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就業規則による労働契約の内容の変更

H29.5.12 就業規則の変更のルールその2

就業規則にまつわる民事的なルールを、労働契約法で確認していきます。

 

 昨日は、労働者の合意なく、就業規則を変更して労働条件を不利益に変更することはできない、というルール(第9条)を勉強しました。

 ただし、第9条には第10条で定める要件を満たす場合は、合意の原則の例外として就業規則の変更で労働条件を変更することができる、という例外規定があります。

 

 

 では第10条の確認です。空欄を埋めてください。

(第10条 就業規則の変更による労働契約の内容の変更)

 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に< A >させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして< B >なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。

 

 

 

 

 

 

 

(解答) A 周知  B 合理的

 

★ 「合意の原則」の例外が適用される要件は、「変更後の就業規則を労働者に周知させる」と「就業規則の変更が合理的なものである」ことです。

★ 合理性の判断は、①労働者の受ける不利益の程度、②労働条件の変更の必要性、③変更後の就業規則の内容の相当性、④労働組合等との交渉の状況、⑤その他の就業規則の変更に係る事情が総合的に考慮されることになります。

★ なお、第10条にも例外がありますが、それについてはまた後日。

 

 

 過去問です。

<H25年出題>

 使用者が社内の多数労働組合の同意を得て就業規則を変更し、55歳以降の賃金を54歳時よりも引き下げつつ、定年年齢を引き上げた事案について、本件就業規則の変更は、多数労働組合との交渉、合意を経て労働協約を締結した上で行われたものであるから、変更後の就業規則の内容は、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性等にかかわらず、労使間の利益調整がされた結果として合理的なものとみなすことができるとするのが最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

<解答> ×

★ 多数労働組合と交渉したからといって、「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性等にかかわらず、」合理的なものとみなされるのはおかしいですよね。

労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性等の事情を総合的に考慮して判断されます。

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