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社会保険労務士合格研究室

どんな法律シリーズ⑦ 国年・厚年(旧法から新法へ)

R4-138

R4.1.7  国年・厚年その2(旧法から新法へ)

 前回は、年金制度の創成期のお話をしました。

 その後の経済の高度成長の中で、年金制度も充実期を迎えます。

 

 そして、加速する高齢化、経済成長の安定化から、公的年金も大きな見直しが行われました。

 昭和60年改正の大きな柱は次の3つです。

① 基礎年金の導入

② 厚生年金の給付水準の適正化

③ 女性の年金権の確立

 

 「昭和6141日」前後で年金制度が大きく変わります。昭和6141日前の制度を「旧法」、それ以後を「新法」といいます。

 

① 基礎年金の導入について

 それまでの公的年金は、自営業者等が加入する「国民年金」、民間の会社員が加入する「厚生年金」、公務員等が加入する「共済年金」の大きく3つに分かれていました。

 それぞれが独自に運営されていたので、給付面でも負担面でも制度間に格差があったこと、また、産業構造の変化に伴い財政基盤が不安定になる問題も起こっていました。

 このため、登場したのが「全国民共通の基礎年金」です。

 国民年金は「基礎年金」として、全国民共通の年金を担当することになりました。また、厚生年金等の被用者年金は基礎年金に上乗せされる報酬比例年金として位置づけられました。

 「基礎年金」の導入によって、1階部分が「基礎年金」、2階部分が「厚生年金や共済年金」となる「2階建ての年金」の方式になりました。

② 厚生年金の給付水準の適正化について

 加入期間が延びてもこれ以上給付水準が高くならないよう、給付乗率や定額単価も見直しが行われました。

 具体的には、大正1542日から昭和2141日以前生まれの人の給付乗率や定額単価は、生年月日が若くなっていくほど逓減していきます。

 新法施行時に40歳未満だった昭和2142日以後生まれの人には新法の給付乗率や定額単価を適用しますが、40歳を過ぎていた昭和2141日以前生まれの人は、旧法の水準から徐々に新法の水準に近づけていくイメージです。昭和6141日を境に、給付乗率や定額単価をいきなり減らすことができないからです。

③ 女性の年金権の確立について

 旧法では民間サラリーマン等の妻(専業主婦)は、国民年金には「任意で加入できる」位置づけでした。任意加入しなかった場合は、老後は、サラリーマンの夫の年金に加算される配偶者加給年金額で保障されることになっていました。

 ただし、妻が任意加入していない場合は、離婚すると老齢年金が受給できない、障害になっても障害年金が受給できない問題もありました。

 そのため、新法では、サラリーマン等の妻(専業主婦)も国民年金に第3号被保険者として加入することになりました。ただし、保険料は、第3号被保険者が個別に負担するのではなく、夫の加入する被用者年金制度全体で負担しています。

 ※妻と夫が逆の場合も同じです。

 

 

過去問をどうぞ!

H15年選択式】

 年金改正では、激変を緩和するという観点から、しばしば経過措置が設けられる。昭和60年改正によって導入された基礎年金の給付の適用を受けるのは、老齢基礎年金については< A >以降に生まれた者(施行日に旧制度の老齢・退職給付の受給権のあった者を除く。)、障害基礎年金については< B >が昭和6141日以降の者(福祉年金を除く。)であり、それ以外の者には旧制度の給付が適用されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

A 大正1542

★「基礎年金」という名称が登場するのは新法からです。

 新法の「老齢基礎年金」が支給されるのは、昭和6141日に60歳未満だった大正1542日以降生まれの人です。ただし、大正1542日以降生まれでも、昭和61331日に旧法の老齢・退職給付の受給権があった場合は、そのまま旧法が適用されます。

 

B 障害認定日

★障害基礎年金は障害認定日に受給権が発生します。障害認定日(受給権の発生日)が昭和6141日以降なら、新法の障害基礎年金が支給されます。 

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