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社会保険労務士合格研究室

過去問から学ぶ 雇用保険法

R6-159 

R6.2.2 高年齢雇用継続基本給付金のポイント

過去問から学びましょう。

今日は雇用保険法です。

 

 高年齢雇用継続給付には、「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」がありますが、今日は、「高年齢雇用継続基本給付金」を中心にみていきます。

 高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以上65歳未満の方が対象です。原則として60歳以降の賃金が、60歳時点の75%未満になった場合に、支給されます。

 

 条文を読んでみましょう。

61条第1項 (高年齢雇用継続基本給付金)

 高年齢雇用継続基本給付金は、被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者除く)に対して支給対象月に支払われた賃金の額(支給対象月において非行、疾病その他の厚生労働省令で定める理由により支払を受けることができなかった賃金がある場合には、その支払を受けたものとみなして算定した賃金の額。)が、当該被保険者を受給資格者と、当該被保険者が60歳に達した日を受給資格に係る離職の日とみなして算定されることとなる賃金日額に相当する額(以下「みなし賃金日額」という。)30を乗じて得た額100分の75に相当する額を下るに至った場合に、当該支給対象月について支給する。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。

1) 当該被保険者を受給資格者と、当該被保険者が60歳に達した日又は当該支給対象月においてその日に応当する日(その日に応当する日がない月においては、その月の末日。)を基準日とみなして算定基礎期間に相当する期間が、5年に満たないとき。

2) 当該支給対象月に支払われた賃金の額が、370,452円以上であるとき。

 

では、過去問をどうぞ!

①【R1年出題】

60歳に達した日に算定基礎期間に相当する期間が5年に満たない者が、その後継続雇用され算定基礎期間に相当する期間が5年に達した場合、他の要件を満たす限り算定基礎期間に相当する期間が5年に達する日の属する月から65歳に達する日の属する月まで高年齢雇用継続基本給付金が支給される。

 

 

②【R4年出題】

60歳に達した被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。)であって、57歳から59歳まで連続して20か月基本手当等を受けずに被保険者でなかったものが、当該期間を含まない過去の被保険者期間が通算して5年以上であるときは、他の要件を満たす限り、60歳に達した日の属する月から高年齢雇用継続基本給付金が支給される。

 

 

③【R4年出題】

 高年齢雇用継続基本給付金の受給資格者が、被保険者資格喪失後、基本手当の支給を受けずに8か月で雇用され被保険者資格を再取得したときは、新たに取得した被保険者資格に係る高年齢雇用継続基本給付金を受けることができない。

 

 

④【R1年出題】

 支給対象月に支払われた賃金の額が、みなし賃金日額に30を乗じて得た額の100分の60に相当する場合、高年齢雇用継続基本給付金の額は、当該賃金の額に100分の15を乗じて得た額(ただし、その額に当該賃金の額を加えて得た額が支給限度額を超えるときは、支給限度額から当該賃金の額を減じて得た額)となる。

 

 

⑤【H27年出題】

 高年齢雇用継続給付を受けていた者が、暦月の途中で、離職により被保険者資格を喪失し、1日以上の被保険者期間の空白が生じた場合、その月は高年齢雇用継続給付の支給対象とならない。

 

 

⑥【R4年出題】

 支給対象月の暦月の初日から末日までの間に引き続いて介護休業給付の支給対象となる休業を取得した場合、他の要件を満たす限り当該月に係る高年齢雇用継続基本給付金を受けることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 〇 

 高年齢雇用継続基本給付金は、60歳に達した日に、被保険者であった期間(算定基礎期間に相当する期間)が5年以上あることが条件です。

 要件を満たせば、60歳に達した日の属する月から65歳に達した日の属する月まで支給されます。

 60歳時点で算定基礎期間に相当する期間が5年未満の場合は、60歳時点では受給資格はできません。ただし、その後継続雇用され算定基礎期間に相当する期間が5年以上になった場合に、受給資格ができます。

 その場合は、算定基礎期間に相当する期間が5年に達する日の属する月から65歳に達する日の属する月まで高年齢雇用継続基本給付金が支給されます。

(行政手引59011

 

 

②【R4年出題】 ×

 高年齢雇用継続基本給付金の受給資格を見る際の「算定基礎期間に相当する期間」は、基本手当の算定基礎期間の扱いと同じです。

 例えば、A社からB社に転職した場合、A社の被保険者であった期間とB社の被保険者であった期間の間が1年を超えている場合は、通算できません。

 問題文のように、57歳から59歳まで20か月被保険者でなかった場合は、基本手当等を受けていなくても、前の被保険者であった期間は通算されません。

 そのため、60歳時点の被保険者期間は5年以上になりませんので、60歳から高年齢雇用継続基本給付金は支給されません。

(行政手引59011

A

被保険者であった期間

空白

20か月)

B

被保険者であった期間

A社とB社の間が1年を超えていますので、A社の被保険者であった期間とB社の被保険者であった期間は通算できません。

 

③【R4年出題】 × 

 高年齢雇用継続基本給付金の受給資格者が、被保険者の資格を喪失した後、基本手当の支給を受けずに1年以内に雇用され被保険者資格を再取得したときは、新たに取得した被保険者資格についても、高年齢雇用継続基本給付金の受給資格者となり得ます。

(行政手引59311

 

 

④【R1年出題】 〇 

 高年齢雇用継続基本給付金は、支給対象月の賃金が、みなし賃金日額に30を乗じて得た額(原則として60歳時点の賃金月額のことです)の75%未満になることが条件です。

★高年齢雇用継続基本給付金として支給される額は、支給対象月の賃金が60歳時点の賃金月額の61%未満の場合は、支給対象月の賃金の額の15%となります。

★支給対象月の賃金が60歳時点の賃金月額の61%以上の場合は、15%から一定の割合で逓減された率を、支給対象月の賃金の額に乗じます。

★ちなみに、(高年齢雇用継続基本給付金の額として計算した額+支給対象月の賃金)が支給限度額(370,452円)を超えるときは、(支給限度額(370,452円)-支給対象月の賃金の額)が高年齢雇用継続基本給付金の額となります。

(行政手引59014

 

 

⑤【H27年出題】 〇 

「支給対象月」の要件を条文で読んでみましょう。

61条第2

 「支給対象月」とは、被保険者が60歳に達した日の属するから65歳に達する日の属するまでの期間内にある月(その月の初日から末日まで引き続いて被保険者であり、かつ、介護休業給付金又は育児休業給付金若しくは出生時育児休業給付金の支給を受けることができる休業をしなかった月に限る)をいう。 

 

★支給対象月とは、60歳到達月から65歳到達月までの「暦月」です。

60

到達月

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

65

到達月

支給対象月

支給対象月

 高年齢雇用継続給付は、「一般被保険者」が対象ですが、「65歳に達した月」については高年齢被保険者も対象になります。

 

★支給対象月は、「その月の初日から末日まで引き続いて、被保険者である」ことが条件です。

 初日から末日まで被保険者として継続して雇用されている「暦月」が支給対象月となりますので、暦月の途中で、離職により被保険者資格を喪失し、1日以上の被保険者期間の空白が生じた場合、その月は高年齢雇用継続給付の支給対象となりません。

(行政手引59013

 

 

⑥【R4年出題】 × 

 支給対象月は、「その月の初日から末日まで引き続いて、介護休業給付金又は育児休業給付金若しくは出生時育児休業給付金の支給を受けることができる休業をしなかった月に限る」とされています。

 支給対象月の暦月の初日から末日までの間に引き続いて介護休業給付の支給対象となる休業を取得した場合は、高年齢雇用継続基本給付金を受けることはできません。

(行政手引59013

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