合格まで一緒に頑張りましょう!合言葉は「毎日コツコツ」

労災保険の特別加入制度

R7-137 01.11

労災特別加入者のうち「中小事業主等」について

労災保険には「特別加入制度」があります。

・労災保険法は「労働者」を保護するための制度ですが、労働者に準じて保護するにふさわしい者は、特別加入することができます。

・また、労災保険は日本国内に限って適用されますが、日本から海外の事業場に派遣された労働者についても、特別加入することができます。

 特別加入者には、「中小事業主等」、「一人親方等」、「海外派遣者」の3つの種別があります。

 今回は、「中小事業主等」についてお話しします。

 

 「中小事業主等」として特別加入できる者の要件を確認しましょう。

① 厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業の事業主労働保険事務組合労働保険事務の処理を委託するものである者(事業主が法人その他の団体であるときは、代表者)

② ①の事業主が行う事業に従事する者(→家族労働者や法人企業の場合の代表権をもたない重役など)

 

厚生労働省令で定める数について

金融業、保険業、不動産業、小売業

50人以下

卸売業、サービス業

100人以下

上記以外

300人以下

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H26年出題】※改正による修正あり

 労災保険は、労働者の業務災害、複数業務要因災害又は通勤災害に対して保険給付を行う制度であるが、業務の実態、災害の発生状況等に照らし、実質的に労働基準法適用労働者に準じて保護するにふさわしい者に対し、労災保険の適用を及ぼそうとする趣旨から、中小事業主等に特別加入の制度を設けている。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H26年出題】 〇

 特別加入の制度は、実質的に労働基準法適用労働者に準じて保護するにふさわしい者に対し、労災保険の適用を及ぼそうとする趣旨で設けられています。

(昭40.11.1基発第1454)

 

 

②【H30年選択式】

 労災保険法においては、労働基準法適用労働者には当たらないが、業務の実態、災害の発生状況等からみて、労働基準法適用労働者に準じて保護するにふさわしい一定の者に対して特別加入の制度を設けている。まず、中小事業主等の特別加入については、主たる事業の種類に応じ、厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業の事業主で< A >に労働保険事務の処理を委託している者及びその事業に従事する者である。この事業の事業主としては、卸売業又は< B >を主たる事業とする事業主の場合は、常時100人以下の労働者を使用する者が該当する。この特別加入に際しては、中小事業主が申請をし、政府の承認を受ける必要がある。給付基礎日額は、当該事業に使用される労働者の賃金の額その他の事情を考慮して厚生労働大臣が定める額とされており、最高額は< C >である。

<選択肢>

A

① 社会保険事務所  ② 商工会議所  

③ 特定社会保険労務士  ④ 労働保険事務組合

B

① 小売業  ② サービス業  ③ 不動産業  ④ 保険業

C

① 20,000円  ② 22,000

③ 24,000円  ④ 25,000

 

 

 

 

 

【解答】

A> ④ 労働保険事務組合

B> ② サービス業

C> ④ 25,000

(法第33条第1号、第34条、則第46条の16、則第46条の20

 

 

③【R4年出題】

 厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業の事業主で、労働保険徴収法第33条第3項の労働保険事務組合に同条第1項の労働保険事務の処理を委託するものである者(事業主が法人その他の団体であるときは、代表者)は労災保険に特別加入することができるが、労災保険法第33条第1号の厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業の事業主に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

<A> 金融業を主たる事業とする事業主については常時100人以下の労働者を使用する事業主

<B> 不動産業を主たる事業とする事業主については常時100人以下の労働者を使用する事業主

<C> 小売業を主たる事業とする事業主については常時100人以下の労働者を使用する事業主

<D> サービス業を主たる事業とする事業主については常時100人以下の労働者を使用する事業主

<E> 保険業を主たる事業とする事業主については常時100人以下の労働者を使用する事業主

 

 

 

 

 

【解答】

③【R4年出題】

<D> サービス業を主たる事業とする事業主については常時100人以下の労働者を使用する事業主 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/HfSmxOuGmeY?si=Hd25gIVe1kPczzxQ

社労士受験のあれこれ

労災保険法の歴史

R7-129 01.03

労災保険法の沿革をお話しします~労災保険の歴史

★ 労働者災害補償保険法は、昭和2247日公布、同年91から施行されました。

★ 労働条件の最低基準を定めた労働基準法は昭和229施行、同時に、業務上の災害を保護するため、労働者災害補償保険法が施行されました。

<その後の主な改正>

■昭和48

「通勤災害」について、業務災害に準じた保護が加えられることになりました

■平成13

「二次健康診断等給付」が施行されました。「二次健康診断」とその結果に基づく「特定保健指導」を労災保険の保険給付として行うことになりました。

■令和2

 「複数業務要因災害」に関する保険給付が加わりました。

 

 

 条文を読んでみましょう。

第1条 

 労働者災害補償保険は、業務上の事由、事業主が同一人でない2以上の事業に使用される労働者(以下「複数事業労働者」という。)2以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行いあわせて、業務上の事由、複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もって労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。

 労災保険の第1の目的は「保険給付」を行うことです。

 第2の目的が、「社会復帰促進等事業」です。

 

第2条の2

 労働者災害補償保険は、第1条の目的を達成するため、業務上の事由、複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に関して保険給付を行うほか、社会復帰促進等事業を行うことができる。

第7条

 この法律による保険給付は、次に掲げる保険給付とする。

1) 労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡(以下「業務災害」という。)に関する保険給付

2) 複数事業労働者(これに類する者として厚生労働省令で定めるものを含む。)の2以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡(以下「複数業務要因災害」という。)に関する保険給付(前号に掲げるものを除く。)

3) 労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡(以下「通勤災害」という。)に関する保険給付

4) 二次健康診断等給付

 

29

 政府は、この保険の適用事業に係る労働者及びその遺族について、社会復帰促進等事業として、次の事業を行うことができる。

1) 療養に関する施設及びリハビリテーションに関する施設の設置及び運営その他業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害を被った労働者(「被災労働者」という。)円滑な社会復帰を促進するために必要な事業

2) 被災労働者の療養生活の援護、被災労働者の受ける介護の援護、その遺族の就学の援護、被災労働者及びその遺族が必要とする資金の貸付けによる援護その他被災労働者及びその遺族の援護を図るために必要な事業

3) 業務災害の防止に関する活動に対する援助、健康診断に関する施設の設置及び運営その他労働者の安全及び衛生の確保保険給付の適切な実施の確保並びに賃金の支払の確保を図るために必要な事業

 

過去問をどうぞ!

【令和元年選択式】 ※改正による修正あり

 労災保険法第1条によれば、労働者災害補償保険は、業務上の事由、事業主が同一人でない2以上の事業に使用される労働者(「複数事業労働者」という。)の2以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行うこと等を目的とする。同法の労働者とは、< A >法上の労働者であるとされている。そして同法の保険給付とは、業務災害に関する保険給付、複数業務要因災害に関する保険給付、通勤災害に関する保険給付及び< B >給付の4種類である。通勤災害に関する保険給付のうち年金として支払われるのは、障害年金、遺族年金及び< C >年金である。

<選択肢>

A> ① 労働関係調整  ② 労働基準  ③ 労働組合  ④ 労働契約

B> ① 求職者  ② 教育訓練  ③ 失業等  ④ 二次健康診断等

C> ① 厚生  ② 国民  ③ 傷病  ④ 老齢

 

 

 

 

 

【解答】

A>  労働基準 

B>  二次健康診断等

C>  傷病

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/YvQIQP_SINU?si=DfTAvr_zmGFXSKCM

社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(労災保険法)

R7-113 12.18

<令和6年の問題を振り返って>複数事業労働者の休業(補償)等給付について

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう

今日は、労災保険法の択一式です。

 

■複数事業労働者の給付基礎日額の算定方法を確認しましょう。

 

法第8条第3項

複数事業労働者の業務上の事由、複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする事由又は複数事業労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡により、当該複数事業労働者、その遺族その他厚生労働省令で定める者に対して保険給付を行う場合における給付基礎日額は、当該複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額を基礎として、厚生労働省令で定めるところによって政府が算定する額とする。

 

 複数事業労働者の給付基礎日額は、複数の就業先ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額となります。

 

■「部分算定日」定義を確認しましょう。

★療養のために所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日

★賃金が支払われる休暇(有給休暇、通勤手当・住宅手当等が支給される休業日)

 

 例えば、給付基礎日額が10,000円、午前中の労働に対する賃金が4,000円の場合、休業(補償)等給付の額は以下の式で計算します。

10,000円-4,000円)×60%=3,600

・(給付基礎日額-部分算定日に対して実際に支払われた賃金)×60%です。

 

 

 

 

「複数事業労働者」についての通達を確認しましょう。

<複数事業労働者に係る休業(補償)等給付の支給要件について>

(1)  休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付(以下「休業(補償)等給付」という。)の給付事由

療養のため

労働することができない」ために

賃金を受けない日」という3要件を満たした日の

4日目から支給されます。

(2) 「労働することができない」とは

必ずしも負傷直前と同一の労働ができないという意味ではなく、一般的に働けないことをいいます。したがって、軽作業に就くことによって症状の悪化が認められない場合、あるいはその作業に実際に就労した場合には、給付の対象とはなりません。

★複数事業労働者について

 複数就業先における全ての事業場における就労状況を踏まえて、休業(補償)等給付に係る支給の要否を判断する必要があります。

→ 例えば、複数事業労働者が、現に一の事業場において労働者として就労した場合には、原則、「労働することができない」とは認められないことから、「賃金を受けない日」に該当するかの検討を行う必要はなく、休業(補償)等給付に係る保険給付については不支給決定となります。

→ ただし、複数事業労働者が、現に一の事業場において労働者として就労しているものの、他方の事業場において通院等のため、所定労働時間の全部又は一部について労働することができない場合には「労働することができない」に該当すると認められることがあります

 

(3) 「賃金を受けない日」について

賃金を受けない日」には、賃金の全部を受けない日一部を受けない日があります。

賃金の一部を受けない日とは

① 所定労働時間の全部について「労働することができない」場合で、平均賃金の 60%未満の金額しか受けない日

② 通院等のため所定労働時間の一部について「労働することができない」場合で、当該一部休業した時間について全く賃金を受けないか、又は「平均賃金と実労働時間に対して支払われる賃金との差額の60%未満の金額」しか受けない日

★複数事業労働者については

 複数の就業先のうち、一部の事業場において、年次有給休暇等により当該事業場における平均賃金相当額(複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した平均賃金に相当する額をいう。)60%以上の賃金を受けることにより賃金を受けない日に該当しない状態でありながら、他の事業場において、傷病等により無給での休業をしているため、賃金を受けない日に該当する状態があり得ます。

 したがって、複数事業労働者の休業(補償)等給付に係る「賃金を受けない日」の判断については、まず複数就業先における事業場ごとに行うこととされています。

 その結果、一部の事業場でも賃金を受けない日に該当する場合には、当該日は「賃金を受けない日」に該当するものとして取り扱うこととなっています。

 一方、全ての事業場において賃金を受けない日に該当しない場合は、当該日は「賃金を受けない日」に該当せず、保険給付を行わないこととなっています。

(令和3318日/基管発03181号/基補発03186号/基保発03181号/)

 

 

では、令和6年の問題をどうぞ!

①【R6年問4-A

 休業補償給付が支給される三要件のうち「労働することができない」に関して、業務災害に被災した複数事業労働者が、現に一の事業場において労働者として就労しているものの、他方の事業場において当該業務災害に係る通院のため、所定労働時間の全部又は一部について労働することができない場合には、「労働することができない」に該当すると認められることがある。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R6年問4-A】 〇

 A社では労働者として就労している。しかし、B社では業務災害に係る通院のため、所定労働時間の全部又は一部について労働することができない。

「労働することができない」に該当すると認められることがある。

 

 

②【R6年問4-B

 休業補償給付が支給される三要件のうち「賃金を受けない日」に関して、被災した複数事業労働者については、複数の就業先のうち、一部の事業場において、年次有給休暇等により当該事業場における平均賃金相当額(複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した平均賃金に相当する額をいう。)60%以上の賃金を受けることにより「賃金を受けない日」に該当しない状態でありながら、他の事業場において、当該業務災害による傷病等により無給での休業をしているため、「賃金を受けない日」に該当する状態があり得る。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R6年問4-B】 〇

 A社では、年次有給休暇等により平均賃金相当額の60%以上の賃金を受けることにより「賃金を受けない日」に該当しない状態である。しかし、B社では無給での休業をしている

→ 「賃金を受けない日」に該当する状態があり得る。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/3yDuTCZ_gy8?si=mUa367_BmK-4TCzy

社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(労災保険法)

R7-082 11.16

<令和6年の問題を振り返って>労災特別加入(海外派遣者)について

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、労災保険法の択一式です。

 

特別加入には、次の3つの種類があります。

 中小事業主及びその事業に従事する労働者以外の者(役員等)

一人親方その他の自営業者及びその者が行う事業に従事する労働者以外の者(家族従事者等)

特定作業従事者

海外派遣者

 

 今日は、「海外派遣者」についてみていきます。

海外派遣者として特別加入できるものの範囲を確認しましょう。(労災保険法第33条)

■独立行政法人国際協力機構など開発途上地域に対する技術協力の実施の事業(有期事業を除く)を行う団体から派遣されて、開発途上地域で行われている事業に従事する者

■日本国内の事業主(有期事業を除く)から、海外で行われる事業に労働者として派遣される者

※「労働者として派遣される者」と「海外にある中小規模の事業に事業主等として派遣される者」があります。

 

 

令和6年の問題をどうぞ!

①【R66-A

 海外派遣者は、派遣元の団体又は事業主が、海外派遣者を特別加入させることについて政府の承認を申請し、政府の承認があった場合に特別加入することができる。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R66-A】 〇

 海外派遣者は、派遣元の団体又は事業主が、政府の承認を申請し、政府の承認があった場合に特別加入することができます。

(法第36条)

 

 

②【R66-B

 海外派遣者と派遣元の事業との雇用関係が、転勤、在籍出向、移籍出向等のいずれの形態で処理されていても、派遣元の事業主の命令で海外の事業に従事し、その事業との間に現実の労働関係をもつ限りは、特別加入の資格に影響を及ぼすものではない。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R66-B】 〇

 海外派遣者と派遣元の事業との雇用関係は、転勤、在籍出向、移籍出向など様々な形態で処理されていたとしても、派遣元の事業主の命令で海外の事業に従事し、その事業との間に現実の労働関係をもつ限りは、特別加入の資格に影響を及ぼすものではありません。

S52.330労働省発労徴第21号・基発第192)

 ちなみに、「海外出張」については、特別加入しなくても、国内の所属の事業場の労災保険から保険給付が行われます。

 

 

過去問をどうぞ!

①【H24年出題】

 海外派遣者について、派遣先の海外の事業が厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業に該当する場合であっても、その事業の代表者は、労災保険の特別加入の対象とならない。

 

 

 

 

【解答】

①【H24年出題】 ×

 派遣先の海外の事業が中小規模の場合は、その事業の代表者は、労災保険の海外派遣者として特別加入の対象となります。

 中小規模の事業(特定事業といいます)は以下の通りです。

業  種

労働者数

金融業・保険業・不動産業・小売業

50人以下

卸売業・サービス業

100人以下

上記以外の業種

300人以下

 なお、特定事業に該当しない場合は、代表者などは特別加入できません。労働者のみが対象となります。

 

 

②【H26年出題】

 日本に本社を有する企業であれば、その海外支店に直接採用された者についても、所轄都道府県労働局長に特別加入の申請をして承認を受けることによって、労災保険法が適用される。

 

 

 

 

【解答】

②【H26年出題】 ×

 現地採用者は、海外派遣者特別加入制度の趣旨及びその加入の要件からみて、特別加入の資格がない、とされています。

 問題文の海外支店に直接採用された者は、特別加入できません。

S52.330労働省発労徴第21号・基発第192)

 

 

③【R3年出題】

 日本国内で行われている有期事業でない事業を行う事業主から、海外(業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害に関する保護制度の状況その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める国の地域を除く。)の現地法人で行われている事業に従事するため派遣された労働者について、急な赴任のため特別加入の手続きがなされていなかった。この場合、海外派遣されてからでも派遣元の事業主(日本国内で実施している事業について労災保険の保険関係が既に成立している事業主)が申請すれば、政府の承認があった場合に特別加入することができる。

 

 

 

 

【解答】

③【R3年出題】 

 海外派遣者として特別加入できるのは、新たに派遣される者に限りません。既に海外の事業に派遣されている者を特別加入させることも可能である、とされています。

 海外派遣されてからでも派遣元の事業主が申請すれば、政府の承認があった場合に特別加入することができます。

S52.330労働省発労徴第21号・基発第192)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/k3nCUMYoSU8?si=6XhSyKBGlK5XEVd6

社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(労災保険法)

R7-065 10.29

<令和6年の問題を振り返って>通勤災害と認められた事例、認められなかった事例【社労士受験対策】

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、労災保険法の択一式です。

 

 

 通勤災害と認められた事例と認められなかった事例をみていきます。

 

令和6年の問題をどうぞ!

①【R6年問2-A

 マイカー通勤をしている労働者が、勤務先会社から市道を挟んだところにある同社の駐車場に車を停車し、徒歩で職場に到着しタイムカードを打刻した後、フォグライトの消し忘れに気づき、徒歩で駐車場へ引き返すべく市道を横断する途中、市道を走ってきた軽自動車にはねられ負傷した場合、通勤災害とは認められない。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R6年問2-A】 ×

 通勤災害と認められます。

・ マイカー通勤者が車のライトの消し忘れなどに気づき、駐車場に引き返すことは一般にあること。

・ いったん事業場に入った後でも、まだ時間の経過もほとんどないことから通勤に通常随伴する行為と認められる。

(昭和49.6.19基収第1739号)

 

 

②【R6年問2-B

 マイカー通勤をしている労働者が、同一方向にある配偶者の勤務先を経由するため、通常通り自分の勤務先を通り越して通常の通勤経路を450メートル走行し、配偶者の勤務先で配偶者を下車させて自分の勤務先に向かって走行中、踏切で鉄道車両と衝突して負傷した場合、通勤災害とは認められない。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R6年問2-B】 ×

 通勤災害と認められます

・ 妻の勤務先が同一方向にあり、かつ、夫の通勤経路からそれほど離れていない

・ 通勤をマイカーで行い、妻の勤務先を経由することは通常おこなわれるもの

・ 当該経路は合理的な経路として取り扱うのが妥当

(昭和49.3.4基収第289号)

 

 

③【R6年問2-C

 頸椎を手術した配偶者の看護のため、手術後1か月ほど姑と交替で1日おきに病院に寝泊まりしていた労働者が、当該病院から徒歩で出勤する途中、横断歩道で軽自動車にはねられ負傷したした場合、当該病院から勤務先に向かうとすれば合理的である経路・方法をとり逸脱・中断することなく出勤していたとしても、通勤災害とは認められない。

 

 

 

 

【解答】

③【R6年問2-C】 ×

 通勤災害と認められます。

・入院中の夫の看護のため、妻が病院に寝泊まりすることは社会慣習上、通常行われること

・手術当日から長期間継続して寝泊まりしていた事実がある

・被災当日の当該病院は、被災労働者にとって就業のための拠点としての「住居」と認められる

(昭和52.12.23基収第981号)

 

 

④【R6年問2-D

 労働者が、退勤時にタイムカードを打刻し、更衣室で着替えをして事業場施設内の階段を降りる途中、ズボンの裾が靴に絡んだために足を滑らせ、階段を5段ほど落ちて腰部を強打し負傷した場合、通勤災害とは認められない。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R6年問2-D 〇

 通勤災害とは認められません。

・事業主の支配下にある事業場施設の状況により生じた災害である

(昭和49.4.9基収第314号)

 

 

⑤【R6年問2-E

 長年営業に従事している労働者が、通常通りの時刻に通常通りの経路を徒歩で勤務先に向かっている途中に突然倒れ、急性心不全で死亡した場合、通勤災害と認められる。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【R6年問2-E ×

通勤災害とは認められません。

・ 発病の原因となるような通勤による負傷又は通勤に関連する突発的なできごとなどが認められないため「通勤に通常伴う危険が具体化したもの」とは認められない

・ 通勤を単なるきっかけとして偶然に生じたものに過ぎない

(昭和50.6.9基収第4039号)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/jbUbxR9ZipY?si=ChczYJLB1r_7b4Zj

社労士受験のあれこれ

<社労士労災保険>通勤について

R7-064 10.28

労災「通勤」の定義についてお話しします

「通勤」の定義は、選択式でも択一式でも、よく出題されます。

用語の意義など、一つずつ解説します。

 

「通勤」とは、 労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。

(1) 住居と就業の場所との間の往復

(2) 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動

(3) 住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)

 

YouTubeでお話ししています

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/fgYVFCZMNhI?si=JBh69HCePNQnx2mW

社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(労災保険法)

R7-047 10.11

<令和6年出題労災>遺族補償年金の受給権の消滅【社労士受験対策】

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、労災保険法の択一式です。

 

遺族補償年金の受給権の消滅について条文を読んでみましょう。

16条の4第1

 遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が次の各号の一に該当するに至ったときは、消滅する。この場合において、同順位者がなくて後順位者があるときは、次順位者に遺族補償年金を支給する。

1) 死亡したとき。

2) 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む)をしたとき。

3) 直系血族又は直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったとき。

4) 離縁によって、死亡した労働者との親族関係が終了したとき。

5) 子、孫又は兄弟姉妹については、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき(労働者の死亡の時から引き続き厚生労働省令で定める障害の状態にあるときを除く)

6) 厚生労働省令で定める障害の状態にある夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、その事情がなくなったとき(夫、父母又は祖父母については、労働者の死亡の当時60歳以上であったとき、子又は孫については18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるとき、兄弟姉妹については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は労働者の死亡の当時60歳以上であったときを除く。)

 

★(6)について

 夫、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹は、労働者の死亡当時、「年齢」か「障害」のどちらかの要件を満たす必要があります。

 「障害要件」に該当しなくなった場合は、受給権は消滅します。

 ただし、障害要件に該当しなくなっても、年齢要件を満たしていれば、受給権は消滅しません。

 

 

令和6年の問題をどうぞ!

R6年問5

 遺族補償年金の受給権に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

 なお、本問において、「遺族補償年金を受ける権利を有する遺族」を「当該遺族」という。

ア 遺族補償年金の受給権は、当該遺族が死亡したときには消滅する。

イ 遺族補償年金の受給権は、当該遺族が婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)をしたときには消滅する。

ウ 遺族補償年金の受給権は、当該遺族が直系血族又は直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったときには消滅する。

エ 遺族補償年金の受給権は、当該遺族である子・孫が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときには消滅する。

オ 遺族補償年金の受給権は、当該遺族である兄弟姉妹が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときには消滅する。

 

 

 

 

 

【解答】

ア 〇

 遺族補償年金の受給権者が死亡したときには受給権は消滅します。

 

イ 〇

 遺族補償年金の受給権者が婚姻をしたときには受給権は消滅します。届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合でも消滅します。

 

ウ 〇

 遺族補償年金の受給権者が直系血族又は直系姻族以外の者の養子となったときには、受給権は消滅します。届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある場合でも消滅します。

 

エ ×

 遺族補償年金の受給権者である子・孫が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときには、受給権は原則として消滅します。

 ただし、労働者の死亡の時から引き続き厚生労働省令で定める障害の状態にあるときは、18歳の年度末になっても消滅しません。

 「労働者の死亡時から引き続き障害の状態にあるときは消滅しない」という要件が抜けているので誤りです。

 

 

オ ×

「エ」の問題と同じです。

 

 

過去問をどうぞ!

①【H23年出題】

 遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が、婚姻の届出はしていないものの事実上婚姻関係と同様の事情にある場合に至ったときは、消滅する。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H23年出題】 〇

 遺族補償年金を受ける権利を有する遺族が、婚姻の届出はしていないものの事実上婚姻関係と同様の事情にある場合に至ったときは、消滅します。

 

 

 

②【H28年出題】

 遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が、自分の伯父の養子となったときは、消滅する。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H28年出題】 〇

 遺族補償年金の受給権は、当該遺族が「直系血族又は直系姻族以外の者」の養子になったときには消滅します。自分の伯父は、直系血族でも直系姻族でもありませんので、自分の伯父の養子となったときは、消滅します。

 

 

③【H23年出題】

 遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する兄弟姉妹が労災保険法第16条の21項第4号の厚生労働省令で定める障害の状態にあるときであっても、18歳に達した日以後の最初の331日が終了したときは、消滅する。

 

 

 

 

【解答】

③【H23年出題】 ×

 兄弟姉妹が、18歳に達した日以後の最初の331日が終了したときは、原則として遺族補償年金の受給権は消滅します。

 ただし、労働者の死亡の時から引き続き厚生労働省令で定める障害の状態にあるときは消滅しません。

 

 

 

④【H23年出題】

 遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する、労災保険法第16条の21項第4号の厚生労働省令で定める障害の状態にあった祖父母が、その障害の状態がなくなったときは、労働者の死亡の当時60歳以上であった場合であっても、消滅する。

 

 

 

 

 

 

【解答】

④【H23年出題】 ×

 労働者の死亡の当時60歳以上であった祖父母は、労働者の死亡時に年齢要件を満たしていますので、障害の状態がなくなっても遺族補償年金の受給権は消滅しません。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/q_gFw3Kmu2w?si=YMfu7i5XoCeNdwGQ

社労士受験のあれこれ

令和6年度択一式を振り返りましょう(労災保険法)

R7-024 9.18

<令和6年度労災>支給制限、受給権の保護、不正受給者からの費用徴収など【社労士受験対策】

令和6年度の試験を振り返って、今後の勉強に役立てましょう。

今日は、労災保険法の択一式です。

 

 

では、令和6年問7の問題をどうぞ!

 

① 【R6年出題】

 労働者が、重大な過失により、負傷、疾病、障害若しくは死亡又はこれらの原因となった事故を生じさせたときは、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。

 

 

 

 

 

【解答】

① 【R6年出題】 〇

条文を読んでみましょう。

法第12条の2の2第2

 労働者が故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる

 

 

 「故意」の場合の条文と比較しましょう。

法第12条の2の2第1項

 労働者が、故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその直接の原因となった事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行わない

 

 「全部又は一部を行わないことができる」と「行わない」の違いを意識してください。

 

 

②【R6年出題】

 労働者を重大な過失により死亡させた遺族補償給付の受給資格者は、遺族補償給付を受けることができる遺族としない。

 

 

 

 

 

【解答】

②【R6年出題】 ×

条文を読んでみましょう。

16条の9第1

 労働者を故意に死亡させた者は、遺族補償給付を受けることができる遺族としない。

 

 「重大な過失」により死亡させた場合の給付制限はありません。

 

 

③【R6年出題】

 労働者が、懲役、禁固若しくは拘留の刑の執行のため刑事施設に拘置されている場合には、休業補償給付は行わない。

 

 

 

 

 

【解答】

③【R6年出題】 〇

条文を読んでみましょう。

14条の2

 労働者が次の各号のいずれかに該当する場合(厚生労働省令で定める場合に限る)には、休業補償給付は、行わない

1) 刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されている場合

2) 少年院その他これに準ずる施設に収容されている場合

 

(休業補償給付を行わない場合)

則第12条の4

 法第14条の2の厚生労働省令で定める場合は、次の各号のいずれかに該当する場合とする。

1) 懲役、禁錮若しくは拘留の刑の執行のため若しくは死刑の言渡しを受けて刑事施設(少年法第56条第3項の規定により少年院において刑を執行する場合における当該少年院を含む。)拘置されている場合若しくは留置施設に留置されて懲役、禁錮若しくは拘留の刑の執行を受けている場合、労役場留置の言渡しを受けて労役場に留置されている場合又は監置の裁判の執行のため監置場に留置されている場合

2) 少年法第24条の規定による保護処分として少年院若しくは児童自立支援施設に送致され、収容されている場合、同法第64条の規定による保護処分として少年院に送致され、収容されている場合又は同法第66条の規定による決定により少年院に収容されている場合

 

 

 

④【R6年出題】

 労働者が退職したときは、保険給付を受ける権利は消滅する。

 

 

 

 

 

【解答】

④【R6年出題】 ×

条文を読んでみましょう。

12条の5

 保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない

労働者が退職しても、保険給付を受ける権利は消滅しません。

 

 

⑤【R6年出題】

 偽りその他不正の手段により労働者が保険給付を受けたときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を当該労働者を使用する事業主から徴収することができる。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【R6年出題】 ×

条文を読んでみましょう。

12条の3

① 偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者があるときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。

※事業主からではなく、「偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者」から徴収します。

 

条文の続きです。

② 事業主(徴収法第8条第2項又は第3項の規定により元請負人が事業主とされる場合にあっては、当該元請負人。)が虚偽の報告又は証明をしたためその保険給付が行なわれたものであるときは、政府は、その事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯して①の徴収金を納付すべきことを命ずることができる。 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/eGdUFEj2zVI?si=vvC3hnN54Gr2hdw-

社労士受験のあれこれ

令和6年度の択一式を振り返ります(労災保険法)

R7-014 9.8

令和6年度<労災法>通勤途上の日常生活上必要な行為【社労士受験対策】

令和6年度の試験問題を振り返り、これからの勉強に役立てましょう。

今日は、労災保険法です。

 

R6年労災問1の問題をどうぞ!

 労災保険法第7条に規定する通勤の途中で合理的経路を逸脱・中断した場合でも、当該逸脱・中断が日常生活上必要な行為であって、厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合には、当該逸脱・中断の後、合理的な経路に復した後は、同条の通勤と認められることとされている。

 この日常生活上必要な行為として、同法施行規則第8条が定めるものに含まれない行為はどれか。

A 経路の近くにある公衆トイレを使用する行為

B 帰途で総菜等を購入する行為

C はり師による施術を受ける行為

D 職業能力開発校で職業訓練を受ける行為

E 要介護状態にある兄弟姉妹の介護を継続的に又は反復して行う行為

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 経路の近くにある公衆トイレを使用する行為」は、日常生活上必要な行為として、労災保険法施行規則第8条に定めるものに含まれません。

 

「日常生活上必要な行為」として定められている行為を確認しましょう。

則第8(日常生活上必要な行為)

 法第7条第3項の厚生労働省令で定める行為は、次のとおりとする。

1) 日用品の購入その他これに準ずる行為

2) 職業訓練、学校教育法第一条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為

3) 選挙権の行使その他これに準ずる行為

4) 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為

5) 要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに配偶者の父母の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)

 

 問題文の「B 帰途で総菜等を購入する行為」は(1)に、「C はり師による施術を受ける行為」は(4)に、「D 職業能力開発校で職業訓練を受ける行為」は(2)に、「E 要介護状態にある兄弟姉妹の介護を継続的に又は反復して行う行為」は(5)に該当します。

S48.11.22基発644

 

 通勤途上で、逸脱・中断をしたとしても、逸脱・中断が、「日常生活上必要な行為であって、厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合」には、当該逸脱・中断の後、合理的な経路に復した後は、通勤と認められます。

ポイント!

 ただし、逸脱・中断が、日常生活上必要な行為であって、厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合でも、「逸脱・中断」の間は通勤となりません。

 

 

 ちなみに、「A 経路の近くにある公衆トイレを使用する行為」は、「ささいな行為」となります。通常経路の途中のささいな行為は、逸脱、中断に該当しません

 他にささいな行為として、帰途に経路の近くにある公園で短時間休息する場合、経路上の店でタバコ、雑誌等を購入する場合、駅構内でジュースの立飲みをする場合などがあります。

S48.11.22基発644

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/g5OiXXSl_vo?si=uIrfww9QyAn4pVPP

社労士受験のあれこれ

令和6年度の選択式を振り返ります

R7-005 8.30

<労災保険法>令和6年度選択式は併合繰上げ・未支給・遺族補償年金【社労士受験対策】

https://youtu.be/iIsF_FkpP7U?si=FoW2wuM5IfuX32Er令和6年度の試験問題を振り返り、これからの勉強に役立てましょう。

今日は、労災保険法の選択式です。

 

令和6年 選択問題1

 労災保険法施行規則第14条第1項は、「障害補償給付を支給すべき身体障害の障害等級は、別表第1に定めるところによる。」と規定し、同条第2項は、「別表第1に掲げる身体障害が2以上ある場合には、重い方の身体障害の該当する障害等級による。」と規定するが、同条第3項柱書きは、「第< A >級以上に該当する身体障害が2以上あるとき」は「前2項の規定による障害等級」を「2級」繰り上げた等級(同項第2号)、「第< B >級以上に該当する身体障害が2以上あるとき」は「前2項の規定による障害等級」を「3級」繰り上げた等級(同項第3号)によるとする。

<選択肢>

「3」、「5」、「6」、「7」、「8」、「10」、「12」、「13

 

 

 

 

 

【解答】

A> 8

B> 5

おぼえるポイント!

★障害等級は、障害等級表(労災保険法施行規則別表第1)にあてはめて、決定されます。

★同じ事由による身体障害が2つ以上ある場合は、「重い方」の障害等級が全体の障害等級になります。

★ただし、13級以上の身体障害が2つ以上ある場合は、重い方の等級が繰り上げられます。

13級以上の障害が2つ以上ある場合 → 1級繰り上げ

8級以上の障害が2つ以上ある場合 → 2級繰り上げ

5級以上の障害が2つ以上ある場合 → 3級繰り上げ

 

 

令和6年 選択問題2

 年金たる保険給付の支給は、支給すべき事由が生じた< C >から始め、支給を受ける権利が消滅した月で終わるものとする。また、保険給付を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、< D >の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。

<選択肢>

「月」、「月の翌月」、「日」、「日の翌日」

「事業主」、「自己」、「死亡した者」、「世帯主」

 

 

 

 

 

【解答】

<C> 月の翌月

<D> 自己

(法第9条第1項、法第11条第1項)

 

おぼえるポイント!

★年金は「月」単位で支給されます。

 支給すべき事由が生じた「月の翌月」から支給を受ける権利が「消滅した月」まで

★未支給の保険給付は、「自己の名」で請求します。死亡した者の名ではありません。

 ちなみに、未支給の保険給付を請求できるのは、死亡した受給権者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹で、受給権者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものです。

 ただし、遺族(補償)等年金の場合は、遺族(補償)等年金を受けることができる他の遺族となります。

 

 

令和6年 選択問題3

 最高裁判所は、遺族補償年金に関して次のように判示した。

 「労災保険法に基づく保険給付は,その制度の趣旨目的に従い,特定の損害について必要額を塡補するために支給されるものであり,遺族補償年金は,労働者の死亡による遺族の< E >を塡補することを目的とするものであって(労災保険法1条,16条の2から16条の4まで),その塡補の対象とする損害は,被害者の死亡による逸失利益等の消極損害と同性質であり,かつ,相互補完性があるものと解される。〔…(略)…〕

 したがって,被害者が不法行為によって死亡した場合において,その損害賠償請求権を取得した相続人が遺族補償年金の支給を受け,又は支給を受けることが確定したときは,損害賠償額を算定するに当たり,上記の遺族補償年金につき,その塡補の対象となる< E >による損害と同性質であり,かつ,相互補完性を有する逸失利益等の消極損害の元本との間で,損益相殺的な調整を行うべきものと解するのが相当である。」

<選択肢>

「生活基盤の喪失」、「精神的損害」、「相続財産の喪失」「被扶養利益の喪失」

 

 

 

 

 

【解答】

E> 被扶養利益の喪失

(平27.3.4最高裁判所大法廷判決)

私の考えるポイント!

 「生活基盤の喪失」と「被扶養利益の喪失」で迷われませんでしたか?私は迷いました。

 遺族補償年金の遺族の要件は、労働者の死亡当時その収入によって「生計を維持」していたものです。

 そこから、労働者の死亡によって、「被扶養利益」が喪失すると考えました。

 

令和6年の選択式について

 <A>から<D>は、択一式でよく出るところですので、過去問対策で解けます。

 判例からの問題の<E>は、覚えて解く問題というより、じっくり考える問題です。

 遺族補償年金の目的は?遺族補償年金の対象になる遺族は?など、様々な角度で考える問題でした。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/iIsF_FkpP7U?si=FoW2wuM5IfuX32Er

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労災保険法

R6-360 8.21 

傷病補償年金と特別支給金の重要10問【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労災保険法です。

 

傷病補償年金の条文を読んでみましょう。

12条の8第3

 傷病補償年金は、業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後1年6か月を経過した日において次の各号のいずれにも該当するとき、又は同日後次の各号のいずれにも該当することとなったときに、その状態が継続している間、当該労働者に対して支給する。

1) 当該負傷又は疾病が治っていないこと。

2) 当該負傷又は疾病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級に該当すること。

則第18条 (傷病等級)

① 法第12条の8第3項第2号の厚生労働省令で定める傷病等級は、別表第二のとおりとする。

② 障害の程度は、6か月以上の期間にわたって存する障害の状態により認定するものとする。

別表2

傷病等級

給付内容

第1級

給付基礎日額の313日分

第2級

      同277日分

第3級

      同245日分

 

 

18条第2

② 傷病補償年金を受ける者には、休業補償給付は、行わない

 

18条の2

 傷病補償年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があったため、新たに他の傷病等級に該当するに至った場合には、政府は、厚生労働省令で定めるところにより、新たに該当するに至った傷病等級に応ずる傷病補償年金を支給するものとし、その後は、従前の傷病補償年金は、支給しない。

 

19

 業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合又は同日後において傷病補償年金を受けることとなった場合には、労働基準法第19条第1項の規定の適用については、当該使用者は、それぞれ、当該3年を経過した日又は傷病補償年金を受けることとなった日において、同法第81条の規定により打切補償を支払ったものとみなす

 

 

過去問をどうぞ!

①【H30年出題】

 傷病補償年金は、業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後1年を経過した日において次の①、②のいずれにも該当するとき、又は同日後次の①、②のいずれにも該当することとなったときに、その状態が継続している間、当該労働者に対して支給する。

① 当該負傷又は疾病が治っていないこと。

② 当該負傷又は疾病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級に該当すること。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年出題】 ×

 「療養の開始後1年を経過した日」ではなく、「療養の開始後16か月を経過した日」です。

下の図でイメージしてください。

 

 

②【H24年出題】

 療養補償給付は、傷病補償年金と併給される場合がある。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H24年出題】 〇

 「療養補償給付」も「傷病補償年金」も治ゆするまでの給付です。

 療養補償給付は治療についての給付ですので、傷病補償年金と併給されます。

 

 

③【H30年出題】

 休業補償給付と傷病補償年金は、併給されることはない。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H30年出題】 〇

 休業補償給付と傷病補償年金は、併給されません。

 

 

④【H29年出題】

 所轄労働基準監督署長は、業務上の事由により負傷し、又は疾病にかかった労働者が療養開始後16か月を経過した日において治っていないときは、同日以降1か月以内に、当該労働者から「傷病の状態等に関する届」に医師又は歯科医師の診断書等の傷病の状態の立証に関し必要な書類を添えて提出させるものとしている。

 

 

 

 

【解答】

④【H29年出題】 〇

 傷病補償年金は、労働者の請求ではなく、所轄労働基準監督署長の職権で支給決定されることがポイントです。

 そのため、療養開始後16か月を経過した日に治っていないときは、同日以降1か月以内に、「傷病の状態等に関する届」を提出させることになっています。

(則第18条の2第2項、第3項)

 

 

⑤【H29年出題】

 傷病補償年金の支給要件について、障害の程度は、6か月以上の期間にわたって存する障害の状態により認定するものとされている。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【H29年出題】 〇

 「6か月以上」がポイントです。

 

 

⑥【H29年出題】

 業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合には、労働基準法第19条第1項の規定の適用については、当該使用者は、当該3年を経過した日において同法第81条の規定により打切補償を支払ったものとみなされる。

 

 

 

 

【解答】

⑥【H29年出題】 〇

 「打切補償を支払ったものとみなされる」=解雇することができます。

 下の図でイメージしてください。

 

 

⑦【H20年出題】

 傷病補償年金又は傷病年金は、業務上の事由又は通勤により被災した労働者が所定の支給要件に該当した場合に所轄労働基準監督署長が職権で支給の決定を行うものであり、被災労働者が支給の請求を行う必要はないが、当該障害の程度が重くなったときは、被災労働者が傷病補償年金又は傷病年金の変更についての請求書を提出する必要がある。

 

 

 

 

【解答】

⑦【H20年出題】 ×

 傷病補償年金は、所轄労働基準監督署長が職権で支給の決定を行いますが、傷病補償年金の傷病等級の変更も、所轄労働基準監督署長の職権で行われます。

(則第18条の3)

 

 

⑧【H29年出題】

 傷病補償年金の受給者の障害の程度が軽くなり、厚生労働省令で定める傷病等級に該当しなくなった場合には、当該傷病補償年金の受給権は消滅するが、なお療養のため労働できず、賃金を受けられない場合には、労働者は休業補償給付を請求することができる。

 

 

 

 

⑧【H29年出題】 〇

 傷病等級に該当しなくなった場合は、傷病補償年金の受給権は消滅しますが、なお療養のため労働できず、賃金を受けられない場合には、労働者は休業補償給付を請求することができます。自動的に休業補償給付が支給されるのではなく、休業補償給付は「請求」が必要です。

 

 

⑨【H28年出題】

 傷病特別支給金は、受給権者の申請に基づいて支給決定されることになっているが、当分の間、事務処理の便宜を考慮して、傷病補償年金または傷病年金の支給を受けた者は、傷病特別支給金の申請を行ったものとして取り扱って差し支えないこととされている。

 

 

 

 

 

【解答】

⑨【H28年出題】 〇

 傷病特別支給金は、受給権者の申請に基づいて支給決定されます。 

 ただし、当分の間、傷病補償年金または傷病年金の支給を受けた者は、傷病特別支給金の申請を行ったものとして取り扱って差し支えないこととされています。

(特別支給金規則第5条の2、昭56.6.27基発第393号)

★保険給付と特別支給金のイメージ図です

傷病特別年金

→ボーナス特別支給金

傷病特別支給金

→一般の特別支給金

傷病補償年金

保険給付

 

 

⑩【R1年出題】

 傷病特別支給金の支給額は、傷病等級に応じて定額であり、傷病等級第1級の場合は、114万円である。

 

 

 

 

 

【解答】

⑩【R1年出題】 〇

 「傷病特別支給金」は、傷病等級に応じて「定額」であることがポイントです。

(特別支給金規則第5条の2

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/vR9inGHvPyE?si=siB6UKyWRxKAaNdH

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労災保険法

R6-355 8.16 

特別加入者と労働者の異なる点でよく出るところ【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労災保険法です。

 

 中小事業主等、一人親方等、海外派遣者は労災保険法に特別加入することによって、労働者と同じ保護が受けられます。

 ただし、労働者と特別加入者で違う点もありますので、ポイントを確認しましょう。

 

 

二次健康診断等給付について

 特別加入者は、二次健康診断等給付は対象になりません。労働者と違い、健康診断が義務づけられていないからです。

 

 

社会復帰促進等事業について

 特別加入者は、労働者と同じように社会復帰促進等事業が適用されます。

ただし、「特別支給金」の中の「ボーナス特別支給金」は、特別加入者には支給されません。

 

 例えば、労働者については、傷病補償年金に特別支給金として、傷病特別支給金と傷病特別年金がプラスされます。しかし、特別加入者には、ボーナス特別支給金の傷病特別年金は支給されません。

傷病特別年金

→ ボーナス特別支給金

傷病特別支給金

→ 一般の特別支給金

傷病補償年金

 保険給付

 

過去問をどうぞ!

H28年出題】

 特別給与を算定基礎とする特別支給金は、特別加入者には支給されない。

 

 

 

 

【解答】

H28年出題】 〇

 特別加入者には、特別給与を算定基礎とする特別支給金(ボーナス特別支給金)は、支給されません。なお、一般の特別支給金は支給されます。

(特別支給金規則第19条)

 

 

通勤災害について

 特別加入者にも通勤災害は適用されます。ただし、一人親方等の一部については、住居と就業の場所との間の往復が明確でないため、通勤災害が適用されません。

 

過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 労働者を使用しないで行うことを常態とする特別加入者である個人貨物運送業者については、その住居とその就業の場所との間の往復の実態を明確に区別できることにかんがみ、通勤災害に関する労災保険の適用を行うものとされている。

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 ×

 労働者を使用しないで行うことを常態とする特別加入者である個人貨物運送業者については、通勤災害は適用されません。

(則第46条の222

 

 

②【H26年出題】

 特別加入制度において、家内労働者については通勤災害に関する保険給付は支給されない。

 

 

 

 

【解答】

②【H26年出題】 〇

 特別加入者である家内労働者については、通勤災害は適用されません。

(則第46条の222

 

 

給付基礎日額について

 特別加入者には賃金がないため、給付基礎日額は、厚生労働大臣の定めた額から、申請に基づき決定した額となります。

 

過去問をどうぞ!

H30年選択式】

 (特別加入者の)給付基礎日額は、当該事業に使用される労働者の賃金の額その他の事情を考慮して厚生労働大臣が定める額とされており、最高額は< A >である。

 

 

 

 

【解答】

A 25,000円

(則第46条の20第1項)

 

特別加入者の支給制限

 次の場合は、特別加入者の保険給付の「全部又は一部を行わないことができる」とされています。

<中小事業主等について>

・ 事故が、第1種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるとき

・ 業務災害の原因である事故が中小の事業主の故意又は重大な過失によって生じたものであるとき

<一人親方等について>

・ 事故が、第2種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるとき

<海外派遣者について>

・ 事故が、第3種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるとき

 

 

過去問をどうぞ!

R3年出題】

 特別加入している中小事業主が行う事業に従事する者(労働者である者を除く。)が業務災害と認定された。その業務災害の原因である事故が事業主の故意又は重大な過失により生じさせたものである場合は、政府は、その業務災害と認定された者に対して保険給付を全額支給し、厚生労働省令で定めるところにより、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。

 

 

 

 

【解答】

R3年出題】 ×

 「保険給付を全額支給し、厚生労働省令で定めるところにより、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。」の部分が誤りです。

 事業主から費用徴収するのではなく、保険給付が支給制限されます。

 「政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる。」となります。

(法第34条第1項第4号) 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/_NvBtd4yfPI?si=To8Ame9i7XRyJ7VS

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労災保険法

R6-343 8.4

障害補償給付「準用」「加重」「併合繰上げ」「変更」【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労災保険法です。

 

 障害補償給付の重要ポイントを過去問でチェックしましょう。

 

過去問をどうぞ!

①【H21年問6

 障害補償給付を支給すべき障害は、厚生労働省令で定める障害等級表に掲げる障害等級第1級から第14級までの障害であるが、同表に掲げるもの以外の障害は、その障害の程度に応じ、同表に掲げる障害に準じて障害等級が認定される。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H21年問6 〇

<障害等級の準用>

 障害等級表には、類型的な身体障害が掲げられています。障害等級表に掲げられていない障害は、その障害の程度に応じ、障害等級表に掲げる障害に準じて障害等級が認定されます。

(則第14条第1項、第4項)

 

 

②【H21年問6

 既に業務災害による障害の障害等級に応じて障害補償年金を受ける者が新たな業務災害により障害の程度を加重された場合には、その加重された障害の該当する障害等級に応ずる新たな障害補償年金が支給され、その後は、既存の障害に係る従前の障害補償年金は支給されない。

 

 

 

 

【解答】

②【H21年問6 ×

<加重障害>

 既に身体障害のあった者が、新たな業務災害により、同一の部位について障害の程度が加重した場合は、加重した障害等級に応ずる障害補償給付となります。

 加重する前も加重した後も年金の等級の場合、その額は、現在の障害等級に応ずる障害補償年金の額から、既にあった障害の障害等級に応ずる障害補償年金の額を差し引いた額となります。

 なお、既存の障害に係る従前の障害補償年金は、引き続き支給されます

(則第14条第5項)

※下のイメージ図もご覧ください。

 

 

③【H21年問6

 障害等級表に該当する障害が2以上あって厚生労働省令の定める要件を満たす場合には、その障害等級は、厚生労働省令の定めるところに従い繰り上げた障害等級による。繰り上げた障害等級の具体例を挙げれば、次のとおりである。

①第8級、第11条及び第13級の3障害がある場合       第7級

②第4級、第5級、第9級及び第12級の4障害がある場合    第1級

③第6級及び第8級の2障害がある場合            第4級

 

 

 

 

【解答】

③【H21年問6】 

<併合・併合繰上げ>

 障害が2以上ある場合には、重い方の身体障害の該当する障害等級によるのが原則です。

 ただし、一定の場合は等級が繰り上げられます。

 問題文を例にしてみましょう。

①第8級、第11条及び第13級の3障害がある場合

13級以上に該当する障害が2以上あるので、重い方を1級繰り上げ7級となります。

②第4級、第5級、第9級及び第12級の4障害がある場合

第5級以上に該当する障害が2以上あるので、重い方を3級繰り上げて1級となります。

③第6級及び第8級の2障害がある場合

第8級以上に該当する障害が2以上あるので重い方を2級繰り上げて4級となります。

(則第14条第3項)

 

 

 

 

④【H21年問6

 既に業務災害による障害の障害等級に応じて障害補償一時金を支給されていた者が新たな業務災害により同一の部位について障害の程度が加重され、それに応ずる障害補償年金を支給される場合には、その額は、原則として、既存の障害に係る障害補償一時金の額の25分の1を差し引いた額による。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H21年問6 〇

<加重障害>

 ②と同じです。

 ただし、加重前が一時金で加重後が年金の場合の給付額は、新たな等級の年金額から既存の障害に係る障害補償一時金の額の25分の1を差し引いた額となります。

(則第14条第5項)

 

 

⑤【H21年問6

 障害補償年金を受ける者の障害の程度について自然的経過により変更があった場合には、新たに該当することとなった障害等級に応ずる障害補償給付が支給され、その後は、従前の障害補償年金は支給されない。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【H21年問6 〇

<変更>

 障害の程度が自然的な経過により増進し、又は軽減した場合の規定です。

 例えば、3級の障害補償年金を受ける者の障害の程度が、自然的経過により5級に軽減した場合は、新たに該当することとなった5級の障害補償年金が支給され、その後は、従前の3級の障害補償年金は支給されません。

 この規定は、障害補償年金から障害補償給付(障害補償年金又は障害補償一時金)への変更です。

 もともとが障害補償一時金の場合は、適用されません。

(第15条の2) 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/C3Q1udqfhb0?si=9uNrVTm2zMXFvdV6

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労災保険法

R6-333 7.25

<選択式>休業補償給付の支給額について【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労災保険法です。

 

 

まず、選択式の過去問をどうぞ!

R5年選択式】

 労災保険法第14条第1項は、「休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による< A >のため労働することができないために賃金を受けない日の第< B >日目から支給するものとし、その額は、一日につき給付基礎日額の< C >に相当する額とする。ただし、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日若しくは賃金が支払われる休暇(以下この項において「部分算定日」という。)又は複数事業労働者の部分算定日に係る休業補償給付の額は、給付基礎日額(第8条の2第2項第2号に定める額(以下この項において「最高限度額」という。)を給付基礎日額とすることとされている場合にあつては、同号の規定の適用がないものとした場合における給付基礎日額)から部分算定日に対して支払われる賃金の額を控除して得た額(当該控除して得た額が最高限度額を超える場合にあつては、最高限度額に相当する額)< C >に相当する額とする。」と規定している。

<選択肢>

① 100分の50100分の60100分の70100分の80

⑤ 2   ⑥ 3   ⑦ 4   ⑧ 7   ⑨ 通院   ⑩ 能力喪失

⑪ 療養

 

 

 

 

【解答】

A ⑪ 療養

B ⑦ 4

C ② 100分の60

 

★部分算定日とは

・療養のため所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日

・一部について賃金が支払われる休暇(例えば、時間単位の年次有給休暇を取得した場合など)

<部分算定日の休業補償給付の額の出し方を確認しましょう>

午前中は労働し、午後は通院のため休業した場合

※給付基礎日額は10,000円、午前中の労働に対する賃金が3000円の場合

休業補償給付の額

給付基礎日額(10,000円)から部分算定日に対して支払われる賃金の額(3,000円)を控除して得た額の100分の604,200

午前

午後

労働(3,000円))

通院のため休業

 

10,000円-3,000円)×60%=4,200

給付基礎日額10,000

 

 

択一式の過去問もどうぞ!

①【H30年出題】

 休業補償給付は、業務上の傷病による療養のため労働できないために賃金を受けない日の4日目から支給されるが、休業の初日から第3日目までの期間は、事業主が労働基準法第76条に基づく休業補償を行わなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年出題】 〇

 休業の初日から第3日目までは待期期間となり、休業補償給付は支給されません。その間は、事業主が労働基準法第76条に基づく休業補償を行わなければなりません。

 なお、複数業務要因災害、通勤災害には、事業主の労働基準法の休業補償を行う義務はありません。

(第14条第1項、労基法第76条)

 

 

②【H30年出題】

 会社の所定休日においては、労働契約上賃金請求権が生じないので、業務上の傷病による療養中であっても、当該所定休日分の休業補償給付は支給されない。

 

 

 

 

【解答】

②【H30年出題】 ×

 会社の所定休日も、休業補償給付は支給されます。

 

 

③【H30年出題】

 業務上の傷病により、所定労働時間の全部労働不能で半年間休業している労働者に対して、事業主が休業中に平均賃金の6割以上の金額を支払っている場合には、休業補償給付は支給されない。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H30年出題】 〇

 所定労働時間の全部労働不能で、平均賃金の60%未満の金額しか受けない日は、「賃金を受けない日」として休業補償給付が支給されます。

 問題文の場合は、休業中に平均賃金の6割以上の金額を受けていますので、「賃金を受けない日」に該当しません。そのため休業補償給付は支給されません。

(40.9.15基災発第14) 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/YES32pu9lKs?si=-5bFeiHY6d1bNdMy

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労災保険法

R6-322 7.14

<選択式>療養補償給付のポイント【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労災保険法です。

 

 

過去問で療養補償給付のポイントをみていきます。

 

では、選択式の過去問をどうぞ!

H28年選択式】

 労災保険法第13条第2項によれば、政府は、療養の補償給付として療養の給付をすることが困難な場合、療養の給付に代えて< A >を支給することができる。

<選択肢>

① 治療材料   ② 薬剤   ③ リハビリ用品   ④ 療養の費用

 

 

 

 

【解答】

A ④ 療養の費用

 

13条の条文を読んでみましょう。

13

① 療養補償給付は、療養の給付とする。

② 療養の給付の範囲は、次の各号(政府が必要と認めるものに限る)による。

1) 診察

2) 薬剤又は治療材料の支給

3) 処置、手術その他の治療

4) 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護

5) 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護

6) 移送

③ 政府は、療養の給付をすることが困難な場合その他厚生労働省令で定める場合には、療養の給付に代えて療養の費用を支給することができる。

 

則第11条の2 (療養の費用を支給する場合)

 法の規定により療養の費用を支給する場合は、療養の給付をすることが困難な場合のほか、療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合とする。

 

 

★療養補償給付の原則は「療養の給付(=現物給付)」です。

★ただし、「療養の給付をすることが困難な場合」、「療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合」は、療養の費用の支給(=現金給付)が行われます。

 

 

択一式の過去問もどうぞ!

①【H21年出題】

 療養補償給付のうち、療養の給付は、指定病院等において行われるほか、厚生労働大臣が健康保険法に基づき指定する病院等においても行われる。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H21年出題】 ×

 療養の給付は、指定病院等で行われます。

 指定病院等とは、

社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所(=労災病院のこと)

又は

都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者

です。

 

 厚生労働大臣が健康保険法に基づき指定する病院でも、労災保険の指定病院等でない場合は、療養の給付は行われません。

(則第11条第1項)

 

 

②【H21年出題】

 療養補償給付は、療養の給付として行われるのが原則であるが、療養の給付を行うことが困難である場合のほか、労働者が指定病院等でない病院等であっても当該病院等による療養を望む場合には、療養の給付に代えて療養の費用が支給される。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H21年出題】 ×

 療養の給付に代えて療養の費用が支給されるのは、「療養の給付をすることが困難な場合」のほか、「療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合」です。

 「労働者が指定病院等でない病院等であっても当該病院等による療養を望む場合」では、療養の費用は支給されません。

(則第11条の2)

 

 

③【H21年出題】

 療養の給付の範囲は、①診察、②薬剤又は治療材料の支給、③処置、手術その他の治療、④居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護、⑤病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護、⑥移送のほか、政府が療養上相当と認めるものに限られる。

 

 

 

 

【解答】

③【H21年出題】 ×

 療養の給付の範囲は、①~⑥の「ほか」政府が療養上相当と認めるものではありません。①~⑥の「なか」で政府が必要と認めるものに限られます。

(第13条第2項)

 

 

④【H21年出題】

 療養の給付を受ける労働者が当該療養の給付を受ける指定病院等を変更しようとするときは、改めて所定の事項を記載した届書を、当該療養の給付を受けようとする指定病院等を経由して所轄都道府県労働局長に提出し、その承認を受けなければならない。

 

 

 

 

【解答】

④【H21年出題】 ×

 指定病院等を変更しようとするときは、届書を、新たに療養の給付を受けようとする指定病院等を「経由」して「所轄労働基準監督署長」に提出しなければなりません。

 提出先は、都道府県労働局長ではなく「所轄労働基準監督署長」です。また、承認を受ける必要はありません。

 指定病院等を「経由」することにも注意してください。

(則第12条第3項)

 

 

⑤【H27年出題】

 療養の給付は、その傷病が療養を必要としなくなるまで行われるので、症状が安定して疾病が固定した状態になり、医療効果が期待しえない状態になっても、神経症状のような傷病の症状が残っていれば、療養の給付が行われる。

 

 

 

 

【解答】

⑤【H27年出題】 ×

 症状が残っていてもそれが安定して、医療効果が期待しえない状態になった場合は、療養の必要がなくなったものとされ、療養の給付は行われなくなります。

(昭23.1.13基災3号)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/wgBEn_Oj_uM?si=PVJIq2n2SOCkCBQg

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労災保険法

R6-308 6.30

遺族補償一時金の重要ポイント【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労災保険法です。

 

 「遺族補償給付」には「遺族補償年金」と「遺族補償一時金」があります。

 今日は「遺族補償一時金」のお話です。

 

 遺族補償一時金は、次の場合に支給されます。

①遺族補償年金を受けることができる遺族がいない場合

 又は

②遺族補償年金の受給権者がすべて失権した場合に、支給された年金と前払一時金の合計額が、給付基礎日額の1000日分に満たない場合

 

では、条文を読んでみましょう。

16条の6第1

 遺族補償一時金は、次の場合に支給する。

1) 労働者の死亡の当時遺族補償年金を受けることができる遺族がないとき。

2) 遺族補償年金を受ける権利を有する者の権利が消滅した場合において、他に当該遺族補償年金を受けることができる遺族がなく、かつ、当該労働者の死亡に関し支給された遺族補償年金の額の合計額が当該権利が消滅した日において給付基礎日額の 1000日分に満たないとき

 

(1)例えば、労働者の死亡の当時、障害状態にない50歳の夫のみだった場合

  ↓

 遺族補償一時金の額は給付基礎日額の1000日分

 

2)給付基礎日額の1000日分は、年金の最低保障額のイメージです。

  ↓

 遺族補償一時金の額は、支給された(年金+前払一時金)と給付基礎日額の1000日分との差額

 

 

 遺族補償一時金を受けることができる遺族と順位は、次の通りです。

1 配偶者

2 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子→父母→孫→祖父母

3 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していない子→父母→孫→祖父母

4 兄弟姉妹

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H25年出題】

 労働者が業務災害により死亡した場合、その祖父母は、当該労働者の死亡当時その収入により生計を維持していなかった場合でも、遺族補償一時金の受給者となることがある。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】 〇

 遺族補償一時金は、労働者の死亡当時、生計を維持していた場合でも、生計を維持していなかった場合でも、受給者となることがあります。

(第16条の7第1項)

 

 

②【H28年出題】

 労働者が業務災害により死亡した場合、その兄弟姉妹は、当該労働者の死亡の当時、その収入により生計を維持していなかった場合でも、遺族補償一時金の受給者となることがある。

 

 

 

 

【解答】

②【H28年出題】 〇

 兄弟姉妹は、労働者の死亡の当時、その収入により生計を維持していなかった場合でも、遺族補償一時金の受給者となることがあります。

(第16条の7第1項)

 

 

③【H18年出題】

 遺族補償給付を受けることができる遺族は、死亡した労働者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものでなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H18年出題】 ×

 「遺族補償給付」には、遺族補償年金と遺族補償一時金があります。

★遺族補償年金の受給資格者になるには、「労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたもの」でなければなりません。

★遺族補償一時金は、労働者の死亡当時、その収入により生計を維持していなかった場合でも、受給者となることがあります。

(第16条の2、第16条の7)

 

 

 

④【H10年出題】

 遺族補償年金を受ける権利を有する死亡労働者の妻が再婚をした場合であっても、他に遺族補償年金の受給権者がいないときには、当該再婚をした妻は遺族補償一時金の請求権を有することがある。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H10年出題】 〇

 死亡労働者の妻が再婚をした場合、遺族補償年金の受給権は消滅します。支払われた遺族補償年金+前払一時金が、給付基礎日額の1000日分に満たない場合は、差額が遺族補償一時金として支給されます。

 「死亡した労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹」の身分は、労働者の死亡の当時の身分によります。

 再婚したとしても、労働者の死亡当時の妻は、遺族補償一時金の請求権を有することがあります。

(第16条の8第1項 昭和41.1.31基発第73号)

 

 

⑤【H28年出題】

 遺族補償年金の受給権を失権したものは、遺族補償一時金の受給権者になることはない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【H28年出題】×

 遺族補償年金の受給権を失権したものが、遺族補償一時金の受給権者になることはあり得ます。(④の問題のような場合です。)

(第16条の8第1項 昭和41.1.31基発第73号)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/oFCJalsefMM?si=bc-EuucCHcmZCe9E

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労災保険法

R6-298  6.20

<選択式>業務上の疾病の範囲・通勤による疾病の範囲【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労災保険法です。

 

選択式の過去問をみていきます。

 

過去問をどうぞ!

H18年選択式】

労働者災害補償保険法による保険給付の事由となる業務災害及び通勤災害のうち業務上の疾病の範囲は、< A >で、通勤災害のうち通勤による疾病の範囲は、< B >で定められている。

 業務上の疾病として< A >の別表第1の2に掲げられている疾病のうち同表第11号に掲げられている疾病は、その他< C >である。

 通勤による疾病として< B >に定められている疾病は、< D >に起因する疾病その他< E >である。

 

<選択肢>

① 業務上の事故による疾病   ② 業務上の負傷に起因する疾病

③ 業務と因果関係のある疾病   ④ 業務に起因することの明らかな疾病

⑤ 業務に起因する疾病   ⑥ 通勤   ⑦ 通勤上の事由

⑧ 通勤上の事由による疾病   ⑨ 通勤と因果関係のある疾病

⑩ 通勤途上の事故   ⑪ 通勤途上の負傷

⑫ 通勤に起因することの明らかな疾病   ⑬ 通勤による疾病

⑭ 通勤による負傷   ⑮ 通勤による負傷に起因する疾病 

⑯ 労働安全衛生規則   ⑰ 労働基準法施行規則

⑱ 労働基準法施行令   ⑲ 労働者災害補償保険法施行規則 

⑳ 労働者災害補償保険法施行令

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A ⑰ 労働基準法施行規則

B ⑲ 労働者災害補償保険法施行規則

C ④ 業務に起因することの明らかな疾病

D ⑭ 通勤による負傷

E ⑫ 通勤に起因することの明らかな疾病

 

 

こちらの過去問もどうぞ!

①【H19年出題】

 業務上の負傷に起因する疾病は、労働基準法施行規則第35条及び別表第1の2で定める業務上の疾病には含まれない。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H19年出題】 ×

 「業務上の負傷に起因する疾病」は、別表第1の2第1号で定められていて、業務上の疾病に含まれます。

 ちなみに、別表第1の2は職業病リストとよばれていて、業務上の疾病の範囲を明確にしています。

(労働基準法施行規則第35条及び別表第1の2)

 

 

②【H19年出題】

 業務との関連性がある疾病であっても、労働基準法施行規則別表第1の2第1号から第10号までに掲げる疾病その他「業務に起因することの明らかな疾病」に該当しなければ、業務上の疾病とは認められない。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H19年出題】 〇

 業務上の疾病と認められるには、労働基準法施行規則別表第1の2(職業病リスト)で定められている疾病に該当しなければなりません。

 なお、第1号から第10号までのリストには、業務と疾病の間に因果関係が確立している疾病が示されています。

 示されていない疾病については、11号の「その他業務に起因することの明らかな疾病」として業務と疾病の因果関係が認められた場合は、業務上の疾病として認められます。

 

 

③【H19年出題】

 通勤による疾病とは、通勤途上で生じた疾病その他厚生労働省令で定める疾病をいう。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H19年出題】 ×

 条文を読んでみましょう。

22条第1

 療養給付は、労働者が通勤により負傷し、又は疾病(厚生労働省令で定めるものに限る。)にかかった場合に、当該労働者に対し、その請求に基づいて行う。

 

則第18条の4(通勤による疾病の範囲)

 法第22条第1項の厚生労働省令で定める疾病は、通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病とする。

 通勤による疾病の範囲は、「通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病」とされています。

 

 

④【H21年出題】

 通勤による疾病は、通勤による負傷に起因する疾病その他厚生労働省令で定める疾病に限られ、その具体的範囲は、労災保険法施行規則に基づき厚生労働大臣が告示で定めている。

 

 

 

 

【解答】

④【H21年出題】 ×

 通勤による疾病は、「通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病」とされています。業務上の疾病と異なり、具体的な疾病の種類は挙げられていません。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/1V8VOt3yKhQ?si=VWNgDhXuR8WdYrv1

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労災保険法

R6-272 5.25

業務災害・通勤災害の範囲【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労災保険法です。

 

 業務災害、通勤災害の範囲をみていきます。

 

 まず、業務災害、通勤災害の定義を条文で読んでみましょう。

第7条第1

 この法律による保険給付は、次に掲げる保険給付とする。

1) 労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡(以下「業務災害」という。)に関する保険給付

2) 複数事業労働者(これに類する者として厚生労働省令で定めるものを含む。)2以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡(以下「複数業務要因災害」という。)に関する保険給付(前号に掲げるものを除く。)

3) 労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡(以下「通勤災害」という。)に関する保険給付

4) 二次健康診断等給付

 

 業務災害とは、「労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡」、通勤災害とは、「労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡」です。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H25年出題】

 転任等のやむを得ない事情のために同居していた配偶者と別居して単身で生活する者や家庭生活の維持という観点から自宅を本人の生活の本拠地とみなし得る合理的な理由のある独身者にとっての家族の住む家屋については、当該家屋と就業の場所との間を往復する行為に反復・継続性が認められるときは住居と認めて差し支えないが、「反復・継続性」とは、おおむね2か月に1回以上の往復行為又は移動がある場合に認められる。

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】 ×

 「住居」とは、労働者が居住して日常生活の用に供している家屋等の場所で、本人の就業のための拠点となるところを指します。

 転任等のやむを得ない事情のために同居していた配偶者と別居して単身で生活する者や家庭生活の維持という観点から自宅を本人の生活の本拠地とみなし得る合理的な理由のある独身者にとっての家族の住む家屋については、当該家屋と就業の場所との間を往復する行為に反復・継続性が認められるときは住居と認めて差し支えないとされています。

 「反復・継続性」とは、おおむね「1か月1回以上」の往復行為又は移動がある場合に認められます。

(18.3.31基発第0331042号、平18.3.31/基労管発第0331001号/基労補発第0331003号/)

 

 

②【H25年出題】

 出張の機会を利用して当該出張期間内において、出張先に赴く前後に自宅に立ち寄る行為(自宅から次の目的地に赴く行為を含む。)については、当該立ち寄る行為が、出張経路を著しく逸脱していないと認められる限り、原則として、通常の出張の場合と同様、業務として取り扱われる。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H25年出題】 〇

 出張の機会を利用して出張期間内に、出張先に赴く前後に自宅に立ち寄る行為(自宅から次の目的地に赴く行為を含む。)については、原則として、通常の出張の場合と同様、業務として取り扱われます

(平18.3.31/基労管発第0331001号/基労補発第0331003号/)

 

 

③【H25年出題】

 通勤の途中において、歩行中にビルの建設現場から落下してきた物体により負傷した場合、通勤による災害と認められない。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H25年出題】 ×

 「通勤による」とは通勤と相当因果関係のあること、つまり、通勤に通常伴う危険が具体化したことをいいます。

 通勤の途中で、自動車にひかれた、電車が急停車したため転倒して受傷した、駅の階段から転落した、歩行中にビルの建設現場から落下してきた物体により負傷した、転倒したタンクローリーから流れ出す有害物質により急性中毒にかかった等、一般に通勤中に発生した災害は通勤によるものと認められます。

 問題文は、通勤による災害と認められます。

(18.3.31基発第0331042)

 

 

④【H25年出題】

 通勤の途中で怨恨をもってけんかをしかけて負傷した場合、通勤災害と認められる。

 

 

 

 

【解答】

④【H25年出題】 ×

 被災者の故意によって生じた災害、通勤の途中で怨恨をもってけんかをしかけて負傷した場合などは、通勤をしていることが原因となって災害が発生したものではありませんので、通勤災害とは認められません。

(18.3.31基発第0331042)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/Q-wc7v1ejhk?si=r9txjwF8kLGXMz8X

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労災保険法

R6-271 5.24

通勤に該当する例・該当しない例【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労災保険法です。

 

 

まず、「通勤」の定義を条文で読んでみましょう。

7条第2

 通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。

1) 住居と就業の場所との間の往復

2) 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動

3) (1)に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)

 

★「就業に関し」について

 「就業に関し」とは、移動行為が業務に就くため又は業務を終えたことにより行われるものであることを必要とする趣旨を示しています。つまり、通勤と認められるには、移動行為が業務と密接な関連をもって行われることを要します。

★「合理的な経路及び方法」について

 「合理的な経路及び方法」とは、移動の場合に、一般に労働者が用いるものと認められる経路及び手段等をいいます。

★「業務の性質を有するもの」について

 「業務の性質を有するもの」とは、移動による災害が業務災害と解されるものをいいます。

(18.3.31基発第0331042)

 

では、過去問をどうぞ!

①【H24年出題】

 寝過ごしにより就業場所に遅刻した場合は、通勤に該当することはない。

 

 

 

 

 

【解答】 

①【H24年出題】 ×

 所定の就業日に所定の就業開始時刻を目途に住居を出て就業の場所へ向う場合は、寝すごしによる遅刻、あるいはラッシュを避けるための早出等、時刻的に若干の前後があっても就業との関連性があるとされています。

 寝過ごしにより就業場所に遅刻した場合でも、通勤に該当することはあります。

(18.3.31基発第0331042)

 

 

②【H24年出題】

 運動部の練習に参加する目的で、午後の遅番の出勤者であるにもかかわらず、朝から住居を出る等、所定の就業開始時刻とかけ離れた時刻に会社に行く場合も、通勤に該当する。

 

 

 

 

【解答】

②【H24年出題】 ×

 運動部の練習に参加する等の目的で、例えば、

① 午後の遅番の出勤者であるにもかかわらず、朝から住居を出る等、所定の就業開始時刻とかけ離れた時刻に会社に行く場合

② 第2の就業場所にその所定の就業開始時刻と著しくかけ離れた時刻に出勤する場合

には、当該行為は、むしろ当該業務以外の目的のために行われるものと考えられるので、就業との関連性はないと認められます。そのため、通勤に該当しません。

(18.3.31基発第0331042)

 

 

③【H24年出題】

 日々雇用される労働者が公共職業安定所等でその日の職業紹介を受けるために住居から公共職業安定所等まで行く行為は、通勤に該当しない。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H24年出題】 〇

 日々雇用される労働者について、公共職業安定所等でその日の紹介を受けるために住居から公共職業安定所等まで行く行為は、未だ就職できるかどうか確実でない段階であり、職業紹介を受けるための行為であって、就業のための出勤行為であるとはいえないとされています。

 

ちなみに、日々雇用される労働者について

・継続して同一の事業に就業している場合は、就業することが確実であり、その際の出勤は、就業との関連性が認められます。

・公共職業安定所等でその日の紹介を受けた後に、紹介先へ向う場合で、その事業で就業することが見込まれるときも、就業との関連性を認めることができます。

(18.3.31基発第0331042)

 

④【H24年出題】

 昼休みに自宅まで時間的に十分余裕をもって往復できる労働者が、午前中の業務を終了して帰り、午後の業務に就くために出勤する往復行為は、通勤に該当しない。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H24年出題】 ×

 通勤は1日について1回のみしか認められないものではありませんので、昼休み等就業の時間の間に相当の間隔があって帰宅するような場合には、昼休みについていえば、午前中の業務を終了して帰り、午後の業務に就くために出勤するものと考えられますので、その往復行為は就業との関連性を認められ、通勤に該当します。

(18.3.31基発第0331042)

 

 

⑤【H24年出題】

 業務の終了後、事業場施設内で、サークル活動をした後に帰宅する場合は、社会通念上就業と帰宅との直接的関連を失わせると認められるほど長時間となるような場合を除いても、通勤に該当することはない。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【H24年出題】 ×

 業務の終了後、事業場施設内で、囲碁、麻雀、サークル活動、労働組合の会合に出席をした後に帰宅するような場合には、社会通念上就業と帰宅との直接的関連を失わせると認められるほど長時間となるような場合を除き、就業との関連性を認めても差し支えないとされています。

 問題文の場合は通勤に該当することもあります。

(18.3.31基発第0331042)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/p4ZJ5FQUmRg?si=SeWFeR9WgvCmgaPA

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労災保険法

R6-257 5.10

特別加入者に対する支給制限【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労災保険法です。

 

 

 中小事業主等、一人親方等、海外派遣者は、労災保険に特別加入できます。

 特別加入すると、労働者とみなされ、労働者と同じ補償が受けられます。

 ただし、労働者とは異なる規定もありますので、注意しましょう。

 

今回は、労働者と異なる規定のひとつ「支給制限」をみていきましょう。

 

条文を読んでみましょう。

34条第1項第4

中小事業主等の事故が第1種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる。これらの者の業務災害の原因である事故が事業主の故意又は重大な過失によって生じたものであるときも、同様とする

 

35条第1項第7号

一人親方等及び特定作業従事者の事故が、第2種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる

 

36条第1項第3

海外派遣者の事故が、第3種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる

 

★特別加入者の支給制限について

・中小事業主等のみに規定されているもの

 中小事業主等の業務災害の原因である事故が事業主の故意又は重大な過失によって生じたときは、保険給付の全部又は一部を行わないことができる

・中小事業主等、一人親方等、海外派遣者共通で規定されているもの

 事故が特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、保険給付の全部又は一部を行わないことができる

 

 

★★「労働者」の場合と比較してみましょう。

① 事業主が故意又は重大な過失により労災保険の保険関係成立届を提出していない期間中に生じた事故

② 事業主が一般保険料を納付しない期間中に生じた事故

③ 事業主が故意又は重大な過失により生じさせた業務災害の原因である事故

(第31条第1項)

①②③については、事業主に非があるため、「事業主からの費用徴収」の対象になります。労働者に対する保険給付は全額支給され、支給制限は行われません。

 

 

過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 特別加入している中小事業主が行う事業に従事する者(労働者である者を除く。)が業務災害と認定された。その業務災害の原因である事故が事業主の故意又は重大な過失により生じさせたものである場合は、政府は、その業務災害と認定された者に対して保険給付を全額支給し、厚生労働省令で定めるところにより、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 ×

 特別加入している中小事業主等の業務災害の原因である事故が事業主の故意又は重大な過失により生じさせたものである場合は、「政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる。」です。

 事業主から費用を徴収するのではなく、「支給制限」が行われます。

(第34条第1項第4号)

 

 

②【H26年出題】

 事業主が、労働保険の事業に要する費用にあてるために政府に納付すべき第一種特別加入保険料を納付せず、その後、政府から督促を受けるまでの期間中に生じた事故について、政府が保険給付を行ったときは、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H26年出題】 ×

 第一種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じた事故については、「保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる(=費用徴収)。」ではなく、「保険給付の全部又は一部を行わないことができる。(=支給制限)」となります。

(第34条第1項第4号)

 

 

③【H26年出題】

 事業主が、労働保険の事業に要する費用にあてるために政府に納付すべき第二種特別加入保険料を納付せず、その後、政府から督促を受けるまでの期間中に生じた事故について、政府が保険給付を行ったときは、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H26年出題】 ×

 ②の問題と同じです。第二種特別加入保険料が滞納されている期間中の事故については、費用徴収ではなく、支給制限となります。

(第35条第1項第7号)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/hlOY_BzYEHo?si=BY31l-VSUchHcdJT

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労災保険法

R6-238 4.21

社労士受験のための 業務災害の認定の具体例

過去問から学びましょう。

今日は労災保険法です。

 

「業務災害」とは、「労働者の業務上負傷、疾病、障害又は死亡」のことです。

 業務上と認められるには、

業務遂行性が認められること(労働者が労働関係にあること)

  ↓

業務起因性が成立していること(業務と傷病との間に因果関係があること)

が必要です。

 

 

「業務上」と認められるか否かの具体例をみていきます。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 道路清掃工事の日雇い労働者が、正午からの休憩時間中に同僚と作業場内の道路に面した柵にもたれて休憩していたところ、道路を走っていた乗用車が運転操作を誤って柵に激突した時に逃げ遅れ、柵と自動車に挟まれて胸骨を骨折した場合、業務上の負傷と認められる。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】  〇

★ポイント! 休憩時間中の災害について

 休憩時間中の災害が、私的行為によって発生した場合は、業務起因性は認められませんので、業務災害になりません。

 しかし、就業中なら業務行為に含まれてるような行為(例えば、トイレなどの生理的行為など)は、事業主の支配下で「業務に付随する行為」として取り扱われます。

 問題文の場合は、道路が作業場で、しかも、常に自動車などによる交通危険にさらされている場所で休憩せざるを得なかった事情にありました。このような事情のため生じた負傷は、業務上の負傷となります。

(昭25.6.8基災収1252号)

 

 

②【H26年出題】

 明日午前8時から午後1時までの間に、下請業者の実施する隣町での作業を指導監督するよう出張命令を受け、翌日、午前7時すぎ、自転車で自宅を出発し、列車に乗車すべく進行中、踏切で列車に衝突し死亡したが、同人が乗車しようとしていた列車が通常の通勤の場合にも利用していたものである場合は、通勤災害とされている。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H26年出題】  ×

★ポイント! 出張中の災害について

 出張中は、全般的に業務遂行性があり、その間の災害には業務起因性が認められ、一般的に業務上と認められます。ただし、積極的な私的行為や恣意的行為で自ら災害を発生させた場合などは業務上と認められません。

 出張については、自宅を出てから自宅に帰るまでが出張途上にあると考えられます。問題文のように、出張の順路の一部が、通常の通勤経路と重複していたとしても、出張業務遂行中とみられます。

「通勤災害」ではなく、「業務災害」となります。

(昭34.7.15基収第2980号)

 

 

 

③【H27年出題】

 会社の休日に行われている社内の親睦野球大会で労働者が転倒し負傷した場合、参加が推奨されているが任意であるときには、業務上の負傷に該当しない。 

 

 

 

 

 

【解答】

③【H27年出題】 〇

★ポイント! 運動会、宴会などの行事に参加中の災害について

全職員について参加が命じられ、これに参加すると出勤扱いとされるような会社主催の行事に参加する場合等は業務となります。

 参加が推奨されているが任意である社内の親睦野球大会での負傷は、業務上の負傷に該当しません。

(平成18.3.31基発第0331042)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/LnWtRe3csXM?si=DWL-RrxL8RmTXlJV

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労災保険法

R6-221 4.4

社労士受験のための 労災 未支給の保険給付の請求

過去問から学びましょう。

今日は労災保険法です。

 

 

未支給の保険給付について条文を読んでみましょう。

11条 

① 労災保険法に基づく保険給付を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの(遺族補償年金については当該遺族補償年金を受けることができる他の遺族複数事業労働者遺族年金については当該複数事業労働者遺族年金を受けることができる他の遺族遺族年金については当該遺族年金を受けることができる他の遺族)は、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。

② 死亡した者が死亡前にその保険給付を請求していなかったときは、①に規定する者は、自己の名で、その保険給付を請求することができる。

③ 未支給の保険給付を受けるべき者の順位は、①に規定する順序(遺族補償年金については第16条の2第3項に、複数事業労働者遺族年金については第20条の6第3項において準用する第16条の2第3項に、遺族年金については第22条の4第3項において準用する第16条の2第3項に規定する順序)による。

④ 未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人がした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。

 

★ 遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金、遺族年金については、転給があるため、未支給の保険給付を請求できる遺族の範囲が違います。

★ 保険給付の請求をしていない者が死亡した場合は、①に規定する者が、自己の名で保険給付を請求できます。

★ 「年金」の受給権者が死亡した場合は、必ず未支給年金が発生します。年金は死亡した月まで支給され、「後払い」だからです。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【R2年出題】※改正による修正あり

 労災保険法に基づく保険給付を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの(遺族補償年金については当該遺族補償年金を受けることができる他の遺族、複数事業労働者遺族年金については当該複数事業労働者遺族年金を受けることができる他の遺族、遺族年金については当該遺族年金を受けることができる他の遺族)は、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 〇

★ 未支給の保険給付を請求することができるのは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹で、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものです。

★ 遺族補償年金については、未支給の遺族補償年金を請求できるのは、当該遺族補償年金を受けることができる他の遺族です(複数事業労働者遺族年金、遺族年金も同じです。)。

(第11条第1項)

 

 

 

②【H30年出題】

 労災保険法に基づく遺族補償年金を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき遺族補償年金でまだその者に支給しなかったものがあるときは、当該遺族補償年金を受けることができる他の遺族は、自己の名で、その未支給の遺族補償年金の支給を請求することができる。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H30年出題】 〇 

 例えば、遺族補償年金を受ける権利を有する者が420日に死亡した場合、4月分が未支給になります。未支給の遺族補償年金は、「当該遺族補償年金を受けることができる他の遺族」が、自己の名で、請求できます。

(第11条第1項)

 

 

③【H30年出題】

 労災保険法に基づく遺族補償年金を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その死亡した者が死亡前にその遺族補償年金を請求していなかったときは、当該遺族補償年金を受けることができる他の遺族は、自己の名で、その遺族補償年金を請求することができる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【H30年出題】 〇 

 遺族補償年金を受ける権利を有する者が死亡した場合で、「その死亡した者が死亡前にその遺族補償年金を請求していなかった」ときは、「当該遺族補償年金を受けることができる他の遺族」が、自己の名で、その遺族補償年金を請求することができます。

(第11条第2項)

 

 

④【H30年出題】

 労災保険法に基づく保険給付を受ける権利を有する者が死亡し、その者が死亡前にその保険給付を請求していなかった場合、未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人がした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。

 

 

 

 

 

【解答】

④【H30年出題】 〇

 手続を簡素化するための規定です。未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人(代表者)がした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人(代表者)に対してした支給は、全員に対してしたものとみなされます。

(第11条第4項) 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/yE1ouqMH0zk?si=2RF5r3Bnka52jfUy

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労災保険法

R6-210

R6.3.24 障害補償年金の自然的経過による変更

過去問から学びましょう。

今日は労災保険法です。

 

 障害の程度が自然的経過により変更した場合の規定をみていきます。

 

 条文を読んでみましょう。

15条の2

障害補償年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があったため、新たに他の障害等級に該当するに至った場合には、政府は、厚生労働省令で定めるところにより、新たに該当するに至った障害等級に応ずる障害補償年金又は障害補償一時金を支給するものとし、その後は、従前の障害補償年金は、支給しない

 

ポイント!

 障害補償年金を受ける労働者が対象です。(障害補償一時金は対象になりません。)

 障害の程度が、自然的経過により変更(増進・軽減)した場合、新たに該当するに至った障害等級に応ずる障害補償年金又は障害補償一時金が支給されます。

(例)

5級の障害補償年金を受けていた労働者の障害の程度が、自然的経過により3級に増進した場合

 ↓

 3級の障害補償年金が支給され、その後は5級の障害補償年金は支給されません。

 

・7級の障害補償年金を受けていた労働者の障害の程度が、自然的経過により9級に軽減した場合

 ↓

 9級の障害補償一時金が支給され、その後は7級の障害補償年金は支給されません。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H21年出題】

 障害補償年金を受ける者の障害の程度について自然的経過により変更があった場合には、新たに該当することとなった障害等級に応ずる障害補償給付が支給され、その後は、従前の障害補償年金は支給されない。

 

 

②【H30年出題】

 障害補償一時金を受けた者については、障害の程度が自然的経過により増進しても、障害補償給付の変更が問題となることはない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H21年出題】 〇 

 「障害補償年金」を受ける者の障害の程度が、自然的経過により変更があった場合には、新たに該当することとなった障害等級に応ずる障害補償給付(障害補償年金又は障害補償一時金)が支給されます。その後は、従前の障害補償年金は支給されません。

(第15条の2)

 

 

②【H30年出題】 〇 

 「障害補償一時金」を受けた者については、障害の程度が自然的経過により変更しても、障害補償給付の変更は行われません。

(第15条の2)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/THdCwVbq5ZA?si=9E3RyMwp7EEL4BuR

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労災保険法

R6-191 

R6.3.5 遺族補償年金の受給資格者と受給権者

過去問から学びましょう。

今日は労災保険法です。

 

 

★遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものです。

 ただし、「妻」以外の者は、労働者の死亡の当時、「年齢要件」か「障害条件」に該当した場合に限られます。

 要件に該当する者が「受給資格者」となります。

 受給資格者には順位があり、年金を受けることができるのは受給資格者の中の最先順位者です。年金を受ける者を「受給権者」といいます。

 順位は以下の通りです。

妻(年齢要件、障害要件はありません)

60歳以上又は一定の障害)

18歳に達する日以後の最初の331日までの間にある又は一定の障害)

父母60歳以上又は一定の障害)

18歳に達する日以後の最初の331日までの間にある又は一定の障害)

祖父母60歳以上又は一定の障害)

兄弟姉妹18歳に達する日以後の最初の331日までの間にある又は60歳以上又は一定の障害)

55歳以上60歳未満)

父母55歳以上60歳未満)

祖父母55歳以上60歳未満)

兄弟姉妹55歳以上60歳未満)

(第16条の2第1項、3項、昭40年法附則43条)

★転給とは?

 最先順位者が失権した場合に、次の順位の者が受給権者になることです。

 

 

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【R5年出題】

 妻である労働者の死亡当時、無職であった障害の状態にない50歳の夫は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものであるから、遺族補償年金の受給資格者である。

 

 

②【R2年出題】

 業務上の災害により死亡した労働者Yには2人の子がいる。1人はYの死亡の当時19歳であり、Yと同居し、Yの収入によって生計を維持していた大学生で、もう1人は、Yの死亡の当時17歳であり、Yと離婚した元妻と同居し、Yが死亡するまで、Yから定期的に養育費を送金されていた高校生であった。2人の子は、遺族補償年金の受給資格者であり、同順位の受給権者となる。

 

 

③【H19年出題】

 遺族補償年金の受給資格要件の一つである厚生労働省令で定める障害の状態は、身体に障害等級第5級以上に該当する障害がある状態又は傷病が治らないで、身体の機能若しくは精神に、労働が高度の制限を受けるか、若しくは労働に高度の制限を加えることを必要とする程度以上の障害がある状態である。

 

 

④【H18年出題】

 遺族補償給付を受けることができる遺族は、死亡した労働者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものでなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R5年出題】 ×

 「夫」は、「年齢要件」か「障害要件」のどちらかを満たす必要があります。

「障害の状態にない50歳の夫」は、どちらにも当てはまりませんので、遺族補償年金の受給資格者になりません。

(第16条の2第1項)

 

 

②【R2年出題】 × 

 「子」は「年齢要件」か「障害要件」のどちらかを満たす必要があります。

19歳の大学生は、年齢要件を満たしませんので、一定の障害状態にない場合は、受給資格者になりません。

17歳の高校生は、年齢要件を満たしますので、一定の障害状態になくても、受給資格者になります。

(第16条の2第1項)

 

 

③【H19年出題】 〇 

「第5級以上」、「労働が高度の制限を受けるか、若しくは労働に高度の制限を加えることを必要とする程度」がキーワードです。

(則第15条)

 

 

④【H18年出題】 × 

 「遺族補償給付」には、「遺族補償年金」と「遺族補償一時金」があります。

「遺族補償年金」は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものでなければなりません。

一方、「遺族補償一時金」は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものでなくても、受けられる可能性があります。

(第16条の2第1項、第16条の7)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/Fm8vsZBjmXM?si=OqxFMvofeLB0bjy0

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労働者災害補償保険法

R6-178 

R6.2.21 心理的負荷による精神障害の認定基準について  

過去問から学びましょう。

今日は労災保険法です。

 

 

 仕事が原因のストレス(業務による心理的負荷)で発病した精神障害については、労災認定の基準として、「心理的負荷による精神障害の認定基準」が定められています。

 要件を満たす対象疾病は、労働基準法施行規則別表第1の2第9号に該当する業務上の疾病として取り扱われます。

 ちなみに、労働基準法施行規則別表第1の2第9号は、「人の生命にかかわる事故への遭遇その他心理的に過度の負担を与える事象を伴う業務による精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病」です。

では、過去問をどうぞ!

①【H30年出題】

 認定基準においては、次の①、②、③のいずれの要件も満たす対象疾病は、労働基準法施行規則別表第1の2第9号に規定する精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病に該当する業務上の疾病として取り扱うこととされている。

①  対象疾病を発病していること。

②  対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること。

③  業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと。

 

 

②【H30年出題】

 認定基準において、業務による強い心理的負荷とは、精神障害を発病した労働者がその出来事及び出来事後の状況が持続する程度を主観的にどう受け止めたかという観点から評価されるものであるとされている。

 

 

③【H30年出題】

 認定基準においては、業務による心理的負荷の強度の判断に当たっては、精神障害発病前おおむね6か月の間に、対象疾病の発病に関与したと考えられる業務によるどのような出来事があり、また、その後の状況がどのようなものであったのかを具体的に把握し、それらによる心理的負荷の強度はどの程度であるかについて、「業務による心理的負荷評価表」を指標として「強」、「弱」の二段階に区分することとされている。

 

 

④【H30年出題】

 認定基準においては、「極度の長時間労働は、心身の極度の疲弊、消耗を来し、うつ病等の原因となることから、発病日から起算した直前の1か月間におおむね120時間を超える時間外労働を行った場合等には、当該極度の長時間労働に従事したことのみで心理的負荷の総合評価を「強」とする。」とされている。

 

 

⑤【H30年出題】※改正による修正あり

 認定基準においては、「ハラスメントやいじめのように、出来事が繰り返されるものについては、発病の6か月よりも前にそれが開始されている場合でも、発病前6か月以内の行為のみを評価の対象とする。」とされている。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年出題】 〇 

★精神障害の認定要件について

 精神障害の認定の要件は①、②、③のいずれも満たすことです。

①  対象疾病を発病していること。

②  対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること。

③  業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと。

(令5.9.1基 発 0901 第2 号)

 

 

②【H30年出題】 × 

★業務による強い心理的負荷の有無の判断について

精神障害を発病した労働者が、その出来事及び出来事後の状況を主観的にどう受け止めたかによって評価するのではなく、同じ事態に遭遇した場合、同種の労働者が一般的にその出来事及び出来事後の状況をどう受け止めるかという観点から評価するとされています。

(令5.9.1基 発 0901 第2 号)

 

 

③【H30年出題】 × 

★業務による心理的負荷評価表について

「業務による心理的負荷評価表」を指標として「強」、「中」、「弱」の三段階に区分されます。

(令5.9.1基 発 0901 第2 号)

 

 

④【H30年出題】 × 

★長時間労働等の心理的負荷の評価について

 発病直前の1か月におおむね「160」時間を超える時間外労働を行った場合等には、当該極度の長時間労働に従事したことのみで心理的負荷の総合評価を「強」とするとされています。

(令5.9.1基 発 0901 第2 号)

 

 

⑤【H30年出題】 ×

★業務による心理的負荷の評価期間について

 業務による心理的負荷の評価期間は発病前おおむね6か月です。

しかし、心理的負荷を的確に評価するため、ハラスメントやいじめのように、出来事が繰り返されるものについては、発病の6か月よりも前にそれが開始されている場合でも、発病前おおむね6か月の期間にも継続しているときは、「開始時からのすべての行為」を評価の対象とするとされています。

(令5.9.1基 発 0901 第2 号) 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/Vqoo8MvdTnc?si=Z-lHxXlW4b1QQbLk

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労災保険法

R6-168 

R6.2.11 休業補償給付の基本問題

過去問から学びましょう。

今日は労災保険法です。

 

休業補償給付の条文を読んでみましょう。

14条第1

 休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給するものとし、その額は、1日につき給付基礎日額の100分の60に相当する額とする。・・・(※以下省略します。)

 

 休業補償給付は、以下の要件を満たした場合に支給されます。

・「業務上」の傷病による療養のため

・労働することができないため

・賃金を受けない

休業補償給付の額は、1日当たり給付基礎日額の100分の60で、賃金を受けない日の第4日目から支給されます。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H24年出題】

 療養補償給付は、休業補償給付と併給される場合がある。

 

 

②【H30年出題】

 休業補償給付と傷病補償年金は、併給されることはない。

 

 

③【H30年出題】

 休業補償給付は、業務上の傷病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の4日目から支給されるが、休業の初日から第3日目までの期間は、事業主が労働基準法第76条に基づく休業補償を行わなければならない。

 

 

④【H30年出題】

 会社の所定休日においては、労働契約上賃金請求権が生じないので、業務上の傷病による療養中であっても、当該所定休日分の休業補償給付は支給されない。

 

 

⑤【H30年出題】

 業務上の傷病により、所定労働時間の全部労働不能で半年間休業している労働者に対して、事業主が休業中に平均賃金の6割以上の金額を支払っている場合には、休業補償給付は支給されない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H24年出題】 〇

 療養補償給付は、療養中に受けられる治療等のことです。休業補償給付は療養中に受けられる所得補償です。目的が違いますので同時に受けることができます。

(法第13条、第14条)

 

 

②【H30年出題】 〇 

 休業補償給付と傷病補償年金は、どちらも療養中に受けられる所得補償ですので、同時に支給されることはありません。

(法第18条第2項)

※ 年金の支給は、支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、支給を受ける権利が消滅した月で終わります。

 例えば、1月に傷病補償年金を支給すべき事由が生じた場合は、傷病補償年金は2月から支給され、1月中は「休業補償給付」が支給されます。

 

 

③【H30年出題】 〇

 労働基準法では、業務災害について補償を行うことを使用者に義務付けています。(災害補償といいます)

 労働基準法第76条第1項では、「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の100分の60の休業補償を行わなければならない。」と規定されています。

 なお、労働基準法の災害補償の事由について、労働者災害補償保険法から労働基準法の災害補償に相当する給付が行なわれる場合は、使用者は災害補償を行う責を免れます。(労働基準法第84条)

 そのため、労災保険から休業補償給付が行われるときは、事業主は、労働基準法の休業補償を行う義務はなくなります。

 ただし、休業の初日から第3日目までの期間は、労災保険の休業補償給付が行われませんので、事業主は労働基準法第76条に基づく休業補償を行わなければなりません。

(労基法第76条、第84条)

 ちなみに、通勤災害、複数業務要因災害には、労働基準法の災害補償責任はありません。

 

④【H30年出題】 × 

 休業補償給付は、会社の所定休日にも支給されます。

 

 

⑤【H30年出題】 〇 

 「平均賃金の100分の60以上の金額」が支払われている場合は、「休業する日」に該当しません。

 所定労働時間の全部労働不能の労働者に対して、事業主が休業中に平均賃金の6割以上の金額を支払っている場合には、「休業する日」に該当しないので、休業補償給付は支給されません。

(40.9.15基災発第14) 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/QaX6Wr0qj9s?si=nBqCHDw5n9ZY5NH8

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労災保険法

R6-158 

R6.2.1 派遣労働者に係る労災保険給付

過去問から学びましょう。

今日は労災保険法です。

 

★労働者派遣の「派遣元」「派遣先」「派遣労働者」の三者間の関係を確認しましょう。

① 派遣元と派遣労働者との間 → 労働契約関係にあります。

② 派遣元と派遣先との間 → 労働者派遣契約を締結し、この契約に基づき派遣元が派遣先に労働者を派遣します。

③ 派遣先 → 派遣元から委ねられた指揮命令権により派遣労働者を指揮命令します。

 

★労働者派遣事業に対する労働者災害補償保険は、派遣元事業主の事業が適用事業となります。

(参考 S61.6.30発労徴41号、基発第383)

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

 派遣労働者に係る業務災害の認定に当たっては、派遣労働者が派遣元事業主との間の労働契約に基づき派遣元事業主の支配下にある場合及び派遣元事業と派遣先事業との間の労働者派遣契約に基づき派遣先事業主の支配下にある場合には、一般に業務遂行性があるものとして取り扱うこととされている。

 

 

②【R1年出題】

 派遣労働者に係る業務災害の認定に当たっては、派遣元事業場と派遣先事業場との間の往復の行為については、それが派遣元事業主又は派遣先事業主の業務命令によるものであれば一般に業務遂行性が認められるものとして取り扱うこととされている。

 

 

③【R1年出題】

 派遣労働者に係る通勤災害の認定に当たっては、派遣元事業主又は派遣先事業主の指揮命令により業務を開始し、又は終了する場所が「就業の場所」となるため、派遣労働者の住居と派遣元事業場又は派遣先事業場との間の往復の行為は、一般に「通勤」となるものとして取り扱うこととされている。

 

 

④【R1年出題】

 派遣労働者の保険給付の請求に当たっては、当該派遣労働者に係る労働者派遣契約の内容等を把握するため、当該派遣労働者に係る「派遣元管理台帳」の写しを保険給付請求書に添付することとされている。

 

 

⑤【R1年出題】

 派遣労働者の保険給付の請求に当たっては、保険給付請求書の事業主の証明は派遣先事業主が行うこととされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 〇 

★派遣労働者に係る業務災害の認定について

・派遣労働者が派遣元事業主との間の労働契約に基づき派遣元事業主の支配下にある

・派遣元事業と派遣先事業との間の労働者派遣契約に基づき派遣先事業主の支配下にある

業務遂行性があります。

S61.6.30発労徴41号、基発第383

 

 

②【R1年出題】 〇 

★派遣労働者に係る業務災害の認定について

・派遣元事業場と派遣先事業場との間の往復の行為は、それが派遣元事業主又は派遣先事業主の業務命令によるものであれば

 ↓

 業務遂行性があります。

S61.6.30発労徴41号、基発第383

 

 

③【R1年出題】 〇 

★派遣労働者に係る通勤災害の認定について

・派遣元事業主又は派遣先事業主の指揮命令により業務を開始し、又は終了する場所が「就業の場所」となります。そのため、派遣労働者の住居と派遣元事業場又は派遣先事業場との間の往復の行為は、一般に「通勤」となります。

S61.6.30発労徴41号、基発第383

 

 

④【R1年出題】 〇 

★派遣労働者の保険給付の請求について

・当該派遣労働者の「派遣元管理台帳」の写しを保険給付請求書に添付することになっ    ています。

S61.6.30発労徴41号、基発第383

 

 

⑤【R1年出題】 ×

★派遣労働者の保険給付の請求について

・保険給付請求書の事業主の証明は「派遣元事業主」が行います。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/qsJujTQYOSU?si=w4UeYfMB_7XpuXyT

社労士受験のあれこれ

過去問から学ぶ 労災保険法

R6-148 

R6.1.22 支給制限(労働者へのペナルティ) 

過去問から学びましょう。

今日は労災保険法です。

 

 

条文を読んでみましょう。

12条の2の2

① 労働者が、故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその直接の原因となった事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行わない

② 労働者が故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。

 

 労働者に非がある場合は、労災の保険給付の支給制限が行われます。

①「故意に」は「行わない(絶対)」、②「故意の犯罪行為、重大な過失、正当な理由がなくて療養に関する指示に従わない」は「全部又は一部を行わないことができる(裁量)」です。違いに注意しましょう。

 

過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 労働者が、故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその直接の原因となった事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行わない。

 

 

②【H26年出題】

 業務遂行中の災害であっても、労働者が故意に自らの負傷を生じさせたときは、政府は保険給付を行わない。

 

 

③【H26年出題】

 業務遂行性が認められる災害であっても、労働者が故意に自らの死亡の直接の原因となった事故を生じさせたときは、政府は保険給付を行わない。

 

 

④【H26年出題】

 業務遂行性が認められる災害であっても、労働者が故意の犯罪行為により自らの死亡を生じさせた場合は、政府は保険給付の全部又は一部を行わないことができる。

 

 

⑤【R2年出題】

 業務遂行中の負傷であれば、労働者が過失により自らの負傷の原因となった事故を生じさせた場合、それが重大な過失でない限り、政府は保険給付の全部又は一部を行わないとすることはできない。

 

 

⑥【H26年出題】

 業務起因性の認められる負傷であっても、被災した労働者が正当な理由なく療養に関する指示に従わないことにより負傷の回復を妨げた場合は、政府は保険給付の全部又は一部を行わないことができる。

 

 

⑦【H28年選択式】

 労災保険法第13条第2項によれば、政府は、療養の補償給付として療養の給付をすることが困難な場合、療養の給付に代えて< A >を支給することができる。労災保険法第12条の222項によれば、「労働者が故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて< B >に従わないことにより」、負傷の回復を妨げたときは、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 〇 

 「故意」とは、自分の行為が一定の結果を生ずべきことを認識し、かつ、この結果を生ずることを認容することをいいます。

(労災保険法第12条の221項、S40.7.31基発901号)

 

 

②【H26年出題】 〇

 労働者が「故意に」自らの負傷を生じさせたときは、「政府は保険給付を行わない。」

(労災保険法第12条の221項)

 

 

③【H26年出題】 〇

 労働者が「故意に」自らの死亡の直接の原因となった事故を生じさせたときは、政府は「保険給付を行わない。」

(労災保険法第12条の221項)

 

 

④【H26年出題】 〇 

 「故意の犯罪行為」により自らの死亡を生じさせた場合は、政府は「保険給付の全部又は一部を行わないことができる。」

 「故意の犯罪行為」とは、事故の発生を意図した故意はないが、その原因となる犯罪行為が故意によるものです。

(労災保険法第12条の222項、S40.7.31基発901号)

 

 

⑤【R2年出題】 〇 

 労働者が「重大な過失」により自らの負傷の原因となった事故を生じさせた場合、政府は「保険給付の全部又は一部を行わないことができる。」

 「重大でない過失」の場合は、保険給付の全部又は一部を行わないことはできません。

(労災保険法第12条の222項)

 

 

⑥【H26年出題】 〇 

 労働者が「正当な理由なく療養に関する指示に従わない」ことにより負傷の回復を妨げた場合は、政府は「保険給付の全部又は一部を行わないことができる。」

(労災保険法第12条の222項)

 

 

⑦【H28年選択式】

A 療養の費用

B 療養に関する指示

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/UizZFNB8X3E

社労士受験のあれこれ

令和5年の問題より 労災保険法

R6-133

R6.1.7 複数業務要因災害に係る労災保険給付額

まず、用語の定義を確認しましょう。

 

複数事業労働者とは

 事業主が同一人でない二以上の事業に使用される労働者のことです。(法第1条)

複数業務要因災害とは

 複数事業労働者(これに類する者として厚生労働省令で定めるものを含む。)二以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡のことです。(法第7条)

 複数業務要因災害の対象になる傷病は、脳・心臓疾患、精神障害などです。

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 新卒で甲会社に正社員として入社した労働者Pは、入社1年目の終了時に、脳血管疾患を発症しその日のうちに死亡した。Pは死亡前の1年間、毎週月曜から金曜に18時間甲会社で働くと同時に、学生時代からパートタイム労働者として勤務していた乙会社との労働契約も継続し、日曜に乙会社で働いていた。また、死亡6か月前から4か月前は丙会社において、死亡3か月前から死亡時までは丁会社において、それぞれ3か月間の期間の定めのある労働契約でパートタイム労働者として、毎週月曜から金曜まで甲会社の勤務を終えた後に働いていた。Pの遺族は、Pの死亡は業務災害又は複数業務要因災害によるものであるとして所轄労働基準監督署長に対し遺族補償給付又は複数事業労働者遺族給付の支給を求めた。当該署長は、甲会社の労働時間のみでは業務上の過重負荷があったとはいえず、Pの死亡は業務災害によるものとは認められず、また甲会社と乙会社の労働時間を合計しても業務上の過重負荷があったとはいえないが、甲会社と丙会社・丁会社の労働時間を合計した場合には業務上の過重負荷があったと評価でき、個体側要因や業務以外の過重負荷により発症したとはいえないことから、Pの死亡は複数業務要因災害によるものと認められると判断した。Pの遺族への複数事業労働者遺族給付を行う場合における給付基礎日額の算定に当たって基礎とする額に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A) 甲会社につき算定した給付基礎日額である。

(B) 甲会社・乙会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。

(C) 甲会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。

(D) 甲会社・丙会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。

(E) 甲会社・乙会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】  E

■ 複数事業労働者の給付基礎日額の算定は、「当該複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額とする。ただし、第9条第1項第5号の規定は、適用しない。」と」規定されています。(則第9条の221号)

 

■ 複数事業労働者の平均賃金相当額の算定期間と算定方法の「原則」を確認しましょう。

 複数事業労働者に係る平均賃金相当額の原則的な算定期間は、傷病等の発生した日又は診断によって疾病の発生が確定した日(以下「算定事由発生日」という。)以前3か月間であり、平均賃金相当額を算定すべき各事業場において賃金締切日がある場合は事業場ごとに算定事由発生日から直近の賃金締切日より起算すること。

(令和2821日基発08212) 

 

 

 次に「複数業務要因災害」の場合を確認しましょう。

 複数業務要因災害は原則として脳・心臓疾患及び精神障害を想定しています。

 複数業務要因災害として認定される場合、どの事業場においても業務と疾病等との間に相当因果関係は認められません

・遅発性疾病等の診断が確定した日にいずれかの事業場に使用されている場合は、当該事業場について当該診断確定日(賃金の締切日がある場合は直前の賃金締切日をいう。)以前3か月に支払われた賃金により平均賃金相当額を算定します。

・遅発性疾病等の診断が確定した日から3か月前の日を始期として、遅発性疾病等の診断が確定した日までの間に他の事業場から賃金を受けている場合は、当該事業場の平均賃金相当額について、直前の賃金締切日以前3か月間において支払われた賃金により算定します

(令和2821日基発08212)

 

 

 

4か月前

  ▼

 

3か月前

死亡

甲会社

 

 

乙会社

 

 

丙会社

 

 

 

丁会社

 

 

 

 

 遅発性疾病等の診断が確定した日に使用されている「甲会社」、「乙会社」、「丁会社」で診断確定日以前3か月間(賃金締切日がある場合は、直近の賃金締切日以前3か月間)に支払われた賃金で平均賃金相当額を算定します。

 丙会社は、「3か月前の日を始期として、遅発性疾病等の診断が確定した日までの間」に賃金を受けていませんので、計算に入りません。

(令和2821日基発08212)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/LCW3GNDYoio?si=oy0y3-soq3nRPMDK

社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 労災保険法

R6-083

R5.11.18 労災保険と「厚生年金保険・国民年金」との調整

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は労災保険法です。

 

 労災保険の保険給付と、「国民年金・厚生年金保険」の年金は、併給できます。

 ただし、同一の事由」で支給される場合は、「労災保険」の年金たる保険給付が減額されます。同一事由による補償が二重になることを防ぐためです。労災年金は減額されますが、「国民年金・厚生年金」は全額支給されます。「国民年金・厚生年金」は、本人が保険料を負担することにより、支給されるものだからです。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H18年出題】(修正あり)

 労災保険の年金たる保険給付(以下「労災年金」という。)と同一の事由により厚生年金保険の年金たる保険給付又は国民年金の年金たる給付が支給される場合でも、労災年金は、給付基礎日額に所定の日数分を乗じて得た額が全額支給される。

 

 

②【H12年出題】

 休業補償給付の額は、原則として1日につき給付基礎日額の100分の60に相当する額であるが、休業補償給付を受ける労働者が同一の事由について厚生年金保険法の規定による障害厚生年金又は国民年金法の規定による障害基礎年金を受けることができるときは、その額が調整されて減額されることとなる。

 

 

③【H12年出題】

 労災保険の各種年金給付の額は、その受給者が同時に厚生年金保険法の規定による老齢厚生年金又は国民年金法の規定による老齢基礎年金を受けることができる場合でも、これらとは給付事由が異なるので、これらの事由により調整されて減額されることはない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H18年出題】 × 

 労災年金と「同一の事由」により厚生年金保険の年金又は国民年金の年金が支給される場合は、労災年金は、「減額」して支給されます。

(法別表第1

 

 

②【H12年出題】 〇

 休業補償給付を受ける労働者が「同一の事由」について厚生年金保険法の規定による障害厚生年金又は国民年金法の規定による障害基礎年金を受けることができるときは、休業補償給付の額が減額されます。

(法第14条第2項)

 同一の事由で厚生年金・国民年金が支給される場合に調整される労災保険の保険給付は、年金だけでなく休業補償給付も対象になります。

 

 

③【H12年出題】 〇

 同時に厚生年金保険法の老齢厚生年金又は国民年金法の老齢基礎年金を受けることができる場合でも、労災年金は、全額支給されます。給付事由が異なるためです。

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

【R5年出題】

(ア)

 同一の事由により障害補償年金と障害厚生年金及び障害基礎年金を受給する場合、障害補償年金の支給額は、0.73の調整率を乗じて得た額とする。

 

(イ)

 障害基礎年金のみを既に受給している者が新たに障害補償年金を受け取る場合、障害補償年金の支給額は、0.83の調整率を乗じて得た額となる。

 

(ウ)

 障害基礎年金のみを受給している者が遺族補償年金を受け取る場合、遺族補償年金の支給額は、0.88の調整率を乗じて得た額となる。

 

(エ)

 同一の事由により遺族補償年金と遺族厚生年金及び遺族基礎年金を受給する場合、遺族補償年金の支給額は、0.80の調整率を乗じて得た額となる。

 

(オ)

 遺族基礎年金のみを受給している者が障害補償年金を受け取る場合、障害補償年金の支給額は、0.88の調整率を乗じて得た額となる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

(ア) 〇

 「同一の事由」により障害補償年金と「障害厚生年金及び障害基礎年金」を受給する場合、障害補償年金は減額され、障害補償年金の額は、調整率を乗じて得た額となります。問題文の場合、調整率は「0.73」です。

(別表第1)

政令で定める率の一覧表(施行令第2条~第7条) 

 

 

厚生年金

国民年金

 

厚生年金のみ

 

国民年金のみ

障害補償年金

複数事業労働者障害年金

障害年金

障害厚生年金

+障害基礎年金

0.73

障害厚生年金

 

0.83

障害基礎年金

 

0.88

傷病補償年金

複数事業労働者傷病年金

傷病年金             

障害厚生年金

+障害基礎年金

0.73

障害厚生年金

 

0.88

障害基礎年金

 

0.88

遺族補償年金

複数事業労働者遺族年金

遺族年金

遺族厚生年金

+遺族基礎年金

又は寡婦年金

0.80

遺族厚生年金

 

 

0.84

遺族基礎年金

又は寡婦年金

 

0.88

休業補償給付の額を調整する場合は、傷病補償年金と同じ調整率を使います。

 

(イ) ×

 既に受給している障害基礎年金と、新たに受け取る障害補償年金は、支給事由が異なります。そのため、障害補償年金の額は調整されず、全額が支給されます。

 

(ウ) ×

 障害基礎年金と遺族補償年金は支給事由が異なりますので、遺族補償年金は全額支給されます。

 

(エ) 〇

 同一の事由により遺族補償年金と「遺族厚生年金及び遺族基礎年金」を受給する場合、遺族補償年金の支給額は、0.80を乗じて得た額となります。

 

(オ) ×

 遺族基礎年金と障害補償年金は支給事由が異なりますので、障害補償年金は、全額支給されます。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル  

https://youtu.be/YUKoEyMDtMg?si=dkyUuMbPi7tA_Pmi

社労士受験のあれこれ

令和5年度の問題より 労災保険法

R6-052

R5.10.18 血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について

今日は、労災保険法です。

 

 「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」の基本的な考え方を確認しましょう。

業務による明らかな過重負荷が加わることによって、血管病変等がその自然経過を超えて著しく増悪し、脳・心臓疾患が発症する場合があります。そのような経過をたどり発症した脳・心臓疾患は、その発症に当たって業務が相対的に有力な原因であると判断し、業務に起因する疾病として取り扱われます。

・脳・心臓疾患の発症に影響を及ぼす業務による明らかな過重負荷として、発症に近接した時期における負荷及び長期間にわたる疲労の蓄積が考慮されます。

・業務による過重負荷の判断に当たっては、労働時間の長さ等で表される業務量や、業務内容、作業環境等を具体的かつ客観的に把握し、総合的に判断する必要があります。

 

 次に、「認定要件」を確認しましょう。

次の(1)(2)又は(3)の業務による明らかな過重負荷を受けたことにより発症した脳・心臓疾患は、業務に起因する疾病として取り扱われます。

(1) 発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務(「長期間の過重業務」という。)に就労したこと。

(2) 発症に近接した時期において、特に過重な業務(「短期間の過重業務」という。)に就労したこと。

(3) 発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事(「異常な出来事」という。)に遭遇したこと。

 

※(1)「発症前の長期間」とは、発症前おおむね6か月間をいいます

 (2)「発症に近接した時期」とは、発症前おおむね1週間をいいます。

(参照:令和3年9月1 4日付 基発 0 9 1 4 第 1 号)

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R4年出題】

 短期間の過重業務については、発症直前から前日までの間に特に過度の長時間労働が認められる場合や、発症前おおむね1週間継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が認められる場合に、業務と発症との関連性が強いと評価できるとされている。

 

 

②【R4年出題】

 心理的負荷を伴う業務については、精神障害の業務起因性の判断に際して、負荷の程度を評価する視点により検討、評価がなされるが、脳・心臓疾患の業務起因性の判断に際しては、同視点による検討、評価の対象外とされている。

 

 

③【R4年出題】

 急激な血圧変動や血管収縮等を引き起こすことが医学的にみて妥当と認められる「異常な出来事」と発症との関連性については、発症直前から1週間前までの間が評価期間とされている。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R4年出題】 〇 

 「短期間の過重業務と発症との関連性」を時間的にみた場合、業務による過重な負荷は、発症に近ければ近いほど影響が強いと考えられます。次に示す業務と発症との時間的関連を考慮して、特に過重な業務と認められるか否かを判断することとされています。

① 発症に最も密接な関連性を有する業務は、発症直前から前日までの間の業務であるので、まず、この間の業務が特に過重であるか否かを判断すること。

② 発症直前から前日までの間の業務が特に過重であると認められない場合であっても、発症前おおむね1週間以内に過重な業務が継続している場合には、業務と発症との関連性があると考えられるので、この間の業務が特に過重であるか否かを判断すること。

 (令和3年9月1 4日付 基発 0 9 1 4 第 1 号)

 

 

②【R4年出題】 ×

  心理的負荷を伴う業務については、別表1及び別表2に掲げられている日常的に心理的負荷を伴う業務又は心理的負荷を伴う具体的出来事等について、負荷の程度を評価する視点により検討し、評価することとされています。

 心理的負荷を伴う業務については、脳・心臓疾患の業務起因性の判断に際しても、負荷の程度を評価する視点による検討、評価の対象になります。

(令和3年9月1 4日付 基発 0 9 1 4 第 1 号)

 

 

③【R4年出題】 ×

 異常な出来事と発症との関連性については、通常、負荷を受けてから24時間以内に症状が出現するとされていますので、評価期間は、「発症直前から前日までの間」とされています。

(令和3年9月1 4日付 基発 0 9 1 4 第 1 号)

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!
R5年出題】

 「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」(令和3914日付け基発0914 1 号)で取り扱われる対象疾病に含まれるものは、次のアからオの記述のうちいくつあるか。

ア 狭心症

イ 心停止(心臓性突然死を含む。)

ウ 重篤な心不全

エ くも膜下出血

オ 大動脈解離

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】  5つ

なお、認定基準で対象疾病として取り扱われる脳・心臓疾患は以下の通りです。

< 脳血管疾患>

(1) 脳内出血(脳出血)

(2) くも膜下出血

(3) 脳梗塞

(4) 高血圧性脳症

< 虚血性心疾患等>

(1) 心筋梗塞

(2) 狭心症

(3) 心停止(心臓性突然死を含む。)

(4) 重篤な心不全

(5) 大動脈解離

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/Aex4acDq1s0?si=wDSvl6zIq5u0_CDk

社労士受験のあれこれ

令和5年度の問題より 労災保険法

R6-043

R5.10.9 労災不服申立てのポイント!

今日は、労災保険法です。

 

条文を読んでみましょう。

38条 

① 保険給付に関する決定に不服のある者は、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる

② 審査請求をしている者は、審査請求をした日から3か月を経過しても審査請求についての決定がないときは、労働者災害補償保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる

③ 審査請求及び再審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関しては、これを裁判上の請求とみなす。

 

40条 

 第38条第1項に規定する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する労働者災害補償保険審査官の決定を経た後でなければ、提起することができない。

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

①【R5年出題】

 労災保険給付に関する決定に不服のある者は、都道府県労働局長に対して審査請求を行うことができる。

 

②【R5年出題】

 審査請求をした日から起算して1か月を経過しても審査請求についての決定がないときは、審査請求は棄却されたものとみなすことができる。

 

③【R5年出題】

 処分の取消しの訴えは、再審査請求に対する労働保険審査会の決定を経た後でなければ、提起することができない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R5年出題】 ×

 労災保険給付に関する決定に不服のある者は、「労働者災害補償保険審査官」に対して審査請求を行うことができます。都道府県労働局長ではありません。

 

②【R5年出題】 ×

 審査請求をした日から起算して「3か月」を経過しても審査請求についての決定がないときは、審査請求は棄却されたものとみなすことができる、です。1か月ではありません。

 

③【R5年出題】 ×

 「処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する『労働者災害補償保険審査官の決定』を経た後でなければ、提起することができない。」です。

労働者災害補償保険審査官の決定に不服がある場合は、

①「労働保険審査会に再審査請求」→「処分の取消しの訴えを提起する」

②労働保険審査会に再審査請求をしないで、「処分の取消しの訴えを提起する」

のどちらでも選択することができます。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/RvY4aFF95sQ?si=ruWPcVAiZNYRTQSN

社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 労災保険法

R6-034

R5.9.30 労働者の死亡当時胎児であった子が出生したとき

「過去問」で解ける問題を解説していきます。

今日は、労災保険法です。

 

条文を読んでみましょう。

16条の2第1項、第2

① 遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとする。

ただし、(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)以外の者にあっては、労働者の死亡の当時次の各号に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。

1 夫(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)、父母又は祖父母については、60歳以上であること。

2 子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること。

3 兄弟姉妹については、18歳に達する日以後の最初の331日までの間にあること又は60歳以上であること。

4 前3号の要件に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、厚生労働省令で定める障害の状態にあること。

② 労働者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、将来に向かって、その子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子とみなす

 

 遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していたことが条件です。

 また、妻以外の者は、労働者の死亡当時、「年齢要件」か、「障害要件」のどちらかを満たす必要があります。

 

 

過去問をどうぞ!

H19年出題】

 遺族補償年金又は遺族年金を受けることができる遺族について、労働者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、その子は、将来に向かって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたとみなされ、また、その子が厚生労働省令で定める障害の状態で出生した場合についても、将来に向かって、労働者の死亡の当時厚生労働省令で定める障害の状態にあったものとみなされる。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H19年出題】 ×

 労働者の死亡の当時胎児であった子が生まれたときは、生まれたときから遺族補償年金の受給資格者となります。

 労働者の死亡の当時胎児であった子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたとみなされます。

 しかし、労働者の死亡の当時厚生労働省令で定める障害の状態にあったものとはみなされません。そのため、そのような子の遺族補償年金の受給権は、「18歳に達した日以後の最初の331日が終了したとき」に失権します。

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 労働者の死亡当時、胎児であった子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとはいえないため、出生後も遺族補償年金の受給資格者ではない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 ×

 労働者の死亡当時、胎児であった子は、「労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子」とみなされます。出生以後は遺族補償年金の受給資格者となります。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/LhfVDzfQZyI?si=2mgo0-gECjNxr8JZ

社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 労災保険法

R6-025

R5.9.21 遺族補償年金の受給資格者になる夫の要件

「過去問」で解ける問題を解説していきます。

今日は、労災保険法です。

 

まず、条文を読んでみましょう。

16条の2第1

遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとする。

ただし、(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)以外の者にあっては、労働者の死亡の当時次の各号に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。

(1) (婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)父母又は祖父母については、60歳以上であること。

(2) 子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31までの間にあること。

(3) 兄弟姉妹については、18歳に達する日以後の最初の331までの間にあること又は60以上であること。

(4) 前3号の要件に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、厚生労働省令で定める障害の状態にあること。

 

 遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していたことが条件です。

 また、妻以外の者は、年齢要件か障害要件を満たすことが条件です。

 なお、昭和40年法附則第43条の遺族補償年金に関する特例により、労働者の夫(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)、父母、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時、その収入によって生計を維持し、かつ、55歳以上60歳未満であったものは、遺族補償年金を受けることができる遺族とされます。

 

 

では、過去問をどうぞ!

R3年選択式】

 遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとする。

ただし、妻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。以下同じ)以外の者にあっては、労働者の死亡の当時次の各号に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。

1 夫(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。以下同じ)、父母又は祖父母については、< A >歳以上であること。

2 子又は孫については、< B >歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること。

3 兄弟姉妹については、< B >歳に達する日以後の最初の331日までの間にあること又は< A >歳以上であること。

4 前3号の要件に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、厚生労働省令で定める障害の状態にあること。

 

 

 

 

 

 

【解答】

A60

B18

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 妻である労働者の死亡当時、無職であった障害の状態にない50歳の夫は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものであるから、遺族補償年金の受給資格者である。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 × 

 夫は、年齢要件か障害要件のどちらかを満たす必要がありますので、妻の死亡当時、障害の状態にない50歳の夫は、遺族補償年金の受給資格者になりません。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

 https://youtu.be/7-vFinOrFbs?si=2HSY-S68rNAL6vPW

社労士受験のあれこれ

令和5年度過去問で解ける問題 労災保険法

R6-015

R5.9.11 障害補償給付 併合と併合繰上げ

「過去問」で解ける問題を解説していきます。

今日は、労災保険法です。

 

まず、過去問からどうぞ!

H30年出題】

 障害等級表に該当する障害が2以上あって厚生労働省令の定める要件を満たす場合には、その障害等級は、厚生労働省令の定めに従い繰り上げた障害等級による。具体例は次の通りである。

① 第5級、第7級、第9級の3障害がある場合     第3

② 第4級、第5級の2障害がある場合         第2

③ 第8級、第9級の2障害がある場合         第7

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

H30年出題】 ×

①第5級、第7級、第9級の3障害がある場合 → 「8級以上の身体障害が2以上あるとき」に該当しますので、重い方の5級が2級繰り上がって「3級」となります。

②第4級、第5級の2障害がある場合 → 「5級以上の身体障害が2以上あるとき」に該当しますので、重い方の4級が3級繰り上がって「1級」となります。

※問題文の2級は誤りです。

③第8級、第9級の2障害がある場合 → 「13級以上の身体障害が2以上あるとき」に該当しますので、重い方の8級が1級繰り上がって「7級」となります。

 

・ 障害等級は、別表第一に定めるところによります。

・ 障害が2以上あるときは、重い方の障害等級に該当する障害等級になるのが原則です。

・ 13以上の障害が2つ以上あるときは、重い方の身体障害の該当する障害等級を 1級から3級繰り上げます。

①第13級以上に該当する身体障害が2以上あるとき 重い方を1級繰り上げ

②第8級以上に該当する身体障害が2以上あるとき 重い方を2級繰り上げ

③第5級以上に該当する身体障害が2以上あるとき 重い方を3級繰り上げ

(例外)9級と13級の障害の場合は、障害補償一時金の額は、繰り上げられた8級(503日分)ではなく、9級(391日分)と13級(101日分)の合算額(492日分)となります。

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 業務上の災害により、ひじ関節の機能に障害を残し(第12条の6)、かつ四歯に対し歯科補てつを加えた(第14級の2)場合の、障害補償給付を支給すべき身体障害の障害等級として正しいものはどれか。

A 併合第10

B 併合第11

C 併合第12

D 併合第13

E 併合第14

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 C

12級と14級の障害があるときは、併合して、重い方の障害等級12級が全体の障害等級となります。

 なお、「13級以上の障害が2以上ある」には該当しないので、繰上げはありません。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/6xI2dDTAGYk?si=WQEQzGOmzv_fO2y_

社労士受験のあれこれ

令和5年度選択式振り返り 労災保険法

R6-005

R5.9.1 労災選択式は休業補償給付と社会復帰促進等事業からでした

令和5年度の選択式を振り返ります。

今日は労災保険法です。

 

A~Cは休業補償給付の問題です。

条文を読んでみましょう。

14条第1

 休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給するものとし、その額は、一日につき給付基礎日額の100分の60に相当する額とする。ただし、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日若しくは賃金が支払われる休暇(以下この項において「部分算定日」という。)又は複数事業労働者の部分算定日に係る休業補償給付の額は、給付基礎日額(第8条の2第2項第2号に定める額(以下この項において「最高限度額」という。)を給付基礎日額とすることとされている場合にあつては、同号の規定の適用がないものとした場合における給付基礎日額)から部分算定日に対して支払われる賃金の額を控除して得た額(当該控除して得た額が最高限度額を超える場合にあつては、最高限度額に相当する額)100分の60に相当する額とする。

 

 休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による「(A)療養」のため労働することができないために賃金を受けない日の第「(B)4」日目から支給されます。

休業補償給付の額は、1日につき給付基礎日額の「(C)100分の60に相当する額です。

 

※部分算定日(労働者が所定労働時間のうちその一部分のみ労働する日など)の休業補償給付の額について確認しましょう。

・休業補償給付の額は、(給付基礎日額-部分算定日に支払われる賃金の額)の100分の60です。

・年齢階層別の最高限度額が適用されている場合は、最高限度額の適用がないものとした給付基礎日額で算定します。

・(給付基礎日額-部分算定日に支払われる賃金の額)が最高限度額を超える場合は、最高限度額の100分の60となります。

 

D・Eは、社会復帰促進等事業の問題です。

条文を読んでみましょう。

29条第1項 

 政府は、この保険の適用事業に係る労働者及びその遺族について、社会復帰促進等事業として、次の事業を行うことができる。

1 療養に関する施設及びリハビリテーションに関する施設の設置及び運営その他業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害を被った労働者(次号において「被災労働者」という。)の円滑な社会復帰を促進するために必要な事業

2 被災労働者の療養生活の援護、被災労働者の受ける介護の援護、その遺族の就学の援護、被災労働者及びその遺族が必要とする資金の貸付けによる援護その他被災労働者及びその遺族の援護を図るために必要な事業

3 業務災害の防止に関する活動に対する援助、健康診断に関する施設の設置及び運営その他労働者の安全及び衛生の確保、保険給付の適切な実施の確保並びに賃金の支払の確保を図るために必要な事業

 

 今回は、(D)健康診断と(E)賃金が問われました。

<賃金の支払の確保を図るために必要な事業とは?>

 賃金の支払の確保等に関する法律で、「未払賃金立替払制度」が設けられています。

 この制度により、企業が倒産したことで賃金が支払われずに退職した労働者に対して、未払賃金の立替払が行われます。

 未払賃金の立替払事業は、社会復帰促進等事業の一環で行われています。

 労災保険は、業務災害に対する使用者責任を国が代行する目的で作られた保険です。

 未払賃金の立替払制度は、賃金支払に対する使用者責任を国が代行するもので、労災保険の目的と共通するからです。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/D853R3mmzkM?si=YDrdOhJBFzLYoIMF

社労士受験のあれこれ

労災保険法 適用

R5-359

R5.8.21 労災保険が適用される労働者

 労災保険の保護の対象になる労働者を確認しましょう。

 条文を読んでみましょう。

第3条 

① この法律においては、労働者を使用する事業を適用事業とする。

② 国の直営事業及び官公署の事業(労働基準法別表第一に掲げる事業を除く。)については、この法律は、適用しない

 

では、過去問をどうぞ!

①【R1年選択式】 ※改正による修正あり

 労災保険法第1条によれば、労働者災害補償保険は、業務上の事由、複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行うこと等を目的とする。同法の労働者とは、< A >法上の労働者であるとされている。そして同法の保険給付とは、業務災害に関する保険給付、複数業務要因災害に関する保険給付、通勤災害に関する保険給付及び< B >給付の4種類である。保険給付の中には一時金ではなく年金として支払われるものもあり、通勤災害に関する保険給付のうち年金として支払われるのは、障害年金、遺族年金及び< C >年金である。

 

②【H26年出題】

2以上の労災保険適用事業に使用される労働者は、それぞれの事業における労働時間数に関係なくそれぞれの事業において、労災保険法の適用がある。

 

③【H26年出題】

 ある事業に雇用される労働者が、その雇用関係を存続したまま、他の事業の業務に従事する、いわゆる出向の場合における当該労働者に係る保険関係が出向元事業と出向先事業とのいずれにあるかは、出向の目的及び出向元事業主と出向先事業主とが当該出向労働者の出向につき行った契約並びに出向先事業における出向労働者の労働の実態等に基づき、当該労働者の労働関係の所在を判断して、決定する。

 

④【H26年出題】

 船員法上の船員については労災保険法は適用されない。

 

 

⑤【R1年出題】

 派遣労働者の保険給付の請求に当たっては、保険給付請求書の事業主の証明は派遣先事業主が行うこととされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年選択式】

A 労働基準

B 二次健康診断等

C 傷病

 

★労災保険法の労働者とは、労働基準法上の労働者です。

 

②【H26年出題】 〇

 労働者は、労働時間に関係なく労災保険が適用されます。また、2以上の適用事業所に使用される場合は、それぞれの事業で、労災保険法が適用されます。

 

③【H26年出題】 〇

 出向労働者の保険関係の所在については、出向の目的及び出向元事業主と出向先事業主とが当該出向労働者の出向につき行った契約並びに出向先事業における出向労働者の労働の実態等に基づき、当該労働者の労働関係の所在を判断して、決定されます。

(昭和35.11.2基発第932号)

 

 

④【H26年出題】 ×

 船員法上の船員には、労災保険法が適用されます。

 

 

⑤【R1年出題】 ×

 労働者派遣事業の労災保険の適用は、派遣元事業主の事業が適用事業となります。

 派遣労働者の保険給付の請求に当たり、保険給付請求書の事業主の証明は「派遣元事業主」が行います。

(昭和61.6.30発労徴41・基発383号)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/Y7yIUtUFK_U

社労士受験のあれこれ

労災保険法 遺族補償給付

R5-336

R5.7.29 遺族補償給付(遺族補償年金・遺族補償一時金)のポイント

 今日は「遺族補償給付」をみていきます。

 「遺族補償給付」には、遺族補償年金と遺族補償一時金があります。

 

さっそく過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 傷病補償年金の受給者が当該傷病が原因で死亡した場合には、その死亡の当時その収入によって生計を維持していた妻は、遺族補償年金を受けることができる。

 

②【H28年出題】

 労働者が業務災害により死亡した場合、当該労働者と同程度の収入があり、生活費を分担して通常の生活を維持していた妻は、一般に「労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた」ものにあたらないので、遺族補償年金を受けることはできない。

 

③【H28年出題】

 遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が、自分の伯父の養子となったときは、消滅する。

 

④【H28年出題】

 遺族補償年金の受給権を失権したものは、遺族補償一時金の受給権者になることはない。

 

⑤【H28年出題】

 労働者が業務災害により死亡した場合、その兄弟姉妹は、当該労働者の死亡の当時、その収入により生計を維持していなかった場合でも、遺族補償一時金の受給者となることがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 〇

 遺族補償給付は、労働者が業務上死亡した場合に支給されます。

 傷病補償年金の受給者が当該傷病が原因で死亡した場合は、業務上の死亡に該当します。また、妻は遺族補償年金を受けるに当たり、年齢・障害要件は問われませんので、その死亡の当時その収入によって生計を維持していた場合は、遺族補償年金を受けることができます。

ポイント!

  「年金」を受けるには、死亡当時「生計を維持」していたことが条件です。

 「一時金」の場合は、「生計維持」していなくても、受けられる場合があります。

 

 

②【H28年出題】 ×

 相互に収入の全部又は一部をもって生計費の全部又は一部を共同計算している状態があれば「生計を維持していた」ものにあたります。共稼ぎの夫婦も配偶者の他方の収入の一部によって生計を維持していたことになります。

S41.1.31基発73号)

 

③【H28年出題】 〇

 遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が、「直系血族又は直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったとき」は消滅します。

 自分の伯父は直系血族・直系姻族ではありませんで、伯父の養子となったときは、遺族補償年金を受ける権利は消滅します。

(法第16条の41項第3号)

 

④【H28年出題】 ×

 遺族補償年金の受給権を失権したものが、遺族補償一時金の受給権者になることがあります。

 遺族補償一時金が支給される要件は、次の2つです。

① 労働者の死亡の当時遺族補償年金を受けることができる遺族がいないとき。

② 遺族補償年金を受ける権利を有する者の権利が消滅した場合に、他に当該遺族補償年金を受けることができる遺族がなく、かつ、支給された遺族補償年金の額及び前払一時金の合計額が給付基礎日額の1000日分に満たない場合

 

 例えば、遺族補償年金を受けていた妻が再婚し、遺族補償年金の受給権が消滅しました。他に遺族補償年金の受給資格者がなく、支給された年金と前払一時金の額が給付基礎日額の1000日未満の場合は、1000日分と既に支給された年金等の合計額との差額が、妻に支給されます。

 このように、遺族補償年金の受給権を失権した者が、遺族補償一時金の受給権者になることもあります。

(法第16条の6

 

 

⑤【H28年出題】 〇

 遺族補償一時金の受給資格者は以下の通りです。

① 配偶者

② 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子・父母・孫・祖父母

③生計を維持していない子・父母・孫・祖父母

④兄弟姉妹

 労働者の死亡の当時、その収入により生計を維持していなかった兄弟姉妹でも、遺族補償一時金の受給者となることがあります。

(法第16条の7) 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/iwOMlWSqqLY

社労士受験のあれこれ

労災保険法 療養の給付

R5-335

R5.7.28 療養の給付の請求書の記載事項

 今日は、療養の給付の請求書に記載する事項をみていきます。

 

条文を読んでみましょう。

13

 療養補償給付は、療養の給付とする

② 療養の給付の範囲は、次の各号(政府が必要と認めるものに限る。)による。

1 診察

2 薬剤又は治療材料の支給

3 処置、手術その他の治療

4 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護

5 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護

6 移送

③ 政府は、療養の給付をすることが困難な場合その他厚生労働省令で定める場合には、療養の給付に代えて療養の費用を支給することができる

療養補償給付は、原則として「療養の給付」(現物給付)です。

「療養の給付をすることが困難な場合」、「療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合」は、例外で「療養の費用の支給」(現金給付)が行われます。

 

なお、療養補償給付は「治る」まで行われます。

 

 

では、過去問をどうぞ!

H25年出題】

 療養給付たる療養の給付を受けようとする者が、療養の給付を受けようとする指定病院等を経由して所轄労働基準監督署長に提出しなければならない請求書に記載しなければならない事項として、労災保険法施行規則に掲げられていないものはどれか。

(A) 災害の発生の時刻及び場所

(B) 通常の通勤の経路及び方法

(C) 療養の給付を受けようとする指定病院等の名称及び所在地

(D) 加害者がいる場合、その氏名及び住所

(E) 労働者の氏名、生年月日及び住所

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 (D)

「療養給付」とありますので、通勤災害に関する問題です。

 現物給付の「療養の給付」の請求書は、指定病院等を経由して所轄労働基準監督署長に提出します。

 その請求書に記載しなければならない事項の中に、「加害者がいる場合、その氏名及び住所」はありません。

(則第18条の5

 

<参考>第三者行為について

第三者行為については、以下のように規定されています。

則第22条 

 保険給付の原因である事故が第三者の行為によって生じたときは、保険給付を受けるべき者は、その事実、第三者の氏名及び住所(第三者の氏名及び住所がわからないときは、その旨)並びに被害の状況を、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/0xjYX_YBvvU

社労士受験のあれこれ

労働者災害補償保険法 通勤災害

R5-311

R5.7.4 逸脱・中断(日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるもの)

 通勤経路を逸脱・中断した場合について条文を読んでみましょう。

7条第3

 労働者が、移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の移動は、通勤としない

 ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除きこの限りでない

 

 中断は「寄り道」、逸脱は「回り道」のイメージです。

 通勤経路を逸脱・中断した場合、逸脱・中断の間とその後の移動は通勤になりません。

 例外的に、逸脱、中断が、「日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のもの」である場合は、逸脱の間・中断の間は通勤となりませんが、その後の移動は通勤となります。

 

 では、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものを条文で読んでみましょう。

則第8条 (日常生活上必要な行為)

 法第7条第3項の厚生労働省令で定める行為は、次のとおりとする。

1 日用品の購入その他これに準ずる行為

2 職業訓練、学校教育法第1条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為

3 選挙権の行使その他これに準ずる行為

4 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為

5 要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに配偶者の父母の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H23年出題】

 労災保険法第7条に規定する通勤の途中で合理的経路を逸脱した場合でも、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱の間も含め同条の通勤となる。

 

 

②【H27年出題】

 会社からの退勤の途中で美容院に立ち寄った場合、髪のセットを終えて直ちに合理的な経路に復した後についても、通勤に該当しない。

 

 

③【H28年出題】

 会社からの退勤の途中に、定期的に病院で、比較的長時間の人工透析を受ける場合も、終了して直ちに合理的経路に復した後については、通勤に該当する。

 

 

④【R3年出題】

 腰痛の治療のため、帰宅途中に病院に寄った労働者が転倒して負傷した。病院はいつも利用している駅から自宅とは反対方向にあり、負傷した場所はその病院から駅に向かう途中の路上であった。この場合は、通勤災害と認められない。

 

 

⑤【H25年出題】

 女性労働者が1週間に数回、やむを得ない事情により、就業の場所から帰宅途中に最小限の時間、要介護状態にある夫の父を介護するために夫の父の家に立ち寄っている場合に、介護終了後、合理的な経路に復した後は、再び通勤に該当する。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H23年出題】 ×

 逸脱・中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合であったとしても、逸脱の間、中断の間は、通勤となりません。

 

②【H27年出題】 ×

 出退勤の途中に、理髪店や美容院にたちよる行為は、「日用品の購入その他これに準ずる行為」に該当します。

 退勤の途中で美容院に立ち寄り、髪のセットをしている間は通勤になりませんが、その後直ちに合理的な経路に復した後は、通勤に該当します。

S58.8.2基発420

 

 

③【H28年出題】 〇

 通常の医療行為だけでなく、比較的長時間の人工透析を受ける場合も、「病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為」に該当します。

S48.11.22 基発644

 

 

④【R3年出題】 〇

 自宅と反対方向にある病院から駅に向かう途中の路上は、逸脱の間(合理的経路に復する前)ですので、通勤災害となりません。

 

 

⑤【H25年出題】 〇

 要介護状態にある夫の父の介護の場合は、介護終了後に合理的な経路に復した後は、再び通勤に該当します。 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/DApt6IJZEE8

社労士受験のあれこれ

労災保険法 通勤災害

R5-294

R5.6.17 通勤の定義「就業に関し」

https://youtu.be/QpSV5kMZ5lM 「通勤」の定義を条文で読んでみましょう。

法第7条第2

 通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。

1 住居と就業の場所との間の往復

2 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動

3 第1号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)

 

 今日は、「就業に関し」に注目しましょう。

 「就業に関し」とは、往復行為が業務に就くため又は業務を終えたことにより行われるものであることを必要とする趣旨を示しています。通勤と認められるには、往復行為が業務と密接な関連をもって行われることを要します。

(H18.3.31基発第0331042)

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H24年出題】

 寝過ごしにより就業場所に遅刻した場合は、通勤に該当することはない。

 

 

②【H24年出題】

 運動部の練習に参加する目的で、午後の遅番の出勤者であるにもかかわらず、朝から住居を出る等、所定の就業開始時刻とかけ離れた時刻に会社に行く場合も、通勤に該当する。

 

 

③【H24年出題】

 業務の終了後、事業場施設内で、サークル活動をした後に帰宅する場合は、社会通念上就業と帰宅との直接的関連を失わせると認められるほど長時間となるような場合を除いても、通勤に該当することはない。

 

 

④【H24年出題】

 昼休みに自宅まで時間的に十分余裕をもって往復できる労働者が、午前中の業務を終了して帰り、午後の業務に就くために出勤する往復行為は、通勤に該当しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H24年出題】 ×

 所定の就業日に所定の就業開始時刻に合わせて住居を出て就業の場所へ向う場合は、「寝すごしによる遅刻」、「ラッシュを避けるための早出」等、時刻的に若干の前後があっても就業との関連性があるとされます。

 寝過ごしにより就業場所に遅刻した場合でも、要件を満たせば通勤に該当します。

(H18.3.31基発第0331042)

 

 

②【H24年出題】 ×

 午後の遅番の出勤者であるにもかかわらず、朝から住居を出る等、所定の就業開始時刻とかけ離れた時刻に会社に行く場合は、業務以外の目的のために行われるものと考えられ、就業との関連性はないと認められます。

 問題文の場合は、運動部の練習に参加する目的で行われるものと考えられるので、通勤には該当しません。

(H18.3.31基発第0331042)

 

 

③【H24年出題】 × 

 業務の終了後、事業場施設内で、囲碁、麻雀、サークル活動、労働組合の会合に出席をした後に帰宅するような場合には、社会通念上就業と帰宅との直接的関連を失わせると認められるほど長時間となるような場合を除き、就業との関連性を認めても差し支えない、とされています。

(H18.3.31基発第0331042)

 

 

④【H24年出題】 ×

 通勤は1日について1回のみしか認められないものではありません。昼休み等就業の時間の間に相当の間隔があって帰宅するような場合には、昼休みについていえば、午前中の業務を終了して帰り、午後の業務に就くために出勤するものと考えられるので、その往復行為は就業との関連性を認められます。

 問題文は、通勤に該当します。

(H18.3.31基発第0331042)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/QpSV5kMZ5lM

社労士受験のあれこれ

労災保険法 事業主からの費用徴収

R5-278

R5.6.1 保険関係成立届を提出しない事業主に対する費用徴収

 保険関係成立届を提出していない期間中に事故が発生した場合、事業主は、保険給付に要した費用を徴収されることがあります。

 

 条文を読んでみましょう。

31条第1

 政府は、次の各号のいずれかに該当する事故について保険給付を行ったときは、厚生労働省令で定めるところにより、業務災害に関する保険給付にあっては労働基準法の規定による災害補償の価額の限度又は船員法の規定による災害補償のうち労働基準法の規定による災害補償に相当する災害補償の価額の限度で、複数業務要因災害に関する保険給付にあっては複数業務要因災害を業務災害とみなした場合に支給されるべき業務災害に関する保険給付に相当する同法の規定による災害補償の価額(当該複数業務要因災害に係る事業ごとに算定した額に限る。)の限度で、通勤災害に関する保険給付にあっては通勤災害を業務災害とみなした場合に支給されるべき業務災害に関する保険給付に相当する同法の規定による災害補償の価額の限度で、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部事業主から徴収することができる

1. 事業主が故意又は重大な過失により保険関係成立届の提出が行われていない期間(政府が当該事業について概算保険料の認定決定をしたときは、その決定後の期間を除く。)中に生じた事故

2. 事業主が一般保険料を納付しない期間(督促状に指定する期限後の期間に限る。)中に生じた事故

3. 事業主が故意又は重大な過失により生じさせた業務災害の原因である事故

 

★今日は、1.の故意又は重大な過失により、事業主が保険関係成立届の提出を行っていない期間中に生じた事故についての費用徴収をみていきます。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H27年出題】

 事業主が、労災保険法第31条第1項第1号の事故に係る事業に関し、保険手続に関する指導を受けたにもかかわらず、その後10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合、「故意」と認定した上で、原則、費用徴収率を100%とする。

 

 

②【H27年出題】

 事業主が、労災保険法第31条第1項第1号の事故に係る事業に関し、保険手続に関する指導又は加入勧奨を受けておらず、労働保険徴収法第3条に規定する保険関係が成立した日から1年を経過してなお保険関係成立届を提出していなかった場合、原則、「重大な過失」と認定した上で、費用徴収率を40%とする。

 

 

③【R1年選択式】

 労災保険の適用があるにもかかわらず、労働保険徴収法第4条の2第1項に規定する労災保険に係る保険関係成立届(以下本問において「保険関係成立届」という。)の提出が行われていない間に労災事故が生じた場合において、事業主が故意又は重大な過失により保険関係成立届を提出していなかった場合は、政府は保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。

 事業主がこの提出について、所轄の行政機関から直接指導を受けていたにもかかわらず、その後< A >以内に保険関係成立届を提出していない場合は、故意が認定される。事業主がこの提出について、保険手続に関する行政機関による指導も、都道府県労働保険事務組合連合会又はその会員である労働保険事務組合による加入勧奨も受けていない場合において、保険関係が成立してから< B >を経過してもなお保険関係成立届を提出していないときには、原則、重大な過失と認定される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H27年出題】 〇

「故意」と認定された場合は、費用徴収率が100となります。

★故意の認定について

① 事業主が、当該事故に係る事業に関し、所轄都道府県労働局、所轄労働基準監督署又は所轄公共職業安定所から、保険関係成立届の提出ほか所定の手続をとるよう指導を受けたにもかかわらず、10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合

② 事業主が、当該事故に係る事業に関し、都道府県労働保険事務組合連合会又はその会員である労働保険事務組合から、保険関係成立届の提出ほか所定の手続をとるよう勧奨(加入勧奨」という。)を受けたにもかかわらず、10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合

(H17.9.22基発第0922001)

 「指導」や「加入勧奨」を受けたにもかかわらず、10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合は「故意」と認定されます。

 

②【H27年出題】 〇

「重大な過失」と認定された場合は、費用徴収率が40となります。

★重大な過失の認定について

 事業主が、当該事故に係る事業に関し、保険手続に関する指導又は加入勧奨を受けていない場合で、かつ、保険関係成立日から1年を経過してなお保険関係成立届を提出していないとき

(H17.9.22基発第0922001)

 

③【R1年選択式】

A 10

B 1年 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/q1p_hXGQClY

社労士受験のあれこれ

労災保険法 傷病補償年金

R5-250

R5.5.4 傷病補償年金のポイント

 傷病補償年金のポイントをみていきましょう。

 

 条文を読んでみましょう。

12条の83

 傷病補償年金は、業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後1年6か月を経過した日において次の各号のいずれにも該当するとき、又は同日後次の各号のいずれにも該当することとなったときに、その状態が継続している間、当該労働者に対して支給する。

1. 当該負傷又は疾病が治っていないこと。

2. 当該負傷又は疾病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級(1級~3級)に該当すること。

 

★療養開始後16か月を経過した日に要件に該当するとき

療養開始          16か月                治ゆ

療養補償給付

 

休業補償給付

傷病補償年金

 

 ▲(1~3級) 

 

★療養開始後16か月を経過した日後に要件に該当することとなったとき

療養開始          16か月                治ゆ

療養補償給付

 

休業補償給付

傷病補償年金

 

 ▲(1~3級) 

では、過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 所轄労働基準監督署長は、業務上の事由により負傷し、又は疾病にかかった労働者が療養開始後16か月経過した日において治っていないときは、同日以降1か月以内に、当該労働者から「傷病の状態等に関する届」に医師又は歯科医師の診断書等の傷病の状態の立証に関し必要な書類を添えて提出させるものとしている。

 

②【H29年出題】

 傷病補償年金の支給要件について、障害の程度は、6か月以上の期間にわたって存する障害の状態により認定するものとされている。

 

 

③【H29年出題】

 傷病補償年金の受給者の障害の程度が軽くなり、厚生労働省令で定める傷病等級に該当しなくなった場合には、当該傷病補償年金の受給権は消滅するが、なお療養のため労働できず、賃金を受けられない場合には、労働者は休業補償給付を請求することができる。

 

 

④【H29年出題】

 傷病補償年金の受給権者の障害の程度に変更があり、新たに他の傷病等級に該当するに至った場合には、所轄労働基準監督署長は、裁量により、新たに該当するに至った傷病等級に応ずる傷病補償年金を支給する決定ができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 〇

 労災保険の保険給付は、「請求」によって支給されます。

 しかし、傷病補償年金は例外で、請求ではなく、所轄労働基準監督署長の職権で支給が決定されるのがポイントです。

 被災した労働者が療養開始後16か月を経過した日に要件に該当したときは、所轄労働基準監督署長は、傷病補償年金の支給の決定をしなければなりません。

 そのため、労働者は、療養開始後16か月経過した日に治っていないときは、同日以降1か月以内に、「傷病の状態等に関する届」を提出しなければなりません。

(則第18条の2

 

②【H29年出題】 〇

 傷病補償年金の障害の程度は、6か月以上の期間にわたって存する障害の状態で認定されます。

(則18条第2項)

 

 

③【H29年出題】 〇

 傷病補償年金の受給者の障害の程度が軽くなり、傷病等級(1から3級)に該当しなくなった場合、傷病補償年金の受給権は消滅します。

 その後も療養のため労働できず、賃金を受けられない場合には、労働者は休業補償給付を請求することができます。休業補償給付は請求が必要ですので注意してください。

療養開始        16か月

療養補償給付

休業補償給付

傷病補償年金

休業補償給付

             ▲(1~3級)         ▲不該当

 ちなみに年金は、受給権が消滅した月まで支給されます。

 傷病補償年金は傷病等級に該当しなくなった月まで支給され、翌月から休業補償給付が支給されます。               

 

 

④【H29年出題】 ×

 法第18条の2で、「傷病補償年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があったため、新たに他の傷病等級に該当するに至った場合には、政府は、厚生労働省令で定めるところにより、新たに該当するに至った傷病等級に応ずる傷病補償年金を支給するものとし、その後は、従前の傷病補償年金は、支給しない。」と規定されていて、傷病等級の変更も所轄労働基準監督署長の職権で行われます。

 則第18条の3で、「所轄労働基準監督署長は、法第18条の2に規定する場合には、当該労働者について傷病等級の変更による傷病補償年金の変更に関する決定をしなければならない。」となっています。「裁量により、新たに該当するに至った傷病等級に応ずる傷病補償年金を支給する決定ができる。」は誤りです。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/6OORmJZKphU

社労士受験のあれこれ

労災保険法 二次健康診断等給付

R5-238

R5.4.22 二次健康診断等給付のポイント

 二次健康診断等給付は、脳血管疾患及び心臓疾患の発生を予防するために行われます。

 事業場で行われる定期健康診断など(一次健康診断)で異常の所見が認められた人が対象です。

 二次健康診断等給付には、「二次健康診断」と「特定保健指導」があります。

 二次健康診断は、脳血管と心臓の状態を把握する検査で、特定保健指導は、脳・心臓疾患の発症の予防のための面接による保健指導です。

 

条文を読んでみましょう。

26

① 二次健康診断等給付は、労働安全衛生法第66条第1項の規定による健康診断(一般健康診断)又は当該健康診断に係る同条第5項ただし書の規定による健康診断のうち、直近のもの(以下「一次健康診断」という。)において、血圧検査、血液検査その他業務上の事由による脳血管疾患及び心臓疾患の発生にかかわる身体の状態に関する検査であって、厚生労働省令で定めるものが行われた場合において、当該検査を受けた労働者がそのいずれの項目にも異常の所見があると診断されたときに、当該労働者(当該一次健康診断の結果その他の事情により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められるものを除く)に対し、その請求に基づいて行う。

② 二次健康診断等給付の範囲は、次のとおりとする。

1. 脳血管及び心臓の状態を把握するために必要な検査(①に規定する検査を除く。)であって厚生労働省令で定めるものを行う医師による健康診断(1年度につき1回に限る。「二次健康診断」という。)

2. 二次健康診断の結果に基づき、脳血管疾患及び心臓疾患の発生の予防を図るため、面接により行われる医師又は保健師による保健指導(二次健康診断ごとに1回に限る。「特定保健指導」という。)

③ 政府は、二次健康診断の結果その他の事情により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる労働者については、当該二次健康診断に係る特定保健指導を行わないものとする。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H30年出題】

 一次健康診断の結果その他の事情により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる場合には、二次健康診断等給付は行われない。

 

②【H30年出題】

 特定保健指導は、医師又は歯科医師による面接によって行われ、栄養指導もその内容に含まれる。

 

 

③【H30年出題】

 二次健康診断の結果その他の事情により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる労働者については、当該二次健康診断に係る特定保健指導は行われない。

 

 

④【H30年出題】

 二次健康診断を受けた労働者から、当該二次健康診断の実施の日から3か月以内にその結果を証明する書面の提出を受けた事業者は、二次健康診断の結果に基づき、当該健康診断項目に異常の所見があると診断された労働者につき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見をきかなければならない。

 

 

⑤【H30年出題】

 二次健康診断等給付を受けようとする者は、所定の事項を記載した請求書をその二次健康診断等給付を受けようとする健診給付病院等を経由して所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年出題】 〇

 二次健康診断等給付の目的は発症の予防ですので、一次健康診断で既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる労働者には行われません。症状を有する場合は、健康保険の保険給付や、労災保険の療養補償給付等の対象になります。

 

 

②【H30年出題】 ×

 特定保健指導は、医師又は「保健師」による面接によって行われます。

 具体的には、「栄養指導」、「運動指導」、「生活指導」が行われます。

 

 

③【H30年出題】 〇

 既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる労働者については、特定保健指導は行われません。

 

 

④【H30年出題】 〇

 二次健康診断の実施の日から「3か月以内」に結果を証明する書面の提出を受けた場合は、事業者は、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見をきかなければなりません。

(法第27条)

 

 

⑤【H30年出題】 〇

 二次健康診断等給付は、労働者の請求に基づいて行われます。

 現物給付ですので、請求書は健診給付病院等を経由して提出します。所轄労働基準監督署長ではなく、「所轄都道府県労働局長」に提出することがポイントです。

(則第18条の19

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/gBIYGC-EC_g

社労士受験のあれこれ

労災保険法 療養補償給付

R5-224

R5.4.8 療養補償給付「療養の給付」について

 療養補償給付は、現物給付の「療養の給付」が原則で、例外として、現金給付の「療養の費用の支給」があります。

 今日は「療養の給付」をみていきましょう。

 

 条文を読んでみましょう。

13条 

① 療養補償給付は、療養の給付とする。

② 療養の給付の範囲は、次の各号(政府が必要と認めるものに限る)による。

1 診察

2 薬剤又は治療材料の支給

3 処置、手術その他の治療

4 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護

5 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護

6 移送

③ 政府は、療養の給付をすることが困難な場合その他厚生労働省令で定める場合には、療養の給付に代えて療養の費用を支給することができる。

 

 

 

では、さっそく過去問をどうぞ!

①【H30年出題】

 療養補償給付としての療養の給付の範囲には、病院又は診療所における療養に伴う世話その他の看護のうち、政府が必要と認めるものは含まれるが、居宅における療養に伴う世話その他の看護が含まれることはない。

 

 

②【R1年出題】

 療養の給付は、社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者(「指定病院等」という。)において行われ、指定病院等に該当しないときは、厚生労働大臣が健康保険法に基づき指定する病院等であっても、療養の給付は行われない。

 

③【H27年出題】

 療養補償給付たる療養の給付を受けようとする者は、厚生労働省令に規定された事項を記載した請求書を、直接、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

 

 

④【H27年出題】

 療養の給付は、その傷病が療養を必要としなくなるまで行われるので、症状が安定して疾病が固定した状態になり、医療効果が期待しえない状態になっても、神経症状のような傷病の症状が残っていれば、療養の給付が行われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年出題】 ×

 療養補償給付としての療養の給付の範囲には、「居宅における療養に伴う世話その他の看護」も含まれます。

 

 

②【R1年出題】 〇

 療養の給付は、「指定病院等」で行われます。

 厚生労働大臣が健康保険法に基づき指定する病院等でも、「指定病院等」に該当しないときは、療養の給付は行われません。

 療養補償給付としての療養の給付が行われる「指定病院等」とは、問題文のとおり、社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者です。

(則第11条)

 

 

③【H27年出題】 ×

 療養補償給付たる療養の給付を受けようとする者は、請求書を、直接ではなく、「指定病院等を経由」して、所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。

(則第12条)

 

 

④【H27年出題】 ×

 療養の給付が行われるのは、治ゆするまでです。

 症状が安定して疾病が固定した状態になり、医療効果が期待しえない状態になると、療養の給付は行われません。

 問題文のように、神経症状のような症状や障害が残ったとしても、治療の余地がなくなれば、療養の給付は行われません。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/VF5TDnOyQIQ

社労士受験のあれこれ

労災保険法 障害補償給付

R5-210

R5.3.25 障害の程度が自然的経過により増進・軽減したとき

 障害補償給付には、「障害補償年金」と「障害補償一時金」があります。

 条文を読んでみましょう。

法第15条第1

障害補償給付は、厚生労働省令で定める障害等級に応じ、障害補償年金又は障害補償一時金とする。

「障害補償給付」には「年金」と「一時金」があることに注意してください。

 障害等級1級~7は「年金」、障害等級8級~14は「一時金」が支給されます。

 

 今日は、障害補償年金を受ける労働者の障害の程度が、自然的な経過により増進し、又は軽減した場合の改定についてみていきましょう。

 

 条文を読んでみましょう。

15条の2 

障害補償年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があったため、新たに他の障害等級に該当するに至った場合には、政府は、厚生労働省令で定めるところにより、新たに該当するに至った障害等級に応ずる障害補償年金又は障害補償一時金を支給するものとし、その後は、従前の障害補償年金は、支給しない

 

ポイント!

・ 条文の最初に注目してください。「障害補償給付」ではなく「障害補償年金」です。対象は、「障害補償年金」を受ける労働者に限られます。「障害補償一時金」には適用されません。

・「当該障害の程度に変更があった」とは、障害の程度が自然的な経過により増進又は軽減したことをいいます。

・新たに該当するに至った障害等級に応ずる障害補償年金又は障害補償一時金を支給するとは、例えば・・・

その1 障害等級3級の人の障害の程度が増進し2級になった場合は、2級の障害補償年金が支給され、従前の3級の障害補償年金は支給されません。

その2 障害等級5級の人の障害の程度が軽減し7級になった場合は、7級の障害補償年金が支給され、従前の5級の障害補償年金は支給されません。

その3 障害等級7級の人の障害の程度が軽減し10級になった場合は、10級の障害補償一時金が支給され、従前の7級の障害補償年金は支給されません。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H21年出題】

 障害補償年金を受ける者の障害の程度について自然的経過により変更があった場合には、新たに該当することとなった障害等級に応ずる障害補償給付が支給され、その後は、従前の障害補償年金は支給されない。

 

 

②【H30年出題】

 障害補償一時金を受けた者については、障害の程度が自然的経過により増進しても、障害補償給付の変更が問題となることはない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H21年出題】 〇

 自然的経過による変更で障害補償給付の変更が行われるのは、障害補償「年金」を受けている場合のみです。

 

②【H30年出題】 〇

 障害補償一時金を受けた者については、障害の程度が自然的経過により増進又は軽減したとしても、障害補償給付の変更は適用されません。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/j3HgT5ChdTI

社労士受験のあれこれ

労災保険法 特別支給金

R5-200

R5.3.15 労災 特別支給金のポイント

「特別支給金」とは

 労災保険の保険給付の上乗せとして支給される給付です。

 「社会復帰促進等事業」の中の「被災労働者等援護事業」の事業の一つとして行われています。

 

 特別支給金には、「一般の特別支給金」と「ボーナス特別支給金」の2種類があります。

ボーナス特別支給金

一般の特別支給金

保険給付

 

 例えば、「傷病補償年金」(保険給付)には、特別支給金として「傷病特別支給金」(一般の特別支給金)と「傷病特別年金」(ボーナス特別支給金)が上乗せされます。

傷病特別年金

傷病特別支給金

傷病補償年金

 

 

 

過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

 傷病特別支給金の支給額は、傷病等級に応じて定額であり、傷病等級第1級の場合は、114万円である。

 

②【R2年出題】

 労災保険特別支給金支給規則第6条第1項に定める特別支給金の額の算定に用いる算定基礎年額は、負傷又は発病の日以前1年間(雇入後1年に満たない者については、雇入後の期間)に当該労働者に対して支払われた特別給与(労働基準法第12条第4項の3か月を超える期間ごとに支払われる賃金をいう。)の総額とするのが原則であるが、いわゆるスライド率(労災保険法第8条の3第1項第2号の厚生労働大臣が定める率)が適用される場合でも、算定基礎年額が150万円を超えることはない。 

 

③【R1年出題】

 特別加入者にも、傷病特別支給金に加え、特別給与を算定基礎とする傷病特別年金が支給されることがある。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 〇

 「傷病特別支給金」は傷病補償年金に上乗せされる一般の特別支給金です。

 傷病特別支給金は、傷病等級に応じた定額です。第1114万円、第2107万円、第3100万円です。

 

 

②【R2年出題】 〇

 例えば、傷病補償年金の上乗せとして、「傷病特別支給金」と「傷病特別年金」があります。

 「傷病特別支給金」は、①の問題でみましたように定額です。

 「傷病特別年金」は、「算定基礎日額」を使って算定します。算定基礎日額は、算定基礎年額÷365日で計算します。

算定基礎年額は、負傷又は発病の日以前1年間の特別給与額の総額(直近1年間のボーナスの総額です)とするのが原則です。

(例外)

「給付基礎年額(給付基礎日額×365日)の20%に相当する額」と「特別給与の総額」を比較して、少ない方が算定基礎年額となります。

ただし、150万円を超える場合は、算定基礎年額は150万円となります。

そのため、問題文にもありますように、算定基礎年額が150万円を超えることはありません。 

(特別支給金支給規則第6条第1項)

 

 ちなみに、傷病特別年金の額は

1級 算定基礎日額×313日分

2級 算定基礎日額×277日分

3級 算定基礎日額×245日分

です。

 

③【R1年出題】 ×

 特別加入者には、ボーナス特別支給金は支給されませんので、傷病特別支給金は支給されますが、傷病特別年金は支給されません。

 特別加入者には、賃金やボーナスの概念がないためです。

(特別支給金支給規則第19条)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/z5W05BPdRwM

社労士受験のあれこれ

労災保険法 特別加入者

R5-188

R5.3.3 特別加入者の通勤災害

 特別加入者には、「中小事業主等」、「一人親方等・特定作業従事者」、「海外派遣者」の3つの種類があります。

 労災保険法は、「労働者」の業務災害や通勤災害などを保護するための保険です。しかし、労働者と同じような業務に従事することの多い中小事業主や一人親方等は、労災保険に特別加入することによって、労働者に準じて保護が受けられます。

 また、労災保険は「属地主義」をとっていますので、例えば海外支店に転勤になった海外派遣者は、日本の労災保険の保護は受けられなくなります。しかし、労災保険に特別加入することによって、海外派遣者も労災保険の保護の対象となります。

 

 特別加入者は、原則として労働者と同じ保護が受けられます。

 しかし、「一人親方等・特定作業従事者」の一部は、通勤の実態がないなどの理由で通勤災害の保護の対象から除外されます。

 今日は、通勤災害の保護の対象から除外される特別加入者を確認しましょう。

 

 通勤災害の保護の対象から除外される特別加入者は以下の一人親方等、特定作業従事者です。(則第46条の22の2)

・自動車を使用して行う旅客若しくは貨物の運送の事業又は原動機付自転車若しくは自転車を使用して行う貨物の運送の事業に従事する者

→ 個人タクシー業者、個人貨物運送業者など

漁船による水産動植物の採捕の事業(船員法第1条に規定する船員が行う事業を除く。)に従事する者

→ 漁船による自営の漁業者

・特定農作業従事者、指定農業機械作業従事者

・家内労働者

 

ポイント!

・中小事業主等、海外派遣者は、すべて通勤災害の保護の対象です。

・通勤災害の保護から除外されるのは、「一人親方等、特定作業従事者」の「一部」です。全てではありませんので注意しましょう。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H30年選択式】

 通勤災害に関する保険給付は、一人親方等及び特定作業従事者の特別加入者のうち、住居と就業の場所との間の往復の状況等を考慮して厚生労働省令で定める者には支給されない。< A >はその一例に該当する。

選択肢

①医薬品の配置販売の事業を行う個人事業者

②介護作業従事者

③個人タクシー事業者

④船員法第1条に規定する船員

 

②【H26年出題】

 特別加入制度において、個人貨物運送業者については通勤災害に関する保険給付は支給されない。

 

③【H26年出題】

 特別加入制度において、家内労働者については通勤災害に関する保険給付は支給されない。

 

④【H22年出題】

 一人親方等の特別加入者のうち、漁船による水産動植物の採捕の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者は、自宅から漁港までの移動が通勤とみなされ、通勤災害に関しても労災保険の適用を受けることができる。

 

⑤【R3年出題】

 労働者を使用しないで行うことを常態とする特別加入者である個人貨物運送業者については、その住居と就業の場所との間の往復の実態を明確に区別できることにかんがみ、通勤災害に関する労災保険の適用を行うものとされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年選択式】

③ 個人タクシー事業者

 

②【H26年出題】 〇

 個人貨物運送業者には通勤災害に関する保険給付は支給されません。

 

③【H26年出題】 〇

 家内労働者には通勤災害に関する保険給付は支給されません。

 

④【H22年出題】 ×

 漁船による水産動植物の採捕の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者は、住居と就業の場所との往復の実態が明確でないので、通勤災害に関する保険給付は支給されません。

 

 

⑤【R3年出題】 ×

 労働者を使用しないで行うことを常態とする特別加入者である個人貨物運送業者は、住居と就業の場所との往復の実態が明確でないので、通勤災害に関する保険給付は支給されません。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/aESJuhjeZsQ

社労士受験のあれこれ

労災保険法 通勤災害

R5-178

R5.2.21 単身赴任者の住居間の移動

 まず、通勤の定義を条文で確認しましょう。

7条第2

 通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。

住居と就業の場所との間の往復

 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動

の往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。) 

 

の移動が、通勤として労災保険の保護の対象になります。

は、複数で就業する労働者の事業場間の移動、は、単身赴任者の赴任先住居と帰省先住居間の移動です。

今日は「単身赴任者の赴任先住居と帰省先住居間の移動」をみていきます。

 

 例えば、大阪に家族を残し、東京に単身赴任している労働者が、大阪の帰省先住居から東京の赴任先住居に移動中に事故にあい負傷した場合、要件を満たせば通勤災害として労災保険の保険給付の対象となります。

 

では、過去問をどうぞ!

R3年出題】

 配偶者と小学生の子と別居して単身赴任し、月に12回、家族の住む自宅に帰っている労働者が、1週間の夏季休暇の1日目は交通機関等の状況等は特段の問題はなかったが単身赴任先で洗濯や買い物等の家事をし、2日目に家族の住む自宅へ帰る途中に交通事故に遭い負傷した。この場合は、通勤災害と認められない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R3年出題】 〇

 赴任先住居と帰省先住居の移動が通勤と認められるか否かのポイントをチェックしましょう。

・移動に反復・継続性が認められること

→ おおむね毎月1回以上の往復行為又は移動がある場合に、「反復・継続性」が認められます。

(H18.3.31基労管発第0331001号・基労補発第0331003)

・帰省先住居から赴任先住居への移動の場合

→ 業務に就く当日又は前日に行われた場合は、就業との関連性を認めて差し支えない。

前々日以前に行われた場合は、交通機関の状況等の合理的理由があるときに限り、就業との関連性が認められる。

・赴任先住居から帰省先住居への移動の場合

→ 業務に従事した当日又はその翌日に行われた場合は、就業との関連性を認めて 差し支えない。

翌々日以後に行われた場合は、交通機関の状況等の合理的理由があるときに限り、就業との関連性が認められる。

H18.3.31基発第0331042)

 

 問題文は、交通機関等の状況等に問題はなかったが、夏季休暇の2日目(業務に従事した日の翌々日)に移動しています。そのため就業との関連性が認められませんので、通勤には該当しません。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/8aYfBGhy0vg

社労士受験のあれこれ

労災保険法 障害補償給付の額

R5-166

R5.2.9 障害補償給付「加重障害」

 既に身体障害のあった人が、新たな業務上の傷病によって同一の部位の障害の程度を加重したときは、その加重した程度で障害補償給付が行われます。「加重障害」といいます。

 加重障害で給付される額は、加重された身体障害の等級の給付額と、既にあった身体障害の等級の給付額との差額となります。

 

 条文を読んでみましょう。

則第14条第5

 既に身体障害のあった者が、負傷又は疾病により同一の部位について障害の程度を加重した場合における当該事由に係る障害補償給付は、現在の身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償給付とし、その額は、現在の身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償給付の額から、既にあった身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償給付の額(現在の身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償給付が障害補償年金であって、既にあった身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償給付が障害補償一時金である場合には、その障害補償一時金の額を25で除して得た額)差し引いた額による。

 

例えば

・既存の障害が5級(184日分)で、加重した障害が3級(245日分)の場合

 新たに支給される年金は、61日分(245日分-184日分)で計算します。

 ちなみに、既存の障害は、労災でも私傷病でも原因は問われませんが、既存の障害で労災保険から年金を受けている場合は、その年金は引き続き支給されます。

・既存の障害が14級(56日分)で、加重した障害が10級(302日分)の場合

 246日分(302日分-56日分)の一時金が支給されます。

・既存の障害が8級(503日分の一時金)で、加重した障害が7級(131日分の年金)の場合

 新たに支給される年金は、131日分-(503日分÷25)で計算します。

 一時金は、年金の25年分です。一時金の日数を25で割った1年あたりの額との差額を出すのがポイントです。

 

では、過去問をどうぞ!

R2年問5

障害等級認定基準についての行政通知によれば、既に右示指の用を廃していた(障害等級第12級の9、障害補償給付の額は給付基礎日額の156日分)者が、新たに同一示指を亡失した場合には、現存する身体障害に係る障害等級は第11級の6(障害補償給付の額は給付基礎日額の223日分)となるが、この場合の障害補償給付の額に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 給付基礎日額の67日分

B 給付基礎日額の156日分

C 給付基礎日額の189日分

D 給付基礎日額の223日分

E 給付基礎日額の379日分 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 給付基礎日額の67日分」の障害補償一時金が支給されます。

 既にあった障害は第11級、加重した障害は第12級で、どちらも「一時金」の等級です。

 加重によって支給される一時金は、「223日分-156日分」=67日分で計算します。 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/ClO2PCJ5kRw

社労士受験のあれこれ

労災保険法 遺族補償年金

R5-158

R5.2.1 遺族補償年金の受給資格者と受給権者

 遺族補償年金を受ける資格のある遺族のことを「受給資格者」といいます。受給資格者には順位が定められていて、そのうち最先順位者が年金を受ける「受給権者」になります。

 

 「受給資格者」は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものです。

 ただし、「妻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)以外の者については、労働者の死亡の当時、一定の年齢要件か一定の障害状態に該当した場合に限られます。

 

 では受給資格者の範囲と順位を条文で読んでみましょう。

16条の2

① 遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとする。ただし、(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)以外の者にあっては、労働者の死亡の当時次の各号に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。

1 (婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)父母又は祖父母については、60歳以上であること。

2 子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること。

3 兄弟姉妹については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること又は60歳以上であること。

4 前3号の年齢要件に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、厚生労働省令で定める障害の状態にあること。

② 労働者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、将来に向かって、その子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子とみなす。

③ 遺族補償年金を受けるべき遺族の順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹の順序とする。

※労働者の夫、父母、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時、その収入によって生計を維持し、かつ、55歳上60歳未満であったものは遺族補償年金を受けることができる遺族とされます。(S40年改正法附則第43条)

 

 

順位を確認しましょう。

妻・60歳以上又は一定の障害の状態にある夫

18歳年度末までの間にある又は一定の障害の状態にある子

60歳以上又は一定の障害の状態にある父母

18歳年度末までの間にある又は一定の障害の状態にある孫

60歳以上又は一定の障害の状態にある祖父母

18歳年度末までの間にある又は60歳以上又は一定の障害の状態にある兄弟姉妹

55歳以上60歳未満の夫

55歳以上60歳未満の父母

55歳以上60歳未満の祖父母

55歳以上60歳未満の兄弟姉妹

 

過去問をどうぞ!

①【H19年出題】

 遺族補償年金の受給資格要件の一つである厚生労働省令で定める障害の状態は、身体に障害等級第5級以上に該当する障害がある状態又は傷病が治らないで、身体の機能若しくは精神に、労働が高度の制限を受けるか、若しくは労働に高度の制限を加えることを必要とする程度以上の障害がある状態である。

 

 

②【R2年出題】

 業務上の災害により死亡した労働者Yには2人の子がいる。1人はYの死亡の当時19歳であり、Yと同居し、Yの収入によって生計を維持していた大学生で、もう1人は、Yの死亡の当時17歳であり、Yと離婚した元妻と同居し、Yが死亡するまで、Yから定期的に養育費を送金されていた高校生であった。2人の子は、遺族補償年金の受給資格者であり、同順位の受給権者となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H19年出題】 〇

障害等級第5級以上と、労働が高度の制限を受ける、がキーワードです。

(則第15条) 

 

②【R2年出題】 ×

Yの死亡の当時19歳の子は、遺族の条件に当てはまりませんので、受給資格者にも受給権者にもなりません。

 Yの死亡の当時17歳の子については、Yから定期的に養育費を送金されていて生計維持関係があるため、受給資格者となります。

 遺族補償年金の受給資格者は17歳の子のみとなり、その子が受給権者となります。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/zFIcf9tlffs

社労士受験のあれこれ

労災保険法 未支給の保険給付

R5-149

R5.1.23 労災・未支給の保険給付を請求できる範囲

 今日は、労災保険の未支給の保険給付をみていきましょう。

 

条文を読んでみましょう。

11条第1

 労災保険法に基づく保険給付を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの(遺族補償年金については当該遺族補償年金を受けることができる他の遺族複数事業労働者遺族年金については当該複数事業労働者遺族年金を受けることができる他の遺族、遺族年金については当該遺族年金を受けることができる他の遺族)は、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。

 

未支給の保険給付を請求できるのは、

・配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹で、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの

★ただし、遺族(補償)等年金の場合は範囲が違います。未支給の保険給付を請求できるのは、遺族(補償)等年金を受けることができる他の遺族となります。遺族(補償)等年金には転給があるからです。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【R2年出題】 ※改正による修正あり

 労災保険法に基づく保険給付を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの(遺族補償年金については当該遺族補償年金を受けることができる他の遺族、複数事業労働者遺族年金については当該複数事業労働者遺族年金を受けることができる他の遺族、遺族年金については当該遺族年金を受けることができる他の遺族)は、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。

 

②【H22年出題】

 労災保険法に基づく保険給付を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)等であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができるが、この未支給の保険給付を受けるべき者の順位として、正しいものは次のうちどれか。

A 配偶者、子、父母、祖父母、孫、兄弟姉妹

B 子、配偶者、父母、兄弟姉妹、孫、祖父母

C 配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹

D 子、配偶者、父母、祖父母、兄弟姉妹、孫

E 配偶者、子、父母、祖父母、兄弟姉妹、孫

 

③【H30年出題】

 労災保険法に基づく遺族補償年金を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき遺族補償年金でまだその者に支給しなかったものがあるときは、当該遺族補償年金を受けることができる他の遺族は、自己の名で、その未支給の遺族補償年金の支給を請求することができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 〇 

 未支給の保険給付は、死亡した者の名ではなく、遺族が「自己の名」で請求することがポイントです。

 

 

②【H22年出題】 C

 ①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹の順序は覚えましょう。

 

 

③【H30年出題】 〇

 死亡した者と同順位の受給権者があるときは、未支給の保険給付の受給権者は、その者が第1位となります。死亡した者と同順位の受給権者がなく後順位の受給資格者があるときは次順位の受給資格者が、未支給の保険給付の受給権者の第1位となります。 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/PSbTQgdA1-4

社労士受験のあれこれ

労災保険法 傷病補償年金 

R5-140

R5.1.14 傷病補償年金と打切補償

 労働者が「業務上」負傷し、又は疾病にかかり療養のため休業する期間とその後30日間は解雇が禁止されています。

 ただし、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病が治ゆしない場合は、使用者が打切補償(平均賃金の1200日分)を行えば、解雇が可能になります。打切補償を行うことによって補償義務がなくなるからです。

(労働基準法第19条)

 しかし、業務上の傷病について、労災保険から保険給付が行われると、使用者の労働基準法の補償義務はなくなります。そうなると、使用者は打切補償をすることもなくなりますので、解雇制限が解除されなくなってしまいます。

 そのため、労災保険法では、打切補償を支払ったと「みなす」という規定があり、それによって解雇することが可能になります。確認しましょう。

 

条文を読んでみましょう。

法第19

業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合又は同日後において傷病補償年金を受けることとなった場合には、労働基準法第19条第1項の規定の適用については、当該使用者は、それぞれ、当該3年を経過した日又は傷病補償年金を受けることとなった日において、同法第81条の規定により打切補償を支払ったものとみなす

 

・療養の開始後3年を経過した日に傷病補償年金を受けている場合

 → 3年を経過した日に打切補償を支払ったものとみなす → 解雇できる

・療養開始後3年を経過した日に傷病補償年金を受けることとなった場合

→ 傷病補償年金を受けることとなった日に打切補償を支払ったものとみなす → 解雇できる

 

では、過去問をどうぞ!

R26-B

 業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合に限り、その日において、使用者は労働基準法第81条の規定による打切補償を支払ったものとみなされ、当該労働者について労働基準法第19条第1項の規定によって課せられた解雇制限は解除される。

 

 

 

 

 

 

 

【解答 】

R26-B】 ×

 療養の開始後3年を経過した日に傷病補償年金を受けていない場合は、その時点では、打切補償を支払ったものとはみなされません。しかし、その後に、傷病補償年金を受けることとなった場合は、その時点で打切補償を支払ったとみなされ、解雇制限が解除されます。

 打切補償を支払ったとみなされるのは、療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合に限りません。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/mQ7EltfO9Xo

社労士受験のあれこれ

 労災保険法の給付制限

R5-131

R5.1.5 労災の給付制限「故意の犯罪行為、重大な過失」

 労災保険法の支給制限を確認しましょう。

 条文を読んでみましょう。

第12条の2の2 

① 労働者が、故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその直接の原因となった事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行わない

 

② 労働者が故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる

 

①は「行わない」となっているのがポイントです。労働者の「故意」による傷病は、業務や通勤との因果関係がないので、保険給付は行われません。

②は「保険給付の全部又は一部を行わないことができる」ですので、絶対ではなく裁量になることがポイントです。

 

 

過去問をどうぞ!

①【R21-A

 業務遂行中の負傷であれば、労働者が過失により自らの負傷の原因となった事故を生じさせた場合、それが重大な過失でない限り、政府は保険給付の全部又は一部を行わないとすることはできない。

 

②【R21-B

 業務遂行中の負傷であれば、負傷の原因となった事故が、負傷した労働者の故意の犯罪行為によって生じた場合であっても、政府は保険給付の全部又は一部を行わないとすることはできない。

 

③【R21-C

 業務遂行中の負傷であれば、労働者が過失により自らの負傷を生じさせた場合、それが重大な過失でない限り、政府は保険給付の全部又は一部を行わないとすることはできない。

  

④【R21-D

 業務起因性の認められる疾病に罹患した労働者が、療養に関する指示に従わないことにより疾病の程度を増進させた場合であっても、指示に従わないことに正当な理由があれば、政府は保険給付の全部又は一部を行わないとすることはできない。

  

⑤【R21-E

 業務起因性の認められる疾病に罹患した労働者が、療養に関する指示に従わないことにより疾病の回復を妨げた場合であっても、指示に従わないことに正当な理由があれば、政府は保険給付の全部又は一部を行わないとすることはできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R21-A】 〇

 政府が保険給付の全部又は一部を行わないことができるのは、「重大な過失」による場合です。「過失」の場合は、政府は保険給付の全部又は一部を行わないとすることはできません。

 

 

②【R21-B】 ×

 労働者の「故意の犯罪行為」による場合は、政府は保険給付の全部又は一部を行わないことができます。

 

 

③【R21-C】 〇

 重大ではない「過失」の場合は、政府は保険給付の全部又は一部を行わないとすることはできません。

 

 

④【R21-D】 〇

 療養に関する指示に従わないことにより疾病の程度を増進させた場合は、政府は保険給付の全部又は一部を行わないことができます。しかし、「正当な理由」がある場合は、政府は保険給付の全部又は一部を行わないとすることはできません。

 

 

⑤【R21-E】 〇

 療養に関する指示に従わないことにより疾病の回復を妨げた場合は、政府は保険給付の全部又は一部を行わないことができます。しかし、「正当な理由」がある場合は、政府は保険給付の全部又は一部を行わないとすることはできません。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/NbPkpJNb0Ps

社労士受験のあれこれ

 令和4年の問題を復習しましょう(労災保険法)

R5-090

R4.11.25 R4択一式より 脳・心臓疾患の労災認定基準

 「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」が、令和3年に改正されました。

 働き方の多様化や職場環境の変化に応じて、最新の医学的知見を踏まえて、検証が行われたことによります。

 

新たに認定基準に追加されたポイントは以下の通りです。

■長期間の過重業務について

労働時間労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することが明確化されました。

・労働時間以外の負荷要因が見直されました。勤務間インターバルが短い勤務、身体的負荷を伴う業務などが評価対象として追加されました。

 

■短期間の過重業務・異常な出来事について

・業務と発症との関連性が強いと判断できる場合が明確化されました。

 

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

※「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準(令和3914日付け基発09141号)」より

①【問1-A

 発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、 1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められない場合には、これに近い労働時間が認められたとしても、業務と発症との関連性が強いと評価することはできない。

 

②【問1-C

 短期間の過重業務については、発症直前から前日までの間に特に過度の長時間労働が認められる場合や、発症前おおむね1週間継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が認められる場合に、業務と発症との関連性が強いと評価できるとされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【問1-A】 ×

発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと判断できます。

  しかし、その水準には至らないが、これに近い時間外労働が認められる場合は、特に他の負荷要因の状況を十分に考慮し、そのような時間外労働に加えて一定の労働時間以外の負荷が認められるときには、業務と発症との関連性が強いと評価できる、とされています。

「労働時間」と「労働時間以外の負荷要因」を総合的に考慮して判断するのがポイントです。

 労働時間以外の負荷要因として、「拘束時間の長い勤務」、「休日のない連続勤務」、「出張の多い業務」、「心理的負荷を伴う業務」などがあります。

 

②【問1-C】 〇

 「発症直前から前日までの間特に過度の長時間労働が認められる場合」、「発症前おおむね1週間継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が認められる場合」等は、業務と発症との関連性が強いと評価できる、とされています。

★短期間の過重業務と発症との関連性を時間的にみた場合、業務による過重な負荷は、発症に近ければ近いほど影響が強いと考えられることから、次に示す業務と発症との時間的関連を考慮して判断されます。

① 発症直前から前日までの間の業務が特に過重であるか否か

② 発症直前から前日までの間の業務が特に過重であると認められない場合であっても、発症前おおむね1週間以内過重な業務が継続している場合には、業務と発症との関連性があると考えられるので、この間の業務が特に過重であるか否か

 

 

※厚生労働省パンフレット「脳・心臓疾患の労災認定」を参照しました。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/vvIcSqDUzBg

社労士受験のあれこれ

 令和4年の問題を復習しましょう(労災保険法)

R5-089

R4.11.24 R4択一式より 合理的な経路及び方法(通勤)

 通勤の定義の一つである「合理的な経路及び方法」について確認しましょう。

 

まず条文を読んでみましょう。

7条第2

通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。

1 住居と就業の場所との間の往復

2 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動

3 第1号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。) 

 

★「合理的な経路及び方法」とは、一般的に労働者が用いるものと認められる経路及び手段等をいいます。

 

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

①【問6-D

 マイカー通勤の労働者が、経路上の道路工事のためにやむを得ず通常の経路を迂回して取った経路は、ふだんの通勤経路を外れた部分についても、通勤災害における合理的な経路と認められる。

 

 

②【問6-E

 他に子供を監護する者がいない共稼ぎ労働者が、いつもどおり親戚に子供を預けるために、自宅から徒歩10分ほどの勤務先会社の前を通り過ぎて100メートルのところにある親戚の家まで、子供とともに歩き、子供を預けた後に勤務先会社まで歩いて戻る経路のうち、勤務先会社と親戚の家との間の往復は、通勤災害における合理的な経路とは認められない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【問6-D】 〇

 経路の道路工事、デモ行進等当日の交通事情により迂回してとる経路、マイカー通勤者が貸切の車庫を経由して通る経路等通勤のためにやむを得ずとることとなる経路は合理的な経路となる、とされています。

H18.3.31基発第 0331042 号)

 

 

②【問6-E】 ×

 他に子供を監護する者がいない共稼労働者が託児所、親せき等にあずけるためにとる経路などは、そのような立場にある労働者であれば 当然就業のためにとらざるを得ない経路です。そのため、合理的な経路と認められます。

H18.3.31基発第 0331042 号)

 

 

過去問をどうぞ!

R3年出題】

 自家用車で通勤していた労働者Xが通勤途中、他の自動車との接触事故で負傷したが、労働者Xは所持している自動車運転免許の更新を失念していたため、当該免許が当該事故の1週間前に失効しており、当該事故の際、労働者Xは、無免許運転の状態であった。この場合は、諸般の事情を勘案して給付の支給制限が行われることはあるものの、通勤災害と認められる可能性はある。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R3年出題】 〇

 例えば、免許を一度も取得したことのないような者が自動車を運転する場合、自動車、自転車等を泥酔して運転するような場合には、合理的な方法と認められません。

 「飲酒運転の場合、単なる免許証不携帯、免許証更新忘れによる無免許運転の場合等は、必ずしも、合理性を欠くものとして取り扱う必要はないが、この場合において、諸般の事情を勘案し、給付の支給制限が行われることがあることは当然である。」とされています。

H18.3.31基発第 0331042 号)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/OU--jyP-hU4

社労士受験のあれこれ

 令和4年の問題を復習しましょう(労災保険法)

R5-048

R4.10.14 R4択一式より 労災保険「再発」とは

 労災保険法の保険給付は、「治っていない」か「治った」がポイントです。

 例えば、仕事中にケガをし、療養を受けている間は、「療養補償給付」が支給されます。ケガが治ったとき(治ゆしたとき)は療養補償給付は終了します。治った後に一定の障害が残った場合は、障害補償給付が支給されます。

 そして、その後再発した場合は、療養補償給付が再度受けられるようになります。

 今日のテーマは「再発」の認定要件です。

 

 まず、「治った」とはどういう状態なのでしょうか?

・労災保険で傷病が「治った」ときとは、身体の諸器官・組織が完全に回復した状態のみをいうものではありません。傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態をいいます。

 この状態を「治ゆ」(症状固定)といいます。

 

 

では、次に「再発」の要件を令和4年の問題でみてみましょう。

【問-7

 業務起因性が認められる傷病が一旦治ゆと認定された後に「再発」した場合は、保険給付の対象となるが、「再発」であると認定する要件として次のアからエの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

ア 当初の傷病と「再発」とする症状の発現との間に医学的にみて相当因果関係が認められること

イ 当初の傷病の治ゆから「再発」とする症状の発現までの期間が3年以内であること

ウ 療養を行えば、「再発」とする症状の改善が期待できると医学的に認められること

エ 治ゆ時の症状に比べ「再発」時の症状が増悪していること

 

A (アとイ)

B (アとエ)

C (アとイとエ)

D (アとウとエ)

E (アとイとウとエ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問-7 D (アとウとエ)

 再発として再び療養(補償)等給付を受けることができる要件は次の3つを満たした場合です。

①その症状の悪化が、当初の業務又は通勤による傷病と相当因果関係があると認められること

②症状固定の時からみて、明らかに症状が悪化していること

③療養を行えば、その症状の改善が期待できると医学的に認められること

 

問題文では、アとウとエの3つの要件を満たすことが条件となります。

 

(参考:厚生労働省パンフレット「労災保険における傷病が「治ったとき」とは・・・」

 

 

それでは、過去問をどうぞ!

①【H27年出題】

 療養の給付は、その傷病が療養を必要としなくなるまで行われるので、症状が安定して疾病が固定した状態になり、医療効果が期待しえない状態になっても、神経症状のような傷病の症状が残っていれば、療養の給付が行われる。

 

 

②【H28年出題】

 業務上の疾病が治って療養の必要がなくなった場合には、その後にその疾病が再発しても、新たな業務上の事由による発病でない限り、業務上の疾病とは認められない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H27年出題】 ×

 症状が安定して疾病が固定した状態になり、医療効果が期待しえない状態は「治ゆ」(症状固定)となります。「医療効果が期待できなくなった状態」とは、その傷病の症状の回復・改善が期待できなくなった状態です。

治ゆ後は、療養の給付は行われません。

(参考:厚生労働省パンフレット「労災保険における傷病が「治ったとき」とは・・・」

 

 

②【H28年出題】 ×

 傷病が一旦症状固定と認められた後に再び発症し、「再発」の要件を満たした場合は、再び療養補償給付が支給されます。

(参考:厚生労働省パンフレット「労災保険における傷病が「治ったとき」とは・・・」

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/xLy6KOrcnBI

社労士受験のあれこれ

 令和4年の問題を復習しましょう(労災保険法)

R5-032

R4.9.29 R4択一式より『業務の性質を有するものは通勤から除かれる』

 今日のテーマは、「業務の性質を有するもの」です。「業務の性質を有するもの」は「通勤」の定義から除かれます。

 

では、通勤の定義を条文で読んでみましょう。

法第7条第2

 通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。

1 住居と就業の場所との間の往復

2 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動

3 第1号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)

 「業務の性質を有するものを除く」の部分に注目してください。

 「業務の性質を有するもの」は通勤ではなく、業務災害となります。

 会社の通勤専用バスの利用に起因する事故、突発的事故等による緊急用務のため、休日に呼び出しを受け、緊急に出勤する途上の事故などは通勤ではなく、業務上となります。

 

 今日は、「出張中」の災害の扱いを確認しましょう。

 

では、過去問からどうぞ!

 

①【H25年出題】

 出張の機会を利用して当該出張期間内において、出張先に赴く前後に自宅に立ち寄る行為(自宅から次の目的地に赴く行為を含む。)については、当該立ち寄る行為が、出張経路を著しく逸脱していないと認められる限り、原則として、通常の出張の場合と同様、業務として取り扱われる。

 

 

②【H26年出題】

 明日午前8時から午後1時までの間に、下請業者の実施する隣町での作業を指揮監督するよう出張命令を受け、翌日、午前7時すぎ、自転車で自宅を出発し、列車に乗車すべく進行中、踏切で列車に衝突し死亡したが、同人が乗車しようとしていた列車が通常の通勤の場合にも利用していたものである場合は、通勤災害とされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】 〇

 「出張の機会を利用して当該出張期間内において、出張先に赴く前後に自宅に立ち寄る行為(自宅から次の目的地に赴く行為を含む。)については、当該立ち寄る行為が、出張経路を著しく逸脱していないと認められる限り、原則として、通常の出張の場合と同様、業務として取り扱うこと。」とされています。

(H18.3.31基労管発第0331001号/基労補発第0331003号/)

 

 

②【H26年出題】 ×

 出張については、一般的に、その過程全般が業務行為と認められます。

 問題文のように、出張のため、自宅から自転車で駅に向かう途中の事故は、通勤ではなく、業務上とされます。

S34.7.15基収第2980号)

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

【問6-A

 労働者が上司から直ちに23日の出張を命じられ、勤務先を出てすぐに着替えを取りに自宅に立ち寄り、そこから出張先に向かう列車に乗車すべく駅に向かって自転車で進行中に、踏切で列車に衝突し死亡した場合、その路線が通常の通勤に使っていたものであれば、通勤災害と認められる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【問6-A】 ×

 通勤災害ではなく業務災害となります。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/J_1DXGLn1LM

社労士受験のあれこれ

 令和4年基本問題(労働者災害補償保険法)

R5-022

R4.9.19 R4択一式より『(通勤災害)住居と就業の場所』

 令和4年の択一式から、基本問題を取り上げていきます。

 今日は、『(通勤災害)住居と就業の場所』です。

 

 通勤となる移動は3種類ありますが、代表的な移動は、「住居と就業の場所との間の往復」です。

 条文を読んでみましょう。

7条第2項 

 通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。

1 住居就業の場所との間の往復

2 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動

3 第1号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)

 

 「住居」とは労働者が居住して日常生活の用に供している家屋等の場所で、本人の就業のための拠点となるところをさします。

 「就業の場所」は、業務を開始し又は終了する場所をいいます。

(S48.12.1保険発第105号・庁保険発第24)

 令和4年の問題で、「住居」・「就業の場所」になる例、ならない例を確認しましょう。

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

①【問5-A

 同一市内に住む長女が出産するため、15日間、幼児2人を含む家族の世話をするために長女宅に泊まり込んだ労働者にとって、長女宅は、就業のための拠点としての性格を有する住居と認められる。

 

②【問5-B

 アパートの2階の一部屋に居住する労働者が、いつも会社に向かって自宅を出発する時刻に、出勤するべく靴を履いて自室のドアから出て1階に降りようとした時に、足が滑り転倒して負傷した場合、通勤災害に当たらない。

 

③【問5-C

 一戸建ての家に居住している労働者が、いつも退社する時刻に仕事を終えて自宅に向かってふだんの通勤経路を歩き、自宅の門をくぐって玄関先の石段で転倒し負傷した場合、通勤災害に当たらない。

 

④【問5-D

 外回りの営業担当の労働者が、夕方、得意先に物品を届けて直接帰宅する場合、その得意先が就業の場所に当たる。

 

 

⑤【問5-E

 労働者が、長期入院中の夫の看護のために病院に1か月間継続して宿泊した場合、当該病院は就業のための拠点としての性格を有する住居と認められる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【問5-A】 〇

 長女が出産するため、長女宅に泊まり込んだ労働者にとって長女宅は、住居と認められ、長女宅から勤務先に向かう途中の事故は通勤災害と認められています。

S52.12.23基収1027号)

 

 

②【5-B】 ×

 アパートについては、部屋の外戸が住居と通勤経路の境界となります。

 自室のドアから出て1階に降りようとした時の階段は通勤経路となりますので、足が滑り転倒して負傷した場合は、通勤災害に当たります。

S49.4.9基収314

 

 

③【問5-C】 〇

 一戸建て屋敷構えの住居の玄関先は住居内となり、住居と就業の場所との間とはいえません。自宅の門をくぐって玄関先の石段での負傷は、通勤災害に当たりません。

S52.12.23基収981

 

④【問5-D】 〇

 得意先に物品を届けて直接帰宅する場合、その得意先は就業の場所に当たります。

S48.11.22基発644

 

 

⑤【問5-E】 〇

 長期入院中の夫の看護のために病院に寝泊まりしている病院は住居に当たり、その病院から出勤する途中の事故は、通勤災害と認められます。

S52.12.23基収981

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/W5EzR6Bf7WY

社労士受験のあれこれ

 令和4年択一式を解いてみる(労災保険法)

R5-012

R4.9.9 R4「労災択一」は保険給付の出題ゼロでした。問3中小事業主の要件

 令和4年の労災保険の択一式は、「保険給付」(例えば、療養補償給付とか休業補償給付とか・・・)の内容についての出題がありませんでした。

 今日は、問3の「特別加入できる中小事業主」の問題を見ていきましょう。

 

 まず、中小事業主と認められる企業の規模を確認しましょう。

業 種

常時使用する労働者数

金融業

保険業

不動産業

小売業

 

50人以下

卸売業

サービス業

100人以下

その他の業種

300人以下

 中小事業主が特別加入する条件として、「労働者について保険関係が成立している」、「労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託している」ことが必要です。

 労働保険事務組合に委託できるのは、上記の規模の中小事業主です。

 

では、令和4年問3の問題をどうぞ

R4年問3

 厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業の事業主で、労働保険徴収法第33条第3項の労働保険事務組合に同条第1項の労働保険事務の処理を委託するものである者(事業主が法人その他の団体であるときは、代表者)は労災保険に特別加入することができるが、労災保険法第33条第1号の厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業の事業主に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 金融業を主たる事業とする事業主については常時100人以下の労働者を使用する事業主

B 不動産業を主たる事業とする事業主については常時100人以下の労働者を使用する事業主

C 小売業を主たる事業とする事業主については常時100人以下の労働者を使用する事業主

D サービス業を主たる事業とする事業主については常時100人以下の労働者を使用する事業主

E 保険業を主たる事業とする事業主については常時100人以下の労働者を使用する事業主

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A ×  金融業 → 常時50人以下

B ×  不動産業 → 常時50人以下

C ×  小売業 → 常時50人以下

D 〇  サービス業 → 常時100人以下

E ×  保険業 → 常時50人以下

 

 

では、過去問もどうぞ!

R3年出題】

 特別加入者である中小事業主が高齢のため実際には就業せず、専ら同業者の事業主団体の会合等にのみ出席するようになった場合であっても、中小企業の特別加入は事業主自身が加入する前提であることから、事業主と当該事業に従事する他の者を包括して加入しなければならず、就業実態のない事業主として特別加入者としないことは認められない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R3年出題】 ×

 就業実態のない事業主を特別加入者としない扱いは、認められています。

 中小事業主等の特別加入については、事業主が事業主と当該事業に徒事するその他の者を包括して加入申請を行い、政府の承認を受けることにより労災保険が適用されるものとなっていて、事業主自身が加入することが前提となっています。

 しかし、実態として事業場で就業していないものまで包括して加入させることは適当ではないので、就業実態のない事業主が自ら包括加入の対象から除外することを申し出た場合には、特別加入者としない扱いになっています。

 なお、任意包括の対象から除外できるのは、次のいずれかに該当する者です。

①病気療養中、高齢その他の事情のため、実際に就業しない事業主、②事業主の立場において行う事業主本来の業務のみに従事する事業主

(平成15520日基発第0520002)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/qxgIDOxw1tg

社労士受験のあれこれ

 復習しましょう/令和4年選択式③

R5-003

R4.8.31 令和4年選択式の復習~労働者災害補償保険法

 今まであまり取り上げられなかった視点からの問題でした。

 解き方を考えてみましょう。

 

同一の部位に加重障害が生ずるとともに、他の部位にも新たな身体障害が残った場合の障害等級

 

(問題の主旨)

・ 業務災害により既に1下肢を1センチメートル短縮していた(13級の8)

・ 新たな業務災害で、同一下肢を3センチメートル短縮(10級の7)し、かつ1手の小指を失った(12級の82

 ↓

この場合の障害等級と新たに給付される障害補償の額が問われました。

 

(考え方)

① まず、同一部位の加重された後の身体障害の等級を定めます。

② 次に他の部位の身体障害の等級を定め、両者を併合して現在の身体障害の該当する等級を認定します。

③ 現在の等級の額から既にあった障害の等級の額を控除して得た額が、給付額となります。

 

(問題文にあてはめます)

① 同一部位(1下肢)の等級は加重された後、10級の7となります。

② 新たな部位の身体障害の等級は12級の8の2です。両者を併合して繰り上げた結果、現在の等級は「9級」となります。

※「併合」は重い方の障害等級が全体の障害等級となりますが、13級以上の障害が2つありますので、重い方の10級を1級繰り上げた結果「9級」となります。

③ 新たな障害につき給付される障害補償の額は、現在の等級(9級・391日分)から、既にあった障害の等級(13級・101日分)を控除した額=「290日」分となります。

 

 

 

中小事業主が特別加入する際の保険関係について

 中小事業主の特別加入は、労働者に関して成立している保険関係に、中小事業主が組み込まれる形で行われます。

 保険関係上、中小事業主は、「労働者」とみなされることによって、労災保険の保護の対象となります。

 また、保険関係は、場所ごとに成立します。建設の事業の場合は、建設工事の現場、営業活動を行う本店等はそれぞれ別個に保険関係が成立します。

保険関係は、「労働者を使用するものがあること」によって成立します。

 問題文の場合、建設現場は労働者がいるため保険関係が成立しますが、営業の事業を行う本店等は、労働者が従事していないため保険関係が成立していません。

 中小事業主の特別加入は、労働者の保険関係が成立していることが前提です。保険関係が成立していない営業等の事業については、事業主は特別加入することはできません。そのため、「営業等の事業に係る業務」に起因する事業主の死亡に関しては、保険給付の対象になりません。

 

 

覚えて解くという問題ではなく、前後の文章をじっくり読んで、今まで学んだ知識と照らし合わせて、正解を引き出す問題でした。 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/mL1rLj11csg

社労士受験のあれこれ

労災保険法

R4-360

R4.8.17 選択対策・疾病の範囲

今日は選択式の練習です。

空欄を埋めてみましょう。

 

過去問をどうぞ!

①【H18年選択式】

 労働者災害補償保険法による保険給付の事由となる業務災害及び通勤災害のうち業務上の疾病の範囲は、< A >で、通勤災害のうち通勤による疾病の範囲は、    < B >で定められている。

 業務上の疾病として< A >の別表第1の2に掲げられている疾病のうち同表第11号に掲げられている疾病は、その他< C >である。

 通勤による疾病として< B >に定められている疾病は、< D >に起因する疾病その他< E >である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 労働基準法施行規則

B 労働者災害補償保険法施行規則

C 業務に起因することの明らかな疾病

D 通勤による負傷

E 通勤に起因することの明らかな疾病

 

 

こちらもどうぞ!

 空欄を埋めてみましょう。

法第20条の3

 複数事業労働者療養給付は、複数事業労働者がその従事する2以上の事業の業務を要因として負傷し、又は疾病厚生労働省令で定めるものに限る。)にかかった場合に、当該複数事業労働者に対し、その請求に基づいて行う。

 

労働者災害補償保険法施行規則18条の36 (複数業務要因災害による疾病の範囲)

 法第20条の31項の厚生労働省令で定める疾病は、< F > 別表第1の2第8号及び第9号に掲げる疾病その他< G >とする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

F 労働基準法施行規則

G 2以上の事業の業務を要因とすることの明らかな疾病

 

Fについて

労働基準法施行規則別表第12の第8号は「過重負荷による脳・心臓疾患」、第9号は「心理的負荷による精神障害」です。

 

<複数業務要因災害の範囲>

  複数業務要因災害による疾病の範囲は、労災則第 18 条の3の6により、労働基準法施行規則別表1の2第8号及び第9号に掲げる疾病(以下「脳・心臓疾患、精神障害」という。)及びその他2以上の事業の業務を要因とすることの明らかな疾病としており、現時点においては、脳・心臓疾患、精神障害が想定されている、とされています。

(令和2年8月 21 日 基発 0821 第1号より)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/epPfWPKav30

社労士受験のあれこれ

労災保険法

R4-350

R4.8.7 遺族補償年金の失権

今日は、遺族補償年金の失権事由を確認しましょう。

 

条文を読んでみましょう。

16条の4

 遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が次の各号の一に該当するに至ったときは、消滅する。この場合において、同順位者がなくて後順位者があるときは、次順位者に遺族補償年金を支給する

1 死亡したとき。

2 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき。

3 直系血族又は直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったとき。

4 離縁によって、死亡した労働者との親族関係が終了したとき。

5 子、孫又は兄弟姉妹については、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき(労働者の死亡の時から引き続き厚生労働省令で定める障害の状態にあるときを除く。)。

6 厚生労働省令で定める障害の状態にある夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、その事情がなくなったとき(夫、父母又は祖父母については、労働者の死亡の当時60歳以上であったとき、子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるとき、兄弟姉妹については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は労働者の死亡の当時60歳以上であったときを除く。)。

 労災保険の遺族補償年金には、転給があるのがポイントです。

 受給権者が失権したときに、後順位者があるときは、次順位者が受給権者になります。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H23年出題】

 遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が、婚姻の届出はしていないものの事実上婚姻関係と同様の事情にある場合に至ったときは、消滅する。

 

 

②【H28年出題】

 遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が、自分の伯父の養子となったときは、消滅する。

 

 

③【H23年出題】

 遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する兄弟姉妹が労災保険法第16条の21項第4号の厚生労働省令で定める障害の状態にあるときであっても、18歳に達した日以後の最初の331日が終了したときは、消滅する。

 

 

④【H23年出題】

 遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する、労災保険法第16条の21項第4号の厚生労働省令で定める障害の状態にあった祖父母が、その障害の状態がなくなったときは、労働者の死亡の当時60歳以上であった場合であっても、消滅する。

 

 

⑤【H23年出題】

 遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する、労災保険法第16条の21項第4号の厚生労働省令で定める障害の状態にあった孫が、その障害の状態がなくなったときは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときであっても、消滅する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H23年出題】 〇

 事実上婚姻関係と同様の事情にある場合に至ったときでも、遺族補償年金の受給権は消滅します。

 

 

②【H28年出題】 〇

 直系血族又は直系姻族以外の養子になったときは失権します。伯父は直系ではなく傍系となりますので、伯父の養子になった場合は失権事由に該当します。

 

 

 

③【H23年出題】 ×

 労働者の死亡の時から「引き続き障害の状態にある」ときは、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了しても失権しません。

 「労働者の死亡のときから引き続き」がポイントです。

 労働者の死亡時に、障害要件を満たしていて引き続き障害の状態にある場合は、18歳に達した日以後の最初の331日が終了しても失権しません。

 

 

④【H23年出題】 ×

 労働者の死亡の当時年齢要件を満たしている場合は、障害の状態がなくなっても受給権には影響しません。

 労働者の死亡の当時60歳以上であった祖父母は、年齢要件を満たしていますので、障害の状態がなくなっても、受給権は消滅しません。

 

 

⑤【H23年出題】 ×

 孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときは年齢要件を満たしていますので、障害の状態の有無は関係ありません。

 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にその障害の状態がなくなったとしても、受給権は消滅しません。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/rmzD9F2ZVzs

社労士受験のあれこれ

労災保険法

R4-316

R4.7.4 海外派遣者の特別加入 

 労災保険法は、属地主義がとられていて、国内の労働者の災害だけが保護の対象です。

 海外で業務に従事する場合は、通常は労災保険の保護の対象外となります。しかし、労災保険に特別加入することにより、労災保険の保護を受けることができます。

 海外派遣者として特別加入できるのは、次の3つです。

① 開発途上にある地域に対する技術協力の実施の事業(有期事業を除く。)を行う団体から派遣され、開発途上にある地域で行われる事業に従事する者

② 日本国内の事業(有期事業を除く。)から派遣され、海外において行われる事業(海外支店や工場など)で行われる事業に従事する労働者

③ 日本国内の事業(有期事業を除く。)から派遣され、特定事業に該当する事業に従事する事業主及びその他労働者以外の者

 

★③について

「特定事業」は中小企業に該当する規模の事業のことです。

 海外の事業が特定事業(中小企業の規模)の場合は、現地法人の社長として派遣される者も特別加入することができます。

 

★日本国内の事業が有期事業の場合は、海外派遣者の特別加入は認められません。

★日本国内の事業が継続事業なら、派遣先の海外の事業が有期事業の場合でも、特別加入させることができます。

 

 

過去問をどうぞ!

①【H24年出題】

 海外派遣者について、派遣先の海外の事業が厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業に該当する場合であっても、その事業の代表者は、労災保険の特別加入の対象とならない。

 

 

②【H26年出題】

 日本に本社を有する企業であれば、その海外支店に直接採用された者についても、所轄都道府県労働局長に特別加入の申請をして承認を受けることによって、労災保険法が適用される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H24年出題】 ×

 派遣先の海外の事業が中小企業(厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業)に該当する場合は、その事業の代表者も、労災保険の特別加入の対象となります。

 

 

②【H26年出題】 ×

 海外支店で現地採用された者は、国内の事業からの派遣ではないので、特別加入の対象外です。

 

海外派遣者のポイント!

・ 新たに派遣される者に限らず、既に海外の事業に派遣されている者を特別加入させることもできます。

・ 単なる留学の目的で海外に派遣される者は、特別加入の対象となりません。

・ 海外出張者は、特別加入しなくても通常の労災保険の保護の対象となります。

 

(昭52.3.30基発第192号)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/8O4FIyagg58

社労士受験のあれこれ

労災保険法

R4-315

R4.7.3 遺族補償一時金 

 「遺族補償給付」には、「遺族補償年金」と「遺族補償一時金」があります。

 今回のテーマは「遺族補償一時金」です。

 

条文を読んでみましょう。

法第16条の616条の8

遺族補償一時金は、次の場合に支給する。

① 労働者の死亡の当時遺族補償年金を受けることができる遺族がないとき。

 → 給付基礎日額の1,000日分

② 遺族補償年金を受ける権利を有する者の権利が消滅した場合において、他に当該遺族補償年金を受けることができる遺族がなく、かつ、当該労働者の死亡に関し支給された遺族補償年金の額及び遺族補償年金前払一時金の額の合計額が当該権利が消滅した日において前号に掲げる場合に該当することとなるものとしたときに支給されることとなる遺族補償一時金の額(給付基礎日額の1,000日分)に満たないとき。

 → 「給付基礎日額の1,000日分」から「支給された遺族補償年金の額及び遺族補償年金前払一時金の額の合計額」を控除した額

 

法第16条の7

 遺族補償一時金を受けることができる遺族は、次の各号に掲げる者とする。

1 配偶者

2 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母

3 前号に該当しない子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹

 

① 例えば、労働者の死亡の当時、遺族が障害状態にない50歳の夫のみだった場合、夫は、遺族補償年金を受けることはできませんが、遺族補償一時金(給付基礎日額の1,000日分)を受けられます。

② 例えば、労働者の死亡当時生計を維持されていた遺族が妻のみだった場合、妻は遺族補償年金を受けることができます。しかし、その後妻の受給権が消滅し、既に支給されていた年金が給付基礎日額の1,000日分に満たないときは、支給された年金の額の合計額との差額が支給されます。

 

遺族補償一時金を受ける遺族の順位

①配偶者(生計維持の有無は関係なし) 

②生計維持していた子

③生計を維持していた父母

④生計を維持していた孫

⑤生計を維持していた祖父母

⑥生計を維持していなかった子

⑦生計を維持していなかった父母

⑧生計を維持していなかった孫

⑨生計を維持していなかった祖父母

⑩兄弟姉妹(生計維持の有無は関係なし)

 

 

過去問をどうぞ!

①【H10年出題】

 遺族補償年金を受ける権利を有する死亡労働者の妻が再婚をした場合であっても、他に遺族補償年金の受給権者がいないときには、当該再婚をした妻は遺族補償一時金の請求権を有することがある。

 

 

②【H28年出題】

 遺族補償年金の受給権を失権したものは、遺族補償一時金の受給権者になることはない。

 

 

③【H25年出題】

 労働者が業務災害により死亡した場合、その祖父母は、当該労働者の死亡当時その収入により生計を維持していなかった場合でも、遺族補償一時金の受給者となることがある。

 

 

④【H28年出題】

 労働者が業務災害により死亡した場合、その兄弟姉妹は、当該労働者の死亡の当時、その収入により生計を維持していなかった場合でも、遺族補償一時金の受給者となることがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H10年出題】 〇

 遺族補償年金を受けている妻が再婚をした場合、遺族補償年金の受給権は失権します。その場合、既に支給された年金の合計額が給付基礎日額の1,000日未満の場合は、差額が遺族補償一時金として支給されます。

 労働者との身分関係は「労働者の死亡の当時」でみることがポイントです。再婚により遺族補償年金の受給権が失権した場合でも、労働者の死亡の当時は妻だったので、遺族補償一時金の請求ができます。

 

 

②【H28年出題】 ×

 ①の問題のように、遺族補償年金の受給権を失権したものでも、遺族補償一時金の受給権を得ることがあります。

 

 

③【H25年出題】 〇

 「遺族補償年金」は、労働者の死亡の当時その収入により生計を維持していたことが条件ですが、「遺族補償一時金」は、労働者の死亡当時その収入により生計を維持していなかった場合でも、受給者となることがあります。

 

④【H28年出題】 〇

 ③の問題と同じです。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/H4wDqY4gqyY

社労士受験のあれこれ

労災保険法

R4-314

R4.7.2 労災 保険給付の一時差し止め 

 保険給付を受ける者が行政庁の命令に従わないときは、政府は保険給付の支払いを一時差し止めることができます。

 

条文を読んでみましょう。

法第47条の3

 政府は、保険給付を受ける権利を有する者が、正当な理由がなくて、第12条の7の規定による届出をせず、若しくは書類その他の物件の提出をしないとき、又は前2条の規定による命令(報告、出頭等の命令、受診命令)に従わないときは、保険給付の支払を一時差し止めることができる。 

 一時差し止められた保険給付は、差止め事由がなくなれば、差し止められていた給付の支払が行われます。

 支給停止とは違いますので注意しましょう。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H25年出題】

 政府は、保険給付を受ける権利を有する者が、正当な理由がなくて、保険給付に関し必要な労災保険法施行規則で定める書類その他の物件を政府に提出しないときは、保険給付の支払を一時差し止めることができる。

 

 

②【H25年出題】

 政府は、保険給付に関して必要であると認めるときは、保険給付を受け、又は受けようとする者に対し、その指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができ、その者が命令に従わないときは、保険給付の支払を一時差し止めることができる。

 

 

③【H24年出題】

 政府は、保険給付を受ける権利を有する者が、正当な理由なく、行政の出頭命令に従わないときは、保険給付の支給決定を取り消し、支払った金額の全部又は一部の返還を命ずることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H25年出題】  〇

 保険給付を受ける権利を有する者が、正当な理由がなくて、保険給付に関し必要な書類その他の物件を政府に提出しないときは、政府は、保険給付の支払を一時差し止めることができます。

 

 

②【H25年出題】 〇

 受診命令に従わないときは、政府は、保険給付の支払を一時差し止めることができます。

※参考 

47条の2(受診命令)

 行政庁は、保険給付に関して必要があると認めるときは、保険給付を受け、又は受けようとする者(遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金又は遺族年金の額の算定の基礎となる者を含む。)に対し、その指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができる。

 

 

③【H24年出題】 ×

 行政の出頭命令に従わないときは、政府は、「保険給付の支払を一時差し止めること」ができます。「保険給付の支給決定を取り消し、支払った金額の全部又は一部の返還を命ずることができる。」は誤りです。

※参考

47条(労働者及び受給者の報告、出頭等)

 行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、保険関係が成立している事業に使用される労働者若しくは保険給付を受け、若しくは受けようとする者に対して、この法律の施行に関し必要な報告、届出、文書その他の物件の提出若しくは出頭を命じ、又は保険給付の原因である事故を発生させた第三者に対して、報告等を命ずることができる。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/E4JQl5ySARM

社労士受験のあれこれ

労災保険法

R4-313

R4.7.1 障害補償給付・障害等級の変更 

 障害等級は、1級から14級まであり、1級から7級の障害が残った場合は「障害補償年金」、8級から14級の障害が残った場合は「障害補償一時金」が支給されます。

 障害補償年金を受ける労働者の障害の程度に変更があった場合は、変更後の障害等級に応じた障害補償年金又は障害補償一時金が支給されます。

 

条文を読んでみましょう。

法第15条の2 

障害補償年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があったため、新たに他の障害等級に該当するに至った場合には、政府は、厚生労働省令で定めるところにより、新たに該当するに至った障害等級に応ずる障害補償年金又は障害補償一時金を支給するものとし、その後は、従前の障害補償年金は、支給しない。

 

ポイント!

★「変更があった」とは?

 障害の程度が自然的経過により増進し、又は軽減したことをいいます。

 ※「変更」に含まれないもの→「新たな傷病で障害の程度が加重した」、「傷病が再発した後治ゆし、その後に残った障害の程度が増進又は軽度になった」場合は変更に含まれません。

★対象は「障害補償年金」のみ

 主語に注目してください。変更の対象は、「障害補償年金」を受ける労働者に限定されています。

 「障害補償一時金」の場合は、後から障害の程度が増進又は軽減した場合でも、変更の対象にはなりません。

★具体例

・障害等級3級が自然的経過により増進し、障害等級1級に該当するに至った場合

 → 新たに該当した「1級」の障害補償年金を支給し、その後は3級の障害補償年金は支給されません。

・障害等級5級が自然的経過により軽減し、障害等級8級に該当するに至った場合

 → 新たに該当した「8級」の障害補償一時金を支給し、その後は5級の障害補償年金は支給されません。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H21年出題】

 障害補償年金を受ける者の障害の程度について自然的経過により変更があった場合には、新たに該当することとなった障害等級に応ずる障害補償給付が支給され、その後は、従前の障害補償年金は支給されない。

 

 

②【H30年出題】

 障害補償一時金を受けた者については、障害の程度が自然的経過により増進しても、障害補償給付の変更が問題となることはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H21年出題】 〇

 「障害補償年金を受ける者」と「自然的経過により変更」がチェックポイントです。

 また、「新たに該当することとなった障害等級に応ずる「障害補償給付」が支給され」の「障害補償給付」にも注目してください。「障害補償給付」には「年金」も「一時金」も含まれます。1級から7級の範囲内の変更なら年金が支給されますが、8級以下になった場合は一時金が支給されます。

 

 

②【H30年出題】 〇

 「障害補償一時金」の場合は、障害の程度が自然的経過により変更しても、障害補償給付の変更が行われることはありません。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/2YLG2KQc7Vg

社労士受験のあれこれ

労働者災害補償保険法

R4-312

R4.6.30 障害補償給付・併合と併合繰上げ 

 同一のケガや病気で障害が2つ以上残ったときは、原則として、重い方の障害等級が全体の障害等級となります。(併合といいます)

 しかし、13級以上の障害が2つ以上あるときは、重い方の障害等級を1級ないし3級繰り上げます。(併合繰上げといいます。)

 

条文を読んでみましょう。

則第14

② 別表第一に掲げる身体障害が2以上ある場合には、重い方の身体障害の該当する障害等級による。

③ 次の各号に掲げる場合には、重い方の障害等級をそれぞれ当該各号に掲げる等級だけ繰り上げた障害等級による。

1 13級以上に該当する身体障害が2以上あるとき  1級繰り上げ

2 8級以上に該当する身体障害が2以上あるとき  2級繰り上げ

3 第5級以上に該当する身体障害が2以上あるとき  3級繰り上げ

 

(併合について)

 例えば、同一事由で、14級と9級の2つの障害が残った場合は、全体として重い方の9級の障害等級となります。

 重い方の障害等級が全体の障害等級となるのは、一方が14級の場合に限られます。

(併合繰上げについて)

 併合繰上げが行われるのは、13級以上の障害が2つ以上残った場合です。

 例えば、同一の事由で、5級と4級が残った場合は、重い方の4級が3級繰り上がって、全体として障害等級は1級となります。

 しかし、例外もあります。

13級と9級が残った場合は、重い方の9級が1級繰り上がって8級となります。

 8級の一時金は「503日分」、13級(101日分)と9級(391日分)を合算すると492日分です。繰り上がった結果の方が大きくなるのは、13級と9級が残った場合だけです。このため、13級と9級が残った場合は、繰り上がった8級の一時金ではなく、13級と9級を合算した492日分の一時金が支給されます。(則第14条第3項但し書き)

 

過去問をどうぞ!

①【R2年出題】

 障害補償給付を支給すべき身体障害の障害等級については、同一の業務災害により身体障害が2以上ある場合で、一方の障害が第14級に該当するときは、重い方の身体障害の該当する障害等級による。

 

 

②【H30年出題】

 障害等級表に該当する障害が2以上あって厚生労働省令の定める要件を満たす場合には、その障害等級は、厚生労働省令の定めに従い繰り上げた障害等級による。具体例は次の通りである。

① 第5級、第7級、第9級の3障害がある場合     第3

② 第4級、第5級の2障害がある場合         第2

③ 第8級、第9級の2障害がある場合          第7

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 〇

 同一の業務災害により身体障害が2以上ある場合で、一方の障害が第14級に該当するときは、全体として重い方の障害等級になります。例えば、14級と10級が残った場合は、全体として10級となります。

 

 

②【H30年出題】 ×

① 第5級、第7級、第9級の3障害がある場合は、「8級以上」が、5級と7級の2つあるので、重い方の5級が2級繰り上がって「第3級」となります。

② 第4級、第5級の2障害がある場合は、「5級以上」が、4級と5級の2つあるので、重い方の4級が3級繰り上がって「第1級」となります。

③ 第8級、第9級の2障害がある場合は、「13級以上」が8級と9級の2つあるので、重い方の8級が1級繰り上がって「第7級」となります。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/ioRDzHasGnI

社労士受験のあれこれ

労災保険法

R4-285 

R4.6.3 療養給付(通勤災害)の一部負担金

 通勤災害で療養給付を受けた場合、労働者は一部負担金を納付しなければなりません。

 一部負担金は、200円(健康保険法の日雇特例被保険者は100円)で、休業給付から控除されます。

 なお、業務災害の療養補償給付の場合は、一部負担金は徴収されません。業務災害は、使用者に補償義務があるからです。

 

 では、条文を読んでみましょう。

31条 

② 政府は、療養給付を受ける労働者(厚生労働省令で定める者を除く。)から、  200円を超えない範囲内で厚生労働省令で定める額を一部負担金として徴収する。

③ 政府は、労働者から徴収する一部負担金に充てるため、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者に支払うべき保険給付の額から当該一部負担金の額に相当する額を控除することができる

 

則第44条の2 (一部負担金)

① 法第31条第2項の厚生労働省令で定める者(一部負担金が徴収されない者)は、次の各号に掲げる者とする。

1 第三者の行為によって生じた事故により療養給付を受ける者

2 療養の開始後3日以内に死亡した者その他休業給付を受けない

3 同一の通勤災害に係る療養給付について既に一部負担金を納付した

② 一部負担金の額は、200(健康保険法に規定する日雇特例被保険者である労働者については、100)とする。ただし、現に療養に要した費用の総額がこの額に満たない場合には、当該現に療養に要した費用の総額に相当する額とする。

③ 法第31条第3項の規定による控除は、休業給付を支給すべき場合に、当該休業給付について行う

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H29年出題】

 療養給付を受ける労働者は、一部負担金を徴収されることがある。

 

 

②【H24年出題】

 政府は、療養給付を受ける労働者(法令で定める者を除く。)から、200円(健康保険法に規定する日雇特例被保険者である労働者については100円)を一部負担金として徴収する。ただし、現に療養に要した費用の総額がこの額に満たない場合は、現に療養に要した費用の総額に相当する額を徴収する。

 

 

③【H24年出題】

 第三者の行為によって生じた事故により療養給付を受ける者についても、一部負担金は徴収される。

 

 

④【H25年出題】

 政府は、療養の開始後3日以内に死亡した者からは、一部負担金を徴収する。

 

 

⑤【H25年出題】

 政府は、同一の通勤災害に係る療養給付について既に一部負担金を納付した者からは、一部負担金を徴収しない。

 

 

⑥【H24年出題】

 療養給付を受ける労働者から一部負担金を徴収する場合には、労働者に支給すべき休業給付の額から、一部負担金の額に相当する額を控除することができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 〇

 一部負担金は、通勤災害の「療養給付」が対象です。

 

 

②【H24年出題】 〇

 一部負担金の額は、200円(健康保険法に規定する日雇特例被保険者である労働者については100円)です。

 

 

③【H24年出題】 ×

 第三者の行為によって生じた事故により療養給付を受ける者からは、一部負担金は徴収しません。

 

 

④【H25年出題】 ×

 療養の開始後3日以内に死亡した者からは、一部負担金は徴収しません。

 

 

⑤【H25年出題】 〇

 休業給付の初回の給付額から、一部負担金が控除されます。

 

 

⑥【H24年出題】 〇

 休業給付で最初に支給すべき事由の生じた日に係るものの額から、一部負担金の額に相当する額が控除されます。 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/fqiMwyXh-ek

社労士受験のあれこれ

「要介護状態」の比較

R4-279 

R4.5.28 「要介護状態」比較/介護保険法と育児・介護休業法と労災保険法

介護保険の保険給付には、「介護給付」「予防給付」「市町村特別給付」があります。

「介護給付」要介護状態にある者に対しての保険給付です。

 

育児・介護休業法の「介護休業」は、労働者が要介護状態にある対象家族を介護するための休業です。

 

それぞれの「要介護状態」の定義を比較しましょう。

 

まず、介護保険法の条文を読んでみましょう。

第7条 (定義)

介護保険法において「要介護状態」とは、身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって、その介護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(以下「要介護状態区分」という。)のいずれかに該当するもの(要支援状態に該当するものを除く。)をいう。

施行規則第3条 

 厚生労働省令で定める期間は、6月間とする。

 

次に、育児・介護休業法の条文を読んでみましょう。

2条 (定義)

 要介護状態とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、厚生労働省令で定める期間にわたり常時介護を必要とする状態をいう。

 

施行規則第2条 

 厚生労働省令で定める期間は、2週間以上の期間とする。

 

 介護保険法の要介護状態は、「6月間」にわたり継続して、常時介護を要する状態、育児介護休業法の要介護状態は、「2週間以上の期間」にわたり常時介護を必要とする状態です。

 法律によって違いますので、注意しましょう。

 

 

では、過去問をどうぞ!

「労災保険法」の問題です。

労災【H25年出題】

 女性労働者が1週間に数回、やむを得ない事情により、就業の場所から帰宅途中に最小限の時間、要介護状態にある夫の父を介護するために夫の父の家に立ち寄っている場合に、介護終了後、合理的な経路に復した後は、再び通勤に該当する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

労災【H25年出題】 〇

 合理的な通勤経路を逸脱・中断した場合は、逸脱・中断の間とその後の移動は通勤になりません。

 しかし、逸脱・中断が日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、合理的な経路に戻ってからの移動は通勤となります。(この場合でも、逸脱・中断の間は通勤になりません。)

 問題文は、日常生活上必要な行為に該当しますので、介護終了後、合理的な経路に復した後は、再び通勤に該当します。

■ ここでも「要介護状態」という用語が出てきます。定義は「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」をいいます。

(則第7条、第8条)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/hvpGMAJR6Gc

社労士受験のあれこれ

労災保険法

R4-268 

R4.5.17 「一定の障害状態」遺族補償年金

 労働者が業務上死亡した場合、一定の遺族に「遺族補償年金」が支給されます。

 前回は、遺族補償年金の対象になる遺族の第一の条件である「生計維持」についてお話しました。

 さらに、「妻以外」の者は、年齢要件か障害要件を満たす必要があります。今回のテーマは「障害要件」です。

 

 条文を読んでみましょう。

16条の2

 遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとする。

 ただし、(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)以外の者にあっては、労働者の死亡の当時次の各号に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。

1 (婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)、父母又は祖父母については、60歳以上であること。

2 子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること。

3 兄弟姉妹については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること又は60歳以上であること

4 前3号の要件(年齢要件)に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、厚生労働省令で定める障害の状態にあること。

 

 遺族補償年金を受ける遺族の条件として、「妻」以外の者は、労働者の死亡の当時 1号から3号の「年齢要件」又は4号の「障害要件」に該当しなければなりません。

 今回は、「厚生労働省令で定める障害の状態」がテーマです。

 

 「厚生労働省令で定める障害の状態」については、次のように定められています。

則第15条 (遺族補償年金を受ける遺族の障害の状態)

 法第16条の21項第4号(法第20条の63項において準用する場合を含む。)及び法別表第一(法第20条の63項において準用する場合を含む。)遺族補償年金の項の厚生労働省令で定める障害の状態は、身体に別表第一の障害等級の第5級以上に該当する障害がある状態又は負傷若しくは疾病が治らないで、身体の機能若しくは精神に、労働が高度の制限を受けるか、若しくは労働に高度の制限を加えることを必要とする程度以上の障害がある状態とする。

 ポイントは、「5級以上」の部分と「労働が高度の制限を受けるか、若しくは労働に高度の制限を加えることを必要とする程度以上」の部分です。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H19年出題】 ※改正による修正あり

 遺族補償年金(複数事業労働者遺族年金において準用する場合を含む。)又は遺族年金の受給資格要件の一つである厚生労働省令で定める障害の状態は、身体に障害等級第5級以上に該当する障害がある状態又は傷病が治らないで、身体の機能若しくは精神に、労働が高度の制限を受けるか、若しくは労働に高度の制限を加えることを必要とする程度以上の障害がある状態である。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H19年出題】 〇 

 労働の高度の制限とは、「完全な労働不能で長期間にわたる高度の安静と常時の監視又は介護を要するものよりも軽いが、労働の著しい制限よりは重く、長期間にわたり中等度の安静を要すること」をいうとされています。

(昭41.1.31基発73号)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/LRukS1iRHZQ

社労士受験のあれこれ

労災保険法

R4-267 

R4.5.16 遺族補償年金~「生計を維持していた」

 労働者が業務上死亡した場合、一定の遺族に「遺族補償年金」が支給されます。

 

 条文を読んでみましょう。

16条の2

 遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとする。

 ただし、(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)以外の者にあっては、労働者の死亡の当時次の各号に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。

1 夫(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)、父母又は祖父母については、60歳以上であること。

2 子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること。

3 兄弟姉妹については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること又は60歳以上であること

4 前3号の要件(年齢要件)に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、厚生労働省令で定める障害の状態にあること。

 

今日のポイント!

 遺族補償年金を受けることができる遺族の第1条件は、労働者の死亡当時その収入によって「生計を維持していた」ものです。

 今回のテーマは「生計維持」です。

 

「生計維持」の認定については、則第14条の4で次のように定められています。

則第14条の4 (遺族補償給付等に係る生計維持の認定)

 遺族補償年金及び遺族補償一時金(複数事業労働者遺族給付及び遺族給付において準用する場合を含む。)に規定する労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたことの認定は、当該労働者との同居の事実の有無、当該労働者以外の扶養義務者の有無その他必要な事項を基礎として厚生労働省労働基準局長が定める基準によって行う。

 

過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 傷病補償年金の受給者が当該傷病が原因で死亡した場合には、その死亡の当時その収入によって生計を維持していた妻は、遺族補償年金を受けることができる。

 

 

②【H17年出題】

 遺族補償年金を受けることができる遺族の要件としての「労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた」ことが認められるためには、単に労働者と生計を一にしていただけでは足りず、労働者の収入によって消費生活の大部分を営んでいたことが必要である。

 

 

③【H28年出題】

 労働者が業務災害により死亡した場合、当該労働者と同程度の収入があり、生活費を分担して通常の生活を維持していた妻は、一般に「労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた」ものにあたらないので、遺族補償年金を受けることはできない。

 

 

④【H18年出題】 

 遺族補償給付を受けることができる遺族は、死亡した労働者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものでなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 〇

 「妻」以外の者は、労働者の死亡の当時、「年齢要件」又は「障害要件」に該当する必要がありますが、妻は年齢、障害の要件は問われません。妻は「生計を維持していた」場合は、遺族補償年金を受けることができます。

 

 

②【H17年出題】 ×

 「労働者の収入によって消費生活の大部分を営んでいたことが必要」の部分が誤りです。「もっぱら又は主として労働者の収入によって生計を維持されていることを要せず、労働者の収入によって生計の一部を維持されていれば足りる。したがって、いわゆる共稼ぎもこれに含まれる。」とされています。

(昭41.1.31基発第73号)

 

 

③【H28年出題】 ×

 ②と同じ考え方です。

 「労働者の収入によって生計の一部を維持されていれば足りる」、「いわゆる共稼ぎもこれに含まれる。」という解釈ですので、労働者と同程度の収入があり、生活費を分担していた妻も、遺族補償年金を受けることができます。

 

 

④【H18年出題】 ×

 「遺族補償給付」には、「遺族補償年金」と「遺族補償一時金」があります。

 「遺族補償年金」は、「労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた」ものでなければなりませんが、「遺族補償一時金」は、「生計を維持していない」ものでも対象になり得ます。

(法第16条の7)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/BOEPE2JSdoM

社労士受験のあれこれ

労災保険法

R4-248 

R4.4.27 療養補償給付と休業補償給付と傷病補償年金

 労災保険の保険給付には、「治ゆ前」に支給されるものと「治ゆ後」に支給されるものがあます。

 今日のテーマは、療養補償給付、休業補償給付、傷病補償年金ですが、この3つは「治ゆ前」に支給されるものです。

 それぞれが、併給されるか否かが良く問われます。

 

まずは図でイメージしましょう。

・病気やけがの治療

  → 治ゆするまで「療養補償給付」が受けられます。

・所得補償

  →休業4日目から「休業補償給付」が受けられます。

  →療養開始後1年6か月が経過した日(又は同日後)に、傷病が治っておらず、傷病等級1~3級に該当した場合は、「傷病補償年金」に切り替わります。

 

療養補償給付

休業補償給付

傷病補償年金

   

過去問をどうぞ!

①【H27年出題】

 療養の給付は、その傷病が療養を必要としなくなるまで行われるので、症状が安定して疾病が固定した状態になり、医療効果が期待しえない状態になっても、神経症状のような傷病の症状が残っていれば、療養の給付が行われる。

  

②【H24年出題】

 療養補償給付は、休業補償給付と併給される場合がある。

  

③【H24年出題】

 療養補償給付は、傷病補償年金と併給される場合がある。

 

④【H27年出題】

 傷病補償年金は、休業補償給付と併給されることはない。

 

⑤【H30年出題】

 休業補償給付と傷病補償年金は、併給されることはない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H27年出題】 ×

 「症状が安定して疾病が固定した状態」、「医療効果が期待しえない状態」の場合は、症状が残っていても、療養の必要はなくなったものとされ、療養の給付は行われません。

(昭23.1.13基災発第3号)

 

 

②【H24年出題】 〇

 治療としての「療養補償給付」と労働することができない期間の所得補償である「休業補償給付」は併給されます。

 

 

③【H24年出題】 〇

 治療としての「療養補償給付」と、治ゆ前の所得補償である「傷病補償年金」は併給されます。

 

④【H27年出題】 〇

⑤【H30年出題】 〇

 休業補償給付と傷病補償年金は、どちらも所得補償ですので、併給されることはありません。

 

ポイント!

 「年金」は「支給事由が生じた月の翌月」から、「権利が消滅した月」まで「月単位」で支給されます。 

 傷病補償年金の受給権が生じた月は、「休業補償給付」が支給され、その翌月から傷病補償年金の支給が始まります。

 また、傷病等級に該当しなくなり傷病補償年金の受給権が消滅した場合は、消滅した月まで傷病補償年金が支給され、要件に合えば、その翌月から休業補償給付が支給されます。

1

2

3

4

5

6

7

8

 

傷病補償年金

受給権発生

 

 

 

 

傷病補償年金

受給権消滅

 

休 → 休業補償給付

傷 → 傷病補償年金 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/xHljn-09EG0

社労士受験のあれこれ

労災保険法

R4-233 

R4.4.12 逸脱・中断と「日常生活上必要な行為」

 合理的な通勤経路を、逸脱・中断した場合は、「逸脱・中断の間」と「合理的な通勤経路に戻った後の移動」は通勤となりません。

 しかし、日常生活上必要な行為によって合理的な通勤経路を「逸脱・中断」した場合は、合理的な通勤経路に戻った後の移動は通勤として認められます。

 

 今回は、「日常生活上必要な行為」を確認します。

 

条文を読んでみましょう。

7

② 通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。

1 住居と就業の場所との間の往復

2 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動

3 1に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)

③ 労働者が、移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の移動は、通勤としない。

 ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りでない。

 

則第8条 (日常生活上必要な行為)

 法第7条第3項の厚生労働省令で定める行為は、次のとおりとする。

1 日用品の購入その他これに準ずる行為

2 職業訓練、学校教育法第一条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為

3 選挙権の行使その他これに準ずる行為

4 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為

5 要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに配偶者の父母の介護継続的に又は反復して行われるものに限る。)

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H23年出題】

 労災保険法第7条に規定する通勤の途中で合理的経路を逸脱した場合でも、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱の間も含め同条の通勤とする。

 

 

②【H27年出題】

 会社からの退勤の途中で美容院に立ち寄った場合、髪のセットを終えて直ちに合理的な経路に復した後についても、通勤に該当しない。

 

 

③【H28年出題】

 会社からの退勤の途中に、定期的に病院で、比較的長時間の人工透析を受ける場合も、終了して直ちに合理的経路に復した後については、通勤に該当する。

 

 

④【H25年出題】

 女性労働者が1週間に数回、やむを得ない事情により、就業の場所からの帰宅途中に最小限の時間、要介護状態にある夫の父を介護するために夫の父の家に立ち寄っている場合に、介護終了後、合理的な経路に復した後は、再び通勤に該当する。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H23年出題】 ×

 逸脱・中断が、「日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のもの」であったとしても、逸脱・中断の間は通勤になりません。

 

 

②【H27年出題】 ×

 理美容院に立ち寄ることは、「日用品の購入その他これに準ずる行為」に該当します。合理的な経路に復した後は、通勤になります。

(昭48.11.22基発第644号)

 

③【H28年出題】 〇

 「病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為」には、通常の医療を受ける行為に限らず、人工透析など比較的長時間を要する医療を受けることも含んでいる、とされています。

(昭48.11.22基発第644号)

 

 

④【H25年出題】 〇

 要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに配偶者の父母の介護は、「継続的に又は反復して行われるもの」に限られます。

問題文のように1週間に数回介護を行う場合は、「継続的に又は反復して」に該当します。

(昭48.11.22基発第644号)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/tO6zhekkSH8

社労士受験のあれこれ

労災保険法

R4-214 

R4.3.24 労災保険の適用事業と適用除外

 労働者を1人でも使用する事業は、労災保険の適用事業となります。

 ただし、国家公務員災害補償法や地方公務員災害補償法の保護を受けられる事業は、労災保険法の適用は除外されます。

条文を読んでみましょう。

第3条 (適用事業及び適用除外)

① この法律においては、労働者を使用する事業を適用事業とする。

② 国の直営事業及び官公署の事業(労働基準法別表第一に掲げる事業を除く。)については、この法律は、適用しない。

 

・ 国の直営事業には労災保険法は適用されません。

   (なお、国の直営事業に該当する事業は現在ありません。)

・ 官公署の事業とは、非現業の官公署のことです。国家公務員災害補償法や地方公務  員災害補償法の適用があるので、労災保険法は適用されません。

 

 

過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 労災保険法は、市の経営する水道事業の非常勤職員には適用されない。

 

②【H29年出題】

 労災保険法は、行政執行法人の職員に適用される。

 

③【H29年出題】

 労災保険法は、非現業の一般職の国家公務員に適用される。

 

④【H29年出題】

 労災保険法は、国の直営事業で働く労働者には適用されない。

 

⑤【H29年出題】

 労災保険法は、常勤の地方公務員に適用される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】  ×

・ 都道府県、市町村の「非現業」の官公署 

 → 地方公務員災害補償法が適用されるので、労災保険の適用は除外

   ※ただし、「非常勤職員」には、地方公務員災害補償法で定める災害補償の条例  が適用される

・ 都道府県、市町村の「現業部門」

 → 労災保険法では、労災保険の適用は除外されていない

 → ただし、「常勤職員」は、地方公務員災害補償法第67条第2項で労災保険の適用が除外されている

 →「都道府県、市町村の現業部門」の非常勤職員には、労災保険法が適用される。

 

 問題文の「市の経営する水道事業の非常勤職員」には労災保険法が適用されます。

 

②【H29年出題】 ×

 行政執行法人の職員には国家公務員災害補償法が適用されますので、労災保険法の適用は除外されます。

 

 

③【H29年出題】 ×

 非現業の一般職の国家公務員には、労災保険法は適用されません。

 

 

④【H29年出題】 〇

  国の直営事業には労災保険は適用されません。

 

 

⑤【H29年出題】 ×

常勤の地方公務員には労災保険は適用されません。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/PVKr9u0koC4

社労士受験のあれこれ

労災保険法

R4-197 

R4.3.7 【労災】不正受給者からの費用徴収

 不正行為で労災の保険給付を受けた場合、保険給付に要した費用の全部又は一部が回収されます。

 条文を読んでみましょう。

 

12条の3 (不正受給者からの費用徴収)

① 偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者があるときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。

② ①の場合において、事業主(徴収法第8条第1項又は第2項の規定により元請負人が事業主とされる場合にあっては、当該元請負人。)が虚偽の報告又は証明をしたためその保険給付が行なわれたものであるときは、政府は、その事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯して①の徴収金を納付すべきことを命ずることができる

 

 政府は、不正受給者から、保険給付に要した費用の全部又は一部を回収することができます。

 また、不正受給に事業主が加担している場合は、政府は、事業主にも連帯して、保険給付に要した費用の全部または一部の納付を命ずることができます。

 

過去問をどうぞ!

①【H27年出題】

 不正の手段により労災保険に係る保険給付を受けた者があるときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。

 

②【R2年出題】

 偽りその他不正の手段により労災保険に係る保険給付を受けた者があり、事業主が虚偽の報告又は証明をしたためその保険給付が行なわれたものであるときは、政府は、その事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯してその保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部である徴収金を納付すべきことを命ずることができる。

  

③【H22年出題】

 偽りその他不正の手段により労災保険の保険給付を受けた者がある場合において、その保険給付が事業主の虚偽の報告又は証明をしたために行われたものであるときは、保険給付を受けた者ではなく事業主が、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部を政府に返還しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H27年出題】 〇

 回収の対象になるのは、「不当利得」した部分に限られるのがポイントです。

「保険給付」に要した費用に相当する金額の全部又は一部に注目してください。「不当利得分」の全部又は一部ではありません

 保険給付の全部を不正受給した場合は全部が徴収の対象になりますし、保険給付の一部を不正受給した場合はその不当利得部分は全て徴収の対象になります。

(昭40.7.31基発906号)

 

 

②【R2年出題】 〇

 事業主にも連帯して責任を負わせるための規定です。

 

 

③【H22年出題】 ×

 政府は、不正受給者から、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を徴収することができ、また、事業主が虚偽の報告又は証明をし、不正受給に加担している場合は、事業主に対して不正受給者と連帯して納付を命ずることができます。

 「保険給付を受けた者ではなく事業主が、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部を政府に返還しなければならない。」は誤りです。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/p9LhFPhbmCA​

社労士受験のあれこれ

ここを乗り越えよう!労災保険法

R4-168

R4.2.6 労災「受給権の保護」

 例えば、業務災害によって休業補償給付を受けている場合、退職後も引き続き受けられるのでしょうか?

 労災保険の保険給付の受給権は保護されています。条文で確認しましょう。

第12条の5

① 保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない

② 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない

 「保険給付を受ける権利」は、労働者の「退職によって変更されることはない」となっています。保険給付を受ける権利は、雇用関係の存続とは関係なく、退職後も変わらず継続します。在職中に受けていた休業補償給付は退職後も支給されます。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H27年出題】

 労災保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない。

 

②【H21年出題】

 業務上の傷病による療養のため労働することができないために賃金を受けない労働者として休業補償給付を受けていた者の労働関係が労働契約の期間満了によって解消した場合には、療養のため労働することができないために賃金を受けない状態にあるとはいえず、引き続いて休業補償給付を受けることはできない。

 

 

 

 

 

 

 

 【解答】

①【H27年出題】 〇

 労災保険給付を受ける権利は、退職した後も継続します。

 

②【H21年出題】 ×

 労働関係が解消された後も、引き続いて休業補償給付を受けることができます。

 通常は、退職後も次の仕事に就いて賃金を得ることができます。しかし、業務上の傷病による療養中は仕事に就くことができません。「労働することができないために賃金を受けない」状態にあるといえるからです。

 

こちらもどうぞ!

③【H24年出題】

 保険給付を受ける権利は、譲り渡すことができない。

 

 

④【R1年出題】

 特別支給金は、社会復帰促進等事業の一環として被災労働者等の福祉の増進を図るために行われるものであり、譲渡、差し押さえは禁止されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【H24年出題】 〇

 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、差し押さえることはできません。

 

④【R1年出題】 ×

 保険給付ではなく、社会復帰促進等事業の「特別支給金」の問題ですので注意してください。

 特別支給金については、譲渡、差し押さえは禁止されていません。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/whp7K684PNU

社労士受験のあれこれ

ここを乗り越えよう!労災保険法

R4-158

R4.1.27 傷病補償年金の変更

 傷病補償年金の受給権者の障害の程度に変更があり、傷病等級が変わった場合のルールを確認しましょう。

 条文を読んでみましょう。

第18条の2

 傷病補償年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があったため、新たに他の傷病等級に該当するに至った場合には、政府は、厚生労働省令で定めるところにより、新たに該当するに至った傷病等級に応ずる傷病補償年金を支給するものとし、その後は、従前の傷病補償年金は、支給しない。

 

 例えば、2級の傷病補償年金を受ける労働者の障害の程度に変更があり、新たに3級に該当した場合は、それ以後は3級の傷病補償年金が支給されます。

 

 

過去問をどうぞ!

 

①【H20年出題】

 傷病補償年金又は傷病年金は、業務上の事由又は通勤により被災した労働者が所定の支給要件に該当した場合に所轄労働基準監督署長が職権で支給の決定を行うものであり、被災労働者が支給の請求を行う必要はないが、当該障害の程度が重くなったときは、被災労働者が傷病補償年金又は傷病年金の変更についての請求書を提出する必要がある。

 

 

②【H29年出題】

 傷病補償年金の受給者の障害の程度が軽くなり、厚生労働省令で定める傷病等級に該当しなくなった場合には、当該傷病補償年金の受給権は消滅するが、なお療養のため労働できず、賃金を受けられない場合には、労働者は休業補償給付を請求することができる。

 

 

③【H21年出題】

 傷病補償年金の受給者の障害の程度が軽くなり、傷病等級表に定める障害に該当しなくなった場合には、当該傷病補償年金の支給は打ち切られるが、なお療養のため労働することができないため賃金を受けられない状態にある場合には、政府が労働者の請求を待たず職権で休業補償給付の支給を決定する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H20年出題】 ×

 傷病補償年金(傷病年金)の障害の程度に変更があったときも、所轄労働基準監督署長の職権で変更に関する決定が行われます。労働者からの請求ではありません。

(則第18条の3

 

 

②【H29年出題】 〇

 傷病等級に該当しなくなった場合は、傷病補償年金の受給権は消滅します。そして、要件に該当すれば、労働者は休業補償給付を請求することができます。

 なお、年金は、支給を受ける「権利が消滅した月」まで支給されます。(法第9条)休業補償給付はその翌月から支給されます。

 

 

③【H21年出題】 ×

 休業補償給付の支給は、労働者の請求が必要です。

(法第12条の8)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/vP6Tl6XkdNI

社労士受験のあれこれ

ここを乗り越えよう!労災保険法

R4-143

R4.1.12 打切補償と傷病補償年金の関係 その2(問題編)

前回は、打切補償と傷病補償年金の関係を条文で読みました。

前回の記事 → R4.1.11 打切補償と傷病補償年金の関係 その1(条文編)

 

今回は実践編です。問題を解いてみましょう。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合には、労働基準法第19条第1項の規定の適用については、当該使用者は、当該3年を経過した日において同法第81条の規定による打切補償を支払ったものとみなされる。

 

 

②【H24年選択式】

 業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合には、労働基準法第19条第1項の規定の適用については、当該使用者は、当該3年を経過した日において、同法第81条の規定により< A >を支払ったものとみなす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 〇

 3年を経過した日に打切補償を支払ったものとみなされ、解雇制限が解除されます。

  下の図を参照してください。①のパターンです。

 

②【H24年選択式】

A 打切補償

 

 

 

次はこちらをどうぞ!

③【R2年出題】

 業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合に限り、その日において、使用者は労働基準法第81条の規定による打切補償を支払ったものとみなされ、当該労働者について労働基準法第19条第1項の規定によって課せられた解雇制限は解除される。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【R2年出題】 ×

 「3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合に限り」の部分が誤りです。

 打切補償を支払ったとみなされ解雇制限が解除されるのは、

①療養開始後3年を経過した日に傷病補償年金を受けている場合

②療養開始後3年を経過した日に傷病補償年金を受けることとなった場合

です。

 3年を経過した日に傷病補償年金を受けていなくても、その後受けることになった場合は、その傷病補償年金を受けることとなった日に、打切補償を支払ったものとみなされます。下の図の②のパターンです。

 

 

最後にこちらをどうぞ!

④【オリジナル】

 通勤により負傷した労働者が、当該負傷に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病年金を受けている場合には、労働基準法第19条第1項の規定の適用については、当該使用者は、当該3年を経過した日において同法第81条の規定による打切補償を支払ったものとみなされる。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

④【オリジナル】 ×

 「通勤」による災害には使用者の補償責任はありません。労働基準法の解雇制限も適用されません。

 ですので、傷病年金を受けていて打切補償を支払ったものとみなす規定はありません。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/CzSn_RPh0Qk

社労士受験のあれこれ

ここを乗り越えよう!労災保険法

R4-142

R4.1.11 打切補償と傷病補償年金の関係 その1(条文編)

まず、労働基準法の「解雇制限」の条文を読んでみましょう

労働基準法第19条 (解雇制限)

① 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない

 ただし、使用者が、第81条の規定によって打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、この限りでない。

② ①の但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

 

 労働基準法では、労働者が「業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間」は解雇禁止としています。

 ただし、「使用者が打切補償を支払う場合」は解雇できる例外が設けられています。

 

では、次に打切補償の条文を読んでみましょう。

81条 (打切補償)

 療養補償を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、平均賃金の1200日分の打切補償を行い、その後は労働基準法の規定による補償を行わなくてもよい。

 労働基準法では、労働者が「業務上」負傷し、又は疾病にかかった場合、使用者に「療養補償」をする義務を課しています。

 療養補償はなおるまで行わなければなりません。しかし、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合は、「打切補償」を行うことによって、以後補償する義務はなくなります。

 「療養のために休業する期間及びその後30日間」は解雇が禁止されているのは、使用者に補償義務があるからです。「打切補償」を支払うと補償義務もなくなるので、解雇もできることになります。

 

 しかし、業務上の負傷、疾病については、実際には労災保険法で補償が行われます。

 ですので、使用者が労働基準法の療養補償を行うことはありません。そして、打切補償を行うこともありません。

 

 労災保険法では、「傷病補償年金」を受けていることによって「打切補償」を行ったとみなす規定が設けられています。

「傷病補償年金」を受けているということは、「なおっていない」ことなので、解雇はできないことを頭において条文を読んでみてください。

 

労災保険法第19条 

 業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合又は同日後において傷病補償年金を受けることとなった場合には、労働基準法第19条第1項の規定の適用については、当該使用者は、それぞれ、当該3年を経過した日又は傷病補償年金を受けることとなった日において、同法第81条の規定により打切補償を支払ったものとみなす。

 労働基準法の「打切補償」が療養開始後3年を経過してもなおらない場合なので、この条文も「3年」がキーワードです。

 ①療養の開始後3年を経過した日に傷病補償年金を受けている場合

 ②療養開始後3年を経過した日に傷病補償年金を受けることとなった場合

 ①は「3年を経過した日」、②は「傷病補償年金を受けることとなった日」に「打切補償」を支払ったものとみなされ、解雇することができるようになります。

(下の図も参考にしてください)

 

次回は、「問題編」です。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/J6t1VZVNuBk

社労士受験のあれこれ

どんな法律シリーズ③ 労働者災害補償保険法

R4-134

R4.1.3  労災保険法ってどんな法律?

労働者災害補償保険法・・・昭和22年施行

             労働基準法と時を同じくして公布・施行されました。

 

 

 労働基準法の第8章は「災害補償」です。

 労働者の業務上の負傷等について、使用者に対して、療養補償、休業補償、障害補償、遺族補償、葬祭料を行うことが定められていて、また打切補償についても規定されています。  

 ただ、実際に、大きな業務災害が起こった時などに、使用者が災害補償を完全に履行できるかが問題です。

 その問題を解決するのが労災保険です。

 「保険」の仕組みをとり、すべての事業主が保険料を負担し、いざ、災害が発生したときは迅速に労働者に対して補償が行われる制度です。

 使用者の「災害補償」の責任を代行するのが労災保険です。

 労災保険は、保険料は全額事業主負担、保険給付の対象は全ての労働者であることがポイントです。被保険者という概念もありません。

 他の公的保険、例えば健康保険には「被保険者」の範囲が位置付けられていて、被保険者は事業主と折半で保険料を負担し、負傷等の場合は被保険者に対して保険給付が行われます。

 さて、労災保険は当初は「業務災害」だけが保護の対象でしたが、交通事情等の変化に伴い通勤途上の災害も保護する必要がでてきました。

 「通勤災害」が労災保険の保護の対象に加わったのは、昭和48年の改正です。

 そして、過労死等の原因になる脳血管疾患及び心臓疾患の発症を予防するための「二次健康診断等給付」が加わったのは、平成134月です。

 さらに、令和29月からは、「複数事業労働者」への保険給付(複数業務要因災害に関する保険給付)も加わりました。

 

 

 ★では、目的条文を読んでみましょう。空欄を埋めて下さい。

第1条 

 労働者災害補償保険は、業務上の事由、事業主が同一人でない2以上の事業に使用される労働者(以下「複数事業労働者」という。)の2以上の事業の業務を要因とする事由又は< A >による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由、複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする事由又は< A >により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もって労働者の< B >に寄与することを目的とする。

 

 

 

 

 

 解答は、A 「通勤」、B 「福祉の増進」です。

 なお、労働者の負傷、疾病、障害、死亡等の「等」は、二次健康診断等給付をさしています。

 

 

 

 ★では、次は第2条の2です。

 労働者災害補償保険は、第1条の目的を達成するため、業務上の事由、複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に関して保険給付を行うほか、社会復帰促進等事業を行うことができる

 労災保険法のメインの目的は「保険給付」を行うことです。

 そして保険給付に付帯する事業が「社会復帰促進等事業」です。

 

■保険給付は、次の4つです。

① 労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡(以下「業務災害」という。)に関する保険給付

② 複数事業労働者(これに類する者として厚生労働省令で定めるものを含む。)の2以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡(以下「複数業務要因災害」という。)に関する保険給付(①に掲げるものを除く。)

③ 労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡(以下「通勤災害」という)に関する保険給付

④ 二次健康診断等給付

 

■「社会復帰促進等事業」は次の3つです。

① 被災労働者の円滑な社会復帰を促進するために必要な事業 (社会復帰促進事業

② 被災労働者及びその遺族の援護を図るために必要な事業 (被災労働者等援護事業

③ 労働者の安全及び衛生の確保、保険給付の適切な実施の確保並びに賃金の支払の確保を図るために必要な事業 (安全衛生確保等事業

 

 

 例えば、業務上の負傷が治癒し、障害等級第1級の障害が残った場合は、保険給付として、「障害補償年金」が支給されます。

 それに上乗せして、社会復帰促進等事業の「被災労働者等援護事業」から「特別支給金」として、障害特別支給金と障害特別年金が支給されます。

(例)障害等級1級の場合

(社会復帰促進等事業)

特別支給金

障害特別年金  (算定基礎日額×313日分)/年

障害特別支給金  342万円(一時金)

(保険給付)

障害補償年金  (給付基礎日額×313日分)/年

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/4_yy3lQ2LWg

社労士受験のあれこれ

「最初の一歩㉗」条文の読み方(労災保険法)

R4-127

R3.12.27 「推定する」と「みなす」の違い

社労士受験勉強のファーストステップ

ファーストステップについては

こちらをどうぞ

 

労災保険法の条文を読んでみましょう。

第10条

船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となった際現にその船舶に乗っていた労働者若しくは船舶に乗っていてその船舶の航行中に行方不明となった労働者の生死が3か月間わからない場合又はこれらの労働者の死亡が3か月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合には、遺族補償給付、葬祭料、遺族給付及び葬祭給付の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となった日又は労働者が行方不明となった日に、当該労働者は、死亡したものと推定する

航空機が墜落し、滅失し、若しくは行方不明となった際現にその航空機に乗っていた労働者若しくは航空機に乗っていてその航空機の航行中行方不明となった労働者の生死が3か月間わからない場合又はこれらの労働者の死亡が3か月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合にも、同様とする。

 

 「推定する」とは、「一応そのようにしておく」というイメージです。

 船舶や航空機の事故で3か月間生死が分からない場合は、一応、事故のあった日に死亡したと推測します。遺族に対して迅速に保険給付を行うためです。

 「推定する」の場合、反証があれば覆ります。もし、後日、労働者が生きていることが分かれば、受給していた遺族補償給付等を返還しなければなりません。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【R2年出題】

 航空機に乗っていてその航空機の航行中行方不明となった労働者の生死が3か月間わからない場合には、遺族補償給付、葬祭料、遺族給付及び葬祭給付の支給に関する規定の適用については、労働者が行方不明となって3か月経過した日に、当該労働者は、死亡したものと推定する。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 ×

 「行方不明となって3か月経過した日」ではなく、「労働者が行方不明となった日」に、当該労働者は、死亡したものと推定する、です。

 遺族補償年金の支給は、労働者が行方不明となった日の属する月の翌月に遡って、開始します。

 

★ポイント! 「死亡の推定」は、船舶と航空機の事故に限定されています。

 

 

次はこちらの条文を読んでみましょう。

第16条の2

① 遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとする。ただし、(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)以外の者にあっては、労働者の死亡の当時次の各号に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。

1 夫(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)、父母又は祖父母については、60歳以上であること。

2 子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること。

3 兄弟姉妹については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること又は60歳以上であること。

4 1~3の要件に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、厚生労働省令で定める障害の状態にあること。

② 労働者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、将来に向かって、その子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子とみなす

 

 ②に注目してください。「労働者の死亡の当時胎児であった子が出生した」ときは、将来に向かって、その子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子と「みなす」。こちらは、みなすという用語を使っています。

 「みなす」は、推定ではなく確定です。反証で覆ることはありません。

 労働者の死亡当時に胎児だった子が出生したときは、必ず「生計維持」されていたとみなされますので、生まれた時点から受給資格者になります。

★ 妻以外は、年齢要件か障害要件を満たす必要があります。

★ なお、55歳以上60歳未満で障害状態ではない夫、父母、祖父母、兄弟姉妹も暫定的に受給資格者になります。ただし、受給権者になっても60歳までは遺族補償年金は支給停止されます。(昭和40年改正法附則第43条第3項)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/lRSYTcX3mEc 

社労士受験のあれこれ

「最初の一歩㉔」法律によって定義が異なる用語

R4-124

R3.12.24 「障害等級」と「傷病等級」の定義(労災保険法)

社労士受験勉強のファーストステップ

ファーストステップについては

こちらをどうぞ

 

 前回は、国民年金法と厚生年金保険法の「障害等級」の定義をお話しました。

 今回は、「労災保険法の障害等級」です。

 

 

では、条文を読んでみましょう。

第15条 

① 障害補償給付は、厚生労働省令で定める障害等級に応じ、障害補償年金又は障害補償一時金とする。 

② 障害補償年金又は障害補償一時金の額は、それぞれ、別表第一又は別表第二に規定する額とする。

 

(別表第一)

障害補償年金

第1級

給付基礎日額の313日分

2

同      277日分

3

同      245日分

4

同      213日分

5

同      184日分

6

同      156日分

7

同      131日分

障害補償一時金

8

同      503日分

9

同      391日分

10

同      302日分

11

同      223日分

12

同      156日分

13

同      101日分

14

同       56日分

 

 障害補償給付の障害等級は1級から14級までありますが、1級から7級の場合は「障害補償年金」、8級から14級の場合は「障害補償一時金」が支給されます。

 例えば、1級の場合は、「給付基礎日額×313日分」が1年あたりの額です。14級の場合は、「給付基礎日額×56日分」が一括で支払われます。

 

 

過去問を解いてみましょう

①【H30年出題】

 厚生労働省令で定める障害等級表に掲げるもの以外の身体障害は、その障害の程度に応じて、同表に掲げる身体障害に準じて障害等級を定めることとされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年出題】 〇

障害等級は障害等級表によって定められますが、障害等級表に載っていない障害もあります。そのような障害は、障害等級表に定められた障害等級を準用します。

 

 

では、次に「傷病等級」の条文を読んでみましょう

 

12条の8

③ 傷病補償年金は、業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後1年6か月を経過した日において次の各号のいずれにも該当するとき、又は同日後次の各号のいずれにも該当することとなったときに、その状態が継続している間、当該労働者に対して支給する。

1 当該負傷又は疾病が治っていないこと。

2 当該負傷又は疾病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級に該当すること。

 

(別表第二)

1

給付基礎日額の313日分

2

同      277日分

3

同      245日分

 

・傷病補償年金の「傷病等級」は1級から3級までです。年金の額は、障害補償年金の1級から3級と同じです。

・傷病補償年金は「治っていない事(治癒前)」の給付です。

・障害補償給付は「治った(治癒している)」後の給付です。

 

 

では、過去問を解いてみましょう

②【H30年出題】

 傷病補償年金は、業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後1年を経過した日において次の①、②のいずれにも該当するとき、又は同日後次の①、②のいずれにも該当することとなったときに、その状態が継続している間、当該労働者に対して支給する。

① 当該負傷又は疾病が治っていないこと。

② 当該負傷又は疾病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級に該当すること。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H30年出題】 ×

 療養の開始後1年を経過した日ではなく、療養の開始後「1年6か月を経過した日」です。

 なお、「② 当該負傷又は疾病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級に該当すること。」の「厚生労働省令で定める傷病等級」は、第1級から第3級です。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/XDxHghXUPSI

社労士受験のあれこれ

「最初の一歩⑥」過去問の活用(労災保険法)

R4-106

R3.12.6 「療養の給付」と「療養の費用の支給」の区別(労災保険編)

社労士受験勉強のファーストステップ

ファーストステップについては

こちらをどうぞ

 

 業務上の負傷、疾病の治療については、療養補償給付が行われます。

 第13条を見てみましょう。

第13条 

① 療養補償給付は、療養の給付とする

② 前項の療養の給付の範囲は、次の各号(政府が必要と認めるものに限る。)による。

1 診察

2 薬剤又は治療材料の支給

3 処置、手術その他の治療

4 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護

5 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護

6 移送

③ 政府は、第1項の療養の給付をすることが困難な場合その他厚生労働省令で定める場合には、療養の給付に代えて療養の費用を支給することができる

 

 

 療養補償給付は、「療養の給付」が原則で、例外的に「療養の費用の支給」が行われます。

 「療養の給付」は現物給付です。負傷、疾病について診察などの治療が行われます。

 「療養の費用の支給」は現金給付で、「療養の給付をすることが困難な場合その他厚生労働省令で定める場合」に例外的に行われます。

 

 

では、過去問を解いてみましょう

 

①【R1年出題】

 療養の給付は、社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者(「指定病院等という。」)において行われ、指定病院等に該当しないときは、厚生労働大臣が健康保険法に基づき指定する病院等であっても、療養の給付は行われない。

 

②【H27年出題】

 療養補償給付たる療養の給付を受けようとする者は、厚生労働省令に規定された事項を記載した請求書を、直接、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 〇

 療養の給付は、指定病院等で行われます。

指定病院等とは、

・社会復帰促進等事業として設置された病院、診療所(労災病院のことです)

・都道府県労働局長の指定する病院、診療所、薬局、訪問看護事業者

のことです。

 問題文のように、厚生労働大臣が健康保険法に基づいて指定する病院等でも、労災保険の指定病院等に該当しないときは療養の給付は行われません。

 

 ちなみに、例外的に「療養の費用の支給」が行われるのは、

・療養の給付をすることが困難な場合

・療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合(施行規則第11条の2)

 です。近くに指定病院等がないなどの理由が想定されています。

 

②【H27年出題】 ×

 「療養の給付」の請求書は、指定病院等を経由して、所轄労働基準監督署長に提出します。

 「療養の費用の支給」の請求書は、「直接」、所轄労働基準監督署長に提出し、その後労働者本人に現金が支払われます。

 

 

今日の過去問のポイント!

「療養補償給付」には、

「療養の給付(現物給付)」と「療養の費用の支給(例外)」がある

療養の給付の請求書は「指定病院等を経由」

療養の費用の請求書は「直接」所轄労働基準監督署長に提出

 

 

最後に穴埋め問題をどうぞ。

③【H28年選択式】

 労災保険法第13条第3項によれば、政府は、療養の補償給付として療養の給付をすることが困難な場合、療養の給付に代えて< A >を支給することができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 療養の費用

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/Mc7U72oU3zI

社労士受験のあれこれ

「最初の一歩⑤」条文の読み方(労働者災害補償保険法)

R4-105

R3.12.5 専門用語に慣れましょう「及び・並びに」(労災保険編)

社労士受験勉強のファーストステップ

ファーストステップについては

こちらをどうぞ

 

 

早速、法第16条の7を読んでみましょう。

法第16条の7

 遺族補償一時金を受けることができる遺族は、次の各号に掲げる者とする。

1 配偶者

2 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母

3 前号に該当しない子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹

 

 2の「及び」に注目してください。

 及びは「and」ですので、「A及びB」なら「AB」と読めます。「ABC」なら、「AB及びC」となります。

 「労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母」は、「子と父母と孫と祖父母」と並べているだけです。

 

 3は「及び」と「並びに」が出てきますが、どちらもandの意味です

 「及び」で小さくまとめて、大きく分けるときに「並びに」が使われます。

 「ABC及びD並びにE」なら、『「ABCD」と「E」』となり、「ABCD」と「E」が分けられます。

 「子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹」ですと、『「子と父母と孫と祖父母」と「兄弟姉妹」』となります。

 「子と父母と孫と祖父母」は生計を維持あり・なしで、2のグループか3のグループに入るか変わりますが、「兄弟姉妹」は生計維持あり・なし関係なく3のグループとなりますので、「子と父母と孫と祖父母」と分けて並べられています。

 

 

 

では、令和3年の問題を解いてみましょう。

【R3年出題(問6)】

 遺族補償一時金を受けるべき遺族の順位に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた父母は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった配偶者より先順位となる。

 

B 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた祖父母は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった父母より先順位となる。

 

C 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた孫は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった子より先順位となる。

 

D 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた兄弟姉妹は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった子より後順位となる。

 

E 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた兄弟姉妹は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった父母より後順位となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 A

 第16条の7では、遺族補償一時金を受けることができる遺族を、次の各号に掲げる者としています。

1 配偶者

2 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母

3 前号に該当しない子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹

 

 そして、第2項で、「遺族補償一時金を受けるべき遺族の順位は、前項各号の順序により、同項第2号及び第3号に掲げる者のうちにあっては、それぞれ、当該各号に掲げる順序による。」と規定しています。

 順序は、第1号→第2号→第3号で、第2号と第3号に掲げる者は並んでいる順序です。

 まとめますと

①配偶者(生計維持あるなし関係なく)

生計維持していた②子、③父母、④孫、⑤祖父母

生計維持していなかった⑥子、⑦父母、⑧孫、⑨祖父母

⑩兄弟姉妹(生計維持あるなし関係なく)

 

 配偶者は生計維持あるなし関係なく1番ですので、Aが誤りです。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/_7epxhhZgf8

社労士受験のあれこれ

(令和3年出題より)過去問から学ぶ厚生年金保険法 

R4-089

R3.11.19 障害手当金と労災保険の関係

令和3年の問題から厚生年金保険法を学びましょう。

 

今日は「障害手当金と労災保険の関係」です。

 

 

では、どうぞ!

 

①【R3年問10B

 第1号厚生年金被保険者期間中の60歳の時に業務上災害で負傷し、初診日から1年6か月が経過した際に傷病の症状が安定し、治療の効果が期待できない状態(治癒)になった。その障害状態において障害手当金の受給権を取得することができ、また、労災保険法に規定されている障害補償給付の受給権も取得することができた。この場合、両方の保険給付が支給される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年問10B】 ×

 「両方の保険給付が支給される」が誤りです。

 障害の程度を定めるべき日において当該傷病について、「労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付、複数事業労働者障害給付若しくは障害給付」を受ける権利を有する者には、障害手当金を支給しない、と規定されています。

 問題文の場合は、「障害手当金」は支給されません。

(法第56条)

 

 

こちらもどうぞ!

 

②【H25年出題】

 障害手当金は、障害の程度を定めるべき日において、当該障害の原因となった傷病について労働基準法の規定による障害補償を受ける権利を有する者には支給されないが、労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付を受ける権利を有する者には支給される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

②【H25年出題】 ×

当該障害の原因となった傷病について「労働基準法の規定による障害補償を受ける権利を有する者には支給されない」の部分は正しいですが、「労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付を受ける権利を有する者には支給される」の部分が誤りです。「労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付を受ける権利を有する者」にも「障害手当金」は支給されません。

(法第56条)

 

 

条文を穴埋めで確認しましょう

第55条 第1項 (障害手当金の受給権者)

障害手当金は、疾病にかかり、又は負傷し、その傷病に係る初診日において被保険者であった者が、当該初診日から起算して< A >を経過する日までの間におけるその傷病の< B >日において、その傷病により政令で定める程度の障害の状態にある場合に、その者に支給する。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 5年

B 治っ

 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/nBdTY1LRi68

社労士受験のあれこれ

(令和3年出題より)過去問から学ぶ労災保険法 

R4-061

R3.10.22 心理的負荷による精神障害の認定基準

令和3年の問題から労災保険法を学びましょう。

 

今日は「心理的負荷による精神障害の認定基準」です。

 

 

では、どうぞ!

★ 心理的負荷による精神障害の認定基準(令和2年5月29日付け基発0529第1号)の業務による心理的負荷評価表の「平均的な心理的負荷の強度」の「具体的出来事」の1つである「上司等から身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」の、「心理的負荷の強度を『弱』『中』『強』と判断する具体例」に関する問題です。

 

 

 

①【R3年問4A

 人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない精神的攻撃が行われたが、その行為が反復・継続していない場合、他に会社に相談しても適切な対応がなく改善されなかった等の事情がなければ、心理的負荷の程度は「中」になるとされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年問4A】 〇

 人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない精神的攻撃が行われ、行為が「反復・継続していない場合」は「中」になります。

 また、上記のような「中」程度の身体的攻撃、精神的攻撃を受けて、「会社に相談しても適切な対応がなく改善されなかった場合」は「強」となります。

(心理的負荷による精神障害の認定基準(令和2年5月29日付け基発0529第1号))

 

 

 

もう一問どうぞ!

 

②【R3年問4D】 

 治療等を要さない程度の暴行による身体的攻撃が行われた場合、その行為が反復・継続していなくても、また、他に会社に相談しても適切な対応がなく改善されなかった等の事情がなくても、心理的負荷の程度は「強」になるとされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【R3年問4D】 ×

 治療等を要さない程度の暴行による身体的攻撃が行われた場合、その行為が「反復・継続していない」場合は、「中」となります。

 上記のような場合で、「会社に相談しても適切な対応がなく改善されなかった」場合は、「強」となります。

(心理的負荷による精神障害の認定基準(令和2年5月29日付け基発0529第1号))

 

 

では、こちらもどうぞ!

③【R3年問4E

 「上司等」には、同僚又は部下であっても業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、その者の協力が得られなければ業務の円滑な遂行を行うことが困難な場合、同僚又は部下からの集団による行為でこれに抵抗又は拒絶することが困難である場合も含む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【R3年問4E】 〇

 「上司等」には、職務上の地位が上位の者のみならず、「同僚又は部下であっても業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、その者の協力が得られなければ業務の円滑な遂行を行うことが困難な場合」、「同僚又は部下からの集団による行為でこれに抵抗又は拒絶することが困難である場合」も含まれます。

(心理的負荷による精神障害の認定基準(令和2年5月29日付け基発0529第1号))

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/QRBweHzlHtU

社労士受験のあれこれ

(令和3年出題より)過去問から学ぶ労災保険法 

R4-053

R3.10.14 労災「特別加入者の支給制限」

令和3年の問題から労災保険法を学びましょう。

 

今日は特別加入者の支給制限です。

 

では、どうぞ!

 

①【R3年問3C

 特別加入している中小事業主が行う事業に従事する者(労働者である者を除く。)が業務災害と認定された。その業務災害の原因である事故が事業主の故意又は重大な過失により生じさせたものである場合は、政府は、その業務災害と認定された者に対して保険給付を全額支給し、厚生労働省令で定めるところにより、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年問3C】 ×

 「保険給付を全額支給・費用の全部又は一部を事業主から徴収」の部分が誤りです。

 特別加入している中小事業主等の事故が、

・保険料が滞納されている期間中に生じたものであるとき

・事業主の故意又は重大な過失によって生じたものであるとき

政府は、当該事故に係る保険給付の「全部又は一部を行わないことができる」と規定されています。

 労働者の事故の場合は、「事業主からの費用徴収」になりますが、特別加入者については、「支給制限」になることがポイントです。

(法第34条)

 

こちらもどうぞ!

 

②【H26年出題

 事業主が、労働保険の事業に要する費用にあてるために政府に納付すべき一般保険料を納付し、その後、重大な過失により生じさせた業務災害の原因である事故について、政府が保険給付を行ったときは、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H26年出題】 〇

 問題文の中に「一般保険料」とあるので、労働者に関する問題です。労働者の場合、「事業主が、故意又は重大な過失により生じさせた業務災害の原因である事故」については、事業主からの費用徴収の対象となります。労働者に対して支給制限は行われないので注意しましょう。

(法第31条)

 

 

では条文を穴埋めで確認しましょう!

・ 中小事業主等の事故が第一種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、政府は、当該事故に係る保険給付の< A >。これらの者の業務災害の原因である事故が事業主の故意又は重大な過失によって生じたものであるときも、同様とする。

・一人親方等及び特定作業従事者の事故が、第二種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、政府は、当該事故に係る保険給付の< A >。

・海外派遣者の事故が、第三種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、政府は、当該事故に係る保険給付の< A >。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 全部又は一部を行わないことができる

(法第34条、35条、36条)

★保険給付の支給制限が行われるのは、

中小事業主等 → 第一種特別加入保険料が滞納されている期間中の事故

         事業主の故意又は重大な過失によって生じた事故

一人親方等 → 第二種特別加入保険料が滞納されている期間中の事故

海外派遣者 → 第三種特別加入保険料が滞納されている期間中の事故

 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/s1ng_H5288g

社労士受験のあれこれ

(令和3年出題より)労災保険法 応用問題

R4-044

R3.10.5 労災「単身赴任者等の通勤災害」

令和3年の問題から、応用問題を振り返りましょう。

今日は労災保険法です。

 

では、どうぞ!

 

①【R3年問2D

 配偶者と小学生の子と別居して単身赴任し、月に1~2回、家族の住む自宅に帰っている労働者が、1週間の夏季休暇の1日目は交通機関の状況等は特段の問題はなかったが単身赴任先で洗濯や買い物等の家事をし、2日目に家族の住む自宅へ帰る途中に交通事故に遭い負傷した。この場合は、通勤災害とは認められない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年問2D】 〇

 休暇の「1日目」は「交通機関の状況等は特段の問題はなかった」、「2日目」に「家族の住む自宅へ帰る」の部分がポイントです。

通達では以下のようになっています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

 『「赴任先住居」から「帰省先住居」への移動について』

・「業務に従事した当日又はその翌日」に行われた場合は、就業との関連性を認めて差し支えない。

翌々日以後に行われた場合は、交通機関の状況等の合理的事由があるときに限り、就業との関連性が認められる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 問題文の場合、単身赴任者が家族の住む自宅に帰るのは、休暇の2日目(業務に従事した日の翌々日)です。そして「交通機関の状況等の合理的事由」はありません。

 そのため、就業との関連性は認められず、通勤災害とは認められません。

(法第7条 H18.3.31基発0331042)

 

 

通勤の定義を条文で確認しましょう

 通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、< A >経路及び方法により行うことをいい、< B >を有するものを除くものとする。

1 住居と就業の場所との間の往復

2 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動

3 第1号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 合理的な

B 業務の性質

2は、複数就業者の事業場間の移動のこと

3は、単身赴任者の赴任先住居と帰省先住居の間の移動のこと

(法第7条第2項)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/jAh5BJqSM5w

社労士受験のあれこれ

(令和3年出題より)労災保険法よく出るところ

R4-034

R3.9.25 労災「特別加入者と通勤災害」

 

令和3年の問題から、よくでるところを振り返りましょう。

今日は労災保険法です。

 

では、どうぞ!

 

①【R3年問3B

 労働者を使用しないで行うことを常態とする特別加入者である個人貨物運送業者については、その住居とその就業の場所との間の往復の実態を明確に区別できることにかんがみ、通勤災害に関する労災保険の適用を行うものとされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年問3B】 ×

 特別加入者も、通常の労働者と同様に通勤災害の保護の対象となります。       

 ただし、一人親方等の一部は、住居と就業の場所との間の往復の状況を考慮して、通勤災害は適用除外となっています。

 問題文の「個人貨物運送業者」は、通勤災害の適用は行われません。

(法第35条、則第46条の22の2)

 

 

では、こちらもどうぞ!

 

②【H30年選択】

 通勤災害に関する保険給付は、一人親方等及び特定作業従事者の特別加入者のうち、住居と就業の場所との間の往復の状況等を考慮して厚生労働省令で定める者には支給されない。< A >はその一例に該当する。

~選択肢~

①医薬品の配置販売の事業を行う個人事業者

②介護作業従事者

③個人タクシー事業者

④船員法第1条に規定する船員

 

 

③【H26年出題】

 特別加入制度において、家内労働者については通勤災害に関する保険給付は支給されない。

 

 

④【H22年出題】

 一人親方等の特別加入者のうち、漁船による水産動植物の採捕の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者は、自宅から漁港までの移動が通勤とみなされ、通勤災害に関しても労災保険の適用を受けることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

②【H30年選択】 ③個人タクシー事業者

  個人タクシー事業者は、通勤災害は適用されません。

 

③【H26年出題】  〇

  家内労働者は通勤災害は適用されません。

 

④【H22年出題】 ×

 漁船による水産動植物の採捕の事業を行う者は、通勤災害は適用されません。

 

ポイント! 一人親方等で、通勤災害が適用されない者は覚えましょう。

・ 自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業

    (個人タクシー業者、個人貨物運送業者)

・ 漁船による水産動植物の採捕の事業(船員法第1条の船員が行う事業除く。)

    (漁船による自営漁業者)

・ 特定農作業従事者、指定農業機械作業従事者

・ 家内労働者又はその補助者

 

★通勤災害が適用されないのは、すべての一人親方等ではなく、上記の者のみですので注意してください。

 

 

 

では、最後にこちらの条文をチェックしましょう。

則第46条の26(特別加入者に係る業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害の認定)

 特別加入者に係る業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害の認定は、< B >が定める基準によって行う。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

B 厚生労働省労働基準局長

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/s8xTZHup3Lw

社労士受験のあれこれ

(令和3年出題より)労災保険法の定番問題

R4-024

R3.9.15 遺族補償一時金の受給資格者の順位

 令和3年の問題から、定番問題を振り返ります。

 今日は労災保険法です。

 

 

①【R3年問6】

 遺族補償一時金を受けるべき遺族の順位に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた父母は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった配偶者より先順位となる。

 

B 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた祖父母は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった父母より先順位となる。

 

 

C 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた孫は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった子より先順位となる。

 

D 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた兄弟姉妹は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった子より後順位となる。

 

 

E 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた兄弟姉妹は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった父母より後順位となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

A ×

B 〇

C 〇

D 〇

E 〇

 遺族補償一時金を受けることができる遺族は、次のとおりです。

1 配偶者

2 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母

3 その他の子、父母、孫及び祖父母

4 兄弟姉妹

 

★「配偶者」は「生計維持していた」、「生計維持していない」、どちらでも第1順位です。

★子、父母、孫、祖父母は、「生計維持していた」方が優先です。

★兄弟姉妹は、「生計維持していた」、「生計維持していない」、どちらでも一番最後です。

(法第16条の7)

 

 

「遺族補償一時金」と「遺族補償年金」と比較してみましょう。

②【H18問5A】

 遺族補償給付を受けることができる遺族は、死亡した労働者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものでなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②【H18問5A】 ×

 遺族補償給付には、「遺族補償年金」と「遺族補償一時金」があります。

 「遺族補償年金」を受けることができる遺族は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものに限られます。一方、「遺族補償一時金」は、生計を維持していなかった者も、受給資格者の範囲に入ります。

 こちらは、「遺族補償給付」(年金も一時金も含む)についての問題ですので、生計を維持していたものに限られません。

(法第16条の2、第16条の7)

 

 

 

では、「障害補償年金差額一時金」とも比較してみましょう。

③【H26選択】

 障害補償年金差額一時金を受けるべき遺族の順位は、労働者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、< A >の順序であり、それらの者がいない場合には、生計を同じくしていなかった配偶者、子、父母、孫、< A >の順序である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】  

A 祖父母及び兄弟姉妹

 障害補償年金差額一時金を受けることができる遺族の順序は、「生計を同じくしていた」①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹、「生計を同じくしていなかった」⑦配偶者、⑧子、⑨父母、⑩孫、⑪祖父母、⑫兄弟姉妹、です。

 「生計維持」ではなく、「生計を同じくしていた」が基準となります。

 また、遺族の順序は、「生計を同じくしていた」方が優先されます。

(法附則第58条) 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/Q0ZRGwLRoIM

社労士受験のあれこれ

第53回試験・労災保険法【択一】

R4-013

R3.9.4 第53回労災(択一)より~加重障害

 第53回試験を振り返ってみましょう。

★★☆ 条文を丸暗記しても解けない問題とテキスト・過去問で対応できる問題が半々でした。

 

【R3年問5】

 業務上の災害により既に1上肢の手関節の用を廃し第8級の6(給付基礎日額の503日分)と障害等級を認定されていた者が、復帰直後の新たな業務上の災害により同一の上肢の手関節を亡失した場合、現存する障害は第5級の2(当該障害の存する期間1年につき給付基礎日額の184日分)となるが、この場合の障害補償の額は、当該障害の存する期間1年につき給付基礎日額の何日分となるかについての次の記述のうち、正しいものはどれか。

A163.88日分

B166.64日分

C184日分

D182.35日分

E182.53日分

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】  A

ポイント!

 「加重障害」の問題です。

 『既に身体障害のあった者が、負傷又は疾病により同一の部位について障害の程度を加重した場合』の障害補償給付は、現在の身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償給付となります。

 給付額は、現在の障害等級の障害補償給付の額から、既にあった障害等級に応ずる障害補償給付の額を差し引いた額となります。

 問題文の場合、現在は5級(年金)、既存の障害は8級(一時金)であることがポイントです。

 この場合は、既存の一時金は25で割って差額を出します。(一時金は25年分の年金をまとめて支払っている計算です。)

 計算式は、5級の年金(184日分/年間)- 8級の一時金の25分の1(503日分÷25)です。

 答えは、「163.88日分」となります。

(法第15条、則14条)

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/whdwr7li-HA

社労士受験のあれこれ

第53回選択式(労災保険法)

R4-004

R3.8.26 第53回選択労災~暗記が肝心★☆☆

 第53回試験を振り返ってみましょう。

★★★ 難しい

★★☆ やや難しい

★☆☆ 暗記が肝心

☆☆☆ どうにか解ける

 

 

今日は、労災保険法の選択式です。

 

問題1

令和2年改正の「複数業務要因災害」からの出題です。

A 複数事業労働者の定義(法第7条第1項第2号、則第5条)

 複数事業労働者には、「傷病等の原因又は要因となる事由が生じた時点において事業主が同一人でない2以上の事業に同時に使用されていた労働者」も含むと定められています。

 なぜなら、傷病等の要因となる出来事と傷病等の発症の時期必ずしも一致しないことがあるからです。傷病等が発症した時点で複数事業労働者に該当しない場合でも、当該傷病等の要因となる出来事と傷病等の因果関係が認められる期間の範囲内で複数事業労働者に当たるか否かを判断すべきときがあるがゆえの規定です。

(参照: R2.8.21基発0821第1号)

 

B 複数業務要因災害に係る事務の所轄(則第1条)

 複数業務要因災害に係る事務の所轄は、「生計を維持する程度の最も高い事業」の主たる事務所を管轄する局又は署となります。

 なお、「生計を維持する程度の最も高い事業の主たる事務所」とは? → 原則として複数就業先のうち給付基礎日額の算定期間における賃金総額が最も高い事業場を指します。 

(参照: R2.8.21基発0821第1号)

 

   問題1 ★★☆ やや難しい

 

問題2

 年金の「支給停止期間」からの出題です。(法第9条)

 この問題は大丈夫だったと思います。

   問題2 ☆☆☆ どうにか解ける

 

問題3

 遺族補償年金を受けることができる遺族(法第16条の2、S40法130附則第43条)

D 夫、父母、祖父母、兄弟姉妹の年齢

 法16条の3では、「60歳以上」、しかし、附則では暫定措置として55歳以上とされています。ですので、私は「55歳以上」だと考えています。でも、本則上の年齢を問われているとしたら、60歳以上です。

 

E 子、孫、兄弟姉妹の年齢

 この問題は迷わず解けたと思います。

  問題3 ☆☆☆ どうにか解ける

 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/o3h5Pol-FLA

社労士受験のあれこれ

労災保険法 選択対策

R3-354

R3.8.12 労災保険法 選択問題~改正点など

 

 今日は、労災保険法の選択対策です。

 

ではどうぞ!

空欄を埋めてください。

 

問題① 総則

第1条 

 労働者災害補償保険は、業務上の事由、事業主が同一人でない二以上の事業に使用される労働者(以下「< A >」という。)の二以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由、< A >の二以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もって労働者の< B >に寄与することを目的とする。

第2条 

 労働者災害補償保険は、政府が、これを管掌する。

第2条の2 労働者災害補償保険は、第1条の目的を達成するため、業務上の事由、 < A >の二以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に関して保険給付を行うほか、< C >を行うことができる。

 

問題②

第7条 

 この法律による保険給付は、次に掲げる保険給付とする。

一 労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡(以下「業務災害」という。)に関する保険給付

二 複数事業労働者(これに類する者として厚生労働省令で定めるものを含む。)の二以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡(以下「< D >」という。)に関する保険給付(前号に掲げるものを除く。)

三 労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡(以下「通勤災害」という。)に関する保険給付

四 二次健康診断等給付

 

問題③

法第20条の3 

 複数事業労働者療養給付は、複数事業労働者がその従事する二以上の事業の業務を要因として負傷し、又は疾病(厚生労働省令で定めるものに限る。)にかかった場合に、当該複数事業労働者に対し、その請求に基づいて行う。

 

労災保険法施行規則第18条の3の6(複数業務要因災害による疾病の範囲)

 法第20条の3第1項の厚生労働省令で定める疾病は、労働基準法施行規則別表第一の二第八号及び第九号に掲げる疾病その他< E >ことの明らかな疾病とする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

問題① 

A 複数事業労働者

B 福祉の増進

C 社会復帰促進等事業

(法第1条、第2条の2)

 

問題② 

D 複数業務要因災害

(法第7条)

ポイント!労災保険の目的の改正

・今般の改正により、労災保険の目的として、「複数事業労働者」の二以上の事業の業 務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡(以下「複数業務要因災害」という。)につ いても保険給付を行うことが加えられた。

・労災法第2条の2において、第1条の目的を達成するため、保険給付を行う場合について複数業務要因災害が加えられた

・複数業務要因災害に関する保険給付は、それぞれの就業先の業務上の負荷のみでは業務と疾病等との間に因果関係が認められない。そのため、いずれの就業先も労働基準法上の災害補償責任は負わない。 

参照 → R2.8.21 基発0821第1号 

 

問題③

E 二以上の事業の業務を要因とする

(則第18条の3の6)

ポイント!複数業務要因災害の範囲

複数業務要因災害による疾病の範囲は、労働者災害補償保険法施行規則第18条の3の6により、労働基準法施行規則別表1の2第8号及び第9号に掲げる疾病(以下「脳・心臓疾患、精神障害」という。)及びその他二以上の事業の業務を要因とすることの明らかな疾病としており、現時点においては、脳・心臓疾患、精神障害が想定されている。 

参照 → R2.8.21 基発0821第1号 

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/J2rh_jRn72c

社労士受験のあれこれ

【改正労災】複数事業労働者(特別加入者編)

R3-324

R3.7.13  複数事業労働者の給付基礎日額(特別加入者編)

 今日のテーマは、「複数事業労働者の給付基礎日額(特別加入者編)」です。

 以下のような場合も「複数事業労働者」となります。

・ある会社では「労働者」として働く一方、他の仕事で「特別加入」している

・複数の仕事で「特別加入」している

 このような場合の給付基礎日額の算定についてみていきましょう。

 

では特別加入者の給付基礎日額のポイントからどうぞ!

穴埋めで確認しましょう。

(平成30年選択式より)

・中小事業主等の特別加入の給付基礎日額 → 当該事業に使用される労働者の賃金の額その他の事情を考慮して厚生労働大臣が定める額とされており、最高額は、

< A >である。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 25,000円

 特別加入者の給付基礎日額は、3,500円から最高25,000円まで、16段階の設定があります。また、家内労働者については、それにプラスして「2,000円、2,500円、3,000円」の設定もあります。

特別加入者の給付基礎日額のポイント

自動変更対象額適用なし
年齢階層別の最高・最低限度額
スライド制適用される

 

では、複数事業労働者の場合の給付基礎日額は?

①労働者であって、かつ、特別加入者である場合

 労働者としての給付基礎日額 + 特別加入者としての給付基礎日額

 ※労働者としての給付基礎日額 → 合算前に自動変更対象額、スライド制、年齢階層別最高・最低限度額を適用し算定

 ※特別加入者としての給付基礎日額 → 合算前に、スライド制のみ適用し算定

 

②複数の特別加入を行っている場合

 特別加入者としての各給付基礎日額を合算 → 合算した額にスライド制のみ適用し算定

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/ZIDgOajqe40

社労士受験のあれこれ

【労災】特別加入者の範囲

R3-323

R3.7.12  令和3年4月改正 特別加入者の範囲その2

 今日のテーマは、令和3年4月に改正された「特別加入者の範囲」その2です!

 特別加入者は、3つに分かれています。

 第1種特別加入者 → 中小事業主等

 第2種特別加入者 → 一人親方等、特定作業従事者

 第3種特別加入者 → 海外派遣者

 

今日は、「特定作業従事者」の範囲を確認しましょう。

 

では穴埋めでどうぞ!

【特定作業従事者の範囲】

1 農業における一定の作業

2 国又は地方公共団体が実施する訓練として行われる一定の作業

3 家内労働者及びその補助者が行う一定の作業

4 労働組合等の常勤の役員が行う一定の作業

5 介護関係業務に係る一定の作業及び家事支援に係る一定の作業

 

令和3年4月より追加された作業

6 放送番組(広告放送を含む。)、映画、寄席、劇場等における< A >の提供の作業又はその演出若しくは企画の作業であって、厚生労働省労働基準局長が定めるもの

7 < B >の制作の作業であって、厚生労働省労働基準局長が定めるもの

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 音楽、演芸その他の芸能

B アニメーシヨン

(則第46条の18)

★令和3年4月から追加されたのは次の2つです。

 ■芸能従事者

   ・芸能実演家(俳優、舞踊家、音楽家、演芸家、スタント等)

   ・芸能製作作業従事者(監督、撮影、衣装、メイク等)

 ■アニメーション制作作業従事者

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/mzyKQnb6Suk

社労士受験のあれこれ

【労災】特別加入者の範囲

R3-322

R3.7.11  令和3年4月改正 特別加入者の範囲その1

 今日のテーマは、令和3年4月に改正された「特別加入者の範囲」その1です!

 特別加入者は、3つに分かれています。

 第1種特別加入者 → 中小事業主等

 第2種特別加入者 → 一人親方等、特定作業従事者

 第3種特別加入者 → 海外派遣者

 

令和3年4月より改正された「一人親方等」の範囲を確認しましょう。

 

では穴埋めでどうぞ!

【一人親方等の範囲】

1 自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業

   (例)個人タクシー業者や個人貨物運送業者など

2 土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、原状回復、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の事業

   (例)大工、左官、とび職人

3 漁船による水産動植物の採捕の事業(7に掲げる事業を除く。)

4 林業の事業

5 医薬品の配置販売の事業

6 再生利用の目的となる廃棄物等の収集、運搬、選別、解体等の事業

7 船員法第1条に規定する船員が行う事業

8 < A >法第2条に規定する< A >が行う事業

9 高年齢者の雇用の安定等に関する法律第10条の2第2項に規定する創業支援等措置に基づき、同項第1号に規定する< B >その他の契約に基づいて高年齢者が新たに開始する事業又は同項第2号に規定する< C >に係る< B >その他の契約に基づいて高年齢者が行う事業であって、厚生労働省労働基準局長が定めるもの

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 柔道整復師

B 委託契約

C 社会貢献事業

(則第46条の17)

★8と9が令和3年4月から追加された事業です。

9は、先日書きました「【改正】70歳までの就業確保措置」によって「創業支援等措置」に基づく事業を行う人が対象です。

参考 → R3.7.4 【改正】70歳までの就業確保措置

 

★ 明日は特定作業従事者です。

 

解説動画はこちらからどうぞ!毎日コツコツYouTubeチャンネル

https://youtu.be/EgLDD-la2p4

社労士受験のあれこれ

労災保険法 令和2年9月改正その4

R3-298

R3.6.17 複数事業労働者の給付基礎日額~具体例

 令和2年9月1日から、複数事業労働者に係る給付基礎日額の算定及び複数業務要因災害に係る労災保険制度が施行されています。

複数事業労働者とは → R3.6.14 労災(改正)複数事業労働者とは?

複数業務要因災害とは → R3.6.15 労災(改正)複数業務要因災害とは?

複数事業労働者の給付基礎日額 → R3.6.16 複数事業労働者の給付基礎日額の算定について

 今日のテーマは、複数事業労働者の給付基礎日額の具体例です。

 

まずは、労働基準法の平均賃金の出し方を確認しましょう。

労働基準法第12条

1.労働基準法で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前< A >か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の< B >で除した金額をいう。

 ただし、その金額は、次の各号の一によつて計算した金額を下ってはならない。

① 賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に< C >で除した金額の< D >

② 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によつて定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と①の金額の合算額

2. 1.の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 3

B 総日数

C 労働した日数

D 100分の60

<原則>

 算定事由発生日以前3か月間の賃金総額 ÷  その期間の総日数(※就労日数ではなく、暦日数です)

<最低保障額> 時間額や日額、出来高給の場合

算定事由発生日以前3か月間の賃金総額 ÷ 労働日数 × 100分の60

 

※注意点

 ・算定事由発生日の前日から遡ります。

 ・賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から遡ります。

 

 

複数事業労働者の給付基礎日額の注意点

<労働基準法の平均賃金の最低保障について>

・複数事業労働者の給付基礎日額相当額

 → 時給や日給制等の場合、労基法の規定では、平均賃金の算定について最低保障の適用があります。しかし、労災保険法では、特例により、労基法の規定による最低保障は適用しない金額を給付基礎日額相当額とする、とされています。

(具体例)

A社とB社の2社で就業している場合

A社 → 月給15万円

B社 → 日給1万円で月9日勤務

直近3カ月の総日数は90日

■計算式■

A社 → 15万円×3か月÷90日 = 5,000円

B社 → 1万円×9日×3か月÷90日 = 3,000円※

給付基礎日額は、A社(5,000円)+B社(3,000円)=8,000円となります。

※B社は日給制なので、労働基準法では平均賃金の最低保障額が適用されます。

最低保障は、(10,000円×9日)×3か月÷(9日×3か月)×100分の60 = 6,000円となります。しかし、労災則第9条第1項第4号に基づく給付基礎日額相当額の特例として、労基法第12 条第1項ただし書の規定(最低保障)の適用を受けないものとした場合の金額を、給付基礎日額相当額とすることになります。

 

ちなみに・・・

 各事業場の「平均賃金の最低保障額」が「合算後の額」より高い場合

 →各事業の平均賃金の最低保障額のうち、最も高い額が給付基礎日額となります。

 

参照:労災保険法第8条、則9条の2の2、令和2.8.21基発0821第2号

社労士受験のあれこれ

労災保険法 令和2年9月改正その3

R3-297

R3.6.16 複数事業労働者の給付基礎日額の算定について

 令和2年9月1日から、複数事業労働者に係る給付基礎日額の算定及び複数業務要因災害に係る労災保険制度が施行されています。

 今日のテーマは、複数事業労働者の給付基礎日額です。

複数事業労働者とは → R3.6.14 労災(改正)複数事業労働者とは?

複数業務要因災害とは → R3.6.15 労災(改正)複数業務要因災害とは?

 

条文を確認しましょう。

第8条

① 給付基礎日額は、労働基準法第12条の< A >に相当する額とする。この場合において、< A >を算定すべき事由の発生した日は、負傷若しくは死亡の原因である事故が発生した日又は診断によって< B >が確定した日(以下「算定事由発生日」という。)とする。

② 労働基準法第12条の< A >に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められるときは、①の規定にかかわらず、厚生労働省令で定めるところによって政府が算定する額を給付基礎日額とする。

③ ①、②の規定にかかわらず、複数事業労働者の業務上の事由、複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする事由又は複数事業労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡により、当該複数事業労働者、その遺族その他厚生労働省令で定める者(葬祭を行う者)に対して保険給付を行う場合における給付基礎日額は、①、②に定めるところにより当該複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を< C >した額を基礎として、厚生労働省令で定めるところによって政府が算定する額とする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 平均賃金

B 疾病の発生

C 合算

ポイント

給付基礎日額 = 労働基準法の平均賃金に相当する額

算定事由発生日 = ・負傷若しくは死亡の原因である事故が発生した日

          ・診断によって疾病の発生が確定した日

 

※複数事業労働者の給付基礎日額(原則)のポイント

複数事業労働者の業務上の事由による傷病等

(業務災害)

複数事業労働者を使用する全事業における賃金をもとに給付基礎日額を算定する

複数事業労働者(複数事業労働者に類する者を含む。)の2以上の事業の業務を要因とする事由による傷病等複数業務要因災害

複数事業労働者の通勤による傷病等(通勤災害)

※複数事業労働者は複数の事業で働くことによって生計を立てているため、労災保険の保険給付もすべての事業の賃金を合算して算定するという考え方です。

※ 複数事業労働者に関する保険給付を行う場合における給付基礎日額は、当該複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額(以下「給付基礎日額相当額」という。)を合算した額を基礎として算定します。 

(令和2.8.21基発0821第2号)

 

明日に続きます。

社労士受験のあれこれ

労災保険法 令和2年9月改正その2

R3-296

R3.6.15 労災(改正)複数業務要因災害とは?

 令和2年9月1日から、複数事業労働者に係る給付基礎日額の算定及び複数業務要因災害に係る労災保険制度が施行されています。

 労災保険法の主たる事業は「保険給付」で、それに付随するものとして「社会復帰促進等事業」があります。

 労災保険法の改正によって、「保険給付」は4つに分かれることになりました。

<保険給付の種類>

業務災害に関する保険給付
複数業務要因災害に関する保険給付
通勤災害に関する保険給付
二次健康診断等給付

 

今日は、新しく加わった「複数業務要因災害」がテーマです。

 

では、どうぞ!

空欄を埋めてください。

 

第7条

 労災保険法による保険給付は、次に掲げる保険給付とする。

1 労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡(以下「業務災害」という。)に関する保険給付

2 < A >(これに類する者として厚生労働省令で定めるものを含む。)の2以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡(以下「< B >」という。)に関する保険給付(1の業務災害を除く。)

3 労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡(以下「通勤災害」という。)に関する保険給付

4 二次健康診断等給付

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 複数事業労働者

B 複数業務要因災害

ポイント! 複数業務要因災害とは?

 複数業務要因災害 → 複数事業労働者(これに類する者として厚生労働省令で定めるものを含む。)の2以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡のこと。ただし、「業務災害」の場合は除かれます。

 

★さらにポイント

・複数業務要因災害の範囲 → 対象の傷病は「脳・心臓疾患、精神障害」

 複数業務要因災害による疾病の範囲は、則第18条の3の6で、『労働基準法施行規則別表1の2第8号及び第9号に掲げる疾病(「脳・心臓疾患、精神障害」)及びその他2以上の事業の業務を要因とすることの明らかな疾病』と規定されています。現時点で想定されているのは、脳・心臓疾患、精神障害です。

 

★複数業務要因災害のポイント色々

・複数業務要因災害に関する保険給付

 「業務災害」は、1つの事業の業務上の負荷(労働時間やストレス)だけで労災認定をします。

 このたび新しく加わった「複数業務要因災害」は、単独の事業場の負荷だけでは労災認定されなくても、複数の事業の業務上の負荷を総合的に評価することによって、労災認定されるものです。

 「2以上の事業の業務を要因とする」とは、複数の事業での業務上の負荷を総合的に評価して当該業務と負傷、疾病、障害又は死亡の間に因果関係が認められることをいいます。

 

・労働基準法の災害補償責任

 1つの就業先の業務上の負荷のみでは業務と疾病等との間に因果関係が認められないので、いずれの就業先も労働基準法上の災害補償責任は負いません。

(令和2.8.21基発0821第1号)

 

★複数業務要因災害に関する保険給付の種類

1 複数事業労働者療養給付

2 複数事業労働者休業給付

3 複数事業労働者障害給付

4 複数事業労働者遺族給付

5 複数事業労働者葬祭給付

6 複数事業労働者傷病年金

7 複数事業労働者介護給付

(法第20条の2)

 

ちなみに、これまでは、業務災害及び通勤災害に関する保険給付については、療養(補償)給付のように略称していました。今後は、業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害に関する保険給付をまとめて療養(補償)等給付のように略称するそうです。

(令和2.8.21基発0821第1号)

 

明日に続きます。

社労士受験のあれこれ

労災保険法 令和2年9月改正その1

R3-295

R3.6.14 労災(改正)複数事業労働者とは?

 令和2年9月1日から、複数事業労働者に係る給付基礎日額の算定及び複数業務要因災害に係る労災保険制度が施行されています。

<改正のポイント>

・複数事業労働者に関する保険給付について

  → すべての事業場の賃金を合算した額を基礎として給付基礎日額を決定する

 

・1つの事業における業務上の負荷(労働時間やストレス等)のみでは業務と疾病等の間に因果関係が認められない場合

  → すべての事業の業務上の負荷を総合的に評価して労災認定できるか判断する

 

では、どうぞ!

第1条

 労働者災害補償保険は、業務上の事由、事業主が同一人でない2以上の事業に使用される労働者(以下「< A >」という。)の2以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由、< A >の2以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もって労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。

第2条

 労働者災害補償保険は、政府が、これを管掌する。

第2条の2

労働者災害補償保険は、第1条の目的を達成するため、業務上の事由、< A >の2以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に関して保険給付を行うほか、社会復帰促進等事業を行うことができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 複数事業労働者

ポイント! 複数事業労働者とは?

 複数事業労働者 → 事業主が同一人でない2以上の事業に使用される労働者のこと

 簡単に言うと、算定事由発生日にA社とB社というように、複数の事業場で働いている労働者のことです。

 

★さらにポイント

 労災法第7条第1項第2号で、複数事業労働者には「これに類する者も含む」とされています。

 「これに類する者」の範囲は、則第5条で「傷病等の原因又は要因となる事由が生じた時点において事業主が同一人でない2以上の事業に同時に使用されていた労働者」と定められています。

 注目ポイントは、傷病等の発生時ではなく傷病等の原因又は要因となる事由が生じた時点」に2以上の事業に同時に使用されていたという点です。

複数業務要因災害の対象である複数事業労働者について、傷病等が発症した時点で、複数事業労働者に該当しない場合でも、当該傷病等の要因となる出来事と傷病等の因果関係が認められる期間の範囲内で複数事業労働者に当たるか否かを判断すべきときがあるからです。これは、傷病等の要因となる出来事と傷病等の発症時期がずれることがあるためです。

 例えば、傷病等が発症した時点では、「A社」だけで働いていたが、「病等の原因又は要因となる事由が生じた時期」に、「A社」と「B社」で就業していたような場合も複数事業労働者になるということです。
 

★もう一つポイント

 『「労働者」であってかつ他の事業場で「特別加入をしている者」』及び『複数の事業場において特別加入をしている者』も複数事業労働者として保護の対象となります。

(令和2.8.21基発0821 第1号)

 

明日に続きます。

社労士受験のあれこれ

労災 療養補償給付その2

R3-294

R3.6.13 療養補償給付よく出るところ その2

昨日に引き続き、労災保険の「療養補償給付」です。

・療養の給付(現物給付)

・療養の費用の支給(現金給付)

の2種類があります。

無料で治療などを受けられる療養の給付(現物給付)が原則で、療養の費用の支給(現金給付)は、例外です。

 

では、どうぞ!

①<R1年出題>

 療養の給付は、社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者(「指定病院等という。」において行われ、指定病院等に該当しないときは、厚生労働大臣が健康保険法に基づき指定する病院等であっても、療養の給付は行われない。

 

②<H21年出題>

 療養補償給付は、療養の給付として行われるのが原則であるが、療養の給付を行うことが困難である場合のほか、労働者が指定病院等でない病院等であっても当該病院等による療養を望む場合には、療養の給付に代えて療養の費用が支給される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①<R1年出題> 〇

ポイント! 療養の給付(現物給付)は、指定病院等で

 療養の給付が受けられるのは「指定病院等」です。

 指定病院等とは

 ・ 社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所(労災病院のこと)

 ・ 都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者 (労災保険指定医療機関・薬局等)

です。

 指定病院等に該当しないときは、厚生労働大臣が健康保険法に基づき指定する病院等であっても、療養の給付は行われません。

(則第11条)

 

②<H21年出題> ×

ポイント! 療養の給付が原則、療養の費用の支給は例外

 療養の費用が支給されるのは、「療養の給付をすることが困難な場合のほか、療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合」とされていて、例えば、近くに指定病院等がないような場合です。

 問題文のように、指定病院等でない病院等での療養を望んだとしても、それだけでは療養の費用の支給の対象にはなりません。

(則11条の2、昭41.1.31基発第73号)

 

 

 

こちらもどうぞ!

③<H27年出題>

 療養補償給付たる療養の給付を受けようとする者は、厚生労働省令に規定された事項を記載した請求書を、直接、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

 

④<H22年出題>(改正あり)

 療養補償給付たる療養の費用の支給を受けようとする者は、①労働者の氏名、生年月日及び住所、②事業の名称及び事業場の所在地、③負傷又は発病の年月日、④災害の原因及び発生状況、⑤傷病名及び療養の内容、⑥療養に要した費用の額、⑦療養の給付を受けなかった理由、⑧労働者が複数事業労働者である場合は、その旨を記載した請求書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。この記載事項のうち事業主の証明を受けなければならないものとして、正しいものはどれか。

A ①~⑧

B ②~⑧

C ③~⑧

D ③、④

E ③、④、⑦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③<H27年出題> ×

 請求書の提出について 

 療養の給付 → 指定病院等を経由して、所轄労働基準監督署長に提出

 療養の費用の支給 → 直接、所轄労働基準監督署長に提出

(則第12条)

 

④<H22年出題>(改正あり) D

 事業主の証明を受けなければならないものは、「③負傷又は発病の年月日、④災害の原因及び発生状況」です。

 ※令和2年9月の改正により

  ・証明を受ける事業主から「非災害発生事業場の事業主」は除かれます。

  ・「⑧労働者が複数事業労働者である場合は、その旨」が加わりました。

(則第12条の2) 

社労士受験のあれこれ

労災 療養補償給付その1

R3-293

R3.6.12 療養補償給付よく出るところ その1

 労災保険の「療養補償給付」には

・療養の給付(現物給付)

・療養の費用の支給(現金給付)

の2種類があります。

無料で治療などを受けられる療養の給付(現物給付)が原則で、療養の費用の支給(現金給付)は、例外です。

 

では、どうぞ!

①<H21年出題>

 傷病の症状が残った場合でも、その症状が安定し、疾病が固定した状態になって治療の必要がなくなった場合には、傷病発生以前の状態に回復していなくても、傷病は治ゆしたものとして療養補償給付又は療養給付は行われない。

 

②<H28年出題>

 業務上の疾病が治って療養の必要がなくなった場合には、その後にその疾病が再発しても、新たな業務上の事由による発病でない限り、業務上の疾病とは認められない。

 

③<H27年出題> 

 療養の給付は、その傷病が療養を必要としなくなるまで行われるので、症状が安定して疾病が固定した状態になり、医療効果が期待しえない状態になっても、神経症状のような傷病の症状が残っていれば、療養の給付が行われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①<H21年出題> 〇

ポイント!

療養補償給付、療養給付は「治ゆ」するまで

 療養補償給付(療養給付)は、治療の必要がなくなるまで行われます。

 例えばケガの場合は、傷口が治った状態をイメージしてください。治ゆとは、「症状固定」の状態をいいます。「傷病の症状が残った場合でも、その症状が安定し、疾病が固定した状態になって治療の必要がなくなった場合」です。

(昭23.1.13基災発第3号)

 

②<H28年出題> ×

 いったん、症状固定(治ゆ)が認められれば療養補償給付(療養給付)は終了しますが、再び発症し一定の要件を満たせば、「再発」となり、療養補償給付(療養給付)が再開されます。

 

③<H27年出題>  × 

 症状が安定して疾病が固定した状態になり、医療効果が期待しえない状態になれば、療養の給付は終了します。

 

では、こちらもどうぞ!

④<H24年出題> 

 療養補償給付は、休業補償給付と併給される場合がある。

 

⑤<H24年出題> 

 療養補償給付は、傷病補償年金と併給される場合がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

④<H24年出題>  〇

 療養補償給付も休業補償給付も「治ゆする前」の給付です。治療で休んでいる間は、療養補償給付と休業補償給付の両方を受けることができます。

 

⑤<H24年出題>  〇

 傷病補償年金も「治ゆする前」の給付ですので、治療を受けながら(療養補償給付を受けながら)、受給することができます。

 

 

最後に条文を確認しましょう。

 

空欄を埋めてください。

 

第13条 

① 療養補償給付は、療養の給付とする

② ①の療養の給付の範囲は、次の各号(< A >が必要と認めるものに限る。)による。

1 診察

2 薬剤又は治療材料の支給

3 処置、手術その他の治療

4 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護

5 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護

6 < B >

③ 政府は、療養の給付をすることが困難な場合その他厚生労働省令で定める場合には、療養の給付に代えて< C >することができる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 政府

B 移送

C 療養の費用を支給

社労士受験のあれこれ

業務上の疾病(労働基準法施行規則別表1の2)

R3-255

R3.5.5 「心理的負荷による精神障害の認定基準」その2

 引き続き、今日も「心理的負荷による精神障害の認定基準 」です。

(認定基準について)

 1、2及び3のいずれの要件も満たす対象疾病は、労働基準法施行規則別表第1の2第9号に該当する業務上の疾病として取り扱われます。

1 対象疾病を発病している。

2 対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められる。

3 業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められない。

(H23.12.26 基発1226 第1号)

 

ではどうぞ!

①<H24年出題>

 認定基準における対象疾病の発病に至る原因の考え方は、環境由来の心理的負荷(ストレス)と、個体側の反応性、脆弱性との関係で精神的破綻が生じるかどうかが決まり、心理的負荷が非常に強ければ、個体側の脆弱性が小さくても精神的破綻が起こるし、逆に脆弱性が大きければ、心理的負荷が小さくても破綻が生ずるとする「ストレス-脆弱性理論」に依拠している。

②<H30年出題>

 認定基準において、業務による強い心理的負荷とは、精神障害を発病した労働者がその出来事及び出来事後の状況が持続する程度を主観的にどう受け止めたかという観点から評価されるものであるとされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①<H24年出題> 〇

・ 心理的負荷(ストレス)が非常に強い → 個体側の脆弱性が小さくても精神的破綻が起こる

・ 脆弱性が大きい → 心理的負荷(ストレス)が小さくても破綻が生ずる

※心理的負荷による精神障害の業務起因性を判断する要件 →  対象疾病の発病の有無、発病の時期及び疾患名について明確な医学的判断があること + 当該対象疾病の発病の前おおむね6か月の間に業務による強い心理的負荷が認められること

(H23.12.26 基発1226 第1号)

②<H30年出題> ×

 「主観的にどう受け止めたかという観点」が誤りです。

 強い心理的負荷とは、精神障害を発病した労働者がその出来事及び出来事後の状況が持続する程度を主観的にどう受け止めたかではなく、同種の労働者が一般的にどう受け止めるかという観点から評価されるものである、とされています。( 「同種の労働者」とは職種、職場における立場や職責、年齢、経験等が類似する者のこと。) 

(H23.12.26 基発1226 第1号)

 

こちらもどうぞ!

③<H30年出題>

 認定基準においては、業務による心理的負荷の強度の判断に当たっては、精神障害発病前おおむね6か月の間に、対象疾病の発病に関与したと考えられる業務によるどのような出来事があり、また、その後の状況がどのようなものであったのかを具体的に把握し、それらによる心理的負荷の強度はどの程度であるかについて、「業務による心理的負荷評価表」を指標として「強」、「弱」の二段階に区分することとされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③<H30年出題> ×

 「強」、「弱」の二段階ではなく、「強」、「中」、「弱」の三段階に区分されています。

(H23.12.26 基発1226 第1号)

 

最後にこちらをどうぞ

④<H30年出題>

 認定基準においては、「極度の長時間労働は、心身の極度の疲弊、消耗を来し、うつ病等の原因となることから、発病日から起算した直前の1か月間におおむね120時間を超える時間外労働を行った場合等には、当該極度の長時間労働に従事したことのみで心理的負荷の総合評価を「強」とする。」とされている。

 

⑤<H24年出題>
 認定基準においては、例えば対象疾病の発病直前の3週間におおむね120時間以上の時間外労働を行っていたときには、手待時間が多いなど労働密度が特に低い場合を除き、心理的負荷の総合評価を「強」と判断するとしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

④<H30年出題> ×

 120時間ではなく「160時間」を超える時間外労働を行った場合等です。

 

 

⑤<H24年出題> 〇
 発病前おおむね6か月の間に、「特別な出来事」に該当する業務による出来事が認められた場合には、心理的負荷の総合評価が「強」と判断されます。

 特別な出来事には、「心理的負荷が極度のもの」と 「極度の長時間労働」の2つ類型があります。

 そのうち、「極度の長時間労働」とは、 発病直前の1か月におおむね160時間を超えるような、又はこれに満たない期間にこれと同程度の(例えば3週間におおむね120時間以上の)時間外労働を行った(休憩時間は少ないが手待時間が多い場合等、労働密度が特に低い場合を除く)とされています。

 (H23.12.26 基発1226 第1号)

社労士受験のあれこれ

業務上の疾病(労働基準法施行規則別表1の2)

R3-254

R3.5.4 「心理的負荷による精神障害の認定基準」その1

 今日のテーマは「心理的負荷による精神障害の認定基準 」です。

(認定基準について)

 1、2及び3のいずれの要件も満たす対象疾病は、労働基準法施行規則別表第1の2第9号に該当する業務上の疾病として取り扱われます。

1 対象疾病を発病している。

2 対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められる。

3 業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められない。

(H23.12.26 基発1226 第1号)

 

ではどうぞ!

①<H30年出題>

 認定基準においては、次の①、②、③のいずれの要件も満たす対象疾病は、労働基準法施行規則別表第1の2第9号に規定する精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病に該当する業務上の疾病として取り扱うこととされている。

① 対象疾病を発病していること。

② 対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること。

③ 業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①<H30年出題> 〇

穴埋め式でポイントをおさえましょう!

 認定基準においては、次の①、②、③のいずれの要件も満たす対象疾病は、労働基準法施行規則別表第1の2第9号に規定する精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病に該当する業務上の疾病として取り扱うこととされている。

① 対象疾病を発病していること。

② 対象疾病の発病前おおむね< A >の間に、< B >が認められること。

③ 業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 6か月

B 業務による強い心理的負荷

 (H23.12.26 基発1226 第1号)

 

では、こちらもどうぞ

②<H30年出題>

 認定基準においては、「いじめやセクシュアルハラスメントのように、出来事が繰り返されるものについては、発病の6か月よりも前にそれが開始されている場合でも、発病前6か月以内の行為のみを評価の対象とする。」とされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②<H30年出題> ×

 問題文の最後の「発病前6か月以内の行為のみを評価の対象とする」が誤りです。

 いじめやセクシュアルハラスメントのように、出来事が繰り返されるものについては、発病の6か月よりも前にそれが開始されている場合でも、発病前6か月以内の期間にも継続しているときは、開始時からのすべての行為を評価の対象とすることとされています。

(H23.12.26 基発1226 第1号)

社労士受験のあれこれ

業務上の疾病(労働基準法施行規則別表1の2)

R3-253

R3.5.3 脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準 その2

 引き続き、テーマは「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準 」です。

 

(認定基準について)

 次の(1)、(2)又は(3)の業務による明らかな過重負荷を受けたことにより発症した 脳・心臓疾患は、労働基準法施行規則別表第1の2第8号に該当する疾病として取り 扱う。

(1) 発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的及び場所的に明確にし得る 異常な出来事(以下「異常な出来事」という。)に遭遇したこと。

(2) 発症に近接した時期において、特に過重な業務(以下「短期間の過重業務」とい う。)に就労したこと。

(3) 発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務(以下 「長期間の過重業務」という。)に就労したこと。

 

(H13.12.12 基発第1063号)

 

ではどうぞ!

①<H28年選択>

 厚生労働省労働基準局長通知(「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」平成131212日付け基発第1063号)において、発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したことによる明らかな過重負荷を受けたことにより発症した脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)は、業務上の疾病として取り扱うこととされている。

業務の過重性の評価にあたっては、発症前の一定期間の就労実態等を考察し、発症時における疲労の蓄積がどの程度であったかという観点から判断される。

「発症前の長期間とは、発症前おおむね< A >をいう」とされている。疲労の蓄積をもたらす要因は種々あるが、最も重要な要因と考えられる労働時間に着目すると、「発症前< B >におおむね100時間又は発症前< C >にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できること」を踏まえて判断される。ここでいう時間外労働時間数は1週間当たり40時間を超えて労働した時間数である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①<H28年選択> 

A 6か月間

B 1か月間

C 2か月間ないし6か月間

 

ポイント!

★ 発症前の長期間とは、発症前おおむね6か月間

 

★ 労働時間(疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられる)に着目

→ その時間が長いほど、業務の過重性が増す

→  発症日を起点とした1か月単位の連続した期間をみて、

① 発症前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合 → 業務と発症との関連性が弱い

  おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど → 業務と発症との関 連性が徐々に強まると評価できる

② 発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる → 業務と発症との関連性が強いと評価できる

(H13.12.12 基発第1063号)

 

こちらもどうぞ

②<H22年出題>

 厚生労働省労働基準局長通知(「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」平成131212日付け基発第1063号)では、業務による明らかな過重負荷を「異常な出来事」、「短期間の過重業務」及び「長期間の過重業務」に区分し、認定要件としているが、これらの三種類の過重負荷の評価期間について、「異常な出来事」については発症直前から前日までの間を、「短期間の過重業務」については発症前おおむね1か月間を、「長期間の過重業務」については発症前おおむね3か月間としている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 ×

■過重負荷の評価期間■

「異常な出来事」 → 発症直前から前日までの間

「短期間の過重業務」 → 発症前おおむね1週間

「長期間の過重業務」 → 発症前おおむね6か月間

社労士受験のあれこれ

業務上の疾病(労働基準法施行規則別表1の2)

R3-252

R3.5.2 脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準 その1

 今日のテーマは、「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準 」です。

まずこちらからどうぞ!

①<H18年選択>

 労働者災害補償保険法による保険給付の事由となる業務災害及び通勤災害のうち業務上の疾病の範囲は、< A >で、通勤災害のうち通勤による疾病の範囲は、    < B >で定められている。

 業務上の疾病として< A >の別表第1の2に掲げられている疾病のうち同表第11号に掲げられている疾病は、その他< C >である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①<H18年選択> 

A 労働基準法施行規則

B 労働者災害補償保険法施行規則

C 業務に起因することの明らかな疾病

 

ポイント!

業務上の疾病の範囲 → 労働基準法施行規則

通勤による疾病の範囲 → 労働者災害補償保険法施行規則

で定められている。 

 

労働基準法施行規則別表第1の2を見てみましょう

★空欄を埋めてください。

別表第一の二

一 業務上の< D >に起因する疾病

二 物理的因子による次に掲げる疾病

 (省略)

三 身体に過度の負担のかかる作業態様に起因する次に掲げる疾病

 (省略)

四 化学物質等による次に掲げる疾病

 (省略)

五 粉じんを飛散する場所における業務によるじん肺症又はじん肺法に規定するじん肺と合併したじん肺法施行規則第一条各号に掲げる疾病

六 細菌、ウイルス等の病原体による次に掲げる疾病

 (省略)

七 がん原性物質若しくはがん原性因子又はがん原性工程における業務による次に掲げる疾病

 (省略)

八 < E >にわたる長時間の業務その他血管病変等を著しく増悪させる業務による脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症、心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む。)若しくは解離性大動脈瘤りゆう又はこれらの疾病に付随する疾病

九 人の生命にかかわる事故への遭遇その他心理的に過度の負担を与える事象を伴う業務による精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病

十 前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣の指定する疾病

十一 その他< F >ことの明らかな疾病

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

D 負傷

E 長期間

F 業務に起因する

 労働基準法施行規則別表第一の二(「職業病リスト」)の1号から10号で、一定の疾病が例示列挙されています。

 また、11号の「その他業務に起因することの明らかな疾病」は、例示列挙されている疾病以外に業務に起因したと認められる疾病が発生した場合に、当てはめるためのものです。

 

 

★ なお、「業務による明らかな過重負荷を受けたことにより発症した脳・心臓疾患」は、労働基準法施行規則別表第1の2第8号に該当する疾病として取り扱われます。

 要件は、「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準」によります。明日から、こちらの通達をみていきます。

 

こちらの問題もどうぞ!

②<H28年出題>

 業務上の疾病の範囲は、労働基準法施行規則別表第一の二の各号に掲げられているものに限定されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

②<H28年出題> 〇

 「業務上の疾病」と認められるには、労働基準法施行規則別表第一の二の1号から11号のどれかに該当することが要件です。

社労士受験のあれこれ

労災~休業補償給付

R3-216

R3.3.27 休業補償給付 一部のみ労働する日②

 昨日に引き続き、テーマは「休業補償給付」です。

 今日は「一部のみ労働する日」の休業補償給付(その2)です。

 

 

では、どうぞ!

<H16年出題>

 業務上の事由又は通勤による傷病の療養のため所定労働時間の一部について労働することができないために、平均賃金と実労働時間に対して支払われる賃金との差額の60%未満の金額しか支払われていない日は、当該傷病の療養のため労働することができないために賃金を受けない日に該当する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 〇

 所定労働時間の一部分だけ労働した日の休業補償給付は、「(給付基礎日額-実際に労働した部分の賃金額)×60%」で計算することは、前回お話しました。

 

 今回の問題は、労働しなかった時間について、事業主が金額を支払った場合の取り扱いです。

 休業補償給付は賃金を受けない日に支給されますが、一部労働不能の場合は、①「その労働不能の時間について全く賃金を受けない日」、②「平均賃金と実労働時間に対して支払われる賃金との差額の60%未満の金額しか受けない日」が「賃金を受けない日」に該当します。

 問題文は②に当たりますので、「賃金を受けない日」となり、休業補償給付が支給されます。

 

 例えば、給付基礎日額が10,000円、実際に労働した部分の賃金が4,000円の場合で、労働しなかった時間に対して事業主から2,000円支払われた場合を考えてみましょう。

 平均賃金と実労働時間に対して支払われる賃金との差額が6,000円で、事業主からの2,000円はその60%未満です。

 ですので、「賃金を受けない日」として、休業補償給付が3,600円((10,000円-4,000円)×60%)が支給されます。

(労災保険法第14条 昭40.7.31基発901号)

社労士受験のあれこれ

労災~休業補償給付

R3-215

R3.3.26 休業補償給付 一部のみ労働する日①

 昨日に引き続き、テーマは「休業補償給付」です。

 今日は「一部のみ労働する日」の休業補償給付(その1)です。

 

 

では、どうぞ!

①<H16年出題>

 業務災害又は通勤災害による傷病による療養のため所定労働時間の一部について労働することができないために賃金を受けない日についての休業補償給付又は休業給付の額は、実際に労働した部分についての賃金額と給付基礎日額との差額の60%に相当する額となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 〇

 所定労働時間の一部分だけ労働した日(=一部分だけ休業した日)も休業(補償)給付の対象になります。

 そのような一部休業日の休業補償給付は、「(給付基礎日額 - 実際に労働した部分の賃金額)×60%」で計算します。

 例えば、給付基礎日額(通常通り労働した場合の1日あたりの賃金額)が10,000円、実際に労働した部分の賃金が4,000円の場合、その日の休業(補償)給付は、(10,000円-4,000円)×60%=3,600円となります。

(労災保険法第14条)

 

 

こちらもどうぞ!

②<H13年出題>

 労働者が業務上の傷病による療養のため所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日に係る休業補償給付の額は、給付基礎日額から実際に労働した部分についての賃金額を控除して得た額(当該控除して得た額が最高限度額を超える場合にあっては、最高限度額に相当する額)の100分の60に相当する額である。

 

③<H30年出題>

 業務上の傷病により、所定労働時間の一部分についてのみ労働する日の休業補償給付の額は、療養開始後16か月未満の場合には、休業給付基礎日額から当該労働に対して支払われる賃金の額を控除して得た額の100分の60に相当する額である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

②<H13年出題> 〇

③<H30年出題> 〇

 

 ①の問題と同じです。 

 一部分についてのみ労働する日に係る休業補償給付の額は、「給付基礎日額」と「実際に労働した部分の賃金額」の差額の100分の60です。

 

 なお、療養開始後16か月経過すると、給付基礎日額に年齢階層別の最低・最高限度額が適用されます。

 ②の問題のかっこ書き(当該控除して得た額が最高限度額を超える場合にあっては、最高限度額に相当する額)の部分は最高限度額が適用されたときのルールで、③の問題は「療養開始後16か月未満」なので最高限度額は適用されていないという前提です。

年齢別の最高限度額が適用されている場合のルールは第14条に規定されていますが、過去にそこが論点になったことがないので、今回は触れないでおきます。

 

(参考:労災保険法第14条)

 休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給するものとし、その額は、1日につき給付基礎日額の100分の60に相当する額とする。

 ただし、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日若しくは賃金が支払われる休暇(以下「部分算定日」という。)又は複数事業労働者の部分算定日に係る休業補償給付の額は、給付基礎日額(「最高限度額」を給付基礎日額とすることとされている場合にあっては、適用がないものとした場合における給付基礎日額)から部分算定日に対して支払われる賃金の額を控除して得た額(当該控除して得た額が最高限度額を超える場合にあっては、最高限度額に相当する額)の100分の60に相当する額とする。

社労士受験のあれこれ

労災~休業補償給付

R3-214

R3.3.25 休業補償給付 全部労働不能の場合

 今日は労災保険法です。

 テーマは「休業補償給付」です。

 今日は「全部労働不能」の場合の休業補償給付です。

 

 

では、どうぞ!

<H30年出題>

 業務上の傷病により、所定労働時間の全部労働不能で半年間休業している労働者に対して、事業主が休業中に平均賃金の6割以上の金額を支払っている場合には、休業補償給付は支給されない。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 〇

 休業補償給付は、『労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給する』と規定されています。

 この問題のポイントは、「賃金を受けない日」の定義です。

 通達では、全部労働不能であって「平均賃金の60%未満の金額しか受けない日」を賃金を受けない日と定義づけています。(例えば、事業主から平均賃金の50%の金額を受けた場合は、「賃金を受けない日」に該当するため、休業補償給付は全額支給される。)

 

 問題文のように、休業中に、事業主が「平均賃金の6割以上」を支払っている場合は、賃金を受けない日に該当しないので、休業補償給付は支給されません。

(労災保険法第14条、昭40.7.31基発第901号)

 

もう一問どうぞ!

<H16年出題>

 休業補償給付又は休業給付は、業務上の事由又は通勤による傷病の療養のため労働することができないために賃金を受けない日について支給される。したがって、労働することができなくても、平均賃金の60%以上の金額が支払われた日は、休業補償給付又は休業給付は支給されない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 〇

 上の問題と同じです。平均賃金の60%以上の金額が支払われた日は、「賃金を受けない日」に該当しないので、休業補償給付又は休業給付は支給されません。

 

穴埋め式で条文を確認しましょう

第14条 

 休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために< A >日の第< B >日目から支給するものとし、その額は、1日につき給付基礎日額の< C >に相当する額とする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 賃金を受けない

B 

C 100分の60

 

★明日は、一部のみ労働する日についてです。

社労士受験のあれこれ

労災保険法第1条(目的)~令和2年9月1日改正

R3-184

R3.2.23 第1条チェック~労災保険法編(改正)

各法律の第1条をチェックしています。

各法律の第1条を読むと、その法律の目的(目指すところ)や理念が見えてきます。

 

今日は労災保険法です。

労災保険法の第1条は、令和2年9月1日に改正されています。

 

条文をチェックしましょう!

<第1条

 労働者災害補償保険は、業務上の事由、事業主が同一人でない2以上の事業に使用される労働者(以下「複数事業労働者」という。)の2以上の事業の< A  >を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由、複数事業労働者の2以上の事業の< A >を要因とする事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もって労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

A 業務

 

 今回の改正で、『複数事業労働者』という用語が加わりました。

 『複数事業労働者』とは、事業主が同一人でない2以上の事業に使用される労働者のことです。労働災害が起こった時に、複数の会社と労働契約関係にあった労働者などが該当します。

 複数事業労働者についてのポイントは以下の通りです。

①給付基礎日額 → 全ての会社の賃金を合算した額をもとに算定する

②脳・心臓疾患、精神障害 → 全ての会社での負荷(労働時間やストレス等)を総合的に評価する

 

<労災保険法の体系>

 労災保険法のメインは「保険給付」で、それに付帯する事業として「社会復帰促進等事業」があります。

 「保険給付」の種類は、改正前は「業務災害に関する保険給付」「通勤災害に関する保険給付」「二次健康診断等給付」の3つでしたが、このたびの改正で、「複数業務要因災害に関する保険給付」が入り4種類になりました。

 

では、こちらの条文もどうぞ

第7条 

労働者災害補償保険法による保険給付は、次に掲げる保険給付とする。

1 労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡(以下「業務災害」という。)に関する保険給付

2 < B >(これに類する者として厚生労働省令で定めるものを含む。)の2以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡(以下「< C >」という。)に関する保険給付(前号(業務災害)に掲げるものを除く。)

3 労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡(以下「通勤災害」という。)に関する保険給付

4 二次健康診断等給付

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

B 複数事業労働者

C 複数業務要因災害

 

<労働者災害補償保険法の成り立ち>

 労災保険法は、労働基準法とともに昭和22年に施行されました。

 労働基準法では、労働者の業務災害に対して、使用者に災害補償の義務を課しています。ただ、使用者だけで災害補償を完全に履行するのはハードルが高いのが現実です。

 そこで、業務災害にあった労働者を保護し、使用者の負担を軽減するために、相互扶助の精神によってできたのが労災保険法です。保険料は全額使用者が負担し、保険給付は直接労働者に支払う形式です。労災保険は、使用者が行うべき災害補償を代行する役目をもつ保険です。

 その後、昭和48年の法改正で、「通勤災害」が保険給付の対象に加わりました。

 「二次健康診断等給付」が施行されたのは、平成13年です。 

社労士受験のあれこれ

解説動画です!

(労災)通勤の定義

R3-177

R3.2.16 住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動

今日は労災保険法です!

 

令和2年度の問題をどうぞ!

<問2-選択>

 通勤災害における通勤とは、労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間の往復等の移動を、< A >な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとされるが、住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動も、厚生労働省令で定める要件に該当するものに限り、通勤に当たるとされている。

 厚生労働省令で定める要件の中には、< B >に伴い、当該< B >の直前の住居と就業の場所との間を日々往復することが当該往復の距離等を考慮して困難となったため住居を移転した労働者であって、次のいずれかに掲げるやむを得ない事情により、当該< B >の直前の住居に居住している配偶者と別居することとなったものによる移動が挙げられている。

イ 配偶者が、< C >にある労働者又は配偶者の父母又は同居の親族を< D >すること。

ロ 配偶者が、学校等に在学し、保育所若しくは幼保連携型認定こども園に通い、又は公共職業能力開発施設の行う職業訓練を受けている同居の子(< E >歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子に限る。)を養育すること。

ハ 配偶者が、引き続き就業すること。

ニ 配偶者が、労働者又は配偶者の所有に係る住宅を管理するため、引き続き当該住宅に居住すること。

ホ その他配偶者が労働者と同居できないと認められるイからニまでに類する事情

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

A 合理的

B 転任

C 要介護状態

D 介護

E 18

★ 通勤には次の3つの移動があります。

①住居と就業の場所との間の往復

     (通常の家と職場の往復)

②厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動

     (終業後に副業先に向かうための移動など)

住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動

     (単身赴任者の赴任先の住居と帰省先の住居との間の移動)

 

 令和2年の選択式は、③に該当するための要件からの出題です。

 やむを得ない事情により ⅰ「配偶者と別居した」、ⅱ「配偶者がない労働者が子と別居した」、Ⅲ「配偶者も子もない労働者が同居介護していた要介護状態にある父母又は親族と別居することになった」場合等が対象です。

 令和2年度は、「配偶者」と別居することになったやむを得ない事情(介護、子の養育、配偶者の就業など)からの出題です。

(労災保険法第7条、施行規則第7条) 

こちらの問題もどうぞ!

①<H29年出題>

 労働者が転任する際に配偶者が引き続き就業するため別居することになった場合の、配偶者が住む居宅は、「住居」と認められることはない。

 

②<H25年出題>

 転任等のやむを得ない事情のために同居していた配偶者と別居して単身で生活する者や家庭生活の維持という観点から自宅を本人の生活の本拠地とみなし得る合理的な理由のある独身者にとっての家族の住む家屋については、当該家屋と就業の場所との間を往復する行為に反復・継続性が認められるときは住居と認めて差し支えないが、「反復・継続性」とは、おおむね2か月に1回以上の往復行為又は移動がある場合に認められる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

①<H29年出題> ×

 「住居」と認められます。配偶者と別居することになったやむを得ない事情の中に、「配偶者が、引き続き就業すること」という要件があります。

(労災保険法施行規則第7条)

 

②<H25年出題> ×

「反復・継続性」とは、おおむね毎月1以上の往復行為又は移動がある場合に認められます。

 なお、「家庭生活の維持という観点から自宅を本人の生活の本拠地とみなし得る合理的な理由のある独身者にとっての家族の住む家屋は、当該家屋と就業の場所との間を往復する行為に反復・継続性が認められるときは住居と認めて差し支えない」の部分は〇です。

(H18.3.31基発第 0331042号、基労管発第0331001号、基労補発第0331003号)

社労士受験のあれこれ

解説動画です!

(労災保険法)労災保険の罰則規定

R3-171

R3.2.10 労災保険~事業主等に関する罰則

今日は労災保険です!

 

令和2年度の問題をどうぞ!

①問4-

 事業主が、行政庁から厚生労働省令で定めるところにより労災保険法の施行に関し必要な報告を命じられたにもかかわらず、報告をしなかった場合、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処される。

 

②問4-イ

 事業主が、行政庁から厚生労働省令で定めるところにより労災保険法の施行に関し必要な文書の提出を命じられたにもかかわらず、提出をしなかった場合、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処される。

 

③問4-ウ

 事業主が、行政庁から厚生労働省令で定めるところにより労災保険法の施行に関し必要な文書の提出を命じられた際に、虚偽の記載をした文書を提出した場合、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処される。

 

④問4-エ 

 行政庁が労災保険法の施行に必要な限度において、当該職員に身分を示す証明書を提示しつつ事業場に立ち入り質問をさせたにもかかわらず、事業主が当該職員の質問に虚偽の陳述をした場合、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処される。

 

⑤問4-オ

 行政庁が労災保険法の施行に必要な限度において、当該職員に身分を示す証明書を提示しつつ事業場に立ち入り帳簿書類の検査をさせようとしたにもかかわらず、事業主が検査を拒んだ場合、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

①問4-ア  〇  報告をしなかった場合

②問4-イ  〇 文書の提出をしなかった場合

③問4-ウ  〇 虚偽の記載をした文書を提出した場合

④問4-エ  〇  虚偽の陳述をした場合

⑤問4-オ  〇 検査を拒んだ場合

 

<労災保険法の罰則規定>

・事業主等に関する罰則(事業主、派遣先の事業主又は船員派遣の役務の提供を受ける者、労働保険事務組合又は特別加入に係る団体)

  → 6月以下の懲役又は30万円以下の罰金

・事業主等以外の者に関する罰則(労働者や保険給付を受ける者などが対象)

 → 6月以下の懲役又は20万円以下の罰金 

 

令和2年度の問題は、事業主に対する罰則です。

事業主に対する罰則を確認しましょう。次の2つです。

① 第46条の規定による行政庁の報告命令に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は行政庁の文書提出命令に対し、文書の提出をせず、若しくは虚偽の記載をした文書を提出した場合

② 第48条第1項の規定による職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の陳述をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合

①、②に該当した場合は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金

(労災保険法第51条)

 

こちらの問題もどうぞ!

①<H30年出題その1>

 行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者派遣法第44条第1項に規定する派遣先の事業主に対して、労災保険法の施行に関し必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずることができる。

 

②<H30年出題その2>

 行政庁は、労災保険法の施行に必要な限度において、当該職員に、適用事業の事業場に立ち入り、関係者に質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができ、立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

①<H30年出題その1> 〇

 第46条の「使用者に対する報告、出頭命令」の規定です。

 対象になるのは、労働者を使用する者、労働保険事務組合、特別加入に係る団体、派遣先の事業主、船員派遣の役務の提供を受ける者です。

(労災保険法第46条)

 

②<H30年出題その2> 〇

 第48条の「立ち入り検査」の規定です。

 対象は、適用事業の事業場、労働保険事務組合若しくは特別加入に係る団体の事務所、派遣先の事業の事業場又は船員派遣の役務の提供を受ける者の事業場です。

(労災保険法第48条)

社労士受験のあれこれ

解説動画です!

労災「第三者行為災害の調整」

R3-095

R2.11.26 第三者行為災害・保険給付と特別支給金の違い

令和2年の問題をどうぞ!

<問7-C>

 第三者の不法行為によって業務上負傷し、その第三者から同一の事由について損害賠償を受けていても、特別支給金は支給申請に基づき支給され、調整されることはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 〇 

 第三者の損害賠償と労災保険の保険給付が二重にならないよう、損害賠償と保険給付の間で調整が行われます。

 しかし、特別支給金の場合は、損害賠償との調整は行われず、損害賠償を受けていても特別支給金は支給されます。

 特別支給金は社会復帰促進等事業として行われているからです。

 特別支給金と保険給付とで違う点は意識していてくださいね。

では、もう一問どうぞ!

<R2年出題>

 労災保険法による障害補償年金、傷病補償年金、遺族補償年金を受ける者が、同一の事由により厚生年金保険法の規定による障害厚生年金、遺族厚生年金等を受けることとなり、労災保険からの支給額が減額される場合でも、障害特別年金、傷病特別年金、遺族特別年金は減額されない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】〇

 同一の事由で、労災保険法の保険給付と、社会保険(国民年金・厚生年金保険)の年金給付が支給される場合、労災保険の支給額が減額されることになっています。両方100%支給されると保障が過分になるからです。

 ただし、減額されるのは保険給付で、特別支給金は減額されずに100%支給されます。

社労士受験のあれこれ

R2年問題から~覚えるところ(労災)

R3-085

R2.11.16 <R2出題>覚える「労災・給付制限」

 令和2年の出題から、「覚えるところ」をつかみましょう。

 

ではどうぞ!

<問1-B>

 業務遂行中の負傷であれば、負傷の原因となった事故が、負傷した労働者の故意の犯罪行為によって生じた場合であっても、政府は保険給付の全部又は一部を行わないとすることはできない。

 

<問1-C>

 業務遂行中の負傷であれば、労働者が過失により自らの負傷を生じさせた場合、それが重大な過失でない限り、政府は保険給付の全部又は一部を行わないとすることはできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

<問1-B> ×

負傷の原因となった事故が、負傷した労働者の故意の犯罪行為によって生じた場合、政府は保険給付の全部又は一部を行わないことができる

「行わないとすることはできない」が誤りです。

 

 

<問1-C> 〇

保険給付の全部又は一部を行わないことができるのは、単なる過失ではなく「重大な過失」による場合です。

 

 

では、選択練習問題をどうぞ!

① 労働者が、< A >に負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその< B >となった事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行わない

② 労働者が故意の犯罪行為若しくは<  C  >により、又は正当な理由がなくて<  D  >に従わないことにより、負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 故意

B 直接の原因

C 重大な過失

D 療養に関する指示

社労士受験のあれこれ

R2年問題から~問題の意図を考える(労災)

R3-074

R2.11.5 <R2出題>問題の意図「解雇制限と労災保険の関係」

令和2年の出題から、問題の意図を考えましょう。

出題される問題には必ず意味がある!

 

ではどうぞ!

<問6-B>

 業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合に限り、その日において、使用者は労働基準法第81条の規定による打切補償を支払ったものとみなされ、当該労働者について労働基準法第19条第1項の規定によって課せられた解雇制限は解除される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 ×

 「3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合に限り」の「限り」の部分が×です。

 「労働基準法第81条の規定による打切補償を支払った」ものとみなされる日が2つあることを知ってくださいというのがこの問題の意図です。

 

 ★「打切補償を支払った」ものとみなされ、解雇制限が解除される日は次の2つのどちらかです。

①開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合はその日

又は

②療養開始後3年を経過した日後において傷病補償年金を受けることとなった場合は傷病補償年金を受けることとなった日

 まず、労働基準法では「業務上の負傷又は疾病で療養のため休業する期間」は解雇できないことになっているので、治ゆする前に解雇はできません。

 ただし、「療養の開始後3年を経過していること」、「打切補償を支払うこと」によって、解雇制限が解除される例外があります。

 

 労災保険法では、①療養開始後3年を経過した日に傷病補償年金を受けている、又は②療養開始後3年を経過した日後に傷病補償年金を受けることとなった場合は打切補償を支払ったとみなし、解雇できることになっています。

 単に傷病補償年金を受けているだけではなく、療養開始後3年経過していることがポイントです。

 ちなみに、休業補償給付から傷病補償年金の切り替えは、一番早くて療養の開始後1年6か月を経過した日ですが、1年6か月経過した日後に切り替わることもあり得るので注意してください。

 

 まず、労働基準法では「業務上の負傷又は疾病で療養のため休業する期間」は解雇できないことになっているので、治ゆする前に解雇はできません。

 ただし、「療養の開始後3年を経過していること」、「打切補償を支払うこと」によって、解雇制限が解除される例外があります。

 

 労災保険法では、①療養開始後3年を経過した日に傷病補償年金を受けている、又は②療養開始後3年を経過した日後に傷病補償年金を受けることとなった場合は打切補償を支払ったとみなし、解雇できることになっています。

 単に傷病補償年金を受けているだけではなく、療養開始後3年経過していることがポイントです。

 ちなみに、休業補償給付から傷病補償年金の切り替えは、一番早くて療養の開始後1年6か月を経過した日ですが、1年6か月経過した日後に切り替わることもあり得るので注意してください。

 

R2年問題から~選択式の勉強に活かそう(労災)

R3-065

R2.10.27 R2出題・【選択練習】特別支給金~算定基礎年額

令和2年の択一式の問題から、選択式の勉強に活かせる問題をピックアップしました。

キーワードを<   >で空欄にしています。

空欄を埋めてください。

 

R2年のアレンジ問題です

 

空欄<A>、<B>、<C>を埋めてください。

 労災保険特別支給金支給規則第6条第1項に定める特別支給金の額の算定に用いる算定基礎年額は、負傷又は発病の日以前<  A  >間(雇入後<  A  >に満たない者については、雇入後の期間)に当該労働者に対して支払われた特別給与(労働基準法第12条第4項の<  B  >期間ごとに支払われる賃金をいう。)の総額とするのが原則であるが、いわゆるスライド率(労災保険法第8条の3第1項第2号の厚生労働大臣が定める率)が適用される場合でも、算定基礎年額が<  C   >円を超えることはない。 

 (参考:問7A)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

A 1年

B 3か月を超える

C 150万

特別支給金には、「一般の特別支給金」と「ボーナス特別支給金」の2種類がありますが、「算定基礎年額」は、ボーナス特別支給金の計算の基になるものです。

 算定基礎年額とは、簡単に言うと、年間のボーナスの総額ですが、あまり高くならないように上限が設定されています。

 

<手順>

まず、(ア)と(イ)を比較して算定基礎年額を出します。

(ア)負傷又は発病の日以前1年間(雇入後1年に満たない者、雇入後の期間)の特別給与3か月を超える期間ごとに支払われる賃金をいう。)の総額

(イ)給付基礎日額×365×20%

(ア)と(イ)のどちらか低い方となります。

ただし、(ア)と(イ)が150万円を超える場合は、算定基礎年額は150万円となります。

 

関連問題をどうぞ!

<H28出題

 休業特別支給金の支給の申請に際しては、特別給与の総額について事業主の証明を受けたうえで、これを記載した届書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

なぜ、休業特別支給金の支給申請の際に、「特別給与の総額」を記載するのか?

解説はこちらの記事をどうぞ

  →R2.10.7 R2出題・難問解決策「傷病特別支給金・傷病特別年金の申請」

社労士受験のあれこれ

R2年問題から~定番問題(労災)

R3-055

R2.10.17 R2出題・不正受給者からの費用徴収

R2年の問題から定番問題をどうぞ!

 

R2年の問題です

R2年問2Cより

 偽りその他不正の手段により労災保険に係る保険給付を受けた者があるときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。

 

 R2年問2Dより

 偽りその他不正の手段により労災保険に係る保険給付を受けた者があり、事業主が虚偽の報告又は証明をしたためその保険給付が行なわれたものであるときは、政府は、その事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯してその保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部である徴収金を納付すべきことを命ずることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

R2年問2Cより  〇

 なお、「保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部」とは、受けた保険給付のうち不正受給した部分をさしています。不正受給した部分は全部回収されます。

 例えば、保険給付をまるごと全部不正受給した場合は全部回収されます。また、保険給付の一部を不正受給した場合は、不正受給した部分は全部回収されます。回収されるのは、「不正受給した金額の全部又は一部」ではありません。

 

 R2年問2Dより 〇

 不正受給に事業主が加担している場合は、事業主にも責任を負わせる趣旨です。

 

では、選択練習問題もどうぞ!

① <  A  >により保険給付を受けた者があるときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。

② ①の場合において、事業主が虚偽の報告又は証明をしたためその保険給付が行なわれたものであるときは、政府は、その事業主に対し、保険給付を受けた者と     <  B  >して①の徴収金を納付すべきことを命ずることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 偽りその他不正の手段

B 連帯

社労士受験のあれこれ

R2年問題から~難問の解決方法(労災)

R3-045

R2.10.7 R2出題・難問解決策「傷病特別支給金・傷病特別年金の申請」

択一式の問題は、7科目×10問で合計70問です。

1問の中には5つの選択肢。全体では、350の選択肢(問題文)が出題されています。

この350の問題文の中には、「試験対策としては難しすぎる」=「解けなくていい」問題文が含まれています。

 

受験勉強するにあたって、「ここまでやらないとダメなのかな・・・」と不安になってしまって、重箱の隅まで勉強してしまうのは、効率が悪く、そして続かないので。。。

 

意識してほしいのは、「満点とらなくても合格できる」ということ。

 

今日から、R2年の問題から「難問」とその解決策をお話していきます!

 

R2年の問題です

<R2・問7より>

 特別支給金の支給の申請は、原則として、関連する保険給付の支給の請求と同時に行うこととなるが、傷病特別支給金、傷病特別年金の申請については、当分の間、休業特別支給金の申請の際に特別給与の総額についての届出を行っていない者を除き、傷病補償年金又は傷病年金の支給の決定を受けた者は、傷病特別支給金、傷病特別年金の申請を行ったものとして取り扱う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 〇

保険給付の傷病(補償)年金は、職権で支給決定されるので、請求は不要です。

特別支給金(傷病特別支給金、傷病特別年金)は、「申請」が必要です。

この「申請」が今回の問題のテーマです。

 

まず、この問題の解説に入る前に、「休業特別支給金」のことについて少しだけ

 「休業(補償)給付」には特別支給金として「休業特別支給金」が上乗せされます。

また、休業(補償)給付には、ボーナス特別支給金はありません。

 しかし、休業特別支給金の申請の際は、届書に「特別給与(ボーナス)の総額」を記載することになっています。

 なぜなら、最初の休業特別支給金の申請時に特別給与の総額を届出しておけば、後で、障害特別年金、障害特別一時金、傷病特別年金、遺族特別年金、遺族特別一時金の申請を行う場合に、特別給与の総額を記載する必要がなくなるからです。

 

そこでこの問題に戻ると

・原則 特別支給金の支給の申請は、関連する保険給付の支給の請求と同時に行う

・傷病特別支給金、傷病特別年金の申請については、

 → 傷病補償年金又は傷病年金の支給の決定を受けた者は、所定の申請を行ったものとして取り扱う。(休業特別支給金の申請の際に特別給与の総額についての届出を行っていない者を除く)

 

同じ論点の問題をどうぞ!

①H24年出題

 休業特別支給金の支給の対象となる日について休業補償給付又は休業給付を受けることができる者は、当該休業特別支給金の支給の申請を、当該休業補償給付又は休業給付の請求と同時に行わなければならない。

 

②H28年出題

 休業特別支給金の支給の申請に際しては、特別給与の総額について事業主の証明を受けたうえで、これを記載した届書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

 

③H28年出題

 傷病特別支給金は、受給権者の申請に基づいて支給決定されることになっているが、当分の間、事務処理の便宜を考慮して、傷病補償年金または傷病年金の支給を受けた者は、傷病特別支給金の申請を行ったものとして取り扱って差し支えないこととされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

①H24年出題 〇

 休業特別支給金の支給の申請は、休業(補償)給付の請求と同時に行う。

 ※ 休業特別支給金の申請書と休業(補償)給付の支給請求書は、一本の様式になっている。

 

②H28年出題 〇

 

③H28年出題 〇

社労士受験のあれこれ

R2年問題から~労災保険法

R3-035

R2.9.27 R2出題・介護補償給付の最低保障額

労災保険の「介護(補償)給付」は、

親族又はこれに準ずる者の介護

・受けていない

・受けている

の2つに分けることができます。

 

 

今日のポイントは、

「親族又はこれに準ずる者の介護を受けている場合は、

「最低保障額」が適用されることです。

 

 

 

介護補償給付の問題

R2年問6E>

 介護補償給付は、親族又はこれに準ずる者による介護についても支給されるが、介護の費用として支出した額が支給されるものであり、「介護に要した費用の額の証明書」を添付しなければならないことから、介護費用を支払わないで親族又はこれに準ずる者による介護を受けた場合は支給されない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 ×

 「介護費用を支払わないで親族又はこれに準ずる者による介護を受けた場合は支給されない。」が誤りです。

親族又はこれに準ずる者による介護を受けた場合は、介護費用の支出がなくても、最低保障額(常時介護72,990円、随時介護36,500円)が支給されます。

(注)翌月からです。(後述)

 

【最低保障額が適用されるパターン】

 親族又はこれに準ずる者(友人・知人)の介護を受けている(これが大前提)

     かつ

 ①介護の費用を支出していない

   → 最低保障額(常時介護72,990円、随時介護36,500円)が支給される

 ②介護の費用を支出していて、その額が最低保障額を下回っている

   → 最低保障額(常時介護72,990円、随時介護36,500円)が支給される 

 ③介護の費用を支出していて、その額が最低保障額を上回る

   → 実費が支給される(ただし、上限(常時166,950円、随時83,480円)あり

 

最低保障額は「親族又はこれに準ずる者介護を受けている」ことが大前提です。親族等の介護の負担を補うためだと考えてください。

 ですので、問題文の「介護費用を支払わないで親族又はこれに準ずる者による介護を受けた場合」(=すべて親族等で介護したので費用がかかっていない場合)でも、親族等の負担を鑑み、最低保障額が支給されます。

 

 

では、こちらの問題もどうぞ!

<H25出題>

 介護補償給付の額は、常時介護を要する状態の被災労働者については、支給すべき事由が生じた月において介護に要する費用として支給された額が、労災保険法施行規則に定める額に満たない場合にあっては、当該介護に要する費用として支出された額である。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 〇

 介護補償給付は、「月単位」で支給されます。

 問題文の「支給すべき事由が生じた月」がポイントです。支給すべき事由が生じた月は、最低保障額は適用されません。

 

支給すべき事由が生じた月は、親族等による介護を受けていても

 ①介護の費用を支出していない場合 → 介護補償給付は支給されない

 ②介護の費用を支出していてその額が最低保障額を下回っている場合 → 実費のみ

 この問題文は②に該当するので、「当該介護に要する費用として支出された額(実費)」のみが支給されます。

シリーズ・歴史は繰り返す(労災法)

R3-025

R2.9.17 過去の論点は繰り返す(R2・労災「加重障害」)

受験勉強で大切なのは、過去の論点を知ること。

なぜなら、何回も繰り返し出題されるからです。

出題傾向をつかめば、勉強が格段に楽になります。

「歴史は繰り返す」

 

 

 

障害/加重

問題<H30年出題>

 既に業務災害による障害補償年金を受ける者が、新たな業務災害により同一の部位について身体障害の程度を加重した場合には、現在の障害の該当する障害等級に応ずる障害補償年金の額から、既存の障害の該当する障害等級に応ずる障害補償年金の額を差し引いた額の障害補償年金が支給され、その差額の年金とともに、既存の障害に係る従前の障害補償年金も継続して支給される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 〇

 例えば、既に7級の身体障害があり、新たな業務災害により同一の部位について身体障害の程度が4級に加重した場合は、

  ↓

 新しい障害等級(4級)の障害補償生年金の額から、もともとの障害等級(7級)の障害補償年金の額を差し引いた額の障害補償年金が支給されることになります。

 簡単に言うと、4級と7級の差額の障害補償年金が支給される、ということです。

  ↓

 なお、既存の障害は、業務上、業務外を問いません。

 問題文のように、既存の障害が業務上だった場合は、既存の障害補償年金(7級)は継続して支給されます。

 差額の年金と既存の年金の2本立で支給されます。

では、令和2年度の問題をどうぞ!

 

<R2年問5より>

 障害等級認定基準についての行政通知によれば、既に右示指の用を廃していた(障害等級第12級の9、障害補償給付の額は給付基礎日額の156日分)者が、新たに同一示指を亡失した場合には、現存する身体障害に係る障害等級は第11条の6(障害補償給付の額は給付基礎日額の223日分)となるが、この場合の障害補償給付の額に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 給付基礎日額の67日分

B 給付基礎日額の156日分

C 給付基礎日額の189日分

D 給付基礎日額の223日分

E 給付基礎日額の379日分

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 A 給付基礎日額の67日分

先ほどの過去問と同じ考え方です。

新しい等級(11級)と既存の等級(12級)の差額が支給されます。

223日分 - 156日分 = 67日分です。

12級も11級も「一時金」ですので、67日分の一時金が支給されます。

 

 

では、既存の等級が「一時金」、現在の等級が「年金」の場合は?

<H21年出題>

 既に業務災害による障害の障害等級に応じて障害補償一時金を支給されていた者が新たな業務災害により同一の部位について障害の程度が加重され、それに応ずる障害補償年金を支給される場合には、その額は、原則として、既存の障害に係る障害補償一時金の額の25分の1を差し引いた額による。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

 加重前の等級は「一時金」、加重後の等級が「年金」に該当するパターンです。

 この場合も、「差額」となりますが、「差額」の出し方がポイントです。

 

 例えば、加重前の等級が10級、加重後の等級が5級の場合、差額は、5級の年金額から10級の一時金の額の25分の1を差し引いて算出します。

 

ポイントは、既存の障害に係る障害補償一時金の額の25分の1であること。

 一時金は、25年分の年金をまとめて1回で支払った額とされていますので、一時金を25で割ることによって1年分の額が計算できるのです。

 

 問題文の場合、新たな等級の障害補償年金から既存の等級の障害補償一時金の額の25分の1を差し引いた額が支給されます。

 

「加重障害」の問題はパターンが3つ

加重前加重後過去問
年金(7級以上)年金(7級以上)H30年
一時金(8級以下)年金(7級以上)H21年
一時金(8級以下)一時金(8級以下)R2年

 

社労士受験のあれこれ

令和2年度 択一式の感想(労災保険法)

R3-015

R2.9.7 第52回試験・択一労災の感想

第52回社労士試験の択一式の感想を書いていきます。

 

 

令和2年度 労災 択一式

 問3の特別加入することができる「厚生労働省令で定める種類の作業」は、少々難しい。問4の罰則規定も完璧には覚えられない部分です。

 それ以外は、だいたい大丈夫だと思います。と言いましても、丸暗記で解ける問題ではなく、覚えていたことを頭の中で論理的に組み立てながら問題を解く感じになったと思います。

 

 

 問1は支給制限の問題ですが、「故意の犯罪行為」の場合、「全部又は一部を行わないことができる。」です。が、問題文は「全部又は一部を行わないとすることはできない」となっているので、文章をひっくり返して読まないといけない。「えーと」と考えるのに少し時間がかかってしまいました。

 

 問4は、「D」が正解ですが、同一の災害で身体障害が2以上ある場合に、重いほうの障害等級となる。それは「一方の障害が第14級」に該当するときという部分がポイントです。

 13級以上の障害が2以上ある場合は、重いほうを1級~3級繰り上げることになるので。

 

 問7は、「休業特別支給金」の申請は「5年」じゃなくて2年というポイントをおさえていれば、自動的に「D」が選べたと思います。

 

全体的に きちんと勉強した方にとっては、解きやすい良い問題だったと思います

社労士受験のあれこれ

令和2年度 選択振り返り(労災保険)

R3-006

R2.8.29 第52回試験・選択(労災保険)

第52回社労士試験、選択式問題を解いていきます。

次の合格のためにも、振り返りは大切なのです。

 

令和2年度 労災 選択式

「通勤」の定義からの出題です。

通勤の定義については定番問題ですが、単身赴任者の「住居間の移動」の要件の細かい部分からの出題は珍しいです。

 

住居間の移動の要件は、労働者災害補償保険法施行規則第7条に規定されています。

 

「なんとなく見たことがある」と思った方も多いのでは?

前後の文章の流れで空欄を埋めていくタイプの問題でした。

社労士受験のあれこれ

目的条文check1 労働編

R2-260

R2.8.17 労基・安衛・労災・雇用/目的条文などまとめてチェック

目的条文は要チェック!

 

 

本日は、「労基・安衛・労災・雇用/目的条文などまとめてチェック」です。

 

 

 

 

では、どうぞ!

 

問1 「労働基準法」

(労働条件の原則)

第1条 労働条件は、労働者が<  A  >を営むための必要を充たすべきものでなければならない。

② この法律で定める労働条件の<  B  >は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この<  B  >を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その<  C  >を図るように努めなければならない。

 

(労働条件の決定)

第2条 労働条件は、労働者と使用者が、<  D  >において決定すべきものである。

② 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、<  E  >各々その義務を履行しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

A 人たるに値する生活

B 基準

C 向上

D 対等の立場

E 誠実に

 

 

問2 「労働安全衛生法」

(目的)

第1条 この法律は、労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び<  A  >の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の<  B  >を確保するとともに、<  C  >の形成を促進することを目的とする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

A 自主的活動

B 安全と健康

C 快適な職場環境

 

 

問3 「労災保険法」

第1条 労働者災害補償保険は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もって労働者の<  A  >に寄与することを目的とする。

 

第2条 労働者災害補償保険は、<  B  >が、これを管掌する。

 

第2条の2 労働者災害補償保険は、第1条の目的を達成するため、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に関して保険給付を行うほか、    <  C  >を行うことができる。

 

第3条 この法律においては、労働者を使用する事業を適用事業とする。

② 前項の規定にかかわらず、国の直営事業及び<  D  >(労働基準法別表第一に掲げる事業を除く。)については、この法律は、適用しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 福祉の増進

B 政府

C 社会復帰促進等事業

D 官公署の事業

 

 

問4 「雇用保険法」

R2年4月1日改正 要チェックです!

(目的)

第1条 雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合及び労働者が<  A  >をした場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の<  B  >を図ることを目的とする。

 

(管掌)

第2条 雇用保険は、<  C  >が管掌する。

2 雇用保険の事務の一部は、政令で定めるところにより、<  D  >が行うこととすることができる。

 

(雇用保険事業)

第3条 雇用保険は、第1条の目的を達成するため、失業等給付及び<  E  >を行うほか、雇用安定事業及び能力開発事業を行うことができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

A 子を養育するための休業

B 福祉の増進

C 政府

D 都道府県知事

E 育児休業給付

社労士受験のあれこれ

横断編(不服申立て)

R2-259

R2.8.16 横断編/審査請求を棄却したものとみなすことができる

毎年、好評の横断編にいきます!

 

 

本日は、「審査請求を棄却したものとみなすことができる」です。

 

 

 

 

では、どうぞ!

 

問1 「労災保険法」

① 保険給付に関する決定に不服のある者は、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。

② ①の審査請求をしている者は、審査請求をした日から<  A  >を経過しても審査請求についての決定がないときは、労働者災害補償保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

A 3か

 

問2 「雇用保険法」

① 資格取得・喪失の確認失業等給付及び育児休業給付(以下「失業等給付等」という。)に関する処分又は不正受給に係る返還命令等に関する処分に不服のある者は、雇用保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。

② ①の審査請求をしている者は、審査請求をした日の翌日から起算して    <  B  >を経過しても審査請求についての決定がないときは、雇用保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

B 3か

 

問3 「健康保険法」

 被保険者の資格標準報酬又は保険給付に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。

 審査請求をした日から<  C  >以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。

保険料等の賦課若しくは徴収の処分又は滞納処分に不服がある者は、<  D  >に対して審査請求をすることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

C 2

D 社会保険審査会

 

 

問4 「国民年金法」

 被保険者の資格に関する処分、給付に関する処分(共済組合等が行った障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分を除く。)又は<  E  >その他この法律の規定による徴収金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。ただし、第14条の4第1項又は第2項の規定による決定については、この限りでない。

 審査請求をした日から<  F  >以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

E 保険料

F 2

 

問5 「厚生年金保険法」

① 厚生労働大臣による被保険者の資格標準報酬又は保険給付に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。ただし、第28条の4第1項又は第2項の規定による決定については、この限りでない。

② ①の審査請求をした日から<  G  >以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる

 

 厚生労働大臣による保険料その他この法律の規定による徴収金の賦課若しくは徴収の処分又は滞納処分に不服がある者は、<  H  >に対して審査請求をすることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

G 2

H 社会保険審査会

 

 棄却したものとみなすことができる

労災保険

雇用保険

審査請求をした日から3カ月を経過しても審査請求についての決定がないとき

健康保険

国民年金

厚生年金保険

審査請求をした日から2月以内に決定がないとき

 

 

 

では、こちらをどうぞ!

①<国民年金 H30年出題>

 給付に関する処分(共済組合等が行った障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分を除く。)について、社会保険審査官に対して審査請求をした場合において、審査請求をした日から2か月以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。

 

 

②<厚生年金保険法 H29年出題>

 第1号厚生年金被保険者に係る厚生労働大臣による保険料の滞納処分に不服がある者は社会保険審査官に対して、また、第1号厚生年金被保険者に係る脱退一時金に関する処分に不服がある者は社会保険審査会に対して、それぞれ審査請求をすることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

①<国民年金 H30年出題> 

2か月」がポイントです!

 

②<厚生年金保険法 H29年出題> ×

第1号厚生年金被保険者に係る厚生労働大臣による保険料の滞納処分に不服がある者の審査請求は、社会保険審査官ではなく「社会保険審査会」に対して行います。

 

 

脱退一時金については、「社会保険審査会」で〇です。

(国民年金も「脱退一時金」は、「社会保険審査会」に対して審査請求ができます。

社労士受験のあれこれ

横断編(公課の禁止)

R2-258

R2.8.15 横断編/課税されるもの、されないもの

毎年、好評の横断編にいきます!

 

 

本日は、「課税されるもの、されないもの」です。

 

 

 

 

では、どうぞ!

 

問1 「労災保険法」

<H24年出題>

 租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として課することはできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 〇

 労災保険法では、「租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として課することはできない。」と規定されています。

 ※ 労災保険の保険給付には、「現金給付」と「現金給付」があるので「金品」

 

 

問2 「雇用保険法」

<H28年出題>

 租税その他の公課は、常用就職支度手当として支給された金銭を標準