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社会保険労務士合格研究室

令和5年度過去問で解ける問題 労災保険法

R6-083

R5.11.18 労災保険と「厚生年金保険・国民年金」との調整

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は労災保険法です。

 

 労災保険の保険給付と、「国民年金・厚生年金保険」の年金は、併給できます。

 ただし、同一の事由」で支給される場合は、「労災保険」の年金たる保険給付が減額されます。同一事由による補償が二重になることを防ぐためです。労災年金は減額されますが、「国民年金・厚生年金」は全額支給されます。「国民年金・厚生年金」は、本人が保険料を負担することにより、支給されるものだからです。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H18年出題】(修正あり)

 労災保険の年金たる保険給付(以下「労災年金」という。)と同一の事由により厚生年金保険の年金たる保険給付又は国民年金の年金たる給付が支給される場合でも、労災年金は、給付基礎日額に所定の日数分を乗じて得た額が全額支給される。

 

 

②【H12年出題】

 休業補償給付の額は、原則として1日につき給付基礎日額の100分の60に相当する額であるが、休業補償給付を受ける労働者が同一の事由について厚生年金保険法の規定による障害厚生年金又は国民年金法の規定による障害基礎年金を受けることができるときは、その額が調整されて減額されることとなる。

 

 

③【H12年出題】

 労災保険の各種年金給付の額は、その受給者が同時に厚生年金保険法の規定による老齢厚生年金又は国民年金法の規定による老齢基礎年金を受けることができる場合でも、これらとは給付事由が異なるので、これらの事由により調整されて減額されることはない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H18年出題】 × 

 労災年金と「同一の事由」により厚生年金保険の年金又は国民年金の年金が支給される場合は、労災年金は、「減額」して支給されます。

(法別表第1

 

 

②【H12年出題】 〇

 休業補償給付を受ける労働者が「同一の事由」について厚生年金保険法の規定による障害厚生年金又は国民年金法の規定による障害基礎年金を受けることができるときは、休業補償給付の額が減額されます。

(法第14条第2項)

 同一の事由で厚生年金・国民年金が支給される場合に調整される労災保険の保険給付は、年金だけでなく休業補償給付も対象になります。

 

 

③【H12年出題】 〇

 同時に厚生年金保険法の老齢厚生年金又は国民年金法の老齢基礎年金を受けることができる場合でも、労災年金は、全額支給されます。給付事由が異なるためです。

 

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

【R5年出題】

(ア)

 同一の事由により障害補償年金と障害厚生年金及び障害基礎年金を受給する場合、障害補償年金の支給額は、0.73の調整率を乗じて得た額とする。

 

(イ)

 障害基礎年金のみを既に受給している者が新たに障害補償年金を受け取る場合、障害補償年金の支給額は、0.83の調整率を乗じて得た額となる。

 

(ウ)

 障害基礎年金のみを受給している者が遺族補償年金を受け取る場合、遺族補償年金の支給額は、0.88の調整率を乗じて得た額となる。

 

(エ)

 同一の事由により遺族補償年金と遺族厚生年金及び遺族基礎年金を受給する場合、遺族補償年金の支給額は、0.80の調整率を乗じて得た額となる。

 

(オ)

 遺族基礎年金のみを受給している者が障害補償年金を受け取る場合、障害補償年金の支給額は、0.88の調整率を乗じて得た額となる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

(ア) 〇

 「同一の事由」により障害補償年金と「障害厚生年金及び障害基礎年金」を受給する場合、障害補償年金は減額され、障害補償年金の額は、調整率を乗じて得た額となります。問題文の場合、調整率は「0.73」です。

(別表第1)

政令で定める率の一覧表(施行令第2条~第7条) 

 

 

厚生年金

国民年金

 

厚生年金のみ

 

国民年金のみ

障害補償年金

複数事業労働者障害年金

障害年金

障害厚生年金

+障害基礎年金

0.73

障害厚生年金

 

0.83

障害基礎年金

 

0.88

傷病補償年金

複数事業労働者傷病年金

傷病年金             

障害厚生年金

+障害基礎年金

0.73

障害厚生年金

 

0.88

障害基礎年金

 

0.88

遺族補償年金

複数事業労働者遺族年金

遺族年金

遺族厚生年金

+遺族基礎年金

又は寡婦年金

0.80

遺族厚生年金

 

 

0.84

遺族基礎年金

又は寡婦年金

 

0.88

休業補償給付の額を調整する場合は、傷病補償年金と同じ調整率を使います。

 

(イ) ×

 既に受給している障害基礎年金と、新たに受け取る障害補償年金は、支給事由が異なります。そのため、障害補償年金の額は調整されず、全額が支給されます。

 

(ウ) ×

 障害基礎年金と遺族補償年金は支給事由が異なりますので、遺族補償年金は全額支給されます。

 

(エ) 〇

 同一の事由により遺族補償年金と「遺族厚生年金及び遺族基礎年金」を受給する場合、遺族補償年金の支給額は、0.80を乗じて得た額となります。

 

(オ) ×

 遺族基礎年金と障害補償年金は支給事由が異なりますので、障害補償年金は、全額支給されます。

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