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社会保険労務士合格研究室

令和5年度過去問で解ける問題 厚生年金保険法

R6-140 

R6.1.14 離婚時みなし被保険者期間の扱い

過去問で解ける問題をみていきましょう。

今日は厚生年金保険法です。

 

 

条文を読んでみましょう。

78条の6第1項~3

① 実施機関は、標準報酬改定請求があった場合において、第1号改定者が標準報酬月額を有する対象期間に係る被保険者期間の各月ごとに、当事者の標準報酬月額をそれぞれ次の各号に定める額に改定し、又は決定することができる。

1) 第1号改定者 

 改定前の標準報酬月額に一から改定割合按分割合を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した率をいう。)控除して得た率を乗じて得た額

2) 第2号改定者 

 改定前の標準報酬月額(標準報酬月額を有しない月にあっては、零)に、第1号改定者の改定前の標準報酬月額に改定割合を乗じて得た額を加えて得た額

② 実施機関は、標準報酬改定請求があった場合において、第1号改定者が標準賞与額を有する対象期間に係る被保険者期間の各月ごとに、当事者の標準賞与額をそれぞれ次の各号に定める額に改定し、又は決定することができる。

1) 第1号改定者

 改定前の標準賞与額に一から改定割合を控除して得た率を乗じて得た額

2) 第2号改定者

 改定前の標準賞与額(標準賞与額を有しない月にあっては、零)に、第1号改定者の改定前の標準賞与額に改定割合を乗じて得た額を加えて得た額

③ 対象期間のうち第1号改定者の被保険者期間であって第2号改定者の被保険者期間でない期間については、第2号改定者の被保険者期間であったものとみなす

 

★③が「離婚時みなし被保険者期間」です。

 例えば、夫が第1号改定者、妻が第2号改定者で妻が標準報酬月額を有しない場合

 

 

 

 

標準報酬月額

 

 

 

 
 

       ↓

      分 割

       ↓

 

 

 

標準報酬月額

標準報酬月額

 

 妻(第2号改定者)は厚生年金保険の被保険者でないのがポイントです。

 しかし、離婚分割によって報酬額の記録が分割され、第2号改定者の厚生年金保険の被保険者期間であったものとみなされます。この期間を離婚時みなし被保険者期間といいます。

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H29年出題】

 離婚時みなし被保険者期間は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の額の計算の基礎とはされない。

 

 

②【H27年出題】

 厚生年金保険の被保険者期間が離婚時みなし被保険者期間としてみなされた期間のみである者は、特別支給の老齢厚生年金を受給することはできない。

 

 

③【R3年出題】

 老齢厚生年金に配偶者の加給年金額が加算されるためには、老齢厚生年金の年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上という要件があるが、当該被保険者期間には、離婚時みなし被保険者期間を含めることはできない。

 

 

④【H28年出題】※改正による修正あり

 国民年金の第1号被保険者期間のみを有していた者が、離婚時みなし被保険者期間を有するに至ったことにより老齢厚生年金の受給権を取得した後に死亡した場合(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)は、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H29年出題】 〇

 離婚時みなし被保険者期間は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の額の計算には入りません。

 なお、報酬比例部分の計算には入ります。

(法附則第17条の10

 

 

②【H27年出題】 〇

 特別支給の老齢厚生年金を受給するには、1年以上の厚生年金保険の被保険者期間が必要ですが、「離婚時みなし被保険者期間」は1年の計算に入りません。

 そのため厚生年金保険の被保険者期間が離婚時みなし被保険者期間としてみなされた期間のみの場合は、特別支給の老齢厚生年金は支給されません。

(法附則第17条の10

 

 

③【R3年出題】 〇 

 老齢厚生年金に配偶者の加給年金額が加算されるためには、厚生年金保険の被保険者期間が240月以上必要です。その被保険者期間には、離婚時みなし被保険者期間は含まれません。

(法第78条の11

 

 

④【H28年出題】 〇

 老齢厚生年金の受給権を取得した後に死亡した場合(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)は、遺族厚生年金の長期要件に該当します。

 遺族厚生年金の長期要件には、「離婚時みなし被保険者期間を有する者を含む。」とされています。

 そのため、国民年金の第1号被保険者期間のみを有していた者が、離婚時みなし被保険者期間を有するに至ったことにより、老齢厚生年金の受給権を取得した後に死亡した場合(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)は、遺族厚生年金の長期要件を満たします。

(法第78条の11

 

では、令和5年の問題をどうぞ!

R5年出題】

 特別支給の老齢厚生年金の受給資格要件の1つは、1年以上の被保険者期間を有することであるが、この被保険者期間には、離婚時みなし被保険者期間を含めることができる。

 

 

 

 

 

 

【解答】

R5年出題】 ×

 特別支給の老齢厚生年金の受給資格要件の「1年以上の被保険者期間」には、離婚時みなし被保険者期間は含まれません。

(法附則第17条の10

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