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社会保険労務士合格研究室

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-156 

R6.1.30 就業規則の作成・届出の義務

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

 

条文を読んでみましょう。

89条 (作成及び届出の義務)

 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

1) 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

2) 賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

3) 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

4) 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

5) 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

6) 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

7) 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

8) 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

9) 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

10) 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

11) 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

 

90条 (作成の手続)

① 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない

② 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない

 

 

ポイント!

89条の(1)、(2)、(3)は就業規則に必ず記載しなければならない絶対的必要記載事項です。

4)から(11)は、定めをする場合は記載しなければならない相対的必要記載事項です。

 

では、過去問をどうぞ!

①【R2年出題】

 派遣元の使用者は、派遣中の労働者だけでは常時10人以上にならず、それ以外の労働者を合わせてはじめて常時10人以上になるときは、労働基準法第89条による就業規則の作成義務を負わない。

 

 

②【R2年出題】

 1つの企業が2つの工場をもっており、いずれの工場も、使用している労働者は10人未満であるが、2つの工場を合わせて1つの企業としてみたときは10人以上となる場合、2つの工場がそれぞれ独立した事業場と考えられる場合でも、使用者は就業規則の作成義務を負う。

 

 

③【R2年出題】

 慣習等により、労働条件の決定変更につき労働組合との協議を必要とする場合は、その旨を必ず就業規則に記載しなければならない。

 

 

④【R3年出題】

同一事業場において当該事業場の全労働者の3割について適用される就業規則を別に作成する場合、当該事業場において当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数で組織する労働組合又は当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数を代表する者の意見を聴くことで、労働基準法第90条による意見聴取を行ったこととされる。

 

 

⑤【H26年出題】

 労働基準法第90条に定める就業規則の作成又は変更についての過半数労働組合、それがない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聴取する義務については、文字どおり労働者の団体的意見を求めるということであって、協議することまで使用者に要求しているものではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R2年出題】 × 

 常時10人以上の労働者を使用する使用者には、就業規則の作成・届け出義務があります。

 派遣中の労働者とそれ以外の労働者を合わせて常時10人以上使用する派遣元の使用者は、就業規則の作成・届出義務を負います。

 派遣労働者の就業規則は、「派遣元使用者」が作成・届出義務を負うことに注意して下さい。

S61.6.6基発333号)

 

 

②【R2年出題】 ×

 労働基準法は、企業単位ではなく事業場単位で適用されます。

 1つの企業が2つの工場をもっている場合は、それぞれの工場で労働基準法が適用されます。どちらの工場も使用している労働者が10人未満の場合は、就業規則の作成・届出義務はありません。

 

 

 

③【R2年出題】 × 

 慣習等により、労働条件の決定変更につき労働組合との協議を必要とする場合、その旨を就業規則に記載するかどうかは、当事者の自由です。

S23.10.30基発1575号)

 

 

④【R3年出題】 × 

同一事業場で、当該事業場の全労働者の3割について適用される就業規則を別に作成することは可能です。

 その場合、3割の労働者に適用される就業規則も当該事業場の就業規則の一部です。

 そのため、当該事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合又は全労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければなりません。

 当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数で組織する労働組合等の意見を聴くだけでは、労働基準法第90条による意見聴取を行ったことにはなりません。

S63.3.14基発150号)

 

 

⑤【H26年出題】 〇 

 労働基準法第90条に定める意見を聴取する義務は、労働者の団体的意見を求めるということで、協議までは要求していません。

 就業規則についての意見を聴けば、労働基準法違反になりません。

S25.3.15基収525号) 

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