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労災保険法 令和2年9月改正その4

R3-298

R3.6.17 複数事業労働者の給付基礎日額~具体例

 令和2年9月1日から、複数事業労働者に係る給付基礎日額の算定及び複数業務要因災害に係る労災保険制度が施行されています。

複数事業労働者とは → R3.6.14 労災(改正)複数事業労働者とは?

複数業務要因災害とは → R3.6.15 労災(改正)複数業務要因災害とは?

複数事業労働者の給付基礎日額 → R3.6.16 複数事業労働者の給付基礎日額の算定について

 今日のテーマは、複数事業労働者の給付基礎日額の具体例です。

 

まずは、労働基準法の平均賃金の出し方を確認しましょう。

労働基準法第12条

1.労働基準法で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前< A >か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の< B >で除した金額をいう。

 ただし、その金額は、次の各号の一によつて計算した金額を下ってはならない。

① 賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に< C >で除した金額の< D >

② 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によつて定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と①の金額の合算額

2. 1.の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 3

B 総日数

C 労働した日数

D 100分の60

<原則>

 算定事由発生日以前3か月間の賃金総額 ÷  その期間の総日数(※就労日数ではなく、暦日数です)

<最低保障額> 時間額や日額、出来高給の場合

算定事由発生日以前3か月間の賃金総額 ÷ 労働日数 × 100分の60

 

※注意点

 ・算定事由発生日の前日から遡ります。

 ・賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から遡ります。

 

 

複数事業労働者の給付基礎日額の注意点

<労働基準法の平均賃金の最低保障について>

・複数事業労働者の給付基礎日額相当額

 → 時給や日給制等の場合、労基法の規定では、平均賃金の算定について最低保障の適用があります。しかし、労災保険法では、特例により、労基法の規定による最低保障は適用しない金額を給付基礎日額相当額とする、とされています。

(具体例)

A社とB社の2社で就業している場合

A社 → 月給15万円

B社 → 日給1万円で月9日勤務

直近3カ月の総日数は90日

■計算式■

A社 → 15万円×3か月÷90日 = 5,000円

B社 → 1万円×9日×3か月÷90日 = 3,000円※

給付基礎日額は、A社(5,000円)+B社(3,000円)=8,000円となります。

※B社は日給制なので、労働基準法では平均賃金の最低保障額が適用されます。

最低保障は、(10,000円×9日)×3か月÷(9日×3か月)×100分の60 = 6,000円となります。しかし、労災則第9条第1項第4号に基づく給付基礎日額相当額の特例として、労基法第12 条第1項ただし書の規定(最低保障)の適用を受けないものとした場合の金額を、給付基礎日額相当額とすることになります。

 

ちなみに・・・

 各事業場の「平均賃金の最低保障額」が「合算後の額」より高い場合

 →各事業の平均賃金の最低保障額のうち、最も高い額が給付基礎日額となります。

 

参照:労災保険法第8条、則9条の2の2、令和2.8.21基発0821第2号

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