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業務災害と解雇の関係

H28.5.8  業務上の傷病と解雇制限   その2 ~労基法編~

今日は、業務上の負傷と解雇制限その2です。

その1はこちら → 「業務上の負傷と解雇制限   その1 ~労基法編~」

 

もう一度労働基準法第19条を見てみましょう。

 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によつて休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第81条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。

② 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

 

業務上の傷病で療養のために休業する期間+30日間は解雇が禁止されていますが、2つの例外が設けられています。

① 打切補償を支払う場合 (認定不要)

② 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合(行政官庁の認定が必要)

①か②の場合は、解雇が可能になります。

 

ここでチェック 打切補償とは?

第81条

 第75条の規定(療養補償)によつて補償を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、平均賃金の1200日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい。 

業務上の傷病については治るまで使用者が補償するのが原則ですが、療養開始後3年を経過しても治らない場合は、打切補償(平均賃金の1200日分)を行えば、その後は補償義務がなくなる、という規定です。

 

★★解雇制限との関係★★ 療養後3年経過して打切補償を行った → 補償義務がなくなる → 解雇も可能になる、という考え方です。

 

 

では、平成13年出題の問題を解いてみましょう。

 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業している労働者については、使用者が労働基準法第81条の規定によって打切補償を支払った場合(労働者災害補償保険法第19条によって打切補償を支払ったものとみなされた場合を含む。)にのみ労働基準法第19条1項の解雇制限の規定の適用が除外される。

 

 

 

 

 

【解答】 ×

打切補償を支払った場合のみではなく、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合にも、解雇制限の規定の適用が除外されます。

ちなみに、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合は、行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定が必要です。(打切補償の場合は認定不要です。)

 

 

さて、労働基準法の「災害補償」の義務は、実際は「労働者災害補償保険法」が代行しています。

労災保険法と解雇制限の関係については、次回お話ししますね。

→ 業務上の傷病と解雇制限 ~労災保険編~はコチラ

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