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(労基法)労働者について

R3-179

R3.2.18 労働者性の判断(最高裁判例より)

今日は労働基準法です!

 

令和2年度の問題をどうぞ!

<問2-選択>

 最高裁判所は、自己の所有するトラックを持ち込んで特定の会社の製品の運送業務に従事していた運転手が、労働基準法の労働者に当たるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。

 「上告人は、業務用機材であるトラックを所有し、自己の危険と計算の下に運送業務に従事していたものである上、F紙業は、運送という業務の性質上当然に必要とされる運送物品、運送先及び納入時刻の指示をしていた以外には、上告人の業務の遂行に関し、特段の指揮監督を行っていたとはいえず、< A >の程度も、一般の従業員と比較してはるかに緩やかであり、上告人がF紙業の指揮監督の下で労務を提供していたと評価するには足りないものといわざるを得ない。そして、< B >等についてみても、上告人が労働基準法上の労働者に該当すると解するのを相当とする事情はない。そうであれば、上告人は、専属的にF紙業の製品の運送業務に携わっており、同社の運送係の指示を拒否する自由はなかったこと、毎日の始業時刻及び終業時刻は、右運送係の指示内容のいかんによって事実上決定されることになること、右運賃表に定められた運賃は、トラック協会が定める運賃表による運送料よりも1割5分低い額とされていたことなど原審が適法に確定したその余の事実関係を考慮しても、上告人は、労働基準法上の労働者ということはできず、労働者災害補償保険法上の労働者にも該当しないものというべきである。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 

A 時間的、場所的な拘束

B 報酬の支払方法、公租公課の負担

 

★ 「横浜南労基署長事件(平成8年11月28日最高裁)」からの出題です。判決では、労働者性は認められていません。

<キーワード>

時間的、場所的な拘束の程度も、一般の従業員と比較してはるかに緩やか

報酬の支払方法、公租公課の負担等についてみても、 上告人が労働基準法上の労働者に該当すると解するのを相当とする事情はない

 → 「 報酬は、運賃表により出来高が支払われていた」

   「所得税の源泉徴収並びに社会保険及び雇用保険の保険料の控除はされておらず、上告人は、報酬を事業所得として確定申告をした」

 

<参考>

『昭和60年厚生労働省「労働基準法研究会報告 (労働基準法の「労働者」の判断基準について)』によると、

 「実質的な使用従属性」を労務提供の形態や報酬の労務対償性及びこれらに関連する諸要素をも勘案して総合的に判断する必要がある。

 

1  使用従属性に関する判断基準

 (1)指揮監督下の労働に関する判断基準

   イ 仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無

   ロ 業務遂行上の指揮監督の有無

   ハ 拘束性の有無

   ニ 代替性の有無

 (2)報酬の労務対償性に関する判断基準

2  労働者性の判断を補強する要素

 (1)事業者性の有無

   イ 機械、器具の負担関係

   ロ 報酬の額

   ハ その他

 (2)専属性の程度

 (3)その他

 

 

こちらの問題もどうぞ!

<R1年出題>

 いわゆる芸能タレントは、「当人の提供する歌唱、演技等が基本的に他人によって代替できず、芸術性、人気等当人の個性が重要な要素となっている」「当人に対する報酬は、稼働時間に応じて定められるものではない」「リハーサル、出演時間等スケジュールの関係から時間が制約されることはあっても、プロダクション等との関係では時間的に拘束されることはない」「契約形態が雇用契約ではない」のいずれにも該当する場合には、労働基準法第9条の労働者には該当しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 〇

芸能タレントの「労働者性」についての行政通達です。

 人気の程度、就業の実態、収入の形態等からみて判断されます。

(昭63.7.30 基収355号)

社労士受験のあれこれ

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