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年金の歴史その2(創成期)

R3-191

R3.3.2 厚生年金保険法の誕生

年金の歴史についてお話しています。

現在の公的年金には、「国民年金法」と「厚生年金保険法」がありますが、先にできたのは厚生年金保険法です。

社労士試験の科目の順番が、厚生年金保険法→国民年金法と厚生年金保険法の方が先なのはそのためです。

 

 昭和16年に「労働者年金保険法」が制定されました(昭和17年施行)。対象は、工場で働く男性労働者でした。労働力を保全し強化することによって生産力を上げるという社会的な要請があったそうです。

 その労働者年金保険法が「厚生年金保険法」という名称に改められたのが昭和19年。その際、事務系の労働者や女性も対象になりました。

 そして、昭和29年に厚生年金保険法が全面改正されました。実際に養老年金の受給者が生ずることへの対応です。このときの改正で、老齢年金は定額部分と報酬比例部分の2階建てになりました。また、男子の支給開始年齢が55歳だったものが段階的に60歳に引き上げられることになりました。

(参考:平成18年版、平成23年版厚生労働白書など)

 

★旧法と新法

 昭和61年4月1日より前の年金制度を旧法、それ以降を新法といいます。

 新法の厚生年金保険は国民年金(基礎年金)の2階部分という位置づけです。

 例えば、65歳からの年金は、1階に老齢基礎年金があって、2階に老齢厚生年金という形です。

 

 しかし、60歳台前半の「特別支給の老齢厚生年金」は定額部分(1階)と報酬比例部分(2階)で、厚生年金だけで2階建てになっています。これは国民年金と厚生年金保険が別個に運営されていた旧法の形を引き継いでいます。

 旧法の厚生年金保険の老齢年金の支給開始年齢は60歳で定額部分と報酬比例部分の2階建てになっていました。新法になったときに国民年金の支給開始年齢に合わせて65歳開始になりましたが、いきなり60歳から65歳に引き上げることはできません。

 ですので、まずは定額部分の開始年齢を1歳ずつ引き上げ、その次に報酬比例部分の支給開始年齢を引き上げることで、段階的に60歳代前半の老齢厚生年金をなくしていく方法をとっています。旧法の形を徐々になくしていくイメージで考えてみてください。

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