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社会保険労務士合格研究室

過去問から学ぶ 健康保険法

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法人の役員である被保険者等の保険給付の特例【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は健康保険法です。

 

 まず、健康保険法の目的条文を読んでみましょう。

1条 (目的)

 健康保険法は、労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法第7条第1項第1号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

 

  健康保険の保険給付は、労災保険法の業務災害以外の傷病等に対して行われます。

 例えば、健康保険の被保険者が副業として行う請負業務中に負傷したとしても、「請負」は労働関係ではありませんので、業務中といえども労災保険の保険給付は受けられません。

 請負業務中の負傷など労災保険の業務災害に当たらない業務上の負傷等は、原則として健康保険の保険給付の対象になります。

(25.8.14事務連絡)

 

 ただし、「役員」の業務上の負傷等については特例が設けられています。

 条文を読んでみましょう。

53条の2(法人の役員である被保険者又はその被扶養者に係る保険給付の特例)

 被保険者又はその被扶養者が法人の役員であるときは、当該被保険者又はその被扶養者のその法人の役員としての業務(被保険者の数が5人未満である適用事業所に使用される法人の役員としての業務であって厚生労働省令で定めるものを除く)起因する疾病、負傷又は死亡に関して保険給付は、行わない

 

則第52条の2

 法第53条の2の厚生労働省令で定める業務は、当該法人における従業員(役員以外の者をいう。)が従事する業務と同一であると認められるものとする。

 

(原則)

 被保険者、被扶養者が法人の役員である場合、その法人の役員としての業務に起因する傷病等は、原則として健康保険の保険給付の対象外となります。

 使用者側の責めに帰すべきものですので、労使折半の健康保険から保険給付を行うことは適当でないと考えられるからです。

(特例)

 「被保険者が5人未満である適用事業所に所属する法人の代表者等で、一般の従業員と著しく異ならないような労務に従事している者」については、その者の業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病に関しては、健康保険の保険給付の対象となります。

(25.8.14事務連絡)

 

では、過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 被保険者が副業として行う請負業務中に負傷した場合等、労働者災害補償保険の給付を受けることのできない業務上の傷病等については、原則として健康保険の給付が行われる。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 〇 

 労災保険の給付を受けることのできない業務上の傷病等については、原則として健康保険の給付の対象になります。

(法第1条、平25.8.14事務連絡)

 

 

②【H30年出題】

 被保険者が5人未満である適用事業所に所属する法人の代表者は、業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病に関しても健康保険による保険給付の対象となる場合があるが、その対象となる業務は、当該法人における従業員(健康保険法第53条の2に規定する法人の役員以外の者をいう。)が従事する業務と同一であると認められるものとされている。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H30年出題】 〇

 被保険者、被扶養者が法人の役員である場合、その法人の役員としての業務に起因する傷病等は、健康保険の保険給付の対象外となるのが原則です。

 ただし、5人未満の適用事業所の法人の代表者は、業務遂行の過程で業務に起因して生じた傷病に関しても健康保険による保険給付の対象となる場合があります。対象になる業務は、従業員が従事する業務と同一であると認められるものです。

(第53条の2、則第52条の2、平25.8.14事務連絡)

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