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全部?全部又は一部?一部?(労災・給付制限)

H28.6.24 金曜日は横断 給付制限(労災保険編)

先日は、健康保険法の給付制限の記事をUPしました。

5月5日の記事です。コチラ → 全部?全部又は一部?一部?(健保・給付制限)

今日は労災保険法です。健康保険法と比較してくださいね。

 

では過去問でチェックしましょう。

 

【問題① H15年選択式】

 労働者災害補償保険は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行うこと等を目的としており、労働者が、故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその< A >となった事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行わない

 行政解釈によれば、この場合における故意とは<B >をいう。例えば、業務上の精神障害によって、正常な認識、行為選択能力が著しく阻害され、又は<C >行為を思いとどまる精神的な抑制力が阻害されている状態で<C >が行われたと認められる場合には、<B >には該当しない。

 労働者が故意の<D >若しくは重大な<E >により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、もしくはその回復を妨げたときは、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。

① 逸脱  ② 意図的な恣意  ③ 違法行為  ④ 主な原因  ⑤ 過失   ⑥ 間接の原因   ⑦ 危険行為  ⑧ 結果の発生を意図した故意       ⑨ 結果の発生を意図しない故意  ⑩ 錯乱   ⑪ 自殺  ⑫ 自暴自棄   ⑬ 重大な故意  ⑭ 直接の原因  ⑮ 犯罪行為  ⑯ 非行   ⑰ 不正 ⑱ 法令違反  ⑲ 未必の故意   ⑳ 有力な原因

 

【問題② H17年出題】

  労働者又は労働者の遺族(遺族となるべき者を含む。)を故意または重大な過失により死亡させた遺族は、遺族補償給付若しくは遺族給付又は葬祭料若しくは葬祭給付を受けることができない。

 

【問題③ H20年出題】

 労働者がその過失により負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げた場合においても、その過失が重大なものでない限り、その保険給付の支給制限は行われない。

 

【問題④ H17年出題】

 常時又は随時介護を要する状態にある労働者の障害が故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたものであるときは、政府は、介護補償給付又は介護給付の全部又は一部を支給しないこととしている。

 

【問題⑤ H24年出題】

 政府は、保険給付を受ける権利を有する者が、正当な理由なく、行政の出頭命令に従わないときは、保険給付の支給決定を取り消し、支払った金額の全部又は一部の返還を命ずることができる。

 

 

 

 

 

<解答>

【問題① H15年選択式】

A ⑭ 直接の原因  B ⑧ 結果の発生を意図した故意  C ⑪ 自殺      D ⑮ 犯罪行為  E ⑤ 過失

保険給付を行わない(絶対的支給制限)故意
保険給付の全部又は一部を行わないことができる(相対的支給制限)

・故意の犯罪行為

・重大な過失

・正当な理由がなくて療養に関する指示に従わない

健康保険法と比較してみましょう

健康保険法では

「自己の故意の犯罪行為又は故意」 → 保険給付を行わない(絶対的給付制限)

◆「正当な理由なしに療養に関する指示に従わない」 → 保険給付の一部を行わないことができる(★全部又は一部ではない)

 

【問題② H17年出題】 ×

 遺族補償給付(遺族給付)の対象となる遺族としない、と規定されているのは「故意に死亡させた者」です。「重大な過失により死亡させた者」には適用されません。

 また、葬祭料若しくは葬祭給付は、欠格規定の対象ではありません。 

 

【問題③ H20年出題】 ○ 

 「単なる過失」と「重大な過失」は扱いが違うので注意しましょう。

 よくひっかけてくるポイントです。

 

【問題④ H17年出題】 ×

<相対的支給制限の対象>になる保険給付

故意の犯罪行為・重大な過失休業補償給付(休業給付)、傷病補償年金(傷病年金)、障害補償給付(障害給付)
正当な理由がなくて療養に関する指示に従わない

休業補償給付(休業給付)、傷病補償年金(傷病年金)

 ※「療養」なので障害(補償)給付は入りません。

・支給制限の対象は、傷病や障害に対する「所得補償」に当たる保険給付です。介護補償給付(介護給付)は、支給制限の対象となりません。

 

ここもポイント!

<絶対的支給制限の対象>

 「故意」の場合は「保険給付は行わない」(絶対的支給制限)と規定されています。故意の場合は、業務や通勤との因果関係が成立しないので、全ての保険給付が支給制限の対象です。ですので、「故意に傷病等の原因となった事故を生じさせた場合」は介護補償給付(介護給付)の支給は行われません。

 

 

【問題⑤ H24年出題】 ×

 保険給付を受ける者が行政庁の命令に従わないときは保険給付の支払を「一時差し止めることができる」です。

<一時差し止め>

・ 正当な理由がなくて、第12条の7の規定による届出(年金受給権者の定期報告等)をせず、若しくは書類その他の物件の提出をしないとき

・ 報告・出頭命令、受診命令に従わないとき

 

<ちなみに、健康保険法では>

「保険者は、保険給付を受ける者が、正当な理由なしに、文書の提出等の命令に従わず、又は答弁若しくは受診を拒んだときは、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。」とされています。

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