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社会保険労務士合格研究室

令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-102

R5.12.7 経過的寡婦加算の支給停止

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 経過的寡婦加算は、遺族厚生年金を受けている65歳以上の妻に支給されるものです。

 昭和3141日以前生まれの妻が対象です。

 

条文を読んでみましょう。

S60附則第73条第1項 (遺族厚生年金の加算の特例)

 中高齢寡婦加算の要件を満たした遺族厚生年金の受給権者であって昭和3141日以前に生まれた者(死亡した厚生年金保険の被保険者又は被保険者であった者の妻であった者に限る)がその権利を取得した当時65歳以上であったとき、又は中高齢寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権者であって昭和3141日以前に生まれたもの65歳に達したときは、当該遺族厚生年金の額に、経過的寡婦加算を加算する。

 ただし、当該遺族厚生年金の受給権者が、国民年金法による障害基礎年金又は旧国民年金法による障害年金の受給権を有するとき(その支給を停止されているときを除く)は、その間、当該加算する額に相当する部分の支給を停止する

 

(経過的寡婦加算の額)

①から②を控除して得た額

① 中高齢寡婦加算の額

② 老齢基礎年金の額に妻の生年月日別に定められた率を乗じて得た額

 

経過的寡婦加算が加算される妻は、次のどちらかに当てはまる場合です。

65歳以上で遺族厚生年金の受給権が発生したとき(中高齢寡婦加算が加算される要件を満たしていること)

・中高齢寡婦加算が加算されていた遺族厚生年金の受給権者である妻が65歳に達したとき

※どちらも、昭和3141日以前生まれの妻であることが条件です。

 

 

まず、過去問を解いてみましょう

①【R3年出題】

 昭和3241日生まれの妻は、遺族厚生年金の受給権者であり、中高齢寡婦加算が加算されている。当該妻が65歳に達したときは、中高齢寡婦加算は加算されなくなるが、経過的寡婦加算の額が加算される。

 

 

②【H21年出題】

 遺族厚生年金の受給権者である妻で一定の要件を満たす者に加算される中高齢寡婦加算の額は、妻の生年月日に応じた率を使用し算出されるが、経過的寡婦加算の額は、当該妻の生年月日にかかわらず、一定の金額とされている。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 ×

 中高齢寡婦加算は、妻が65歳に達したときは加算されなくなり、65歳以降は経過的寡婦加算が加算されます。

 ただし、65歳以降、経過的寡婦加算の額が加算されるのは、昭和3141日以前生まれの者に限られます。

 そのため、昭和3241日生まれの妻については、65歳まで中高齢寡婦加算が加算されますが、65歳以降、経過的寡婦加算額は加算されません。

S60附則第73条第1項)

 

②【H21年出題】 ×

 中高齢寡婦加算の額は、「遺族基礎年金の額×4分の3」で、妻の生年月日にかかわらず、定額です。

 経過的寡婦加算の額は、妻の生年月日に応じた率を使用し算出されます。

 経過的寡婦加算の額の計算式を確認しましょう。

  ↓

 中高齢寡婦加算の額 - 老齢基礎年金の額×生年月日に応じた乗率

 生年月日に応じた乗率は、例えば、昭和2年4月1日以前生まれは「0」、昭和3042日生まれから昭和3141日以前生まれは「480分の348」です。

 経過的寡婦加算の額は、生年月日が若くなるほど少なくなるのがポイントです。

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 経過的寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権者である妻が、障害基礎年金の受給権を有し、当該障害基礎年金の支給がされているときは、その間、経過的寡婦加算は支給が停止される。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 〇 

 経過的寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権者である妻が、障害基礎年金を受給する場合は、その間、経過的寡婦加算の支給が停止されます。

 障害基礎年金によって、1階部分の年金額は、満額が保障されるからです。

S60附則第73条第1項)

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