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過去問から学ぶ 労働基準法

R6-320 7.12

賃金の重要問題5問【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

「賃金」の重要ポイントを過去問でみていきましょう。

 

過去問をどうぞ!

①【H23年出題】

 労働安全衛生法第66条による健康診断の結果、私傷病を理由として医師の証明に基づき、当該証明の範囲内において使用者が休業を命じた場合には、当該休業を命じた日については労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するので、当該休業期間中同条の休業手当を支払わなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H23年出題】 ×

 健康診断の結果に基づいて、医師の証明の範囲内で、使用者が休業を命じた場合には、使用者は労務の提供のなかった限度で賃金を支払わなくても差し支えないとされています。

 問題文の休業を命じた日については「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当しません。

(昭63.3.14基発150号)

 

 

②【H23年出題】

 労働者が業務命令によって指定された時間、指定された出張・外勤業務に従事せず内勤業務に従事した場合には労働者は債務の本旨に従った労務の提供をしたものであり、使用者が業務命令を事前に発して、その指定した時間については出張・外勤以外の労務の受領をあらかじめ拒絶していたとしても、当該労働者が提供した内勤業務についての労務を受領したものといえ、使用者は当該労働者に対し当該内勤業務に従事した時間に対応する賃金の支払義務を負うとするのが最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

【解答】

②【H23年出題】 ×

・労働者が、業務命令によって指定された時間、その指定された出張・外勤業務に従事せず内勤業務に従事したこと

債務の本旨に従った労務の提供をしたものとはいえない

 

・使用者が、業務命令を事前に発したということは

その指定した時間については出張・外勤以外の労務の受領をあらかじめ拒絶したものと解すべき

 

・労働者が提供した内勤業務については

労務を受領したものとはいえない

 

・使用者は、労働者に対し内勤業務に従事した時間に対する賃金の支払義務は負わない

(昭和6037日最高裁判所第1小法廷)

 

 

③【H23年出題】

 労働協約において稼働率80%以下の労働者を賃上げ対象から除外する旨の規定を定めた場合に、当該稼働率の算定に当たり労働災害による休業を不就労期間とすることは、経済的合理性を有しており、有効であるとするのが最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H23年出題】 ×

 80%条項は、労働基準法又は労働組合法上の権利に基づくもの以外の不就労を基礎として稼働率を算定する限りにおいては、有効です。

 しかし、労働基準法又は労働組合法上の権利に基づく不就労を稼働率算定の基礎としている点は、公序に反し無効とされています。

 労働基準法又は労働組合法上の権利を行使したことにより経済的利益を得られないこととすることによって権利の行使を抑制し、労働者に各権利を保障した趣旨を実質的に失わせることになるからです。

(平成元年1214日最高裁判所第一小法廷)

 

 

④【H23年出題】

 労働者が5分遅刻した場合に、30分遅刻したものとして賃金カットをするという処理は、労務の提供のなかった限度を超えるカット(25分についてのカット)について労働基準法第24条の賃金の全額払の原則に反し違法であるが、このような取扱いを就業規則に定める減給の制裁として同法第91条の制限内で行う場合には、同法第24条の賃金の全額払の原則に反しない。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H23年出題】 〇

5分の遅刻で、30分遅刻したものとして賃金カットをすることは、全額払違反となります。

 ただし、第91条の減給制裁の制限内で行う場合は全額払い違反にはなりません。

(第91条 昭63.3.14基発150号)

 

 

⑤【H23年出題】

 労働基準法第37条に定める割増賃金の基礎となる賃金(算定基礎賃金)はいわゆる通常の賃金であり、家族手当は算定基礎賃金に含めないことが原則であるから、家族数に関係なく一律に支給されている手当は、算定基礎賃金に含める必要はない。

 

 

 

 

【解答】

⑤【H23年出題】 ×

 家族手当は、割増賃金の基礎となる賃金に含めないことが原則です。

 ただし、家族数に関係なく一律に支給されている手当は、家族手当とはみなされず、割増賃金の基礎となる賃金に含めなければなりません。

(第37条 昭22.11.5基発231号)

 

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https://youtu.be/cIV8irUmXsQ?si=G9zGouSlNfrW1Pm6

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-319 7.11

おさえておきたい解雇のルール5問【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

「解雇」のルールを過去問でチェックしていきます。

 

過去問をどうぞ!

①【H24年出題】

 使用者が、ある労働者を整理解雇しようと考え、労働基準法第20条の規定に従って、6月1日に、30日前の予告を行った。その後、大口の継続的な仕事が取れ人員削減の必要がなくなったため、同月20日に、当該労働者に対して、「解雇を取り消すので、わが社に引き続きいてほしい。」と申し出たが、当該労働者は同意せず、それに応じなかった。この場合、使用者が解雇を取り消しているので、当該予告期間を経過した日に、当該労働者は、解雇されたのではなく、任意退職をしたこととなる。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H24年出題】 ×

 使用者が行った解雇予告の意思表示は、一般的には取り消すことができませんが、労働者が自由な判断で同意した場合は、取り消すことができるとされています。ただし、解雇予告の意思表示の取消しに対して労働者の同意がない場合は、取り消すことはできません。

 問題文は、労働者は、解雇の取り消しの申出に同意せず、それに応じなかったため、予告どおりに解雇となります。任意退職にはなりません。

(昭33.2.13基発90号)

 

 

②【H24年出題】

 労働者によるある行為が労働基準法第20条第1項ただし書の「労働者の責に帰すべき事由」に該当する場合において、使用者が即時解雇の意思表示をし、当日同条第3項の規定に基づいて所轄労働基準監督署長に解雇予告除外認定の申請をして翌日その認定を受けたときは、その即時解雇の効力は、当該認定のあった日に発生すると解されている。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H24年出題】 ×

 即時解雇の効力が発生する日は、「即時解雇の意思表示をした日」or「解雇予告除外認定のあった日」どちらの日でしょうか?

 解雇予告除外認定は、解雇の意思表示をする前に受けるのが原則です。

 解雇予告除外認定は、除外事由に該当する事実があるか否かを確認する処分です。

 認定されるべき事実がある場合は、使用者は有効に即時解雇することができます。

 そのため、即時解雇の意思表示をした後に、解雇予告除外認定を受けた場合は、解雇の効力は、「使用者が即時解雇の意思表示をした日」に発生します。

(昭63.3.14基発150号)

 

 

③【H24年出題】

 使用者は、ある労働者を831日の終了をもって解雇するため、同月15日に解雇の予告をする場合には、平均賃金の14日分以上の解雇予告手当を支払わなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H24年出題】 〇

解雇予告について確認しましょう。

30日前に予告する

 例えば、8月31日に解雇する場合は、遅くとも81日には解雇予告をしなければなりません。

解雇の予告をした日は、予告期間に算入されないことがポイントです。

 

★即時解雇の場合は、解雇予告手当を支払う

 即時解雇をする場合は、30日分以上の平均賃金(=解雇予告手当)を支払わなければなりません。

 

★予告期間と予告手当を組み合わせて30日にする

 8月31日をもって解雇するため、同月15日に解雇の予告をした場合、予告期間は16日です。(解雇の予告をした日は算入しません。)そのため、解雇予告手当は、平均賃金の14日分以上が必要です。

(第20条第1項)

 

 

④【H24年出題】

 使用者が労働者を解雇しようとする日の30日前に解雇の予告をしたところ、当該労働者が、予告の日から5日目に業務上の負傷をし療養のため2日間休業した。当該業務上の負傷による休業期間は当該解雇の予告期間の中に納まっているので、当該負傷については労働基準法第19条の適用はなく、当該解雇の効力は、当初の予告どおりの日に発生する。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H24年出題】 ×

 解雇の予告期間中に、業務上の負傷をし療養のため休業した場合、たとえ休業期間が1日~2日の軽度のものでも労働基準法第19条が適用されますので、その後30日間は解雇できません。解雇の効力は、当初の予告どおりの日には発生しません。

(昭26.6.25基収2609号)

 

 

⑤【H24年出題】

 労働基準法第89条では、就業規則のいわゆる絶対的必要記載事項として「退職に関する事項(解雇の事由を含む。)」が規定されているが、ここでいう「退職に関する事項」とは、任意退職、解雇、定年制、契約期間の満了による退職等、労働者がその身分を失うすべての場合に関する事項をいう。

 

 

 

 

【解答】

⑤【H24年出題】 〇

 解雇も「退職」のひとつで、「退職」には、任意退職、解雇、定年制、契約期間の満了による退職等があります。

(第89条第3項)

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-306 6.28

<選択式>最高裁判所の判例からの問題【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

さっそく過去問をどうぞ!

①【H21年選択式】

 賃金の過払が生じたときに、使用者がこれを精算ないし調整するため、後に支払われるべき賃金から過払分を控除することについて、「適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺は、[・・・(略)・・・]その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の< A >との関係上不当と認められないものであれば、同項[労働基準法第24条第1項]の禁止するところではないと解するのが相当である」とするのが、最高裁判所の判例である。

<選択肢>

① 経済生活の安定   ② 生活保障   ③ 最低賃金の保障   

④ 不利益の補償

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H21年選択式】

A ① 経済生活の安定

★過払調整について

 適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺は、労働基準法第24条第1項但書によって除外される場合にあたらなくても、その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の経済生活の安定との関係上不当と認められないものであれば、同項の禁止するところではないと解するのが相当である。

 この見地からすれば、許さるべき相殺は、過払のあった時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてされ、また、あらかじめ労働者にそのことが予告されるとか、その額が多額にわたらないとか、要は労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのない場合でなければならないものと解せられる。

(昭44.12.18最高裁判所第一小法廷)

 

 

②【H21年選択式】

 休業手当について定めた労働基準法第26条につき、最高裁判所の判例は、当該制度は「労働者の< B >という観点から設けられたもの」であり、同条の「『使用者の責に帰すべき事由』の解釈適用に当たっては、いかなる事由による休業の場合に労働者の< B >のために使用者に前記[同法第26条に定める平均賃金の100分の60]の限度で負担を要求するのが社会的に正当とされるかという考量を必要とするといわなければならない。」としている。

<選択肢>

① 経済生活の安定   ② 生活保障   ③ 最低賃金の保障   

④ 不利益の補償

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H21年選択式】

B ② 生活保障

★休業手当と民法536条第2項との関係について

 「使用者の責に帰すべき事由」とは、取引における一般原則たる過失責任主義とは異なる観点をも踏まえた概念というべきであって、民法536条第2項の「債権者の責に帰すべき事由」よりも広く使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解するのが相当である。

(昭62.7.17最高裁判所第二小法廷)

 

 

③【H26年選択式】

 最高裁判所は、労働基準法39条に定める年次有給休暇権の成立要件に係る「全労働日」(同条第1項、2項)について、次のように判示した。

「法391項及び2項における前年度の全労働日に係る出勤率が8割以上であることという年次有給休暇権の成立要件は,法の制定時の状況等を踏まえ,労働者の責めに帰すべき事由による欠勤率が特に高い者をその対象から除外する趣旨で定められたものと解される。このような同条1項及び2項の規定の趣旨に照らすと,前年度の総暦日の中で,就業規則や労働協約等に定められた休日以外の不就労日のうち,労働者の責めに帰すべき事由によるとはいえないものは,不可抗力や使用者側に起因する経営,管理上の障害による休業日等のように当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく全労働日から除かれるべきものは別として,上記出勤率の算定に当たっては,出勤日数に算入すべきものとして全労働日に< C >と解するのが相当である。

無効な解雇の場合のように労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日は,労働者の責めに帰すべき事由によるとはいえない不就労日であり,このような日は使用者の責めに帰すべき事由による不就労日であっても当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく全労働日から除かれるべきものとはいえないから,法391項及び2項における出勤率の算定に当たっては,出勤日数に算入すべきものとして全労働日に< C >というべきである。」

<選択肢>

① 影響を与えない   ② 影響を与えるもの   ③ 含まれない

④ 含まれるもの

 

 

 

 

 

【解答】

③【H26年選択式】

C ④ 含まれるもの

労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日について

無効な解雇の場合のように労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日は,出勤率の算定に当たっては,出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれる

(平25.6.6最高裁判所第一小法廷)

 

 

④【H22年選択式】

 賞与の対象期間の出勤率が90%以上であることを賞与の支給要件とする就業規則の規定における出勤率の算定に当たり、労働基準法第65条の定める産前産後休業等を出勤日数に含めない取扱いについて、「労働基準法65条〔等〕の趣旨に照らすと、これにより上記権利〔産前産後休業の取得の権利〕等の行使を抑制し、ひいては労働基準法等が上記権利等を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められる場合に限り、  < D >として無効となる」とするのが最高裁判所の判例である。

<選択肢>

① 権利の濫用   ② 公序に反するもの   ③ 信義に反するもの

④ 不法行為

 

 

 

 

【解答】

D ② 公序に反するもの

★出勤率が90%以上であることを賞与の支給要件とする場合の出勤率の算定で、産前産後休業等を出勤日数に含めない取扱いについて

・ 従業員の年間総収入額に占める賞与の比重が高いため,90%条項で賞与が支給されない者の受ける経済的不利益が大きい

・従業員が産前産後休業等を取得した場合には,それだけで90%条項に該当して賞与の支給を受けられなくなる可能性が高い

・産前産後休業の取得の権利を保障した趣旨を実質的に失わせるというべきであるから、公序に反し無効である。

(平15.12.4最高裁判所第一小法廷)

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-296  6.18

<選択式>監督又は管理の地位にある者の範囲【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

選択式の過去問をみていきます。

 

H24年選択式】

 労働基準法第41条第2号に定める「監督若しくは管理の地位にある者」(以下「管理監督者」という。)とは、一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について< A >の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきものである。具体的な判断にあたっては、下記の考え方による。

(1) 原則 

 労働基準法に規定する労働時間、休憩、休日等の労働条件は、最低基準を定めたものであるから、この規制の枠を超えて労働させる場合には、法所定の割増賃金を支払うべきことは、すべての労働者に共通する基本原則であり、企業が人事管理上あるいは営業政策上の必要等から任命する職制上の役付者であればすべてが管理監督者として例外的取扱いが認められるものではないこと。 

(2) 適用除外の趣旨

  〔略〕

(3) 実態に基づく判断 

  〔略〕

(4) 待遇に対する留意 

 管理監督者であるかの判定に当たっては、上記〔(1)から(3)〕のほか、賃金等の待遇面についても無視し得ないものであること。この場合、定期給与である基本給、役付手当等において、< B >待遇がなされているか否か、ボーナス等の一時金の支給率、その算定基礎賃金等についても役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているか否か等について留意する必要があること。なお、一般労働者に比べ優遇措置が講じられているからといって、実態のない役付者が管理監督者に含まれるものではないこと。

5) スタッフ職の取扱い

  【略】

 

【選択肢】

① 課長相当職以上の  ②経営者と一体的な立場にある者   

③ 事業主のために行為をするすべての者   

④ 使用者の利益を代表するすべての者

⑤ その地位にふさわしい  ⑥ 取締役に近い

⑦ 部下の割増賃金を上回る  ⑧ 複数の部下を持ち指揮命令を行っている者

 

 

 

 

 

【解答】

A ② 経営者と一体的な立場にある者

B ⑤ その地位にふさわしい

 

ポイント!

適用除外の趣旨を確認しましょう。

 「職制上の役付者のうち、労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にある者に限って管理監督者として法第41条による適用の除外が認められる趣旨であること。従って、その範囲はその限りに、限定しなければならないものであること。」とされています。

 

 

★「『監督若しくは管理の地位にある者』とは、一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきもの」とされています。

 

★「定期給与である基本給、役付手当等において、その地位にふさわしい待遇がなされているか否か、ボーナス等の一時金の支給率、その算定基礎賃金等についても役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているか否か等について留意する必要がある」とされています。

(昭63.3.14基発150号)

 

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https://youtu.be/UL1mGROMnms?si=Hg9hjdApmK-sC7FH

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-282  6.4

解雇の基本5問【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

 「解雇」の基本をみていきます。

 なお、「解雇」とは、使用者が一方的に労働契約を終了させることです。

 

 「労働契約法」では、「客観的に合理的な理由」がなく、社会通念上「相当と認められない」場合は、労働者を解雇することはできないことが定められています。

 「労働基準法」では、解雇する際のルールとして、「解雇予告」、「解雇制限」が定められています。

 

過去問を解きながら基本を確認しましょう。

 

まず、第20条の条文を読んでみましょう。

20条 (解雇の予告)

① 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

② 予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。

③ 第1項但書の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

 

労働者を解雇する場合は、少くとも30日前に予告をしなければなりません。

30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。

また、予告期間は、1日について平均賃金を支払った場合は、日数を短縮できます。例えば、10日分の平均賃金を支払った場合は、20日前に予告することになります。

また、次の場合は、解雇予告は要りません。

天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合

労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合

ただし、もその事由について行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定を受ける必要があります。

 

 

過去問をどうぞ!

①【H23年出題】

 労働基準法第20条は、雇用契約の解約予告期間を2週間と定める民法第627条第1項の特別法に当たる規定であり、労働者が一方的に労働契約を解約する場合にも、原則として30日前に予告することを求めている。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H23年出題】 ×

 労働者の一方的な労働契約の解約(任意退職)には、労働基準法第20条の規定は適用されません。

 

 

②【H23年出題】

 客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇をした使用者は、労働基準法に基づき、罰則に処せられる。

 

 

 

 

【解答】

②【H23年出題】 ×

 「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇」をしたとしても、労働基準法の罰則の対象にはなりません。

 なお、解雇の民事的効力については、労働基準法ではなく、「労働契約法」に定められています。

労働契約法16条 (解雇)

 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする

 有効・無効の判断は、労働基準監督署ではなく、裁判所が行います。

 

 

③【H23年出題】

 労働基準法第20条所定の予告期間及び予告手当は、3か月の期間を定めて試みの使用をされている者には適用されることはない。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H23年出題】 ×

 予告期間及び予告手当は、3か月の期間を定めて試みの使用をされている者に、適用されることがあります。

 

 条文を読んでみましょう。

21条 

 労働基準法第20条所定の予告期間及び予告手当の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、(1)に該当する者が1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合、(2)若しくは(3)に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合又は(4)に該当する者が14日を超えて引き続き使用されるに至った場合においては、この限りでない。

1 日日雇い入れられる者

2 2か月以内の期間を定めて使用される者

3 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者

4 試の使用期間中の者 

 

 試みの使用期間中でも、14日を超えて引き続き使用されるに至った場合は、予告期間、予告手当が適用されます。

 

 

 

④【H23年出題】

 労働基準法第20条所定の予告期間及び予告手当は、6か月の期間を定めて使用される者が、期間の途中で解雇される場合には適用されることはない。

 

 

 

 

【解答】

④【H23年出題】 × 

 第20条所定の予告期間及び予告手当は、6か月の期間を定めて使用される者にも適用されます。期間の途中で解雇する場合には、解雇の予告が必要です。

(第21条)

 

 

 

⑤【H23年出題】

 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においても、使用者は、労働基準法第20条所定の予告手当を支払うことなく、労働者を即時に解雇しようとする場合には、行政官庁の認定を受けなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【H23年出題】 〇

 「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能」となった場合は、予告手当を支払うことなく、即時に解雇することができますが、その事由について行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定が必要です。

(第20条)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/voyQFVUT3bc?si=wzLKufe3dYzHxk5Y

社労士受験のあれこれ

休憩時間のすべてお話します

R6-281  6.3

休憩とは?条文読んでみましょう、過去問も!

・休憩時間とはどんな時間のことでしょう?

・労働時間がちょうど6時間の場合の休憩時間は?

・休憩付与の3つの原則は「途中付与」、「一斉付与」、「自由利用」です

 ・条文(第34条)を読んでみましょう

・過去問も解いてみましょう

 

YouTubeで解説しています。

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/Vt03ODyU9AY?si=LstSwVBEHWGcq_9G

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-269 5.22

絶対的必要記載事項の具体的な内容【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

 就業規則には、「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」があります。

 「絶対的必要記載事項」は、就業規則に必ず記載しなければならない事項です。

 今回は、絶対的必要記載事項の内容をみていきます。

 

まず、「絶対的必要記載事項」を確認しましょう。

絶対的必要記載事項は次の3つです。

1始業及び終業の時刻、休憩時間、休日休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

2賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

3退職に関する事項(解雇の事由を含む)

(第89条第1号~3号)

 

 

では、具体的な内容をみていきましょう。

過去問をどうぞ!

①【H25年出題】

 臨時の賃金等を除く賃金の決定、計算及び支払いの方法に関する事項は、労働基準法第89条において、就業規則のいわゆる絶対的必要記載事項となっている。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】 〇

 臨時の賃金等を除く賃金の決定、計算及び支払いの方法に関する事項は、絶対的必要記載事項です。

 ちなみに、「臨時の賃金等」は、相対的必要記載事項です。

(第89条第1号)

 

 

②【H26年出題】

 労働基準法第32条の3に定めるフレックスタイム制の対象となる労働者については、就業規則において始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねる旨の定めをし、また、フレックスタイム制においてコアタイムやフレキシブルタイムを設ける場合には、これらに関する事項を就業規則で定めておけば、労働基準法第89条第1号に定める「始業及び終業の時刻」の就業規則への記載義務を果たしたものとされる。

 

 

 

 

【解答】

②【H26年出題】 〇

 フレックスタイム制を採用する場合は、就業規則で、「始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねる旨の定め」をすれば、「始業及び終業の時刻」の就業規則への記載義務の要件を満たします。

 また、コアタイムやフレキシブルタイムを設ける場合には、これらに関する事項も「始業及び終業の時刻」に関する事項ですので、就業規則に記載しなければなりません。

H11.3.31基発168号)

 

 

③【H28年出題】

 労働基準法第41条第3号に定める「監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの」については、労働基準法の労働時間、休憩及び休日に関する規定が適用されないから、就業規則に始業及び終業の時刻を定める必要はない。

 

 

 

 

【解答】

③【H28年出題】 ×

 「監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの」にも第89条は適用されます。そのため、就業規則には、始業及び終業の時刻を定めなければなりません。

(S23.12.25基収4281号)

 

 

④【R1年出題】

 同一事業場において、労働者の勤務態様、職種等によって始業及び終業の時刻が異なる場合は、就業規則には、例えば「労働時間は1日8時間とする」と労働時間だけ定めることで差し支えない。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R1年出題】 ×

 労働者の勤務態様、職種等によって始業及び終業の時刻が異なる場合は、就業規則には、「勤務態様、職種等の別ごとに始業及び終業の時刻」を規定しなければなりません。

 「労働時間は1日8時間とする」と労働時間だけ定めるだけでは足りません。

H11.3.31基発168号)

 

 

⑤【H30年出題】

 就業規則の記載事項として、労働基準法第89条第1号にあげられている「休暇」には、育児介護休業法による育児休業も含まれるが、育児休業の対象となる労働者の範囲、育児休業取得に必要な手続、休業期間については、育児介護休業法の定めるところにより育児休業を与える旨の定めがあれば記載義務は満たしている。

 

 

 

 

【解答】

⑤【H30年出題】 〇

 絶対的必要記載事項の「休暇」には、育児介護休業法による育児休業も含まれます。

 育児休業の対象となる労働者の範囲、育児休業取得に必要な手続、休業期間を就業規則に記載する必要があります。

 なお、対象者、申出手続、育児休業期間等は育児介護休業法に具体的に定められていますので、「育児介護休業法の定めるところにより育児休業を与える旨の定め」があれば記載義務は満たしている、とされています。

(H11.3.31基発168号)

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-268 5.21

労働基準法の労働者の具体例7問【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

 

まず労働基準法の「労働者」の定義を条文で読んでみましょう。

9条 (定義)

 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

 

 ①事業に「使用」される者で、②その対償に「賃金」が支払われる者は、労働基準法の労働者となります。

 今回は、労働者に該当するか否かの具体例をみていきます。

 

 

過去問をどうぞ!

①【R4年出題】

 株式会社の代表取締役は、法人である会社に使用される者であり、原則として労働基準法の労働者になるとされている。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R4年出題】 ×

 法人、団体、組合等の代表者又は執行機関たる者の如く、事業主体との関係において使用従属の関係に立たない者は労働者ではありません。

H11.3.31基発168号)

 

 

②【H29年出題】

 株式会社の取締役であっても業務執行権又は代表権を持たない者は、工場長、部長等の職にあって賃金を受ける場合には、その限りにおいて労働基準法第9条に規定する労働者として労働基準法の適用を受ける。

 

 

 

 

【解答】

②【H29年出題】 〇

 株式会社の取締役でも、工場長、部長等職にあって賃金を受ける場合には、その限りにおいて労働者として労働基準法の適用を受けます。

S23.3.17基発461号)

 

 

③【R4年出題】

 明確な契約関係がなくても、事業に「使用」され、その対償として「賃金」が支払われる者であれば、労働基準法の労働者である。

 

 

 

 

【解答】

③【R4年出題】 〇

 事業に「使用」され、その対償として「賃金」が支払われる者であれば、労働基準法の労働者となります。そのような場合は、明確な契約関係がなくても労働基準法が適用されます。

 

 

 

④【H29年出題】

 医科大学付属病院に勤務する研修医が、医師の資質の向上を図ることを目的とする臨床研修のプログラムに従い、臨床研修指導医の指導の下に医療行為等に従事することは、教育的な側面を強く有するものであるため、研修医は労働基準法第9条所定の労働者に当たることはないとするのが、最高裁判所の判例の趣旨である。

 

 

 

 

【解答】

④【H29年出題】 ×

 研修医が、医療行為等に従事することは、「教育的な側面を強く有するもの」ではなく「病院の開設者のための労務の遂行という側面を不可避的に有することとなる」のであり、「病院の開設者の指揮監督の下にこれを行ったと評価できる」限り、研修医は労働基準法第9条所定の「労働者に当たる」ものというべきである、とされています。

H17.6.3最高裁判所第二小法廷)

 

 

⑤【H27年出題】

 形式上は請負契約のようなかたちをとっていても、その実体において使用従属関係が認められるときは、当該関係は労働関係であり、当該請負人は労働基準法第9条の「労働者」に当たる。

 

 

 

 

【解答】

⑤【H27年出題】 〇

 請負契約と労働契約は異なります。

 「請負」とは、「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約すること」です。(民法632条)

 請負は、業務を自己の業務として相手方から独立して処理するものです。(S23.1.9基発14号)

 しかし、請負契約の形式をとっていても、使用従属関係の実体が認められるときは、その関係は労働関係であり、当該請負人は労働基準法の「労働者」に当たります。

 

 

⑥【H29年出題】

 工場が建物修理の為に大工を雇う場合、そのような工事は一般に請負契約によることが多く、また当該工事における労働は工場の事業本来の目的の為のものでもないから、当該大工が労働基準法第9条の労働者に該当することはなく、労働基準法が適用されることはない。

 

 

 

 

 

【解答】

⑥【H29年出題】 ×

 工場が建物修理の為に大工を雇う場合、そのような工事は一般に請負契約によることが多いです。しかし、請負契約によらず雇用契約によってその事業主と大工との間に使用従属関係が認められる場合は、労働者となり、労働基準法の適用を受けます。

 大工が労働者に該当し、労働基準法が適用されることもあります。

H11.3.31基発168号)

 

 

 

⑦【R1年出題】

 いわゆる芸能タレントは、「当人の提供する歌唱、演技等が基本的に他人によって代替できず、芸術性、人気等当人の個性が重要な要素となっている」「当人に対する報酬は、稼働時間に応じて定められるものではない」「リハーサル、出演時間等スケジュールの関係から時間が制約されることはあっても、プロダクション等との関係では時間的に拘束されることはない」「契約形態が雇用契約ではない」のいずれにも該当する場合には、労働基準法第9条の労働者には該当しない。

 

 

 

 

 

【解答】

⑦【R1年出題】 〇

 次の4つの全てに該当する芸能タレントは、労働基準法の労働者にはなりません。

①当人の提供する歌唱、演技等が基本的に他人によって代替できず、芸術性、人気等当人の個性が重要な要素となっている

②当人に対する報酬は、稼働時間に応じて定められるものではない

③リハーサル、出演時間等スケジュールの関係から時間が制約されることはあっても、プロダクション等との関係では時間的に拘束されることはない

④契約形態が雇用契約ではない

S63.7.30基収355号)

 

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https://youtu.be/fJxSFhgkz5E?si=-ymRVnyzsIMh6Y33

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-255 5.8

第91条制裁規定の制限【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

  今日は「制裁規定」をみていきます。

 「制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項」を就業規則に記載しなければなりません。(相対的必要記載事項です)

 制裁の種類は、譴責、減給、出勤停止、懲戒解雇等がありますが、制裁の種類及び程度については、労働基準法上の制限はありません。

 ただし、「減給の制裁」については、労働基準法上の制限が設けられています。

 

 条文を読んでみましょう。

91条 (制裁規定の制限)

 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、 1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

 

減給制裁の制限

1回の事案について

→ 減給の総額が平均賃金の1日分の半額以内でなければなりません

 ※例えば、平均賃金が1万円なら、1回の事案で減給できるのは5千円までです

・一賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額について

→当該賃金支払期における賃金総額の10分の1以内でなければなりません

 ※例えば、当該賃金支払期の賃金総額が25万円なら、減給の総額は25千円以内です。5件の事案が発生した場合は、5千円×5回=25千円まで減給できます。

 ※事案が6件になった場合は、2万5千円を超えた部分は次期賃金支払期に延ばさなければなりません。

(昭23.9.20基収1789号)

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【R3年出題】

 労働基準法第91条にいう「一賃金支払期における賃金の総額」とは、「当該賃金支払期に対し現実に支払われる賃金の総額」をいい、一賃金支払期に支払われるべき賃金の総額が欠勤や遅刻等により少額となったときは、その少額となった賃金総額を基礎として10分の1を計算しなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 〇

 「一賃金支払期における賃金の総額」は、「当該賃金支払期に対し現実に支払われる賃金の総額」をいいます。

欠勤や遅刻等で賃金総額がカットされたときは、カットされた賃金総額を基礎として10分の1を計算します。

(昭25.9.8基収1338号)

 

 

②【R2年出題】

 労働者が、遅刻・早退をした場合、その時間に対する賃金額を減給する際も労働基準法第91条による制限を受ける。

 

 

 

 

【解答】

②【R2年出題】 ×

 遅刻・早退・欠勤で労働の提供がなかった時間分の賃金を差し引くことは、減給制裁に当たりませんので、労働基準法第91条による制限は受けません。

 ※ただし、遅刻早退の時間分の賃金額を超える減給は制裁とみなされ、第91条の制限を受けます。

(昭63.3.14基発150号)

 

 

③【R3年出題】

 就業規則中に懲戒処分を受けた場合は昇給させないという欠格条件を定めることは、労働基準法第91条に違反する。

 

 

 

 

【解答】

③【R3年出題】  ×

 懲戒処分を受けた場合は昇給させないという欠格条件を定めても、減給制裁に当たらないとされています。

(昭26.3.31基収938号)

 

 

④【H28年出題】

 服務規律違反に対する制裁として一定期間出勤を停止する場合、当該出勤停止期間中の賃金を支給しないことは、減給制限に関する労働基準法第91条違反となる。

 

 

 

 

【解答】

④【H28年出題】 ×

 出勤停止期間中の賃金を支給しないことは、出勤停止の当然の結果となり、減給制裁に当たりません。

(昭23.7.3基収2177号)

 

 

⑤【H30年出題】

 労働基準法第91条による減給の制裁に関し平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、制裁事由発生日(行為時)とされている。

 

 

 

【解答】

⑤【H30年出題】 ×

 「制裁事由発生日(行為時)」ではなく、「減給の制裁の意思表示が相手方に到達した日」です。

(昭30.7.19基収5875号)

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-254 5.7

必要記載事項の一部を記載しない就業規則の効力【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

 

 就業規則の作成について条文を読んでみましょう。

89条 (作成及び届出の義務)

 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

1始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

2賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

3退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

4退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

5 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

6 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

7 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

8 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

9 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

10 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

11 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

 

1)から(3は必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」、4)から(11定めをする場合は記載しなければならない「相対的必要記載事項」です。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 退職手当制度を設ける場合には、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法、退職手当の支払いの時期に関する事項について就業規則に規定しておかなければならないが、退職手当について不支給事由又は減額事由を設ける場合に、これらを就業規則に記載しておく必要はない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 × 

 「退職手当」に関する事項は相対的必要記載事項です。退職手当制度を設ける場合には、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法、退職手当の支払いの時期に関する事項を、就業規則に規定しておかなければなりません。

不支給事由又は減額事由は、退職手当の決定、計算の方法に該当しますので、就業規則に記載する必要があります。

H12.3.31基発168号)

 

 

②【H30年出題】

 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則に制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項を必ず記載しなければならず、制裁を定めない場合にはその旨を必ず記載しなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H30年出題】  ×

 「制裁の定め」は相対的必要記載事項です。制裁の定めをする場合は、その種類及び程度に関する事項を必ず記載しなければなりません。制裁を定めをしない場合は、記載義務はありませんので、その旨を記載する義務もありません。

(第89条第9号)

 

 

③【H26年出題】

 労働基準法第89条第1号から第3号までの絶対的必要記載事項の一部、又は、同条第3号の2以下の相対的必要記載事項のうち当該事業場が適用を受けるべき事項を記載していない就業規則は、同条違反の責を免れないものであり、労働基準法第13条に基づき、無効となる。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H26年出題】 ×

 絶対的必要記載事項の一部、又は、相対的必要記載事項のうち当該事業場が適用を受けるべき事項を記載していない就業規則も、その効力発生について他の要件を具備する限り有効とされています。「無効となる」は誤りです。

ただし、第89条違反の責を免れません。

H11.3.31基発168号)

 

 

④【R3年出題】

 労働基準法第89条第1号から第3号までの絶対的必要記載事項の一部を記載しない就業規則も、その効力発生についての他の要件を具備する限り有効であり、使用者は、そのような就業規則を作成し届け出れば同条違反の責任を免れることができるが、行政官庁は、このような場合においては、使用者に対し、必要な助言及び指導を行わなければならない。

 

 

 

 

【解答】

④【R3年出題】 ×

 絶対的必要記載事項の一部を記載しない就業規則も、その効力発生についての他の要件を具備する限り有効ですが、同条違反の責任は「免れない」とされています。

H11.3.31基発168号) 

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-252 5.5

休業手当の支払義務【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

 「休業手当」の条文を読んでみましょう。

26条 (休業手当)

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

 

さっそく過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 使用者が本条によって休業手当を支払わなければならないのは、使用者の責に帰すべき事由によって休業した日から休業した最終の日までであり、その期間における労働基準法第35条の休日及び労働協約、就業規則又は労働契約によって定められた同法第35条によらない休日を含むものと解されている。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 ×

 「休日」については、休業手当を支給する義務はありません。

S24.3.22基収4077号)

 

 

②【R3年出題】

 就業規則で「会社の業務の都合によって必要と認めたときは本人を休職扱いとすることがある」と規定し、更に当該休職者に対しその休職期間中の賃金は月額の2分の1を支給する旨規定することは違法ではないので、その規定に従って賃金を支給する限りにおいては、使用者に本条の休業手当の支払義務は生じない。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R3年出題】 ×

 就業規則に、問題文のような規則を定めていても、定めていなくても、使用者の責に帰すべき事由による休業に対しては、平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払わなければなりません。

 「会社の業務の都合」が使用者の責に帰すべき事由に該当する場合は、賃金規則に平均賃金の100分の60に満たない額の賃金を支給することを規定しても無効である、とされています。

(S23.7.12基発1031号)

 

 

③【R3年出題】

 親会社からのみ資材資金の供給を受けて事業を営む下請工場において、現下の経済情勢から親会社自体が経営難のため資材資金の獲得に支障を来し、下請工場が所要の供給を受けることができず、しかも他よりの獲得もできないため休業した場合、その事由は本条の「使用者の責に帰すべき事由」とはならない。

 

 

 

 

【解答】

③【R3年出題】  ×

 問題文の事由は「使用者の責に帰すべき事由」に該当します。資材資金の不足による休業は、使用者の責任です。

S12.6.11基収1998号)

 

 

 

④【R3年出題】

 新規学卒者のいわゆる採用内定について、就労の始期が確定し、一定の事由による解約権を留保した労働契約が成立したとみられる場合、企業の都合によって就業の始期を繰り下げる、いわゆる自宅待機の措置をとるときは、その繰り下げられた期間について、本条に定める休業手当を支給すべきものと解されている。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R3年出題】 〇

 新規学卒者の採用内定については、一般的には、企業の例年の入社時期を就労の始期とし、一定の事由による解約権を留保した労働契約が成立したとみられます。

 そのような場合に、企業の都合で就業の始期を繰り下げる、いわゆる自宅待機の措置をとるときは、その繰り下げられた期間については、休業手当を支給すべきものと解されています。

S63.3.14基発150号)

 

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https://youtu.be/ZHQuVE8O7ts?si=JFmNKIVM4f1l_PgM

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-236 4.19

社労士受験のための
割増賃金②割増賃金の基礎に算入しなくてもよい手当

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

 例えば、時間外労働をさせた場合、「通常の労働時間」の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。

 通常の労働時間の賃金の計算式は、「月によって定められた賃金」については、「その金額を月における所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異る場合には、1年間における1月平均所定労働時間数)で除した金額」と定められています。

 詳しくはこちらの記事をどうぞ

 なお、基本給と手当が支払われている場合は、手当も含めて計算します。

 しかし、割増賃金の基礎に算入しなくてもよい手当が定められていますので、確認しましょう。

 

条文を読んでみましょう。

37条第5

 割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない

 

則第21条 

 法第37条第5項の規定によって、家族手当及び通勤手当のほか、次に掲げる賃金は、割増賃金の基礎となる賃金には算入しない

1) 別居手当

2) 子女教育手当

3) 住宅手当

4) 臨時に支払われた賃金

5) 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

 

 割増賃金の基礎に算入しなくてもよい手当は、頭文字をとって「か・つ・べ・し・ん・いち・の住宅」です。

 

 

過去問をどうぞ!

①【H26年出題】

 通勤手当は、労働とは直接関係のない個人的事情に基づいて支払われる賃金であるから、労働基準法第37条の割増賃金の基礎となる賃金には算入しないこととされている。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H26年出題】 〇

 通勤手当は、労働とは直接関係のない個人的事情に基づくものですので、割増賃金の基礎となる賃金から除外されます。

(則第21条)

 

 

②【H23年出題】

 労働基準法第37条に定める割増賃金の基礎となる賃金(算定基礎賃金)はいわゆる通常の賃金であり、家族手当は算定基礎賃金に含めないことが原則であるから、家族数に関係なく一律に支給されている手当は、算定基礎賃金に含める必要はない。

 

 

 

 

【解答】

②【H23年出題】 × 

 家族手当も、通勤手当と同じく、労働とは直接関係のない個人的事情に基づくものですので、割増賃金の基礎となる賃金から除外されます。

 しかし、「家族手当」といっても、扶養家族数に関係なく一律に支給される手当や、独身者に対しても一定額が支払われている場合は、「家族手当」とはみなされません。

 そのため、家族数に関係なく一律に支給されている手当は、算定基礎賃金に含めなければなりません。

S23.11.5基発231号)

 

 

③【H19年出題】

 労働基準法第37条第5項及び労働基準法施行規則第21条の規定によって、割増賃金の計算の基礎となる賃金には家族手当、住宅手当等は算入されないこととされており、例えば、賃貸住宅の居住者には3万円、持家の居住者には1万円というように、住宅の形態ごとに一律に定額で支給することとされている手当は、同規則第21条でいう住宅手当に該当し、同法第37条の割増賃金の計算の基礎となる賃金には算入しない。

 

 

 

 

【解答】

③【H19年出題】 ×

 「住宅手当」は、家族手当、通勤手当と同じく、労働とは直接関係のない個人的事情に基づくものですので、割増賃金の基礎となる賃金から除外されます。

 割増賃金の基礎から除外される住宅手当とは、「住宅に要する費用」に応じて算定される手当をいいます。

 問題文のように、「住宅の形態ごとに一律に定額で支給することとされている手当」や、「全員に一律に定額で支給される手当」は、除外される「住宅手当に該当しません」ので、割増賃金の計算の基礎となる賃金には算入しなければなりません。

(則第21条、H11.3.31基発170号) 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/a0bkji3kshA?si=p3RZvKH_rAlt6S07

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-235 4.18

社労士受験のための 割増賃金①通常の労働時間1時間当たりの賃金額

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

条文を読んでみましょう。

37条第1項、4項 (時間外、休日及び深夜の割増賃金)

① 使用者が、労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が1か月について60時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

④ 使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。 

 

割増賃金の率を確認しましょう。

・ 時間外に労働させた場合 →25分以上

1か月60時間を超えた場合 →超えた分は5割以上

・ 休日に労働させた場合 → 35分以上

・ 深夜に労働させた場合 → 25分以上

 

 例えば、時間外労働を5時間させた場合は、「通常の労働時間1時間当たりの賃金額」×1.25×5時間で計算します。

 

 「通常の労働時間1時間当たりの賃金額」の計算についてみていきましょう。

 

 

では、過去問をどうぞ!

H28年出題】

 労働基準法第37条に定める時間外、休日及び深夜の割増賃金を計算するについて、労働基準法施行規則第19条に定める割増賃金の基礎となる賃金の定めに従えば、通常の労働時間1時間当たりの賃金額を求める計算式のうち、正しいものはどれか。

 なお、当該労働者の労働条件は次のとおりとする。

  賃金:基本給のみ  月額300,000

  年間所定労働日数:240

  計算の基礎となる月の所定労働日数:21

  計算の対象となる月の暦日数:30

  所定労働時間:午前9時から午後5時まで

  休憩時間:正午から1時間

(A)300,000÷(21×7)

(B)300,000÷(21×8)

(C)300,000÷(30÷×40)

(D)300,000÷(240×÷12)

(E)300,000÷(365÷×40÷12)

 

 

 

 

 

 

【解答】

(D)300,000÷(240×÷12)

通常の労働時間の賃金の計算式は、「月給制(によって定められた賃金)」の場合は、

「月によって定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異る場合には、1年間における1月平均所定労働時間数)で除した金額」と定められています。            (則第19条第1項第4号)

 原則は、「月給÷その月の所定労働時間数」ですが、月によって所定労働時間数が異なる場合には、「月給÷1年間における1月平均所定労働時間数」で計算します。

 

 問題文は、月によって所定労働時間数が異なりますので、月給を、「1年間における 1月平均所定労働時間数」で除します。

 「1年間における1月平均所定労働時間数」は、年間の所定労働時間数のトータル(年間所定労働日数×1日の所定労働時間数)を1年間の月数(12か月)で除して計算できます。

 

 問題文では、年間所定労働日数は240日、1日の所定労働時間数は7時間です。(拘束時間8時間から休憩1時間を引いた時間です)

 「1年間における1月平均所定労働時間数」の計算式は、240日×7時間÷12か月です。

 通常の労働時間1時間当たりの賃金額を求める計算式は、

300,000円÷(240×7÷12)となります。

(則第19条第1項第4号)

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-219

R6.4.2 休業手当の重要ポイント

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

休業手当について条文を読んでみましょう。

26条 (休業手当)

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

 

 

さっそく過去問をどうぞ!

H27年出題】

 労働基準法第26条に定める休業手当に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 なお、当該労働者の労働条件は次のとおりとする。

  所定労働日:毎週月曜日から金曜日

  所定休日:毎週土曜日及び日曜日

  所定労働時間:1日8時間

  賃金:日給15,000

  計算された平均賃金:10,000

 

問題①

 使用者の責に帰すべき事由によって、水曜日から次の週の火曜日まで1週間休業させた場合、使用者は、7日分の休業手当を支払わなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

問題① × 

★テーマ    休日に休業手当の支給義務はない

 就業規則や労働協約で「休日」と定められている日には、休業手当を支給する義務がありません。問題文の場合は、土日が休日ですので、使用者は、5日分の休業手当を支払わなければなりません。

(昭24.3.22基収4077号)

 

 

 

問題②

 使用者の責に帰すべき事由により労働時間が4時間に短縮されたが、その日の賃金として7,500円の支払がなされると、この場合にあっては、使用者は、その賃金の支払に加えて休業手当を支払わなくても違法とならない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

問題② 〇

★ テーマ  休業期間が一労働日に満たない場合の休業手当の額

 現実に就労した時間に対して支払われる賃金が平均賃金の100分の60に相当する金額に満たない場合には、その差額を支払わなければなりません。

 問題文は、所定労働時間が4時間に短縮され、現実に就労した時間に対して7,500円の支払がなされています。平均賃金10,000円の100分の60以上ですので、賃金の支払に加えて休業手当を支払わなくても違法となりません。

(昭27.8.7基収3445号)

 

 

問題③

 就業規則の定めに則り、日曜日の休日を事業の都合によってあらかじめ振り替えて水曜日とした場合、当該水曜日に休ませても使用者に休業手当を支払う義務は生じない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

問題③ 〇

★ テーマ  休日に休業手当の支給義務はない

 日曜日の休日をあらかじめ振り替えて水曜日とした場合、水曜日は休日になりますので、休業手当を支払う義務は生じません。

(昭24.3.22基収4077号)

 

 

問題④

 休業手当の支払義務の対象となる「休業」とは、労働者が労働契約に従って労働の用意をなし、しかも労働の意思をもっているにもかかわらず、その給付の実現が拒否され、又は不可能となった場合をいうから、この「休業」には、事業の全部又は一部が停止される場合にとどまらず、使用者が特定の労働者に対して、その意思に反して、就業を拒否する場合も含まれる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

問題④ 〇

★テーマ  「休業」の定義

 「休業」には、事業の全部又は一部が停止される場合にとどまらず、使用者が特定の労働者に対して、その意思に反して、就業を拒否する場合も含まれます。

 

 

 

問題⑤

 休電による休業については、原則として労働基準法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業に該当しない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

問題⑤ 〇

★テーマ  休電による休業には原則として休業手当の支払義務はない

 休電による休業は、原則として使用者の責に帰すべき事由による休業に該当しないので、休業手当を支払わなくても第26条違反になりません。

(昭26.10.11基発696号)

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-208

R6.3.22 年次有給休暇⑥計画的付与

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

計画的に有給休暇の取得日を定めることを、計画的付与といいます。

条文を読んでみましょう。

39条第6

 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、有給休暇の日数のうち5日を超える部分については、その定めにより有給休暇を与えることができる。 

 

 計画的付与の導入によって、気がねなく年次有給休暇を取得できるなどの効果が期待できます。

 計画的付与の導入には、労使協定が必要です。

 また、計画的付与の対象になるのは、有給休暇の日数のうち、5日を超える部分です。労働者が個人的な事由で有給休暇を取得できるよう、5日は残しておく必要があります。

 例えば、有給休暇の日数が20日の場合、計画的付与の対象にできるのは、15日までです。

 

過去問をどうぞ!

①【H15年出題】 

 いわゆる計画年休制度を採用している事業場で、労働基準法第39条第6項の規定に基づく労使協定によって年次有給休暇を与える時季に関する定めをした場合において、当該労使協定によって計画的付与の対象となっている労働者について計画年休期間中に労働させる必要が生じたときには、使用者は、相当程度の時間的余裕をもって行えば、当該労働者について、時季変更権を行使することができる。

 

 

②【H26年出題】

 労働基準法第39条第6項に定めるいわゆる労使協定による有給休暇の計画的付与については、時間単位でこれを与えることは認められていない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H15年出題】 × 

 計画的付与については、労働者の時季指定権も使用者の時季変更権も行使できません。

H22.5.18基発05181号)

 

 

②【H26年出題】 〇

 有給休暇の計画的付与として、時間単位年休を与えることは認められていません。

H21.5.29基発0529001号)

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-207

R6.3.21 年次有給休暇⑤時季指定権と時季変更権

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

条文を読んでみましょう。

39条第5

 使用者は、有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。

 ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。 

 年次有給休暇は、「労働者の請求する時季」に与えることが原則です。(時季指定権)

 しかし、請求された時季に有給休暇を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」は、使用者は、時季を変更することができます。(時季変更権)

 

 

過去問をどうぞ!

①【H27年選択式】

 最高裁判所は、労働基準法第30条第5項(当時は第3項)に定める使用者による時季変更権の行使の有効性が争われた事件において、次のように判示した。「労基法393項〔現行5項〕ただし書にいう「事業の正常な運営を妨げる場合」か否かの判断に当たって、< A >配置の難易は、判断の一要素となるというべきであるが、特に勤務割による勤務体制がとられている事業場の場合には、重要な判断要素であることは明らかである。したがって、そのような事業場において、使用者としての通常の配慮をすれば、勤務割を変更して< A >を配置することが客観的に可能な状況にあると認められるにもかかわらず、使用者がそのための配慮をしないことにより< A >が配置されないときは、必要配置人員を欠くものとして事業の正常な運営を妨げる場合に当たるということはできないと解するのが相当である。そして、年次休暇の利用目的は労基法の関知しないところである〔‥…〕から、勤務割を変更して< A >を配置することが可能な状況にあるにもかかわらず、休暇の目的いかんによってそのための配慮をせずに時季変更権を行使することは、利用目的を考慮して年次休暇を与えないことに等しく、許されないものであり、右時季変更権の行使は、結局、事業の正常な運営を妨げる場合に当たらないものとして、無効といわなければならない。」

 

 

②【R5年出題】

 労働基準法第30条第5項にいう「事業の正常な運営を妨げる場合」か否かの判断に当たり、勤務割による勤務体制がとられている事業場において、「使用者としての通常の配慮をすれば、勤務割を変更して代替勤務者を配置することが客観的に可能な状況にあると認められるにもかかわらず、使用者がそのための配慮をしないことにより代替勤務者が配置されないときは、必要配置人員を欠くものとして事業の正常な運営を妨げる場合に当たるということはできないと解するのが相当である。」とするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H27年選択式】

A 代替勤務者

(最高二小S62.7.10

 

ポイント!

 勤務割(シフト制)の事業場で、使用者が、通常の配慮をすれば、シフトを変更して代替勤務者を配置することが可能な状況であるにもかかわらず、使用者がそのための配慮をしないことにより代替勤務者が配置されないときは、事業の正常な運営を妨げる場合に当たるということはできない。

 シフトを変更して代替勤務者を配置することが可能な状況にあるにもかかわらず、休暇の目的によってそのための配慮をせずに時季変更権を行使することは、許されない。

 

 

②【R5年出題】 〇 

 ①の判例と同じです。

(最高二小S62.7.10) 

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-205

R6.3.19 年次有給休暇③出勤率の算定「出勤したものとみなす」

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

 

年次有給休暇の権利は、次の2つの要件を満たせば、法律上当然に発生します。

①雇入れの日から

6か月継続勤務

 

②全労働日の

8割以上出勤

 

 出勤率は、「全労働日」に対する「出勤した日」の割合です。

 

 実際は出勤していなくても、出勤したと「みなす」日があります。

 条文を読んでみましょう。

39条第10

 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第1号に規定する育児休業又は同条第2号に規定する介護休業をした期間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間は、出勤したものとみなす。 

 

・業務上の負傷又は疾病により療養のために休業した期間

・育児休業又は介護休業をした期間

・産前産後の女性が休業した期間

は、出勤率については「出勤」として算定されます。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H18年出題】

 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第1号に規定する育児休業若しくは同条第2号に規定する介護休業をした期間又は同法第16条の2に規定する子の看護休暇を取得した期間並びに産前産後の女性が労働基準法第65条の規定によって休業した期間は、同法第39条第1項及び第2項の規定の適用については、出勤したものとみなされる。

 

 

②【H28年出題】

 年次有給休暇を取得した日は、出勤率の計算においては、出勤したものとして取り扱う。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H18年出題】 × 

 子の看護休暇を取得した期間は、出勤したものとみなす扱いにはなりません。

(法第39条第10項)

 

 

②【H28年出題】 〇 

 年次有給休暇を取得した日は、出勤したものとして取り扱います。

H6.3.31基発181号) 

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-204

R6.3.18 年次有給休暇②出勤率の算定「全労働日」

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

年次有給休暇の権利は、次の2つの要件を満たせば、法律上当然に発生します。

①雇入れの日から

6か月継続勤務

 

②全労働日の

8割以上出勤

 

 

 年次有給休暇の権利の発生要件である「出勤率」は、「全労働日」に対する「出勤した日」の割合です。

 

 「全労働日」とは、労働義務のある日のことで、暦日数から所定の休日を除いた日数のことです。

 

    「全労働日」についての通達を確認しましょう。

1 労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日は、2に該当する場合を除き、出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるものとする。

2 労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日であっても、次に掲げる日のように、当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でないものは、全労働日に含まれないものとする。

1) 不可抗力による休業日

2) 使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日

3) 正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日

(平25.7.10基発07103)

 

では、過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 全労働日と出勤率を計算するに当たり、法定休日を上回る所定の休日に労働させた場合におけるその日は、全労働日に含まれる。

 

 

②【H26年選択式】

 最高裁判所は、労働基準法39条に定める年次有給休暇権の成立要件に係る「全労働日」(同条第1項、2項)について、次のように判示した。

「法391項及び2項における前年度の全労働日に係る出勤率が8割以上であることという年次有給休暇権の成立要件は、法の制定時の状況等を踏まえ、労働者の責めに帰すべき事由による欠勤率が特に高い者をその対象から除外する趣旨で定められたものと解される。このような同条1項及び2項の規定の趣旨に照らすと、前年度の総暦日の中で、就業規則や労働協約等に定められた休日以外の不就労日のうち、労働者の責めに帰すべき事由によるとはいえないものは、不可抗力や使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日等のように当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく全労働日から除かれるべきものは別として、上記出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に< A >と解するのが相当である。

 無効な解雇の場合のように労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日は、労働者の責めに帰すべき事由によるとはいえない不就労日であり、このような日は使用者の責めに帰すべき事由による不就労日であっても当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく全労働日から除かれるべきものとはいえないから、法391項及び2項における出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に< A >というべきである。」

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 × 

 年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の日数は就業規則その他によって定められた所定休日を除いた日をいいます。

 所定の休日に労働させた場合には、その日は、全労働日に含まれないものとされています。

(平25.7.10基発07103)

 

 

②【H26年選択式】

A 含まれるもの

★「労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日」の扱いについて

不可抗力や使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日等は、当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく全労働日から除かれます。

 

 例えば、裁判所の判決により解雇が無効と確定した場合や、労働委員会による救済命令を受けて会社が解雇の取消しを行った場合の解雇日から復職日までの不就労日など、「労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日」は、出勤日数に算入すべきものとして「全労働日に含まれるもの」とされます。

 解雇の日から解雇無効が確定するまでの期間について、その期間の労働日を全労働日に含めた上でその全部を出勤日として取り扱うことで、年次有給休暇の成立要件を満たしているものということができます。

(平25.6.6第一小法廷判決 平25.7.10基発07103)

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-203

R6.3.17 年次有給休暇①権利の発生

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

条文を読んでみましょう。

39条第1項・2項 (年次有給休暇)

① 使用者は、その雇入れの日から起算して6か月間継続勤務全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。

② 使用者は、1年6か月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して6か月を超えて継続勤務する日(以下「6か月経過日」という。)から起算した継続勤務年数1年ごとに、①の日数に、次の表の上欄に掲げる6か月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。 ただし、継続勤務した期間を6か月経過日から1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の8割未満である者に対しては、当該初日以後の1年間においては有給休暇を与えることを要しない

6か月経過日から起算した継続勤務年数

労働日

1年

1労働日

2年

2労働日

3年

4労働日

4年

6労働日

5年

8労働日

6年

10労働日

 

 

 

年次有給休暇の付与日数を確認しましょう。

継続

勤務

6か月

1

6か月

2年

6か月

3年

6か月

4年

6か月

5年

6か月

6

6か月以上

付与

日数

10

11

12

14

16

18

20

 

 

年次有給休暇の発生要件は、次の2つです。

①雇入れの日から

6か月継続勤務

 

②全労働日の

8割以上出勤

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H26年出題】

 労働基準法第39条の趣旨は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るため、また、ゆとりのある生活の実現にも資するという位置づけから、休日のほかに毎年一定日数以上の有給休暇を与えることにある。

 

 

②【H20年出題】

 年次有給休暇の権利は、労働基準法第39条所定の要件を満たすことによって法律上当然に労働者に生ずる権利であって、労働者の請求をまって始めて生ずるものではないとするのが最高裁判所の判例である。

 

 

③【R4年出題】

 年次有給休暇の権利は、「労基法391項、2項の要件が充足されることによって法律上当然に労働者に生ずる権利ということはできず、労働者の請求をまって始めて生ずるものと解すべき」であり、「年次〔有給〕休暇の成立要件として、労働者による『休暇の請求』や、これに対する使用者の『承認』を要する」とするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

④【H24年出題】

 労働基準法第39条に定める年次有給休暇の利用目的は同法の関知しないところであり、労働者が病気療養のために年次有給休暇を利用することもできる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H26年出題】 〇 

 「休日のほかに毎年一定日数以上の有給休暇を与える」の部分がポイントです。

 「休日」は、「労働義務がない日」です。

 年次有給休暇の「休暇」は「労働義務が免除される日」ですので、休暇は労働義務のある「労働日」に取得します。そのため、年次有給休暇は1労働日、2労働日と算定します。

 

 

②【H20年出題】 〇 

 年次有給休暇の権利は、労働基準法第39条所定の要件を満たすことによって法律上当然に労働者に生ずる権利です。

 労働者の請求をまって始めて生ずるものではなく、「請求」とは、休暇の時季にのみかかる文言であって、その趣旨は、休暇の時季の「指定」にほかならないとされています。

(最高裁第二小法廷 昭和4832日 白石営林署事件)

 

 

③【R4年出題】 × 

 年次有給休暇の権利は、「労基法391項、2項の要件が充足されることによって「法律上当然に労働者に生ずる権利」であって、「労働者の請求をまって始めて生ずるものではなく」、「年次〔有給〕休暇の成立要件として、「労働者による『休暇の請求』や、これに対する使用者の『承認』」の観念を容れる余地はない」とされています。

ポイント!

・年次有給休暇の権利は、要件を満たせば法律上当然に労働者に生ずる権利で、労働者からの請求をまって生ずるものではありません。

(最高裁第二小法廷 昭和4832日 白石営林署事件)

 

 

④【H24年出題】 〇 

 年次有給休暇をどのように利用するかは、労働者の自由です。

 病気療養のために年次有給休暇を利用することもできます。

(昭24.12.28基発第1456号)

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-189 

R6.3.3 平均賃金のポイント! 

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

 

条文を読んでみましょう。

12条第1項・2

① 平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の一によって計算した金額を下ってはならない。

1) 賃金が、労働した若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60

2) 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と(1)の金額の合算額

② 平均賃金の算定期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。 

 

★平均賃金の原則の計算式

3か月間に支払われた賃金の総額

その期間の総日数(暦日数)

 

★平均賃金の最低保障額(賃金の全部が日給制、時間給制、出来高払制の場合)

賃金の総額

×

60

労働した日数

100

 

 

12条第3項・4

③ 平均賃金の算定期間中に、次の各号のいずれかに該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、算定期間及び賃金の総額から控除する

1) 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間

2) 産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間

3) 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間

4) 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に規定する育児休業又は介護休業をした期間

5) 試みの使用期間

④ 賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しない。

 

★③は「分子」(賃金総額)からも、「分母」(総日数)からも控除します

★④は、「分子」(賃金総額)からのみ控除します。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H27年出題】

 平均賃金の計算の基礎となる賃金の総額には、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金、通勤手当及び家族手当は含まれない。

 

 

②【H27年出題】

 平均賃金の計算において、労働者が労働基準法第7条に基づく公民権の行使により休業した期間は、その日数及びその期間中の賃金を労働基準法第12条第1項及び第2項に規定する期間及び賃金の総額から除外する。

 

 

③【H27年出題】

 労働災害により休業していた労働者がその災害による傷病が原因で死亡した場合、使用者が遺族補償を行うに当たり必要な平均賃金を算定すべき事由の発生日は、当該労働者が死亡した日である。

 

 

④【H27年出題】

 賃金締切日が毎月月末と定められていた場合において、例えば731日に算定事由が発生したときは、なお直前の賃金締切日である630日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となる。

 

 

⑤【H27年出題】

 賃金締切日が、基本給は毎月月末、時間外手当は毎月20日とされている事業場において、例えば625日に算定事由が発生したときは、平均賃金の起算に用いる直前の賃金締切日は、基本給、時間外手当ともに基本給の直前の締切日である531日とし、この日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H27年出題】 × 

 賃金の総額に算入しない賃金は、

・臨時に支払われた賃金

・3か月を超える期間ごとに支払われる賃金

・通貨以外のもので支払われた賃金(現物給与)で一定の範囲に属しないもの

です。

「通勤手当及び家族手当」は賃金総額に含みます。

(第12条第4項)

 

 

②【H27年出題】 ×

 「公民権の行使により休業した期間」は、休業した期間の日数も賃金も平均賃金の計算に算入します。

賃金総額・その期間の日数の両方から控除されるのは以下の期間です。

1) 業務上の負傷・疾病による療養のための休業期間

2) 産前産後の女性の休業期間

3) 使用者の責めに帰すべき事由による休業期間

4) 育児休業、介護休業期間

5) 試用期間

(第12条第4項)

 

 

③【H27年出題】 × 

 労働基準法施行規則第48条で、「災害補償を行う場合には、死傷の原因たる事故発生の日又は診断によって疾病の発生が確定した日を、平均賃金を算定すべき事由の発生した日とする。」と定められていますので、「死亡した日」は誤りです。

(則第48条)

 

 

④【H27年出題】 〇 

 「平均賃金の算定期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。」と規定されています。

 賃金締切日が毎月月末で、731日に算定事由が発生した場合は、直前の賃金締切日である630日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となります。

(第12条第2項)

 

 

⑤【H27年出題】 ×

 賃金ごとに賃金締切日が異なる場合は、それぞれの賃金ごとの賃金締切日から起算します。

625日に算定事由が発生した場合、

基本給(毎月月末締め)は、531日から遡った3か月

時間外手当(毎月20日締め)は、620日から遡った3か月

となります。

S26.12.27基収5926号)

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-176 

R6.2.19 1週間の労働時間を44時間とする特例  

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

条文を読んでみましょう。

32条 (労働時間)

① 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。

② 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について 時間を超えて、労働させてはならない。

 

 

則第25条の2第1項 (法第40条) 

 使用者は、法別表第1第8号、第10(映画の製作の事業を除く)、第13号及び第14号に掲げる事業のうち常時10未満の労働者を使用するものについては、法第32条の規定にかかわらず、1週間について44時間、1日について8時間まで労働させることができる。

第8号 商業(物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業)

10号 映画・演劇業(映画の製作又は映写、演劇その他興行の事業)

13号保健衛生業(病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業)

14号接客娯楽業(旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業)

 

 

法定労働時間が1週間44時間となる特例が適用されるのは、以下の業種です。

常時10人未満の

・商業

・映画・演劇業(映画の製作の事業を除く。)

・保健衛生業

・接客娯楽業

 

過去問をどうぞ!

①【R4年出題】

 使用者は、労働基準法別表第1第8号(物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業)、第10号のうち映画の製作の事業を除くもの(映画の映写、演劇その他興行の事業)、第13号(病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業)、第14号(旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業)に掲げる事業のうち常時10人未満の労働者を使用するものについては、労働基準法第32条の規定にかかわらず、1週間について48時間、1日について10時間まで労働させることができる。

 

 

②【H18年出題】

 使用者は、物品の販売の事業のうち常時10人未満の労働者を使用するものについては、労働基準法第32条の規定にかかわらず、1週間について44時間、1日について8時間まで労働させることができる。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R4年出題】 ×

 労働時間の特例は、1週間について「44時間」、1日について「8時間」までです。

(法第32条、40条、則第25条の2第1項)

 

 

②【H18年出題】 〇 

 物品の販売の事業は、法別表第1第8号の事業です。常時10人未満の労働者を使用するものは、1週間について44時間、1日について8時間まで労働させることができます。

(法第32条、40条、則第25条の2第1項)

 

 

こちらもチェックしましょう。

・ 「1か月単位の変形労働時間制」と「フレックスタイム制」には、44時間の特例が適用されます。

 例えば、1か月単位の変形労働時間制の変形期間の労働時間の総枠を計算する場合、特例対象の事業の場合は、44時間×変形期間の暦日数/7で計算します。

 

・ 「1年単位の変形労働時間制」と「1週間単位の非定型的変形労働時間制」には、44時間の特例は適用されません。

H11.3.31基発170号)

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-166 

R6.2.9 1か月単位の変形労働時間制の採用ルール

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

1か月単位の変形労働時間制について条文を読んでみましょう。

32条の2

① 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、1か月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が法定労働時間(原則40時間・特例44時間)を超えない定めをしたときは、その定めにより、特定された週において40時間(特例44時間)又は特定された日において8時間を超えて、労働させることができる。

② 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、労使協定を行政官庁に届け出なければならない。

 

★ 1か月単位の変形労働時間制は、「1か月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が法定労働時間(原則40時間・特例44時間)を超えない」ことが条件です。

 変形期間の所定労働時間の総枠は、次のように計算します。この範囲内なら平均すると1週間当たりの労働時間は、法定労働時間以内になります。

 

1週間の法定労働時間

40時間・特例44時間)

 

×

変形期間の暦日数

  例えば、法定労働時間が40時間の事業場で、変形期間を1か月とし暦日数が31日の場合の総枠は、40時間×31/7177.1時間となります。

1か月の総労働時間が177.1時間以内なら、特定された週に40時間又は特定された日に8時間を超えて労働させることができます。

 

 

過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

 1か月単位の変形労働時間制は、就業規則その他これに準ずるものによる定めだけでは足りず、例えば当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合と書面により協定し、かつ、当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる。

 

 

②【R1年出題】

 1か月単位の変形労働時間制により労働者に労働させる場合にはその期間の起算日を定める必要があるが、その期間を1か月とする場合は、毎月1日から月末までの暦月による。

 

 

③【R1年出題】

 1か月単位の変形労働時間制においては、1日の労働時間の限度は16時間、1週間の労働時間の限度は60時間の範囲内で各労働日の労働時間を定めなければならない。

 

 

④【R1年出題】

 1か月単位の変形労働時間制により所定労働時間が、16時間とされていた日の労働時間を当日の業務の都合により8時間まで延長したが、その同一週内の110時間とされていた日の労働を8時間に短縮した。この場合、16時間とされていた日に延長した2時間の労働は時間外労働にはならない。

 

 

⑤【R1年出題】

 1か月単位の変形労働時間制は、満18歳に満たない者及びその適用除外を請求した育児を行う者については適用しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 × 

 1か月単位の変形労働時間制は、「就業規則その他これに準ずるものによる定め」又は「労使協定」のどちらかで採用できます。

 ちなみに、10人以上の事業場は、就業規則の作成義務がありますので、「就業規則に準ずるもの」では採用できません。10人以上の事業場は、「就業規則」又は「労使協定」のどちらかになります。

 「その他これに準ずるもの」は10人未満の事業場のみに適用されます。

 また、10人以上でも10人未満でも、1か月単位の変形労働時間制を「労使協定」で採用する場合は、協定を所轄労働基準監督署長に届け出る義務があります。届出義務はありますが、届出をしなくても効力は発生します。そのため、「当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる。」は誤りです。

(法第32条の2

 

 

②【R1年出題】 × 

 1か月単位の変形労働時間制を採用する場合には、その期間の起算日を定める必要があります。

 変形期間を1か月とする場合、毎月1日から月末までの暦月という要件はありません。

 ちなみに、変形期間は1か月以内なら、例えば、2週間、4週間なども可能です。

(則第12条の2

 

 

③【R1年出題】 × 

 1か月単位の変形労働時間制を採用する場合は、変形期間の所定労働時間の合計が40(又は44×変形期間の暦日数/7の範囲内となることが条件です。

 1か月単位の変形労働時間制においては、1日の労働時間の限度や1週間の労働時間の限度は定められていません。

S63.1.1基発第1号)

 

 

④【R1年出題】 〇

★1か月単位の変形労働時間制を採用した場合に時間外労働となるのは、次の時間です。

①1日について

→ 就業規則その他これに準ずるものにより8時間を超える時間を定めた日はその時間を、それ以外の日は8時間を超えて労働した時間

②1週間について

→ 就業規則その他これに準ずるものにより40時間(特例44時間)を超える時間を定めた週はその時間を、それ以外の週は40時間(特例44時間)を超えて労働した時間(①で時間外労働となる時間を除く。)

③ 変形期間について

→ 変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(①又はで時間外労働となる時間を除く。)

問題文の場合、「16時間」の日ですので、①の「それ以外の日」に当たり、時間外労働となるのは、「8時間を超えて労働した時間」です。その日の労働時間は8時間ですので、延長した2時間は時間外労働にはなりません。

S63.1.1基発第1号)

 

 

⑤【R1年出題】 ×

1か月単位の変形労働時間制は、満18歳に満たない者には適用されません。

(第60条)

「育児を行う者」については「適用しない」ではなく、「配慮をしなければならない」となっています。

条文を読んでみましょう。

則第12条の6

 使用者は、1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制又は1週間単位の非定型的変形労働時間制により労働者に労働させる場合には、育児を行う者、老人等の介護を行う者、職業訓練又は教育を受ける者その他特別の配慮を要する者については、これらの者が育児等に必要な時間を確保できるような配慮をしなければならない。

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-156 

R6.1.30 就業規則の作成・届出の義務

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

 

条文を読んでみましょう。

89条 (作成及び届出の義務)

 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

1) 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

2) 賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

3) 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

4) 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

5) 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

6) 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

7) 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

8) 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

9) 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

10) 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

11) 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

 

90条 (作成の手続)

① 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない

② 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない

 

 

ポイント!

89条の(1)、(2)、(3)は就業規則に必ず記載しなければならない絶対的必要記載事項です。

4)から(11)は、定めをする場合は記載しなければならない相対的必要記載事項です。

 

では、過去問をどうぞ!

①【R2年出題】

 派遣元の使用者は、派遣中の労働者だけでは常時10人以上にならず、それ以外の労働者を合わせてはじめて常時10人以上になるときは、労働基準法第89条による就業規則の作成義務を負わない。

 

 

②【R2年出題】

 1つの企業が2つの工場をもっており、いずれの工場も、使用している労働者は10人未満であるが、2つの工場を合わせて1つの企業としてみたときは10人以上となる場合、2つの工場がそれぞれ独立した事業場と考えられる場合でも、使用者は就業規則の作成義務を負う。

 

 

③【R2年出題】

 慣習等により、労働条件の決定変更につき労働組合との協議を必要とする場合は、その旨を必ず就業規則に記載しなければならない。

 

 

④【R3年出題】

同一事業場において当該事業場の全労働者の3割について適用される就業規則を別に作成する場合、当該事業場において当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数で組織する労働組合又は当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数を代表する者の意見を聴くことで、労働基準法第90条による意見聴取を行ったこととされる。

 

 

⑤【H26年出題】

 労働基準法第90条に定める就業規則の作成又は変更についての過半数労働組合、それがない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聴取する義務については、文字どおり労働者の団体的意見を求めるということであって、協議することまで使用者に要求しているものではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 × 

 常時10人以上の労働者を使用する使用者には、就業規則の作成・届け出義務があります。

 派遣中の労働者とそれ以外の労働者を合わせて常時10人以上使用する派遣元の使用者は、就業規則の作成・届出義務を負います。

 派遣労働者の就業規則は、「派遣元使用者」が作成・届出義務を負うことに注意して下さい。

S61.6.6基発333号)

 

 

②【R2年出題】 ×

 労働基準法は、企業単位ではなく事業場単位で適用されます。

 1つの企業が2つの工場をもっている場合は、それぞれの工場で労働基準法が適用されます。どちらの工場も使用している労働者が10人未満の場合は、就業規則の作成・届出義務はありません。

 

 

 

③【R2年出題】 × 

 慣習等により、労働条件の決定変更につき労働組合との協議を必要とする場合、その旨を就業規則に記載するかどうかは、当事者の自由です。

S23.10.30基発1575号)

 

 

④【R3年出題】 × 

同一事業場で、当該事業場の全労働者の3割について適用される就業規則を別に作成することは可能です。

 その場合、3割の労働者に適用される就業規則も当該事業場の就業規則の一部です。

 そのため、当該事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合又は全労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければなりません。

 当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数で組織する労働組合等の意見を聴くだけでは、労働基準法第90条による意見聴取を行ったことにはなりません。

S63.3.14基発150号)

 

 

⑤【H26年出題】 〇 

 労働基準法第90条に定める意見を聴取する義務は、労働者の団体的意見を求めるということで、協議までは要求していません。

 就業規則についての意見を聴けば、労働基準法違反になりません。

S25.3.15基収525号) 

 

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社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-146 

R6.1.20 許されるべき相殺 最高裁判例より

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

条文を読んでみましょう。

24

① 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる

② 賃金は、毎月一回以上一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金については、この限りでない。

 

第24条では、賃金支払5原則が定められています。

賃金支払の5つの原則を確認しましょう。

・通貨払いの原則

・直接払いの原則

・全額払いの原則

・毎月一回以上払いの原則

・一定期日払いの原則

 

 今日は「全額払」の原則に関する問題です。

 賃金は労働した分を「全額」支払うのが原則です。ただし、法令に別段の定めがある場合又は労使協定がある場合は、賃金の一部を控除して支払うことができます。

 今日は、賃金の過払があった場合などに相殺が許される要件をみていきます。

 

過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 労働基準法第24条第1項の禁止するところではないと解するのが相当と解される「許さるべき相殺は、過払のあつた時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてされ、また、あらかじめ労働者にそのことが予告されるとか、その額が多額にわたらないとか、要は労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのない場合でなければならない」とするのが最高裁判所の判例である。

 

 

②【H27年出題】

 過払いした賃金を精算ないし調整するため、後に支払われるべき賃金から控除することは、その金額が少額である限り、労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれがないため、労働基準法第24条第1項に違反するものではないとするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

③【H29年出題】

 賃金の過払を精算ないし調整するため、後に支払われるべき賃金から控除することは、「その額が多額にわたるものではなく、しかもあらかじめ労働者にそのことを予告している限り、過払のあった時期と合理的に接着した時期においてされていなくても労働基準法241項の規定に違反するものではない。」とするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

④【H21年選択式】

賃金の過払が生じたときに、使用者がこれを精算ないし調整するため、後に支払われるべき賃金から過払分を控除することについて、「適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺は、[・・・(略)・・・]その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の < A >との関係上不当と認められないものであれば、同項[労働基準法第24条第1項]の禁止するところではないと解するのが相当である」とするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 〇

 「適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺」は、労働基準法第24条第1項但書によって除外される場合にあたらなくても、その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の経済生活の安定との関係上不当と認められないものであれば、同項の禁止するところではない」とされています。

 過払のあった時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてされ、かつ、あらかじめ労働者にそのことが予告されるとか、その額が多額にわたらないなど、『労働者の経済生活の安定』をおびやかすおそれのない場合は、労働基準法第24条第1項に違反しません。

S44.12.18最高裁判所第一小法廷 福島県教組事件)

 

 

②【H27年出題】 × 

 金額が少額であるということだけで相殺が許されるものではありません。

S44.12.18最高裁判所第一小法廷 福島県教組事件)

 

 

③【H29年出題】 × 

 「過払のあった時期と合理的に接着した時期においてされる」ことも、相殺が許される条件の一つです。

S44.12.18最高裁判所第一小法廷 福島県教組事件)

 

 

④【H21年選択式】

A 経済生活の安定

S44.12.18最高裁判所第一小法廷 福島県教組事件)

 

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社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 労働基準法

R6-132

R6.1.6 第19条解雇制限が適用される条件

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は労働基準法です。

 

 

 条文を読んでみましょう。

19条 (解雇制限)

① 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第81条の規定によって打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、この限りでない。

② 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

 

  条文の「休業する期間」に注目してください。解雇制限が適用されるのは「休業する期間」です。

 

 

まず、過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 使用者は、労働者が業務上の傷病により治療中であっても、休業しないで就労している場合は、労働基準法第19条による解雇制限を受けない。

 

 

②【R1年出題】

 使用者は、女性労働者が出産予定日より6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)前以内であっても、当該労働者が労働基準法第65条に基づく産前の休業を請求しないで就労している場合は、労働基準法第19条による解雇制限を受けない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 〇

 解雇制限を受けるのは、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために「休業する期間」及びその後30日間ですので、労働者が業務上の傷病により治療中だったとしても、休業しないで就労している場合は、解雇制限は受けません。

(第19条)

 

 

②【R1年出題】 〇

6週間(多胎妊娠の場合は、14週間)以内に出産する予定だとしても、女性労働者が産前休業を請求しないで引き続き就労している場合は、解雇制限は受けません。

S25.6.16基収1526号)

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

6週間以内に出産する予定の女性労働者が休業を請求せず引き続き就業している場合は、労働基準法第19条の解雇制限期間にはならないが、その期間中は女性労働者を解雇することのないよう行政指導を行うこととされている。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇 

6週間以内に出産する予定の女性労働者が休業を請求せず引き続き就業している場合は、解雇制限は適用されません。しかし、その期間中は女性労働者を解雇することのないよう行政指導を行うこととされています。

(第19条、S25.6.16基収1526号)

 

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https://youtu.be/Pbmab-mv1SY?si=dgUaC0B3-oriIhD2

社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 労働基準法

R6-112

R5.12.17 退職時の証明

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は労働基準法です。

 

 

条文を読んでみましょう。

22条第1

 労働者が、退職の場合において、使用期間業務の種類その事業における地位賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。

 

 退職時の証明書の法定記載事項は、「使用期間」、「業務の種類」、「その事業における地位」、「賃金」、「退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)」です。

 

さっそく過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

 使用者は、労働者が自己の都合により退職した場合には、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由について、労働者が証明書を請求したとしても、これを交付する義務はない。

 

②【R4年出題】

 労働基準法第22条第1項に基づいて交付される証明書は、労働者が同項に定める法定記載事項の一部のみが記入された証明書を請求した場合でも、法定記載事項をすべて記載しなければならない。

 

③【H22年出題】

 労働基準法第22条第1項の規定により、労働者が退職した場合に、退職の事由について証明書を請求した場合は、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならず、また、退職の事由が解雇の場合には、当該退職の事由には解雇の理由を含むこととされているため、解雇された労働者が解雇の事実のみについて使用者に証明書を請求した場合であっても、使用者は、解雇の理由を証明書に記載しなければならない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 × 

 「退職」の事由には、自己都合、会社の勧奨、定年、契約期間の満了、解雇などがあります。

 退職時の証明書は、退職理由を問わず交付する義務がありますので、労働者が自己都合による退職をした場合でも、労働者が証明書を請求した場合は、交付する義務があります。

 

②【R4年出題】 × 

 第22条第3項で、「証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。」と規定されています。

 労働者が法定記載事項の一部のみが記入された証明書を請求した場合は、請求があった事項だけを記載することになります。

 

③【H22年出題】 × 

 解雇された労働者が解雇の事実のみについて使用者に証明書を請求した場合は、解雇の事実のみを記載する義務があります。

 第22条第3項で、「証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。」と規定されていますので、請求されていない解雇の理由を証明書に記載してはなりません。

H11.1.29基発45号)

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 労働者が、労働基準法第22条に基づく退職時の証明を求める回数について制限はない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇 

 退職時の証明を求める回数について制限はありません。

H11.3.31基発169号)

 

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社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 労働基準法

R6-111

R5.12.16 年次有給休暇の時季変更権

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は労働基準法です。

 

条文を読んでみましょう。

39条第5

 使用者は、年次有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。

 ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

 

  労働者には時季指定権があり、年次有給休暇を取得する時季は労働者が指定できます。

 また、使用者には時季変更権があり、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合は、時季変更権を行使できます。

 今日は、「時季変更権」についてみていきます。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H29年選択】

 最高裁判所は、労働者が長期かつ連続の年次有給休暇の時季指定をした場合に対する、使用者の時季変更権の行使が問題となった事件において、次のように判示した。

「労働者が長期かつ連続の年次有給休暇を取得しようとする場合においては、それが長期のものであればあるほど、使用者において代替勤務者を確保することの困難さが増大するなど< A >に支障を来す蓋然性が高くなり、使用者の業務計画、他の労働者の休暇予定等との事前の調整を図る必要が生ずるのが通常である。[…(略)…]労働者が、右の調整を経ることなく、その有する年次有給休暇の日数の範囲内で始期と終期を特定して長期かつ連続の年次有給休暇の時季指定をした場合には、これに対する使用者の時季変更権の行使については、[…(略)…]使用者にある程度の < B >の余地を認めざるを得ない。もとより、使用者の時季変更権の行使に関する右< B >は、労働者の年次有給休暇の権利を保障している労働基準法39条の趣旨に沿う、合理的なものでなければならないのであって、右< B >が、同条の趣旨に反し、使用者が労働者に休暇を取得させるための状況に応じた配慮を欠くなど不合理であると認められるときは、同条3項[現5項]ただし書所定の時季変更権行使の要件を欠くものとして、その行使を違法と判断すべきである。」

 

 

②【H22年選択】

 「労働者が長期かつ連続の年次有給休暇を取得しようとする場合においては、それが長期のものであればあるほど、[…(略)…]事業の正常な運営に支障を来す蓋然性が高くなり、使用者の業務計画、他の労働者の休暇予定等との< A >を図る必要が生ずるのが通常」であり、労働者が、これを経ることなく、「その有する年次有給休暇の日数の範囲内で始期と終期を特定して長期かつ連続の年次有給休暇の時季指定をした場合には、これに対する使用者の時季変更権の行使については、[…(略)…]使用者にある程度の裁量的判断の余地を認めざるを得ない。」とするのが最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年選択】

A 事業の正常な運営

B 裁量的判断

ポイント!

・ 労働者が長期かつ連続の年次有給休暇を取得しようとする場合、それが長期のものであればあるほど、事業の正常な運営に支障を来す蓋然性が高くなる。

・ 労働者が、事前の調整を経ることなく、始期と終期を特定して長期かつ連続の年次有給休暇の時季指定をした場合には、使用者の時季変更権の行使については、使用者にある程度の裁量的判断の余地が認められる。

・ 裁量的判断が、労働基準法39条の趣旨に反し、使用者が労働者に休暇を取得させるための状況に応じた配慮を欠くなど不合理であると認められるときは、その行使は違法となる。

(平成4.6.23最高裁判所第三小法廷)

 

 

②【H22年選択】

A 事前の調整

ポイント!

・ 労働者が長期かつ連続の年次有給休暇を取得しようとする場合には、それが長期のものであればあるほど、事業の正常な運営に支障を来す蓋然性が高くなり、使用者の業務計画、他の労働者の休暇予定等との事前の調整を図る必要が生ずるのが通常である。

(平成4.6.23最高裁判所第三小法廷)

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 労働基準法第39条第5項にいう「事業の正常な運営を妨げる場合」か否かの判断に当たり、勤務割による勤務体制がとられている事業場において、「使用者としての通常の配慮をすれば、勤務割を変更して代替勤務者を配置することが客観的に可能な状況にあると認められるにもかかわらず、使用者がそのための配慮をしないことにより代替勤務者が配置されないときは、必要配置人員を欠くものとして事業の正常な運営を妨げる場合に当たるということはできないと解するのが相当である。」とするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇 

 勤務割を変更して代替勤務者を配置することが可能な状況にあるにもかかわらず、休暇の利用目的のいかんによってそのための配慮をせずに時季変更権を行使することは、利用目的を考慮して年次休暇を与えないことに等しく、許されない、とされています。

(昭和62.7.10最高裁判所第二小法廷)

 

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社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 労働基準法

R6-110

R5.12.15 労基法第15項第1項の労働条件

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は労働基準法です。

 

条文を読んでみましょう。

15条 (労働条件の明示)

① 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

② 明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる

③ 就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。

 

  労働契約締結の際に、使用者は、労働者に対して「賃金、労働時間その他の労働条件」を明示する義務があります。

 明示事項には、「必ず明示しなければならない事項」と「定めをしている場合は明示しなければならない事項」の2種類があります。

まず、過去問からどうぞ!

①【H16年出題】

 労働基準法第15条に基づいて明示すべき労働条件の範囲は、同法第1条「労働条件の原則」及び第2条「労働条件の決定」でいう労働条件の範囲とは異なる。

 

②【H24年出題】

 使用者は、「表彰に関する事項」については、それに関する定めをする場合であっても、労働契約の締結に際し、労働者に対して、労働基準法第15条の規定に基づく明示をする必要はない。

 

③【H23年出題】

 労働基準法第15条第1項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

 

④【R4年出題】

 労働基準法第15条第3項にいう「契約解除の日から14日以内」であるとは、解除当日から数えて14日をいい、例えば、91日に労働契約を解除した場合は、91日から914日までをいう。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H16年出題】 〇

 第1条「労働条件の原則」及び第2条「労働条件の決定」でいう労働条件は、賃金、労働時間、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎などに関する条件を含む労働者の職場における一切の待遇のことです。

 一方、第15条に基づいて明示すべき労働条件の範囲は、施行規則第5条で具体的に決められています。

 第1条及び第2条の「労働条件」と第15条に基づいて明示すべき労働条件の範囲は、異なります。

 

 

②【H24年出題】 ×

 「表彰に関する事項」は、それに関する定めをする場合は、労働契約の締結に際し、明示しなければならない事項です。

(則第5条)

 

③【H23年出題】 〇 

 労働基準法第15条第1項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合は、労働者は、即時に労働契約を解除できます。

 

 

④【R4年出題】 × 

 「契約解除の日から14日以内」は、民法の期間計算の原則によります。

 91日に労働契約を解除した場合は、解除当日ではなく解除の翌日から数えて14日をいいます。契約解除の日から14日以内は、9月2日から数えて、915日までをいいます。

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

社宅が単なる福利厚生施設とみなされる場合においては、社宅を供与すべき旨の条件は労働基準法第15条第1項の「労働条件」に含まれないから、労働契約の締結に当たり同旨の条件を付していたにもかかわらず、社宅を供与しなかったときでも、同条第2項による労働契約の解除権を行使することはできない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇 

 社宅が単なる福利厚生施設とみなされる場合は、社宅を供与する旨の条件は第15条第1項の「労働条件」に含まれません。そのため、社宅を供与しなかったときでも、労働者は即時に労働契約を解除することはできません。

 ちなみに、社宅を利用する利益が、11条にいう賃金である場合は、第15条第1項の「賃金、労働時間その他の労働条件」に該当しますので、社宅を供与しなかった場合は、労働者は即時に労働契約を解除することができます。

S23.11.27基収3514号)

 

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令和5年度過去問で解ける問題 労働基準法

R6-098

R5.12.3 第6条 中間搾取の排除

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は労働基準法です。

 

条文を読んでみましょう。

6条 (中間搾取の排除)

何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。

 

さっそく過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 労働基準法第6条は、法律によって許されている場合のほか、業として他人の就業に介入して利益を得てはならないとしているが、その規制対象は、私人たる個人又は団体に限られ、公務員は規制対象とならない。

 

 

②【H26年出題】

 労働基準法第6条は、業として他人の就業に介入して利益を得ることを禁止しており、その規制対象は、使用者であるか否かを問わないが、処罰対象は、業として利益を得た法人又は当該法人のために実際の介入行為を行った行為者たる従業員に限定される。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 ×

 「何人も」とは、労働基準法の適用を受ける事業主に限定されません。その規制対象は、個人、団体又は公人、私人を問いません。そのため、公務員も規制対象となります。

S23.3.2基発381号)

 

 

②【H26年出題】 × 

 処罰対象は、個人、団体又は公人、私人を問いません。業として利益を得た法人又は当該法人のために実際の介入行為を行った行為者たる従業員だけではありません。

S23.3.2基発381号)

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

【R5年出題】

 法人が業として他人の就業に介入して利益を得た場合、労働基準法第6条違反が成立するのは利益を得た法人に限定され、法人の為に違反行為を計画し、かつ実行した従業員については、その者が現実に利益を得ていなければ同条違反は成立しない。

 

 

 

 

 

【解答】

【R5年出題】 ×

 法人が業として他人の就業に介入して利益を得た場合、法人の為に違反行為を計画し、かつ実行した従業員が現実に利益を得ていない場合でも、法人の従業員について第6条違反が成立します。

S34.2.1633基収8770号) 

 

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社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 労働基準法

R6-097

R5.12.2 賃金直接払の原則

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は労働基準法です。

 

賃金支払五原則の条文を読んでみましょう。

24条 (賃金の支払)

① 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

② 賃金は、毎月1回以上一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金については、この限りでない。

 

賃金支払の原則は次の5つです。

1 通貨払い

2 直接払い

3 全額払い

4 毎月1回以上払い

5 一定期日払い

 

今日は「直接払いの原則」をみていきます。

 

過去問をどうぞ!

①【H21年出題】

 賃金は直接労働者に支払わなければならず、労働者の委任を受けた弁護士に賃金を支払うことは労働基準法第24条違反となる。

 

②【H28年出題】

 労働者が賃金の支払を受ける前に賃金債権を他に譲渡した場合でも、使用者は当該賃金債権の譲受人に対してではなく、直接労働者に対し賃金を支払わなければならないとするのが、最高裁判所の判例である。

 

③【H30年出題】

 派遣先の使用者が、派遣中の労働者本人に対して、派遣元の使用者からの賃金を手渡すことだけであれば、労働基準法第24条第1項のいわゆる賃金直接払の原則に違反しない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H21年出題】 〇 

 労働基準法第24条第1項は、労働者本人以外の者に賃金を支払うことを禁止しています。そのため、労働者の親権者その他の法定代理人に賃金を支払うこと、労働者の委任を受けた任意代理人に賃金を支払うことは、第24条違反となります。

 労働者の委任を受けた弁護士に賃金を支払うことはできません。

S63.3.14基発150号)

 

②【H28年出題】 〇

 労働者が賃金債権を他に譲渡した場合でも、労働基準法第24条の直接払いの原則は適用されますので、使用者は、直接労働者に対し賃金を支払わなければなりません。譲受人に対して賃金を支払うことはできません。

(最高三小43.3.12

 

 

③【H30年出題】 〇 

 派遣先の使用者が、派遣中の労働者本人に対して、派遣元の使用者からの賃金を手渡すことだけであれば、賃金直接払の原則には違反しません。

(S61.6.6基発333号)

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 労働基準法第24条第1項に定めるいわゆる直接払の原則は、労働者と無関係の第三者に賃金を支払うことを禁止するものであるから、労働者の親権者その他法定代理人に支払うことは直接払の原則に違反しないが、労働者の委任を受けた任意代理人に支払うことは直接払の原則に違反する。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 × 

 労働者の親権者その他法定代理人に支払うこと、労働者の委任を受けた任意代理人に支払うこと、どちらも直接払の原則に違反します。

S63.3.14基発150号)

 

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社労士受験のあれこれ

令和5年の問題より 労働基準法

R6-096

R5.12.1 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置

今日は労働基準法です。

 

 「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」のポイントをみていきます。

 

まず、ガイドラインの趣旨を読んでみましょう。

 労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有している。

 しかしながら、現状をみると、労働時間の把握に係る自己申告制(労働者が自己の労働時間を自主的に申告することにより労働時間を把握するもの。)の不適正な運用等に伴い、同法に違反する過重な長時間労働や割増賃金の未払いといった問題が生じているなど、使用者が労働時間を適切に管理していない状況もみられるところである。

 このため、本ガイドラインでは、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置を具体的に明らかにする。

(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインより)

 

 使用者は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録しなければなりませんが、その原則的な方法をみていきます。

 

 

では令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 使用者は、労働時間の適正な把握を行うべき労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録することとされているが、その方法としては、原則として「使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること」、「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」のいずれかの方法によることとされている。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇

 使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいず

れかの方法によることとされています。

①使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。

タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎

として確認し、適正に記録すること。

 

 なお、労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者

の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たるとされています。

(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定)) 

 

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令和5年度過去問で解ける問題 労働基準法

R6-095

R5.11.30 労働者の過半数を代表する者の要件

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は労働基準法です。

 

 「労使協定」の労働者側の当事者は、

・事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合

 労働者の過半数で組織する労働組合がないときは

・労働者の過半数を代表する者

となります。

 

「労働者の過半数を代表する者」の条件を条文を読んでみましょう。

則第6条の21項、3項 

① 労働者の過半数を代表する者(以下「過半数代表者」という。)は、次の各号のいずれにも該当する者とする。

1 法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。

2 法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であって、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと。

③ 使用者は、労働者が過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない。 

 

 

過去問をどうぞ!

①【H22年出題】

 労働基準法第41条第2項に定めるいわゆる管理監督者に当たる者であっても、労働基準法第9条に定める労働者に該当し、当該事業場の管理監督者以外の労働者によって選出された場合には、労働基準法第36条第1項等に定める労働基準法上の労使協定を締結する労働者側の当事者である過半数を代表する者になることができる。

 

 

②【H13年出題】

 労働者の過半数で組織する労働組合がない事業場において36協定を締結する場合、労働者側の締結当事者たる「労働者の過半数を代表する者」の「労働者」の範囲には、そもそも労働時間の規定の適用がない労働基準法第41条第2号に該当する監督又は管理の地位にある者は含まれない。

 

 

③【H22年出題】

 労働基準法第36条第1項等に定める労働基準法上の労使協定を締結する労働者側の当事者は、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者とされており、労働者の過半数を代表する者の選出は、必ず投票券等の書面を用いた労働者による投票によって行わなければならない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H22年出題】 ×

 労働者側の当事者である過半数を代表する者については、「法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと」が条件です。

 いわゆる管理監督者に当たる者は、過半数を代表する者になることはできません。

(則第6条の21項第1号)

 

 

②【H13年出題】 ×

 監督又は管理の地位にある者は、「労働者の過半数を代表する者」になることはできません。

 しかし、監督又は管理の地位にある者も「労働者」には該当します。そのため、「労働者の過半数を代表する者」の「労働者」の範囲には、監督又は管理の地位にある者も含みます。

S46.1.1845基収6206号)

 

 

③【H22年出題】 ×

 「協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者」が条件ですので、「投票券等の書面を用いた労働者による投票」に限定されることはありません。

 なお、「投票、挙手等」の「等」には、労働者の話し合い、持ち回り決議等労働者の過半数が当事者の選任を支持していることが明確になる民主的な手続きが該当する、とされています。

H11.3.31基発169号)

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 いかなる事業場であれ、労働基準法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であって、使用者の意向に基づき選出された者でないこと、という要件さえ満たせば、労働基準法第24条第1項ただし書に規定する当該事業場の「労働者の過半数を代表する者」に該当する。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 ×

 「労働基準法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であって、使用者の意向に基づき選出された者でないこと」という要件と、「法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと」という要件を満たす必要があります。 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/k-JA-TMc8kY?si=XNdCODHKc6zXfO5U

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令和5年度過去問で解ける問題 労働基準法

R6-089

R5.11.24 第5条 強制労働の禁止

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は労働基準法です。

 

条文を読んでみましょう。

5条 (強制労働の禁止)

 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない

 

  労働者の意思に反して「労働を強制すること」を禁止する規定です。労働者が現実に「労働」することは必要ではなく、労働することを「強要」したなら、第5条違反となります。

S23.3.2基発381号)

 

 

さっそく過去問をどうぞ!

 

①【R2年出題】

 労働基準法第5条に定める「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」の「不当」とは、本条の目的に照らし、かつ、個々の場合において、具体的にその諸条件をも考慮し、社会通念上是認し難い程度の手段をいい、必ずしも「不法」なもののみに限られず、たとえ合法的であっても、「不当」なものとなることがある。

 

 

②【R3年出題】

 労働基準法第5条に定める「脅迫」とは、労働者に恐怖心を生じさせる目的で本人又は本人の親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対して、脅迫者自ら又は第三者の手によって害を加えるべきことを通告することをいうが、必ずしも積極的言動によって示す必要はなく、暗示する程度でも足りる。

 

 

③【H29年出題】

 労働基準法第5条に定める強制労働の禁止に違反した使用者は、「1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金」に処せられるが、これは労働基準法で最も重い刑罰を規定している。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 〇 

 「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」を用いて「労働を強制」した場合は、第5条違反となります。その手段の正当であるか不当であるかによって第5条違反が決定されます。

S63.3.14基発150号)

 

 

②【R3年出題】 〇 

 「脅迫」とは、必ずしも積極的言動によって示す必要はなく、暗示する程度でも足ります。

S63.3.14基発150号)

 

 

③【H29年出題】 〇 

 「強制労働の禁止」に違反した使用者には、「1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金」という労働基準法で最も重い刑罰が科せられます。 

(法第117条)

 

 

では令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 労働基準法第5条に定める「監禁」とは、物質的障害をもって一定の区画された場所から脱出できない状態に置くことによって、労働者の身体を拘束することをいい、物質的障害がない場合には同条の「監禁」に該当することはない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 ×

 「監禁」とは、一定の区画された場所から脱出できない状態に置くことにより、労働者の身体の自由を拘束することをいい、必ずしも物質的障害もってを手段とする必要はありません。

S63.3.14基発150号)

 

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社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 労働基準法

R6-082

R5.11.17 天災その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は労働基準法です。

 

条文を読んでみましょう。

19条 (解雇制限)

① 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない

ただし、使用者が、第81条の規定によって打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、この限りでない。

② 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

 

20条第1項、3項 (解雇の予告)

① 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。

但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

③ 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する

 

★解雇が制限される期間は次の2つです。

① 業務上の負傷又は疾病により療養のために休業する期間+その後30日間

② 産前産後の女性が休業する期間+その後30日間

(例外)

・打切補償を支払う場合

・天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合(→所轄労働基準監督署長の認定が必要)

 

★解雇しようとする場合は、予告が必要です。

・少なくとも30日前に予告をする又は30日分以上の平均賃金を支払う(予告期間と平均賃金を併用することもできます)

(例外)

・天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合(→所轄労働基準監督署長の認定が必要)

・労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合(→所轄労働基準監督署長の認定が必要)

 

では、過去問をどうぞ!

①【H23年出題】

 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においても、使用者は、労働基準法第20条所定の予告手当を支払うことなく、労働者を即時解雇しようとする場合には、行政官庁の認定を受けなければならない。

 

②【R2年出題】

 使用者は、労働者を解雇しようとする場合において、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」には解雇の予告を除外されるが、「天災事変その他やむを得ない事由」には、使用者の重過失による火災で事業場が焼失した場合も含まれる。

 

③【H30年出題】

 使用者は、税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合には、「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」として、労働基準法第65条の規定によって休業する産前産後の女性労働者であっても解雇することができる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H23年出題】 〇 

 例外が認められる第19条、20条の「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」、第20条の「労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合」は、行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定を受けなければなりません。使用者の一方的な判断で例外が適用されることを防ぐためです。

 

 

②【R2年出題】 × 

 「やむを得ない事由」とは、天災事変に準ずる程度に不可抗力に基づきかつ突発的な事由です。「事業場が火災により焼失した場合」はやむを得ない事由に該当しますが、事業主の故意又は過失に基づく場合は除かれます。

問題文の「使用者の重過失による火災で事業場が焼失した場合」はやむを得ない事由に含まれません。

S63.3.14基発150号)

 

③【H30年出題】 ×

 税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合は、「やむを得ない事由」に該当しません。その場合は、産前産後休業中の女性労働者は解雇できません。

S63.3.14基発150号)

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 従来の取引事業場が休業状態となり、発注品がないために事業が金融難に陥った場合には、労働基準法第19条及び第20条にいう「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」に該当しない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇 

 従来の取引事業場が休業状態となり、発注品がないために事業が金融難に陥った場合には、「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」に該当しません。

S63.3.14基発150号)

 

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社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 労働基準法

R6-076

R5.11.11 副業・兼業の休憩について

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は労働基準法です。

 

条文を読んでみましょう。

38条第1

 労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する

 

 第38条第1項の規定により、複数の事業場における労働時間は通算されます。

 また、事業主が異なっていても(会社が違っていても)、労働時間は通算されます。

S23.5.14基発769

 

まず、過去問をどうぞ

H26年出題】

 労働基準法上の労働時間に関する規定の適用につき、労働時間は、同一事業主に属する異なった事業場において労働する場合のみでなく、事業主を異にする事業場において労働する場合も通算される。

 

 

 

 

 

 

【解答】

H26年出題】 〇

 例えば、A株式会社の大阪支店と神戸営業所で労働した場合は、労働時間は通算されます。また、A株式会社の事業場とB株式会社の事業場で労働するような場合(事業主を異にする事業場において労働する場合)も労働時間は通算されます。

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 労働基準法に定められた労働時間規制が適用される労働者が事業主を異にする複数の事業場で労働する場合、労働基準法第38条第1項により、当該労働者に係る同法第32条・第40条に定める法定労働時間及び同法第34条に定める休憩に関する規定の適用については、労働時間を通算することとされている。

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 × 

 労働者が、事業主を異にする複数の事業場で労働する場合、第32条・第40条に定める法定労働時間は通算されます。

 しかし、「休憩(法第 34 条)、休日(法第 35 条)、年次有給休暇(法第 39 条)については、労働時間に関する規定ではなく、その適用において自らの事業場における労働時間及び他の使用者の事業場における労働時間は通算されないこと。」とされています。

 問題文の「第34条に定める休憩」の適用については、通算されません。

R2..1基 発 0 901 第 3 号)

 

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社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 労働基準法

R6-070

R5.11.5 災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働の適用について

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は労働基準法です。

 

 災害等による臨時の必要がある場合は、使用者は行政官庁の許可を受けて、時間外労働・休日労働をさせることができます。

 

 条文を読んでみましょう。

33条第1項 (災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働)

災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において法定労働時間を延長し、又は法定休日に労働させることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならない。 

 

「年少者」の適用について条文を読んでみましょう。

60条第1

 第32条の2から第32の5まで、第36条、第40条及び第41条の2の規定は、18才に満たない者については、これを適用しない。 

 

 第32条の2から第32の5(1か月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制、  1年単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型的変形労働時間制)、第36条(36協定による時間外・休日労働)、第40条(労働時間及び休日の特例)、第41条の2高度プロフェッショナル制度)は、年少者には適用されません。

 

 

次に、「妊産婦」の適用について条文を読んでみましょう。

66条第2項 

 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。

 

 第33条第1項(災害その他避けることのできない事由により臨時の必要がある場合)及び第3項(公務のため臨時の必要がある場合)、第36条第1項(36協定による場合)でも、 妊産婦は、時間外労働・休日労働をしないことを請求することができます。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H30年出題】

 使用者は、労働基準法第56条第1項に定める最低年齢を満たした者であっても、満18歳に満たない者には、労働基準法第36条の協定によって時間外労働を行わせることはできないが、同法第33条の定めに従い、災害等による臨時の必要がある場合に時間外労働を行わせることは禁止されていない。

 

 

②【H25年出題】

 使用者は、労働基準法第66条第2項の規定に基づき、妊産婦が請求した場合においては、同法第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年出題】 〇 

18歳未満の者には、第36条(36協定による時間外・休日労働)の規定は、適用されません。そのため、36協定があっても時間外労働を行わせることはできません。

 第33条(災害等による臨時の必要がある場合)の規定は、18歳未満の者にも適用されます。災害等による臨時の必要がある場合は、満18歳未満の者でも時間外労働・休日労働をさせることができます。

 

 

②【H25年出題】 〇 

 妊産婦が請求した場合は、災害その他避けることのできない事由により臨時の必要がある場合、公務のため臨時の必要がある場合、36協定による場合でも、時間外労働・休日労働はさせられません。妊産婦全員ではなく、「妊産婦が請求した場合」に禁止されることに注意してください。

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 災害等により臨時の必要がある場合の時間外労働等を規定した労働基準法第33条第1項は年少者にも適用されるが、妊産婦が請求した場合においては、同項を適用して時間外労働等をさせることはできない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇

 第33条第1項「災害等により臨時の必要がある場合の時間外労働等」の規定について

・年少者には適用されます。災害等により臨時の必要がある場合は年少者に時間外労働等をさせることができます。

・「妊産婦が請求」した場合は、災害等により臨時の必要がある場合でも、時間外労働等をさせることはできません。

 

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令和5年度過去問で解ける問題 労働基準法

R6-063

R5.10.29 産前産後休業

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は労働基準法です。

 

 

条文を読んでみましょう。

65条第1項、2項 (産前産後)

① 使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。

② 使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。

 

ポイント!

①産前休業

 ・女性労働者からの「請求」が要件です。

 ・産前休業は6週間(多胎妊娠の場合は14週間)です。

②産後休業

 ・産後休業は8週間です。請求は要件ではありません。

 ・6週間を経過した後は、女性労働者が請求し、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは可能です。

 

では、過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 労働基準法第65条の「出産」の範囲は、妊娠4か月以上の分娩をいうが、1か月は28日として計算するので、4か月以上というのは、85日以上ということになる。

 

②【R3年出題】

 労働基準法第65条の「出産」の範囲に妊娠中絶が含まれることはない。

 

③【H25年出題】

 使用者は、妊娠100日目の女性が流産した場合については、労働基準法第65条に規定する産後休業を与える必要はない。

 

④【R3年出題】

 使用者は、産後8週間(女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせる場合は6週間)を経過しない女性を就業させてはならないが、出産当日は、産前6週間に含まれる。

 

⑤【R3年出題】

 6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性労働者については、当該女性労働者の請求が産前の休業の条件となっているので、当該女性労働者の請求がなければ、労働基準法第65条第1項による就業禁止に該当しない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 〇 

 「出産」の範囲は妊娠4か月以上で、1か月は28日として計算します。そのため、 4か月以上とは、85日以上となります。

S23.12.23基発1885号)

 

②【R3年出題】 × 

 「出産」の範囲は、妊娠4か月以上の分娩ですので、生産のみならず死産も含まれます。妊娠中絶も妊娠4か月以後に行った場合は、対象になります。

S26.4.2婦発113号)

 

③【H25年出題】 ×

 妊娠85日以上の場合は、労働基準法第65条が適用されます。妊娠100日目の女性が流産した場合は、産後休業を与えなければなりません。

S23.12.23基発1885号)

 

④【R3年出題】 〇

 出産当日は、産前6週間に含まれます。

S25.3.31基収4057号)

 

⑤【R3年出題】 〇

 6週間(多胎妊娠の場合は、14週間)以内に出産する予定の女性労働者については、女性労働者からの請求が産前休業の条件です。女性労働者から請求がなければ、労働基準法第65条第1項による就業禁止に該当しません。

 

令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 女性労働者が妊娠中絶を行った場合、産前6週間の休業の問題は発生しないが、妊娠4か月(1か月28日として計算する。)以後行った場合には、産後の休業について定めた労働基準法第65条第2項の適用がある。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇 

 産前6週間は、自然の出産予定日を基準に計算し、産後8週間は、現実の出産日を基準に計算します。 

 妊娠中絶については、産前6週間の休業の問題は発生しません。

 しかし、妊娠4か月(1か月28日として計算する。)以後に妊娠中絶を行った場合は、産後休業が適用されます。

S26.4.2婦発113号)

 

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令和5年度過去問で解ける問題 労働基準法

R6-058

R5.10.24 年少者、妊産婦等の坑内労働

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は労働基準法です。

 

「坑内労働」について条文を読んでみましょう。

63条 (坑内労働の禁止)

 使用者は、18才に満たない者坑内で労働させてはならない

 

64条の2(坑内業務の就業制限)

 使用者は、次の各号に掲げる女性を当該各号に定める業務に就かせてはならない

① 妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た産後1年を経過しない女性

 ↓

坑内で行われるすべての業務

② ①に掲げる女性以外の18歳以上の女性

 坑内で行われる業務のうち人力により行われる掘削の業務その他の女性に有害な業務として厚生労働省令で定めるもの

 

★満18歳未満の者の坑内労働は禁止されています。

 

★妊産婦について

・妊娠中の女性は、坑内業務に就かせられません。

・産後1年を経過しない女性は、「本人が申し出た場合」のみ、坑内業務に就かせられません。

 

★上記の妊産婦以外の満18歳以上の女性について

 ・人力により行われる掘削の業務など女性に有害な業務には、就かせられません。

 ・女性技術者が坑内の管理、監督業務等に従事することができます。

 

では、過去問をどうぞ!

H20年出題】

 使用者は、労働基準法第64条の2の規定により、妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た産後1年を経過しない女性については、坑内で行われる業務に就かせてはならないが、それ以外の女性については、男性と同様に坑内で行われる業務に就かせることができる。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H20年出題】 ×

 「妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た産後1年を経過しない女性」以外の女性については、坑内の管理、監督業務等に従事することができます。しかし、人力により行われる掘削の業務など女性に有害な業務には、従事できませんので、男性と同様に坑内で行われる業務に就かせることはできません。

(参照:H18.10.11基発第1011001号)

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 年少者を坑内で労働させてはならないが、年少者でなくても、妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た女性については、坑内で行われるすべての業務に就かせてはならない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 × 

 坑内で行われるすべての業務に就かせてはならないのは、妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た「産後1年を経過しない」女性です。

 問題文は、「産後1年を経過しない」が抜けているので誤りです。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

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社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 労働基準法

R6-050

R5.10.16 労働者と使用者

過去問で解ける問題をみていきます。

今日は、労働基準法です。

 

条文を読んでみましょう。

9条 

 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)使用されるで、賃金を支払われるをいう。

 

10条 

 この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。

 

過去問をどうぞ!

①【R2年出題】

 「事業主」とは、その事業の経営主体をいい、個人企業にあってはその企業主個人、株式会社の場合は、その代表取締役をいう。

 

②【R4年出題】

 株式会社の代表取締役は、法人である会社に使用される者であり、原則として労働基準法の労働者になるとされている。

 

③【H29年出題】

 株式会社の取締役であっても業務執行権又は代表権を持たない者は、工場長、部長等の職にあって賃金を受ける場合には、その限りにおいて労働基準法第9条に規定する労働者として労働基準法の適用を受ける。

 

④【R2年出題 】

 事業における業務を行うための体制が、課及びその下部組織としての係で構成され、各組織の管理者として課長及び係長が配置されている場合、組織系列において係長は課長の配下になることから、係長に与えられている責任と権限の有無にかかわらず、係長が「使用者」になることはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 ×

 使用者には、「事業主」、「事業の経営担当者」、「その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」の3つがあります。

 そのうち、「事業主」とは、その事業の経営主体をいい、個人企業にあってはその企業主個人、株式会社の場合は、その代表取締役ではなく「法人そのもの」をいいます。

 

 

②【R4年出題】 ×

 法人、団体、組合等の代表者又は執行機関たる者のような、事業主体との関係において使用従属の関係に立たない者は、労働者になりません。 

 株式会社の代表取締役は、労働基準法の労働者ではありません。

S23.1.9基発14号)

 

 

③【H29年出題】 〇 

 株式会社の取締役で業務執行権又は代表権を持たない者が、工場長、部長等の職にあって賃金を受ける場合には、その限りにおいて労働基準法第9条に規定する労働者となります。

S23.3.17基発461号)

 

④【R2年出題 】 × 

 「使用者」とは労働基準法各条の義務についての履行の責任者をいい、その認定は部長、課長等の形式にとらわれません。各事業において、労働基準法各条の義務について実質的に一定の権限が与えられているか否かによります。

 「係長」でも、与えられている責任と権限の有無によっては、係長が「使用者」になることもあります。

S22.9.13発基第17)

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 労働基準法第10条にいう「使用者」は、企業内で比較的地位の高い者として一律に決まるものであるから、同法第9条にいう「労働者」に該当する者が、同時に同法第10条にいう「使用者」に該当することはない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 ×

 使用者となるか否かは、労働基準法各条の義務について実質的に一定の権限が与えられているか否かで判断します。企業内で比較的地位の高い者として一律に決まるものではありません。

 例えば、課長は、「事業に使用される者で、賃金を支払われる者」という面では、労働基準法の労働者です。一方、その課長に、ある事項について権限と責任が与えられている場合は、その事項については、その課長は使用者となります。

 「労働者」に該当する者が、同時に「使用者」に該当することは、あり得ます。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/KnrLAMQl9rI?si=uzc1w5rgNiOqBJRt

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令和5年度の問題より 労働基準法

R6-041

R5.10.7 賃金支払五原則の一つ 一定期日払いの原則

今日は、労働基準法です。

 

賃金支払5原則の条文を読んでみましょう。

24条 (賃金の支払)

① 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

② 賃金は、毎月1回以上一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金については、この限りでない。

 

賃金支払の原則は次の5つです。

1 通貨払い

2 直接払い

3 全額払い

4 毎月1回以上払い

5 一定期日払い

 

今日は、5つ目の「一定期日払い」の原則をみていきます。

賃金は、「毎月1回以上・一定期日を定めて」支払うのが原則です。

ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金は、毎月1回以上払いの原則・一定期日払いの原則について例外が認められています。

※「その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金」は、①1か月を超える期間の出勤成績によって支給される精勤手当、②1か月を超える一定期間の継続勤務に対して支給される勤続手当、③1か月を超える期間にわたる事由によって算定される奨励加給又は能率手当、です。(則第8条)

 

では、過去問をどうぞ!

R1年出題】

 労働基準法第24条第2項にいう「一定の期日」の支払については、「毎月15日」等と暦日を指定することは必ずしも必要ではなく、「毎月第2土曜日」のような定めをすることも許される。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R1年出題】 ×

 「一定の期日」の支払は、「毎月15日」等と暦日を指定することは必ずしも必要ではありません。例えば、「月の末日」、「土曜日」等とすることも可能です。

 しかし、「毎月第2土曜日」のような定めは許されません。「第2土曜日」は例えば 9月なら9日、10月なら14日となり、月によって変動があるためです。

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ

R5年出題】

 賃金の所定支払日が休日に当たる場合に、その支払日を繰り上げることを定めるだけでなく、その支払日を繰下げることを定めることも労働基準法第24条第2項に定めるいわゆる一定期日払に違反しない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇

 賃金の所定支払日が休日に当たる場合に、その支払日を繰り上げることも、支払日を繰下げることもどちらも可能です。どちらでも一定期日払に違反しません。

 

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令和5年度過去問で解ける問題 労働基準法

R6-032

R5.9.28 労働基準法違反の労働契約

「過去問」で解ける問題を解説していきます。

今日は、労働基準法です。

 

 

条文を読んでみましょう。

13条 (労働基準法違反の契約)

 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。

 

 労働基準法に違反する労働条件が含まれる労働契約は、契約全てが無効になるのではなく、「基準に達しない」部分だけが無効になることがポイントです。

 例えば、「法定時間外労働に対する割増賃金は支払わない」という労働条件が定められていた場合は、その部分だけが無効になります。

 そして、無効になった部分は、労働基準法の基準で埋められ、「法定時間外労働については割増賃金を支払う」となります。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H25年出題】

 労働基準法は、同法の定める基準に達しない労働条件を定める労働契約について、その部分を無効とするだけでなく、無効となった部分を同法所定の基準で補充することも定めている。

 

 

②【H30年出題】

 労働基準法第14条第1項第2号に基づく、満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(期間の定めがあり、かつ、一定の事業の完了に必要な期間を定めるものではない労働契約)について、同条に定める契約期間に違反した場合、同法第13条の規定を適用し、当該労働契約の期間は3年となる。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】 ○

 労働基準法の定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分が無効(空白)となり、空白となった部分は、労働基準法の基準で補充されます。

 

 

②【H30年出題】 ×

 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約は、特例でその期間の上限が5年となっています。

 その契約期間に違反した場合、労働基準法第13条の規定を適用し、当該労働契約の期間は3年ではなく「5年」となります。

(平成15.10.22基発第1022001)

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

労働基準法第14条第1項に規定する期間を超える期間を定めた労働契約を締結した場合は、同条違反となり、当該労働契約は、期間の定めのない労働契約となる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 ×

 労働基準法第14条第1項に規定する期間を超える期間を定めた労働契約を締結した場合は、同条違反となり、当該労働契約の期間は、法第13条により、法第14条第1項第1号(高度の専門的知識等を有する労働者)及び第2号(満60歳以上の労働者)については5年、その他のものについては3年となります。

 「期間の定めのない労働契約となる」は誤りです。

(平成15.10.22基発第1022001)

 

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令和5年度の問題より 労働基準法

R6-023

R5.9.19 休憩時間のポイント!

 今日は休憩時間のポイントを見ていきましょう。

 

条文を読んでみましょう。

34条 (休憩)

① 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも458時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない

② 休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない

③ 使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない

 

休憩の3原則を確認しましょう。

①途中に与える

②一斉に与える

③自由に利用させる

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

①【R5年出題】

 休憩時間は、労働基準法第34条第2項により原則として一斉に与えなければならないとされているが、道路による貨物の運送の事業、倉庫における貨物の取扱いの事業には、この規定は適用されない。

 

②【R5年出題】

 一昼夜交替制勤務は労働時間の延長ではなく二日間の所定労働時間を継続して勤務する場合であるから、労働基準法第34条の条文の解釈(一日の労働時間に対する休憩と解する)により一日の所定労働時間に対して1時間以上の休憩を与えるべきものと解して、2時間以上の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないとされている。

 

 

③【R5年出題】

 休憩時間中の外出について所属長の許可を受けさせるのは、事業場内において自由に休息し得る場合には必ずしも労働基準法第34条第3項(休憩時間の自由利用)に違反しない。

 

 

④【R5年出題】

 労働基準法第34条第1項に定める「6時間を超える場合においては少くとも45分」とは、一勤務の実労働時間の総計が6時間を超え8時間までの場合は、その労働時間の途中に少なくとも45分の休憩を与えなければならないという意味であり、休憩時間の置かれる位置は問わない。

 

⑤【R5年出題】

 工場の事務所において、昼食休憩時間に来客当番として待機させた場合、結果的に来客が1人もなかったとしても、休憩時間を与えたことにはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 


【解答】

①【R5年出題】 ×

 休憩時間は、原則として一斉に与えなければなりません。ただし、労使協定がある場合は、一斉に与えなくてもよいことになります。

 なお、以下の業種には一斉付与の原則が適用されませんので、労使協定は不要です。

運輸交通業、商業、金融・広告業、映画・演劇業

通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署の事業(別表第1に掲げる事業を除く。)

(施行規則第31条)

 

 「道路による貨物の運送の事業、倉庫における貨物の取扱いの事業」には、一斉付与の原則が適用されます。

 

②【R5年出題】 × 

 一昼夜交替制勤務でも、労働基準法上は、労働時間の途中に法第34条第1項の休憩を与えればよい、とされています。

S23.5.10基収1582号)

 

 

③【R5年出題】 ○

 休憩時間中の外出について所属長の許可を受けさせるのは、「事業場内で自由に休息し得る」場合には、必ずしも違法にはなりません。

S23.10.30基発1575号)

 

④【R5年出題】 ○

 一勤務の実労働時間の総計が6時間を超え8時間までの場合は、その労働時間の途中に少なくとも45分の休憩を与えなければならないという意味で、6時間を超えた時点で45分という意味ではありません。

S35.5.10基収1582号)

 

 

⑤【R5年出題】 ○

 休憩時間には、単に作業に従事しない手待ち時間は含まれません。休憩時間とは、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間をいいます。

昼食休憩時間に来客当番として待機させた時間は、手待ち時間になり、休憩時間ではなく労働時間となります。

S32.9.13発基17号)

 

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令和5年度過去問で解ける問題 労働基準法

R6-013

R5.9.9 一部のみ使用者の責に帰すべき事由による休業の日の休業手当

「過去問」で解ける問題を解説していきます。

今日は、労働基準法です。

 

まず、過去問からどうぞ!

H27年出題】

当該労働者の労働条件は次のとおりである。

  所定労働日:毎週月曜日から金曜日

  所定休日:毎週土曜日及び日曜日

  所定労働時間:1日8時間

  賃金:日給15,000円

  計算された平均賃金:10,000円

(問題)

 使用者の責に帰すべき事由により労働時間が4時間に短縮されたが、その日の賃金として7,500円の支払がなされると、この場合にあっては、使用者は、その賃金の支払に加えて休業手当を支払わなくても違法とならない。

 

 

 

 

 


【解答】 〇

1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責に帰すべき事由による休業がなされた場合にも、その日は平均賃金の100分の60に相当する金額を支払う義務があります。

 現実の労働時間に対する賃金が平均賃金の100分の60に満たない場合は、その差額を支払わなければなりません

S27.8.7基収3445号)

 

 問題文の1日当たりの休業手当は、10,000×100分の606,000円です。

 使用者の責に帰すべき事由で労働時間が4時間になり、その労働時間に対し7,500円が支払われています。

 現実の労働時間に対する賃金が平均賃金の100分の60以上ですので、賃金の支払に加えて休業手当を支払う必要はありません。

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 下記のとおり賃金を支払われている労働者が使用者の責に帰すべき事由により半日休業した場合、労働基準法第26条の休業手当に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  賃  金:日給 110,000

       半日休業とした日の賃金は、半日分の5,000円が支払われた。

  平均賃金:7,000

 

A 使用者は、以下の算式により2,000円の休業手当を支払わなければならない。

7,000円-5,000円=2,000

 

B 半日は出勤し労働に従事させており、労働基準法第26条の休業には該当しないから、使用者は同条の休業手当ではなく通常の1日分の賃金10,000円を支払わなければならない。

 

C 使用者は、以下の算式により1,000円の休業手当を支払わなければならない。

10,000×0.65,000円=1,000

 

D 使用者は、以下の算式により1,200円の休業手当を支払わなければならない。

 (7,000円-5,000円)×0.61,200

 

E 使用者が休業手当として支払うべき金額は発生しない。

 

 

 

 

 

 

 

 


【解答】 E

ポイント!

1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責に帰すべき事由による休業がなされた場合にも、平均賃金の100分の60に相当する金額を支払う義務があります。

★現実の労働時間に対する賃金は5,000円で、平均賃金の100分の607,000円×100分の60)以上です。そのため、使用者が休業手当として支払うべき金額は発生しません。

正しい記述はEです。 

 

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社労士受験のあれこれ

令和5年度選択式振り返り 労働基準法

R6-003

R5.8.30 労働基準法選択式は時効と判例からでした

令和5年度の選択式を振り返ります。

今日は労働基準法です。

 

Aは時効の問題です。

 

条文を読んでみましょう。

115条 (時効)

 この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から5年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から2年間行わない場合においては、時効によって消滅する。

附則第143条第3

当分の間、「賃金の請求権はこれを行使することができる時から5年間」とあるのは、「退職手当の請求権はこれを行使することができる時から5年間、この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)の請求権はこれを行使することができる時から3年間」とする。

 

★労働基準法の時効について確認しましょう。

・賃金(退職手当を除く) → 5年間(当分の間3年間)

・退職手当 → 5年間

・災害補償その他の請求権 → 2年間

 

Aは、災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)の時効ですので、「2年」となります。

 

 

Bは、年次有給休暇の時季変更権の判例の問題です。

 

 労働者が指定した年次有給休暇の期間が開始し又は経過したのちに、使用者が時季変更権を行使した場合の効力についてです。

 判例では、「労働者の年次有給休暇の請求(時季指定)がその指定した期間の始期にきわめて接近してされたため使用者において時季変更権を行使するか否かを事前に判断する時間的余裕がなかったようなときには、客観的に右時季変更権を行使しうる事由があり、かつ、その行使が遅滞なくされたものであれば、適法な時季変更権行使があったものとしてその効力を認めるのが相当である。」とされています。

(昭和57318最高裁判所第一小法廷)

 

Bは、「客観的に右時季変更権を行使しうる事由があり、かつ、その行使が遅滞なくされたものであれば、適法な時季変更権行使があったものとしてその効力を認める」から、「遅滞なく」が入ります。

 

 

Cは、「労働時間」についての問題です。

同じ論点の問題が過去に出題されていますので確認しましょう。

H22年出題】

 ビルの巡回監視等の業務に従事する労働者の実作業に従事していない仮眠時間についても、労働からの解放が保障されていない場合には労働基準法上の労働時間に当たるとするのが最高裁判所の判例である。

 

解答は「〇」です。

判例では、「労働者が実作業に従事していない仮眠時間であっても、労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているものであって、労働基準法32条の労働時間に当たる。」とされています。

(平成14228最高裁判所第一小法廷)

 

 

 今回のCの問題は、別の判例からの出題ですが、「不活動時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には労基法上の労働時間に当たるというべきである。そして、当該時間において労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず,労働者は使用者の指揮命令下に置かれているというのが相当である。」とされています。

Cには、「労働からの解放」が入ります。

(平成191019最高裁判所第二小法廷) 

 

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労働基準法 全額払の原則

R5-357

R5.8.19 賃金債権放棄の意思表示の効力

 賃金支払5原則の一つに、「全額払いの原則」があります。

 今日は、全額払の原則と賃金債権放棄の意思表示についてみていきます。

 

 賃金支払の原則は次の5つです。

(1) 通貨払い

(2) 直接払い

(3) 全額払い

(4) 毎月1回以上払い

(5) 一定期日払い

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

 賃金にあたる退職金債権放棄の効力について、労働者が賃金にあたる退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、当該意思表示は有効であるとするのが最高裁判所の判例である。

 

 

②【H25年出題】

 退職金は労働者にとって重要な労働条件であり、いわゆる全額払の原則は強行的な規制であるため、労働者が退職に際し退職金債権を放棄する意思表示をしたとしても、同原則の趣旨により、当該意思表示の効力は否定されるとするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

③【H27年出題】

 退職金は労働者の老後の生活のための大切な資金であり、労働者が見返りなくこれを放棄することは通常考えられないことであるから、労働者が退職金債権を放棄する旨の意思表示は、これが労働者の自由な意思に基づくものであるか否かにかかわらず、労働基準法第24条第1項の賃金全額払の原則の趣旨に反し無効であるとするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 〇

就業規則で支給条件が明確に定められている退職金は、労働基準法上の賃金に該当し、「全額払の原則」が適用されます。

・「全額払の原則」の趣旨は、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活をおびやかすことのないようにしてその保護をはかろうとするものです。

・賃金にあたる退職金債権放棄の効力について、労働者が賃金にあたる退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、当該意思表示は有効である、とされています。

(昭和48.1.19最高裁判所第二小法廷 シンガー・ソーイング・メシーン事件)

 

 

②【H25年出題】 ×

 労働者が退職に際し退職金債権を放棄する意思表示をした場合、それが労働者の「自由な意思」に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、「当該意思表示は有効」とするのが、最高裁判所の判例です。

(昭和48.1.19最高裁判所第二小法廷 シンガー・ソーイング・メシーン事件)

 

 

③【H27年出題】 ×

 労働者が退職金債権を放棄する旨の意思表示は、それが労働者の「自由な意思」に基づくものである場合は、その意思表示は「有効」であるとするのが、最高裁判所の判例です。

(昭和48.1.19最高裁判所第二小法廷 シンガー・ソーイング・メシーン事件)

 

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https://youtu.be/5FeOPnmBK_E

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労働基準法 36協定

R5-356

R5.8.18 労働者が時間外労働をする義務

 三六協定の条文を読んでみましょう。

36条第1項 (時間外及び休日の労働)

 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間又は第35条の休日に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる

 

★労使協定の効力について

 労働基準法上の労使協定の効力は、その協定に定めるところによって労働させても労働基準法に違反しないという免罰効果です。

 労働者の民事上の義務は、当該協定から直接生じるものではなく労働協約、就業規則等の根拠が必要です。

(昭和6311日基発第1号)

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H20年選択式】

 使用者が労働者に対し時間外労働を命じる場合について、「労働基準法〔…〕32条の労働時間を延長して労働させることにつき、使用者が、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等と書面による協定(いわゆる三六協定)を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該三六協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めているときは、当該就業規則の規定の内容が< A >ものである限り、それが具体的な労働契約の内容をなすから、右就業規則の規定の適用を受ける労働者は、その定めるところに従い、労働契約に定める労働時間を超えて労働をする義務を負うものと解するを相当とする〔…〕」というのが最高裁判所の判例である。

 

 

②【H27年出題】

 労働基準法第32条の労働時間を延長して労働させることにつき、使用者が、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等と書面による協定(いわゆる36協定)を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該36協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めていたとしても、 36協定は私法上の権利義務を設定する効果を有しないため、当該就業規則の規定の内容が合理的なものであるか否かにかかわらず、労働者は労働契約に定める労働時間を超えて労働をする義務を負わないとするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H20年選択式】

A 合理的な

 

 使用者が、三六協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た

 使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該三六協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めている

 就業規則の規定の内容が合理的なものである限り、それが具体的な労働契約の内容をなす

 労働者は、その定めるところに従い、労働契約に定める労働時間を超えて労働をする義務を負う

(最高一小H31128日 日立製作所武蔵工場事件)

 

 

 

②【H27年出題】 ×

 36協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該36協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めているときは、「当該就業規則の規定の内容が合理的なものである限り」、それが具体的な労働契約の内容をなし、労働者は労働契約に定める労働時間を超えて「労働をする義務を負う」とするのが、最高裁判所の判例です。

(最高一小H31128日 日立製作所武蔵工場事件)

 

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労働基準法 全額払いの原則

R5-333

R5.7.26 最高裁判例 適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺

「賃金支払五原則」を条文で読んでみましょう。

24条 

① 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

② 賃金は、毎月1回以上一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。

 

今日は、全額払いの原則の判例をみてみましょう。

 

過去問をどうぞ!

 

①【R3年出題】

 労働基準法第24条第1項の禁止するところではないと解するのが相当と解される「許さるべき相殺は、過払のあつた時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてされ、また、あらかじめ労働者にそのことが予告されるとか、その額が多額にわたらないとか、要は労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのない場合でなければならない」とするのが最高裁判所の判例である。

 

 

②【H27年出題】

 過払いした賃金を精算ないし調整するため、後に支払わるべき賃金から控除することは、その金額が少額である限り、労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれがないため、労働基準法第24条第1項に違反するものではないとするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

③【H21年選択】

 賃金の過払が生じたときに、使用者がこれを精算ないし調整するため、後に支払われるべき賃金から過払分を控除することについて、「適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺は、[・・・(略)・・・]その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の < A >との関係上不当と認められないものであれば、同項[労働基準法第24条第1項]の禁止するところではないと解するのが相当である」とするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 〇 

 賃金計算の過誤、違算等で、賃金の過払が生ずることがあります。これを精算・調整するため、後に支払われるべき賃金から控除できるとすることは、賃金支払の事務をする上で、合理的理由があるといえます。

 「適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺は、第24条第1項但書によつて除外される場合にあたらなくても、その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の経済生活の安定との関係上不当と認められないものであれば、禁止するところではない」と解されています。

S44.12.18最高裁判所第一小法廷)

 

 

②【H27年出題】 ×

 過払いした賃金を精算ないし調整するため、後に支払わるべき賃金から控除することは、「過払のあつた時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてされ、また、あらかじめ労働者にそのことが予告されるとか、その額が多額にわたらないとか、要は労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのない場合」とされています。

S44.12.18最高裁判所第一小法廷)

 

 

③【H21年選択】

A 経済生活の安定 

 

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労働基準法 前借金相殺の禁止

R5-332

R5.7.25 前借金相殺の禁止は「労働することが条件となっている」がポイント

今日は、前借金相殺の禁止規定をみていきます。

 

条文を読んでみましょう。

17条 (前借金相殺の禁止)

 使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。 

 

 第17条の趣旨は、金銭貸借関係と労働関係を完全に分離し金銭貸借関係に基づく身分的拘束関係の発生を防止することです。

S22.9.13発基17号)

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H25年出題】

 労働契約を締結する際に、労働者の親権者が使用者から多額の金銭を借り受けることは、人身売買や労働者の不当な足留めにつながるおそれがあるため、当該労働者の賃金と相殺されるか否かを問わず、労働基準法第17条に違反する。

 

 

②【R3年出題】

 労働基準法第17条にいう「労働することを条件とする前貸の債権」には、労働者が使用者から人的信用に基づいて受ける金融や賃金の前払いのような弁済期の繰上げ等で明らかに身分的拘束を伴わないものも含まれる。

 

 

③【H28年出題】

 労働者が、実質的にみて使用者の強制はなく、真意から相殺の意思表示をした場合でも、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】 ×

 第17条は、「労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺すること」を禁止しています。金銭を借り受けることだけでは、違反しません。

 

 

②【R3年出題】 ×

 労働者が使用者から人的信用に基づいて受ける金融や賃金の前払いのような弁済期の繰上げ等で明らかに身分的拘束を伴わないものは、「労働することを条件とする前貸の債権」には含まれません。

S22.9.13発基17号)

 

 

③【H28年出題】 ×

 「労働者」から意思表示があった場合の相殺は禁止されていません。

 

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https://youtu.be/NMBVGKmbZGE

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労働基準法 労働条件の明示

R5-331

R5.7.24 派遣労働者に対する労働条件の明示

https://youtu.be/6yoxOsuFBoM まず、労働条件の明示義務について条文を読んでみましょう。

15条第1項 (労働条件の明示)

 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

 

 労働契約締結の際、使用者は、賃金、労働時間その他の労働条件を明示する義務があります。

 「派遣労働者」に対する労働条件の明示義務は、派遣先、派遣元どちらにあるでしょうか?

 

過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 派遣労働者に対する労働条件の明示は、労働者派遣法における労働基準法の適用に関する特例により派遣先の事業のみを派遣中の労働者を使用する事業とみなして適用することとされている労働時間、休憩、休日等については、派遣先の使用者がその義務を負う。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 ×

 派遣労働者への労働条件の明示については、派遣元が義務を負わない労働時間、休憩、休日等も含めて、労働契約関係にある派遣元に明示義務があります。

 なお、労働者派遣法の労働基準法の適用に関する特例によって、労働時間、休憩、休日等は派遣先の事業が労働基準法に基づく義務を負います。

S61.6.6基発333号)

 

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https://youtu.be/6yoxOsuFBoM

社労士受験のあれこれ

労働基準法 休日

R5-330

R5.7.23 休日の解釈

 「休日」とは、労働義務のない日のことです。

 

 今日は、「休日」の解釈をみていきましょう。

 

 まず、条文を読んでみましょう。

35条 (休日)

① 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。

② ①の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。

 

休日について

・毎週少なくとも1日の休日を与える(原則)

又は

4週間を通じて4日以上の休日を与える(例外・変形休日制)

 

では、過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 労働基準法第35条に定める「一回の休日」は、24時間継続して労働義務から解放するものであれば、起算時点は問わないのが原則である。

 

 

②【H24年出題】

 労働基準法第35条に定める休日は、原則として暦日を意味するものと解されており、例えば、午前8時から翌日の午前8時までの労働と、同じく午前8時から翌日の午前8時までの非番とを繰り返す一昼夜交代勤務の場合に、非番の継続24時間の間労働義務がないとしても、同条の休日を与えたものとは認められない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 ×

 休日とは、「暦日」を指しますので、午前0時から午後12時までの24時間となります。

 24時間連続していれば良いというものではなく、起算時点を問わない、というのは誤りです。

S23.4.5基発535号)

 

 

②【H24年出題】 〇

 一昼夜交代勤務の場合でも「暦日」の休日の原則が適用されます。

 非番の継続24時間は、休日にはなりません。

S23.11.9基収2968号)

 

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労働基準法 解雇制限

R5-329

R5.7.22 解雇制限が適用される条件

今日は、解雇制限が適用される条件を確認しましょう。

 

条文を読んでみましょう。

19条 (解雇制限)

① 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。

 ただし、使用者が、第81条の規定によって打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、この限りでない。

② 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、その事由について行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定を受けなければならない。

 

 今日は、「休業する期間」の部分に注目してください。解雇制限が適用されるのは「休業する期間」です。

 

 

過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 使用者は、労働者が業務上の傷病により治療中であっても、休業しないで就労している場合は、労働基準法第19条による解雇制限を受けない。

 

 

②【R1年出題】

 使用者は、女性労働者が出産予定日より6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)前以内であっても、当該労働者が労働基準法第65条に基づく産前の休業を請求しないで就労している場合は、労働基準法第19条による解雇制限を受けない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 〇

 労働基準法の解雇制限を受けるのは、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために「休業する期間」及びその後30日間ですので、労働者が業務上の傷病により治療中だったとしても、休業しないで就労している場合は、解雇制限は受けません。

 

 

②【R1年出題】 〇

 女性労働者が出産予定日より6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)前以内だったとしても、当該労働者が産前休業を請求しないで就労している場合は、解雇制限は受けません。

S25.6.16基収1526号) 

 

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https://youtu.be/cX5zZETcCZE

社労士受験のあれこれ

労働基準法 最高裁判例

R5-328

R5.7.21 最高裁判例 研修医は労働者に該当する

 今日は最高裁判例をみていきます。

 

まず、労働者の定義を条文で読んでみましょう。

9

 労働基準法で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

 

 

では、過去問をどうぞ!

H29年出題】

 医科大学付属病院に勤務する研修医が、医師の資質の向上を図ることを目的とする臨床研修のプログラムに従い、臨床研修指導医の指導の下に医療行為等に従事することは、教育的な側面を強く有するものであるため、研修医は労働基準法第9条所定の労働者に当たることはないとするのが、最高裁判所の判例の趣旨である。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H29年出題】 ×

 この判例では、「研修医は労働基準法第9条所定の労働者に当たる」とされました。

 臨床研修の目的は、医師の資質の向上を図ることで、教育的な側面を有しています。しかし、そのプログラムに従い、臨床研修指導医の指導の下に、研修医が医療行為等に従事することを予定しています。

 判例の要旨は、「研修医がこのようにして医療行為等に従事する場合には、これらの行為等は病院の開設者のための労務の遂行という側面を不可避的に有することとなるのであり、病院の開設者の指揮監督の下にこれを行ったと評価することができる限り、上記研修医は労働基準法9条所定の労働者に当たるものというべきである。」となっています。

(平成1763最高裁判所第二小法廷) 

 

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https://youtu.be/xITt1FBKWfo

社労士受験のあれこれ

労働基準法 休業手当

R5-309

R5.7.2 休業手当支払いのルール

 今日は休業手当の支払ルールです。

 

休業手当について条文を読んでみましょう。

26条 

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

 

 

さっそく過去問をどうぞ!

H27年出題】

 当該労働者の労働条件は次のとおりである。

  所定労働日:毎週月曜日から金曜日

  所定休日:毎週土曜日及び日曜日

  所定労働時間:1日8時間

  賃金:日給15,000

  計算された平均賃金:10,000

① 使用者の責に帰すべき事由によって、水曜日から次の週の火曜日まで1週間休業させた場合、使用者は、7日分の休業手当を支払わなければならない。

 

② 使用者の責に帰すべき事由により労働時間が4時間に短縮されたが、その日の賃金として7,500円の支払がなされると、この場合にあっては、使用者は、その賃金の支払に加えて休業手当を支払わなくても違法とならない。

 

③ 就業規則の定めに則り、日曜日の休日を事業の都合によってあらかじめ振り替えて水曜日を休日とした場合、当該水曜日に休ませても使用者に休業手当を支払う義務は生じない。

 

④ 休業手当の支払義務の対象となる「休業」とは、労働者が労働契約に従って労働の用意をなし、しかも労働の意思をもっているにもかかわらず、その給付の実現が拒否され、又は不可能となった場合をいうから、この「休業」には、事業の全部又は一部が停止される場合にとどまらず、使用者が特定の労働者に対して、その意思に反して、就業を拒否する場合も含まれる。

 

⑤ 休電による休業については、原則として労働基準法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業に該当しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

① ×

 休業手当は、「休日」に支給する義務はありません。

 問題文の場合は、休日を除いた5日分の休業手当を支払わなければなりません。

S24.3.22基収4077号)

 

② 〇

 1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責に帰すべき事由が生じた場合も、その日は平均賃金の100分の60以上を支払わなければなりません。

 実際に労働した時間分の賃金が、平均賃金の100分の60未満の場合は、その差額を支払わなければなりません。

 問題文は、実際に労働した時間の賃金として7,500円が支払われています。平均賃金の100分の60以上が支払われていますので、その賃金の支払に加えて休業手当を支払う必要はありません。

S27.8.7基収3445号)

 

③ 〇

 振り替えによって休日となった水曜日に休業手当を支払う義務はありません。

 

④ 〇

 使用者が特定の労働者に対して、その意思に反して、就業を拒否する場合も、休業手当の支払が必要です。

 

 

⑤ 〇

 休電による休業については、原則として使用者の責に帰すべき事由による休業に該当しませんので、休業手当を支払う義務はありません。

S26.10.11基発696号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 平均賃金

R5-308

R5.7.1 平均賃金の計算方法

平均賃金の算定ルールを確認しましょう。

 

 条文を読んでみましょう。

12条第1項~5

 平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の1によって計算した金額を下ってはならない

1 賃金が、労働した若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60

2 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額

 期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。

 期間中に、次の各号のいずれかに該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、期間及び賃金の総額から控除する。

1 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間

2 産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間

3 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間

4 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に規定する育児休業又は介護休業をした期間

5 試みの使用期間

 賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの算入しない。

 賃金が通貨以外のもので支払われる場合、賃金の総額に算入すべきものの範囲及び評価に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。 

 

平均賃金の計算式(原則)

3か月間の賃金の総額

3か月間の総日数

について → 賃金総額(分子)、日数(分母)の両方から除外する

について → 賃金総額(分子)から除外する

 

平均賃金の最低保障額

3か月間の賃金の総額

×

60

3か月間の労働した日数

100

※最低保障が適用されるのは、日給制、時間給制、出来高払制(請負制)の場合です。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H27年出題】

 平均賃金の計算の基礎となる賃金の総額には、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金、通勤手当及び家族手当は含まれない。

 

②【H27年出題】

 平均賃金の計算において、労働者が労働基準法第7条に基づく公民権の行使により休業した期間は、その日数及びその期間中の賃金を労働基準法第12条第1項及び第2項に規定する期間及び賃金の総額から除外する。

 

③【H27年出題】

 労働災害により休業していた労働者がその災害による傷病が原因で死亡した場合、使用者が遺族補償を行うに当たり必要な平均賃金を算定すべき事由の発生日は、当該労働者が死亡した日である。

 

④【H27年出題】

 賃金締切日が毎月月末と定められていた場合において、例えば731日に算定事由が発生したときは、なお直前の賃金締切日である630日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となる。

 

⑤【H27年出題】

 賃金締切日が、基本給は毎月月末、時間外手当は毎月20日とされている事業場において、例えば625日に算定事由が発生したときは、平均賃金の起算に用いる直前の賃金締切日は、基本給、時間外手当ともに基本給の直前の締切日である531日とし、この日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H27年出題】 ×

 賃金の総額に算入しない賃金は、以下の賃金です。

・臨時の賃金

・3か月を超える期間ごとの賃金(賞与など)

・現物給与で法令・労働協約に基づくもの以外のもの

★「通勤手当及び家族手当」は賃金総額に算入します。

 

②【H27年出題】 ×

 平均賃金の計算の「期間」及び「賃金の総額」から除外するのは以下の期間です。

・ 業務上の負傷、疾病による療養のための休業期間

・ 産前産後の休業期間

・ 使用者の責めに帰すべき事由による休業期間

・ 育児休業又は介護休業期間

・ 試用期間

 

★「公民権の行使により休業した期間」は、その日数とその期間中の賃金は、平均賃金の計算に算入します。

 

③【H27年出題】 ×

 施行規則第48条で「災害補償を行う場合には、死傷の原因たる事故発生の日又は診断によって疾病の発生が確定した日を、平均賃金を算定すべき事由の発生した日とする。」と規定されています。

 遺族補償を行う場合の平均賃金を算定すべき事由の発生日は、「死亡した日」ではありません。

S25.10.19 基収2908号)

 

 

④【H27年出題】 〇

 賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日が起算日となります。

 賃金締切日が毎月月末で、731日に算定事由が発生したときは、6月30日から遡った3か月で算定します。

 

⑤【H27年出題】 × 

 賃金ごとに賃金締切日が異なる場合は、直前の賃金締切日は、それぞれの賃金ごとの賃金締切日です。

 問題文の場合は、基本給は531日、時間外手当は620日となります。

S26.12.27基収5926号)

 

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https://youtu.be/dTmGu4xaDug

社労士受験のあれこれ

労働基準法 年次有給休暇の権利

R5-292

R5.6.15 年次有給休暇請求権の行使

 年次有給休暇の発生について、条文を読んでみましょう。

39条第1

 使用者は、その雇入れの日から起算して6か月間継続勤務全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。 

 

 「6か月間継続勤務」+「全労働日の8割以上出勤」の要件を満たせば、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇の権利が発生します。

 「10労働日」に注目してください。

 年次有給休暇の権利を行使すると、その労働日の労働義務は消滅します。

10「労働日」となっているのは、年次有給休暇は労働義務のある日(=労働日)にしか取得できないからです。もともと就労義務のない休日に年次有給休暇を取得することはありえません。

 

では、過去問をどうぞ!

H28年出題】

 休職発令により従来配属されていた所属を離れ、以後は単に会社に籍があるにとどまり、会社に対して全く労働の義務が免除されることとなる場合において、休職発令された者が年次有給休暇を請求したときは、労働義務がない日について年次有給休暇を請求する余地がないことから、これらの休職者は年次有給休暇請求権の行使ができないと解されている。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H28年出題】 〇

 「労働義務がない日について年次有給休暇を請求する余地がない」がポイントです。会社に対して全く労働義務が免除されている場合は、年次有給休暇請求権の行使はできません。

S48.3.6基発120号) 

 

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https://youtu.be/4eDiCLQcDYM

社労士受験のあれこれ

労働基準法 年次有給休暇の残余

R5-291

R5.6.14 所定労働時間が変更になった場合の年次有給休暇の残余

 年次有給休暇は時間単位で与えることができます。

 条文を読んでみましょう。

法第39条第4項 

 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、第1号に掲げる労働者の範囲に属する労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、有給休暇の日数のうち第2号に掲げる日数については、これらの規定にかかわらず、当該協定で定めるところにより時間を単位として有給休暇を与えることができる

1 時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲

2 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(5日以内に限る。)

3 その他厚生労働省令で定める事項

 

 労使協定を締結することにより、年に5日を上限として、時間単位で年次有給休暇を与えることができます。

 

では、過去問をどうぞ!

H28年出題】

 所定労働時間が年の途中で18時間から4時間に変更になった。この時、変更前に年次有給休暇の残余が10日と5時間の労働者であった場合、当該労働者が変更後に取得できる年次有給休暇について、日数の10日は変更にならないが、時間数の方は5時間から3時間に変更される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H28年出題】 〇

 年の途中で所定労働時間数の変更があった場合、時間単位年休の時間数はどのように変わるのでしょうか?又、時間単位の端数が残っていた場合はどのようになるのでしょうか?

  ↓

 時間単位年休として取得できる範囲のうち、1日に満たないため時間単位で保有している部分については、当該労働者の1日の所定労働時間の変動に比例して時間数が変更されます。

 

問題文のように、

・所定労働時間が18時間から4時間に変更になった。

・変更前の年次有給休暇の残余が10日と5時間だった。

 このような場合、変更前は10日と5/8日残っていると考えます。

 1日の所定労働時間が8時間から4時間に変更され、1日の所定労働時間が2分の1になりました。残余の時間もそれに比例して2分の1となります。2.5/4となりますが、 1時間未満の端数を切り上げ、3時間となります。

 

★変更前の残余

10(1日当たりの時間数は8時間)5時間

 

★変更後の残余

10(1日当たりの時間数は4時間)3時間

 

(平成21105日基発10051)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 年次有給休暇の発生要件

R5-290

R5.6.13 年休発生には全労働日の8割以上の出勤が要件

 ①雇入れの日から起算して6か月間継続勤務、②全労働日の8割以上出勤、の要件を満たした場合、年次有給休暇の権利が発生します。

 

 労働義務のある日は、「労働日」、労働義務のない日は「休日」です。「全労働日」とは、所定休日を除いた日のことをいいます。

「全労働日」に対する「出勤した日」の割合が8割以上あることが必要です。

 

 今日は、「全労働日」から除外される日をみていきます。

 通達のポイントを読んでみましょう。

<出勤率の基礎となる全労働日>

★年次有給休暇の請求権の発生について、全労働日の8割出勤を条件としているのは、労働者の勤怠の状況を勘案して、特に出勤率の低い者を除外する立法趣旨です。

1 年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の日数は就業規則その他によって定められた所定休日を除いた日をいいます。

所定の休日に労働させた場合には、その日は、全労働日に含まれません

2 「労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日」は、3に該当する場合を除き、出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれます

3 「労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日」でも、次に掲げる日のように、当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でないものは、全労働日に含まれません

・ 不可抗力による休業日

・ 使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日

・ 正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日

H25.7.10基発07103号)

 

では、過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 全労働日と出勤率を計算するに当たり、法定休日を上回る所定の休日に労働させた場合におけるその日は、全労働日に含まれる。

 

②【H26年選択式】

 最高裁判所は、労働基準法第39条に定める年次有給休暇権の成立要件に係る「全労働日」(同条第1項、第2項)について、次のように判示した。

 「法391項及び2項における前年度の全労働日に係る出勤率が8割以上であることという年次有給休暇権の成立要件は,法の制定時の状況等を踏まえ,労働者の責めに帰すべき事由による欠勤率が特に高い者をその対象から除外する趣旨で定められたものと解される。このような同条1項及び2項の規定の趣旨に照らすと,前年度の総暦日の中で,就業規則や労働協約等に定められた休日以外の不就労日のうち,労働者の責めに帰すべき事由によるとはいえないものは,不可抗力や使用者側に起因する経営,管理上の障害による休業日等のように当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく全労働日から除かれるべきものは別として,上記出勤率の算定に当たっては,出勤日数に算入すべきものとして全労働日に< A >と解するのが相当である。

 無効な解雇の場合のように労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日は,労働者の責めに帰すべき事由によるとはいえない不就労日であり,このような日は使用者の責めに帰すべき事由による不就労日であっても当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく全労働日から除かれるべきものとはいえないから,法391項及び2項における出勤率の算定に当たっては,出勤日数に算入すべきものとして全労働日に< A >というべきである。」

 

(選択肢)

① 含まれるもの  ② 含まれない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 ×

 所定の休日に労働させた日は、全労働日に含まれません。

 

 

②【H26年選択式】

A ①含まれるもの

「労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日」は、例えば、裁判所の判決により解雇が無効と確定した場合や、労働委員会による救済命令を受けて会社が解雇の取消しを行った場合の解雇日から復職日までの不就労日のように、労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日です。

 「労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日」は、出勤率の算定に当たっては、請求の前年度における出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれます。

H25.7.10基発07103号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 均等待遇

R5-276

R5.5.30 第3条の労働条件と雇入れ

 労働基準法第3条では、「国籍、信条、社会的身分」を理由として、労働者を差別することを禁止しています。

 条文を読んでみましょう。

3条 (均等待遇)

 使用者は、労働者の国籍信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない

★今日は、「賃金、労働時間その他の労働条件」に注目します。

 労働条件の中に、賃金、労働時間は当然含まれますが、それ以外の条件は、どこまで含まれるでしょうか?

 

 

では、過去問をどうぞ

①【H30年出題】

 労働基準法第3条にいう「賃金、労働時間その他の労働条件」について、解雇の意思表示そのものは労働条件とはいえないため、労働協約や就業規則等で解雇の理由が規定されていても、「労働条件」にはあたらない。

 

 

②【H28年出題】

 労働基準第3条は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、労働条件について差別することを禁じているが、これは雇入れ後における労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制限する規定ではないとするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

③【H21年出題】

 労働基準法第3条が禁止する労働条件についての差別的取扱いは、雇入れにおける差別も含まれるとするのが最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年出題】 ×

 「その他の労働条件」には、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件も含まれます。

S23.6.16基収1365号、S63.3.14基発150号)

 「解雇の意思表示」そのものは労働条件とはいえません。しかし、労働協約や就業規則等で解雇の理由が規定されている場合は、「労働条件」にあたります。

 

 

②【H28年出題】 〇

ポイント!

・企業者が、労働者を雇用するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件で雇うかについては、原則として自由に決定できる。企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもって雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない

・労働基準法3条は雇入れ後における労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制約する規定ではない

S48.12.12最高裁判所大法廷 三菱樹脂事件)

 

③【H21年出題】 ×

 労働基準法3条は雇入れ後における労働条件についての制限ですので、雇入れそのものを制約する規定ではありません。「雇入れにおける差別も含まれる」の部分が誤りです。

 

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https://youtu.be/34vQJMe3Q6E

社労士受験のあれこれ

労働基準法 1年単位の変形労働時間制

R5-265

R5.5.19 1年単位の変形労働時間制の労働日について

1年単位の変形労働時間制を採用する場合、労使協定で、以下の事項を定めなければなりません。

① 1年単位の変形労働時間の対象になる労働者の範囲

② 対象期間(その期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、1か月を超え1年以内の期間に限るものとする。)

③ 特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間をいう。)

④ 対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間

※対象期間を1か月以上の期間ごとに区分する場合

最初の期間労働日及び当該労働日ごとの労働時間

最初の期間を除く各期間労働日数及び総労働時間

⑤ 有効期間の定め

 

では、過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 労働基準法第32条の4に定めるいわゆる1年単位の変形労働時間制の対象期間は、 1か月を超え1年以内であれば、3か月や6か月でもよい。

 

②【H22年出題】

 労働基準法第32条の4に定めるいわゆる1年単位の変形労働時間制においては、110時間、152時間という労働時間の上限が定められているため、この範囲において労働する限り、どのような場合においても対象期間における各労働日ごとの労働時間をあらかじめ特定しておく必要はない。

 

③【H30年出題】

 いわゆる1年単位の変形労働時間制においては、その労働日について、例えば7月から9月を対象期間の最初の期間とした場合において、この間の総休日数40日と定めた上で、30日の休日はあらかじめ特定するが、残る10日については、「7月から9月までの間に労働者の指定する10日間について休日を与える。」として特定しないことは認められていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 〇

 1年単位の変形労働時間制の「対象期間」は、「その期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、1か月を超え1年以内の期間に限る」とされています。

 対象期間の最長は「1年」ですが、3か月や6か月とすることもできます。

 

 

②【H22年出題】 ×

 労使協定で対象期間における「労働日」と「当該労働日ごとの労働時間」を特定する必要があります。

 ただし、対象期間が長くなりますので、対象期間を1か月以上の期間ごとに区分することとした場合は、労使協定で、「最初の期間」の「労働日及び当該労働日ごとの労働時間」を特定し、「最初の期間を除く各期間」については、「労働日数及び総労働時間」を定めることもできます。

1か月

(最初の期間)

1か月

1か月

1か月

・・・

・労働日

・労働日ごとの労働時間

・労働日数

・総労働時間

・労働日数

・総労働時間

・労働日数

・総労働時間

 

・・・

 

 なお、最初の期間を除く各期間については、当該各期間の初日の少なくとも30日前に、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の同意を得て、書面で、各期間における労働日及び各期間における労働日ごとの労働時間を定めることとされています。

 

 

③【H30年出題】 〇

 労働日と労働日ごとの労働時間はあらかじめ特定しなければなりません。 

 労働日を特定することは、反面、休日を特定することでもあります。

 問題文のように、変形期間開始後にしか休日が特定できない場合は、労働日が特定されたことにはなりません。

H6.5.31基発330号)

 

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https://youtu.be/BSMA8LsGDlo

社労士受験のあれこれ

労働基準法 解雇

R5-248

R5.5.2 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合  

 まず、「解雇制限」の条文を読んでみましょう。

19条 (解雇制限)

① 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30は、解雇してはならない。

ただし、使用者が、第81条の規定によって打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、この限りでない。

② 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

 

<解雇制限期間>

・業務上の傷病のため療養中の期間とその後30日間

・産前産後休業期間とその後の30日間

は、解雇が禁止されています。

★例外

・打切補償を支払う場合

・天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合(→所轄労働基準監督署長の認定が必要です。)

は、解雇制限が解除されます。

 

 今日は、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」をみていきましょう。

ポイント!

「やむを得ない事由」とは

 天災事変に準ずる程度に不可抗力に基づきかつ突発的な事由です。

 事業の経営者として、社会通念上採るべき必要な措置を以てしても通常如何ともなし難いような状況にある場合をいいます。

(昭63.3.14基発150号)

 

では、過去問をどうぞ!

①【R2年出題】

 使用者は、労働者を解雇しようとする場合において、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」には解雇の予告を除外されるが、「天災事変その他やむを得ない事由」には、使用者の重過失による火災で事業場が焼失した場合も含まれる。

 

②【H30年出題】

 使用者は、税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合には、「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」として、労働基準法第65条の規定によって休業する産前産後の女性労働者であっても解雇することができる。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 × 

 「使用者の重過失による火災で事業場が焼失した場合」は含まれません。 

事業場が火災により焼失した場合は、「その他やむを得ない事由」に該当しますが、事業主の故意又は重大な過失に基づく火災の場合は、除かれます。

(昭63.3.14基発150号)

※第19条と第20条の「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」は、同じ意味です。

 

②【H30年出題】 ×

 税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合には、「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」には該当しません。

(昭63.3.14基発150号) 

 

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https://youtu.be/gRPGO2Ct49s

社労士受験のあれこれ

労働基準法 労働時間

R5-236

R5.4.20 「1日」とは?「1週間」とは?

 まず、原則の法定労働時間の条文を読んでみましょう。

32条 (労働時間)

① 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。

② 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

★法第32条第1項で1週間の法定労働時間を規定し、同条第2項で1日の法定労働時間を規定しています。

労働時間の規制は1週間単位の規制を基本として1週間の労働時間を短縮し、1日の労働時間は1週間の労働時間を各日に割り振る場合の上限とする考え方です。

(昭63.1.1基発第1号)

 

 

 「1週間」と「1日」の考え方をみていきましょう。

 

さっそく過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

 労働基準法第32条第2項にいう「1日」とは午前0時から午後12時までのいわゆる暦日をいい、継続勤務が2暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも1勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「1日」の労働とする。

 

 

②【H30年出題】

 労働基準法第32条第1項は、「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。」と定めているが、ここにいう1週間は、例えば、日曜から土曜までと限定されたものではなく、何曜から始まる1週間とするかについては、就業規則等で別に定めることが認められている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 〇

 「1日」とは午前0時から午後12時までのいわゆる暦日をいいます。

 日をまたがって継続勤務した場合は、暦日を異にする場合でも1勤務として取り扱われます。当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「1日」の労働とします。

 例えば、420日(木)、21日(金)のどちらも労働日で、始業時刻が9時の場合で考えてみましょう

420日(木)

421日(金)

 

 

     

20日の残業が21日の午前3時まで及んだ場合、21日の午前3時までの労働は、始業時刻の属する日(20日)の勤務における1日の労働となります。

(昭63.1.1基発第1号)

 

②【H30年出題】 〇

 1週間とは、「就業規則その他に別段の定めがない限り、日曜日から土曜日までのいわゆる暦週」をいいます。

何曜から始まる1週間とするかについて、就業規則等で別に定めることもできます。

(昭63.1.1基発第1号) 

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 労働時間のカウント

R5-222

R5.4.6 時間外労働、休日労働の割増賃金

まず、「法定労働時間」と「法定休日」の条文を読んでみましょう。

32条 (労働時間)

① 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。

② 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

 

※法定労働時間は、原則として「18時間以内、かつ、1 40時間以内」です。

 

35条 (休日)

① 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。

② ①の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。

 

※法定休日は、原則として、「週に1日以上」与えなければなりません。

 

 

では、過去問をどうぞ!

H30年出題】

 労働基準法第35条に定めるいわゆる法定休日を日曜とし、月曜から土曜までを労働日として、休日及び労働時間が次のように定められている製造業の事業場における、労働に関する時間外及び休日の割増賃金に関する記述のうち、正しいものはどれか。

 日  月  火  水  木  金  土

 休  6  6  6  6  6  6

 労働日における労働時間は全て 

 始業時刻:午前10時、終業時刻:午後5時、休憩:午後1時から1時間

 

A 日曜に10時間の労働があると、休日割増賃金の対象になるのは8時間で、8時間を超えた2時間は休日労働に加えて時間外労働も行われたことになるので、割増賃金は、休日労働に対する割増率に時間外労働に対する割増率を加算する必要がある。

 

B 日曜の午後8時から月曜の午前3時まで勤務した場合、その間の労働は全てが休日割増賃金対象の労働になる。

 

 

C 月曜の時間外労働が火曜の午前3時まで及んだ場合、火曜の午前3時までの労働は、月曜の勤務における1日の労働として取り扱われる。

 

 

D 土曜の時間外労働が日曜の午前3時まで及んだ場合、日曜の午前3時までの労働に対する割増賃金は、土曜の勤務における時間外労働時間として計算される。

 

 

E 日曜から水曜までは所定どおりの勤務であったが、木曜から土曜までの3日間の勤務が延長されてそれぞれ10時間ずつ労働したために当該1週間の労働時間が48時間になった場合、土曜における10時間労働の内8時間が割増賃金支払い義務の対象労働になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A ×

 休日には時間外労働の概念がありませんので、8時間を超えても時間外労働の割増率は加算されません。問題文の場合は、10時間すべて休日労働に対する割増率で計算します。

 ちなみに、休日労働が深夜に及んだ場合は、深夜割増を加算する必要があります。

H11.3.31基発第168号)

 

 

B ×

 法定休日の割増賃金は暦日単位で適用されます。

 休日割増で計算するのは日曜の24時までです。月曜の午前0時からは休日ではありませんので、休日割増の対象にはなりません。

 

C 〇

 時間外労働が翌日の労働日に及んだ場合は、暦日で判断するのではなく、前日の労働時間の延長として扱われます。

 火曜の午前3時までは、月曜日の労働時間の延長となり、月曜の勤務における1日の労働として取り扱われます。

S63.1.1基発第1号)

 

 

D ×

 法定休日は「暦日」で適用されます。土曜の時間外労働が日曜の午前3時まで及んだ場合、日曜の午前0時以降は、土曜の勤務における時間外労働時間ではなく、休日労働として計算されます。

 

 

E ×

 

 

時間外

 

 

 

 

 時間外労働となるのは、木曜の金曜の1日の法定労働時間を超えたそれぞれ「2時間」と、1週間の法定労働時間を超えた土曜の4時間です。

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 平均賃金

R5-208

R5.3.23 平均賃金を計算しましょう。

 今日は、平均賃金を計算します。

 まず、条文を読んでみましょう。

12条第1項~5

① 平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の一によって計算した金額を下ってはならない。

1. 賃金が、労働した若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60

2. 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額

② ①の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。

③ ①、②に規定する期間中に、次の各号のいずれかに該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、期間及び賃金の総額から控除する。

1. 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間

2. 産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間

3. 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間

4. 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に規定する育児休業又は介護休業をした期間

5. 試みの使用期間

④ 賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの算入しない

⑤ 賃金が通貨以外のもので支払われる場合、の賃金の総額に算入すべきものの範囲及び評価に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

ポイント!

・ 平均賃金は、原則として次の計算式で算定します。

→算定すべき事由の発生した日以前3か月間の賃金の総額÷その期間の総日数

 ただし、日給、時給、請負制による賃金の場合は、最低保障があります。

 最低保障の計算式→賃金の総額÷その期間中に労働した日数×100分の60

※「総日数」と「労働日数」を区別しましょう。「総日数」は暦上の日数です。例えば、3月なら31日です。

・ 賃金締切日がある場合は、算定事由の発生した日の直前の賃金締切日から起算した3か月で計算します。

・ 次の期間は、平均賃金の計算式の「日数」と「賃金の総額」の両方から控除します。

1.業務上の傷病により休業した期間

2.産前産後の女性の休業期間

3.使用者の責めに帰すべき事由により休業した期間

4.育児休業又は介護休業期間

5.試みの使用期間

・ 次の賃金は「賃金の総額」から除外されます。

 臨時に支払われた賃金

 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(年2回の賞与など)

 通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの

 

 

では、過去問をどうぞ!

R1年問1

 次に示す条件で賃金を支払われてきた労働者について7月20日に、労働基準法第12条に定める平均賃金を算定すべき事由が発生した場合、その平均賃金の計算に関する記述のうち、正しいものはどれか。

<条件>

賃金の構成:基本給、通勤手当、職務手当及び時間外手当

賃金の締切日:基本給、通勤手当及び職務手当については、毎月25日

       時間外手当については、毎月15日

賃金の支払日:賃金締切日の月末

 

A 3月26日から6月25日までを計算期間とする基本給、通勤手当及び職務手当の総額をその期間の暦日数92で除した金額と4月16日から7月15日までを計算期間とする時間外手当の総額をその期間の暦日数91で除した金額を加えた金額が平均賃金になる。

 

B 4月、5月及び6月に支払われた賃金の総額をその計算期間の暦日数92で除した金額が平均賃金になる。

 

C 3月26日から6月25日までを計算期間とする基本給及び職務手当の総額をその期間の暦日数92で除した金額と4月16日から7月15日までを計算期間とする時間外手当の総額をその期間の暦日数91で除した金額を加えた金額が平均賃金になる。

 

D 通勤手当を除いて、4月、5月及び6月に支払われた賃金の総額をその計算期間の暦日数92で除した金額が平均賃金になる。

 

E 時間外手当を除いて、4月、5月及び6月に支払われた賃金の総額をその計算期間の暦日数92で除した金額が平均賃金になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】  

A 〇

 平均賃金は、賃金の締切日がある場合は、直前の賃金締切日から遡る3か月で計算します。

 賃金ごとに賃金締切日が異なる場合は、それぞれの賃金の賃金締切日から遡ります。

 問題文の場合、「基本給、通勤手当及び職務手当」の直前の賃金締切日は625日、「時間外手当」は715日です。

 平均賃金は、((3月26日から6月25日までの基本給、通勤手当及び職務手当の総額)÷92日)+((4月16日から7月15日までの時間外手当の総額)÷91日)で計算します。

S26.12.27 基収5926号)

 

B ×

 賃金によって賃金締切日が異なりますので、Aの問題のように、それぞれの賃金締切日から遡って計算します。

C ×

 「通勤手当」は平均賃金に算入しなければなりません。通勤手当が計算に入っていませんので誤りです。

 

D ×

E ×

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 みなし労働時間

R5-198

R5.3.13 事業場外労働のみなし労働時間制

 例えば、外回りのセールスや出張のように、事業場の外で働く場合、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、また、使用者による労働時間の算定が困難な場合があります。

 「事業場外労働」についてはみなし労働時間制の制度が設けられています。

 

では、条文を読んでみましょう。

38条の2

① 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす

 ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす

② ①のただし書の場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間を当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする。

③ 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、②の協定を行政官庁に届け出なければならない。 

 

みなし労働時間制とは

→ 使用者には、労働者の労働時間を把握し、算定する義務があります。

しかし、事業場外の労働で、使用者の指揮監督が及ばず、労働時間の算定が困難な場合は、実際に労働した時間ではなく、特定された時間労働したとみなすことができる制度です。

ポイント!

 事業場外の労働でも、「労働時間の算定」ができる場合は、みなし労働時間は適用されません。

 

事業場外労働のみなし労働時間の手順

★原則 「所定労働時間」労働したものとみなされます。

※当該業務を遂行するためには所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合は、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」労働したものとみなされます。

★労使協定で「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」を定めた場合は、労使協定で定めた時間労働したものとみなされます。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H18年出題】

 労働基準法第38条の2の規定によれば、労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、原則として所定労働時間労働したものとみなされるが、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされる。この場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間が、当該業務の遂行に通常必要とされる時間とされる。

 

 

②【R1年出題】

 労働基準法第38条の2に定めるいわゆる事業場外労働のみなし労働時間制に関する労使協定で定める時間が法定労働時間以下である場合には、当該労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出る必要はない。

 

 

③【H22年出題】

 労働基準法第38条の2に定めるいわゆる事業場外労働のみなし労働時間制は、情報通信機器を用いて行う在宅勤務の場合、どのような要件の下でも、結局は当該通信機器を通じて使用者の管理を受けることとなるため、適用されない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H18年出題】 〇

 事業場外労働のみなし労働時間制が適用される場合、原則は、「所定労働時間」労働したものとみなされます。例えば、所定労働時間が7時間の場合は、7時間労働したとみなされます。

 しかし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされます。例えば当該業務の遂行に通常必要とされる時間が8時間の場合は、8時間労働したとみなされます。

★当該業務に関し、労使協定で当該業務の遂行に通常必要とされる時間を定めた場合は、その時間労働したとみなされます。

 

 

②【R1年出題】 〇

 事業場外労働のみなし労働時間制に関する労使協定は、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。ただし、労使協定で定める時間が法定労働時間以下の場合は、届出の必要はありません。

(則第24条の23項)

 

③【H22年出題】 ×

 在宅勤務でも事業場外労働のみなし労働時間制が適用される場合があります。

「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインについて」(令和3.3.25基発03252号/雇均発03253号/)を確認しましょう。

 事業場外みなし労働時間制は、労働者が事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定することが困難なときに適用される制度であり、使用者の具体的な指揮監督が及ばない事業場外で業務に従事することとなる場合に活用できる制度である。テレワークにおいて一定程度自由な働き方をする労働者にとって、柔軟にテレワークを行うことが可能となる。

 

 テレワークで、事業場外労働のみなし労働時間制が適用されるのは、次の①と②の条件を満たす場合です。

① 情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと

② 随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと

 問題文では「どのような要件の下でも、結局は当該通信機器を通じて使用者の管理を受けることとなるため」となっていますが、情報通信機器を労働者が所持しているからといって制度が適用されないわけではありません。

 ガイドラインでは、例えば、勤務時間中に、労働者が自分の意思で通信回線自体を切断することができる場合は①の要件を満たすとされています。

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 変形労働時間制

R5-197

R5.3.12 1か月単位の変形労働時間制採用のルール

1か月単位の変形労働時間制を採用した場合、1か月以内の期間を平均し1週間の労働時間が40時間(特例事業場の場合は44時間)を超えなければ、特定の週、特定の日に法定労働時間を超えて労働させることができます。

 

1か月単位の変形労働時間制の変形期間は1か月以内にすることが条件です。

1週間単位、10日単位、4週間単位なども可能です。

 変形期間を1か月にした場合で考えてみましょう。

 法定労働時間40時間の事業場で、31日の月なら、1か月の労働時間の総枠は次の式で計算できます。

40時間×31日÷7日 ≒ 177時間

1か月の所定労働時間のトータルが177時間以内なら、平均すると1週間当たりの労働時間が40時間以内となります。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

1か月単位の変形労働時間制により労働者に労働させる場合にはその期間の起算日を定める必要があるが、その期間を1か月とする場合は、毎月1日から月末までの暦月による。

  

②【R1年出題】

1か月単位の変形労働時間制は、満18歳に満たない者及びその適用除外を請求した育児を行う者については適用しない。

  

③【R1年出題】

1か月単位の変形労働時間制により所定労働時間が、16時間とされていた日の労働時間を当日の業務の都合により8時間まで延長したが、その同一週内の110時間とされていた日の労働を8時間に短縮した。この場合、16時間とされていた日に延長した2時間の労働は時間外労働にはならない。

  

④【R1年出題】

1か月単位の変形労働時間制は、就業規則その他これに準ずるものによる定めだけでは足りず、例えば当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合と書面により協定し、かつ、当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる。

 

⑤【R1年出題】

 1か月単位の変形労働時間制においては、1日の労働時間の限度は16時間、1週間の労働時間の限度は60時間の範囲内で各労働日の労働時間を定めなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 ×

 変形期間を1か月とする場合に、毎月1日から月末までの暦月にするという規定はありません。

 例えば、毎月16日を起算日として、16日~翌月15日という1か月でも可能です。

 

 

②【R1年出題】 ×

 満18歳に満たない者には、原則として変形労働時間制は適用されませんので、その部分については正しいです。

 育児を行う者については、適用除外を請求できる規定がありません。

 なお、以下のような規定はあります。

則第12条の6

 使用者は、1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制又は1週間単位の非定型的変形労働時間制の規定により労働者に労働させる場合には、育児を行う者、老人等の介護を行う者、職業訓練又は教育を受ける者その他特別の配慮を要する者については、これらの者が育児等に必要な時間を確保できるような配慮をしなければならない。

 ★変形労働時間制が適用されると、労働時間の長い週や日が出てきます。使用者は、育児を行う者等については、育児等に必要な時間を確保できるよう配慮しなければなりません。

 

66条第1

 使用者は、妊産婦請求した場合においては、1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制及び1週間単位の非定型的変形労働時間制の規定にかかわらず、1週間又は1日について法定労働時間を超えて労働させてはならない。

★妊産婦が対象の規定です。

 例えば、1か月単位の変形労働時間制を採用している場合でも、妊産婦から請求があった場合は、1週間または1日について法定労働時間を超えて労働させることはできません。

 

 

③【R1年出題】 〇

1か月単位の変形労働時間制で時間外労働になる部分を確認しましょう。

1日の時間外労働

1日8時間を超える時間を定めた日はその時間

    それ以外の日は8時間を超えて労働した時間

1週の時間外労働

1週40時間(特例事業場は44時間)を超える時間を定めた週はその時間、

それ以外の週は1週40時間(特例事業場は44時間)超えて労働した時間(①で時間外労働となる時間を除く。)

③変形期間時間外労働

変形期間の法定労働時間総枠(40時間(44時間)×対象期間の暦日数÷7日)

を超えて労働した時間(①又は②で法定時間外労働となる時間を除く。)

 

 問題文のように、所定労働時間が16時間(所定労働時間が18時間以内)の日で、時間外労働になるのは、8時間を超えて労働した時間です。

6時間の日に2時間延長しても労働時間は8時間ですので、1日あたりの時間外労働は発生しません。

 週当たりでみても、2時間延長した日の代わりに同一週内の110時間の日の労働時間を2時間短縮しています。1週間当たりの労働時間は増えていませんので、1週間当たりでも時間外労働は発生しません。

 

 

④【R1年出題】 ×

1か月単位の変形労働時間制は、「就業規則その他これに準ずるものによる定め」又は「労使協定」で採用できます。「就業規則その他これに準ずるものによる定め」だけでも採用できます。

 なお、労使協定で採用した場合は、所轄労働基準監督署長に労使協定を届け出る必要があります。しかし、三六協定とは異なり、労使協定の届出によって効力が発生するわけではありません。

 

⑤【R1年出題】 ×

 1か月単位の変形労働時間制は、1日の労働時間、1週間の労働時間の限度はありません。 

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 就業規則

R5-186

R5.3.1 絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項

 就業規則に定める事項には、「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」があります。

 

 条文を読んでみましょう。

89条 (作成及び届出の義務)

 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

 

<絶対的必要記載事項>

1 始業及び終業の時刻、休憩時間休日休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

2 賃金(臨時の賃金等を除く。)決定計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

3 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

 

<相対的必要記載事項>

4 退職手当定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

5 臨時の賃金(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

6 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

7 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

8 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

9 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

10表彰及び制裁定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

11 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

「絶対的必要記載事項」は必ず就業規則に記載しなければならない事項です。

「相対的必要記載事項」は、定めをする場合は記載が義務づけられる事項です。

 

 

過去問をどうぞ!

①【H25年出題】

 臨時の賃金等を除く賃金の決定、計算及び支払いの方法に関する事項は、労働基準法第89条において、就業規則のいわゆる絶対的必要記載事項となっている。

 

②【H28年出題】

 退職手当制度を設ける場合には、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法、退職手当の支払いの時期に関する事項について就業規則に規定しておかなければならないが、退職手当について不支給事由又は減額事由を設ける場合に、これらを就業規則に記載しておく必要はない。

 

③【R3年出題】

 欠勤(病気事故)したときに、その日を労働者の請求により年次有給休暇に振り替える取扱いが制度として確立している場合には、当該取扱いについて就業規則に規定する必要はない。

 

④【H25年出題】

 労働基準法第89条の規定により、常時10人以上の労働者を使用するに至った使用者は、同条に規定する事項について就業規則を作成し、所轄労働基準監督署長に届け出なければならないが、従来の慣習が当該事業場の労働者のすべてに適用されるものである場合、当該事項については就業規則に規定しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】 〇

 賃金の決定、計算及び支払いの方法に関する事項は、絶対的必要記載事項ですので、就業規則に必ず記載しなければなりません。

 ちなみに、臨時の賃金等は、「定めをする場合」は就業規則に記載しなければならない「相対的必要記載事項」です。

 

 

②【H28年出題】 × 

 退職手当は「退職手当の定めをする場合」は、適用される労働者の範囲などを就業規則に記載しなければならない相対的必要記載事項です。

 退職手当について不支給事由又は減額事由を設ける場合は、退職手当の決定及び計算の方法に該当しますので、就業規則に記載する必要があります。

H11.3.31 基発168号)

 

 

③【R3年出題】 ×

 欠勤(病気事故)したときに、その日を労働者の請求により年次有給休暇に振り替えることは違法ではありません。そのような取扱いが制度として確立している場合には、就業規則に規定する必要があります。

S63.3.14基発150号)

 

 

④【H25年出題】 〇 

 従来の慣習が「当該事業場の労働者のすべてに適用されるもの」である場合、11号の「当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項については就業規則に規定しなければならない。」に当てはまります。

 

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https://youtu.be/PbzkVMSX4g8

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労働基準法 就業規則

R5-185

R5.2.28 就業規則の意見聴取

 常時10人以上の労働者を使用する使用者には、就業規則の作成義務があります。 

 また、就業規則の作成と変更の際には、過半数労働組合又は過半数代表者の意見を聴かなければなりません。

 

 条文を読んでみましょう。

89条 (作成及び届出の義務)

 常時10以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする

1 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

2 賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

3 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

4 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

5 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

6 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

7 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

8 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

9 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

10 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

11 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

1から11のうち、1~3は就業規則への記載が義務づけられている「絶対的必要記載事項」、411は定めをする場合は記載が義務づけられる「相対的必要記載事項」です。

 

次に作成の手続について条文を読んでみましょう。

90条 (作成の手続)

① 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者意見を聴かなければならない

② 使用者は、届出をなすについて、意見を記した書面を添付しなければならない。

 

 今日は、作成と変更の際の手続である意見聴取をみていきます。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H21年出題】

 使用者は、就業規則の作成だけでなく、その変更についても、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

 

②【R3年出題】

 同一事業場において当該事業場の全労働者の3割について適用される就業規則を別に作成する場合、当該事業場において当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数で組織する労働組合又は当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数を代表する者の意見を聴くことで、労働基準法第90条による意見聴取を行ったこととされる。

 

③【H30年出題】

 同一事業場において、パートタイム労働者について別個の就業規則を作成する場合、就業規則の本則とパートタイム労働者についての就業規則は、それぞれ単独で労働基準法第89条の就業規則となるため、パートタイム労働者に対して同法第90条の意見聴取を行う場合、パートタイム労働者についての就業規則についてのみ行えば足りる。

 

④【R1年出題】

 就業規則の作成又は変更について、使用者は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、それがない場合には労働者の過半数を代表する者と協議決定することが要求されている。

 

⑤【H27年出題】※行政手続における押印原則の見直しによる修正あり

 労働基準法第90条第2項は、就業規則の行政官庁への届出の際に、当該事業場の過半数労働組合、それがない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を記した書面を添付することを使用者に義務づけているが、過半数労働組合もしくは過半数代表者が故意に意見を表明しない場合又は意見書に氏名を記載しない場合は、意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理するよう取り扱うものとされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H21年出題】 〇

 就業規則の作成だけでなく、その変更の際も意見聴取が必要です。

 

 

②【R3年出題】 ×

 同一事業場で、事業場の一部の労働者のみ適用される就業規則を別に作成することもできます。

 その場合でも、作成や変更に際しての意見聴取は、当該事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合又は全労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければなりません。

 問題文のように、当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数で組織する労働組合又は当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数を代表する者の意見を聴くだけでは、労働基準法第90条による意見聴取を行ったことにはなりません。

S63.3.14基発150号)

 

③【H30年出題】 ×

 同一事業場で、パートタイム労働者についてのみ適用される別個の就業規則を作成することもできます。その場合、就業規則の本則とパートタイム労働者についての就業規則を合わせたものが「就業規則」となります。それぞれが単独に就業規則となるものではありません。

 作成や変更に際しての意見聴取は、当該事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合又は全労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければなりません。

H11.3.31基発168号)

 

 

④【R1年出題】 × 

 協議決定は要求されていません。意見を聴けば労働基準法違反になりません。

S25.3.15基収525号)

 なお、意見書の内容が反対意見でも、就業規則の効力には影響はありません。

S24.3.28基発373号)

 

 

⑤【H27年出題】 〇 ※行政手続における押印原則の見直しによる修正あり

 就業規則を行政官庁へ届け出る際は、意見書の添付が義務づけられていますが、過半数労働組合もしくは過半数代表者が故意に意見を表明しない場合等は、意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理するよう取り扱うとされています。

S23.10.30基発1575号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 産前産後

R5-175

R5.2.18 産前産後休業のポイント!

 今日は、「産前産後休業」をみていきましょう。

 条文を読んでみましょう。

65条 (産前産後)

① 使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない

② 使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。

 

 「出産」の範囲は妊娠4カ月以上の分娩をいいます。1か月は28日で計算しますので、4か月以上とは、85日以上のことです。生産だけでなく死産も含まれます。

S23.12.23基発1885号)

 産前6週間は、自然の出産予定日を基準に計算します。出産予定日よりも遅れて出産した場合は、予定日から出産当日までの期間は、産前休業に入ります。

S25.3.31基収第4057号)

           出産予定日      出産日

            ▼         ▼

予定日以前6週間

遅れた日数α日

出産日8週間

産前休業(6週間+α日)

産後休業

 

 出産日当日は、産前休業に含まれるのがポイントです。

S25.3.31 基収第4057号)

 

では、過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 労働基準法第65条の「出産」の範囲に妊娠中絶が含まれることはない。

 

 

②【R3年出題】

 6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性労働者については、当該女性労働者の請求が産前の休業の条件となっているので、当該女性労働者の請求がなければ、労働基準法第65条第1項による就業禁止に該当しない。

 

③【R3年出題】

 使用者は、産後8週間(女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせる場合は6週間)を経過しない女性を就業させてはならないが、出産当日は、産前6週間に含まれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 ×

 妊娠4か月以後に行った妊娠中絶も「出産」の範囲に含まれます。

S26.4.2 婦発113号)

 

 

②【R3年出題】 〇

 産前休業(6週間(多胎妊娠の場合は、14週間)は、女性労働者の請求が条件です。女性労働者から請求がなければ、就業させても労働基準法に違反しません。

 

③【R3年出題】 〇

 産後8週間は、女性労働者からの請求の有無にかかわらず、就業させることはできません。産後6週間を経過している+女性労働者から請求があった+その者について医師が支障がないと認めた業務については、就かせることができます。

 出産当日は、産前6週間に含まれます。

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 妊産婦

R5-174

R5.2.17 妊産婦の労働時間・深夜労働

 今日は、妊産婦の労働時間の規定をみていきましょう。

 

条文を読んでみましょう。

66条 

① 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第32条の21項(1か月単位の変形労働時間制)、第32条の41項(1年単位の変形労働時間制)及び第43条の51(1週間単位の非定型的労働時間制)の規定にかかわらず、1週間について第32条第1項の労働時間、1日について同条第2項の労働時間を超えて労働させてはならない

② 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第33条第1項(災害その他避けることのできない事由により臨時の必要がある場合)及び第3項(公務のため臨時の必要がある場合)並びに第36条第1項(36協定による場合)の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない

③ 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない

 

 ポイントは、①②③すべて「妊産婦が請求した場合」が前提になっている点です。

妊産婦でも、体調や環境は一人一人違いますので、妊産婦からの請求があれば、保護が行われます。

① 変形労働時間制(1か月単位、1年単位、1週間単位)については、妊産婦から請求があれば、1週間又は1日の法定労働時間を超える時間は労働させられません。(変形労働時間制そのものを適用できないという意味ではありません。)

② 妊産婦から請求があれば、時間外又は休日に労働させられません。

③ 妊産婦から請求があれば、深夜労働はさせられません。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H29年出題】

 使用者は、すべての妊産婦について、時間外労働、休日労働又は深夜業をさせてはならない。

 

②【H25年出題】

 使用者は、労働基準法第66条第2項の規定に基づき、妊産婦が請求した場合においては、同法第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。

 

 

③【R3年出題】

 労働基準法第32条又は第40条に定める労働時間の規定は、事業の種類にかかわらず、監督又は管理の地位にある者には適用されないが、当該者が妊産婦であって、前記の労働時間に関する規定を適用するよう当該者から請求があった場合は、当該請求のあった規定については適用される。

 

 

④【H17年出題】

 使用者は、労働基準法第66条第2項及び第3項の規定により、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)が請求した場合においては、同法第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働、休日労働又は深夜業をさせてはならないが、同法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある妊産婦については、時間外労働、休日労働及び深夜業をさせることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 ×

 時間外労働、休日労働又は深夜業が制限されるのは、「妊産婦が請求した場合」です。すべての妊産婦ではありません。請求しない妊産婦については制限されません。

 

 

 

②【H25年出題】 〇

 「妊産婦が請求した場合」がポイントです。

 

 

③【R3年出題】 ×

 監督又は管理の地位にある者には労働時間の規定の適用がありません。そのため、監督又は管理の地位にある妊産婦には、第66条第1項、第2項は適用されませんので、「時間外労働・休日労働をしない」という請求はできません。

 

 

④【H17年出題】 ×

 第41条に該当する者には、労働時間、休日、休憩の規定は適用されませんが、深夜業の規定は適用されます。

  監督又は管理の地位にある妊産婦については、第66条第3項「使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。」の規定は適用されますので、監督又は管理の地位にある妊産婦から請求があれば、深夜業をさせることはできません。

(昭61.3.20基発第151号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法 減給制裁

R5-165

R5.2.8 制裁規定の制限

 就業規則の「制裁」の種類には、譴責、出勤停止、即時解雇等があります。

 制裁の原因となる事案が公序良俗に反しない限りは、制裁自体は禁止されていません。

 

 ただし、制裁のうち、「減給」については、労働した時間分をカットすることになりますので、労働基準法で制限が設けられています。

 

 条文を読んでみましょう。

91条 (制裁規定の制限)

 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、 1回の額平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

1回あたりの減給の額は、平均賃金の1日分の半額以内です。

 また、複数回の減給事案があったとしても、減給の総額は、一賃金支払期の賃金の総額の10分の1以下にする必要があります。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R2年出題】

 労働者が、遅刻・早退をした場合、その時間に対する賃金額を減給する際も労働基準法第91条による制限を受ける。

 

 

②【H16年出題】

 就業規則で労働者に対して減給の定めをする場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならず、もし、これを超えて減給の制裁を行う必要が生じた場合においても、その部分の減給は、次期の賃金支払期に延ばすことはできない。

 

 

③【H25年出題】

 労働基準法第91条に規定する減給の制裁に関し、平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、減給制裁の事由が発生した日ではなく、減給の制裁が決定された日をもってこれを算定すべき事由の発生した日とされている。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 ×

 遅刻・早退した時間分は、賃金が発生しません。例えば1時間遅刻して、1時間分の賃金をカットしても、減給制裁には当たりませんので、労働基準法第91条による制限を受けません。

 ただし、遅刻、早退の時間分の賃金を超える減給は制裁に当たりますので、労働基準法第91条の制限を受けます。

S63.3.14基発150号)

 

 

②【H16年出題】 ×

 例えば、平均賃金が1万円の場合、減給の1回の額は5千円以内となります。また減給事案が5回発生した場合は、5千円×5回=25千円となります。しかし、総額は1賃金支払期における賃金の総額の10分の1以内となりますので、例えば1賃金支払期の賃金の総額が20万円の場合は、2万円が上限となります。残りの5千円は当該賃金支払期には減給できませんが、次期の賃金支払期に延ばすことは「可能」です。

S23.9.20基収1789号)

 

 

③【H25年出題】 ×

 平均賃金は、「これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額」です。

 減給の制裁に関し、平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、「減給の制裁の意思表示が相手方に到達した日」となります。

S30.7.1929基収5875号)

 

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https://youtu.be/DKNaXvqtH0o

社労士受験のあれこれ

労働基準法 使用者

R5-164

R5.2.7 使用者の定義

労働基準法の「使用者」の定義を確認しましょう。

 条文を読んでみましょう。

10条 

 この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。

 

 労働基準法の「使用者」とは労働基準法各条の義務についての履行の責任者のことです。

 次の3つが、労働基準法の「使用者」と定義されています。

事業主

  → その事業の経営の主体

事業の経営担当者

  → 法人の代表者、支配人など

その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者

 

では、過去問をどうぞ!

①【R21-A

 「事業主」とは、その事業の経営の経営主体をいい、個人企業にあってはその企業主個人、株式会社の場合は、その代表取締役をいう。

 

 

②【R21-B

 事業における業務を行うための体制が、課及びその下部組織としての係で構成され、各組織の管理者として課長及び係長が配置されている場合、組織系列において係長は課長の配下になることから、係長に与えられている責任と権限の有無にかかわらず、係長が「使用者」になることはない。

 

 

③【R21-C

 事業における業務を行うための体制としていくつかの課が設置され、課が所掌する日常業務の大半が課長権限で行われていれば、課長がたまたま事業主等の上位者から権限外の事項について命令を受けて単にその命令を部下に伝達しただけであっても、その伝達は課長が使用者として行ったこととされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R21-A】 ×

 「事業主」とは、その事業の経営の経営主体です。

 個人企業の場合は企業主個人、株式会社など法人組織の場合は、「法人そのもの」をいいます。株式会社の代表取締役は、「事業主」には当たりません。

 

 

②【R21-B】 ×

 「使用者」とは労働基準法各条の義務についての履行の責任者をいいます。

 部長や課長等の形式にとらわれることなく、労働基準法各条の義務について実質的に一定の権限を与えられているか否かによります。

 そのため、「係長」でも、与えられている責任と権限によっては、「使用者」として労働基準法の義務についての履行の責任が問われます。

S22.9.13発基第17号)

 

 

③【R21-C】 ×

 「使用者」は、労働基準法各条の義務について実質的に一定の権限を与えられているか否かによります。権限が与えられていなくて、単に上司の命令の伝達者にすぎない場合は使用者とはみなされません。

 課長が、事業主等の上位者から権限外の事項について命令を受けて単にその命令を部下に伝達しただけの場合は、その伝達は課長が使用者として行ったことにはなりません。

S22.9.13発基第17号)

 

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https://youtu.be/to808JH-XeE

社労士受験のあれこれ

労働基準法 三六協定

R5-156

R5.1.30 三六協定の限度時間

 法定労働時間を超えて労働させる場合、法定休日に労働させる場合は、「36協定」を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。

 

 今日は、36協定の協定事項を確認しましょう。

 

36条を読んでみましょう。

36条第1

 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間又は前条の休日に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる

 

 次に、36協定に定める事項を確認しましょう。

36条第2

36条第1項の協定においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

1 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲

2 対象期間(労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、 1年間に限るものとする。)

3 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合

4 対象期間における1日、1か月及び1年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数

5 労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項

 

 今日は第4号に注目します。

さらに条文を読んでみましょう。

36条第3項、第4

③ 前項第4号の労働時間を延長して労働させることができる時間は、当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して通常予見される時間外労働の範囲内において、限度時間を超えない時間に限る。

④ 限度時間は、1か月について45時間及び1年について360時間(1年単位の変形労働時間制の対象期間として3か月を超える期間を定めた場合は、1か月について 42時間及び1年について320時間)とする。 

 

 

では、過去問をどうぞ!

R2年出題】

 労働基準法第36条第3項に定める「労働時間を延長して労働させることができる時間」に関する「限度時間」は、1か月について45時間及び1年について360時間(労働基準法第32条の41項第2号の対象期間として3か月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあっては、1か月について42時間及び1年について320時間)とされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R2年出題】 〇

36協定に定める時間外労働の限度時間は、1か月45時間、1年360時間です。1年単位の変形労働時間制で対象象期間として3か月を超える期間を定めて労働させる場合は、1か月42時間、1320時間です。

 

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https://youtu.be/_31TkzbvtAs

社労士受験のあれこれ

労働基準法 第6条

R5-147

R5.1.21 中間搾取の排除

 労働関係の開始や存続に関与して利益を得ることは、職業安定法などで認められている場合のほかは、禁止されています。

 

条文を読んでみましょう。

6条 (中間搾取の排除)

 何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない

 

では、過去問をどうぞ!

①【H23年出題】

 何人も、他の法律の定め如何にかかわらず、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。

 

②【H28年出題】

 労働基準法第6条は、法律によって許されている場合のほか、業として他人の就業に介入して利益を得てはならないとしているが、その規制対象は、私人たる個人又は団体に限られ、公務員は規制対象とならない。

 

③【R2年出題】

 労働基準法第6条に定める「何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」の「利益」とは、手数料、報償金、金銭以外の財物等いかなる名称たるかを問わず、また有形無形かも問わない。

 

④【H15年出題】

 ある労働者派遣事業が、所定の手続を踏まないで行われている違法なものであっても、当該労働者派遣事業の事業主が業として労働者派遣を行う行為は、「何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」と規定する労働基準法第6条の中間搾取には該当しない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H23年出題】 ×

 法律に基づいて許される場合は、手数料、報酬等を受けることができます。

 職業安定法と船員職業安定法には、手数料や報酬等のルールが定められています。

S23.3.2基発381号、S33.2.13基発90号)

 

 

②【H28年出題】 ×

 違反行為の主体は、「他人の就業に介入して利益を得る」第三者です。規制対象は、「個人、団体又は公人たる私人たるとを問わない」とされています。そのため、公務員も規制対象となります。

S23.3.2基発381号)

 

 

③【R2年出題】 〇

 なお、使用者より利益を得る場合に限らず、労働者又は第三者より利益を得る場合も含みます。

S23.3.2基発381号)

 

④【H15年出題】 〇

 労働者派遣は、派遣元と労働者は「労働契約関係」、派遣先と労働者は「指揮命令関係」にあります。

 派遣元による労働者の派遣は、労働関係の外にある第三者が他人の労働契約に介入するものではありませんので、中間搾取には該当しません。

 問題文のように、派遣事業が、所定の手続を踏まないで行われている違法なものであったとしても、労働基準法第6条の中間搾取には該当しません。※労働者派遣法に抵触する可能性はあります。

S61.6.6基発333号) 

 

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https://youtu.be/aEBXhmP2tIY

社労士受験のあれこれ

労働基準法 危険有害業務 

R5-138

R5.1.12 危険有害業務の就業制限

妊産婦を、妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせることは禁止されています。

 また、妊産婦以外の女性についても、女性の妊娠又は出産に係る機能に有害である業務に就かせることが禁止されています。

 

条文を読んでみましょう。

64条の3(危険有害業務の就業制限)

① 使用者は、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、 哺育等に有害な業務に就かせてはならない

② ①の規定は、①に規定する業務のうち女性の妊娠又は出産に係る機能に有害である業務につき、厚生労働省令で、妊産婦以外の女性に関して、準用することができる。

③ ①②に規定する業務の範囲及びこれらの規定によりこれらの業務に就かせてはならない者の範囲は、厚生労働省令で定める。

 

「危険有害業務の就業制限の範囲」は、女性労働基準規則第2条で定められています。

・「妊娠中の女性」の就業が制限される業務は、1号から24号まで24種類です。

・「産後1年を経過しない女性」については、24種類のうち、就業させてはならない業務が3種類、申し出た場合は就かせてはならない業務が19種類、就業させもいい業務が2種類です。

・「妊産婦以外の女性」については、24種類のうち就業させてはならない業務が2種類、就業させてもいい業務が22種類です。

妊産婦以外の女性も就業させてはならない業務は、1号「重量物を取り扱う業務」18号「有害物を発散する場所において行われる業務」です。

 

では、過去問をどうぞ!

①【R23-A

 使用者は、女性を、30キログラム以上の重量物を取り扱う業務に就かせてはならない。

 

②【R23-B

 使用者は、女性を、さく岩機、鋲打機等身体に著しい振動を与える機械器具等を用いて行う業務に就かせてはならない。

 

③【R23-C

 使用者は、妊娠中の女性を、つり上げ荷重が5トン以上のクレーンの運転の業務に就かせてはならない。

 

④【R23-D

 使用者は、産後1年を経過しない(労働基準法第65条による休業期間を除く。)女性を、高さが5メートル以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのあるところにおける業務に就かせてもよい。

 

 

⑤【R23-E

 使用者は、産後1年を経過しない女性が、動力により駆動される土木建築用機械の運転の業務に従事しない旨を使用者に申し出た場合、その女性を当該業務に就かせてはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R23-A】 〇

 「重量物を取り扱う業務」は、妊産婦のみならず「妊産婦以外の女性」にも就かせてはならない業務です。

 重量は、年齢別に定められています。満18歳以上は断続作業なら「30キログラム以上」、継続作業なら「20キログラム以上」です。30キログラム以上の重量物については、全女性に就業制限が適用されます。

 

 

②【R23-B】 ×

 「さく岩機、鋲打機等身体に著しい振動を与える機械器具等を用いて行う業務」については、妊産婦については「就かせてはならない業務」ですが、妊産婦以外の女性については、就かせても差し支えない業務です。

 

③【R23-C】 〇

 「つり上げ荷重が5トン以上のクレーンの運転の業務」については、妊娠中の女性を就かせることはできません。

 ちなみに、産後1年を経過しない女性については、「女性が申し出た場合は就かせてはならない業務」となり、妊産婦以外の女性については、就かせても差し支えない業務です。

 

④【R23-D】 〇

 「高さが5メートル以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのあるところにおける業務」が禁止されるのは、妊娠中の女性のみです。

 「産後1年を経過しない女性」、「妊産婦以外の女性」を就かせても差し支えありません。

 

 

⑤【R23-E】 〇

 「動力により駆動される土木建築用機械の運転の業務」は、産後1年を経過しない女性が従事しない旨を使用者に申し出た場合は、就かせることはできません。

 

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-128

R5.1.2 R4択一式より 賃金の非常時払い

 災害などで出費を要することになった場合、労働者は、支払期日前でも、賃金の繰上払を請求することができます。

 

条文を読んでみましょう。

25条 (非常時払)

 使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であっても既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。

則第9条 

 非常の場合は、次に掲げるものとする。

1 労働者の収入によって生計を維持する者が出産し、疾病にかかり、又は災害をうけた場合 

2 労働者又はその収入によって生計を維持する者結婚し、又は死亡した場合

3 労働者又はその収入によって生計を維持する者がやむを得ない事由により1週間以上にわたって帰郷する場合

 

 支払期日前でも繰上払の請求ができるのは以下の事由の場合です。

・出産、疾病、災害、結婚、死亡、やむを得ない事由によって1週間以上にわたって帰郷する場合

★労働者のみならず、「労働者の収入によって生計を維持する者」も対象です。

 

★支払期日前に請求できるのは「既往の労働」に対する賃金です。使用者は、まだ労務の提供のない期間の賃金については支払う義務はありません。

 

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問6-ウ】

 労働基準法第25条により労働者が非常時払を請求しうる事由の1つである「疾病」とは、業務上の疾病、負傷であると業務外のいわゆる私傷病であるとを問わない。

 

 

 

 

 

【解答】

【問6-ウ】 〇

 「疾病」、「災害」は、業務上、業務外は問われません。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 労働基準法第25条により労働者が非常時払を請求しうる事由は、労働者本人に係る出産、疾病、災害に限られず、その労働者の収入によって生計を維持する者に係る出産、疾病、災害も含まれる。

 

 

②【H28年出題】

 使用者は、労働者が出産、疾病、災害等非常の場合の費用に充てるために請求する場合には、いまだ労務の提供のない期間も含めて支払期日前に賃金を支払わなければならない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 〇

 労働者本人だけでなく、労働者の収入によって生計を維持する者の事由も含まれるのがポイントです。

 

②【H28年出題】 ×

 非常時払いの対象は、「既往の労働」に対する部分です。いまだ労務の提供のない期間は支払う義務はありません。

 

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-127

R5.1.1 R4択一式より 通貨以外のもので支払われる賃金

 賃金は、「通貨払い」が原則ですが、例外もあります。

 

条文を読んでみましょう。

24条 (賃金の支払)

① 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

② 賃金は、毎月1回以上一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金については、この限りでない。

 

 賃金の支払には、「通貨払い」、「直接払い」、「全額払い」、「毎月1回以上払い」、「一定期日払い」の5原則があります。

 今日は「通貨払い」の例外に注目します。

 賃金は「通貨」で支払うのが原則ですが、「法令」に別段の定めがある場合、「労働協約」に別段の定めがある場合は、通貨以外のもの(現物)で支払うことができます。

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問6-ア】

 通貨以外のもので支払われる賃金も、原則として労働基準法第12条に定める平均賃金等の算定基礎に含まれるため、法令に別段の定めがある場合のほかは、労働協約で評価額を定めておかなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問6-ア】 〇

 平均賃金を算定する際の「賃金の総額」には、「臨時」に支払われた賃金及び「3か月を超える期間ごと」に支払われる賃金並びに「通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの」は算入しない、とされています。(法第12条第4項)

★「通貨以外のもので支払われた賃金」で一定の範囲に属するものは、平均賃金の算定基礎に含まれます。

 賃金の総額に算入すべきものは、法第24条第1項ただし書の規定による法令又は労働協約の別段の定めに基づいて支払われる通貨以外のもので、「評価額」は、法令に別段の定がある場合の外、労働協約に定めなければならない、とされています。(則第2条)

 

過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 賃金を通貨以外のもので支払うことができる旨の労働協約の定めがある場合には、当該労働協約の適用を受けない労働者を含め当該事業場のすべての労働者について、賃金を通貨以外のもので支払うことができる。

 

 

②【H15年出題】

 ある会社においては、労働協約により、通勤費として、労働者に対して、6か月定期券を購入して支給しているが、このような通勤定期券は、労働基準法第11条の「賃金」と解される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 ×

 労働協約の定めによって通貨以外のもので支払うことが許されるのは、その労働協約の適用を受ける労働者に限られます。事業場の全ての労働者ではありません。

★労働協約は、「労働組合法でいう労働協約」のみを意味します。

労働組合がない場合の、労働者の過半数を代表する者と使用者との書面による協定は、労働協約ではありません。

昭和63.3.14基発150号)

 

 

②【H15年出題】 〇

 通勤定期券は、「通貨以外もの(現物)」ですので、労働協約の定めが必要です。このような通勤定期券は、労働基準法第11条の「賃金」と解され、平均賃金の算定の基礎にも含まれます。

(昭25.1.18基収130号) 

 

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-109

R4.12.14 R4択一式より 割増賃金をあらかじめ基本給等に含める方法で支払う場合

 今日は、判例からの問題です。

 

さっそく、令和4年の問題をどうぞ!

【問7-C

 医療法人と医師との間の雇用契約において労働基準法第37条に定める時間外労働等に対する割増賃金を年俸に含める旨の合意がされていた場合、「本件合意は、上告人の医師としての業務の特質に照らして合理性があり、上告人が労務の提供について自らの裁量で律することができたことや上告人の給与額が相当高額であったこと等からも、労働者としての保護に欠けるおそれはないから、上告人の当該年俸のうち時間外労働等に対する割増賃金に当たる部分が明らかにされておらず、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができないからといって不都合はなく、当該年俸の支払により、時間外労働等に対する割増賃金が支払われたということができる」とするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問7-C】 ×

「平成29年7月7日付け最高裁判所第二小法廷判決」からの出題です。

 『当該年俸のうち時間外労働等に対する割増賃金に当たる部分が明らかにされておらず、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができない』場合は、当該年俸の支払により、「時間外労働等に対する割増賃金が支払われたということはできない。」とされています。

 年俸のうち、時間外労働等の割増賃金に当たる部分が明らかにされていなかったことがポイントです。

 この判決を踏まえて、平成29年7月31日付基発073127号「時間外労働等に対する割増賃金の解釈について」が発出されています。

ポイントは以下の通りです。

・時間外労働等に対する割増賃金を基本給や諸手当にあらかじめ含める方法で支払う場合には、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要であること。

・このとき、割増賃金に当たる部分の金額が労働基準法第37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回るときは、その差額を支払わなければならないこと。

 

 

 

では、過去問をどうぞ!

H22年出題】

 タクシー料金の月間水揚高に一定の歩合を乗じて賃金を算定・支給する完全歩合給制においては、時間外労働及び深夜労働を行った場合に歩合額の増額がなく、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分とを判別することができないものであったとしても、歩合給の支給によって労働基準法第37条に規定する時間外及び深夜の割増賃金が支払われたと解釈することができるとするのが最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H22年出題】 ×

 時間外労働及び深夜労働を行った場合に歩合額の増額がなく、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分とを判別することができない場合、最高裁判所の判例では、「この歩合給の支給によって、時間外及び深夜の割増賃金が支払われたとすることは困難なものというべきもの」とされています。

(高知県観光事件)

 

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-108

R4.12.13 R4択一式より 契約解除の日から14日以内の起算日

 「契約解除の日から14日以内」は、当日起算でしょうか?翌日起算でしょうか?

 

では、条文を読んでみましょう。

第15条 (労働条件の明示)

① 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

② 明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる

③ ②の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。 

 

 労働契約締結の際に、使用者は、労働条件を明示しなければなりません。

 明示された労働条件が、実際の条件と異なる場合は、労働者は即時に労働契約を解除できます。その場合、労働者が契約解除の日から14日以内に帰郷する場合は、使用者は必要な旅費を負担しなければなりません。

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問5-B

 労働基準法第15条第3項にいう「契約解除の日から14日以内」であるとは、解除当日から数えて14日をいい、例えば、91日に労働契約を解除した場合は、91日から914日までをいう。

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問5-B】 ×

「解除当日から数える」の部分が誤りです。「契約解除の日から14日以内」は、民法の期間計算の原則によって初日は算入しません。

 91日に労働契約を解除した場合は、翌日の92日から数えて14日以内ですので、915日までとなります。

 

 

過去問をどうぞ!

 

①【H23年出題】

 労働基準法第15条第1項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

 

 

②【H28年出題】

 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と相違しているため、労働者が労働契約を解除した場合、当該解除により労働契約の効力は遡及的に消滅し、契約が締結されなかったのと同一の法律効果が生じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H23年出題】 〇

 「即時に」がポイントです。例えば、2週間前に申し出るなどのような制限はありません。

 

 

②【H28年出題】 ×

 「当該解除により労働契約の効力は遡及的に消滅し、契約が締結されなかったのと同一の法律効果が生じる。」の部分が誤りです。第15条の「解除」は、過去に遡って、契約がなかったものと扱われるのではなく、労働契約関係を「将来に向かって」消滅させることをいいます。

 

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-107

R4.12.12 R4択一式より 労働契約の契約期間の上限

 労働契約には、「期間の定めのある」契約と、「期間の定めのない」契約があります。 

 労働契約に契約期間を定める場合、最長は原則として3年です。長期労働契約はその間、労働者を拘束してしまうからです。

 「期間の定めのない労働契約」については、いつでも労働者から契約解除ができますので、労働基準法上の制限はありません。

 

 では、条文を読んでみましょう。

第14条 (契約期間等)

 労働契約は、期間の定めのないものを除き一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならない。

① 専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る)との間に締結される労働契約

② 60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(①に掲げる労働契約を除く。)

 

 労働契約に契約期間を定める場合の上限は原則として3年です。

例外も確認しましょう。

<例外1> 

一定の事業の完了に必要な期間を定める契約 → 3年を超える期間を定めることができます。例えば工事の完了に4年かかるような場合です。

<例外2>

専門的知識等で高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者との契約 → 上限は5年となります。

※高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限られます。

<例外3>

60歳以上の労働者との間の契約 → 上限は5年となります。

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問5-A

 社会保険労務士の国家資格を有する労働者について、労働基準法第14条に基づき契約期間の上限を5年とする労働契約を締結するためには、社会保険労務士の資格を有していることだけでは足りず、社会保険労務士の名称を用いて社会保険労務士の資格に係る業務を行うことが労働契約上認められていること等が必要である。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問5-A】 〇

 「専門的な知識、技術又は経験であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等」は、告示で限定列挙されていて、「社会保険労務士」はその一つです。

 契約期間の上限を5年とするには、社会保険労務士の資格を有していることだけでは足りません。社会保険労務士の名称を用いて社会保険労務士の資格に係る業務を行うことが労働契約上認められていること等が必要です。

H15.10.22基発第1022001号)

 

 

過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 使用者は、労働者が高度の専門的知識等を有していても、当該労働者が高度の専門的知識等を必要とする業務に就いていない場合は、契約期間を5年とする労働契約を締結してはならない。

 

 

②【H27年出題】

 契約期間の制限を定める労働基準法第14条の例外とされる「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの」とは、その事業が有期的事業であることが客観的に明らかな場合であり、その事業の終期までの期間を定める契約であることが必要である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 〇

 高度の専門的知識等を有しているだけでは、契約期間を5年とする労働契約は締結できません。高度の専門的知識等を必要とする業務に就いていることが条件です。高度の専門的知識等を必要とする業務に就いていない場合は、上限は原則の3年です。

 

 

②【H27年出題】 〇

 「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの」とは、その事業が有期的事業であることが客観的に明らかな場合で、その事業の終期までの期間を定める契約であることが必要です。例えば、6年で完了する工事現場では、労働者を6年間の契約で雇入れることができます。

 

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https://youtu.be/0gpQY4MEtLM

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-088

R4.11.23 R4択一式より 三六協定の時間外労働の定義

 時間外労働・休日労働をさせる場合は、「三六協定」の締結と届出が必要です。

 今日のテーマは、三六協定が必要な「時間外労働」についてです。

 

では、三六協定の条文を読んでみましょう。

36条第1項 

 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下「労働時間」という。)又は35条の休日(以下「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。 

 

★三六協定が必要な時間外労働・休日労働について

時間外労働 → 「労働基準法第32条から第32条の5まで若しくは第40条」で上限が決められている労働時間を延長する場合です。

休日労働 → 「第35条」の休日(原則週1回の休日)に労働させる場合です。

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問3-D

 就業規則に所定労働時間を17時間、135時間と定めたときは、135時間を超え1週間の法定労働時間まで労働時間を延長する場合、各日の労働時間が8時間を超えずかつ休日労働を行わせない限り、労働基準法第36条第1項の協定をする必要はない。

 

 

 

 

 

【解答】

【問3-D】 〇

 所定労働時間を超えて労働時間を延長した場合でも、1週の労働時間が法定労働時間以内で各日の労働時間が8時間以内・かつ休日労働を行わせない限りは、36協定をする必要はありません。

 36協定が必要になるのは、法定労働時間を超えて労働させる場合、法定休日に労働させる場合です。

H11.3.31基発168号)

 

 

過去問をどうぞ!

H13年出題】

 週の法定労働時間及び所定労働時間が40時間であって変形労働時間制を採用していない事業場において、月曜日に10時間、火曜日に9時間、水曜日に8時間、木曜日に9時間労働させ、金曜日は会社創立記念日であるので午前中4時間勤務とし午後は休業としたときは、その週の総労働時間数は40時間であるので、この月曜から金曜までについては、労働基準法第37条に基づく割増賃金を支払う必要はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H13年出題】 ×

 週の総労働時間数は40時間で法定労働時間以内ですが、18時間を超えている月曜日、火曜日、木曜日は時間外労働となります。三六協定の締結と、第37条に基づく割増賃金の支払が必要です。 

 

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-087

R4.11.22 R4択一式より トラック運転手の労働時間

 トラック運転手の労働時間の取扱いについて確認しましょう。

 

さっそく、令和4年の問題をどうぞ!

【問2-B

 定期路線トラック業者の運転手が、路線運転業務の他、貨物の積込を行うため、小口の貨物が逐次持ち込まれるのを待機する意味でトラック出発時刻の数時間前に出勤を命ぜられている場合、現実に貨物の積込を行う以外の全く労働の提供がない時間は、労働時間と解されていない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

【問2-B】 ×

 いわゆる手待ち時間が大半を占めていても、出勤を命ぜられ、一定の場所に拘束されている以上は、労働時間と解されます。

S33.10.11基収6286号)

 

 

過去問をどうぞ!

①【H30年出題】

 貨物自動車に運転手が二人乗り込んで交替で運転に当たる場合において、運転しない者については、助手席において仮眠している間は労働時間としないことが認められている。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年出題】 ×

 仮眠中であっても、トラックに乗り込む点で使用者の拘束を受けていること、また、万一の事故発生の場合には交替運転や故障修理を行うことから、一種の手待ち時間又は助手的な勤務として、労働時間と解されます。

S33.10.11基収6286号)

 

 

こちらの過去問もどうぞ!

②【H22年出題】

 ビルの巡回監視等の業務に従事する労働者の実作業に従事していない仮眠時間についても、労働からの解放が保障されていない場合には労働基準法上の労働時間に当たるとするのが最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H22年出題】 〇

 「仮眠時間中、労働契約に基づく義務として仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに相当の対応をすることを義務付けられているのであり、実作業への従事がその必要が生じた場合に限られるとしても、その必要が生じることが皆無に等しいなど実質的に上記のような義務付けがされていないと認めることができるような事情も存しないから、本件仮眠時間は全体として労働からの解放が保障されているとはいえず、労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価することができる」とされています。

(最高裁第1小法廷H14.2.28大星ビル管理事件)

 

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-086

R4.11.21 R4択一式より 年次有給休暇の権利の発生

 年次有給休暇の権利の発生の要件を確認しましょう。

 

まず、条文を読んでみましょう。

39条第1項 

 使用者は、その雇入れの日から起算して6か月間継続勤務全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。

 

 年次有給休暇の権利は、①6か月間継続勤務、②全労働日の8割以上出勤の2つの要件を満たした場合に発生します。

 

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問7-E

 年次有給休暇の権利は、「労基法3912項の要件が充足されることによって法律上当然に労働者に生ずる権利ということはできず、労働者の請求をまって始めて生ずるものと解すべき」であり、「年次〔有給〕休暇の成立要件として、労働者による『休暇の請求』や、これに対する使用者の『承認』を要する」とするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問7-E】 ×

 年次有給休暇の権利について最高裁判所の判例では、「労基法3912項の要件が充足されることによって法律上当然に労働者に生ずる権利であって、労働者の請求をまって始めて生ずるものではない」とされています。年次有給休暇の成立要件として、労働者による『休暇の請求』や、これに対する使用者の『承認』は不要です。

 なお、第39条第5項では、「使用者は、有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」と規定されています。

ここに出てくる「請求」は休暇の時季にかかる文言で、休暇の時季の指定という意味です。

S48.3.2白石営林署事件)

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H20年出題】

 年次有給休暇の権利は、労働基準法第39条所定の要件を満たすことによって法律上当然に労働者に生ずる権利であって、労働者の請求をまって始めて生ずるものではないとするのが最高裁判所の判例である。

 

 

②【H22年出題】

 労働者の時季指定による年次有給休暇は、労働者が法律上認められた休暇日数の範囲内で具体的な休暇の始期と終期を特定して時季指定をし、使用者がこれを承認して初めて成立するとするのが最高裁判所の判例である。

 

 

③【H24年出題】

 労働基準法第39条に定める年次有給休暇の利用目的は同法の関知しないところであり、労働者が病気療養のために年次有給休暇を利用することもできる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H20年出題】 〇

 年次有給休暇の権利は、所定の要件を満たすことによって法律上当然に労働者に生ずる権利です。

S48.3.2白石営林署事件)

 

 

 

②【H22年出題】 ×

 年次有給休暇の成立について、労働者による休暇の請求やこれに対する使用者の承認は不要です。

労働者がその有する休暇の日数の範囲内で、具体的な休暇の始期と終期を特定して時季指定をしたときは、使用者が時季変更権の行使をしない限り、労働者の時季指定によって年次有給休暇が成立します。

S48.3.2白石営林署事件)

 

 

③【H24年出題】 〇

 最高裁判例(S48.3.2白石営林署事件)では、「年次有給休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である」とされています。

労働者が病気療養のために年次有給休暇を利用する場合も、その請求時季が事業の正常な運営を妨げるものでない限り、使用者はこれを付与しなければならない、とされています。

S24.12.28 基発第1456号)

 

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-085

R4.11.20 R4択一式より 労基法第22条「退職時等の証明」

 労働者から退職時の証明書の交付を請求された場合、使用者には交付する義務があります。

 

 条文を読んでみましょう。

22条 (退職時等の証明)

① 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない

② 労働者が、解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。

③ 前2項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない

 

①は「退職時の証明」です。法定記載事項は、①使用期間、②業務の種類、③その事業における地位、④賃金、⑤退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)です。

②は「解雇理由証明書」です。解雇予告の期間中に、労働者から解雇理由について証明書を請求された場合に、交付しなければならないものです。

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問5-E】

 労働基準法第22条第1項に基づいて交付される証明書は、労働者が同項に定める法定記載事項の一部のみが記入された証明書を請求した場合でも、法定記載事項をすべて記載しなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

【問5-E】 ×

 第22条第3項で「証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない」と規定されています。

 例えば、解雇された労働者が解雇の事実のみが記入された証明書を請求した場合は、証明書に記載できるのは解雇の事実のみです。請求されていない解雇の理由を記載することはできません。

H11.1.29基発45号)

 

過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 使用者は、労働者が退職から1年後に、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由について証明書を請求した場合は、これを交付する義務はない。

 

②【H22年出題】

 労働基準法第22条第1項の規定により、労働者が退職した場合に、退職の事由について証明書を請求した場合は、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならず、また、退職の事由が解雇の場合には、当該退職の事由には解雇の理由を含むこととされているため、解雇された労働者が解雇の事実のみについて使用者に証明書を請求した場合であっても、使用者は、解雇の理由を証明書に記載しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

①【H29年出題】 ×

 退職時の証明を請求する権利は、労働基準法第115条によって時効は2年となっています。そのため、退職から1年後に証明書の請求があった場合は、使用者には交付する義務があります。

H11.3.31基発169号)

 

 

②【H22年出題】 ×

 解雇された労働者が解雇の事実のみについて使用者に証明書を請求した場合は、「解雇の理由」を証明書に記載することはできません。

 証明書には労働者の請求しない事項を記載することはできないからです。

H11.1.29基発45号)

 

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https://youtu.be/pWbjYEEXb5A

社労士受験のあれこれ

 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-084

R4.11.19 R4択一式より 労基法第5条「強制労働の禁止」

 労働基準法第5条では、労働者の意思に反して労働を強制することを禁止しています。

 条文を読んでみましょう。

5条 (強制労働の禁止)

 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。 

 

 第5条は、「強制してはならない」という規定ですので、労働することを強要した場合は労働者が現実に労働した事実がなくても、強要しただけで5条に抵触します。

 第5条に違反した場合は、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処せられます。労働基準法上最も重い罰則です。

 

 

では令和4年の問題をどうぞ

【問4-D

 使用者の暴行があっても、労働の強制の目的がなく、単に「怠けたから」又は「態度が悪いから」殴ったというだけである場合、刑法の暴行罪が成立する可能性はあるとしても、労働基準法第5条違反とはならない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問4-D】 〇

 第5条は、不当に拘束する手段で労働を強制することを禁止しています。問題文のように「労働の強制の目的がなく」、使用者の暴行が労働の強制につながっていない場合は、労働基準法第5条違反にはなりません。

 

 

過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 労働基準法第5条に定める「脅迫」とは、労働者に恐怖心を生じさせる目的で本人又は本人の親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対して、脅迫者自ら又は第三者の手によって害を加えるべきことを通告することをいうが、必ずしも積極的言動によって示す必要はなく、暗示する程度でも足りる。

 

 

②【H26年出題】

 労働基準法第5条は、使用者が労働者に強制労働をさせることを禁止しているが、必ずしも形式的な労働契約により労働関係が成立していることを要求するものではなく、当該具体例において事実上労働関係が存在すると認められる場合であれば足りるとされている。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 〇

 脅迫によって使用者が労働者の意思に反して労働することを強制し得る程度であることが必要です。

S22.9.13発基17号)

 

 

②【H26年出題】 〇

 形式的な労働契約が成立していなくても、事実上労働関係が存在すると認められる場合は、強制労働違反が成立します。

 

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社労士受験のあれこれ

 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-083

R4.11.18 R4択一式より 労基法第3条「均等待遇」

今日のテーマは「均等待遇」です。

 

まず、条文を読んでみましょう。

3条 (均等待遇)

 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない

 

国籍、信条、社会的身分を理由として労働者を差別することを禁止している条文です。

 なお、第3条で禁止している差別は、国籍・信条・社会的身分を理由する差別のみです。それ以外の理由による差別は第3条には抵触しません。

 

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問4-B

 労働基準法第3条にいう「信条」には、特定の宗教的信念のみならず、特定の政治的信念も含まれる。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問4-B】 〇

 「信条」とは、特定の宗教的又は政治的信念をいいます。

S22.9.13 発基第17号)

 

 

過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 労働基準法が第3条が禁止する「差別的取扱」をするとは、当該労働者を有利又は不利に取り扱うことをいう。

 

②【H25年出題】

 労働基準法第3条は、すべての労働条件について差別待遇を禁止しているが、いかなる理由に基づくものもすべてこれを禁止しているわけではなく、同条で限定的に列挙している国籍、信条又は社会的身分を理由とする場合のみを禁じている。

 

 

③【H30年出題】

 労働基準法第3条にいう「賃金、労働時間その他の労働条件」について、解雇の意思表示そのものは労働条件とはいえないため、労働協約や就業規則等で解雇の理由が規定されていても、「労働条件」にはあたらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 〇

 有利に取り扱っても、不利に取り扱っても「差別的取扱」にあたります。

 

 

 

②【H25年出題】 〇

 労働基準法第3条で禁止しているのは、「国籍、信条又は社会的身分を理由とする」差別的取扱に限定されています。

 

 

③【H30年出題】 ×

 「賃金、労働時間その他の労働条件」の「その他の労働条件」は、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等も含む趣旨とされています。

 労働協約や就業規則等で解雇の基準や理由が規定されていれば、労働するための条件となりますので、第3条の「労働条件」になります。

(S23.6.16基収第1365号)

 

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-061

R4.10.27 R4択一式より 時間外労働は「実労働時間」で考える

 まず、「36協定」の条文を読んでみましょう。

36条第1

 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下「労働時間」という。)又は前条の休日(以下「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。

 

36協定が必要な時間外労働・休日労働を確認しましょう

「法定労働時間(原則18時間・1週40時間)」を超えて労働させる場合

「法定休日(原則毎週少なくとも1回)」に労働させる場合

 

 例えば、月曜日から金曜日までの所定労働時間が17時間、土日が休日の事業場で、金曜日の労働時間を1時間延長した場合を考えてみましょう。金曜日を1時間延長しても、18時間、1週間36時間です。法定労働時間内に収まっていますので、36協定は不要です。

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問3-C

 労働者が遅刻をし、その時間だけ通常の終業時刻を繰り下げて労働させる場合に、1日の実労働時間を通算すれば労働基準法第32条又は第40条の労働時間を超えないときは、労働基準法第36条第1項に基づく協定及び労働基準法第37条に基づく割増賃金の支払の必要はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問3-C】 〇

 36協定や割増賃金が必要なのは、実労働時間が8時間を超えた場合です。遅刻した分、終業時刻を繰り下げたとしても、1日の実労働時間が8時間以内なら36協定も割増賃金も不要です。

H11.3.31基発168号)

 

 

過去問をどうぞ!

【H29年出題】

1日の所定労働時間が8時間の事業場において、1時間遅刻をした労働者に所定の終業時刻を1時間繰り下げて労働させることは、時間外労働に従事させたことにはならないので、労働基準法第36条に規定する協定がない場合でも、労働基準法第32条違反ではない。

 

 

 

【解答】

H29年出題】 〇

1日の所定労働時間が8時間で、1時間遅刻をした分、終業時刻を1時間繰り下げたとしても実働時間が8時間ですので、時間外労働にはなりません。

 

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-060

R4.10.26 R4択一式より 特別条項による時間外労働の上限

 使用者は36協定を締結し、労働基準監督署に届け出ることによって、時間外労働をさせることができますが、労働時間の延長には上限が定められています。

 

・時間外労働の上限は、原則として、月45時間、年360時間です。

臨時的な特別の事情がある場合(特別条項)の場合は、月45時間、年360時間を超えて労働させることができます。

<特別条項の条件>

・時間外労働 →720時間以内

・時間外労働と休日労働の合計 → 100 時間未満

・時間外労働と休日労働の合計 → 2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1か月当たり80 時間以内

・月45時間の限度時間を超えることができるのは、年6か月まで

 

今日のテーマは特別条項による時間外労働の上限です。

 

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問3-B

 小売業の事業場で経理業務のみに従事する労働者について、対象期間を令和411日から同年1231日までの1年間とする労働基準法第36条第1項の協定をし、いわゆる特別条項により、1か月について95時間、1年について700時間の時間外労働を可能としている事業場においては、同年の1月に90時間、2月に70時間、3月に85時間、4月に75時間、5月に80時間の時間外労働をさせることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問3-B】 ×

 特別条項の条件を満たしているかチェックしましょう

 

1

2

3

4

5

合計

時間外労働

90時間

70時間

85時間

75時間

80時間

400時間

・時間外労働の上限は年720時間以内

・時間外労働と休日労働の合計は月100 時間未満 

・月45時間の限度時間を超えることができるのは、年6か月まで 

・時間外労働と休日労働の合計が、「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1か月当たり80 時間以内

→ 例えば、3月について、2~6か月の平均を出してみましょう。

2月~3月(2か月)の平均 → 77.5時間

1月~3月(3か月)の平均 → 81.66時間

 ※前年度の36協定の対象期間の時間数も入れて平均を出します。前年12月~3月(4か月)の平均、前年11月~3月(5か月)の平均、前年10月~3月(6か月)の平均もチェックが必要ですが、問題文では明らかにされていないので、今回は触れません。

 

 チェックの結果、1月~3月の3か月の平均が80時間を超えています。そのため、特別条項の条件を満たしていません。

 

 

過去問をどうぞ!

R2年出題】

 労働基準法第36条第3項に定める「労働時間を延長して労働させることができる時間」に関する「限度時間」は、1か月について45時間及び1年について360時間(労働基準法第32条の41項第2号の対象期間として3か月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあっては、1か月について42時間及び1年について320時間)とされている。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R2年出題】 〇

 時間外労働の上限は、原則として「1か月45時間、1年360時間」です。ただし、1年単位の変形労働時間制(対象期間が3か月を超える場合)により労働させる場合は、「1か月42時間、1320時間」です。

 

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https://youtu.be/98_pw4ughLI

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-059

R4.10.25 R4択一式より 教育訓練の時間は労働時間になる?ならない?

 使用者が実施する「教育訓練」の時間は、労働基準法の労働時間となるのでしょうか?

 

 

まず令和4年の問題をどうぞ!

【問2-C

 労働安全衛生法第59条等に基づく安全衛生教育については、所定労働時間内に行うことが原則とされているが、使用者が自由意思によって行う教育であって、労働者が使用者の実施する教育に参加することについて就業規則上の制裁等の不利益取扱による出席の強制がなく自由参加とされているものについても、労働者の技術水準向上のための教育の場合は所定労働時間内に行うことが原則であり、当該教育が所定労働時間外に行われるときは、当該時間は時間外労働として取り扱うこととされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問2-C】 ×

 「労働者が使用者の実施する教育に参加することについて就業規則上の制裁等の不利益取扱による出席の強制がなく自由参加のものであれば時間外労働にはならない」という考え方です。(S26.1.20基収2875号、H11.3.31基発168号)

 「強制」なのか「自由参加」なのかがポイントです。問題文の場合は、「自由参加」ですので、労働時間ではなく、所定労働時間外に行われるときでも時間外労働にはなりません。

 

 なお、労働安全衛生法に基づく安全衛生教育は、労働者がその業務に従事する場合の労働災害の防止をはかるため、事業者の責任において実施されなければならないものです。そのため、安全衛生教育については所定労働時間内に行なうのが原則です。また、安全衛生教育の実施に要する時間は労働時間となりますので、当該教育が法定時間外に行なわれた場合には、割増賃金の支払が必要です。

S47.9.18基発第602号)

 

過去問もどうぞ!

H26年出題】

 労働者が使用者の実施する教育、研修に参加する時間を労働基準法上の労働時間とみるべきか否かについては、就業規則上の制裁等の不利益な取扱いの有無や、教育・研修の内容と業務との関連性が強く、それに参加しないことにより本人の業務に具体的な支障が生ずるか否か等の観点から、実質的にみて出席の強制があるか否かにより判断すべきものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H26年出題】 〇

 労働者が使用者の実施する教育、研修に参加する時間を労働基準法上の労働時間とみるべきか否かについて、ポイントは、「実質的にみて出席の強制があるか否かにより判断すべきもの」の部分です。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/KObn1q9jQv4

社労士受験のあれこれ

 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-047

R4.10.13 R4択一式より 労使協定の効力の発生

 「1か月単位の変形労働時間制」を導入する際は、「労使協定を締結する」、「就業規則その他これに準ずるものに定める」のどちらかが必要です。

 労使協定の締結によって1か月単位の変形労働時間制を採用する場合は、労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。

 今日のテーマは、「労使協定の効力の発生」です。

 

では、条文を読んでみましょう。

第32条の2(1か月単位の変形労働時間制) 

① 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、1か月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が法第32条第1項の労働時間(法定労働時間)を超えない定めをしたときは、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。

② 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、①の協定を行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出なければならない

 

 第32条の22項により、1か月単位の変形労働時間制の労使協定は、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。

 例えば、労使協定で110時間と定めた日には10時間まで労働させることができますし、1週52時間と定めた週には52時間まで労働させることができます。

 この「労使協定」は、届出によって効力が発生するのでしょうか?それとも締結していれば効力が発生するのでしょうか?

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問7-B

 労働基準法第32条の2に定めるいわゆる1か月単位の変形労働時間制を労使協定を締結することにより採用する場合、当該労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出ないときは1か月単位の変形労働時間制の効力が発生しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問7-B】 ×

1か月単位の変形労働時間制についての労使協定については、「届出」が効力の発生要件となっていません。労使協定が締結されていれば、効力が発生します。

 労使協定を届出なくても効力は発生します。しかし、届け出なかった使用者については罰則が適用され、30万円以下の罰金に処せられます。

(参考)労使協定はどのような効力をもつのでしょうか?

 労働基準法の労使協定の効力は、その協定に定めるところによって労働させても労働基準法に違反しないという「免罰効果」をもちます。

 労働者の民事上の義務は、当該協定から直接生じるものではなく、労働協約、就業規則等の根拠が必要です。

S63.1.1基発1号)

 

 

過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

1か月単位の変形労働時間制は、就業規則その他これに準ずるものによる定めだけでは足りず、例えば当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合と書面により協定し、かつ、当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる。

 

②【H24年出題】

 労働基準法第36条に定めるいわゆる36協定は、これを所轄労働基準監督署長に届け出てはじめて使用者が労働者に適法に時間外労働又は休日労働を行わせることを可能とするのであって、法定労働時間を超えて労働させる場合、単に同協定を締結したのみでは、労働基準法違反の責めを免れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 ×

1か月単位の変形労働時間制は、「就業規則その他これに準ずるものによる定め」又は「当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定(労使協定)の締結」のどちらかで採用することができます。

 就業規則その他これに準ずるものによる定めだけでも採用することができます。

 また、労使協定の締結によって採用する場合は届出が必要ですが、「当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって」効力が発生するのではなく、締結することによって労使協定の効力が発生します。

 

 

②【H24年出題】 〇

 労働基準法第36条に定めるいわゆる36協定の効力は、所轄労働基準監督署長に届け出てはじめて発生します。単に同協定を締結したのみでは、効力は発生しませんので注意してください。

36条の条文を確認しておきましょう。

 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、労働時間又は休日に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。

 「行政官庁に届け出た場合」に注目してください。36協定については、行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出て、初めて免罰効果が発生します。 

 

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-046

R4.10.12 R4択一式より 労働時間の特例

 法定労働時間は、1週40時間、18時間が原則です。

 ただし、一部の業種については、法定労働時間の特例措置が適用されます。

 今日は、法定労働時間の特例をみていきましょう。

 

では、条文を読んでみましょう。

40条 (労働時間及び休憩の特例)

① 別表第1第1号から第3号まで、第6号及び第7号に掲げる事業以外の事業で、公衆の不便を避けるために必要なものその他特殊の必要あるものについては、その必要避くべからざる限度で、第32条から第32条の5までの労働時間及び第34条の休憩に関する規定について、厚生労働省令で別段の定めをすることができる

② ①の規定による別段の定めは、この法律で定める基準に近いものであって、労働者の健康及び福祉を害しないものでなければならない。

 

  では、第40条の特例措置のうち、則第25条の21項の「法定労働時間の特例」を読んでみましょう。

則第25条の2

 使用者は、法別表第1第8号、第10号(映画の製作の事業を除く。)、第13号及び第14号に掲げる事業のうち常時10人未満の労働者を使用するものについては、法第32条の規定にかかわらず、1週間について44時間、1日について8時間まで労働させることができる。

 

<法定労働時間の特例>

・1週間44時間、18時間

・対象の業種

常時10人未満の労働者を使用する

第8号 物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業

10号 映画の製作又は映写、演劇その他興行の事業 (映画の製作の事業を除く。)

13号 病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業

14号 旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問7-A

 使用者は、労働基準法別表第1第8号(物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業)、第10号のうち映画の製作の事業を除くもの(映画の映写、演劇その他興行の事業)、第13号(病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業)及び第14号(旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業)に掲げる事業のうち常時10人未満の労働者を使用するものについては、労働基準法第32条の規定にかかわらず、1週間について48時間、1日について10時間まで労働させることができる。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問7-A】 ×

 特例により、1週間については44時間まで、1日については8時間までです。

 

 

では、過去問もどうぞ!

H18年出題】

 使用者は、物品の販売の事業のうち常時10人未満の労働者を使用するものについては、労働基準法第32条の規定にかかわらず、1週間について44時間、1日について8時間まで労働させることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H18年出題】 〇

 「物品の販売の事業」は第8号に該当しますので、常時10人未満の労働者を使用するものは、1週間について44時間、1日について8時間まで労働させることができます。

 ちなみに、第8号は商業、第10条は映画演劇業、第13号は保健衛生業、第14号は接客娯楽業と略称で書かれることが多いです。

 問題文の「物品の販売の事業」が第8号商業とつながるようにおさえておきましょう。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/V6ZOhBDZcUE

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 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-045

R4.10.11 R4択一式より 労基法第16条賠償予定の禁止

 今日のテーマは、労働基準法第16条の賠償予定の禁止です。

 

では、第16条を読んでみましょう。

16条 (賠償予定の禁止)

 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約してはならない

 

 使用者が労働契約の不履行について違約金を定める、又は損害賠償額を予定する契約をした場合は、第16条違反として、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。

 

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問5-C

 労働基準法第16条のいわゆる「賠償予定の禁止」については、違約金又はあらかじめ定めた損害賠償額を現実に徴収したときにはじめて違反が成立する。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問5-C】 ×

 第16条で禁止されているのは、「労働契約の不履行について違約金を定めること」、「損害賠償額を予定する契約をすること」です。違反が成立するのは、違約金又はあらかじめ定めた損害賠償額を現実に徴収したときではなく、そのような契約をしたときです。

 

 

では、過去問もどうぞ!

①【H25年出題】

 労働基準法第16条は、労働契約の不履行について違約金を定め又は損害賠償額を予定する契約をすることを使用者に禁止しているが、その趣旨は、このような違約金制度や損害賠償額予定の制度が、ともすると労働の強制にわたり、あるいは労働者の自由意思を不当に拘束し、労働者を使用者に隷属させることとなるので、これらの弊害を防止しようとする点にある。

  

②【H30年出題】

 債務不履行によって使用者が損害を被った場合、現実に生じた損害について賠償を請求する旨を労働契約の締結に当たり約定することは、労働基準法第16条により禁止されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】 〇

 労働契約の不履行について違約金を定め又は損害賠償額を予定する契約をすることは、労働の強制や労働者の自由意思を不当に拘束することにつながるため、禁止されています。

 

②【H30年出題】 ×

 第16条で禁止しているのは「金額を予定すること」です。現実に生じた損害について賠償を請求することを禁止する趣旨ではありません。

(S22.9.13発基第17) 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/KYNdHmP36gE

社労士受験のあれこれ

 令和4年の問題を復習しましょう(労働基準法)

R5-030

R4.9.27 R4択一式より『健康診断の実施時間は労働時間になる?ならない?』

 労働安全衛生法では、健康管理のため事業者に健康診断の実施が義務づけられています。

 労働安全衛生法の健康診断は、一般的な健康の確保を図るための「一般健康診断」と、特定の有害業務に従事する労働者が対象になる「特殊健康診断」の2つに分けられます。

 労働者が健康診断を受ける時間は労働時間になるのでしょうか?

 令和4年の問題で確認しましょう。

 

では、過去問からどうぞ!労働安全衛生法の過去問です。

 

H27年出題(安衛法)】

 健康診断の受診に要した時間に対する賃金の支払いについて、労働者一般に対し行われるいわゆる一般健康診断の受診に要した時間については当然には事業者の負担すべきものとされていないが、特定の有害な業務に従事する労働者に対し行われるいわゆる特殊健診断の実施に要する時間については労働時間と解されているので、事業者の負担すべきものと解されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H27年出題(安衛法)】 〇

一般健康診断の時間 → 労働時間にはなりません

特殊健康診断の時間 → 労働時間となります(賃金の支払が必要です)

 

※健康診断の受診に要した時間についての賃金の支払いについて

・労働者一般に対して行なわれる、いわゆる一般健康診断は、一般的な健康の確保をはかることを目的として事業者にその実施義務を課したものです。「業務遂行との関連において行なわれるものではないので、その受診のために要した時間については、当然には事業者の負担すべきものではない」とされています。

・特定の有害な業務に従事する労働者について行なわれる健康診断、いわゆる特殊健康診断は、事業の遂行にからんで当然実施されなければならない性格のものですので、「所定労働時間内に行なわれるのを原則」とすること。また、「特殊健康診断の実施に要する時間は労働時間と解される」ので、当該健康診断が時間外に行なわれた場合には、当然割増賃金を支払わなければならないものであることとされています。

(S47.9.18基発第602)

 

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

R42-A

 労働安全衛生法により事業者に義務付けられている健康診断の実施に要する時間は、労働安全衛生規則第44条の定めによる定期健康診断、同規則第45条の定めによる特定業務従事者の健康診断等その種類にかかわらず、すべて労働時間として取り扱うものとされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R42-A】 ×

則第44条の定期健康診断、則第45条の特定業務従事者の健康診断は一般健康診断ですので、労働時間とはされません。

 一定の有害業務に従事する労働者が対象の特殊健康診断は、労働時間と解されます。 

 

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https://youtu.be/DU7rVxF0nOA

社労士受験のあれこれ

 令和4年基本問題(労働基準法)

R5-020

R4.9.17 R4択一式より『第4条 男女同一賃金の原則』

 令和4年の択一式から、基本問題を取り上げていきます。

 今日は、労働基準法第4条男女同一賃金の原則です。

 

では、条文を読んでみましょう。

第4条 

 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。

 

過去問で、第4条のポイントを確認しましょう。

 

①【H25年出題】

 労働基準法第4条は、性別による差別のうち、特に顕著な弊害が認められた賃金について、罰則をもって、その差別的取扱いを禁止したものである。

 

②【H24年出題】

 労働基準法第4条は、賃金についてのみ女性であることを理由とする男性との差別的取扱いを禁止したものであり、その他の労働条件についての差別的取扱いについては同条違反の問題は生じない。

 

③【H30年出題】

 労働基準法第4条の禁止する賃金についての差別的取扱いとは、女性労働者の賃金を男性労働者と比較して不利に取り扱う場合だけでなく、有利に取り扱う場合も含まれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】 〇

 第4条で、女性であることを理由として差別的取扱いを禁止しているのは、「賃金」についてのみです。

 

②【H24年出題】 〇

 なお、男女雇用機会均等法では、募集・採用、配置・昇進、降格・教育訓練、一定の福利厚生の措置、職種・雇用形態の変更、退職の勧奨・定年・解雇・労働契約の更新について、性別を理由とする差別的取扱いを禁止しています。

 

③【H30年出題】 〇

 差別的取扱いとは、不利に取り扱う場合だけでなく、有利に取り扱う場合も含まれる、とされています。

H9.9.25基発第648号)

 

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

④【R4年出題】

 就業規則に労働者が女性であることを理由として、賃金について男性と差別的取扱いをする趣旨の規定がある場合、現実には男女差別待遇の事実がないとしても、当該規定は無効であり、かつ労働基準法第4条違反となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

④【R4年出題】 ×

 第4条に違反して、女性であることを理由として賃金について男性と差別的取扱いをした使用者は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。

 第4条の違反が成立するのは、現実に差別的取扱いをした場合です。就業規則で賃金について男性と差別的取扱いをする趣旨の規定がある場合、その規定は無効となるだけです。現実に男女差別待遇の事実が無い場合は、労働基準法第4条違反にはなりません。

H9.9.25基発第648号)

 

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https://youtu.be/7KzwPid2fxo

社労士受験のあれこれ

 令和4年択一式を解いてみる(労働基準法)

R5-010

R4.9.7 R4「労基択一」は基本問題中心。問1労働者の定義について

 令和4年の労働基準法の択一式は基本問題が中心でした。

 今日は問1を見ていきましょう。

 

まず、第9条の「労働者」の定義を読んでみましょう。

第9条 

 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

 労働者は、「職業の種類」を問わず、事業又は事務所に「使用」され、「賃金」を支払われる者をいいます。

 

 

では、令和4年問1です。

A 労働基準法の労働者であった者は、失業しても、その後継続して求職活動をしている間は、労働基準法の労働者である。

 

B 労働基準法の労働者は、民法第623条に定める雇用契約により労働に従事する者がこれに該当し、形式上といえども請負契約の形式を採るものは、その実体において使用従属関係が認められる場合であっても、労働基準法の労働者に該当することはない。

 

C 同居の親族のみを使用する事業において、一時的に親族以外の者が使用されている場合、この者は、労働基準法の労働者に該当しないこととされている。

 

D 株式会社の代表取締役は、法人である会社に使用される者であり、原則として労働基準法の労働者になるとされている。

 

E 明確な契約関係がなくても、事業に「使用」され、その対償として「賃金」が支払われる者であれば、労働基準法の労働者である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 問題を解くときの考え方です

A × 

 労働基準法の労働者は、事業に「使用」され、労働の対償に「賃金」を支払われる者です。求職活動中は条件に当てはまりません。

 

B ×

 請負契約の形式を採っていても、その実体において使用従属関係が認められる場合は、「労働関係」となり、労働基準法の労働者となります。※「実体」で判断することがポイントです。

 

C ×

 「同居の親族のみを使用する事業」は労働基準法の適用が除外されます。しかし、「親族以外の者」(他人)が使用されている場合は、労働基準法の適用を受けることになります。一時的に使用される親族以外の者は、労働基準法の労働者に該当します。

 

D ×

 「法人、団体、組合等の代表者又は執行機関たる者の如く、事業主体との関係において使用従属の関係に立たない者は労働者ではない。(H11.3.31基発168号)」とされています。

 

 

E 〇

 『事業に「使用」され、その対償として「賃金」が支払われる者』なら、労働基準法の労働者の定義に当てはまります。

 

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https://youtu.be/Z1s91zq2FLU

社労士受験のあれこれ

 復習しましょう/令和4年選択式①

R5-001

R4.8.29 令和4年選択式の復習~労基法

昨日は、本試験お疲れさまでした。

さっそく復習していきましょう。

今日は「労働基準法」です。

 

1 解雇予告期間の問題です。

<問題の主旨> 解雇予告手当を支払うことなく930日の終了をもって労働者を解雇しようとする場合、いつまでに解雇予告を行わなければならないでしょうか?

★ 解雇予告手当を支払うことなく、解雇しようとする場合は、「30日以上前」に解雇予告をしなければなりません。

★「解雇の予告を行った日」は、解雇予告期間の計算に算入されないのがポイントです。

 

 

平成26年に同じ問題が出題されています。解いてみましょう。

H26年出題】

 平成26930日の終了をもって、何ら手当を支払うことなく労働者を解雇しようとする使用者が同年91日に当該労働者にその予告をする場合は、労働基準法第20条第1項に抵触しない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 ×

930日の終了をもって解雇するためには、831には解雇の予告をしなければなりません。

 民法の一般原則によって、解雇予告を行った日は、解雇予告期間に算入されないため、予告期間は予告を行った日の翌日から計算されます。

 

 

2 東亜ペイント事件(S61.7.14最二小判)からの出題です。

判例の内容を順を追って読んでみましょう。

・使用者は業務上の必要に応じ、その裁量により労働者の勤務場所を決定することができるものというべきである

・ しかし、転勤、特に転居を伴う転勤は、一般に、労働者の生活関係に少なからぬ影響を与えずにはおかないから、使用者の転勤命令権は無制限に行使することができるものではなく、これを濫用することは許されない

・当該転勤命令について、業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であっても当該転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき若しくは労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものである場合等、特段の事情がない場合には、当該転勤命令は権利の濫用に当たらないというべきである。

・業務上の必要性がない場合、・不当な動機・目的をもってなされた場合、・労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合等特段の事情がある場合には、その転勤命令は権利の濫用に当たります

 

 結論は、「本件転勤命令には業務上の必要性が優に存在し、労働者に与える不利益も通常甘受すべき程度であり、権利を濫用したとはいえない。」というものです。

 

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https://youtu.be/MAkanI65tR0

社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-358

R4.8.15 休業手当のポイント!

 まず、休業手当の条文を読んでみましょう。

26条 (休業手当)

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H21年選択式】

 休業手当について定めた労働基準法第26条につき、最高裁判所の判例は、当該制度は「労働者の< A >という観点から設けられたものであり、同条の「『使用者の責に帰すべき事由』の解釈適用に当たっては、いかなる事由による休業の場合に労働者の    < A >のために使用者に前記[同法第26条に定める平均賃金の100分の60]の限度での負担を要求するのが社会的に正当とされるかという考量を必要とするといわなければならない」としている。

 

 

②【H27年出題】

 当該労働者の労働条件は次のとおりである。

  所定労働日:毎週月曜日から金曜日

  所定休日:毎週土曜日及び日曜日

  所定労働時間:1日8時間

  賃金:日給15,000円

  計算された平均賃金:10,000円

 使用者の責に帰すべき事由により労働時間が4時間に短縮されたが、その日の賃金として7,500円の支払がなされると、この場合にあっては、使用者は、その賃金の支払に加えて休業手当を支払わなくても違法とならない。

 

 

 

③【H27年出題】 

 休電による休業については、原則として労働基準法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業に該当しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H21年選択式】

A 生活保障

休業手当は、労働者の「生活保障」のための制度です。

 

(昭62.7.17最高裁判所第二小法廷)

 

 

②【H27年出題】 〇

1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責に帰すべき事由による休業がなされた場合

 ↓

その日について平均賃金の100分の60に相当する金額を支払わなければなりません。

 

 問題文は、平均賃金が10,000円で、その日の賃金として平均賃金の100分の60以上の7,500円の支払がなされていますので、使用者は、その賃金の支払に加えて休業手当を支払わなくても違法となりません。

 ちなみに、現実に就労した時間に対して支払われる賃金が平均賃金の100分の60に相当する金額に満たない場合には、その差額を支払わなければなりません。

(昭27.8.7基収3445号)

 

 

③【H27年出題】 〇 

 休電による休業については、原則として労働基準法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業に該当しませんので、休業手当を支払わなくても26条違反になりません。

(昭26.10.11基発696号)

 

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https://youtu.be/Wq5mNTyPbjc

社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-348

R4.8.5 労働者の過半数を代表する者

 労働者側の当事者は、「当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合」、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、「労働者の過半数を代表する者」となります。

 

 今日は、「労働者の過半数を代表する者」の要件を見てみましょう。

 

では、条文を読んでみましょう。

則第6条の2 

① 過半数代表者は、次の各号のいずれにも該当する者とする。

1 法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。

2 法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であって、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと。

 

③ 使用者は、労働者が過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない

 

④ 使用者は、過半数代表者が法に規定する協定等に関する事務を円滑に遂行することができるよう必要な配慮を行わなければならない。

 

過去問をどうぞ!

 

①【H22年出題】

 労働基準法第41条第2項に定めるいわゆる管理監督者に当たる者であっても、労働基準法第9条に定める労働者に該当し、当該事業場の管理監督者以外の労働者によって選出された場合には、労働基準法第36条第1項等に定める労働基準法上の労使協定を締結する労働者側の当事者である過半数を代表する者になることができる。

 

 

②【H22年出題】

 労働基準法第36条第1項等に定める労働基準法上の労使協定を締結する労働者側の当事者は、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者とされており、労働者の過半数を代表する者の選出は、必ず投票券等の書面を用いた労働者による投票によって行わなければならない。

 

 

③【H25年出題】

 労働組合のない事業場において、労働基準法第36条の規定に基づく時間外労働・休日労働に係る労使協定(以下「36協定」という。)を締結する場合、労働者側の締結当事者たる「労働者の過半数を代表する者」を選出するときの当該事業場の労働者の算定に当たっては、当該事業場で雇用されて働いているパート、アルバイト等は含まれるが、当該事業場に派遣されて現に指揮命令を受けて働いている派遣労働者は含めない。

 

 

④【H19年出題】

 使用者は、労働者が、労働基準法第36条第1項等に規定する労働者の過半数を代表する者(以下「過半数代表者」という。)であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H22年出題】 ×

 「管理監督者」は、労働者の過半数を代表する者になることはできません。

 なお、管理監督者は、労働基準法第9条の労働者に該当します。事業場の労働者の人数には管理監督者も含まれます。

H11.3.31基発168号、H22.5.18基発05181号)

 

 

②【H22年出題】 ×

 則第6条の2では、「法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続」と規定されています。

 投票、挙手等の「等」には、労働者の話し合い、持ち回り決議等労働者の過半数が当該者の選任を支持していることが明確になる民主的な手続きが該当する、とされています。

 「必ず投票券等の書面を用いた労働者による投票によって行わなければならない」ということはありません。

H11.3.31基発169号)

 

 

③【H25年出題】 〇

 「派遣労働者について」

・労働者の人数の算定

→ 派遣労働者は、派遣元の事業場の労働者に含まれます。

派遣先の事業場の労働者には派遣労働者は含まれません。

S61.6.6基発333号)

 

 

④【H19年出題】 〇

 過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として、「解雇、賃金の減額、降格等労働条件について不利益取扱いをしないようにしなければならない」こととしたものであること。

 「過半数代表者として正当な行為」には、法に基づく労使協定の締結の拒否、1年単位の変形労働時間制の労働日ごとの労働時間についての不同意等も含まれる」ものであること、とされています。

H11.1.29基発45号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-308

R4.6.26 労働者の定義

労働基準法の保護の対象になる「労働者」の定義を確認しましょう。

 

条文を読んでみましょう。

9条 (定義)

 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

 

 「職業の種類を問わず」、「事業又は事務所に使用され」、「賃金を支払われる者」は労働者として、労働基準法の保護の対象となります。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H27年出題】

 形式上は請負契約のようなかたちをとっていても、その実体において使用従属関係が認められるときは、当該関係は労働関係であり、当該請負人は労働基準法第9条の「労働者」に当たる。

 

 

②【H29年出題】

 工場が建物修理の為に大工を雇う場合、そのような工事は一般に請負契約によることが多く、また当該工事における労働は工場の事業本来の目的の為のものでもないから、当該大工が労働基準法第9条の労働者に該当することはなく、労働基準法が適用されることはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H27年出題】 〇

 形式上は請負契約でも、実態として「使用従属関係が認められる」ときは、労働基準法第9条の「労働者」に当たります。

(参考)

 労働基準法上の労働者性は、次の1・2を総合的に勘案することで、個別具体的に判断する、とされています。

1 使用従属性に関する判断基準

(1)指揮監督下の労働  

  ①仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無

  ②業務遂行上の指揮監督の有無

  ③拘束性の有無

  ④代替性の有無

(2)報酬の労務対償性

2 労働者性の判断を補強する要素

(1)事業者性の有無

(2)専属性の程度

(3)その他

★昭和60年厚生労働省「労働基準法研究会報告(労働基準法の「労働者」の判断基準について)」より

 

 

 

②【H29年出題】 ×

 請負契約によらず雇用契約によりその事業主と大工との間に使用従属関係が認められる場合は、労働基準法の労働者ですので、労働基準法の適用を受けます。 

(平11.3.31基発168号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-307

R4.6.25 休憩時間の長さ

 「休憩時間」は、「労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間」です。(昭22.9.13発基17号)

 休憩は、「途中付与」、「一斉付与」、「自由利用」が原則です。

 

 今回は、休憩時間の長さがテーマです。

 

条文を読んでみましょう。

34条 (休憩)

① 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

② 休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

③ 使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない。

 

過去問をどうぞ!

 

①【H21年出題】

 使用者は、所定労働時間が5時間である労働者に1時間の所定時間外労働を行わせたときは、少なくとも45分の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

 

 

②【H23年出題】

 労働基準法第36条に定めるいわゆる36協定を締結し、行政官庁に届け出た場合においても、使用者は、1日の労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

 

 

③【H24年出題】

 使用者は、1日の労働時間が8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならず、1日の労働時間が16時間を超える場合には少なくとも2時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H21年出題】 ×

 労働時間が6時間を「超える」場合は45分以上、8時間を「超える」場合は1時間以上の休憩を与えなければなりません。

 問題文の労働時間は6時間ちょうどですので、休憩を与える義務はありません。

 

 

②【H23年出題】 〇

36協定を締結し、行政官庁に届け出た場合でも、使用者には、休憩時間を与える義務があります。

 

 

③【H24年出題】 ×

 1日の労働時間が8時間を超える場合は、1時間以上の休憩時間を与えなければなりません。1日の労働時間が16時間を超える場合でも、1時間以上の休憩を与えれば、労働基準法の条件は満たします。

 

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https://youtu.be/azxfD000dZQ

社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-306

R4.6.24 1週間単位の非定型的変形労働時間制

 例えば、規模の小さい飲食店を思い浮かべてください。

★1週間単位の非定型的変形労働時間制の趣旨

 日ごとの業務に著しい繁閑が生じることが多く、かつ、その繁閑が定型的に定まっていない場合に、1週間を単位として、一定の範囲内で、就業規則その他これに準ずるものによりあらかじめ特定することなく、1日の労働時間を10時間まで延長することを認めることにより、労働時間のより効率的な配分を可能とし、全体としての労働時間を短縮しようとするものであること。

(昭63.1.1基発第1号)

 

では、条文を読んでみましょう。

第32条の5 

① 使用者は、日ごとの業務に著しい繁閑の差が生ずることが多く、かつ、これを予測した上で就業規則その他これに準ずるものにより各日の労働時間を特定することが困難であると認められる厚生労働省令で定める事業であって、常時使用する労働者の数が厚生労働省令で定める数未満のものに従事する労働者については、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、第32条第2項の規定にかかわらず、1日について10時間まで労働させることができる

② 使用者は、①の規定により労働者に労働させる場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働させる1週間の各日の労働時間を、あらかじめ、当該労働者に通知しなければならない

③ 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、労使協定を行政官庁に届け出なければならない。

 

則第12条の5

① 法第32条の5第1項の厚生労働省令で定める事業は、小売業、旅館、料理店及び飲食店の事業とする。

② 法第32条の51項の厚生労働省令で定める数は、30人とする。

 

ポイント!

1週間の非定型的変形労働時間制が導入できる事業は、規模30人未満の小売業、旅館、料理店及び飲食店に限定されています。

労使協定の締結が必要です。(所轄労働基準監督署長に届け出が必要です。)

 

過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 労働基準法第32条の5に定めるいわゆる1週間単位の非定型的変形労働時間制は、小売業、旅館、料理店若しくは飲食店の事業の事業場、又は、常時使用する労働者の数が30人未満の事業場、のいずれか1つに該当する事業場であれば採用することができる。

 

 

②【H22年出題】

 労働基準法第32条の5に定めるいわゆる1週間単位の非定型的変形労働時間制については、日ごとの業務の繁閑を予測することが困難な事業に認められる制度であるため、1日の労働時間の上限は定められていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 ×

 1週間単位の非定型的変形労働時間制を採用できるのは、小売業、旅館、料理店、飲食店の事業で、「かつ」、常時使用する労働者の数が30人未満の事業場です。

 事業と規模の両方に該当する必要があります。

 

 

②【H22年出題】 ×

 1週間単位の非定型的変形労働時間制については、1日の労働時間の上限は「10時間」と定められています。

 また、1週間の所定労働時間は40時間以下で定めなければなりません。特例事業場でも44時間は適用されません。

 

 なお、事前通知については、則第12条の5第3項で以下のように定められています。

 

(原則) 1週間の各日の労働時間の通知は、少なくとも、当該1週間の開始する前に、書面により行わなければならない。

(例外) 緊急でやむを得ない事由がある場合には、使用者は、あらかじめ通知した労働時間を変更しようとする日の前日までに書面により当該労働者に通知することにより、当該あらかじめ通知した労働時間を変更することができる。

 

 原則として、1週間が始まる前に、1週間の各日の労働時間を書面で通知することにより、110時間まで労働させることができます。

 

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https://youtu.be/LQhvrKEkZzM

社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-305

R4.6.23 金品の返還

 労働者が退職する場合に、賃金など労働者の権利に属する金品の返還が遅くなると、労働者の生活に支障をきたします。そのような不便を防ぐための規定です。

 

 では、条文を読んでみましょう。

23条 (金品の返還)

① 使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。

② 賃金又は金品に関して争がある場合においては、使用者は、異議のない部分を、①の期間中に支払い、又は返還しなければならない。

 

 

 「権利者」とは、労働者が退職の場合は労働者本人、労働者が死亡した場合は、その労働者の相続人です。(昭22.9.13発基第17号)

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【R2年出題】

 使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還しなければならないが、この賃金又は金品に関して争いがある場合においては、使用者は、異議のない部分を、7日以内に支払い、又は返還しなければならない。

 

 

②【H30年出題】

 労働基準法第20条第1項に定める解雇予告手当は、同法第23条に定める、労働者の退職の際、その請求に応じて7日以内に支払うべき労働者の権利に属する金品にはあたらない。

 

 

③【H12年出題】

 使用者は、労働者が退職する場合において、労働者から請求があった場合においては、争いがある部分を除き、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称のいかんを問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。このことは、退職手当についても同様である。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 〇

 賃金又は金品について労使で争いがある場合は、異議のない部分を、7日以内に支払い、又は返還すればよいことになっています。

 

 

②【H30年出題】 〇

 解雇予告手当は、「解雇の申し渡しと同時に支払うべきもの」とされています。

(昭23.3.17基発464号)

 

 

③【H12年出題】 ×

 退職手当は、通常の賃金とは異なり、予め就業規則で定められた支払時期に支払えば足りるとされています。

(昭26.12.27基収5483号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-283 

R4.6.1 労働条件を明示する方法

 労働契約を締結する際に、使用者には労働条件を明示する義務があります。

 明示すべき労働条件の範囲は厚生労働省令で定められていて、前回お話ししたように、絶対的明示事項と相対的明示事項があります。

 今回は、明示する方法を確認します。

 

 もう一度、法第15条を読んでみましょう。

第15条 (労働条件の明示)

 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない

 

施行規則第5条

    法第15条第1項後段の厚生労働省令で定める事項は、絶対的明示事項昇給に関す事項を除く。)とする。

④ 法第15条第1項後段の厚生労働省令で定める方法は、書面の交付とする。

 ただし、当該労働者が次のいずれかの方法によることを希望した場合には、当該方法とすることができる。

1 ファクシミリを利用してする送信の方法

2 電子メール等の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)

 

 

★絶対的明示事項のうち昇給以外は、書面の交付等による明示が義務付けられています。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H24年出題】

 労働基準法第15条により、使用者が労働契約の締結に際し書面で行うこととされている労働条件の明示については、当該労働条件を記載した就業規則を交付することではその義務を果たすことはできない。

 

 

②【R3年出題】

 労働契約の締結の際に、使用者が労働者に書面により明示すべき「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」について、労働者にとって予期せぬ不利益を避けるため、将来就業する可能性のある場所や、将来従事させる可能性のある業務を併せ、網羅的に明示しなければならない。

 

 

③【R2年出題】

 労働契約の締結の際に、使用者が労働者に書面により明示すべき賃金に関する事項及び書面について、交付すべき書面の内容としては、労働者の採用時に交付される辞令等であって、就業規則等(労働者への周知措置を講じたもの)に規定されている賃金等級が表示されたものでもよい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H24年出題】 ×

 書面で明示しなければならない労働条件について、「当該労働者に適用する部分を明らかにして就業規則を交付すること」は差し支えないとされています。

H11.1.29基発第45号)

 

 

②【R3年出題】 ×

 「雇入れ直後の」就業の場所及び従事すべき業務を明示すれば足りる、とされています。しかし、将来の就業場所や従事させる業務を併せ、網羅的に明示することは差し支えありません。

H11.1.29基発第45号)

 

 

③【R2年出題】 〇

 交付すべき書面の内容としては、就業規則と併せて賃金に関する事項がその労働者について確定できるものであればよい、とされています。

 ですので、労働者の採用時に交付される辞令等で、就業規則等に規定されている賃金等級が表示されたものでも差し支えありません。この場合、就業規則等が労働者に周知されていることが必須です。

H11.3.31基発168号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-282 

R4.5.31 労働契約締結時に明示すべき労働条件

 前回の続きです。

 労働契約を締結する際、使用者は労働者に労働条件を明示することが義務づけられています。

 明示事項には、絶対的明示事項(必ず明示しなければならない事項)と相対的明示事項(制度を設ける場合は明示しなければならない事項)があり、明示すべき労働条件の範囲は、厚生労働省令で定められています。

 

 では、明示すべき労働条件の範囲を確認しましょう。

施行規則第5条 

<絶対的明示事項>

1 労働契約の期間

2 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準

(期間の定めのある労働契約であって当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の場合に限る)

3 就業の場所、従事すべき業務

4 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換

5 賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締切り・支払の時期、昇給

6 退職(解雇の事由を含む。)

 

<相対的明示事項>

7 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払の方法、退職手当の支払の時期

8 臨時に支払われる賃金、賞与等、最低賃金額

9 労働者に負担させるべき食費、作業用品等

10 安全及び衛生

11 職業訓練 

12 災害補償及び業務外の傷病扶助

13 表彰及び制裁

14 休職

 1から6の絶対的明示事項は、必ず明示する義務がありますが、7~14の相対的明示事項については、制度を設けていない場合は、明示義務はありません。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【R1年出題】

 労働契約の期間に関する事項は、書面等により明示しなければならないが、期間の定めをしない場合においては期間の明示のしようがないので、この場合においては何ら明示しなくてもよい。

 

 

②【H25年出題】  

 使用者は、期間の定めのある労働契約であって当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の際に、労働者に対して、期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項を、書面の交付により明示しなければならない。

 

 

③【H18年出題】     

 使用者は、労働基準法第15条(労働条件の明示)の規定に基づき、労働契約の締結に際し、労働者に対して、「所定労働時間を超える労働の有無」及び「所定労働日以外の労働の有無」について、書面の交付により明示しなければならないこととされている。

 

 

④【H24年出題】

 使用者は、「表彰に関する事項」については、それに関する定めをする場合であっても、労働契約の締結に際し、労働者に対して、労働基準法第15条の規定に基づく明示をする必要はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 ×

 「労働契約の期間」については、「期間の定めがある労働契約」の場合は「契約期間」を、「期間の定めのない労働契約」の場合は、「期間の定めのない旨」の明示が必要です。

(平11.1.29基発45号)

 

 

②【H25年出題】 〇

 「期間の定めのある労働契約」で、更新する場合があるものの締結の場合は、更新する場合の基準を明示する義務があります。

 契約更新の判断基準として、契約期間満了時の業務量 ・勤務成績、態度 ・能力・会社の経営状況 ・従事している業務の進捗状況等があります。

(平24.10.26基発10262号)

 

 

③【H18年出題】 ×     

 「所定労働時間を超える労働の有無」は絶対的明示事項ですが、「所定労働日以外の労働の有無」は明示すべき事項には入っていません。

 

 

④【H24年出題】 ×

「表彰に関する事項」は相対的明示事項です。表彰に関する制度を設けている場合は、労働契約を締結する際に明示する必要があります。

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-281 

R4.5.30 労働条件の明示

 労働契約を締結する際、使用者は労働者に労働条件を明示することが義務づけられています。

 労働条件がはっきりしないまま働くことによるトラブルを防止するためです。

 

 では、条文を読んでみましょう。

15条 (労働条件の明示)

 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。 

 明示する事項と方法は、厚生労働省令で定められています。内容は次回お話します。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H16年出題】

 労働基準法第15条に基づいて明示すべき労働条件の範囲は、同法第1条「労働条件の原則」及び第2条「労働条件の決定」でいう労働条件の範囲とは異なる。

 

 

②【H29年出題】   

 派遣労働者に対する労働条件の明示は、労働者派遣法における労働基準法の適用に関する特例により派遣先の事業のみを派遣中の労働者を使用する事業とみなして適用することとされている労働時間、休憩、休日等については、派遣先の使用者がその義務を負う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H16年出題】 〇

 労働基準法第1条と第2条の「労働条件」は、広く解釈され、賃金、労働時間、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件をすべて含んだ「労働者の職場における一切の待遇」をいう、とされています。

   一方、第15条に基づいて明示すべき労働条件の範囲は、施行規則第5条で具体的に定められています。

 問題文の通り、第1条・第2条の労働条件と第15条の労働条件は範囲が異なります。

 

 

②【H29年出題】 ×  

 派遣労働者に対する労働条件の明示は、労働契約関係にある「派遣元」の使用者が明示する義務を負っています。

 労働者派遣法における労働基準法の適用に関する特例により、派遣元が労基法の義務を負わない労働時間、休憩、休日等も含めて、労働条件の明示をする必要があります。

(昭61.6.6基発333号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-280 

R4.5.29 労働基準法違反の契約

 労働基準法は、労働者を保護するために労働条件の最低ラインを定めるもので、強行法規としての効力をもちます。

 

 労働基準法に違反する労働契約を締結した場合、その効力はどうなるのでしょうか?

 条文を読んでみましょう。

第13条 (この法律違反の契約)

 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。

 

 例えば、使用者と労働者が、「時間外労働をさせた場合でも、割増賃金を支給しない」と契約した場合で考えてみましょう。

 労働基準法では、1日8時間を超えて労働させた場合は、使用者に2割5分増の割増賃金を支払う義務を課しています。

 ですので、労働契約上の「割増賃金を支給しない」の部分は無効になります。無効になった部分は、労働基準法の規準により、「時間外労働をさせた場合は割増賃金を支給する」という内容に置き換わります。

 なお、無効になるのは労働基準法の基準に達していない「割増賃金を支給しない」の部分のみです。それ以外の労働契約の部分は有効です。労働契約全体を無効にすると労働者の労働の機会そのものが無くなってしまうからです。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H25年出題】

 労働基準法は、同法の定める基準に達しない労働条件を定める労働契約について、その部分を無効とするだけでなく、無効となった部分を同法所定の基準で補充することも定めている。

 

②【H27年出題】

 労働協約に定める基準に違反する労働契約の部分を無効とする労働組合法第16条とは異なり、労働基準法第13条は、労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とすると定めている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】 〇

 「無効となった部分は、この法律で定める基準による。」の部分で、無効となった部分は、労働基準法の基準どおりに補充されることになります。

 

②【H27年出題】 〇

 労働基準法第13条で無効になるのは、基準に「達しない」労働条件です。労働基準法の基準よりも有利な労働条件は有効です。

 一方、労働組合法第16条は、『労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする。この場合において無効となった部分は、基準の定めるところによる。労働契約に定がない部分についても、同様とする。』と規定されています。

 労働協約で定める労働条件に「違反する」(→「達しない」ではありません。)労働契約の部分は、無効です。

 

 

★「労働条件の力関係」をおさえましょう。

労働基準法 > 労働協約 > 就業規則 > 労働契約

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-265 

R4.5.14 解雇予告の適用除外

 今回のテーマは、解雇予告の適用が除外される労働者です。

 

 条文を読んでみましょう。

第21条 

 前条の規定(解雇の予告)は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

1 日日雇い入れられる者

2 2か月以内の期間を定めて使用される者

3 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者

4 の使用期間中の者

但し、第1号に該当する者が1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合、第2号若しくは第3号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合又は第4号に該当する者が14日を超えて引き続き使用されるに至った場合においては、この限りでない。

 

ポイント!

 原則と例外をおさえてください。

 「日日雇入れられる者」には、原則として解雇の予告の規定は適用されませんが、「1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合」は、解雇の予告の規定が適用されます。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H30年選択式】

 日日雇い入れられる者には労働基準法第20条の解雇の予告の規定は適用されないが、その者が< A >を超えて引き続き使用されるに至った場合においては、この限りでない。

 

 

②【H23年出題】

 労働基準法第20条所定の予告期間及び予告手当は、6か月の期間を定めて使用される者が、期間の途中で解雇される場合には適用されることはない。

 

 

③【H23年出題】

 労働基準法第20条所定の予告期間及び予告手当は、3か月の期間を定めて試みの使用をされている者には適用されることはない。

 

 

④【H26年出題】

 試みの使用期間中の労働者を、雇入れの日から起算して14日以内に解雇する場合は、解雇の予告について定める労働基準法第20条の規定は適用されない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年選択式】

A1か月 

 

 

②【H23年出題】 ×

 「6か月」の期間を定めて使用される者には、第20条(予告期間及び予告手当)が適用されますので、期間の途中で解雇される場合は予告が必要です。

 

 

③【H23年出題】 ×

 「試みの使用期間」の長さに制限はありませんので、例えば3か月でも6か月でも差し支えありません。

 ただし、「試みの使用期間中」であっても、「14日」を超えて引き続き使用されるに至った場合は、解雇予告制度が適用されます。

(昭24.5.14基収1498号)

 

 

④【H26年出題】 〇

 試みの使用期間中に、雇入れの日から起算して14日以内に解雇する場合は、解雇の予告は不要です。

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-264 

R4.5.13 解雇の予告期間中に業務上負傷し又は疾病にかかった場合

 例えば、51日に531日の終了をもって解雇する旨を予告していたが、その予告期間中に業務上の負傷をし、療養のため休業した場合、解雇予告の効力はどうなるのでしょうか?

 

 第19条を確認しておきましょう。

19条 (解雇制限)

 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。(ただし・・・以下省略)

 ※「業務上の負傷又は疾病の療養のため休業する期間とその後30日間」、「産前産後の休業期間中とその後30日間」は解雇できません。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H24年出題】

 使用者が労働者を解雇しようとする日の30日前に解雇の予告をしたところ、当該労働者が、予告の日から5日目に業務上の負傷をし療養のため2日間休業した。当該業務上の負傷による休業期間は当該解雇の予告期間の中に納まっているので、当該負傷については労働基準法第19条の適用はなく、当該解雇の効力は、当初の予告どおりの日に発生する。

 

 

②【H30年出題】

 労働基準法では、使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならないと規定しているが、解雇予告期間中に業務上負傷し又は疾病にかかりその療養のために休業した場合には、この解雇制限はかからないものと解されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H24年出題】 ×

 

解雇予告期間

 

 

 

解雇

予告

 

業務上

負傷

 

 

 

解雇

予定日

 

 

 

 

 

(解雇制限)業務上の傷病による療養のための休業期間30日間

 

  

 解雇予告期間中に、労働者が業務上負傷し又は疾病にかかり休業を要する場合、それがたとえ1日か2日の軽度の負傷又は疾病であっても、第19条の解雇制限の適用があります。

 問題文のように業務上の負傷をし療養のため2日間休業した場合は、休業期間中とその後30日間は解雇できません。

 問題文の場合は、労働基準法第19条が適用され、当初の解雇予定日は解雇制限期間中となり、解雇できません。(解雇の効力は予告通りの日に発生しません。)

(昭和26.6.25基収2609号)

 

 

②【H30年出題】 ×

 ①の問題と同じです。解雇予告期間中に業務上負傷し又は疾病にかかりその療養のために休業した場合でも、第19条の解雇制限の対象になります。

 なお、解雇制限期間が満了すると解雇できますが、改めて解雇予告が必要かどうかについては、行政通達では以下のようになっています。

 「負傷し又は疾病にかかり休業したことによって、前の解雇予告の効力の発生自体は中止されるだけであるから、その休業期間が長期にわたり解雇予告としての効力を失うものと認められる場合を除き治癒した日に改めて解雇予告をする必要はない」とされています。

(昭和26.6.25基収2609号)

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-263 

R4.5.12 解雇の予告の除外

 前回の続きです。

 労働者を解雇する場合は、30日前に予告をするか、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりませんが、予告などが除外される例外があります。

 

 条文を読んでみましょう。

第20条 (解雇の予告)

① 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。

 但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りでない。

② ①の予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。

③ 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。

※前条第2項 → その事由について行政官庁の認定を受けなければならない

 

解雇予告等が除外される場合

① 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合

② 労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合

※①②ともに「所轄労働基準監督署長の認定」を受けなければなりません。

「天災事変その他やむを得ない事由」

  → 事業場が火災により焼失・震災に伴う事業場の倒壊など

「労働者の責に帰すべき事由」

  → 盗取、横領、傷害など

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H23年出題】

 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においても、使用者は、労働基準法第20条所定の予告手当を支払うことなく、労働者を即時に解雇しようとする場合には、行政官庁の認定を受けなければならない。

 

②【R2年出題】

 使用者は、労働者を解雇しようとする場合において、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」には解雇の予告を除外されるが、「天災事変その他やむを得ない事由」には、使用者の重過失による火災で事業場が焼失した場合も含まれる。

 

 

③【H18年出題】

 労働基準法第20条第1項ただし書の事由に係る行政官庁の認定(以下「解雇予告除外認定」という。)は、原則として解雇の意思表示をなす前に受けるべきものではあるが、それは、同項ただし書に該当する事実があるか否かを確認する処分であって、認定されるべき事実がある場合には使用者は有効に即時解雇をなし得るものと解されるので、そのような事実がある場合には、即時解雇の意思表示をした後、解雇予告除外認定を得たときは、その解雇の効力は使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生すると解されている。

 

 

④【H24年出題】

 労働者によるある行為が労働基準法第20条第1項ただし書の「労働者の責に帰すべき事由」に該当する場合において、使用者が即時解雇の意思表示をし、当日同条第3項の規定に基づいて所轄労働基準監督署長に解雇予告除外認定の申請をして翌日その認定を受けたときは、その即時解雇の効力は、当該認定のあった日に発生すると解されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H23年出題】 〇

 「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」でも、予告手当無しで即時解雇しようとする場合には、行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定を受ける必要があります。

 

 

②【R2年出題】 ×

 事業場が火災により焼失した場合は、「天災事変その他やむを得ない事由」に該当しますが、「使用者の重過失」に基づく場合は、除かれます。

(昭63.3.14基発第150号)

 

 

③【H18年出題】 〇

 解雇予告除外認定は、解雇の意思表示をする前に受けることが原則です。

 解雇予告除外認定は、ただし書に該当する事実があるか否かを確認する処分です。認定されるべき事実がある場合は、仮に認定を受けなかったとしても、使用者は有効に即時解雇ができる点がポイントです。

 即時解雇の意思表示をした後、解雇予告除外認定を得たときは、その解雇の効力は使用者が「即時解雇の意思表示をした日」に発生するとされています。「解雇予告除外認定を得た日」ではありませんので、注意してください。

(昭63.3.14基発150号)

 

 

④【H24年出題】 ×

 解雇の意思表示の後に解雇予告除外認定を受けたとしても、認定されるべき事実がある場合は、有効に即時解雇ができるとされています。即時解雇の効力は、「当該認定のあった日」ではなく、「即時解雇の意思表示をした日」に発生します。

(昭63.3.14基発150号)

 

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https://youtu.be/v7wD67Ovg8k

社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-262 

R4.5.11 解雇の予告

 労働者を解雇する場合は、「少なくとも30日前に予告する」、又は「30日分以上の平均賃金の支払い」が必要です。

 

 条文を読んでみましょう。

20条 (解雇の予告)

① 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し・・・(以下今回は省略します。)

② 予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。

 

ポイント!

 30日分以上の平均賃金を支払えば、即時解雇が可能です。

 ②について → 予告の一部を平均賃金で支払い、その分予告期間を短縮する方法(予告手当と予告期間の併用)も可能です。

 

過去問をどうぞ!

①【H16年出題】

 労働基準法第20条の規定に基づき、解雇の予告に代えて支払われる平均賃金(解雇予告手当)を算定する場合における算定すべき事由の発生した日は、労働者に解雇の通告をした日である。 

 

 

②【R1年出題】

 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならないが、予告期間の計算は労働日で計算されるので、休業日は当該予告期間には含まれない。

 

 

③【H26年出題】

 平成26930日の終了をもって、何ら手当を支払うことなく労働者を解雇しようとする使用者が同年91日に当該労働者にその予告をする場合は、労働基準法第20条第1項に抵触しない。

 

 

④【H26年出題】

 労働基準法第20条に定める解雇の予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。

 

 

⑤【H24年出題】

 使用者は、ある労働者を831日の終了をもって解雇するため、同月15日に解雇の予告をする場合には、平均賃金の14日分以上の解雇予告手当を支払わなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H16年出題】 〇  

 解雇予告手当を算定する場合の算定すべき事由の発生した日は、「労働者に解雇の通告をした日」です。

(昭39.6.12基収2316号) 

 

 

②【R1年出題】 ×

 30日間は、労働日ではなく暦日で計算されますので、休業日も含みます。

 

 

③【H26年出題】 ×

 930日の終了をもって解雇するためには、831日には解雇の予告をしなければなりません。

 民法の一般原則によって、解雇予告を行った日は、解雇予告期間に算入されないため、予告期間は予告を行った日の翌日から計算されます。

 

 

④【H26年出題】 〇

 予告の一部を平均賃金で支払い、その分予告期間を短縮する方法(予告手当と予告期間の併用)も可能です。

 

 

⑤【H24年出題】 〇

 予告の一部を平均賃金で支払い、その分予告期間を短縮する方法(予告手当と予告期間の併用)も可能です。

 815日に解雇の予告をした場合、翌日の16日から31日までの16日間が予告期間となるので、平均賃金の14日分以上の解雇予告手当を支払わなければなりません。

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-261 

R4.5.10 有期労働契約その2

 前回の続きです。

 有期労働契約は、労働者を長期に拘束することを避けるため、原則3年以内と定められています。

 ただし、「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの」は、例外的に、3年を超える契約が認められています。

 また、「専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就かせる場合に限る。)」、「満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約」は、最長5年までの契約期間が認められています。

 

 今回は、「5年」が認められる要件をみていきましょう。

 

 では、再度第14条を読んでみましょう。

第14条 (契約期間等)

 労働契約は、期間の定めのないものを除き一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならない。

1 専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約

2 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)

 

 「高度の専門的知識等を有する者として厚生労働大臣が定める基準」の中には、「社会保険労務士の資格を有する者」も入っています。

 ただし、社会保険労務士の国家資格を有しているだけでは足りず、「当該国家資格の名称を用いて当該国家資格に係る業務を行うことが労働契約上認められている等」が必要です。(H15.10.22基発第10220001号)

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H28年出題】

 使用者は、労働者が高度の専門的知識等を有していても、当該労働者が高度の専門的知識等を必要とする業務に就いていない場合は、契約期間を5年とする労働契約を締結してはならない。

 

②【H18年選択式】

 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(一定の労働契約については5年)を超える期間について締結してはならないこととされている。そこで、例えば、システムエンジニアの業務に就こうとする者であって、一定の学校において就こうとする業務に関する学科を修めて卒業し、就こうとする業務に一定期間以上従事した経験を有し、かつ、労働契約の期間中に支払われることが確実に見込まれる賃金の額を1年当たりの額に換算した額が< A >ものとの間に締結される労働契約にあっては、5年とすることができる。

 

 

③【H25年出題】

 使用者は、満60歳以上の労働者との間に、5年以内の契約期間の労働契約を締結することができる。

 

 

④【H29年出題】

 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約について、労働契約期間の上限は当該労働者が65歳に達するまでとされている。

 

 

⑤【H30年出題】

 労働基準法第14条第1項第2号に基づく、満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(期間の定めがあり、かつ、一定の事業の完了に必要な期間を定めるものではない労働契約)について、同条に定める契約期間に違反した場合、同法第13条の規定を適用し、当該労働契約の期間は3年となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 〇

 契約期間を5年とする労働契約を締結できる「専門的知識等であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者」は、「当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者」に限られます。

(法第14条第1項第1号)

 

②【H18年選択式】

A 1075万円を下回らない

 一定の学歴と実務経験を有し、年収が1075万円以上である「システムエンジニアの業務に就こうとする者」との間に締結される労働契約は最長5年とすることができます。

(高度の専門的知識等を有する者として厚生労働大臣が定める基準 H15.10.22厚生労働省告示第356号)

 

 

③【H25年出題】 〇

 満60歳以上の労働者との間の労働契約の契約期間は最長5年です。

(法第14条第1項第2号)

 

 

④【H29年出題】 ×

 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約の契約期間の上限は5年です。65歳に達するまでという規定はありません。

 

 

⑤【H30年出題】 ×

 「満60歳以上」の労働者との間に締結される労働契約ですので、第14条に定める契約期間に違反し同法第13条の規定が適用された場合、当該労働契約の期間は3年ではなく「5年」となります。

 労働基準法第13条も確認しておきましょう。

 「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。」 

 第13条が適用されると、基準に達しない部分は「無効」、無効となった部分は、「この法律で定める基準」になります。

(平15.10.221022001号) 

 

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https://youtu.be/YQZSlrqNRpE

社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-260 

R4.5.9 労働契約の期間(有期労働契約の上限その1)

 労働契約には、「期間の定めのない労働契約」と「期間の定めのある労働契約」があります。

 「期間の定めのない労働契約」は、労働者側からいつでも自由に解約できますので、労働基準法上の制限はありません。

 一方、「期間の定めのある労働契約」は、契約期間中は原則として解約できません。例えば、契約期間を20年にすると、20年の間、労働者は退職できず、長期にわたり労働者を拘束することになってしまいます。そのため、労働基準法では、「期間の定めのある労働契約」は、原則として最長3年という制限を設けています。

 

 では、条文で確認しましょう。

第14条 (契約期間等)

 労働契約は、期間の定めのないものを除き一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならない。

1 専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約

2 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)

 

<有期労働契約のポイント!>

★原則 → 3年を超えてはならない

☆例外その1・・・3年を超えて契約できるもの

  ・一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの

    例えば、土木工事の事業で、その工事の終期までの期間を定める契約

  ・職業訓練のための訓練期間(第70条)

☆例外その2・・・5年まで契約できるもの

  ・専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約

(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就かせる場合に限る。)

  ・満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約

 

 

過去問をどうぞ!

①【H16年出題】

 労働基準法第14条第1項では、労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(弁護士、社会保険労務士等に係る労働契約で同項第1号に該当するもの、又は同項第2号に該当するものについては5年)を超える期間について締結してはならないこととされている。この労働基準法第14条第1項に規定する期間を超える期間を定めた労働契約を締結した場合は、同条違反となり、当該労働契約の期間は、同項第1号又は第2号に該当するものについては5年、その他のものについては3年となる。

 

②【H23年出題】

 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(労働基準法第14条第1項の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならず、また、期間を定める労働契約の更新によって継続雇用期間が10年を超えることがあってはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H16年出題】 〇

 労働基準法第13条で、「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。」と規定されています。

 第14条違反には第13条が適用され、基準に達しない部分は「無効」、無効となった部分は、「この法律で定める基準」になります。ですので、問題文の労働契約の期間は、「同項第1号又は第2号に該当するものについては5年、その他のものについては3年」となります。

(法第13条、平15.10.221022001号)

 

②【H23年出題】 ×

 有期労働契約の更新は可能です。更新による継続雇用期間については制限はありません。

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-244 

R4.4.23 年俸制のこと

 賃金を1年単位で決定している制度を、年俸制といいます。

 労働者の成果や能力に対する評価で決定されます。

 年俸制の労働者にも、労働基準法の賃金のルールは適用されますし、また、時間外労働等をさせた場合は、割増賃金の支払いも必要です。

 

 今回は、年俸制のルールを確認します。

 

では、早速過去問をどうぞ!

①【H30年出題】

 労働基準法では、年俸制をとる労働者についても、賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならないが、各月の支払いを一定額とする(各月で等分して支払う)ことは求められていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年出題】 〇

 年俸制にも賃金支払い五原則が適用されますので、「毎月1回以上、一定の期日を定めて」支払わなければなりません。

 毎月、年俸額の12分の1を支払い、各月の支払いを一定額にする方法もありますが、年俸額の一部を賞与の時期に支払う方法(例えば、毎月、年俸額の16分の1を支払い、16分の42等分して賞与として支給する等)もとれます。各月の支払いを一定額とすることは求められていません。

 

 

では、もう一問どうぞ!

②【H17年出題】

 年間賃金額を予め定めるいわゆる年俸制を採用する事業場において、就業規則により、決定された年俸の16分の1を月例給与とし、決定された年俸の16分の42分して6月と12月にそれぞれ賞与として支給し、他に交通費実費分の通勤手当を月々支給することを定めて支給しているような場合には、割増賃金の支払いは、月例給与に賞与部分を含めた年俸額を基礎として計算をして支払わなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H17年出題】 〇

<この問題文の支払い方法>

毎月 → 年俸の16分の1+通勤手当

6月と12月 → 年俸の16分の2ずつを賞与として支給

 

 時間外労働等を行った場合は、年俸制の労働者にも割増賃金を支払わなければなりません。

 その際、「6月と12月に賞与として支払われている賃金」をどのように扱うのかがポイントです。

 通達では、「施行規則第21条第4号の「臨時に支払われた賃金」及び第5号の「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」のいずれにも該当しないものであるから、割増賃金の算定基礎から除外できない」とされています。

 ですので、賞与の部分も含めて計算しなければなりません。

 なお、通勤手当は算定基礎に含めませんので、割増賃金の支払いは、問題文のように「月例給与に賞与部分を含めた年俸額」を基礎として計算します。

H12.3.8基収78号)

 

 

★年俸制の平均賃金について

 割増賃金と同じように扱います。賞与部分を含めた年俸額の12分の11か月分の賃金として平均賃金を算定します。

H12.3.8基収78号)

 

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https://youtu.be/4cBZ2NjyW_4

社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-242 

R4.4.21 割増賃金の計算の基礎に算入しない賃金

 時間外労働、休日労働、深夜労働をさせた場合、使用者には割増賃金を支払う義務があります。

 例えば、時間外労働の場合は、1時間当たりの賃金×1.25で計算した割増賃金を支払わなければなりません。

 今回のテーマは、割増賃金の計算の基礎になる1時間当たりの賃金の計算に算入しない賃金です。

 

条文を読んでみましょう。

37条 (時間外、休日及び深夜の割増賃金)

⑤ 割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない

則第21条 

 法第37条第5項の規定によって、家族手当及び通勤手当のほか、次に掲げる賃金は、割増賃金の基礎となる賃金には算入しない。

1 別居手当

2 子女教育手当

3 住宅手当

4 臨時に支払われた賃金

5 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

1時間当たりの賃金は、手当も含めて計算します。しかし、「家族手当」、「通勤手当」、「別居手当」、「子女教育手当」、「住宅手当」、「臨時に支払われた賃金」、「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」の7つの手当などは計算に入れません。

 家族手当は「家族の有無」、通勤手当は「交通機関の運賃」で決まり、労働とは関係ないからです。

 また、賞与など(「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」に該当する)も計算に入れません。

 なお、覚え方は、「か つ べ し ん 一 住宅」です。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H26年出題】

 通勤手当は、労働とは直接関係のない個人的事情に基づいて支払われる賃金であるから、労働基準法の第37条の割増賃金の基礎となる賃金には算入しないこととされている。

  

②【H23年出題】

 労働基準法第37条に定める割増賃金の基礎となる賃金(算定基礎賃金)はいわゆる通常の賃金であり、家族手当は算定基礎賃金に含めないことが原則であるから、家族数に関係なく一律に支給されている手当は、算定基礎賃金に含める必要はない。

  

③【H19年出題】

 労働基準法第37条第5項及び労働基準法施行規則第21条の規定によって、割増賃金の計算の基礎となる賃金には家族手当、住宅手当等は算入されないこととされており、例えば、賃貸住宅の居住者には3万円、持家の居住者には1万円というように、住宅の形態ごとに一律に定額で支給することとされている手当は、同規則第21条でいう住宅手当に該当し、同法第37条の割増賃金の計算の基礎となる賃金には算入しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H26年出題】 〇

 「通勤手当」は、割増賃金の基礎となる賃金には算入しません。

 

 

②【H23年出題】 ×

 「家族手当」は算定基礎賃金に含めないことが原則です。

 しかし、例えば、家族がいない人にも支払われているとか、その家族数に関係なく一律に支給されている場合は、「家族手当」とはみなされず、割増賃金の計算に入れなければなりません。

(昭22.11.5基発231号)

 

 

③【H19年出題】 ×

 問題文の住宅手当は、施行規則第21条でいう住宅手当に該当せず、割増賃金の計算の基礎となる賃金に「算入されます」。

 住宅に要する費用以外の費用に応じて算定される手当や、住宅に要する費用にかかわらず一律に定額で支給される手当は、則第21条でいう住宅手当に当たりません。ですので、割増賃金の計算に入ります。

H11.3.31基発170号)

 

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https://youtu.be/NrYwaV93kM8

社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-231 

R4.4.10 平均賃金の最低保障額

 平均賃金は原則として、「算定事由発生日以前3か月間の賃金総額」÷「3か月間の総日数」で計算します。

 ただし、賃金が日給制、時間給制、出来高給制(請負制)の場合は、最低保障額の定めがあります。

 

条文で確認しましょう。

12条 

 この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。

 ただし、その金額は、次の各号の一によって計算した金額を下つてはならない。

① 賃金が、労働した日若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60

② 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額

 

 「月給制」の場合は、1か月の所定労働日数に関係なく賃金が支払われますので、平均賃金がそれほど変動することはありません。

 しかし、例えば時間給制の場合は、出勤日数が非常に少ない月があると、平均賃金に響きます。

 そのため、日給制、時間給制、出来高給制(請負制)の場合は、最低保障額が定められています。

 

過去問をどうぞ!

H19年出題】

 平均賃金は、原則として、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除して算定するものとされているが、賃金がいわゆるパートタイマーに多くみられるように労働した時間によって算定される場合には、その金額は、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60を下ってはならないこととされている。

 

 

 

 

 

 

【解答】

H19年出題】 〇

<最低保障額のポイント>

最低保障額は、分母が「総日数」ではなく、「その期間中に労働した日数」になること。また、「100分の60」は、労働日当たりの賃金の6割を保障するという考え方です。

最低保障額の計算式

 算定期間中の賃金総額÷算定期間中に労働した日数×100分の60

 

 「原則の計算式」で算定した平均賃金が、最低保障額を下回る場合は、最低保障額が平均賃金となります。

 

★ちなみに・・・

「賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた場合」の計算について

 例えば、「月給制」と「時給制」が併給されている場合は、「月給制」の部分は「総日数」で除して算定し、「時給制」の部分は最低保障のルールで計算します。その2つの金額の合計額が最低保障額となります。

 

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https://youtu.be/Bcqozgqpt-U

社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-230 

R4.4.9 平均賃金から除外する賃金

 前回は、「分母と分子の両方」から控除する期間を確認しました。

 今回は、「分子の賃金総額」からのみ除外される賃金をみていきます。

 

条文を読んでみましょう。

12条第4項、5項 

④ 賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しない。

⑤ 賃金が通貨以外のもので支払われる場合、賃金の総額に算入すべきものの範囲及び評価に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

 

則第2条 

① 法第12条第5項の規定により、賃金の総額に算入すべきものは、法第24条第1項ただし書の規定による法令又は労働協約の別段の定めに基づいて支払われる通貨以外のものとする。

 

賃金の総額から除外される賃金は、①「臨時に支払われた賃金」、②「3か月を超える期間ごとに支払われる賃金」、③「通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの」です。

①「臨時に支払われた賃金」は、支給条件は予め確定されているが、支給事由の発生が不確定で、かつ非常にまれに発生するものをいいます。例えば、結婚手当、私傷病手当、退職金などが該当します。

(昭22.9.13発基第17号、昭26.12.27基収第385号)

 

②「3か月を超える期間ごとに支払われる賃金」は、年2回の賞与等をいいます。

(昭25.4.15基収392号)

 

③「通貨以外のもので支払われた賃金」は現物給与のことです。

 賃金総額に算入される現物給与は、則第2条で定められている「法令又は労働協約の別段の定めに基づいて支払われる通貨以外のもの」に限られます。それ以外の現物給与は賃金総額に算入されません。

 

過去問をどうぞ!

① 【H24年出題】

 労働基準法に定める「平均賃金」とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいい、年に2回6か月ごとに支給される賞与が当該3か月の期間内に支給されていた場合には、それも算入して計算される。

 

 

②【H27年出題】

 平均賃金の計算の基礎となる賃金の総額には、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金、通勤手当及び家族手当は含まれない。

 

 

③【H26年出題】

 ある会社で労働協約により6か月ごとに6か月分の通勤定期乗車券を購入し、それを労働者に支給している。この定期乗車券は、労働基準法第11条に規定する賃金であり、各月分の賃金の前払いとして認められるから、平均賃金算定の基礎に加えなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

① 【H24年出題】 ×

 年に2回6か月ごとに支給される賞与は、「3か月を超える期間ごとに支払われる賃金」に該当するので、平均賃金の計算には算入しません。

 

 

②【H27年出題】 ×

 「通勤手当及び家族手当」は、賃金総額に含まれます。

 

 

③【H26年出題】 〇

 労働協約により支給される定期券は、労働基準法第11条に規定する賃金です。また、6か月定期乗車券は、各月の賃金の前払いとして認められます。

(昭33.2.13基発90)

 

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https://youtu.be/W74p2COV9iQ

社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-229 

R4.4.8 平均賃金の計算から控除する期間及び賃金

 平均賃金の計算式の、分母は「3か月間の総日数」、分子は「3か月間の賃金の総額」です。 

 ただし、3か月間のうちに、一定の期間がある場合は、その期間の日数と賃金総額は、分母からも分子からもそれぞれ控除して算定します。

 計算に入れると、平均賃金が不当に低くなる可能性があるからです。

 

では、条文で読んでみましょう。

第12条第3項

 平均賃金の算定期間中に、次の各号のいずれかに該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、期間及び賃金の総額から控除する。

① 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間

② 産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間

③ 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間

④ 育児介護休業法に規定する育児休業又は介護休業をした期間

⑤ 試みの使用期間

 控除の対象になる期間は覚えましょう。

 分母の「期間中の日数」からも、分子の「賃金総額」からも、どちらからも控除するのがポイントです。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H27年出題】

 平均賃金の計算において、労働者が労働基準法第7条に基づく公民権の行使により休業した期間は、その日数及びその期間中の賃金を労働基準法第12条第1項及び2項に規定する期間及び賃金の総額から控除する。

 

 

②【H13年出題】 

 平均賃金の計算においては、業務災害又は通勤災害により療養のために休業した期間、産前産後の女性が労働基準法の規定によって休業した期間、育児・介護休業法の規定によって育児休業又は介護休業をした期間及び試みの使用期間については、その日数及びその期間中の賃金を控除する。

 

③【H19年出題】 

 平均賃金の計算においては、業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間、産前産後の女性が労働基準法第65条の規定によって休業した期間、使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「育児介護休業法」という。)の規定によって育児休業若しくは介護休業をした期間又は子の看護休暇を取得した期間及び試みの使用期間については、その日数及びその期間中の賃金を労働基準法第12条第1項及び第2項に規定する期間及び賃金の総額から控除する。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H27年出題】 ×

 「公民権の行使により休業した期間」は、平均賃金の計算上、控除の対象になっていません。

 

 

②【H13年出題】 ×

 「通勤災害により療養のために休業した期間」は、平均賃金の計算上、控除の対象になっていません。

 

③【H19年出題】 ×

 「子の看護休暇を取得した期間」は、平均賃金の計算上、控除の対象になっていません。 

 

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https://youtu.be/FqF9ufLhBC0 

社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-228 

R4.4.7 平均賃金 原則の計算式

 平均賃金は、賃金の1日当たりの単価です。

 解雇予告手当、休業手当、年次有給休暇の日の賃金、災害補償、減給制裁の制限額を算定するときに使います。

 

 原則の計算式を条文で読んでみましょう。

第12条 

① 平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、・・・(以下例外。今回は省略します。)

② ①の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。

 

平均賃金の原則の計算式は、

「算定事由発生日以前3か月間に支払われた賃金の総額」÷「その期間の総日数」です。

「総日数」は「暦日数」のことです。例えば31日から531日までの3か月なら、92日です。

 

 

では、過去問をどうぞ

R1年出題】

 次に示す条件で賃金を支払われてきた労働者について7月20日に、労働基準法第12条に定める平均賃金を算定すべき事由が発生した場合、その平均賃金の計算に関する記述のうち、正しいものはどれか。

<条件>

賃金の構成:基本給、通勤手当、職務手当及び時間外手当

賃金の締切日:基本給、通勤手当及び職務手当については、毎月25日

       時間外手当については、毎月15日

賃金の支払日:賃金締切日の月末

A 3月26日から6月25日までを計算期間とする基本給、通勤手当及び職務手当の総額をその期間の暦日数92で除した金額と4月16日から7月15日までを計算期間とする時間外手当の総額をその期間の暦日数91で除した金額を加えた金額が平均賃金になる。

B 4月、5月及び6月に支払われた賃金の総額をその計算期間の暦日数92で除した金額が平均賃金になる。

C 3月26日から6月25日までを計算期間とする基本給及び職務手当の総額をその期間の暦日数92で除した金額と4月16日から7月15日までを計算期間とする時間外手当の総額をその期間の暦日数91で除した金額を加えた金額が平均賃金になる。

D 通勤手当を除いて、4月、5月及び6月に支払われた賃金の総額をその計算期間の暦日数92で除した金額が平均賃金になる。

E 時間外手当を除いて、4月、5月及び6月に支払われた賃金の総額をその計算期間の暦日数92で除した金額が平均賃金になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R1年出題】

 

<この問題のポイント>

★賃金ごとに賃金締切日が異なる場合の平均賃金について

 → 各賃金ごとにその直前の締切日で算定します。

 

A 〇

「基本給、通勤手当、職務手当」は直前の賃金締切日である625日から遡り、「時間外手当」は直前の賃金締切日である715日から遡るのがポイントです。

 

B ×

C ×

「通勤手当」も平均賃金の計算に算入しなければなりません。問題文は通勤手当が入っていないので誤りです。

 

D ×

E  ×

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-212 

R4.3.22 法令等の周知義務

 就業規則は職場のルールです。働く人はその内容を知っておかなければなりません。

 使用者は、就業規則などを労働者に周知させる義務があります。

 

 条文で確認しましょう。

106条 (法令等の周知義務)

 使用者は、労働基準法及びこれに基づく命令の要旨就業規則労働基準法に規定する労使協定並びに労使委員会の決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない

 

則第52条の2

 厚生労働省令で定める方法は、次に掲げる方法とする。

1 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。

2 書面を労働者に交付すること。

3 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

 

過去問をどうぞ!

 

①【R2年出題】

 労働基準法第106条により使用者に課せられている法令等の周知義務は、労働基準法、労働基準法に基づく命令及び就業規則については、その要旨を労働者に周知させればよい。

 

 

②【R2年出題】

 使用者は、労働基準法第36条第1項(時間外及び休日の労働)に関する協定及び同法第41条の21項(いわゆる高度プロフェッショナル制度に係る労使委員会)に規定する決議を労働者に周知させなければならないが、その周知は、対象労働者に対してのみ義務付けられている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 ×

 「労働基準法、労働基準法に基づく命令」については、全文そのままではなく、要旨を周知させればよいことになっています。

しかし、就業規則は、要旨だけでなく全文の周知が必要です。

 

★周知義務が課せられているもの

・労働基準法、労働基準法に基づく命令の要旨

・就業規則(全文)

・労働基準法に規定する労使協定

①貯蓄金管理規定  ②賃金控除  ③1か月単位の変形労働時間制

④フレックスタイム制  ⑤1年単位の変形労働時間制

1週間単位の非定型的変形労働時間制  ⑦一斉休憩の適用除外  ⑧36協定

60時間超の時間外労働の場合の代替休暇  ⑩事業場外労働のみなし労働時間  

⑪専門業務型裁量労働制  ⑫時間単位の年次有給休暇  

⑬年次有給休暇の計画的付与 

⑭年次有給休暇の賃金を健康保険の標準標準日額で支払う制度

・労使委員会の決議

①企画業務型裁量労働制   ②高度プロフェッショナル制度

 

②【R2年出題】 ×

 対象労働者に対してのみではなく、労働者全体への周知が義務付けられています。

(平11.3.31基発169号)

 

 

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③【H23年出題】

 労働基準法第106条に定める就業規則の周知義務は、磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置することによっても果たされ得る。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【H23年出題】 〇

厚生労働省令で定められた3つの方法のいずれかの方法で周知しなければなりません。問題文の方法はそのうちの1つです。

 パソコンなどで随時確認する方法です。

 

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労働基準法(就業規則)

R4-211 

R4.3.21 制裁規定の制限

 「制裁」には、譴責、戒告、出勤停止、減給、懲戒解雇などがあります。公序良俗に反しない限り、就業規則に定めることができます。

 ただし、「減給」については、労働基準法で制限が設けられています。

 減給は、労働した分の賃金をカットすることです。何も規制が無いと、例えば1回の遅刻に対する制裁として、1か月分の賃金を全てカットすることもできてしまうからです。

 

 では、減給制裁の制限を条文で読んでみましょう。

第91条 (制裁規定の制限)

 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、 1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

 

 減給制裁は、「1回の額は平均賃金1日分の半額以内」、「一賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額は、一賃金支払期の賃金の総額の10分の1以内」となっています。

(昭23.9.20基収1789号)

 例えば、平均賃金が1万円、一賃金支払期の賃金総額が20万円なら、1回の額は5千円以内、一賃金支払期に減額できるのは2万円以内となります。

では、過去問をどうぞ!

①【R2年出題】

 労働者が、遅刻・早退をした場合、その時間に対する賃金額を減給する際も労働基準法第91条による制限を受ける

 

 

②【H28年出題】

 服務規律違反に対する制裁として一定期間出勤を停止する場合、当該出勤停止期間中の賃金を支給しないことは、減給制限に関する労働基準法第91条違反となる。

 

 

③【R3年出題】

 労働基準法第91条にいう「一賃金支払期における賃金の総額」とは、「当該賃金支払期に対し現実に支払われる賃金の総額」をいい、一賃金支払期に支払われるべき賃金の総額が欠勤や遅刻等により少額となったときは、その少額となった賃金総額を基礎として10分の1を計算しなければならない。

 

 

④【H16年出題】

 就業規則で労働者に対して減給の定めをする場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならず、もし、これを超えて減給の制裁を行う必要が生じた場合においても、その部分の減給は、次期の賃金支払期に延ばすことはできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 ×

 例えば、1時間遅刻した場合に、1時間分の賃金を差し引くことは、制裁による減給に該当しませんので、労働基準法第91条による制限は受けません。

 ただし、1時間の遅刻に対して2時間分を減給することは制裁とみなされ、第91条による制限を受けることになります。

(昭63.3.14基発150号)

 

 

②【H28年出題】 ×

 出勤停止期間中の賃金を支給しないことは、「制裁としての出勤停止の当然の結果」で、減給制限に関する労働基準法第91条には関係ない、とされています。

(昭23.7.3基収2177号)

 

 

③【R3年出題】 〇

 「一賃金支払期における賃金の総額」とは、当該賃金支払期に対し「現実に」支払われる賃金の総額をいいます。

(昭23.9.20基収1789号)

 

 

④【H16年出題】 ×

 1賃金支払期の賃金総額が20万円の場合は、減給の総額は2万円以内です。もし、25千円の減給の制裁を行う必要がある場合は、5千円分は次期の賃金支払期に延ばすことができます。

 「もし、これを超えて減給の制裁を行う必要が生じた場合においても、その部分の減給は、次期の賃金支払期に延ばすことはできない」は誤りです。

(昭23.9.20基収1789号)

 

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労働基準法(就業規則)

R4-210 

R4.3.20 就業規則の絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項

 就業規則に記載する事項には、絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項があります。

 いかなる場合でも絶対に記載しなければならない事項が「絶対的必要記載事項」、「定めをする場合」においては必ず記載しなければならない事項が「相対的必要記載事項」です。

 

 では、条文で確認しましょう。

89条 (作成及び届出の義務)

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

1 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

2 賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

3 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

3の2 退職手当定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

4 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

5 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

6 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

7 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

8 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

9 表彰及び制裁定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

10 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

 

 1から3が絶対的必要記載事項です。3の2以下は「定めをする場合においては」に注目してください。相対的必要記載事項です。

 

では過去問をどうぞ!

①【H26年出題】

 労働基準法第89条第1号から第3号までの絶対的必要記載事項の一部、又は、同条第3号の2以下の相対的必要記載事項のうち当該事業場が適用を受けるべき事項を記載していない就業規則は、同条違反の責を免れないものであり、労働基準法第13条に基づき、無効となる。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H26年出題】 ×

 必要記載事項が記載されていない就業規則も、「他の要件を具備する限り有効」とされています。問題文の「労働基準法第13条に基づき、無効となる」の部分は誤りです。

 しかし、定められた必要記載事項が記載されていないため、第89条違反の責任は免れません。

(平11.3.31基発168号)

 

 

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②【H23年出題】

 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、当該事業場の労働者すべてを対象にボランティア休暇制度を定める場合においては、これに関する事項を就業規則に記載しなければならない。

 

 

③【H30年出題】

 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則に制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項を必ず記載しなければならず、制裁を定めない場合にはその旨を必ず記載しなければならない。

 

 

④【H25年出題】

 労働基準法第89条の規定により、常時10人以上の労働者を使用するに至った使用者は、同条に規定する事項について就業規則を作成し、所轄労働基準監督署長に届け出なければならないが、従来の慣習が当該事業場の労働者のすべてに適用されるものである場合、当該事項については就業規則に規定しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H23年出題】 〇

 「休暇」は第1号の中に入っていますので、絶対的必要記載事項です。

年次有給休暇や産前産後休暇のように労働基準法で定められた休暇のみなならず、任意に設けている夏季休暇や慶弔休暇なども含まれます。

 ボランティア休暇制度も「休暇」ですので、これに関する事項は就業規則に記載しなければなりません。

 

 

③【H30年出題】 ×

 「制裁」は「定めをする場合」は記載しなければならない相対的必要記載事項です。制裁を定めない場合は、記載する義務はありません。

 

 

④【H25年出題】 〇

 第10号は、「当該事業場の労働者のすべてに適用される定め」です。「従来の慣習」が当該事業場の労働者のすべてに適用されるのであれば、第10号に含まれますので、就業規則の記載が必要です。

(平11.3.31基発168号) 

 

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労働基準法(就業規則)

R4-209 

R4.3.19 就業規則の作成及び届出の義務

 就業規則は、その事業場の「法的規範」としての性質を有します。

 「就業規則」の作成手続きや、届出について条文で確認しましょう。

 

89条 (作成及び届出の義務)

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

 ※1~10まで記載事項がありますが、次回のテーマになりますので今回は省略します。

 

90条 (作成の手続)

① 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない

② 使用者は、届出をなすについて、①の意見を記した書面を添付しなければならない。

 

 常時10人以上の労働者を使用している事業場では、就業規則を作成し届け出る義務があります。就業規則を変更した場合も同じです。

 なお、「使用者は、常時10人以上の労働者を使用するに至った場合においては、遅滞なく、就業規則の届出を所轄労働基準監督署長にしなければならない」とされています。(則第49条)

 また、作成、変更の場合は、過半数労働組合か、過半数労働組合がないときは労働者の過半数代表者の意見を聴かなければなりません。

 

では、過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

 労働基準法第89条に定める「常時10人以上の労働者」の算定において、1週間の所定労働時間が20時間未満の労働者は0.5人として換算するものとされている。

 

 

②【H25年出題】

 派遣労働者に関して、労働基準法第89条により就業規則の作成義務を負うのは、派遣中の労働者とそれ以外の労働者とを合わせて常時10人以上の労働者を使用している派遣元の使用者である。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 ×

 1週間の所定労働時間が20時間未満の労働者も0.5人ではなく1人で数えます。

 労働基準法では、「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」は労働者です。労働時間の長短は関係ありません。

 なお、常時10人未満の労働者を使用する使用者には、就業規則の作成義務はありません。

 

 

②【H25年出題】 〇

 派遣労働者に関して、就業規則の作成義務を負うのは、「派遣元」の使用者です。派遣中の労働者は雇用関係のある派遣元の人数に入ります。

 

 

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③【H20年出題】

 就業規則を作成又は変更するに当たっては、使用者は、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない。

 

 

④【H21年出題】

 使用者は、就業規則の作成だけでなく、その変更についても、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

 

 

⑤【H27年出題】

 労働基準法第90条第1項が、就業規則の作成又は変更について、当該事業場の過半数労働組合、それがない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴くことを使用者に義務づけた趣旨は、使用者が一方的に作成・変更しうる就業規則に労働者の団体的意思を反映させ、就業規則を合理的なものにしようとすることにある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【H20年出題】 ×

 「同意を得なければならない」ではなく、「意見を聴かなければならない」です。

 「同意を得るとか協議をするとかいうことまで要求しているものではない」とされていて、就業規則についての意見を聴けば労働基準法違反とならないという趣旨です。

(昭25.3.15基収第525号)

 

 

④【H21年出題】 〇

 就業規則の作成のみならず、変更についても、意見聴取が必要です。

 

 

⑤【H27年出題】 〇

 「労働協約」は労使の団体交渉で締結されますが、就業規則は、使用者が一方的に作成・変更することができます。

 しかし、労働者が全く知らないままに就業規則の作成、変更が行われるのも問題です。

 意見聴取を義務づけているのは、就業規則に労働者の団体的意見を反映させ、就業規則を合理的なものにするためです。

 

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労働基準法

R4-195 

R4.3.5 1年変形/途中退職、途中入社の者の賃金清算

1年単位の変形労働時間制は、対象期間の途中に採用された人、途中で退職した人も対象になります。

 実際に労働した期間が、対象期間よりも短い場合、賃金の清算が必要になることがあります。

 

 条文を読んでみましょう。

第32条の4の2 

 使用者が、対象期間中の前条の規定により労働させた期間が当該対象期間より短い労働者について、当該労働させた期間を平均し1週間当たり40時間を超えて労働させた場合においては、その超えた時間(第33条(災害等による臨時の場合)又は第36条第1項(三六協定)の規定により延長し、又は休日に労働させた時間を除く。)の労働については、第37条の規定の例により割増賃金を支払わなければならない。

 

 例えば、1年単位の変形労働時間制の対象期間を11日から1231日までの1年間で設定している場合で考えてみましょう。

 対象期間中の労働時間の総枠は、40時間×365日÷7≒2085.71時間です。

 総枠の範囲内でこのように所定労働時間を設定したとします。

   ↓

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

170時間

147時間

180時間

166時間

180時間

166時間

180時間

180時間

166時間

180時間

180時間

190時間

 この場合、年間の所定労働時間のトータルは2085時間で、1年間を平均すると1週間の労働時間が40時間以内になります。

 

☆条文に当てはめてみると

『対象期間より短い労働者』

 例えば、Aさんが対象期間の途中の61日に入社したような場合です。Aさんが実際に労働した期間は61日~1231日までで対象期間より短い期間です。

 

『労働させた期間を平均し1週間当たり40時間を超えて労働させた』

 Aさんが所定労働時間分だけ労働した場合、61日から1231日までの実際の労働時間のトータルは1,242時間となります。

 次に、61日から1231日までの期間を平均して1週間当たり40時間以内になる労働時間の総枠は、40時間×214日÷71222.8時間で計算できます。

 実労働時間の1,242時間から1222.8時間を引くと19.2時間になりますが、この19.2時間が『労働させた期間を平均し1週間当たり40時間を超えて労働させた』部分に当たります。

 

『第37条の規定の例により割増賃金を支払わなければならない』

 平均して1週間当たり40時間の枠を超えた19.2時間は、第37条の規定の例により割増賃金で清算することになります。

 

『(第33条(災害等による臨時の場合)又は第36条第1項(三六協定)の規定により延長し、又は休日に労働させた時間を除く。)』

 例えば、36協定に基づいて時間外労働させた場合は、清算による割増賃金ではなく、本来の割増賃金の支払いが必要です。

 

 

過去問をどうぞ!

H17年出題】

 労働基準法第32条の4に規定するいわゆる1年単位の変形労働時間制を採用する事業場において、その対象となる労働者が対象期間中に退職した場合、当該労働者について、当該労働させた期間を平均し1週間当たり40時間を超えて労働させた場合においては、その超えた時間(同法第33条又は第36条第1項の規定により延長し、又は休日に労働させた時間を除く。)の労働については、同法第37条の規定の例により割増賃金を支払わなければならないが、これを支払わない場合には、同法第24条違反となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

H17年出題】 〇

 第37条違反ではなく、「第24条違反」になるのがポイントです。

 最初に読んだ条文の「第37条の規定の例により」の部分に注目してください。

 第37条は割増賃金の規定ですが、「第37条の規定の例により」とは、算定基礎賃金の範囲、割増率、計算方法等がすべて第37条と同じという意味です。

 第37条の割増賃金ではないのがポイントです。そのため、清算のための割増賃金を支払わない場合は、第37条違反ではなく、第24条違反になります。

(平11.1.29基発45号) 

 

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社労士受験のあれこれ

労働基準法

R4-194 

R4.3.4 1年変形/連続して労働させる日数の限度

 前回のテーマは、1年単位の変形労働時間制の対象期間の労働日数の限度、1日・1週間の労働時間の限度でした。

 今回は連続して労働させる日数の限度についてお話します。

 

 では、条文を読んでみましょう。

第32条の4 1年単位の変形労働時間制

③ 厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見を聴いて、厚生労働省令で、対象期間における労働日数の限度並びに1日及び1週間の労働時間の限度並びに対象期間(第1項の協定で特定期間として定められた期間を除く。)及び同項の協定で特定期間として定められた期間における連続して労働させる日数の限度を定めることができる。

 今回は、「連続して労働させる日数の限度」に注目します。

 特定期間とそれ以外で設定が変わりますので注意してください。

 

☆ちなみに、「特定期間」とは?

 特定期間とは、「対象期間中の特に業務が繁忙な期間」をいい、特定期間を設定する場合は、労使協定で定めます。

(特定期間 → 労基法第32条の4 第1項 第3号)

 

 連続して労働させる日数の限度は、施行規則第12条の4で以下のように規定されています。

12条の4

⑤ 法第32条の4第3項の厚生労働省令で定める対象期間における連続して労働させる日数の限度は6日とし、同条第1項の協定(労使委員会の決議及び労働時間等設定改善委員会の決議を含む。)で特定期間として定められた期間における連続して労働させる日数の限度は1週間に1日の休日が確保できる日数とする。

1年単位の変形労働時間の場合、連続労働日数は原則として最長6日です。

 しかし、特に業務が繁忙な期間として「特定期間」を定めた場合は、その期間は「1週間に1日の休日が確保できる日数」=最長12日とすることができます。

 

(原則) 連続労働日数は最長6日まで

6日に1回は休日が必要です

 

(特定期間) 1週間に1日の休日が確保できる日数=連続労働日数は最長12日まで