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R7-196 03.12
3歳未満の子を養育している期間中に標準報酬月額が低下したとしても、将来の年金額は、子を養育する前の標準報酬月額(従前標準報酬月額)に基づいて計算される特例をみていきます。
特例が適用されるには、被保険者からの申出が必要です。
条文を読んでみましょう。
第26条第1項、第4項(3歳に満たない子を養育する被保険者等の標準報酬月額の特例) ① 3歳に満たない子を養育し、又は養育していた被保険者又は被保険者であった者が、主務省令で定めるところにより実施機関に申出(被保険者にあっては、その使用される事業所の事業主を経由して行うものとする。)をしたときは、当該子を養育することとなった日(厚生労働省令で定める事実が生じた日にあっては、その日)の属する月から次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日の属する月の前月までの各月のうち、その標準報酬月額が当該子を養育することとなった日の属する月の前月(当該月において被保険者でない場合にあっては、当該月前1年以内における被保険者であった月のうち直近の月。以下「基準月」という。)の標準報酬月額(この項の規定により当該子以外の子に係る基準月の標準報酬月額が標準報酬月額とみなされている場合にあっては、当該みなされた基準月の標準報酬月額。以下「従前標準報酬月額」という。)を下回る月(当該申出が行われた日の属する月前の月にあつては、当該申出が行われた日の属する月の前月までの2年間のうちにあるものに限る。)については、従前標準報酬月額を当該下回る月の第43条第1項に規定する平均標準報酬額の計算の基礎となる標準報酬月額とみなす。 (1) 当該子が3歳に達したとき。 (2)第14条各号のいずれかに該当するに至つたとき。 (3)当該子以外の子についてこの条の規定の適用を受ける場合における当該子以外の子を養育することとなったときその他これに準ずる事実として厚生労働省令で定めるものが生じたとき。 (4)当該子が死亡したときその他当該被保険者が当該子を養育しないこととなったとき。 (5)当該被保険者に係る第81条の2第1項の規定の適用を受ける育児休業等を開始したとき。 (6)当該被保険者に係る第81条の2の2第1項の規定の適用を受ける産前産後休業を開始したとき。 ④ 第2号厚生年金被保険者であり、若しくはあった者又は第3号厚生年金被保険者であり、若しくはあった者について、①の規定を適用する場合においては、「申出(被保険者にあっては、その使用される事業所の事業主を経由して行うものとする。)」とあるのは、「申出」とする。 |
★従前標準報酬月額のイメージ
→ 将来の年金額は、「従前標準報酬月額」を用いて計算されます。
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3歳未満の子の養育期間 | ||||
従前標準報酬月額 |
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ポイント!
「従前標準報酬月額」とは
・養育開始月の前月の標準報酬月額のことです。
・養育開始月の前月に厚生年金保険の被保険者でない場合は、その月前1年以内の直近の被保険者であった月の標準報酬月額が従前標準報酬月額となります。
「対象となる期間」は
→ 3歳未満の子の養育を開始した月から養育する子が3歳に達したとき等に該当するに至った日の翌日の属する月の前月までです。
過去問をどうぞ!
①【H30年選択式】
厚生年金保険法第26条第1項の規定によると、3歳に満たない子を養育し、又は養育していた被保険者又は被保険者であった者が、主務省令で定めるところにより実施機関に申出(被保険者にあっては、その使用される事業所の事業主を経由して行うものとする。)をしたときは、当該子を養育することとなった日(厚生労働省令で定める事実が生じた日にあっては、その日)の属する月から当該子が3歳に達したときに該当するに < A >までの各月のうち、その標準報酬月額が当該子を養育することとなった日の属する月の前月(当該月において被保険者でない場合にあっては、当該月前< B >における被保険者であった月のうち直近の月。以下「基準月」という。)の標準報酬月額(同項の規定により当該子以外の子に係る基準月の標準報酬月額が標準報酬月額とみなされている場合にあっては、当該みなされた基準月の標準報酬月額。以下「従前標準報酬月額」という。)を下回る月(当該申出が行われた日の属する月前の月にあっては、当該申出が行われた日の属する月の前月までの2年間のうちにあるものに限る。)については、従前標準報酬月額を当該下回る月の厚生年金保険法第43条第1項に規定する平均標準報酬額の計算の基礎となる標準報酬月額とみなすとされている。
<選択肢>
① 1年以内 ② 1年6か月以内 ③ 2年以内 ④ 6か月以内
⑤ 至った日の属する月 ⑥ 至った日の属する月の前月
⑦ 至った日の翌日の属する月 ⑧ 至った日の翌日の属する月の前月
【解答】
①【H30年選択式】
<A> ⑧ 至った日の翌日の属する月の前月
<B> ① 1年以内
②【R3年出題】
3歳に満たない子を養育している被保険者又は被保険者であった者が当該子を養育することとなった日の属する月から当該子が3歳に達するに至った日の翌日の属する月の前月までの各月において、年金額の計算に使用する平均標準報酬月額の特例の取扱いがあるが、当該特例は、当該特例の申出が行われた日の属する月前の月にあっては、当該特例の申出が行われた日の属する月の前月までの3年間のうちにあるものに限られている。
【解答】
②【R3年出題】 ×
「標準報酬月額」の特例が適用されるのは、特例の申出が行われた日の属する月前の月については、特例の申出が行われた日の属する月の前月までの「2年間」のうちにあるものに限られています。
★ 特例がさかのぼって適用されるのは、申出が行われた日の属する月の前月までの「2年間」です。
③【R5年出題】
本特例についての実施機関に対する申出は、第1号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者はその使用される事務所の事業主を経由して行い、第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者は事業主を経由せずに行う。
※本特例→「厚生年金保険法第26条に規定する3歳に満たない子を養育する被保険者等の標準報酬月額の特例」のことです。以下同じです。
【解答】
③【R5年出題】 〇
★本特例についての実施機関に対する申出について
・第1号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者
→その使用される事務所の事業主を経由して行います
・第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者
→事業主を経由せず直接行います
④【R5年出題】
本特例が適用される場合には、老齢厚生年金の額の計算のみならず、保険料額の計算に当たっても、実際の標準報酬月額ではなく、従前標準報酬月額が用いられる。
【解答】
④【R5年出題】 ×
保険料額の計算は、従前標準報酬月額ではなく、実際の標準報酬月額を用います。
⑤【R5年出題】
甲は、第1号厚生年金被保険者であったが、令和4年5月1日に被保険者資格を喪失した。その後、令和5年6月15日に3歳に満たない子の養育を開始した。さらに、令和5年7月1日に再び第1号厚生年金被保険者の被保険者資格を取得した。この場合、本特例は適用される。
【解答】
⑤【R5年出題】 ×
本特例は適用されません。
「従前標準報酬月額」は子を養育することとなった日の属する月の前月の標準報酬月額です。
問題文の甲は、養育を開始した日の属する月の前月(=令和5年5月)は被保険者ではありません。
養育を開始した日の属する月の前月に被保険者でない場合は、「当該月前1年以内における被保険者であった月のうち直近の月」の標準報酬月額が従前標準報酬月額となります。
しかし「甲」は、「当該月(=令和5年5月)前1年以内に被保険者であった月がありません。
そのため、甲には本特例は適用されません。
⑥【H30年出題】
被保険者の配偶者が出産した場合であっても、所定の要件を満たす被保険者は、厚生年金保険法第26条に規定する3歳に満たない子を養育する被保険者等の標準報酬月額の特例の申出をすることができる。
【解答】
⑥【H30年出題】 〇
被保険者の配偶者が出産した場合でも、特例の申出をすることができます。
⑦【H27年出題】
9月3日に出産した被保険者について、その年の定時決定により標準報酬月額が280,000円から240,000円に改定され、産後休業終了後は引き続き育児休業を取得した。職場復帰後は育児休業等終了時改定に該当し、標準報酬月額は180,000円に改定された。この被保険者が、出産日から継続して子を養育しており、厚生年金保険法第26条に規定する養育期間標準報酬月額特例の申出をする場合の従前標準報酬月額は240,000円である。
【解答】
⑦【H27年出題】 ×
従前標準報酬月額は、子を養育することとなった日の属する月の前月(=問題文の場合は8月)の標準報酬月額です。
定時決定で改定された標準報酬月額240,000円は9月から適用されます。そのため、従前標準報酬月額は、8月の標準報酬月額の280,000円となります。
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