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社会保険労務士合格研究室

令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-088

R5.11.23 経過的加算額のしくみ

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 

今日のテーマは経過的加算額です。

60歳台前半に支給される「特別支給の老齢厚生年金」は、定額部分と報酬比例部分で構成されています。

65歳以降は、「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」で構成されます。

 

60                                                   65

 

報酬比例部分

 

 

 

老齢厚生年金

 

定額部分

経過的加算額

 

老齢基礎年金

 

★ 定額部分の額の計算式を確認しましょう ★

 定額部分の額は、1,628円×改定率×被保険者期間の月数です。

 ただし、定額単価の1,628円は、昭和2141日以前に生まれた者は、生年月日に応じた読み替えがあります。

 また、被保険者期間の月数には上限があり、例えば昭和2142日以降に生まれた者は480月が上限です。

 

★ 老齢基礎年金の計算式を確認しましょう ★

 保険料納付済期間が480月の場合、老齢基礎年金の額は、満額の780,900円×改定率です。

 ただし、保険料納付済期間が480月未満の場合は、免除期間や合算対象期間等の月数に応じて、老齢基礎年金の額が減額されます。

 

ポイント!

★ 定額部分と老齢基礎年金の計算式が異なっているのがポイントです。当分の間は、定額部分の方が老齢基礎年金より高くなります。老齢基礎年金と定額部分の差をうめるためのものが、「経過的加算額」です。

 

★定額部分と老齢基礎年金の違いを確認しましょう ★

 

昭和363月以前の期間

20歳未満、60歳以後の期間

定 額 部 分

計算に入る

計算に入る

老齢基礎年金

合算対象期間

合算対象期間

 

 

では、過去問をどうぞ!

R3年出題】

 厚生年金保険の被保険者期間の月数にかかわらず、60歳以上の厚生年金保険の被保険者期間は、老齢厚生年金における経過的加算額の計算の基礎とされない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R3年出題】 × 

60歳以上の厚生年金保険の被保険者期間は、経過的加算額の計算の基礎となります。定額部分の計算には、「60歳以上の厚生年金保険の被保険者期間」が入るからです。

 経過的加算額は、定額部分と老齢基礎年金の差額です。

 ちなみに、経過的加算額を計算する際の老齢基礎年金は、「厚生年金保険の被保険者期間」だけで計算することがポイントです。

では、令和5年の問題をどうぞ

R5年出題】

 今年度65歳に達する被保険者甲と乙について、20歳に達した日の属する月から60歳に達した日の属する月の前月まで厚生年金保険に加入した甲と、20歳に達した日の属する月から65歳に達した日の属する月の前月まで厚生年金保険に加入した乙とでは、老齢厚生年金における経過的加算の額は異なる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 × 

 甲と乙の経過的加算の額は、同額です。

★甲の経過的加算について

 甲は保険料納付済期間が20歳から60歳までの480月です。

・定額部分に相当する額 → 1,628円×改定率×480

・老齢基礎年金の額 → 780,900円×改定率×480分の480

20歳から60歳まで全て保険料納付済期間(すべて厚生年金保険の被保険者期間)ですので、満額の老齢基礎年金が支給されます。

・経過的加算の計算式 

→ (1,628×改定率×480月)-(780,900×改定率×480分の480)

 

★乙の経過的加算について

 乙は、厚生年金保険に45年間(540月)加入していますが、老齢基礎年金の計算上、保険料納付済期間は20歳から60歳までの480月で、60歳から65歳までの60月は「合算対象期間」となります。

・定額部分に相当する額 → 1,628×改定率×480

 定額部分には、480月の上限があることに注意してください。

・老齢基礎年金の額 → 780,900×改定率×480分の480

20歳から60歳まで全て保険料納付済期間ですので、満額の老齢基礎年金が支給されます。合算対象期間は老齢基礎年金の年金額には反映しません。

 

・経過的加算の計算式 

→ 甲と同じ、(1,628×改定率×480月)-(780,900×改定率×480分の480)です。 

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