいて行われます。
現物給付ですので、請求書は健診給付病院等を経由して提出します。所轄労働基準監督署長ではなく、「所轄都道府県労働局長」に提出することがポイントです。
(則第18条の19)
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R5-237
事業者には、総括安全衛生管理者等の選任や、安全委員会等の設置などが義務づけられています。
必要な安全衛生管理体制は労働者の人数などによって決まりますが、派遣労働者については、派遣元、派遣先のどちらの事業者が義務を負うのでしょうか?
派遣労働者は、「派遣元」とは労働契約関係、「派遣先」とは指揮命令関係にあります。
事業者としての労働安全衛生法の責任は、原則として労働契約関係にある派遣元にあります。しかし、例えば、現場作業に関することなどは、特例で「派遣先」の事業者に適用されます。また、派遣元、派遣先の両方に適用されるものもあります。
なお、派遣労働者についての労働安全衛生法の適用に関する特例は、労働者派遣法第45条に規定されています。
では、過去問をどうぞ!
①【H19年出題】
派遣中の労働者に関しての安全管理者の選任の義務及び安全委員会の設置の義務は、派遣元の事業の事業者(「派遣元事業者」という。)のみに課せられているが、当該事業場の規模の算定に当たっては、派遣元の事業場について、派遣中の労働者の数を含めて、常時使用する労働者の数を算出する。
②【H27年出題】
事業者は、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに衛生管理者を選任しなければならないが、この労働者数の算定に当たって、派遣就業のために派遣され就業している労働者については、当該労働者を派遣している派遣元事業場及び当該労働者を受け入れている派遣先事業場双方の労働者として算出する。
③【H30年出題】
派遣元事業者は、派遣労働者を含めて常時使用する労働者数を算出し、それにより算定した事業場の規模等に応じて、総括安全衛生管理者、衛生管理者、産業医を選任し、衛生委員会の設置をしなければならない。
④【H19年出題】
派遣中の労働者に関しての総括安全衛生管理者、衛生管理者、安全衛生推進者又は衛生推進者及び産業医の選任の義務並びに衛生委員会の設置の義務は、派遣先事業者のみに課せられており、当該事業場の規模の算定に当たっては、派遣先の事業場について、派遣中の労働者の数を含めて、常時使用する労働者の数を算出する。
【解答】
①【H19年出題】 ×
★「安全管理者」と「安全委員会」について
現場で安全確保のための措置をとる必要があるため、安全管理者の選任の義務、安全委員会の設置義務ともに、「派遣先事業者」のみに課せられています。
人数は、派遣中の労働者も含めて派遣先で算出します。
ポイント!
安全管理者の選任と、安全委員会の設置の義務は、「派遣先」のみに課せられます。
②【H27年出題】 〇
★「衛生管理者」について
衛生管理者は、派遣元事業者、派遣先事業者のどちらにも選任義務が課せられています。
派遣中の労働者については、「派遣元事業場」及び「派遣先事業場」双方の労働者の数に含まれます。
③【H30年出題】 〇
★「総括安全衛生管理者」、「衛生管理者」、「産業医」、「衛生委員会」について
派遣元事業者、派遣先事業者のどちらにも、選任・設置義務が課せられています。
派遣中の労働者については、「派遣元事業場」及び「派遣先事業場」双方の労働者の数に含まれます。
問題文のように、派遣元事業者は、派遣労働者を含めて常時使用する労働者数を算出し、それにより算定した事業場の規模等に応じて選任・設置しなければなりません。
④【H19年出題】 ×
派遣中の労働者に関しての総括安全衛生管理者、衛生管理者、安全衛生推進者又は衛生推進者及び産業医の選任の義務並びに衛生委員会の設置の義務は、「派遣先事業者のみ」ではなく、「派遣元事業者」と「派遣先事業者」の双方に課せられています。
ポイント!
「総括安全衛生管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者、産業医」の選任・「衛生委員会」の設置の義務は、「派遣元」「派遣先」の双方に課せられます。
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R5-236
まず、原則の法定労働時間の条文を読んでみましょう。
第32条 (労働時間) ① 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。 ② 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。 |
★法第32条第1項で1週間の法定労働時間を規定し、同条第2項で1日の法定労働時間を規定しています。
労働時間の規制は1週間単位の規制を基本として1週間の労働時間を短縮し、1日の労働時間は1週間の労働時間を各日に割り振る場合の上限とする考え方です。
(昭63.1.1基発第1号)
「1週間」と「1日」の考え方をみていきましょう。
さっそく過去問をどうぞ!
①【R1年出題】
労働基準法第32条第2項にいう「1日」とは午前0時から午後12時までのいわゆる暦日をいい、継続勤務が2暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも1勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「1日」の労働とする。
②【H30年出題】
労働基準法第32条第1項は、「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。」と定めているが、ここにいう1週間は、例えば、日曜から土曜までと限定されたものではなく、何曜から始まる1週間とするかについては、就業規則等で別に定めることが認められている。
【解答】
①【R1年出題】 〇
「1日」とは午前0時から午後12時までのいわゆる暦日をいいます。
日をまたがって継続勤務した場合は、暦日を異にする場合でも1勤務として取り扱われます。当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「1日」の労働とします。
例えば、4月20日(木)、21日(金)のどちらも労働日で、始業時刻が9時の場合で考えてみましょう
4月20日(木) | 4月21日(金) | |||
| 始 |
| 始 | |
20日の残業が21日の午前3時まで及んだ場合、21日の午前3時までの労働は、始業時刻の属する日(20日)の勤務における1日の労働となります。
(昭63.1.1基発第1号)
②【H30年出題】 〇
1週間とは、「就業規則その他に別段の定めがない限り、日曜日から土曜日までのいわゆる暦週」をいいます。
何曜から始まる1週間とするかについて、就業規則等で別に定めることもできます。
(昭63.1.1基発第1号)
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R5-235
後期高齢者医療は、原則として75歳以上の人を被保険者としています。
後期高齢者医療は、「後期高齢者支援金(現役世代からの支援金)」と「公費」と「被保険者の保険料」で賄われています。高齢者も被保険者として保険料を負担していることがポイントです。
条文を読んでみましょう。
第47条 後期高齢者医療は、高齢者の疾病、負傷又は死亡に関して必要な給付を行うものとする。
第48条 市町村は、後期高齢者医療の事務(保険料の徴収の事務及び被保険者の便益の増進に寄与するものとして政令で定める事務を除く。)を処理するため、都道府県の区域ごとに当該区域内のすべての市町村が加入する広域連合(以下「後期高齢者医療広域連合」という。)を設けるものとする。
第49条 後期高齢者医療広域連合及び市町村は、後期高齢者医療に関する収入及び支出について、政令で定めるところにより、特別会計を設けなければならない。
第50条 次の各号のいずれかに該当する者は、後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者とする。 1. 後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する75歳以上の者 2. 後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する65歳以上75歳未満の者であって、厚生労働省令で定めるところにより、政令で定める程度の障害の状態にある旨の当該後期高齢者医療広域連合の認定を受けたもの
第51条 次の各号のいずれかに該当する者は、後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者としない。 1. 生活保護法による保護を受けている世帯(その保護を停止されている世帯を除く。)に属する者 2.1.に掲げるもののほか、後期高齢者医療の適用除外とすべき特別の理由がある者で厚生労働省令で定めるもの |
では、過去問をどうぞ!
①【H29年出題】
後期高齢者医療は、高齢者の疾病又は負傷に関して必要な給付を行うものとしており、死亡に関しては給付を行わない。
②【H29年出題】
後期高齢者医療広域連合は、後期高齢者医療の事務(保険料の徴収の事務及び被保険者の便益の増進に寄与するものとして政令で定める事務を除く。)を処理するため、都道府県の区域ごとに当該区域内のすべての市町村(特別区を含む。)が加入して設けられる。
③【H22年出題】
後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者は、後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する70歳以上の者、または65歳以上70歳未満の者であって、厚生労働省令で定めるところにより、政令で定める程度の障害の状態にある旨の当該後期高齢者医療広域連合の認定を受けた者である。
④【H28年出題】
高齢者医療確保法では、生活保護法による保護を受けている世帯(その保護を停止されている世帯を除く。)に属する者は、後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者としないことを規定している。
【解答】
①【H29年出題】 ×
後期高齢者医療は、高齢者の「疾病、負傷又は死亡」に関して必要な給付を行います。死亡に関しても給付を行います。
②【H29年出題】 〇
後期高齢者医療制度を運営するのは、後期高齢者医療広域連合です。後期高齢者医療広域連合は都道府県単位の広域連合で、当該区域内のすべての市町村(特別区を含む。)が加入しています。
後期高齢者医療広域連合は、後期高齢者医療の事務を処理しますが、「保険料の徴収の事務」は除かれていることに注意してください。
保険料の徴収は、市町村が行います。
③【H22年出題】 ×
後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者は、後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する「75」歳以上の者、または65歳以上「75」歳未満の者であって、厚生労働省令で定めるところにより、政令で定める程度の障害の状態にある旨の当該後期高齢者医療広域連合の認定を受けた者です。
④【H28年出題】 〇
生活保護法による保護を受けている世帯(その保護を停止されている世帯を除く。)に属する者は、後期高齢者医療の被保険者になりません。
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R5-234
労働契約法には、使用者の「安全配慮義務」の規定があります。
条文を読んでみましょう。
第5条 (労働者の安全への配慮) 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。 |
第5条の趣旨を確認しましょう。
通常、労働者は、使用者の指定した場所に配置され、使用者の供給する設備、器具等を用いて労働に従事します。判例では、労働契約の内容として具体的に定めなくても、労働契約に伴い信義則上当然に、使用者は、労働者を危険から保護するよう配慮すべき安全配慮義務を負っているものとされています。
しかし、このことは、民法等の規定からは明らかになっていませんので、労働契約法第5条で、使用者は当然に安全配慮義務を負うことが規定されています。
(参照:H24.8.10基発0810第2号)
では、過去問をどうぞ!
①【H30年出題】
使用者は、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約上の付随的義務として当然に、安全配慮義務を負う。
②【H24年出題】
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとされている。
③【H28年出題】
労働契約法第5条は労働者の安全への配慮を求めているが、その内容は一律に定まるものではなく、使用者に特定の措置を求めるものではないが、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等の具体的な状況に応じて、必要な配慮をすることが求められる。
【解答】
①【H30年出題】 〇
第5条の内容をみてみましょう。
・ 使用者は、労働契約に基づいてその本来の債務として賃金支払義務を負うほか、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約上の付随的義務として当然に安全配慮義務を負うことを規定しています。
・ 法第5条の「労働契約に伴い」は、労働契約に特段の根拠規定がなくても、労働契約上の付随的義務として当然に、使用者は安全配慮義務を負うことを明らかにしたものです。
(参照:H24.8.10基発0810第2号)
②【H24年出題】 〇
なお、法第5条の「生命、身体等の安全」には、心身の健康も含まれます。
(参照:H24.8.10基発0810第2号)
③【H28年出題】 〇
「必要な配慮」とは、一律に定まるものではなく、使用者に特定の措置を求めるものではありませんが、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等の具体的な状況に応じて、必要な配慮をすることが求められます。
(参照:H24.8.10基発0810第2号)
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R5-233
労働契約法の懲戒の規定を読んでみましょう。
第15条 (懲戒) 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。 |
「懲戒」についての考え方をみてみましょう。
★第15条の趣旨
「懲戒」は、使用者が、企業秩序を維持し、企業の円滑な運営を図るために行われるものです。
しかし、懲戒の権利濫用が争われた裁判例もあり、また、懲戒は労働者に労働契約上の不利益を生じさせるものです。
「権利濫用に該当する懲戒」による紛争を防止するために、「権利濫用に該当」するものとして無効となる懲戒の効力について規定しています。
★内容
① 使用者が労働者を懲戒することができる場合でも、その懲戒が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」には権利濫用に該当するものとして無効となることを明らかにしています。
権利濫用であるか否かを判断するに当たっては、労働者の行為の性質及び態様その他の事情が考慮されます。
② 法第15条の「懲戒」とは、労働基準法第89条第9号の「制裁」と同義です。労働基準法第89条では、当該事業場に懲戒の定めがある場合には、その種類及び程度について就業規則に記載することが義務付けられています。
(参照:H24.8.10基発0810第2号)
では、過去問をどうぞ!
①【H24年出題】
使用者が労働者を懲戒することができる場合においても、当該懲戒が、その権利を濫用したものとして、無効とされることがある。
②【R1年出題】
労働契約法第15条の「懲戒」とは、労働基準法第89条第9号の「制裁」と同義であり、同条により、当該事業場に懲戒の定めがある場合には、その種類及び程度について就業規則に記載することが義務付けられている。
③【H26年出題】
「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する」とするのが、最高裁判所の判例である。
④【H30年出題】
「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことをもって足り、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていない場合でも、労働基準法に定める罰則の対象となるのは格別、就業規則が法的規範としての性質を有するものとして拘束力を生ずることに変わりはない。」とするのが、最高裁判所の判例である。
【解答】
①【H24年出題】 〇
使用者が労働者を懲戒することができる場合でも、当該懲戒が、「当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」場合は、その権利を濫用したものとして、無効とされます。
②【R1年出題】 〇
労働契約法第15条の「懲戒」は、労働基準法第89条第9号の「制裁」と同じ意味です。
労働基準法では、制裁は、就業規則の相対的必要記載事項として位置づけられています。事業場に懲戒の「定めがある場合」は、その種類及び程度について就業規則に記載しなければなりません。
③【H26年出題】 〇
最高裁判所の判例のポイントは、次の2点です。
① 使用者が労働者を懲戒するには,あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておかなければならない
② 就業規則が法的規範としての性質を有するものとして,拘束力を生ずるためには,その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることが必要。
(平成15年10月10日最高裁判所第二小法廷 フジ興産事件)
④【H30年出題】 ×
就業規則に懲戒の種別及び事由を定めておくだけでは足りません。
その内容を、事業場の労働者に周知させる手続が採られていることが必要です。
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R5-232
「被保険者期間」は月単位で計算します。
条文を読んでみましょう。
第19条第1項・2項 ① 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。 ② 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を1か月として被保険者期間に算入する。ただし、その月に更に被保険者又は国民年金の被保険者(国民年金法に規定する第2号被保険者を除く。)の資格を取得したときは、この限りでない。 |
ポイント!
★被保険者期間の計算は「月」単位です。
資格を取得した「月」から資格を喪失した月の「前月」までで計算します。
★同じ月に取得と喪失がある場合は、その月は1か月で計算します。
ただし、その月に、更に「厚生年金保険の被保険者の資格」を取得したとき、「国民年金の第1号被保険者または第3号被保険者の資格」を取得したときは、先の分は被保険者期間には算入しません。
・資格を取得した月に資格を喪失し、さらにその月に厚生年金保険の資格を取得したとき
1日 末日
取得 A社 喪失 | 取得 B社 |
被保険者期間は、あとのB社の期間だけで1か月となります。
A社では厚生年金保険料は徴収されません。
・資格を取得した月に資格を喪失し、さらにその月に国民年金の第1号被保険者の資格を取得したとき
1日 末日
取得 A社 喪失 | 第1号被保険者 |
A社の期間は被保険者期間に算入しません。この月は、国民年金の第1号被保険者であった月となります。
A社では厚生年金保険料は徴収されません。
では、過去問をどうぞ!
①【H30年出題】
被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、例えば、平成29年10月1日に資格取得した被保険者が、平成30年3月30日に資格喪失した場合の被保険者期間は、平成29年10月から平成30年2月までの5か月間であり、平成30年3月は被保険者期間には算入されない。なお、平成30年3月30日の資格喪失以後に被保険者の資格を取得していないものとする。
②【H28年出題】
適用事業所に平成28年3月1日に採用され、第1号厚生年金被保険者の資格を取得した者が同年3月20日付けで退職し、その翌日に被保険者資格を喪失し国民年金の第1号被保険者となった。その後、この者は同年4月1日に再度第1号厚生年金被保険者となった。この場合、同年3月分については、厚生年金保険における被保険者期間に算入されない。
【解答】
①【H30年出題】 〇
被保険者期間は月単位で計算します。
問題文の被保険者期間は、資格を取得した月(平成29年10月)から、資格を喪失した月の前月(平成30年2月)までの5か月間です。
資格を喪失した月(平成30年3月)は被保険者期間には算入されません。
②【H28年出題】 〇
平成28年3月に、厚生年金保険の被保険者の資格の取得と喪失があり、同じ月に更に国民年金の第1号被保険者となった場合、平成28年3月は、国民年金の第1号被保険者であった月となります。厚生年金保険の被保険者期間には算入されません。
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R5-231
2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の加給年金額のポイントをみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
法第78条の27(老齢厚生年金に係る加給年金額の特例) 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る老齢厚生年金の額については、その者の2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に係る被保険者期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして加給年金額の規定を適用する。この場合において、加給年金額は、政令で定めるところにより、各号の厚生年金被保険者期間のうち一の期間に係る被保険者期間を計算の基礎とする老齢厚生年金の額に加算するものとする。
令第3条の13第2項 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る老齢厚生年金について加給年金額が加算される場合は、各号の厚生年金被保険者期間のうち一の期間に基づく老齢厚生年金のうち最も早い日において受給権を取得したものについて加給年金額を加算するものとする。 この場合において、当該最も早い日において受給権を取得した老齢厚生年金が2以上あるときは、各号の厚生年金被保険者期間のうち最も長い一の期間(当該一の期間が2以上ある場合は、次に掲げる順序による。)に基づく老齢厚生年金について加給年金額を加算するものとする。 1.第1号厚生年金被保険者期間 2.第2号厚生年金被保険者期間 3.第3号厚生年金被保険者期間 4.第4号厚生年金被保険者期間 |
ポイント!
★加給年金額が加算される老齢厚生年金は、原則として被保険者期間が240月以上あることが条件です。2以上の種別の被保険者であった期間を有する者については、その期間を合算します。
★加給年金額が加算される年金は?
「最も早い日」に受給権を取得した老齢厚生年金に加算されます。
↓
「最も早い日」に受給権を取得した年金が2以上あるときは、「厚生年金被保険者期間が最も長い」老齢厚生年金に加算されます。
↓
「最も長い」期間が2以上あるときは、1.第1号→ 2.第2号 →3.第3号 → 4.第4号の順番となります。
過去問をどうぞ!
①【H28年出題】
第1号厚生年金被保険者期間を170か月、第2号厚生年金被保険者期間を130か月有する昭和25年10月2日生まれの男性が、老齢厚生年金の受給権を65歳となった平成27年10月1日に取得した。この場合、一定の要件を満たす配偶者がいれば、第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金に加給年金額が加算される。なお、この者は、障害等級3級以上の障害の状態になく、上記以外の被保険者期間を有しないものとする。
②【H30年出題】
2つの被保険者の種別に係る被保険者であった期間を有する者に、一方の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に基づく老齢厚生年金と他方の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に基づく老齢厚生年金の受給権が発生した。当該2つの老齢厚生年金の受給権発生日が異なり、加給年金額の加算を受けることができる場合は、遅い日において受給権を取得した種別に係る老齢厚生年金においてのみ加給年金額の加算を受けることができる。
【解答】
①【H28年出題】 〇
第1号の170か月と第2号の130か月を合算して、被保険者期間が240月以上ありますので、加給年金額が加算されます。
第1号の被保険者期間に基づく老齢厚生年金の受給権と第2号に基づく老齢厚生年金の受給権を、同じ日に取得した場合は、加給年金額は、被保険者期間が長い方の第1号の被保険者期間に基づく老齢厚生年金に加算されます。
②【H30年出題】 ×
2つの老齢厚生年金の受給権発生日が異なる場合は、加給年金額は、「早い日」に受給権を取得した種別に係る老齢厚生年金にのみ加算されます。
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R5-230
老齢厚生年金(被保険者期間が原則として240月以上)の受給権者に支給される配偶者の加給年金額に加算される「特別加算」をみていきましょう。
【加給年金額が加算される要件(原則)】
老齢厚生年金(厚生年金保険の被保険者期間が原則として20年以上あること)の額には、65歳時点(又は定額部分の支給開始時点)で、生計を維持している65歳未満の配偶者又は子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にある子)があるときは、加給年金額が加算されます。
(加給年金額の額)
・ 配偶者 → 224,700円×改定率
・ 子 → 1人目、2人目 各224,700円×改定率
3人目以降 各74,900円×改定率
(法第44条第1項、2項)
では、配偶者の加給年金額に加算される「特別加算」について条文を読んでみましょう。
昭60年法附則第60条第2項 次の表の上欄に掲げる者に支給する老齢厚生年金の配偶者に係る加給年金額については、加給年金額の額(224,700円×改定率)に、それぞれ同表の下欄に掲げる額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)を加算した額とする。
|
ポイント!
・「生年月日」は配偶者ではなく、老齢厚生年金の受給権者の生年月日です
・特別加算が加算されるのは、昭和9年4月2日以降生まれの受給権者です
・特別加算は、生年月日が若い方が額が多いことが特徴です
・昭和18年4月2日以後生まれの人は、一律同じ額です
過去問をどうぞ!
①【H28年出題】
昭和9年4月2日以後に生まれた老齢厚生年金の受給権者に支給される配偶者に係る加給年金額については、その配偶者の生年月日に応じた特別加算が行われる。
②【H30年出題】
昭和9年4月2日以後に生まれた老齢厚生年金の受給権者に支給される配偶者の加給年金額に加算される特別加算の額は、受給権者の生年月日に応じて33,200円に改定率を乗じて得た額から165,800円に改定率を乗じて得た額の範囲内であって、受給権者の生年月日が早いほど特別加算の額は大きくなる。
③【H25年出題】
昭和9年4月2日以降に生まれた老齢厚生年金の受給権者に支給される配偶者の加給年金額に加算される特別加算の額は、昭和16年4月2日生まれの受給権者よりも昭和18年4月2日生まれの受給権者の方が高額になる。
【解答】
①【H28年出題】 ×
昭和9年4月2日以後に生まれた老齢厚生年金の受給権者に支給される配偶者加給年金額に加算される特別加算は、「受給権者」の生年月日に応じて行われます。
配偶者の生年月日ではありません。
②【H30年出題】 ×
特別加算の額は、「受給権者の生年月日」に応じて33,200円×改定率から165,800円×改定率の範囲内で決められています。受給権者の生年月日が「遅い」ほど特別加算の額は大きくなります。
③【H25年出題】 〇
配偶者加給年金額に加算される特別加算の額は、昭和16年4月2日生まれの受給権者は99,500円×改定率で、昭和18年4月2日生まれの受給権者は165,800円×改定率です。昭和16年4月2日生まれの受給権者よりも昭和18年4月2日生まれの受給権者の方が高額です。
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R5-229
まず、「保険料納付済期間」の定義を条文で確認しましょう。
第5条第1項 「保険料納付済期間」とは、第1号被保険者としての被保険者期間のうち納付された保険料(第96条の規定により徴収された保険料を含み、第90条の2第1項から第3項までの規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料につきその残余の額が納付又は徴収されたものを除く。)に係るもの及び産前産後期間の保険料の免除の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るもの、第2号被保険者としての被保険者期間並びに第3号被保険者としての被保険者期間を合算した期間をいう。 |
■任意加入被保険者について
第2号被保険者でもなく、第3号被保険者でもなく、しかし第1号被保険者にも該当しない人は、国民年金に任意加入することができます。
条文を読んでみましょう。
附則第5条第1項 (任意加入被保険者) 次の各号のいずれかに該当する者(第2号被保険者及び第3号被保険者を除く。)は、厚生労働大臣に申し出て、被保険者となることができる。 1. 日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であって、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができるもの(この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。) 2. 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者(この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。) 3. 日本国籍を有する者その他政令で定める者であって、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満のもの |
★任意加入被保険者は、第1号被保険者と同じように保険料を納付します。(ただし、免除は受けられません。)
また、任意加入被保険者として保険料を納付した期間は、第1号被保険者とみなされ、「保険料納付済期間」に算入されます。
■第2号被保険者について
厚生年金保険の被保険者は、国民年金では第2号被保険者となります。
第2号被保険者は、第1号被保険者・第3号被保険者とは異なり、20歳以上60歳未満の年齢枠がないのがポイントです。
第2号被保険者としての被保険者期間は、保険料納付済期間に算入されます。
しかし、「老齢基礎年金」については、保険料納付済期間に算入されるのは、「20歳以上60歳未満」の期間だけで、20歳未満、60歳以後の期間は「合算対象期間」となります。
条文を読んでみましょう。
昭60年法附則第8条第4項 当分の間、第2号被保険者としての国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間を有する者の20歳に達した日の属する月前の期間及び60歳に達した日の属する月以後の期間に係る当該保険料納付済期間は、老齢基礎年金の支給要件及び老齢基礎年金の年金額については、保険料納付済期間に算入せず、合算対象期間に算入する。 |
※なお、「障害基礎年金」と「遺族基礎年金」については、第2号被保険者の20歳前、60歳以後も保険料納付済期間として扱われます。
では、過去問をどうぞ!
【H30年出題】
60歳から64歳まで任意加入被保険者として保険料を納付していた期間は、老齢基礎年金の年金額を算定する際に保険料納付済期間として反映されるが、60歳から64歳まで第1号厚生年金被保険者であった期間は、老齢基礎年金の年金額を算定する際に保険料納付済期間として反映されない。
【解答】
【H30年出題】 〇
60歳から64歳まで任意加入被保険者として保険料を納付していた期間は、第1号被保険者とみなされ、老齢基礎年金の年金額には、保険料納付済期間として反映します。
60歳から64歳まで第1号厚生年金被保険者(=国民年金第2号被保険者)であった期間は、老齢基礎年金の規定では、「合算対象期間」となり、老齢基礎年金の支給要件期間の10年には算入されますが、老齢基礎年金の年金額には反映しません。
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R5-228
国民年金の保険料についてみていきましょう。
国民年金の保険料の額は、令和5年度に属する月の月分については、17,000円に保険料改定率を乗じて得た額(その額に5円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数が生じたときは、これを10円に切り上げるものとする。)となります。
(第87条第3項)
保険料改定率は、前年度保険料改定率×名目賃金変動率で算定します。
※名目賃金変動率=前々年の物価変動率×4年前の年度の実質賃金変動率です。
令和5年度の指標は以下の通りです。
前年度保険料改定率 | 0.976 |
前々年の物価変動率 | 0.998 (-0.20%) |
4年前の年度の実質賃金変動率 | 0.998 (-0.20%) |
令和5年度の保険料改定率は、0.976×(0.998×0.998)=0.972となります。
では、問題を解いてみましょう。
(平成30年の過去問を参考にしています。)
【問題】
令和5年度の国民年金保険料の月額は、17,000円に保険料改定率を乗じて得た額を10円未満で端数処理した16,520円である。
【解答】 〇
令和5年度の国民年金保険料の月額は、
17,000円×保険料改定率(0.972)=16,524円の5円未満を切り捨てた16,520円です。
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R5-227
健康保険組合の合併、分割、設立事業所の増減、解散に関しての手続をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第23条第1項 (合併) 健康保険組合は、合併しようとするときは、組合会において組合会議員の定数の4分の3以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
第24条第1項~2項 (分割) ① 健康保険組合は、分割しようとするときは、組合会において組合会議員の定数の4分の3以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。 ② 健康保険組合の分割は、設立事業所の一部について行うことはできない。
第25条第1項 (設立事業所の増減) 健康保険組合がその設立事業所を増加させ、又は減少させようとするときは、その増加又は減少に係る適用事業所の事業主の全部及びその適用事業所に使用される被保険者の2分の1以上の同意を得なければならない。
第26条 (解散) ① 健康保険組合は、次に掲げる理由により解散する。 1.組合会議員の定数の4分の3以上の多数による組合会の議決 2.健康保険組合の事業の継続の不能 3.厚生労働大臣による解散の命令 ② 健康保険組合は、前項1.又は2.に掲げる理由により解散しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。 ③ 健康保険組合が解散する場合において、その財産をもって債務を完済することができないときは、当該健康保険組合は、設立事業所の事業主に対し、政令で定めるところにより、当該債務を完済するために要する費用の全部又は一部を負担することを求めることができる。 ④ 協会は、解散により消滅した健康保険組合の権利義務を承継する。 |
では、過去問をどうぞ!
①【H25年出題】
健康保険組合は、合併しようとするときは、組合会において組合会議員の定数の3分の2以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
②【H30年出題】
健康保険組合は、分割しようとするときは、当該健康保険組合に係る適用事業所に使用される被保険者の4分の3以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
③【R3年出題】
健康保険組合がその設立事業所を増加させ、又は減少させようとするときは、その増加又は減少に係る適用事業所の事業主の全部及びその適用事業所に使用される被保険者の2分の1以上の同意を得なければならない。
④【H23年出題】
健康保険組合は、①組合会議員の定数の2分の1以上の組合会の議決、②健康保険組合の事業の継続の不能、③厚生労働大臣による解散の命令、のいずれかの理由により解散する。
⑤【H29年出題】
健康保険組合が解散により消滅した場合、全国健康保険協会が消滅した健康保険組合の権利義務を承継する。
⑥【R3年出題】
健康保険組合が解散する場合において、その財産をもって債務を完済することができないときは、当該健康保険組合は、設立事業所の事業主に対し、政令で定めるところにより、当該債務を完済するために要する費用の全部又は一部を負担することを求めることができる。
【解答】
①【H25年出題】 ×
合併の場合は、組合会において組合会議員の定数の「4分の3」以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければなりません。
②【H30年出題】 ×
分割の場合は、組合会において組合会議員の定数の4分の3以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければなりません。
③【R3年出題】 〇
健康保険組合に新しく適用事業所が加入する、又は、健康保険組合に加入している設立事業所が分離するときの手続です。
そのような場合は、その増加又は減少に係る適用事業所の「事業主の全部」及びその適用事業所に使用される「被保険者の2分の1以上の同意」を得なければなりません。
④【H23年出題】 ×
健康保険組合の解散の理由は、①組合会議員の定数の「4分の3」以上の多数による組合会の議決、②健康保険組合の事業の継続の不能、③厚生労働大臣による解散の命令、の3つです。
なお、①と②は「厚生労働大臣の認可」が必要です。③は厚生労働大臣の命令による強制解散ですので、認可は要りません。
⑤【H29年出題】 〇
解散により消滅した健康保険組合の権利義務は、「全国健康保険協会」が承継します。
⑥【R3年出題】 〇
健康保険組合が解散する場合に、健康保険組合の財産をもって債務を完済できないときは、「設立事業所の事業主」に対し、債務を完済するために要する費用の全部又は一部を負担することを求めることができます。
健康保険組合と事業主との連帯責任の規定ですので、「被保険者」に対しては負担を求めることはできません。
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R5-226
継続事業の一括について条文を読んでみましょう。
法第9条 (継続事業の一括) 事業主が同一人である2以上の事業(有期事業以外の事業に限る。)であって、厚生労働省令で定める要件に該当するものに関し、当該事業主が当該2以上の事業について成立している保険関係の全部又は一部を一の保険関係とすることにつき申請をし、厚生労働大臣の認可があったときは、この法律の規定の適用については、当該認可に係る2以上の事業に使用されるすべての労働者は、これらの事業のうち厚生労働大臣が指定するいずれか一の事業に使用される労働者とみなす。この場合においては、厚生労働大臣が指定する一の事業以外の事業に係る保険関係は、消滅する。 |
ポイント!
・継続事業(=有期事業以外の事業)に限られます。
・継続事業の一括には厚生労働大臣の認可が必要です。なお、認可の権限は、都道府県労働局長に委任されています。
・通常、保険関係は、それぞれの事業ごとに成立しています。厚生労働大臣の認可を受けることによって、それぞれの保険関係を一つにまとめて事務処理を行うことになります。
・保険関係は、指定事業に一括され、指定事業以外の事業の保険関係は消滅します。
では、過去問をどうぞ!
①【H30年出題】(労災)
継続事業の一括について都道府県労働局長の認可があったときは、都道府県労働局長が指定する一の事業(「指定事業」という。)以外の事業にかかる保険関係は、消滅する。
②【H30年出題】(労災)
継続事業の一括について都道府県労働局長の認可があったときは、被一括事業の労働者に係る労災保険給付(二次健康診断等給付を除く。)の事務や雇用保険の被保険者資格の確認の事務等は、その労働者の所属する被一括事業の所在地を管轄する労働基準監督署長又は公共職業安定所長がそれぞれの事務所掌に応じて行う。
【解答】
①【H30年出題】(労災) 〇
継続事業の一括について都道府県労働局長の認可があったときは、指定事業に保険関係が一括されますので、指定事業以外の事業にかかる保険関係は、消滅します。
この場合、「指定事業以外の事業」は保険関係の消滅について、労働保険料の確定精算を行うことになります。
「指定事業」は、増加概算保険料の納付の手続が必要になることがあります。
②【H30年出題】(労災) 〇
継続事業の一括が行われても、労災保険や雇用保険の給付に関する事務や、雇用保険の被保険者に関する事務は一括されません。
被一括事業の労働者に係る労災保険給付(二次健康診断等給付を除く。)の事務や雇用保険の被保険者資格の確認の事務等は、被一括事業のぞれぞれの所在地を管轄する労働基準監督署長又は公共職業安定所長が行います。
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R5-225
今日は介護休業給付金の支給要件を確認しましょう。
条文を読んでみましょう。
第64条の4第1項 (介護休業給付金) 介護休業給付金は、被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。)が、厚生労働省令で定めるところにより、介護休業をした場合において、当該介護休業(当該対象家族を介護するための2回以上の介護休業をした場合にあっては、初回の介護休業とする。)を開始した日前2年間(当該介護休業を開始した日前2年間に疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかった日数を2年に加算した期間(その期間が4年を超えるときは、4年間))に、みなし被保険者期間が通算して12か月以上であったときに、支給単位期間について支給する。 |
介護休業とは
→ 対象家族を介護するための休業のこと
対象家族とは
→ 被保険者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、父母、子、祖父母、兄弟姉妹及び孫並びに配偶者の父母
では、過去問をどうぞ!
【H30年問6】
本問の被保険者には、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を含めないものとする。
A 被保険者が介護休業給付金の支給を受けたことがある場合、同一の対象家族について当該被保険者が3回以上の介護休業をした場合における3回目以後の介護休業については、介護休業給付金を支給しない。
B 介護休業給付の対象家族たる父母には養父母が含まれない。
C 被保険者が介護休業給付金の支給を受けたことがある場合、同一の対象家族について当該被保険者がした介護休業ごとに、当該介護休業を開始した日から当該介護休業を終了した日までの日数を合算して得た日数が60日に達した日後の介護休業については、介護休業給付金を支給しない。
E 介護休業給付金の支給を受けた者が、職場に復帰後、他の対象家族に対する介護休業を取得する場合、先行する対象家族に係る介護休業取得回数にかかわらず、当該他の対象家族に係る介護休業開始日に受給資格を満たす限り、これに係る介護休業給付金を受給することができる。
【解答】
【H30年問6】
A ×
第61条の4第6項で次のように定められています。
被保険者が介護休業について介護休業給付金の支給を受けたことがある場合において、当該被保険者が次の各号のいずれかに該当する介護休業をしたときは、介護休業給付金は、支給しない。 1 同一の対象家族について当該被保険者が4回以上の介護休業をした場合における4回目以後の介護休業 2 同一の対象家族について当該被保険者がした介護休業ごとに、当該介護休業を開始した日から当該介護休業を終了した日までの日数を合算して得た日数が93日に達した日後の介護休業 |
同一の対象家族について3回まで介護休業給付金の対象になります。4回目以後は、介護休業給付金は支給されません。
B ×
父母、配偶者の父母には養父母が含まれます。
また、子には養子が含まれます。
(行政手引59802)
C ×
介護休業給付金が支給されないのは、『同一の対象家族について当該被保険者がした介護休業ごとに、当該介護休業を開始した日から当該介護休業を終了した日までの日数を合算して得た日数が93日に達した日後の介護休業』です。
(第61条の4第6項)
E 〇
介護休業給付金の支給を受けた者が、職場に復帰後、他の対象家族に対する介護休業を取得する場合でも、当該他の対象家族に係る介護休業開始日に受給資格を満たせば、介護休業給付金の支給対象となります。
(行政手引59861)
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R5-224
療養補償給付は、現物給付の「療養の給付」が原則で、例外として、現金給付の「療養の費用の支給」があります。
今日は「療養の給付」をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第13条 ① 療養補償給付は、療養の給付とする。 ② 療養の給付の範囲は、次の各号(政府が必要と認めるものに限る。)による。 1 診察 2 薬剤又は治療材料の支給 3 処置、手術その他の治療 4 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護 5 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護 6 移送 ③ 政府は、療養の給付をすることが困難な場合その他厚生労働省令で定める場合には、療養の給付に代えて療養の費用を支給することができる。 |
では、さっそく過去問をどうぞ!
①【H30年出題】
療養補償給付としての療養の給付の範囲には、病院又は診療所における療養に伴う世話その他の看護のうち、政府が必要と認めるものは含まれるが、居宅における療養に伴う世話その他の看護が含まれることはない。
②【R1年出題】
療養の給付は、社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者(「指定病院等」という。)において行われ、指定病院等に該当しないときは、厚生労働大臣が健康保険法に基づき指定する病院等であっても、療養の給付は行われない。
③【H27年出題】
療養補償給付たる療養の給付を受けようとする者は、厚生労働省令に規定された事項を記載した請求書を、直接、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
④【H27年出題】
療養の給付は、その傷病が療養を必要としなくなるまで行われるので、症状が安定して疾病が固定した状態になり、医療効果が期待しえない状態になっても、神経症状のような傷病の症状が残っていれば、療養の給付が行われる。
【解答】
①【H30年出題】 ×
療養補償給付としての療養の給付の範囲には、「居宅における療養に伴う世話その他の看護」も含まれます。
②【R1年出題】 〇
療養の給付は、「指定病院等」で行われます。
厚生労働大臣が健康保険法に基づき指定する病院等でも、「指定病院等」に該当しないときは、療養の給付は行われません。
療養補償給付としての療養の給付が行われる「指定病院等」とは、問題文のとおり、社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者です。
(則第11条)
③【H27年出題】 ×
療養補償給付たる療養の給付を受けようとする者は、請求書を、直接ではなく、「指定病院等を経由」して、所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。
(則第12条)
④【H27年出題】 ×
療養の給付が行われるのは、治ゆするまでです。
症状が安定して疾病が固定した状態になり、医療効果が期待しえない状態になると、療養の給付は行われません。
問題文のように、神経症状のような症状や障害が残ったとしても、治療の余地がなくなれば、療養の給付は行われません。
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R5-223
労働安全衛生法では、「事業者」には、労働者の安全と健康を守るため、様々な義務が課せられています。
違反した「事業者」は、罰則の対象になります。
ところで、「事業者」とは、「事業を行う者で、労働者を使用するもの」をいいます。個人企業の場合は事業主個人、法人の場合は法人そのものをさします。
法人の場合、法人自体は人間ではありませんので、法人自体が違反行為をすることはあり得ません。
そのため第122条には、両罰規定が設けられています。
条文を読んでみましょう。
第122条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第116条、第117条、第119条又は第120条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。 |
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、違反行為をしたときは、行為者は処罰の対象となります。
また、事業主である「法人又は人」にも罰則が適用されます。労働安全衛生法の罰則には懲役もありますが、法人そのものに懲役刑は科せられません。「法人又は人」に対しては罰金刑が科せられます。
過去問をどうぞ!
①【H29年出題】
労働安全衛生法は、基本的に事業者に措置義務を課しているため、事業者から現場管理を任されている従業者が同法により事業者に課せられている措置義務に違反する行為に及んだ場合でも、事業者が違反の責めを負い、従業者は処罰の対象とならない。
②【R2年出題】
労働安全衛生法は、第20条で、事業者は、機械等による危険を防止するため必要な措置を講じなければならないとし、その違反には罰則規定を設けているが、措置義務は事業者に課せられているため、例えば法人の従業者が違反行為をしたときは、原則として当該従業者は罰則の対象としない。
【解答】
①【H29年出題】 ×
従業者が労働安全衛生法の措置義務に違反する行為に及んだ場合は、行為者である従業者は処罰の対象となります。
両罰規定で事業者にも罰金刑が科せられます。
②【R2年出題】 ×
法人の従業者が違反行為をしたときは、当該従業者は罰則の対象となります。
また、事業者にも罰金刑が科せられます。
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R5-222
まず、「法定労働時間」と「法定休日」の条文を読んでみましょう。
第32条 (労働時間) ① 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。 ② 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。 |
※法定労働時間は、原則として「1日8時間以内、かつ、1 週40時間以内」です。
第35条 (休日) ① 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。 ② ①の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。 |
※法定休日は、原則として、「週に1日以上」与えなければなりません。
では、過去問をどうぞ!
【H30年出題】
労働基準法第35条に定めるいわゆる法定休日を日曜とし、月曜から土曜までを労働日として、休日及び労働時間が次のように定められている製造業の事業場における、労働に関する時間外及び休日の割増賃金に関する記述のうち、正しいものはどれか。
日 月 火 水 木 金 土
休 6 6 6 6 6 6
労働日における労働時間は全て
始業時刻:午前10時、終業時刻:午後5時、休憩:午後1時から1時間
A 日曜に10時間の労働があると、休日割増賃金の対象になるのは8時間で、8時間を超えた2時間は休日労働に加えて時間外労働も行われたことになるので、割増賃金は、休日労働に対する割増率に時間外労働に対する割増率を加算する必要がある。
B 日曜の午後8時から月曜の午前3時まで勤務した場合、その間の労働は全てが休日割増賃金対象の労働になる。
C 月曜の時間外労働が火曜の午前3時まで及んだ場合、火曜の午前3時までの労働は、月曜の勤務における1日の労働として取り扱われる。
D 土曜の時間外労働が日曜の午前3時まで及んだ場合、日曜の午前3時までの労働に対する割増賃金は、土曜の勤務における時間外労働時間として計算される。
E 日曜から水曜までは所定どおりの勤務であったが、木曜から土曜までの3日間の勤務が延長されてそれぞれ10時間ずつ労働したために当該1週間の労働時間が48時間になった場合、土曜における10時間労働の内8時間が割増賃金支払い義務の対象労働になる。
【解答】
A ×
休日には時間外労働の概念がありませんので、8時間を超えても時間外労働の割増率は加算されません。問題文の場合は、10時間すべて休日労働に対する割増率で計算します。
ちなみに、休日労働が深夜に及んだ場合は、深夜割増を加算する必要があります。
(H11.3.31基発第168号)
B ×
法定休日の割増賃金は暦日単位で適用されます。
休日割増で計算するのは日曜の24時までです。月曜の午前0時からは休日ではありませんので、休日割増の対象にはなりません。
C 〇
時間外労働が翌日の労働日に及んだ場合は、暦日で判断するのではなく、前日の労働時間の延長として扱われます。
火曜の午前3時までは、月曜日の労働時間の延長となり、月曜の勤務における1日の労働として取り扱われます。
(S63.1.1基発第1号)
D ×
法定休日は「暦日」で適用されます。土曜の時間外労働が日曜の午前3時まで及んだ場合、日曜の午前0時以降は、土曜の勤務における時間外労働時間ではなく、休日労働として計算されます。
E ×
| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
| 休 | 6 | 6 | 6 | 8 | 8 | 6 |
時間外 |
|
|
|
| 2 | 2 | 4 |
時間外労働となるのは、木曜の金曜の1日の法定労働時間を超えたそれぞれ「2時間」と、1週間の法定労働時間を超えた土曜の4時間です。
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R5-221
最低賃金には、地域別最低賃金と特定最低賃金の2種類があります。
地域別最低賃金は、都道府県ごとに決められていて、その都道府県内のすべての労働者に適用されます。
また、特定最低賃金は、特定の産業又は職業ごとに決められています。その産業の基幹的労働者に適用されます。
今日は、派遣労働者に対する最低賃金をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第13条 (派遣中の労働者の地域別最低賃金) 労働者派遣法に規定する派遣中の労働者については、その派遣先の事業の事業場の所在地を含む地域について決定された地域別最低賃金において定める最低賃金額を適用する。
第18条 (派遣中の労働者の特定最低賃金) 派遣中の労働者については、その派遣先の事業と同種の事業又はその派遣先の事業の事業場で使用される同種の労働者の職業について特定最低賃金が適用されている場合にあっては、当該特定最低賃金において定める最低賃金額を適用する。 |
では、過去問をどうぞ!
【R1年出題】
労働者派遣法第44条第1項に規定する「派遣中の労働者」に対しては、賃金を支払うのは派遣元であるが、当該労働者の地域別最低賃金については、派遣先の事業場の所在地を含む地域について決定された地域別最低賃金において定める最低賃金額が適用される。
【解答】
【R1年出題】 〇
「派遣中の労働者」に対する賃金は、雇用契約関係にある「派遣元」に支払義務があります。
派遣中の労働者の地域別最低賃金については、「派遣先の事業場の所在地」を含む地域について決定された地域別最低賃金が適用されます。
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R5-220
社会保険労務士に対する懲戒処分をみていきましょう。
社会保険労務士に対する懲戒処分は次の3種類です。(法第25条)
① 戒告
② 1年以内の開業社会保険労務士若しくは開業社会保険労務士の使用人である社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員若しくは使用人である社会保険労務士の業務の停止
③ 失格処分(社会保険労務士の資格を失わせる処分をいう。)
懲戒処分の条文を読んでみましょう。
第25条の2(不正行為の指示等を行った場合の懲戒) 1 厚生労働大臣は、社会保険労務士が、故意に、真正の事実に反して申請書等の作成、事務代理若しくは紛争解決手続代理業務を行ったとき、又は不正行為の指示等の禁止の規定に違反する行為をしたときは、1年以内の開業社会保険労務士若しくは開業社会保険労務士の使用人である社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人の社員若しくは使用人である社会保険労務士の業務の停止又は失格処分の処分をすることができる。 2 厚生労働大臣は、社会保険労務士が、相当の注意を怠り、1に規定する行為をしたときは、戒告又は1年以内の開業社会保険労務士若しくは開業社会保険労務士の使用人である社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人の社員若しくは使用人である社会保険労務士の業務の停止の処分をすることができる。
第25条の3(一般の懲戒) 厚生労働大臣は、社会保険労務士が、第17条第1項若しくは第2項の規定により添付する書面若しくは同条第1項若しくは第2項の規定による付記に虚偽の記載をしたとき、社会保険労務士法及びこれに基づく命令若しくは労働社会保険諸法令の規定に違反したとき、又は社会保険労務士たるにふさわしくない重大な非行があったときは、懲戒処分をすることができる。
|
社会保険労務士に対して懲戒処分をする権限があるのは、「厚生労働大臣」です。
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①【H20年出題】
厚生労働大臣は、社会保険労務士たるにふさわしくない重大な非行があった場合、懲戒処分をすることができるが、この権限は政令に定めるところにより、全国社会保険労務士会連合会に委任されている。
②【H26年出題】
社会保険労務士は、所属する社会保険労務士会の会則を遵守すべき義務があり、会則の不遵守は厚生労働大臣による懲戒処分の対象事由となりえる。
③【R1年出題】
社会保険労務士会は、所属の社会保険労務士又は社会保険労務士法人が社会保険労務士法若しくは同法に基づく命令又は労働社会保険諸法令に違反するおそれがあると認めるときは、会則の定めるところにより、当該社会保険労務士又は社会保険労務士法人に対して、社会保険労務士法第25条に規定する懲戒処分をすることができる。
【解答】
①【H20年出題】 ×
懲戒処分をする権限は、全国社会保険労務士会連合会には委任されていません。
②【H26年出題】 〇
社会保険労務士法第25条の30で、「社会保険労務士は、所属社会保険労務士会の会則を守らなければならない。」と規定されています。
そのため、会則の不遵守は厚生労働大臣による懲戒処分の対象事由となりえます。
③【R1年出題】 ×
社会保険労務士会は、「所属の社会保険労務士又は社会保険労務士法人が社会保険労務士法若しくは同法に基づく命令又は労働社会保険諸法令に違反するおそれがあると認めるとき」は、会則の定めるところにより、当該社会保険労務士又は社会保険労務士法人に対して、『注意を促し、又は必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。』と規定されています。(第25条の33)
社会保険労務士会による注意勧告の対象になります。
社会保険労務士法第25条に規定する懲戒処分の対象ではありません。
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R5-219
所定の要件を満たした老齢厚生年金と障害厚生年金には加給年金額が加算されます。
条文を読んでみましょう。
第44条第1項 (老齢厚生年金の加給年金額) 老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る。)の額は、受給権者がその権利を取得した当時(その権利を取得した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240未満であったときは、在職定時改定又は退職時改定の規定により当該月数が240以上となるに至った当時。)その者によって生計を維持していたその者の65歳未満の配偶者又は子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にある子に限る。)があるときは、加給年金額を加算した額とする。ただし、国民年金法第33条の2第1項の規定により加算が行われている子があるとき(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときを除く。)は、その間、当該子について加算する額に相当する部分の支給を停止する。 |
加給年金額が加算される老齢厚生年金は、被保険者期間が240月以上あることが原則です。ただし、中高齢の期間短縮特例に該当する場合は、その期間以上あれば対象となります。
老齢厚生年金の加給年金額の対象は、「65歳未満の配偶者」と「子」です。
第50条の2第1項 (障害厚生年金の加給年金額) 障害の程度が障害等級の1級又は2級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、受給権者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者があるときは、加給年金額を加算した額とする。 |
加給年金額が加算されるのは1級・2級の障害厚生年金です。3級の場合は加給年金額は加算されません。また、加給年金額の対象は、「65歳未満の配偶者」です。「子」は障害基礎年金で加算の対象となります。
では、過去問をどうぞ!
①【R1年出題】
加給年金額が加算された障害厚生年金の額について、当該加給年金額の対象になっている配偶者(大正15年4月1日以前に生まれた者を除く。)が65歳に達した場合は、当該加給年金額を加算しないものとし、その該当するに至った月の翌月から当該障害厚生年金の額を改定する。
②【R1年出題】
障害等級1級又は2級の障害の状態にある障害厚生年金の受給権者は、当該障害厚生年金の加給年金額の対象者である配偶者が65歳に達したときは、10日以内に所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならない。
【解答】
①【R1年出題】 〇
加給年金額の対象になっている配偶者が65歳に達したときは、その月の翌月から加給年金額が支給されなくなります。
なお、配偶者が大正15年4月1日以前生まれの場合は、65歳以降も加給年金額が加算されます。
(法第50条の2第4項)
ちなみに、老齢厚生年金も同じです。加給年金額の対象になっている配偶者が65歳に達したときは、その月の翌月から加給年金額の加算がなくなります。
②【R1年出題】 ×
加給年金額の対象になっている配偶者が、①死亡したとき、②受給権者による生計維持の状態がやんだとき、③配偶者が、離婚又は婚姻の取消しをしたとき、④配偶者が、65歳に達したときに該当したときは、その翌月から加給年金額が加算されません。
①から③に該当したときは「加給年金額対象者の不該当の届出」を10日以内に提出しなければなりません。
④については、届出は不要です。
(則第46条)
※老齢厚生年金の配偶者の加給年金額も同じです。
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R5-218
育児休業等終了時改定は、育児休業等が終了した日に3歳未満の子を養育している被保険者が対象です。
随時改定の要件に該当しなくても、標準報酬月額の改定が行われます。
※まず、随時改定の要件を確認してみましょう。
① 昇給又は降給等により固定的賃金が変動したこと
② 変動月から3カ月間の報酬の平均月額による標準報酬月額と従前の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じたこと
③ 報酬支払基礎日数が3か月すべて17日(短時間労働者は11日)以上であること
★育児休業等終了時改定は、
育児休業等終了時に報酬に変動があり、育児休業等終了日の翌日が属する月以後3カ月間の報酬の平均額による標準報酬月額と従前の標準報酬月額に、1等級以上の差が生じた場合に行われます。また、報酬支払基礎日数が17日未満(短時間労働者は11日未満)の月は除いて算定します。
では、条文を読んでみましょう。
第23条の2第1項 (育児休業等を終了した際の改定) 実施機関は、育児休業等を終了した被保険者が、当該育児休業等を終了した日(以下「育児休業等終了日」という。)において子であって、当該育児休業等に係る3歳に満たないものを養育する場合において、その使用される事業所の事業主を経由して主務省令で定めるところにより実施機関に申出をしたときは、育児休業等終了日の翌日が属する月以後3月間(育児休業等終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が17日(短時間労働者にあっては11日)未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。ただし、育児休業等終了日の翌日に産前産後休業を開始している被保険者は、この限りでない。 |
※育児休業等終了日の翌日に引き続いて産前産後休業を開始している場合は、育児休業等終了時改定による標準報酬月額の改定は行われません。
では、過去問をどうぞ!
①【R3年出題】
育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定若しくは産前産後休業を終了した際の標準報酬月額の改定を行うためには、被保険者が現に使用される事業所において、育児休業等終了日又は産前産後休業終了日の翌日が属する月以後3か月間の各月とも、報酬支払の基礎となった日数が17日以上でなければならない。
②【R1年出題】
月給制である給与を毎月末日に締め切り、翌月10日に支払っている場合、4月20日に育児休業から職場復帰した被保険者の育児休業等終了時改定は、5月10日に支払った給与、6月10日に支払った給与及び7月10日に支払った給与の平均により判断する。
【解答】
①【R3年出題】 ×
報酬支払基礎日数が17日未満の月がある場合は、その月は除いて平均を出します。
随時改定とは違い、3か月すべてが17日以上である必要はありません。
②【R1年出題】 ×
育児休業等終了時改定は、「育児休業等終了日の翌日が属する月以後3月間」の給与の平均で判断します。問題文は、4月20日に職場復帰していますので、4月、5月、6月に支払った給与で判断されます。
4月10日払い | 給与なし(育児休業中のため) | |
5月10日払い | 17日未満 | (4月19日育休終了、20日職場復帰のため) |
6月10日払い | 17日以上 |
17日未満の月は除いて平均を出します。
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R5-217
遺族基礎年金の遺族の範囲を確認しましょう。
条文を読んでみましょう。
第37条の2第1項 (遺族の範囲) 遺族基礎年金を受けることができる配偶者又は子は、被保険者又は被保険者であった者の配偶者又は子であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持し、かつ、次に掲げる要件に該当したものとする。 ① 配偶者については、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持し、かつ、②に掲げる要件に該当する子と生計を同じくすること。 ② 子については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。 |
配偶者のポイント!
・「配偶者」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者が含まれます。
・被保険者又は被保険者であった者(=死亡した人のことです)の死亡の当時その者によって生計を維持していること、かつ、子と生計を同じくすることが条件です。
では、過去問をどうぞ!
【R1年出題】
平成31年4月に死亡した第1号被保険者の女性には、15年間婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある第1号被保険者の男性との間に14歳の子がいた。当該女性が死亡時に当該子及び当該男性を生計維持し、かつ所定の要件が満たされている場合であっても、遺族基礎年金の受給権者は子のみであり、当該男性は、当該子と生計を同じくしていたとしても遺族基礎年金の受給権者になることはない。
【解答】
【R1年出題】 ×
配偶者には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者も含まれます。
問題文の男性は、女性の死亡時に生計を維持し、かつ、14歳の子と生計を同じくしていますので、遺族基礎年金の受給権者となります。
女性の死亡により遺族基礎年金の受給権者になるのは、当該男性と子です。
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R5-216
国民年金には「任意加入」の制度があります。
任意加入の対象は、「老齢基礎年金の受給資格がない(受給資格期間を満たしていない)人」や、「保険納付済期間が40年ないため、満額の老齢基礎年金が受給できない(老齢基礎年金を増やしたい)人」です。
今日は、「特例による任意加入被保険者」の制度をみていきます。
「特例の任意加入」は、65歳以上70歳未満の人で、「老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない人」のみが対象です。受給資格期間を満たしていて、老齢基礎年金を増やしたい人は、特例の任意加入はできません。
では、条文を読んでみましょう。
H6法附則第11条、H16法附則第23条 (任意加入被保険者の特例) 昭和40年4月1日以前に生まれた者であって、次の各号のいずれかに該当するもの(第2号被保険者を除く。)は、厚生労働大臣に申し出て、国民年金の被保険者となることができる。 ただし、その者が老齢基礎年金、厚生年金保険法による老齢厚生年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有する場合は、この限りでない。 ① 日本国内に住所を有する65歳以上70歳未満の者(国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。) ② 日本国籍を有する者であって、日本国内に住所を有しない65歳以上70歳未満のもの |
任意加入被保険者の特例のポイント!
★生年月日の条件があります。
昭和40年4月1日以前に生まれた者
★老齢基礎年金等、老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付の受給権を有する場合は、任意加入できません。
★年齢は、65歳以上70歳未満です。
過去問をどうぞ!
①【H27年出題】
特例による任意加入被保険者が、70歳に達する前に厚生年金保険法の被保険者の資格を取得したとき、又は老齢若しくは退職を支給事由とする年金給付の受給権を取得したときは、それぞれその日に被保険者の資格を喪失する。
②【R1年出題】
67歳の男性(昭和27年4月2日生まれ)が有している保険料納付済期間は、第2号被保険者期間としての8年間のみであり、それ以外に保険料免除期間及び合算対象期間を有していないため、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない。この男性は、67歳から70歳に達するまでの3年間についてすべての期間、国民年金に任意加入し、保険料を納付することができる。
【解答】
①【H27年出題】 ×
特例による任意加入被保険者が、厚生年金保険法の被保険者の資格を取得したときは「その日」に、被保険者の資格を喪失します。
老齢若しくは退職を支給事由とする年金給付の受給権を取得したときは、「その日の翌日」に被保険者の資格を喪失します。
ポイント!
特例による任意加入は、「老齢基礎年金、老齢厚生年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権」を有しないことです。
老齢又は退職を支給事由とする年金給付の受給権を取得するのが目的です。そのため、老齢又は退職を支給事由とする年金給付の受給権を取得したときは、その翌日に資格を喪失します。
(H6法附則第11条)
②【R1年出題】 ×
第2号被保険者期間が8年間ありますので、あと2年間保険料納付済期間があれば、老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給権を取得できます。
特例による任意加入被保険者は、老齢又は退職を支給事由とする年金給付の受給権を取得すると、その日の翌日に資格を喪失します。
そのため、問題文の男性が、任意加入し、保険料を納付することができるのは、67歳から2年間です。
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R5-215
老齢基礎年金の受給資格は、原則として「保険料納付済期間」+「保険料免除期間」が10年以上あることです。
保険料納付済期間+保険料免除期間が10年未満の場合は、「合算対象期間」も入れて10年以上になれば、受給資格を満たします。
条文を読んでみましょう。
第28条 (支給要件) 老齢基礎年金は、保険料納付済期間又は保険料免除期間(学生納付特例及び納付猶予の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るものを除く。)を有する者が65歳に達したときに、その者に支給する。 ただし、その者の保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年に満たないときは、この限りでない。 |
第28条は老齢基礎年金の原則の受給資格についての規定です。
「保険料免除期間」が2回出てきます。
学生納付特例及び納付猶予の期間は、ただし書(2回目の保険料免除期間)では除外されていませんので、10年の受給資格期間には算入されます。
しかし、1回目の保険料免除期間からは除かれています。老齢基礎年金の年金額の計算に入らないからです。
「合算対象期間」については、附則第9条で、「保険料納付済期間」+「保険料免除期間」に「合算対象期間」も合算して10年以上あれば受給資格期間を満たすと規定されています。ただし、合算対象期間は「カラ期間」といい、老齢基礎年金の年金額には反映しません。
今回は合算対象期間をみていきます。
今回、出てくる合算対象期間は
・第2号被保険者としての被保険者期間のうち20歳未満及び60歳以降のもの
・日本国籍を有している人が海外に居住していた期間のうち、国民年金に任意加入しなかった期間のうち20歳以上60歳未満の期間
です。
では、過去問をどうぞ!
【R1年出題】
日本国籍を有している者が、18歳から19歳まで厚生年金保険に加入し、20歳から60歳まで国民年金には加入せず、国外に居住していた。この者が60歳で帰国し、再び厚生年金保険に65歳まで加入した場合、65歳から老齢基礎年金が支給されることはない。なお、この者は婚姻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合も含む。)したことがなく、上記期間以外に被保険者期間を有していないものとする。
【解答】
【R1年出題】 〇
18歳~19歳 | 20歳 60歳 | 60歳~65歳 |
厚年 | 海外居住(日本国籍有)で任意加入しなかった | 厚年 |
カラ期間 | カラ期間 | カラ期間 |
・18歳から19歳までの厚生年金保険の加入期間、20歳から60歳まで国民年金には任意加入しなかった期間、60歳から65歳までの厚生年金保険の加入期間、すべて「合算対象期間」です。
合算対象期間のみで10年以上でも、老齢基礎年金の受給資格期間は満たしますが、老齢基礎年金の額には反映しません。結果として65歳から老齢基礎年金が支給されることはありません
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R5-214
60歳以上の被保険者が退職し、継続して再雇用される場合の手続をみていきます。
60歳以上の人が退職し再雇用された場合、例えば、正社員から嘱託社員に変わったり、退職金の支払いがあったとしても、1日の空白も無ければ、健康保険の被保険者の資格は継続します。
再雇用後に嘱託社員に変わった場合、報酬が下がることがあります。
通常は、報酬が下がった場合は、随時改定によって標準報酬月額が見直されます。随時改定の場合、標準報酬月額の改定は、固定的賃金の変動(報酬が下がった月)から 4か月目からになります。
そこで、60歳以上の被保険者については、退職し1日の空白も無く再雇用された場合は、被保険者資格喪失届と被保険者資格取得届を同時に提出することができます。
それによって、再雇用された月から、再雇用後の報酬に応じた標準報酬月額に決定されます。
過去問をどうぞ!
【R1年出題】
同一の事業所においては、雇用契約上一旦退職した者が1日の空白もなく引き続き再雇用された場合、退職金の支払いの有無又は身分関係若しくは職務内容の変更の有無にかかわらず、その者の事実上の使用関係は中断することなく存続しているものであるから、被保険者の資格も継続するものであるが、60歳以上の者であって、退職後継続して再雇用されるものについては、使用関係が一旦中断したものとみなし、当該事業所の事業主は、被保険者資格喪失届及び被保険者資格取得届を提出することができる。
【解答】
【R1年出題】 〇
この取扱いは、「60歳」以降に退職後継続して再雇用されるものに対して適用されます。高齢者の継続雇用の支援が目的です。
(H25.1.25保保発0125第2号)
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R5-213
傷病手当金の待期期間をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第99条第1項 (傷病手当金) 被保険者(任意継続被保険者を除く。)が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金を支給する。 |
傷病手当金は、労務に服することができなくなった日から起算して「3日を経過した日」から支給されます。言い換えると、第4日目から支給されます。
傷病手当金が出るまでの3日間のことを待期といいます。
待期は、休業が連続3日で完成します。
例えば、
休 | 休 | 休 | 休 | 出 | 休 |
3日連続して休んでいますので、傷病手当金は4日目から支給されます。
休 | 休 | 休 | 出 | 休 |
3日連続して休んでいるので待期は完成しています。傷病手当金は5日目から支給されます。
休 | 出 | 休 | 休 |
休みが3日連続していないので待期は完成していません。
(参照:S32.1.31保発2号の2)
では、過去問をどうぞ!
①【H28年出題】
被保険者が就業中の午後4時頃になって虫垂炎を発症し、そのまま入院した場合、その翌日が傷病手当金の待期期間の起算日となり、当該起算日以後の3日間連続して労務不能であれば待期期間を満たすことになる。
②【H28年出題】
傷病手当金の支給要件として継続した3日間の待期期間を要するが、土曜日及び日曜日を所定の休日とする会社に勤務する従業員が、金曜日から労務不能となり、初めて傷病手当金を請求する場合、その金曜日と翌週の月曜日及び火曜日の3日間で待期期間が完成するのではなく、金曜日とその翌日の土曜日、翌々日の日曜日の連続した3日間で待期期間が完成する。
③【R1年選択】
4月1日に労務不能となって3日間休業し、同月4日に一度は通常どおり出勤したものの、翌5日から再び労務不能となって休業した場合の傷病手当金の支給期間は、 < A >起算されることになる。また、報酬があったために、その当初から支給停止されていた場合の傷病手当金の支給期間は、報酬をうけなくなった< B >又は報酬の額が傷病手当金の額より少なくなった< B >から起算されることになる。
<選択肢>
① 4月1日から ② 4月3日から ③ 4月4日から ④ 4月5日から
⑤ 日 ⑥ 日の2日後 ⑦ 日の3日後 ⑧ 日の翌日
【解答】
①【H28年出題】 ×
待期は「労務に服することができなくなった日」から起算します。
ただし、労務に服することができなくなったのが『業務終了後』の場合は「翌日」から起算します。
問題文は、労務に服することができなくなったのが就業中ですので、翌日ではなく「その日」が傷病手当金の待期期間の起算日となります。
(S5.10.13保発52号)
②【H28年出題】 〇
金曜日 | 土曜日 | 日曜日 | 月曜日 | 火曜日 |
1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 |
待期は、労務不能の日が連続3日で完成します。所定休日も待期に算入されます。
そのため、金曜日とその翌日の土曜日、翌々日の日曜日の連続した3日間で待期期間が完成します。
③【R1年選択】
A ④4月5日から
B ⑤日
★支給期間の起算日
4/1 | 4/2 | 4/3 | 4/4 | 4/5 |
休 | 休 | 休 | 出 | 休 |
1日から3日まで連続3日間休業していますので、待期期間が完成しています。傷病手当金は、再び休業した5日から支給されます。
傷病手当金の支給期間は、「同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から通算して1年6月間」です。問題文の傷病手当金の支給期間は、4月5日から起算します。
★報酬があったため傷病手当金が支給停止されていた場合
報酬を受けることができる場合は、その間は傷病手当金は支給されません。
報酬を受けなくなれば傷病手当金が支給されますので、その場合の傷病手当金の支給期間は、「報酬をうけなくなった日又は報酬の額が傷病手当金の額より少なくなった日」から起算されます。
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R5-212
継続事業と一括有期事業は、保険年度単位で保険料を申告納付します。
保険年度の初めに概算保険料を申告・納付し、年度終了後に確定保険料で精算する仕組みです。
今日は、納付した概算保険料が確定保険料より多かった場合の手続です。
条文を読んでみましょう。
法第19条第6項 事業主が納付した概算保険料の額が、確定保険料の額をこえる場合には、政府は、厚生労働省令で定めるところにより、そのこえる額を次の保険年度の労働保険料若しくは未納の労働保険料その他この法律の規定による徴収金に充当し、又は還付する。
則第36条第1項 (労働保険料の還付) 事業主が、確定保険料申告書を提出する際に、又は確定保険料の認定決定の通知を受けた日の翌日から起算して10日以内に、それぞれ、既に納付した概算保険料の額のうち、確定保険料の額を超える額(以下「超過額」という。)の還付を請求したときは、官署支出官又は所轄都道府県労働局資金前渡官吏は、その超過額を還付するものとする。
則第37条 (労働保険料の充当) 1 還付の請求がない場合には、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、超過額又は法第 20条第3項の差額を次の保険年度の概算保険料若しくは未納の労働保険料その他法の規定による徴収金又は未納の一般拠出金(石綿による健康被害の救済に関する法律の規定により労災保険適用事業主から徴収する一般拠出金をいう。)等に充当するものとする。 2 所轄都道府県労働局歳入徴収官は、1の規定により、次の保険年度の概算保険料若しくは未納の労働保険料その他法の規定による徴収金又は未納の一般拠出金等に充当したときは、その旨を事業主に通知しなければならない。 |
ポイント!
★納付した概算保険料の額が、確定保険料の額をこえる場合
→政府は、そのこえる額を次の保険年度の労働保険料等に「充当」、又は「還付」します。
・還付について
→ 事業主が、確定保険料申告書を提出する際に、又は確定保険料の認定決定の通知を受けた日の翌日から起算して10日以内に、それぞれ、超過額の還付を請求したときは、官署支出官又は所轄都道府県労働局資金前渡官吏は、その超過額を還付します。
・充当について
→ 還付の請求がない場合には、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、超過額を次の保険年度の概算保険料等に充当します。
→ 所轄都道府県労働局歳入徴収官は、充当したときは、その旨を事業主に通知しなければなりません。
※充当が行われるのは、還付請求がない場合です。
過去問をどうぞ!
①【R1年出題】(労災)
事業主は、既に納付した概算保険料の額のうち確定保険料の額を超える額(超過額)の還付を請求できるが、その際、労働保険料還付請求書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならない。
②【R4年出題】(労災)
概算保険料を納付した事業主が、所定の納期限までに確定保険料申告書を提出しなかったとき、所轄都道府県労働局歳入徴収官は当該事業主が申告すべき正しい確定保険料の額を決定し、これを事業主に通知することとされているが、既に納付した概算保険料の額が所轄都道府県労働局歳入徴収官によって決定された確定保険料の額を超えるとき、当該事業主はその通知を受けた日の翌日から起算して10日以内に労働保険料還付請求書を提出することによって、その超える額の還付を請求することができる。
③【H24年出題】(雇用)
継続事業の事業主が納付した労働保険料の額が、確定保険料の額を超える場合において還付請求が行われないとき、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、法令の定めるところにより、その超える額を次の保険年度の概算保険料又は未納の労働保険料等に充当する。
④【H29年出題】(雇用)
事業主による超過額の還付の請求がない場合であって、当該事業主から徴収すべき次の保険年度の概算保険料その他未納の労働保険料等があるときは、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、当該超過額を当該概算保険料等に充当することができるが、この場合、当該事業主による充当についての承認及び当該事業主への充当後の通知は要しない。
【解答】
①【R1年出題】 ×
労働保険料還付請求書は、官署支出官又は所轄都道府県労働局資金前渡官吏に提出します。
②【R4年出題】 〇
既に納付した概算保険料の額が、認定決定された確定保険料の額を超えるときは、事業主はその通知を受けた日の翌日から起算して10日以内に労働保険料還付請求書を提出することによって、その超える額の還付を請求することができます。
③【H24年出題】 〇
所轄都道府県労働局歳入徴収官が、超える額を次の保険年度の概算保険料又は未納の労働保険料等に充当するのは、還付請求が行われないときです。
④【H29年出題】 ×
所轄都道府県労働局歳入徴収官が超過額を充当した場合、「当該事業主による充当についての承認」は不要です。しかし、「当該事業主への充当後の通知」は必要です。
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R5-211
基本手当の所定給付日数は、年齢、被保険者であった期間(算定基礎期間)、離職理由などで決まります。
しかし、事業主が、雇用保険の加入の手続を怠っていた場合、「被保険者であった期間(算定基礎期間)」が短くなってしまい、結果として所定給付日数が少なくなる可能性があります。
遡って雇用保険に加入できるのは、最大で2年です。雇用保険に加入すると保険料を負担することになりますが、雇用保険料の時効が2年だからです。
しかし、雇用保険料が給料から天引きされていたことが明らかな場合は、2年を超えて遡って、雇用保険に加入することができます。
では、条文を読んでみましょう。
第22条第4項、第5項 4 一の被保険者であった期間に関し、被保険者となった日が第9条の規定による被保険者となったことの確認があった日の2年前の日より前であるときは、当該確認のあった日の2年前の日に当該被保険者となったものとみなして、算定基礎期間の算定を行うものとする。 5 次に掲げる要件のいずれにも該当する者(①に規定する事実を知っていた者を除く。)に対する前項の規定の適用については、同項中「当該確認のあった日の2年前の日」とあるのは、「次項第②に規定する被保険者の負担すべき額に相当する額がその者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかである時期のうち最も古い時期として厚生労働省令で定める日」とする。 ① その者に係る資格取得の届出がされていなかったこと。 ② 厚生労働省令で定める書類に基づき、第9条の規定による被保険者となったことの確認があった日の2年前の日より前に雇用保険料の被保険者の負担すべき額に相当する額がその者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかである時期があること。 |
被保険者の資格取得と喪失については、厚生労働大臣の確認によって効力が発生します。確認は、通常は、事業主からの届出によって行われることが原則です。
しかし、何かの理由で資格取得の届出が遅れた場合は、相当期間遡って、資格取得の事実が確認されることになります。
ただし、雇用保険料の時効が2年ですので、遡ることができるのは最大で2年です。本当は2年前の日より前に資格を取得していたとしても、2年前の日より前の期間は、被保険者であった期間に算入されません。確認が行われた日の2年前の日が、資格取得日となります。
資格取得日 2年前の日 確認
▼ ▼ ▼
|
|
算入されない | 被保険者であった期間 |
|
|
▲資格取得日
<特例> 2年を超える遡及適用について
給与明細等の確認書類により、資格の取得の確認が行われた日の2年前の日より前に、雇用保険料の被保険者負担分が、給料から天引きされていたことが明らかである時期がある場合
↓
給与明細等の確認書類により雇用保険料の天引きがあったことが確認できる時期のうち最も古い日が、資格取得日とみなされます。
資格取得日 給料天引き 2年前の日 確認
▼ ▼ ▼ ▼
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|
算入されない | 被保険者であった期間 |
|
|
▲資格取得日
(行政手引23501)
過去問をどうぞ!
①【R3年出題】
雇用保険法第9条の規定による被保険者となったことの確認があった日の2年前の日より前であって、被保険者が負担すべき保険料が賃金から控除されていたことが明らかでない期間は、算定基礎期間に含まれない。
②【R1年出題】
雇用保険法第9条の規定による被保険者となったことの確認があった日の2年前の日前における被保険者であった期間は被保険者期間の計算には含めないが、当該2年前の日より前に、被保険者の負担すべき額がその者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかである時期がある場合は、その時期のうち最も古い時期として厚生労働省令で定める日以後の被保険者であった期間は、被保険者期間の計算に含める。
【解答】
①【R3年出題】 〇
被保険者となったことの確認があった日の2年前の日より前は、原則として、被保険者であった期間に算入されません。資格取得日は、確認が行われた日の2年前の日となります。
②【R1年出題】 〇
被保険者となったことの確認があった日の2年前の日より前に、『被保険者の負担すべき額がその者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかである時期』がある場合は、その時期のうち最も古い時期として厚生労働省令で定める日以後の被保険者であった期間は、被保険者期間の計算に含まれます。
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R5-210
障害補償給付には、「障害補償年金」と「障害補償一時金」があります。
条文を読んでみましょう。
法第15条第1項 障害補償給付は、厚生労働省令で定める障害等級に応じ、障害補償年金又は障害補償一時金とする。 |
「障害補償給付」には「年金」と「一時金」があることに注意してください。
障害等級第1級~7級は「年金」、障害等級第8級~14級は「一時金」が支給されます。
今日は、障害補償年金を受ける労働者の障害の程度が、自然的な経過により増進し、又は軽減した場合の改定についてみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第15条の2 障害補償年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があったため、新たに他の障害等級に該当するに至った場合には、政府は、厚生労働省令で定めるところにより、新たに該当するに至った障害等級に応ずる障害補償年金又は障害補償一時金を支給するものとし、その後は、従前の障害補償年金は、支給しない。 |
ポイント!
・ 条文の最初に注目してください。「障害補償給付」ではなく「障害補償年金」です。対象は、「障害補償年金」を受ける労働者に限られます。「障害補償一時金」には適用されません。
・「当該障害の程度に変更があった」とは、障害の程度が自然的な経過により増進又は軽減したことをいいます。
・新たに該当するに至った障害等級に応ずる障害補償年金又は障害補償一時金を支給するとは、例えば・・・
その1 障害等級3級の人の障害の程度が増進し2級になった場合は、2級の障害補償年金が支給され、従前の3級の障害補償年金は支給されません。
その2 障害等級5級の人の障害の程度が軽減し7級になった場合は、7級の障害補償年金が支給され、従前の5級の障害補償年金は支給されません。
その3 障害等級7級の人の障害の程度が軽減し10級になった場合は、10級の障害補償一時金が支給され、従前の7級の障害補償年金は支給されません。
では、過去問をどうぞ!
①【H21年出題】
障害補償年金を受ける者の障害の程度について自然的経過により変更があった場合には、新たに該当することとなった障害等級に応ずる障害補償給付が支給され、その後は、従前の障害補償年金は支給されない。
②【H30年出題】
障害補償一時金を受けた者については、障害の程度が自然的経過により増進しても、障害補償給付の変更が問題となることはない。
【解答】
①【H21年出題】 〇
自然的経過による変更で障害補償給付の変更が行われるのは、障害補償「年金」を受けている場合のみです。
②【H30年出題】 〇
障害補償一時金を受けた者については、障害の程度が自然的経過により増進又は軽減したとしても、障害補償給付の変更は適用されません。
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R5-209
事業者には、労働者に対し健康診断を行う義務があります。
今日は、「健康診断の結果の記録」、「健康診断の結果の通知」をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第66条の3 (健康診断の結果の記録) 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第66条第1項から第4項まで及び第5項ただし書並びに第66条の2の規定による健康診断の結果を記録しておかなければならない。 則第51条 (健康診断結果の記録の作成) 事業者は、第43条等の健康診断又は法第66条の2の自ら受けた健康診断の結果に基づき、健康診断個人票を作成して、これを5年間保存しなければならない。
第66条の6(健康診断の結果の通知) 事業者は、第66条第1項から第4項までの規定により行う健康診断を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該健康診断の結果を通知しなければならない。 則第51条の4(健康診断の結果の通知) 事業者は、健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく、当該健康診断の結果を通知しなければならない。 |
ちなみに、上の条文に出てくる健康診断は以下の健康診断です。
法第66条第1項 → 一般健康診断
第2項 → 有害業務に従事する労働者の特別の項目についての健康診断
第3項 → 有害業務に従事する労働者の歯科医師による健康診断
第4項 → 都道府県労働局長が指示する臨時の健康診断
第5項ただし書 → 労働者が他の医師又は歯科医師により受けた健康診断
法第66条の2 → 深夜業従事者の自発的健康診断
では、過去問をどうぞ!
①【H27年出題】
事業者は、労働安全衛生規則に定める健康診断については、その結果に基づき健康診断個人票を作成して、その個人票を少なくとも3年間保存しなければならない。
②【R1年出題】
事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、受診したすべての労働者の健康診断の結果を記録しておかなければならないが、健康診断の受診結果の通知は、何らかの異常所見が認められた労働者に対してのみ行えば足りる。
【解答】
①【H27年出題】 ×
健康診断個人票は、5年間保存義務があります。
②【R1年出題】 ×
事業者は、健康診断を受けた労働者に対して、遅滞なく、健康診断の結果を通知する義務があります。異常所見が認められた労働者に限りません。
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R5-208
今日は、平均賃金を計算します。
まず、条文を読んでみましょう。
第12条第1項~5項 ① 平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の一によって計算した金額を下ってはならない。 1. 賃金が、労働した日若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60 2. 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額 ② ①の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。 ③ ①、②に規定する期間中に、次の各号のいずれかに該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、期間及び賃金の総額から控除する。 1. 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間 2. 産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間 3. 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間 4. 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に規定する育児休業又は介護休業をした期間 5. 試みの使用期間 ④ 賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しない。 ⑤ 賃金が通貨以外のもので支払われる場合、の賃金の総額に算入すべきものの範囲及び評価に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。 |
ポイント!
・ 平均賃金は、原則として次の計算式で算定します。
→算定すべき事由の発生した日以前3か月間の賃金の総額÷その期間の総日数
ただし、日給、時給、請負制による賃金の場合は、最低保障があります。
最低保障の計算式→賃金の総額÷その期間中に労働した日数×100分の60
※「総日数」と「労働日数」を区別しましょう。「総日数」は暦上の日数です。例えば、3月なら31日です。
・ 賃金締切日がある場合は、算定事由の発生した日の直前の賃金締切日から起算した3か月で計算します。
・ 次の期間は、平均賃金の計算式の「日数」と「賃金の総額」の両方から控除します。
1.業務上の傷病により休業した期間
2.産前産後の女性の休業期間
3.使用者の責めに帰すべき事由により休業した期間
4.育児休業又は介護休業期間
5.試みの使用期間
・ 次の賃金は「賃金の総額」から除外されます。
臨時に支払われた賃金
3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(年2回の賞与など)
通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの
では、過去問をどうぞ!
【R1年問1】
次に示す条件で賃金を支払われてきた労働者について7月20日に、労働基準法第12条に定める平均賃金を算定すべき事由が発生した場合、その平均賃金の計算に関する記述のうち、正しいものはどれか。
<条件>
賃金の構成:基本給、通勤手当、職務手当及び時間外手当
賃金の締切日:基本給、通勤手当及び職務手当については、毎月25日
時間外手当については、毎月15日
賃金の支払日:賃金締切日の月末
A 3月26日から6月25日までを計算期間とする基本給、通勤手当及び職務手当の総額をその期間の暦日数92で除した金額と4月16日から7月15日までを計算期間とする時間外手当の総額をその期間の暦日数91で除した金額を加えた金額が平均賃金になる。
B 4月、5月及び6月に支払われた賃金の総額をその計算期間の暦日数92で除した金額が平均賃金になる。
C 3月26日から6月25日までを計算期間とする基本給及び職務手当の総額をその期間の暦日数92で除した金額と4月16日から7月15日までを計算期間とする時間外手当の総額をその期間の暦日数91で除した金額を加えた金額が平均賃金になる。
D 通勤手当を除いて、4月、5月及び6月に支払われた賃金の総額をその計算期間の暦日数92で除した金額が平均賃金になる。
E 時間外手当を除いて、4月、5月及び6月に支払われた賃金の総額をその計算期間の暦日数92で除した金額が平均賃金になる。
【解答】
A 〇
平均賃金は、賃金の締切日がある場合は、直前の賃金締切日から遡る3か月で計算します。
賃金ごとに賃金締切日が異なる場合は、それぞれの賃金の賃金締切日から遡ります。
問題文の場合、「基本給、通勤手当及び職務手当」の直前の賃金締切日は6月25日、「時間外手当」は7月15日です。
平均賃金は、((3月26日から6月25日までの基本給、通勤手当及び職務手当の総額)÷92日)+((4月16日から7月15日までの時間外手当の総額)÷91日)で計算します。
(S26.12.27 基収5926号)
B ×
賃金によって賃金締切日が異なりますので、Aの問題のように、それぞれの賃金締切日から遡って計算します。
C ×
「通勤手当」は平均賃金に算入しなければなりません。通勤手当が計算に入っていませんので誤りです。
D ×
E ×
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R5-207
社会保険制度の改正の施行日を確認しましょう。
さっそく、令和元年の過去問をどうぞ!
【R1年問10】
社会保険制度の改正に関する次の①から⑥の記述について、改正の施行日が古いものからの順序で記載されているものは、後記AからEまでのうちどれか。
① 被用者年金一元化により、所定の要件に該当する国家公務員共済組合の組合員が厚生年金保険の被保険者資格を取得した。
② 健康保険の傷病手当金の1日当たりの金額が、原則、支給開始日の属する月以前の直近の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額を30で除した額に3分の2を乗じた額となった。
③ 国民年金第3号被保険者が、個人型確定拠出年金に加入できるようになった。
④ 基礎年金番号を記載して行っていた老齢基礎年金の年金請求について、個人番号(マイナンバー)でも行えるようになった。
⑤ 老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上から10年以上に短縮された。
⑥ 国民年金第1号被保険者の産前産後期間の国民年金保険料が免除されるようになった。
A①→②→③→⑤→④→⑥
B③→①→②→⑤→⑥→④
C②→①→④→⑤→③→⑥
D③→②→①→⑤→⑥→④
E②→③→①→⑤→⑥→④
【解答】
A①→②→③→⑤→④→⑥
① 被用者年金一元化の施行は、平成27年10月1日です。
70歳未満の共済組合の組合員や私立学校教職員共済制度の加入者が、厚生年金保険法の被保険者になったのは、平成27年10月1日からです。
その際、厚生年金保険の被保険者が4つの種別に区分されるようになりました。
1 第1号厚生年金被保険者 → 2から4までに規定する被保険者以外の厚生年金保険の被保険者(民間企業の会社員)
2 第2号厚生年金被保険者 → 国家公務員共済組合の組合員たる厚生年金保険の被保険者
3 第3号厚生年金被保険者 → 地方公務員共済組合の組合員たる厚生年金保険の被保険者
4 第4号厚生年金被保険者 → 私立学校教職員共済制度の加入者たる厚生年金保険の被保険者
② 健康保険の傷病手当金の1日当たりの金額は、平成28年4月1日に改正されました。
端数処理もチェックしておきましょう。
支給開始日の属する月以前の直近の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額を30で除した額(→ 5円未満切捨て、5円以上10円未満10円に切り上げ)に3分の2を乗じた額(→ 50銭未満切捨て、50銭以上1円未満1円に切り上げ)です。
③ 国民年金第3号被保険者が、個人型確定拠出年金に加入できるようになったのは、平成29年1月1日です。
④ 老齢基礎年金の年金請求について、マイナンバーでも行えるようになったのは、平成30年3月5日です。
⑤ 老齢基礎年金の受給資格期間が「10年以上」に短縮されたのは、平成29年8月1日です。
⑥ 国民年金第1号被保険者の産前産後期間の国民年金保険料が免除されるようになったのは平成31年4月1日です。
ちなみに、国民年金法の「保険料納付済期間」は国民年金法第5条第1項で、「第1号被保険者としての被保険者期間のうち納付された保険料(第96条の規定により徴収された保険料を含み、保険料4分の3免除、保険料半額免除、保険料4分の1免除の規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料につきその残余の額が納付又は徴収されたものを除く。)に係るもの及び産前産後期間の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るもの、第2号被保険者としての被保険者期間並びに第3号被保険者としての被保険者期間を合算した期間をいう。」と定義されています。
「産前産後の国民年金保険料免除期間」は保険料免除期間ではなく、保険料納付済期間に入りますので注意しましょう。
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R5-206
我が国の労使間の交渉に関する「平成29年労使間の交渉等に関する実態調査(厚生労働省)」からの問題が、令和元年に出題されました。
今日は令和元年の過去問をみていきます。
※ 解説は、最新の「令和2年労使間の交渉等に関する実態調査」を参照します。
では、過去問をどうぞ!
※出題当時は、「平成29年」労使間の交渉等に関する実態調査からの出題でしたが、今回は「令和2年」版に修正しています。
①【R1年出題】
労働組合と使用者(又は使用者団体)の間で締結される労働協約の締結状況をみると、労働協約を「締結している」労働組合は9割を超えている。
②【R1年出題】
過去3年間(平成29年7月1日から令和2年6月30日の期間)において、労働組合と使用者との間で発生した労働争議の状況をみると、「労働争議があった」労働組合は5%未満になっている。
③【R1年出題】
使用者側との労使関係の維持について労働組合の認識をみると、安定的(「安定的に維持されている」と「おおむね安定的に維持されている」の合計)だとする割合が約4分の3になっている。
【解答】
①【R1年出題】 〇
労働協約を「締結している」93.1%、「締結していない」6.8%となっています。
★「労働協約」とは
労使間で結ばれる労働条件その他に関する取決めを書面により両当事者が署名又は記名押印して作成したもの
②【R1年出題】 〇
「労働争議があった」2.7%、「労働争議がなかった」97.2%となっています。
ちなみに、労働争議がなかった理由(複数回答 主なもの3つまで)は、「対立した案件がなかったため」が最も高くて、次が「対立した案件があったが話合いで解決したため」、「対立した案件があったが労働争議に持ち込むほど重要性がなかったため」となっています。
★労働争議とは
労働組合と使用者側との間で労働関係に関する主張が一致しないで、争議行為が発生若しくは第三者機関が関与したもの(労働委員会によるあっせん、調停、仲裁や都道府県労政主管課及び労政主管事務所の職員による助言等)をいいます。
③【R1年出題】 ×
「安定的に維持されている」51.1%、「おおむね安定的に維持されている」38.8%で、「安定的」と認識している労働組合は89.9%です。約4分の3より多いので、誤りです。
参照:令和2年労使間の交渉等に関する実態調査(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/18-r02gaiyou.html
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R5-205
厚生年金保険法の保険給付は業務上・業務外を問いませんので、障害厚生年金と遺族厚生年金は、業務上の障害や死亡でも支給されます。
その障害や死亡について、労働基準法の災害補償を受ける権利がある場合の調整についてみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第54条第1項 障害厚生年金は、その受給権者が当該傷病について労働基準法第77条の規定による障害補償を受ける権利を取得したときは、6年間、その支給を停止する。
第64条 遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について労働基準法第79条の規定による遺族補償の支給が行われるべきものであるときは、死亡の日から6年間、その支給を停止する。 |
ポイント!
労災保険法との調整ではなく、「労働基準法」の障害補償・遺族補償との調整です。
では、過去問をどうぞ!
①【R1年出題】
遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について労働基準法第79条の規定による遺族補償の支給が行われるべきものであるときは、死亡の日から6年間、その支給を停止する。
②【H28年出題】
障害厚生年金は、その受給権者が当該障害厚生年金に係る傷病と同一の傷病について労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付を受ける権利を取得したときは、6年間その支給を停止する。
【解答】
①【R1年出題】 〇
障害厚生年金にも同じ趣旨の規定があります。
②【H28年出題】 ×
「労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付」ではなく、同一の傷病について「労働基準法第77条の規定による障害補償」を受ける権利を取得したときは、6年間、その支給が停止されます。
★ちなみに、社会保険(国民年金と厚生年金)と労災保険の年金との調整については労災保険法に規定があります。
「同一の事由」で社会保険と労災保険の年金給付が支給される場合は、労災保険の年金が減額され、社会保険の年金は全額支給されます。
労災保険の保険料は全額事業主負担ですが、社会保険は被保険者本人が保険料を負担しているからです。
例えば、業務上の傷病で障害等級に該当する障害の状態にある場合に、同一の傷病によって、労働基準法第77条の障害補償を受ける権利を取得したときは、障害厚生年金は6年間、支給が停止されます。
一方、労働者災害補償保険法による障害補償年金を受ける権利を取得したときは、障害厚生年金は支給停止とはならず全額支給されます。労災保険の障害補償年金は減額されます。
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R5-204
国民年金の第3号被保険者は、第2号被保険者の被扶養配偶者です。
資格取得届などの提出先や提出期限などを確認しましょう。
条文を読んでみましょう。
第12条第5項~9項 5 第3号被保険者は、厚生労働省令の定めるところにより、その資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。ただし、氏名及び住所の変更に関する事項であって厚生労働省令で定めるものについては、この限りでない。 6 届出は、厚生労働省令で定める場合を除き、第1号厚生年金被保険である第2号被保険者の被扶養配偶者である第3号被保険者にあっては、その配偶者である第2号被保険者を使用する事業主を経由して行うものとし、第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者である第2号被保険者の被扶養配偶者である第3号被保険者にあっては、その配偶者である第2号被保険者を組合員又は加入者とする国家公務員共済組合、地方公務員共済組合又は日本私立学校振興・共済事業団を経由して行うものとする。 7 第2号被保険者を使用する事業主とは、第1号厚生年金被保険者である第2号被保険者を使用する事業所の事業主をいう。 8 第2号被保険者を使用する事業主は、経由に係る事務の一部を当該事業主が設立する健康保険組合に委託することができる。 9 届出が第2号被保険者を使用する事業主又は国家公務員共済組合、地方公務員共済組合若しくは日本私立学校振興・共済事業団に受理されたときは、その受理されたときに厚生労働大臣に届出があったものとみなす。 |
ポイント!
・ 第3号被保険者の届出先は「厚生労働大臣」です。
・ 届出は、事業主、共済組合等を経由します。
「第1号厚生年金被保険者である第2号被保険者の被扶養配偶者」の場合 →第2号被保険者を使用する事業主を経由します。
「第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者、第4号厚生年金被保険者である第2号被保険者の被扶養配偶者」の場合 → 国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、日本私立学校振興・共済事業団を経由します。
・ 第2号被保険者を使用する事業主は、経由に係る事務の「一部」を「健康保険組合」に委託できます。→委託できるのは事務の「一部」です。「全部」は委託できませんので注意して下さい。
・ 届出が事業主又は国家公務員共済組合、地方公務員共済組合若しくは日本私立学校振興・共済事業団に受理されたときは、その受理されたときに厚生労働大臣に届出があったものとみなされます。
では、過去問をどうぞ!
①【R3年出題】
被保険者資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項の届出が必要な場合には、第1号被保険者は市町村長(特別区の区長を含む。)に、第3号被保険者は厚生労働大臣に、届け出なければならない。
②【H29年出題】
第1号厚生年金被保険者である第2号被保険者の被扶養配偶者が20歳に達し、第3号被保険者となるときは、14日以内に資格取得の届出を日本年金機構に提出しなければならない。
③【R1年出題】
第3号被保険者の資格取得の届出が、第2号被保険者を使用する事業主又は国家公務員共済組合、地方公務員共済組合若しくは日本私立学校振興・共済事業団に受理されたときは、その受理されたときに厚生労働大臣に届出があったものとみなされる。
④【H29年出題】
第1号厚生年金被保険者である第2号被保険者を使用する事業主は、当該第2号被保険者の被扶養配偶者である第3号被保険者に係る資格の取得及び喪失並びに種別の変更等に関する事項の届出に係る事務の一部を全国健康保険協会に委託することができるが、当該事業主が設立する健康保険組合に委託することはできない。
【解答】
①【R3年出題】 〇
★被保険者資格の取得及び喪失並びに種別の変更等に関する届出について
・第1号被保険者は → 市町村長(特別区の区長を含む。)に届け出ます。
・第3号被保険者は → 厚生労働大臣に届け出ます。
②【H29年出題】 〇
資格取得の届出は、14日以内に日本年金機構に提出しなければなりません。
※日本年金機構は、厚生労働大臣から権限を委任されて、取得の手続を行います。
(則第1条の4)
以下の届出の提出期限は、第1号被保険者・第3号被保険者ともに「14日以内」です。
・資格取得の届出
・資格喪失の届出
・種別変更の届出
・住所変更の届出
・氏名変更の届出
③【R1年出題】 〇
第3号被保険者の届出のイメージ
第3号被保険者 |
→ → | 事業主 共済組合等 経由 |
→ → → | 厚生労働大臣 (日本年金機構) |
|
| ※受理されたときに厚生労働大臣に届出があったものとみなされます。 |
|
|
④【H29年出題】 ×
届出に係る事務の一部を「健康保険組合」に委託することがきます。全国健康保険協会には委託できません。
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R5-203
健康保険の強制適用事業所は、以下の通りです。
・常時5人以上の従業員を使用する個人経営の法定17業種の事業の事業所 ・国、地方公共団体又は法人の事業所であって、常時従業員を使用するもの |
★ 国、地方公共団体の事業所も、健康保険の強制適用事業所になることがポイントです。
強制適用事業所に使用される従業員は、当然、健康保険の被保険者となります。そのため、国、地方公共団体に使用される人も健康保険の被保険者となります。
国や地方公共団体に使用される人は、健康保険の被保険者ですが、同時に共済組合の組合員でもあります。
両方から保険給付が行われることのないように、健康保険法では共済組合に関する特例が規定されています。
条文を読んでみましょう。
第200条 (共済組合に関する特例) 1 国に使用される被保険者、地方公共団体の事務所に使用される被保険者又は法人に使用される被保険者であって共済組合の組合員であるものに対しては、健康保険法による保険給付は、行わない。 2 共済組合の給付の種類及び程度は、健康保険法の給付の種類及び程度以上であることを要する。 |
共済組合の組合員に対しては、健康保険の保険給付は行われません。
※特例の対象になるのは、国家公務員共済組合の組合員、地方公務員共済組合の組合員、私立学校教職員共済の加入者です。
では、過去問をどうぞ!
①【H20年出題】
法律によって組織された共済組合の組合員は、共済組合の組合員資格を有したまま健康保険の被保険者となることはない。
②【R1年出題】
国に使用される被保険者であって、健康保険法の給付の種類及び程度以上である共済組合の組合員であるものに対しては、同法による保険給付を行わない。
【解答】
①【H20年出題】 ×
共済組合の組合員は、共済組合の組合員資格を有したまま健康保険の被保険者と「なります」。
しかし、健康保険法からの保険給付は行われません。
②【R1年出題】 〇
「共済組合の給付の種類及び程度は、健康保険法の給付の種類及び程度以上であることを要する。」と規定されています。
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R5-202
継続事業と一括有期事業は、保険年度単位で労働保険料を申告・納付します。
概算保険料は、保険年度の6月1日から40日以内に、申告・納付します。
今日は、概算保険料の計算式を確認しましょう。
条文を読んでみましょう。
法第15条、則第24条 事業主は、保険年度ごとに、次に掲げる労働保険料を、その労働保険料の額その他厚生労働省令で定める事項を記載した申告書に添えて、その保険年度の6月1日から40日以内(保険年度の中途に保険関係が成立したものについては、当該保険関係が成立した日から50日以内)に納付しなければならない。 ・その保険年度に使用するすべての労働者(保険年度の中途に保険関係が成立したものについては、当該保険関係が成立した日からその保険年度の末日までに使用するすべての労働者)に係る賃金総額(その額に1000円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)の見込額(当該保険年度の保険料算定基礎額の見込額が、直前の保険年度の保険料算定基礎額の100分の50以上100分の200以下である場合にあっては、直前の保険年度に使用したすべての労働者に係る賃金総額)に当該事業についての一般保険料率を乗じて算定した一般保険料 ※特別加入者がいない場合の条文です。 |
ポイント!
・ 概算保険料(原則)=その保険年度の賃金総額の見込額×一般保険料率です。
・ 概算保険料は、その保険年度の賃金総額の「見込額」を使って計算するのが原則です。
ただし、当該保険年度の賃金総額の見込額が、直前の保険年度の賃金総額の「100分の50以上100分の200以下」の場合は、「直前の保険年度の賃金総額」を使います。
・ 保険年度の中途に保険関係が成立した場合は、成立日から保険年度の末日までの賃金総額の見込額で計算します。
では、過去問をどうぞ!
①【R1年出題】(労災)
継続事業で特別加入者がいない場合の概算保険料は、その保険年度に使用するすべての労働者(保険年度の中途に保険関係が成立したものについては、当該保険関係が成立した日からその保険年度の末日までに使用するすべての労働者)に係る賃金総額(その額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。以下本肢において同じ。)の見込額が、直前の保険年度の賃金総額の100分の50以上100分の200以下である場合は、直前の保険年度に使用したすべての労働者に係る賃金総額に当該事業についての一般保険料にかかる保険料率を乗じて算定する。
②【R3年出題】(雇用)
(前提条件)
保険関係成立年月日:令和元年7月10日
事業の種類:食料品製造業
令和2年度及び3年度の労災保険率:1000分の6
令和2年度及び3年度の雇用保険率:1000分の9
令和元年度の確定賃金総額:4,000万円
令和2年度に支払いが見込まれていた賃金総額:7,400万円
令和2年度の確定賃金総額:7,600万円
令和3年度に支払いが見込まれる賃金総額:3,600万円
(問題)
令和2年度における賃金総額はその年度当初には7,400万円が見込まれていたので、当該年度の概算保険料については、下記の算式により算定し、111万円とされた。
7,400万円×1000分の15=111万円
【解答】
①【R1年出題】 〇
概算保険料は、その保険年度の賃金総額の見込額が、直前の保険年度の賃金総額の100分の50以上100分の200以下である場合は、直前の保険年度の賃金総額に一般保険料料率を乗じて算定します。
また、賃金総額については、1,000円未満切捨てです。
②【R3年出題】 ×
令和2年度の賃金総額の見込額は7,400万円で、直前の保険年度(令和元年度)の確定賃金総額4,000万円の100分の50以上100分の200以下の範囲内です。
そのため、令和2年度の概算保険料は、その保険年度の賃金総額の見込額ではなく、直前の保険年度の賃金総額で算定します。
算式は、4,000万円×1000分の15=60万円となります。
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R5-201
基本手当は、被保険者が失業した場合に、原則として離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あるときに支給されます。
※特定受給資格者・特定理由離職者については、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あれば受給資格ができます。
★今日のテーマ★ 例えば、今回離職したB社の前に、A社で被保険者であった期間がある場合、A社の被保険者であった期間をB社の被保険者であった期間に通算できるか否かが今日のテーマです。
条文を読んでみましょう。
法第14条第2項 被保険者期間を計算する場合において、次に掲げる期間は、被保険者であった期間に含めない。 1 最後に被保険者となった日前に、当該被保険者が受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格を取得したことがある場合には、当該受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格に係る離職の日以前における被保険者であった期間 2 (今日は省略します) |
★ 今回の離職前に、受給資格等を取得したことがある場合は、今回の被保険者であった期間に含まれません。
| 2年 | ||
A社 13か月 |
| B社 5か月 | |
B社の離職の日以前2年間に、A社の被保険者であった期間があります。
しかし、A社の離職で受給資格の決定を受けている場合は、B社の離職で被保険者期間を算定する際の被保険者であった期間には、通算できません。
では、過去問をどうぞ!
①【H26年出題】
最後に被保険者となった日前に、当該被保険者が高年齢受給資格を取得したことがある場合には、当該高年齢受給資格に係る離職の日以前における被保険者であった期間は、被保険者期間に含まれない。
②【R1年出題】
最後に被保険者となった日前に、当該被保険者が特例受給資格を取得したことがある場合においては、当該特例受給資格に係る離職の日以前における被保険者であった期間は、被保険者期間に含まれる。
【解答】
①【H26年出題】 〇
最後に被保険者となった日前に、当該被保険者が受給資格、高年齢受給資格、特例受給資格の決定を受けた事がある場合における当該受給資格、高年齢受給資格、特例受給資格に係る離職の日以前の被保険者であった期間は、今回の被保険者期間には含まれません。
ポイント!
★当該受給資格、高年齢受給資格、特例受給資格に基づいて基本手当、高年齢求職者給付金、特例一時金を受給したか否かは問いません。
(行政手引50103(3))
②【R1年出題】 ×
最後に被保険者となった日前に、当該被保険者が特例受給資格を取得したことがある場合は、当該特例受給資格に係る離職の日以前の被保険者であった期間は、被保険者期間に含まれません。特例一時金を受給したか否かは問われません。
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R5-200
★「特別支給金」とは
労災保険の保険給付の上乗せとして支給される給付です。
「社会復帰促進等事業」の中の「被災労働者等援護事業」の事業の一つとして行われています。
特別支給金には、「一般の特別支給金」と「ボーナス特別支給金」の2種類があります。
ボーナス特別支給金 |
一般の特別支給金 |
保険給付 |
例えば、「傷病補償年金」(保険給付)には、特別支給金として「傷病特別支給金」(一般の特別支給金)と「傷病特別年金」(ボーナス特別支給金)が上乗せされます。
傷病特別年金 |
傷病特別支給金 |
傷病補償年金 |
過去問をどうぞ!
①【R1年出題】
傷病特別支給金の支給額は、傷病等級に応じて定額であり、傷病等級第1級の場合は、114万円である。
②【R2年出題】
労災保険特別支給金支給規則第6条第1項に定める特別支給金の額の算定に用いる算定基礎年額は、負傷又は発病の日以前1年間(雇入後1年に満たない者については、雇入後の期間)に当該労働者に対して支払われた特別給与(労働基準法第12条第4項の3か月を超える期間ごとに支払われる賃金をいう。)の総額とするのが原則であるが、いわゆるスライド率(労災保険法第8条の3第1項第2号の厚生労働大臣が定める率)が適用される場合でも、算定基礎年額が150万円を超えることはない。
③【R1年出題】
特別加入者にも、傷病特別支給金に加え、特別給与を算定基礎とする傷病特別年金が支給されることがある。
【解答】
①【R1年出題】 〇
「傷病特別支給金」は傷病補償年金に上乗せされる一般の特別支給金です。
傷病特別支給金は、傷病等級に応じた定額です。第1級114万円、第2級107万円、第3級100万円です。
②【R2年出題】 〇
例えば、傷病補償年金の上乗せとして、「傷病特別支給金」と「傷病特別年金」があります。
「傷病特別支給金」は、①の問題でみましたように定額です。
「傷病特別年金」は、「算定基礎日額」を使って算定します。算定基礎日額は、算定基礎年額÷365日で計算します。
算定基礎年額は、負傷又は発病の日以前1年間の特別給与額の総額(直近1年間のボーナスの総額です)とするのが原則です。
(例外)
「給付基礎年額(給付基礎日額×365日)の20%に相当する額」と「特別給与の総額」を比較して、少ない方が算定基礎年額となります。
ただし、150万円を超える場合は、算定基礎年額は150万円となります。
そのため、問題文にもありますように、算定基礎年額が150万円を超えることはありません。
(特別支給金支給規則第6条第1項)
ちなみに、傷病特別年金の額は
1級 算定基礎日額×313日分
2級 算定基礎日額×277日分
3級 算定基礎日額×245日分
です。
③【R1年出題】 ×
特別加入者には、ボーナス特別支給金は支給されませんので、傷病特別支給金は支給されますが、傷病特別年金は支給されません。
特別加入者には、賃金やボーナスの概念がないためです。
(特別支給金支給規則第19条)
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R5-199
労働者を雇い入れた際は、事業者には健康診断の実施が義務づけられています。
条文を読んでみましょう。
則第43条 (雇入時の健康診断) 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、所定の項目について医師による健康診断を行わなければならない。 ただし、医師による健康診断を受けた後、3月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。 |
雇入れ時の健康診断の対象は、「常時使用する労働者」です。
では、過去問をどうぞ!
①【H27年出題】
常時使用する労働者に対して、事業者に実施することが義務づけられている健康診断は、通常の労働者と同じ所定労働時間で働く労働者であっても1年限りの契約で雇い入れた労働者については、その実施義務の対象から外されている。
②【R1年出題】
期間の定めのない労働契約により使用される短時間労働者に対する一般健康診断の実施義務は、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上の場合に課せられているが、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数のおおむね2分の1以上である者に対しても実施することが望ましいとされている。
③【R1年出題】
事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、所定の項目について医師による健康診断を行わなければならないが、医師による健康診断を受けた後、6か月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目については、この限りでない。
④【H17年出題】
労働安全衛生法上、雇入れ時の健康診断の対象となる労働者と雇入れ時の安全衛生教育の対象となる労働者は、いずれも常時使用する労働者である。
【解答】
①【H27年出題】 ×
有期雇用で1年限りの契約でも、「常時使用する労働者」に該当し、雇入れ時の健康診断の対象になります。
(H19.10.1基発第1001016号他)
②【R1年出題】 〇
短時間労働者の場合、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上の場合に、雇入れ時の健康診断の実施義務が課せられます。
なお、1週間の所定労働時間数のおおむね2分の1以上である者に対しても、実施することが「望ましい」とされています。
(H19.10.1基発第1001016号他)
(参考)
★事業主が一般健康診断を行うべき「常時使用する短時間労働者」とは、次の①及び②のいずれの要件をも満たす者とされています。
①期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労働契約により使用される者であって当該契約の契約期間が1年以上(一定の有害業務に従事する短時間労働者にあっては6か月)である者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者及び1年以上引き続き使用されている者を含む)であること。
②その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。
(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行についてより)
③【R1年出題】 ×
6か月ではなく「3か月」です。
医師による健康診断を受けた後3か月以内の者を雇い入れる場合で、その者が結果を証明する書面を提出したときは、その項目については省略できます。
④【H17年出題】 ×
雇入れ時の健康診断の対象となる労働者は「常時使用する労働者」ですが、雇入れ時の安全衛生教育の対象となる労働者は、「すべての労働者」です。
(法第59条第1項)
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R5-198
例えば、外回りのセールスや出張のように、事業場の外で働く場合、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、また、使用者による労働時間の算定が困難な場合があります。
「事業場外労働」についてはみなし労働時間制の制度が設けられています。
では、条文を読んでみましょう。
第38条の2 ① 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。 ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。 ② ①のただし書の場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間を当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする。 ③ 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、②の協定を行政官庁に届け出なければならない。 |
みなし労働時間制とは
→ 使用者には、労働者の労働時間を把握し、算定する義務があります。
しかし、事業場外の労働で、使用者の指揮監督が及ばず、労働時間の算定が困難な場合は、実際に労働した時間ではなく、特定された時間労働したとみなすことができる制度です。
ポイント!
事業場外の労働でも、「労働時間の算定」ができる場合は、みなし労働時間は適用されません。
事業場外労働のみなし労働時間の手順
★原則 「所定労働時間」労働したものとみなされます。
※当該業務を遂行するためには所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合は、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」労働したものとみなされます。
★労使協定で「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」を定めた場合は、労使協定で定めた時間労働したものとみなされます。
では、過去問をどうぞ!
①【H18年出題】
労働基準法第38条の2の規定によれば、労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、原則として所定労働時間労働したものとみなされるが、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされる。この場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間が、当該業務の遂行に通常必要とされる時間とされる。
②【R1年出題】
労働基準法第38条の2に定めるいわゆる事業場外労働のみなし労働時間制に関する労使協定で定める時間が法定労働時間以下である場合には、当該労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出る必要はない。
③【H22年出題】
労働基準法第38条の2に定めるいわゆる事業場外労働のみなし労働時間制は、情報通信機器を用いて行う在宅勤務の場合、どのような要件の下でも、結局は当該通信機器を通じて使用者の管理を受けることとなるため、適用されない。
【解答】
①【H18年出題】 〇
事業場外労働のみなし労働時間制が適用される場合、原則は、「所定労働時間」労働したものとみなされます。例えば、所定労働時間が7時間の場合は、7時間労働したとみなされます。
しかし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされます。例えば当該業務の遂行に通常必要とされる時間が8時間の場合は、8時間労働したとみなされます。
★当該業務に関し、労使協定で当該業務の遂行に通常必要とされる時間を定めた場合は、その時間労働したとみなされます。
②【R1年出題】 〇
事業場外労働のみなし労働時間制に関する労使協定は、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。ただし、労使協定で定める時間が法定労働時間以下の場合は、届出の必要はありません。
(則第24条の2第3項)
③【H22年出題】 ×
在宅勤務でも事業場外労働のみなし労働時間制が適用される場合があります。
「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインについて」(令和3.3.25基発0325第2号/雇均発0325第3号/)を確認しましょう。
↓
事業場外みなし労働時間制は、労働者が事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定することが困難なときに適用される制度であり、使用者の具体的な指揮監督が及ばない事業場外で業務に従事することとなる場合に活用できる制度である。テレワークにおいて一定程度自由な働き方をする労働者にとって、柔軟にテレワークを行うことが可能となる。
テレワークで、事業場外労働のみなし労働時間制が適用されるのは、次の①と②の条件を満たす場合です。
① 情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと ② 随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと |
問題文では「どのような要件の下でも、結局は当該通信機器を通じて使用者の管理を受けることとなるため」となっていますが、情報通信機器を労働者が所持しているからといって制度が適用されないわけではありません。
ガイドラインでは、例えば、勤務時間中に、労働者が自分の意思で通信回線自体を切断することができる場合は①の要件を満たすとされています。
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R5-197
1か月単位の変形労働時間制を採用した場合、1か月以内の期間を平均し1週間の労働時間が40時間(特例事業場の場合は44時間)を超えなければ、特定の週、特定の日に法定労働時間を超えて労働させることができます。
1か月単位の変形労働時間制の変形期間は1か月以内にすることが条件です。
1週間単位、10日単位、4週間単位なども可能です。
変形期間を1か月にした場合で考えてみましょう。
法定労働時間40時間の事業場で、31日の月なら、1か月の労働時間の総枠は次の式で計算できます。
40時間×31日÷7日 ≒ 177時間
1か月の所定労働時間のトータルが177時間以内なら、平均すると1週間当たりの労働時間が40時間以内となります。
では、過去問をどうぞ!
①【R1年出題】
1か月単位の変形労働時間制により労働者に労働させる場合にはその期間の起算日を定める必要があるが、その期間を1か月とする場合は、毎月1日から月末までの暦月による。
②【R1年出題】
1か月単位の変形労働時間制は、満18歳に満たない者及びその適用除外を請求した育児を行う者については適用しない。
③【R1年出題】
1か月単位の変形労働時間制により所定労働時間が、1日6時間とされていた日の労働時間を当日の業務の都合により8時間まで延長したが、その同一週内の1日10時間とされていた日の労働を8時間に短縮した。この場合、1日6時間とされていた日に延長した2時間の労働は時間外労働にはならない。
④【R1年出題】
1か月単位の変形労働時間制は、就業規則その他これに準ずるものによる定めだけでは足りず、例えば当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合と書面により協定し、かつ、当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる。
⑤【R1年出題】
1か月単位の変形労働時間制においては、1日の労働時間の限度は16時間、1週間の労働時間の限度は60時間の範囲内で各労働日の労働時間を定めなければならない。
【解答】
①【R1年出題】 ×
変形期間を1か月とする場合に、毎月1日から月末までの暦月にするという規定はありません。
例えば、毎月16日を起算日として、16日~翌月15日という1か月でも可能です。
②【R1年出題】 ×
満18歳に満たない者には、原則として変形労働時間制は適用されませんので、その部分については正しいです。
育児を行う者については、適用除外を請求できる規定がありません。
なお、以下のような規定はあります。
則第12条の6 使用者は、1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制又は1週間単位の非定型的変形労働時間制の規定により労働者に労働させる場合には、育児を行う者、老人等の介護を行う者、職業訓練又は教育を受ける者その他特別の配慮を要する者については、これらの者が育児等に必要な時間を確保できるような配慮をしなければならない。 |
★変形労働時間制が適用されると、労働時間の長い週や日が出てきます。使用者は、育児を行う者等については、育児等に必要な時間を確保できるよう配慮しなければなりません。
第66条第1項 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制及び1週間単位の非定型的変形労働時間制の規定にかかわらず、1週間又は1日について法定労働時間を超えて労働させてはならない。 |
★妊産婦が対象の規定です。
例えば、1か月単位の変形労働時間制を採用している場合でも、妊産婦から請求があった場合は、1週間または1日について法定労働時間を超えて労働させることはできません。
③【R1年出題】 〇
1か月単位の変形労働時間制で時間外労働になる部分を確認しましょう。
①1日の時間外労働
→1日8時間を超える時間を定めた日はその時間
それ以外の日は8時間を超えて労働した時間
②1週の時間外労働
→1週40時間(特例事業場は44時間)を超える時間を定めた週はその時間、
それ以外の週は1週40時間(特例事業場は44時間)超えて労働した時間(①で時間外労働となる時間を除く。)
③変形期間時間外労働
→変形期間の法定労働時間総枠(40時間(44時間)×対象期間の暦日数÷7日)
を超えて労働した時間(①又は②で法定時間外労働となる時間を除く。)
問題文のように、所定労働時間が1日6時間(所定労働時間が1日8時間以内)の日で、時間外労働になるのは、8時間を超えて労働した時間です。
6時間の日に2時間延長しても労働時間は8時間ですので、1日あたりの時間外労働は発生しません。
週当たりでみても、2時間延長した日の代わりに同一週内の1日10時間の日の労働時間を2時間短縮しています。1週間当たりの労働時間は増えていませんので、1週間当たりでも時間外労働は発生しません。
④【R1年出題】 ×
1か月単位の変形労働時間制は、「就業規則その他これに準ずるものによる定め」又は「労使協定」で採用できます。「就業規則その他これに準ずるものによる定め」だけでも採用できます。
なお、労使協定で採用した場合は、所轄労働基準監督署長に労使協定を届け出る必要があります。しかし、三六協定とは異なり、労使協定の届出によって効力が発生するわけではありません。
⑤【R1年出題】 ×
1か月単位の変形労働時間制は、1日の労働時間、1週間の労働時間の限度はありません。
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R5-196
今日は令和3年就労条件総合調査の結果をみていきましょう。
令和元年の過去問を解いていきます。
※令和元年当時の問題は「平成28年就労条件総合調査(厚生労働省)」を参照していますが、今日は、「令和3年就労条件総合調査(厚生労働省)」を参照します。
では、過去問をどうぞ!
①【R1年出題】
「労働費用総額」に占める「現金給与額」の割合は約7割、「現金給与以外の労働費用」の割合は約3割となっている。
②【R1年出題】
「現金給与以外の労働費用」に占める割合を企業規模計でみると、「法定福利費」が最も多くなっている。
③【R1年出題】
「法定福利費」に占める割合を企業規模計でみると、「厚生年金保険料」が最も多く、「健康保険料・介護保険料」、「労働保険料」がそれに続いている。
④【R1年出題】
「法定外福利費」に占める割合を企業規模計でみると、「住居に関する費用」が最も多く、「医療保健に関する費用」、「食事に関する費用」がそれに続いている。
⑤【R1年出題】
「法定外福利費」に占める「住居に関する費用」の割合は、企業規模が大きくなるほど高くなっている。
【解答】
①【R1年出題】 ×
「労働費用」とは
→使用者が労働者を雇用することによって生じる一切の費用(企業負担分)のことです。「現金給与額」、「法定福利費」、「法定外福利費」、「現物給与の費用」、「退職給付等の費用」、「教育訓練費」等があります。
令和2年(平成 31(令和元)会計年度)の「労働費用総額」は常用労働者1人1か月平均408,140円です。
「労働費用総額」に占める「現金給与額」の割合は82.0%で、「現金給与以外の労働費用」の割合は18.0%です。
参照「令和3年就労条件総合調査(厚生労働省)」
②【R1年出題】 〇
「法定福利費」とは
→法律で義務づけられている社会保障制度の費用(企業負担分)のこと。
「健康保険料」、「介護保険料」、「厚生年金保険料」、「労働保険料」等があります。
「法定外福利費」とは
→法律で義務付けられていない福利厚生関係の費用のこと。
「住居に関する費用」、「医療保健に関する費用」、「食事に関する費用」等があります。
「現金給与以外の労働費用」に占める割合は「法定福利費」が68.6%で最も多くなっています。
参照「令和3年就労条件総合調査(厚生労働省)」
③【R1年出題】 〇
「法定福利費」に占める割合は、「厚生年金保険料」が55.5%、「健康保険料・介護保険料」が34.8%、「労働保険料」が7.3%となっています。
参照「令和3年就労条件総合調査(厚生労働省)」
④【R1年出題】 〇
「法定外福利費」に占める割合は、「住居に関する費用」が51.4%、「医療保健に関する費用」が14.9%、「食事に関する費用」が10.1%となっています。
参照「令和3年就労条件総合調査(厚生労働省)」
⑤【R1年出題】 〇
「法定外福利費」に占める「住居に関する費用」の割合は、1000人以上規模は70.5%ですが、30~99人規模ですと21.8%です。
参照「令和3年就労条件総合調査(厚生労働省)」
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R5-195
障害厚生年金の受給権発生要件は、次の3つです。
①初診日要件
→ 初診日に厚生年金保険の被保険者であること
②障害認定日要件
→ 障害認定日に障害等級1級~3級に該当していること
③保険料納付要件
→ 初診日の前日の保険料納付状況で判断されます
初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があるときは、保険料納付要件が問われます
①、②、③の要件を満たした場合は、障害認定日に障害厚生年金の受給権が発生します。
★「障害認定日」に障害等級1~3級に該当しない場合は、受給権は発生しません。
ただし、後日、1~3級に該当した場合は、「事後重症」として障害厚生年金を請求することができます。
今日は事後重症のチェックポイントをみていきましょう。
事後重症の条文を読んでみましょう。
第47条の2第1項(事後重症の障害厚生年金) 疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病に係る初診日において被保険者であった者であって、障害認定日において障害等級(1~3級)に該当する程度の障害の状態になかったものが、同日後65歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級(1~3級)に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときは、その者は、その期間内に障害厚生年金の支給を請求することができる。 |
★保険料納付要件を満たしていることが前提です。
チェックポイント!
・障害認定日に1~3級に該当しなかった
↓
・障害認定日後65歳に達する日の前日までに、1~3級に該当した
↓
・その期間内(障害認定日後65歳に達する日の前日まで)に、障害厚生年金を請求すること
↓
・「請求」することによって事後重症の障害厚生年金の受給権が発生します。
※請求した日に受給権が発生します。
年金の支給は、年金を支給すべき事由が生じた月の翌月から始まりますので、事後重症の障害厚生年金は、請求した月の翌月から支給されます。
では、過去問をどうぞ!
①【R1年出題】
傷病に係る初診日に厚生年金保険の被保険者であった者であって、かつ、当該初診日の属する月の前々月までに、国民年金の被保険者期間を有しない者が、障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態になかったが、障害認定日後から65歳に達する日までの間に、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至った場合、その期間内に、障害厚生年金の支給を請求することができる。
②【H26年出題】
いわゆる事後重症による障害厚生年金について、対象となる障害の程度は障害等級1級又は2級に限られ、障害の程度が障害等級3級に該当するに至った場合には請求することができない。
③【R1年出題】
傷病に係る初診日に厚生年金保険の被保険者であった者が、障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態になかったが、その後64歳のときにその傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至った場合、その者が支給繰上げの老齢厚生年金の受給権者であるときは、障害厚生年金の支給を請求することはできない。
【解答】
①【R1年出題】 ×
事後重症の請求の条件は、「障害認定日後から65歳に達する日の「前日」までの間に、障害等級に該当すること」+「その期間内に請求すること」です。
問題文は「前日」が抜けているので誤りです。
②【H26年出題】 ×
事後重症の障害厚生年金は、「障害認定日後65歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったとき」に請求することができます。
厚生年金保険法の「障害等級」は1級、2級、3級です。障害の程度が障害等級3級に該当するに至った場合でも請求することができます。
③【R1年出題】 〇
65歳に達する日の前日までの間にある場合でも、繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者や繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者には、事後重症の障害厚生年金の規定は適用されません。
(法附則第16条の3)
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R5-194
「老齢厚生年金」は、老齢基礎年金の受給資格期間を満たし、かつ、厚生年金保険の被保険者期間が1か月でもあれば、65歳から支給されます。
「特別支給の老齢厚生年金」は、60歳から64歳までの間、特別に支給される老齢厚生年金です。60歳台前半の老齢厚生年金と呼ばれることもあります。
特別支給の老齢厚生年金は、老齢基礎年金の受給資格期間を満たし、かつ、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あることが支給要件です。
条文を読み比べてみましょう。
まず、通常の「老齢厚生年金」の条文です。
第42条 老齢厚生年金は、被保険者期間を有する者が、次の各号のいずれにも該当するに至ったときに、その者に支給する。 1 65歳以上であること。 2 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年以上であること。 |
「被保険者期間を有する者」の部分に注目してください。
厚生年金保険の被保険者期間は「月」単位で算定しますので、1か月でもあれば「被保険者期間を有する者」となります。
次に特別支給の老齢厚生年金の条文です。
法附則第8条 (老齢厚生年金の特例) 当分の間、65歳未満の者(附則第7条の3第1項各号に掲げる者を除く。)が、次の各号のいずれにも該当するに至ったときは、その者に老齢厚生年金を支給する。 1 60歳以上であること。 2 1年以上の被保険者期間を有すること。 3 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年以上であること。 |
特別支給の老齢厚生年金は、「1年以上」の厚生年金保険の被保険者期間が必要です。
では、過去問をどうぞ!
①【R1年出題】
老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている場合であっても、1年以上の厚生年金保険の被保険者期間を有していない場合には、特別支給の老齢厚生年金の受給権は生じない。
②【H24年出題】
老齢厚生年金の受給資格要件を満たす65歳以上の者が老齢厚生年金を受給するためには、厚生年金保険の被保険者期間が1か月以上必要であり、同要件を満たす60歳以上65歳未満の者が特別支給の老齢厚生年金を受給するためには、当該被保険者期間が1年以上必要である。
③【H28年出題】
国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間が25年ある昭和31年4月2日生まれの女性が、60歳となった時点で第1号厚生年金被保険者期間を8か月及び第4号厚生年金被保険者期間を10か月有していた場合であっても、それぞれの種別の厚生年金保険の被保険者期間が1年以上ないため、60歳から特別支給の老齢厚生年金を受給することはできない。
④【H30年出題】
特別支給の老齢厚生年金の受給権者(第1号厚生年金被保険者期間のみを有する者とする。)が65歳に達し、65歳から支給される老齢厚生年金の裁定を受けようとする場合は、新たに老齢厚生年金に係る裁定の請求書を日本年金機構に提出しなければならない。
【解答】
①【R1年出題】 〇
特別支給の老齢厚生年金は、1年以上の厚生年金保険の被保険者期間があることが条件です。
②【H24年出題】 〇
65歳以上の老齢厚生年金は厚生年金保険の被保険者期間が1か月以上あること、60歳以上65歳未満の特別支給の老齢厚生年金は厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あることが条件です。
③【H28年出題】 ×
2以上の種別の被保険者期間を有する場合、「1年以上の被保険者期間」については、2以上の種別の被保険者期間を合算することになっています。
問題文の場合、「第1号厚生年金被保険者期間・8か月」+「第4号厚生年金被保険者期間・10か月」=18か月で厚生年金保険の被保険者期間が1年以上ありますので、特別支給の老齢厚生年金を受給できます。
(法附則第20条)
60歳 62歳 65歳
特別支給の老齢厚生年金(1号分) |
| |
| (4号分) |
|
| 老齢基礎年金 | |
昭和31年4月2日生まれの女性の場合、第1号厚生年金被保険者期間に係る特別支給の老齢厚生年金は60歳から、第4号厚生年金被保険者期間に係る分は62歳から支給されます。
④【H30年出題】 〇
特別支給の老齢厚生年金は有期年金ですので、65歳に達したときに受給権が消滅します。65歳に達すると、新たに終身年金の老齢厚生年金の受給権が発生します。
そのため、特別支給の老齢厚生年金を受給していた人も、65歳で改めて老齢厚生年金に係る裁定の請求書を日本年金機構に提出する必要があります。
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R5-193
老齢基礎年金の繰下げの要件をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第28条第1項 老齢基礎年金の受給権を有する者であって66歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかったものは、厚生労働大臣に当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる。 ただし、その者が65歳に達したときに、他の年金たる給付(他の年金給付(付加年金を除く。)又は厚生年金保険法による年金たる保険給付(老齢を支給事由とするものを除く。)をいう。以下この条において同じ。)の受給権者であったとき、又は65歳に達した日から66歳に達した日までの間において他の年金たる給付の受給権者となったときは、この限りでない。 |
繰下げ申出ができる要件のポイント!
・66歳に達する前に老齢基礎年金を請求していないこと
・65歳に達したときに、他の年金たる給付の受給権者でないこと
・65歳に達した日から66歳に達した日までの間に他の年金たる給付の受給権者となっていないこと
※「他の年金たる給付」とは
他の年金給付(付加年金を除く。)又は厚生年金保険法による年金たる保険給付(老齢を支給事由とするものを除く。)をいいます。
過去問をどうぞ!
①【R1年出題】
65歳に達し老齢基礎年金の受給権を取得した者であって、66歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求しなかった者が、65歳に達した日から66歳に達した日までの間において障害基礎年金の受給権者となったときは、当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができない。
②【H24年出題】
寡婦年金の受給権者であった者は、老齢基礎年金の繰下げ支給を受けることはできない。
③【R1年出題】
老齢厚生年金を受給中である67歳の者が、20歳から60歳までの40年間において保険料納付済期間を有しているが、老齢基礎年金の請求手続きをしていない場合は、老齢基礎年金の支給の繰下げの申出をすることで増額された年金を受給することができる。なお、この者は老齢基礎年金及び老齢厚生年金以外の年金の受給権を有していたことがないものとする。
④【H30年出題】
65歳に達した日後に老齢基礎年金の受給権を取得した場合には、その受給権を取得した日から起算して1年を経過した日前に当該老齢基礎年金を請求していなかったもの(当該老齢基礎年金の受給権を取得したときに、他の年金たる給付の受給権者でなく、かつ当該老齢基礎年金の受給権を取得した日から1年を経過した日までの間において他の年金たる給付の受給権者となっていないものとする。)であっても、厚生労働大臣に当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができない。
【解答】
①【R1年出題】 〇
65歳に達した日から66歳に達した日までの間に他の年金たる給付の受給権者となったときは、繰下げの申出はできません。
65歳に達した日から66歳に達した日までの間において「障害基礎年金」の受給権者となった(=他の年金たる給付の受給権者となったということです)ときは、老齢基礎年金の支給繰下げの申出はできません。
②【H24年出題】 ×
寡婦年金の受給権は65歳に達したときに消滅します。
寡婦年金の受給権者であった者も、老齢基礎年金の繰下げ支給を受けられます。
③【R1年出題】 〇
ポイントその1 「他の年金たる給付」から、「老齢厚生年金」は除かれます。
そのため、「65歳に達したとき」に老齢厚生年金の受給権者でも、また、65歳に達した日から66歳に達した日までの間に老齢厚生年金の受給権者となっても、老齢基礎年金を繰下げることができます。
ポイントその2 老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰下げできます。
老齢厚生年金を65歳から受給し、老齢基礎年金を67歳から繰下げて受けることも可能です。
④【H30年出題】 ×
65歳に達した日後に老齢基礎年金の受給権を取得した場合でも、老齢基礎年金の支給繰下げの申出ができます。
条件は次の通りです。
・老齢基礎年金の受給権を取得した日から起算して1年を経過した日前に老齢基礎年金を請求していないこと
・老齢基礎年金の受給権を取得したときに、他の年金たる給付の受給権者でなく、かつ
当該老齢基礎年金の受給権を取得した日から1年を経過した日までの間において他の年金たる給付の受給権者となっていないこと
(S60 法附則第18条第5項)
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R5-192
産前産後の休業期間中は、健康保険の保険料が免除されます。
条文を読んでみましょう。
第159条の3 産前産後休業をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、その産前産後休業を開始した日の属する月からその産前産後休業が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料を徴収しない。 |
ポイント!
・免除の要件
→ 事業主が保険者等に申出をすること
・免除される期間
→休業を開始した日の属する月から休業が終了する日の翌日が属する月の前月まで
では、過去問をどうぞ!
①【H26年出題】
産前産後休業をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、その産前産後休業を開始した日の属する月からその産前産後休業が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料を徴収しない。
②【R1年出題】
産前産後休業期間中における保険料の免除については、例えば、5月16日に出産(多胎妊娠を除く。)する予定の被保険者が3月25日から出産のため休業していた場合、当該保険料の免除対象は4月分からであるが、実際の出産日が5月10日であった場合は 3月分から免除対象となる。
【解答】
①【H26年出題】 〇
免除されるのは、産前産後休業を開始した日の「属する月」からその産前産後休業が終了する日の「翌日が属する月の前月」までです。
「属する月」と「前月」がチェックポイントです。
ちなみに、事業主負担分、被保険者負担分ともに免除されます。
②【R1年出題】 〇
産前産後休業は、出産日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)、出産日後56日です。
・5月16日が出産予定日で3月25日から休業していました。
5月16日が出産予定日の場合、出産日以前42日は4月5日~ですので、産前産後休業を開始した日の属する月の「4月」から保険料が免除されます。
・しかし、実際は、予定日より前の5月10日に出産しました。
その場合は、実際の出産日以前42日は、3月30日からとなります。
3月25日から休業していますので、保険料免除の開始は、産前産後休業を開始した日の属する月の「3月」に変更されます。
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R5-191
労働保険料には、
・一般保険料
・第1種特別加入保険料
・第2種特別加入保険料
・第3種特別加入保険料
・印紙保険料
・特例納付保険料
があります。
通常の労働者の労働保険料が「一般保険料」です。
一般保険料の額について、条文を読んでみましょう。
第11条 (一般保険料の額) 1 一般保険料の額は、賃金総額に一般保険料に係る保険料率を乗じて得た額とする。 2 「賃金総額」とは、事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額をいう。 3 厚生労働省令で定める事業については、厚生労働省令で定めるところにより算定した額を当該事業に係る賃金総額とする。
|
「一般保険料」の額は、賃金総額×一般保険料率で計算します。
「賃金総額」とは、事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額です。
ただし、「賃金総額」には特例があります。(第3項)
条文を読んでみましょう。
則第12条 (賃金総額の特例) 法第11条第3項の厚生労働省令で定める事業は、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち次の各号に掲げる事業であって、賃金総額を正確に算定することが困難なものとする。 1 請負による建設の事業 2 立木の伐採の事業 3 造林の事業、木炭又は薪を生産する事業その他の林業の事業(立木の伐採の事業を除く。) 4 水産動植物の採捕又は養殖の事業 |
ポイント!
特例が認められるのは、
・労災保険料
・賃金総額を正確に算定することが困難なもの
ですので注意してください。
今日は、「請負による建設の事業」の特例をみていきます。
請負による建設の事業の労災保険料は、下請負人の労働者も含めて賃金総額を算定しなければなりません。
しかし、元請負人が、下請負人の労働者も含めた賃金総額を正確に算定することが困難な場合があるので、特例が認められています。
では、過去問をどうぞ!
①【H30年出題(雇用)】
請負による建設の事業に係る賃金総額については、常に厚生労働省令で定めるところにより算定した額を当該事業の賃金総額とすることとしている。
②【R1年出題(労災)】
賃金総額の特例が認められている請負による建設の事業においては、請負金額に労務費率を乗じて得た額が賃金総額となるが、ここにいう請負金額とは、いわゆる請負代金の額そのものをいい、注文者等から支給又は貸与を受けた工事用物の価額等は含まれない。
③【R4年出題(労災)】
労災保険に係る保険関係が成立している請負による建設の事業であって、労働保険徴収法第11条第1項、第2項に規定する賃金総額を正確に算定することが困難なものについては、その事業の種類に従い、請負金額に同法施行規則別表第2に掲げる労務費率を乗じて得た額を賃金総額とするが、その賃金総額の算定に当たっては、消費税等相当額を含まない請負金額を用いる。
【解答】
①【H30年出題(雇用)】 ×
賃金総額の特例が認められるのは、賃金総額を正確に算定することが困難なものです。
請負による建設の事業だから認められるものではありません。
②【R1年出題(労災)】 ×
賃金総額の特例が認められている請負による建設の事業は、「請負金額×労務費率」が賃金総額となります。
請負金額とは、
①事業主が注文者からその事業に使用する工事用の資材の支給を受けたり、又は機械器具等の貸与を受けた場合
→ 支給された物の価格(消費税等相当額を除く。)又は機械器具等の損料(消費税等相当額を除く。)を請負代金の額に加算します。
②機械装置の組み立て又は据付けの事業の場合
→機械装置の価額(消費税等相当額を除く。)は請負代金に加算しません。
請負代金に機械装置の価額(消費税等相当額を除く。)が含まれている場合は、その価額を控除します。
問題文の場合は、注文者等から支給又は貸与を受けた工事用物の価額等を請負代金に加算します。
(則第13条)
③【R4年出題(労災)】 〇
消費税を含まない請負金額を用いて計算します。
(則第13条)
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R5-190
基本手当を受けるには、受給資格者が失業認定日に出頭して失業の認定を受けなければなりません。
しかし、一定の理由で出頭できない場合は、「証明書」で失業の認定を受けることができます。
今日は、証明書による失業の認定をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第15条第4項 受給資格者は、次の各号のいずれかに該当するときは、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭することができなかった理由を記載した証明書を提出することによって、失業の認定を受けることができる。 1 疾病又は負傷のために公共職業安定所に出頭することができなかった場合において、その期間が継続して15日未満であるとき。 2 公共職業安定所の紹介に応じて求人者に面接するために公共職業安定所に出頭することができなかったとき。 3 公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるために公共職業安定所に出頭することができなかったとき。 4 天災その他やむを得ない理由のために公共職業安定所に出頭することができなかったとき。 |
証明書によって失業の認定が受けられるのは、上記の4つの理由に限られます。
では、過去問をどうぞ!
①【H21年出題】
受給資格者が病気のために公共職業安定所に出頭することができなかった場合、その期間が継続して20日であるときは、公共職業安定所に出頭することができなかった理由を記載した証明書を提出することによって、失業の認定を受けることはできない。
②【H28年出題】
求職の申込後に疾病又は負傷のために公共職業安定所に出頭することができない場合において、その期間が継続して15日未満のときは、証明書により失業の認定を受け、基本手当の支給を受けることができるので、傷病手当は支給されない。
③【H25年出題】
受給資格者は、失業の認定日に、民間の職業紹介事業者の紹介に応じて求人者に面接するために公共職業安定所に出頭することができなかったときは、その理由を記載した証明書を提出することによって、公共職業安定所に出頭しなくても、失業の認定を受けることができる。
④【R1年出題】
受給資格者が天災その他やむを得ない理由により公共職業安定所に出頭することができなかったときは、その理由がなくなった最初の失業認定日に出頭することができなかった理由を記載した証明書を提出した場合、当該証明書に記載された期間内に存在した認定日において認定すべき期間をも含めて、失業の認定を行うことができる。
【解答】
①【H21年出題】 〇
病気のために公共職業安定所に出頭することができなかった場合で、証明書によって失業の認定を受け、基本手当が支給されるのは、その期間が継続して15日未満の場合です。
20日の場合は、証明書による失業の認定を受けることはできません。
②【H28年出題】 〇
疾病又は負傷のために公共職業安定所に出頭することができない場合で、その期間が継続して15日未満のときは、証明書により失業の認定を受け、基本手当の支給を受けることができます。基本手当の支給を受けることができる日は、傷病手当は支給されません。
(行政手引53003(3))
③【H25年出題】 ×
面接のために公共職業安定所に出頭することができなかった場合で、証明書によって失業の認定が受けられるのは、「公共職業安定所の紹介」に応じて求人者に面接する場合です。
民間の職業紹介事業者の紹介の場合は、証明書による失業の認定は受けられません。
④【R1年出題】 〇
天災その他やむを得ない理由で公共職業安定所に出頭することができなかったときは、その理由がなくなった「最初の失業認定日」に証明書を提出した場合は、証明書に記載された期間内に存在した認定日において認定すべき期間も「含めて」、失業の認定を行うことができます。
(則第28条、行政手引51401)
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R5-189
失業の認定に係る期間中に、自己の労働による収入があった場合、基本手当の額が調整されます。
条文を読んでみましょう。
第19条 (基本手当の減額) 受給資格者が、失業の認定に係る期間中に自己の労働によって収入を得た場合には、その収入の基礎となった日数(以下「基礎日数」という。)分の基本手当の支給については、次に定めるところによる。 ① 収入の1日分に相当する額から1,310円(控除額)を控除した額と基本手当の日額との合計額(=「合計額」という。)が賃金日額の100分の80に相当する額を超えないとき → 基本手当の日額に基礎日数を乗じて得た額を支給する。 ② 合計額が賃金日額の100分の80に相当する額を超えるとき → 当該超える額(=「超過額」という。)を基本手当の日額から控除した残りの額に基礎日数を乗じて得た額を支給する。 ③ 超過額が基本手当の日額以上であるとき → 基礎日数分の基本手当を支給しない。 |
★「合計額」とは、「(収入の1日分に相当する額-1,310円(控除額))+基本手当の日額」です。
①全額支給
合計額 ≤ 賃金日額×100分の80
→ 基本手当は減額されず、全額支給されます。
②減額支給
合計額 > 賃金日額×100分の80
→ 基本手当は減額されます。基本手当日額から超過額を控除します。
③不支給
超過額 ≧ 基本手当の日額
→ 基本手当は支給されません。
では、過去問をどうぞ!
①【R1年出題】
失業の認定に係る期間中に得た収入によって基本手当が減額される自己の労働は、原則として1日の労働時間が4時間未満のもの(被保険者となる場合を除く。)をいう。
②【H26年出題】
受給資格者が失業の認定に係る期間中に自己の労働によって収入を得た場合、その収入の1日分に相当する額に雇用保険法第19条第2項に定める額を控除した額と基本手当の日額との合計額が賃金日額の100分の80に相当する額を超えないときは、基本手当の日額に100分の80を乗じ、基礎日数を乗じて得た額を支給する。
③【H26年出題】
受給資格者が、失業の認定に係る期間中に自己の労働によって収入を得たときは、収入を得るに至った日の後における最初の失業の認定日に、管轄公共職業安定所長にその収入の額を届け出なければならない。
【解答】
①【R1年出題】 〇
自己の労働による収入とは短時間就労による収入です。原則として1日の労働時間が4時間未満のもの(被保険者となる場合を除く。)で、就職とはいえない程度のものをいいます。
(行政手引51652)
②【H26年出題】 ×
「(収入の1日分に相当する額-控除額)+基本手当の日額」(合計額)が賃金日額の100分の80以下の場合は、基本手当は減額されません。「基本手当の日額に基礎日数を乗じて得た額」が支給されます。
③【H26年出題】 〇
「受給資格者は、失業の認定を受けた期間中に自己の労働によって収入を得たときは、厚生労働省令で定めるところにより、その収入の額その他の事項を公共職業安定所長に届け出」なければなりません。
(法第19条第3項)
届出については、「その者が自己の労働によって収入を得るに至った日の後における最初の失業の認定日に、失業認定申告書により管轄公共職業安定所の長にしなければならない」とされています。
(則第29条)
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R5-188
特別加入者には、「中小事業主等」、「一人親方等・特定作業従事者」、「海外派遣者」の3つの種類があります。
労災保険法は、「労働者」の業務災害や通勤災害などを保護するための保険です。しかし、労働者と同じような業務に従事することの多い中小事業主や一人親方等は、労災保険に特別加入することによって、労働者に準じて保護が受けられます。
また、労災保険は「属地主義」をとっていますので、例えば海外支店に転勤になった海外派遣者は、日本の労災保険の保護は受けられなくなります。しかし、労災保険に特別加入することによって、海外派遣者も労災保険の保護の対象となります。
特別加入者は、原則として労働者と同じ保護が受けられます。
しかし、「一人親方等・特定作業従事者」の一部は、通勤の実態がないなどの理由で通勤災害の保護の対象から除外されます。
今日は、通勤災害の保護の対象から除外される特別加入者を確認しましょう。
通勤災害の保護の対象から除外される特別加入者は以下の一人親方等、特定作業従事者です。(則第46条の22の2)
・自動車を使用して行う旅客若しくは貨物の運送の事業又は原動機付自転車若しくは自転車を使用して行う貨物の運送の事業に従事する者 → 個人タクシー業者、個人貨物運送業者など ・漁船による水産動植物の採捕の事業(船員法第1条に規定する船員が行う事業を除く。)に従事する者 → 漁船による自営の漁業者 ・特定農作業従事者、指定農業機械作業従事者 ・家内労働者 |
ポイント!
・中小事業主等、海外派遣者は、すべて通勤災害の保護の対象です。
・通勤災害の保護から除外されるのは、「一人親方等、特定作業従事者」の「一部」です。全てではありませんので注意しましょう。
では、過去問をどうぞ!
①【H30年選択式】
通勤災害に関する保険給付は、一人親方等及び特定作業従事者の特別加入者のうち、住居と就業の場所との間の往復の状況等を考慮して厚生労働省令で定める者には支給されない。< A >はその一例に該当する。
選択肢
①医薬品の配置販売の事業を行う個人事業者
②介護作業従事者
③個人タクシー事業者
④船員法第1条に規定する船員
②【H26年出題】
特別加入制度において、個人貨物運送業者については通勤災害に関する保険給付は支給されない。
③【H26年出題】
特別加入制度において、家内労働者については通勤災害に関する保険給付は支給されない。
④【H22年出題】
一人親方等の特別加入者のうち、漁船による水産動植物の採捕の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者は、自宅から漁港までの移動が通勤とみなされ、通勤災害に関しても労災保険の適用を受けることができる。
⑤【R3年出題】
労働者を使用しないで行うことを常態とする特別加入者である個人貨物運送業者については、その住居と就業の場所との間の往復の実態を明確に区別できることにかんがみ、通勤災害に関する労災保険の適用を行うものとされている。
【解答】
①【H30年選択式】
③ 個人タクシー事業者
②【H26年出題】 〇
個人貨物運送業者には通勤災害に関する保険給付は支給されません。
③【H26年出題】 〇
家内労働者には通勤災害に関する保険給付は支給されません。
④【H22年出題】 ×
漁船による水産動植物の採捕の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者は、住居と就業の場所との往復の実態が明確でないので、通勤災害に関する保険給付は支給されません。
⑤【R3年出題】 ×
労働者を使用しないで行うことを常態とする特別加入者である個人貨物運送業者は、住居と就業の場所との往復の実態が明確でないので、通勤災害に関する保険給付は支給されません。
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R5-187
今日は、労働者死傷病報告をみていきます。
休業日数が4日以上か4日未満かで、様式が異なります。
条文を読んでみましょう。
則第97条 (労働者死傷病報告) ① 事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、様式第23号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。 ② 休業の日数が4日に満たないときは、事業者は、1月から3月まで、4月から 6月まで、7月から9月まで及び10月から12月までの期間における当該事実について、様式第24号による報告書をそれぞれの期間における最後の月の翌月末日までに、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。 |
・死亡、4日以上の休業の場合 → 「遅滞なく」報告しなければなりません。
・4日未満の休業の場合 → 期間ごとにまとめて報告しなければなりません。
1~3月分 →4月末日まで
4~6月分 →7月末日まで
7~9月分 →10月末日まで
10~12月分 →1月末日まで
では、過去問をどうぞ!
①【H29年出題】
労働者が事業場内における負傷により休業した場合は、その負傷が明らかに業務に起因するものではないと判断される場合であっても、事業者は、労働安全衛生規則第97条の労働者死傷病報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
②【H25年出題】
労働者が事業場内における負傷により休業の日数が2日の休業をしたときは、事業者は、遅滞なく、所定の様式による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
③【R3年出題】
事業者は、労働者が労働災害により死亡し、又は4日以上休業したときは、その発生状況及び原因その他の厚生労働省令で定める事項を各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けることその他の厚生労働省令で定める方法により、労働者に周知させる義務がある。
【解答】
①【H29年出題】 〇
死傷病報告が必要になるのは、以下の場合です。
・労働災害により死亡又は休業した場合
・就業中に負傷、窒息又は急性中毒により死亡又は休業したとき
・事業場内又はその附属建設物内で負傷、窒息又は急性中毒により死亡又は休業したとき
事業場内で負傷により休業した場合は、その負傷が明らかに業務に起因するものではないと判断される場合でも労働者死傷病報告書の提出が必要です。
②【H25年出題】 ×
休業の日数が2日の場合は、 1~3月分は4月末日まで、4~6月分は7月末日まで、 7~9月分は10月末日まで、10~12月分は1月末日が提出期限となります。
なお、死亡又は4日以上の休業の場合は、「遅滞なく」提出しなければなりません。
③【R3年出題】 ×
労働災害により死亡し、又は4日以上休業したときは、遅滞なく、死傷病報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。
労働者への周知義務はありません。
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R5-186
就業規則に定める事項には、「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」があります。
条文を読んでみましょう。
第89条 (作成及び届出の義務) 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
<絶対的必要記載事項> 1 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項 2 賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項 3 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
<相対的必要記載事項> 4 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項 5 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項 6 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項 7 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項 8 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項 9 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項 10表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項 11 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項 |
「絶対的必要記載事項」は必ず就業規則に記載しなければならない事項です。
「相対的必要記載事項」は、定めをする場合は記載が義務づけられる事項です。
過去問をどうぞ!
①【H25年出題】
臨時の賃金等を除く賃金の決定、計算及び支払いの方法に関する事項は、労働基準法第89条において、就業規則のいわゆる絶対的必要記載事項となっている。
②【H28年出題】
退職手当制度を設ける場合には、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法、退職手当の支払いの時期に関する事項について就業規則に規定しておかなければならないが、退職手当について不支給事由又は減額事由を設ける場合に、これらを就業規則に記載しておく必要はない。
③【R3年出題】
欠勤(病気事故)したときに、その日を労働者の請求により年次有給休暇に振り替える取扱いが制度として確立している場合には、当該取扱いについて就業規則に規定する必要はない。
④【H25年出題】
労働基準法第89条の規定により、常時10人以上の労働者を使用するに至った使用者は、同条に規定する事項について就業規則を作成し、所轄労働基準監督署長に届け出なければならないが、従来の慣習が当該事業場の労働者のすべてに適用されるものである場合、当該事項については就業規則に規定しなければならない。
【解答】
①【H25年出題】 〇
賃金の決定、計算及び支払いの方法に関する事項は、絶対的必要記載事項ですので、就業規則に必ず記載しなければなりません。
ちなみに、臨時の賃金等は、「定めをする場合」は就業規則に記載しなければならない「相対的必要記載事項」です。
②【H28年出題】 ×
退職手当は「退職手当の定めをする場合」は、適用される労働者の範囲などを就業規則に記載しなければならない相対的必要記載事項です。
退職手当について不支給事由又は減額事由を設ける場合は、退職手当の決定及び計算の方法に該当しますので、就業規則に記載する必要があります。
(H11.3.31 基発168号)
③【R3年出題】 ×
欠勤(病気事故)したときに、その日を労働者の請求により年次有給休暇に振り替えることは違法ではありません。そのような取扱いが制度として確立している場合には、就業規則に規定する必要があります。
(S63.3.14基発150号)
④【H25年出題】 〇
従来の慣習が「当該事業場の労働者のすべてに適用されるもの」である場合、11号の「当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項については就業規則に規定しなければならない。」に当てはまります。
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R5-185
常時10人以上の労働者を使用する使用者には、就業規則の作成義務があります。
また、就業規則の作成と変更の際には、過半数労働組合又は過半数代表者の意見を聴かなければなりません。
条文を読んでみましょう。
第89条 (作成及び届出の義務) 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。 1 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項 2 賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項 3 退職に関する事項(解雇の事由を含む。) 4 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項 5 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項 6 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項 7 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項 8 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項 9 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項 10 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項 11 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項 |
1から11のうち、1~3は就業規則への記載が義務づけられている「絶対的必要記載事項」、4~11は定めをする場合は記載が義務づけられる「相対的必要記載事項」です。
次に作成の手続について条文を読んでみましょう。
第90条 (作成の手続) ① 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。 ② 使用者は、届出をなすについて、意見を記した書面を添付しなければならない。 |
今日は、作成と変更の際の手続である意見聴取をみていきます。
では、過去問をどうぞ!
①【H21年出題】
使用者は、就業規則の作成だけでなく、その変更についても、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
②【R3年出題】
同一事業場において当該事業場の全労働者の3割について適用される就業規則を別に作成する場合、当該事業場において当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数で組織する労働組合又は当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数を代表する者の意見を聴くことで、労働基準法第90条による意見聴取を行ったこととされる。
③【H30年出題】
同一事業場において、パートタイム労働者について別個の就業規則を作成する場合、就業規則の本則とパートタイム労働者についての就業規則は、それぞれ単独で労働基準法第89条の就業規則となるため、パートタイム労働者に対して同法第90条の意見聴取を行う場合、パートタイム労働者についての就業規則についてのみ行えば足りる。
④【R1年出題】
就業規則の作成又は変更について、使用者は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、それがない場合には労働者の過半数を代表する者と協議決定することが要求されている。
⑤【H27年出題】※行政手続における押印原則の見直しによる修正あり
労働基準法第90条第2項は、就業規則の行政官庁への届出の際に、当該事業場の過半数労働組合、それがない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を記した書面を添付することを使用者に義務づけているが、過半数労働組合もしくは過半数代表者が故意に意見を表明しない場合又は意見書に氏名を記載しない場合は、意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理するよう取り扱うものとされている。
【解答】
①【H21年出題】 〇
就業規則の作成だけでなく、その変更の際も意見聴取が必要です。
②【R3年出題】 ×
同一事業場で、事業場の一部の労働者のみ適用される就業規則を別に作成することもできます。
その場合でも、作成や変更に際しての意見聴取は、当該事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合又は全労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければなりません。
問題文のように、当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数で組織する労働組合又は当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数を代表する者の意見を聴くだけでは、労働基準法第90条による意見聴取を行ったことにはなりません。
(S63.3.14基発150号)
③【H30年出題】 ×
同一事業場で、パートタイム労働者についてのみ適用される別個の就業規則を作成することもできます。その場合、就業規則の本則とパートタイム労働者についての就業規則を合わせたものが「就業規則」となります。それぞれが単独に就業規則となるものではありません。
作成や変更に際しての意見聴取は、当該事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合又は全労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければなりません。
(H11.3.31基発168号)
④【R1年出題】 ×
協議決定は要求されていません。意見を聴けば労働基準法違反になりません。
(S25.3.15基収525号)
なお、意見書の内容が反対意見でも、就業規則の効力には影響はありません。
(S24.3.28基発373号)
⑤【H27年出題】 〇 ※行政手続における押印原則の見直しによる修正あり
就業規則を行政官庁へ届け出る際は、意見書の添付が義務づけられていますが、過半数労働組合もしくは過半数代表者が故意に意見を表明しない場合等は、意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理するよう取り扱うとされています。
(S23.10.30基発1575号)
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R5-184
国民健康保険の対象になるのは、被用者保険(健康保険など)に加入していない人です。
また、国民健康保険の保険者には「都道府県等」と「国民健康保険組合」があります。
今日は、国民健康保険の適用除外を確認しましょう。
条文を読んでみましょう。
第5条 (被保険者) 都道府県の区域内に住所を有する者は、当該都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険の被保険者とする。
第6条 (適用除外) 次の各号のいずれかに該当する者は、都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険(以下「都道府県等が行う国民健康保険」という。)の被保険者としない。 1 健康保険法の規定による被保険者。ただし、日雇特例被保険者を除く。 2 船員保険法の規定による被保険者 3 国家公務員共済組合法又は地方公務員等共済組合法に基づく共済組合の組合員 4 私立学校教職員共済法の規定による私立学校教職員共済制度の加入者 5 健康保険法の規定による被扶養者。ただし、日雇特例被保険者の同法の規定による被扶養者を除く。 6 船員保険法、国家公務員共済組合法又は地方公務員等共済組合法の規定による被扶養者 7 健康保険法の日雇特例被保険者手帳の交付を受け、その手帳に健康保険印紙をはり付けるべき余白がなくなるに至るまでの間にある者及び同法の規定によるその者の被扶養者。 8 高齢者の医療の確保に関する法律の規定による被保険者 9 生活保護法による保護を受けている世帯(その保護を停止されている世帯を除く。)に属する者 10国民健康保険組合の被保険者 11 その他特別の理由がある者で厚生労働省令で定めるもの |
国民健康保険から除外されるのは、以下の通りです。
・健康保険などの被用者保険の被保険者とその被扶養者
・後期高齢者医療の被保険者
・生活保護を受けている人
などです。
では、過去問をどうぞ!
①【R3年出題】
生活保護法による保護を受けている世帯に属する者は、都道府県等が行う国民健康保険の被保険者となる。
②【H20年出題】
高齢者の医療の確保に関する法律の規定による被保険者は、都道府県等が行う国民健康保険の被保険者にならない。
③【H20年出題】
国民健康保険組合の被保険者は、都道府県等が行う国民健康保険の被保険者にならない。
【解答】
①【R3年出題】 ×
生活保護法による保護を受けている世帯(その保護を停止されている世帯を除く。)に属する者は、都道府県等が行う国民健康保険の被保険者となりません。
②【H20年出題】 〇
後期高齢者医療の被保険者は、都道府県等が行う国民健康保険の被保険者になりません。
※なお、後期高齢者医療の被保険者になるのは、次の人です。
・後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する75歳以上の者
・後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する65歳以上75歳未満の者であって、政令で定める程度の障害の状態にある旨の当該後期高齢者医療広域連合の認定を受けたもの
③【H20年出題】 〇
国民健康保険組合の被保険者は、都道府県等が行う国民健康保険の被保険者になりません。
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R5-183
遺族厚生年金の受給権者が「養子」になった場合の受給権が今日のテーマです。
まず、遺族厚生年金の受給権の消滅事由を確認しましょう。
条文を読んでみましょう。
第63条第1項 (遺族厚生年金の失権) 遺族厚生年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する。 1 死亡したとき。 2 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき。 3 直系血族及び直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったとき。 4 離縁によって、死亡した被保険者又は被保険者であった者との親族関係が終了したとき。 |
2について
・婚姻した場合は遺族厚生年金の受給権は消滅します。事実婚でも同様です。
3について
・直系血族及び直系姻族以外の者の養子(事実上の養子も含む)となった場合は、遺族厚生年金の受給権は消滅します。直系血族・直系姻族の養子になっても失権しないのがポイントです。
4について
・離縁で、死亡した人との親族関係が終了した場合は、遺族厚生年金の受給権は消滅します。離縁とは養子縁組の解消です。
※他に、「30歳未満の妻」の失権、「子、孫」の失権、「父母、孫、祖父母」の失権の規定もありますが、今回は省略します。
では、過去問をどうぞ!
①【H26年出題】
遺族厚生年金の受給権は、受給権発生後に直系姻族の養子となった場合であっても、消滅しない。
②【H29年出題】
子の有する遺族厚生年金の受給権は、その子が母と再婚した夫の養子となったときは消滅する。
③【R3年出題】
厚生年金保険の被保険者であった甲には妻の乙と、甲の前妻との間の子である15歳の丙がいたが、甲が死亡したことにより、乙と丙が遺族厚生年金の受給権者となった。その後、丙が乙の養子となった場合、丙の遺族厚生年金の受給権は消滅する。
【解答】
①【H26年出題】 〇
直系姻族の養子となった場合は、遺族厚生年金の受給権は消滅しません。
②【H29年出題】 ×
母と再婚した夫は直系姻族となります。子が母と再婚した夫の養子になっても遺族厚生年金の受給権は消滅しません。
③【R3年出題】 ×
乙は丙の父の妻ですので、丙からみると乙は直系姻族です。丙が乙の養子になっても丙の遺族厚生年金の受給権は消滅しません。
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R5-182
国民年金の被保険者には、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の3つの種別があります。
例えば、日本国内に居住する23歳の大学生は第1号被保険者です。卒業し民間企業に就職すると厚生年金保険の被保険者となり、国民年金は第2号被保険者となります。
この場合、第1号被保険者の資格を喪失→第2号被保険者の資格を取得ではなく、第1号被保険者から第2号被保険者に「種別変更」となります。
条文を読んでみましょう。
第11条の2 第1号被保険者としての被保険者期間、第2号被保険者としての被保険者期間又は第3被保険者としての被保険者期間を計算する場合には、被保険者の種別(第1号被保険者、第2号被保険者又は第3号被保険者のいずれであるかの区別をいう。)に変更があった月は、変更後の種別の被保険者であった月とみなす。同一の月において、2回以上にわたり被保険者の種別に変更があったときは、その月は最後の種別の被保険者であった月とみなす。 |
例えば、ある月に、第1号被保険者から第3号被保険者に種別が変更した場合は、その月は、変更後の第3号被保険者であった月とみなされます。
また、ある月に、第2号被保険者→第3号被保険者→第1号被保険者と、2回以上種別に変更があったときは、その月は最後の種別の第1号被保険者であった月とみなされます。
では、過去問をどうぞ!
①【R3年出題】
第3号被保険者が被扶養配偶者でなくなった時点において、第1号被保険者又は第2号被保険者に該当するときは、種別の変更となり、国民年金の被保険者資格は喪失しない。
②【H30年出題】
被保険者期間の計算において、第1号被保険者から第2号被保険者に種別の変更があった月と同一月に更に第3号被保険者への種別の変更があった場合、当該月は第2号被保険者であった月とみなす。なお、第3号被保険者への種別の変更が当該月における最後の種別の変更であるものとする。
③【H24年出題】
被保険者期間の計算において、同一の月に種別変更が1回あり、第1号被保険者から第3号被保険者になった月につき、すでに第1号被保険者としての保険料が納付されている場合は、当該月は第1号被保険者とみなす。
【解答】
①【R3年出題】 〇
例えば、第3号被保険者が被扶養配偶者でなくなった時点で、第1号被保険者に該当するときは、第1号被保険者に種別の変更となります。国民年金の被保険者資格は喪失しません。
その後、第1号被保険者のまま60歳に達したときは、60歳に達した日に国民年金の資格を喪失します。
②【H30年出題】 ×
同一の月に、2回以上、被保険者の種別に変更があったときは、その月は最後の種別の被保険者であった月とみなされます。問題文の場合は、「第3号被保険者」であった月とみなされます。
③【H24年出題】 ×
第1号被保険者から第3号被保険者になった月は、「第3号被保険者」であった月とみなされます。すでに第1号被保険者としての保険料が納付されている場合でも、第1号被保険者とはみなされません。
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R5-181
健康保険の被保険者となる「短時間労働者」の範囲を確認しましょう。
同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間又は1月の所定労働日数が4分の3未満で、次の要件に当てはまる人です。
①週の所定労働時間が20時間以上
②賃金の月額が8.8万円以上
③学生でない
④特定適用事業所又は任意特定適用事業所に使用されている
では、定時決定の条文を読んでみましょう。
第41条第1項 (定時決定) 保険者等は、被保険者が毎年7月1日現に使用される事業所において同日前3月間(その事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が17日(短時間労働者にあっては、11日。)未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。 |
定時決定は、4月、5月、6月の報酬の平均をとるのが原則です。ただし、その中に報酬支払の基礎となった日数が17日未満の月がある場合は、その月は除かれます。
短時間労働者の場合は、17日が「11日」となります。短時間労働者の定時決定は、「11日未満の月」を除いて平均を出します。
※随時改定、育児休業等を終了した際の改定、産前産後休業を終了した際の改定についても、短時間労働者は「11日」となります。
では、過去問をどうぞ!
①【H29年出題】
特定適用事業所において被保険者である短時間労働者の標準報酬月額の定時決定は、報酬支払いの基礎となった日数が11日未満である月があるときは、その月を除いて行う。また、標準報酬月額の随時改定は、継続した3か月間において、各月とも報酬支払いの基礎となった日数が11日以上でなければ、その対象とはならない。
※本問における短時間労働者とは、1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満である者又は1か月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1か月間の所定労働日数の4分の3未満である者のことをいう。
②【R3年出題】
特定適用事業所に使用される短時間労働者の被保険者の報酬支払の基礎となった日数が4月は11日、5月は15日、6月は16日であった場合、報酬支払の基礎となった日数が15日以上の月である5月及び6月の報酬月額の平均額をもとにその年の標準報酬月額の定時決定を行う。
【解答】
①【H29年出題】 〇
・短時間労働者の定時決定
→ 報酬支払いの基礎となった日数が11日未満の月は、除きます。
・短時間労働者の随時改定
→ 継続した3か月間の各月とも報酬支払いの基礎となった日数が11日以上でなければ、随時改定は行われません。
②【R3年出題】 ×
短時間労働者の定時決定では、報酬支払いの基礎となった日数が11日未満の月は除いて行われます。
問題文の場合、4月は11日、5月は15日、6月は16日で、すべて11日以上ですので、4月・5月・6月の報酬月額の平均額をもとにその年の標準報酬月額の定時決定を行います。
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R5-180
今日は、概算保険料の認定決定と確定保険料の認定決定をみていきます。
それぞれの違いに注意しましょう。
条文を読んでみましょう。
法第15条第3項(概算保険料の認定決定) 政府は、事業主が概算保険料申告書を提出しないとき、又はその申告書の記載に誤りがあると認めるときは、労働保険料の額を決定し、これを事業主に通知する。
法第19条第4項(確定保険料の認定決定) 政府は、事業主が確定保険料申告書を提出しないとき、又はその申告書の記載に誤りがあると認めるときは、労働保険料の額を決定し、これを事業主に通知する。 |
認定決定は、申告書を提出しないとき、申告書の記載に誤りがあるときに行われます。
では、過去問をどうぞ!
①【R3年出題(労災)】
概算保険料の納付は事業主による申告納付方式がとられているが、事業主が所定の期限までに概算保険料申告書を提出しないとき、又はその申告書の記載に誤りがあると認めるときは、都道府県労働局歳入徴収官が労働保険料の額を決定し、これを事業主に通知する。
②【H25年出題(雇用)】
事業主が所定の納期限までに概算保険料申告書を提出しなかったことにより、所轄都道府県労働局歳入徴収官が行う認定決定の通知は、納入告知書によって行われる。
③【H25年出題(雇用)】
事業主が所定の納期限までに確定保険料申告書を提出しなかったことにより、所轄都道府県労働局歳入徴収官が行う認定決定の通知は、納入告知書によって行われる。
④【R3年出題(労災)】
事業主の納付した概算保険料の額が、労働保険徴収法第15条第3項の規定により政府の決定した概算保険料の額に足りないとき、事業主はその不足額を同項の規定による通知を受けた日の翌日から起算して15日以内に納付しなければならない。
⑤【H26年出題(雇用)】
事業主が、所定の期限までに概算保険料申告書を提出しなかったことにより、所轄都道府県労働局歳入徴収官より納付すべき保険料の額の通知を受けたときは、当該事業主は、通知された労働保険料の額及び当該保険料の額(その額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てる。)に100分の10を乗じて得た額の追徴金を納付しなければならない。
【解答】
①【R3年出題(労災)】 〇
概算保険料の認定決定についての問題です。
認定決定を行うのは都道府県労働局歳入徴収官です。
②【H25年出題(雇用)】 ×
概算保険料の認定決定の通知は、納入告知書ではなく「納付書」によって行われます。
(則第38条第4項)
③【H25年出題(雇用)】 〇
確定保険料の認定決定の通知は、「納入告知書」によって行われます。
(則第38条第5項)
★「納付書」と「納入告知書」について
則第38条第4項で以下のように定められています。
「労働保険料(印紙保険料を除く。)その他法の規定による徴収金の納付は、納入告知書に係るものを除き納付書によって行なわなければならない。」
★原則は「納付書」です。例外の「納入告知書」によって行われるものをおぼえましょう。
「納入告知書」で行われるものは次の4つです。
①有期事業のメリット制の差額徴収、②認定決定された確定保険料とその追徴金、③印紙保険料の認定決定とその追徴金、④特例納付保険料
上記以外は「納付書」で行われます。
④【R3年出題(労災)】 〇
認定決定された概算保険料の不足額の納期限は、通知を受けた日から15日以内です。翌日から起算するのがポイントです。
(法第15条第4項)
ちなみに、認定決定された確定保険料の不足額の納期限も同じです。
(法第19条第5項)
⑤【H26年出題(雇用)】 ×
概算保険料の認定決定の場合は、追徴金は徴収されません。
「確定保険料」の認定決定については、追徴金が徴収されます。
(法第21条)
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R5-179
短期雇用特例被保険者が失業した場合、「特例一時金」が支給されます。
今日は、「特例一時金」の要件をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第39条第1項 (特例受給資格) 特例一時金は、短期雇用特例被保険者が失業した場合において、原則として離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上であったときに、支給する。 |
★特例一時金を受けることができる資格のことを「特例受給資格」といいます。
★特例一時金の額は、基本手当日額に相当する額の30日分(当分の間40日分)です。
では、過去問をどうぞ!
①【R3問5-A】
特例一時金の支給を受けようとする特例受給資格者は、離職の日の翌日から起算して6か月を経過する日までに、公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした上、失業の認定を受けなければならない。
②【R3問5-B】
特例一時金の支給を受けることができる期間内において、短期雇用特例被保険者が疾病又は負傷により職業に就くことができない期間がある場合には、当該特例一時金の支給を受けることができる特例受給資格に係る離職の日の翌日から起算して3か月を上限として受給期限が延長される。
③【R3問5-C】
特例一時金は、特例受給資格者が当該特例一時金に係る離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、失業している日(疾病又は負傷のため職業に就くことができない日を含む。)が通算して7日に満たない間は、支給しない。
④【R3問5-D】
短期雇用特例被保険者が、同一暦月においてA事業所において賃金支払の基礎となった日数が11日以上で離職し、直ちにB事業所に就職して、B事業所においてもその月に賃金支払の基礎となった日数が11日以上ある場合、被保険者期間は1か月として計算される。
⑤【R3問5-E】
特例受給資格者が、当該特例受給資格に基づく特例一時金の支給を受ける前に公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等(その期間が40日以上2年以内のものに限る。)を受ける場合には、当該公共職業訓練等を受け終わる日までの間に限り求職者給付が支給される。
【解答】
①【R3問5-A】 〇
特例一時金を受けることができる期限(受給期限)は、離職の日の翌日から起算して6か月を経過する日です。
(行政手引55151)
②【R3問5-B】 ×
6か月間の受給期限内に、疾病又は負傷により職業に就くことができない期間がある場合でも、受給期限の延長はありません。
(行政手引55151)
③【R3問5-C】 〇
待期の取扱いは、一般の受給資格者と同じです。
(行政手引55755)
④【R3問5-D】 〇
特例受給資格の被保険者期間は、暦月単位で計算するのがポイントです。各月に賃金の支払の基礎となった日数が11日以上あるときに、その月は被保険者期間の1か月となります。※11日以上の月が6か月ない場合は、賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上であるときは、その月を1か月で計算します。
同一暦月に、A事業所で11日以上、B事業所で11日以上ある場合でも、被保険者期間は2か月ではなく、1か月で計算されます。
(行政手引55104)
⑤【R3問5-E】 〇
特例受給資格者が、当該特例受給資格に基づく特例一時金の支給を受ける前に公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等(その期間が40日以上2年以内のものに限る。)を受ける場合には、特例一時金は支給されません。
一般の受給資格者とみなして、当該公共職業訓練等を受け終わる日までの間に限り一般の受給資格者に対する求職者給付が支給されます。
一般の受給資格者とみなして支給される求職者給付は基本手当、技能習得手当、寄宿手当に限られます。「公共職業訓練等」を受けることに対して支給されますので、傷病手当は入りません。
(行政手引56401)
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R5-178
まず、通勤の定義を条文で確認しましょう。
第7条第2項 通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。
|
、
、
の移動が、通勤として労災保険の保護の対象になります。
は、複数で就業する労働者の事業場間の移動、
は、単身赴任者の赴任先住居と帰省先住居間の移動です。
今日は「単身赴任者の赴任先住居と帰省先住居間の移動」をみていきます。
例えば、大阪に家族を残し、東京に単身赴任している労働者が、大阪の帰省先住居から東京の赴任先住居に移動中に事故にあい負傷した場合、要件を満たせば通勤災害として労災保険の保険給付の対象となります。
では、過去問をどうぞ!
【R3年出題】
配偶者と小学生の子と別居して単身赴任し、月に1~2回、家族の住む自宅に帰っている労働者が、1週間の夏季休暇の1日目は交通機関等の状況等は特段の問題はなかったが単身赴任先で洗濯や買い物等の家事をし、2日目に家族の住む自宅へ帰る途中に交通事故に遭い負傷した。この場合は、通勤災害と認められない。
【解答】
【R3年出題】 〇
赴任先住居と帰省先住居の移動が通勤と認められるか否かのポイントをチェックしましょう。
・移動に反復・継続性が認められること
→ おおむね毎月1回以上の往復行為又は移動がある場合に、「反復・継続性」が認められます。
(H18.3.31基労管発第0331001号・基労補発第0331003号)
・帰省先住居から赴任先住居への移動の場合
→ 業務に就く当日又は前日に行われた場合は、就業との関連性を認めて差し支えない。
※前々日以前に行われた場合は、交通機関の状況等の合理的理由があるときに限り、就業との関連性が認められる。
・赴任先住居から帰省先住居への移動の場合
→ 業務に従事した当日又はその翌日に行われた場合は、就業との関連性を認めて 差し支えない。
※翌々日以後に行われた場合は、交通機関の状況等の合理的理由があるときに限り、就業との関連性が認められる。
(H18.3.31基発第0331042号)
問題文は、交通機関等の状況等に問題はなかったが、夏季休暇の2日目(業務に従事した日の翌々日)に移動しています。そのため就業との関連性が認められませんので、通勤には該当しません。
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R5-177
安全衛生管理体制の全体像をみていきましょう。
今日の過去問には、X市の本社、Y市の食料品製造工場、Z市の2店舗が出てきます。
業種や規模は、企業単位ではなく、事業場ごとで判断します。
では、過去問をどうぞ!
【H29年出題】
次に示す業態をとる株式会社についての安全衛生管理に関する記述のうち、正しいものはどれか。なお、衛生管理者及び産業医については、選任の特例(労働安全衛生規則第8条及び同規則第13条第3項)を考えないものとする。
X市に本社を置き、人事、総務等の管理業務と営業活動を行っている。
使用する労働者数 常時40人
Y市に工場を置き、食料品を製造している。
工場は24時間フル操業で、1グループ150人で構成する4つのグループの計600人の労働者が、1日を3つに区分した時間帯にそれぞれ順次交替で就業するいわゆる4直3交替で、業務に従事している。したがって、この600人の労働者は全て、1月に4回以上輪番で深夜業に従事している。なお、労働基準法第36条第1項ただし書きに規定する健康上特に有害な業務に従事する者はいない。
Z市に2店舗を置き、自社製品を小売している。
Z1店舗 使用する労働者数 常時15人
Z2店舗 使用する労働者数 常時15人(ただし、この事業場のみ、うち 12人は1日4時間労働の短時間労働者)
A X市にある本社には、総括安全衛生管理者、衛生管理者及び産業医を選任しなければならない。
B Y市にある工場には、安全委員会及び衛生委員会を設置しなければならず、それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができるが、産業医については、その工場に専属の者を選任しなければならない。
C Y市にある工場には衛生管理者を3人選任しなければならないが、そのうち少なくとも1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任しなければならない。
D X市にある本社に衛生管理者が選任されていれば、Z市にあるZ1店舗には衛生推進者を選任しなくてもよい。
E Z市にあるZ2店舗には衛生推進者の選任義務はない。
【解答】
A ×
X市にある本社は、施行令第2条(総括安全衛生管理者を選任すべき事業場)第3号の「その他の業種」に該当します。「その他の業種」の場合、総括安全衛生管理者の選任は常時千人以上の労働者を使用する事業場が対象です。
また、衛生管理者及び産業医の選任義務があるのは、常時50人以上を使用する事業場です。
X市にある本社では、総括安全衛生管理者、衛生管理者及び産業医の選任義務はありません。
(令第2条、第4条、第5条)
B 〇
Y市の工場は、常時600人の労働者を使用しています。食料品の製造業の場合、安全委員会は常時100人以上規模、衛生委員会は(業種関係なく)50人以上規模の事業場で設置義務がありますので、安全委員会と衛生委員会の両方の設置が必要です。また、それぞれの委員会に代えて安全衛生委員会を設置することもできます。
産業医については、常時50人以上規模の事業場で選任義務があります。
また、「常時千人以上」の労働者を使用する事業場又は「一定の有害業務に常時500人以上」の労働者を従事させる事業場は、その事業場に専属の者を選任する義務があります。
Y市の工場では、600人の労働者が深夜業に従事していることがポイントです。一定の有害業務には、「深夜業を含む業務」が入っています。深夜業を含む業務に常時600人の労働者を従事させていますので、専属の産業医が必要です。
(法第17条、第18条、第19条、則第13条)
C ×
Y市の工場では衛生管理者を3人選任しなければなりません。
また、「常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働又は労働基準法施行規則第18条第1号、第3号から第5号まで若しくは第9号に掲げる業務に常時30人以上の労働者を従事させるものにあっては、衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任」する必要があります。
上記の業務には、「深夜業を含む業務」が入っていないのがポイントです。衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任する必要はありません。
(則第7条)
D ×
安全衛生管理体制は、「事業場ごと」に適用されますので、本社と店舗は別となります。
Z市にあるZ1店舗では、衛生推進者を選任する義務があります。
ちなみに、本社も10人以上50人未満の規模ですので、衛生管理者ではなく衛生推進者の選任が必要です。
(則第12条の2)
E ×
事業場の人数には、パートタイマー等の数も含まれます。Z市にあるZ2店舗にも衛生推進者の選任義務があります。
(S47.9.18 基発第602号)
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R5-176
総括安全衛生管理者は、その事業場のトップというイメージです。例えば、支店長や工場長などが該当します。
今日は、総括安全衛生管理者の選任要件をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第10条 ① 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は救護に関する措置の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。 1 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。 2 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。 3 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。 4 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。 5 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの ② 総括安全衛生管理者は、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者をもって充てなければならない。 |
ポイント!
総括安全衛生管理者は、「事業場ごと」に選任します。
総括安全衛生管理者の仕事は「統括管理」です。総括管理ではないので注意しましょう。
なお、「業務を統括管理する」とは、「1号~5号に掲げる業務が適切かつ円滑に実施されるよう所要の措置を講じ、かつ、その実施状況を監督する等当該業務について責任をもって取りまとめること」をいいます。
(S47.9.18基発第602号)
では、過去問をどうぞ!
①【H28年選択式】
労働安全衛生法第10条第2項において、「総括安全衛生管理者は、< A >をもって充てなければならない。」とされている。
②【R2年出題】
総括安全衛生管理者は、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者をもって充てなければならないが、必ずしも安全管理者の資格及び衛生管理者の資格を共に有する者のうちから選任しなければならないものではない。
③【H24年出題】
常時120人の労働者を使用する清掃業の事業場の事業者は、総括安全衛生管理者を選任する義務があるが、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者であれば、他に資格等を有していない場合であっても、その者を総括安全衛生管理者に選任し、当該事業場の労働災害を防止するため必要な業務を統括管理させることができる。
【解説】
①【H28年選択式】
A 当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者
「統括管理」がポイントです。
「事業の実施を統括管理する者」とは、「工場長、作業所長等名称の如何を問わず、当該事業場における事業の実施について実質的に統括管理する権限および責任を有する者」をいいます。
(S47.9.18基発第602号)
②【R2年出題】 〇
総括安全衛生管理者の条件は、「事業の実施について実質的に統括管理する権限および責任を有する者」ですので、資格の有無は問われません。
③【H24年出題】 〇
「常時120人の労働者を使用する清掃業の事業場」には、総括安全衛生管理者の選任義務があります。人数は、企業全体の人数ではなく「事業場」の人数です。
当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者であれば、他に資格等は要りません。
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R5-175
今日は、「産前産後休業」をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第65条 (産前産後) ① 使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。 ② 使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。 |
「出産」の範囲は妊娠4カ月以上の分娩をいいます。1か月は28日で計算しますので、4か月以上とは、85日以上のことです。生産だけでなく死産も含まれます。
(S23.12.23基発1885号)
産前6週間は、自然の出産予定日を基準に計算します。出産予定日よりも遅れて出産した場合は、予定日から出産当日までの期間は、産前休業に入ります。
(S25.3.31基収第4057号)
出産予定日 出産日
▼ ▼
予定日以前6週間 | 遅れた日数α日 | 出産日後8週間 |
産前休業(6週間+α日) | 産後休業 |
出産日当日は、産前休業に含まれるのがポイントです。
(S25.3.31 基収第4057号)
では、過去問をどうぞ!
①【R3年出題】
労働基準法第65条の「出産」の範囲に妊娠中絶が含まれることはない。
②【R3年出題】
6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性労働者については、当該女性労働者の請求が産前の休業の条件となっているので、当該女性労働者の請求がなければ、労働基準法第65条第1項による就業禁止に該当しない。
③【R3年出題】
使用者は、産後8週間(女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせる場合は6週間)を経過しない女性を就業させてはならないが、出産当日は、産前6週間に含まれる。
【解答】
①【R3年出題】 ×
妊娠4か月以後に行った妊娠中絶も「出産」の範囲に含まれます。
(S26.4.2 婦発113号)
②【R3年出題】 〇
産前休業(6週間(多胎妊娠の場合は、14週間)は、女性労働者の請求が条件です。女性労働者から請求がなければ、就業させても労働基準法に違反しません。
③【R3年出題】 〇
産後8週間は、女性労働者からの請求の有無にかかわらず、就業させることはできません。産後6週間を経過している+女性労働者から請求があった+その者について医師が支障がないと認めた業務については、就かせることができます。
出産当日は、産前6週間に含まれます。
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R5-174
今日は、妊産婦の労働時間の規定をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第66条 ① 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第32条の2第1項(1か月単位の変形労働時間制)、第32条の4第1項(1年単位の変形労働時間制)及び第43条の5第1項(1週間単位の非定型的労働時間制)の規定にかかわらず、1週間について第32条第1項の労働時間、1日について同条第2項の労働時間を超えて労働させてはならない。 ② 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第33条第1項(災害その他避けることのできない事由により臨時の必要がある場合)及び第3項(公務のため臨時の必要がある場合)並びに第36条第1項(36協定による場合)の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。 ③ 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。 |
ポイントは、①②③すべて「妊産婦が請求した場合」が前提になっている点です。
妊産婦でも、体調や環境は一人一人違いますので、妊産婦からの請求があれば、保護が行われます。
① 変形労働時間制(1か月単位、1年単位、1週間単位)については、妊産婦から請求があれば、1週間又は1日の法定労働時間を超える時間は労働させられません。(変形労働時間制そのものを適用できないという意味ではありません。)
② 妊産婦から請求があれば、時間外又は休日に労働させられません。
③ 妊産婦から請求があれば、深夜労働はさせられません。
では、過去問をどうぞ!
①【H29年出題】
使用者は、すべての妊産婦について、時間外労働、休日労働又は深夜業をさせてはならない。
②【H25年出題】
使用者は、労働基準法第66条第2項の規定に基づき、妊産婦が請求した場合においては、同法第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。
③【R3年出題】
労働基準法第32条又は第40条に定める労働時間の規定は、事業の種類にかかわらず、監督又は管理の地位にある者には適用されないが、当該者が妊産婦であって、前記の労働時間に関する規定を適用するよう当該者から請求があった場合は、当該請求のあった規定については適用される。
④【H17年出題】
使用者は、労働基準法第66条第2項及び第3項の規定により、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)が請求した場合においては、同法第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働、休日労働又は深夜業をさせてはならないが、同法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある妊産婦については、時間外労働、休日労働及び深夜業をさせることができる。
【解答】
①【H29年出題】 ×
時間外労働、休日労働又は深夜業が制限されるのは、「妊産婦が請求した場合」です。すべての妊産婦ではありません。請求しない妊産婦については制限されません。
②【H25年出題】 〇
「妊産婦が請求した場合」がポイントです。
③【R3年出題】 ×
監督又は管理の地位にある者には労働時間の規定の適用がありません。そのため、監督又は管理の地位にある妊産婦には、第66条第1項、第2項は適用されませんので、「時間外労働・休日労働をしない」という請求はできません。
④【H17年出題】 ×
第41条に該当する者には、労働時間、休日、休憩の規定は適用されませんが、深夜業の規定は適用されます。
監督又は管理の地位にある妊産婦については、第66条第3項「使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。」の規定は適用されますので、監督又は管理の地位にある妊産婦から請求があれば、深夜業をさせることはできません。
(昭61.3.20基発第151号)
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R5-173
過去問を解きながら、確定拠出年金のポイントをみていきましょう。
では、過去問をどうぞ!
①【R3問6-A】
企業型年金加入者の資格を取得した月にその資格を喪失した者は、その資格を取得した月のみ、企業型年金加入者となる。
②【R3問6-B】
企業型年金において、事業主は、政令で定めるところにより、年1回以上、定期的に掛金を拠出する。
③【R3問6-C】
企業型年金加入者掛金の額は、企業型年金規約で定めるところにより、企業型年金加入者が決定し、又は変更する。
④【R3問6-D】
国民年金法第7条第1項第3号に規定する第3号被保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、国民年金基金連合会に申し出て、個人型年金加入者となることができる。
⑤【R3問6-E】
個人型年金加入者期間を計算する場合には、個人型年金加入者の資格を喪失した後、さらにその資格を取得した者については、前後の個人型年金加入者期間を合算する。
【解答】
①【R3問6-A】 ×
法第12条で、企業型年金加入者の資格を取得した月にその資格を喪失した者は、「その資格を取得した日にさかのぼって、企業型年金加入者でなかったものとみなす。」と規定されています。
(法第12条)
②【R3問6-B】 〇
法第19条第1項で、企業型年金において、事業主は、政令で定めるところにより、「年1回以上」、定期的に掛金を拠出すると規定されています。「年1回以上」がポイントです。
なお、第19条第3項で、「企業型年金加入者は、政令で定める基準に従い企業型年金規約で定めるところにより、年1回以上、定期的に自ら掛金を拠出することができる。」と規定されていて、企業型年金加入者も自ら掛金を拠出することができます。
語尾にも注目してください。事業主は「掛金を拠出する」ですが、企業型年金加入者の方は「掛金を拠出することができる」で任意になっていることにも注意してください。
③【R3問6-C】 〇
企業型年金加入者掛金は、自ら掛金を拠出することができますが、企業型年金加入者掛金の額は、企業型年金規約で定めるところにより、「企業型年金加入者が決定し、又は変更する。」とされています。(法第19条第3項)
なお、事業主掛金の額は、「企業型年金規約で定めるものとする。ただし、簡易企業型年金に係る事業主掛金の額については、政令で定める基準に従い企業型年金規約で定める額とする。」とされています。(法第19条第2項)
④【R3問6-D】 〇
国民年金第3号被保険者も、個人型年金加入者となることができます。
(法第62条)
⑤【R3問6-E】 〇
個人型年金加入者期間については、条文を読んでみましょう。
第63条第1項、第2項
① 個人型年金加入者期間を計算する場合には、月によるものとし、個人型年金加入者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。
② 個人型年金加入者の資格を喪失した後、さらにその資格を取得した者については、前後の個人型年金加入者期間を合算する。
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R5-172
遺族厚生年金の「死亡した者」の要件をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第58条第1項 遺族厚生年金は、被保険者又は被保険者であった者が次の各号のいずれかに該当する場合に、その者の遺族に支給する。
(保険料納付要件) ・ ・(特例)令和8年4月1日前に死亡した者の死亡については、当該死亡日の前日において当該死亡日の属する月の前々月までの1年間のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がない場合でも保険料納付要件を満たす。ただし、当該死亡に係る者が当該死亡日において65歳未満である場合に限る。 |
<保険料納付要件について>
・死亡日の前日の保険料納付要件が問われるのは、(被保険者の死亡=在職中の死亡)と
(在職中に初診日がある傷病により初診日から5年以内の死亡)の場合です。
は障害厚生年金の裁定時に保険料納付要件を満たしているため、
は保険料納付済期間+保険料免除期間(+合算対象期間)で25年以上あるため、死亡日の前日の保険料納付要件は問われません。
<短期要件と長期要件>
から
を「短期要件」、
を「長期要件」といいます。今日は触れませんが、年金額の計算のルールが異なります。
では、過去問をどうぞ!
①【R2年出題】
被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したときは、死亡した者が遺族厚生年金の保険料納付要件を満たしていれば、死亡の当時、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。
②【R1年出題】
障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡したときは、遺族厚生年金の支給要件について、死亡した当該受給権者の保険料納付要件が問われることはない。
③【H23年出題】
障害等級3級に該当する障害厚生年金の受給権者である被保険者が死亡したときは、保険料納付要件を満たしていない場合であっても、その者の遺族に遺族厚生年金を支給する。
③【R3年出題】
厚生年金保険の被保険者であった甲は令和3年4月1日に厚生年金保険の被保険者資格を喪失したが、厚生年金保険の被保険者期間中である令和3年3月15日に初診日がある傷病により令和3年8月1日に死亡した(死亡時の年齢は50歳であった。)。この場合、甲について国民年金の被保険者期間があり、当該国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が、当該国民年金の被保険者期間の3分の2未満であっても、令和2年7月から令和3年6月までの間に保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がないときには、遺族厚生年金の支給対象となる。
④【R3年出題】
老齢厚生年金の受給権者(被保険者ではないものとする。)が死亡した場合、国民年金法に規定する保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年であったとしても、その期間と同法に規定する合算対象期間を合算した期間が25年以上である場合には、厚生年金保険法第58条第4号に規定するいわゆる長期要件に該当する。
【解答】
①【R2年出題】 〇
厚生年金保険の被保険者の資格を喪失後、被保険者であった間に初診日がある傷病で初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したときは、死亡した者について、「保険料納付要件を満たしていること」が条件です。
②【R1年出題】 〇
1級・2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したときは、保険料納付要件は問われません。
③【H23年出題】 ×
1級・2級の障害厚生年金の受給権者が死亡した場合は、保険料納付要件は問われません。しかし、3級の障害厚生年金の受給権者の死亡については、保険料納付要件を満たすことが必要です。
③【R3年出題】 〇
保険料納付要件の特例は、「令和8年4月1日前に死亡していること」、「死亡日に65歳未満」であること、「死亡日の前日に死亡日の属する月の前々月までの1年間のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がない(=滞納期間がない)こと」です。
甲の場合、令和和3年4月1日に厚生年金保険の被保険者資格を喪失していますが、在職中の令和3年3月15日に初診日がある傷病で初診日から5年以内の令和3年8月1日に死亡しています。
甲は、原則の保険料納付要件は満たしていませんが、保険料納付要件の特例を満たしていますので、遺族厚生年金の支給対象となります。
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