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社会保険労務士合格研究室

  労働保険徴収法「労働保険事務組合」

R7-230 04.15

労働保険事務組合に委託できる事務の範囲

「労働保険事務組合」とは、厚生労働大臣の認可を受けた事業主の団体等です。

 認可で新しい団体が設立されるのではなく、既存の事業主の団体等がその事業の一環として、事業主が処理すべき労働保険事務を代理して処理するものです。

 

労働保険事務組合について条文を読んでみましょう。

33条第1項、第2項 (労働保険事務組合)

① 中小企業等協同組合法第3条の事業協同組合又は協同組合連合会その他の事業主の団体又はその連合団体(法人でない団体又は連合団体であって代表者の定めがないものを除く)は、団体の構成員又は連合団体を構成する団体の構成員である事業主その他厚生労働省令で定める事業主(厚生労働省令で定める数を超える数の労働者を使用する事業主を除く。)委託を受けて、これらの者が行うべき労働保険料の納付その他の労働保険に関する事項(印紙保険料に関する事項を除く。以下「労働保険事務」という。)を処理することができる。

② 事業主の団体又はその連合団体は、労働保険事務の処理を行なおうとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。 

 

則第62条第1項(委託事業主の範囲)

 法第33条第1項の厚生労働省令で定める事業主は、事業主の団体の構成員又はその連合団体を構成する団体の構成員である事業主以外の事業主であって、当該事業主に係る労働保険事務の処理を当該事業主の団体又はその連合団体に委託することが必要であると認められるものとする。

 

委託できる事業主の範囲

金融業、保険業、不動産業、小売業を主たる事業とする事業主

50人以下

卸売業、サービス業を主たる事業とする事業主

100人以下

その他

300人以下

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H19年出題】(雇用)

 厚生労働大臣の認可を受けて、労働保険事務組合となった団体は、労働保険事務を専業で行わなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

①【H19年出題】(雇用) ×

 厚生労働大臣の認可を受けて労働保険事務組合となった団体は、「その事業の一環として」、事業主が処理すべき労働保険事務を代理して処理します。専業で行わなければならないものではありません。

 

 

②【R1年出題】(雇用)

 金融業を主たる事業とする事業主であり、常時使用する労働者が50人を超える場合、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託することはできない。

 

 

 

 

【解答】

②【R1年出題】(雇用) 〇

 「金融業」を主たる事業とする事業主で、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託することができるのは、「常時使用する労働者が50人以下」の場合です。「50人」を超える場合は、委託できません。

 

 

③【R5年出題】(労災)

 労働保険事務組合の主たる事務所が所在する都道府県に主たる事務所を持つ事業主のほか、他の都道府県に主たる事務所を持つ事業の事業主についても、当該労働保険事務組合に労働保険事務を委託することができる。

 

 

 

 

【解答】

③【R5年出題】(労災) 〇

 令和24月より、労働保険事務組合に委託する事業主の所在地の制限がなくなっています。

 労働保険事務組合の主たる事務所が所在する都道府県に主たる事務所を持つ事業主のほか、他の都道府県に主たる事務所を持つ事業の事業主についても、当該労働保険事務組合に労働保険事務を委託することができます。

 

 

④【H23年出題】(雇用)

 労働保険徴収法第33条第1項の規定により、事業主が労働保険事務組合に委託して処理させることができると定められている労働保険事務として、次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A> 雇用保険被保険者資格取得届を所轄公共職業安定所長に提出する事務

B> 印紙保険料納付状況報告書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出する事務

C> 雇用保険の適用事業所の設置の届書を所轄公共職業安定所長に提出する事務

D> 労災保険の任意加入申請書を所轄都道府県労働局長に提出する事務

E> 労災保険の中小事業主等の特別加入申請書を所轄都道府県労働局長に提出する事務

 

 

 

 

 

【解答】

④【H23年出題】(雇用)

誤り → <B

 「印紙保険料に関する事項」は、労働保険事務組合に処理を委託することができる労働保険事務の範囲から除かれています。

 <B>印紙保険料納付状況報告書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出する事務は、労働保険事務組合に委託して処理させることはできません。

 

 

⑤【R1年出題】(雇用)

 労働保険事務組合は、団体の構成員又は連合団体を構成する団体の構成員である事業主その他厚生労働省令で定める事業主(厚生労働省令で定める数を超える数の労働者を使用する事業主を除く。)の委託を受けて、労災の保険給付に関する請求の事務を行うことができる。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【R1年出題】(雇用) ×

 労働保険事務組合は、「労災の保険給付に関する請求の事務」を行うことはできません。

★労働保険事務組合に委託できない事務

・印紙保険料に関する事項

・保険給付に関する請求書等の事務手続

・雇用保険の二事業に係る事務手続

 

 

⑥【H19年出題】(雇用)

  労働保険事務組合は、事業主の委託を受けて、労働保険料(印紙保険料を除く。)の納付に関する事務を処理することができるが、雇用保険の被保険者の資格取得及び喪失の届出に関する事務を処理することはできない。

 

 

 

 

 

【解答】

⑥【H19年出題】(雇用) ×

  労働保険事務組合は、事業主の委託を受けて、労働保険料(印紙保険料を除く。)の納付に関する事務を処理することができ、また、雇用保険の被保険者の資格取得及び喪失の届出に関する事務も「処理することができる」となります。

 

 

⑦【R3年出題】(雇用)

 保険給付に関する請求書等の事務手続及びその代行、雇用保険二事業に係る事務手続及びその代行、印紙保険料に関する事項などは、事業主が労働保険事務組合に処理を委託できる労働保険事務の範囲に含まれない。

 

 

 

 

【解答】

⑦【R3年出題】(雇用) 〇

 「保険給付に関する請求書等の事務手続及びその代行」、「雇用保険二事業に係る事務手続及びその代行」、「印紙保険料に関する事項」は、事業主が労働保険事務組合に処理を委託できる労働保険事務の範囲に含まれません。

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