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社会保険労務士合格研究室

令和5年の問題より 厚生年金保険法

R6-105

R5.12.10 特例的な繰下げみなし増額制度

今日は、令和5年度の厚生年金保険法の改正点です。

 

令和54月の改正で創設された「特例的な繰下げみなし増額制度」をみていきます。

 

条文を読んでみましょう。

44条の3第5

 老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる者が、その受給権を取得した日から起算して5年を経過した日に当該老齢厚生年金を請求し、かつ、当該請求の際に繰下げの申出をしないときは、当該請求をした日の5年前の日繰下げの申出があったものとみなす。ただし、その者が次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

1 当該老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して15年を経過した日以後にあるとき。

2 当該請求をした日の5年前の日以前他の年金たる給付の受給権者であったとき。

 

ポイントを確認しましょう!

 

<改正前>

・65歳で老齢厚生年金の受給権を取得し、裁定請求しないまま73歳になりました。

73歳で老齢厚生年金を裁定請求し、かつ繰下げの申出をしない場合、73歳からさかのぼって5年分の年金がまとめて支給されます。改正前は、まとめて支給される5年分には繰下げの増額分は加算されませんでした。なお、65歳から68歳までの3年分は時効で消滅します。

 

<改正後の変更点>

65歳で老齢厚生年金の受給権を取得し、裁定請求しないまま73歳になりました。

73歳で老齢厚生年金を裁定請求し、かつ繰下げの申出をしない場合、「請求をした日の5年前の日に繰下げの申出があったものとみなす」ことになりました。

 そのため、遡ってまとめて支給される5年分の年金には、繰下げによる増額分が加算されます。

★なお、「特例的な繰下げみなし増額制度」は、「老齢厚生年金の受給権取得日から15年経過した日以後」、「請求をした日の5年前の日以前に他の年金たる給付障害や遺族の年金)の受給権者であった」ときは、適用されません。

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

65歳到達時に老齢厚生年金の受給権が発生していた者が、72歳のときに老齢厚生年金の裁定請求をし、かつ、請求時に繰下げの申出をしない場合には、72歳から遡って5年分の年金給付が一括支給されることになるが、支給される年金には繰下げ加算額は加算されない。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 × 

 請求をした日の5年前の日に繰下げの申出があったものとみなされますので、72歳から遡って一括支給される5年分の年金には、繰下げ加算額が加算されます。

(第44条の3第5項)

 

65歳        67歳            72

(受給権発生)   (5年前)         (裁定請求)

 

繰下げ加算額

 

繰下げ待機期間

 

5年分を一括支給

 

  

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