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社会保険労務士合格研究室

 労働基準法「端数処理」

R7-244 04.29

全額払いの原則と端数処理

賃金は労働の対償ですので、使用者は、労働者にその全額を支払わなければなりません。

ただし、賃金の支払額については、便宜上、端数処理が認められています。

 

★遅刻、早退、欠勤等の時間の端数処理について

5分の遅刻を30分の遅刻として賃金カットをするというような処理は、労働の提供のなかった限度を超えるカット(25分についてのカット)について、賃金の全額払いの原則に反し、違法とされています。

 なお、このような取扱いを就業規則に定める減給の制裁として、法第91条の制限内で行う場合には、全額払の原則には反しません。

(昭63.3.14基発150号)

 

過去問をどうぞ!

①【H19年出題】

 割増賃金の計算の便宜上、1日における時間外労働、休日労働及び深夜労働の各時間数に1時間未満の端数がある場合は、1日ごとに、30分未満の端数を切り捨て、30分以上の端数を1時間に切り上げて計算する措置は、法違反として取り扱わないこととされている。

 

 

 

 

【解答】

①【H19年出題】 ×

 1日ごとに、30分未満の端数を切り捨て、30分以上の端数を1時間に切り上げて計算する措置は、「法違反」となります。

★なお、「1か月」における時間外労働、休日労働及び深夜労働の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることは、常に労働者の不利になるものではなく、事務簡便を目的としたものと認められますので、違反になりません

(昭63.3.14基発150号)

 

 

②【H25年出題】

 1日及び1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること、1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること並びに1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げることは、いずれも労働基準法第24条及び第37条違反としては取り扱わないこととされている。

 

 

 

 

【解答】

②【H25年出題】 ×

 「1か月」における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることは、法違反になりませんが、「1日」単位では法違反になります。

後半は、正しいです。以下の処理は、法違反になりません。

1時間当たり」の賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること

1か月」における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合に、上記と同様に処理すること

 

 

③【H29年出題】

 1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した額。)に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払う事務処理方法は、労働基準法第24条違反として取り扱わないこととされている。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H29年出題】 

か月の賃金支払額100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払うことは、法違反として取り扱わないとされています。

(昭63.3.14基発150号)

 

 

 

④【H24年出題】

 1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には、控除後の額)に生じた千円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うことは、労働基準法第24条違反としては取り扱わないこととされている。

 

 

 

 

【解答】

④【H24年出題】 

か月の賃金支払額に生じた千円未満の端数翌月の賃金支払日に繰り越して支払うことは、法違反としては取り扱わないこととされています。

(昭63.3.14基発150号)

 

 

 

⑤【H27年出題】

 過払いした賃金を精算ないし調整するため、後に支払われるべき賃金から控除することは、その金額が少額である限り、労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれがないため、労働基準法第24条第1項に違反するものではないとするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

【解答】

⑤【H27年出題】 ×

「過払いした賃金を精算・調整するため、後に支払われるべき賃金から控除すること」 

 「適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺は、第24条第1項項但書によって除外される場合にあたらなくても、その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の経済生活の安定との関係上不当と認められないものであれば、同項の禁止するところではないと解するのが相当である。

 この見地からすれば、許さるべき相殺は、過払のあった時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてされ、また、あらかじめ労働者にそのことが予告されるとか、その額が多額にわたらないとか、要は労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのない場合でなければならないものと解せられる。」

とされています。

「その金額が少額」であればよいということではありません。

昭和441218日最高裁第一小法廷) 

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