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社会保険労務士合格研究室

過去問から学ぶ 労働保険徴収法

R6-150 

R6.1.24 有期事業の一括のポイントを全てチェック!

過去問から学びましょう。

今日は労働保険徴収法です。

 

条文を読んでみましょう。

7条 (有期事業の一括)

2以上の事業が次の要件に該当する場合には、この法律の規定の適用については、その全部を一の事業とみなす

1) 事業主が同一人であること。

2) それぞれの事業が、事業の期間が予定される事業(以下「有期事業」という。)であること。

3) それぞれの事業の規模が、厚生労働省令で定める規模以下であること。

4) それぞれの事業が、他のいずれかの事業の全部又は一部と同時に行なわれること。

5) 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める要件に該当すること。

 

則第6条 (有期事業の一括)

① 法第7条第3号の厚生労働省令で定める規模以下の事業は、次の各号に該当する事業とする。

1) 概算保険料の額に相当する額が160万円未満であること。

2) 立木の伐採の事業にあっては、素材の見込生産量が1,000立方メートル未満であり、建設の事業にあっては、請負金額が1億8,000万円未満であること。

② 法第7条第5号の厚生労働省令で定める要件は、次のとおりとする。

1) それぞれの事業が、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、建設の事業であり、又は立木の伐採の事業であること。

2) それぞれの事業が、事業の種類(別表第一に掲げる事業の種類をいう。)同じくすること。

3) それぞれの事業に係る労働保険料の納付の事務が一の事務所で取り扱われること。

③ 法第7条の規定により一の事業とみなされる事業に係るこの省令の規定による事務については、前項3)の事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長及び労働基準監督署長を、それぞれ、所轄都道府県労働局長及び所轄労働基準監督署長とする。 

 

ポイント!

★一括の対象になる事業の規模をおさえましょう。

<建設の事業>

 概算保険料が160万円未満かつ請負金額が1億8,000万円未満

<立木の伐採の事業>

 概算保険料が160万円未満かつ素材の見込生産量が1,000立方メートル未満

 

★有期事業の一括で一括されるのは、「労災保険」の保険関係のみです。雇用保険は一括されません。

 

 

では、過去問をどうぞ!

 

①【H24年出題】(労災)

 有期事業の一括は法律上一定の要件に該当する場合には当然に行われるものであり、事業主からの申請、都道府県労働局長による承認は不要である。

 

 

②【H30年出題】(労災)

2以上の有期事業が労働保険徴収法による有期事業の一括の対象になると、それらの事業が一括されて一の事業として労働保険徴収法が適用され、原則としてその全体が継続事業として取り扱われることになる。

 

 

③【R3年出題】(労災)

 有期事業の一括が行われる要件の一つとして、それぞれの事業が、労災保険に係る保険関係が成立している事業であり、かつ建設の事業又は立木の伐採の事業であることが定められている。

 

 

④【R3年出題】(労災)

 有期事業の一括が行われるには、当該事業の概算保険料の額(労働保険徴収法第15条第2項第1号又は第2号の労働保険料を算定することとした場合における当該労働保険料の額)に相当する額が160万円未満でなければならない。

 

 

⑤【H28年出題】(労災)

 当初、独立の有期事業として保険関係が成立した事業が、その後、事業の規模が変動し有期事業の一括のための要件を満たすに至った場合は、その時点から有期事業の一括の対象とされる。

 

 

⑥【R3年出題】(労災)

 建設の事業に有期事業の一括が適用されるには、それぞれの事業の種類を同じくすることを要件としているが、事業の種類が異なっていたとしても、労災保険率が同じ事業は、事業の種類を同じくするものとみなして有期事業の一括が適用される。

 

 

⑦【R3年出題】(労災)

 同一人がX株式会社とY株式会社の代表取締役に就任している場合、代表取締役が同一人であることは、有期事業の一括が行われる要件の一つである「事業主が同一人であること」に該当せず、有期事業の一括は行われない。

 

 

⑧【R3年出題】(労災)

 X会社がY会社の下請として施工する建設の事業は、その事業の規模及び事業の種類が有期事業の一括の要件を満たすものであっても、X会社が元請として施工する有期事業とは一括されない。

 

 

⑨【H28年出題】(労災)

 有期事業の一括が行われると、その対象とされた事業はその全部が一つの事業とみなされ、みなされた事業に係る労働保険徴収法施行規則による事務については、労働保険料の納付の事務を行うこととなる一つの事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長及び労働基準監督署長が、それぞれ、所轄都道府県労働局長及び所轄労働基準監督署長となる。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H24年出題】(労災)  〇

 有期事業の一括は法律上一定の要件に該当する場合には当然に行われるのがポイントです。申請や承認などの手続は不要です。

S40.7.31基発901号)

 

②【H30年出題】(労災) 〇

 有期事業の一括の対象になると、原則としてその全体が継続事業として取り扱われます。労働保険料の申告や納付は、継続事業と同じように年度更新で行います。

S40.7.31基発901号)

 

③【R3年出題】(労災) 〇 

 有期事業の一括の対象になるのは、建設の事業・立木の伐採の事業です。また、労災保険に係る保険関係のみが対象です。

 

 

④【R3年出題】(労災) 〇 

 有期事業の一括が行われるには、当該事業の概算保険料の額が160万円未満でなければなりません。

(則第6条第1項第1号)

 

 

⑤【H28年出題】(労災) × 

 独立の有期事業として保険関係が成立した事業が、その後、事業の規模が縮小し有期事業の一括のための要件を満たしたとしても、有期事業の一括の対象にはなりません。

 ちなみに、有期事業の一括の対象になっていた事業の規模が拡大し要件を満たさなくなったとしても、一括の対象からは除外されません。

 

 

⑥【R3年出題】(労災) × 

 「それぞれの事業が、事業の種類(労災保険率表による事業の種類をいう。)を同じくすること。」が、有期事業の一括の要件です。労災保険率が同じでも、事業の種類が異なっている場合は、有期事業の一括は適用されません。

(則第6条第2項第2号)

 

 

⑦【R3年出題】(労災) 〇 

 有期事業の一括の条件の一つに、「事業主が同一人であること」があります。「事業主が同一人」とは、「同一企業」ということです。同一人がX株式会社とY株式会社の代表取締役に就任している場合は、事業主が同一人であることに該当しないので、有期事業の一括は行われません。

(法第7条第1号)

 

 

⑧【R3年出題】(労災) 〇

 数次の請負による建設の事業の場合、徴収法上の事業主は、原則として元請負人になります。(法第8条)

 そのため、X会社がY会社の下請として施工する建設の事業では、X会社は下請負人で、徴収法上は事業主になりません。

 X会社がY会社の下請負人として施工する事業は、X会社が元請として施工する有期事業とは一括されません。元請のY会社の工事に一括されます。

(法第7条)

 

 

⑨【H28年出題】(労災) 〇 

 有期事業の一括の対象となった事業の労働保険徴収法施行規則による事務については、労働保険料の納付の事務を行うこととなる一つの事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長及び労働基準監督署長が、それぞれ、所轄都道府県労働局長及び所轄労働基準監督署長となります。

(則第6条第3項)

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