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令和5年度の問題より 労働基準法

R6-023

R5.9.19 休憩時間のポイント!

 今日は休憩時間のポイントを見ていきましょう。

 

条文を読んでみましょう。

34条 (休憩)

① 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも458時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない

② 休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない

③ 使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない

 

休憩の3原則を確認しましょう。

①途中に与える

②一斉に与える

③自由に利用させる

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

①【R5年出題】

 休憩時間は、労働基準法第34条第2項により原則として一斉に与えなければならないとされているが、道路による貨物の運送の事業、倉庫における貨物の取扱いの事業には、この規定は適用されない。

 

②【R5年出題】

 一昼夜交替制勤務は労働時間の延長ではなく二日間の所定労働時間を継続して勤務する場合であるから、労働基準法第34条の条文の解釈(一日の労働時間に対する休憩と解する)により一日の所定労働時間に対して1時間以上の休憩を与えるべきものと解して、2時間以上の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないとされている。

 

 

③【R5年出題】

 休憩時間中の外出について所属長の許可を受けさせるのは、事業場内において自由に休息し得る場合には必ずしも労働基準法第34条第3項(休憩時間の自由利用)に違反しない。

 

 

④【R5年出題】

 労働基準法第34条第1項に定める「6時間を超える場合においては少くとも45分」とは、一勤務の実労働時間の総計が6時間を超え8時間までの場合は、その労働時間の途中に少なくとも45分の休憩を与えなければならないという意味であり、休憩時間の置かれる位置は問わない。

 

⑤【R5年出題】

 工場の事務所において、昼食休憩時間に来客当番として待機させた場合、結果的に来客が1人もなかったとしても、休憩時間を与えたことにはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 


【解答】

①【R5年出題】 ×

 休憩時間は、原則として一斉に与えなければなりません。ただし、労使協定がある場合は、一斉に与えなくてもよいことになります。

 なお、以下の業種には一斉付与の原則が適用されませんので、労使協定は不要です。

運輸交通業、商業、金融・広告業、映画・演劇業

通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署の事業(別表第1に掲げる事業を除く。)

(施行規則第31条)

 

 「道路による貨物の運送の事業、倉庫における貨物の取扱いの事業」には、一斉付与の原則が適用されます。

 

②【R5年出題】 × 

 一昼夜交替制勤務でも、労働基準法上は、労働時間の途中に法第34条第1項の休憩を与えればよい、とされています。

S23.5.10基収1582号)

 

 

③【R5年出題】 ○

 休憩時間中の外出について所属長の許可を受けさせるのは、「事業場内で自由に休息し得る」場合には、必ずしも違法にはなりません。

S23.10.30基発1575号)

 

④【R5年出題】 ○

 一勤務の実労働時間の総計が6時間を超え8時間までの場合は、その労働時間の途中に少なくとも45分の休憩を与えなければならないという意味で、6時間を超えた時点で45分という意味ではありません。

S35.5.10基収1582号)

 

 

⑤【R5年出題】 ○

 休憩時間には、単に作業に従事しない手待ち時間は含まれません。休憩時間とは、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間をいいます。

昼食休憩時間に来客当番として待機させた時間は、手待ち時間になり、休憩時間ではなく労働時間となります。

S32.9.13発基17号)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

 https://youtu.be/61TfPY8Yxvo?si=wp0FqM65XnZGLJZO

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令和5年度過去問で解ける問題 労働基準法

R6-013

R5.9.9 一部のみ使用者の責に帰すべき事由による休業の日の休業手当

「過去問」で解ける問題を解説していきます。

今日は、労働基準法です。

 

まず、過去問からどうぞ!

H27年出題】

当該労働者の労働条件は次のとおりである。

  所定労働日:毎週月曜日から金曜日

  所定休日:毎週土曜日及び日曜日

  所定労働時間:1日8時間

  賃金:日給15,000円

  計算された平均賃金:10,000円

(問題)

 使用者の責に帰すべき事由により労働時間が4時間に短縮されたが、その日の賃金として7,500円の支払がなされると、この場合にあっては、使用者は、その賃金の支払に加えて休業手当を支払わなくても違法とならない。

 

 

 

 

 


【解答】 〇

1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責に帰すべき事由による休業がなされた場合にも、その日は平均賃金の100分の60に相当する金額を支払う義務があります。

 現実の労働時間に対する賃金が平均賃金の100分の60に満たない場合は、その差額を支払わなければなりません

S27.8.7基収3445号)

 

 問題文の1日当たりの休業手当は、10,000×100分の606,000円です。

 使用者の責に帰すべき事由で労働時間が4時間になり、その労働時間に対し7,500円が支払われています。

 現実の労働時間に対する賃金が平均賃金の100分の60以上ですので、賃金の支払に加えて休業手当を支払う必要はありません。

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 下記のとおり賃金を支払われている労働者が使用者の責に帰すべき事由により半日休業した場合、労働基準法第26条の休業手当に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  賃  金:日給 110,000

       半日休業とした日の賃金は、半日分の5,000円が支払われた。

  平均賃金:7,000

 

A 使用者は、以下の算式により2,000円の休業手当を支払わなければならない。

7,000円-5,000円=2,000

 

B 半日は出勤し労働に従事させており、労働基準法第26条の休業には該当しないから、使用者は同条の休業手当ではなく通常の1日分の賃金10,000円を支払わなければならない。

 

C 使用者は、以下の算式により1,000円の休業手当を支払わなければならない。

10,000×0.65,000円=1,000

 

D 使用者は、以下の算式により1,200円の休業手当を支払わなければならない。

 (7,000円-5,000円)×0.61,200

 

E 使用者が休業手当として支払うべき金額は発生しない。

 

 

 

 

 

 

 

 


【解答】 E

ポイント!

1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責に帰すべき事由による休業がなされた場合にも、平均賃金の100分の60に相当する金額を支払う義務があります。

★現実の労働時間に対する賃金は5,000円で、平均賃金の100分の607,000円×100分の60)以上です。そのため、使用者が休業手当として支払うべき金額は発生しません。

正しい記述はEです。 

 

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https://youtu.be/-dX3KmpM5YU?si=G_yXGRmpytUbP2np

社労士受験のあれこれ

令和5年度選択式振り返り 労働基準法

R6-003

R5.8.30 労働基準法選択式は時効と判例からでした

令和5年度の選択式を振り返ります。

今日は労働基準法です。

 

Aは時効の問題です。

 

条文を読んでみましょう。

115条 (時効)

 この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から5年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から2年間行わない場合においては、時効によって消滅する。

附則第143条第3

当分の間、「賃金の請求権はこれを行使することができる時から5年間」とあるのは、「退職手当の請求権はこれを行使することができる時から5年間、この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)の請求権はこれを行使することができる時から3年間」とする。

 

★労働基準法の時効について確認しましょう。

・賃金(退職手当を除く) → 5年間(当分の間3年間)

・退職手当 → 5年間

・災害補償その他の請求権 → 2年間

 

Aは、災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)の時効ですので、「2年」となります。

 

 

Bは、年次有給休暇の時季変更権の判例の問題です。

 

 労働者が指定した年次有給休暇の期間が開始し又は経過したのちに、使用者が時季変更権を行使した場合の効力についてです。

 判例では、「労働者の年次有給休暇の請求(時季指定)がその指定した期間の始期にきわめて接近してされたため使用者において時季変更権を行使するか否かを事前に判断する時間的余裕がなかったようなときには、客観的に右時季変更権を行使しうる事由があり、かつ、その行使が遅滞なくされたものであれば、適法な時季変更権行使があったものとしてその効力を認めるのが相当である。」とされています。

(昭和57318最高裁判所第一小法廷)

 

Bは、「客観的に右時季変更権を行使しうる事由があり、かつ、その行使が遅滞なくされたものであれば、適法な時季変更権行使があったものとしてその効力を認める」から、「遅滞なく」が入ります。

 

 

Cは、「労働時間」についての問題です。

同じ論点の問題が過去に出題されていますので確認しましょう。

H22年出題】

 ビルの巡回監視等の業務に従事する労働者の実作業に従事していない仮眠時間についても、労働からの解放が保障されていない場合には労働基準法上の労働時間に当たるとするのが最高裁判所の判例である。

 

解答は「〇」です。

判例では、「労働者が実作業に従事していない仮眠時間であっても、労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているものであって、労働基準法32条の労働時間に当たる。」とされています。

(平成14228最高裁判所第一小法廷)

 

 

 今回のCの問題は、別の判例からの出題ですが、「不活動時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には労基法上の労働時間に当たるというべきである。そして、当該時間において労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず,労働者は使用者の指揮命令下に置かれているというのが相当である。」とされています。

Cには、「労働からの解放」が入ります。

(平成191019最高裁判所第二小法廷) 

 

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https://youtu.be/dASCyTuVwLw?si=tPAnz7CnL0MkS2gp

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労働基準法 全額払の原則

R5-357

R5.8.19 賃金債権放棄の意思表示の効力

 賃金支払5原則の一つに、「全額払いの原則」があります。

 今日は、全額払の原則と賃金債権放棄の意思表示についてみていきます。

 

 賃金支払の原則は次の5つです。

(1) 通貨払い

(2) 直接払い

(3) 全額払い

(4) 毎月1回以上払い

(5) 一定期日払い

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

 賃金にあたる退職金債権放棄の効力について、労働者が賃金にあたる退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、当該意思表示は有効であるとするのが最高裁判所の判例である。

 

 

②【H25年出題】

 退職金は労働者にとって重要な労働条件であり、いわゆる全額払の原則は強行的な規制であるため、労働者が退職に際し退職金債権を放棄する意思表示をしたとしても、同原則の趣旨により、当該意思表示の効力は否定されるとするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

③【H27年出題】

 退職金は労働者の老後の生活のための大切な資金であり、労働者が見返りなくこれを放棄することは通常考えられないことであるから、労働者が退職金債権を放棄する旨の意思表示は、これが労働者の自由な意思に基づくものであるか否かにかかわらず、労働基準法第24条第1項の賃金全額払の原則の趣旨に反し無効であるとするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 〇

就業規則で支給条件が明確に定められている退職金は、労働基準法上の賃金に該当し、「全額払の原則」が適用されます。

・「全額払の原則」の趣旨は、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活をおびやかすことのないようにしてその保護をはかろうとするものです。

・賃金にあたる退職金債権放棄の効力について、労働者が賃金にあたる退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、当該意思表示は有効である、とされています。

(昭和48.1.19最高裁判所第二小法廷 シンガー・ソーイング・メシーン事件)

 

 

②【H25年出題】 ×

 労働者が退職に際し退職金債権を放棄する意思表示をした場合、それが労働者の「自由な意思」に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、「当該意思表示は有効」とするのが、最高裁判所の判例です。

(昭和48.1.19最高裁判所第二小法廷 シンガー・ソーイング・メシーン事件)

 

 

③【H27年出題】 ×

 労働者が退職金債権を放棄する旨の意思表示は、それが労働者の「自由な意思」に基づくものである場合は、その意思表示は「有効」であるとするのが、最高裁判所の判例です。

(昭和48.1.19最高裁判所第二小法廷 シンガー・ソーイング・メシーン事件)

 

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https://youtu.be/5FeOPnmBK_E

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労働基準法 36協定

R5-356

R5.8.18 労働者が時間外労働をする義務

 三六協定の条文を読んでみましょう。

36条第1項 (時間外及び休日の労働)

 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間又は第35条の休日に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる

 

★労使協定の効力について

 労働基準法上の労使協定の効力は、その協定に定めるところによって労働させても労働基準法に違反しないという免罰効果です。

 労働者の民事上の義務は、当該協定から直接生じるものではなく労働協約、就業規則等の根拠が必要です。

(昭和6311日基発第1号)

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H20年選択式】

 使用者が労働者に対し時間外労働を命じる場合について、「労働基準法〔…〕32条の労働時間を延長して労働させることにつき、使用者が、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等と書面による協定(いわゆる三六協定)を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該三六協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めているときは、当該就業規則の規定の内容が< A >ものである限り、それが具体的な労働契約の内容をなすから、右就業規則の規定の適用を受ける労働者は、その定めるところに従い、労働契約に定める労働時間を超えて労働をする義務を負うものと解するを相当とする〔…〕」というのが最高裁判所の判例である。

 

 

②【H27年出題】

 労働基準法第32条の労働時間を延長して労働させることにつき、使用者が、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等と書面による協定(いわゆる36協定)を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該36協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めていたとしても、 36協定は私法上の権利義務を設定する効果を有しないため、当該就業規則の規定の内容が合理的なものであるか否かにかかわらず、労働者は労働契約に定める労働時間を超えて労働をする義務を負わないとするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H20年選択式】

A 合理的な

 

 使用者が、三六協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た

 使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該三六協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めている

 就業規則の規定の内容が合理的なものである限り、それが具体的な労働契約の内容をなす

 労働者は、その定めるところに従い、労働契約に定める労働時間を超えて労働をする義務を負う

(最高一小H31128日 日立製作所武蔵工場事件)

 

 

 

②【H27年出題】 ×

 36協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該36協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めているときは、「当該就業規則の規定の内容が合理的なものである限り」、それが具体的な労働契約の内容をなし、労働者は労働契約に定める労働時間を超えて「労働をする義務を負う」とするのが、最高裁判所の判例です。

(最高一小H31128日 日立製作所武蔵工場事件)

 

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労働基準法 全額払いの原則

R5-333

R5.7.26 最高裁判例 適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺

「賃金支払五原則」を条文で読んでみましょう。

24条 

① 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

② 賃金は、毎月1回以上一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。

 

今日は、全額払いの原則の判例をみてみましょう。

 

過去問をどうぞ!

 

①【R3年出題】

 労働基準法第24条第1項の禁止するところではないと解するのが相当と解される「許さるべき相殺は、過払のあつた時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてされ、また、あらかじめ労働者にそのことが予告されるとか、その額が多額にわたらないとか、要は労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのない場合でなければならない」とするのが最高裁判所の判例である。

 

 

②【H27年出題】

 過払いした賃金を精算ないし調整するため、後に支払わるべき賃金から控除することは、その金額が少額である限り、労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれがないため、労働基準法第24条第1項に違反するものではないとするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

③【H21年選択】

 賃金の過払が生じたときに、使用者がこれを精算ないし調整するため、後に支払われるべき賃金から過払分を控除することについて、「適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺は、[・・・(略)・・・]その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の < A >との関係上不当と認められないものであれば、同項[労働基準法第24条第1項]の禁止するところではないと解するのが相当である」とするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 〇 

 賃金計算の過誤、違算等で、賃金の過払が生ずることがあります。これを精算・調整するため、後に支払われるべき賃金から控除できるとすることは、賃金支払の事務をする上で、合理的理由があるといえます。

 「適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺は、第24条第1項但書によつて除外される場合にあたらなくても、その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の経済生活の安定との関係上不当と認められないものであれば、禁止するところではない」と解されています。

S44.12.18最高裁判所第一小法廷)

 

 

②【H27年出題】 ×

 過払いした賃金を精算ないし調整するため、後に支払わるべき賃金から控除することは、「過払のあつた時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてされ、また、あらかじめ労働者にそのことが予告されるとか、その額が多額にわたらないとか、要は労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのない場合」とされています。

S44.12.18最高裁判所第一小法廷)

 

 

③【H21年選択】

A 経済生活の安定 

 

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https://youtu.be/bC8wYDTXreU

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労働基準法 前借金相殺の禁止

R5-332

R5.7.25 前借金相殺の禁止は「労働することが条件となっている」がポイント

今日は、前借金相殺の禁止規定をみていきます。

 

条文を読んでみましょう。

17条 (前借金相殺の禁止)

 使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。 

 

 第17条の趣旨は、金銭貸借関係と労働関係を完全に分離し金銭貸借関係に基づく身分的拘束関係の発生を防止することです。

S22.9.13発基17号)

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H25年出題】

 労働契約を締結する際に、労働者の親権者が使用者から多額の金銭を借り受けることは、人身売買や労働者の不当な足留めにつながるおそれがあるため、当該労働者の賃金と相殺されるか否かを問わず、労働基準法第17条に違反する。

 

 

②【R3年出題】

 労働基準法第17条にいう「労働することを条件とする前貸の債権」には、労働者が使用者から人的信用に基づいて受ける金融や賃金の前払いのような弁済期の繰上げ等で明らかに身分的拘束を伴わないものも含まれる。

 

 

③【H28年出題】

 労働者が、実質的にみて使用者の強制はなく、真意から相殺の意思表示をした場合でも、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】 ×

 第17条は、「労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺すること」を禁止しています。金銭を借り受けることだけでは、違反しません。

 

 

②【R3年出題】 ×

 労働者が使用者から人的信用に基づいて受ける金融や賃金の前払いのような弁済期の繰上げ等で明らかに身分的拘束を伴わないものは、「労働することを条件とする前貸の債権」には含まれません。

S22.9.13発基17号)

 

 

③【H28年出題】 ×

 「労働者」から意思表示があった場合の相殺は禁止されていません。

 

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https://youtu.be/NMBVGKmbZGE

社労士受験のあれこれ

労働基準法 労働条件の明示

R5-331

R5.7.24 派遣労働者に対する労働条件の明示

https://youtu.be/6yoxOsuFBoM まず、労働条件の明示義務について条文を読んでみましょう。

15条第1項 (労働条件の明示)

 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

 

 労働契約締結の際、使用者は、賃金、労働時間その他の労働条件を明示する義務があります。

 「派遣労働者」に対する労働条件の明示義務は、派遣先、派遣元どちらにあるでしょうか?

 

過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 派遣労働者に対する労働条件の明示は、労働者派遣法における労働基準法の適用に関する特例により派遣先の事業のみを派遣中の労働者を使用する事業とみなして適用することとされている労働時間、休憩、休日等については、派遣先の使用者がその義務を負う。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 ×

 派遣労働者への労働条件の明示については、派遣元が義務を負わない労働時間、休憩、休日等も含めて、労働契約関係にある派遣元に明示義務があります。

 なお、労働者派遣法の労働基準法の適用に関する特例によって、労働時間、休憩、休日等は派遣先の事業が労働基準法に基づく義務を負います。

S61.6.6基発333号)

 

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https://youtu.be/6yoxOsuFBoM

社労士受験のあれこれ

労働基準法 休日

R5-330

R5.7.23 休日の解釈

 「休日」とは、労働義務のない日のことです。

 

 今日は、「休日」の解釈をみていきましょう。

 

 まず、条文を読んでみましょう。

35条 (休日)

① 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。

② ①の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。

 

休日について

・毎週少なくとも1日の休日を与える(原則)

又は

4週間を通じて4日以上の休日を与える(例外・変形休日制)

 

では、過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 労働基準法第35条に定める「一回の休日」は、24時間継続して労働義務から解放するものであれば、起算時点は問わないのが原則である。

 

 

②【H24年出題】

 労働基準法第35条に定める休日は、原則として暦日を意味するものと解されており、例えば、午前8時から翌日の午前8時までの労働と、同じく午前8時から翌日の午前8時までの非番とを繰り返す一昼夜交代勤務の場合に、非番の継続24時間の間労働義務がないとしても、同条の休日を与えたものとは認められない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 ×

 休日とは、「暦日」を指しますので、午前0時から午後12時までの24時間となります。

 24時間連続していれば良いというものではなく、起算時点を問わない、というのは誤りです。

S23.4.5基発535号)

 

 

②【H24年出題】 〇

 一昼夜交代勤務の場合でも「暦日」の休日の原則が適用されます。

 非番の継続24時間は、休日にはなりません。

S23.11.9基収2968号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 解雇制限

R5-329

R5.7.22 解雇制限が適用される条件

今日は、解雇制限が適用される条件を確認しましょう。

 

条文を読んでみましょう。

19条 (解雇制限)

① 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。

 ただし、使用者が、第81条の規定によって打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、この限りでない。

② 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、その事由について行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定を受けなければならない。

 

 今日は、「休業する期間」の部分に注目してください。解雇制限が適用されるのは「休業する期間」です。

 

 

過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 使用者は、労働者が業務上の傷病により治療中であっても、休業しないで就労している場合は、労働基準法第19条による解雇制限を受けない。

 

 

②【R1年出題】

 使用者は、女性労働者が出産予定日より6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)前以内であっても、当該労働者が労働基準法第65条に基づく産前の休業を請求しないで就労している場合は、労働基準法第19条による解雇制限を受けない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 〇

 労働基準法の解雇制限を受けるのは、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために「休業する期間」及びその後30日間ですので、労働者が業務上の傷病により治療中だったとしても、休業しないで就労している場合は、解雇制限は受けません。

 

 

②【R1年出題】 〇

 女性労働者が出産予定日より6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)前以内だったとしても、当該労働者が産前休業を請求しないで就労している場合は、解雇制限は受けません。

S25.6.16基収1526号) 

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 最高裁判例

R5-328

R5.7.21 最高裁判例 研修医は労働者に該当する

 今日は最高裁判例をみていきます。

 

まず、労働者の定義を条文で読んでみましょう。

9

 労働基準法で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

 

 

では、過去問をどうぞ!

H29年出題】

 医科大学付属病院に勤務する研修医が、医師の資質の向上を図ることを目的とする臨床研修のプログラムに従い、臨床研修指導医の指導の下に医療行為等に従事することは、教育的な側面を強く有するものであるため、研修医は労働基準法第9条所定の労働者に当たることはないとするのが、最高裁判所の判例の趣旨である。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H29年出題】 ×

 この判例では、「研修医は労働基準法第9条所定の労働者に当たる」とされました。

 臨床研修の目的は、医師の資質の向上を図ることで、教育的な側面を有しています。しかし、そのプログラムに従い、臨床研修指導医の指導の下に、研修医が医療行為等に従事することを予定しています。

 判例の要旨は、「研修医がこのようにして医療行為等に従事する場合には、これらの行為等は病院の開設者のための労務の遂行という側面を不可避的に有することとなるのであり、病院の開設者の指揮監督の下にこれを行ったと評価することができる限り、上記研修医は労働基準法9条所定の労働者に当たるものというべきである。」となっています。

(平成1763最高裁判所第二小法廷) 

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 休業手当

R5-309

R5.7.2 休業手当支払いのルール

 今日は休業手当の支払ルールです。

 

休業手当について条文を読んでみましょう。

26条 

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

 

 

さっそく過去問をどうぞ!

H27年出題】

 当該労働者の労働条件は次のとおりである。

  所定労働日:毎週月曜日から金曜日

  所定休日:毎週土曜日及び日曜日

  所定労働時間:1日8時間

  賃金:日給15,000

  計算された平均賃金:10,000

① 使用者の責に帰すべき事由によって、水曜日から次の週の火曜日まで1週間休業させた場合、使用者は、7日分の休業手当を支払わなければならない。

 

② 使用者の責に帰すべき事由により労働時間が4時間に短縮されたが、その日の賃金として7,500円の支払がなされると、この場合にあっては、使用者は、その賃金の支払に加えて休業手当を支払わなくても違法とならない。

 

③ 就業規則の定めに則り、日曜日の休日を事業の都合によってあらかじめ振り替えて水曜日を休日とした場合、当該水曜日に休ませても使用者に休業手当を支払う義務は生じない。

 

④ 休業手当の支払義務の対象となる「休業」とは、労働者が労働契約に従って労働の用意をなし、しかも労働の意思をもっているにもかかわらず、その給付の実現が拒否され、又は不可能となった場合をいうから、この「休業」には、事業の全部又は一部が停止される場合にとどまらず、使用者が特定の労働者に対して、その意思に反して、就業を拒否する場合も含まれる。

 

⑤ 休電による休業については、原則として労働基準法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業に該当しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

① ×

 休業手当は、「休日」に支給する義務はありません。

 問題文の場合は、休日を除いた5日分の休業手当を支払わなければなりません。

S24.3.22基収4077号)

 

② 〇

 1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責に帰すべき事由が生じた場合も、その日は平均賃金の100分の60以上を支払わなければなりません。

 実際に労働した時間分の賃金が、平均賃金の100分の60未満の場合は、その差額を支払わなければなりません。

 問題文は、実際に労働した時間の賃金として7,500円が支払われています。平均賃金の100分の60以上が支払われていますので、その賃金の支払に加えて休業手当を支払う必要はありません。

S27.8.7基収3445号)

 

③ 〇

 振り替えによって休日となった水曜日に休業手当を支払う義務はありません。

 

④ 〇

 使用者が特定の労働者に対して、その意思に反して、就業を拒否する場合も、休業手当の支払が必要です。

 

 

⑤ 〇

 休電による休業については、原則として使用者の責に帰すべき事由による休業に該当しませんので、休業手当を支払う義務はありません。

S26.10.11基発696号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 平均賃金

R5-308

R5.7.1 平均賃金の計算方法

平均賃金の算定ルールを確認しましょう。

 

 条文を読んでみましょう。

12条第1項~5

 平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の1によって計算した金額を下ってはならない

1 賃金が、労働した若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60

2 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額

 期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。

 期間中に、次の各号のいずれかに該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、期間及び賃金の総額から控除する。

1 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間

2 産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間

3 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間

4 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に規定する育児休業又は介護休業をした期間

5 試みの使用期間

 賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの算入しない。

 賃金が通貨以外のもので支払われる場合、賃金の総額に算入すべきものの範囲及び評価に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。 

 

平均賃金の計算式(原則)

3か月間の賃金の総額

3か月間の総日数

について → 賃金総額(分子)、日数(分母)の両方から除外する

について → 賃金総額(分子)から除外する

 

平均賃金の最低保障額

3か月間の賃金の総額

×

60

3か月間の労働した日数

100

※最低保障が適用されるのは、日給制、時間給制、出来高払制(請負制)の場合です。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H27年出題】

 平均賃金の計算の基礎となる賃金の総額には、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金、通勤手当及び家族手当は含まれない。

 

②【H27年出題】

 平均賃金の計算において、労働者が労働基準法第7条に基づく公民権の行使により休業した期間は、その日数及びその期間中の賃金を労働基準法第12条第1項及び第2項に規定する期間及び賃金の総額から除外する。

 

③【H27年出題】

 労働災害により休業していた労働者がその災害による傷病が原因で死亡した場合、使用者が遺族補償を行うに当たり必要な平均賃金を算定すべき事由の発生日は、当該労働者が死亡した日である。

 

④【H27年出題】

 賃金締切日が毎月月末と定められていた場合において、例えば731日に算定事由が発生したときは、なお直前の賃金締切日である630日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となる。

 

⑤【H27年出題】

 賃金締切日が、基本給は毎月月末、時間外手当は毎月20日とされている事業場において、例えば625日に算定事由が発生したときは、平均賃金の起算に用いる直前の賃金締切日は、基本給、時間外手当ともに基本給の直前の締切日である531日とし、この日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H27年出題】 ×

 賃金の総額に算入しない賃金は、以下の賃金です。

・臨時の賃金

・3か月を超える期間ごとの賃金(賞与など)

・現物給与で法令・労働協約に基づくもの以外のもの

★「通勤手当及び家族手当」は賃金総額に算入します。

 

②【H27年出題】 ×

 平均賃金の計算の「期間」及び「賃金の総額」から除外するのは以下の期間です。

・ 業務上の負傷、疾病による療養のための休業期間

・ 産前産後の休業期間

・ 使用者の責めに帰すべき事由による休業期間

・ 育児休業又は介護休業期間

・ 試用期間

 

★「公民権の行使により休業した期間」は、その日数とその期間中の賃金は、平均賃金の計算に算入します。

 

③【H27年出題】 ×

 施行規則第48条で「災害補償を行う場合には、死傷の原因たる事故発生の日又は診断によって疾病の発生が確定した日を、平均賃金を算定すべき事由の発生した日とする。」と規定されています。

 遺族補償を行う場合の平均賃金を算定すべき事由の発生日は、「死亡した日」ではありません。

S25.10.19 基収2908号)

 

 

④【H27年出題】 〇

 賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日が起算日となります。

 賃金締切日が毎月月末で、731日に算定事由が発生したときは、6月30日から遡った3か月で算定します。

 

⑤【H27年出題】 × 

 賃金ごとに賃金締切日が異なる場合は、直前の賃金締切日は、それぞれの賃金ごとの賃金締切日です。

 問題文の場合は、基本給は531日、時間外手当は620日となります。

S26.12.27基収5926号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 年次有給休暇の権利

R5-292

R5.6.15 年次有給休暇請求権の行使

 年次有給休暇の発生について、条文を読んでみましょう。

39条第1

 使用者は、その雇入れの日から起算して6か月間継続勤務全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。 

 

 「6か月間継続勤務」+「全労働日の8割以上出勤」の要件を満たせば、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇の権利が発生します。

 「10労働日」に注目してください。

 年次有給休暇の権利を行使すると、その労働日の労働義務は消滅します。

10「労働日」となっているのは、年次有給休暇は労働義務のある日(=労働日)にしか取得できないからです。もともと就労義務のない休日に年次有給休暇を取得することはありえません。

 

では、過去問をどうぞ!

H28年出題】

 休職発令により従来配属されていた所属を離れ、以後は単に会社に籍があるにとどまり、会社に対して全く労働の義務が免除されることとなる場合において、休職発令された者が年次有給休暇を請求したときは、労働義務がない日について年次有給休暇を請求する余地がないことから、これらの休職者は年次有給休暇請求権の行使ができないと解されている。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H28年出題】 〇

 「労働義務がない日について年次有給休暇を請求する余地がない」がポイントです。会社に対して全く労働義務が免除されている場合は、年次有給休暇請求権の行使はできません。

S48.3.6基発120号) 

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 年次有給休暇の残余

R5-291

R5.6.14 所定労働時間が変更になった場合の年次有給休暇の残余

 年次有給休暇は時間単位で与えることができます。

 条文を読んでみましょう。

法第39条第4項 

 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、第1号に掲げる労働者の範囲に属する労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、有給休暇の日数のうち第2号に掲げる日数については、これらの規定にかかわらず、当該協定で定めるところにより時間を単位として有給休暇を与えることができる

1 時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲

2 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(5日以内に限る。)

3 その他厚生労働省令で定める事項

 

 労使協定を締結することにより、年に5日を上限として、時間単位で年次有給休暇を与えることができます。

 

では、過去問をどうぞ!

H28年出題】

 所定労働時間が年の途中で18時間から4時間に変更になった。この時、変更前に年次有給休暇の残余が10日と5時間の労働者であった場合、当該労働者が変更後に取得できる年次有給休暇について、日数の10日は変更にならないが、時間数の方は5時間から3時間に変更される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H28年出題】 〇

 年の途中で所定労働時間数の変更があった場合、時間単位年休の時間数はどのように変わるのでしょうか?又、時間単位の端数が残っていた場合はどのようになるのでしょうか?

  ↓

 時間単位年休として取得できる範囲のうち、1日に満たないため時間単位で保有している部分については、当該労働者の1日の所定労働時間の変動に比例して時間数が変更されます。

 

問題文のように、

・所定労働時間が18時間から4時間に変更になった。

・変更前の年次有給休暇の残余が10日と5時間だった。

 このような場合、変更前は10日と5/8日残っていると考えます。

 1日の所定労働時間が8時間から4時間に変更され、1日の所定労働時間が2分の1になりました。残余の時間もそれに比例して2分の1となります。2.5/4となりますが、 1時間未満の端数を切り上げ、3時間となります。

 

★変更前の残余

10(1日当たりの時間数は8時間)5時間

 

★変更後の残余

10(1日当たりの時間数は4時間)3時間

 

(平成21105日基発10051)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 年次有給休暇の発生要件

R5-290

R5.6.13 年休発生には全労働日の8割以上の出勤が要件

 ①雇入れの日から起算して6か月間継続勤務、②全労働日の8割以上出勤、の要件を満たした場合、年次有給休暇の権利が発生します。

 

 労働義務のある日は、「労働日」、労働義務のない日は「休日」です。「全労働日」とは、所定休日を除いた日のことをいいます。

「全労働日」に対する「出勤した日」の割合が8割以上あることが必要です。

 

 今日は、「全労働日」から除外される日をみていきます。

 通達のポイントを読んでみましょう。

<出勤率の基礎となる全労働日>

★年次有給休暇の請求権の発生について、全労働日の8割出勤を条件としているのは、労働者の勤怠の状況を勘案して、特に出勤率の低い者を除外する立法趣旨です。

1 年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の日数は就業規則その他によって定められた所定休日を除いた日をいいます。

所定の休日に労働させた場合には、その日は、全労働日に含まれません

2 「労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日」は、3に該当する場合を除き、出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれます

3 「労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日」でも、次に掲げる日のように、当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でないものは、全労働日に含まれません

・ 不可抗力による休業日

・ 使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日

・ 正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日

H25.7.10基発07103号)

 

では、過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 全労働日と出勤率を計算するに当たり、法定休日を上回る所定の休日に労働させた場合におけるその日は、全労働日に含まれる。

 

②【H26年選択式】

 最高裁判所は、労働基準法第39条に定める年次有給休暇権の成立要件に係る「全労働日」(同条第1項、第2項)について、次のように判示した。

 「法391項及び2項における前年度の全労働日に係る出勤率が8割以上であることという年次有給休暇権の成立要件は,法の制定時の状況等を踏まえ,労働者の責めに帰すべき事由による欠勤率が特に高い者をその対象から除外する趣旨で定められたものと解される。このような同条1項及び2項の規定の趣旨に照らすと,前年度の総暦日の中で,就業規則や労働協約等に定められた休日以外の不就労日のうち,労働者の責めに帰すべき事由によるとはいえないものは,不可抗力や使用者側に起因する経営,管理上の障害による休業日等のように当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく全労働日から除かれるべきものは別として,上記出勤率の算定に当たっては,出勤日数に算入すべきものとして全労働日に< A >と解するのが相当である。

 無効な解雇の場合のように労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日は,労働者の責めに帰すべき事由によるとはいえない不就労日であり,このような日は使用者の責めに帰すべき事由による不就労日であっても当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく全労働日から除かれるべきものとはいえないから,法391項及び2項における出勤率の算定に当たっては,出勤日数に算入すべきものとして全労働日に< A >というべきである。」

 

(選択肢)

① 含まれるもの  ② 含まれない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 ×

 所定の休日に労働させた日は、全労働日に含まれません。

 

 

②【H26年選択式】

A ①含まれるもの

「労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日」は、例えば、裁判所の判決により解雇が無効と確定した場合や、労働委員会による救済命令を受けて会社が解雇の取消しを行った場合の解雇日から復職日までの不就労日のように、労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日です。

 「労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日」は、出勤率の算定に当たっては、請求の前年度における出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれます。

H25.7.10基発07103号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 均等待遇

R5-276

R5.5.30 第3条の労働条件と雇入れ

 労働基準法第3条では、「国籍、信条、社会的身分」を理由として、労働者を差別することを禁止しています。

 条文を読んでみましょう。

3条 (均等待遇)

 使用者は、労働者の国籍信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない

★今日は、「賃金、労働時間その他の労働条件」に注目します。

 労働条件の中に、賃金、労働時間は当然含まれますが、それ以外の条件は、どこまで含まれるでしょうか?

 

 

では、過去問をどうぞ

①【H30年出題】

 労働基準法第3条にいう「賃金、労働時間その他の労働条件」について、解雇の意思表示そのものは労働条件とはいえないため、労働協約や就業規則等で解雇の理由が規定されていても、「労働条件」にはあたらない。

 

 

②【H28年出題】

 労働基準第3条は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、労働条件について差別することを禁じているが、これは雇入れ後における労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制限する規定ではないとするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

③【H21年出題】

 労働基準法第3条が禁止する労働条件についての差別的取扱いは、雇入れにおける差別も含まれるとするのが最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年出題】 ×

 「その他の労働条件」には、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件も含まれます。

S23.6.16基収1365号、S63.3.14基発150号)

 「解雇の意思表示」そのものは労働条件とはいえません。しかし、労働協約や就業規則等で解雇の理由が規定されている場合は、「労働条件」にあたります。

 

 

②【H28年出題】 〇

ポイント!

・企業者が、労働者を雇用するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件で雇うかについては、原則として自由に決定できる。企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもって雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない

・労働基準法3条は雇入れ後における労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制約する規定ではない

S48.12.12最高裁判所大法廷 三菱樹脂事件)

 

③【H21年出題】 ×

 労働基準法3条は雇入れ後における労働条件についての制限ですので、雇入れそのものを制約する規定ではありません。「雇入れにおける差別も含まれる」の部分が誤りです。

 

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https://youtu.be/34vQJMe3Q6E

社労士受験のあれこれ

労働基準法 1年単位の変形労働時間制

R5-265

R5.5.19 1年単位の変形労働時間制の労働日について

1年単位の変形労働時間制を採用する場合、労使協定で、以下の事項を定めなければなりません。

① 1年単位の変形労働時間の対象になる労働者の範囲

② 対象期間(その期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、1か月を超え1年以内の期間に限るものとする。)

③ 特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間をいう。)

④ 対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間

※対象期間を1か月以上の期間ごとに区分する場合

最初の期間労働日及び当該労働日ごとの労働時間

最初の期間を除く各期間労働日数及び総労働時間

⑤ 有効期間の定め

 

では、過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 労働基準法第32条の4に定めるいわゆる1年単位の変形労働時間制の対象期間は、 1か月を超え1年以内であれば、3か月や6か月でもよい。

 

②【H22年出題】

 労働基準法第32条の4に定めるいわゆる1年単位の変形労働時間制においては、110時間、152時間という労働時間の上限が定められているため、この範囲において労働する限り、どのような場合においても対象期間における各労働日ごとの労働時間をあらかじめ特定しておく必要はない。

 

③【H30年出題】

 いわゆる1年単位の変形労働時間制においては、その労働日について、例えば7月から9月を対象期間の最初の期間とした場合において、この間の総休日数40日と定めた上で、30日の休日はあらかじめ特定するが、残る10日については、「7月から9月までの間に労働者の指定する10日間について休日を与える。」として特定しないことは認められていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 〇

 1年単位の変形労働時間制の「対象期間」は、「その期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、1か月を超え1年以内の期間に限る」とされています。

 対象期間の最長は「1年」ですが、3か月や6か月とすることもできます。

 

 

②【H22年出題】 ×

 労使協定で対象期間における「労働日」と「当該労働日ごとの労働時間」を特定する必要があります。

 ただし、対象期間が長くなりますので、対象期間を1か月以上の期間ごとに区分することとした場合は、労使協定で、「最初の期間」の「労働日及び当該労働日ごとの労働時間」を特定し、「最初の期間を除く各期間」については、「労働日数及び総労働時間」を定めることもできます。

1か月

(最初の期間)

1か月

1か月

1か月

・・・

・労働日

・労働日ごとの労働時間

・労働日数

・総労働時間

・労働日数

・総労働時間

・労働日数

・総労働時間

 

・・・

 

 なお、最初の期間を除く各期間については、当該各期間の初日の少なくとも30日前に、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の同意を得て、書面で、各期間における労働日及び各期間における労働日ごとの労働時間を定めることとされています。

 

 

③【H30年出題】 〇

 労働日と労働日ごとの労働時間はあらかじめ特定しなければなりません。 

 労働日を特定することは、反面、休日を特定することでもあります。

 問題文のように、変形期間開始後にしか休日が特定できない場合は、労働日が特定されたことにはなりません。

H6.5.31基発330号)

 

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https://youtu.be/BSMA8LsGDlo

社労士受験のあれこれ

労働基準法 解雇

R5-248

R5.5.2 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合  

 まず、「解雇制限」の条文を読んでみましょう。

19条 (解雇制限)

① 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30は、解雇してはならない。

ただし、使用者が、第81条の規定によって打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、この限りでない。

② 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

 

<解雇制限期間>

・業務上の傷病のため療養中の期間とその後30日間

・産前産後休業期間とその後の30日間

は、解雇が禁止されています。

★例外

・打切補償を支払う場合

・天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合(→所轄労働基準監督署長の認定が必要です。)

は、解雇制限が解除されます。

 

 今日は、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」をみていきましょう。

ポイント!

「やむを得ない事由」とは

 天災事変に準ずる程度に不可抗力に基づきかつ突発的な事由です。

 事業の経営者として、社会通念上採るべき必要な措置を以てしても通常如何ともなし難いような状況にある場合をいいます。

(昭63.3.14基発150号)

 

では、過去問をどうぞ!

①【R2年出題】

 使用者は、労働者を解雇しようとする場合において、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」には解雇の予告を除外されるが、「天災事変その他やむを得ない事由」には、使用者の重過失による火災で事業場が焼失した場合も含まれる。

 

②【H30年出題】

 使用者は、税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合には、「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」として、労働基準法第65条の規定によって休業する産前産後の女性労働者であっても解雇することができる。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 × 

 「使用者の重過失による火災で事業場が焼失した場合」は含まれません。 

事業場が火災により焼失した場合は、「その他やむを得ない事由」に該当しますが、事業主の故意又は重大な過失に基づく火災の場合は、除かれます。

(昭63.3.14基発150号)

※第19条と第20条の「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」は、同じ意味です。

 

②【H30年出題】 ×

 税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合には、「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」には該当しません。

(昭63.3.14基発150号) 

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 労働時間

R5-236

R5.4.20 「1日」とは?「1週間」とは?

 まず、原則の法定労働時間の条文を読んでみましょう。

32条 (労働時間)

① 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。

② 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

★法第32条第1項で1週間の法定労働時間を規定し、同条第2項で1日の法定労働時間を規定しています。

労働時間の規制は1週間単位の規制を基本として1週間の労働時間を短縮し、1日の労働時間は1週間の労働時間を各日に割り振る場合の上限とする考え方です。

(昭63.1.1基発第1号)

 

 

 「1週間」と「1日」の考え方をみていきましょう。

 

さっそく過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

 労働基準法第32条第2項にいう「1日」とは午前0時から午後12時までのいわゆる暦日をいい、継続勤務が2暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも1勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「1日」の労働とする。

 

 

②【H30年出題】

 労働基準法第32条第1項は、「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。」と定めているが、ここにいう1週間は、例えば、日曜から土曜までと限定されたものではなく、何曜から始まる1週間とするかについては、就業規則等で別に定めることが認められている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 〇

 「1日」とは午前0時から午後12時までのいわゆる暦日をいいます。

 日をまたがって継続勤務した場合は、暦日を異にする場合でも1勤務として取り扱われます。当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「1日」の労働とします。

 例えば、420日(木)、21日(金)のどちらも労働日で、始業時刻が9時の場合で考えてみましょう

420日(木)

421日(金)

 

 

     

20日の残業が21日の午前3時まで及んだ場合、21日の午前3時までの労働は、始業時刻の属する日(20日)の勤務における1日の労働となります。

(昭63.1.1基発第1号)

 

②【H30年出題】 〇

 1週間とは、「就業規則その他に別段の定めがない限り、日曜日から土曜日までのいわゆる暦週」をいいます。

何曜から始まる1週間とするかについて、就業規則等で別に定めることもできます。

(昭63.1.1基発第1号) 

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 労働時間のカウント

R5-222

R5.4.6 時間外労働、休日労働の割増賃金

まず、「法定労働時間」と「法定休日」の条文を読んでみましょう。

32条 (労働時間)

① 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。

② 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

 

※法定労働時間は、原則として「18時間以内、かつ、1 40時間以内」です。

 

35条 (休日)

① 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。

② ①の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。

 

※法定休日は、原則として、「週に1日以上」与えなければなりません。

 

 

では、過去問をどうぞ!

H30年出題】

 労働基準法第35条に定めるいわゆる法定休日を日曜とし、月曜から土曜までを労働日として、休日及び労働時間が次のように定められている製造業の事業場における、労働に関する時間外及び休日の割増賃金に関する記述のうち、正しいものはどれか。

 日  月  火  水  木  金  土

 休  6  6  6  6  6  6

 労働日における労働時間は全て 

 始業時刻:午前10時、終業時刻:午後5時、休憩:午後1時から1時間

 

A 日曜に10時間の労働があると、休日割増賃金の対象になるのは8時間で、8時間を超えた2時間は休日労働に加えて時間外労働も行われたことになるので、割増賃金は、休日労働に対する割増率に時間外労働に対する割増率を加算する必要がある。

 

B 日曜の午後8時から月曜の午前3時まで勤務した場合、その間の労働は全てが休日割増賃金対象の労働になる。

 

 

C 月曜の時間外労働が火曜の午前3時まで及んだ場合、火曜の午前3時までの労働は、月曜の勤務における1日の労働として取り扱われる。

 

 

D 土曜の時間外労働が日曜の午前3時まで及んだ場合、日曜の午前3時までの労働に対する割増賃金は、土曜の勤務における時間外労働時間として計算される。

 

 

E 日曜から水曜までは所定どおりの勤務であったが、木曜から土曜までの3日間の勤務が延長されてそれぞれ10時間ずつ労働したために当該1週間の労働時間が48時間になった場合、土曜における10時間労働の内8時間が割増賃金支払い義務の対象労働になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A ×

 休日には時間外労働の概念がありませんので、8時間を超えても時間外労働の割増率は加算されません。問題文の場合は、10時間すべて休日労働に対する割増率で計算します。

 ちなみに、休日労働が深夜に及んだ場合は、深夜割増を加算する必要があります。

H11.3.31基発第168号)

 

 

B ×

 法定休日の割増賃金は暦日単位で適用されます。

 休日割増で計算するのは日曜の24時までです。月曜の午前0時からは休日ではありませんので、休日割増の対象にはなりません。

 

C 〇

 時間外労働が翌日の労働日に及んだ場合は、暦日で判断するのではなく、前日の労働時間の延長として扱われます。

 火曜の午前3時までは、月曜日の労働時間の延長となり、月曜の勤務における1日の労働として取り扱われます。

S63.1.1基発第1号)

 

 

D ×

 法定休日は「暦日」で適用されます。土曜の時間外労働が日曜の午前3時まで及んだ場合、日曜の午前0時以降は、土曜の勤務における時間外労働時間ではなく、休日労働として計算されます。

 

 

E ×

 

 

時間外

 

 

 

 

 時間外労働となるのは、木曜の金曜の1日の法定労働時間を超えたそれぞれ「2時間」と、1週間の法定労働時間を超えた土曜の4時間です。

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 平均賃金

R5-208

R5.3.23 平均賃金を計算しましょう。

 今日は、平均賃金を計算します。

 まず、条文を読んでみましょう。

12条第1項~5

① 平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の一によって計算した金額を下ってはならない。

1. 賃金が、労働した若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60

2. 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額

② ①の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。

③ ①、②に規定する期間中に、次の各号のいずれかに該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、期間及び賃金の総額から控除する。

1. 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間

2. 産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間

3. 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間

4. 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に規定する育児休業又は介護休業をした期間

5. 試みの使用期間

④ 賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの算入しない

⑤ 賃金が通貨以外のもので支払われる場合、の賃金の総額に算入すべきものの範囲及び評価に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

ポイント!

・ 平均賃金は、原則として次の計算式で算定します。

→算定すべき事由の発生した日以前3か月間の賃金の総額÷その期間の総日数

 ただし、日給、時給、請負制による賃金の場合は、最低保障があります。

 最低保障の計算式→賃金の総額÷その期間中に労働した日数×100分の60

※「総日数」と「労働日数」を区別しましょう。「総日数」は暦上の日数です。例えば、3月なら31日です。

・ 賃金締切日がある場合は、算定事由の発生した日の直前の賃金締切日から起算した3か月で計算します。

・ 次の期間は、平均賃金の計算式の「日数」と「賃金の総額」の両方から控除します。

1.業務上の傷病により休業した期間

2.産前産後の女性の休業期間

3.使用者の責めに帰すべき事由により休業した期間

4.育児休業又は介護休業期間

5.試みの使用期間

・ 次の賃金は「賃金の総額」から除外されます。

 臨時に支払われた賃金

 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(年2回の賞与など)

 通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの

 

 

では、過去問をどうぞ!

R1年問1

 次に示す条件で賃金を支払われてきた労働者について7月20日に、労働基準法第12条に定める平均賃金を算定すべき事由が発生した場合、その平均賃金の計算に関する記述のうち、正しいものはどれか。

<条件>

賃金の構成:基本給、通勤手当、職務手当及び時間外手当

賃金の締切日:基本給、通勤手当及び職務手当については、毎月25日

       時間外手当については、毎月15日

賃金の支払日:賃金締切日の月末

 

A 3月26日から6月25日までを計算期間とする基本給、通勤手当及び職務手当の総額をその期間の暦日数92で除した金額と4月16日から7月15日までを計算期間とする時間外手当の総額をその期間の暦日数91で除した金額を加えた金額が平均賃金になる。

 

B 4月、5月及び6月に支払われた賃金の総額をその計算期間の暦日数92で除した金額が平均賃金になる。

 

C 3月26日から6月25日までを計算期間とする基本給及び職務手当の総額をその期間の暦日数92で除した金額と4月16日から7月15日までを計算期間とする時間外手当の総額をその期間の暦日数91で除した金額を加えた金額が平均賃金になる。

 

D 通勤手当を除いて、4月、5月及び6月に支払われた賃金の総額をその計算期間の暦日数92で除した金額が平均賃金になる。

 

E 時間外手当を除いて、4月、5月及び6月に支払われた賃金の総額をその計算期間の暦日数92で除した金額が平均賃金になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】  

A 〇

 平均賃金は、賃金の締切日がある場合は、直前の賃金締切日から遡る3か月で計算します。

 賃金ごとに賃金締切日が異なる場合は、それぞれの賃金の賃金締切日から遡ります。

 問題文の場合、「基本給、通勤手当及び職務手当」の直前の賃金締切日は625日、「時間外手当」は715日です。

 平均賃金は、((3月26日から6月25日までの基本給、通勤手当及び職務手当の総額)÷92日)+((4月16日から7月15日までの時間外手当の総額)÷91日)で計算します。

S26.12.27 基収5926号)

 

B ×

 賃金によって賃金締切日が異なりますので、Aの問題のように、それぞれの賃金締切日から遡って計算します。

C ×

 「通勤手当」は平均賃金に算入しなければなりません。通勤手当が計算に入っていませんので誤りです。

 

D ×

E ×

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 みなし労働時間

R5-198

R5.3.13 事業場外労働のみなし労働時間制

 例えば、外回りのセールスや出張のように、事業場の外で働く場合、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、また、使用者による労働時間の算定が困難な場合があります。

 「事業場外労働」についてはみなし労働時間制の制度が設けられています。

 

では、条文を読んでみましょう。

38条の2

① 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす

 ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす

② ①のただし書の場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間を当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする。

③ 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、②の協定を行政官庁に届け出なければならない。 

 

みなし労働時間制とは

→ 使用者には、労働者の労働時間を把握し、算定する義務があります。

しかし、事業場外の労働で、使用者の指揮監督が及ばず、労働時間の算定が困難な場合は、実際に労働した時間ではなく、特定された時間労働したとみなすことができる制度です。

ポイント!

 事業場外の労働でも、「労働時間の算定」ができる場合は、みなし労働時間は適用されません。

 

事業場外労働のみなし労働時間の手順

★原則 「所定労働時間」労働したものとみなされます。

※当該業務を遂行するためには所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合は、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」労働したものとみなされます。

★労使協定で「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」を定めた場合は、労使協定で定めた時間労働したものとみなされます。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H18年出題】

 労働基準法第38条の2の規定によれば、労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、原則として所定労働時間労働したものとみなされるが、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされる。この場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間が、当該業務の遂行に通常必要とされる時間とされる。

 

 

②【R1年出題】

 労働基準法第38条の2に定めるいわゆる事業場外労働のみなし労働時間制に関する労使協定で定める時間が法定労働時間以下である場合には、当該労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出る必要はない。

 

 

③【H22年出題】

 労働基準法第38条の2に定めるいわゆる事業場外労働のみなし労働時間制は、情報通信機器を用いて行う在宅勤務の場合、どのような要件の下でも、結局は当該通信機器を通じて使用者の管理を受けることとなるため、適用されない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H18年出題】 〇

 事業場外労働のみなし労働時間制が適用される場合、原則は、「所定労働時間」労働したものとみなされます。例えば、所定労働時間が7時間の場合は、7時間労働したとみなされます。

 しかし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされます。例えば当該業務の遂行に通常必要とされる時間が8時間の場合は、8時間労働したとみなされます。

★当該業務に関し、労使協定で当該業務の遂行に通常必要とされる時間を定めた場合は、その時間労働したとみなされます。

 

 

②【R1年出題】 〇

 事業場外労働のみなし労働時間制に関する労使協定は、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。ただし、労使協定で定める時間が法定労働時間以下の場合は、届出の必要はありません。

(則第24条の23項)

 

③【H22年出題】 ×

 在宅勤務でも事業場外労働のみなし労働時間制が適用される場合があります。

「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインについて」(令和3.3.25基発03252号/雇均発03253号/)を確認しましょう。

 事業場外みなし労働時間制は、労働者が事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定することが困難なときに適用される制度であり、使用者の具体的な指揮監督が及ばない事業場外で業務に従事することとなる場合に活用できる制度である。テレワークにおいて一定程度自由な働き方をする労働者にとって、柔軟にテレワークを行うことが可能となる。

 

 テレワークで、事業場外労働のみなし労働時間制が適用されるのは、次の①と②の条件を満たす場合です。

① 情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと

② 随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと

 問題文では「どのような要件の下でも、結局は当該通信機器を通じて使用者の管理を受けることとなるため」となっていますが、情報通信機器を労働者が所持しているからといって制度が適用されないわけではありません。

 ガイドラインでは、例えば、勤務時間中に、労働者が自分の意思で通信回線自体を切断することができる場合は①の要件を満たすとされています。

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 変形労働時間制

R5-197

R5.3.12 1か月単位の変形労働時間制採用のルール

1か月単位の変形労働時間制を採用した場合、1か月以内の期間を平均し1週間の労働時間が40時間(特例事業場の場合は44時間)を超えなければ、特定の週、特定の日に法定労働時間を超えて労働させることができます。

 

1か月単位の変形労働時間制の変形期間は1か月以内にすることが条件です。

1週間単位、10日単位、4週間単位なども可能です。

 変形期間を1か月にした場合で考えてみましょう。

 法定労働時間40時間の事業場で、31日の月なら、1か月の労働時間の総枠は次の式で計算できます。

40時間×31日÷7日 ≒ 177時間

1か月の所定労働時間のトータルが177時間以内なら、平均すると1週間当たりの労働時間が40時間以内となります。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

1か月単位の変形労働時間制により労働者に労働させる場合にはその期間の起算日を定める必要があるが、その期間を1か月とする場合は、毎月1日から月末までの暦月による。

  

②【R1年出題】

1か月単位の変形労働時間制は、満18歳に満たない者及びその適用除外を請求した育児を行う者については適用しない。

  

③【R1年出題】

1か月単位の変形労働時間制により所定労働時間が、16時間とされていた日の労働時間を当日の業務の都合により8時間まで延長したが、その同一週内の110時間とされていた日の労働を8時間に短縮した。この場合、16時間とされていた日に延長した2時間の労働は時間外労働にはならない。

  

④【R1年出題】

1か月単位の変形労働時間制は、就業規則その他これに準ずるものによる定めだけでは足りず、例えば当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合と書面により協定し、かつ、当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる。

 

⑤【R1年出題】

 1か月単位の変形労働時間制においては、1日の労働時間の限度は16時間、1週間の労働時間の限度は60時間の範囲内で各労働日の労働時間を定めなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 ×

 変形期間を1か月とする場合に、毎月1日から月末までの暦月にするという規定はありません。

 例えば、毎月16日を起算日として、16日~翌月15日という1か月でも可能です。

 

 

②【R1年出題】 ×

 満18歳に満たない者には、原則として変形労働時間制は適用されませんので、その部分については正しいです。

 育児を行う者については、適用除外を請求できる規定がありません。

 なお、以下のような規定はあります。

則第12条の6

 使用者は、1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制又は1週間単位の非定型的変形労働時間制の規定により労働者に労働させる場合には、育児を行う者、老人等の介護を行う者、職業訓練又は教育を受ける者その他特別の配慮を要する者については、これらの者が育児等に必要な時間を確保できるような配慮をしなければならない。

 ★変形労働時間制が適用されると、労働時間の長い週や日が出てきます。使用者は、育児を行う者等については、育児等に必要な時間を確保できるよう配慮しなければなりません。

 

66条第1

 使用者は、妊産婦請求した場合においては、1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制及び1週間単位の非定型的変形労働時間制の規定にかかわらず、1週間又は1日について法定労働時間を超えて労働させてはならない。

★妊産婦が対象の規定です。

 例えば、1か月単位の変形労働時間制を採用している場合でも、妊産婦から請求があった場合は、1週間または1日について法定労働時間を超えて労働させることはできません。

 

 

③【R1年出題】 〇

1か月単位の変形労働時間制で時間外労働になる部分を確認しましょう。

1日の時間外労働

1日8時間を超える時間を定めた日はその時間

    それ以外の日は8時間を超えて労働した時間

1週の時間外労働

1週40時間(特例事業場は44時間)を超える時間を定めた週はその時間、

それ以外の週は1週40時間(特例事業場は44時間)超えて労働した時間(①で時間外労働となる時間を除く。)

③変形期間時間外労働

変形期間の法定労働時間総枠(40時間(44時間)×対象期間の暦日数÷7日)

を超えて労働した時間(①又は②で法定時間外労働となる時間を除く。)

 

 問題文のように、所定労働時間が16時間(所定労働時間が18時間以内)の日で、時間外労働になるのは、8時間を超えて労働した時間です。

6時間の日に2時間延長しても労働時間は8時間ですので、1日あたりの時間外労働は発生しません。

 週当たりでみても、2時間延長した日の代わりに同一週内の110時間の日の労働時間を2時間短縮しています。1週間当たりの労働時間は増えていませんので、1週間当たりでも時間外労働は発生しません。

 

 

④【R1年出題】 ×

1か月単位の変形労働時間制は、「就業規則その他これに準ずるものによる定め」又は「労使協定」で採用できます。「就業規則その他これに準ずるものによる定め」だけでも採用できます。

 なお、労使協定で採用した場合は、所轄労働基準監督署長に労使協定を届け出る必要があります。しかし、三六協定とは異なり、労使協定の届出によって効力が発生するわけではありません。

 

⑤【R1年出題】 ×

 1か月単位の変形労働時間制は、1日の労働時間、1週間の労働時間の限度はありません。 

 

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https://youtu.be/YFdsJ4DdPV8

社労士受験のあれこれ

労働基準法 就業規則

R5-186

R5.3.1 絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項

 就業規則に定める事項には、「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」があります。

 

 条文を読んでみましょう。

89条 (作成及び届出の義務)

 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

 

<絶対的必要記載事項>

1 始業及び終業の時刻、休憩時間休日休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

2 賃金(臨時の賃金等を除く。)決定計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

3 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

 

<相対的必要記載事項>

4 退職手当定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

5 臨時の賃金(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

6 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

7 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

8 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

9 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

10表彰及び制裁定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

11 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

「絶対的必要記載事項」は必ず就業規則に記載しなければならない事項です。

「相対的必要記載事項」は、定めをする場合は記載が義務づけられる事項です。

 

 

過去問をどうぞ!

①【H25年出題】

 臨時の賃金等を除く賃金の決定、計算及び支払いの方法に関する事項は、労働基準法第89条において、就業規則のいわゆる絶対的必要記載事項となっている。

 

②【H28年出題】

 退職手当制度を設ける場合には、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法、退職手当の支払いの時期に関する事項について就業規則に規定しておかなければならないが、退職手当について不支給事由又は減額事由を設ける場合に、これらを就業規則に記載しておく必要はない。

 

③【R3年出題】

 欠勤(病気事故)したときに、その日を労働者の請求により年次有給休暇に振り替える取扱いが制度として確立している場合には、当該取扱いについて就業規則に規定する必要はない。

 

④【H25年出題】

 労働基準法第89条の規定により、常時10人以上の労働者を使用するに至った使用者は、同条に規定する事項について就業規則を作成し、所轄労働基準監督署長に届け出なければならないが、従来の慣習が当該事業場の労働者のすべてに適用されるものである場合、当該事項については就業規則に規定しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】 〇

 賃金の決定、計算及び支払いの方法に関する事項は、絶対的必要記載事項ですので、就業規則に必ず記載しなければなりません。

 ちなみに、臨時の賃金等は、「定めをする場合」は就業規則に記載しなければならない「相対的必要記載事項」です。

 

 

②【H28年出題】 × 

 退職手当は「退職手当の定めをする場合」は、適用される労働者の範囲などを就業規則に記載しなければならない相対的必要記載事項です。

 退職手当について不支給事由又は減額事由を設ける場合は、退職手当の決定及び計算の方法に該当しますので、就業規則に記載する必要があります。

H11.3.31 基発168号)

 

 

③【R3年出題】 ×

 欠勤(病気事故)したときに、その日を労働者の請求により年次有給休暇に振り替えることは違法ではありません。そのような取扱いが制度として確立している場合には、就業規則に規定する必要があります。

S63.3.14基発150号)

 

 

④【H25年出題】 〇 

 従来の慣習が「当該事業場の労働者のすべてに適用されるもの」である場合、11号の「当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項については就業規則に規定しなければならない。」に当てはまります。

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 就業規則

R5-185

R5.2.28 就業規則の意見聴取

 常時10人以上の労働者を使用する使用者には、就業規則の作成義務があります。 

 また、就業規則の作成と変更の際には、過半数労働組合又は過半数代表者の意見を聴かなければなりません。

 

 条文を読んでみましょう。

89条 (作成及び届出の義務)

 常時10以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする

1 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

2 賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

3 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

4 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

5 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

6 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

7 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

8 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

9 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

10 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

11 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

1から11のうち、1~3は就業規則への記載が義務づけられている「絶対的必要記載事項」、411は定めをする場合は記載が義務づけられる「相対的必要記載事項」です。

 

次に作成の手続について条文を読んでみましょう。

90条 (作成の手続)

① 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者意見を聴かなければならない

② 使用者は、届出をなすについて、意見を記した書面を添付しなければならない。

 

 今日は、作成と変更の際の手続である意見聴取をみていきます。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H21年出題】

 使用者は、就業規則の作成だけでなく、その変更についても、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

 

②【R3年出題】

 同一事業場において当該事業場の全労働者の3割について適用される就業規則を別に作成する場合、当該事業場において当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数で組織する労働組合又は当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数を代表する者の意見を聴くことで、労働基準法第90条による意見聴取を行ったこととされる。

 

③【H30年出題】

 同一事業場において、パートタイム労働者について別個の就業規則を作成する場合、就業規則の本則とパートタイム労働者についての就業規則は、それぞれ単独で労働基準法第89条の就業規則となるため、パートタイム労働者に対して同法第90条の意見聴取を行う場合、パートタイム労働者についての就業規則についてのみ行えば足りる。

 

④【R1年出題】

 就業規則の作成又は変更について、使用者は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、それがない場合には労働者の過半数を代表する者と協議決定することが要求されている。

 

⑤【H27年出題】※行政手続における押印原則の見直しによる修正あり

 労働基準法第90条第2項は、就業規則の行政官庁への届出の際に、当該事業場の過半数労働組合、それがない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を記した書面を添付することを使用者に義務づけているが、過半数労働組合もしくは過半数代表者が故意に意見を表明しない場合又は意見書に氏名を記載しない場合は、意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理するよう取り扱うものとされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H21年出題】 〇

 就業規則の作成だけでなく、その変更の際も意見聴取が必要です。

 

 

②【R3年出題】 ×

 同一事業場で、事業場の一部の労働者のみ適用される就業規則を別に作成することもできます。

 その場合でも、作成や変更に際しての意見聴取は、当該事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合又は全労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければなりません。

 問題文のように、当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数で組織する労働組合又は当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数を代表する者の意見を聴くだけでは、労働基準法第90条による意見聴取を行ったことにはなりません。

S63.3.14基発150号)

 

③【H30年出題】 ×

 同一事業場で、パートタイム労働者についてのみ適用される別個の就業規則を作成することもできます。その場合、就業規則の本則とパートタイム労働者についての就業規則を合わせたものが「就業規則」となります。それぞれが単独に就業規則となるものではありません。

 作成や変更に際しての意見聴取は、当該事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合又は全労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければなりません。

H11.3.31基発168号)

 

 

④【R1年出題】 × 

 協議決定は要求されていません。意見を聴けば労働基準法違反になりません。

S25.3.15基収525号)

 なお、意見書の内容が反対意見でも、就業規則の効力には影響はありません。

S24.3.28基発373号)

 

 

⑤【H27年出題】 〇 ※行政手続における押印原則の見直しによる修正あり

 就業規則を行政官庁へ届け出る際は、意見書の添付が義務づけられていますが、過半数労働組合もしくは過半数代表者が故意に意見を表明しない場合等は、意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理するよう取り扱うとされています。

S23.10.30基発1575号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 産前産後

R5-175

R5.2.18 産前産後休業のポイント!

 今日は、「産前産後休業」をみていきましょう。

 条文を読んでみましょう。

65条 (産前産後)

① 使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない

② 使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。

 

 「出産」の範囲は妊娠4カ月以上の分娩をいいます。1か月は28日で計算しますので、4か月以上とは、85日以上のことです。生産だけでなく死産も含まれます。

S23.12.23基発1885号)

 産前6週間は、自然の出産予定日を基準に計算します。出産予定日よりも遅れて出産した場合は、予定日から出産当日までの期間は、産前休業に入ります。

S25.3.31基収第4057号)

           出産予定日      出産日

            ▼         ▼

予定日以前6週間

遅れた日数α日

出産日8週間

産前休業(6週間+α日)

産後休業

 

 出産日当日は、産前休業に含まれるのがポイントです。

S25.3.31 基収第4057号)

 

では、過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 労働基準法第65条の「出産」の範囲に妊娠中絶が含まれることはない。

 

 

②【R3年出題】

 6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性労働者については、当該女性労働者の請求が産前の休業の条件となっているので、当該女性労働者の請求がなければ、労働基準法第65条第1項による就業禁止に該当しない。

 

③【R3年出題】

 使用者は、産後8週間(女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせる場合は6週間)を経過しない女性を就業させてはならないが、出産当日は、産前6週間に含まれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 ×

 妊娠4か月以後に行った妊娠中絶も「出産」の範囲に含まれます。

S26.4.2 婦発113号)

 

 

②【R3年出題】 〇

 産前休業(6週間(多胎妊娠の場合は、14週間)は、女性労働者の請求が条件です。女性労働者から請求がなければ、就業させても労働基準法に違反しません。

 

③【R3年出題】 〇

 産後8週間は、女性労働者からの請求の有無にかかわらず、就業させることはできません。産後6週間を経過している+女性労働者から請求があった+その者について医師が支障がないと認めた業務については、就かせることができます。

 出産当日は、産前6週間に含まれます。

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 妊産婦

R5-174

R5.2.17 妊産婦の労働時間・深夜労働

 今日は、妊産婦の労働時間の規定をみていきましょう。

 

条文を読んでみましょう。

66条 

① 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第32条の21項(1か月単位の変形労働時間制)、第32条の41項(1年単位の変形労働時間制)及び第43条の51(1週間単位の非定型的労働時間制)の規定にかかわらず、1週間について第32条第1項の労働時間、1日について同条第2項の労働時間を超えて労働させてはならない

② 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第33条第1項(災害その他避けることのできない事由により臨時の必要がある場合)及び第3項(公務のため臨時の必要がある場合)並びに第36条第1項(36協定による場合)の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない

③ 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない

 

 ポイントは、①②③すべて「妊産婦が請求した場合」が前提になっている点です。

妊産婦でも、体調や環境は一人一人違いますので、妊産婦からの請求があれば、保護が行われます。

① 変形労働時間制(1か月単位、1年単位、1週間単位)については、妊産婦から請求があれば、1週間又は1日の法定労働時間を超える時間は労働させられません。(変形労働時間制そのものを適用できないという意味ではありません。)

② 妊産婦から請求があれば、時間外又は休日に労働させられません。

③ 妊産婦から請求があれば、深夜労働はさせられません。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H29年出題】

 使用者は、すべての妊産婦について、時間外労働、休日労働又は深夜業をさせてはならない。

 

②【H25年出題】

 使用者は、労働基準法第66条第2項の規定に基づき、妊産婦が請求した場合においては、同法第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。

 

 

③【R3年出題】

 労働基準法第32条又は第40条に定める労働時間の規定は、事業の種類にかかわらず、監督又は管理の地位にある者には適用されないが、当該者が妊産婦であって、前記の労働時間に関する規定を適用するよう当該者から請求があった場合は、当該請求のあった規定については適用される。

 

 

④【H17年出題】

 使用者は、労働基準法第66条第2項及び第3項の規定により、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)が請求した場合においては、同法第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働、休日労働又は深夜業をさせてはならないが、同法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある妊産婦については、時間外労働、休日労働及び深夜業をさせることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 ×

 時間外労働、休日労働又は深夜業が制限されるのは、「妊産婦が請求した場合」です。すべての妊産婦ではありません。請求しない妊産婦については制限されません。

 

 

 

②【H25年出題】 〇

 「妊産婦が請求した場合」がポイントです。

 

 

③【R3年出題】 ×

 監督又は管理の地位にある者には労働時間の規定の適用がありません。そのため、監督又は管理の地位にある妊産婦には、第66条第1項、第2項は適用されませんので、「時間外労働・休日労働をしない」という請求はできません。

 

 

④【H17年出題】 ×

 第41条に該当する者には、労働時間、休日、休憩の規定は適用されませんが、深夜業の規定は適用されます。

  監督又は管理の地位にある妊産婦については、第66条第3項「使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。」の規定は適用されますので、監督又は管理の地位にある妊産婦から請求があれば、深夜業をさせることはできません。

(昭61.3.20基発第151号)

 

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労働基準法 減給制裁

R5-165

R5.2.8 制裁規定の制限

 就業規則の「制裁」の種類には、譴責、出勤停止、即時解雇等があります。

 制裁の原因となる事案が公序良俗に反しない限りは、制裁自体は禁止されていません。

 

 ただし、制裁のうち、「減給」については、労働した時間分をカットすることになりますので、労働基準法で制限が設けられています。

 

 条文を読んでみましょう。

91条 (制裁規定の制限)

 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、 1回の額平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

1回あたりの減給の額は、平均賃金の1日分の半額以内です。

 また、複数回の減給事案があったとしても、減給の総額は、一賃金支払期の賃金の総額の10分の1以下にする必要があります。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R2年出題】

 労働者が、遅刻・早退をした場合、その時間に対する賃金額を減給する際も労働基準法第91条による制限を受ける。

 

 

②【H16年出題】

 就業規則で労働者に対して減給の定めをする場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならず、もし、これを超えて減給の制裁を行う必要が生じた場合においても、その部分の減給は、次期の賃金支払期に延ばすことはできない。

 

 

③【H25年出題】

 労働基準法第91条に規定する減給の制裁に関し、平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、減給制裁の事由が発生した日ではなく、減給の制裁が決定された日をもってこれを算定すべき事由の発生した日とされている。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 ×

 遅刻・早退した時間分は、賃金が発生しません。例えば1時間遅刻して、1時間分の賃金をカットしても、減給制裁には当たりませんので、労働基準法第91条による制限を受けません。

 ただし、遅刻、早退の時間分の賃金を超える減給は制裁に当たりますので、労働基準法第91条の制限を受けます。

S63.3.14基発150号)

 

 

②【H16年出題】 ×

 例えば、平均賃金が1万円の場合、減給の1回の額は5千円以内となります。また減給事案が5回発生した場合は、5千円×5回=25千円となります。しかし、総額は1賃金支払期における賃金の総額の10分の1以内となりますので、例えば1賃金支払期の賃金の総額が20万円の場合は、2万円が上限となります。残りの5千円は当該賃金支払期には減給できませんが、次期の賃金支払期に延ばすことは「可能」です。

S23.9.20基収1789号)

 

 

③【H25年出題】 ×

 平均賃金は、「これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額」です。

 減給の制裁に関し、平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、「減給の制裁の意思表示が相手方に到達した日」となります。

S30.7.1929基収5875号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 使用者

R5-164

R5.2.7 使用者の定義

労働基準法の「使用者」の定義を確認しましょう。

 条文を読んでみましょう。

10条 

 この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。

 

 労働基準法の「使用者」とは労働基準法各条の義務についての履行の責任者のことです。

 次の3つが、労働基準法の「使用者」と定義されています。

事業主

  → その事業の経営の主体

事業の経営担当者

  → 法人の代表者、支配人など

その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者

 

では、過去問をどうぞ!

①【R21-A

 「事業主」とは、その事業の経営の経営主体をいい、個人企業にあってはその企業主個人、株式会社の場合は、その代表取締役をいう。

 

 

②【R21-B

 事業における業務を行うための体制が、課及びその下部組織としての係で構成され、各組織の管理者として課長及び係長が配置されている場合、組織系列において係長は課長の配下になることから、係長に与えられている責任と権限の有無にかかわらず、係長が「使用者」になることはない。

 

 

③【R21-C

 事業における業務を行うための体制としていくつかの課が設置され、課が所掌する日常業務の大半が課長権限で行われていれば、課長がたまたま事業主等の上位者から権限外の事項について命令を受けて単にその命令を部下に伝達しただけであっても、その伝達は課長が使用者として行ったこととされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R21-A】 ×

 「事業主」とは、その事業の経営の経営主体です。

 個人企業の場合は企業主個人、株式会社など法人組織の場合は、「法人そのもの」をいいます。株式会社の代表取締役は、「事業主」には当たりません。

 

 

②【R21-B】 ×

 「使用者」とは労働基準法各条の義務についての履行の責任者をいいます。

 部長や課長等の形式にとらわれることなく、労働基準法各条の義務について実質的に一定の権限を与えられているか否かによります。

 そのため、「係長」でも、与えられている責任と権限によっては、「使用者」として労働基準法の義務についての履行の責任が問われます。

S22.9.13発基第17号)

 

 

③【R21-C】 ×

 「使用者」は、労働基準法各条の義務について実質的に一定の権限を与えられているか否かによります。権限が与えられていなくて、単に上司の命令の伝達者にすぎない場合は使用者とはみなされません。

 課長が、事業主等の上位者から権限外の事項について命令を受けて単にその命令を部下に伝達しただけの場合は、その伝達は課長が使用者として行ったことにはなりません。

S22.9.13発基第17号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 三六協定

R5-156

R5.1.30 三六協定の限度時間

 法定労働時間を超えて労働させる場合、法定休日に労働させる場合は、「36協定」を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。

 

 今日は、36協定の協定事項を確認しましょう。

 

36条を読んでみましょう。

36条第1

 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間又は前条の休日に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる

 

 次に、36協定に定める事項を確認しましょう。

36条第2

36条第1項の協定においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

1 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲

2 対象期間(労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、 1年間に限るものとする。)

3 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合

4 対象期間における1日、1か月及び1年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数

5 労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項

 

 今日は第4号に注目します。

さらに条文を読んでみましょう。

36条第3項、第4

③ 前項第4号の労働時間を延長して労働させることができる時間は、当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して通常予見される時間外労働の範囲内において、限度時間を超えない時間に限る。

④ 限度時間は、1か月について45時間及び1年について360時間(1年単位の変形労働時間制の対象期間として3か月を超える期間を定めた場合は、1か月について 42時間及び1年について320時間)とする。 

 

 

では、過去問をどうぞ!

R2年出題】

 労働基準法第36条第3項に定める「労働時間を延長して労働させることができる時間」に関する「限度時間」は、1か月について45時間及び1年について360時間(労働基準法第32条の41項第2号の対象期間として3か月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあっては、1か月について42時間及び1年について320時間)とされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R2年出題】 〇

36協定に定める時間外労働の限度時間は、1か月45時間、1年360時間です。1年単位の変形労働時間制で対象象期間として3か月を超える期間を定めて労働させる場合は、1か月42時間、1320時間です。

 

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https://youtu.be/_31TkzbvtAs

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労働基準法 第6条

R5-147

R5.1.21 中間搾取の排除

 労働関係の開始や存続に関与して利益を得ることは、職業安定法などで認められている場合のほかは、禁止されています。

 

条文を読んでみましょう。

6条 (中間搾取の排除)

 何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない

 

では、過去問をどうぞ!

①【H23年出題】

 何人も、他の法律の定め如何にかかわらず、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。

 

②【H28年出題】

 労働基準法第6条は、法律によって許されている場合のほか、業として他人の就業に介入して利益を得てはならないとしているが、その規制対象は、私人たる個人又は団体に限られ、公務員は規制対象とならない。

 

③【R2年出題】

 労働基準法第6条に定める「何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」の「利益」とは、手数料、報償金、金銭以外の財物等いかなる名称たるかを問わず、また有形無形かも問わない。

 

④【H15年出題】

 ある労働者派遣事業が、所定の手続を踏まないで行われている違法なものであっても、当該労働者派遣事業の事業主が業として労働者派遣を行う行為は、「何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」と規定する労働基準法第6条の中間搾取には該当しない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H23年出題】 ×

 法律に基づいて許される場合は、手数料、報酬等を受けることができます。

 職業安定法と船員職業安定法には、手数料や報酬等のルールが定められています。

S23.3.2基発381号、S33.2.13基発90号)

 

 

②【H28年出題】 ×

 違反行為の主体は、「他人の就業に介入して利益を得る」第三者です。規制対象は、「個人、団体又は公人たる私人たるとを問わない」とされています。そのため、公務員も規制対象となります。

S23.3.2基発381号)

 

 

③【R2年出題】 〇

 なお、使用者より利益を得る場合に限らず、労働者又は第三者より利益を得る場合も含みます。

S23.3.2基発381号)

 

④【H15年出題】 〇

 労働者派遣は、派遣元と労働者は「労働契約関係」、派遣先と労働者は「指揮命令関係」にあります。

 派遣元による労働者の派遣は、労働関係の外にある第三者が他人の労働契約に介入するものではありませんので、中間搾取には該当しません。

 問題文のように、派遣事業が、所定の手続を踏まないで行われている違法なものであったとしても、労働基準法第6条の中間搾取には該当しません。※労働者派遣法に抵触する可能性はあります。

S61.6.6基発333号) 

 

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https://youtu.be/aEBXhmP2tIY

社労士受験のあれこれ

労働基準法 危険有害業務 

R5-138

R5.1.12 危険有害業務の就業制限

妊産婦を、妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせることは禁止されています。

 また、妊産婦以外の女性についても、女性の妊娠又は出産に係る機能に有害である業務に就かせることが禁止されています。

 

条文を読んでみましょう。

64条の3(危険有害業務の就業制限)

① 使用者は、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、 哺育等に有害な業務に就かせてはならない

② ①の規定は、①に規定する業務のうち女性の妊娠又は出産に係る機能に有害である業務につき、厚生労働省令で、妊産婦以外の女性に関して、準用することができる。

③ ①②に規定する業務の範囲及びこれらの規定によりこれらの業務に就かせてはならない者の範囲は、厚生労働省令で定める。

 

「危険有害業務の就業制限の範囲」は、女性労働基準規則第2条で定められています。

・「妊娠中の女性」の就業が制限される業務は、1号から24号まで24種類です。

・「産後1年を経過しない女性」については、24種類のうち、就業させてはならない業務が3種類、申し出た場合は就かせてはならない業務が19種類、就業させもいい業務が2種類です。

・「妊産婦以外の女性」については、24種類のうち就業させてはならない業務が2種類、就業させてもいい業務が22種類です。

妊産婦以外の女性も就業させてはならない業務は、1号「重量物を取り扱う業務」18号「有害物を発散する場所において行われる業務」です。

 

では、過去問をどうぞ!

①【R23-A

 使用者は、女性を、30キログラム以上の重量物を取り扱う業務に就かせてはならない。

 

②【R23-B

 使用者は、女性を、さく岩機、鋲打機等身体に著しい振動を与える機械器具等を用いて行う業務に就かせてはならない。

 

③【R23-C

 使用者は、妊娠中の女性を、つり上げ荷重が5トン以上のクレーンの運転の業務に就かせてはならない。

 

④【R23-D

 使用者は、産後1年を経過しない(労働基準法第65条による休業期間を除く。)女性を、高さが5メートル以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのあるところにおける業務に就かせてもよい。

 

 

⑤【R23-E

 使用者は、産後1年を経過しない女性が、動力により駆動される土木建築用機械の運転の業務に従事しない旨を使用者に申し出た場合、その女性を当該業務に就かせてはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R23-A】 〇

 「重量物を取り扱う業務」は、妊産婦のみならず「妊産婦以外の女性」にも就かせてはならない業務です。

 重量は、年齢別に定められています。満18歳以上は断続作業なら「30キログラム以上」、継続作業なら「20キログラム以上」です。30キログラム以上の重量物については、全女性に就業制限が適用されます。

 

 

②【R23-B】 ×

 「さく岩機、鋲打機等身体に著しい振動を与える機械器具等を用いて行う業務」については、妊産婦については「就かせてはならない業務」ですが、妊産婦以外の女性については、就かせても差し支えない業務です。

 

③【R23-C】 〇

 「つり上げ荷重が5トン以上のクレーンの運転の業務」については、妊娠中の女性を就かせることはできません。

 ちなみに、産後1年を経過しない女性については、「女性が申し出た場合は就かせてはならない業務」となり、妊産婦以外の女性については、就かせても差し支えない業務です。

 

④【R23-D】 〇

 「高さが5メートル以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのあるところにおける業務」が禁止されるのは、妊娠中の女性のみです。

 「産後1年を経過しない女性」、「妊産婦以外の女性」を就かせても差し支えありません。

 

 

⑤【R23-E】 〇

 「動力により駆動される土木建築用機械の運転の業務」は、産後1年を経過しない女性が従事しない旨を使用者に申し出た場合は、就かせることはできません。

 

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-128

R5.1.2 R4択一式より 賃金の非常時払い

 災害などで出費を要することになった場合、労働者は、支払期日前でも、賃金の繰上払を請求することができます。

 

条文を読んでみましょう。

25条 (非常時払)

 使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であっても既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。

則第9条 

 非常の場合は、次に掲げるものとする。

1 労働者の収入によって生計を維持する者が出産し、疾病にかかり、又は災害をうけた場合 

2 労働者又はその収入によって生計を維持する者結婚し、又は死亡した場合

3 労働者又はその収入によって生計を維持する者がやむを得ない事由により1週間以上にわたって帰郷する場合

 

 支払期日前でも繰上払の請求ができるのは以下の事由の場合です。

・出産、疾病、災害、結婚、死亡、やむを得ない事由によって1週間以上にわたって帰郷する場合

★労働者のみならず、「労働者の収入によって生計を維持する者」も対象です。

 

★支払期日前に請求できるのは「既往の労働」に対する賃金です。使用者は、まだ労務の提供のない期間の賃金については支払う義務はありません。

 

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問6-ウ】

 労働基準法第25条により労働者が非常時払を請求しうる事由の1つである「疾病」とは、業務上の疾病、負傷であると業務外のいわゆる私傷病であるとを問わない。

 

 

 

 

 

【解答】

【問6-ウ】 〇

 「疾病」、「災害」は、業務上、業務外は問われません。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 労働基準法第25条により労働者が非常時払を請求しうる事由は、労働者本人に係る出産、疾病、災害に限られず、その労働者の収入によって生計を維持する者に係る出産、疾病、災害も含まれる。

 

 

②【H28年出題】

 使用者は、労働者が出産、疾病、災害等非常の場合の費用に充てるために請求する場合には、いまだ労務の提供のない期間も含めて支払期日前に賃金を支払わなければならない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 〇

 労働者本人だけでなく、労働者の収入によって生計を維持する者の事由も含まれるのがポイントです。

 

②【H28年出題】 ×

 非常時払いの対象は、「既往の労働」に対する部分です。いまだ労務の提供のない期間は支払う義務はありません。

 

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-127

R5.1.1 R4択一式より 通貨以外のもので支払われる賃金

 賃金は、「通貨払い」が原則ですが、例外もあります。

 

条文を読んでみましょう。

24条 (賃金の支払)

① 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

② 賃金は、毎月1回以上一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金については、この限りでない。

 

 賃金の支払には、「通貨払い」、「直接払い」、「全額払い」、「毎月1回以上払い」、「一定期日払い」の5原則があります。

 今日は「通貨払い」の例外に注目します。

 賃金は「通貨」で支払うのが原則ですが、「法令」に別段の定めがある場合、「労働協約」に別段の定めがある場合は、通貨以外のもの(現物)で支払うことができます。

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問6-ア】

 通貨以外のもので支払われる賃金も、原則として労働基準法第12条に定める平均賃金等の算定基礎に含まれるため、法令に別段の定めがある場合のほかは、労働協約で評価額を定めておかなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問6-ア】 〇

 平均賃金を算定する際の「賃金の総額」には、「臨時」に支払われた賃金及び「3か月を超える期間ごと」に支払われる賃金並びに「通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの」は算入しない、とされています。(法第12条第4項)

★「通貨以外のもので支払われた賃金」で一定の範囲に属するものは、平均賃金の算定基礎に含まれます。

 賃金の総額に算入すべきものは、法第24条第1項ただし書の規定による法令又は労働協約の別段の定めに基づいて支払われる通貨以外のもので、「評価額」は、法令に別段の定がある場合の外、労働協約に定めなければならない、とされています。(則第2条)

 

過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 賃金を通貨以外のもので支払うことができる旨の労働協約の定めがある場合には、当該労働協約の適用を受けない労働者を含め当該事業場のすべての労働者について、賃金を通貨以外のもので支払うことができる。

 

 

②【H15年出題】

 ある会社においては、労働協約により、通勤費として、労働者に対して、6か月定期券を購入して支給しているが、このような通勤定期券は、労働基準法第11条の「賃金」と解される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 ×

 労働協約の定めによって通貨以外のもので支払うことが許されるのは、その労働協約の適用を受ける労働者に限られます。事業場の全ての労働者ではありません。

★労働協約は、「労働組合法でいう労働協約」のみを意味します。

労働組合がない場合の、労働者の過半数を代表する者と使用者との書面による協定は、労働協約ではありません。

昭和63.3.14基発150号)

 

 

②【H15年出題】 〇

 通勤定期券は、「通貨以外もの(現物)」ですので、労働協約の定めが必要です。このような通勤定期券は、労働基準法第11条の「賃金」と解され、平均賃金の算定の基礎にも含まれます。

(昭25.1.18基収130号) 

 

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-109

R4.12.14 R4択一式より 割増賃金をあらかじめ基本給等に含める方法で支払う場合

 今日は、判例からの問題です。

 

さっそく、令和4年の問題をどうぞ!

【問7-C

 医療法人と医師との間の雇用契約において労働基準法第37条に定める時間外労働等に対する割増賃金を年俸に含める旨の合意がされていた場合、「本件合意は、上告人の医師としての業務の特質に照らして合理性があり、上告人が労務の提供について自らの裁量で律することができたことや上告人の給与額が相当高額であったこと等からも、労働者としての保護に欠けるおそれはないから、上告人の当該年俸のうち時間外労働等に対する割増賃金に当たる部分が明らかにされておらず、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができないからといって不都合はなく、当該年俸の支払により、時間外労働等に対する割増賃金が支払われたということができる」とするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問7-C】 ×

「平成29年7月7日付け最高裁判所第二小法廷判決」からの出題です。

 『当該年俸のうち時間外労働等に対する割増賃金に当たる部分が明らかにされておらず、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができない』場合は、当該年俸の支払により、「時間外労働等に対する割増賃金が支払われたということはできない。」とされています。

 年俸のうち、時間外労働等の割増賃金に当たる部分が明らかにされていなかったことがポイントです。

 この判決を踏まえて、平成29年7月31日付基発073127号「時間外労働等に対する割増賃金の解釈について」が発出されています。

ポイントは以下の通りです。

・時間外労働等に対する割増賃金を基本給や諸手当にあらかじめ含める方法で支払う場合には、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要であること。

・このとき、割増賃金に当たる部分の金額が労働基準法第37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回るときは、その差額を支払わなければならないこと。

 

 

 

では、過去問をどうぞ!

H22年出題】

 タクシー料金の月間水揚高に一定の歩合を乗じて賃金を算定・支給する完全歩合給制においては、時間外労働及び深夜労働を行った場合に歩合額の増額がなく、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分とを判別することができないものであったとしても、歩合給の支給によって労働基準法第37条に規定する時間外及び深夜の割増賃金が支払われたと解釈することができるとするのが最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H22年出題】 ×

 時間外労働及び深夜労働を行った場合に歩合額の増額がなく、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分とを判別することができない場合、最高裁判所の判例では、「この歩合給の支給によって、時間外及び深夜の割増賃金が支払われたとすることは困難なものというべきもの」とされています。

(高知県観光事件)

 

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-108

R4.12.13 R4択一式より 契約解除の日から14日以内の起算日

 「契約解除の日から14日以内」は、当日起算でしょうか?翌日起算でしょうか?

 

では、条文を読んでみましょう。

第15条 (労働条件の明示)

① 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

② 明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる

③ ②の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。 

 

 労働契約締結の際に、使用者は、労働条件を明示しなければなりません。

 明示された労働条件が、実際の条件と異なる場合は、労働者は即時に労働契約を解除できます。その場合、労働者が契約解除の日から14日以内に帰郷する場合は、使用者は必要な旅費を負担しなければなりません。

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問5-B

 労働基準法第15条第3項にいう「契約解除の日から14日以内」であるとは、解除当日から数えて14日をいい、例えば、91日に労働契約を解除した場合は、91日から914日までをいう。

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問5-B】 ×

「解除当日から数える」の部分が誤りです。「契約解除の日から14日以内」は、民法の期間計算の原則によって初日は算入しません。

 91日に労働契約を解除した場合は、翌日の92日から数えて14日以内ですので、915日までとなります。

 

 

過去問をどうぞ!

 

①【H23年出題】

 労働基準法第15条第1項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

 

 

②【H28年出題】

 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と相違しているため、労働者が労働契約を解除した場合、当該解除により労働契約の効力は遡及的に消滅し、契約が締結されなかったのと同一の法律効果が生じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H23年出題】 〇

 「即時に」がポイントです。例えば、2週間前に申し出るなどのような制限はありません。

 

 

②【H28年出題】 ×

 「当該解除により労働契約の効力は遡及的に消滅し、契約が締結されなかったのと同一の法律効果が生じる。」の部分が誤りです。第15条の「解除」は、過去に遡って、契約がなかったものと扱われるのではなく、労働契約関係を「将来に向かって」消滅させることをいいます。

 

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https://youtu.be/oXP3gXXPlz8

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-107

R4.12.12 R4択一式より 労働契約の契約期間の上限

 労働契約には、「期間の定めのある」契約と、「期間の定めのない」契約があります。 

 労働契約に契約期間を定める場合、最長は原則として3年です。長期労働契約はその間、労働者を拘束してしまうからです。

 「期間の定めのない労働契約」については、いつでも労働者から契約解除ができますので、労働基準法上の制限はありません。

 

 では、条文を読んでみましょう。

第14条 (契約期間等)

 労働契約は、期間の定めのないものを除き一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならない。

① 専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る)との間に締結される労働契約

② 60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(①に掲げる労働契約を除く。)

 

 労働契約に契約期間を定める場合の上限は原則として3年です。

例外も確認しましょう。

<例外1> 

一定の事業の完了に必要な期間を定める契約 → 3年を超える期間を定めることができます。例えば工事の完了に4年かかるような場合です。

<例外2>

専門的知識等で高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者との契約 → 上限は5年となります。

※高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限られます。

<例外3>

60歳以上の労働者との間の契約 → 上限は5年となります。

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問5-A

 社会保険労務士の国家資格を有する労働者について、労働基準法第14条に基づき契約期間の上限を5年とする労働契約を締結するためには、社会保険労務士の資格を有していることだけでは足りず、社会保険労務士の名称を用いて社会保険労務士の資格に係る業務を行うことが労働契約上認められていること等が必要である。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問5-A】 〇

 「専門的な知識、技術又は経験であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等」は、告示で限定列挙されていて、「社会保険労務士」はその一つです。

 契約期間の上限を5年とするには、社会保険労務士の資格を有していることだけでは足りません。社会保険労務士の名称を用いて社会保険労務士の資格に係る業務を行うことが労働契約上認められていること等が必要です。

H15.10.22基発第1022001号)

 

 

過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 使用者は、労働者が高度の専門的知識等を有していても、当該労働者が高度の専門的知識等を必要とする業務に就いていない場合は、契約期間を5年とする労働契約を締結してはならない。

 

 

②【H27年出題】

 契約期間の制限を定める労働基準法第14条の例外とされる「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの」とは、その事業が有期的事業であることが客観的に明らかな場合であり、その事業の終期までの期間を定める契約であることが必要である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 〇

 高度の専門的知識等を有しているだけでは、契約期間を5年とする労働契約は締結できません。高度の専門的知識等を必要とする業務に就いていることが条件です。高度の専門的知識等を必要とする業務に就いていない場合は、上限は原則の3年です。

 

 

②【H27年出題】 〇

 「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの」とは、その事業が有期的事業であることが客観的に明らかな場合で、その事業の終期までの期間を定める契約であることが必要です。例えば、6年で完了する工事現場では、労働者を6年間の契約で雇入れることができます。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/0gpQY4MEtLM

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-088

R4.11.23 R4択一式より 三六協定の時間外労働の定義

 時間外労働・休日労働をさせる場合は、「三六協定」の締結と届出が必要です。

 今日のテーマは、三六協定が必要な「時間外労働」についてです。

 

では、三六協定の条文を読んでみましょう。

36条第1項 

 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下「労働時間」という。)又は35条の休日(以下「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。 

 

★三六協定が必要な時間外労働・休日労働について

時間外労働 → 「労働基準法第32条から第32条の5まで若しくは第40条」で上限が決められている労働時間を延長する場合です。

休日労働 → 「第35条」の休日(原則週1回の休日)に労働させる場合です。

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問3-D

 就業規則に所定労働時間を17時間、135時間と定めたときは、135時間を超え1週間の法定労働時間まで労働時間を延長する場合、各日の労働時間が8時間を超えずかつ休日労働を行わせない限り、労働基準法第36条第1項の協定をする必要はない。

 

 

 

 

 

【解答】

【問3-D】 〇

 所定労働時間を超えて労働時間を延長した場合でも、1週の労働時間が法定労働時間以内で各日の労働時間が8時間以内・かつ休日労働を行わせない限りは、36協定をする必要はありません。

 36協定が必要になるのは、法定労働時間を超えて労働させる場合、法定休日に労働させる場合です。

H11.3.31基発168号)

 

 

過去問をどうぞ!

H13年出題】

 週の法定労働時間及び所定労働時間が40時間であって変形労働時間制を採用していない事業場において、月曜日に10時間、火曜日に9時間、水曜日に8時間、木曜日に9時間労働させ、金曜日は会社創立記念日であるので午前中4時間勤務とし午後は休業としたときは、その週の総労働時間数は40時間であるので、この月曜から金曜までについては、労働基準法第37条に基づく割増賃金を支払う必要はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H13年出題】 ×

 週の総労働時間数は40時間で法定労働時間以内ですが、18時間を超えている月曜日、火曜日、木曜日は時間外労働となります。三六協定の締結と、第37条に基づく割増賃金の支払が必要です。 

 

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https://youtu.be/Ucui88y6RuE

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-087

R4.11.22 R4択一式より トラック運転手の労働時間

 トラック運転手の労働時間の取扱いについて確認しましょう。

 

さっそく、令和4年の問題をどうぞ!

【問2-B

 定期路線トラック業者の運転手が、路線運転業務の他、貨物の積込を行うため、小口の貨物が逐次持ち込まれるのを待機する意味でトラック出発時刻の数時間前に出勤を命ぜられている場合、現実に貨物の積込を行う以外の全く労働の提供がない時間は、労働時間と解されていない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

【問2-B】 ×

 いわゆる手待ち時間が大半を占めていても、出勤を命ぜられ、一定の場所に拘束されている以上は、労働時間と解されます。

S33.10.11基収6286号)

 

 

過去問をどうぞ!

①【H30年出題】

 貨物自動車に運転手が二人乗り込んで交替で運転に当たる場合において、運転しない者については、助手席において仮眠している間は労働時間としないことが認められている。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年出題】 ×

 仮眠中であっても、トラックに乗り込む点で使用者の拘束を受けていること、また、万一の事故発生の場合には交替運転や故障修理を行うことから、一種の手待ち時間又は助手的な勤務として、労働時間と解されます。

S33.10.11基収6286号)

 

 

こちらの過去問もどうぞ!

②【H22年出題】

 ビルの巡回監視等の業務に従事する労働者の実作業に従事していない仮眠時間についても、労働からの解放が保障されていない場合には労働基準法上の労働時間に当たるとするのが最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H22年出題】 〇

 「仮眠時間中、労働契約に基づく義務として仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに相当の対応をすることを義務付けられているのであり、実作業への従事がその必要が生じた場合に限られるとしても、その必要が生じることが皆無に等しいなど実質的に上記のような義務付けがされていないと認めることができるような事情も存しないから、本件仮眠時間は全体として労働からの解放が保障されているとはいえず、労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価することができる」とされています。

(最高裁第1小法廷H14.2.28大星ビル管理事件)

 

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-086

R4.11.21 R4択一式より 年次有給休暇の権利の発生

 年次有給休暇の権利の発生の要件を確認しましょう。

 

まず、条文を読んでみましょう。

39条第1項 

 使用者は、その雇入れの日から起算して6か月間継続勤務全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。

 

 年次有給休暇の権利は、①6か月間継続勤務、②全労働日の8割以上出勤の2つの要件を満たした場合に発生します。

 

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問7-E

 年次有給休暇の権利は、「労基法3912項の要件が充足されることによって法律上当然に労働者に生ずる権利ということはできず、労働者の請求をまって始めて生ずるものと解すべき」であり、「年次〔有給〕休暇の成立要件として、労働者による『休暇の請求』や、これに対する使用者の『承認』を要する」とするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問7-E】 ×

 年次有給休暇の権利について最高裁判所の判例では、「労基法3912項の要件が充足されることによって法律上当然に労働者に生ずる権利であって、労働者の請求をまって始めて生ずるものではない」とされています。年次有給休暇の成立要件として、労働者による『休暇の請求』や、これに対する使用者の『承認』は不要です。

 なお、第39条第5項では、「使用者は、有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」と規定されています。

ここに出てくる「請求」は休暇の時季にかかる文言で、休暇の時季の指定という意味です。

S48.3.2白石営林署事件)

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H20年出題】

 年次有給休暇の権利は、労働基準法第39条所定の要件を満たすことによって法律上当然に労働者に生ずる権利であって、労働者の請求をまって始めて生ずるものではないとするのが最高裁判所の判例である。

 

 

②【H22年出題】

 労働者の時季指定による年次有給休暇は、労働者が法律上認められた休暇日数の範囲内で具体的な休暇の始期と終期を特定して時季指定をし、使用者がこれを承認して初めて成立するとするのが最高裁判所の判例である。

 

 

③【H24年出題】

 労働基準法第39条に定める年次有給休暇の利用目的は同法の関知しないところであり、労働者が病気療養のために年次有給休暇を利用することもできる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H20年出題】 〇

 年次有給休暇の権利は、所定の要件を満たすことによって法律上当然に労働者に生ずる権利です。

S48.3.2白石営林署事件)

 

 

 

②【H22年出題】 ×

 年次有給休暇の成立について、労働者による休暇の請求やこれに対する使用者の承認は不要です。

労働者がその有する休暇の日数の範囲内で、具体的な休暇の始期と終期を特定して時季指定をしたときは、使用者が時季変更権の行使をしない限り、労働者の時季指定によって年次有給休暇が成立します。

S48.3.2白石営林署事件)

 

 

③【H24年出題】 〇

 最高裁判例(S48.3.2白石営林署事件)では、「年次有給休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である」とされています。

労働者が病気療養のために年次有給休暇を利用する場合も、その請求時季が事業の正常な運営を妨げるものでない限り、使用者はこれを付与しなければならない、とされています。

S24.12.28 基発第1456号)

 

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社労士受験のあれこれ

 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-085

R4.11.20 R4択一式より 労基法第22条「退職時等の証明」

 労働者から退職時の証明書の交付を請求された場合、使用者には交付する義務があります。

 

 条文を読んでみましょう。

22条 (退職時等の証明)

① 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない

② 労働者が、解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。

③ 前2項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない

 

①は「退職時の証明」です。法定記載事項は、①使用期間、②業務の種類、③その事業における地位、④賃金、⑤退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)です。

②は「解雇理由証明書」です。解雇予告の期間中に、労働者から解雇理由について証明書を請求された場合に、交付しなければならないものです。

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問5-E】

 労働基準法第22条第1項に基づいて交付される証明書は、労働者が同項に定める法定記載事項の一部のみが記入された証明書を請求した場合でも、法定記載事項をすべて記載しなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

【問5-E】 ×

 第22条第3項で「証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない」と規定されています。

 例えば、解雇された労働者が解雇の事実のみが記入された証明書を請求した場合は、証明書に記載できるのは解雇の事実のみです。請求されていない解雇の理由を記載することはできません。

H11.1.29基発45号)

 

過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 使用者は、労働者が退職から1年後に、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由について証明書を請求した場合は、これを交付する義務はない。

 

②【H22年出題】

 労働基準法第22条第1項の規定により、労働者が退職した場合に、退職の事由について証明書を請求した場合は、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならず、また、退職の事由が解雇の場合には、当該退職の事由には解雇の理由を含むこととされているため、解雇された労働者が解雇の事実のみについて使用者に証明書を請求した場合であっても、使用者は、解雇の理由を証明書に記載しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

①【H29年出題】 ×

 退職時の証明を請求する権利は、労働基準法第115条によって時効は2年となっています。そのため、退職から1年後に証明書の請求があった場合は、使用者には交付する義務があります。

H11.3.31基発169号)

 

 

②【H22年出題】 ×

 解雇された労働者が解雇の事実のみについて使用者に証明書を請求した場合は、「解雇の理由」を証明書に記載することはできません。

 証明書には労働者の請求しない事項を記載することはできないからです。

H11.1.29基発45号)

 

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社労士受験のあれこれ

 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-084

R4.11.19 R4択一式より 労基法第5条「強制労働の禁止」

 労働基準法第5条では、労働者の意思に反して労働を強制することを禁止しています。

 条文を読んでみましょう。

5条 (強制労働の禁止)

 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。 

 

 第5条は、「強制してはならない」という規定ですので、労働することを強要した場合は労働者が現実に労働した事実がなくても、強要しただけで5条に抵触します。

 第5条に違反した場合は、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処せられます。労働基準法上最も重い罰則です。

 

 

では令和4年の問題をどうぞ

【問4-D

 使用者の暴行があっても、労働の強制の目的がなく、単に「怠けたから」又は「態度が悪いから」殴ったというだけである場合、刑法の暴行罪が成立する可能性はあるとしても、労働基準法第5条違反とはならない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問4-D】 〇

 第5条は、不当に拘束する手段で労働を強制することを禁止しています。問題文のように「労働の強制の目的がなく」、使用者の暴行が労働の強制につながっていない場合は、労働基準法第5条違反にはなりません。

 

 

過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 労働基準法第5条に定める「脅迫」とは、労働者に恐怖心を生じさせる目的で本人又は本人の親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対して、脅迫者自ら又は第三者の手によって害を加えるべきことを通告することをいうが、必ずしも積極的言動によって示す必要はなく、暗示する程度でも足りる。

 

 

②【H26年出題】

 労働基準法第5条は、使用者が労働者に強制労働をさせることを禁止しているが、必ずしも形式的な労働契約により労働関係が成立していることを要求するものではなく、当該具体例において事実上労働関係が存在すると認められる場合であれば足りるとされている。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 〇

 脅迫によって使用者が労働者の意思に反して労働することを強制し得る程度であることが必要です。

S22.9.13発基17号)

 

 

②【H26年出題】 〇

 形式的な労働契約が成立していなくても、事実上労働関係が存在すると認められる場合は、強制労働違反が成立します。

 

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-083

R4.11.18 R4択一式より 労基法第3条「均等待遇」

今日のテーマは「均等待遇」です。

 

まず、条文を読んでみましょう。

3条 (均等待遇)

 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない

 

国籍、信条、社会的身分を理由として労働者を差別することを禁止している条文です。

 なお、第3条で禁止している差別は、国籍・信条・社会的身分を理由する差別のみです。それ以外の理由による差別は第3条には抵触しません。

 

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問4-B

 労働基準法第3条にいう「信条」には、特定の宗教的信念のみならず、特定の政治的信念も含まれる。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問4-B】 〇

 「信条」とは、特定の宗教的又は政治的信念をいいます。

S22.9.13 発基第17号)

 

 

過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 労働基準法が第3条が禁止する「差別的取扱」をするとは、当該労働者を有利又は不利に取り扱うことをいう。

 

②【H25年出題】

 労働基準法第3条は、すべての労働条件について差別待遇を禁止しているが、いかなる理由に基づくものもすべてこれを禁止しているわけではなく、同条で限定的に列挙している国籍、信条又は社会的身分を理由とする場合のみを禁じている。

 

 

③【H30年出題】

 労働基準法第3条にいう「賃金、労働時間その他の労働条件」について、解雇の意思表示そのものは労働条件とはいえないため、労働協約や就業規則等で解雇の理由が規定されていても、「労働条件」にはあたらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 〇

 有利に取り扱っても、不利に取り扱っても「差別的取扱」にあたります。

 

 

 

②【H25年出題】 〇

 労働基準法第3条で禁止しているのは、「国籍、信条又は社会的身分を理由とする」差別的取扱に限定されています。

 

 

③【H30年出題】 ×

 「賃金、労働時間その他の労働条件」の「その他の労働条件」は、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等も含む趣旨とされています。

 労働協約や就業規則等で解雇の基準や理由が規定されていれば、労働するための条件となりますので、第3条の「労働条件」になります。

(S23.6.16基収第1365号)

 

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-061

R4.10.27 R4択一式より 時間外労働は「実労働時間」で考える

 まず、「36協定」の条文を読んでみましょう。

36条第1

 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下「労働時間」という。)又は前条の休日(以下「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。

 

36協定が必要な時間外労働・休日労働を確認しましょう

「法定労働時間(原則18時間・1週40時間)」を超えて労働させる場合

「法定休日(原則毎週少なくとも1回)」に労働させる場合

 

 例えば、月曜日から金曜日までの所定労働時間が17時間、土日が休日の事業場で、金曜日の労働時間を1時間延長した場合を考えてみましょう。金曜日を1時間延長しても、18時間、1週間36時間です。法定労働時間内に収まっていますので、36協定は不要です。

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問3-C

 労働者が遅刻をし、その時間だけ通常の終業時刻を繰り下げて労働させる場合に、1日の実労働時間を通算すれば労働基準法第32条又は第40条の労働時間を超えないときは、労働基準法第36条第1項に基づく協定及び労働基準法第37条に基づく割増賃金の支払の必要はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問3-C】 〇

 36協定や割増賃金が必要なのは、実労働時間が8時間を超えた場合です。遅刻した分、終業時刻を繰り下げたとしても、1日の実労働時間が8時間以内なら36協定も割増賃金も不要です。

H11.3.31基発168号)

 

 

過去問をどうぞ!

【H29年出題】

1日の所定労働時間が8時間の事業場において、1時間遅刻をした労働者に所定の終業時刻を1時間繰り下げて労働させることは、時間外労働に従事させたことにはならないので、労働基準法第36条に規定する協定がない場合でも、労働基準法第32条違反ではない。

 

 

 

【解答】

H29年出題】 〇

1日の所定労働時間が8時間で、1時間遅刻をした分、終業時刻を1時間繰り下げたとしても実働時間が8時間ですので、時間外労働にはなりません。

 

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-060

R4.10.26 R4択一式より 特別条項による時間外労働の上限

 使用者は36協定を締結し、労働基準監督署に届け出ることによって、時間外労働をさせることができますが、労働時間の延長には上限が定められています。

 

・時間外労働の上限は、原則として、月45時間、年360時間です。

臨時的な特別の事情がある場合(特別条項)の場合は、月45時間、年360時間を超えて労働させることができます。

<特別条項の条件>

・時間外労働 →720時間以内

・時間外労働と休日労働の合計 → 100 時間未満

・時間外労働と休日労働の合計 → 2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1か月当たり80 時間以内

・月45時間の限度時間を超えることができるのは、年6か月まで

 

今日のテーマは特別条項による時間外労働の上限です。

 

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問3-B

 小売業の事業場で経理業務のみに従事する労働者について、対象期間を令和411日から同年1231日までの1年間とする労働基準法第36条第1項の協定をし、いわゆる特別条項により、1か月について95時間、1年について700時間の時間外労働を可能としている事業場においては、同年の1月に90時間、2月に70時間、3月に85時間、4月に75時間、5月に80時間の時間外労働をさせることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問3-B】 ×

 特別条項の条件を満たしているかチェックしましょう

 

1

2

3

4

5

合計

時間外労働

90時間

70時間

85時間

75時間

80時間

400時間

・時間外労働の上限は年720時間以内

・時間外労働と休日労働の合計は月100 時間未満 

・月45時間の限度時間を超えることができるのは、年6か月まで 

・時間外労働と休日労働の合計が、「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1か月当たり80 時間以内

→ 例えば、3月について、2~6か月の平均を出してみましょう。

2月~3月(2か月)の平均 → 77.5時間

1月~3月(3か月)の平均 → 81.66時間

 ※前年度の36協定の対象期間の時間数も入れて平均を出します。前年12月~3月(4か月)の平均、前年11月~3月(5か月)の平均、前年10月~3月(6か月)の平均もチェックが必要ですが、問題文では明らかにされていないので、今回は触れません。

 

 チェックの結果、1月~3月の3か月の平均が80時間を超えています。そのため、特別条項の条件を満たしていません。

 

 

過去問をどうぞ!

R2年出題】

 労働基準法第36条第3項に定める「労働時間を延長して労働させることができる時間」に関する「限度時間」は、1か月について45時間及び1年について360時間(労働基準法第32条の41項第2号の対象期間として3か月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあっては、1か月について42時間及び1年について320時間)とされている。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R2年出題】 〇

 時間外労働の上限は、原則として「1か月45時間、1年360時間」です。ただし、1年単位の変形労働時間制(対象期間が3か月を超える場合)により労働させる場合は、「1か月42時間、1320時間」です。

 

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-059

R4.10.25 R4択一式より 教育訓練の時間は労働時間になる?ならない?

 使用者が実施する「教育訓練」の時間は、労働基準法の労働時間となるのでしょうか?

 

 

まず令和4年の問題をどうぞ!

【問2-C

 労働安全衛生法第59条等に基づく安全衛生教育については、所定労働時間内に行うことが原則とされているが、使用者が自由意思によって行う教育であって、労働者が使用者の実施する教育に参加することについて就業規則上の制裁等の不利益取扱による出席の強制がなく自由参加とされているものについても、労働者の技術水準向上のための教育の場合は所定労働時間内に行うことが原則であり、当該教育が所定労働時間外に行われるときは、当該時間は時間外労働として取り扱うこととされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問2-C】 ×

 「労働者が使用者の実施する教育に参加することについて就業規則上の制裁等の不利益取扱による出席の強制がなく自由参加のものであれば時間外労働にはならない」という考え方です。(S26.1.20基収2875号、H11.3.31基発168号)

 「強制」なのか「自由参加」なのかがポイントです。問題文の場合は、「自由参加」ですので、労働時間ではなく、所定労働時間外に行われるときでも時間外労働にはなりません。

 

 なお、労働安全衛生法に基づく安全衛生教育は、労働者がその業務に従事する場合の労働災害の防止をはかるため、事業者の責任において実施されなければならないものです。そのため、安全衛生教育については所定労働時間内に行なうのが原則です。また、安全衛生教育の実施に要する時間は労働時間となりますので、当該教育が法定時間外に行なわれた場合には、割増賃金の支払が必要です。

S47.9.18基発第602号)

 

過去問もどうぞ!

H26年出題】

 労働者が使用者の実施する教育、研修に参加する時間を労働基準法上の労働時間とみるべきか否かについては、就業規則上の制裁等の不利益な取扱いの有無や、教育・研修の内容と業務との関連性が強く、それに参加しないことにより本人の業務に具体的な支障が生ずるか否か等の観点から、実質的にみて出席の強制があるか否かにより判断すべきものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H26年出題】 〇

 労働者が使用者の実施する教育、研修に参加する時間を労働基準法上の労働時間とみるべきか否かについて、ポイントは、「実質的にみて出席の強制があるか否かにより判断すべきもの」の部分です。

 

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https://youtu.be/KObn1q9jQv4

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-047

R4.10.13 R4択一式より 労使協定の効力の発生

 「1か月単位の変形労働時間制」を導入する際は、「労使協定を締結する」、「就業規則その他これに準ずるものに定める」のどちらかが必要です。

 労使協定の締結によって1か月単位の変形労働時間制を採用する場合は、労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。

 今日のテーマは、「労使協定の効力の発生」です。

 

では、条文を読んでみましょう。

第32条の2(1か月単位の変形労働時間制) 

① 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、1か月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が法第32条第1項の労働時間(法定労働時間)を超えない定めをしたときは、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。

② 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、①の協定を行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出なければならない

 

 第32条の22項により、1か月単位の変形労働時間制の労使協定は、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。

 例えば、労使協定で110時間と定めた日には10時間まで労働させることができますし、1週52時間と定めた週には52時間まで労働させることができます。

 この「労使協定」は、届出によって効力が発生するのでしょうか?それとも締結していれば効力が発生するのでしょうか?

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問7-B

 労働基準法第32条の2に定めるいわゆる1か月単位の変形労働時間制を労使協定を締結することにより採用する場合、当該労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出ないときは1か月単位の変形労働時間制の効力が発生しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問7-B】 ×

1か月単位の変形労働時間制についての労使協定については、「届出」が効力の発生要件となっていません。労使協定が締結されていれば、効力が発生します。

 労使協定を届出なくても効力は発生します。しかし、届け出なかった使用者については罰則が適用され、30万円以下の罰金に処せられます。

(参考)労使協定はどのような効力をもつのでしょうか?

 労働基準法の労使協定の効力は、その協定に定めるところによって労働させても労働基準法に違反しないという「免罰効果」をもちます。

 労働者の民事上の義務は、当該協定から直接生じるものではなく、労働協約、就業規則等の根拠が必要です。

S63.1.1基発1号)

 

 

過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

1か月単位の変形労働時間制は、就業規則その他これに準ずるものによる定めだけでは足りず、例えば当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合と書面により協定し、かつ、当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる。

 

②【H24年出題】

 労働基準法第36条に定めるいわゆる36協定は、これを所轄労働基準監督署長に届け出てはじめて使用者が労働者に適法に時間外労働又は休日労働を行わせることを可能とするのであって、法定労働時間を超えて労働させる場合、単に同協定を締結したのみでは、労働基準法違反の責めを免れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 ×

1か月単位の変形労働時間制は、「就業規則その他これに準ずるものによる定め」又は「当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定(労使協定)の締結」のどちらかで採用することができます。

 就業規則その他これに準ずるものによる定めだけでも採用することができます。

 また、労使協定の締結によって採用する場合は届出が必要ですが、「当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって」効力が発生するのではなく、締結することによって労使協定の効力が発生します。

 

 

②【H24年出題】 〇

 労働基準法第36条に定めるいわゆる36協定の効力は、所轄労働基準監督署長に届け出てはじめて発生します。単に同協定を締結したのみでは、効力は発生しませんので注意してください。

36条の条文を確認しておきましょう。

 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、労働時間又は休日に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。

 「行政官庁に届け出た場合」に注目してください。36協定については、行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出て、初めて免罰効果が発生します。 

 

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https://youtu.be/z_U5uVU4BYY

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-046

R4.10.12 R4択一式より 労働時間の特例

 法定労働時間は、1週40時間、18時間が原則です。

 ただし、一部の業種については、法定労働時間の特例措置が適用されます。

 今日は、法定労働時間の特例をみていきましょう。

 

では、条文を読んでみましょう。

40条 (労働時間及び休憩の特例)

① 別表第1第1号から第3号まで、第6号及び第7号に掲げる事業以外の事業で、公衆の不便を避けるために必要なものその他特殊の必要あるものについては、その必要避くべからざる限度で、第32条から第32条の5までの労働時間及び第34条の休憩に関する規定について、厚生労働省令で別段の定めをすることができる

② ①の規定による別段の定めは、この法律で定める基準に近いものであって、労働者の健康及び福祉を害しないものでなければならない。

 

  では、第40条の特例措置のうち、則第25条の21項の「法定労働時間の特例」を読んでみましょう。

則第25条の2

 使用者は、法別表第1第8号、第10号(映画の製作の事業を除く。)、第13号及び第14号に掲げる事業のうち常時10人未満の労働者を使用するものについては、法第32条の規定にかかわらず、1週間について44時間、1日について8時間まで労働させることができる。

 

<法定労働時間の特例>

・1週間44時間、18時間

・対象の業種

常時10人未満の労働者を使用する

第8号 物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業

10号 映画の製作又は映写、演劇その他興行の事業 (映画の製作の事業を除く。)

13号 病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業

14号 旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問7-A

 使用者は、労働基準法別表第1第8号(物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業)、第10号のうち映画の製作の事業を除くもの(映画の映写、演劇その他興行の事業)、第13号(病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業)及び第14号(旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業)に掲げる事業のうち常時10人未満の労働者を使用するものについては、労働基準法第32条の規定にかかわらず、1週間について48時間、1日について10時間まで労働させることができる。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問7-A】 ×

 特例により、1週間については44時間まで、1日については8時間までです。

 

 

では、過去問もどうぞ!

H18年出題】

 使用者は、物品の販売の事業のうち常時10人未満の労働者を使用するものについては、労働基準法第32条の規定にかかわらず、1週間について44時間、1日について8時間まで労働させることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H18年出題】 〇

 「物品の販売の事業」は第8号に該当しますので、常時10人未満の労働者を使用するものは、1週間について44時間、1日について8時間まで労働させることができます。

 ちなみに、第8号は商業、第10条は映画演劇業、第13号は保健衛生業、第14号は接客娯楽業と略称で書かれることが多いです。

 問題文の「物品の販売の事業」が第8号商業とつながるようにおさえておきましょう。

 

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https://youtu.be/V6ZOhBDZcUE

社労士受験のあれこれ

 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-045

R4.10.11 R4択一式より 労基法第16条賠償予定の禁止

 今日のテーマは、労働基準法第16条の賠償予定の禁止です。

 

では、第16条を読んでみましょう。

16条 (賠償予定の禁止)

 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約してはならない

 

 使用者が労働契約の不履行について違約金を定める、又は損害賠償額を予定する契約をした場合は、第16条違反として、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。

 

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問5-C

 労働基準法第16条のいわゆる「賠償予定の禁止」については、違約金又はあらかじめ定めた損害賠償額を現実に徴収したときにはじめて違反が成立する。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問5-C】 ×

 第16条で禁止されているのは、「労働契約の不履行について違約金を定めること」、「損害賠償額を予定する契約をすること」です。違反が成立するのは、違約金又はあらかじめ定めた損害賠償額を現実に徴収したときではなく、そのような契約をしたときです。

 

 

では、過去問もどうぞ!

①【H25年出題】

 労働基準法第16条は、労働契約の不履行について違約金を定め又は損害賠償額を予定する契約をすることを使用者に禁止しているが、その趣旨は、このような違約金制度や損害賠償額予定の制度が、ともすると労働の強制にわたり、あるいは労働者の自由意思を不当に拘束し、労働者を使用者に隷属させることとなるので、これらの弊害を防止しようとする点にある。

  

②【H30年出題】

 債務不履行によって使用者が損害を被った場合、現実に生じた損害について賠償を請求する旨を労働契約の締結に当たり約定することは、労働基準法第16条により禁止されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】 〇

 労働契約の不履行について違約金を定め又は損害賠償額を予定する契約をすることは、労働の強制や労働者の自由意思を不当に拘束することにつながるため、禁止されています。

 

②【H30年出題】 ×

 第16条で禁止しているのは「金額を予定すること」です。現実に生じた損害について賠償を請求することを禁止する趣旨ではありません。

(S22.9.13発基第17) 

 

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社労士受験のあれこれ

 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-030

R4.9.27 R4択一式より『健康診断の実施時間は労働時間になる?ならない?』

 労働安全衛生法では、健康管理のため事業者に健康診断の実施が義務づけられています。

 労働安全衛生法の健康診断は、一般的な健康の確保を図るための「一般健康診断」と、特定の有害業務に従事する労働者が対象になる「特殊健康診断」の2つに分けられます。

 労働者が健康診断を受ける時間は労働時間になるのでしょうか?

 令和4年の問題で確認しましょう。

 

では、過去問からどうぞ!労働安全衛生法の過去問です。

 

H27年出題(安衛法)】

 健康診断の受診に要した時間に対する賃金の支払いについて、労働者一般に対し行われるいわゆる一般健康診断の受診に要した時間については当然には事業者の負担すべきものとされていないが、特定の有害な業務に従事する労働者に対し行われるいわゆる特殊健診断の実施に要する時間については労働時間と解されているので、事業者の負担すべきものと解されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H27年出題(安衛法)】 〇

一般健康診断の時間 → 労働時間にはなりません

特殊健康診断の時間 → 労働時間となります(賃金の支払が必要です)

 

※健康診断の受診に要した時間についての賃金の支払いについて

・労働者一般に対して行なわれる、いわゆる一般健康診断は、一般的な健康の確保をはかることを目的として事業者にその実施義務を課したものです。「業務遂行との関連において行なわれるものではないので、その受診のために要した時間については、当然には事業者の負担すべきものではない」とされています。

・特定の有害な業務に従事する労働者について行なわれる健康診断、いわゆる特殊健康診断は、事業の遂行にからんで当然実施されなければならない性格のものですので、「所定労働時間内に行なわれるのを原則」とすること。また、「特殊健康診断の実施に要する時間は労働時間と解される」ので、当該健康診断が時間外に行なわれた場合には、当然割増賃金を支払わなければならないものであることとされています。

(S47.9.18基発第602)

 

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

R42-A

 労働安全衛生法により事業者に義務付けられている健康診断の実施に要する時間は、労働安全衛生規則第44条の定めによる定期健康診断、同規則第45条の定めによる特定業務従事者の健康診断等その種類にかかわらず、すべて労働時間として取り扱うものとされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R42-A】 ×

則第44条の定期健康診断、則第45条の特定業務従事者の健康診断は一般健康診断ですので、労働時間とはされません。

 一定の有害業務に従事する労働者が対象の特殊健康診断は、労働時間と解されます。 

 

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社労士受験のあれこれ

 令和4年基本問題(労働基準法)

R5-020

R4.9.17 R4択一式より『第4条 男女同一賃金の原則』

 令和4年の択一式から、基本問題を取り上げていきます。

 今日は、労働基準法第4条男女同一賃金の原則です。

 

では、条文を読んでみましょう。

第4条 

 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。

 

過去問で、第4条のポイントを確認しましょう。

 

①【H25年出題】

 労働基準法第4条は、性別による差別のうち、特に顕著な弊害が認められた賃金について、罰則をもって、その差別的取扱いを禁止したものである。

 

②【H24年出題】

 労働基準法第4条は、賃金についてのみ女性であることを理由とする男性との差別的取扱いを禁止したものであり、その他の労働条件についての差別的取扱いについては同条違反の問題は生じない。

 

③【H30年出題】

 労働基準法第4条の禁止する賃金についての差別的取扱いとは、女性労働者の賃金を男性労働者と比較して不利に取り扱う場合だけでなく、有利に取り扱う場合も含まれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】 〇

 第4条で、女性であることを理由として差別的取扱いを禁止しているのは、「賃金」についてのみです。

 

②【H24年出題】 〇

 なお、男女雇用機会均等法では、募集・採用、配置・昇進、降格・教育訓練、一定の福利厚生の措置、職種・雇用形態の変更、退職の勧奨・定年・解雇・労働契約の更新について、性別を理由とする差別的取扱いを禁止しています。

 

③【H30年出題】 〇

 差別的取扱いとは、不利に取り扱う場合だけでなく、有利に取り扱う場合も含まれる、とされています。

H9.9.25基発第648号)

 

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

④【R4年出題】

 就業規則に労働者が女性であることを理由として、賃金について男性と差別的取扱いをする趣旨の規定がある場合、現実には男女差別待遇の事実がないとしても、当該規定は無効であり、かつ労働基準法第4条違反となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

④【R4年出題】 ×

 第4条に違反して、女性であることを理由として賃金について男性と差別的取扱いをした使用者は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。

 第4条の違反が成立するのは、現実に差別的取扱いをした場合です。就業規則で賃金について男性と差別的取扱いをする趣旨の規定がある場合、その規定は無効となるだけです。現実に男女差別待遇の事実が無い場合は、労働基準法第4条違反にはなりません。

H9.9.25基発第648号)

 

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社労士受験のあれこれ

 令和4年択一式を解いてみる(労働基準法)

R5-010

R4.9.7 R4「労基択一」は基本問題中心。問1労働者の定義について

 令和4年の労働基準法の択一式は基本問題が中心でした。

 今日は問1を見ていきましょう。

 

まず、第9条の「労働者」の定義を読んでみましょう。

第9条 

 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

 労働者は、「職業の種類」を問わず、事業又は事務所に「使用」され、「賃金」を支払われる者をいいます。

 

 

では、令和4年問1です。

A 労働基準法の労働者であった者は、失業しても、その後継続して求職活動をしている間は、労働基準法の労働者である。

 

B 労働基準法の労働者は、民法第623条に定める雇用契約により労働に従事する者がこれに該当し、形式上といえども請負契約の形式を採るものは、その実体において使用従属関係が認められる場合であっても、労働基準法の労働者に該当することはない。

 

C 同居の親族のみを使用する事業において、一時的に親族以外の者が使用されている場合、この者は、労働基準法の労働者に該当しないこととされている。

 

D 株式会社の代表取締役は、法人である会社に使用される者であり、原則として労働基準法の労働者になるとされている。

 

E 明確な契約関係がなくても、事業に「使用」され、その対償として「賃金」が支払われる者であれば、労働基準法の労働者である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 問題を解くときの考え方です

A × 

 労働基準法の労働者は、事業に「使用」され、労働の対償に「賃金」を支払われる者です。求職活動中は条件に当てはまりません。

 

B ×

 請負契約の形式を採っていても、その実体において使用従属関係が認められる場合は、「労働関係」となり、労働基準法の労働者となります。※「実体」で判断することがポイントです。

 

C ×

 「同居の親族のみを使用する事業」は労働基準法の適用が除外されます。しかし、「親族以外の者」(他人)が使用されている場合は、労働基準法の適用を受けることになります。一時的に使用される親族以外の者は、労働基準法の労働者に該当します。

 

D ×

 「法人、団体、組合等の代表者又は執行機関たる者の如く、事業主体との関係において使用従属の関係に立たない者は労働者ではない。(H11.3.31基発168号)」とされています。

 

 

E 〇

 『事業に「使用」され、その対償として「賃金」が支払われる者』なら、労働基準法の労働者の定義に当てはまります。

 

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https://youtu.be/Z1s91zq2FLU

社労士受験のあれこれ

 復習しましょう/令和4年選択式①

R5-001

R4.8.29 令和4年選択式の復習~労基法

昨日は、本試験お疲れさまでした。

さっそく復習していきましょう。

今日は「労働基準法」です。

 

1 解雇予告期間の問題です。

<問題の主旨> 解雇予告手当を支払うことなく930日の終了をもって労働者を解雇しようとする場合、いつまでに解雇予告を行わなければならないでしょうか?

★ 解雇予告手当を支払うことなく、解雇しようとする場合は、「30日以上前」に解雇予告をしなければなりません。

★「解雇の予告を行った日」は、解雇予告期間の計算に算入されないのがポイントです。

 

 

平成26年に同じ問題が出題されています。解いてみましょう。

H26年出題】

 平成26930日の終了をもって、何ら手当を支払うことなく労働者を解雇しようとする使用者が同年91日に当該労働者にその予告をする場合は、労働基準法第20条第1項に抵触しない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 ×

930日の終了をもって解雇するためには、831には解雇の予告をしなければなりません。

 民法の一般原則によって、解雇予告を行った日は、解雇予告期間に算入されないため、予告期間は予告を行った日の翌日から計算されます。

 

 

2 東亜ペイント事件(S61.7.14最二小判)からの出題です。

判例の内容を順を追って読んでみましょう。

・使用者は業務上の必要に応じ、その裁量により労働者の勤務場所を決定することができるものというべきである

・ しかし、転勤、特に転居を伴う転勤は、一般に、労働者の生活関係に少なからぬ影響を与えずにはおかないから、使用者の転勤命令権は無制限に行使することができるものではなく、これを濫用することは許されない

・当該転勤命令について、業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であっても当該転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき若しくは労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものである場合等、特段の事情がない場合には、当該転勤命令は権利の濫用に当たらないというべきである。

・業務上の必要性がない場合、・不当な動機・目的をもってなされた場合、・労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合等特段の事情がある場合には、その転勤命令は権利の濫用に当たります

 

 結論は、「本件転勤命令には業務上の必要性が優に存在し、労働者に与える不利益も通常甘受すべき程度であり、権利を濫用したとはいえない。」というものです。

 

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https://youtu.be/MAkanI65tR0

社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-358

R4.8.15 休業手当のポイント!

 まず、休業手当の条文を読んでみましょう。

26条 (休業手当)

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H21年選択式】

 休業手当について定めた労働基準法第26条につき、最高裁判所の判例は、当該制度は「労働者の< A >という観点から設けられたものであり、同条の「『使用者の責に帰すべき事由』の解釈適用に当たっては、いかなる事由による休業の場合に労働者の    < A >のために使用者に前記[同法第26条に定める平均賃金の100分の60]の限度での負担を要求するのが社会的に正当とされるかという考量を必要とするといわなければならない」としている。

 

 

②【H27年出題】

 当該労働者の労働条件は次のとおりである。

  所定労働日:毎週月曜日から金曜日

  所定休日:毎週土曜日及び日曜日

  所定労働時間:1日8時間

  賃金:日給15,000円

  計算された平均賃金:10,000円

 使用者の責に帰すべき事由により労働時間が4時間に短縮されたが、その日の賃金として7,500円の支払がなされると、この場合にあっては、使用者は、その賃金の支払に加えて休業手当を支払わなくても違法とならない。

 

 

 

③【H27年出題】 

 休電による休業については、原則として労働基準法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業に該当しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H21年選択式】

A 生活保障

休業手当は、労働者の「生活保障」のための制度です。

 

(昭62.7.17最高裁判所第二小法廷)

 

 

②【H27年出題】 〇

1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責に帰すべき事由による休業がなされた場合

 ↓

その日について平均賃金の100分の60に相当する金額を支払わなければなりません。

 

 問題文は、平均賃金が10,000円で、その日の賃金として平均賃金の100分の60以上の7,500円の支払がなされていますので、使用者は、その賃金の支払に加えて休業手当を支払わなくても違法となりません。

 ちなみに、現実に就労した時間に対して支払われる賃金が平均賃金の100分の60に相当する金額に満たない場合には、その差額を支払わなければなりません。

(昭27.8.7基収3445号)

 

 

③【H27年出題】 〇 

 休電による休業については、原則として労働基準法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業に該当しませんので、休業手当を支払わなくても26条違反になりません。

(昭26.10.11基発696号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-348

R4.8.5 労働者の過半数を代表する者

 労働者側の当事者は、「当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合」、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、「労働者の過半数を代表する者」となります。

 

 今日は、「労働者の過半数を代表する者」の要件を見てみましょう。

 

では、条文を読んでみましょう。

則第6条の2 

① 過半数代表者は、次の各号のいずれにも該当する者とする。

1 法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。

2 法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であって、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと。

 

③ 使用者は、労働者が過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない

 

④ 使用者は、過半数代表者が法に規定する協定等に関する事務を円滑に遂行することができるよう必要な配慮を行わなければならない。

 

過去問をどうぞ!

 

①【H22年出題】

 労働基準法第41条第2項に定めるいわゆる管理監督者に当たる者であっても、労働基準法第9条に定める労働者に該当し、当該事業場の管理監督者以外の労働者によって選出された場合には、労働基準法第36条第1項等に定める労働基準法上の労使協定を締結する労働者側の当事者である過半数を代表する者になることができる。

 

 

②【H22年出題】

 労働基準法第36条第1項等に定める労働基準法上の労使協定を締結する労働者側の当事者は、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者とされており、労働者の過半数を代表する者の選出は、必ず投票券等の書面を用いた労働者による投票によって行わなければならない。

 

 

③【H25年出題】

 労働組合のない事業場において、労働基準法第36条の規定に基づく時間外労働・休日労働に係る労使協定(以下「36協定」という。)を締結する場合、労働者側の締結当事者たる「労働者の過半数を代表する者」を選出するときの当該事業場の労働者の算定に当たっては、当該事業場で雇用されて働いているパート、アルバイト等は含まれるが、当該事業場に派遣されて現に指揮命令を受けて働いている派遣労働者は含めない。

 

 

④【H19年出題】

 使用者は、労働者が、労働基準法第36条第1項等に規定する労働者の過半数を代表する者(以下「過半数代表者」という。)であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H22年出題】 ×

 「管理監督者」は、労働者の過半数を代表する者になることはできません。

 なお、管理監督者は、労働基準法第9条の労働者に該当します。事業場の労働者の人数には管理監督者も含まれます。

H11.3.31基発168号、H22.5.18基発05181号)

 

 

②【H22年出題】 ×

 則第6条の2では、「法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続」と規定されています。

 投票、挙手等の「等」には、労働者の話し合い、持ち回り決議等労働者の過半数が当該者の選任を支持していることが明確になる民主的な手続きが該当する、とされています。

 「必ず投票券等の書面を用いた労働者による投票によって行わなければならない」ということはありません。

H11.3.31基発169号)

 

 

③【H25年出題】 〇

 「派遣労働者について」

・労働者の人数の算定

→ 派遣労働者は、派遣元の事業場の労働者に含まれます。

派遣先の事業場の労働者には派遣労働者は含まれません。

S61.6.6基発333号)

 

 

④【H19年出題】 〇

 過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として、「解雇、賃金の減額、降格等労働条件について不利益取扱いをしないようにしなければならない」こととしたものであること。

 「過半数代表者として正当な行為」には、法に基づく労使協定の締結の拒否、1年単位の変形労働時間制の労働日ごとの労働時間についての不同意等も含まれる」ものであること、とされています。

H11.1.29基発45号)

 

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労働基準法

R4-308

R4.6.26 労働者の定義

労働基準法の保護の対象になる「労働者」の定義を確認しましょう。

 

条文を読んでみましょう。

9条 (定義)

 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

 

 「職業の種類を問わず」、「事業又は事務所に使用され」、「賃金を支払われる者」は労働者として、労働基準法の保護の対象となります。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H27年出題】

 形式上は請負契約のようなかたちをとっていても、その実体において使用従属関係が認められるときは、当該関係は労働関係であり、当該請負人は労働基準法第9条の「労働者」に当たる。

 

 

②【H29年出題】

 工場が建物修理の為に大工を雇う場合、そのような工事は一般に請負契約によることが多く、また当該工事における労働は工場の事業本来の目的の為のものでもないから、当該大工が労働基準法第9条の労働者に該当することはなく、労働基準法が適用されることはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H27年出題】 〇

 形式上は請負契約でも、実態として「使用従属関係が認められる」ときは、労働基準法第9条の「労働者」に当たります。

(参考)

 労働基準法上の労働者性は、次の1・2を総合的に勘案することで、個別具体的に判断する、とされています。

1 使用従属性に関する判断基準

(1)指揮監督下の労働  

  ①仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無

  ②業務遂行上の指揮監督の有無

  ③拘束性の有無

  ④代替性の有無

(2)報酬の労務対償性

2 労働者性の判断を補強する要素

(1)事業者性の有無

(2)専属性の程度

(3)その他

★昭和60年厚生労働省「労働基準法研究会報告(労働基準法の「労働者」の判断基準について)」より

 

 

 

②【H29年出題】 ×

 請負契約によらず雇用契約によりその事業主と大工との間に使用従属関係が認められる場合は、労働基準法の労働者ですので、労働基準法の適用を受けます。 

(平11.3.31基発168号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-307

R4.6.25 休憩時間の長さ

 「休憩時間」は、「労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間」です。(昭22.9.13発基17号)

 休憩は、「途中付与」、「一斉付与」、「自由利用」が原則です。

 

 今回は、休憩時間の長さがテーマです。

 

条文を読んでみましょう。

34条 (休憩)

① 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

② 休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

③ 使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない。

 

過去問をどうぞ!

 

①【H21年出題】

 使用者は、所定労働時間が5時間である労働者に1時間の所定時間外労働を行わせたときは、少なくとも45分の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

 

 

②【H23年出題】

 労働基準法第36条に定めるいわゆる36協定を締結し、行政官庁に届け出た場合においても、使用者は、1日の労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

 

 

③【H24年出題】

 使用者は、1日の労働時間が8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならず、1日の労働時間が16時間を超える場合には少なくとも2時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H21年出題】 ×

 労働時間が6時間を「超える」場合は45分以上、8時間を「超える」場合は1時間以上の休憩を与えなければなりません。

 問題文の労働時間は6時間ちょうどですので、休憩を与える義務はありません。

 

 

②【H23年出題】 〇

36協定を締結し、行政官庁に届け出た場合でも、使用者には、休憩時間を与える義務があります。

 

 

③【H24年出題】 ×

 1日の労働時間が8時間を超える場合は、1時間以上の休憩時間を与えなければなりません。1日の労働時間が16時間を超える場合でも、1時間以上の休憩を与えれば、労働基準法の条件は満たします。

 

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https://youtu.be/azxfD000dZQ

社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-306

R4.6.24 1週間単位の非定型的変形労働時間制

 例えば、規模の小さい飲食店を思い浮かべてください。

★1週間単位の非定型的変形労働時間制の趣旨

 日ごとの業務に著しい繁閑が生じることが多く、かつ、その繁閑が定型的に定まっていない場合に、1週間を単位として、一定の範囲内で、就業規則その他これに準ずるものによりあらかじめ特定することなく、1日の労働時間を10時間まで延長することを認めることにより、労働時間のより効率的な配分を可能とし、全体としての労働時間を短縮しようとするものであること。

(昭63.1.1基発第1号)

 

では、条文を読んでみましょう。

第32条の5 

① 使用者は、日ごとの業務に著しい繁閑の差が生ずることが多く、かつ、これを予測した上で就業規則その他これに準ずるものにより各日の労働時間を特定することが困難であると認められる厚生労働省令で定める事業であって、常時使用する労働者の数が厚生労働省令で定める数未満のものに従事する労働者については、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、第32条第2項の規定にかかわらず、1日について10時間まで労働させることができる

② 使用者は、①の規定により労働者に労働させる場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働させる1週間の各日の労働時間を、あらかじめ、当該労働者に通知しなければならない

③ 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、労使協定を行政官庁に届け出なければならない。

 

則第12条の5

① 法第32条の5第1項の厚生労働省令で定める事業は、小売業、旅館、料理店及び飲食店の事業とする。

② 法第32条の51項の厚生労働省令で定める数は、30人とする。

 

ポイント!

1週間の非定型的変形労働時間制が導入できる事業は、規模30人未満の小売業、旅館、料理店及び飲食店に限定されています。

労使協定の締結が必要です。(所轄労働基準監督署長に届け出が必要です。)

 

過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 労働基準法第32条の5に定めるいわゆる1週間単位の非定型的変形労働時間制は、小売業、旅館、料理店若しくは飲食店の事業の事業場、又は、常時使用する労働者の数が30人未満の事業場、のいずれか1つに該当する事業場であれば採用することができる。

 

 

②【H22年出題】

 労働基準法第32条の5に定めるいわゆる1週間単位の非定型的変形労働時間制については、日ごとの業務の繁閑を予測することが困難な事業に認められる制度であるため、1日の労働時間の上限は定められていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 ×

 1週間単位の非定型的変形労働時間制を採用できるのは、小売業、旅館、料理店、飲食店の事業で、「かつ」、常時使用する労働者の数が30人未満の事業場です。

 事業と規模の両方に該当する必要があります。

 

 

②【H22年出題】 ×

 1週間単位の非定型的変形労働時間制については、1日の労働時間の上限は「10時間」と定められています。

 また、1週間の所定労働時間は40時間以下で定めなければなりません。特例事業場でも44時間は適用されません。

 

 なお、事前通知については、則第12条の5第3項で以下のように定められています。

 

(原則) 1週間の各日の労働時間の通知は、少なくとも、当該1週間の開始する前に、書面により行わなければならない。

(例外) 緊急でやむを得ない事由がある場合には、使用者は、あらかじめ通知した労働時間を変更しようとする日の前日までに書面により当該労働者に通知することにより、当該あらかじめ通知した労働時間を変更することができる。

 

 原則として、1週間が始まる前に、1週間の各日の労働時間を書面で通知することにより、110時間まで労働させることができます。

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-305

R4.6.23 金品の返還

 労働者が退職する場合に、賃金など労働者の権利に属する金品の返還が遅くなると、労働者の生活に支障をきたします。そのような不便を防ぐための規定です。

 

 では、条文を読んでみましょう。

23条 (金品の返還)

① 使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。

② 賃金又は金品に関して争がある場合においては、使用者は、異議のない部分を、①の期間中に支払い、又は返還しなければならない。

 

 

 「権利者」とは、労働者が退職の場合は労働者本人、労働者が死亡した場合は、その労働者の相続人です。(昭22.9.13発基第17号)

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【R2年出題】

 使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還しなければならないが、この賃金又は金品に関して争いがある場合においては、使用者は、異議のない部分を、7日以内に支払い、又は返還しなければならない。

 

 

②【H30年出題】

 労働基準法第20条第1項に定める解雇予告手当は、同法第23条に定める、労働者の退職の際、その請求に応じて7日以内に支払うべき労働者の権利に属する金品にはあたらない。

 

 

③【H12年出題】

 使用者は、労働者が退職する場合において、労働者から請求があった場合においては、争いがある部分を除き、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称のいかんを問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。このことは、退職手当についても同様である。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 〇

 賃金又は金品について労使で争いがある場合は、異議のない部分を、7日以内に支払い、又は返還すればよいことになっています。

 

 

②【H30年出題】 〇

 解雇予告手当は、「解雇の申し渡しと同時に支払うべきもの」とされています。

(昭23.3.17基発464号)

 

 

③【H12年出題】 ×

 退職手当は、通常の賃金とは異なり、予め就業規則で定められた支払時期に支払えば足りるとされています。

(昭26.12.27基収5483号)

 

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労働基準法

R4-283 

R4.6.1 労働条件を明示する方法

 労働契約を締結する際に、使用者には労働条件を明示する義務があります。

 明示すべき労働条件の範囲は厚生労働省令で定められていて、前回お話ししたように、絶対的明示事項と相対的明示事項があります。

 今回は、明示する方法を確認します。

 

 もう一度、法第15条を読んでみましょう。

第15条 (労働条件の明示)

 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない

 

施行規則第5条

    法第15条第1項後段の厚生労働省令で定める事項は、絶対的明示事項昇給に関す事項を除く。)とする。

④ 法第15条第1項後段の厚生労働省令で定める方法は、書面の交付とする。

 ただし、当該労働者が次のいずれかの方法によることを希望した場合には、当該方法とすることができる。

1 ファクシミリを利用してする送信の方法

2 電子メール等の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)

 

 

★絶対的明示事項のうち昇給以外は、書面の交付等による明示が義務付けられています。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H24年出題】

 労働基準法第15条により、使用者が労働契約の締結に際し書面で行うこととされている労働条件の明示については、当該労働条件を記載した就業規則を交付することではその義務を果たすことはできない。

 

 

②【R3年出題】

 労働契約の締結の際に、使用者が労働者に書面により明示すべき「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」について、労働者にとって予期せぬ不利益を避けるため、将来就業する可能性のある場所や、将来従事させる可能性のある業務を併せ、網羅的に明示しなければならない。

 

 

③【R2年出題】

 労働契約の締結の際に、使用者が労働者に書面により明示すべき賃金に関する事項及び書面について、交付すべき書面の内容としては、労働者の採用時に交付される辞令等であって、就業規則等(労働者への周知措置を講じたもの)に規定されている賃金等級が表示されたものでもよい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H24年出題】 ×

 書面で明示しなければならない労働条件について、「当該労働者に適用する部分を明らかにして就業規則を交付すること」は差し支えないとされています。

H11.1.29基発第45号)

 

 

②【R3年出題】 ×

 「雇入れ直後の」就業の場所及び従事すべき業務を明示すれば足りる、とされています。しかし、将来の就業場所や従事させる業務を併せ、網羅的に明示することは差し支えありません。

H11.1.29基発第45号)

 

 

③【R2年出題】 〇

 交付すべき書面の内容としては、就業規則と併せて賃金に関する事項がその労働者について確定できるものであればよい、とされています。

 ですので、労働者の採用時に交付される辞令等で、就業規則等に規定されている賃金等級が表示されたものでも差し支えありません。この場合、就業規則等が労働者に周知されていることが必須です。

H11.3.31基発168号)

 

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労働基準法

R4-282 

R4.5.31 労働契約締結時に明示すべき労働条件

 前回の続きです。

 労働契約を締結する際、使用者は労働者に労働条件を明示することが義務づけられています。

 明示事項には、絶対的明示事項(必ず明示しなければならない事項)と相対的明示事項(制度を設ける場合は明示しなければならない事項)があり、明示すべき労働条件の範囲は、厚生労働省令で定められています。

 

 では、明示すべき労働条件の範囲を確認しましょう。

施行規則第5条 

<絶対的明示事項>

1 労働契約の期間

2 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準

(期間の定めのある労働契約であって当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の場合に限る)

3 就業の場所、従事すべき業務

4 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換

5 賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締切り・支払の時期、昇給

6 退職(解雇の事由を含む。)

 

<相対的明示事項>

7 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払の方法、退職手当の支払の時期

8 臨時に支払われる賃金、賞与等、最低賃金額

9 労働者に負担させるべき食費、作業用品等

10 安全及び衛生

11 職業訓練 

12 災害補償及び業務外の傷病扶助

13 表彰及び制裁

14 休職

 1から6の絶対的明示事項は、必ず明示する義務がありますが、7~14の相対的明示事項については、制度を設けていない場合は、明示義務はありません。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【R1年出題】

 労働契約の期間に関する事項は、書面等により明示しなければならないが、期間の定めをしない場合においては期間の明示のしようがないので、この場合においては何ら明示しなくてもよい。

 

 

②【H25年出題】  

 使用者は、期間の定めのある労働契約であって当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の際に、労働者に対して、期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項を、書面の交付により明示しなければならない。

 

 

③【H18年出題】     

 使用者は、労働基準法第15条(労働条件の明示)の規定に基づき、労働契約の締結に際し、労働者に対して、「所定労働時間を超える労働の有無」及び「所定労働日以外の労働の有無」について、書面の交付により明示しなければならないこととされている。

 

 

④【H24年出題】

 使用者は、「表彰に関する事項」については、それに関する定めをする場合であっても、労働契約の締結に際し、労働者に対して、労働基準法第15条の規定に基づく明示をする必要はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 ×

 「労働契約の期間」については、「期間の定めがある労働契約」の場合は「契約期間」を、「期間の定めのない労働契約」の場合は、「期間の定めのない旨」の明示が必要です。

(平11.1.29基発45号)

 

 

②【H25年出題】 〇

 「期間の定めのある労働契約」で、更新する場合があるものの締結の場合は、更新する場合の基準を明示する義務があります。

 契約更新の判断基準として、契約期間満了時の業務量 ・勤務成績、態度 ・能力・会社の経営状況 ・従事している業務の進捗状況等があります。

(平24.10.26基発10262号)

 

 

③【H18年出題】 ×     

 「所定労働時間を超える労働の有無」は絶対的明示事項ですが、「所定労働日以外の労働の有無」は明示すべき事項には入っていません。

 

 

④【H24年出題】 ×

「表彰に関する事項」は相対的明示事項です。表彰に関する制度を設けている場合は、労働契約を締結する際に明示する必要があります。

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-281 

R4.5.30 労働条件の明示

 労働契約を締結する際、使用者は労働者に労働条件を明示することが義務づけられています。

 労働条件がはっきりしないまま働くことによるトラブルを防止するためです。

 

 では、条文を読んでみましょう。

15条 (労働条件の明示)

 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。 

 明示する事項と方法は、厚生労働省令で定められています。内容は次回お話します。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H16年出題】

 労働基準法第15条に基づいて明示すべき労働条件の範囲は、同法第1条「労働条件の原則」及び第2条「労働条件の決定」でいう労働条件の範囲とは異なる。

 

 

②【H29年出題】   

 派遣労働者に対する労働条件の明示は、労働者派遣法における労働基準法の適用に関する特例により派遣先の事業のみを派遣中の労働者を使用する事業とみなして適用することとされている労働時間、休憩、休日等については、派遣先の使用者がその義務を負う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H16年出題】 〇

 労働基準法第1条と第2条の「労働条件」は、広く解釈され、賃金、労働時間、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件をすべて含んだ「労働者の職場における一切の待遇」をいう、とされています。

   一方、第15条に基づいて明示すべき労働条件の範囲は、施行規則第5条で具体的に定められています。

 問題文の通り、第1条・第2条の労働条件と第15条の労働条件は範囲が異なります。

 

 

②【H29年出題】 ×  

 派遣労働者に対する労働条件の明示は、労働契約関係にある「派遣元」の使用者が明示する義務を負っています。

 労働者派遣法における労働基準法の適用に関する特例により、派遣元が労基法の義務を負わない労働時間、休憩、休日等も含めて、労働条件の明示をする必要があります。

(昭61.6.6基発333号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-280 

R4.5.29 労働基準法違反の契約

 労働基準法は、労働者を保護するために労働条件の最低ラインを定めるもので、強行法規としての効力をもちます。

 

 労働基準法に違反する労働契約を締結した場合、その効力はどうなるのでしょうか?

 条文を読んでみましょう。

第13条 (この法律違反の契約)

 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。

 

 例えば、使用者と労働者が、「時間外労働をさせた場合でも、割増賃金を支給しない」と契約した場合で考えてみましょう。

 労働基準法では、1日8時間を超えて労働させた場合は、使用者に2割5分増の割増賃金を支払う義務を課しています。

 ですので、労働契約上の「割増賃金を支給しない」の部分は無効になります。無効になった部分は、労働基準法の規準により、「時間外労働をさせた場合は割増賃金を支給する」という内容に置き換わります。

 なお、無効になるのは労働基準法の基準に達していない「割増賃金を支給しない」の部分のみです。それ以外の労働契約の部分は有効です。労働契約全体を無効にすると労働者の労働の機会そのものが無くなってしまうからです。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H25年出題】

 労働基準法は、同法の定める基準に達しない労働条件を定める労働契約について、その部分を無効とするだけでなく、無効となった部分を同法所定の基準で補充することも定めている。

 

②【H27年出題】

 労働協約に定める基準に違反する労働契約の部分を無効とする労働組合法第16条とは異なり、労働基準法第13条は、労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とすると定めている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】 〇

 「無効となった部分は、この法律で定める基準による。」の部分で、無効となった部分は、労働基準法の基準どおりに補充されることになります。

 

②【H27年出題】 〇

 労働基準法第13条で無効になるのは、基準に「達しない」労働条件です。労働基準法の基準よりも有利な労働条件は有効です。

 一方、労働組合法第16条は、『労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする。この場合において無効となった部分は、基準の定めるところによる。労働契約に定がない部分についても、同様とする。』と規定されています。

 労働協約で定める労働条件に「違反する」(→「達しない」ではありません。)労働契約の部分は、無効です。

 

 

★「労働条件の力関係」をおさえましょう。

労働基準法 > 労働協約 > 就業規則 > 労働契約

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-265 

R4.5.14 解雇予告の適用除外

 今回のテーマは、解雇予告の適用が除外される労働者です。

 

 条文を読んでみましょう。

第21条 

 前条の規定(解雇の予告)は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

1 日日雇い入れられる者

2 2か月以内の期間を定めて使用される者

3 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者

4 の使用期間中の者

但し、第1号に該当する者が1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合、第2号若しくは第3号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合又は第4号に該当する者が14日を超えて引き続き使用されるに至った場合においては、この限りでない。

 

ポイント!

 原則と例外をおさえてください。

 「日日雇入れられる者」には、原則として解雇の予告の規定は適用されませんが、「1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合」は、解雇の予告の規定が適用されます。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H30年選択式】

 日日雇い入れられる者には労働基準法第20条の解雇の予告の規定は適用されないが、その者が< A >を超えて引き続き使用されるに至った場合においては、この限りでない。

 

 

②【H23年出題】

 労働基準法第20条所定の予告期間及び予告手当は、6か月の期間を定めて使用される者が、期間の途中で解雇される場合には適用されることはない。

 

 

③【H23年出題】

 労働基準法第20条所定の予告期間及び予告手当は、3か月の期間を定めて試みの使用をされている者には適用されることはない。

 

 

④【H26年出題】

 試みの使用期間中の労働者を、雇入れの日から起算して14日以内に解雇する場合は、解雇の予告について定める労働基準法第20条の規定は適用されない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年選択式】

A1か月 

 

 

②【H23年出題】 ×

 「6か月」の期間を定めて使用される者には、第20条(予告期間及び予告手当)が適用されますので、期間の途中で解雇される場合は予告が必要です。

 

 

③【H23年出題】 ×

 「試みの使用期間」の長さに制限はありませんので、例えば3か月でも6か月でも差し支えありません。

 ただし、「試みの使用期間中」であっても、「14日」を超えて引き続き使用されるに至った場合は、解雇予告制度が適用されます。

(昭24.5.14基収1498号)

 

 

④【H26年出題】 〇

 試みの使用期間中に、雇入れの日から起算して14日以内に解雇する場合は、解雇の予告は不要です。

 

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労働基準法

R4-264 

R4.5.13 解雇の予告期間中に業務上負傷し又は疾病にかかった場合

 例えば、51日に531日の終了をもって解雇する旨を予告していたが、その予告期間中に業務上の負傷をし、療養のため休業した場合、解雇予告の効力はどうなるのでしょうか?

 

 第19条を確認しておきましょう。

19条 (解雇制限)

 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。(ただし・・・以下省略)

 ※「業務上の負傷又は疾病の療養のため休業する期間とその後30日間」、「産前産後の休業期間中とその後30日間」は解雇できません。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H24年出題】

 使用者が労働者を解雇しようとする日の30日前に解雇の予告をしたところ、当該労働者が、予告の日から5日目に業務上の負傷をし療養のため2日間休業した。当該業務上の負傷による休業期間は当該解雇の予告期間の中に納まっているので、当該負傷については労働基準法第19条の適用はなく、当該解雇の効力は、当初の予告どおりの日に発生する。

 

 

②【H30年出題】

 労働基準法では、使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならないと規定しているが、解雇予告期間中に業務上負傷し又は疾病にかかりその療養のために休業した場合には、この解雇制限はかからないものと解されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H24年出題】 ×

 

解雇予告期間

 

 

 

解雇

予告

 

業務上

負傷

 

 

 

解雇

予定日

 

 

 

 

 

(解雇制限)業務上の傷病による療養のための休業期間30日間

 

  

 解雇予告期間中に、労働者が業務上負傷し又は疾病にかかり休業を要する場合、それがたとえ1日か2日の軽度の負傷又は疾病であっても、第19条の解雇制限の適用があります。

 問題文のように業務上の負傷をし療養のため2日間休業した場合は、休業期間中とその後30日間は解雇できません。

 問題文の場合は、労働基準法第19条が適用され、当初の解雇予定日は解雇制限期間中となり、解雇できません。(解雇の効力は予告通りの日に発生しません。)

(昭和26.6.25基収2609号)

 

 

②【H30年出題】 ×

 ①の問題と同じです。解雇予告期間中に業務上負傷し又は疾病にかかりその療養のために休業した場合でも、第19条の解雇制限の対象になります。

 なお、解雇制限期間が満了すると解雇できますが、改めて解雇予告が必要かどうかについては、行政通達では以下のようになっています。

 「負傷し又は疾病にかかり休業したことによって、前の解雇予告の効力の発生自体は中止されるだけであるから、その休業期間が長期にわたり解雇予告としての効力を失うものと認められる場合を除き治癒した日に改めて解雇予告をする必要はない」とされています。

(昭和26.6.25基収2609号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-263 

R4.5.12 解雇の予告の除外

 前回の続きです。

 労働者を解雇する場合は、30日前に予告をするか、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりませんが、予告などが除外される例外があります。

 

 条文を読んでみましょう。

第20条 (解雇の予告)

① 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。

 但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りでない。

② ①の予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。

③ 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。

※前条第2項 → その事由について行政官庁の認定を受けなければならない

 

解雇予告等が除外される場合

① 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合

② 労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合

※①②ともに「所轄労働基準監督署長の認定」を受けなければなりません。

「天災事変その他やむを得ない事由」

  → 事業場が火災により焼失・震災に伴う事業場の倒壊など

「労働者の責に帰すべき事由」

  → 盗取、横領、傷害など

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H23年出題】

 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においても、使用者は、労働基準法第20条所定の予告手当を支払うことなく、労働者を即時に解雇しようとする場合には、行政官庁の認定を受けなければならない。

 

②【R2年出題】

 使用者は、労働者を解雇しようとする場合において、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」には解雇の予告を除外されるが、「天災事変その他やむを得ない事由」には、使用者の重過失による火災で事業場が焼失した場合も含まれる。

 

 

③【H18年出題】

 労働基準法第20条第1項ただし書の事由に係る行政官庁の認定(以下「解雇予告除外認定」という。)は、原則として解雇の意思表示をなす前に受けるべきものではあるが、それは、同項ただし書に該当する事実があるか否かを確認する処分であって、認定されるべき事実がある場合には使用者は有効に即時解雇をなし得るものと解されるので、そのような事実がある場合には、即時解雇の意思表示をした後、解雇予告除外認定を得たときは、その解雇の効力は使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生すると解されている。

 

 

④【H24年出題】

 労働者によるある行為が労働基準法第20条第1項ただし書の「労働者の責に帰すべき事由」に該当する場合において、使用者が即時解雇の意思表示をし、当日同条第3項の規定に基づいて所轄労働基準監督署長に解雇予告除外認定の申請をして翌日その認定を受けたときは、その即時解雇の効力は、当該認定のあった日に発生すると解されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H23年出題】 〇

 「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」でも、予告手当無しで即時解雇しようとする場合には、行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定を受ける必要があります。

 

 

②【R2年出題】 ×

 事業場が火災により焼失した場合は、「天災事変その他やむを得ない事由」に該当しますが、「使用者の重過失」に基づく場合は、除かれます。

(昭63.3.14基発第150号)

 

 

③【H18年出題】 〇

 解雇予告除外認定は、解雇の意思表示をする前に受けることが原則です。

 解雇予告除外認定は、ただし書に該当する事実があるか否かを確認する処分です。認定されるべき事実がある場合は、仮に認定を受けなかったとしても、使用者は有効に即時解雇ができる点がポイントです。

 即時解雇の意思表示をした後、解雇予告除外認定を得たときは、その解雇の効力は使用者が「即時解雇の意思表示をした日」に発生するとされています。「解雇予告除外認定を得た日」ではありませんので、注意してください。

(昭63.3.14基発150号)

 

 

④【H24年出題】 ×

 解雇の意思表示の後に解雇予告除外認定を受けたとしても、認定されるべき事実がある場合は、有効に即時解雇ができるとされています。即時解雇の効力は、「当該認定のあった日」ではなく、「即時解雇の意思表示をした日」に発生します。

(昭63.3.14基発150号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-262 

R4.5.11 解雇の予告

 労働者を解雇する場合は、「少なくとも30日前に予告する」、又は「30日分以上の平均賃金の支払い」が必要です。

 

 条文を読んでみましょう。

20条 (解雇の予告)

① 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し・・・(以下今回は省略します。)

② 予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。

 

ポイント!

 30日分以上の平均賃金を支払えば、即時解雇が可能です。

 ②について → 予告の一部を平均賃金で支払い、その分予告期間を短縮する方法(予告手当と予告期間の併用)も可能です。

 

過去問をどうぞ!

①【H16年出題】

 労働基準法第20条の規定に基づき、解雇の予告に代えて支払われる平均賃金(解雇予告手当)を算定する場合における算定すべき事由の発生した日は、労働者に解雇の通告をした日である。 

 

 

②【R1年出題】

 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならないが、予告期間の計算は労働日で計算されるので、休業日は当該予告期間には含まれない。

 

 

③【H26年出題】

 平成26930日の終了をもって、何ら手当を支払うことなく労働者を解雇しようとする使用者が同年91日に当該労働者にその予告をする場合は、労働基準法第20条第1項に抵触しない。

 

 

④【H26年出題】

 労働基準法第20条に定める解雇の予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。

 

 

⑤【H24年出題】

 使用者は、ある労働者を831日の終了をもって解雇するため、同月15日に解雇の予告をする場合には、平均賃金の14日分以上の解雇予告手当を支払わなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H16年出題】 〇  

 解雇予告手当を算定する場合の算定すべき事由の発生した日は、「労働者に解雇の通告をした日」です。

(昭39.6.12基収2316号) 

 

 

②【R1年出題】 ×

 30日間は、労働日ではなく暦日で計算されますので、休業日も含みます。

 

 

③【H26年出題】 ×

 930日の終了をもって解雇するためには、831日には解雇の予告をしなければなりません。

 民法の一般原則によって、解雇予告を行った日は、解雇予告期間に算入されないため、予告期間は予告を行った日の翌日から計算されます。

 

 

④【H26年出題】 〇

 予告の一部を平均賃金で支払い、その分予告期間を短縮する方法(予告手当と予告期間の併用)も可能です。

 

 

⑤【H24年出題】 〇

 予告の一部を平均賃金で支払い、その分予告期間を短縮する方法(予告手当と予告期間の併用)も可能です。

 815日に解雇の予告をした場合、翌日の16日から31日までの16日間が予告期間となるので、平均賃金の14日分以上の解雇予告手当を支払わなければなりません。

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-261 

R4.5.10 有期労働契約その2

 前回の続きです。

 有期労働契約は、労働者を長期に拘束することを避けるため、原則3年以内と定められています。

 ただし、「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの」は、例外的に、3年を超える契約が認められています。

 また、「専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就かせる場合に限る。)」、「満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約」は、最長5年までの契約期間が認められています。

 

 今回は、「5年」が認められる要件をみていきましょう。

 

 では、再度第14条を読んでみましょう。

第14条 (契約期間等)

 労働契約は、期間の定めのないものを除き一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならない。

1 専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約

2 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)

 

 「高度の専門的知識等を有する者として厚生労働大臣が定める基準」の中には、「社会保険労務士の資格を有する者」も入っています。

 ただし、社会保険労務士の国家資格を有しているだけでは足りず、「当該国家資格の名称を用いて当該国家資格に係る業務を行うことが労働契約上認められている等」が必要です。(H15.10.22基発第10220001号)

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H28年出題】

 使用者は、労働者が高度の専門的知識等を有していても、当該労働者が高度の専門的知識等を必要とする業務に就いていない場合は、契約期間を5年とする労働契約を締結してはならない。

 

②【H18年選択式】

 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(一定の労働契約については5年)を超える期間について締結してはならないこととされている。そこで、例えば、システムエンジニアの業務に就こうとする者であって、一定の学校において就こうとする業務に関する学科を修めて卒業し、就こうとする業務に一定期間以上従事した経験を有し、かつ、労働契約の期間中に支払われることが確実に見込まれる賃金の額を1年当たりの額に換算した額が< A >ものとの間に締結される労働契約にあっては、5年とすることができる。

 

 

③【H25年出題】

 使用者は、満60歳以上の労働者との間に、5年以内の契約期間の労働契約を締結することができる。

 

 

④【H29年出題】

 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約について、労働契約期間の上限は当該労働者が65歳に達するまでとされている。

 

 

⑤【H30年出題】

 労働基準法第14条第1項第2号に基づく、満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(期間の定めがあり、かつ、一定の事業の完了に必要な期間を定めるものではない労働契約)について、同条に定める契約期間に違反した場合、同法第13条の規定を適用し、当該労働契約の期間は3年となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 〇

 契約期間を5年とする労働契約を締結できる「専門的知識等であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者」は、「当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者」に限られます。

(法第14条第1項第1号)

 

②【H18年選択式】

A 1075万円を下回らない

 一定の学歴と実務経験を有し、年収が1075万円以上である「システムエンジニアの業務に就こうとする者」との間に締結される労働契約は最長5年とすることができます。

(高度の専門的知識等を有する者として厚生労働大臣が定める基準 H15.10.22厚生労働省告示第356号)

 

 

③【H25年出題】 〇

 満60歳以上の労働者との間の労働契約の契約期間は最長5年です。

(法第14条第1項第2号)

 

 

④【H29年出題】 ×

 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約の契約期間の上限は5年です。65歳に達するまでという規定はありません。

 

 

⑤【H30年出題】 ×

 「満60歳以上」の労働者との間に締結される労働契約ですので、第14条に定める契約期間に違反し同法第13条の規定が適用された場合、当該労働契約の期間は3年ではなく「5年」となります。

 労働基準法第13条も確認しておきましょう。

 「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。」 

 第13条が適用されると、基準に達しない部分は「無効」、無効となった部分は、「この法律で定める基準」になります。

(平15.10.221022001号) 

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-260 

R4.5.9 労働契約の期間(有期労働契約の上限その1)

 労働契約には、「期間の定めのない労働契約」と「期間の定めのある労働契約」があります。

 「期間の定めのない労働契約」は、労働者側からいつでも自由に解約できますので、労働基準法上の制限はありません。

 一方、「期間の定めのある労働契約」は、契約期間中は原則として解約できません。例えば、契約期間を20年にすると、20年の間、労働者は退職できず、長期にわたり労働者を拘束することになってしまいます。そのため、労働基準法では、「期間の定めのある労働契約」は、原則として最長3年という制限を設けています。

 

 では、条文で確認しましょう。

第14条 (契約期間等)

 労働契約は、期間の定めのないものを除き一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならない。

1 専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約

2 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)

 

<有期労働契約のポイント!>

★原則 → 3年を超えてはならない

☆例外その1・・・3年を超えて契約できるもの

  ・一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの

    例えば、土木工事の事業で、その工事の終期までの期間を定める契約

  ・職業訓練のための訓練期間(第70条)

☆例外その2・・・5年まで契約できるもの

  ・専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約

(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就かせる場合に限る。)

  ・満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約

 

 

過去問をどうぞ!

①【H16年出題】

 労働基準法第14条第1項では、労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(弁護士、社会保険労務士等に係る労働契約で同項第1号に該当するもの、又は同項第2号に該当するものについては5年)を超える期間について締結してはならないこととされている。この労働基準法第14条第1項に規定する期間を超える期間を定めた労働契約を締結した場合は、同条違反となり、当該労働契約の期間は、同項第1号又は第2号に該当するものについては5年、その他のものについては3年となる。

 

②【H23年出題】

 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(労働基準法第14条第1項の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならず、また、期間を定める労働契約の更新によって継続雇用期間が10年を超えることがあってはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H16年出題】 〇

 労働基準法第13条で、「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。」と規定されています。

 第14条違反には第13条が適用され、基準に達しない部分は「無効」、無効となった部分は、「この法律で定める基準」になります。ですので、問題文の労働契約の期間は、「同項第1号又は第2号に該当するものについては5年、その他のものについては3年」となります。

(法第13条、平15.10.221022001号)

 

②【H23年出題】 ×

 有期労働契約の更新は可能です。更新による継続雇用期間については制限はありません。

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-244 

R4.4.23 年俸制のこと

 賃金を1年単位で決定している制度を、年俸制といいます。

 労働者の成果や能力に対する評価で決定されます。

 年俸制の労働者にも、労働基準法の賃金のルールは適用されますし、また、時間外労働等をさせた場合は、割増賃金の支払いも必要です。

 

 今回は、年俸制のルールを確認します。

 

では、早速過去問をどうぞ!

①【H30年出題】

 労働基準法では、年俸制をとる労働者についても、賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならないが、各月の支払いを一定額とする(各月で等分して支払う)ことは求められていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年出題】 〇

 年俸制にも賃金支払い五原則が適用されますので、「毎月1回以上、一定の期日を定めて」支払わなければなりません。

 毎月、年俸額の12分の1を支払い、各月の支払いを一定額にする方法もありますが、年俸額の一部を賞与の時期に支払う方法(例えば、毎月、年俸額の16分の1を支払い、16分の42等分して賞与として支給する等)もとれます。各月の支払いを一定額とすることは求められていません。

 

 

では、もう一問どうぞ!

②【H17年出題】

 年間賃金額を予め定めるいわゆる年俸制を採用する事業場において、就業規則により、決定された年俸の16分の1を月例給与とし、決定された年俸の16分の42分して6月と12月にそれぞれ賞与として支給し、他に交通費実費分の通勤手当を月々支給することを定めて支給しているような場合には、割増賃金の支払いは、月例給与に賞与部分を含めた年俸額を基礎として計算をして支払わなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H17年出題】 〇

<この問題文の支払い方法>

毎月 → 年俸の16分の1+通勤手当

6月と12月 → 年俸の16分の2ずつを賞与として支給

 

 時間外労働等を行った場合は、年俸制の労働者にも割増賃金を支払わなければなりません。

 その際、「6月と12月に賞与として支払われている賃金」をどのように扱うのかがポイントです。

 通達では、「施行規則第21条第4号の「臨時に支払われた賃金」及び第5号の「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」のいずれにも該当しないものであるから、割増賃金の算定基礎から除外できない」とされています。

 ですので、賞与の部分も含めて計算しなければなりません。

 なお、通勤手当は算定基礎に含めませんので、割増賃金の支払いは、問題文のように「月例給与に賞与部分を含めた年俸額」を基礎として計算します。

H12.3.8基収78号)

 

 

★年俸制の平均賃金について

 割増賃金と同じように扱います。賞与部分を含めた年俸額の12分の11か月分の賃金として平均賃金を算定します。

H12.3.8基収78号)

 

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https://youtu.be/4cBZ2NjyW_4

社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-242 

R4.4.21 割増賃金の計算の基礎に算入しない賃金

 時間外労働、休日労働、深夜労働をさせた場合、使用者には割増賃金を支払う義務があります。

 例えば、時間外労働の場合は、1時間当たりの賃金×1.25で計算した割増賃金を支払わなければなりません。

 今回のテーマは、割増賃金の計算の基礎になる1時間当たりの賃金の計算に算入しない賃金です。

 

条文を読んでみましょう。

37条 (時間外、休日及び深夜の割増賃金)

⑤ 割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない

則第21条 

 法第37条第5項の規定によって、家族手当及び通勤手当のほか、次に掲げる賃金は、割増賃金の基礎となる賃金には算入しない。

1 別居手当

2 子女教育手当

3 住宅手当

4 臨時に支払われた賃金

5 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

1時間当たりの賃金は、手当も含めて計算します。しかし、「家族手当」、「通勤手当」、「別居手当」、「子女教育手当」、「住宅手当」、「臨時に支払われた賃金」、「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」の7つの手当などは計算に入れません。

 家族手当は「家族の有無」、通勤手当は「交通機関の運賃」で決まり、労働とは関係ないからです。

 また、賞与など(「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」に該当する)も計算に入れません。

 なお、覚え方は、「か つ べ し ん 一 住宅」です。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H26年出題】

 通勤手当は、労働とは直接関係のない個人的事情に基づいて支払われる賃金であるから、労働基準法の第37条の割増賃金の基礎となる賃金には算入しないこととされている。

  

②【H23年出題】

 労働基準法第37条に定める割増賃金の基礎となる賃金(算定基礎賃金)はいわゆる通常の賃金であり、家族手当は算定基礎賃金に含めないことが原則であるから、家族数に関係なく一律に支給されている手当は、算定基礎賃金に含める必要はない。

  

③【H19年出題】

 労働基準法第37条第5項及び労働基準法施行規則第21条の規定によって、割増賃金の計算の基礎となる賃金には家族手当、住宅手当等は算入されないこととされており、例えば、賃貸住宅の居住者には3万円、持家の居住者には1万円というように、住宅の形態ごとに一律に定額で支給することとされている手当は、同規則第21条でいう住宅手当に該当し、同法第37条の割増賃金の計算の基礎となる賃金には算入しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H26年出題】 〇

 「通勤手当」は、割増賃金の基礎となる賃金には算入しません。

 

 

②【H23年出題】 ×

 「家族手当」は算定基礎賃金に含めないことが原則です。

 しかし、例えば、家族がいない人にも支払われているとか、その家族数に関係なく一律に支給されている場合は、「家族手当」とはみなされず、割増賃金の計算に入れなければなりません。

(昭22.11.5基発231号)

 

 

③【H19年出題】 ×

 問題文の住宅手当は、施行規則第21条でいう住宅手当に該当せず、割増賃金の計算の基礎となる賃金に「算入されます」。

 住宅に要する費用以外の費用に応じて算定される手当や、住宅に要する費用にかかわらず一律に定額で支給される手当は、則第21条でいう住宅手当に当たりません。ですので、割増賃金の計算に入ります。

H11.3.31基発170号)

 

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https://youtu.be/NrYwaV93kM8

社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-231 

R4.4.10 平均賃金の最低保障額

 平均賃金は原則として、「算定事由発生日以前3か月間の賃金総額」÷「3か月間の総日数」で計算します。

 ただし、賃金が日給制、時間給制、出来高給制(請負制)の場合は、最低保障額の定めがあります。

 

条文で確認しましょう。

12条 

 この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。

 ただし、その金額は、次の各号の一によって計算した金額を下つてはならない。

① 賃金が、労働した日若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60

② 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額

 

 「月給制」の場合は、1か月の所定労働日数に関係なく賃金が支払われますので、平均賃金がそれほど変動することはありません。

 しかし、例えば時間給制の場合は、出勤日数が非常に少ない月があると、平均賃金に響きます。

 そのため、日給制、時間給制、出来高給制(請負制)の場合は、最低保障額が定められています。

 

過去問をどうぞ!

H19年出題】

 平均賃金は、原則として、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除して算定するものとされているが、賃金がいわゆるパートタイマーに多くみられるように労働した時間によって算定される場合には、その金額は、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60を下ってはならないこととされている。

 

 

 

 

 

 

【解答】

H19年出題】 〇

<最低保障額のポイント>

最低保障額は、分母が「総日数」ではなく、「その期間中に労働した日数」になること。また、「100分の60」は、労働日当たりの賃金の6割を保障するという考え方です。

最低保障額の計算式

 算定期間中の賃金総額÷算定期間中に労働した日数×100分の60

 

 「原則の計算式」で算定した平均賃金が、最低保障額を下回る場合は、最低保障額が平均賃金となります。

 

★ちなみに・・・

「賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた場合」の計算について

 例えば、「月給制」と「時給制」が併給されている場合は、「月給制」の部分は「総日数」で除して算定し、「時給制」の部分は最低保障のルールで計算します。その2つの金額の合計額が最低保障額となります。

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-230 

R4.4.9 平均賃金から除外する賃金

 前回は、「分母と分子の両方」から控除する期間を確認しました。

 今回は、「分子の賃金総額」からのみ除外される賃金をみていきます。

 

条文を読んでみましょう。

12条第4項、5項 

④ 賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しない。

⑤ 賃金が通貨以外のもので支払われる場合、賃金の総額に算入すべきものの範囲及び評価に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

 

則第2条 

① 法第12条第5項の規定により、賃金の総額に算入すべきものは、法第24条第1項ただし書の規定による法令又は労働協約の別段の定めに基づいて支払われる通貨以外のものとする。

 

賃金の総額から除外される賃金は、①「臨時に支払われた賃金」、②「3か月を超える期間ごとに支払われる賃金」、③「通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの」です。

①「臨時に支払われた賃金」は、支給条件は予め確定されているが、支給事由の発生が不確定で、かつ非常にまれに発生するものをいいます。例えば、結婚手当、私傷病手当、退職金などが該当します。

(昭22.9.13発基第17号、昭26.12.27基収第385号)

 

②「3か月を超える期間ごとに支払われる賃金」は、年2回の賞与等をいいます。

(昭25.4.15基収392号)

 

③「通貨以外のもので支払われた賃金」は現物給与のことです。

 賃金総額に算入される現物給与は、則第2条で定められている「法令又は労働協約の別段の定めに基づいて支払われる通貨以外のもの」に限られます。それ以外の現物給与は賃金総額に算入されません。

 

過去問をどうぞ!

① 【H24年出題】

 労働基準法に定める「平均賃金」とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいい、年に2回6か月ごとに支給される賞与が当該3か月の期間内に支給されていた場合には、それも算入して計算される。

 

 

②【H27年出題】

 平均賃金の計算の基礎となる賃金の総額には、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金、通勤手当及び家族手当は含まれない。

 

 

③【H26年出題】

 ある会社で労働協約により6か月ごとに6か月分の通勤定期乗車券を購入し、それを労働者に支給している。この定期乗車券は、労働基準法第11条に規定する賃金であり、各月分の賃金の前払いとして認められるから、平均賃金算定の基礎に加えなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

① 【H24年出題】 ×

 年に2回6か月ごとに支給される賞与は、「3か月を超える期間ごとに支払われる賃金」に該当するので、平均賃金の計算には算入しません。

 

 

②【H27年出題】 ×

 「通勤手当及び家族手当」は、賃金総額に含まれます。

 

 

③【H26年出題】 〇

 労働協約により支給される定期券は、労働基準法第11条に規定する賃金です。また、6か月定期乗車券は、各月の賃金の前払いとして認められます。

(昭33.2.13基発90)

 

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https://youtu.be/W74p2COV9iQ

社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-229 

R4.4.8 平均賃金の計算から控除する期間及び賃金

 平均賃金の計算式の、分母は「3か月間の総日数」、分子は「3か月間の賃金の総額」です。 

 ただし、3か月間のうちに、一定の期間がある場合は、その期間の日数と賃金総額は、分母からも分子からもそれぞれ控除して算定します。

 計算に入れると、平均賃金が不当に低くなる可能性があるからです。

 

では、条文で読んでみましょう。

第12条第3項

 平均賃金の算定期間中に、次の各号のいずれかに該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、期間及び賃金の総額から控除する。

① 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間

② 産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間

③ 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間

④ 育児介護休業法に規定する育児休業又は介護休業をした期間

⑤ 試みの使用期間

 控除の対象になる期間は覚えましょう。

 分母の「期間中の日数」からも、分子の「賃金総額」からも、どちらからも控除するのがポイントです。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H27年出題】

 平均賃金の計算において、労働者が労働基準法第7条に基づく公民権の行使により休業した期間は、その日数及びその期間中の賃金を労働基準法第12条第1項及び2項に規定する期間及び賃金の総額から控除する。

 

 

②【H13年出題】 

 平均賃金の計算においては、業務災害又は通勤災害により療養のために休業した期間、産前産後の女性が労働基準法の規定によって休業した期間、育児・介護休業法の規定によって育児休業又は介護休業をした期間及び試みの使用期間については、その日数及びその期間中の賃金を控除する。

 

③【H19年出題】 

 平均賃金の計算においては、業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間、産前産後の女性が労働基準法第65条の規定によって休業した期間、使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「育児介護休業法」という。)の規定によって育児休業若しくは介護休業をした期間又は子の看護休暇を取得した期間及び試みの使用期間については、その日数及びその期間中の賃金を労働基準法第12条第1項及び第2項に規定する期間及び賃金の総額から控除する。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H27年出題】 ×

 「公民権の行使により休業した期間」は、平均賃金の計算上、控除の対象になっていません。

 

 

②【H13年出題】 ×

 「通勤災害により療養のために休業した期間」は、平均賃金の計算上、控除の対象になっていません。

 

③【H19年出題】 ×

 「子の看護休暇を取得した期間」は、平均賃金の計算上、控除の対象になっていません。 

 

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https://youtu.be/FqF9ufLhBC0 

社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-228 

R4.4.7 平均賃金 原則の計算式

 平均賃金は、賃金の1日当たりの単価です。

 解雇予告手当、休業手当、年次有給休暇の日の賃金、災害補償、減給制裁の制限額を算定するときに使います。

 

 原則の計算式を条文で読んでみましょう。

第12条 

① 平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、・・・(以下例外。今回は省略します。)

② ①の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。

 

平均賃金の原則の計算式は、

「算定事由発生日以前3か月間に支払われた賃金の総額」÷「その期間の総日数」です。

「総日数」は「暦日数」のことです。例えば31日から531日までの3か月なら、92日です。

 

 

では、過去問をどうぞ

R1年出題】

 次に示す条件で賃金を支払われてきた労働者について7月20日に、労働基準法第12条に定める平均賃金を算定すべき事由が発生した場合、その平均賃金の計算に関する記述のうち、正しいものはどれか。

<条件>

賃金の構成:基本給、通勤手当、職務手当及び時間外手当

賃金の締切日:基本給、通勤手当及び職務手当については、毎月25日

       時間外手当については、毎月15日

賃金の支払日:賃金締切日の月末

A 3月26日から6月25日までを計算期間とする基本給、通勤手当及び職務手当の総額をその期間の暦日数92で除した金額と4月16日から7月15日までを計算期間とする時間外手当の総額をその期間の暦日数91で除した金額を加えた金額が平均賃金になる。

B 4月、5月及び6月に支払われた賃金の総額をその計算期間の暦日数92で除した金額が平均賃金になる。

C 3月26日から6月25日までを計算期間とする基本給及び職務手当の総額をその期間の暦日数92で除した金額と4月16日から7月15日までを計算期間とする時間外手当の総額をその期間の暦日数91で除した金額を加えた金額が平均賃金になる。

D 通勤手当を除いて、4月、5月及び6月に支払われた賃金の総額をその計算期間の暦日数92で除した金額が平均賃金になる。

E 時間外手当を除いて、4月、5月及び6月に支払われた賃金の総額をその計算期間の暦日数92で除した金額が平均賃金になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R1年出題】

 

<この問題のポイント>

★賃金ごとに賃金締切日が異なる場合の平均賃金について

 → 各賃金ごとにその直前の締切日で算定します。

 

A 〇

「基本給、通勤手当、職務手当」は直前の賃金締切日である625日から遡り、「時間外手当」は直前の賃金締切日である715日から遡るのがポイントです。

 

B ×

C ×

「通勤手当」も平均賃金の計算に算入しなければなりません。問題文は通勤手当が入っていないので誤りです。

 

D ×

E  ×

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-212 

R4.3.22 法令等の周知義務

 就業規則は職場のルールです。働く人はその内容を知っておかなければなりません。

 使用者は、就業規則などを労働者に周知させる義務があります。

 

 条文で確認しましょう。

106条 (法令等の周知義務)

 使用者は、労働基準法及びこれに基づく命令の要旨就業規則労働基準法に規定する労使協定並びに労使委員会の決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない

 

則第52条の2

 厚生労働省令で定める方法は、次に掲げる方法とする。

1 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。

2 書面を労働者に交付すること。

3 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

 

過去問をどうぞ!

 

①【R2年出題】

 労働基準法第106条により使用者に課せられている法令等の周知義務は、労働基準法、労働基準法に基づく命令及び就業規則については、その要旨を労働者に周知させればよい。

 

 

②【R2年出題】

 使用者は、労働基準法第36条第1項(時間外及び休日の労働)に関する協定及び同法第41条の21項(いわゆる高度プロフェッショナル制度に係る労使委員会)に規定する決議を労働者に周知させなければならないが、その周知は、対象労働者に対してのみ義務付けられている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 ×

 「労働基準法、労働基準法に基づく命令」については、全文そのままではなく、要旨を周知させればよいことになっています。

しかし、就業規則は、要旨だけでなく全文の周知が必要です。

 

★周知義務が課せられているもの

・労働基準法、労働基準法に基づく命令の要旨

・就業規則(全文)

・労働基準法に規定する労使協定

①貯蓄金管理規定  ②賃金控除  ③1か月単位の変形労働時間制

④フレックスタイム制  ⑤1年単位の変形労働時間制

1週間単位の非定型的変形労働時間制  ⑦一斉休憩の適用除外  ⑧36協定

60時間超の時間外労働の場合の代替休暇  ⑩事業場外労働のみなし労働時間  

⑪専門業務型裁量労働制  ⑫時間単位の年次有給休暇  

⑬年次有給休暇の計画的付与 

⑭年次有給休暇の賃金を健康保険の標準標準日額で支払う制度

・労使委員会の決議

①企画業務型裁量労働制   ②高度プロフェッショナル制度

 

②【R2年出題】 ×

 対象労働者に対してのみではなく、労働者全体への周知が義務付けられています。

(平11.3.31基発169号)

 

 

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③【H23年出題】

 労働基準法第106条に定める就業規則の周知義務は、磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置することによっても果たされ得る。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【H23年出題】 〇

厚生労働省令で定められた3つの方法のいずれかの方法で周知しなければなりません。問題文の方法はそのうちの1つです。

 パソコンなどで随時確認する方法です。

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法(就業規則)

R4-211 

R4.3.21 制裁規定の制限

 「制裁」には、譴責、戒告、出勤停止、減給、懲戒解雇などがあります。公序良俗に反しない限り、就業規則に定めることができます。

 ただし、「減給」については、労働基準法で制限が設けられています。

 減給は、労働した分の賃金をカットすることです。何も規制が無いと、例えば1回の遅刻に対する制裁として、1か月分の賃金を全てカットすることもできてしまうからです。

 

 では、減給制裁の制限を条文で読んでみましょう。

第91条 (制裁規定の制限)

 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、 1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

 

 減給制裁は、「1回の額は平均賃金1日分の半額以内」、「一賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額は、一賃金支払期の賃金の総額の10分の1以内」となっています。

(昭23.9.20基収1789号)

 例えば、平均賃金が1万円、一賃金支払期の賃金総額が20万円なら、1回の額は5千円以内、一賃金支払期に減額できるのは2万円以内となります。

では、過去問をどうぞ!

①【R2年出題】

 労働者が、遅刻・早退をした場合、その時間に対する賃金額を減給する際も労働基準法第91条による制限を受ける

 

 

②【H28年出題】

 服務規律違反に対する制裁として一定期間出勤を停止する場合、当該出勤停止期間中の賃金を支給しないことは、減給制限に関する労働基準法第91条違反となる。

 

 

③【R3年出題】

 労働基準法第91条にいう「一賃金支払期における賃金の総額」とは、「当該賃金支払期に対し現実に支払われる賃金の総額」をいい、一賃金支払期に支払われるべき賃金の総額が欠勤や遅刻等により少額となったときは、その少額となった賃金総額を基礎として10分の1を計算しなければならない。

 

 

④【H16年出題】

 就業規則で労働者に対して減給の定めをする場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならず、もし、これを超えて減給の制裁を行う必要が生じた場合においても、その部分の減給は、次期の賃金支払期に延ばすことはできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 ×

 例えば、1時間遅刻した場合に、1時間分の賃金を差し引くことは、制裁による減給に該当しませんので、労働基準法第91条による制限は受けません。

 ただし、1時間の遅刻に対して2時間分を減給することは制裁とみなされ、第91条による制限を受けることになります。

(昭63.3.14基発150号)

 

 

②【H28年出題】 ×

 出勤停止期間中の賃金を支給しないことは、「制裁としての出勤停止の当然の結果」で、減給制限に関する労働基準法第91条には関係ない、とされています。

(昭23.7.3基収2177号)

 

 

③【R3年出題】 〇

 「一賃金支払期における賃金の総額」とは、当該賃金支払期に対し「現実に」支払われる賃金の総額をいいます。

(昭23.9.20基収1789号)

 

 

④【H16年出題】 ×

 1賃金支払期の賃金総額が20万円の場合は、減給の総額は2万円以内です。もし、25千円の減給の制裁を行う必要がある場合は、5千円分は次期の賃金支払期に延ばすことができます。

 「もし、これを超えて減給の制裁を行う必要が生じた場合においても、その部分の減給は、次期の賃金支払期に延ばすことはできない」は誤りです。

(昭23.9.20基収1789号)

 

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労働基準法(就業規則)

R4-210 

R4.3.20 就業規則の絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項

 就業規則に記載する事項には、絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項があります。

 いかなる場合でも絶対に記載しなければならない事項が「絶対的必要記載事項」、「定めをする場合」においては必ず記載しなければならない事項が「相対的必要記載事項」です。

 

 では、条文で確認しましょう。

89条 (作成及び届出の義務)

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

1 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

2 賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

3 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

3の2 退職手当定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

4 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

5 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

6 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

7 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

8 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

9 表彰及び制裁定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

10 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

 

 1から3が絶対的必要記載事項です。3の2以下は「定めをする場合においては」に注目してください。相対的必要記載事項です。

 

では過去問をどうぞ!

①【H26年出題】

 労働基準法第89条第1号から第3号までの絶対的必要記載事項の一部、又は、同条第3号の2以下の相対的必要記載事項のうち当該事業場が適用を受けるべき事項を記載していない就業規則は、同条違反の責を免れないものであり、労働基準法第13条に基づき、無効となる。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H26年出題】 ×

 必要記載事項が記載されていない就業規則も、「他の要件を具備する限り有効」とされています。問題文の「労働基準法第13条に基づき、無効となる」の部分は誤りです。

 しかし、定められた必要記載事項が記載されていないため、第89条違反の責任は免れません。

(平11.3.31基発168号)

 

 

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②【H23年出題】

 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、当該事業場の労働者すべてを対象にボランティア休暇制度を定める場合においては、これに関する事項を就業規則に記載しなければならない。

 

 

③【H30年出題】

 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則に制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項を必ず記載しなければならず、制裁を定めない場合にはその旨を必ず記載しなければならない。

 

 

④【H25年出題】

 労働基準法第89条の規定により、常時10人以上の労働者を使用するに至った使用者は、同条に規定する事項について就業規則を作成し、所轄労働基準監督署長に届け出なければならないが、従来の慣習が当該事業場の労働者のすべてに適用されるものである場合、当該事項については就業規則に規定しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H23年出題】 〇

 「休暇」は第1号の中に入っていますので、絶対的必要記載事項です。

年次有給休暇や産前産後休暇のように労働基準法で定められた休暇のみなならず、任意に設けている夏季休暇や慶弔休暇なども含まれます。

 ボランティア休暇制度も「休暇」ですので、これに関する事項は就業規則に記載しなければなりません。

 

 

③【H30年出題】 ×

 「制裁」は「定めをする場合」は記載しなければならない相対的必要記載事項です。制裁を定めない場合は、記載する義務はありません。

 

 

④【H25年出題】 〇

 第10号は、「当該事業場の労働者のすべてに適用される定め」です。「従来の慣習」が当該事業場の労働者のすべてに適用されるのであれば、第10号に含まれますので、就業規則の記載が必要です。

(平11.3.31基発168号) 

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法(就業規則)

R4-209 

R4.3.19 就業規則の作成及び届出の義務

 就業規則は、その事業場の「法的規範」としての性質を有します。

 「就業規則」の作成手続きや、届出について条文で確認しましょう。

 

89条 (作成及び届出の義務)

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

 ※1~10まで記載事項がありますが、次回のテーマになりますので今回は省略します。

 

90条 (作成の手続)

① 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない

② 使用者は、届出をなすについて、①の意見を記した書面を添付しなければならない。

 

 常時10人以上の労働者を使用している事業場では、就業規則を作成し届け出る義務があります。就業規則を変更した場合も同じです。

 なお、「使用者は、常時10人以上の労働者を使用するに至った場合においては、遅滞なく、就業規則の届出を所轄労働基準監督署長にしなければならない」とされています。(則第49条)

 また、作成、変更の場合は、過半数労働組合か、過半数労働組合がないときは労働者の過半数代表者の意見を聴かなければなりません。

 

では、過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

 労働基準法第89条に定める「常時10人以上の労働者」の算定において、1週間の所定労働時間が20時間未満の労働者は0.5人として換算するものとされている。

 

 

②【H25年出題】

 派遣労働者に関して、労働基準法第89条により就業規則の作成義務を負うのは、派遣中の労働者とそれ以外の労働者とを合わせて常時10人以上の労働者を使用している派遣元の使用者である。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 ×

 1週間の所定労働時間が20時間未満の労働者も0.5人ではなく1人で数えます。

 労働基準法では、「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」は労働者です。労働時間の長短は関係ありません。

 なお、常時10人未満の労働者を使用する使用者には、就業規則の作成義務はありません。

 

 

②【H25年出題】 〇

 派遣労働者に関して、就業規則の作成義務を負うのは、「派遣元」の使用者です。派遣中の労働者は雇用関係のある派遣元の人数に入ります。

 

 

こちらもどうぞ!

③【H20年出題】

 就業規則を作成又は変更するに当たっては、使用者は、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない。

 

 

④【H21年出題】

 使用者は、就業規則の作成だけでなく、その変更についても、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

 

 

⑤【H27年出題】

 労働基準法第90条第1項が、就業規則の作成又は変更について、当該事業場の過半数労働組合、それがない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴くことを使用者に義務づけた趣旨は、使用者が一方的に作成・変更しうる就業規則に労働者の団体的意思を反映させ、就業規則を合理的なものにしようとすることにある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【H20年出題】 ×

 「同意を得なければならない」ではなく、「意見を聴かなければならない」です。

 「同意を得るとか協議をするとかいうことまで要求しているものではない」とされていて、就業規則についての意見を聴けば労働基準法違反とならないという趣旨です。

(昭25.3.15基収第525号)

 

 

④【H21年出題】 〇

 就業規則の作成のみならず、変更についても、意見聴取が必要です。

 

 

⑤【H27年出題】 〇

 「労働協約」は労使の団体交渉で締結されますが、就業規則は、使用者が一方的に作成・変更することができます。

 しかし、労働者が全く知らないままに就業規則の作成、変更が行われるのも問題です。

 意見聴取を義務づけているのは、就業規則に労働者の団体的意見を反映させ、就業規則を合理的なものにするためです。

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-195 

R4.3.5 1年変形/途中退職、途中入社の者の賃金清算

1年単位の変形労働時間制は、対象期間の途中に採用された人、途中で退職した人も対象になります。

 実際に労働した期間が、対象期間よりも短い場合、賃金の清算が必要になることがあります。

 

 条文を読んでみましょう。

第32条の4の2 

 使用者が、対象期間中の前条の規定により労働させた期間が当該対象期間より短い労働者について、当該労働させた期間を平均し1週間当たり40時間を超えて労働させた場合においては、その超えた時間(第33条(災害等による臨時の場合)又は第36条第1項(三六協定)の規定により延長し、又は休日に労働させた時間を除く。)の労働については、第37条の規定の例により割増賃金を支払わなければならない。

 

 例えば、1年単位の変形労働時間制の対象期間を11日から1231日までの1年間で設定している場合で考えてみましょう。

 対象期間中の労働時間の総枠は、40時間×365日÷7≒2085.71時間です。

 総枠の範囲内でこのように所定労働時間を設定したとします。

   ↓

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

170時間

147時間

180時間

166時間

180時間

166時間

180時間

180時間

166時間

180時間

180時間

190時間

 この場合、年間の所定労働時間のトータルは2085時間で、1年間を平均すると1週間の労働時間が40時間以内になります。

 

☆条文に当てはめてみると

『対象期間より短い労働者』

 例えば、Aさんが対象期間の途中の61日に入社したような場合です。Aさんが実際に労働した期間は61日~1231日までで対象期間より短い期間です。

 

『労働させた期間を平均し1週間当たり40時間を超えて労働させた』

 Aさんが所定労働時間分だけ労働した場合、61日から1231日までの実際の労働時間のトータルは1,242時間となります。

 次に、61日から1231日までの期間を平均して1週間当たり40時間以内になる労働時間の総枠は、40時間×214日÷71222.8時間で計算できます。

 実労働時間の1,242時間から1222.8時間を引くと19.2時間になりますが、この19.2時間が『労働させた期間を平均し1週間当たり40時間を超えて労働させた』部分に当たります。

 

『第37条の規定の例により割増賃金を支払わなければならない』

 平均して1週間当たり40時間の枠を超えた19.2時間は、第37条の規定の例により割増賃金で清算することになります。

 

『(第33条(災害等による臨時の場合)又は第36条第1項(三六協定)の規定により延長し、又は休日に労働させた時間を除く。)』

 例えば、36協定に基づいて時間外労働させた場合は、清算による割増賃金ではなく、本来の割増賃金の支払いが必要です。

 

 

過去問をどうぞ!

H17年出題】

 労働基準法第32条の4に規定するいわゆる1年単位の変形労働時間制を採用する事業場において、その対象となる労働者が対象期間中に退職した場合、当該労働者について、当該労働させた期間を平均し1週間当たり40時間を超えて労働させた場合においては、その超えた時間(同法第33条又は第36条第1項の規定により延長し、又は休日に労働させた時間を除く。)の労働については、同法第37条の規定の例により割増賃金を支払わなければならないが、これを支払わない場合には、同法第24条違反となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

H17年出題】 〇

 第37条違反ではなく、「第24条違反」になるのがポイントです。

 最初に読んだ条文の「第37条の規定の例により」の部分に注目してください。

 第37条は割増賃金の規定ですが、「第37条の規定の例により」とは、算定基礎賃金の範囲、割増率、計算方法等がすべて第37条と同じという意味です。

 第37条の割増賃金ではないのがポイントです。そのため、清算のための割増賃金を支払わない場合は、第37条違反ではなく、第24条違反になります。

(平11.1.29基発45号) 

 

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労働基準法

R4-194 

R4.3.4 1年変形/連続して労働させる日数の限度

 前回のテーマは、1年単位の変形労働時間制の対象期間の労働日数の限度、1日・1週間の労働時間の限度でした。

 今回は連続して労働させる日数の限度についてお話します。

 

 では、条文を読んでみましょう。

第32条の4 1年単位の変形労働時間制

③ 厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見を聴いて、厚生労働省令で、対象期間における労働日数の限度並びに1日及び1週間の労働時間の限度並びに対象期間(第1項の協定で特定期間として定められた期間を除く。)及び同項の協定で特定期間として定められた期間における連続して労働させる日数の限度を定めることができる。

 今回は、「連続して労働させる日数の限度」に注目します。

 特定期間とそれ以外で設定が変わりますので注意してください。

 

☆ちなみに、「特定期間」とは?

 特定期間とは、「対象期間中の特に業務が繁忙な期間」をいい、特定期間を設定する場合は、労使協定で定めます。

(特定期間 → 労基法第32条の4 第1項 第3号)

 

 連続して労働させる日数の限度は、施行規則第12条の4で以下のように規定されています。

12条の4

⑤ 法第32条の4第3項の厚生労働省令で定める対象期間における連続して労働させる日数の限度は6日とし、同条第1項の協定(労使委員会の決議及び労働時間等設定改善委員会の決議を含む。)で特定期間として定められた期間における連続して労働させる日数の限度は1週間に1日の休日が確保できる日数とする。

1年単位の変形労働時間の場合、連続労働日数は原則として最長6日です。

 しかし、特に業務が繁忙な期間として「特定期間」を定めた場合は、その期間は「1週間に1日の休日が確保できる日数」=最長12日とすることができます。

 

(原則) 連続労働日数は最長6日まで

6日に1回は休日が必要です

 

(特定期間) 1週間に1日の休日が確保できる日数=連続労働日数は最長12日まで

1週目は日曜が休日、2週目は土曜が休日で、1週間に1日の休日が確保できています。特定期間は、連続労働日数は最長12日まで可能です。

 

 

では、穴埋め式でポイントを確認しましょう

則第12条の4 

⑤ 法第32条の43項の厚生労働省令で定める対象期間における連続して労働させる日数の限度は< A >日とし、同条第1項の協定(労使委員会の決議及び労働時間等設定改善委員会の決議を含む。)で特定期間として定められた期間における連続して労働させる日数の限度は< B >が確保できる日数とする。

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 6

B 1週間に1日の休日

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-193 

R4.3.3 1年変形/対象期間における労働日数の限度、1日及び1週間の労働時間の限度

 1年単位の変形労働時間制の対象期間は、最長で1年間設定することができます。

 対象期間が長いと、労働者の負担も増えますので、労働日数の限度、1日・1週間の労働時間の限度、連続して労働させる日数の限度が定められています。

 

 では、条文を読んでみましょう。

第32条の4 (1年単位の変形労働時間制)

③ 厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見を聴いて、厚生労働省令で、対象期間における労働日数の限度並びに1日及び1週間の労働時間の限度並びに対象期間(第1項の協定で特定期間として定められた期間を除く。)及び同項の協定で特定期間として定められた期間における連続して労働させる日数の限度を定めることができる。

 今回は、対象期間における「労働日数の限度」、「1日及び1週間の労働時間の限度」をお話しします。

 

 まず、「労働日数の限度」については、則第12条の4第3項に、次のように定められています。

則第12条の4第3項 

 法第32条の43項の厚生労働省令で定める労働日数の限度は、対象期間が3か月を超える場合は対象期間について1年当たり280とする。(以下省略)

 例えば対象期間を1年間とした場合は、1年間の労働日数の上限は280日です。

 1年あたりの上限が280日ですので、例えば対象期間が6か月(暦日数は183日とする)だとすると、労働日数の上限は、280日×183日÷365日で計算します。答えは140.38日ですが、小数点以下は切り捨てますので労働日数の上限は140日になります。

 

では、穴埋め式でポイントを確認しましょう。

 いわゆる1年単位の変形労働時間制を採用する場合、対象期間における労働日数には限度が設けられている。労働日数の限度は、対象期間が < A >を超える場合は対象期間について1年当たり280日とする。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 3か月

 労働日数の限度が適用されるのは、対象期間が3か月を超える場合に限られます。

 対象期間が3か月以内の場合は、労働日数の制限はありません。

 

 

 次は、「1日及び1週間の労働時間の限度」についてです。条文を読んでみましょう。

則第12条の4

④ 法第32条の4第3項の厚生労働省令で定める1日の労働時間の限度は10時間とし、1週間の労働時間の限度は52時間とする。(以下省略)

1年単位の変形労働時間制を採用する場合、1日、1週間の労働時間には上限が設けられています。1日は10時間以内、1週間は52時間以内です。 

 ※対象期間が3か月を超える場合は、更に条件がありますが、今回はその説明は省略します。

 ※また、「積雪地域の建設業の屋外労働者等」、「隔日勤務のタクシー運転者」については、労働時間の上限に暫定措置が設けられていますが、今回はその説明は省略します。

 

では、過去問をどうぞ!

H30年出題】

 いわゆる1年単位の変形労働時間制においては、隔日勤務のタクシー運転者等暫定措置の対象とされているものを除き、1日の労働時間の限度は10時間、1週間の労働時間の限度は54時間とされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

H30年出題】 ×

 1日の労働時間の限度は10時間ですが、1週間の労働時間の限度は54時間ではなく「52時間」です。 

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-192 

R4.3.2 1年変形/対象期間の労働日と労働日ごとの労働時間

1年単位の変形労働時間制を導入する際の「労使協定」には、対象期間の「労働日と労働日ごとの労働時間」を定めなければなりません。

 

 では、条文を読んでみましょう。

32条の4 (1年単位の変形労働時間制)

 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、第32条の規定にかかわらず、その協定で第2号の対象期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において、当該協定(次項の規定による定めをした場合においては、その定めを含む。)で定めるところにより、特定された週において同条第1項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。

1 この条の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲

2 対象期間(その期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、1箇月を超え1年以内の期間に限るものとする。)

3 特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間をいう。)

4 対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間(対象期間を1箇月以上の期間ごとに区分することとした場合においては、当該区分による各期間のうち当該対象期間の初日の属する期間(以下「最初の期間」という。)における労働日及び当該労働日ごとの労働時間並びに当該最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間

5 その他厚生労働省令で定める事項(有効期間の定め)

 

 今回は、第4号の「対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間」の部分に注目します。

 1年単位の変形労働時間制は、対象期間を平均して1週間40時間を超えないことが条件です。前回は、そのための所定労働時間の総枠の計算についてお話ししました。

 そして、その総枠の範囲内で、対象期間内の「労働日」と「労働日ごとの労働時間」を設定する必要があります。

 例えば、対象期間を1年としたならば、1年間全体の「労働日」と「労働日ごとの労働時間」を労使協定締結時に特定しておかなければなりません。

 

 しかし、全体の「労働日」と「労働日ごとの労働時間」をあらかじめ特定できない場合の例外が()内の部分です。

(  )内の内容

☆対象期間を1か月以上の期間ごとに区分する

・「最初の期間(対象期間の初日の属する期間)」

→ 「労働日」と「労働日ごとの労働時間」を特定する

・「最初の期間を除く各期間」

→ 「労働日数」と「総労働時間」を定める

 

 例えば、対象期間が4月1日から1年間だとすると、対象期間を1か月ごとに区分することにより、労使協定締結時は以下のような定めが可能です。

①最初の期間

・・・

4月1日~

4月30

51日~

531

61日~

630

71日~

731

・・・

・労働日

・労働日ごとの

労働時間

・労働日数

・総労働時間

・労働日数

・総労働時間

・労働日数

・総労働時間

・・・

 

 

 ②以降の「労働日」と「労働日ごとの労働時間」は後から特定しなければなりませんが、その際の手続きは以下の通りです。

 条文を読んでみましょう。

32条の4、則12条の4

② 使用者は、労使協定で区分をし当該区分による各期間のうち最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間を定めたときは、当該各期間の初日の少なくとも30日前に、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者同意を得て、厚生労働省令で定めるところにより(書面により)、当該労働日数を超えない範囲内において当該各期間における労働日及び当該総労働時間を超えない範囲内において当該各期間における労働日ごとの労働時間を定めなければならない。

  

☆最初の期間を除く各期間の「労働日」と「労働日ごとの労働時間」の特定は、

・各期間の初日の少なくとも30日前

・過半数で組織する労働組合か労働者の過半数代表者の同意を得て

・書面により

行うことになります。

 例えば、上の図でしたら、②の期間は「331日までに」、③の期間は「51日までに」、労働日と労働日ごとの労働時間を特定する必要があります。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H22年出題】

 労働基準法第32条の4に定めるいわゆる1年単位の変形労働時間制においては、110時間、152時間という労働時間の上限が定められているため、この範囲において労働する限り、どのような場合においても対象期間における各労働日ごとの労働時間をあらかじめ特定しておく必要はない。

 

 

②【H18年出題】

 労働基準法第32条の4第1項に規定するいわゆる1年単位の変形労働時間制を採用する場合おいて、労使協定により、対象期間を1か月以上の期間ごとに区分することとしたときは、使用者は、当該区分による各期間のうち最初の期間における労働日と当該労働日ごとの労働時間を特定し、当該最初の期間以外の期間における労働日数と総労働時間を定め、当該最初の期間以外の各期間の初日の少なくとも30日前までに、個々の対象労働者の同意を得て、当該労働日数を超えない範囲内において当該各期間における労働日及び当該総労働時間を超えない範囲内において当該各期間における労働日ごとの労働時間を定めなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H22年出題】 ×

1年単位の変形労働時間制については、原則として、対象期間中の労働日と各労働日ごとの労働時間をあらかじめ特定する必要があります。

H18年出題】 ×

 「個々の対象労働者」ではなく、「労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者」の同意を得て定めます。 

 

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労働基準法

R4-191 

R4.3.1 1年変形/労働時間の総枠について

1年単位の変形労働時間制を導入する場合の労働時間の総枠のルールについてお話しします。

 

条文を読んでみましょう。

32条の4 (1年単位の変形労働時間制)

 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、第32条の規定にかかわらず、その協定で第2号の対象期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において、当該協定(次項の規定による定めをした場合においては、その定めを含む。)で定めるところにより、特定された週において同条第1項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。

1 この条の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲

2 対象期間その期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、1箇月を超え1年以内の期間に限るものとする。)

3 特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間をいう。)

4 対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間(対象期間を1箇月以上の期間ごとに区分することとした場合においては、当該区分による各期間のうち当該対象期間の初日の属する期間(以下「最初の期間」という。)における労働日及び当該労働日ごとの労働時間並びに当該最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間)

5 その他厚生労働省令で定める事項(有効期間の定め)

 今回は、「対象期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内」の部分に注目します。

 労働時間の総枠の考え方です。

 

 対象期間を平均して1週間当たりの労働時間を40時間とするための規定です。

 対象期間中の労働時間が、40時間×対象期間の暦日数÷7の範囲内に収まれば、平均すると1週間当たり40時間となります。

 例えば、対象期間を1年(365日)とした場合は、

40時間×365÷72085.71時間です。1年間の所定労働時間の総枠は2085.71時間となります。1年間の所定労働時間のトータルを2085.71時間以内に設定すれば、平均すると1週間当たりの労働時間が40時間以内になります。

 なお、1か月単位の変形労働時間制は、第32条の2で「1か月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が32条第1項の労働時間(法定労働時間)を超えない」ことと規定されています。

 「40時間」ではなく「法定労働時間」となっているのがポイント。総枠の計算式は、40時間(特例事業場は44時間)×変形期間の暦日数÷7となります。

 1年単位には「44時間」の特例が適用されないので、対象期間の労働時間の総枠は「40時間」を使って計算します。一方、1か月単位には「44時間」の特例が適用されますので、労働時間の総枠は40時間又は44時間で計算します。違いに注意してください。

 

 

では、過去問をどうぞ!

H28年出題】

 労働基準法第32条の4に定めるいわゆる1年単位の変形労働時間制の対象期間は、1か月を超え1年以内であれば、3か月や6か月でもよい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H28年出題】 〇

 対象期間は、「その期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、1か月を超え1年以内の期間に限るものとする。」と定義されていますので、3か月や6か月でもよいです。

 なお、労働時間の総枠は

6か月(例えば183日)の場合は、40時間×183日÷7≒1,045.71時間

3か月(例えば92日)の場合は、40時間×92日÷7≒525.71時間

となります。

 

次回も1年単位の変形労働時間制です。

 

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社労士受験のあれこれ

ここを乗り越えよう!労働基準法

R4-166

R4.2.4 休日の振替

 「労働日」は労働する義務のある日、「休日」は労働する義務のない日です。

 今日は「休日」がテーマです。

 

 まず、「休日」のルールを条文で読んでみましょう。

第35条 (休日)

    使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。

    ①の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。

★休日は、「毎週1回」与えるのが原則です。例外的に4週間に4日も認められています。

 

 さて、「休日の振替」についてお話します。

 

 日曜が休日、月曜から土曜までが労働日。1日の労働時間が、月曜から金曜までは7時間、土曜が5時間の場合、カレンダーは以下のようになります。

 

 業務の都合で日曜に7時間労働する必要が生じたので、あらかじめ同じ週の木曜の労働日と日曜の休日を入れ替えた場合、以下のようになります。

 結果、日曜は「労働日」、木曜は「休日」になります。このことを休日の振替といいます。日曜は「労働日」ですので、労働した7時間は休日労働ではありません。

 ポイントは「あらかじめ」の部分です。事前に入れ替えることが条件です。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H21年出題】 

 就業規則に休日の振替を必要とする場合には休日を振り替えることができる旨の規定を設けている事業場においては、当該規定に基づき休日を振り替える前にあらかじめ振り替えるべき日を特定することによって、4週4日の休日が確保されている範囲内において、所定の休日と所定の労働日とを振り替えることができる。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H21年出題】 〇

 一番のポイントは、『休日を振り替える前にあらかじめ振り替えるべき日を特定する』の部分です。

 また、「就業規則に休日を振り替えることができる旨の規定を設けている」こと、「4週4日の休日が確保されている」こともポイントです。

(昭63.3.14基発150号)

 

 

次に、こちらもどうぞ!

②【H13年出題】

 週休1日制の事業場において、就業規則に休日を振り替えることができる旨の規定を設け、その規定に基づいて、あらかじめ、当初予定されていた休日の8日後の所定労働日を振り替えるべき休日として特定して休日の振替えを行ったときは、当初予定されていた休日は労働日となり、その日に労働させても、休日に労働させることにはならない。この場合、4週4日の休日は確保されているものとする。

 

 

③【H18年出題】

 週休1日制の事業場において、就業規則に休日を振り替えることができる旨の規定を設け、この規定に基づき、あらかじめ、ある週の休日を翌週の労働日と振り替えた場合には、当該休日は労働日となりその日に労働させても、休日労働とはならないが、休日を振り替えたことにより、その週の労働時間が1週間の法定労働時間を超えるときは、その超えた時間については時間外労働となり、時間外労働に関する割増賃金を支払わなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H13年出題】 〇

 「就業規則に休日を振り替えることができる旨の規定がある」、「4週4日の休日は確保されている」そして、「あらかじめ」、「振り替えるべき休日を特定して休日の振替を行った」場合は、当初の休日は労働日となります。その日は労働日となりますので、休日労働にはなりません。

(昭63.3.14基発150号)

 

③【H18年出題】 〇

以下のような勤務カレンダーで、あらかじめ1週目の日曜日と2週目の木曜日を振り替えた場合で考えてみましょう。

 

1週目

2週目

 

 1週目の日曜は「労働日」、2週目の木曜が「休日」になります。

 

1週目

2週目

 1週目の日曜は労働日になりましたので、休日労働にはなりません。

 ただし、休日を振り替えたことにより、1週目の労働時間が47時間となり法定労働時間を超えてしまいます。その場合、その超えた時間は時間外労働となりますので、時間外労働の割増賃金を支払わなければなりません。

(昭63.3.14基発150号)

 

 

まとめ

・休日の振替は、あらかじめ振替の休日を指定することが必要です。

 なお、休日出勤させてから事後に他の勤務日を休ませるのは「代休」です。代休を与えても休日出勤の事実は無くなりませんので、休日労働の割増賃金の支払いが必要です。

 

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https://youtu.be/WV4rJzno7qw

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ここを乗り越えよう!労働基準法

R4-156

R4.1.25 労働が2暦日にわたる場合の労働時間

 労働基準法第32条では、1日の労働時間は8時間以内とされています。 

 「1日」とは、原則として「午前0時から午後12時まで」の暦日をさします。

 (S63.1.1基発1号)

 では、例えば、令和4125日の労働が日をまたがって翌日の26日まで継続したように、勤務が2暦日にわたる場合は、どのようにカウントするのでしょうか?

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

 労働基準法第32条第2項にいう「1日」とは午前0時から午後12時までのいわゆる暦日をいい、継続勤務が2暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも1勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「1日」の労働とする。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】  〇

 例えば、125日の16時から26日の3時まで11時間勤務した場合は、「始業時刻の属する日」である25日の「1日」の労働とされます。

 労働者は実際に25日から11時間連続で労働しているので、暦日が異なっていても1勤務とされます。

 もし、原則どおりの暦日で考えると、260時でリセットされてしまい、26日の3時間は時間外労働にもならず、労働者に不利益になってしまうからです。

(昭和63.1.1基発1号)

 

 

では、こちらをどうぞ!

②【H30年出題】

 労働基準法第35条に定めるいわゆる法定休日を日曜とし、月曜から土曜までを労働日として、休日及び労働時間が次のように定められている製造業の事業場における、労働時間に関する時間外及び休日の割増賃金に関する記述のうち、正しいものはどれか。

 日  月  火  水  木  金  土

 休  6  6  6  6  6  6

 労働日における労働時間は全て 

  始業時刻:午前10時、終業時刻:午後5時、休憩;午後1時から1時間

A 日曜に10時間の労働があると、休日割増賃金の対象になるのは8時間で、8時間を超えた2時間は休日労働に加えて時間外労働も行われたことになるので、割増賃金は、休日労働に対する割増率に時間外労働に対する割増率を加算する必要がある。

B 日曜の午後8時から月曜の午前3時まで勤務した場合、その間の労働は全てが休日割増賃金対象の労働になる。

C 月曜の時間外労働が火曜の午前3時まで及んだ場合、火曜の午前3時までの労働は、月曜の勤務における1日の労働として取り扱われる。

D 土曜の時間外労働が日曜の午前3時まで及んだ場合、日曜の午前3時までの労働に対する割増賃金は、土曜の勤務における時間外労働時間として計算される。

E 日曜から水曜までは所定どおりの勤務であったが、木曜から土曜までの3日間の勤務が延長されてそれぞれ10時間ずつ労働したために当該1週間の労働時間が48時間になった場合、土曜における10時間労働の内8時間が割増賃金支払い義務の対象労働になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A ×

 休日労働が8時間を超えても時間外の割増率を加算する必要はありません。問題文の法定休日の日曜の10時間労働は35分増で差し支えないとされています。ただし、深夜業に該当した場合は、深夜の25分増の加算が必要です。

(昭和22.11.21基発266号)

 

B ×

 日曜の午後8時から月曜の午前3時までの勤務は、1勤務として扱われます。ただし、休日を含む2暦日にまたがった場合、休日の午前0時から午後12時までの時間帯は「休日労働」の割増率になります。

 問題文の場合は、日曜の午後8時から午後12時までが、休日割増賃金対象の労働になります。

(平6.5.31基発331号)

 

C 〇

 月曜日と火曜日は暦日が異なっていても1勤務として取り扱います。問題文の場合は、月曜の勤務における1日の労働として取り扱われます。

(昭和63.1.1基発1号)

 

D ×

 Bと同じように考えます。

 土曜から日曜の午前3時までの勤務は1勤務として扱われますが、法定休日の日曜の午前0時からは3時までは休日割増で計算します。

 

 

E ×

 割増賃金の対象は、木曜と金曜が2時間ずつ、土曜は4時間です。

 木曜と金曜は1日の法定労働時間である8時間を超えた時間が割増賃金の対象です。

 月曜から金曜までで割増対象以外の通常の労働時間のトータルが34時間になります。1週間の法定労働時間は40時間以内ですので、土曜日は6時間までが通常の労働時間、4時間が割増賃金対象の労働時間となります。

 

 

割増対象

 

 

 

 

2

2

4

 

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ここを乗り越えよう!労働基準法編

R4-140

R4.1.9  1か月単位の変形労働時間制 その2(導入手続き)

前回に引き続き、1か月単位の変形労働時間制です。

今回は、1か月単位の変形労働時間制の導入の手続のお話です。

 

条文を読んでみましょう。

第32条の2

① 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、1か月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が法定労働時間(40時間・特例の場合は44時間)を超えない定めをしたときは、その定めにより、特定された週において法定労働時間(40時間・特例の場合は44時間)又は特定された日において法定労働時間(8時間)を超えて、労働させることができる。

② 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、①の協定を行政官庁に届け出なければならない。

 

 1か月単位の変形労働時間制を導入する際は、「労使協定」又は「就業規則その他これに準ずるもの」が必要です。

 

★ポイントその1

 「又は」がポイント。「労使協定」か「就業規則その他これに準ずるもの」のどちらかという意味です。

 なお、「労使協定」は所轄労働基準監督署長に届け出が必要です。

 

 

★ポイントその2

 「就業規則に準ずるもの」がポイント。

 「就業規則に準ずるもの」で導入できるのは労働者が10人未満の事業場です。労働者が10人以上の事業場は就業規則の作成義務がありますので、「就業規則に準ずるもの」では導入できません。

 ・10人以上の事業場 → 「労使協定」か「就業規則」(就業規則に準ずるものは不可)

 ・10人未満の事業場 → 「労使協定」か「就業規則その他これに準ずるもの」 

 

★ポイントその3

 「特定された週」「特定された日」がポイント。

 労使協定や就業規則等に、各日、各週の所定労働時間を具体的に定めることが必要です。業務の都合があったとしても、使用者が途中で任意に変更することはできません。

 

 

では、過去問をどうぞ

 

①【R1年出題】

1か月単位の変形労働時間制は、就業規則その他これに準ずるものによる定めだけでは足りず、例えば当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合と書面により協定し、かつ、当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる。

 

 

②【R1年出題】

 1か月単位の変形労働時間制においては、1日の労働時間の限度は16時間、1週間の労働時間の限度は60時間の範囲内で各労働日の労働時間を定めなければならない。

 

 

③【H18年出題】

 労働基準法第32条の2に規定するいわゆる1か月単位の変形労働時間制については、当該変形期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間の範囲内である限り、使用者は、当該変形期間の途中において、業務の都合によって任意に労働時間を変更することができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 ×

1か月単位の変形労働時間制は、「就業規則その他これに準ずるものによる定め」だけでも採用することができます。

 また、労使協定で採用することもでき、その場合は所轄労働基準監督署長に届け出が必要です。

 しかし、問題文の「当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる。」の部分は誤りです。1か月単位の変形労働時間制の労使協定の効力は届け出によって発生するのではなく、労使協定の締結で発生します。

H11.1.29基発45号)

 

 

②【R1年出題】 ×

 1か月単位の変形労働時間制では、1日、1週間の労働時間の限度は設けられていません。

(S63.1.1基発1号)

 

 

③【H18年出題】 ×

 変形期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間の範囲内であったとしても、途中で、任意に労働時間を変更することはできません。

S63.1.1基発1号)

 

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https://youtu.be/p-hFjPrdItM

社労士受験のあれこれ

ここを乗り越えよう!労働基準法編

R4-139

R4.1.8  1か月単位の変形労働時間制 その1

 

 法定労働時間は、原則として140時間以内、18時間以内です。

 例えば、月から金が所定労働日、土日が休日の場合で、1日の労働時間が8時間の場合、カレンダーは以下のようになります。

 これで法定労働時間ピッタリです。

 もし、月曜日に2時間残業したとすると、その2時間は法定時間外労働となりますので、25分以上の割増賃金が必要です。

 

 

 さて、「1か月単位の変形労働時間制」は、1か月以内の一定の期間を平均して140時間(特例の事業場は44時間)以内であれば、長く労働する日や、長く労働する週があってよい、という制度です。

 

 なお、1か月以内の一定の期間は、1週間でも2週間でも1か月でも任意に設定でき、その期間のことを変形期間といいます。

 変形期間を平均して140時間(特例は44時間)とするには、まず、変形期間の労働時間の総枠を計算します。

 計算式は次の通りです。

40時間(特例44時間)×変形期間の暦日数÷7

 

 例えば変形期間を1か月と設定して計算してみましょう。

(前提)法定労働時間40時間、変形期間の暦日数31日

 

40時間×31日÷7 ≒ 177.1時間

 

1か月のトータルの労働時間が177.1時間以内なら、平均すると140時間以内になります。

 例えば、月初が業務多忙な場合は、月初の労働時間を長くして全体のバランスをとることができます。

 

9時間

9時間

9時間

9時間

9時間

9時間

10

11

12

13

14

7時間

7時間

7時間

7時間

7時間

15

16

17

18

19

20

21

7時間

7時間

7時間

7時間

7時間

22

23

24

25

26

27

28

7時間

7時間

7時間

7時間

7時間

29

30

31

 

 

 

 

6時間

6時間

6時間

 

 

 

 

 

 変形労働時間制を採用すると、「特定された週」又は「特定された日」に法定労働時間を超えて労働させることができます。

 上のカレンダーは1か月トータルの労働時間が177時間です。1週目の労働時間だけみると、19時間、1週54時間ですが、変形期間を平均すると140時間以内になりますので時間外労働にはなりません。

 

 

では、過去問をどうぞ

 

①【H19年出題】

 1か月単位の変形労働時間制を採用した場合、変形期間を平均し1週間当たりの労働時間が週法定労働時間以内となるようにするために行う、変形期間における所定労働時間の総枠の計算は、次の式によって行う。

その事業場の週法定労働時間×変形期間の暦日数÷7

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H19年出題】 〇

 計算式「その事業場の週法定労働時間×変形期間の暦日数÷7」のポイント!

・その事業場の週法定労働時間 

   → 原則40時間ですが、特例事業場は「44時間」です。

・変形期間の暦日数

   → 「労働日数」ではなく「暦日数」です。例えば、1週間なら7日、4週間なら28日です。

 

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社労士受験のあれこれ

どんな法律シリーズ① 労働基準法

R4-132

R4.1.1  労働基準法ってどんな法律?

労働基準法 ・・・ 昭和22年4月制定

 

 

まず、こちらの条文を読んでみましょう。

第13条 (労働基準法違反の契約)

 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。

 

 例えば、使用者と労働者が、こんな内容の労働契約を締結した場合を考えてみましょう。

 

・ 始  業  8時  

・ 終  業  21

・ 休憩時間  12時~13

・ 休  日  毎週日曜日

 

 労働基準法の法定労働時間は、週40時間・18時間以内が原則ですが、その最低ラインよりも不利な労働契約の内容です。

 この場合は、第13条にあるように、「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約」は、「その部分については無効」です。

 労働基準法よりも不利な内容の部分は空欄になります。

 

 そして、「無効となった部分は、この法律で定める基準による」となるので、空欄になった部分は労働基準法の基準に書き換えられます。

 もう一つのポイントは、労働契約全体が白紙になるのではなく、労働基準法より不利な部分だけが空欄になることです。

 労働契約全体が白紙になると、労働契約自体が無くなってしまい、それはそれで労働者保護に欠けてしまうからです。

 

 

では、過去問をどうぞ

①【H25年出題】

 労働基準法は、同法の定める基準に達しない労働条件を定める労働契約について、その部分を無効とするだけでなく、無効となった部分を同法所定の基準で補充することも定めている。

 

②【H21年出題】

 労働基準法で定める基準に違反する労働条件を定める労働契約の部分は、労働基準法で定める基準より労働者に有利なものも含めて、無効となる。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】 〇

 労働基準法の基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分が無効になるだけでなく、無効になった部分は、労働基準法の基準で補充されます。

 

 

②【H21年出題】 ×

 労働基準法の基準は最低ラインです。労働基準法の基準より有利なものはもちろん有効です。

 

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社労士受験のあれこれ

「最初の一歩㉛」条文の読み方(労働基準法)

R4-131

R3.12.31 「総日数」と「労働日数」の違い

社労士受験勉強のファーストステップ

ファーストステップについては

こちらをどうぞ

 

 

では、平均賃金の条文を読んでみましょう。

 

12条 

 平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。

 ただし、その金額は、次の各号の一によって計算した金額を下ってはならない。

1 賃金が、労働した若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60

2 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額

 

 平均賃金の計算式の原則は、「3か月間の賃金総額÷その期間の総日数」です。

ポイント!総日数は「暦上の日数」

 

 例えば、1221日が算定事由発生日で、賃金締切日が15日の場合は、平均賃金は直前の賃金締切日の1215日から遡った3か月で計算します。

 916日~1015日、1016日~1115日、1116日~1215日の賃金総額を91日(その期間の総日数)で除します。

 

 また、日給、時給、出来高払制その他の請負制の場合は、最低保障が設けられています。

 計算式は、「3か月間の賃金の総額÷その期間中に労働した日数×100分の60」です。

 

ポイント! 「労働日数」は、暦上の日数ではなく、実際に労働した日数

 

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H19年出題】

 平均賃金は、原則として、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除して算定するものとされているが、賃金がいわゆるパートタイマーに多くみられるように労働した時間によって算定される場合には、その金額は、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60を下ってはならないこととされている。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H19年出題】 〇

この問題のチェックポイントは、

原則は、「その期間の総日数」で除すこと。

最低保障は、「その期間中に労働した日数」で除すこと、「100分の60」を忘れないようにしてください。

 

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社労士受験のあれこれ

「最初の一歩㉑」法律によって定義が異なる用語

R4-121

R3.12.21 「児童」の定義(労基法・児童手当法)

社労士受験勉強のファーストステップ

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では、条文を読んでみましょう。

労働基準法第56条 (最低年齢)

 使用者は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない。 

 労働基準法では、中学校を卒業するまでの年齢の児童を労働させることを、原則として禁止しています。

 「満15歳に達した日以後の最初の331日」が終了するまでが、保護の対象です。

 

 

児童手当法第3条

 児童手当法において「児童」とは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者であって、日本国内に住所を有するもの又は留学その他の内閣府令で定める理由により日本国内に住所を有しないものをいう。

 児童手当法の「児童」は、「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間」にあって、「日本国内に住んでいる」又は「留学などのために海外に住んでいて一定の要件をみたす」者と定義されています。

  そして、もう一つ、「支給要件児童」という用語もあります。

 支給要件児童は、第4条で「15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童(中学校修了前の児童」)又は「中学校修了前の児童を含む2人以上の児童」と定義されています。

 

 

 

 

では、過去問を解いてみましょう

【労働基準法】

①【H29年出題】

 労働基準法第56条第1項は、「使用者は、児童が満15歳に達するまで、これを使用してはならない。」と定めている。

 

 

②【H23年出題】

 満15歳に達した日以後の最初の331日が終了するまでの者について、労働基準法第56条による所轄労働基準監督署長の許可を受けて使用する場合の労働時間は、修学時間を通算して、1週間について40時間以内、かつ、1日について7時間以内でなければならない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 ×

 「満15歳に達するまで」ではなく、「満15歳に達した日以後の最初の331日が終了するまで」です。原則として労働させることができないのは、義務教育終了までです。

 

②【H23年出題】 〇

 「満15歳に達した日以後の最初の331日が終了するまでの者」でも、所轄労働基準監督署長の許可を受けて使用することができる例外規定があります。

 満13歳以上の場合は、「非工業的事業の職業」、満13歳未満の場合は、「映画の製作又は演劇の事業」(子役の俳優)で、児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易なものが許可の条件です。

 といっても義務教育中のため学校優先です。「修学時間外に使用することができる」と規定されています。そのため、労働時間は「修学時間を通算して、1週間について40時間以内、かつ、1日について7時間以内」とされています。

(法第56条第2項、第60条第2項)

 

 

では、「児童手当法」の過去問を解いてみましょう。

 

【児童手当法】

③【H30年選択式】

11歳、8歳、5歳の児童を監護し、かつ、この3人の児童と生計を同じくしている日本国内に住所を有する父に支給する児童手当の額は、1か月につき<  A  >である。なお、この3人の児童は、施設入所等児童ではなく、かつ、父の所得額は所得制限額未満であるものとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【H30年選択式】

A35,000

 

ポイント!

・支給の対象

児童手当は、父母、父母指定者、里親、施設の設置者などに支給されます。児童に支給するのではないので注意してください。

・児童手当の額(1人当たり月額)※施設入所等児童を除く

 3歳未満 → 一律15,000

 3歳以上小学校修了前 → 10,000円(第3子以降は15,000円)

 中学生 → 一律10,000

 問題文の場合は、10,000円+10,000円+15,000円です。

 

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社労士受験のあれこれ

「最初の一歩②」過去問の活用(労働基準法)

R4-102

R3.12.2 「労働時間」とは?(労基 過去問活用編)

社労士受験勉強のファーストステップ

ファーストステップについては

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今日は、「労働時間」の定義を確認しましょう。

 

労働基準法第32条で法定労働時間が定められています。

法第32条 (労働時間)

① 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。

② 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

 

 労働基準法では、労働時間の最長を「1週間40時間、18時間」と定めています。

 この時間のことを「法定労働時間」といいます。(なお、1週44時間となる特例も設けられていますが、今日は詳しく触れません。)

 使用者は、法定労働時間の範囲内で、事業場や労働者ごとに労働時間を定めますが、その時間のことを所定労働時間といいます。

 

 

 例えば、就業規則で定めた所定労働時間が17時間で、ある日に9時間労働させた場合は、法定時間外労働は、18時間を超えた時間である1時間となります。

 労働者に法定時間外労働をさせる場合は、36協定の締結と届出、割増賃金の支払が労働基準法で使用者に義務付けられています。

 

 では、具体的に「労働時間」の意味を過去問で確認しましょう。

 

①【H21年出題】

 労働者を就業規則に定める休憩時間に来客当番として事務所に待機させたが、その時間に実際に来客がなかった場合には、休憩時間以外の労働時間が法定労働時間どおりであれば、使用者は、労働基準法第37条第1項の規定による割増賃金を支払う義務はない。

 

 

②【R2年出題】

 運転手が2名乗り込んで、1名が往路を全部運転し、もう1名が復路を全部運転することとする場合に、運転しない者が助手席で休息し又は仮眠している時間は労働時間に当たる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【解答】

①【H21年出題】  ×

 「休憩時間」は、労働から解放されることが約束された時間のことです。

 休憩時間の来客当番は、来客があった場合には、即、接客が義務づけられている状態ですので労働から解放されていません。その時間に実際に来客がなかった場合でも、「手待ち時間」であり、労働時間となります。

 問題文の場合は、割増賃金を支払う義務があります。

(昭23.4.7基収1196号)

 

 

②【R2年出題】 〇

 運転しない者が助手席で休息し又は仮眠している時間でも、いつでも運転ができる状態にある時間は手待ち時間で、労働時間に当たります。

(昭33.10.11基収6286号)

 

★この過去問でおさえておくところ★

 手待ち時間は労働時間

 

 

では、条文を穴埋めで確認しましょう。

32条 (労働時間)

① 使用者は、労働者に、< A >を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。

② 使用者は、1週間の各日については、労働者に、< A >を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 休憩時間

 

 

例えば、

始業 8

終業 17

休憩12時~13

の場合、拘束時間9時間、休憩1時間で、労働時間は8時間となります。

休憩時間は労働時間から除かれることに注意しましょう。

 

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社労士受験のあれこれ

「最初の一歩①」条文の読み方(労働基準法)

R4-101

R3.12.1 専門用語に慣れましょう(労働基準法編)

社労士受験勉強のファーストステップ

「勉強始めよう」と決意したものの、

専門用語が多すぎてくじけてしまう

過去問が活用できない(解くだけで終わってしまう)

条文の読み方が難しい

という方も多いと思います。

 

 

2022年まであと1か月。

新年から、社労士の受験勉強を本格化させようと決心している方も多いはず。

 

本格的なスタートの前に、

少しだけ条文や過去問に慣れてみましょう。

  

労働基準法から順番にお話していきます。

 

 

 では早速、労働基準法第15条第1項を読んでみましょう。

 

15条(労働条件の明示)

 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

 

ポイント1 「その他の」

★「賃金、労働時間その他の労働条件」の「その他の」に注目してください。

 

「その他の」の前にある語句は、「その他の」の後ろにある語句の中に含まれます。

 第15条の労働条件は、「賃金、労働時間」も含んだ「労働条件」となります。

 

★「その他の」ではなく、「の」のつかない「その他」という用語もあります。

 例えば、第7条(公民権行使の保障)の条文は、「使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は・・・(以下略)」です。

 「選挙権」と「公民としての権利」の間に「その他」が入っています。この場合は、「選挙権」と「公民としての権利」が並んでいるだけです。

 

ポイント2 「厚生労働省令で定める方法」

★「厚生労働省令」に注目してください。

 

 後段に「厚生労働省令で定める方法」とありますが、この「厚生労働省令で定める方法」は、具体的には、「労働基準法施行規則第5条第4項」に規定されています。

 

 「法令」には、法律、政令、省令があり、「法律」は国会、「政令」は内閣、「省令」は各大臣が制定します。

 労働基準法の場合、国会が制定した法律として「労働基準法」、内閣が制定した政令として「時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令」など、厚生労働大臣が制定した厚生労働省令として「労働基準法施行規則」があります。

 

 労働契約時に明示する労働条件の明示の方法については、法律では「厚生労働省令で定める方法により明示」としか書いてありませんが、具体的な方法は「労働基準法施行規則」を見れば書いてある、という仕組みです。

 

 ちなみに、労働基準法施行規則第5条第4項では、明示の方法は、「書面の交付とする」とされていますが、労働者が希望した場合には、「ファクシミリ」、「電子メール等」(労働者が電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)による明示も認められています。

 

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https://youtu.be/YDiitnME3pg

社労士受験のあれこれ

(令和3年出題より)過去問から学ぶ労働基準法 

R4-075

R3.11.5  就業規則の意見聴取

令和3年の問題から労働基準法を学びましょう。

 

今日は「就業規則の意見聴取」です。

 

 

では、どうぞ!

①【R3年問7C

 同一事業場において当該事業場の全労働者の3割について適用される就業規則を別に作成する場合、当該事業場において当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数で組織する労働組合又は当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数を代表する者の意見を聴くことで、労働基準法第90条による意見聴取を行ったこととされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年問7C】 ×

 同一の事業場で、一部の労働者のみに適用される就業規則を別に作成することは可能です。ただし、意見聴取は、その事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合又は、全労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければなりません。

 問題文は、当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数で組織する労働組合等になっているので誤りです。

(昭23.8.3基収2446号)

 

 

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②【H21年出題】

 使用者は、パートタイム労働者など当該事業場の労働者の一部について、他の労働者と異なる労働条件を定める場合には、当該一部の労働者のみ適用される別個の就業規則を作成することもできる。

 

 

③【H21年出題】

 使用者は、就業規則の作成だけでなく、その変更についても、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

 

 

④【H20年出題】

 就業規則を作成又は変更するに当たっては、使用者は、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H21年出題】 〇

 一部の労働者のみ適用される別個の就業規則を作成することもできます。その場合、労働基準法上の就業規則は、それぞれが単独でなるのではなく、その2つ以上の就業規則を合わせたものが労働基準法上の就業規則となります。

(平11.3.31基発168号)

 

 

③【H21年出題】 〇

 就業規則の作成だけでなく、その変更についても、意見聴取が必要です。

(法第90条)

 

 

④【H20年出題】 ×

 「同意を得なければならない」ではなく、「意見を聴かなければならない」です。

 なお、意見書の内容が「反対」であったとしても、その就業規則の効力には影響しません。

(昭24.3.28基発373号)

 

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社労士受験のあれこれ

(令和3年出題より)過去問から学ぶ労働基準法 

R4-074

R3.11.4  1か月単位の変形労働時間制導入手続き

令和3年の問題から労働基準法を学びましょう。

 

今日は「1か月単位の変形労働時間制導入手続き」です。

 

 

では、どうぞ!

①【R3年問5B

 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、1か月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が労働基準法第32条第1項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができるが、この協定の効力は、所轄労働基準監督署長に届け出ることにより認められる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年問5B】 ×

 1か月単位の変形労働時間制を、労使協定で導入する場合は、所轄労働基準監督署長への届出が義務づけられています。

 届出をしなかった場合は罰則が適用されます。しかし、届出は労使協定の効力の発生要件とはなっていません。締結することで効力が発生します。ですので、問題文の最後の「この協定の効力は、所轄労働基準監督署長に届け出ることにより認められる。」の部分が誤りです。

 なお、36協定は、「所轄労働基準監督署長に届け出る」ことによって効力が発生しますので、違いに注意しましょう。

 良かったら「36協定の免罰効果」の記事も参考にしてください。

  → R3.11.2  36協定の免罰効果

(法第32条の2)

 

 

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②【R1年出題】

1か月単位の変形労働時間制は、就業規則その他これに準ずるものによる定めだけでは足りず、例えば当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合と書面により協定し、かつ、当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【R1年出題】 ×

1か月単位の変形労働時間制は、「労使協定」又は「就業規則その他これに準ずるもの」によって導入することができます。

 「就業規則その他これに準ずるものによる定め」だけでも導入が可能です。

 また、①の問題で見たように、「労使協定」で導入する場合は届出が必要ですが、届出が効力の発生要件ではないので、「当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる」の部分も誤りです。

 

 なお、常時10人以上の労働者を使用する事業は就業規則作成義務があるので、1か月単位の変形労働時間制を導入する場合は、「労使協定」又は「就業規則」のどちらかとなります。「就業規則に準ずるもの」では導入できません。

 10人未満の事業場では、「労使協定」又は「就業規則その他これに準ずるもの」で導入できます。

 

 

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③【H19年出題】

 1か月単位の変形労働時間制を採用した場合、変形期間を平均し1週間当たりの労働時間が週法定労働時間以内となるようにするために行う、変形期間における所定労働時間の総枠の計算は、次の式によって行う。

その事業場の週法定労働時間×変形期間の暦日数÷7

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【H19年出題】 〇

 変形期間の所定労働時間の合計が、「その事業場の週法定労働時間×変形期間の暦日数÷7」で計算した時間内におさまるようにする必要があります。

 例えば、変形期間を「1か月」とした場合、30日の月なら、「40時間×30日÷7=171.4時間」が1か月の総枠となります。1か月の所定労働時間の合計が171.4時間以内なら、変形期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間以内となります。

 ちなみに、特例事業場の場合は法定労働時間は44時間ですので、総枠は「44時間×30日÷7=188.5時間」となります。

 

 

最後に条文を穴埋めで確認しましょう!

 

第32条の2 1か月単位の変形労働時間制 

① 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は< A >により、< B >以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が労働基準法第32条第1項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。

② 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、①の協定を行政官庁に届け出なければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 就業規則その他これに準ずるもの

B 1か

 

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社労士受験のあれこれ

(令和3年出題より)過去問から学ぶ労働基準法 

R4-073

R3.11.3  前借金相殺の禁止

令和3年の問題から労働基準法を学びましょう。

 

今日は「前借金相殺の禁止」です。

 

 

では、どうぞ!

 

①【R3年問2C

 労働基準法第17条にいう「労働することを条件とする前貸の債権」には、労働者が使用者から人的信用に基づいて受ける金融や賃金の前払いのような弁済期の繰上げ等で明らかに身分的拘束を伴わないものも含まれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年問2C】 ×

 問題文のような「明らかに身分的拘束を伴わないもの」は、労働することを条件とする債権には「含まれない」とされています。

(昭22.9.13発基17号、昭33.2.13基発第90号) 

 

 

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②【H27年出題】

 労働基準法第17条は、前借金その他労働することを条件とする前貸しの債権と賃金とを相殺することを禁止し、金銭貸借関係と労働関係とを完全に分離することにより金銭貸借に基づく身分的拘束の発生を防止することを目的としたものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H27年出題】 〇

 第17条は、金銭貸借関係と労働関係とを完全に分離することで、身分的拘束の発生を防止することを目的とした条文です。

(法第17条)

 

 

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③【H28年出題】

 労働者が、実質的にみて使用者の強制はなく、真意から相殺の意思表示をした場合でも、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。

 

 

④【H25年出題】

 労働契約を締結する際に、労働者の親権者が使用者から多額の金銭を借り受けることは、人身売買や労働者の不当な足留めにつながるおそれがあるため、当該労働者の賃金と相殺されるか否かを問わず、労働基準法第17条に違反する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【H28年出題】 ×

 「前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺すること」は使用者側で行うことのみが禁止されます。労働者からの意思により相殺することは禁止されていません。

 

 

④【H25年出題】 ×

 第17条で禁止しているのは、前借金自体ではなく、「労働者の賃金と相殺」することです。「当該労働者の賃金と相殺されるか否かを問わず」の部分が誤りです。

 

 

最後に条文を穴埋めで確認しましょう!

第17条 (前借金相殺の禁止)

 使用者は、前借金その他< A >ことを条件とする前貸の債権と賃金を< B >してはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 労働する

B 相殺

 

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社労士受験のあれこれ

(令和3年出題より)過去問から学ぶ労働基準法 

R4-072

R3.11.2  36協定の免罰効果

令和3年の問題から労働基準法を学びましょう。

 

今日は「36協定の免罰効果」です。

 

 

では、どうぞ!

 

①【R3年問5A

 令和341日から令和4331日までを有効期間とする書面による時間外及び休日労働に関する協定を締結し、これを令和349日に厚生労働省令で定めるところにより所轄労働基準監督署長に届け出た場合、令和341日から令和348日までに行われた法定労働時間を超える労働は、適法なものとはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年問5A】 〇

 36協定は、所轄労働基準監督署長に届け出をすることによって効力が発生します。締結しただけでは効力が発生しないのが36協定のポイントです。

 問題文の36協定は、所轄労働基準監督署長に届け出た令和349日に効力が発生します。ですので、届け出前の令和341日から令和348日までに行われた時間外労働は、36協定の効果がないため、違法なものとなります。

(法第36条)

 

 

こちらもどうぞ!

 

②【H24年出題】

 労働基準法第36条に定めるいわゆる36協定は、これを所轄労働基準監督署長に届け出てはじめて使用者が労働者に適法に時間外労働又は休日労働を行わせることを可能とするのであって、法定労働時間を超えて労働させる場合、単に同協定を締結したのみでは、労働基準法違反の責めを免れない。

 

 

③【H24年出題】

 労働基準法第36条は、時間外又は休日労働を適法に行わせるための手続を規定したものであるから、時間外又は休日労働命令に服すべき労働者の民事上の義務は、同条に定めるいわゆる36協定から直接当然に生ずるものではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H24年出題】 〇

 本来、時間外労働、休日労働は労働基準法違反です。

 しかし、36協定を締結し、かつ所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、適法に時間外労働又は休日労働を行わせることが可能になります。(免罰効果といいます。)

(法第36条)

 

 

③【H24年出題】 〇

 36協定の直接効力は、時間外労働、休日労働の刑事上の免責です。

 36協定の手続により免罰効果は生じますが、労働者に対して時間外又は休日労働命令をできる権利は生じません。時間外労働、休日労働命令に従わなければならない労働者の民事上の義務は、労働協約、就業規則などの根拠が必要です。 

(法第36条、参照:昭63.1.1基発1)

 

 

次はこちらをどうぞ

 

④【H25年出題】

 事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合において、使用者が、その労働組合と36協定を締結し、これを行政官庁に届け出た場合、その協定が有する労働基準法上の効力は、当該組合の組合員でない他の労働者にも及ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

④【H25年出題】 〇

 36協定の効力は、その労働組合の組合員でない他の労働者にも及びます。

(昭23.4.5基発535号)

 

 

最後にこちらをどうぞ!

⑤【H20年選択】

 使用者が労働者に対し時間外労働を命じる場合について、「労働基準法〔…〕32条の労働時間を延長して労働させることにつき、使用者が、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等と書面による協定(いわゆる三六協定)を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該三六協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めているときは、当該就業規則の規定の内容が< A >ものである限り、それが具体的な労働契約の内容をなすから、右就業規則の規定の適用を受ける労働者は、その定めるところに従い、労働契約に定める労働時間を超えて労働をする義務を負うものと解するを相当とする〔…〕」というのが最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 合理的な

(最高一小H3.11.28)

 

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社労士受験のあれこれ

(令和3年出題より)過去問から学ぶ労働基準法 

R4-071

R3.11.1 時間単位の年次有給休暇

令和3年の問題から労働基準法を学びましょう。

 

今日は「時間単位の年次有給休暇」です。

 

 

では、どうぞ!

 

①【R3年問2E

 労働基準法第39条に従って、労働者が日を単位とする有給休暇を請求したとき、使用者は時季変更権を行使して、日単位による取得の請求を時間単位に変更することができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年問2E】 ×

 時間単位年休も、使用者の時季変更権の対象になります。

 しかし、日単位による取得の請求を時間単位に変更することや、時間単位による取得の請求を日単位に変更することは、時季変更に当たらず、認められません。

(平21.5.29基発第0529001号) 

 

★「時間単位年休」を導入する場合は、労使協定の締結が必要です。時間単位年休の制度により、労働者が時間単位で請求すれば、時間単位の年次有給休暇を取得することができることになります。

 個々の労働者に対して時間単位による取得を義務付けるものではありませんし、時間単位で取得するか、日単位で取得するかは、労働者の意思によります。

(参照:平21.5.29基発第0529001号)

 

こちらもどうぞ!

 

②【H25年出題】

 労働基準法第39条第4項の規定により、労働者が、例えばある日の午前9時から午前10時までの1時間という時間を単位としての年次有給休暇の請求を行った場合において、使用者は、そのような短時間であってもその時間に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げるときは、同条第5項のいわゆる時季変更権を行使することができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H25年出題】 〇

 先ほどの①の解説にもありますが、時間単位年休も、使用者の時季変更権の対象になります。

(平21.5.29基発第0529001号) 

 

 

次はこちらをどうぞ

 

③【H26年出題】

 労働基準法第39条第6項に定めるいわゆる労使協定による有給休暇の計画的付与については、時間単位でこれを与えることは認められていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【H26年出題】 〇

 時間単位年休は、「労働者が時間単位による取得を請求した」場合に、時間単位により年次有給休暇を与えることができる制度です。そのため、計画的付与として時間単位年休を与えることは認められません。 

(平21.5.29基発第0529001号) 

 

 

では、条文を穴埋めで確認しましょう!

(時季指定権と時季変更権)

 使用者は、有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。

ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが< A >場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 事業の正常な運営を妨げる

(法第39条第5項)

 

 

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https://youtu.be/B0yQnXy6RiI

社労士受験のあれこれ

(令和3年出題より)過去問から学ぶ労働基準法 

R4-070

R3.10.31 賃金支払5原則「通貨払いの原則」

令和3年の問題から労働基準法を学びましょう。

 

今日は「賃金支払5原則「通貨払いの原則」」です。

賃金の支払には5つの原則があります。

1 通貨払いの原則

2 直接払いの原則

3 全額払いの原則

4 毎月1回以上払いの原則

5 一定期日払いの原則

それぞれ原則の例外もおさえましょう。

 

 

では、どうぞ!

 

①【R3年問3イ

 賃金を通貨以外のもので支払うことができる旨の労働協約の定めがある場合には、当該労働協約の適用を受けない労働者を含め当該事業場のすべての労働者について、賃金を通貨以外のもので支払うことができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年問3イ】 ×

 「労働協約の適用を受けない労働者」には、通貨以外のもので支払うことはできません。

★ 賃金は、通貨で支払うのが原則ですが、「法令」又は「労働協約」に別段の定めがある場合は、通貨以外のもの(現物)で支払うこともできます。

 労働協約の定めによって通貨以外のもので支払うことができるのは、「労働協約の適用を受ける労働者」に限定されます。

(法第24条、S63.3.14基発150号)

★ 労働協約は、労働組合法に規定されています。「労働組合」と使用者との間の協約ですので、労働組合のある事業場だけに存在するものです。

 

 

こちらもどうぞ!

 

②【H29年出題】

 労働協約の定めによって通貨以外のもので賃金を支払うことが許されるのは、その労働協約の適用を受ける労働者に限られる。

 

 

③【R1年出題】

 労働基準法第24条第1項は、賃金は、「法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、通貨以外のもので支払うことができる。」と定めている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H29年出題】 〇

 通貨以外のもの(現物)で賃金を支払うことができるのは、事業所のすべての労働者ではなく、「労働協約の適用を受ける労働者」に限られます。

(法第24条、S63.3.14基発150号)

 

 

③【R1年出題】 ×

 労働協約と労使協定の違いに注意しましょう。

労働協約は、「労働組合」がある事業場だけのものです。

 一方、労使協定は、労働組合がない事業場でも締結できます。労働組合がない事業場の場合は、「労働者の過半数を代表する者」と協定を締結します。

(法第24条)

 

では、こちらもどうぞ!

④【R3年問3ア

 使用者は、退職手当の支払については、現金の保管、持ち運び等に伴う危険を回避するため、労働者の同意を得なくても、当該労働者の預金又は貯金への振込みによることができるほか、銀行その他の金融機関が支払保証をした小切手を当該労働者に交付することによることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

④【R3年問3ア】 ×

 問題文の場合は、「労働者の同意」が必要です。

 退職手当は、通常の賃金よりも額が多いので、危険回避のため、振込み以外に小切手で支払うこともできますが、その場合も労働者の同意が必要です。

(則第7条の2)

 

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https://youtu.be/5htXvUU69DE

社労士受験のあれこれ

(令和3年出題より)過去問から学ぶ労働基準法 

R4-060

R3.10.21 年少者の時間外、休日、深夜労働

令和3年の問題から労働基準法を学びましょう。

 

今日は「年少者の時間外、休日、深夜労働」です。

 

 

では、どうぞ!

 

①【R3年問5C

 労働基準法第33条では、災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合においては、使用者は、所轄労働基準監督署長の許可を受けて、その必要の限度において同法第32条から第32条の5まで又は第40条の労働時間を延長し、労働させることができる旨規定されているが、満18歳に満たない者については、同法第33条の規定は適用されない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年問5C】 ×

 「災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合」の規定は、年少者にも適用されますので、そのような場合は年少者にも時間外労働、休日労働をさせることができます。

 ★年少者の時間外、休日、深夜労働の可否を確認しましょう。

 時間外・休日労働
三六協定×

災害その他避けることのできない事由

公務のため

 

 

 深夜労働
 × 原則禁止

災害その他避けることのできない事由

公務のため×

(法第33条、法第60条、第61条)

 

 

こちらもどうぞ!

 

②【H30年出題

 使用者は、労働基準法第56条第1項に定める最低年齢を満たした者であっても、満18歳に満たない者には、労働基準法第36条の協定によって時間外労働を行わせることはできないが、同法第33条の定めに従い、災害等による臨時の必要がある場合に時間外労働を行わせることは禁止されていない。

 

 

③【H13年出題

36協定を締結し所轄労働基準監督署長に届け出た場合はもちろんのこと、災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合であっても、使用者は、満18歳未満の労働者には、休日労働はさせることはできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H30年出題】 〇

 満18歳に満たない者には、36協定による時間外労働を行わせることはできませんが、災害等による臨時の必要がある場合に時間外労働を行わせることは可能です。

(法第60条)

 

 

③【H13年出題】 ×

 災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合は、満18歳未満の労働者にも、休日労働をさせることができます。

(法第60条)

 

 

では、「第33条」を穴埋めでチェックしましょう

第33条 (災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等)

① 災害その他避けることのできない事由によつて、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の< A >を受けて、その必要の限度において第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間を延長し、又は第35条の休日に労働させることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の< A >を受ける暇がない場合においては、< B >届け出なければならない。

② ①ただし書の規定による届出があった場合において、行政官庁がその労働時間の延長又は休日の労働を< C >と認めるときは、その後にその時間に相当する休憩又は休日を与えるべきことを、命ずることができる。

③ 公務のために臨時の必要がある場合においては、①の規定にかかわらず、    < D >(別表第一に掲げる事業を除く。)に従事する国家公務員及び地方公務員については、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間を延長し、又は第35条の休日に労働させることができる。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 許可

B 事後に遅滞なく

C 不適当

D 官公署の事業

 

 

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https://youtu.be/91WwVht5LCU

社労士受験のあれこれ

(令和3年出題より)過去問から学ぶ労働基準法 

R4-052

R3.10.13 労基「減給制裁の制限」

 

令和3年の問題から「労働基準法」を学びましょう。

 

今日は減給制裁の制限です。

 

では、どうぞ!

 

①【R3年問7E

 労働基準法第91条にいう「一賃金支払期における賃金の総額」とは、「当該賃金支払期に対し現実に支払われる賃金の総額」をいい、一賃金支払期に支払われるべき賃金の総額が欠勤や遅刻等により少額となったときは、その少額となった賃金総額を基礎として10分の1を計算しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年問7E】 〇

 「一賃金支払期における賃金の総額」とは、「当該賃金支払期に対し現実に支払われる賃金の総額」の10分の1を超えてはならないという趣旨です。

 賃金の総額が欠勤や遅刻等により減額され少額となった場合でも、その少額となった賃金総額の10分の1を超えてはなりません。

(法第91条 S25.9.8基収1338号)

 

 

こちらもどうぞ!

 

②【H16年出題

 就業規則で労働者に対して減給の定めをする場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならず、もし、これを超えて減給の制裁を行う必要が生じた場合においても、その部分の減給は、次期の賃金支払期に延ばすことはできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H16年出題】 ×

 一賃金支払期に、複数の減給事案が発生した場合、その減給の総額は、「その賃金支払期における賃金総額の10分の1以内」でなければなりません。

これを超えて減給の制裁を行う必要が生じた場合は、次期の賃金支払期に延ばすことができます。

(S23.9.20基収1789号)

 

 

では条文を穴埋めで確認しましょう!

第91条 (制裁規定の制限)

 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の< A >を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の< B >を超えてはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 半額

B 10分の1

 

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https://youtu.be/OuBczy8Q_Y0

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(令和3年出題より)労働基準法 応用問題

R4-042

R3.10.3 労基「管理監督者と妊産婦の労働時間」

和3年の問題から、応用問題を振り返りましょう。

今日は労働基準法です。

 

では、どうぞ!

 

①【R3年問5D

 労働基準法第32条又は第40条に定める労働時間の規定は、事業の種類にかかわらず、監督又は管理の地位にある者には適用されないが、当該者が妊産婦であって、前記の労働時間に関する規定を適用するよう当該者から請求があった場合は、当該請求のあった規定については適用される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年問5D ×

解き方のポイント!

 法第41条で、「監督又は管理の地位にある者」については「労働時間、休憩、休日の規定は適用されない」と規定されています。

 また、第66条には、「妊産婦」について、「妊産婦が請求した場合は、災害等による臨時の必要がある場合や36協定の規定にかかわらず、時間外労働又は休日労働をさせてはならない」等の規定があります。

 「監督又は管理の地位にある者」が「妊産婦」である場合、労働時間の規定は適用されるのか?というのがこの問題のテーマです。

 「妊産婦のうち、第41条に該当する者については、労働時間に関する規定は適用されない」とされています。問題文のように、労働時間に関する規定を適用するよう当該者から請求があったとしても、適用されません。

(法第66条、S61.3.20基発151号)

 

 

では、こちらもどうぞ!

 

②【H19年出題

 使用者は、労働基準法第66条第2項の規定により、妊産婦が請求した場合においては、同法第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働又は休日労働をさせてはならないが、この第66条第2項の規定は、同法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある妊産婦にも適用される。

 

 

③【H17年出題】

 使用者は、労働基準法第66条第2項及び第3項の規定により、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)が請求した場合においては、同法第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働、休日労働又は深夜業をさせてはならないが、同法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある妊産婦については、時間外労働、休日労働及び深夜業をさせることができる。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H19年出題 ×

 第66条第2項の規定は、監督又は管理の地位にある妊産婦には適用されません。

(S61.3.20基発第151号)

 

 

③【H17年出題】 ×

 問題文の最後の「同法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある妊産婦については、時間外労働、休日労働及び深夜業をさせることができる。」の部分が誤りです。深夜業をさせることはできません。

 

問題を解くポイント!

 妊産婦が請求した場合は、「時間外労働、休日労働又は深夜業」をさせることはできません。

 ただし、監督又は管理の地位にある者には、労働時間、休憩、休日は適用されませんので、監督又は管理の地位にある妊産婦から請求があったとしても、「時間外労働、休日労働」をさせることはできます。

 しかし、第41条に規定する者については、「深夜業」の規定は適用されます。

 ですので、「監督又は管理の地位にある妊産婦」から「深夜業をしない」請求があった場合は、深夜業をさせることはできません。

(S61.3.20基発151号) 

 

第41条の条文を確認しましょう

第41条 (労働時間等に関する規定の適用除外)

労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

一 別表第一第6号(< A >を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者

二 事業の種類にかかわらず< B >にある者又は機密の事務を取り扱う者

三 < C >に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 林業

B 監督若しくは管理の地位

C 監視又は断続的労働

※ちなみに、別表第一6号は農林の事業、第7号は畜産水産業の事業です。

 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/FfaFhE0eLGs

社労士受験のあれこれ

(令和3年出題より)労働基準法よく出るところ

R4-032

R3.9.23 労基法「差別的取り扱い」とは?

令和3年の問題から、よくでるところを振り返りましょう。

今日は労働基準法です。

 

では、どうぞ!

 

①【R3年問1B

 労働基準法第3条が禁止する「差別的取扱」をするとは、当該労働者を有利又は不利に取り扱うことをいう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年問1B】 〇

 「有利」に取り扱うこと、「不利」に取り扱うこと、どちらも「差別的取扱」となります。

(法第3条)

 

 

では、こちらもどうぞ!

 

②【H30年出題】

 労働基準法第4条の禁止する賃金についての差別的取扱いとは、女性労働者の賃金を男性労働者と比較して不利に取り扱う場合だけでなく、有利に取り扱う場合も含まれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

②【H30年出題】 〇

 第4条も差別的取扱いを禁止する条文ですが、こちらも、不利に取り扱う場合だけでなく、有利に取り扱う場合も差別的取扱いに含まれます。

(法第4条、S22.9.13発基第17号)

 

では、条文を確認しましょう。

第3条

 使用者は、労働者の< A >を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。

 

第4条

 使用者は、労働者が女性であることを理由として、< B >について、男性と差別的取扱をしてはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 国籍、信条又は社会的身分

B 賃金

 

では、こちらの問題もどうぞ!

 

③【H29年出題】

 労働基準法第3条は、使用者は、労働者の国籍、信条、性別又は社会的身分を理由として、労働条件について差別的取扱をすることを禁じている。

 

④【H27年出題】

 労働基準法第4条は、賃金について、女性であることを理由として、男性と差別的取扱いをすることを禁止しているが、賃金以外の労働条件についてはこれを禁止していない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【H29年出題】 ×

 第3条で差別禁止事由とされているのは、「国籍、信条、社会的身分」です。「性別」による差別は、第3条では禁止されていません。

(法第3条)

 

④【H27年出題】 〇

 第4条で女性であることを理由として差別的取り扱いを禁止しているのは、「賃金」についてのみです。

 賃金以外の労働条件についての差別的取扱いは第4条違反にはなりません。なお、賃金以外の労働条件についての差別的取扱いは、男女雇用機会均等法に抵触する可能性があります。

(法第4条)

 

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https://youtu.be/x03XqOx-qlw

社労士受験のあれこれ

(令和3年出題より)労働基準法の定番問題

R4-022

R3.9.13 「休日」に休業手当支払い義務はある?ない?

 令和3年の問題から、定番問題を振り返ります。

 今日は労働基準法です。

 

 

①【R3年問4B】

 使用者が法第26条によって休業手当を支払わなければならないのは、使用者の責に帰すべき事由によって休業した日から休業した最終の日までであり、その期間における労働基準法第35条の休日及び労働協約、就業規則又は労働契約によって定められた同法第35条によらない休日を含むものと解されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】  

①【問4B】 ×

 休日は、「労働する義務のない日」ですので、休業手当を支給する義務はありません。ですので、休業手当を支払わなければならない日に「休日」は含みません。「労働協約、就業規則又は労働契約によって定められた同法第35条によらない休日」(法定休日以外の休日)も休業手当の支払義務はありません。

(昭24.3.22基収4077号)

 

もう一問どうぞ!

②【H18問2C】

 労働基準法第26条の休業手当は、民法第536条第2項によって全額請求し得る賃金のうち、平均賃金の100分の60以上を保障しようとする趣旨のものであるから、労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日については、休業手当を支給する義務は生じない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H18問2C】 〇

 ①の解説と同じです。

 

では、労働基準法第26条を穴埋めでチェックしましょう。

第26条 (休業手当)

 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その< A >の100分の< B >以上の手当を支払わなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 平均賃金

B 60

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/3x-Ly7draF0

社労士受験のあれこれ

第53回試験・労働基準法【択一】

R4-011

R3.9.2 第53回労基(択一)より~産前産後

第53回試験を振り返ってみましょう。

☆☆☆ 労働基準法は、過去問のポイントをしっかりおさえていれば、解きやすかったと思います。

 

【R3年問6】

A 労働基準法第65条の「出産」の範囲は、妊娠4か月以上の分娩をいうが、1か月は28日として計算するので、4か月以上というのは、85日以上ということになる。

 

B 労働基準法第65条の「出産」の範囲に妊娠中絶が含まれることはない。

 

C 使用者は、産後8週間(女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせる場合は6週間)を経過しない女性を就業させてはならないが、出産当日は、産前6週間に含まれる。

 

D 6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性労働者については、当該女性労働者の請求が産前の休業の条件となっているので、当該女性労働者の請求がなければ、労働基準法第65条第1項による就業禁止に該当しない。

 

E 労働基準法第65条第3項は原則として妊娠中の女性が請求した業務に転換させる趣旨であるが、新たに軽易な業務を創設して与える義務まで課したものではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

問6A  〇

「出産」の範囲は、「妊娠4か月」以上の分娩のこと。

1か月は28日で計算するので、4か月以上とは85日以上のこととなります。

(S23.12.23基発1885)

 

問6B  ×

妊娠中絶でも、妊娠4か月以後に行った場合は、産後休業の規定が適用されます。

(S26.4.2婦発113号)

 

問6C  〇

出産当日は「産前」に含まれます。

(S25.3.31基収4057号)

 

問6D  〇

産前休業は、女性の「請求」が条件ですので、請求がなければ就業禁止にはなりません。

一方、「産後休業」は、請求を条件にしていませんので、請求の有無にかかわらず、就業させることは禁止されています。(ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない、とされています。)

 

問6E  〇

 第65条第3項では、『妊娠中の女性が「請求した場合」(この規定も請求が条件です。)においては、他の軽易な業務に転換させなければならない』と規定されています。女性が請求した業務に転換させることが原則ですが、新たに軽易な業務を創設して与える義務まではありません。

(S61.3.20基発151号) 

 

最後に条文をチェックしましょう

第65条(産前産後)

① 使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあっては、< A >週間)以内に出産する予定の女性が休業を< B >場合においては、その者を就業させてはならない。

② 使用者は、産後< C >週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。

③ 使用者は、< D >の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 14

B 請求した

C 8

D 妊娠中

 

 

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第53回選択式(労基法)

R4-002

R3.8.24 第53回選択労基~やや難しい★★☆

第54回試験に向けて、スタートします。

まずは、第53回試験を解いてみました。

★★★ 難しい

★★☆ やや難しい

☆☆☆ どうにか解ける

 

 

今日は、労働基準法です。

【問1】

労基法第16条(賠償予定の禁止)に出てくる「違約金」の性質について

「労働契約に基づく労働義務を労働者が履行しない」場合、違約金を支払う義務のある者は、「労働者本人」、「親権者」、そしてもう一つは?ということですが、解答は「身元保証人」です。

前後の文脈をみて、選択肢の中から、身元保証人を選べたと思います。

問1 A ☆☆☆(どうにか解ける)

 

【問2】

国際自動車事件(R2.3.30最1小判)からの出題です。

・使用者が労基法37条の「割増賃金を支払った」といえるか否かの判断について

ポイント

・前提 → 労働契約における賃金の定めにつき、「通常の労働時間の賃金」に当たる部分と「割増賃金に当たる部分」とを判別することができることが必要

・使用者が、「特定の手当」を支払うことにより、労基法第37条の定める割増賃金を支払ったと主張している場合

  →労働契約に係る契約書等の記載内容のほか諸般の事情を考慮して判断すべき

  →その判断に際しては、当該手当の名称や算定方法だけでなく、当該労働契約の定める賃金体系全体における当該手当の位置付け等にも留意して検討しなければならない

 

Bについて

 労基法第37条(割増賃金)で、「通常の労働時間」の賃金が割増賃金の基礎となると規定されているので、そこから「通常の労働時間の賃金」が選べたと思います。

問2 B ☆☆☆(どうにか解ける)

Cについて

 「特定の手当」が「割増賃金」だと裁判で主張するには何が必要か?と考えてみる。

 例えば、選択肢⑫のように、情報提供や説明の内容だけでは弱いような・・・。また、⑮のように我が国社会の一般的状況を持ち出してもなんとなく説得力に欠ける。

 と考えてみると、ここは、⑭「当該労働契約の定める賃金体系全体における当該手当の位置付け」が選べたのでは?と思います。

問2 C ★★★(でも難しいです)

 

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労働基準法 選択対策

R3-352

R3.8.10 労基法選択問題~過去問より

 今日は、労働基準法の選択対策です。過去問をどうぞ!

 

ではどうぞ!

空欄を埋めてください。

 

問題① H20年出題

使用者が労働者に対し時間外労働を命じる場合について、「労働基準法[・・・・・]32条の労働時間を延長して労働させることにつき、使用者が、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等と書面による協定(いわゆる三六協定)を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該三六協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めているときは、当該就業規則の内容が< A >ものである限り、それが具体的な労働契約の内容をなすから、右就業規則の規定の適用を受ける労働者は、その定めるところに従い、労働契約に定める労働時間を超えて労働をする義務を負うものと解するを相当とする〔・・・・・〕」というのが最高裁判所の判例である。

 

問題② H23年出題

 「〔年次有給〕休暇の時季指定の効果は、使用者の適法な時季変更権の行使を< B >として発生するのであって、年次休暇の成立要件として、労働者による『休暇の請求』や、これに対する使用者の『承認』の観念を容れる余地はないものといわなければならない。」とするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

問題③ H22年出題

「使用者が労働者を新規に採用するに当たり、その雇用契約に期間を設けた場合において、その設けた趣旨・目的が労働者の適性を評価・判断するためのものであるときは、右期間[当該期間]の満了により右雇用契約[当該雇用契約]が当然に終了する旨の明確な合意が当事者間に成立しているなどの特段の事情が認められる場合を除き、右期間[当該期間]は契約の存続期間ではなく、< C >であると解するのが相当である。」とするのが最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

問題① 

A 合理的な

参照→最高一小H3.11.28

 

問題② 

B 解除条件

参照→最高二小S48.3.2

 

問題③

C 試用期間

参照→最高三小H2.6.5

 

 

関連過去問もどうぞ!

④<H27年出題>

 労働基準法第32条の労働時間を延長して労働させることにつき、使用者が、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等と書面による協定(いわゆる36協定)を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該36協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めていたとしても、36協定は私法上の権利義務を設定する効果を有しないため、当該就業規則の規定の内容が合理的なものであるか否かにかかわらず、労働者は労働契約に定める労働時間を超えて労働をする義務を負わないとするのが、最高裁判所の判例である。

 

⑤<H22年出題>

 労働者の時季指定による年次有給休暇は、労働者が法律上認められた休暇日数の範囲内で具体的な休暇の始期と終期を特定して時季指定をし、使用者がこれを承認して初めて成立するとするのが最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

④<H27年出題> ×

 当該就業規則の規定の内容が「合理的なもの」である限り、それが具体的労働契約の内容をなす。なので、その就業規則の適用を受ける労働者は、その定めるところに従い、「労働契約に定める労働時間を超えて労働をする義務を負う」ことになります。

参照→最高一小H3.11.28

 

⑤<H22年出題> ×

年次休暇の成立要件として、労働者による『休暇の請求』や、これに対する使用者の『承認』の観念を容れる余地はない、とされています。

参照→最高二小S48.3.2

 

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【労基法】フレックスタイム制

R3-318

R3.7.7  清算期間が1か月を超える場合のフレックスタイム制

 今日のテーマはフレックスタイム制です。

 本題の前にフレックスタイム制を導入の要件を確認しておきましょう。

① 就業規則その他これに準ずるものに規定する

   ・「始業及び終業の時刻」をその労働者の決定に委ねること

② 労使協定で一定事項を定める

 

「清算期間」とは?

 清算期間とは → その期間を平均し1週間当たりの労働時間が法定労働時間(原則40時間、特例44時間)を超えない範囲内において労働させる期間をいい、< A >以内の期間に限るものとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 3か月

 フレックスタイム制の清算期間の上限は3か月です。

 ただし、清算期間が1か月を超える場合は、一定のルールがあります。そのルールを次の問題で確認しましょう。

 

では、どうぞ!

①<R1年出題>

 労働基準法第32条の3に定めるいわゆるフレックスタイム制について、清算期間が1か月を超える場合において、清算期間を1か月ごとに区分した各期間を平均して1週間当たり50時間を超えて労働させた場合は時間外労働に該当するため、労働基準法第36条第1項の協定の締結及び届出が必要となり、清算期間の途中であっても、当該各期間に対応した賃金支払日に割増賃金を支払わなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①<R1年出題> 〇

 

フレックスタイム制の時間外労働は?

 フレックスタイム制の時間外労働は、清算期間の法定労働時間の総枠を超えた部分です。

 例えば、清算期間が1か月の場合は1か月単位で労働時間を清算します。

 1か月の法定労働時間の総枠は、暦日数が31日の月でしたら177.1時間です。もし、1か月でトータルした実際の労働時間が総枠を超えていれば、その枠を超えた時間が時間外労働となります。

 

では、清算期間を3か月とした場合は?

 清算期間を3か月にした場合は、3か月単位で清算します。

 暦日数が92日だとすると、法定労働時間の総枠は525.7時間(労働時間の週平均が40時間)となり、実際の労働時間のトータルが総枠を超えれば、超えた分が時間外労働となります。

 ただし、清算期間が1か月を超える場合は、『1か月ごとの労働時間が週平均50時間を超えないこと』というルールがあります。

 ですので、問題文のように、清算期間を1か月ごとに区分した各期間を平均して1週間当たり50時間を超えて労働させた場合は時間外労働に該当し、36協定の締結と届出、清算期間の途中でも割増賃金を支払う必要があります。

(法第32条の3)

★もう一つ注意★  特例事業場の場合、清算期間が1か月以内なら「44時間」の特例が適用されますが、清算期間が1か月を超える場合は、特例は適用されませんので原則の40時間が適用されます。

 

こちらもどうぞ!

②<R2年出題>

 労働基準法第32条の3に定めるいわゆるフレックスタイム制を実施する際には、清算期間の長さにかかわらず、同条に掲げる事項を定めた労使協定を行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出なければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②<R2年出題> ×

 フレックスタイム制の労使協定

・清算期間が1か月以内 → 届出不要

・清算期間が1か月を超える → 届け出なければならない

(法第32条の3)

 

ついでに「労使協定の有効期間」もチェックしましょう。

清算期間が1か月を超える → 有効期間の定めをすること

(則第12条の3)

 

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労働基準法 切り上げ切捨て

R3-289

R3.6.8 労基法・端数処理どこまで認められる?

今日は、労働基準法の端数処理はどこまで認めらるのか?がテーマです。

 労働基準法には、「全額払いの原則」(労働した分は100%支払う)がありますが、計算の便宜上、一定のラインまでは端数処理が認められています。

 

では、どうぞ!

①<H19年出題>

 割増賃金の計算の便宜上、1日における時間外労働、休日労働及び深夜労働の各時間数に1時間未満の端数がある場合は、1日ごとに、30分未満の端数を切り捨て、30分以上の端数を1時間に切り上げて計算する措置は、法違反として取り扱わないこととされている。

 

②<H25年出題> 

1日及び1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること、1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること並びに1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げることは、いずれも労働基準法第24条及び第37条違反としては取り扱わないこととされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①<H19年出題> ×

 「1日」ごとに設問のような端数処理を行うのは、全額払いに原則に反します。

 違反とならない端数処理は、 

「1か月」時間外労働、休日労働及び深夜労働の各々の時間数の合計1時間未満の端数 → 30分未満切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる

(昭63.3.14基発150号)

 

②<H25年出題> ×

 問題文の最初の「1日」が誤りです。 

 時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることは、「1日」単位は不可、「1か月」ならOKです。(①の問題と同じ)

 問題の後半は〇です。

・ 1時間当たりの賃金額及び割増賃金額の円未満の端数

 → 50銭未満切り捨て、それ以上を1円に切り上げる

・ 1か月の時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額の1円未満の端  数 → 50銭未満切り捨て、それ以上を1円に切り上げる

 

 

こちらも、どうぞ!

③<H29年出題> 

1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した額。)に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払う事務処理方法は、労働基準法第24条違反として取り扱わないこととされている。

 

④<H24年出題> 

1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には、控除後の額)に生じた千円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うことは、労働基準法第24条違反としては取り扱わないこととされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③<H29年出題>  〇

1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した額。)の100円未満の端数 → 50円未満切り捨て、それ以上を100円に切り上げる(OK)

 

④<H24年出題>  〇

1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には、控除後の額)の千円未満の端数 → 翌月の賃金支払日に繰り越して支払う(OK)

 ③と④は、現金払いのときに封筒の中で小銭がジャラジャラたくさんにならないように、というイメージで覚えてください。

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労働基準法 休業手当

R3-288

R3.6.7 休業手当の支払義務がある日・ない日

今日は、労働基準法「休業手当」です。

 休業手当の支払義務が発生する日はどんな日なのでしょうか?

 

では、どうぞ!

<H27年出題>

 ■■問題文の労働者の労働条件■■

  所定労働日:毎週月曜日から金曜日

  所定休日:毎週土曜日及び日曜日

  所定労働時間:1日8時間

  賃金:日給15,000円

  計算された平均賃金:10,000円

 

A 使用者の責に帰すべき事由によって、水曜日から次の週の火曜日まで1週間休業させた場合、使用者は、7日間の休業手当を支払わなければならない。

 

B 使用者の責に帰すべき事由により労働時間が4時間に短縮されたが、その日の賃金として7,500円の支払がなされると、この場合にあっては、使用者は、その賃金の支払に加えて休業手当を支払わなくても違法とならない。

 

C 就業規則の定めに則り、日曜日の休日を事業の都合によってあらかじめ振り替えて水曜日を休日とした場合、当該水曜日に休ませても使用者に休業手当を支払う義務は生じない。

 

D 休業手当の支払義務の対象となる「休業」とは、労働者が労総契約に従って労働の用意をなし、しかも労働の意思をもっているにもかかわらず、その給付の実現が拒否され、又は不可能となった場合をいうから、この「休業」には、事業の全部又は一部が停止される場合にとどまらず、使用者が特定の労働者に対して、その意思に反して、就業を拒否する場合も含まれる。

 

 E 休電による休業については、原則として労働基準法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業に該当しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A  ×

ポイント!

 「休日」=労働する義務のない日。もともと労働の予定のない日なので、休業手当を支払う義務はありません。

 

 問題文の場合、所定休日の土曜日と日曜日には休業手当を支払う義務はありませんので、5日間の休業手当を支払うことになります。

(昭24.3.22基収4077号)

 

 

B  〇

ポイント!

 一労働日の一部だけ休業した場合は、全体として平均賃金の100分の60まで支払わなければならない。

 

 問題文の場合、労働基準法で義務付けられるのは、平均賃金(10,000円)×100分の60=6,000円以上です。

 4時間の労働で7,500円の支払がなされているので、休業手当をプラスして支払う必要はありません。

 しかし、例えば、使用者の責に帰すべき事由でその日の労働時間が1時間に短縮され、その日の賃金が1,875円の場合は、休業手当として6,000円との差額(4,125円)を支払わなければなりません。

(昭27.8.7 基収3445号)

 

 

C 〇

ポイント!

 「休日」は休業手当の支払義務はありません。(Aと同じです。)

 

 問題文の場合、振替によって、日曜日が「労働日」、水曜日が「休日」となっているので、水曜日に休ませても休業手当の支払義務はありません。

(昭24.3.22基収4077号)

 

 

D 〇

ポイント!

特定の労働者に対して、その意思に反して就業を拒否する場合も、「休業手当」の支払義務の対象です。

 

 ちなみに、「休業」は丸一日とは限りません。Bの問題のように1日の一部だけ休業する場合も含まれます。

 

 

 E 〇

ポイント!

 休電による休業については、原則としての使用者の責に帰すべき事由による休業に該当しません。

 

  休業手当を支払わなくても、26条違反にはなりません。

(昭26.10.11基発696号)

社労士受験のあれこれ

出来高払い制の保障給

R3-287

R3.6.6 労基法・出来高払いの保障給は何に対する保障なの?

今日は、労働基準法第27条「出来高払い制の保障給」です。

 

では、どうぞ!

①<R1年選択>

 労働基準法第27条は、出来高払制の保障給として、「使用者は、< A >に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。」と定めている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 労働時間

 出来高払制の労働者の場合、本人は出勤していても、材料などが不足していると出来高が上がらず、そうすると賃金が支払われなくなります。

 そのようなことのないよう、「労働時間」に応じ、一定額の保障をしなければならないことになっています。

 ですので、労働者が労働者の責に帰すべき事由で「就業しなかった」(=労働時間が無い)場合は、保障給も支払う必要はありません。

(法第27条、昭23.11.11基発1639号)

 

 

では、こちらをどうぞ! 

②<H26年出題>

 いわゆる出来高払制の保障給を定めた労働基準法第27条の趣旨は、月給等の定額給制度ではなく、出来高払制で使用している労働者について、その出来高や成果に応じた賃金の支払を保障することにある。

 

③<H28年出題> 

 労働基準法第27条に定める出来高払制の保障給は、労働時間に応じた一定額のものでなければならず、労働者の実労働時間の長短と関係なく1か月について一定額を保障するものは、本条の保障給ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②<H26年出題> ×

 「その出来高や成果」ではなく、「労働時間」に応じた賃金の支払を保障することが趣旨です。

 

③<H28年出題>  〇

 「労働時間に応じた」一定額の賃金の保障が必要なので、原則は時間給となります。       

 「実労働時間の長短と関係なく」1か月について一定額を保障するものは、保障給とはいえません。

 

最後はこちらを

④<H13年出題>  

 出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者の責に帰すべき事由によって休業する場合においても、使用者は、労働基準法第27条の規定に基づく出来高払制の保障給を支払わなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

④<H13年出題>  × 

 出来高払制の保障給は「労働時間」に応じた保障を義務付けています。問題文のように休業している場合は、保障する必要はありません。

 ただし、問題文のように「使用者の責に帰すべき事由によって休業」する場合は、「休業手当」を支払う義務があります。

 

社労士受験のあれこれ

労基法上の「休日」

R3-249

R3.4.29 労働基準法上「休日」とは?

 今日のテーマは、労働基準法の「休日」です。

 

まず、労働基準法の「休日」の与え方について確認してみましょう。

<原則> 毎週少くとも1回

<例外> 4週間を通じ4日以上

では、どうぞ!

①<H29年出題>

 労働基準法第35条に定める「一回の休日」は、24時間継続して労働義務から解放するものであれば、起算時点は問わないのが原則である。

 

②<H13年出題>

 労働基準法上使用者が労働者に与えるべき休日は、午前零時から午後12時までの暦日でなければならず、どのような場合であっても、2暦日にまたがる連続24時間を休日とすることは認められていない。

 

③<H24年出題>

 労働基準法第35条に定める休日は、原則として暦日を意味するものと解されており、例えば、午前8時から翌日の午前8時までの労働と、同じく午前8時から翌日の午前8時までの非番とを繰り返す一昼夜交代勤務の場合に、非番の継続24時間の間労働義務がないとしても、同条の休日を与えたものとは認められない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①<H29年出題> ×

 連続24時間、労働義務から解放しても「休日」を与えたことにはなりません。

 原則として、労働基準法の「休日」は、午前零時から午後12時までの暦日を指します。起算時点は、午前零時です。

(昭23.4.5基発535号)

 

②<H13年出題> ×

 休日は、原則として、午前零時から午後12時までの暦日ですが、例えば8時間3交替連続作業の場合などは、例外的に2暦日にまたがる連続24時間を休日とすることも認められています。

(昭63.3.14基発150号)

 

③<H24年出題> 〇

 一昼夜交代勤務の場合に、非番の継続24時間の間労働義務がないとしても、休日とは認められません。

1日2日3日4日5日6日7日8日
非番非番非番休日
8時8時8時8時8時8時 8時

 ※非番は休日とはならない。「休日」は原則どおり午前零時から午後12時までの暦日でなければなりません。

(昭23.11.9 基収2968号) 

 

こちらの問題もどうぞ!

④<H23年出題>

 使用者が、労働者に対して、4週間を通じ4日以上の休日を与え、その4週間の起算日を就業規則その他これに準じるものおいて明らかにしているときには、当該労働者に、毎週1回の休日を与えなくても、労働基準法第35条違反とはならない。

 

⑤<H13年出題>

4週間を通じ4日の休日を与える変形休日制を採用している事業場にあっては、年間のどの4週間を区切っても、その中に4日の休日がなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

④<H23年出題> 〇

 休日は「毎週1回」が原則。例外的に「4週間を通じ4日以上の休日」(変形休日制)が認められています。

 変形休日制の場合、4週間の起算日を就業規則その他これに準ずるものおいて明らかにする必要があります。

(昭22.9.13発基17号、則第12条の2)

 

⑤<H13年出題> ×

 変形休日制の場合、特定の4週間に4日の休日があればOKです。

 どの4週間を区切っても、4日の休日がなければならないという意味ではありません。

 ④の問題で見たように、起算日を明らかにしなければならないのは、特定の4週間を明確にするためです。

(昭23.9.20基発1384号)

社労士受験のあれこれ

平均賃金

R3-248

R3.4.28 平均賃金~算定すべき事由の発生した日

 労働基準法の「平均賃金」は、原則として『算定すべき事由の発生した日以前3か月間の賃金の総額』÷『その期間の総日数』で計算します。

 今日のテーマは、「算定すべき事由の発生した日」についてです。

 なお、「平均賃金」は、解雇予告手当、休業手当、年次有給休暇の賃金、災害補償、減給制裁の際に使われます。

では、どうぞ!

①<H27年出題>

 労働災害により休業していた労働者がその災害による傷病が原因で死亡した場合、使用者が遺族補償を行うに当たり必要な平均賃金を算定すべき事由の発生日は、当該労働者が死亡した日である。

 

②<H25年出題>

 労働基準法第91条に規定する減給の制裁に関し、平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、減給制裁の事由が発生した日ではなく、減給の制裁が決定された日をもってこれを算定すべき事由の発生した日とされている。

 

③<H30年出題>

 労働基準法第91条による減給の制裁に関し平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、制裁事由発生日(行為時)とされている。

 

④<H16年出題>

 労働基準法第20条の規定に基づき、解雇の予告に代えて支払われる平均賃金(解雇予告手当)を算定する場合における算定すべき事由の発生した日は、労働者に解雇の通告をした日である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①<H27年出題> ×

 災害補償の場合、平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、「死傷の原因たる事故発生の日又は診断によって疾病の発生が確定した日」となります。

(施行規則第48条)

 

②<H25年出題> ×

③<H30年出題> ×

 労働基準法第91条による減給の制裁に関し平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、「減給の制裁の意思表示が相手方に到達した日」です。

(昭30.7.19 29基収5875号)

 

④<H16年出題> 〇

 解雇予告手当を算定する場合の「算定すべき事由の発生した日」は、労働者に解雇の通告をした日です。

(昭39.6.12 36基収2316号)

 

 

こちらの問題もどうぞ!

⑤<H27年出題>

 賃金締切日が毎月月末と定められていた場合において、例えば731日に算定事由が発生したときは、なお直前の賃金締切日である630日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 〇

ポイント! 

①条文では、「算定すべき事由の発生した日以前3か月間」となっていますが、事由の発生した日の前日から遡ると解されています。

問題文の場合、7月31日に算定事由が発生していますので、前日の7月30日から遡ります。

②ただし、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算することになっています。問題文の場合、7月30日の直前の賃金締切日は6月30日となります。

(第12条)

社労士受験のあれこれ

労基法、安衛法、労働契約法の違い

R3-245

R3.4.25 使用者の定義(労基法・安衛法・労契法)

今日のテーマは、「使用者」の定義です。

 労働基準法、労働安全衛生法、労働契約法の違いをチェックしましょう。

 

では労働基準法からからどうぞ!

①<労働基準法 H21年選択>

 労働基準法において「使用者」とは、「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をする< A >をいう。

 

 

②<労働基準法 H26年出題>

 労働基準法にいう「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいうと定義されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①<労働基準法 H21年選択>

A すべての者

労働基準法の使用者

・事業主

・事業の経営担当者

・その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者

 

②<労働基準法 H26年出題> ×

 労働基準法の使用者は、「事業主」「事業の経営担当者」「その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」です。

 

次は労働安全衛生法です!

③<安衛法 H28年出題>

 労働安全衛生法における「事業者」は、労働基準法第10条に規定する「使用者」とはその概念を異にするが、「労働者」は、労働基準法第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。

 

④<安衛法 H26年出題>

 労働安全衛生法では、「事業者」は、「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主の為に行為をするすべての者をいう。」と定義されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③<安衛法 H28年出題> 〇

 労働安全衛生法の主たる義務者は「事業者」で、労働基準法第10条の「使用者」とはその概念を異にしています。

 「事業者」とは、法人企業であれば当該法人(法人の代表者ではない。)、個人企業であれば事業経営主を指しています。

 労働基準法上の義務主体である「使用者」と違い、事業経営の利益の帰属主体そのものを義務主体としてとらえ、その安全衛生上の責任を明確にしています。

(法第2条、昭47.9.18発基91号)

 

④<安衛法 H26年出題> ×

 労働安全衛生法第2条で、「事業者」は、「事業を行う者で、労働者を使用するものをいう。」と定義されています。

 事業者の意味づけは③で解説している通りです。

 

 

最後は労働契約法をどうぞ!

⑤<労働契約法 H29年出題> 

 労働契約法第2条第2項の「使用者」とは、「労働者」と相対する労働契約の締結当事者であり、「その使用する労働者に対して賃金を支払う者」をいうが、これは、労働基準法第10条の「使用者」と同義である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

⑤<労働契約法 H29年出題> ×

 「労働基準法第10条の「使用者」と同義である。」が誤りです。

 労働契約法の「使用者」とは、「その使用する労働者に対して賃金を支払う者」をいいます。

 したがって、個人企業の場合はその企業主個人を、会社その他の法人組織の場合はその法人そのものをいうものであり、これは、労働基準法第10条の「事業主」に相当し、労働基準法の「使用者」より狭い概念であること、とされています。

(法第2条、H24.8.10基発0810第2号)

社労士受験のあれこれ

労基法、安衛法、労働組合法、労働契約法の相違

R3-244

R3.4.24 労働者の定義(労基・安衛・労組・労契)

今日のテーマは、「労働者」の定義です。

 労働基準法、労働安全衛生法、労働組合法、労働契約法の違いをチェックしましょう。

 

ではこちらからどうぞ!

①<労働基準法>

労基法第9条(定義)

 労働基準法で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、< A >をいう。

 

第116条(適用除外)

 第1条から第11条まで、次項、第117条から第119条まで及び第121条の規定を除き、この法律は、船員法第1条第1項に規定する船員については、適用しない。

 この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び< B >については、適用しない。

 

 

②<安衛法 H28年出題>

 労働安全衛生法における「事業者」は、労働基準法第10条に規定する「使用者」とはその概念を異にするが、「労働者」は、労働基準法第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。

 

 

③<労働組合法 H23年出題>

 労働組合法における「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者をいう。

 

 

④<労働契約法 H24年出題>

 労働契約法における「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいうとされており、これに該当すれば家事使用人についても同法は適用される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①<労働基準法>

A 賃金を支払われる者

B 家事使用人

 

②<安衛法 H28年出題> 〇

労働安全衛生法の労働者の定義は、「労働基準法第9条の労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)」をいうとされています。

(安衛法第2条)

 

③<労働組合法 H23年出題> 〇

労働組合法では、「「労働者」とは他人との間に使用従属の関係に立って労務に服し、報酬を受けて生活する者をいうのであって、現に就業していると否とを問わないから、失業者をも含む。」とされています。

(労組法第3条、昭和23年6月5日労発第262号)

 

④<労働契約法 H24年出題> 〇

 労働契約法の「労働者」には、「使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者」のすべてが含まれます。そのため、その要件に該当すれば家事使用人にも労働契約法は適用されます。

 なお、労働契約法第21条(適用除外)では、労働契約法の適用について、①国家公務員及び地方公務員については、適用しない。②使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、適用しない。

 とされていて、家事使用人は適用除外に入っていません。

(法第2条、第21条、平24.8.10基発0810第2号)

社労士受験のあれこれ

割増賃金の算定

R3-213

R3.3.24 どこからどこまで?時間外労働・休日労働

 今日は労働基準法です。

 時間外労働は原則として2割5分以上、休日労働は3割5分以上の割増率で、賃金を計算しなければなりません。

 今日は、日をまたがって残業したときなど、様々な事例の問題を解いてみましょう。

 

 

では、どうぞ!

<H30年出題>

 労働基準法第35条に定めるいわゆる法定休日を日曜とし、月曜から土曜までを労働日として、休日及び労働時間が次のように定められている製造業の事業場における、労働時間に関する時間外及び休日の割増賃金についての問題。

 日  月  火  水  木  金  土

 休  6  6  6  6  6  6

 労働日における労働時間は全て 

  始業時刻:午前10時、終業時刻:午後5時、休憩:午後1時から1時間

①<H30年出題>

 日曜に10時間の労働があると、休日割増賃金の対象になるのは8時間で、8時間を超えた2時間は休日労働に加えて時間外労働も行われたことになるので、割増賃金は、休日労働に対する割増率に時間外労働に対する割増率を加算する必要がある。

 

②<H30年出題>

 日曜の午後8時から月曜の午前3時まで勤務した場合、その間の労働は全てが休日割増賃金対象の労働になる。

 

③<H30年出題>

 月曜の時間外労働が火曜の午前3時まで及んだ場合、火曜の午前3時までの労働は、月曜の勤務における1日の労働として取り扱われる。

 

<H30年出題>

 土曜の時間外労働が日曜の午前3時まで及んだ場合、日曜の午前3時までの労働に対する割増賃金は、土曜の勤務における時間外労働時間として計算される。

 

<H30年出題>

 日曜から水曜までは所定どおりの勤務であったが、木曜から土曜までの3日間の勤務が延長されてそれぞれ10時間ずつ労働したために当該1週間の労働時間が48時間になった場合、土曜における10時間労働の内8時間が割増賃金支払いの義務の対象労働になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

①<H30年出題> ×

 ★8時間を超えた2時間に対して時間外労働の割増率を加算する必要はありません。

 法定休日には、時間外労働という概念がありませんので、法定休日の日曜に10時間労働した場合は、その10時間は休日労働の割増率だけで計算します。(深夜業に該当する場合は深夜割増を加算します。)

(労基法第37条、平11.3.31基発168号)


 

②<H30年出題> ×

 ★月曜の午前0時から3時までは休日ではありません。

 法定休日は原則として暦日単位となり、問題文の場合は、日曜の午前0時から午後12時までの24時間が「休日」です。

 日曜の午後8時から月曜の午前3時まで勤務した場合、休日割増賃金対象の労働は、日曜の午後8時から午後12時までです。

(平6.5.31基発331号)

 

③<H30年出題> 〇

 問題文の場合、月曜の始業から火曜の午前3時までを1日の労働として扱うことになります。

 通達(昭63.1.1基発1号)では、「継続勤務が二暦日にわたる場合はたとえ暦日を異にする場合でも1勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「1日」の労働とする、とされています。

(昭63.1.1基発1号)

 

<H30年出題> ×

★土曜の時間外労働は土曜の午後12時まで 

 ②の問題と同じで、日曜の午前0時からは法定休日です。

 問題文の場合、日曜の午前0時から3時までは休日労働で計算します。

(平6.5.31基発331号)

 

<H30年出題> ×

★時間外労働は「1日単位」でも見なければならない

 時間外労働となるのは、1日8時間を超えた部分ですので、まずは木曜2時間、そして金曜2時間です。

 金曜日の時点で、法定労働時間内の労働が34時間、時間外労働が4時間です。

 土曜日に10時間労働していますが、そのうち6時間までは週の法定労働時間以内の労働で、残りの4時間が時間外労働となります。

(労働基準法第32条)

 
 6
残業(法定時間内)    22 
時間外労働    224

 

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労働基準法第1条(労働条件の原則)

R3-182

R3.2.21 第1条チェック~労働基準法編

今日から、各法律の第1条をチェックしていきます。

各法律の第1条を読むと、その法律の目的(目指すところ)や理念が見えてきます。

 

まずは、労働基準法です。

 

選択式からどうぞ!

<H19年選択

 労働基準法第1条第1項においては、「労働条件は、労働者< A >ための必要を充たすべきものでなければならない。」と規定されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

A が人たるに値する生活を営む

 「人たるに値する生活」とは、憲法第25条第1項の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」からきているものです。労働基準法で定める労働条件は「健康で文化的」な生活を送るための最低限の基準。そんな考えを意識しながら、労働基準法を読んでみてください。

 

 

では、過去問をどうぞ

①<H25年出題 

 労働基準法は労働条件の最低基準を定めたものであり、この最低基準が標準とならないように、同法は、この最低基準を理由として労働条件を低下させることを禁止し、その向上を図るように努めることを労働関係の当事者に義務づけている。

 

②<H28年出題 

 労働基準法第1条は、労働保護法たる労働基準法の基本理念を宣明したものであって、本法各条の解釈にあたり基本観念として常に考慮されなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①<H25年出題  〇

 労働基準法の定める労働条件は最低基準です。この最低基準を標準とするのではなく、労働関係の当事者は、さらに「向上」を図るように努めましょう、という感じで読んでみてください。

 

②<H28年出題> 〇 

 労働基準法が制定されたのは昭和22年ですが、その際の通達(昭和22年9月13日発基第17号)では、第1条について次のように記されています。

 「本条は労働者に人格として価値ある生活を営む必要を充すべき労働条件を保障することを宣明したものであって本法各条の解釈にあたり基本観念として常に考慮されなければならない。」

 労働基準法の各条文の基本観念です。

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解説動画です!

(労基法)労働者について

R3-179

R3.2.18 労働者性の判断(最高裁判例より)

今日は労働基準法です!

 

令和2年度の問題をどうぞ!

<問2-選択>

 最高裁判所は、自己の所有するトラックを持ち込んで特定の会社の製品の運送業務に従事していた運転手が、労働基準法の労働者に当たるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。

 「上告人は、業務用機材であるトラックを所有し、自己の危険と計算の下に運送業務に従事していたものである上、F紙業は、運送という業務の性質上当然に必要とされる運送物品、運送先及び納入時刻の指示をしていた以外には、上告人の業務の遂行に関し、特段の指揮監督を行っていたとはいえず、< A >の程度も、一般の従業員と比較してはるかに緩やかであり、上告人がF紙業の指揮監督の下で労務を提供していたと評価するには足りないものといわざるを得ない。そして、< B >等についてみても、上告人が労働基準法上の労働者に該当すると解するのを相当とする事情はない。そうであれば、上告人は、専属的にF紙業の製品の運送業務に携わっており、同社の運送係の指示を拒否する自由はなかったこと、毎日の始業時刻及び終業時刻は、右運送係の指示内容のいかんによって事実上決定されることになること、右運賃表に定められた運賃は、トラック協会が定める運賃表による運送料よりも1割5分低い額とされていたことなど原審が適法に確定したその余の事実関係を考慮しても、上告人は、労働基準法上の労働者ということはできず、労働者災害補償保険法上の労働者にも該当しないものというべきである。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

A 時間的、場所的な拘束

B 報酬の支払方法、公租公課の負担

 

★ 「横浜南労基署長事件(平成8年11月28日最高裁)」からの出題です。判決では、労働者性は認められていません。

<キーワード>

時間的、場所的な拘束の程度も、一般の従業員と比較してはるかに緩やか

報酬の支払方法、公租公課の負担等についてみても、 上告人が労働基準法上の労働者に該当すると解するのを相当とする事情はない

 → 「 報酬は、運賃表により出来高が支払われていた」

   「所得税の源泉徴収並びに社会保険及び雇用保険の保険料の控除はされておらず、上告人は、報酬を事業所得として確定申告をした」

 

<参考>

『昭和60年厚生労働省「労働基準法研究会報告 (労働基準法の「労働者」の判断基準について)』によると、

 「実質的な使用従属性」を労務提供の形態や報酬の労務対償性及びこれらに関連する諸要素をも勘案して総合的に判断する必要がある。

 

1  使用従属性に関する判断基準

 (1)指揮監督下の労働に関する判断基準

   イ 仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無

   ロ 業務遂行上の指揮監督の有無

   ハ 拘束性の有無

   ニ 代替性の有無

 (2)報酬の労務対償性に関する判断基準

2  労働者性の判断を補強する要素

 (1)事業者性の有無

   イ 機械、器具の負担関係

   ロ 報酬の額

   ハ その他

 (2)専属性の程度

 (3)その他

 

 

こちらの問題もどうぞ!

<R1年出題>

 いわゆる芸能タレントは、「当人の提供する歌唱、演技等が基本的に他人によって代替できず、芸術性、人気等当人の個性が重要な要素となっている」「当人に対する報酬は、稼働時間に応じて定められるものではない」「リハーサル、出演時間等スケジュールの関係から時間が制約されることはあっても、プロダクション等との関係では時間的に拘束されることはない」「契約形態が雇用契約ではない」のいずれにも該当する場合には、労働基準法第9条の労働者には該当しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 〇

芸能タレントの「労働者性」についての行政通達です。

 人気の程度、就業の実態、収入の形態等からみて判断されます。

(昭63.7.30 基収355号)

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解説動画です!

(労基法)請負関係と労働関係

R3-170

R3.2.9 「請負契約」と「労働契約」の違い

今日は労基法です!

 

令和2年度の問題をどうぞ!

<問1-D>

 下請負人が、その雇用する労働者の労働力を自ら直接利用するとともに、当該業務を自己の業務として相手方(注文主)から独立して処理するものである限り、注文主と請負関係にあると認められるから、自然人である下請負人が、たとえ作業に従事することがあっても、労働基準法第9条の労働者ではなく、同法第10条にいう事業主である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 〇

 それぞれの関係を整理すると、下請負人と注文主は「請負関係」、下請負人とその雇用する労働者とは「雇用関係」にあります。

 「請負」とは、 ① 請負事業主が、自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用すること、② 請負事業主が、業務を自己の業務として契約の相手方から独立して処理することの2つの要件を満たすことが必要です。

 問題文はどちらも満たしているので、労働者ではなく事業主となります。

 

(参考:「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」 (昭和61年労働省告示第37号))   

 

 

こちらの問題もどうぞ!

①<H27年出題>

 形式上は請負契約のようなかたちをとっていても、その実体において使用従属関係が認められるときは、当該関係は労働関係であり、当該請負人は労働基準法第9条の「労働者」に当たる。

 

 

②<H29年出題>

 工場が建物修理の為に大工を雇う場合、そのような工事は一般に請負契約によることが多く、また当該工事における労働は工場の事業本来の目的の為のものでもないから、当該大工が労働基準法第9条の労働者に該当することはなく、労働基準法が適用されることはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

①<H27年出題> 〇

 労働契約の場合は、『使用者の指揮命令に従って労務を提供する→賃金が支払われる』という関係ですが、請負契約の場合は、『注文主から受けた仕事を完成させる→報酬が支払われる』という関係です。請負契約の場合は、注文主から指揮命令を受けないのがポイントです。

 ですので、「その実体において使用従属関係が認められるとき」は、当該関係は労働関係であり、当該請負人は労働基準法第9条の「労働者」に当たります。

 

②<H29年出題> ×

 工場と大工が、請負契約ではなく雇用契約を結ぶことにより使用従属関係になることもあります。その場合は、大工は労働基準法第9条の労働者に該当します。

(昭23.12.25基収4281号)

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(労基法)金品の返還

R3-169

R3.2.8 労働者が退職した場合の金品の返還 

今日は労基法です!

 

令和2年度の問題をどうぞ!

<問5-オ> 

 使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還しなければならないが、この賃金又は金品に関して争いがある場合においては、使用者は、異議のない部分を、7日以内に支払い、又は返還しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 〇

 労基法第23条は、労働者の退職の際に、労働者の金品を迅速に返還すべきことを規定した条文です。足止め策に利用することなどを防止するためです。 

 例えば、退職した労働者から賃金支払いの請求があった場合は、所定の賃金支払い日前でも、請求日から7日以内に支払わなければなりません。

 ちなみに、「権利者」とは、退職の場合は労働者本人、死亡の場合は相続人です。

 また、賃金又は金品に関して争いがある(賃金の額などについて労使で争いがある)場合は、異議のない部分を7日以内に支払うこととなっています。

(昭22.9.13基発17号)

 

こちらの問題もどうぞ!

①<H30年出題>

 労働基準法第20条第1項に定める解雇予告手当は、同法第23条に定める、労働者の退職の際、その請求に応じて7日以内に支払うべき労働者の権利に属する金品にはあたらない。

 

②<H12年出題>

 使用者は、労働者が退職する場合において、労働者から請求があった場合においては、争いがある部分を除き、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称のいかんを問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。このことは、退職手当についても同様である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

①<H30年出題> 〇

 解雇予告手当は、「解雇の申し渡しと同時に支払うべきもの」とされています。

(昭23.3.17基発464号)

 

②<H12年出題> ×

 退職手当は、通常の賃金とは扱いが異なり、「予め就業規則等で定められた支払時期」に支払えばよいとされています。

(昭26.12.27基収5483号)

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解説動画です!

(労基法)就業規則の記載事項

R3-168

R3.2.7 就業規則の絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項 

今日は労基法です!

 

令和2年度の問題をどうぞ!

<問7-A> 

 慣習等により、労働条件の決定変更につき労働組合との協議を必要とする場合は、その旨を必ず就業規則に記載しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 ×

 就業規則へ記載するか否か、当事者の自由です。

(昭23.10.30基発1575号)

 就業規則には、必ず記載しなければならない事項『絶対的必要記載事項』と、当該事業場で定めをする場合に記載しなければならない事項 『相対的必要記載事項』があり、以下のように定められています。

<絶対的必要記載事項>

① 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

② 賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

③ 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

<相対的必要記載事項>

① 退職手当に関する事項

② 臨時の賃金等(退職手当を除く)及び最低賃金額に関する事項

③ 食費、作業用品などの負担に関する事項

④ 安全衛生に関する事項

⑤ 職業訓練に関する事項

⑥ 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項

⑦ 表彰及び制裁に関する事項

⑧ その他、当該事業場の労働者すべてに適用される定めに関する事項

 問題文の「労働条件の決定変更につき労働組合との協議を必要とする」という事項は、絶対的必要記載事項でも相対的必要記載事項でも当てはまらないので、就業規則の記載は任意となります。

 

こちらの問題もどうぞ!

①<H25年出題>

 労働基準法第89条の規定により、常時10人以上の労働者を使用するに至った使用者は、同条に規定する事項について就業規則を作成し、所轄労働基準監督署長に届け出なければならないが、従来の慣習が当該事業場の労働者のすべてに適用されるものである場合、当該事項については就業規則に規定しなければならない。

 

②<H14年出題>

 休職に関する事項は、使用者がこれに関する定めをする場合には、労働基準法第15条第1項及び同法施行規則第5条第1項の規定により、労働契約の締結に際し労働者に対して明示しなければならない労働条件とされており、また、それが当該事業場の労働者すべてに適用される定めであれば、同法第89条に規定する就業規則の必要記載事項でもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

①<H25年出題> 〇

 「従来の慣習」を就業規則に規定しなければならないか?がテーマです。

 問題文の、従来の慣習が「当該事業場の労働者のすべてに適用される」の部分がポイントです。

 相対的必要記載事項の最後の「そのほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項」に該当するので、就業規則に規定しなければなりません。

(昭23.10.30基発1575号)

 

②<H14年出題> 〇

 「休職に関する事項」について

労働契約の際 → 「休職」については、労基法施行規則第5条で「定めをする場合は明示しなければならない」事項に掲げられているので、休職に関する事項の定めがあるる場合は明示しなければなりません。

就業規則 → 「休職」に関する事項が、「当該事業場の労働者すべてに適用される定め」であれば、就業規則の相対的必要記載事項として記載しなければなりません。

(労基法第15条第1項、第89条、同法施行規則第5条第1項)

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解説動画です!

(労基法)労働時間の定義

R3-167

R3.2.6 「労働時間」とはどんな時間のこと? 

今日は労基法です!

 

令和2年度の問題をどうぞ!

<問6-A> 

 運転手が2名乗り込んで、1名が往路を全部運転し、もう1名が復路を全部運転することとする場合に、運転しない者が助手席で休息し又は仮眠している時間は労働時間に当たる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 〇

運転しない者が助手席で休息し又は仮眠している時間でも、万一の場合は運転を交替したり、故障個所を修理することもあり得ます。労働から解放されていないので、労働時間に当たります。

(昭33.10.11基発6286号)

 

こちらの問題もどうぞ!

①<H26年出題>

 労働基準法第32条にいう「労働」とは、一般的に、使用者の指揮監督のもとにあることをいい、必ずしも現実に精神又は肉体を活動させていることを要件とはしない。したがって、例えば、運転手が2名乗り込んで交替で運転に当たる場合において運転しない者が助手席で休息し、又は仮眠をとっているときであってもそれは「労働」であり、その状態にある時間は労働基準法上の労働時間である。

 

 

②<H21年出題>

 労働者を就業規則に定める休憩時間に来客当番として事務所に待機させたが、その時間に実際に来客がなかった場合には、休憩時間以外の労働時間が法定労働時間どおりであれば、使用者は、労働基準法第37条第1項の規定による割増賃金を支払う義務はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

①<H26年出題> 〇

 令和2年の問題と同じです。 

 「労働」の概念をつかみましょう。『一般的に、使用者の指揮監督のもとにあることをいい、必ずしも現実に精神又は肉体を活動させていることを要件とはしない。」の部分がポイントです。 

 

②<H21年出題> ×

 来客当番として事務所に待機させた時間は、労働時間となります。問題文の場合は来客当番の時間を入れると法定労働時間を超えるので、割増賃金を支払う義務があります。

(昭23.4.7基収1196号)

社労士受験のあれこれ