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休業手当を解くコツ

H28.4.16 休業手当の4つのポイント

社労士試験では、重要論点は繰り返し出題されています。なので、過去問を解いていると、「どこかで見たような・・・?」と思うことがよくありますよね?

繰り返し出題されるのは重要だから。重要論点を知っておくと、問題文を隅々まで読まなくてもよくなるので、楽に早く勉強できます。

 

それでは、労働基準法の過去問を解きながら休業手当の重要論点をチェックしていきましょう!

 

<ポイントその1>  そもそも休業手当は「何を保障」する制度?

H21年選択

 休業手当について定めた労働基準法第26条につき、最高裁判所の判例は、当該制度は「労働者の  A  という観点から設けられたもの」であり、同条の「『使用者の責に帰すべき事由』の解釈適用に当たっては、いかなる事由による休業の場合に労働者の  A  のために使用者に前記[同法第26条に定める平均賃金の100分の60]の限度での負担を要求するのが社会的に正当とされるかという考量を必要とするといわなければならない」としている。

 

<ポイントその2> 民法第536条第2項の「債権者の責めに帰すべき事由」との違い

H17年出題

 最高裁の判例によると、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」は、取引における一般原則たる過失責任主義とは異なる観点をも踏まえた概念というべきであって、民法第536条第2項の「債権者の責めに帰すべき事由」より広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解するのが相当であるとされている。

 

H26年出題

 労働基準法第26条の定める休業手当の趣旨は、使用者の故意又は過失により労働者が休業を余儀なくされた場合に、労働者の困窮をもたらした使用者の過失責任を問う、取引における一般原則たる過失責任主義にあるとするのが、最高裁判所の判例である。

 

H22年出題

 労働基準法第26条に定める休業手当は、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に支払が義務付けられるものであり、例えば、親工場の経営難により、下請工場が資材、資金を獲得できず休業した場合、下請工場の使用者は休業手当の支払義務を負わない。

 

<ポイントその3> 休業手当は労働基準法の「賃金」に当たるか?

H13年出題

 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に支払われるべき休業手当については、労働の対償として使用者が労働者に支払う賃金には該当せず、必ずしも労働基準法第24条で定める方法により支払う必要はない。

 

<ポイントその4> 派遣労働者の適用は派遣元か派遣先か?

H13年出題

 派遣中の労働者について、当該労働者派遣契約が派遣先の事業場の事情によって中途で解約された場合においても、労働基準法第26条の休業手当に関する規定の適用については、同条の「使用者の責に帰すべき事由」があるかどうかの判断は、派遣元の使用者についてなされる。

 

H18年出題

 労働者派遣中の労働者の休業手当について、労働基準法第26条の使用者の責に帰すべき事由があるかどうかの判断は、派遣元の使用者についてなされる。したがって、派遣先の事業場が天災事変等の不可抗力によって操業できないために、派遣されている労働者を当該派遣先の事業場で就業させることができない場合であっても、それが使用者の責に帰すべき事由に該当しないこととは必ずしもいえず、派遣元の使用者について、当該労働者を他の事業場に派遣する可能性等を含めて判断し、その責に帰すべき事由に該当しないかどうかを判断することとなる。

 

【解答】 

<ポイントその1> 

H21年選択式 A 生活保障

使用者の責めに帰すべき事由で労働者を休業させる場合、使用者は労働者の「生活保障」のために休業手当を支給する義務がある。

休業手当は、労働者の「生活保障」のための制度。

 

<ポイントその2>

H17年出題 ○

民法第536条2項(債権者の責めに帰すべき事由)より労働基準法(使用者の責めに帰すべき事由)の方が、範囲が広い

*民法の考え方(債権者の責めに帰すべき事由)→ 故意・過失があること

*労働基準法の考え方(使用者の責めに帰すべき事由) → 使用者側に起因する経営・管理上の障害も含まれる

この考え方を知っておけば、次の問題も解けます。

 

H26年出題 ×

民法の一般原則である過失責任主義(故意又は過失がある場合に責任を問われる)より広いのがポイント。使用者側に起因する経営・管理上の障害も含まれます。

 

H22年出題 ×

設問のような経営障害も「使用者の責めに帰すべき事由」に含まれます。(親工場の経営難について下請工場には故意も過失もありませんが、使用者は労働者の生活保障のために休業手当を支払う義務がある。)

 

<ポイントその3>

H13年出題 ×

休業手当は、労働基準法上の「賃金」です。

「賃金」なので、賃金支払いの原則どおり、毎月1回以上一定期日に支払わなければなりません。

また、休業手当は所定休日については支払う義務はありません。

 

<ポイントその4>

H13年出題 ○

H18年出題 ○

派遣労働者についての「使用者の責めに帰すべき事由」があるかどうかの判断は、「派遣元の使用者」に適用されます。

 

 

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