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社会保険労務士合格研究室

ここを乗り越えよう!労働基準法編

R4-140

R4.1.9  1か月単位の変形労働時間制 その2(導入手続き)

前回に引き続き、1か月単位の変形労働時間制です。

今回は、1か月単位の変形労働時間制の導入の手続のお話です。

 

条文を読んでみましょう。

第32条の2

① 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、1か月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が法定労働時間(40時間・特例の場合は44時間)を超えない定めをしたときは、その定めにより、特定された週において法定労働時間(40時間・特例の場合は44時間)又は特定された日において法定労働時間(8時間)を超えて、労働させることができる。

② 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、①の協定を行政官庁に届け出なければならない。

 

 1か月単位の変形労働時間制を導入する際は、「労使協定」又は「就業規則その他これに準ずるもの」が必要です。

 

★ポイントその1

 「又は」がポイント。「労使協定」か「就業規則その他これに準ずるもの」のどちらかという意味です。

 なお、「労使協定」は所轄労働基準監督署長に届け出が必要です。

 

 

★ポイントその2

 「就業規則に準ずるもの」がポイント。

 「就業規則に準ずるもの」で導入できるのは労働者が10人未満の事業場です。労働者が10人以上の事業場は就業規則の作成義務がありますので、「就業規則に準ずるもの」では導入できません。

 ・10人以上の事業場 → 「労使協定」か「就業規則」(就業規則に準ずるものは不可)

 ・10人未満の事業場 → 「労使協定」か「就業規則その他これに準ずるもの」 

 

★ポイントその3

 「特定された週」「特定された日」がポイント。

 労使協定や就業規則等に、各日、各週の所定労働時間を具体的に定めることが必要です。業務の都合があったとしても、使用者が途中で任意に変更することはできません。

 

 

では、過去問をどうぞ

 

①【R1年出題】

1か月単位の変形労働時間制は、就業規則その他これに準ずるものによる定めだけでは足りず、例えば当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合と書面により協定し、かつ、当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる。

 

 

②【R1年出題】

 1か月単位の変形労働時間制においては、1日の労働時間の限度は16時間、1週間の労働時間の限度は60時間の範囲内で各労働日の労働時間を定めなければならない。

 

 

③【H18年出題】

 労働基準法第32条の2に規定するいわゆる1か月単位の変形労働時間制については、当該変形期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間の範囲内である限り、使用者は、当該変形期間の途中において、業務の都合によって任意に労働時間を変更することができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R1年出題】 ×

1か月単位の変形労働時間制は、「就業規則その他これに準ずるものによる定め」だけでも採用することができます。

 また、労使協定で採用することもでき、その場合は所轄労働基準監督署長に届け出が必要です。

 しかし、問題文の「当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる。」の部分は誤りです。1か月単位の変形労働時間制の労使協定の効力は届け出によって発生するのではなく、労使協定の締結で発生します。

H11.1.29基発45号)

 

 

②【R1年出題】 ×

 1か月単位の変形労働時間制では、1日、1週間の労働時間の限度は設けられていません。

(S63.1.1基発1号)

 

 

③【H18年出題】 ×

 変形期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間の範囲内であったとしても、途中で、任意に労働時間を変更することはできません。

S63.1.1基発1号) 

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