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令和8年度版
R8-046 10.09
賃金の支払方法には次の5つの原則があります
・通貨払いの原則
・直接払いの原則
・全額払いの原則
・毎月1回以上払いの原則
・一定期日払いの原則
条文を読んでみましょう
法第24条(賃金の支払) ① 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。 ② 賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第89条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。 |
5つの原則とともに、例外にも注意しましょう。
今回は、「全額払の原則」についてみていきます。
賃金は「全額払」が原則です。
例外で、
・法令に別段の定めがある場合
→所得税の源泉徴収、社会保険料、雇用保険料の控除などが認められています。
・当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定(労使協定)がある場合
→購買代金、福利厚生施設の費用、社内預金、組合費などの控除が認められます。
過去問を解いてみましょう
①【R6年選択式】
最高裁判所は、賃金に当たる退職金債権放棄の効力が問題となった事件において、次のように判示した。
本件事実関係によれば、本件退職金の「支払については、同法〔労働基準法〕24条1項本文の定めるいわゆる全額払の原則が適用されるものと解するのが相当である。しかし、右全額払の原則の趣旨とするところは、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、もつて労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活をおびやかすことのないようにしてその保護をはかろうとするものというべきであるから、本件のように、労働者たる上告人が退職に際しみずから賃金に該当する本件退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合に、右全額払の原則が右意思表示の効力を否定する趣旨のものであるとまで解することはできない。もつとも、右全額払の原則の趣旨とするところなどに鑑みれば、右意思表示の効力を肯定するには、それが上告人の< A >ものであることが明確でなければならないものと解すべきである」。
(選択肢)
①権利濫用に該当しない
②自由な意思に基づく
➂退職金債権放棄同意書への署名押印により行われた
④退職に接着した時期においてされた
【解答】
<A> ②自由な意思に基づく
賃金にあたる退職金債権放棄の意思表示は、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、「有効」であるとされました。
(最高裁第二小法廷判決シンガー・ソーイング・メシーン・カンパニー事件昭和48.1.19)
②【H27年出題】
退職金は労働者の老後の生活のための大切な資金であり、労働者が見返りなくこれを放棄することは通常考えられないことであるから、労働者が退職金債権を放棄する旨の意思表示は、これが労働者の自由な意思に基づくものであるか否かにかかわらず、労働基準法第24条第1項の賃金全額払の原則の趣旨に反し無効であるとするのが、最高裁判所の判例である。
【解答】
②【H27年出題】 ×
賃金にあたる退職金債権放棄の意思表示は、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、「有効」であるとするのが最高裁判所の判例です。
(最高裁第二小法廷判決シンガー・ソーイング・メシーン・カンパニー事件昭和48.1.19)
➂【R3年出題】
労働基準法第24条第1項の禁止するところではないと解するのが相当と解される「許さるべき相殺は、過払のあつた時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてされ、また、あらかじめ労働者にそのことが予告されるとか、その額が多額にわたらないとか、要は労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのない場合でなければならない」とするのが最高裁判所の判例である。
【解答】
➂【R3年出題】 〇
「相殺は、過払のあつた時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてされ、かつ、あらかじめ労働者に予告されるとかその額が多額にわたらない等労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのないものであるときは、労働基準法24条1項の規定に違反しない」とするのが最高裁判所の判例です。
(最高裁第一小法廷判決福島県教組事件昭和44.12.18)
④【H21年選択式】
賃金の過払が生じたときに、使用者がこれを精算ないし調整するため、後に支払われるべき賃金から過払分を控除することについて、「適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺は、[…(略)…]その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の < A >との関係上不当と認められないものであれば、同項[労働基準法第24条第1項]の禁止するところではないと解するのが相当である」とするのが、最高裁判所の判例である。
(選択肢)
①経済生活の安定 ②自由な意思 ③生活保障 ④同意に基づく相殺
【解答】
<A> ①経済生活の安定
(最高裁第一小法廷判決福島県教組事件昭和44.12.18)
⑤【R7年出題】
労働協約によりストライキ中の賃金を支払わないことを定めているX社では日給月給制を採用しており、毎月15日に当月の賃金を前払いする(例えば、8月15日に8月1日から同月末日までの賃金を支払う)ことになっているが、所定労働日である8月21日から25日まで5日間ストライキが行われた場合、当該ストライキに参加した労働者の賃金について、使用者が9月15日の賃金支払いにおいて前月のストライキの5日間分を控除して支払うことは、賃金全額払原則に違反する。
【解答】
⑤【R7年出題】 ×
前月分の過払賃金を翌月分で清算する程度は賃金それ自体の計算に関するものですので、法第24条違反とはなりません。
(昭23.9.14基発1357号)
⑥【H23年出題】
労働者が5分遅刻した場合に、30分遅刻したものとして賃金カットをするという処理は、労務の提供のなかった限度を超えるカット(25分についてのカット)について労働基準法第24条の賃金の全額払の原則に反し違法であるが、このような取扱いを就業規則に定める減給の制裁として同法第91条の制限内で行う場合には、同法第24条の賃金の全額払の原則に反しない。
【解答】
⑥【H23年出題】 〇
5分の遅刻について、30分遅刻したとして賃金カットをすることは、労務の提供のなかった限度を超えるカットとなり、全額払の原則に反し違法です。
ただし、このような取扱いを就業規則に定める減給の制裁として労基法第91条の制限内で行う場合には、賃金の全額払の原則に反しません。
(昭63.3.14基発150号)
⑦【H19年出題】
割増賃金の計算の便宜上、1日における時間外労働、休日労働及び深夜労働の各時間数に1時間未満の端数がある場合は、1日ごとに、30分未満の端数を切り捨て、30分以上の端数を1時間に切り上げて計算する措置は、法違反として取り扱わないこととされている。
【解答】
⑦【H19年出題】 ×
「1日」単位で、問題文のような端数処理を行うことは、法違反となります。
割増賃金の計算の便宜上、「1か月」における時間外労働、休日労働及び深夜労働の各時間数の合計に1時間未満の端数がある場合は、30分未満の端数を切り捨て、30分以上の端数を1時間に切り上げて計算する措置は、法違反として取り扱わないこととされています。
(昭63.3.14基発150号)
⑧【H29年出題】
1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した額。)に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払う事務処理方法は、労働基準法第24条違反として取り扱わないこととされている。
【解答】
⑧【H29年出題】 〇
<端数処理について>
・1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した額。)に100円未満の端数が生じた場合
→50円未満切り捨て、それ以上を100円に切り上げる方法は、労働基準法第24条違反にはなりません。
(昭63.3.14基発150号)
⑨【H24年出題】
1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には、控除後の額)に生じた千円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うことは、労働基準法第24条違反としては取り扱わないこととされている。
【解答】
⑨【H24年出題】 〇
1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には、控除後の額)に千円未満の端数が生じた場合
→ その額を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うことは、労働基準法第24条違反にはなりません。
(昭63.3.14基発150号)
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R8-045 10.08
労働契約の締結の際、使用者は労働条件を明示しなければなりません。
また、明示された労働条件と実際の労働条件が相違する場合は、労働者は、即時に労働契約を解除することができます。
条文を読んでみましょう
法第15条 (労働条件の明示) ① 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。 ② 明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。 ③ ②の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。 |
では、過去問を解いてみましょう
①【H16年出題】
労働基準法第15条に基づいて明示すべき労働条件の範囲は、同法第1条「労働条件の原則」及び第2条「労働条件の決定」でいう労働条件の範囲とは異なる。
【解答】
①【H16年出題】 〇
労働基準法第1条「労働条件の原則」及び第2条「労働条件の決定」でいう労働条件は、賃金、労働時間はもちろん、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件をすべて含む労働者の職場における一切の待遇をいうとされています。
一方、労働基準法第15条に基づいて明示すべき労働条件の範囲は、労働基準法施行規則第5条で範囲が具体的に定められています。
②【R6年出題】
使用者は、労働基準法第15条第1項の規定により、労働者に対して労働契約の締結と有期労働契約(期間の定めのある労働契約)の更新のタイミングごとに、「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」に加え「就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲」についても明示しなければならない。
【解答】
②【R6年出題】 〇
すべての労働契約の締結と有期労働契約の更新のタイミングごとに、雇入れ直後の「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」に加え、「就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲」についても明示が必要です。
(則第5条第1項第1号の3)
➂【R2年出題】
労働契約の締結の際に、使用者が労働者に書面により明示すべき賃金に関する事項及び書面について、交付すべき書面の内容としては、労働者の採用時に交付される辞令等であって、就業規則等(労働者への周知措置を講じたもの)に規定されている賃金等級が表示されたものでもよい。
【解答】
➂【R2年出題】 〇
賃金に関しては、「賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期」について書面の交付が必要です。
交付すべき書面の内容としては、就業規則の規定と併せ、前記の賃金に関する事項が当該労働者について確定し得るものであればよく、労働者の採用時に交付される辞令等であって、就業規則等に規定されている賃金等級が表示されたものでも差し支えないとされています。
(H11.3.31基発168号)
なお、「書面の交付」については、労働者が書面の交付が必要な事項が明らかとなる次のいずれかの方法によることを希望した場合には、当該方法とすることができるとされています。
(1) ファクシミリを利用してする送信の方法
(2) 電子メール等の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)
(則第5条第4項)
④【H23年出題】
労働基準法第15条第1項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
【解答】
④【H23年出題】 〇
労働基準法第15条第1項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は、即時に労働契約を解除することができます。
⑤【R5年出題】
社宅が単なる福利厚生施設とみなされる場合においては、社宅を供与すべき旨の条件は労働基準法第15条第1項の「労働条件」に含まれないから、労働契約の締結に当たり同旨の条件を付していたにもかかわらず、社宅を供与しなかったときでも、同条第2項による労働契約の解除権を行使することはできない。
【解答】
⑤【R5年出題】 〇
・社宅を利用する利益が、法第11条にいう賃金である場合は、社宅を供与すべき旨の条件は、法第15条第1項の「賃金、労働時間その他の労働条件」となります。そのため、社宅を供与しなかった場合は、同条2項の労働契約の解除権を行使できます。
・社宅が単なる福利厚生施設とみなされる場合は、社宅を供与すべき旨の条件は労働基準法第15条第1項の「労働条件」に含まれません。そのため、社宅を供与しなかったときでも、同条第2項による労働契約の解除権を行使することはできません。
ちなみに、労基法第15条の適用がなくても、民法第541条の規定によって契約を解除することは可能です。
(昭23.11.27基収3514号)
⑥【H28年出題】
労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と相違しているため、労働者が労働契約を解除した場合、当該解除により労働契約の効力は遡及的に消滅し、契約が締結されなかったのと同一の法律効果が生じる。
【解答】
⑥【H28年出題】 ×
労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と相違しているため、労働者が労働契約を解除した場合は、「その解除は、将来に向かってのみその効力を生じる」とされています。
(民法第630条)
労働契約の効力を遡及的に消滅させ、契約が締結されなかったのと同一の法律効果を生じさせるのものではありません。
⑦【R7年出題】
労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と相違している場合、労働者は即時に労働契約を解除することができるにとどまり、明示されたとおりの労働条件の履行を使用者に要求することはできない。
【解答】
⑦【R7年出題】 ×
明示された労働条件は労働契約の内容となっているため、明示された労働条件が事実と相違している場合、労働者は、明示されたとおりの労働条件の履行を使用者に要求することができます。
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R8-044 10.07
労働契約には①契約期間の定めがないものと②契約期間の定めがあるものの2つがあります。
①契約期間の定めがない場合は、使用者も労働者もいつでも契約を解除することができますので、労働基準法の規制はありません。
②契約期間の定めがある(有期労働契約)の場合は、契約期間中は、原則として契約の解除ができません。そのため、労働者を長く拘束することがないように、労働基準法では、契約期間に上限(原則3年)が設けられています。
では、条文を読んでみましょう
法第14条第1項 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならない。 (1) 専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約 (2) 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。) |
過去問を解いてみましょう
①【R5年出題】
労働基準法第14条第1項に規定する期間を超える期間を定めた労働契約を締結した場合は、同条違反となり、当該労働契約は、期間の定めのない労働契約となる。
【解答】
①【R5年出題】 ×
期間の定めのない労働契約にはなりません。
「法第14条第1項に規定する期間を超える期間を定めた労働契約を締結した場合は、同条違反となり、当該労働契約の期間は、法第13条により、法第14条第1項第1号及び第2号に掲げるものについては5年、その他のものについては3年となること。」とされています。
労働基準法第13条も読んでみましょう
この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。 |
法第14条第1項に規定する期間を超える期間を定めた労働契約を締結した場合は、その部分は無効となり、無効となった部分は、「労基法第14条第1項に規定する期間」となります。
(平15.10.22基発第1022001号)
②【H27年出題】
契約期間の制限を定める労働基準法第14条の例外とされる「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの」とは、その事業が有期的事業であることが客観的に明らかな場合であり、その事業の終期までの期間を定める契約であることが必要である。
【解答】
②【H27年出題】 〇
例えば、10年で終了する「建設工事」現場の場合は、10年の労働契約を締結することができます。
➂【R2年出題】
専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約については、当該労働者の有する高度の専門的知識等を必要とする業務に就く場合に限って契約期間の上限を5年とする労働契約を締結することが可能となり、当該高度の専門的知識を必要とする業務に就いていない場合の契約期間の上限は3年である。
【解答】
➂【R2年出題】 〇
契約期間の上限を5年にできるのは、「当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者」に限られています。当該高度の専門的知識を必要とする業務に就いていない場合は、例外の5年は適用されませんので、契約期間の上限は原則の3年となります。
(平15.10.22基発第1022001号)
④【R4年出題】
社会保険労務士の国家資格を有する労働者について、労働基準法第14条に基づき契約期間の上限を5年とする労働契約を締結するためには、社会保険労務士の資格を有していることだけでは足りず、社会保険労務士の名称を用いて社会保険労務士の資格に係る業務を行うことが労働契約上認められていることが必要である。
【解答】
④【R4年出題】 〇
「契約期間の上限を5年とする労働契約を締結することができるのは、労働者が国家資格を有していることだけでは足りず、当該国家資格の名称を用いて当該国家資格に係る業務を行うことが労働契約上認められている等が必要であるものであること。」とされています。
(平15.10.22基発第1022001号)
⑤【R7年出題】
労働基準法第14条第1項第2号は、満60歳以上である労働者との労働契約(同条同項第1号に掲げる労働契約を除く。)は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、5年を超える期間について締結してはならないと定めているが、満60歳以上であるかどうかは当該労働契約締結時の年齢で判断される。
【解答】
⑤【R7年出題】 〇
「契約締結時に満60歳以上である労働者との間に締結されるものであることを要すること。」とされています。
(平15.10.22基発第1022001号)
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R8-043 10.06
老齢基礎年金の支給要件は、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年以上あることです。
なお、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年未満でも、合算対象期間を合算して10年以上あれば、要件を満たします。
「合算対象期間」は、「カラ期間」ともいわれ、10年の計算には入りますが、老齢基礎年金の年金額の計算には入りません。
今回は、合算対象期間の基本を3つみていきます
任意加入できた期間のうち任意加入しなかった期間
海外在住邦人について
厚生年金保険の被保険者期間の20歳未満・60歳以後
では、合算対象期間の過去問を解いてみましょう
<任意加入できた期間のうち任意加入しなかった期間>
①【H23年出題】
昭和60年改正前の国民年金法の規定により任意加入できた期間のうち任意加入しなかった20歳以上65歳未満の期間は、合算対象期間とされる。
【解答】
①【H23年出題】 ×
昭和60年改正前の国民年金法(旧法)で、任意加入できた期間のうち任意加入しなかった期間は合算対象期間となります。ただし、「20歳以上65歳未満」ではなく合算対象期間となるのは「20歳以上60歳未満」の期間です。
(昭60法附則第8条第5項第1号)
②【R5年出題】
昭和36年4月1日から平成4年3月31日までの間で、20歳以上60歳未満の学生であった期間は、国民年金の任意加入期間とされていたが、その期間中に加入せず、保険料を納付しなかった期間については、合算対象期間とされ、老齢基礎年金の受給資格期間には算入されるが、年金額の計算に関しては保険料納付済期間に算入されない。
【解答】
②【R5年出題】 ×
学生が国民年金に強制加入することになったのは、「平成3年4月1日」以降で、それまでは「任意加入」することができました。
そのため、合算対象期間になるのは、昭和36年4月1日から平成3年3月31日までの間で、20歳以上60歳未満の学生で任意加入しなかった期間となります。
(昭60法附則第8条第5項第1号)
★学生について
旧 法 | 新 法 | |
S36.4.1 | S61.4.1 | H3.4.1 |
任意加入 | 強制加入 |
<海外在住邦人について>
➂【R7年出題】
日本国籍を有する人が、20歳から60歳までの間に、日本国内に住所を有さずに海外に在住した期間のうち、昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの期間は、国民年金の任意加入被保険者でなくても、老齢基礎年金の受給資格期間を計算する場合の合算対象期間になる。
【解答】
➂【R7年出題】 〇
旧法の国民年金法では、日本国籍を有する人が海外に在住している間は国民年金の適用が除外され、任意加入もできませんでした。
そのため、日本国籍を有する人が日本国内に住所を有さずに海外に在住した期間のうち、昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの期間(旧法の期間)は、合算対象期間となります。20歳から60歳までの間に限られていることにも注意してください。
(昭60法附則第8条第5項第9号)
旧 法 | 新 法 |
適用除外(任意加入もできない) | 任意加入できる |
厚生年金保険の被保険者期間の20歳未満・60歳以後
④【R7年出題】
昭和61年4月1日以後の第2号被保険者としての被保険者期間のうち20歳未満の期間及び60歳以上の期間は合算対象期間となる。
【解答】
④【R7年出題】 〇
昭和61年4月1日以後の第2号被保険者としての被保険者期間のうち20歳に達した日の属する月前の期間及び60歳に達した日の属する月以後の期間は合算対象期間です。
(昭60法附則第8条第4項)
★第2号被保険者期間について
第2号被保険者 | ||
| 20歳 | 60歳 |
合算対象期間 | 保険料納付済期間 | 合算対象期間 |
なお、「昭和36年4月1日から昭和61年3月31日まで」の間の、被用者年金(厚生年金保険・共済年金)の被保険者期間についても、20歳未満・60歳以上の期間は合算対象期間となります。
(昭60法附則第8条第6項)
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R8-042 10.05
毎週日曜日は総集編をお届けします。
今回は、令和7年9月29日から10月4日までの動画の総集編です。
まとめて見ることができますので、ご活用ください。
☟
・ 「外国人雇用実態調査」からの出題(労働に関する一般常識)
・ 高齢者医療確保法の基本問題を解いてみる(社会保険に関する一般常識)
・ 資格確認書の交付申請(健康保険法)
・ 一般保険料率の決定などのルール(健康保険法)
・ 事後重症による障害厚生年金の請求(厚生年金保険法)
・ 育児休業中の保険料免除~1か月以下の場合に注意(厚生年金保険法)
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R8-041 10.04
育児休業中は、厚生年金保険料は事業主負担分・被保険者負担分ともに免除されます。(健康保険料も同様に免除されます)
免除の要件をみていきましょう。
条文を読んでみましょう
法第81条の2 (育児休業期間中の保険料の徴収の特例) ① 育児休業等をしている被保険者(産前産後休業中の免除の適用を受けている被保険者を除く。)が使用される事業所の事業主が、主務省令で定めるところにより実施機関に申出をしたときは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める月の当該被保険者に係る保険料(その育児休業等の期間が1か月以下である者については、標準報酬月額に係る保険料に限る。)の徴収は行わない。 (1) その育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が終了する日の翌日が属する月とが異なる場合 → その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの月 (2) その育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が終了する日の翌日が属する月とが同一であり、かつ、当該月における育児休業等の日数として厚生労働省令で定めるところにより計算した日数が14日以上である場合 → 当該月 ② 第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者に係る保険料については、「育児休業等をしている被保険者が、主務省令で定めるところにより実施機関に申出をしたとき」となる。(=被保険者本人が申出を行う) |
過去問を解いてみましょう
①【H29年出題】
産前産後休業中の保険料の免除の申出は、被保険者が第1号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者である場合には当該被保険者が使用される事業所の事業主が、また第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者である場合には当該被保険者本人が、主務省令で定めるところにより実施機関に行うこととされている。
【解答】
①【H29年出題】 〇
産前産後休業中の保険料の免除を受けるには、実施機関に申出を行わなければなりません。
・第1号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者 → 事業主が申出
・第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者 → 被保険者本人が申出
※「育児休業中の保険料免除」についても同様です。
②【R6年出題】
産前産後休業をしている被保険者に係る保険料については、事業主負担及び被保険者負担分の両方が免除される。
【解答】
②【R6年出題】 〇
産前産後休業中の保険料については、事業主負担及び被保険者負担分の両方が免除されます。
※「育児休業中の保険料免除」も同様です。
➂【R7年出題】
厚生年金保険法第81条の2第1項に規定される育児休業期間中の厚生年金保険料の免除の規定について、育児休業等の期間が1か月以下の場合は、その月の標準報酬月額に係る保険料は免除されるが、その月の標準賞与額に係る保険料についても免除される。
【解答】
➂【R7年出題】 ×
第81条の2第1項に、「その育児休業等の期間が1か月以下である者については、標準報酬月額に係る保険料に限る。」とあります。育児休業等の期間が1か月以下でも、その月の標準報酬月額に係る保険料は免除されますが、その月の標準賞与額に係る保険料については免除されません。
④【R1年出題】
適用事業所の事業主は、第1号厚生年金被保険者であって、産前産後休業期間中や育児休業期間中における保険料の免除が適用されている者に対して、当該休業期間中に賞与を支給した場合は、賞与額の届出を行わなければならない。
【解答】
④【R1年出題】 〇
事業主は、賞与を支給した場合、賞与額の届出を行わなければなりません。
産前産後休業期間中や育児休業期間中で保険料の免除が適用されている者でも、休業期間中に賞与を支給した場合は、賞与額の届出が必要です。
(則第19条の5)
健康保険法の問題も解いてみましょう
①【健保R5年出題】
被保険者乙の育児休業等開始日が令和5年1月10日で、育児休業等終了日が令和5年3月31日の場合は、令和5年1月から令和5年3月までの期間中の当該被保険者に関する保険料は徴収されない。
【解答】
①【健保R5年出題】 〇
育児休業等を開始した日の属する月と育児休業等が終了する日の翌日が属する月とが異なる場合に該当します。
育児休業等を開始した日(=令和5年1月10日)の属する月(=令和5年1月)から育児休業等が終了する日の翌日(令和5年4月1日)が属する月の前月までの月(=令和5年3月)までの保険料が免除されます。
②【健保R5年出題】
被保険者丙の育児休業等開始日が令和5年1月4日で、育児休業等終了日が令和5年1月16日の場合は、令和5年1月の当該被保険者に関する保険料は徴収されない。
【解答】
②【健保R5年出題】 ×
育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が終了する日の翌日が属する月とが同一の場合は、その月の育児休業等の日数が14日以上あれば、その月の保険料が免除されます。
育児休業等開始日が令和5年1月4日で、育児休業等終了日が令和5年1月16日の場合、育休開始日と終了日の翌日が同一月にあり、育児休業の日数が13日しかありません。そのため、保険料は免除されません。(保険料が徴収されます)
➂【健保R6年出題】
被保険者乙の配偶者が令和5年8月8日に双生児を出産したことから、被保険者乙は令和5年10月1日から令和5年12月31日まで育児休業を取得した。この場合、令和6年1月分の当該被保険者に関する保険料は徴収されない。
【解答】
➂【健保R6年出題】 ×
育児休業等を開始した日の属する月と育児休業等が終了する日の翌日が属する月とが異なる場合に該当します。
育児休業等を開始した日(=令和5年10月1日)の属する月(=令和5年10月)から育児休業等が終了する日の翌日(=令和6年1月1日)が属する月の前月までの月(=令和5年12月)までの保険料が免除されます。
令和6年1月分の当該被保険者に関する保険料は「徴収されます」。
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R8-040 10.03
「障害厚生年金」は、「初診日」「保険料納付要件」「障害認定日」の3つの要件を満たした場合、障害認定日に受給権が発生します。
「初診日」、「保険料納付要件」を満たしていても、障害認定日に障害等級1~3級に該当しない場合は、障害厚生年金の受給権は発生しません。
ただし、障害認定日の後65歳に達する日の前日までに障害等級に該当した場合は事後重症の障害厚生年金の請求ができます。事後重症の障害厚生年金は請求によって受給権が発生します。
条文を読んでみましょう
第47条の2 ① 疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病に係る初診日において被保険者であった者であって、障害認定日において障害等級(1~3級)に該当する程度の障害の状態になかったものが、同日後65歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときは、その者は、その期間内に障害厚生年金の支給を請求することができる。 ② 保険料納付要件を満たしていること ➂ 請求があったときは、その請求をした者に障害厚生年金を支給する。 |
過去問を解きながらポイントを確認しましょう
①【R4年選択式】
厚生年金保険法第47条の2によると、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病に係る初診日において被保険者であった者であって、障害認定日において同法第47第2項に規定する障害等級(以下「障害等級」という。)に該当する程度の障害の状態になかったものが、同日後< A >までの間において、その傷病により障害の状態が悪化し、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときは、その者は、その期間内に障害厚生年金の支給を請求することができる。なお、障害厚生年金に係る保険料納付要件は満たされているものとする。
【解答】
<A> 65歳に達する日の前日
②【R7年出題】
事後重症の障害厚生年金は、65歳に達する日の前日までに請求しなければならない。
【解答】
②【R7年出題】 〇
事後重症の障害厚生年金は、障害認定日後65歳に達する日の前日までの間に障害等級に該当する程度の障害の状態に該当+その期間内(65歳に達する日の前日まで)に請求することが条件です。
➂【R7年出題】
事後重症の障害厚生年金の対象は、障害等級1級及び2級のみである。
【解答】
➂【R7年出題】 ×
事後重症の障害厚生年金は、障害等級1級及び2級だけでなく、「3級」も対象です。
④【H29年出題】
いわゆる事後重症による障害厚生年金について、障害認定日に障害等級に該当しなかった者が障害認定日後65歳に達する日の前日までに当該傷病により障害等級3級に該当する程度の障害の状態となり、初診日の前日において保険料納付要件を満たしている場合は、65歳に達した日以後であっても障害厚生年金の支給を請求できる。
【解答】
④【H29年出題】 ×
65歳に達した日以後は、事後重症による障害厚生年金は請求できません。
⑤【R1年出題】
傷病に係る初診日に厚生年金保険の被保険者であった者が、障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態になかったが、その後64歳のときにその傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至った場合、その者が支給繰上げの老齢厚生年金の受給権者であるときは、障害厚生年金の支給を請求することはできない。
【解答】
⑤【R1年出題】 〇
支給繰上げの老齢厚生年金の受給権者であるときは、64歳であったとしても、事後重症による障害厚生年金の支給を請求することはできません。
(法附則第16条の3第1項)
⑥【R6年出題】
厚生年金保険法第47条の2に規定される事後重症による障害厚生年金は、その支給が決定した場合、請求者が障害等級に該当する障害の状態に至ったと推定される日の属する月の翌月まで遡って支給される。
【解答】
⑥【R6年出題】 ×
事後重症による障害厚生年金は、「請求した日の属する月の翌月」から支給されます。
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R8-039 10.02
健康保険の被保険者の保険料額は、次のように計算します。
(1)介護保険第2号被保険者の被保険者(介護保険料額を合わせて計算します)
一般保険料額+介護保険料額
(2)介護保険第2号被保険者ではない被保険者
一般保険料額
・一般保険料額→(標準報酬月額及び標準賞与額)×一般保険料率
・介護保険料額→(標準報酬月額及び標準賞与額)×介護保険料率
※一般保険料率とは、「基本保険料率」と「特定保険料率」とを合算した率のことです。
・特定保険料率とは
各年度において保険者が納付すべき 前期高齢者納付金等の額及び後期高齢者支援金等の額並びに流行初期医療確保拠出金等の額(協会が管掌する健康保険及び日雇特例被保険者の保険の場合は国庫補助額を控除した額)の合算額(前期高齢者交付金がある場合は、これを控除した額) |
総報酬額の総額の見込額 |
・基本保険料率は一般保険料率から特定保険料率を引いた率
「一般保険料率」の決定などのルールを条文で読んでみましょう
法第160条 <全国健康保険協会> ① 全国健康保険協会(以下「協会」という)が管掌する健康保険の被保険者に関する一般保険料率は、1,000分の30から1,000分の130までの範囲内において、支部被保険者(各支部の都道府県に所在する適用事業所に使用される被保険者及び当該都道府県の区域内に住所又は居所を有する任意継続被保険者をいう。)を単位として協会が決定するものとする。 ② 支部被保険者を単位として決定する一般保険料率(以下「都道府県単位保険料率」という。)は、当該支部被保険者に適用する。 ⑤ 協会は、2年ごとに、翌事業年度以降の5年間についての協会が管掌する健康保険の被保険者数及び総報酬額の見通し並びに保険給付に要する費用の額、保険料の額(各事業年度において財政の均衡を保つことができる保険料率の水準を含む。)その他の健康保険事業の収支の見通しを作成し、公表するものとする。 ⑥ 協会が都道府県単位保険料率を変更しようとするときは、あらかじめ、理事長が当該変更に係る都道府県に所在する支部の支部長の意見を聴いた上で、運営委員会の議を経なければならない。 ⑦ 支部長は、意見を求められた場合のほか、都道府県単位保険料率の変更が必要と認める場合には、あらかじめ、当該支部に設けられた評議会の意見を聴いた上で、理事長に対し、当該都道府県単位保険料率の変更について意見の申出を行うものとする。 ⑧ 協会が都道府県単位保険料率を変更しようとするときは、理事長は、その変更について厚生労働大臣の認可を受けなければならない。 ⑨ 厚生労働大臣は、認可をしたときは、遅滞なく、その旨を告示しなければならない。 ⑩ 厚生労働大臣は、都道府県単位保険料率が、当該都道府県における健康保険事業の収支の均衡を図る上で不適当であり、協会が管掌する健康保険の事業の健全な運営に支障があると認めるときは、協会に対し、相当の期間を定めて、当該都道府県単位保険料率の変更の認可を申請すべきことを命ずることができる。 ⑪ 厚生労働大臣は、協会が期間内に変更の認可の申請をしないときは、社会保障審議会の議を経て、当該都道府県単位保険料率を変更することができる。
<健康保険組合> ⑬ 健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者に関する一般保険料率は、1,000分の30から1,000分の130までの範囲内において、決定するものとする。 健康保険組合が管掌する健康保険の一般保険料率を変更しようとするときは、理事長は、その変更について厚生労働大臣の認可を受けなければならない。 |
過去問を解いてみましょう
①【R4年出題】
全国健康保険協会(以下「協会」という。)が都道府県単位保険料率を変更しようとするときは、あらかじめ、協会の理事長が当該変更に係る都道府県に所在する協会支部の支部長の意見を聴いたうえで、運営委員会の議を経なければならない。その議を経た後、協会の理事長は、その変更について厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
【解答】
①【R4年出題】 〇
この問題のキーワードを穴埋めで確認しましょう。
全国健康保険協会が都道府県単位保険料率を変更しようとするときは、あらかじめ、協会の理事長が当該変更に係る都道府県に所在する協会支部の支部長の意見を聴いたうえで、< A >の議を経なければならない。その議を経た後、協会の理事長は、その変更について< B >を受けなければならない。
解答→<A>運営委員会 <B>厚生労働大臣の認可
(法第160条第6項、第8項)
②【H24選択式】
厚生労働大臣は、都道府県単位保険料率が、当該都道府県における< A >を図る上で不適当であり、全国健康保険協会が管掌する健康保険の事業の健全な運営に支障があると認めるときは、全国健康保険協会に対し、相当の期間を定めて、当該都道府県単位保険料率の変更を申請すべきことを命ずることができる。厚生労働大臣は、全国健康保険協会が上記の期間内に申請をしないときは、< B >の議を経て、当該都道府県単位保険料率を変更することができる。
【解答】
<A> 健康保険事業の収支の均衡
<B> 社会保障審議会
(法第160条第11項)
※社会保障審議会は、厚生労働大臣の諮問に応じて社会保障に関する重要事項の調査審議などを行う機関です。
➂【R6年出題】
協会は、2年ごとに、翌事業年度以降の5年間についての協会が管掌する健康保険の被保険者数及び総報酬額の見通し並びに保険給付に要する費用の額、保険料の額(各事業年度において財政の均衡を保つことができる保険料率の水準を含む。)その他の健康保険事業の収支の見通しを作成し、厚生労働大臣に届け出るものとする。
【解答】
➂【R6年出題】 ×
「厚生労働大臣に届け出る」ではなく、「公表するものとする」です。
ポイントを穴埋めで確認しましょう。
協会は、< A >ごとに、翌事業年度以降の< B >についての協会が管掌する健康保険の被保険者数及び総報酬額の見通し並びに保険給付に要する費用の額、保険料の額(各事業年度において財政の均衡を保つことができる保険料率の水準を含む。)その他の健康保険事業の< C >を作成し、< D >ものとする。
<解答>→ <A>2年 <B>5年間 <C>収支の見通し <D>公表する
④【R7年出題】
健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者に関する一般保険料率は、1,000分の30から1,000分の130までの範囲内において、決定する。健康保険組合が一般保険料率を変更しようとするときは、理事長は、社会保障審議会の議を経てその変更について厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
【解答】
④【R7年出題】 ×
「社会保障審議会の議を経て」が誤りです。社会保障審議会は厚生労働大臣の諮問に応じる機関です。
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10月1日は合格発表でした。
合格率は5.5%。
合格された方、おめでとうございます!
(合格のご報告いただきました皆様、ありがとうございます)
素晴らしい結果を出されたこと、本当に素晴らしいです!
もう一度頑張る方、来年初めて受験される方、どうしようか迷っている方
こちらのチャンネル・ホームページでは、問題の解き方を中心にお話ししています。
問題が解けるようになると、格段に勉強が楽しくなります。
どんどん問題を解いて、問題に慣れて、受験勉強も楽しみましょう。
R8-038 10.01
被保険者証が廃止になり、保険診療等は、マイナ保険証(健康保険証利用登録をしたマイナンバーカード)によって受けることになります。
なお、マイナンバーカードによりオンライン資格確認を受けることができない状況にある者については、医療機関等で資格確認を受けるための「資格確認書」を、書面又は電磁的方法により提供することとなっています。
★マイナンバーカードのICチップ等によって、オンラインで資格情報の確認ができる仕組みのことをオンライン資格確認(電子資格確認)といいます。
電子資格確認を受けることができない状況にあるときの条文を読んでみましょう
法第51条の3(被保険者の資格の確認に必要な書面の交付等) ① 被保険者又はその被扶養者が電子資格確認を受けることができない状況にあるときは、当該被保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、保険者に対し、当該状況にある被保険者若しくはその被扶養者の資格に係る情報として厚生労働省令で定める事項を記載した書面の交付又は当該事項の電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって厚生労働省令で定めるものをいう。)による提供を求めることができる。この場合において、当該保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、速やかに、当該書面の交付の求めを行った被保険者に対しては当該書面を交付するものとし、当該電磁的方法による提供の求めを行った被保険者に対しては当該事項を電磁的方法により提供するものとする。 ② 書面の交付を受け、若しくは電磁的方法により同項の厚生労働省令で定める事項の提供を受けた被保険者又はその被扶養者は、当該書面又は当該事項を厚生労働省令で定める方法により表示したものを提示することにより、法第63条第3項(療養の給付)等について被保険者であることの確認を受けることができる。 |
では問題を解いてみましょう
【R7年出題】
資格確認書の書面による交付又は電磁的方法による提供を求める被保険者(以下本肢において「申請者」という。)は、申請者の氏名及び被保険者等記号・番号又は個人番号等を記載した申請書を保険者に提出して、その交付又は提供を申請しなければならない。この場合において、当該申請書の提出は、申請者が任意継続被保険者である場合を除き、事業主を経由して行うが、災害その他やむを得ない事情により、事業主を経由して行うことが困難であると保険者が認めるときは、事業主を経由することを要しない。
【解答】
【R7年出題】 〇
・資格確認書の書面による交付又は電磁的方法による提供を求める場合
↓
・申請者は申請書を保険者に提出して、その交付又は提供を申請します。
↓
・申請書の提出は、申請者が任意継続被保険者である場合を除き、事業主を経由して行います。
↓
・災害その他やむを得ない事情により、事業主を経由して行うことが困難であると保険者が認めるときは、事業主を経由しなくてもよい。
(則第47条第1項)
続きを条文で読んでみましょう
則第47条第2項、5項、6項、8項 ② 保険者は、資格確認書の書面による交付又は電磁的方法による提供の申請があったときは、申請者に対し、法第51条の3第1項に規定する書面であって複製等を防止し、若しくは抑止するための措置その他の必要な措置を講じたものを交付し、又は当該事項を電磁的方法により提供しなければならない。この場合において、当該書面又は当該電磁的方法により提供されたもの(以下「資格確認書」という。)の有効期限は、交付又は提供の日から起算して5年を超えない範囲内において保険者が定めるものとする。 ⑤ 保険者は、申請者(任意継続被保険者を除く。)に資格確認書を交付しようとするときは、これを事業主に送付しなければならない。ただし、保険者が支障がないと認めるときは、これを申請者に送付することができる。 ⑥ 資格確認書の送付があったときは、事業主は、遅滞なく、これを申請者(任意継続被保険者を除く。)に送付しなければならない。 ⑧ 保険者は、申請者(任意継続被保険者に限る。)に資格確認書を交付しようとするときは、これを申請者(任意継続被保険者に限る。)に送付しなければならない。 |
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R8-037 9.30
「後期高齢者医療」では、高齢者の疾病、負傷又は死亡に関して必要な給付を行います。
事務を処理するため、後期高齢者医療広域連合が設けられています。
条文を読んでみましょう。
法第48条 市町村は、後期高齢者医療の事務(保険料の徴収の事務及び被保険者の便益の増進に寄与するものとして政令で定める事務を除く。)を処理するため、都道府県の区域ごとに当該区域内のすべての市町村が加入する広域連合(以下「後期高齢者医療広域連合」という。)を設けるものとする。 |
※保険料徴収などの窓口業務は、地域住民の身近な存在である市町村が担います。
では、問題を解いてみましょう
①【R7年出題】
後期高齢者医療広域連合、都道府県及び市町村(特別区を含む。)は、後期高齢者医療に関する収入及び支出について、政令で定めるところにより、特別会計を設けなければならない。
【解答】
①【R7年出題】 ×
都道府県は入りません。
条文を読んでみましょう。
法第48条 後期高齢者医療広域連合及び市町村(特別区を含む。)は、後期高齢者医療に関する収入及び支出について、政令で定めるところにより、特別会計を設けなければならない。 |
後期高齢者医療の制度の運営は広域化を図るため、後期高齢者医療広域連合が事務を処理しますが、保険料徴収などの窓口業務は身近な市町村が行っています。
後期高齢者医療広域連合及び市町村は、特別会計を設けなければなりません。
②【R7年出題】
後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者は、後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する75歳以上の者のみとされる。
【解答】
②【R7年出題】 ×
後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者は、75歳以上の者のみではありません。
条文を読んでみましょう。
法第50条 次の各号のいずれかに該当する者は、後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者とする。 (1) 後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する75歳以上の者 (2) 後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する65歳以上75歳未満の者であって、厚生労働省令で定めるところにより、政令で定める程度の障害の状態にある旨の当該後期高齢者医療広域連合の認定を受けたもの |
➂【R7年出題】
高齢者医療確保法第109条によると、普通徴収の方法によって徴収する保険料の納期は、後期高齢者医療広域連合の条例で定める。
【解答】
➂【R7年出題】 ×
後期高齢者医療広域連合ではなく、「市町村」の条例で定めます。
保険料の徴収の事務は「市町村」が担うことに注意しながら条文を読んでみましょう。
第104条第1項 市町村は、後期高齢者医療に要する費用(財政安定化基金拠出金、特別高額医療費共同事業に要する費用に充てるための拠出金及び出産育児支援金並びに感染症の予防及び流行初期医療確保拠出金等の納付に要する費用を含む。)に充てるため、保険料を徴収しなければならない。 第105条 市町村は、後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療に要する費用に充てるため、後期高齢者医療広域連合に対し、後期高齢者医療広域連合の規約で定めるところにより、第99条第1項及び第2項の規定による繰入金並びに保険料その他この章の規定による徴収金(市町村が徴収するものに限る。)を納付するものとする。 第106条 保険料の賦課期日は、当該年度の初日とする。 |
※保険料の徴収の方法には、「特別徴収」=年金から天引きする方法と「普通徴収」=個別に納付する方法があります。
第108条 ① 被保険者は、市町村がその者の保険料を普通徴収の方法によって徴収しようとする場合においては、当該保険料を納付しなければならない。 ② 世帯主は、市町村が当該世帯に属する被保険者の保険料を普通徴収の方法によって徴収しようとする場合において、当該保険料を連帯して納付する義務を負う。 ➂ 配偶者の一方は、市町村が被保険者たる他方の保険料を普通徴収の方法によって徴収しようとする場合において、当該保険料を連帯して納付する義務を負う。 第109条 普通徴収の方法によって徴収する保険料の納期は、市町村の条例で定める。 |
④【R7年出題】
高齢者医療確保法第111条によると、後期高齢者医療広域連合は、条例で定めるところにより、特別の理由がある者に対し、保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができる。
【解答】
④【R7年出題】 〇
高齢者医療確保法第111条によると、後期高齢者医療広域連合は、条例で定めるところにより、特別の理由がある者に対し、保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができるとされています。
⑤【R7年出題】
後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者は、当該後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有しなくなった日に他の後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有するに至ったときは、その日の翌日から、その資格を喪失する。
【解答】
⑤【R7年出題】 ×
その日の翌日からではなく、「その日」からその資格を喪失します。
後期高齢者医療の被保険者の資格喪失の時期について条文を読んでみましょう。
法第53条 ① 後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者は、当該後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有しなくなった日若しくは第50条第2号の状態(65歳以上75歳未満で障害の状態にある旨の当該後期高齢者医療広域連合の認定を受けた)に該当しなくなった日又は第51条第2号に掲げる者(後期高齢者医療の適用除外とすべき特別の理由がある者)に該当するに至った日の翌日から、その資格を喪失する。 ただし、当該後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有しなくなった日に他の後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有するに至ったときは、その日から、その資格を喪失する。 ② 後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者は、第51条第1号(生活保護法による保護を受けている世帯(その保護を停止されている世帯を除く。)に属する者)に該当するに至った日から、その資格を喪失する。 |
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R8-036 9.29
外国人雇用に関する問題を解いてみましょう。
「外国人雇用実態調査(厚生労働省)」からの出題です。
問題を解いてみましょう
①【R7年出題】
外国人常用労働者(雇用保険被保険者数5人以上事業所)は約160万人となっており、産業別にみると、「製造業」が最も多くなっている。
【解答】
①【R7年出題】 〇
「外国人労働者(雇用保険被保険者数5人以上事業所)は約160万人。産業別にみると、「製造業」が最も多い。次いで、「サービス業(他に分類されないもの)」、「卸売業,小売業」、「建設業」となっています。
(令和5年外国人雇用実態調査(厚生労働省))
②【R7年出題】
外国人常用労働者の国籍・地域をみると、中国(香港、マカオ含む)が最も多く、次いで「ベトナム」、「フィリピン」の順となっている。
【解答】
②【R7年出題】 ×
「外国人労働者の国籍・地域をみると、ベトナムが最も多く、次いで「中国(香港、マカオ含む)」、「フィリピン」の順となっています。
(令和5年外国人雇用実態調査(厚生労働省))
➂【R7年出題】
外国人常用労働者の職業をみると、「専門的・技術的職業従事者」が最も多く、次いで「生産工程従事者」、「サービス職業従事者」の順となっている。
【解答】
➂【R7年出題】 ×
外国人労働者の職業をみると、生産工程従事者が最も多く、次いで「専門的・技術的職業従事者」、「サービス職業従事者」の順となっています。
(令和5年外国人雇用実態調査(厚生労働省))
④【R7年出題】
外国人労働者を雇用する理由(事業所計)をみると、「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して」が最も多く、次いで「労働力不足の解消・緩和のため」、「事業所の国際化、多様性の向上を図るため」、「日本人にはない知識、技術の活用を期待して」の順となっている。
【解答】
④【R7年出題】 ×
外国人労働者を雇用する理由をみると、「労働力不足の解消・緩和のため」が最も多く、次いで「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して」、「事業所の国際化、多様性の向上を図るため」、「日本人にはない知識、技術の活用を期待して」の順となっています。
(令和5年外国人雇用実態調査(厚生労働省))
⑤【R7年出題】
外国人労働者の雇用に関する課題(事業所計)をみると、「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑」が最も多く、次いで「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」、「在留資格によっては在留期間の上限がある」、「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」の順となっている。
【解答】
⑤【R7年出題】 ×
外国人労働者の雇用に関する課題をみると、「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が最も多く、次いで「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑」、「在留資格によっては在留期間の上限がある」、「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」の順となっています。
(令和5年外国人雇用実態調査(厚生労働省))
★なお、令和7年に出題された問題は「令和5年外国人雇用実態調査」からですが、令和7年8月29日に「令和6年外国人雇用実態調査」の結果が厚生労働省から公表されています。
令和6年外国人雇用実態調査のポイントも確認しましょう。
・<外国人労働者数(雇用保険被保険者数5人以上事業所)>
約182万人(前年約160万人)。産業別にみると、「製造業」が最も多く、次いで、「サービス業(他に分類されないもの)」、「卸売業,小売業」、「建設業」の順
・<外国人労働者を雇用する理由>
「労働力不足の解消・緩和のため」が最も多く、次いで「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して」、「事業所の国際化、多様性の向上を図るため」、「日本人にはない知識、技術の活用を期待して」の順
・<外国人労働者の雇用に関する課題>
「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が最も多く、次いで「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑」、「在留資格によっては在留期間の上限がある」、「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」の順
・<国籍・地域別>
「ベトナム」が最も多く、次いで中国(香港、マカオ含む)、フィリピンの順
・<外国人労働者の職業>
「生産工程従事者」が最も多く、次いで専門的・技術的職業従事者、サービス職業従事者の順
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R8-035 9.28
毎週日曜日は総集編をお届けします。
今回は、令和7年9月22日から27日までの動画の総集編です。
まとめて見ることができますので、ご活用ください。
☟
・老齢厚生年金に加給年金額が加算される要件(厚生年金保険法)
・厚生年金の年金額の計算(給付乗率の引上げと300月保障)(厚生年金保険法)
・賃金の非常時払(非常時の出費のために)(労働基準法)
・労使協定の協定当事者の要件(労働基準法)
・労災保険の適用について(労災保険法)
・基本手当の所定給付日数・受給期間の総合問題(雇用保険法)
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R8-034 9.27
基本手当の「受給期間」についてみていきます。
受給期間の原則は、1年ですが、所定給付日数が330日の場合は「1年+30日」、360日の場合は「1年+60日」となります。
また、基本手当の所定給付日数は、「算定基礎期間」、「離職理由」、「年齢」などによって決まります。
では、問題を解いてみましょう
【R7年出題】
次の①から⑤の過程を経た者の⑤の離職時における基本手当に係る受給期間の限度として正しいものはどれか。
なお、当該者は適用事業所X及び適用事業所Yでその他欠勤・休職がなかったものとする。
① 20歳0月で適用事業所Xに雇用され、初めて一般被保険者となった。
② 育児休業給付金の支給に係る休業を31歳0月から12月間取得し、更に34歳0月から12月間取得し、その後職場復帰した。
➂39歳0月で適用事業所Xを離職した。
④ 失業等給付を受給せず39歳2月で一般被保険者として適用事業所Yに雇用された。
⑤ 適用事業所Yの移転により、通勤することが困難になったため45歳8月で離職した。なお、適用事業所Yの離職時、その者は雇用保険法第22条第2項が定める就職が困難なものでなく、職業に就くことができる状態にあった。
<A> 1年
<B> 1年と30日
<C> 1年と60日
<D> 4年
<E> 4年と30日
【解答】
【R7年出題】
<B> 1年と30日
ポイントを確認しましょう。
① 20歳0月で適用事業所Xに雇用され、初めて一般被保険者となった。
② 育児休業給付金の支給に係る休業を31歳0月から12月間取得し、更に34歳0月から12月間取得し、その後職場復帰した。
→「育児休業給付金又は出生時育児休業給付金の支給を受けたことがある者については、これらの給付金の支給に係る休業の期間」は、算定基礎期間から除外されます。
➂39歳0月で適用事業所Xを離職した。
④ 失業等給付を受給せず39歳2月で一般被保険者として適用事業所Yに雇用された。 → 適用事業所XとYの間が1年以内で、かつ失業等給付を受給していないので、XとYの被保険者であった期間は通算されます。
⑤ 適用事業所Yの移転により、通勤することが困難になったため45歳8月で離職した。
→ 「事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者」となり、特定受給資格者に該当します。
なお、適用事業所Yの離職時、その者は雇用保険法第22条第2項が定める就職が困難なものでなく、職業に就くことができる状態にあった。
→ 「職業に就くことができる状態」ですので、妊娠、出産、育児等の理由で引き続き30日以上職業に就くことができない場合の受給期間の延長の対象にはなりません。
・算定基礎期間は、Xの被保険者であった期間(19年-2年(育休)=17年)+Yの被保険者であった期間(6年6か月)=23年6か月です。
・離職時の年齢が45歳以上60歳未満で、算定対象期間が20年以上の特定受給資格者ですので、所定給付日数は330日です。
・受給期間は1年と30日です。
(法第20条、第22条、第23条、則第35条)
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R8-033 9.26
労災保険は、労働者を使用する事業に適用されます。
条文を読んでみましょう。
第3条 ① 労災保険法においては、労働者を使用する事業を適用事業とする。 ② 国の直営事業及び官公署の事業(労働基準法別表第一に掲げる事業を除く。)については、この法律は、適用しない。 |
今回は、「出向の場合」、「労働者派遣の場合」、「就労継続支援を行う事業場の場合」、「インターンシップの実習」、「公立小学校教諭に臨時的任用された場合」の労災保険の適用をみていきます。
問題を解いてみましょう
①【R7年出題】
出向元事業に雇用される労働者が、その雇用関係を存続したまま、出向元事業主の命により出向先事業の業務に従事する在籍型出向の場合、当該労働者に係る労災保険給付は、常に出向先事業に係る保険関係によるものとされている。
【解答】
①【R7年出題】 ×
「常に出向先事業に係る保険関係による」が誤りです。
出向労働者に係る保険関係が、出向元事業と出向先事業とのいずれにあるかは、出向の目的及び出向元事業主と出向先事業主とが当該出向労働者の出向につき行なった契約ならびに出向先事業における出向労働者の労働の実態等に基づき、当該労働者の労働関係の所在を判断して、決定することとされています。
(昭和35.11.2基発第932号)
②【R7年出題】
派遣労働者に係る労災保険給付は、常に派遣元事業に係る保険関係によるものとされている。
【解答】
②【R7年出題】 〇
労災保険は、労働者を使用する事業(=「労働契約関係」にある事業)を適用事業とします。そのため、派遣労働者については、労働契約関係にある「派遣元事業主」が労災保険の適用事業となります。
(昭61.6.30基発383号)
➂【R7年出題】
障害者総合支援法に基づく就労継続支援を行う事業場で就労する障害者は、雇用契約の締結の有無にかかわらず、労災保険法が適用される。
【解答】
➂【R7年出題】 ×
障害者総合支援法に基づく就労継続支援を行う事業場で就労する障害者で、「雇用契約が有る」場合は労働基準法上の労働者ですので、労災保険が適用されます。しかし、「雇用契約が無い」場合は労災保険法は適用されません。
(平18.10.2障障発第1002003号)
④【R7年出題】
インターンシップにおいての実習は、見学や体験的なものであることを原則としていることから、当該実習に参加する学生に労災保険法が適用されることはない。
【解答】
④【R7年出題】 ×
インターンシップの実態によっては、労災保険が適用されることがあります。
一般に、インターンシップにおいての実習は、見学や体験的なものであり、使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条の労働者に該当しません。
しかし、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生との間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられますので、労災保険が適用されます。
(平9.9.18基発第636号)
⑤【R7年出題】
育児休業を取得する公立小学校教諭の業務を処理するために、当該育児休業請求に係る期間を任期の限度として臨時的任用された者には、その勤務の態様にかかわらず、労災保険法が適用される。
⑤【R7年出題】 ×
非現業部分の地方公務員には「地方公務員災害補償法」、非常勤職員には、原則として、地方公務員災害補償法に基づいて定められる災害補償の条例が適用されます。
(法第3条第2項)
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R8-032 9.25
使用者が労働者に時間外労働・休日労働をさせる場合は、労使協定の締結と届出が必要です。
労働基準法第36条に定められている労使協定を36協定といいます。
第36条を読んでみましょう。
第36条第1項 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、労働時間又は休日に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。 |
労使協定の労働者側の当事者は、「労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合」、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は、「労働者の過半数を代表する者」です。
今回は、協定当事者になる要件などをみていきます。
過去問を解いてみましょう
①【H22年出題】
労働基準法第36条第1項等に定める労働基準法上の労使協定を締結する労働者側の当事者は、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者とされており、労働者の過半数を代表する者の選出は、必ず投票券等の書面を用いた労働者による投票によって行わなければならない。
【解答】
①【H22年出題】 ×
労働者の過半数を代表する者の選出は、「法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であって、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと。」と規定されています。
「使用者の意向に基づき選出されたものでない」ことがポイントですので、投票券等の書面を用いた方法に限定されません。
(則第6条の2第1項第2号)
②【H22年出題】
労働基準法第41条第2号に定めるいわゆる管理監督者に当たる者であっても、労働基準法第9条に定める労働者に該当し、当該事業場の管理監督者以外の労働者によって選出された場合には、労働基準法第36条第1項等に定める労働基準法上の労使協定を締結する労働者側の当事者である過半数を代表する者になることができる。
【解答】
②【H22年出題】 ×
管理監督者は労働者代表になることはできません。
労働者の過半数代表者は、「法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。」という要件が規定されています。
(則第6条の2第1項第1号)
➂【R7年出題】
協定当事者である「労働者の過半数を代表する者」の「労働者」の範囲には、労働基準法第41条第2号の「管理監督者」、同条第3号の「監視、断続的労働従事者で行政官庁の許可を受けた者」、満18歳に満たない者などのような、時間外労働又は休日労働を考える余地のない者を含む全ての労働者と解すべきであるとされている。
【解答】
➂【R7年出題】 〇
36協定は、時間外労働又は休日労働の対象となる労働者の過半数の意思を問うためものではなく、「当該事業に使用されているすべての労働者の過半数の意思を問うためのもの」と解釈されています。そのため、「労働者」の範囲には、「管理監督者」、「監視、断続的労働従事者で行政官庁の許可を受けた者」、満18歳に満たない者などの時間外労働又は休日労働を考える余地のない者も含まれます。
(昭45.1.1845基収6206号)
④【R7年出題】
協定当事者である使用者は、労働基準法第10条の「使用者」であるから、各事業場の長ではなく、株式会社の社長自らが協定当事者となることも可能である。
【解答】
④【R7年出題】 〇
三六協定は、それぞれの事業場ごとに締結します。しかし、協定当事者については、各事業場の長ではなく、株式会社の社長自らが協定当事者となることも可能であると解されています。
(昭24.2.9基収第4234号)
⑤【R7年出題】
法人の役員を含む全従業員により構成されており、その目的・活動内容に照らし労働組合とは認められない親睦団体の代表者が自動的に協定を締結したにすぎない場合、当該代表者は、「労働者の過半数を代表する者」に当たらないとされている。
【解答】
⑤【R7年出題】 〇
親睦団体の代表者が自動的に協定を締結したとしても、その代表者は36協定を締結するために選任されたわけではないので、「労働者の過半数を代表する者」に当たりません。
(参照:厚生労働省ホームページ)
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R8-031 9.24
「賃金の非常時払」とは、例えば、労働者が予期せぬ災害等で出費が必要となった場合に、賃金の支払期日前に賃金の支払を請求できる制度です。ただし、対象になるのは「既往の労働に対する賃金」です。
条文を読んでみましょう。
法第25条 (非常時払) 使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。
則第9条 法第25条に規定する非常の場合は、次に掲げるものとする。 (1) 労働者の収入によって生計を維持する者が出産し、疾病にかかり、又は災害をうけた場合 (2) 労働者又はその収入によって生計を維持する者が結婚し、又は死亡した場合 (3) 労働者又はその収入によって生計を維持する者がやむを得ない事由により1週間以上にわたって帰郷する場合 |
過去問を解いてみましょう
①【H29年出題】
労働基準法第25条により労働者が非常時払を請求しうる事由は、労働者本人に係る出産、疾病、災害に限られず、その労働者の収入によって生計を維持する者に係る出産、疾病、災害も含まれる。
【解答】
①【H29年出題】〇
「非常時」とは、「出産」、「疾病」、「災害」、「結婚」、「死亡」、「やむを得ない事由により1週間以上にわたって帰郷する場合」です。
「労働者本人」だけでなく、「その労働者の収入によって生計を維持する者」に係る事由も対象です。
②【R3年出題】
労働基準法第25条により労働者が非常時払を請求しうる事由には、「労働者の収入によって生計を維持する者」の出産、疾病、災害も含まれるが、「労働者の収入によって生計を維持する者」とは、労働者が扶養の義務を負っている親族のみに限らず、労働者の収入で生計を営む者であれば、親族でなく同居人であっても差し支えない。
【解答】
②【R3年出題】 〇
「労働者の収入によって生計を維持する者」とは、労働者が扶養の義務を負っている親族のみならず、労働者の収入で生計を営む者であれば、親族でなく同居人であっても差し支えないとされています。
③【R1年出題】
労働基準法第25条により労働者が非常時払を請求しうる事由のうち、「疾病」とは、業務上の疾病、負傷をいい、業務外のいわゆる私傷病は含まれない。
【解答】
③【R1年出題】 ×
「疾病」には、業務上の疾病、負傷だけでなく、業務外のいわゆる私傷病も含まれます。なお、「災害」についても業務上、業務外は問われません。
④【R7年出題】
労働者が労働基準法第25条に従い賃金の非常時払を請求する場合には、使用者は、特約のない限り、いまだ労務の提供のない期間に対する賃金も含めて支払期日前に支払う義務を負う。
【解答】
④【R7年出題】 ×
労働者が非常時払を請求した場合、使用者が支払期日前に支払義務を負うのは、「既往の労働に対する賃金」です。いまだ労務の提供のない期間に対する賃金は、支払う義務はありません。
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R8-030 9.23
厚生年金保険の被保険者は、月々の給与(標準報酬月額)とボーナス(標準賞与額)に応じて、保険料を負担しています。
老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金の年金額は、「標準報酬月額と標準賞与額」と「被保険者期間(加入期間)」をベースに計算されます。
今回は厚生年金の計算式をみていきます。
※平成15年4月以降の加入期間についてみていきます。平成15年3月以前については月収ベースで計算しますので計算式が異なります。
老齢厚生年金の年金額の計算について条文を読んでみましょう。
法第43条第1項 老齢厚生年金の額は、被保険者であった全期間の平均標準報酬額の1,000分の 5.481に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額とする。 ※平均標準報酬額とは? 被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に、再評価率を乗じて得た額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額をいいます。 |
<老齢厚生年金の年金額の計算式>
平均標準報酬額×1000分の5.481×被保険者期間の月数
ポイント!
・「1000分の5.481」について
昭和21年4月1日以前に生まれた者は、生年月日に応じて1000分7.308から1000分の5.562に引上げます。
・「被保険者期間の月数」について
実際の加入期間で計算します。上限・最低保障はありません。
・「再評価率」について
過去の標準報酬月額や標準賞与額を現在の価値に再評価するための率です。
障害厚生年金の年金額の計算について条文を読んでみましょう
法第50条 ① 障害厚生年金の額は、第43条第1項の規定の例(老齢厚生年金の計算式)により計算した額とする。この場合において、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300とする。 ② 障害の程度が障害等級の1級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、①に定める額の100分の125に相当する額とする。 |
ポイント!
・「1000分の5.481」について
老齢厚生年金のような生年月日による引上げはありません。
・「被保険者期間の月数」について
被保険者期間が300月未満の場合は、「300月」で計算されます。
遺族厚生年金の年金額の計算について条文を読んでみましょう
法第60条第1項 遺族厚生年金の額は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額とする。ただし、遺族厚生年金の受給権者が当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の支給を受けるときは、(1)に定める額とする。 (1) (2)以外の遺族が遺族厚生年金の受給権を取得したとき → 死亡した被保険者又は被保険者であった者の被保険者期間を基礎として第43条第1項の規定の例(老齢厚生年金の年金額の計算)により計算した額の4分の3に相当する額。 ただし、短期要件に該当することにより支給される遺族厚生年金については、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300として計算した額とする。 (2) 老齢厚生年金の受給権を有する配偶者が遺族厚生年金の受給権を取得したとき → (1)に定める額又は次のイ及びロに掲げる額を合算した額のうちいずれか多い額 イ (1)に定める額に3分の2を乗じて得た額 ロ 当該遺族厚生年金の受給権者の老齢厚生年金の額(加給年金額は除く。)に2分の1を乗じて得た額 |
ポイント!
短期要件と長期要件で計算式が変わります。
| 給付乗率(1000分の5.481) | 被保険者期間の月数 |
短期要件 | 生年月日による引上げなし(定率) | 300月未満の場合は300月保障 |
長期要件 | 生年月日による引上げあり | 実際の加入期間 |
過去問を解いてみましょう
①【H23年選択式】
老齢厚生年金の額は、被保険者であった全期間の平均標準報酬額(被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に、厚生年金保険法別表の各号に掲げる受給権者の区分に応じてそれぞれ当該各号に定める率(以下「< A >」という。)を乗じて得た額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額をいう。)の1,000分の< B >に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額とする。
【解答】
①【H23年選択式】
<A> 再評価率
<B> 5.481
②【R6年出題】
老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額を計算する際に、総報酬制導入以後の被保険者期間分については、平均標準報酬額×給付乗率×被保険者期間の月数で計算する。この給付乗率は原則として1000分の5.481であるが、昭和36年4月1日以前に生まれた者については、異なる数値が用いられる。
【解答】
②【R6年出題】 ×
生年月日に応じて給付乗率が引き上げられるのは昭和36年4月1日以前ではなく、「昭和21年4月1日以前」に生まれた者です。
➂【R1年出題】
障害等級1級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、老齢厚生年金の額の計算の例により計算した額(当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300とする。)の100分の125に相当する額とする。
【解答】
③【R1年出題】 〇
障害等級1級の障害厚生年金の額は、「老齢厚生年金の額の計算の例により計算した額(平均標準報酬額×1,000分の5.481×被保険者期間の月数)×100分の125」です。
※被保険者期間の月数が300未満の場合は300で計算します。
④【R7年出題】
障害等級2級の障害厚生年金の額は、老齢厚生年金の報酬比例部分の算定式により計算した額となる。ただし、年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300として計算する。また、生年月日に応じた給付乗率の引上げは行われない。
【解答】
④【R7年出題】 〇
障害等級2級の障害厚生年金の額は、「平均標準報酬額×1,000分の5.481×被保険者期間の月数」で計算した額です。被保険者期間の月数が300未満のときは、300で計算し、生年月日に応じた給付乗率の引上げは行われません。
⑤【R2年出題】
障害等級3級の障害厚生年金には、配偶者についての加給年金額は加算されないが、最低保障額として障害等級2級の障害基礎年金の年金額の3分の2に相当する額が保障されている。
【解答】
⑤【R2年出題】 ×
障害等級3級の場合は障害基礎年金が支給されないため、3級の障害厚生年金には最低保障額が設けられています。最低保障額は、障害等級2級の障害基礎年金の年金額の3分の2ではなく「4分の3」に相当する額です。
(法第50条第3項)
ちなみに、配偶者加給年金額は1級と2級の障害厚生年金には加算されますが、3級の障害厚生年金には加算されません。
⑥【R6年出題】
死亡した者が短期要件に該当する場合は、遺族厚生年金の年金額を算定する際に、死亡した者の生年月日に応じた給付乗率の引上げが行われる。
⑥【R6年出題】 ×
死亡した者が短期要件に該当する場合は、給付乗率の引上げは行われません。なお、被保険者期間が300月未満の場合は、300月で計算されます。
⑦【H27年出題】※改正による修正あり
保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が死亡したことにより支給される遺族厚生年金の額の計算における給付乗率については、死亡した者が昭和21年4月1日以前に生まれた者であるときは、生年月日に応じた読み替えを行った乗率が適用される。
【解答】
⑦【H27年出題】 〇
「保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者」の死亡により支給される遺族厚生年金は「長期要件」です。死亡した者が昭和21年4月1日以前生まれの場合は、生年月日に応じ引上げられた乗率が適用されます。
⑧【R6年出題】
現在55歳の自営業者の甲は、20歳から5年間会社に勤めていたので、厚生年金保険の被保険者期間が5年あり、この他の期間はすべて国民年金の第1号被保険者期間で保険料はすべて納付済となっている。もし、甲が現時点で死亡した場合、一定要件を満たす遺族に支給される遺族厚生年金の額は、厚生年金保険の被保険者期間を300月として計算した額となる。
【解答】
⑧【R6年出題】 ×
問題文の甲は、「保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者」に該当し、遺族厚生年金は「長期要件」となります。(短期要件には該当しません。)
長期要件ですので、遺族厚生年金の額の計算については、実際の被保険者期間の5年(60月)で計算され、300月の最低保障はありません。
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R8-029 9.22
老齢厚生年金の受給権者に、「65歳未満の配偶者」又は「子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にある子に限る。)」がある場合は、老齢厚生年金に加給年金額が加算されます。
今回は、加給年金額が加算される要件をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
法第44条第1項 老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る。)の額は、受給権者がその権利を取得した当時(その権利を取得した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240未満であったときは、在職定時改定又は退職改定により当該月数が240以上となるに至った当時。)その者によって生計を維持していたその者の65歳未満の配偶者又は子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にある子に限る。)があるときは、老齢厚生年金の額に加給年金額を加算した額とする。ただし、国民年金法第33条の2第1項(障害基礎年金の子の加算)の規定により加算が行われている子があるとき(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときを除く。)は、その間、当該子について加算する額に相当する部分の支給を停止する。 |
ポイント!
<加給年金額が加算される原則の要件>
・厚生年金保険の被保険者期間の月数が240以上で計算されている老齢厚生年金の受給権者であること
・受給権者が「老齢厚生年金の受給権を取得した当時」、「生計を維持」していた65歳未満の配偶者又は子が対象
では、過去問を解いてみましょう
①【R4年出題】
老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る。)の受給権者が、受給権を取得した以後に初めて婚姻し、新たに65歳未満の配偶者の生計を維持するようになった場合には、当該配偶者に係る加給年金額が加算される。
【解答】
①【R4年出題】 ×
問題文の場合、配偶者に係る加給年金額は加算されません。
加算の対象になるのは、老齢厚生年金の受給権者が「その権利を取得した当時」その者によって生計を維持していたその者の65歳未満の配偶者です。
受給権を取得した後で、新たに65歳未満の配偶者の生計を維持するようになった場合は、配偶者に係る加給年金額は加算されません。
②【R7年出題】
老齢厚生年金の受給権者が、その受給権を取得した当時、加給年金額の加算の対象となる配偶者及び1人の子がいたが、受給権を取得した2年後に第2子が誕生した。この場合、当該第2子(受給権者によって生計を維持しているものとする。)については加給年金額の加算の対象とはならない。
【解答】
②【R7年出題】 〇
加給年金額の対象になるのは、老齢厚生年金の受給権者が、その受給権を取得した当時、その者によって生計を維持していたその者の配偶者及び子です。
受給権を取得した2年後に誕生した第2子については、加給年金額の加算の対象にはなりません。
③【H30年出題】
被保険者である老齢厚生年金の受給権者は、その受給権を取得した当時、加給年金額の対象となる配偶者がいたが、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240未満であったため加給年金額が加算されなかった。その後、被保険者資格を喪失した際に、被保険者期間の月数が240以上になり、当該240以上となるに至った当時、加給年金額の対象となる配偶者がいたとしても、当該老齢厚生年金の受給権を取得した当時における被保険者期間が240未満であるため、加給年金額が加算されることはない。
【解答】
③【H30年出題】 ×
老齢厚生年金の受給権を取得した当時における被保険者期間が240未満だったとしても、退職改定で被保険者期間の月数が240以上になり、240以上となるに至った当時、加給年金額の対象となる配偶者がいた場合は、加給年金額が加算されます。
図でイメージしましょう。
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R8-028 9.21
毎週日曜日は総集編をお届けします。
今回は、令和7年9月15日から20日までの動画の総集編です。
まとめて見ることができますので、ご活用ください。
☟
・被扶養者に該当する要件(健康保険法)
・不服申立て・審査請求と訴訟との関係(国民年金法)
・第30条の4の障害基礎年金の支給停止事由(国民年金法)
・保険料納付済期間に含む期間・含まない期間(国民年金法)
・中高齢寡婦加算について「死亡した夫の要件」(厚生年金保険法)
・厚生年金保険の被保険者資格の取得と喪失(厚生年金保険法)
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R8-027 9.20
厚生年金保険の被保険者資格の取得日と喪失日についてみていきます。
例えば、令和7年9月19日にA社(厚生年金保険の適用事業所)に入社し、同年11月25日に退職した場合、厚生年金保険の被保険者の資格は令和7年9月19日に取得、同年11月26日に喪失します。
では、条文を読んでみましょう。
法第13条 (資格取得の時期) ① 適用事業所に使用されるに至った日若しくはその使用される事業所が適用事業所となった日又は適用除外に該当しなくなった日に、被保険者の資格を取得する。 ② 任意単独被保険者は、厚生労働大臣の認可があった日に、被保険者の資格を取得する。
法第14条 (資格喪失の時期) 次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(喪失の事実があった日に更に資格を取得するに至ったとき、又は第5号(70歳に達したとき)に該当するに至ったときは、その日)に、被保険者の資格を喪失する。 (1) 死亡したとき。 (2) その事業所又は船舶に使用されなくなったとき。 (3) 任意適用事業所の脱退又は任意単独被保険者の資格喪失の認可があったとき。 (4) 適用除外に該当するに至つたとき。 (5) 70歳に達したとき。 |
ポイント!
・資格取得は「当日」です。
・資格喪失は原則「翌日」です。
※同日得喪、70歳に達したときは「当日」です。
それでは問題を解いてみましょう
①【H19年出題】
任意単独被保険者は、厚生労働大臣の認可があった日に、被保険者の資格を取得する。
【解答】
①【H19年出題】 〇
任意単独被保険者は、厚生労働大臣の認可があった日(当日)に、被保険者の資格を取得します。
②【R1年出題】
適用事業所に使用される70歳未満の被保険者が70歳に達したときは、それに該当するに至った日の翌日に被保険者の資格を喪失する。
【解答】
②【R1年出題】 ×
70歳未満の被保険者が70歳に達したときは、それに該当するに至った日の「翌日」ではなく「その日」に被保険者の資格を喪失します。
なお、70歳に達した日とは、70歳の誕生日の前日です。厚生年金保険の被保険者資格は、70歳の誕生日の前日に喪失します。
③【H27年出題】
被保険者(高齢任意加入被保険者及び第4種被保険者を除く。)は、死亡したときはその日に、70歳に達したときはその翌日に被保険者資格を喪失する。
【解答】
③【H27年出題】 ×
死亡したときは「その翌日」に、70歳に達したときは「その日」に被保険者資格を喪失します。
④【R5年出題】
厚生年金保険の任意単独被保険者となっている者は、厚生労働大臣の認可を受けて、被保険者の資格を喪失することができるが、資格喪失に際しては、事業主の同意を得る必要がある。
【解答】
④【R5年出題】 ×
任意単独被保険者の資格喪失に際しては、事業主の同意は要りません。
★任意単独被保険者の取得と喪失を整理しましょう。
■資格取得について
・厚生労働大臣の認可があった日に取得
・事業主の同意が必要です。
(事業主が保険料を半額負担し、納付義務を負うため)
■資格喪失について
・厚生労働大臣の認可があった日の翌日に喪失
・事業主の同意は不要です。
(事業主の負担がなくなるため)
⑤【R7年出題】
適用事業所である甲に使用されていた被保険者乙は、令和7年4月1日に甲に使用されなくなったが、同日、別の適用事業所である丙に使用されるに至り、被保険者資格の得喪が生じた。この場合、乙の甲での被保険者資格は令和7年4月1日に喪失し、乙は同日に丙での被保険者資格を取得する。
【解答】
⑤【R7年出題】 〇
令和7年4月1日に甲を退職した場合、翌日の4月2日に資格を喪失するのが原則です。
ただし、同じ日に、別の適用事業所である丙に入社した場合は、甲での被保険者資格は令和7年4月1日に喪失し、同じ日に丙での被保険者資格を取得します。
⑥【R3年出題】
第1号厚生年金被保険者が同時に第2号厚生年金被保険者の資格を有するに至ったときは、その日に、当該第1号被保険者の資格を喪失する。
【解答】
⑥【R3年出題】 〇
条文を読んでみましょう。
法第18条の2 (異なる被保険者の種別に係る資格の得喪) ① 第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者は、同時に、第1号厚生年金被保険者の資格を取得しない。 ② 第1号厚生年金被保険者が同時に第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者の資格を有するに至ったときは、その日に、当該第1号厚生年金被保険者の資格を喪失する。 |
問題文のように、第1号厚生年金被保険者が同時に第2号厚生年金被保険者の資格を有するに至ったときは、その日に、当該第1号厚生年金被保険者の資格を喪失します。
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R8-026 9.19
要件を満たした夫が死亡した場合、妻の遺族厚生年金に40歳から65歳まで「中高齢寡婦加算」が加算されます。
今回は、「死亡した夫」の要件を見ていきます。
では、条文を読んでみましょう。
法第62条 ① 遺族厚生年金(第58条第1項第4号(長期要件)に該当することにより支給されるものであって、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240未満であるものを除く。)の受給権者である妻であってその権利を取得した当時40歳以上65歳未満であったもの又は40歳に達した当時当該被保険者若しくは被保険者であった者の子で国民年金法第37条の2第1項に規定する要件に該当するもの(当該被保険者又は被保険者であった者の死亡後に同法第39条第3項第2号から第8号までのいずれかに該当したことがあるものを除く。)と生計を同じくしていたものが65歳未満であるときは、遺族厚生年金の額に遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)を加算する。 ② 中高齢寡婦加算を開始すべき事由又は廃止すべき事由が生じた場合における年金の額の改定は、それぞれ当該事由が生じた月の翌月から行う。 |
★中高齢寡婦加算が加算される妻の条件を確認しましょう。
①子がいない場合
遺族厚生年金の権利を取得した当時40歳以上65歳未満であったもの
②子がいる場合(遺族基礎年金を受けている場合)
40歳に達した当時当該被保険者若しくは被保険者であった者の子と生計を同じくしていたもの(遺族基礎年金を受けている)
→子が18歳の年度末等になり、遺族基礎年金が支給されなくなったときから65歳になるまで中高齢寡婦加算が加算されます。
★中高齢寡婦加算の額を確認しましょう
遺族基礎年金の額×4分の3(定額)
★では、死亡した夫の条件を確認しましょう
・遺族厚生年金は「短期要件」と「長期要件」があります。(法第58条第1項)
<短期要件>
① 被保険者(失踪の宣告を受けた被保険者であった者であって、行方不明となった当時被保険者であったものを含む。)が、死亡したとき。
② 被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき。
③ 障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、死亡したとき。
<長期要件>
④ 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が、死亡したとき。
★中高齢寡婦加算について死亡した夫の条件を確認しましょう
→ 「第58条第1項第4号(長期要件)に該当することにより支給されるものであって、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240未満であるものを除く。」とされています。
→ 長期要件で支給される遺族厚生年金の場合は、死亡した夫の厚生年金保険の被保険者期間が240月以上あることが条件です。
では過去問をどうぞ!
【R7年出題】
障害等級2級の障害厚生年金を受給する夫が死亡し、子のいない妻が遺族厚生年金を受給する場合、夫死亡時の妻の年齢によっては、中高齢寡婦加算が行われることがある。ただし、当該死亡した夫の厚生年金保険の被保険者期間の月数が240未満である場合は、中高齢寡婦加算は行われない。
【解答】
【R7年出題】 ×
遺族厚生年金が短期要件に該当していても、長期要件に該当していても、要件を満たした場合、中高齢寡婦加算が加算されます。
ただし、「長期要件」に該当する場合は、死亡した夫の厚生年金保険の被保険者期間の月数が240月以上あることが条件です。
問題文は、「障害等級2級の障害厚生年金を受給する夫の死亡」により支給される遺族厚生年金ですので、「短期要件」です。そのため、死亡した夫の厚生年金保険の被保険者期間の月数が240未満であっても、中高齢寡婦加算が行われます。
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R8-025 9.18
国民年金法には、「保険料納付済期間」と「保険料免除期間」があります。
年金の受給資格の有無や、受給額の計算に影響します。
今回は、「保険料納付済期間」の定義をみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
法第5条第1項 国民年金法において、「保険料納付済期間」とは、第1号被保険者としての被保険者期間のうち納付された保険料(第96条の規定(滞納処分)により徴収された保険料を含み、第90条の2第1項から第3項までの規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料につきその残余の額が納付又は徴収されたものを除く。)に係るもの及び第88条の2の規定(産前産後期間の保険料免除)により納付することを要しないものとされた保険料に係るもの、第2号被保険者としての被保険者期間並びに第3号被保険者としての被保険者期間を合算した期間をいう。 |
<保険料納付済期間>
①第1号被保険者としての被保険者期間のうち
・納付された保険料に係るもの
・産前産後期間の保険料免除により納付することを要しないものとされた保険料に係るもの
・滞納処分により徴収された保険料は保険料納付済期間に含む
・一部免除により納付することを要しないものとされた保険料につきその残余の額が納付又は徴収されたものは除く
②第2号被保険者としての被保険者期間
③第3号被保険者としての被保険者期間
①+②+③の期間を保険料納付済期間といいます。
では、過去問を解いてみましょう
①【R7年出題】
国民年金法第5条第1項の規定する保険料納付済期間には、保険料を納付することを要しないとされた第1号被保険者の産前産後期間は含まれるが、滞納処分により徴収された保険料に係る第1号被保険者としての被保険者期間は含まれない。
【解答】
①【R7年出題】 ×
保険料を納付することを要しないとされた第1号被保険者の産前産後期間も、「滞納処分により徴収」された保険料に係る第1号被保険者としての被保険者期間」も、保険料納付済期間となります。
②【R3年出題】
保険料の一部免除の規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料につき、その残余の額が納付又は徴収された期間、例えば半額免除の規定が適用され免除されない残りの部分(半額)の額が納付又は徴収された期間は、保険料納付済期間ではなく保険料半額免除期間となる。
【解答】
②【R3年出題】 〇
例えば半額免除の規定が適用され、免除されない残りの部分(半額)の額が納付又は徴収された期間は、保険料納付済期間ではなく「保険料半額免除期間」です。
(法第5条第5項)
保険料半額免除期間
半額 納 付 |
半額 免 除 |
③【R5年出題】
保険料の一部免除の規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料について、保険料4分の1免除の規定が適用されている者は、免除されないその残余の4分の3の部分(額)が納付又は徴収された場合、当該納付又は徴収された期間は、保険料納付済期間となる。
【解答】
③【R5年出題】 ×
保険料4分の1免除の規定が適用されている者について、免除されないその残余の4分の3の部分(額)が納付又は徴収された場合は、保険料納付済期間ではなく「保険料4分の1免除期間」となります。
(法第5条第6項)
保険料4分の1免除期間
4分の3 納 付
|
4分の1 免 除 |
④【H24年出題】
保険料全額免除を受けた期間のうち保険料を追納した期間は、保険料納付済期間とされる。
【解答】
④【H24年出題】 〇
保険料全額免除を受けた期間のうち保険料を追納した期間は、保険料全額免除期間ではなく「保険料納付済期間」となります。
法第94条第4項に規定されています。読んでみましょう。
追納が行われたときは、追納が行われた日に、追納に係る月の保険料が納付されたものとみなす。 |
⑤【R5年出題】
第2号被保険者としての被保険者期間のうち、20歳に達した日の属する月前の期間及び60歳に達した日の属する月以後の期間は、老齢基礎年金の年金額の計算に関しては保険料納付済期間に算入され、合算対象期間に算入されない。
【解答】
⑤【R5年出題】 ×
第2号被保険者としての被保険者期間のうち、20歳に達した日の属する月前の期間及び60歳に達した日の属する月以後の期間は、老齢基礎年金の年金額の計算に関しては、保険料納付済期間には算入されず、「合算対象期間」に算入されます。
(昭60法附則第8条第4項)
20歳 |
| 60歳 |
合算対象期間 | 保険料納付済期間 | 合算対象期間 |
⑥【H24年出題】
第2号被保険者としての被保険者期間のうち、20歳前の期間及び60歳以降の期間は、当分の間、障害基礎年金の受給資格期間及び年金額の計算の適用については、保険料納付済期間とはしない。
【解答】
⑥【H24年出題】 ×
「障害基礎年金と遺族基礎年金」については、第2号被保険者としての被保険者期間のうち、20歳前の期間及び60歳以降の期間も、「保険料納付済期間」となります。老齢基礎年金との違いに注意しましょう。
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R8-024 9.17
第30条の4の障害基礎年金は、20歳前傷病による障害基礎年金ともいわれます。
国民年金に加入する前(=国民年金保険料の負担をしていない)に初診日がある傷病が対象ですので、通常の障害基礎年金にはない支給停止事由が設けられています。
条文を読んでみましょう。
第36条の2第1項、第2項 ① 第30条の4の規定による障害基礎年金は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するとき(第2号及び第3号に該当する場合にあっては、厚生労働省令で定める場合に限る。)は、その該当する期間、その支給を停止する。 (1) 恩給法に基づく年金たる給付、労働者災害補償保険法の規定による年金たる給付その他の年金たる給付であって政令で定めるものを受けることができるとき。 (2) 刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき。 (3) 少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき。 (4) 日本国内に住所を有しないとき。 ② ①(1)に規定する給付が、その全額につき支給を停止されているときは、同項の規定を適用しない。ただし、その支給の停止が第36条第1項又は第41条第1項に規定する給付が行われることによるものであるときは、この限りでない。
第36条の3 第30条の4の規定による障害基礎年金は、受給権者の前年の所得が、その者の所得税法に規定する同一生計配偶者及び扶養親族(以下「扶養親族等」という。)の有無及び数に応じて、政令で定める額を超えるときは、その年の10月から翌年の9月まで、政令で定めるところにより、その全部又は2分の1(子の加算が加算された障害基礎年金にあっては、その額から加算する額を控除した額の2分の1)に相当する部分の支給を停止する。 |
過去問を解きながら覚えるポイントをつかみましょう
①【R1年出題】
20歳前傷病による障害基礎年金を受給中である者が、労災保険法の規定による年金たる給付を受給できる(その全額につき支給を停止されていないものとする。)場合、その該当する期間、当該20歳前傷病による障害基礎年金は支給を停止する。
【解答】
①【R1年出題】 〇
20歳前傷病による障害基礎年金は、労災保険法の規定による年金たる給付を受給できる(その全額につき支給を停止されていないものとする。)場合、その該当する期間、支給が停止されます。
②【H25年出題】
国民年金法第30条の4に規定する20歳前傷病による障害基礎年金は、受給権者が日本国内に住所を有しないときは支給停止される。
【解答】
②【H25年出題】 〇
第30条の4に規定する20歳前傷病による障害基礎年金は、受給権者が日本国内に住所を有しないときは支給が停止されます。
③【R7年出題】
国民年金法第30条の4の規定による障害基礎年金は、受給権者が、恩給法に基づく年金たる給付、労災保険法の規定による年金たる給付その他の年金たる給付であって政令で定めるものを受けることができるとき、刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき、少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき又は日本国内に住所を有しないときは、その該当する期間、その支給を停止する。
【解答】
③【R7年出題】 〇
■国民年金法第30条の4の規定による障害基礎年金の支給が停止される事由
・恩給法に基づく年金たる給付、労災保険法の規定による年金たる給付その他の年金たる給付であって政令で定めるものを受けることができるとき
・刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき
・少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき
・日本国内に住所を有しないとき
なお、「受給権者の前年の所得が政令で定める額を超えるとき」も支給が停止されます。 次の問題で確認しましょう。
④【R7年出題】
国民年金法第30条の4の規定による障害基礎年金は、当該障害基礎年金の受給権者の前年の所得が政令で定める額を超えた場合に、その全部又は2分の1に相当する部分が支給停止される。
【解答】
④【R7年出題】 〇
国民年金法第30条の4の規定による障害基礎年金は、当該障害基礎年金の受給権者の前年の所得が政令で定める額を超えた場合に、その全部又は2分の1に相当する部分が支給停止されます。
なお、扶養親族等がいない場合は、
・前年の所得が472万1千円を超える場合 → 年金の全額が支給停止
・前年の所得が370万4千円を超え472万1千円以下の場合→ 2分の1が支給停止
となります。
⑤【R5年出題】
20歳前傷病による障害基礎年金は、受給権者の前年の所得が、その者の所得税法に規定する同一生計配偶者及び扶養親族の有無及び数に応じて、政令で定める額を超えるときは、その年の10月から翌年の9月まで、その全部又は3分の1に相当する部分の支給が停止される。
【解答】
⑤【R5年出題】 ×
20歳前傷病による障害基礎年金は、受給権者の前年の所得が、その者の所得税法に規定する同一生計配偶者及び扶養親族の有無及び数に応じて、政令で定める額を超えるときは、その年の10月から翌年の9月まで、その全部又は3分の1ではなく、その全部又は2分の1に相当する部分の支給が停止されます。
⑥【H27年出題】※改正による修正あり
20歳前傷病による障害基礎年金は、前年の所得がその者の扶養親族等の有無及び数に応じて、政令で定める額を超えるときは、その年の10月から翌年の9月まで、その全部又は2分の1に相当する部分の支給が停止されるが、受給権者に扶養親族がいる場合、この所得は受給権者及び当該扶養親族の所得を合算して算出する。
【解答】
⑥【H27年出題】 ×
「受給権者の前年の所得」で判断されます。
扶養親族の所得は合算しません。
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R8-023 9.16
「不服申立て」について、問題を解きながらポイントをおさえましょう。
まず、「不服申立て」について条文を読んでみましょう。
第101条 ① 被保険者の資格に関する処分、給付に関する処分(共済組合等が行った障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分を除く。)又は保険料その他この法律の規定による徴収金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。 ただし、第14の4第1項又は第2項の規定による決定(国民年金原簿の訂正請求についての厚生労働大臣の訂正する旨又は訂正しない旨の決定)については、この限りでない。 ② 審査請求をした日から2月以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。 ③ 審査請求及び再審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求とみなす。 ④ 被保険者の資格に関する処分が確定したときは、その処分についての不服を当該処分に基づく給付に関する処分の不服の理由とすることができない。 ⑤ ①の審査請求及び再審査請求については、行政不服審査法第2章(第22条を除く。)及び第4章の規定は、適用しない。 ⑥ 共済組合等が行った障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分に不服がある者は、当該共済組合等に係る共済各法(国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法及び私立学校教職員共済法をいう。)の定めるところにより、当該共済各法に定める審査機関に審査請求をすることができる。 ⑦ 共済組合等が行った障害の程度の診査に関する処分が確定したときは、その処分についての不服を当該処分に基づく障害基礎年金に関する処分についての不服の理由とすることができない。
(審査請求と訴訟との関係) 第101条の2 前条①に規定する処分(被保険者の資格に関する処分又は給付に関する処分(共済組合等が行った障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分を除く。)に限る。)の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する社会保険審査官の決定を経た後でなければ、提起することができない。 |
過去問を解きながらポイントをおさえましょう
<社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる>
①【H30年出題】
給付に関する処分(共済組合等が行った障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分を除く。)について、社会保険審査官に対して審査請求をした場合において、審査請求をした日から2か月以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。
【解答】
①【H30年出題】 〇
「2か月以内」がポイントです。
<国民年金原簿の訂正をする旨又は訂正をしない旨の厚生労働大臣の決定>
②【H28年出題】
厚生労働大臣は、国民年金原簿の訂正の請求について、当該訂正請求に係る国民年金原簿の訂正をする旨又は訂正をしない旨を決定しなければならないが、その決定を受けた者が、その決定に不服があるときは、社会保険審査官に対して審査請求をすることができる。
【解答】
②【H28年出題】 ×
厚生労働大臣が行った国民年金原簿の訂正請求に係る訂正をする旨又は訂正をしない旨の決定については、社会保険審査官に対する審査請求の対象になりません。
<審査請求と訴訟との関係>
③【H29年出題】
厚生労働大臣が行った年金給付に関する処分の取消しの訴えは、当該処分についての再審査請求に対する社会保険審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。
【解答】
③【H29年出題】 ×
厚生労働大臣が行った年金給付に関する処分の取消しの訴えは、当該処分についての「審査請求に対する社会保険審官の決定」を経た後でなければ、提起することができない、とされています。
④【R7年出題】
被保険者の資格に関する処分、給付に関する処分(共済組合等が行った障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分を除く。)又は保険料その他この法律の規定による徴収金に関する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する社会保険審査官の決定を経た後でなければ、提起することができない。
【解答】
④【R7年出題】 ×
①被保険者の資格に関する処分
②給付に関する処分(共済組合等が行った障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分を除く。)
③保険料その他この法律の規定による徴収金に関する処分
ポイント!
①又は②について
①又は②の処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する社会保険審査官の決定を経た後でなければ、提起することができない。となります。
③について
③の処分について
・社会保険審査官に審査請求をする
又は
・社会保険審査官に審査請求をせずに、処分の取消しの訴えを提起する
→ ③の処分については、「審査請求する」か「処分の取消しの訴えを提起する」を選択することが可能です。
⑤【R6年出題】
国民年金法第101条第1項に規定する処分の取消の訴えは、当該処分についての再審査請求に対する社会保険審査会の裁定を経た後でなければ提起することができない。
【解答】
⑤【R6年出題】 ×
被保険者の資格に関する処分又は給付に関する処分(共済組合等が行った障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分を除く。)の取消しの訴えは、当該処分についての「審査請求に対する社会保険審査官の決定」を経た後でなければ、提起することができない、となります。
<共済組合等が行った障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分>
⑥【R3年出題】
共済組合等が行った障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分に不服がある者は、当該共済組合等に係る共済各法(国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法及び私立学校教職員共済法)の定める審査機関に対して当該処分の審査請求をすることはできるが、社会保険審査官に対して審査請求をすることができない。
【解答】
⑥【R3年出題】 〇
共済組合等が行った障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分については、社会保険審査官に対する審査請求の対象になりません。
共済組合等に係る共済各法の定める審査機関に対して当該処分の審査請求をすることができます。
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R8-022 9.15
健康保険の被扶養者に該当する要件をみていきましょう。
まず、条文を読んでみましょう。
法第3条第7項 「被扶養者」とは、次に掲げる者で、日本国内に住所を有するもの又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるものをいう。 ただし、後期高齢者医療の被保険者等である者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者は、この限りでない。 (1) 被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む。)の直系尊属、配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、子、孫及び兄弟姉妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するもの (2) 被保険者の三親等内の親族で(1)に掲げる者以外のものであって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの (3) 被保険者の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの父母及び子であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの (4) (3)の配偶者の死亡後におけるその父母及び子であって、引き続きその被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの |
■被扶養者となる条件
・日本国内に住所を有している
又は
・日本国内に住所を有しないが日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるもの
★日本国内に住所を有していることが原則ですが、例外もあります。
例外をみていきましょう。
→ 外国に一時的に留学をする学生、外国に赴任する被保険者に同行する家族等の一時的な海外渡航を行う者については、日本国内に住所がないとしても、日本国内に生活の基礎があると認められる者として、国内居住要件の例外として取り扱われます。
★日本国内居住要件の例外として取り扱われる者を厚生労働省令で確認しましょう。
則第37条の2 法第3条第7項本文の厚生労働省令で定めるものは、次に掲げる者とする。 (1) 外国において留学をする学生 (2) 外国に赴任する被保険者に同行する者 (3) 観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者 (4) 被保険者が外国に赴任している間に当該被保険者との身分関係が生じた者であって、(2)に掲げる者と同等と認められるもの (5) 前各号に掲げる者のほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者 |
過去問を解いてみましょう
①【R2年出題】
被扶養者の認定において、被保険者が海外赴任することになり、被保険者の両親が同行する場合、「家族帯同ビザ」の確認により当該両親が被扶養者に該当するか判断することを基本とし、渡航先国で「家族帯同ビザ」の発行がない場合には、発行されたビザが就労目的でないか、渡航が海外赴任に付随するものであるかを踏まえ、個別に判断する。
【解答】
①【R2年出題 〇
外国に赴任する被保険者に同行する者は、国内居住要件の例外として、日本国内に生活の基礎があると認められる者として扱われます。
被扶養者の認定の際は、国内居住要件の例外に該当することを証する書類の添付が求められます。
問題文の場合は、「家族帯同ビザ」の確認で判断することが基本とされます。渡航先国で「家族帯同ビザ」の発行がない場合には、発行されたビザが就労目的でないか、渡航が海外赴任に付随するものであるかを踏まえ、個別に判断するとされています。
(令5.6.19保保発0619第1号)
②【R7年出題】
健康保険法における被扶養者とは、日本国内に住所を有するもの又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるものをいう。ただし、後期高齢者医療の被保険者等である者その他健康保険法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者は、この限りではない。厚生労働省令で定める者とは、日本の国籍を有しない者であって、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)第7条第1項第2号の規定に基づく入管法別表第1の5の表の下欄に掲げる活動として法務大臣が定める活動のうち、本邦において2年を超えない期間滞在し、観光、保養その他これらに類似する活動を行うものをいう。
【解答】
②【R7年出題】 ×
「後期高齢者医療の被保険者等である者」、「健康保険法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者」は、被扶養者になりません。
「健康保険法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者」とは、日本国籍を有さず、「特定活動(医療目的)「特定活動(長期観光)」で滞在する者です。
則第37条の3に規定されています。
① 日本の国籍を有しない者であって、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)第7条第1項第2号の規定に基づく入管法別表第1の5の表の下欄に掲げる活動として法務大臣が定める活動のうち、本邦に相当期間滞在して、病院若しくは診療所に入院し疾病若しくは傷害について医療を受ける活動又は当該入院の前後に当該疾病若しくは傷害について継続して医療を受ける活動を行うもの及びこれらの活動を行う者の日常生活上の世話をする活動を行うもの(医療目的)
② 日本の国籍を有しない者であって、入管法第7条第1項第2号の規定に基づく入管法別表第1の5の表の下欄に掲げる活動として法務大臣が定める活動のうち、本邦において1年を超えない期間滞在し、観光、保養その他これらに類似する活動を行うもの(長期観光)
問題文は、「長期観光」ですが、2年を超えない期間ではなく「1年を超えない期間」です。
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R8-021 9.14
毎週日曜日は総集編をお届けします。
今回は、令和7年9月8日から13日までの動画の総集編です。
まとめて見ることができますので、ご活用ください。
☟
・平均賃金の計算(原則と最低保障額)(労働基準法)
・平均賃金を「算定すべき事由の発生した日」(労働基準法)
・ 二次健康診断等給付の基本10問(労災保険法)
・ 定年退職者等の受給期間延長(雇用保険法)
・ 労働保険料を計算してみましょう(徴収法)
・ 国民健康保険の保険給付「法定と任意」(社一・国保法)
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R8-020 9.13
国民健康保険の保険給付には、「法定給付」と「任意給付」があります。
法定給付 | 絶対的必要給付 | 療養の給付など(必須) |
相対的必要給付 | 出産育児一時金、葬祭費、葬祭の給付 ・国民健康保険上、「行うものとする」 ・ただし、特別の理由があるときは、その全部又は一部を行わないことができる。 | |
任意給付 | 傷病手当金の支給その他の保険給付 ・行うことができる (給付を行うかどうか、給付内容は任意) |
過去問を解いてみましょう
①【H26年出題】※改正による修正あり
市町村及び国民健康保険組合は、被保険者が療養の給付を受けるために病院又は診療所に移送されたときは、条例又は規約の定めるところにより移送費の支給を行うものとする。ただし、特別の理由があるときは、その全部又は一部を行わないことができる。
【解答】
①【H26年出題】 ×
「移送費」は法定給付の絶対的必要給付ですので、支給は必須です。
「市町村及び国民健康保険組合は、被保険者が療養の給付(保険外併用療養費に係る療養及び特別療養費に係る療養を含む。)を受けるため病院又は診療所に移送されたときは、当該被保険者の属する世帯の世帯主又は組合員に対し、移送費として、厚生労働省令で定めるところにより算定した額を支給する。」と規定されています。
(法第54条の4)
②【R7年出題】
国民健康保険において、国民健康保険法第54条の4第1項によると、市町村(特別区を含む。)及び国民健康保険組合は、被保険者が療養の給付(保険外併用療養費に係る療養及び特別療養費に係る療養を含む。)を受けるため病院又は診療所に移送されたとき、当該被保険者の属する世帯の世帯主又は組合員に対する移送費は、支給しない。
【解答】
②【R7年出題】 ×
市町村及び国民健康保険組合は、被保険者が療養の給付(保険外併用療養費に係る療養及び特別療養費に係る療養を含む。)を受けるため病院又は診療所に移送されたときは、当該被保険者の属する世帯の世帯主又は組合員に対し、「移送費として、厚生労働省令で定めるところにより算定した額を支給する」となります。
③【H26年出題】※改正による修正あり
市町村及び国民健康保険組合は、被保険者の死亡に関しては、埋葬料又は埋葬費の支給を行わなければならない。
【解答】
③【H26年出題】 ×
葬祭費の支給若しくは葬祭の給付は必須ではなく、法定給付の相対的必要給付です。
市町村及び国民健康保険組合は、被保険者の死亡に関しては、条例又は規約の定めるところにより、「葬祭費の支給若しくは葬祭の給付を行うものとする。ただし、特別の理由があるときは、その全部又は一部を行わないことができる。」となります。
(法第58条第1項)
④【H26年出題】※改正による修正あり
市町村及び国民健康保険組合は、条例又は規約の定めるところにより、傷病手当金の支給を行うことができる
【解答】
④【H26年出題】 〇
傷病手当金は「任意給付」です。
傷病手当金の支給を「行うことができる」となります。
(法第58条第2項)
⑤【R1年出題】
市町村及び組合は、被保険者の出産及び死亡に関しては、条例又は規約の定めるところにより、出産育児一時金の支給又は葬祭費の支給若しくは葬祭の給付を行うものとする。ただし、特別の理由があるときは、その全部又は一部を行わないことができる。
【解答】
⑤【R1年出題】 〇
出産育児一時金の支給、葬祭料の支給、葬祭の給付は、法定給付の相対的必要給付です。
(法第58条第1項)
⑥【R7年出題】
国民健康保険において、国民健康保険法第58条第1項及び第2項によると、市町村及び国民健康保険組合は、被保険者の出産及び死亡に関しては、条例又は規約の定めるところにより、出産育児一時金の支給又は葬祭費の支給若しくは葬祭の給付を行うものとする。これらの保険給付のほか、条例又は規約の定めるところにより、傷病手当金の支給も行うことができる。
【解答】
⑥【R7年出題】 〇
→ 出産育児一時金の支給又は葬祭費の支給若しくは葬祭の給付を行うものとする。
→ 傷病手当金の支給を行うことができる。
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R8-019 9.12
概算保険料と確定保険料の額の計算してみましょう。
問題を解きながらポイントをつかみましょう。
では、さっそく過去問を解いてみましょう
【R7年出題】(労災)
次に示す業態をとる事業についての労働保険料に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
保険関係成立年月日:令和3年8月5日
事業の種類:小売業
労働保険関係の概要:
・保険料の滞納はない。
・一般保険料以外の対象となる者はいない。
・社会保険適用事業所である。
・令和7年度の概算保険料の額は875,000円である。
令和6年度及び7年度の労災保険率:1000分の3
令和6年度の雇用保険率:1000分の15.5
令和7年度の雇用保険率:1000分の14.5
令和7年度の雇用保険二事業の保険率:1000分の3.5
令和6年度の確定賃金総額:5,000万円
令和7年度に支払いが見込まれる賃金総額:6,000万円
A 令和6年度中に請負契約を締結し、使用従属関係が認められない労務提供を行った請負人に対して支払った報酬額は、令和6年度の確定賃金総額に含まれていない。
B 令和7年度の概算保険料のうち、労災保険の保険料の額は150,000円であり、当該事業主がすべて負担しなければならない。
C 当該事業主は令和7年度の概算保険料の納付に当たって、口座振替による場合を除き、概算保険料を概算保険料申告書に添えて令和7年7月10日までに納付しなければならない。
D 当該事業主が令和7年度の概算保険料の延納を申請して認められた場合、第2期分として納付する概算保険料の額は291,667円となる。
E 令和7年度の確定賃金総額が6,000万円となった場合の確定保険料のうち、当該事業主が負担することとなる一般保険料の額は総額720,000円となる。
【解答】
<A> 〇
<B> 〇
<C> 〇
<D> ×
<E> 〇
<A>について
賃金は、「賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの(通貨以外のもので支払われるものであつて、厚生労働省令で定める範囲外のものを除く。)」と定義されています。(法第2条第2項)
「使用従属関係が認められない」請負人に対して支払った報酬は、賃金総額に含みません。
<B>について
★令和7年度の概算保険料のうち、労災保険の保険料額の計算
ポイント!
・概算保険料は、「その保険年度に使用するすべての労働者に係る賃金総額の見込み額」を使って計算するのが原則です。
ただし、当該保険年度の賃金総額の見込額が、直前の保険年度の賃金総額の「100分の50以上100分の200以下」である場合は、「直前の保険年度の賃金総額」を使います。
・労災保険料は、全額事業主負担です。
では、計算してみましょう
・令和7年度の概算保険料のうち、労災保険の保険料の額
→5,000万円×1000分の3=150,000円
令和6年度の確定賃金総額を使って計算するのがポイントです。
(法第15条、則第24条)
<C>について
★概算保険料の納期限
ポイント!
事業主は、保険年度ごとに、概算保険料を、概算保険料申告書に添えて、
・その保険年度の6月1日から40日以内
・保険年度の中途に保険関係が成立したものについては、当該保険関係が成立した日から50日以内
に納付しなければなりません。
・令和7年度の概算保険料の納付については、令和7年7月10日(その保険年度の6月1日から40日以内)までに納付しなければなりません。
<D>について
★延納の際の端数処理
ポイント!
概算保険料は延納(分割払い)ができます。
概算保険料の額を期の数で除して得た額に1円未満の端数があるときは、第1期分の概算保険料にまとめます。
・令和7年度の概算保険料を計算しましょう
→5,000万円×(1000分の3+1,000分の14.5)=875,000円
→875,000÷3=291,666.6…円(1円未満の端数がある)
第1期分 | 291,668円 |
第2期分 | 291,666円 |
第3期分 | 291,666円 |
・第2期分は291,667円ではなく、291,666円です。
<E>について
★事業主が負担する一般保険料の額
ポイント!
被保険者が負担するのは、雇用保険率のうち雇用保険二事業の保険率を減じた額の2分の1です。
・令和7年度の確定保険料を計算しましょう
→6,000万円×(1000分の3+1,000分の14.5)=1,050,000円となります。
・事業主と被保険者の負担について
労災保険率 | 雇用保険率 | ||
事業主負担 | 労働者負担 | 事業主負担 | 被保険者負担 |
1,000分の3 | なし | 1,000分の9 (1,000分の5.5+1,000分の3.5) | 1,000分の5.5 |
・確定保険料のうち、被保険者が負担する一般保険料額は、6,000万円×1,000分の5.5=330,000円です。
事業主が負担する一般保険料額は、1,050,000円−330,000円=720,000円となります。
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R8-018 9.11
定年等で退職した場合は、受給期間の延長が認められます。
例えば、4か月間、求職の申込みをしないことを希望した場合、原則の受給期間 (1年間)に求職の申込みをしないことを希望する期間(4か月間=猶予期間といいます)がプラスされ、受給期間は1年間+4か月となります。
なお、猶予期間は最大で1年間ですので、受給期間は最大2年間となります。
※所定給付日数が360日の就職困難者の場合は、原則の受給期間(1年+60日)が最大1年間延長されますので、受給期間の最大は2年と60日となります。
では、条文のポイントを確認しましょう。
■延長できる条件
・受給資格者であって、当該受給資格に係る離職が定年(60歳以上の定年に限る。)に達したことその他厚生労働省令で定める理由によるもの
・離職後一定の期間求職の申込みをしないことを希望する場合
・厚生労働省令で定めるところにより公共職業安定所長にその旨を申し出た
↓
・原則の受給期間(基準日の翌日から起算して1年(就職が困難なものは1年+60日)に求職の申込みをしないことを希望する一定の期間(1年を限度とする。)に相当する期間を合算した期間が受給期間となります。
(法第20条第2項)
では、過去問を解いてみましょう
★受給期間の延長が認められる理由
①【R7年出題】
60歳の定年に達した後、1年更新の再雇用制度により65歳まで引き続き雇用されることとなった場合に、63歳の更新時に更新を希望せずに退職したときは、受給期間の延長が認められない。
【解答】
①【R7年出題】 〇
・受給期間の延長が認められる「定年退職者等」とは、次のいずれかの理由で離職した者です。
① 60歳以上の定年に達したこと
② 60歳以上の定年に達した後、勤務延長又は再雇用により一定期限まで引き続き被保険者として雇用されることとなっている場合に、当該勤務延長又は再雇用の期限が到来したこと
③ 船員が50歳以上の定年に達したこと
④ 船員が50歳以上の定年に達した後、勤務延長又は再雇用により一定期限まで引き続き被保険者として雇用されることとなっている場合に、当該勤務延長又は再雇用の期限が到来したこと
→ ②又は④について
・60歳(船員は50歳)以上の定年に達した後、勤務延長又は再雇用により一定期限まで引き続き被保険者として雇用されることとなっている場合とは、定年制に準じる場合、すなわち、労働協約、就業規則等により、個人的な契約ではなく制度的に退職の期限(退職の期限については、不確定期限)も含まれる。)が定められている場合に限られます。
・また、当該勤務延長又は再雇用の期限が到来したことが必要であるので、例えば、定年に達した後、1年更新の再雇用制度により一定期限まで引き続き雇用されることとなった場合に、「再雇用の期限の到来前の更新時に更新を行わなかったことにより退職した場合は、これに該当しない。」とされています。
(行政手引50281)
問題文の場合は、再雇用の期限(65歳)の到来前の、63歳の更新時に更新を希望せずに退職していますので、受給期間の延長は認められません。
②【R7年出題】
船員であった被保険者が、労働協約、就業規則等により制度的に勤務延長又は再雇用制度が設けられていない事業所を55歳の定年により離職した場合、当該離職により受給資格を取得したときは、受給期間の延長が認められない。
【解答】
②【R7年出題】 ×
「船員が50歳以上の定年に達したこと」により離職した場合は、受給期間の延長が認められます。
(行政手引50281)
★受給期間の延長申請の手続
③【R7年出題】
定年退職者が離職後一定期間求職の申込みをしないことを希望する場合の受給期間延長の申出は、やむを得ない理由がない限り、当該申出に係る離職の日の翌日から起算して1か月以内にしなければならない。
【解答】
③【R7年出題】 ×
「1か月以内」ではなく、「2か月以内」にしなければなりません。
条文を読んでみましょう。
則第31条の3第1項、第2項 受給期間の延長の措置の申出は、受給期間延長等申請書に離職票(2枚以上の離職票を保管するときは、その全ての離職票)を添えて管轄公共職業安定所の長に提出することによって行うものとする。 ② 申出は、当該申出に係る離職の日の翌日から起算して2か月以内にしなければならない。ただし、天災その他申出をしなかったことについてやむを得ない理由があるときは、この限りでない。 |
④【R7年出題】
受給期間の延長の措置を受けようとする者は、当該延長の申出を郵送により行うことができず、当該者が管轄公共職業安定所に出頭し当該延長を申し出なければならない。
【解答】
④【R7年出題】 ×
受給期間延長の申出は、本人が公共職業安定所に出頭した上で行うのが原則です。
ただし、疾病又は負傷その他やむを得ない理由のために申請期限内に公共職業安定所に出頭することができない場合に限り、「その理由を記載した証明書を添付の上、代理人又は郵送等によって行うことができる」とされています。
(行政手引50283(3))
延長の申出を郵送により行うことは可能です。
★受給期間が延長される期間
⑤【R7年出題】
定年退職者等の受給期間の延長を5か月認められた者が、当該5か月の延長期間内に負傷により職業に就くことができない期間が連続して90日間ある場合、当該負傷により職業に就くことができない期間に係る受給期間は延長されない。
【解答】
⑤【R7年出題】 ×
・定年退職者等の受給期間の延長が認められた場合にも、法第20条第1項の受給期間の延長(疾病又は負傷等の理由により引き続き30日以上職業に就くことができない日がある場合の延長)が認められます。
→ 定年退職者等の受給期間とされた期間内に、疾病又は負傷等の理由により引き続き
30日以上職業に就くことができない日がある場合には「さらに受給期間の延長が認められる」とされています。
(行政手引50286(6))
⑥【R5年選択式】
60歳の定年に達した受給資格者であり、かつ、基準日において雇用保険法第22条第2項に規定する就職が困難なものに該当しない者が、定年に達したことを機に令和4年3月31日に離職し、同年5月30日に6か月間求職の申込みをしないことを希望する旨を管轄公共職業安定所長に申し出て受給期間の延長が認められた後、同年8月1日から同年10月31日まで疾病により引き続き職業に就くことができなかった場合、管轄公共職業安定所長にその旨を申し出ることにより受給期間の延長は令和5年< A >まで認められる。
<選択肢>
① 7月31日
② 9月30日
③ 10月31日
④ 12月31日
【解答】
<A> ③ 10月31日
(行政手引50286(6))
図で確認しましょう
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R8-017 9.10
・労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のうち、直近のものを「一次健康診断」といいます。
・一次健康診断で、脳血管疾患・心臓疾患の発生にかかわる一定の項目のいずれにも異常の所見が認められる労働者が対象です。
・二次健康診断等給付には、「二次健康診断」と「特定保健指導」があります。
・二次健康診断等給付は、労働者の請求に基づいて行われます。
では、条文を読んでみましょう。
法第26条 ① 二次健康診断等給付は、労働安全衛生法第66条第1項の規定による健康診断又は当該健康診断に係る同条第5項ただし書の規定による健康診断のうち、直近のもの(以下「一次健康診断」という。)において、血圧検査、血液検査その他業務上の事由による脳血管疾患及び心臓疾患の発生にかかわる身体の状態に関する検査であって、厚生労働省令で定めるものが行われた場合において、当該検査を受けた労働者がそのいずれの項目にも異常の所見があると診断されたときに、当該労働者(当該一次健康診断の結果その他の事情により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められるものを除く。)に対し、その請求に基づいて行う。 ② 二次健康診断等給付の範囲は、次のとおりとする。 (1) 脳血管及び心臓の状態を把握するために必要な検査(前項に規定する検査を除く。)であって厚生労働省令で定めるものを行う医師による健康診断(1年度につき1回に限る。以下「二次健康診断」という。) (2) 二次健康診断の結果に基づき、脳血管疾患及び心臓疾患の発生の予防を図るため、面接により行われる医師又は保健師による保健指導(二次健康診断ごとに1回に限る。「特定保健指導」という。) ③ 政府は、二次健康診断の結果その他の事情により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる労働者については、当該二次健康診断に係る特定保健指導を行わないものとする。 |
過去問をどうぞ!
①【R7年出題】
二次健康診断等給付を行う病院又は診療所の指定は、都道府県労働局長が行う。
【解答】
①【R7年出題】 〇
二次健康診断等給付は、「社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所(労災病院)又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所」において行うとされています。
(則第11条の3、第18条の19)
②【R7年出題】
二次健康診断等給付は、労働安全衛生法第66条第1項の規定に基づき行われた直近の健康診断において、血圧検査等所定の検査を受けた労働者が、当該検査項目のいずれかに異常の所見があると診断されたときに、当該労働者に対し、その請求に基づき行われる。
【解答】
②【R7年出題】 ×
当該検査項目の「いずれかに」ではなく、「いずれの項目にも」異常の所見があると診断されたときに、当該労働者に対し、その請求に基づき行われます。
③【H30年出題】
一次健康診断の結果その他の事情により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる場合には、二次健康診断等給付は行われない。
【解答】
③【H30年出題】 〇
「既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有する」と認められる場合は、二次健康診断等給付は行われません。
④【H30年出題】
二次健康診断等給付を受けようとする者は、所定の事項を記載した請求書をその二次健康診断等給付を受けようとする健診給付病院等を経由して所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。
【解答】
④【H30年出題】 〇
二次健康診断等給付を受けようとする者は、所定の事項を記載した請求書をその二次健康診断等給付を受けようとする健診給付病院等を経由して所轄都道府県労働局長に提出しなければなりません。
健診給付病院等を「経由」することと、「所轄都道府県労働局長」に提出することがポイントです。所轄労働基準監督署長ではありませんので、注意しましょう。
(則第18条の19)
⑤【R7年出題】
二次健康診断等給付として行われる二次健康診断は、対象労働者一人につき、1年度内1回に限り支給される。
【解答】
⑤【R7年出題】 〇
二次健康診断が受けられるのは、1年度内1回限りです。
⑥【R7年出題】
二次健康診断等給付として行われる特定保健指導(二次健康診断の結果に基づき行われる保健指導)は、医師又は保健師による面接によって行われ、栄養指導、運動指導及び生活指導の内容により行われる。
【解答】
⑥【R7年出題】 〇
特定保健指導は、医師又は保健師による面接によって行われます。内容は、「栄養指導、運動指導、生活指導」です。
⑦【H30年出題】
特定保健指導は、医師または歯科医師による面接によって行われ、栄養指導もその内容に含まれる。
【解答】
⑦【H30年出題】 ×
特定保健指導は、「医師または歯科医師」ではなく、「医師又は保健師」による面接によって行われます。
⑧【H30年出題】
二次健康診断の結果その他の事情により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる労働者については、当該二次健康診断に係る特定保健指導は行われない。
【解答】
⑧【H30年出題】 〇
二次健康診断の結果その他の事情により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる労働者については、当該二次健康診断に係る特定保健指導は行われません。
⑨【H30年出題】
二次健康診断を受けた労働者から、当該二次健康診断の実施の日から3か月以内にその結果を証明する書面の提出を受けた事業者は、二次健康診断の結果に基づき、当該健康診断項目に異常の所見があると診断された労働者につき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見をきかなければならない。
【解答】
⑨【H30年出題】 〇
二次健康診断を受けた労働者から、当該二次健康診断の実施の日から3か月以内にその結果を証明する書面の提出を受けた事業者は、二次健康診断の結果に基づき、当該健康診断項目に異常の所見があると診断された労働者につき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、「医師の意見をきかなければならない。」とされています。
(法第27条、則第18条の17)
⑩【R7年出題】
特別加入者は、二次健康診断等給付の対象とならない。
【解答】
⑩【R7年出題】 〇
特別加入者は、労働安全衛生法の健康診断(一次健康診断)の対象にならないため、二次健康診断等給付の対象にもなりません。
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R8-016 9.09
平均賃金は、原則として、「算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額」を、その期間の「総日数」で除して計算します。
今回は、「算定すべき事由の発生した日」を具体的にみていきます。
過去問をどうぞ!
★解雇予告手当について算定すべき事由の発生した日
①【H16年出題】
労働基準法第20条の規定に基づき、解雇の予告に代えて支払われる平均賃金(解雇予告手当)を算定する場合における算定すべき事由の発生した日は、労働者に解雇の通告をした日である。
【解答】
①【H16年出題】 〇
解雇予告手当を算定する場合における算定すべき事由の発生した日は、労働者に「解雇の通告をした日」です。
(昭39.6.1236基収2316号)
②【R7年出題】
労働基準法第20条に基づく解雇予告手当を算定する際の平均賃金算定事由発生日は、「労働者に解雇の通告をした日」であり、その後、当該労働者の同意を得て解雇日を変更した場合においても、当初の解雇を通告した日とするものとされている。
【解答】
②【R7年出題】 〇
解雇予告手当を算定する際の平均賃金算定事由発生日は、「労働者に解雇の通告をした日」です。その後、当該労働者の同意を得て解雇日を変更した場合においても、同様に、「当初の解雇を通告した日」とされています。
(昭39.6.1236基収2316号)
★減給制裁について算定すべき事由の発生した日
③【H25年出題】
労働基準法第91条に規定する減給の制裁に関し、平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、減給制裁の事由が発生した日ではなく、減給の制裁が決定された日をもってこれを算定すべき事由の発生した日とされている。
【解答】
③【H25年出題】 ×
減給の制裁に関して平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、「減給の制裁の意思表示が相手方に到達した日」とされています。
(昭30.7.19基収5875号)
★災害補償について算定すべき事由の発生した日
④【H27年出題】
労働災害により休業していた労働者がその災害による傷病が原因で死亡した場合、使用者が遺族補償を行うに当たり必要な平均賃金を算定すべき事由の発生日は、当該労働者が死亡した日である。
【解答】
④【H27年出題】 ×
「災害補償を行う場合には、死傷の原因たる事故発生の日又は診断によって疾病の発生が確定した日を、平均賃金を算定すべき事由の発生した日とする。」と規定されています。(則第48条)
★所定労働時間が二暦日にわたる場合
⑤【R7年出題】
所定労働時間が二暦日にわたる勤務を行う労働者(一昼夜交替勤務のごとく明らかに2日の労働と解することが適当な場合を除く。)について、当該勤務の二暦日目に平均賃金を算定すべき事由が発生した場合においては、当該勤務の始業時刻に属する日に当該事由が発生したものとして取り扱うこととされている。
【解答】
⑤【R7年出題】 〇
所定労働時間が二暦日にわたる勤務を行う労働者について
→ 当該勤務の二暦日目に平均賃金を算定すべき事由が発生した場合は、当該勤務の始業時刻に属する日に当該事由が発生したものとして取り扱うこととされています。
(昭45.5.14基発374号)
★賃金締切日がある場合
⑥【H27年出題】
賃金締切日が毎月月末と定められていた場合において、例えば7月31日に算定事由が発生したときは、なお直前の賃金締切日である6月30日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となる。
【解答】
⑥【H27年出題】 〇
「平均賃金の算定期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。」とされています。(法第12条第2項)
ポイント!
平均賃金の条文では、「算定すべき事由の発生した日以前 3 か月間」が算定期間となっていますが、平均賃金の計算上、算定すべき事由の発生した日当日は、含めません。
そのため、7月31日に算定事由が発生したときは、前日から遡った3か月で計算します。また、賃金締切日があるため、「直前の賃金締切日」である6月30日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となります。
⑦【H27年出題】
賃金締切日が、基本給は毎月月末、時間外手当は毎月20日とされている事業場において、例えば6月25日に算定事由が発生したときは、平均賃金の起算に用いる直前の賃金締切日は、基本給、時間外手当ともに基本給の直前の締切日である5月31日とし、この日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となる。
【解答】
⑦【H27年出題】 ×
賃金ごとに賃金締切日が異なる場合は、平均賃金を計算する場合の「直前の賃金締切日」は、それぞれ各賃金ごとの賃金締切日となります。
問題文の場合、
・基本給 → 直前の賃金締切日は5月31日
・時間外手当 → 直前の賃金締切日は6月20日
となります。
(昭26.12.27基収5926号)
★雇入れ後3か月未満の場合
⑧【R7年出題】
雇入れ後3か月未満の労働者について平均賃金を算定すべき事由が発生した場合には、算定事由発生日前に賃金締切日があるか否かにかかわらず、雇入れ後の期間とその期間中の賃金の総額で算定することとされている。
【解答】
⑧【R7年出題】 ×
「雇入後3か月に満たない者については、平均賃金の算定期間は、雇入後の期間とする。」とされています。(法第12条第6項)
なお、雇入れ後3か月未満の労働者について平均賃金を算定すべき事由が発生した場合でも、賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から起算します。
(昭23.4.22基収1065号)
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R8-015 9.08
「平均賃金」とは、賃金の1日当たりの額のことです。
労働基準法の解雇予告手当や、休業手当などの額の計算に使われます。
今回は、平均賃金の原則の計算式と「最低保障額」をみていきましょう。
■計算式について条文を読んでみましょう。
労基法第12条第1項 平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。 <最低保障額> ただし、その金額は、次の各号の一によって計算した金額を下ってはならない。 (1) 賃金が、労働した日若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60 (2) 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と(1)の金額の合算額 |
<原則の計算式>
算定すべき事由の発生した日以前3か月間の賃金の総額 |
その期間の総日数 |
<最低保障額>
算定すべき事由の発生した日以前3か月間の賃金の総額 | × | 60 |
その期間中に労働した日数 | 100 |
ポイント!
最低保障額は、「日給」「時給」「出来高払いその他の請負制」の場合に適用されます。
こちらも確認しましょう
★「その日数とその期間中の賃金」を平均賃金の計算から控除する期間
=分母からも分子からも除外する期間
・ 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
・ 産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間
・ 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
・ 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に規定する育児休業又は介護休業をした期間
・ 試みの使用期間
★「賃金総額」に算入しない賃金
=分子からのみ除外する賃金
・ 臨時に支払われた賃金
・ 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金
・ 通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの
それでは、過去問を解いてみましょう
①【H19年出題】
平均賃金は、原則として、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除して算定するものとされているが、賃金がいわゆるパートタイマーに多くみられるように労働した時間によって算定される場合には、その金額は、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60を下ってはならないこととされている。
【解答】
①【H19年出題】 〇
賃金が労働した時間によって算定される場合は、最低保障額が適用されます。
最低保障額は、「賃金の総額」÷その期間中の「労働した日数」×100分の60で計算します。
②【R7年出題】
令和7年1月1日から、賃金が日給1万円、毎月20日締切、当月25日支払の条件で雇われている労働者について、同年7月15日に平均賃金を算定すべき事由が発生した。当該労働者に支払われていた賃金は、1月支払分から6月支払分までいずれも労働日数は月10日で支払額は各月10万円であり、本条第3項各号に掲げられている業務上負傷し療養のために休業した期間等の控除期間がなかった。この場合の当該労働者に係る平均賃金の額は6,000円である。
【解答】
②【R7年出題】 〇
問題を解くポイント!
・「日給制」ですので、最低保障額が適用されます。
・ 平均賃金を算定する期間については、賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から起算します。(法第12条第2項)
問題文の場合は、直前の賃金締切日(6月20日)から遡った3か月で計算します。
3月21日~4月20日、4月21日~5月20日、5月21日~6月20日までの期間で算定します。
・原則の計算式で計算すると
<原則の計算式>
(10万円+10万円+10万円)÷92日 ≒ 3260.86円
<最低保障額>
(10万円+10万円+10万円)÷30日×100分の60 = 6,000円
問題文の労働者に係る平均賃金の額は6,000円となります。
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R8-014 9.07
毎週日曜日は総集編をお届けします。
今回は、令和7年9月1日から6日までの動画の総集編です。
まとめて見ることができますので、ご活用ください。
☟
・ (R7年選択)統計からみた我が国の高齢者、パワハラ定義、最高裁判例(労働に関する一般常識)
・ (R7年選択)国年保険料納付状況・高齢者医療確保法・介護保険法・確定給付企業年金法・厚生労働白書(社会保険に関する一般常識)
・(R7年選択式) 出産育児一時金・任意適用事業所の適用取消(健康保険法)
・(R7年選択式)定時決定・再評価率の改定・3号分割・障害厚生年金(厚生年金保険法)
・ (R7年選択式)国民年金の保険料額・学生納付特例の所得要件(国民年金法)
・ (R7年選択式)判例からの出題(労働基準法)
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R8-013 9.06
令和7年度の労働基準法の選択式は、
①付加金
②判例
からの出題でした。
今回は②判例の問題をみていきます。
まず過去問をどうぞ!
【H22年選択式】
賞与の対象期間の出勤率が90%以上であることを賞与の支給要件とする就業規則の規定における出勤率の算定に当たり、労働基準法第65条の定める産前産後休業等を出勤日数に含めない取扱いについて、「労働基準法65条〔等〕の趣旨に照らすと、これにより上記権利〔産前産後休業の取得の権利〕等の行使を抑制し、ひいては労働基準法等が上記権利等を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められる場合に限り、 < A >として無効となる」とするのが最高裁判所の判例である。
<選択肢>
① 権利の濫用 ② 公序に反するもの ③ 信義に反するもの
④ 不法行為
【解答】
<A> ② 公序に反するもの
ポイント!
「従業員の年間総収入額に占める賞与の比重が高いため,上記条項により賞与が支給されない者の受ける経済的不利益が大きく、従業員が産前産後休業を取得し又は勤務時間短縮措置を受けた場合には、それだけで上記条項に該当して賞与の支給を受けられなくなる可能性が高いという事情の下においては、「公序に反し無効である。」とされています。
(東朋学園事件 平成15.12.4最高裁判所第一小法廷)
では、令和7年の問題をどうぞ!
【R7年選択式】
最高裁判所は、就業規則として定める給与規程における、出勤率が90%以上の従業員を賞与支給対象者とする旨の条項(以下本問において「本件90%条項」という。)の適用に関し、その基礎とする出勤した日数に産前産後休業の日数等を含めない旨の定めが労働基準法(平成9年法律第92号による改正前のもの)65条等に反するか等が問題となった事件において、次のように判示した。
「労働基準法65条は、産前産後休業を定めているが、産前産後休業中の賃金については何らの定めを置いていないから、産前産後休業が有給であることまでも保障したものではないと解するのが相当である。〔…(略)…〕したがって、産前産後休業を取得し〔…(略)…〕た労働者は、その間就労していないのであるから、労使間に特段の合意がない限り、その不就労期間に対応する賃金請求権を有しておらず、当該不就労期間を出勤として取り扱うかどうかは原則として労使間の合意にゆだねられているというべきである。
ところで、従業員の出勤率の低下防止等の観点から、出勤率の低い者につきある種の経済的利益を得られないこととする措置ないし制度を設けることは、一応の経済的合理性を有するものである。上告人の給与規程は、賞与の支給の詳細についてはその都度回覧にて知らせるものとし、回覧に具体的な賞与支給の詳細を定めることを委任しているから、本件各回覧文書〔本件90%条項の適用に関し、産前産後休業については、出勤率算定の基礎とする出勤すべき日数に算入し、出勤した日数には含めない旨を定めた文書〕は、給与規程と一体となり、本件90%条項等の内容を具体的に定めたものと解される。本件各回覧文書によって具体化された本件90%条項は、労働基準法65条で認められた産前産後休業を取る権利〔…(略)…〕に基づく不就労を含めて出勤率を算定するものであるが、上述のような労働基準法65条〔…(略)…〕の趣旨に照らすと、これにより上記権利等の行使を抑制し、ひいては労働基準法等が< C >場合に限り、公序に反するものとして無効となると解するのが相当である」。
<選択肢>
⑤ 使用者に労働者の仕事と生活の調和にも配慮することを規定している趣旨を実質的に失わせるものと認められる
⑥ 上記権利等を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められる
⑪ 同法等に違反する行為に罰則を設けている意味を没却させる
⑳ 労働条件は労働者と使用者が対等の立場において決定すべきものとしている意味を没却させる
【解答】
<C> ⑥ 上記権利等を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められる
裁判要旨を読んでみましょう。
出勤率が90%以上の従業員を賞与支給対象者としこれに満たない者には賞与を支給しないこととする旨の就業規則条項の適用に関し、出勤率算定の基礎とする出勤すべき日数に産前産後休業の日数を算入し、出勤した日数に上記日数及び育児を容易にするための措置により短縮された勤務時間分を含めない旨を定めた就業規則の付属文書の定めは、従業員の年間総収入額に占める賞与の比重が高いため、上記条項により賞与が支給されない者の受ける経済的不利益が大きく、従業員が産前産後休業を取得し又は勤務時間短縮措置を受けた場合には、それだけで上記条項に該当して賞与の支給を受けられなくなる可能性が高いという事情の下においては、公序に反し無効である。 |
(東朋学園事件 平成15.12.4最高裁判所第一小法廷)
問題の考え方です
産前産後休業を取得すると、90%条項を満たせず、賞与を受けられなくなる可能性が高い → 「労働基準法の産前産後休業を取得する権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められる」と考えましょう。
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R8-012 9.05
令和7年の国民年金の選択式は、
①国民年金の保険料額
②学生納付特例の所得要件
からの出題でした。
どちらも数字の暗記が必要でした。
国民年金の保険料額について
過去問からどうぞ!
【R5年出題】
令和5年度の実際の国民年金保険料の月額は、平成29年度に引き上げが完了した上限である16,900円(平成16年度水準)に、国民年金法第87条第3項及び第5項の規定に基づき名目賃金の変動に応じて改定された。
【解答】
【R5年出題】 ×
令和5年度の実際の国民年金保険料の月額は、「平成29年度に引き上げが完了した上限である16,900円(平成16年度水準)」ではなく、「17,000円」に保険料改定率を乗じて得た額となります。
なお、保険料改定率は、毎年度、名目賃金変動率に応じて改定されます。
(法第87条)
平成16年の改正で、国民年金の保険料は、毎年度280円ずつ引き上げられ、平成29年度に引上げが完了しました。
産前産後期間の保険料免除制度が施行されたことにより、令和元年度以降は、保険料額は100円引き上げられ17,000円となっています。
令和7年の問題をどうぞ!
【R7年選択式】
国民年金の保険料は、< A >の年金制度改正により、< A >度水準で、毎年度280円ずつ段階的に引き上げてきたが、平成29年度に上限の< B >に達したため、引き上げを完了した。その上で、令和元年度から、< C >の財源とする目的で、保険料を100円引き上げている。ただし、毎年度の実際の保険料額は、国民年金法第87条第3項の規定により、この額に保険料改定率を乗じて算出するため、変動する。
<選択肢>
⑨ 13,300円 ⑩ 16,800円 ⑪ 16,900円 ⑫ 17,000円
⑬ 遺族基礎年金の父子家庭への支給
⑭ 産前産後期間の保険料免除制度
⑮ 年金額の特例水準の解消
⑯ 年金生活者支援給付金
⑰ 平成6年 ⑱ 平成12年 ⑲ 平成16年 ⑳ 平成24年
【解答】
<A> ⑲ 平成16年
<B> ⑪ 16,900円
<C> ⑭ 産前産後期間の保険料免除制度
学生納付特例に係る所得要件
まず過去問をどうぞ!
【H28年出題】
前年の所得(1月から3月までの月分の保険料については、前々年の所得。以下本問において同じ。)がその者の扶養親族等の有無及び数に応じ一定額以下の学生である第1号被保険者については、その者の世帯主又は配偶者の前年の所得にかかわらず、国民年金法第90条の3の規定による学生納付特例の適用を受けることができる。
【解答】
【H28年出題】 〇
学生納付特例については、「世帯主又は配偶者」の所得要件は問われないのがポイントです。
本人の所得のみで判断されます。
(法第90条の3)
令和7年の問題をどうぞ!
【R7年選択式】
学生納付特例に係る所得要件について、扶養親族等があるときは< D >万円に当該扶養親族等(特定年齢扶養親族にあっては、控除対象扶養親族に限る。)1人につき < E >万円(当該扶養親族等が所得税法に規定する同一生計配偶者又は老人扶養親族であるときは当該同一生計配偶者又は老人扶養親族1人につき48万円とし、当該扶養親族等が特定扶養親族等であるときは当該特定扶養親族等1人につき63万円とする。)を加算した額以下とする。
<選択肢>
① 32 ② 35 ③ 36 ④ 38
⑤ 103 ⑥ 106 ⑦ 128 ⑧ 168
【解答】
<D> ⑦ 128
<E> ④ 38
(令第6条の9)
・学生納付特例に係る所得要件は、扶養親族等がないときは128万円です。
・学生納付特例に係る所得要件の額と半額免除の所得要件の額は同じです。
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R8-011 9.04
令和7年の厚生年金保険の選択式は、
・定時決定
・再評価率の改定
・3号分割の対象にならない期間
・障害厚生年金のみの受給権が発生する場合
から出題されました。
定時決定について
令和7年の問題をどうぞ!
①【R7年選択式】
厚生年金保険法第21条第1項の規定によると、実施機関は、被保険者が毎年7月1日現に使用される事業所において同日前3月間(その事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が< A >(厚生労働省令で定める者(被保険者であって、その1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満である短時間労働者等)にあっては、< B >。)未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を決定するとされている。
<選択肢>
① 11日 ② 12日 ③ 13日 ④ 14日 ⑤ 15日 ⑥ 16日
⑦ 17日 ⑧ 18日
【解答】
<A> ⑦ 17日
<B> ① 11日
再評価率の改定について
R7年の問題をどうぞ!
②【R7年選択式】
厚生年金保険法第43条の4第1項の規定によると、調整期間における再評価率の改定については、< C >に、調整率に当該年度の前年度の特別調整率を乗じて得た率を乗じて得た率を基準とするとされている。
<選択肢>
⑫ 実質賃金変動率 ⑬ 実質手取り賃金変動率 ⑮ 名目賃金変動率
⑯ 名目手取り賃金変動率
【解答】
<C> ⑯ 名目手取り賃金変動率
過去問も解いてみましょう
①【H18年選択式】※改正による修正あり
1 平成16年の法改正により、年金額の改定は被保険者であった期間の標準報酬月額及び標準賞与額に係る< A >(生年度別)を改定することによって毎年度自動的に行われる方式に改められた。
2 新規裁定者(< B >歳到達年度前の受給権者)の年金額の改定には、 < C >を基準とした< A >を用い、既裁定者(< B >歳到達年度以後の受給権者)の年金額の改定には、前年の< D >(< D >が< C >を上回るときは、< C >)を基準とした< A >を用いる。
<選択肢>
① 60 ② 68 ③ 65 ④ 70
⑤ 基準年度再評価率 ⑥ 給付乗率 ⑦ 給付改定率 ⑧ 物価変動率
⑨ 名目賃金変動率 ⑩ 実質賃金変動率 ⑪ 物価上昇率
⑫ 名目手取り賃金変動率 ⑬ 消費者物価指数 ⑭ 再評価率
【解答】
<A> ⑭ 再評価率
<B> ② 68
<C> ⑫ 名目手取り賃金変動率
<D> ⑧ 物価変動率
ポイント!
新規裁定者は「名目手取り賃金変動率」、既裁定者は「物価変動率」を基準に改定されます。
②【R5年選択式】
令和X年度の年金額改定に用いる物価変動率がプラス0.2%、名目手取り賃金変動率がマイナス0.2%、マクロ経済スライドによるスライド調整率がマイナス0.3%、前年度までのマクロ経済スライドの未調整分が0%だった場合、令和X年度の既裁定者(令和X年度が68歳到達年度以後である受給権者)の年金額は、前年度から< A >となる。なお、令和X年度においても、現行の年金額の改定ルールが適用されているものとする。
<選択肢>
① 0.1%の引下げ ② 0.2%の引下げ ③ 0.5%の引下げ ④ 据置き
【解答】
<A> ② 0.2%の引下げ
ポイント!
・既裁定者の再評価率の改定は、原則として「物価変動率」が基準となります。
ただし、「物価変動率」が「名目手取り賃金変動率」を上回るときは、名目手取り賃金変動率を基準とします。
問題文は、物価変動率(+0.2%)>名目手取り賃金変動率(-0.2%)ですので、「名目手取り賃金変動率」を基準に改定します。そのため、「0.2%の引き下げ」となります。
なお、基準になる名目手取り賃金変動率がマイナスですので、マクロ経済スライドによる調整は行われません。
3号分割標準報酬改定請求について
最初に条文を読んでみましょう。
法第78条の14第1項 被保険者(被保険者であった者を含む。以下「特定被保険者」という。)が被保険者であった期間中に被扶養配偶者(当該特定被保険者の配偶者として国民年金の第3号被保険者に該当していたものをいう。)を有する場合において、当該特定被保険者の被扶養配偶者は、当該特定被保険者と離婚又は婚姻の取消しをしたときその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定めるときは、実施機関に対し、特定期間(当該特定被保険者が被保険者であった期間であり、かつ、その被扶養配偶者が当該特定被保険者の配偶者として国民年金の第3号被保険者であった期間をいう。)に係る被保険者期間の標準報酬(特定被保険者及び被扶養配偶者の標準報酬をいう。)の改定及び決定を請求することができる。 ただし、当該請求をした日において当該特定被保険者が障害厚生年金(当該特定期間の全部又は一部をその額の計算の基礎とするものに限る。)の受給権者であるときその他の厚生労働省令で定めるときは、この限りでない。 |
過去問をどうぞ!
【R1年出題】
障害厚生年金の受給権者である特定被保険者(厚生年金保険法第78条の14に規定する特定被保険者をいう。)の被扶養配偶者が3号分割標準報酬改定請求をする場合における特定期間に係る被保険者期間については、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となった特定期間に係る被保険者期間を改定又は決定の対象から除くものとする。
【解答】
【R1年出題】 〇
3号分割標準報酬改定請求をする場合の特定期間に係る被保険者期間については、特定被保険者の障害厚生年金の額の計算の基礎となった特定期間に係る被保険者期間は、改定又は決定の対象から除かれます。
では、令和7年の選択式をどうぞ!
③【R7年選択式】
平成2年1月生まれの甲は、平成23年1月に同い年の乙と結婚し、令和7年1月に離婚した。婚姻期間中、乙は厚生年金保険の被保険者であり、甲は国民年金の第3号被保険者であった。また、乙は、令和2年8月に初診日のある傷病により、令和4年2月の障害認定日に障害等級3級に該当しており、離婚時には、当該障害による障害厚生年金を受給していた。この事例において、3号分割標準報酬改定請求の対象とならない期間は、平成23年1月から< D >までである。
<選択肢>
⑰ 令和2年8月 ⑱ 令和4年1月 ⑲ 令和4年2月 ⑳ 令和6年12月
【解答】
<D> ⑲ 令和4年2月
・特定期間について
特定期間は、特定被保険者(甲)が被保険者であった期間で、かつ、その被扶養配偶者(乙)が国民年金の第3号被保険者であった期間です。
・特定期間の一部が、甲の障害厚生年金の計算の基礎となっています。
・甲の障害厚生年金の額の計算の基礎となった期間は、改定又は決定の対象から除かれます。
・障害厚生年金は、「障害認定日の属する月」までが計算の基礎となります。(法第51条)甲の障害厚生年金は、障害認定日の属する月である「令和4年2月」までが計算の基礎になっています。
・3号分割標準報酬改定請求の対象にならない期間は、障害厚生年金の計算の基礎になっている「平成23年1月から令和4年2月」までとなります。
障害厚生年金の受給権のみ発生する場合
最初にポイントを確認しましょう!
厚生年金保険の被保険者は、国民年金の第2号被保険者です。
ただし、厚生年金保険の被保険者でも、「65歳以上で、老齢基礎年金、老齢厚生年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付の受給権を有するもの」は第2号被保険者となりません。
(国民年金法附則第3条)
では、令和7年の問題をどうぞ!
④【R7年選択式】
厚生年金保険の被保険者丙は、令和7年8月1日に自宅内で倒れて、病院に緊急搬送された。丙は、同日において、67歳の男性であり、老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに繰下げ待機中である。この傷病によって、丙が障害認定日に、障害等級2級と認定された場合、受給権が発生する障害年金は、< E >。なお、丙に保険料滞納期間はないものとする。
<選択肢>
⑨ 障害基礎年金と障害厚生年金である
⑩ 障害基礎年金のみである
⑪ 障害厚生年金のみである
⑭ 存在しない
【解答】
<E> ⑪ 障害厚生年金のみである
ポイント!
丙は、厚生年金保険の被保険者ですが、67歳で、かつ老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給権を有しているため、国民年金の第2号被保険者ではありません。
・障害厚生年金について
→「初診日」に、厚生年金保険の被保険者ですので、初診日要件を満たします。
・障害基礎年金について
→「初診日」に国民年金の被保険者ではありませんので、初診日要件を満たしません。
・丙には、「障害厚生年金の受給権のみ」発生します。
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R8-010 9.03
健康保険法の令和7年選択式は、「出産育児一時金の支給要件と額」、「任意適用事業所を適用事業所でなくするときの手続き」からの出題でした。
出産育児一時金の支給要件と額について
まず過去問からどうぞ!
①【R5年出題】
令和5年4月1日以降、被保険者の被扶養者が産科医療補償制度に加入する医療機関等で医学的管理の下、妊娠週数22週以降に双子を出産した場合、家族出産育児一時金として、被保険者に対し100万円が支給される。
【解答】
①【R5年出題】 〇
・ 出産育児一時金の額は、488,000円です。(令第36条)
・ なお、公益財団法人日本医療機能評価機構が運営する産科医療補償制度に加入する医療機関等の医学的管理下で、在胎週数22週に達した日以後の出産がなされたことが認められた場合には、出産育児一時金等の額は12,000円を加算して50万円が支給されます。
・ 胎児数に応じて支給されますので、双児の場合は50万円×2=100万円が支給されます。
(令和5.3.30保保発0330第8号)
②【H21年出題】
出産育児一時金又は家族出産育児一時金は、妊娠85日以後の出産であれば、生産、死産、流産(人工妊娠中絶を含む。)又は早産を問わず、支給される。
【解答】
②【H21年出題】 〇
出産育児一時金又は家族出産育児一時金は、「妊娠4か月以上(85日以後)」の出産が対象です。
1か月を28日で計算しますので、4か月目に入った日は、28日×3+1日=85日目となります。
(昭3.3.16保発第11号、昭27.6.16保文発2427号)
では、令和7年の選択式をどうぞ!
【R7年選択式】
被保険者が出産したときは、出産育児一時金として、政令で定める金額が支給される。政令で定める金額は、< A >円である。ただし、病院、診療所、助産所その他の者であって、所定の要件のいずれにも該当する出産であると保険者が認めるときは、 < A >円に、< B >万円を超えない範囲内で保険者が定める金額を加算した金額である。出産育児一時金は、妊娠4か月(< C >日)以上の出産であれば、早産、死産、流産、人工妊娠中絶であっても支給される。
<選択肢>
① 1 ② 2 ④ 3 ⑧ 5
⑨ 84 ⑩ 85 ⑪ 86 ⑫ 87
⑬ 46万8,000 ⑭ 47万8,000 ⑮ 48万8,000 ⑯ 49万8,000
【解答】
<A> ⑮ 48万8,000
<B> ④ 3
<C> ⑩ 85
任意適用事業所の脱退について
「任意適用事業所」は、脱退することができます。
まず、過去問をどうぞ!
①【H26年出題】
任意適用事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所でなくすることができる。事業主がこの申請を行うときは、健康保険任意適用取消申請書に、被保険者の3分の2以上の同意を得たことを証する書類を添付しなければならない。
【解答】
①【H26年出題】 ×
任意適用事業所の事業主が適用事業所でなくするための認可の申請を行うときは、当該事業所に使用される者(被保険者である者に限る。)の4分の3以上の同意が必要です。
健康保険任意適用取消申請書に、被保険者の「3分の2」ではなく「4分の3」以上の同意を得たことを証する書類を添付しなければなりません。
(則第22条第2項)
②【H28年出題】
任意適用事業所に使用される者(被保険者である者に限る。)の4分の3以上が事業主に対して任意適用取消しの申請を求めた場合には、事業主は当該申請を厚生労働大臣に対して行わなければならない。
【解答】
②【H28年出題】 ×
任意適用事業所に使用される者(被保険者である者に限る。)の4分の3以上が事業主に対して任意適用取消しの申請を求めたとしても、事業主は当該申請を厚生労働大臣に対して行う義務はありません。
令和7年の選択式をどうぞ!
【R7年選択式】
健康保険法第31条第1項の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所でなくすることができる。認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(被保険者である者に限る。)の< D >以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。認可の申請は、事業主の氏名及び住所並びに事業所の名称及び所在地を記載した申請書を< E >等に提出することによって行う。この申請書には、被保険者の同意を得たことを証する書類を添付しなければならない。
<選択肢>
② 2分の1 ⑤ 3分の1 ⑥ 3分の2 ⑦ 4分の3
⑰ 社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会
⑱ 社会保険診療報酬支払基金又は地方校正局長
⑲ 日本年金機構又は国民健康保険団体連合会
⑳ 日本年金機構又は地方厚生局長
【解答】
<D> ⑦ 4分の3
<E> ⑳ 日本年金機構又は地方厚生局長
(則第22条)
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R8-009 9.02
社会保険に関する一般常識の選択式については、令和7年は、5つのテーマから出題されています。
順番にみていきましょう
【R7年選択式】
厚生労働省から令和6年6月に公表された「令和5年度の国民年金の加入・保険料納付状況」によると、第1号被保険者の国民年金保険料の納付状況についてみると、令和5年度の最終納付率(令和3年度分保険料)は、< A >%となっている。
<選択肢>
① 53.1 ② 68.1 ③ 83.1 ④ 98.1
【解答】
<A> ③ 83.1
今回の問題は、「令和5年度の国民年金の加入・保険料納付状況」ですが、令和7年6月に「令和6年度の国民年金の加入・保険料納付状況」が公表されていますので、最新のデータを読んでみます。
「令和6年度の国民年金の加入・保険料納付状況」のポイント!
・第1号被保険者の令和6年度の最終納付率(令和4年度分保険料)は、84.5%となっています。前年度から1.5ポイント増加し、平成24年度の最終納付率(平成22年度分保険料)64.5%から20.0 ポイント増加し、12年連続で上昇しています。
・平成22年1月に発足した日本年金機構では、発足当初60%台であった最終納付率について、80%台の安定的確保とその持続的向上を目指して取組を実施した結果、最高値を更新しています。(3年連続で80%台)
解き方のヒントについて
国民年金の保険料を納付しやすい取り組みが様々行われていること(口座振替やコンビニ納付など)で、納付率を考えてみるとよいと思います。
【R7年選択式】
高齢者医療確保法第4条第1項では、「< B >は、この法律の趣旨を尊重し、住民の高齢期における医療に要する費用の適正化を図るための取組及び高齢者医療制度の運営が適切かつ円滑に行われるよう所要の施策を実施しなければならない。」と規定している。
<選択肢>
⑥ 国 ⑦ 後期高齢者医療広域連合 ⑮ 地方公共団体 ⑳ 保険者
【解答】
<B> ⑮ 地方公共団体
高齢者医療確保法では、「国の責務」、「地方公共団体の責務」、「保険者の責務」、「医療の担い手等の責務」が定められています。
「国」の責務のキーワードは、「国民の高齢期における医療」、「関連施策を積極的に推進しなければならない。」です。(第3条)
「地方公共団体の責務」のキーワードは、「住民の高齢期における医療」、「所要の施策を実施しなければならない。」です。(第4条)
「保険者」の責務のキーワードは、「加入者の高齢期における健康の保持」、「高齢者医療制度の運営が健全かつ円滑に実施されるよう協力しなければならない。」です。(法第5条)
なお、「後期高齢者医療広域連合」は、後期高齢者医療の事務を処理するために、設けられたものです。
【R7年選択式】
介護保険法第2条第2項では、「前項の保険給付は、要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資するよう行われるとともに、< C >に十分配慮して行われなければならない。」と規定している。
<選択肢>
⑤ 医療との連携 ⑫ 事業者又は施設との連携 ⑱ 被保険者の心身の状況
⑲ 被保険者の自立した日常生活
【解答】
<C> ⑤ 医療との連携
★介護保険法第2条第2項は、平成20年に択一式でも出題されています。
介護保険法の総則の部分は毎年のように出題されていますので、択一式でも選択式でも対応できるようにしましょう。
【R7年選択式】
確定給付企業年金法第60条第2項では、「< D >は、当該事業年度の末日における給付に要する費用の額の予想額の現価から掛金収入の額の予想額の現価を控除した額を基準として、厚生労働省令で定めるところにより算定した額とする。」と規定している。
<選択肢>
⑧ 最低積立基準額 ⑭ 責任準備金の額 ⑯ 積立金の額 ⑰ 積立上限額
【解答】
<D> ⑭ 責任準備金の額
用語の定義を確認しましょう。
法第59条 (積立金の積立て) 事業主等は、毎事業年度の末日において、給付に充てるべき積立金(以下「積立金」という。)を積み立てなければならない。 法第60条 (積立金の額) ① 積立金の額は、加入者及び加入者であった者(以下「加入者等」という。)に係る次項に規定する責任準備金の額及び第3項に規定する最低積立基準額を下回らない額でなければならない。 ② 責任準備金の額は、当該事業年度の末日における給付に要する費用の額の予想額の現価から掛金収入の額の予想額の現価を控除した額を基準として、厚生労働省令で定めるところにより算定した額とする。 ③ 最低積立基準額は、加入者等の当該事業年度の末日までの加入者期間に係る給付として政令で定める基準に従い規約で定めるものに要する費用の額の予想額を計算し、これらの予想額の合計額の現価として厚生労働省令で定めるところにより算定した額とする。 |
■責任準備金は、「今後とも年金制度を継続するとした場合に現在保有しておくべき積立金」です。(継続基準といいます)
■最低積立基準額は、「現時点で年金制度を終了させるとした場合に加入者等の給付を賄うことのできる積立金」です。(非継続基準といいます)
(参考 厚生労働省「確定給付企業年金の積立基準について」)
【R7年選択式】
令和6年版厚生労働白書によると、「多様化する国民の老後生活に対するニーズに対応しつつ、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るためには、老後生活の基本を支える公的年金に加え、企業年金・個人年金の充実が重要である。私的年金制度については、「< E >」(令和4(2022)年11月28日新しい資本主義実現会議決定)において、①iDeCoの加入可能年齢を70歳に引き上げること、②iDeCoの拠出限度額の引上げ等について、2024年の公的年金の財政検証に併せて結論を得ること、③iDeCo各種手続きの簡素化等を行うこととされた」とある。
<選択肢>
⑨ 資産所得倍増プラン ⑩ 生涯現役計画 ⑪ 所得倍増プラン
⑬ 人生100年計画
【解答】
<E> ⑨ 資産所得倍増プラン
(令和6年厚生労働白書)
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R8-008 9.01
令和7年の労働に関する一般常識の選択式から学ぶことは、「問題文の中からヒントを探し出す」ことです。
統計からみた我が国の高齢者
①【R7年選択式】
総務省「統計からみた我が国の高齢者(統計トピックス№142)(令和6年9月15日)」によれば、65歳以上の就業者を主な産業別にみると、「卸売業,小売業」が132万人と最も多く、次いで「< A >」が107万人で続いている。
産業別に65歳以上の就業者を10年前と比較すると、「< A >」が63万人増加し、10年前の約2.4倍となった。ほとんどの主な産業で65歳以上の就業者が増加している一方で、「< B >」の65歳以上の就業者は10年前と比較して3万人減少している。なお、各産業の就業者に占める65歳以上の就業者の割合をみると、 「< B >」が52.9%と最も高くなっている。
<選択肢>
② 医療、福祉 ③ 運輸業、郵便業 ⑩ 建設業 ⑬ 宿泊業、飲食サービス業 ⑭ 生活関連サービス業、娯楽業 ⑮ 製造業 ⑰ 農業、林業
⑱ 不動産業、物品賃貸業
【解答】
<A> ② 医療、福祉
<B> ⑰ 農業、林業
(総務省「統計からみた我が国の高齢者(統計トピックス№142)(令和6年9月15日)」)
★こんなふうに考えてみるのはどうでしょう
<A>について
ヒントは「10年前の約2.4倍となった」の部分です。
高齢化が進む中で就業者が増えるといえば、「医療、福祉」でしょうか。。。
<B>について
「統計からみた我が国の高齢者」を読みますと、「ほとんどの主な産業で65歳以上の就業者が増加している一方で、「農業,林業」の65歳以上の就業者は10年前と比較して3万人減少しています。
なお、各産業の就業者に占める65歳以上の就業者の割合をみると、「農業,林業」が52.9%と最も高く、次いで「不動産業,物品賃貸業」が26.6%、「サービス業(他に分類されないもの)」が22.7%、「生活関連サービス業,娯楽業」が19.6%などとなっています。」となっています。
ヒントも見つけにくく、ちょっと難しいですね。。。
パワハラの定義について
②【R7年選択式】
労働施策総合推進法第30条の2第1項は、「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、< C >によりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」と定めている。
<選択肢>
⑤ 客観的に合理的な理由を欠いたもの
⑥ 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
⑯ 通常甘受すべき程度を著しく超えるもの
⑳ 労働関係の当事者としての権利を濫用するもの
【解答】
<C> ⑥ 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
★職場におけるパワハラは次の3つの要素をすべて満たしたものです。
① 優越的な関係を背景とした言動
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
③ 労働者の就業環境が害される
★客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、パワハラに該当しません。
過去問も解いてみましょう
【R3年出題】
労働施策総合推進法第30条の2第1項の「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」とする規定が、令和2年6月1日に施行されたが、同項の事業主のうち、同法の附則で定める中小事業主については、令和4年3月31日まで当該義務規定の適用が猶予されており、その間、当該中小事業主には、当該措置の努力義務が課せられている。
【解答】
【R3年出題】 〇
「職場におけるパワーハラスメント対策」が大企業に対して義務化されたのは、令和2年6月1日からです。また、中小企業に対しては、令和4年4月1日から義務化されています。
最高裁判例について
③【R7年選択式】
最高裁判所は、使用者が労働組合に対し組合集会等のための従業員食堂の使用を許諾しない状態が続いていることをもって不当労働行為に当たるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。
「組合結成通知を受けてからX守衛事件まで約9か月にわたり、上告人〔会社〕は、許可願の提出があれば業務に支障のない限り食堂の使用を許可していたというのであるが、そのことから直ちに上告人が組合に対し食堂の使用につき包括的に許諾をしていたものということはできず、その取扱いを変更することが許されなくなるものではない。一方、X守衛事件が起きた直後に上告人から会場使用許可願を却下されて以来、組合は、上告人所定の会場使用許可願用紙を勝手に書き変えた使用届を提出するだけで、上告人の許可なく食堂を使用するようになり、こうした無許可使用を上告人が食堂に施錠するようになるまで5か月近く続けていたのであって、これが上告人の< D >権を無視するものであり、正当な組合活動に当たらないことはいうまでもない。上告人は、組合に対し、所定の会場使用許可願を提出すること、上部団体の役員以外の外部者の入場は総務部長の許可を得ること、排他的使用をしないことを条件に、支障のない限り、組合大会開催のため食堂の使用を許可することを提案しているのであって、このような提案は、< D >者の立場からは合理的理由のあるものであり、許可する集会の範囲が限定的であるとしても、組合の拒否を見越して形式的な提案をしたにすぎないということはできない。また、上告人は組合に対し使用を拒む正当な理由がない限り食堂を使用させることとし、外部者の入場は制限すべきではないなどとする組合からの提案も、上告人の< D >権を過少に評価し、あたかも組合に食堂の利用権限があることを前提とするかのような提案であって、組合による無許可使用の繰り返しの事実を併せ考えるならば、上告人の< D >権を無視した要求であると上告人が受け止めたことは無理からぬところである。そうすると、上告人が、X守衛事件を契機として、従前の取扱いを変更し、その後、食堂使用について< D >権を前提とした合理的な準則を定立しようとして、上告人の< D >権を無視する組合に対し使用を拒否し、使用条件について合意が成立しない結果、自己の見解を維持する組合に対し食堂を使用させない状態が続いたことも、やむを得ないものというべきである。
以上によれば、本件で問題となっている施設が食堂であって、組合がそれを使用することによる上告人の業務上の支障が一般的に大きいとはいえないこと、組合事務所の貸与を受けていないことから食堂の使用を認められないと企業内での組合活動が困難となること、上告人が労働委員会の勧告を拒否したことなどの事情を考慮してもなお、条件が折り合わないまま、上告人が組合又はその組合員に対し食堂の使用を許諾しない状態が続いていることをもって、上告人の権利の濫用であると認めるべき特段の事情があるとはいえず、< E >であるとも断じ得ないから、上告人の食堂使用の拒否が不当労働行為に当たるということはできない。」
<選択肢>
④ 管理監督 ⑪ 指揮命令 ⑫ 施設管理 ⑲ 利用許諾
① いたずらに組合秩序を混乱させようとしたもの
⑦ 組合に対する報復行為を行ったもの
⑧ 組合の施設利用権限を不利益に変更したもの
⑨ 組合の弱体化を図ろうとしたもの
【解答】
③【R7年選択式】
<D> ⑫ 施設管理
<E> ⑨ 組合の弱体化を図ろうとしたもの
(オリエンタルモーター事件・平成7.9.8最高裁判所第二小法廷)
★「使用者が労働組合に対し組合集会等のための従業員食堂の使用を許諾しない状態が続いていることをもって不当労働行為に当たるということはできない」とされた事例です。
<D>について
「食堂の使用を許諾しない」をヒントにすると、食堂=施設ですので、「施設管理」がピッタリ当てはまります。業務命令の話ではないので、「管理監督」、「指揮命令」は候補から外すことができると思います。
<E>について
「報復行為」ではありませんし、「不利益に変更」でもありませんし、「秩序を混乱させよう」でもありません。「弱体化を図ろうとした」が当てはまります。
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R8-007 8.31
毎週日曜日は総集編をお届けします。
今回は、令和7年8月27日から30日までの動画の総集編です。
まとめて見ることができますので、ご活用ください。
・ (R7年選択)労基法第114条付加金の支払(労働基準法)
・ (R7年選択)「今後における労働衛生対策の推進に関する基本方針について」と「機械等に関する規制」(労働安全衛生法)
・(R7年選択式) 遺族補償年金の遺族の障害要件と社会復帰促進等事業(労災保険法)」
・(R7年選択式)目的、高年齢求職者給付金、日雇労働求職者給付金(雇用保険法)
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R8-006 8.30
令和7年の雇用保険法の選択式は、「目的」、「高年齢求職者給付金」、「日雇労働求職者給付金」から出題されています。
令和7年の雇用保険法の選択式から学ぶことは?
・目的条文は必須です!
・同じ論点が繰り返し出題されます!
目的条文について
①【R7年選択式】
雇用保険法第1条は、「雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合< A >をした場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、< B >、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。」と規定している。
<選択肢>
① 及び労働者が子を養育するための休業
② 並びに労働者が子を養育するための休業及び所定労働時間を短縮することによる就業
③ 並びに労働者が子を養育するための休業及び対象家族を介護するための休業
④ 並びに労働者が子を養育する若しくは対象家族を介護するための休業及び所定労働時間を短縮することによる就業
⑤ 経済的社会的地位の向上 ⑥ 産業に必要な労働力の充足
⑦ 失業の予防 ⑧ 転職の支援
【解答】
<A> ② 並びに労働者が子を養育するための休業及び所定労働時間を短縮することによる就業
<B> ⑦ 失業の予防
<A>について
★令和7年4月の改正箇所からの出題です。
雇用保険には、「失業等給付」と「育児休業等給付」があります。
<A>は「育児休業等給付」をあらわす用語が入ります。
「育児休業等給付」の内容を下の図で確認しましょう
改正で追加された部分からの出題でした。
高年齢求職者給付金について
令和7年の選択式をどうぞ!
②【R7年選択式】
雇用保険法第37条の4第5項は、「高年齢求職者給付金の支給を受けようとする高年齢受給資格者は、離職の日の翌日から起算して< C >を経過する日までに、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭し、< D >、失業していることについての認定を受けなければならない。」と規定している。
<選択肢>
① 1か月 ② 4か月 ③ 6か月 ④ 1年
⑤ 求職の申込みをした上
⑥ 高年齢受給資格者失業認定申告書を提出した上
⑦ 雇用保険被保険者証を提出した上
⑧ 退職証明書を提出した上
【解答】
<C> ④ 1年
<D> ⑤ 求職の申込みをした上
★ちなみに
<C>について
「1年」は平成21年の選択式でも出題されています。特例一時金の「6か月」とひっかけて出題される個所です。
<D>について
「被保険者証を提出する場面ではない」、「失業認定申告書は失業の認定日に提出するもの」というように、消去法で考えればOKです。
日雇労働求職者給付金について
日雇労働求職者給付金には、「普通給付」と「特例給付」があり、今回は「特例給付」の受給要件からの出題です。
まず過去問からどうぞ!
【H23年選択式】
日雇労働被保険者が失業した場合に支給される日雇労働求職者給付金には、いわゆる普通給付と特例給付の2つがあり、特例給付を受給するためには、当該日雇労働被保険者について、継続する< A >月間に、印紙保険料が各月11日分以上納付され、かつ、通算でも一定の日数分以上納付されていることが必要である。
【解答】
【H23年選択式】
<A> 6
では、令和7年の選択式をどうぞ!
③【R7年選択式】
雇用保険法第53条第1項は、日雇労働被保険者が失業した場合に日雇労働求職者給付金の支給を受けるための要件の1つとして、継続する6月間に当該日雇労働被保険者について印紙保険料が各月11日分以上、かつ、通算して< E >分以上納付されていることを定めている。
<選択肢>
① 72日 ② 78日 ③ 84日 ④ 90日
【解答】
<E> ② 78日
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R8-005 8.29
令和7年の選択式で出題された「遺族補償年金の遺族の障害要件」と
「社会復帰促進等事業」をみていきましょう。
遺族補償年金の遺族の障害要件について
遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の「配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹」で、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものです。
ただし、「妻」以外は、労働者の死亡の当時、「年齢要件」か「障害要件」を満たしていることが必要です。
「障害要件」は、過去に出題されています。
過去問をどうぞ!
【H19年出題】
遺族補償年金又は遺族年金の受給資格要件の一つである厚生労働省令で定める障害の状態は、身体に障害等級第5級以上に該当する障害がある状態又は傷病が治らないで、身体の機能若しくは精神に、労働が高度の制限を受けるか、若しくは労働に高度の制限を加えることを必要とする程度以上の障害がある状態である。
【解答】
【H19年出題】 〇
遺族の要件の一つである「厚生労働省令で定める障害の状態」のポイントは、「第5級以上」、「労働が高度の制限を受ける」の部分です。
なお、この規定は、複数事業労働者遺族年金にも準用されます。
(則第15条)
では、令和7年の問題をどうぞ!
【R7年選択式】
遺族補償年金を受けることができる、障害の状態にある遺族の障害の状態について、労災保険法施行規則第15条は、「障害の状態は、身体に別表第1の障害等級の < A >に該当する障害がある状態又は負傷若しくは疾病が治らないで、身体の機能若しくは精神に、< B >が高度の制限を受けるか、若しくは< B >に高度の制限を加えることを必要とする程度以上の障害がある状態とする。」と定めている。
<選択肢>
① 第1級 ② 第5級以上 ③ 第8級以上 ④ 第12級以上
⑤ 日常生活 ⑥ 日常生活又は社会生活 ⑦ 労働 ⑧ 労働又は社会生活
【解答】
【R7年選択式】
<A> ② 第5級以上
<B> ⑦ 労働
「社会復帰促進等事業」について
「長期家族介護者援護金」と「判例」からの出題です。
ヒントになる過去問を解いてみましょう
①【H22年出題】
特別支給金の支給は、社会復帰促進等事業として行われるものであるが、その事務は所轄労働基準監督署長が行う。
【解答】
①【H22年出題】 〇
特別支給金の支給の事務は所轄労働基準監督署長が行います。
条文を読んでみましょう。
則第1条第3項 労働者災害補償保険等関係事務のうち、保険給付(二次健康診断等給付を除く。)並びに社会復帰促進等事業のうち労災就学等援護費及び特別支給金の支給並びに厚生労働省労働基準局長が定める給付に関する事務は、都道府県労働局長の指揮監督を受けて、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)が行う。ただし、次の各号に掲げる場合は、当該各号に定める者を所轄労働基準監督署長とする。 (1) 事業場が2以上の労働基準監督署の管轄区域にまたがる場合 その事業の主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署長 (2) 当該労働者災害補償保険等関係事務が複数業務要因災害に関するものである場合 生計維持事業の主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署長 |
②【H29年出題】
労働基準監督署長の行う労災就学援護費の支給又は不支給の決定は、法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使とはいえず、被災労働者又はその遺族の権利に直接影響を及ぼす法的効果を有するものではないから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとするのが、最高裁判所の判例の趣旨である。
【解答】
②【H29年出題】 ×
労働基準監督署長の行う労災就学援護費の支給又は不支給の決定は、法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使であり、被災労働者又はその遺族の権利に直接影響を及ぼす法的効果を有するものであるから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとするのが、最高裁判所の判例の趣旨です。
(平15.9.4最高裁判所第一小法廷 中央労基署長(労災就学援護費)事件)
では、令和7年の問題をどうぞ!
【R7年選択式】
労災保険法施行規則第36条第1項は、「長期家族介護者援護金は、別表第1の障害等級第1級若しくは第2級の障害補償年金、複数事業労働者障害年金若しくは障害年金又は別表第2の傷病等級第1級若しくは第2級の傷病補償年金、複数事業労働者傷病年金若しくは傷病年金を受けていた期間が< A >以上である者の遺族のうち、支援が必要な者として厚生労働省労働基準局長が定める要件を満たす者に対して、支給するものとする。」と規定している。
<選択肢>
① 3年 ② 5年 ③ 7年 ④ 10年
【解答】
<A> ④ 10年
★「長期家族介護者援護金」の内容まで暗記するのは大変です。
過去問でもカバーできません。
「長期」をヒントに考えると、「10年かな?」と考えられると思いますが、難しいです。
【R7年選択式】
最高裁判所は、労災就学援護費不支給決定が抗告訴訟の対象となるかが問題となった事件において、次のように判示した。
「労災就学援護費に関する制度の仕組みにかんがみれば、〔労災保険〕法は,労働者が業務災害等を被った場合に、政府が、〔労災保険〕法第3章の規定に基づいて行う保険給付を< A >するために、労働福祉事業〔現・社会復帰促進等事業〕として、保険給付と同様の手続により、被災労働者又はその遺族に対して労災就学援護費を支給することができる旨を規定しているものと解するのが相当である。そして、被災労働者又はその遺族は、上記のとおり、所定の支給要件を具備するときは所定額の労災就学援護費の支給を受けることができるという抽象的な地位を与えられているが,具体的に支給を受けるためには,< B >に申請し、所定の支給要件を具備していることの確認を受けなければならず、< B >の支給決定によって初めて具体的な労災就学援護費の支給請求権を取得するものといわなければならない。
そうすると、< B >の行う労災就学援護費の支給又は不支給の決定は、〔労災保険〕法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使であり、被災労働者又はその遺族の上記権利に直接影響を及ぼす法的効果を有するものであるから,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるものと解するのが相当である。」
<選択肢>
① 確保 ② 代替 ③ 補完 ④ 付加
⑤ 厚生労働大臣 ⑥ 都道府県労働局長 ⑦ 労働基準監督署長
⑧ 労働者災害補償保険審査官
【解答】
<A> ③ 補完
<B> ⑦ 労働基準監督署長
(平15.9.4最高裁判所第一小法廷 中央労基署長(労災就学援護費)事件)
判例を一字一句覚える必要はありませんが、文脈でヒントを探してみましょう
<A>について
法第2条の2で、「労働者災害補償保険は、第1条の目的を達成するため、業務上の事由、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に関して保険給付を行うほか、社会復帰促進等事業を行うことができる。」と定められています。
主たる事業は「保険給付」で、「社会復帰促進等事業」は附帯する事業として行うことができるという位置づけです。
試しに、選択肢を入れてみると、「保険給付を確保するため」、「保険給付を代替するため」、「保険給付を付加するため」、どれも社会復帰促進等事業の説明としてはしっくりきません。「補完」を入れると、「保険給付を補完するため」となり、ぴったりします。
<B>について
先ほどの条文で読みましたように、所轄労働基準監督署長は、「保険給付(二次健康診断等給付を除く。)並びに社会復帰促進等事業のうち労災就学等援護費及び特別支給金の支給並びに厚生労働省労働基準局長が定める給付に関する事務」を行います。
その条文から、「労働基準監督署長」を選ぶことができますが、問題文の中に「保険給付と同様の手続により、被災労働者又はその遺族に対して労災就学援護費を支給することができる旨を規定している」もヒントになります。「保険給付と同様の手続」という部分で、「労働基準監督署長」を選ぶことができます。
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R8-004 8.28
令和7年の労働安全衛生法の選択式は、「今後における労働衛生対策の推進に関する基本方針について」、
「機械等に関する規制」から出題されました。
について
「今後における労働衛生対策の推進に関する基本方針について」の「基本的な考え方」からの出題でした。
平成29年の選択式が参考になります。
問題を見てみましょう。
【H29年選択式】
労働安全衛生法第65条の3は、いわゆる労働衛生の3管理の一つである作業管理について、「事業者は、労働者の< A >に配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理するように努めなければならない。」と定めている。
【解答】
①【H29年選択式】
<A> 健康
労働安全衛生法第65条の3は、いわゆる労働衛生の3管理の一つである作業管理について、「事業者は、労働者の健康に配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理するように努めなければならない。」と定めている。
★ちなみに、労働衛生の3管理とは、「作業環境管理」、「作業管理」、「健康管理」です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
令和7年の問題については、問題文の中の、「労働衛生管理活動」、「作業環境管理」、「健康管理」がヒントになります。
では、令和7年の選択式をみてみましょう。
【R7年選択式】
事業者は、労働安全衛生法第22条に基づき、健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならないが、事業場における自主的な労働衛生管理活動の促進を図るためには、総括安全衛生管理者、産業医、衛生管理者、衛生推進者等の選任及び職務の励行、衛生委員会の設置及び運営等の労働衛生管理体制の確立を基本とした上で、作業環境管理、< A >及び健康管理並びに労働衛生教育の総合的な実施の徹底を図っていく必要がある。
<選択肢>
① 作業管理 ② 生産管理 ③ 有害物管理 ④ 労働時間管理
【解答】
<A> ① 作業管理
問題文のポイントは赤の部分です。
↓
事業者は、労働安全衛生法第22条に基づき、健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならないが、事業場における自主的な労働衛生管理活動の促進を図るためには、総括安全衛生管理者、産業医、衛生管理者、衛生推進者等の選任及び職務の励行、衛生委員会の設置及び運営等の労働衛生管理体制の確立を基本とした上で、作業環境管理、< A >及び健康管理並びに労働衛生教育の総合的な実施の徹底を図っていく必要がある。
↓
★労働衛生の3管理のうち、「作業環境管理」と「健康管理」が出ていますので、残りの一つの「作業管理」が入ります。
今後における労働衛生対策の推進に関する基本方針について(平26.2.17基発0217第7号)
について
「譲渡等の制限等」からの出題です。
今回は、第42条からの出題でしたが、平成22年には、第43条から選択問題が出題されています。
H22年選択式をどうぞ!
【H22年選択式】
労働安全衛生法第43条においては、「動力により駆動される機械等で、作動部分上の < A >又は動力伝導部分若しくは調速部分に厚生労働省令で定める防護のための措置が施されていないものは、譲渡し、貸与し、又は譲渡若しくは貸与の目的で < B >してはならない。
【解答】
【H22年選択式】
<A> 突起物
<B> 展示
では、令和7年の選択式をどうぞ!
【R7年選択式】
労働安全衛生法第42条は、「特定機械等以外の機械等で、別表第2に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、< A >、又は設置してはならない。」と定めている。
<選択肢>
① 譲渡し、貸与し ② 譲渡し、展示し ③ 販売し、賃貸し
④ 販売し、販売のために展示し
【解答】
【R7年選択式】
<A> ① 譲渡し、貸与し
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R8-003 8.27
令和7年度の労働基準法の選択式は、3つの穴埋めのうち、2つは第114条(付加金の支払)から、1つは判例から出題されました。
「付加金の支払」について、令和7年の選択式のポイントは
・付加金の支払を命ずるのは誰?
・「付加金」の名称そのもの
でした。
ちなみに、過去には、「付加金」を請求できる4つの場合が出題されています。
条文を読んでみましょう。
第114条 (付加金の支払) 裁判所は、第20条(解雇予告手当)、第26条(休業手当)若しくは第37条(割増賃金)の規定に違反した使用者又は第39条第9項(年次有給休暇の期間又は時間)の規定による賃金を支払わなかった使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあった時から5年(当分の間3年)以内にしなければならない。 |
・付加金の対象になるのは
①解雇予告手当を支払わない
②休業手当を支払わない
③割増賃金を支払わない
④年次有給休暇の期間又は時間の賃金を支払わない
の4つの場合です。
・付加金の額は、
使用者が支払わなければならない未払金の額と「同一額」です。
過去問をどうぞ!
【H24年出題】※改正による修正あり
裁判所は、労働基準法第20条(解雇予告手当)、第26条(休業手当)若しくは第37条(割増賃金)の規定に違反した使用者又は第39条第9項の規定による賃金(年次有給休暇の期間又は時間の賃金)を支払わなかった使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができることとされているが、この付加金の支払に関する規定は、同法第24条第1項に規定する賃金の全額払の義務に違反して賃金を支払わなかった使用者に対しては適用されない。
【解答】
【H24年出題】 〇
付加金の支払は、「解雇予告手当」、「休業手当」、「割増賃金」、「年次有給休暇の期間又は時間の賃金」の4つを支払わない場合に適用されます。
「賃金の全額払の義務に違反して賃金を支払わなかった」場合は、適用されません。
令和7年の選択式をどうぞ!
労働基準法第114条は、< A >は、同法第37条の規定に違反した使用者に対して、労働者の請求により、同条の規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の< B >の支払を命ずることができる旨規定している。
【選択肢】
① 厚生労働大臣 ② 裁判所 ③ 都道府県労働局長
④ 労働基準監督署長
⑤ 慰謝料 ⑥ 遅延損害金 ⑦ 賠償金 ⑧ 付加金
【解答】
<A> ② 裁判所
<B> ⑧ 付加金
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R8-002 8.26
毎週日曜日(今回は例外で火曜日です)は総集編をお届けします。
今回は、令和7年8月18日から24日までの動画の総集編です。
まとめて見ることができますので、ご活用ください。
☟
・<横断編>賃金の定義を確認しましょう(労基・雇用・徴収)
・短時間労働者が被保険者になる条件のポイント!<健保・厚年>
・<横断編>書類の保存期間を確認しましょう 「安衛・労災・雇用・徴収・健保・厚年」
・意外と問われる社会保険労務士法の数字(社会保険労務士法)
・覚えたことは忘れない!「元方事業者」(労働安全衛生法)
・本試験前に第1条を総ざらいしましょう!(穴埋め問題もあります)
・いよいよ当日です!社一の第1条をチェックします
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R8-001 8.25
昨日はお疲れさまでした。
試験が終わって、お一人お一人、色々な思いがあると思います。
毎日、本当に忙しいですよね。
仕事もあるし、家のこともあるし、他にも気になることがたくさん。。。「時間が足りない」と思うことが多いと思います。
そんな中で、時間を作って社労士の勉強を続けて、本試験を受けた皆様、すごいです!
まずは、少し休憩して、勉強中に我慢してきたことを楽しんでくださいね。
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