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条文を読むと分かることもある/国民年金

H28.6.9 木曜日はまぎらわしいところをチェック!(国民年金)

◆◆なんとなくモヤ~っとしていることも、条文を読むとパーッとすっきりすることがあります。

分からないと思ったら、基本に戻って条文を読んでみるのも効果があるかもしれません。

 

◆◆まず、「基本権」と「支分権」の違いを確認しましょう。

基本権は「年金を受ける権利」、支分権は「年金の支給を受ける権利(2カ月に1回年金を受け取る権利)」です。

 

 

◆◆老齢基礎年金の「基本権」は、以下の要件を満たすと自動的に発生します。(法第26条)

  老齢基礎年金は、保険料納付済期間又は保険料免除期間(学生納付特例及び30歳未満の保険料納付猶予制度の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るものを除く。)を有する者が65歳に達したときに、その者に支給する。ただし、その者の保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年に満たないときは、この限りでない。

 ★老齢基礎年金の受給権は、「保険料納付済期間+保険料免除期間」が25年以上ある(原則)、65歳に達した、という条件が揃えば自動的に発生します。(基本権)

 ただし、実際に2カ月に1回の年金を受ける(支分権)ためには、要件が満たされているという確認を受けるために、「裁定請求」が必要です。

 

◆◆「繰上げ支給の老齢基礎年金」の場合は、自動的ではなく「請求」によって基本権が発生することがポイントです。(附則第9条の2)

 保険料納付済期間又は保険料免除期間(学生納付特例及び30歳未満の保険料納付猶予制度の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るものを除く。)を有する者であつて、60歳以上65歳未満であるもの(任意加入被保険者でないものに限る。)は、当分の間、65歳に達する前に、厚生労働大臣に老齢基礎年金の支給繰上げの請求をすることができる。ただし、その者の保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年に満たないときは、この限りでない。

 原則として、保険料納付済期間と保険料免除期間が合わせて25年以上ある場合は、65歳に達すれば自動的に受給権が発生しますが、「早く受けたい」という人は60歳~64歳の間に老齢基礎年金の繰上げ請求をすることができます。繰上げの場合、「請求すること」によって基本権が発生します。

◆◆65歳に達したときは「支給する」(第26条)となっていますが、繰上げの場合は「請求することができる」(附則第9条の2)となっていますよね。

60~64歳の間に自動的に老齢基礎年金の基本権が発生することはなく、繰上げの「請求」によって受給権が発生するということです。

老齢基礎年金の繰上げを請求した場合は、「請求があった日」に受給権が発生(基本権)し、その翌月から実際に年金が支払われます。

 

◆◆ついでに

障害基礎年金も同じように読んでください。

第30条の通常の障害基礎年金は、初診日、保険料納付要件、障害認定日の3つの要件を満たせば、当然に受給権が発生します。

一方、事後重症の場合は、「請求できる」と規定されていて、請求することにより受給権が発生します。

では、次の問題を解いてみましょう。(H18年出題)

 保険料納付等の要件を満たしているが、障害認定日において障害の程度が2級以上に該当しなかった者が、65歳に達する日の前日までに障害の程度が悪化し、2級以上の状態に該当したときは、請求することによって、いわゆる事後重症による障害基礎年金が支給される。

 

 

 

 

【解答】○

「請求することによって」の部分がポイント。事後重症は請求によって受給権が発生します。

ただし、請求しなくても「請求があったものとみなして」支給される例外もあります。この話はまた後日。

社労士受験のあれこれ